...

PDFファイル/893KB

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

PDFファイル/893KB
■水の濁りの監視
対策の概要
工事区域から発生する土砂により河川の水が濁るので,濁水処理プラントや工事面積の広い場所の
近くに沈砂池注 1)を設置して,濁りを落としてから河川へ流すようにしています。
【濁水処理プラント】土砂により濁った水を機械的に処理し
河川に放流します。
【沈砂池】土砂により濁った水を一旦,沈砂池に溜めて,濁
りを落としてから河川へ流します
このほか,沈砂池が設置できない狭い場所でも,濁水の発生源である裸地に木材チップを散布した
り,簡易な沈砂池を設置したりして,濁水の発生を抑制しています。
木材チップの散布
簡易的な沈砂池
工事によって発生する伐採木を破砕機で砕いて木材チップに加工し,雨水と裸地が接触しないようにしています。また、水路
の流末には,簡易的な沈砂池を設置し濁水処理をしています。写真に示す沈砂池では,木の根株を入れることによって,ろ過
による濁水の低減を図るとともに,水生生物の生息環境を創出しています。
注 1)沈砂池とは雨が降ったときに工事区域から流れ出す濁水を一時的に貯める池のことです。
■沈砂池の排出水・流出水の水質
調査内容
沈砂池の水質として,排出水,流出水の濁り(SS 注 2),濁度)を調べています。
排出水とは,沈砂池に貯留し濁りを落とした後に排出している水で,流出水とは,降雨が多いとき
に沈砂池からあふれ出る水です。
これらの水は,採水して濁度計で測定しています。
注 2)SS とは Suspended Solid(懸濁物質)の略称で,水中に浮遊している物質の量のことをいいます。一定量の水
をろ紙でこし,乾燥してその重量を測ります。数値(mg/L)が大きい程,その水の濁りが多いことを示します。
調査結果
・西の塚沈砂池では,平成 26 年度に流出水は発生しませんでした。参考に西の塚沈砂池の貯留水
の調査結果を下図に示しています。貯留水は,排出水の基準 50mg/L を上回る時が多くみられたの
で,今後は凝集剤を添加し,濁質を低減することにしています。
mg/L
西の塚
A沈砂池
西の塚
B沈砂池
500
450
400
SS濃度
350
300
250
200
150
100
50
0
11/1 11/8 11/15 11/22 11/29 12/6 12/13 12/20 12/27 1/3
1/10 1/17 1/24 1/31
2/7
2/14 2/21 2/28
備考)1.SS は,濁度の測定結果に SS 濁度比を適用して求めたものです。
2.グラフは,貯留水の結果を示しています。
平成 26 年度の沈砂池の監視結果(西の塚沈砂池)
3/7
3/14
■ダム下流河川の水質
調査内容
ダム下流河川の水質として,河川の濁りを連続測定しています。
調査結果
・工事区域下流(M-2,M-3)の濁り(SS)は,降雨時に工事区域上流(M-1)よりも高くなる時もあ
りました。今後もブルーシートの展張,仮設沈砂池の設置や早期緑化の実施など,濁りの低減に努
2.0
水位
1.6
1.2
0.8
降水量
0.4
11/25
12/9
12/23
1/6
1/20
2/3
11/25
12/9
12/23
1/6
1/20
2/3
3/31
11/11
11/11
3/3
10/28
10/28
3/17
10/14
10/14
2/17
9/30
9/30
9/2
9/16
9/2
8/19
9/16
8/5
7/22
7/22
8/19
7/8
7/8
8/5
6/24
6/10
6/10
6/24
5/27
5/27
5/13
4/29
4/15
0.0
300
M-1
M-2
250
M-3
SS(mg/L)
200
150
100
50
平成 26 年度の降水量,水位および河川水の SS 注 3)
注 3)水位は,犬丸渡橋における基準面からの高さで表した数値です。
SS は,濁度の連続測定結果に SS 濁度比を適用して求めたものです。
監視期間は平成 26 年 4 月 1 日∼平成 27 年 3 月 31 日です。
調査地点
3/31
3/17
3/3
2/17
5/13
4/29
4/15
4/1
0
水位(m)
200
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
4/1
降水量(mm)
めていきます。
■水生生物(魚類,底生動物注 4))
調査内容
目視観察や網を用いた採取によって魚類と底生動物の種数,個体数,体長等を調べています
目視観察や網を用いた採取によって魚類と底生動物の種数,個体数,体長等を調べています。
注 4)底生動物とは,川底の石表面や石裏,砂中にすむ動物のことをいいます。ヤゴ,カゲロウ・トビケラの幼虫,
石表面や石裏,砂中にすむ動物のことをいいます。ヤゴ,カゲロウ・トビケラの幼虫,
カワニナなどが底生動物の代表的な種類です。
調査結果
・工事区域上流(M-1)では 8 種,工事区域下流(
(M-2,M-3)では 11∼15 種の魚類が確認されました。
上流,下流ともにこれまでと比べて変化はありませんでした。
・平成 26 年生まれの稚魚が確認され,これまでと同じように繁殖していました。
・底生動物についても,これまでと同じように
これまでと同じように,いろいろな時期に生まれた複数の大きさのものが同
複数の大きさのものが同
時に生息していました。
魚 類
アカザ
ヤマトシマドジョウ
ヒゲナガカワトビケラ
キイロカワカゲロウ
底生動物
※格子の 1 目盛は
目盛 5mm
■コキクガシラコウモリ保全のためのねぐらの整備
対策の概要
ダム堤体や貯水池ができることにより,コキクガシラコウ
モリの生息場所(現生息横坑)が消失するため,保全措置と
して平成 20 年 7 月に代替となる生息場所(代替横坑)をつく
りました。代替横坑をつくる前には,現生息横坑の温度や湿
度を調べ,その環境を再現するような形状に近づけました。
調査内容
代替横坑の入口
代替横坑をコキクガシラコウモリが利用しているか,代替
横坑が現生息横坑の温度,湿度を再現しているかを確かめています。
また,現生息横坑でコキクガシラコウモリの利用に変化がないかを確かめています。
調査結果
・代替横坑では,平成 27 年 2 月にコキクガシラコウモリ 1 個体の利用が初めて確認され,その後 3
月にも 1 個体の利用がみられました。
・代替横坑の温度や湿度は,現生息横坑とほぼ同じで環境を再現しています。
・なお,現生息横坑では,例年と同様にコキクガシラコウモリが確認されました。
コウモリ個体数(個体)
350
300
250
200
150
100
50
現生息横坑におけるコキクガシラコウモリの個体数の変化
H27.2
H26.8
H26.2
H25.8
H25.2
H24.8
H24.2
H23.8
H23.2
H22.8
H22.2
H21.8
H21.2
H20.8
H20.2
H19.8
H19.2
H18.8
H18.2
H17.8
H17.2
H16.8
H16.2
H15.8
H15.2
H14.8
0
■ホンドキツネの営巣・繁殖等への配慮
対策の概要
伊良原地域では,ホンドキツネが工事区域やその近くで繁殖している可能性があるので,ホンドキ
ツネの繁殖時期,仔育て時期である 1∼6 月に,巣穴とフィールドサイン注 6)の分布を調べています。
ホンドキツネへの対策として,調査結果に応じた工事工程の見直しなどの配慮を行っています。
注 6)フィールドサインとは,フンや足跡など動物の生息痕跡のことをいいます。
調査内容
工事区域内にホンドキツネの巣穴がないか,フィールドサインの分布状況に変化がないかを確かめ
ています。
調査結果
・工事区域やその近くでホンドキツネの巣穴はみつかりません
でした。
・1∼3 月の調査で,フィールドサインが多かった地域では,4
∼6 月の調査を重点的に行うとともに,工事の騒音を抑制する,
工事関係者への教育・周知を行うなどの配慮を実施しました。
・その結果,フィールドサインは例年と同じ地域でみられ,繁
殖時期の利用範囲に変化はありませんでした。
確認したホンドキツネ
(平成 24 年 7 月 3 日撮影)
■アオバズクの営巣地の保全
対策の概要
広葉樹の樹洞に巣をつくるアオバズクは,営巣している広
葉樹が伐採されると,繁殖が困難になることが予想されます。
そのため,平成 23 年度末までに営巣林の中に計 5 個の巣箱
を設置し,営巣林を保全するとともに,巣箱の維持管理を行
っています。
調査内容
アオバズクが,これまでの営巣地で繁殖しているか,ある
設置している巣箱
いは巣箱を利用しているかを確かめています。
調査結果
・アオバズクは,これまでの営巣地で平成 26 年度も繁殖して
いました。
・今後は,ダムの貯水後にも残る営巣地の保全も合わせて,
アオバズクの繁殖に対して保全を行っていきます。
確認したアオバズク
(平成 26 年 7 月撮影)
■サシバの営巣・繁殖等への配慮
対策の概要
もうきん
伊良原地域では,猛禽類のサシバが営巣・繁殖しています。サシバへの対策として,営巣地の位置
や利用範囲の調査を行い,調査結果に応じて工事工程の見直しなどの配慮を行っています。
調査内容
工事区域と営巣地が重なっていないか,分布,繁殖状況に変化がないかを確かめています。
調査結果
・平成 26 年度の工事区域の近くには 4 つがい注 7)が営巣して
いました。
・これらのつがいに対して,繁殖期間中の 4∼7 月に,近くで
立木伐採を行わない,騒音を抑制するなどの配慮を実施し
ました。
・その結果,サシバの分布状況に変化はなく,平成 26 年度も
幼鳥を確認し,3 つがいの繁殖が成功しました。
注 7)つがいとは,動物の雄と雌の一組みのことをいいます。
確認したサシバ
(平成 26 年 5 月撮影)
Fly UP