...

BALKAN NEWS

by user

on
Category: Documents
22

views

Report

Comments

Transcript

BALKAN NEWS
JAPAN INTERNATIONAL COOPERATION AGENCY
BALKAN NEWS
No. 12/ 2016 秋号
CONTENTS
地域の動き

地域の動き
P1
7月19日、EUはセルビアとチャプター23、24について

バルカン地域
P2
の協議を開始しました。これにより昨年3月にチャプ

セルビア

ボスニア・
セルビア:EU加盟に関するチャプター23・24の協議開始
ター23と24のスクリーニング完了後、セルビア政府が
待ち望んでいた協議が開始されたことになります。
今回のチャプター23、24の協議開始により、セルビア
P3,4
ヘルツェゴビナ P4、5
社会における司法、統治、腐敗撲滅、基本的自由や
組織犯罪の排除といった分野の改革を促進すること
が期待されています。
Photo: slobodnaevropa.org
バイデン米副大統領がベオグラードとプリシュティナを訪問
ジョゼフ・バイデン米副大統領が8月16日にベオグラード、

マケドニア
P6

モンテネグロ
P6

アルバニア
P7

コソボ
P7
その他のトピック
P8
17日にプリシュテイナを訪問しました。ホワイトハウスのプレ 
スリリースによると、バイデン米副大統領のベオグラードへ
の訪問は、セルビアと米国の強い二国間関係の確認、セ
ルビアへの開発支援が目的とされています。
ベオグラードでは、バイデン米副大統領は、ブチッチ首相と
ニコリッチ大統領と面会し、EU加盟を目指しているセルビア
にとって重要課題である①セルビアと米国の二国間関係、
②ベオグラードとプリシュテイナの間の交渉、③EU加盟に
向けて解決すべきクロアチアやモンテネグロなどの近隣諸
Photo: rts.rs
国との関係について協議しました。
17日、バイデン米副大統領はプリシュテイナでサチ大統領と会い、ベオグラードとプリシュテイナ間の関係正
常化について議論しました。その際、コソボとモンテネグロの境界線の確定問題やコソボにあるセルビア系自
治区の成立について集中的な討議が行われました。
For more information, please contact:
[email protected]
or visit:
www.jica.go.jp/balkan/office/
For previous issues:
セルビア新内閣発足
http://www.jica.go.jp/balkan/office/
others/newsletter/index.html
4月24日に実施された国会選挙の結果を受けて行われていた組閣作業が完了し、8月9日に新内閣の大
臣19名が発表されました。ブチッチ首相は、8名の新大臣を任命し、11名を留任させました。EU加盟交渉
との関係で重要なセクターとなる司法、教育、行政の各分野に関しては、新たな大臣が任命されました。更
に、経済省、農業省や文化省でも新大臣が任命されました。
ブチッチ首相は、前の内閣は国の安定化に注力したものであり、今回の新内閣は進捗や国の繁栄を目指し
ていくものであると述べています。
www.youtube.com/user/JICABalkan
1
バルカン地域
北岡理事長がセルビアとアルバニアを訪問
10月5日から7日にかけて、北岡理事長は、2006年のバルカン事
務所設立以降、理事長としては初めてベオグラードとティラナを訪
問しました。
セルビアを訪問中、北岡理事長はトミスラブ・ニコリッチセルビア大統
領やアレクサンダル・ブチッチ首相と面会し、バルカン地域の現状、
セルビアの実施中・実施予定のJICA事業などについて協議しまし
た。
また、JICA理事長一行は、オブレノヴァツ市も訪れ、セルビア初の円
借款事業が実施されているニコラ・テスラ発電所を視察しました。
翌日、北岡理事長は、移民・難民問題に関する協議を行うととも
に、現地も視察しました。ベオグラード郊外にある難民受入施設を
訪問後、国際機関や学術研究所の代表者と意見交換を行いまし
北岡理事長とブチッチセルビア首相
た。
10月7日、ティラナにおいて、北岡理事長は、エデイ・ラマ首相やデ
イトミル・ブシャテイ外務大臣とバルカンの地域情勢やアルバニアの
JICA事業に関して協議しました。
アルバニアを訪問中、JICA理事長一行は、ティラナ市で建設が進
んでいる下水処理場(円借款事業)の現場を視察し、現場にてデル
ビシャイ交通・インフラ大臣と意見交換を行いました。更に、JICAが
過去二回の無償資金協力事業を実施し、医療機材の質の向上に
貢献したティラナ市内のマザーテレサ小児科病院を訪問し、事業の
成果を確認しました。
ニコラ・テスラ発電所の視察
テイラナ市下水処理場の現場の視察
ベオグラード郊外の難民受け入れ施設への訪問
2
セルビアでの
セルビアでのJICA
JICA事業
JICA事業
SATREPS
SATREPS「持続可能な資源開発実現のための空間環境解析と高度金属回収の融合システム研究プロジェクト」
「持続可能な資源開発実現のための空間環境解析と高度金属回収の融合システム研究プロジェクト」
セルビアを含むバルカン諸国はEU加盟を目指していますが、加盟するためにはEU環境基準を満たす必要があります。そのため、JICAでは
「環境保全」をバルカン地域における支援の重点分野の一つとして、EU環境基準適合のための協力を行っています。
セルビアの首都ベオグラードから車で3時間程のボールという町は、鉱山資源の豊富な地区ですが、鉱山からの廃水による環境汚染が問題と
なっています。しかしセルビアでは鉱山廃水の排出基準が緩く、また設備投資にも多額の資金が必要なため、必要な環境配慮措置が取られ
ていません。そこでこのプロジェクトでは、鉱山廃水から有価物である金属を回収し、収入を得られるようにすることで、環境配慮措置を行うイ
ンセンティブを創出し、持続可能な鉱業システムを開発するための研究が行われています。
この研究は秋田大学、ボール冶金研究所(MMI-Bor)、ベオグラード大学工学部ボール校(TF-Bor)が共同で進めており、JICAはボール冶金
研究所に研究機材も提供しています。また2016年秋には秋田大学のゼミ生がボールを訪れ、MMI-Borによる鉱山見学ツアーに参加した後、
TF-Borの修士学生と共に鉱山廃水を含む川の水質調査に取り組みました。
鉱山廃水を含む川の水質調査
鉱山へ向かう秋田大学生
JAPAN + V4 ワークショップ
2016年10月11日、ベオグラードにおいてJapan+V4ワークショップが開催されました。このセミナーの目的は、セルビアとヴィシェグラード4カ
国(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア)の間で、EU指令適合のためのエネルギー管理制度(EMS)確立に関する経験や知識を共有
することでした。在セルビア日本大使館の大和書記官とJICA産業開発・公共政策部の林参事役が冒頭に挨拶し、セルビアにおけるEMSの
実施促進に寄与するセミナーへの期待を述べました。
セミナーを主催したセルビア鉱業エネルギー省(MOME)は、JICAの技術プロジェクト「エネルギー消費セクターにおけるエネルギー管理制度
拡大支援プロジェクト」の主要なカウンターパートです。V4各国の代表者より、それぞれの国のEMSの特徴と、EU加盟にあたってこれまでに直
面した問題について説明があった後、参加者(総勢35名)との有益な議論がなされました。
セミナーを通してMOMEとV4各国との良い関係が構築され、今後も両者の協力が続くことが期待されます。
3
セルビアでの
セルビアでのJICA
JICA事業
JICA事業
ベオグラード大学工学部 トレーニングセンター オープニング式典
2016年10月11日の午後、ベオグラード大学工学部のトレーニング
センター(TC)のオープニング式典が開催されました。JICAの技術
プロジェクト「エネルギー消費セクターにおけるエネルギー管理制度
拡大支援プロジェクト」により、エネルギー管理(EM)とエネルギー
監査(EA)のトレーニングに使用される機材が、鉱業エネルギー省
に引き渡されました。機材は4つの主要なパート(ボイラー、コンプ
レッサー、スチームトラップ、エアーポンプ)から構成されており、セ
ルビアにおけるEMとEAのトレーニング機関であるベオグラード大学
工学部に設置されました。
式典では、ミトロビッチ工学部長(PhD)、アンテイッチ鉱業エネル
ギー大臣、JICA産業開発・公共政策部の林宏之参事役、エネル
ギー管理制度技プロのコンサルタントの川野泰氏よりスピーチがあ
りました。
トレーニングセンターのオーペニング式典
スピーチでは、TCの設立はセルビアのエネルギー管理制度の確立に
大きく貢献すると喜びが延べられ、また、喫緊の課題であるエネル
ギー使用の効率化は財政支出の節約にも繋がる旨発言がありました。
さらに、セルビア側からは、日本国民とJICAからの継続的な支援に対する深い感謝が述べられ、今後も協力が続くことが望まれています。
ボスニア・ヘルツェゴビナでの
ボスニア・ヘルツェゴビナでのJICA
JICA事業
JICA事業
ウグレビック火力発電所排煙脱硫装置建設プロジェクトの契約締結
2009年10月にウグレビック火力発電所の排煙脱硫装置を建
設するためのプロジェクトの借款契約が締結されました
が、2016年7月11日には、ウグレビック発電所と三菱日立パ
ワーシステムズとの間でその建設契約が締結されました。
このプロジェクトは、ウグレビック発電所の排煙に含まれ
る二酸化硫黄などのレベルをEUが定める環境基準まで下げ
ることを目的としています。とりわけ、ウグレビック発電
所ではヨーロッパ全域でも最も高い硫黄含有率をもつ石炭
を使用しており、排煙脱硫装置の設置によって、大幅な二
酸化硫黄成分の除去が達成される見込みです。それと同時
に、ウグレビックに居住する住民のみならず、周辺地域の
多数の住民の健康改善にも貢献することが期待されていま
す。
ウグレビック発電所
4
ボスニア・ヘルツェゴビナでの
ボスニア・ヘルツェゴビナでのJICA
JICA事業
JICA事業
初等学校建設計画フォローアップ協力
2016年2月24日、ボスニア・ヘルツェゴビナ小学校建設フォローアップ協力に関する合意文書の署名式が、サラエボの民生省にて、スルプス
カ共和国教育・文化省、ボスニア・ヘルツェゴビナ連邦のウナサナ、ポサヴィナ、トゥズラ、ヘルツェゴビナネレトヴァの各カントンの教育・科学・
文化・スポーツ省の代表者等の出席を得て実施されました。
2000年代初頭、日本政府は初等学校建設計画(無償資金協力)によって、ボスニア・ヘルツェゴビナに対して、11の小学校の新築・増築を
行いました。その後、建設から10年以上が経過し、いくつかの学校において、外壁タイルの剥離、水漏れ、雤漏り等の損傷・务化が確認される
状況となりました。このため、JICAは2015年にフォローアップ調査団を派遣し、各学校の現況について詳細調査を実施し、その結果、早期に
対応が必要な9校に対してフォローアップ協力を実施することを決定しました。今回の合意文書の署名を受け、2016年6月から8月の間の学
校の長期休暇中に改修工事が行われ、この工事は10月中に完了する予定です。
原爆展 in ボスニア・ヘルツェゴビナ スレブレニッツァ市
2016年8月から9月にかけて、ボスニア・ヘルツェゴビナ地方開発プロジェクトに携わる三好専門家と、BiH帰国研修員同窓会の共催で、原爆
展が開催されました。プロジェクトが実施されているスレブレニッツァ市、ブラトナッツ市、ロガティッツァ市でそれぞれ約5日間ずつ開催され、広
島平和文化センターが貸出している広島・長崎の原爆被害に関するポスターとDVDの展示・上映に加え、折り紙ワークショップと核兵器廃絶
のための署名活動等が行われました。
9月5日、スレブレニッツァ市での開催初日には、中央大学の学生約15名とスレブレニッツァ市の小中学生約20名が会場に集まりました。
DVDの上映後、折り紙ワークショップにて、日本の学生が、スレブレニッツァ市の生徒に鶴の折り方を教えました。出来上がった沢山の鶴は千
羽鶴として、核兵器廃絶の署名と共に広島市に送られます。
BiHは、1992年から1995年に犠牲者20万人とも言われる悲惨な紛争を経験しています。2016年はBiHと日本の国交20周年であり、節目
の年に両国の若者が一緒に平和について考える良い機会となりました。
折り紙ワークショップの様子
展示されているポスターを真剣に読んでいるボスニアの学生
5
マケドニアでの
マケドニアでのJICA
JICA事業
JICA事業
マケドニア洪水 日本からの緊急支援
マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(以下マケドニア)の首
都スコピエ周辺で8月に発生した洪水被害に対して、
JICAは緊急援助物資を供与しました。JICAは発電機、
排水ポンプ、削岩機など早期復旧に必要な資機材を現
地で調達し、同国危機管理センター(CMC)本部におい
て9月7日に引渡式を行いました。供与機材の選定は、
CMCと連携の上、各自治体からの要望を細かく聴取して
決定したため、自治体が最も必要とする資機材を供与す
ることができました。
引渡式において、CMC長官は、今回の緊急援助物資は
被災地における復旧作業を促進するものと高く評価し、
日本政府及びJICAの支援に対する深い感謝の意を表
明されました。また、アラチノボ市長からは、同物資の供
与を受ける三自治体を代表し、日本の支援に対する感
謝の辞が述べられ、アラチノボ市では、未だに給水設備
が復旧していないなど、今回の洪水被害の大きさが説明
緊急支援の引渡し
されました。 供与した援助物資は、直ちにアラチノボ市、
ガジ・ババ市、テトボ市に配布され、被災者支援や復旧
作業に活用されました。
モンテネグロでの
モンテネグロでのJICA
JICA事業
JICA事業
モンテネグロ国中核病院医療機材整備計画フォローアップ協力
モンテネグロでは、施設や機材が老朽化し、医療サービス
の質の低下が問題になっており、JICAは2006年に国内唯
一の第三次医療施設であるクリニカルセンターを含む3ヵ
所の医療施設を対象に、X線診断装置などの医療機材を
供与しました。これにより、診療可能な項目数が増え、そ
の結果患者数や手術件数・診断件数が増加し、医療サー
ビスの質の向上に貢献しました。
これら供与された医療機材はその後も十分活用されてき
ましたが、一部の医療機材は修理ができず使用できない
状況となっていました。そこでモンテネグロ保健省から要請
を受け、フォローアップ協力として内視鏡等の医療機材の
更新、交換部品の供与、技師の派遣を行いました。
医療機材の引渡し
6
アルバニアでの
アルバニアでのJICA
JICA事業
JICA事業
「マイクロファイナンス・セクター基盤強化支援情報収集・確認調査」によるフィリピン視察
アルバニアの金融包摂セクターに携わる関係者は7月にJICA
が実施する情報収集・確認調査の一環として、金融包摂の先
進国であるフィリピンを訪問しました。同国のマイクロファイナンス
機関、協同組合、銀行、監督官庁等の視察を通じて、同市場
発展の経緯、金融教育の現状、女性や若年層向け金融商品
の種類、ブランチレスバンキング、関連法制度、政府による監督
体制等について学びました。視察後は、得られた知見をもとに
ワークショップが開催され、それぞれの所属組織の立場から、ア
ルバニアにおける金融包摂の促進へ向けたアクションプランが
作成されました。
10月にはモバイルバンキングの先進国であるケニアを訪問し、
ICTを活用した金融サービスの仕組み等について学ぶ予定で
す。
フィリピンにおけるフィールド調査
コソボでの
コソボでのJICA
JICA事業
JICA事業
コソボ国営放送局(
コソボ国営放送局(RTK
RTK)能力向上プロジェクト
RTK)能力向上プロジェクト
プロジェクト開始から約1年、RTKでは、アルバニア系とセルビア
系スタッフで構成される2つのワーキンググループが中心となり、
同局のテレビ放送機材の維持管理と番組制作の2つの部門に
おける能力強化に向けた取組を展開しています。
番組制作部門では、地元の郷土料理をアルバニア系とセルビア
系両民族が一緒に披露する、「うまみ(仮)」という新番組の制作
に取組んでいます。その第一弾として、日本人専門家とRTK番
組制作クルーは、首都プリシュティナから車で2時間ほど行った
ところにあるコソボ東部のカメニッツァという地域を連日訪れ、同
地域で展開されるきのこ栽培の様子や、地元の農産物を使った
郷土料理を紹介する番組の制作に取組んでいます。
RTK番組制作グループは2016年4月に本邦研修で日本を訪
れましたが、その際NHKで学んだ公共放送局の番組制作のあり
方も参考に、日本人専門家と番組構成について熱い意見交換
を重ねながら作業に取組んでいます。その成果が間もなく、コソ
アルバニア系養蜂農家を取材するRTK番組制作チーム
ボ国内の視聴者やRTK放送を受信する海外のコソボ人家庭に
も披露される日も遠くありません。
7
その他のトピック
ツーリズム
ツーリズムEXPO
EXPOジャパンへの参加を通じた観光振興(アルバニア、モンテネグロ、セルビア)
EXPOジャパンへの参加を通じた観光振興(アルバニア、モンテネグロ、セルビア)
現在JICAは、日本政府とアルバニア、モンテネグロ、セルビア各
国政府との技術協定のもと、広域観光アドバイザーがバルカン地
域に派遣されています。
今回その活動の一環として、日本人観光客や日本観光市場に
対してバルカンの魅力をアピールするために、9月16日から25日
にかけて各国政府の観光局長や局員が日本で行われたツーリズ
ムEXPOジャパンに招待されました。
また京都、広島といった主要観光地への視察を通じて、日本式
観光地運営方法、おもてなし、プロモーションの技術等について
理解を深めて、主要な観光関連組織、またツアー会社やメディア
西陣織会館における着物試着体験
等との関係を構築しました。
今回のツーリズムEXPOジャパンには18万人以上の来客があり、
共同参加は、成功裡に終了しました。バルカン地域一丸となった
共同参加は、各国にとって日本の観光市場にポテンシャルを見
出すことができただけでなく、日本市場に対するアプローチ方法も
身につけることができました。
今後の活動として、各国の観光地としての魅力を日本市場により
広く伝えるため、日本からメディア関係者を招待し、トルコ航空の
協力を得たツアーを11月に実施予定です。
ツーリズムEXPOジャパンにおけるバルカ
観光庁瓦林審議官への表敬訪問
ツーリズムEXPOジャパンにおけるバルカン地域観光振興共同体ブース
8
Fly UP