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避難所運営のために(PDF:4086KB)

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避難所運営のために(PDF:4086KB)
第2部
1
避難所運営のために
避難所の開設について
(1)避難所運営組織とは
避難所の運営は、市町村が中心となって行うのは勿論ですが、過去の災害経験から
市町村のみでの避難所運営は困難を伴うことが多く、地域住民が関わることで円滑な
運営ができることが明らかになりました。
避難者にとって避難所が、秩序のとれた生活拠点として機能するためには、避難者
が中心となった「避難所運営組織」を立ち上げ、避難所の自主運営を行うことが必要
となります。
※自主防災組織を包括する避難所運営組織を立ち上げます。その際、自主防災組織の人
員を、順次、避難所運営組織の各班へ移行していきます。
【最近の地震被害状況】
住宅被害
避難状況
(ピーク時)
1ヶ月後
阪神・淡路大震災
H7.1.17
5時46分
マグニチュード7.3
新潟県中越地震
H16.10.23
17時56分
マグニチュード6.8
全壊
半壊
全壊
半壊
104,906棟
144,274棟
3,175棟
13,808棟
避難者 316,678人 避難者 103,178人
1月23日(6日後)
10月26日(3日後)
避難所
1,153ヶ所 避難所
603ヶ所
1月23日(6日後)
10月28日(5日後)
避難者
避難所
209,828人 避難者
961ヶ所 避難所
5,803人
94ヶ所
全避難所の閉鎖 8月20日(約7ヶ月後) 12月23日(約2ヶ月後 )
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(2)避難所運営組織の役割
《初動期》
災害発生直後の混乱状態の中で避難所を開設・運営するために必要な業務を行う
期間です。
①避難所運営
・避難所運営の中枢となる人物(代表1名、副代表2名)を選出します。
・避難所運営組織が形成されるまでは、中枢となる人が陣頭指揮をとります。
・中枢となる人物を中心に、①避難所となる施設の危険度の点検 ②避難者名簿づくり
③避難者の部屋割り ④居住組の編成に取りかかります。
②避難施設の点検
・避難所の安全性の判断は、応急危険度判定士が判定を行いますが、市町村避難所担当職
員や施設管理者がいない場合で、迅速に施設内への避難が必要な場合には、運営組織が
目視による施設の点検を行う必要があります。
・危険と認められる場所は、立入禁止の張り紙をしましょう。
【点検項目(例)】 地すべり、崖くずれ、地割れ 床の状況 外壁の状況
液状化発生の有無
柱の状況 天井、照明器具の状況
建物の沈下・傾斜
壁の状況 ドア・窓の状況
③避難所の開設
・避難所の開設は原則として、町職員が施設管理者の協力を得て行います。しかし、休日
や夜間など町職員の出勤が困難な場合もあります。
・緊急的な避難を要する場合に備えて、住民などの判断により避難所を開設できるよう、
事前に施設管理者との打合せを行い、あらかじめ鍵の管理方法を取り決めておきましょ
う。
④避難者台帳の作成など
・避難所運営の中枢となる人物は、避難所開設状況(→P64【様式5:避難所開設状況
票(例)】) や被害状況(→P65【様式6:被害状況報告票(例 )】) を町災害対策本
部に報告しましょう。
・避難者台帳(→P66【様式7:避難者台帳(例)】) を配布し、各世帯毎に記入して
もらいます。
・病院、施設などへの収容希望がある場合や緊急を要する場合も台帳に記入してもらいま
しょう。
・プライバシーに配慮しつつ(→P67【様式8:災害時要援護者リスト(例)】)を作
成し、町災害対策本部に報告しましょう。
⑤部屋割り
・避難者全員分の居住空間を確保します。
・利用できる空間は、教室、会議室、体育館、廊下などがあります。
・校長室、職員室、保健室などは施設運営上必要なため、居住空間としては使用しません。
・被災直後は、多数の避難者が詰めかけることが想定されるため、居住空間が足りない場
合は、疾病者、幼児、妊婦、高齢者、障害者などを優先させます。その際には、空調設
備の整った部屋を割り当てるようにしましょう。
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《展開期》
災害発生後2日目から約3週間程度までの期間です。
避難者にとっては避難所での仕組みや規則に従った日常性を確立する時期です。
①避難所運営組織
・発災時には、限られた行政職員だけでは対応が困難になることが想定されます。避難所
の運営は、避難者自身による自治組織を中心として行いましょう。
・避難所の運営組織は、運営本部と居住単位に基づく居住組、各活動班で構成されます。
全ての避難所の運営は、避難所運営本部を中心に行います。
【運営本部】
・運営本部は、本部長1名、副本部長2名、各活動班の班長、各居住組の組長によって構
成されます。
・運営本部は、避難所を運営する最高決定機関として避難所生活全般に関わります。
・運営本部では、避難所内でのルール(→P68【様式9:○○地区内 避難所でのルー
ル(例)】) の決定・変更の徹底、避難者の要望、意見などの取りまとめ、町や関係機
関との連絡調整などを行います。
・運営本部会議は、毎日時間を定めて1回以上開催します。
②居住組の編成
・世帯を一つの単位として、居住組(最大40人程度)を編成します。
・各居住組に1名の組長を置きます。
・居住組の編成は、血縁関係や居住地域を基にします。
・滞留旅客など、元もと地域内に居住していない避難者は、まとめて居住組を編成します 。
【居住単位に基づく居住組】
・居住組は、1名の組長を選出し、居住組の意見をまとめて運営会議へ提出する代表者の
役割を担います。
・組長の他に、副組長、各活動委員を選出します。
・居住組として、公共部分の清掃、炊き出し、生活用水の確保などを当番で行います。
・在宅被災者に対しても、町災害対策本部によって食料・物資の提供などが地域の防災拠
点である避難所で行われます。そこで、在宅被災者数や必要とされる支援物資等に関す
る情報を把握するため、広報活動により、在宅被災者の人々に対して、避難所への申し
出を呼びかけます。
【各活動班】
・各活動班は、班長を選出し、活動班の意見をまとめて運営会議へ提出する代表者の役割
を担います。
・各活動委員は、居住組の代表として避難所運営のための諸活動の中心になります。
③避難所内での場所の移動
・避難者の増減など状況の変化により、避難場所の移動が必要な場合は、避難者の了解を
得て、部屋の統廃合など避難場所の移動を行います。このため、避難所開設直後から避
難所内で場所の移動があることを周知しておくことも必要です。
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《安定期》
災害発生後3週間目以降です。
この時期は、毎日の生活に落ち着きが戻り、長期化に伴って被災者の心身の抵抗
力が低下する時期でもあります。また、被災者の多様化するニーズに対して、柔軟
な対応が必要とされる期間です。
①活動班の再編成
避難者の増減により避難所の規模が縮小するなど、状況の変化があった場合は、適宜、
班員の交替や班の再編を行います。
②避難所内での場所の移動
避難者の減少や学校の再開など、状況の変化があった場合は、避難者の了解を得て、部
屋の統廃合など避難場所の移動を行います。
《撤収期》
周辺のライフライン機能が回復し、被災者にとって本来の生活が再開可能になる
ため、避難所生活の必要性がなくなる期間です。
この時期は、避難者の生活再建、避難所施設の本来業務の再開に向けての対応が
必要な期間です。
○避難所の撤収
避難所閉鎖について避難者の合意形成を行いつつ、残務整理を行い、避難所の運営に関
する記録、使用した台帳等を整理し、町災害対策本部に引き継ぎます。
- 44 -
2
避難所の運営
(1)健康管理について
災害発生の混乱時には、早急に医療救護体制が確立されるとは限りません。できる
範囲で病人・けが人の治療に当たり、障害のある人、高齢者、子どもなどの災害時要
援護者の介護を行っていく必要があります。
○近隣の医療機関、医療救護所の開設状況の把握など
・大規模災害発災直後は、地域の病院や診療所などもマヒしているかもしれません。地
域の拠点となる避難所などに「救護所」が設置されます。医療機関に行かなくても受
診が可能です。
・ただし、避難者に医師や看護師などの専門家がいれば、避難所に医務室を開設し、急
な病人の発生に対応しましょう。
・避難所内に医務室が開設できない場合や、医務室で対応できない場合には、速やかに、
近隣の医療施設への搬送を要請しましょう。
・持病のある人など医療を必要とする可能性が高い人については、「氏名・年齢・性別
・病名・通常使用している薬・かかりつけの病院・医師」などの情報を取りまとめま
しょう。ただし、把握した情報の管理には、十分注意しましょう。
○備蓄医薬品の管理
避難所内にある医薬品や衛生材料の種類、数量について把握しましょう。
−エコノミ−クラス症候群−
新潟県中越地震で報道されたのが、避難所や車中などの狭い空間で長時間じっとし
ていることによる「エコノミ−クラス症候群」
予防するためには、
・座ったままでも、足のつま先を動かすなどの足の運動を行う。
・十分な水分を取る。
・ゆったりとした状態で過ごす。
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○心のケア対策
・被災者の精神的なケアについて、専門家による定期的な相談を受けましょう。
・精神的なストレスや気持ちの落ち込みが続くと、身体を動かさなくなったり、免疫力
が低下して、身体への悪影響も起こしかねません。
【対処方法】
・同じ体験をしている家族や周囲の人と話をし、思いを共有し合ったり、悩みを相談し
たりする。
−こんな時は、
すぐに医療・保健スタッフやボランティアに相談しましょう−
・夜、眠れない
・避難所の生活環境や周囲との人間関係などで困っている
・つらい気持ちや悩みを話せる人がいない
・理由は分からないが、不安、イライラ、焦りがつのる
・気持ちが落ち込んで立て直せない、何もする気が起きない、涙が出て止まらない
・頭痛、胃腸の不調、身体のだるさなど身体の不調が取れない
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(2)水・食料・物資の確保
発災直後は、食料の配給が十分には行き届かないことも考えられます。町災害対策
本部へ場所と避難人数や必要な食料・物資を速やか報告するとともに、避難者が協力
し合って炊き出しなどを行うことにより、食料の確保を行います。
○水・食料・物資の調達
・備蓄物資・食料がある場合には確認の上、必要な物資・食料を町の災害対策本部に要
請します。(→P69【様式10:物資要請書(例)】)
・要請に当たっては、被災者管理班と協力し、毎日の避難者数を把握しつつ、その日必
要な物資・食料を洗い出しましょう。
・避難所は、在宅の避難者への配布拠点になる場合もあるので、在宅避難者分も合わせ
て要請しましょう。
・高齢者や障害者など、特別の要望には個別に対応しましょう。
・避難者の個人的な、し好品の要望や特定の製造元など、いき過ぎた要望への過剰対応
に留意しつつ要望に応えましょう。
○物資・食料の受入れ
・食料・物資班は、施設管理班と協力し、物資・食料等の受入れのために、ある程度の
広さを持った専用スペースを設け、物資の種類を分別し、数量を把握し、保管場所に
搬入します。
・倉庫への搬入や物資の分別などは大変な重労働です。ボランティアや避難者に協力を
呼びかけ、できるだけ多くの人の協力を募りましょう。
・物資の受入れや配布に当たっては、物資や数量などを記入し、在庫管理をします。
(→P70【様式11:物資台帳(例)】
)
・夏場や梅雨の時期には、物資・食料へのカビの発生や害虫・ねずみの被害に注意し、
保管場所の衛生管理にも注意が必要です。
- 47 -
○物資、食料の配布方法
・物資や食料が、避難者の数に足りない場合は、お年寄り、子ども、妊婦などの避難者
へ優先的に配布するといった配布ルールを決め、単に機械的に配布するだけでなく、
可能な限り全員が納得できるような工夫が必要です。
・物資の配布方法は、掲示板などを使って周知を図ることが必要です。
【例】
・缶詰のままでは全員分がなかったら、缶の中身で分ける。
・絶対数が足りない果物などは、すり下ろしたり、ジュースにして、お年寄りや子ども
病人などに配布する。
○炊き出しへの対応
・避難者が自主的に炊き出しを行う場合があります。その場合には、施設管理班やボ
ランティア班と協力して、炊き出しのための設備や人員を確保しましょう。
・献立には、食品衛生や栄養管理の資格をもった避難者がいれば、アドバイスを得る
よう心がけましょう。
・可能な限り避難者が欲している食事を提供できるよう配慮しましょう。
・お年寄りやアレルギー体質の方など、やむにやまれぬ理由から特別の配慮が必要な
者には、個別の対応が必要です。
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(3)プライバシーの確保
避難所での生活は、災害による精神的ショックの上に、不自由な避難所生活がもた
らすストレスに襲われます。
特に発災直後の避難所では、生活のリズムが崩れ、ストレスを感じている人の行動
が、さらに他の人のストレスを助長させることになりかねません。
やむなく避難所生活が長期化するような場合は、自立していくための基礎として、
ある程度のプライバシーの確保が必要です。
○居住空間の確保
・居室内の世帯同士の区画境界は、床の敷物で区別するなどして明確に規定しましょう。
・世帯スペースは、一般の「家」同様、その避難者の占有する場所と考え、みだりに立
ち入ったり、のぞいたりしないようにしましょう。
・居室内の通路は、各世帯の区画が必ず1か所は面するような形で設定しましょう。
・避難生活が落ち着いてきたら、個人のプライバシー保護を考慮しましょう。
・お互い顔見知りになり、避難所内の様々なルールが軌道に乗るようになったら、ダン
ボールや仕切り板を用いて個人の空間を確保しましょう。
・空間の確保に当たっては、災害時要援護者への配慮、男女双方の視点、プライバシー
の確保などに気を配りましょう。
・学校などでは、備付けの机や椅子などを仕切りとして用いることもできます。ただし、
使用については、必ず施設管理者と協議しましょう。
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(4)災害時要援護者への対応
(疾病者・障害者・高齢者・乳幼児・妊産婦、外国人など)
発災直後は、多数の避難者が避難所へ詰めかけることが予想されます。居住空間が
足りない場合は、疾病者、障害者、高齢者、乳幼児、妊産婦などを優先しましょう。
○要援護者の支援
・プライバシーに配慮しつつ、避難所内の要援護者について把握しましょう。
・居住スペースは、和室や空調設備のある部屋を優先して割り当て、トイレの位置も考
慮しましょう。
・本人や家族と相談の上、設備のある福祉避難所や福祉施設などへ二次的な移転も検討
しましょう。
・避難所内で、介護士などの専門家がいれば、協力を依頼しましょう。
○長期化に伴う救護対応
・高齢者や障害者は、避難生活の長期化により一層心身への負担が募ります。必要に応
じて町が設置する福祉避難所など、適切な施設への移転ができるよう支援をしましょ
う。
・避難所の子どもたちへの対応について、遊び部屋や勉強室の確保、または、子どもの
世話ができる人材の確保など、必要な支援を検討しましょう。
・地域に外国人などの被災者がいた場合、生活支援に適切な手段や方法を検討しましょ
う。
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(5)避難所内外格差の是正
阪神淡路大震災では、避難所が、周辺被災者に対する救援の拠点となったため、避
難所内被災者と避難所外被災者との間で、食料・物資の配布にあつれきが生じ、「ど
うして外部の人の分まで、配らなければならないのか?」という不満の声が上がった
避難所もあったそうです。こうした事態に陥らないためにもルールづくりが必要です。
※ここでいう避難所内とは、避難所とされる建物だ
けでなく、敷地内(グランド等)も含みます。
避難所外とは、町の地域防災計画で定められた避
難所ではない場所に自然発的にできた避難所、及び
ライフラインが寸断されているが、自宅や、自宅の
庭や畑などで寝泊まりしている方(在宅避難者)の
ことをいいます。
○避難所は、その地域全体の物資の供給拠点
・発災直後の混乱の中では、食料・物資は、在宅被災者の分も一括して避難所へ送られ
てくることが予想されます。
・避難所から町へ食料や物資の必要量を報告する際には、これら在宅被災者の人数も合
わせて報告しましょう。
○在宅被災者組織
・避難所運営本部で在宅被災者について、すべてを把握することは困難です。
・在宅被災者もバラバラに動くのではなく、組織だって物資などの配給を受けたり、町
への要望を出す方が効率的です。
・在宅被災者のまとめ役は、自主防災組織の役員などが考えられます。
・避難所の運営本部は、在宅被災者組織と連携しながら対応しましょう。
・避難所で行っている食料や物資の受入れ・管理、町の災害対策本部との情報連絡など
についても、必要に応じて在宅被災者組織と役割分担しましょう。
−在宅被災者組織は、次のような情報をとりまとめましょう−
・必要な食事と物資の種類と数
・在宅の災害時要援護者と支援内容 など
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(6)ボランティアへの対応
避難所の運営は、避難者による自主運営が基本ですが、慣れない避難生活を続けて
いると、自分たちでできることは限られてきます。必要に応じてボランティアの支援
を受けましょう。
○ボランティアの受入
・災害時、避難所へは多数のボランティアが駆けつけることが予想されます。頼りすぎ
にならないように注意しながら、ボランティアの協力を仰ぎ、避難所を効率よく運営
しましょう。
・避難所運営の中で、マンパワーを必要とする部分については、町災害対策本部や社会
福祉協議会等に要請し、必要に応じてボランティアの支援を受けましょう。
・ボランティアが避難所に直接訪ねてくる場合もありますが、町災害対策本部等を紹介
し、ボランティア登録を行うように依頼しましょう。
○ボランティアの管理
・ボランティアに対して、どのような協力を求めるかについて、運営会議で検討しまし
ょう。
・ボランティアであることが一目で区別できるよう、名札や腕章などを付けるようにし
ましょう。
阪神・淡路大震災では、神戸市などの都市部と異なる
淡路島のコミュニティに、『助けられることは恥ずかしい』
といった住民意識があり、ボランティアなど外部からの
支援を活用しきれなかった面が指摘されました。
[神戸新聞記事『淡路島テーマに提案 復興支援会議3』]
- 52 -
(7)マスコミ取材への対応
発災後、避難所には、各種マスコミの取材が詰めかけることが予想されます。この
ようなことを避けるため避難所では、取材のルールを決めておきましょう。
○取材ルール
・避難所運営会議で取材を受けるかどうか、またどのような対応を取るかを決定しまし
ょう。
・取材者には必ず受付に立ち寄ることを決め、身分・取材目的を確認しましょう。
(→P71【様式12:取材受付用紙(例)】)また、取材者には、腕章などを付けても
らい周りから避難者以外の者とわかるようにしましょう。
・居住空間に取材者を入れる時には、居住者全員の了解を取るようにしましょう。
・取材は避難所の共用スペースのみに限定し、避難者の寝起きする居住空間への立入り
は原則禁止するなど、どこまで取材の対象範囲とするのか決めましょう。
(8)ペット対策
災害が発生し、多くの人と同様にペットも生活の場を失い、飼い主と一緒に避難所
で生活することになります。ルールを決め、人間とペットが上手に共存できるように
しましょう。
○ルール例
・ペットの飼育者名簿(→P72【様式13:ペット飼育者名簿(例)】)を作成し、飼
育者やペットの種類を把握しましょう。
・動物アレルギーの人がいる可能性を考えると、居住部分での飼育は原則、禁止にしま
しょう。
・飼育は、避難所敷地の原則、屋外にしましょう。
・飼育及び飼育場所の清掃などは、飼い主が責任を持って管理しましょう。
※盲導犬等はペットではないので、動物アレルギー等の避難者がいないことを確認でき
た場合には、居住スペースへの同伴を認めましょう。
(約5%の避難所では、)ペットを飼っている人と動物嫌いの人とのトラブルが深刻
化し、中には動物アレルギーの人とペットを飼っている人たちとの間にトラブルが発
生し、責任者の判断でペットを飼っている人たちを全員、避難生活45日目に避難所
から退去させることになったところが1例あった。
[『大地震の被災動物を救うために/兵庫県南部地震動物救援本部活動の記録』兵庫県南部地震動物救援本部]
- 53 -
(9)衛生対策
①トイレに関すること
ふだん何げなく利用している水洗トイレですが、ライフラインが寸断され、水が自
由に使用できない状況下では、トイレの確保は深刻な問題となります。
避難者の人数に応じたトイレを確保し、その衛生状態を保つことは、避難所運営に
おいて、最も重要な仕事です。
○使用可能状況を調べます
・トイレの排水管が使用不可能な場合には、トイレは使用禁止とし、張り紙などで避難
者に周知しましょう。
・トイレが使用不能な場合や避難者数に比べてトイレの数が少ない場合などは、仮設ト
イレの設置を町災害対策本部に要請しましょう。
○用水を確保します
・排水管が使用可能な場合には、汚物を流すための用水を確保してから、トイレを使用
しましょう。
・用水確保のために、プールや河川等の水を避難者の協力を得て確保しましょう。
・トイレ横に用水をバケツに汲んでおき、使った人は次の人のために汲んでおくという
ルールを徹底しましょう。
○それでもだめなら自分たちの手で
・下水道用のマンホールのふたを開けて、足場を作り、周囲を囲う。
・校庭や公園などの空き地に穴を掘り、ビニールシートや空き灯油缶やドラム缶を埋め
て便槽代わりにし、板などで囲いをする。
−仮設トイレの設置場所としては以下の点に注意しましょう−
・設置に当たっては、施設管理者と協議
・飲用井戸の周囲はダメ
・し尿を収集運搬するバキュームカーの出入り可能な場所
・避難者が利用しやすい場所
・可能な限り、照明用の電源を確保
・清潔を保つため、清掃用の水を確保
−阪神・淡路大震災ではこんなことがありました−
断水により水洗トイレが利用できなくなったため、避難
所などでは汚物の山ができた。プールの水を利用するな
どの工夫をこらしてトイレを確保したところもあった。
- 54 -
②ゴミに関すること
避難所では大勢の人が生活するために、大量のゴミが発生します。また、特に災害
発生直後の混乱した状況下では、ゴミの収集も滞るおそれがあります。
・避難所敷地内の屋外にゴミ集積場を設置しましょう。
・ゴミの分別収集を徹底し、ゴミ集積場は清潔にしましょう。
③風呂に関すること
大勢の避難者が生活する避難所において、避難者が平等にかつ快適に入浴の機会を
得られるようにする必要があります。
・近隣に利用可能な入浴施設があれば、調整をし、もらい湯を奨励しましょう。
・仮設風呂・シャワーが設置されたら、当番を決めて清掃を行いましょう。
④掃除に関すること
共同生活を行う避難所においては、避難者全員が、避難所内の清掃を心がける必要
があります。
・共有部分の掃除は、居住組を単位として当番制をつくり、交代で清掃を実施しましょ
う。
・居室部分の掃除は、毎日1回、清掃時間を設けて実施するよう呼びかけましょう。
⑤生活用水の確保
災害時に生活用水を確保することは、非常に重要な仕事です。生活用水の確保は、
労力を必要とする仕事なので、避難者全員で協力して行いましょう。
・避難所内で使用する水は用途に応じて、明確に区別しましょう。
・飲料・調理用、手洗い・洗顔・歯磨き・食器洗い用、風呂・洗濯用、トイレ用の水を
確保しましょう。
⑥衛生管理に関すること
ライフラインが停止し、物資が不足する中での避難所生活は、決して衛生的なもの
とはいえません。疾病の発生を予防し、快適な避難所環境を作るために、衛生管理に
は十分に注意を払う必要があります。
・手洗いを徹底しましょう。
・食器の衛生管理を徹底しましょう。
・避難所での集団生活においては、インフルエンザなどの感染症がまん延しやすくなる
ため、十分な予防策を講じましょう。
- 55 -
防災ひとくちメモ
【峡南地方連絡本部】
峡南地域県民センター所長を長とし、管内の被害状況の取りまとめや、地域ごとに必要な
災害応急対策等を実施します。
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