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豊岡鞄 - WordPress.com
豊岡鞄 INTERVIEW 2016 年 10 月 22 日、高島屋泉北泉ヶ丘店(大阪府堺市)で開催された豊岡鞄フェアにお いて、豊岡鞄、豊岡市のご担当者にインタビューを行った結果をまとめました。MCJ 参加 チームのプラン作成の追加資料としてご活用下さい。なお、当資料は、MCJ 実行委員会 スタッフの文責において細心の注意を払って作成しましたが、その情報の正確性、完全 性を保証するものではないこと、予めご了承ください。 Marketing Competition Japan 2016 https://marketingjp.com/ 2016 年 11 月 1 日 豊岡鞄 INTERVIEW <地域ブランド「豊岡鞄」のコンセプト> 豊岡鞄 <豊岡鞄とは> 豊岡は、千年の伝統をもつ鞄の産地です。奈良時代から始まる柳細工を起源とし、江戸時 代に柳行李生産の隆盛をむかえ、大正以降はその伝統技術と流通経路を基盤に、新素材へ の挑戦とミシン縫製技術の導入により鞄の生産地となりました。 豊岡市で作られた鞄の中でも、兵庫県鞄工業組合が定めた基準を満たす企業によって生 産され、審査に合格した製品だけを「豊岡鞄」と認定しています。 「豊岡鞄」は、2006 年 11 月 10 日に特許庁の地域団体商標として、認定された兵庫 県鞄工業組合の登録商標です。 豊岡で育まれ ものづくりの長い歴史と 職人の技術が生んだ 優れた鞄を 消費者に安心して使って頂く ※ 以上、豊岡鞄公式サイトより。 http://www.toyooka‐kaban.jp/ <製品の特長> ⦿豊岡は日本一の鞄の産地 豊岡市は日本一の鞄生産のまちですが、その多くは OEM 生産。つまり、有名鞄メーカーか らの大量受注生産です。皆さんが何気なく使用している鞄で「Made in Japan」と表記のあるも のの多くは、実は「Made in Toyooka, Japan」なのです。 ⦿「豊岡鞄」は女性・ユニセックスものが相対的に多い 豊岡市で OEM 生産される鞄に多いのは、校章などが入ったスクール鞄、紳士用ビジネス 鞄。つまり、学生や男性顧客を対象にした商品ラインアップになっており、女性顧客向けが比 較的少ない。 地域ブランド「豊岡鞄」は、地元鞄メーカーによる自主企画・デザイン・販売製品ですが、 OEM 生産に比べると、女性ものやユニセックス的な商品の割合が多いようです。 ⦿「豊岡鞄」は相対的に機能性重視 鞄製品は、ものを入れて運ぶ道具であると同時に、身に付けるファッション・アイテムでもあ ります。機能性とファッション性のバランスが、それぞれの製品を特徴づける重要な要素にな っています。 1 豊岡市における鞄づくりは、歴史的に培われた職人技術に支えられています。これは、地 域ブランド「豊岡鞄」においても例外ではありません。従って、地域ブランド「豊岡鞄」は、中に は非常にファッション性の高い製品もありますが、一般的傾向としては職人によるこだわりのも のづくり、品質や機能性重視と言えます。 ※スタディ・マテリアルにある、過去の百貨店・東急ハンズなどにおける販売実績傾向にみる売れ筋商品も 参考にしてください。 <価格戦略> ⦿「コストプラス法」による価格設定の傾向 製品の価格設定は、コスト、顧客需要、競争他社製品価格など様々な要素によりますが、 地域ブランド「豊岡鞄」の場合、最もシンプルな「コストプラス法」によって価格付けしている傾 向にあるようです。このため、他社の同質、同デザインの製品に比べて、「豊岡鞄」は割安に なる傾向があるようです。 豊岡鞄 ※スタディ・マテリアルにある、過去の百貨店・東急ハンズなどにおける販売実績傾向にみる売れ筋価格帯 も参考にしてください。 <流通・販売戦略> ⦿フェアの開催 「豊岡鞄」の知名度向上策は、全国(仙台~鹿児島)の百貨店・東急ハンズでのフェア(期 間限定の特設コーナーで対面販売)にほぼ全面的に依存している。 販売については、フェア開催のほか、百貨店・東急ハンズ等で定番商品として販売されるも のに加えて、豊岡市内の「カバンストリート」や「豊岡じばさんセンター」の店頭販売、以下のオ ンライン販売がある。 特設コーナーの設置場所によって、女性もの、男性もの、ユニセックスものなど取扱商品の 割合やラインアップを、その都度調整している。 ⦿オンライン販売 「豊岡鞄」の公式サイト(兵庫県鞄工業組合が管理・運営)上では、商品紹介のみで、オン ライン販売は行っていない。オンライン販売は、豊岡まちづくり株式会社が設立した Toyooka KABAN Artisan Avenue (http://shop.artisan‐atelier.net) のサイト上のみで行われています。 しかし、オンライン販売を拡大するためには、全国的に「豊岡鞄」ブランドが認知されており、 検索、購入する顧客を増やす必要があります。現在、上述のフェア開催が、そのためのほぼ 唯一の手段となっているわけです。 ※このようなメーカーや企業組合の取り組みの他に、豊岡市の地場産業振興・地方創生政策の一環として、 地域や規模は限定されますが、ポスター、動画、パンフレットの作成、展示なども行われています。スタディ・ マテリアル参照。 2 ⦿フェアでの販売方法 百貨店・東急ハンズなどで開催されるフェアでの販売の際、販売スタッフに加えてメーカー から職人が派遣されることが多い。対面で鞄づくりの技術やこだわりが伝えられる利点がある 江戸時代、豊岡藩の独占取扱品とされた柳こうり 豊岡鞄 一方で、通りがかりに手に取ったお客さんには、品質や機能性が十分に伝わらない場合があ る。つまり、売り場用の商品説明やポップなど、販売方法に工夫の余地があるようです。 ⦿ブランド戦略~「小物」取り扱いまだ少ない 地域ブランド「豊岡鞄」とは言え、大企業のようなブランド戦略担当はおらず、「豊岡鞄」参 加企業を跨ぐ形で企画・開発・デザイン・ブランド戦略立案が行われているわけではない。ス タディ・マテリアルに言及されているように、「各企業の営業力や商品開発力」に任されている。 従って、地域ブランド「豊岡鞄」と言われた際に、共通して思い浮かべるブランドの特長イメー ジが、作り手、買い手に確立していないことが予想される。 他の有名鞄ブランドでは、ブランド認知度を高める戦略の一環として、財布、定期・名刺入 れなどの小物を展開しているケースが多々見られる。しかし、豊岡市の鞄づくりは、柳細工の 一種である柳こうり(写真参照)に始まり、近代は布製鞄を中心としており、革製品一般や革製 鞄については、豊岡市、東京都足立区、大阪市に続く全国第4位の鞄産地である兵庫県た つの市が有名です。 従って、これまで地域ブランド「豊岡鞄」では、一部の参加企業によるごく少数の革小物製 品に限られていました。しかし、現在ブランド参加企業の若手経営者を中心に、革小物製品 の展開拡大が検討されているようです。 Photo Credit: 「豊岡鞄」公式サイト <豊岡市における鞄づくり> ⦿ 職人について 現在全国で鞄製造に携わる従業員は 4,671 人おり、その約 5 人に1人(864 人)が豊岡市 にいます。そのうち約 8 割が 30~40 代の女性です。最近 10 数社を回って鞄づくりの現場を 視察したところ、明るく、楽しそうに、企業によっては音楽を聴きながら働いており、これなら若 者でも抵抗なく働く場として選べるはずだとの感想を持ったそうです。(市役所担当者談) ⦿ 職人への道~インターンシップ、トレーニング~ 豊岡市における鞄づくりを体験してみたい人には、3 つの方法がります。 第一に、市内各メーカー社が独自に実施しているインターンシップです。 第二に、市内メーカー組合が共同運営する職工育成機関である「鞄縫製者トレーニングセ ンター」です。こちらでは、40 日間にわたって鞄製造の基礎技術習得のためのトレーニングを、 3 豊岡鞄 有給(時給 800 円、通勤手当上限月 1 万円)で受けられます。同センターでは、15 日間のイ ンターンシップも受け付けています。 第三に、豊岡まちづくり株式会社が設立した Toyooka Kaban Artisan School (トヨオカ・カバ ン・アルチザン・スクール)です。こちらは、鞄職人育成を目的とした 1 年間、1400 時間、授業 料 126 万円のプログラムとなっています。 鞄縫製者トレーニングセンターが、卒業とともに市内メーカーに就職し、職人の即戦力とな ることが想定されているのに対して、アルチザン・スクールの場合には、独立して工房・ショッ プを持ちたい人も含めて対象としているため、鞄づくりの技術習得に加えて、鞄ビジネス経営 についても学ぶことができます。 【参考】 鞄縫製者トレーニングセンター(豊岡市鞄縫製者育成組合) 公募資料:http://www.city.toyooka.lg.jp/www/contents/1465886829589/index.html PR 動画: https://www.youtube.com/watch?v=‐VnX3Znw6Eo&feature=youtu.be Toyooka Kaban Artisan School (トヨオカ・カバン・アルチザン・スクール) URL: http://www.artisanschool.net/ ~以上~ 4