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ISS計画をとりまく状況(震災後) - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報

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ISS計画をとりまく状況(震災後) - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報
ISS計画を取り巻く最新状況
2011年8月25日
1. ISS運用の最新状況 (1/2)
①スペースシャトル最終飛行 STS-135(ULF7)
スペースシャトル「アトランティス号」は、米国東部夏時間7月
21日午前5時57分(日本時間7月21日午後6時57分)にNASA
ケネディ宇宙センター(KSC)に着陸し、30年にわたるNASA
のスペースシャトルミッションプログラムの最後を飾るフライト
を完遂した。
シャトルプログラムの終了により、ISSへの有人輸送手段は
、当面の間、ロシアのソユーズ宇宙船のみとなるとともに、米
国民間輸送機の運用開始までの間、ISSからの物資回収が
大きく制限される。
アトランティス号のKSCへの着陸
(2011/7/21)
②米国民間輸送機開発の状況
米国民間輸送機の開発が徐々に遅延しているが、現在の計画では、Space-Xデモフ
ライトが2011年11月、Orbitalデモフライトが2012年2月の予定である。
また、ISSからの物資回収が可能なSpace-Xの運用初号機打上げが、2012年9月以降
に大幅に延期されるという情報もあり、物資輸送の遅れにより、利用の計画通りの遂
行に影響が及ぶ恐れがある。
1
1. ISS運用の最新状況 (2/2)
③古川宇宙飛行士のISS長期滞在
古川宇宙飛行士は、2011年6月10日からISS長期
滞在を開始。医師の立場を生かした医学実験な
どの各種実験を順調に行っている。
古川飛行士は、2011年11月中旬までの約5ヶ月間
ISSに滞在する予定。
表. 古川宇宙飛行士による主な医学運用・実験状況
4-1
作業内容
宇宙滞在に伴う免疫機能の変化に関する研究※(米国)
・唾液採取
・血液採取
作業日程
7/16-18
7/18
※宇宙滞在に伴う免疫機能の変化が過渡的な反応によるものなのか、宇宙滞在期間全体を通
して存在するものなのかを評価するため、血液・尿・唾液を採取する。
4-2
4-3
4-4
4-5
4-6
4-7
骨量減少・尿路結石予防対策研究(ビスフォスフォネート剤の服用)
認知機能自己評価試験(Reaction Self Test:米国)
心拍数モニタデータのダウンリンク
食事摂取についてのアンケート(米国)
トレッドミル動作解析実験(米国)
POMS テスト
7/18,25,8/1
7/19,24,28,8/1
7/19
7/19,22
7/21
7/25
※「緊張」「抑うつ」「怒り」「活気」「疲労」「混乱」の 6 つの尺度から気分や感情の状態を測定
4-8
4-9
4-10
4-11
記憶力、数学的思考力などの測定による認知機能評価(WinSCAT)
聴覚検査(OOHA)
酸素摂取量の測定(PFE)
Try-ZeroG(宇宙医学にチャレンジ!)
7/25
7/26
7/28
8/2
ISS滞在中の古川宇宙飛行士
2. ISS計画に係る国内状況
- 宇宙開発戦略専門調査会  我が国の現下の厳しい財政状況、及び各国が宇宙政策を積極的に推進してい
る状況を鑑み、これまで以上に戦略的な宇宙政策を推進することが急務との問
題意識のもと、2011年2月に宇宙開発戦略専門調査会による宇宙施策の重点
化及び推進方策の検討を開始。
 2011年2月~8月に各省庁やJAXA等の関係機関に対する各分野のヒアリング
や審議を実施。有人宇宙活動のヒアリングでは、ISS計画への参加による有人
宇宙技術獲得への貢献、これまでの利用の成果(創薬・環境観測・宇宙医学等
による社会貢献)、ISS運用継続の意義について説明。
 ヒアリング及び審議の結果に基づき、宇宙開発戦略専門調査会は、2011年8月
8日に「宇宙開発利用の戦略的推進のための施策の重点化及び効率化の方針
について」を公表。
 最重要施策は、「準天頂衛星システムの整備」。
 有人宇宙活動は、重点化の対象とはならず、年間400億円の予算を要して
いる現状に対して、具体的な成果を創出する工夫や2016年以降の運用継
続における経費圧縮を求められている。
3
(参考)「宇宙開発利用の戦略的推進のための施策の重点化及び効率化の方針について」(抜粋)
(平成23年8月8日 宇宙開発戦略専門調査会資料)
3.準天頂衛星システム以外の各分野における方針
(4)有人宇宙活動
• 国際宇宙ステーションは、「きぼう」やHTV/H-ⅡB の開発によって宇宙産業の技術力向上
に寄与した面があり、その継続的運用・打上げは、産業基盤と技術力の維持に貢献するが、
産業基盤と技術力の維持は官需だけに頼るのではなく国内外の需要を取り込みつつ、できる
かぎり効果的に実施していく必要がある。
• 国際宇宙ステーションは、日米欧加露の5極、世界15カ国協働で進めている有人宇宙活動
に日本がアジア唯一の重要なパートナーとして参加し、国際的プレゼンスの発揮に寄与し、ま
た日本人宇宙飛行士の活躍による教育・啓発効果を産んでいる。「きぼう」の利用については
我が国の産業競争力強化に繋がる成果は現時点では明らかではないが、他方、生命科学や
観測等の分野では成果が得られつつある。今後、有人の特徴を活かすなど更に研究内容を
充実させて具体的な成果を出す工夫が不可欠である。本プロジェクトに年間400億円の予算
を要している現状を踏まえ、2016年以降の国際宇宙ステーションへの参加、運用継続に当
たっては、国際パートナーとのプロジェクト全体の経費節減努力を進めるとともに、運用の効
率化やアジア諸国との相互の利益にかなう「きぼう」利用の推進等の方策により経費圧縮を
図るべきである。また、下記(5)宇宙開発戦略本部における宇宙探査の在り方の検討結果を
踏まえ、将来の国際協働プログラムの可能性に備えた技術の向上を図るべきである。
4
3. 第4期科学技術基本計画の見直し
• 東日本大震災後へ対応して8月19日に閣議決定された第4期科学技術基本計画の見
直しに対応して「きぼう」の利用の重点化の検討に以下の視点を追加する必要がある。
【参考】 平成24年度アクションプランにおける4つの重点対象
1.「復興・再生並びに災害からの安全性向上」
■ 東日本大震災からの復興・再生を遂げ、地域住民がより安全に暮らせる社会の実現を目指す。
■ 東北地域の復興・再生をモデルとして、より安全、かつ豊かで質の高い国民生活を実現する国を目指す。
2.「グリーンイノベーション」
■ 自然と共生し持続可能な環境・エネルギー先進国の実現を目ざす。
3.「ライフイノベーション」
■ 心身ともに健康で活力ある社会の実現を目指す。
■ 高齢者・障がい者が自立できる社会の実現を目指す。
4.「基礎研究の振興及び人材育成の強化」
■ 世界共通の課題を克服し、豊かな国民生活を実現し、科学技術を文化として育み、多様な人材を育成確
保する社会の実現を目指す。
第98回総合科学技術会議資料より。
5
(参考) ISS計画を取り巻く政策の状況
【政府】
【宇宙開発戦略本部】
新成長戦略
(2010.6.18閣議決定)
宇宙基本計画
(2009.6.9決定)
環境/エネルギー
健康(医療・介護)
アジア、地域活性
【総合科学技術会議】
科学技術基本計画
第4期:2011-2013
( 2011.8.19閣議決定)
宇宙は国家基盤。宇宙基本計画と
整合と取る。
宇宙分野における
重点施策
(2010.5.25決定)
本格的な利用
(新素材,新薬:成長戦略)
アジアへの実験機会
(外交資源として活用)
当面の宇宙政策の
推進について
(2010.8.27決定)
【文部科学省/SAC】
ISS特別部会
中間とりまとめ
(2010.6報告)
2016年~の運用延長を評価
 利用者を主体とする利用
(中核的研究機関、仕組み)
 産業振興
 国際協力、外交
ISS延長への理解
[宇宙開発戦略専門調査会]
宇宙開発利用の戦略的推進のための
施策の重点化及び効率化の方針について
(2011.8.8)
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