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計画の紹介と現状 - アルマ望遠鏡 国立天文台

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計画の紹介と現状 - アルマ望遠鏡 国立天文台
南極天文台
計画の紹介・現状・今後
中井直正、他
(1)南極内陸部の天文観測環境
(2)南極10mサブミリテラヘルツ望遠鏡
(3)輸送、基地・望遠鏡建設
(4)南極30m級サブミリテラヘルツ望遠鏡計画
1
南極内陸部の高原地帯
新ドームふじ
(越冬)
昭和基地
~1000 km
〇
リッジA
(4050m)
米国 〇
(越冬)
米国
(夏)
ドームふじ基地
60 km
(夏)
中国
(越冬) ●
ボストーク
(3488m)
ロシア
(越冬)
仏伊
新ドームふじ基地
(新)ドームふじ基地
標高
3800 m
気温
最高 -20 ℃
平均 -54 ℃
最低 -80 ℃
水蒸気量が極めて少ない
緯度=S77度
観測可能: 赤経 < +3°at EL>10°
2
南極大陸内陸部
・新ドームふじ
・リッジA
頂上より少し内陸側
水蒸気量: 1~2割少
ドームの頂上
・ドームふじ
・ドームA
風
断面図
南極海
「ドームふじ」
-1~2割
水蒸気量
「新ドームふじ」 ~ 「ドームA」
-1~2割
「リッジA」
3
南極リッジ Aでの大気中の水蒸気量
略
4
大気透過率 (冬期50% (25%)) (計算値)
サブミリ波
世界最高
テラヘルツ波
世界で唯一可能
300μm
150μm
新ドームふじ
200K, 0.10mm
100μm
冬期25%
大気透過率
新ドーム ふじ
冬期50%
200K, 0.14mm
アタカマ5050m(チリ)
冬期50%
260K, 0.60mm
マウナ・ケア
冬期50%
270K, 1.5mm
60μm
860 GHz = 350 μm @南極点
光学的厚み
大気が安定
南極点
(Peterson etc 2003 PASP 115, 383)
ALMAサイト
大気の安定度: 抜群に良い
(常に高気圧、夜は4ヶ月継続、雪面)
→特に連続波観測に有効
(ミリ波でも)
干渉計
マウナケア
2週間
6
40cm赤外線望遠鏡
越冬
自動観測
シーイング
モニター
(参考)光学シーイング
東北大
(沖田、市川他)
自由大気が雪面近くにある!!
波長0.472μmで、0.2”以下を記録
地上観測で最良の値
11m
可視光で0.2”以下
• 2.4μmで回折限界(0.24”)の観測が可能
• 夏期には可視光での高解像度太陽観測が可能
• 干渉計への朗報
晴天率
(W. Saunders, et al. 2009 PASP 121, 976)
夜間の雲量(年平均)ー衛星観測
ドームふじ
ドームC
ドームふじ
快晴=68% (1994-95、年間)
(極地研実測⇒) 晴天=8~9割?
8
風は弱い
ドームふじ
(→望遠鏡の指向性)
(最大15m/s, 1回/年)
チリ: 5000m、平均6.1m
まとめ:(新)ドームふじ基地
• 大気透過率: 地上では圧倒的に良い
サブミリ波: 地上最高
テラヘルツ波:地上で唯一(事実上)
• 大気安定度: 抜群 ⇒ 連続波、干渉計
• 晴天率: 7割(快晴)~9割(晴)
• 風速:
弱い
10
南極10mテラヘルツ望遠鏡
10m
光学系
リッチ・クレチアン
双曲面
ヘテロダイン受信機→
(線スペクトル観測)
双曲面
鏡面精度
~20μm
←電波カメラ
(連続波観測)
自由曲面
@新ドームふじ基地
~2m
雪面
視野~1°
↑
広域サーベイ
角分解能
0.4 THz
0.85 THz
1.5 THz
θ = 1.2 λ D
18.6”
8.7”
5.0”
全体光学系
12
超伝導電波カメラ(MKID)
側面図
(鏡でなくレンズを使用し、コンパクトな光学系の可能性も)
主鏡
電波カメラ
第3鏡
視野
410GHz: 700 pixels/segment , 850GHz: 3000 pixels/seg, 1.5THz: 9300 pixels/seg
度相当の焦点面
850
GHz
1
850
GHz
850
GHz
410
GHz
850
GHz
850
GHz
850
GHz
850
GHz
410
GHz
410
GHz
1.3
THz
850
GHz
1.5
THz
850
GHz
850
GHz
350
GHz
410
GHz
1.1
THz
1.5
THz
850
GHz
660
GHz
13
3000×7=21000素子
3バンド(候補)
7バンド
ヘテロダイン受信機系
平面図(上から見た図)
(220GHz)
ホログラフィ
VLBI
350GHz
450GHz
650GHz
850GHz
1.1~1.5 THz
第3鏡
(斜鏡)
14
輸 送 (重量物:海上)
南アフリカ
オーストラリア
ケープタウン
フリーマントル
観測船しらせ (積載量 1100t)
デンマークの砕氷貨物船
(積載量 8000t)
昭和基地
マラジョージナヤ基地
(ロシア)
20トン
5トン
昭和基地付近は氷が厚い
「しらせ」が着岸できないこともある
輸送力が落ちる可能性あり
20トン港
ベルギー基地
2週間
(1) ベルギー基地用の港
(2) マラジョージナヤ基地(ロシア)
(氷が薄い)
デンマーク貨物船をチャータ
ノルウェー、ベルギー、日本で負担
ドームふじ基地
15
輸 送 (重量物:内陸)
①ケースボーラーPB300
(ドイツ製)
車 重: 8.4トン
牽引力: 40トン
② CATトラクター
(米国の農場で使用している
ものを豪州が耐寒仕様に改造)
車 重: 22トン
牽引力: 60トン
建設期の内陸輸送橇編成
想定 ① PBの牽引重量=40トン(橇4t/台)を含む)
② CATトラクターの牽引重量=60トン( 同上 )
25t
8t
橇含む重量
7t
①
PB300
実質重量
②
PB300
タンクコンテナ
21kl(17t)燃料
タンクコンテナ
25t
③
④
CATトラクター
CATトラクター
タンクコンテナ
居住モジュール
0t
機械モジュール
0t
25t
貨物
物資3t
貨物
10t
タンクコンテナ
貨物
20t
20t
物資6t
20t
コンテナ
コンテナ
コンテナ
物資13.5t
⑤
⑥
CATトラクター
CATトラクター
コンテナ
コンテナ
コンテナ
コンテナ
コンテナ
コンテナ
新ドームふじ基地
まで~2週間
輸 送 (人、軽量精密部品)
イリューシン IL-16(ロシア)
ドームふじ
バスラーターボ(~3トン)
建物・望遠鏡の建設(1)
高床式
ハリー基地(イギリス)
~>2m
風
雪面
雪の吹き溜まりを防ぐ
19
ノイマイヤ基地(ドイツ)
建物・望遠鏡の建設(2)
雪上設置
ドームC: コンコルデイア基地(フランス、イタリア)
(建設1999-2004)
ジャッキアップシステム
(使ったことがない)
3階建×2
250トン×2
20
South Pole Telescope
(南極点:アムンゼン・スコット基地)
木の板
21
日本の場合
22
新ドームふじ基地の建物(計画)
(ジャパンドームハウス株:小松)
居住(寝室)棟
観測研究棟
ドームハウス(高密度発泡スチロール)
断熱材 = 構造材(建築確認済)
電力
100kVA
望遠鏡用
50kVA(アンテナ30kVA; 受信機 20kVA)
23
アンテナ内
メテロロジー
傾斜計
~>2m
微調機構
雪面
圧雪地盤
雪の密度が高くなるだけではなく、
雪の性質が変わり(くっつく)
強度が100倍に
24
建物・望遠鏡の建設(3)
耐寒部材等
(新)ドームふじ基地の気温: -20℃~-80℃
10mアンテナ基礎
10mアンテナ構造材
低温用鋼材(南極用)
日本鋼管 SL2N255 (-80℃)
STPL450 (-90℃)
他に
ステンレス
CFRP(物による)
南極油
南極ギヤー油
南極グリース
燃料
ジェット燃料
(参考)低温用鋼材を用いない場合
・SPT
暖かい空気を望遠鏡全体に
循環させる
→温度むら?→指向性劣化
・グリーンランド望遠鏡
アルマのアンテナ試作機(チリ用)
-55℃以下では運用停止
トヨタ・ハイラックス(耐寒用改造)
25
望遠鏡の建設(4)
霜対策
上空大気の温度
<
アンテナ
鏡面温度
常に快晴(晴天)
海岸から暖かい
空気が流れてくる時
アンテナ主鏡面
放射冷却
(反射率<100%)
アンテナ主鏡面に接する空気が
露天温度以下
アンテナ主鏡面に霜が着く
対策
主鏡を周囲の大気温度+2~5度に暖める
必要電力~2-4kW (10m)
電波カメラ室の余熱を供給(~4-7kW)26
南極10m望遠鏡の建設計画
南極観測
国立極地研究所
2008~2013
2014
2015
2016
2017
8期南極観測
天文推進
2018
2019
2020
2021
第9期南極観測計画
輸送力増強
2022
2023
10期南極観測
基地建設
越冬
筑波大学
東北大学
テラヘルツ望遠鏡 赤外線望遠鏡
本計画
10m
30cmテラヘルツ
望遠鏡(2006~)
製 作
1.2mテラヘルツ
望遠鏡(2011~)
国内
仮組
調整
試験
評価
輸送
輸送
現地組立
調整試験
評価
輸送
輸送
現地組立
調整試験
1m
40cm赤外線
望遠鏡(2007~)
製 作
国内
仮組
調整
試験
観測開始
リモート観測(日本)
保守運用(現地)
(大型科研費)
世界の動向
■ドームA
5mテラヘルツ望遠鏡、2.5m赤外線望遠鏡
50cm可視光望遠鏡(2008~)
■リッジA
60cmテラヘルツ電波望遠鏡(2012~)
中国 完成予定
テラヘルツ望遠鏡
27
米国 完成予定?
新ドームふじ基地の建設:9期では困難?
代替基地=ドームC
発電機 140kW×3
飛行機
イタリア基地
雪上車
フランス基地
多数の
小型望遠鏡
日本の国立極地研究所長と
フランスの極地研究所長が交渉中
28
ホバート(オーストラリア)
南極10m望遠鏡
主観測周波数=サブミリ波~テラヘルツ波
(科学目標→後ページ)
・ALMAサイト望遠鏡群
主観測周波数=ミリ波(~サブミリ波)
・IRAM 30mΦ
主観測周波数=ミリ波
・LMT(Large Millimeter Telescope)@4600m
30mΦ(→50mΦ)
主観測周波数=ミリ波
・CCAT 25mΦ
ALMAサイトに変更@5000m
主観測周波数=ミリ波(~サブミリ波)
29
次期大型計画
南極30m級サブミリテラヘルツ望遠鏡計画
CCAT 25m
南極で高感度30m級 @新ドームふじ基地
周波数=(100),200GHz~1.3THz (1.5THz)
ヘテロダイン受信機、広視野電波カメラ
30
科学目標・意義(1)
ダストで隠されている?
→ 電波観測(テラヘルツ波、サブミリ波、ミリ波)
(Takeuchi 2005)
観測される銀河の数
Z=0.25
Z=2.56
赤外線で見え
る銀河の数
光で見える銀河
の数
z
SCUBA
350 GHz = 850 μm
θ = 14”
Confusion limits
〇
〇
〇
10m
南極10mサブミリ・テラヘルツ望遠鏡
+超伝導電波カメラ
現在受かっているもの
L~1013 Lo
1秒で検出!
@Z=0.018
積分時間=1h
大気透過率
冬季50% (3か月)
積分時間=10h
Confusion
limit
現在受かっているもの
(SF起源のダスト)
L~1013 Lo
z>=10
Arp220クラス(SF起源のダスト)
L~1012 Lo
z<=5まで
33
南極30m級
Arp 220 クラス
L~1012 Lo
積分時間=1h
z~15
Confusion
limit
34
(1)SF起源のダスト放射のピークの両側のflux density測定
⇒ 正確なPhotometric-z の推定
・赤外等で受からない場合でも
・およそのz → 推定される周波数の範囲でスペクトル線(CO, [CII],etc)を
探査
→ 正確なzを決定
(遠方銀河で全くzが不明なもののCOスペクトル線の探査は
容易ではない。)
(2) SF起源のダスト放射のSEDの決定
・レーリージーンズ側とウイーン側の全スペクトル
・ダストの物理量(温度、光度、β、質量)の決定
→星形成率、(gas-to-dust ratioを仮定できるならば)ガス量の推定
・z(宇宙年齢)依存性
⇒銀河がいつ生まれか、どう進化したか(mass function)
(Leipski+2014)
AGN
QSO at z>5
SDSS検出済
(可視光)
Herschel
(赤外線)
APM 08279+5255(Beelen+2006)
AGN-torus
Td>~150 K
(Leipski+2014)
低温ダスト
Td~30-50 K
F(AGN)~F(SB)
rest λ~20-60μm
(Leipski+2014)
obs λ
z
AGN
SB
1
40-120 μm
2
60-180
5
120-360
7
160-480
10
220-660
15
320-960
AGNとSBの輻射成分の分離
↓
テラヘルツ~サブミリ波が必要
(z<~5でAGN成分のSED決定には遠赤外線も必要
・・・南極2.5m赤外線望遠鏡(東北大)だが @~40μm
TAO @~30μm?
Mrk231
ハーシェル衛星(van der Werf+ 2010)
CO
up to J=8
by UV radiation from star formation
J>8
X-ray heating by the accreting SMBH
39
南極30m
Mapping speed (MS) =
Freq.
HPB
W
220
GHz
11.2”
410
NΩ
NEFD 2
Tsys
N
NEFD
[mJy s1/2] [seg-1]
MS
[arcmin2 hr-1 mJy-2]
33 K
1.03
200
2.36×104 (2.56°2)
6.0
49
1.52
700
1.09×104 (1.74°2)
850
2.9
116
3.68
3000
1.86×103 (0.72°2)
1300
1.9
522
18.5
7000
7.38×101 (0.14°2)
(for one segment)
CL
科学目標・意義(2)
(3) SF起源のダスト放射の正確なSEDの決定
・SF由来の輻射とAGN由来の輻射の分離
・ SF由来の成分(Td~40-50K)
→星形成率、(gas-to-dust ratioを仮定できるならば)ガス量の推定
(4) AGN成分の有無
(5) AGN成分のSEDの決定
@z>7~10 (テラヘルツ波のみ)
@z=1~7 (テラヘルツ波+赤外線)
・AGN由来の成分(Td~>150K)
→質量降着率の推定
・z(宇宙年齢)依存性の決定
→銀河とSMBHの共進化の解明、AGNの始まりと進化
水素分子の直接観測の可能性
M(H2)=1011 M0
30m鏡の観測周波数
42
赤外線の線スペクトル ⇒ テラヘルツ・サブミリ波@high-z
(Decarli,R.+ 2012)
Ionization potential
・HI 13.6 eV
・[CII] 11.3 eV a tracer for both the neutral atomic and ionized medium
158μm
・[OIII] 13.6 eV trace the ionized medium
52μm and 88μm
・[NII] 14.5eV trace the ionized medium
122μm and 205μm
a critical density in the ionized medium that is very close to that of [C ii],
thus potentially providing complementary information on the origin of
the [Cii] emission
the relative intensities of [Cii] and [N ii]205μm are susceptible to N/C abundance
variations (e.g., Matteucci & Padovani 1993), thus acting as diagnostics of metal
enrichment in the first galaxies.
⇒要検討
43
南極望遠鏡計画
20 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34
H
27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46
日本学術会議
大型計画
●
●
〇
〇
〇
〇
TMT
南極
観測
8期
9期
10期
南極10m
11期
12期
観測
建 設
南極30m
しらせ3代目
概算
要求
建 設
観測
建 設
概算要求
仕様検討開始
観測
概算
要求
運用
建 造
44
将来の発展性
周回気球
搭載望遠鏡
(土居他)
〇大型赤外線望遠鏡
〇干渉計(テラヘルツ~赤外線)
ヘテロダイン?
強度干渉計(松尾)?
30m
5m
→15m?
10m
10m
〇サブミリ波VLBI
350GHz→600GHz
密なUV平面
「ブラックホールに迫る」
45
Fly UP