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ハイスクールSBR~堕天した花嫁~ ID:22446
ハイスクールSBR∼堕天 した花嫁∼ 不知火新夜 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にPDF化したもので す。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作品を引用の範囲を 超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁じます。 ︻あらすじ︼ 10年前のあの日、俺こと兵藤︵ひょうどう︶一誠︵いっせい︶は、1人の天使の女 の子と出会い、互いに恋をした。けれど⋮運命は俺達に厳しかった。もしイッセーとレ イナーレが過去に出会っていたら、レイナーレが元々天使だったら⋮そんなちょっとし たIFが、物語の歯車を、大きく動かしていく事になる⋮ ! 目 次 6 話 ︳ 彼 女 も、悪 魔 に な り ま し た 5話︳俺、悪魔になりました │ 63 7話︳俺、シスターを確保しました 84 主 人 公 と、そ の 周 囲 の 人 物 設 定 0章﹃通学路のフォールダウン﹄ 1話︳ぼく、出あいました ││ 2話︳ぼくたち、むすばれました、けど ⋮ ││││││││││││││ 第1部﹃無限の体現者、兵藤一誠﹄1章﹃旧 校舎のディアボロス﹄ 3 話 ︳ 俺、1 6 歳 に な り ま し た 4話︳俺達、また会えました、けど⋮ 72 8話︳俺達、説得しました ││ 11話︳俺っち、隠し芸やりやした 2章﹃戦闘校舎のフェニックス﹄ 10話︳俺達、見学しました │ │││││││││││││││ 9話︳俺、OHANASHIしました 97 117 110 37 43 90 125 1 53 │ 1 2 話 ︳ 俺、プ ッ ツ ン し ま し た 1 9 話 ︳ 私 達、ぼ っ こ ぼ っ こ に し て やったっす ││││││││││ 2 0 話 ︳ 俺、果 し 合 い を し ま し た 2 2 話 ︳ 俺、覚 醒 し ま し た︵1︶ 21話︳私、特攻しました ││ 202 1 3 話 ︳ 俺 達、訓 練 を 始 め ま し た 14話︳男連中、早速レベルアップし ました ││││││││││││ 15話︳俺、決意を新たにしました 16話︳彼女が、啖呵を切りました 17話︳レーティング・ゲーム、始めま した │││││││││││││ 18話︳俺、初披露しました │ 190 211 23話︳周りが、カオスになりました │││││││││││││││ 幕間﹃昼休みのファミリア﹄ 25話︳俺達、使い魔契約しました │││││││││││││││ 24話︳俺達、使い魔の森に来ました 228 235 151 184 177 219 132 141 160 167 │ 3章﹃月光校庭のエクスカリバー﹄ 2 6 話 ︳ 俺、疑 念 を 抱 き ま し た 27話︳あいつらが、おかしくなりま した │││││││││││││ 28話︳俺、幼馴染達に喧嘩売りまし た ││││││││││││││ 2 9 話 ︳ 俺 達、介 入 を 始 め ま し た 30話︳俺、狂人の過去を聞きました │││││││││││││││ 31話︳俺、一喝しました ││ 3 2 話 ︳ 俺、覚 醒 し ま し た︵2︶ 33話︳あいつらが、覚醒しました 300 34話︳俺、覚醒しました︵3︶、そし て⋮ │││││││││││││ ︶達と出会いま した │││││││││││││ 37話︳俺、凄い人︵ 36話︳彼氏が、壊れました │ た ││││││││││││││ 35話︳俺、堕天使の総督と会いまし 止教室のヴァンパイア&ウロボロス﹄ 第2部﹃赤き龍の皇帝、兵藤一誠﹄4章﹃停 315 332 325 341 ? 257 265 291 285 308 243 250 275 │ 38話︳俺、想いを受け入れました 39話︳授業参観が、ドタバタ劇にな りました │││││││││││ 40話︳俺達、吸血鬼と出会いました、 ら⋮ │││││││││││││ 41話︳俺、吸血鬼を預かりました 42話︳俺、ライバルと再会しました │││││││││││││││ 43話︳俺、天使のトップと対談しま した │││││││││││││ 44話︳俺、会談に参加しました、ら⋮ そ し て ⋮ │││││││││││││││ 4 5 話 ︳ 二 天 龍、激 突 4 9 話 ︳ 俺 達、冥 界 に 入 り ま し た た ││││││││││││││ 48話︳アイツらが、悪魔になりまし 5章﹃冥界合宿のヘルキャット﹄ した │││││││││││││ 47話︳俺、いきなり独立させられま │││││││││││││││ 46話︳俺、覚醒しました︵4︶、ら⋮ ! 397 416 424 431 358 365 380 387 407 50話︳俺達、主の実家に招かれまし 440 348 372 │ た ││││││││││││││ 51話︳俺達、若手悪魔の皆と出会い ました ││││││││││││ 52話︳俺、夢を語りました │ 53話︳俺達、修行方針を受け取りま した │││││││││││││ 5 4 話 ︳ 俺、修 行 を 開 始 し ま し た 55話︳俺、ぶっ倒れました │ 5 6 話 ︳ 俺、見 舞 い に 行 き ま し た 58話︳俺達、健闘を誓い合いました │││││││││││││││ 64話︳俺達の初陣、始まりました した │││││││││││││ 63話︳俺達、ミーティングを行いま 62話︳俺達、奔走しました │ なる心 ││││││││││││ 61話︳BraveHeart、勇敢 した │││││││││││││ 60話︳俺達、緊迫の現場に潜入しま た ││││││││││││││ 59話︳俺達、パーティに参加しまし 505 511 518 531 525 538 447 462 455 471 488 499 57話︳昨日の敵、訪問して来ました │││││││││││││││ 545 482 493 │ 6 5 話 ︳ 作 戦、遂 行 さ れ ま し た 66話︳私、決意したわ │││ 7 2 話 ︳ 俺、覚 醒 し ま し た︵5︶ 6章﹃体育館裏のアポカリプス﹄ 76話︳俺、後輩から恋愛相談を持ち 後のラグナロク﹄ 第3部﹃龍魔神王、兵藤一誠﹄7章﹃放課 75話︳征龍、敵対 │││││ 74話︳征龍、執行 │││││ 73話︳征龍、降臨 │││││ 601 かけられました ││││││││ │││││││││││││││ 7 0 話 ︳ 二 学 期、始 ま り ま し た 71話︳俺、ブチ切れました │ 594 79話︳俺、指導を続けます │ 78話︳私、飛翔しますわ ││ た ││││││││││││││ 77話︳俺、リア充の仲間入りしまし 625 647 639 631 580 69話︳俺達、新居に引っ越しました ⋮ ││││││││││││││ 68話︳俺達、冥界を後にしました、が │││││││││││││││ 67話︳俺達、婚約の報告をしました 559 568 574 620 614 608 553 586 │ 80話︳吸血鬼、実戦訓練しました 81話︳新たなる日々、幕開けしまし た ││││││││││││││ 88話︳俺達、作戦会議を開きました、 ら⋮ │││││││││││││ 89話︳俺達、スタンバイしました 90話︳私、覚醒したぞ │││ 9 1 話 ︳ お、俺、覚 醒 し ま し た て⋮ │││││││││││││ 92話︳アイツが覚醒しました、そし ! 8 2 話 ︳ 北 の 主 神 と X 字 の 悪 魔 祓 い 達、来日しました │││││││ 83話︳俺、マジギレしたぜ │ 84話︳俺、小一時間問い詰めたぜ 85話︳俺達、結局参加する事になり 716 729 741 ││││││││││ 746 93話︳俺が変わった先に、貴方がい るなら⋮ ! ました ││││││││││││ 86話︳悪神、来襲しました │ 709 723 659 679 667 698 693 8 7 話 ︳ 俺、覚 醒︵ ︶し ま し た ? 735 654 685 │ 主人公と、その周囲の人物設定 ひょうどういっせい ◎兵藤一誠眷属 兵 藤 一誠 ポー ン 種族:人間↓転生悪魔︵人間︶ キング ランク:兵士︵駒4つ消費。転生前に﹃倍化﹄と﹃譲渡﹄に因る物と思しき脈動が確 認されている︶↓ 王 年齢:17歳 ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア 身長:173cm 神器:赤龍帝の籠手 基本的に原作通り。現在は﹃征龍﹄の影響からか、能力の発揮自体は可能だが、ドラ ブーステッド・ギア・スケイルメイル イグの意識は出て来なくなってしまっている。 禁手: 赤 龍 帝 の 鎧 基本的に原作通り。こちらも現在は禁手発動、能力の発揮自体は可能。 その他神器に関する能力 龍﹄ アポカリプス・ドライブ ﹃征 1 本人曰く﹁ドライグも、歴代赤龍帝の意志をもわが物とした、覇龍とは別次元の物﹂。 イメージモデルは、仮面ライダーウィザード・オールドラゴンスタイルと、超竜の潮流 コンコルド︵デュエル・マスターズ︶。 聖剣:アスカロン 基本的に原作通り。原作と比べて一誠自身に剣術の覚えがある為、一誠自ら剣として キャリバクス 使用する場面も。 アスカロン・ C X 征龍を具現化させた事で、そのドラゴンとしての力と、アスカロンが共鳴、新たなる 力と姿へと変質した状態。イメージモデルは、仮面ライダーウィザードのアックスカリ バー。 スタンド:タスク 基本的に原作通り。 その他特殊能力 誠独自の能力と化している。 術。当初はタスクの派生能力で、その力も不足していたが、悪魔に転生して以降は、一 タスクの回転エネルギーにヒントを得て会得した、鉄球を﹃内側から﹄回転させる技 ﹃鉄球の回転﹄ 主人公と、その周囲の人物設定 2 性格:原作とは大違いな位に性欲が低い︵あくまで原作と比べて、である︶以外は原 作通り。 今作の主人公で、駒王学園2年生。 エクソシスト 小学1年生の頃に天使の女の子レイネルと出会い、互いに恋に落ちるも彼女が失踪し てしまう。 その原因が﹃人間﹄である自分の弱さにあるという思いから、フリーランスの悪魔祓い として活動するようになるが、4話にて堕天使となったレイネルによって殺害されてし まうも、偶然通りかかったリアスによって悪魔として転生する。 その後、レイネル達による計画を知って、阻止と説得に奔走、首謀者達の懐柔に成功 した。 ライザーとのレーティング・ゲームでは実力をいかんなく発揮し、ライザー含む6人 その後の3大勢力の会談の折の禍の団の襲撃の際、襲撃を指揮したカテレアを殺害、 彼女たちへの想いを認識し、5人全員を愛する事を決めた。 事情から強く言い出せなかった︶が、ゼノヴィア、そしてオーフィスとの出会いを経て、 その2人から告白された当初は、恋人はレイネルのみとしていた︵その割には色々な 一目惚れさせる結果に。 ︵ACT2による地雷含めると9人︶を撃破する⋮が、それによってリアスとアーシアを 3 堕天使陣営を裏切ったヴァーリを圧倒して勝利する。 この功績と、ヴァーリの降伏の条件として、臨時ながら上級悪魔へ昇格、 ﹃重要犯罪人 保護観察官﹄に任命される。 上級悪魔昇格後は禍の団・ヴァーリチームから降伏したメンバーと、恋仲であるレイ ネル、アーシア、ゼノヴィアを眷属とし、冥界での合宿中にレイヴェル、黒歌、白音を 眷属とする事が決まった。 12話でライザー、及び彼の眷属全員を無力化する等、実力はリアスの眷属でも群を 抜いていて、そのライザーとのレーティング・ゲームで﹃タスクACT3﹄を、コカビ エルとの戦いを経て﹃ボール・ブレイカー﹄と﹃タスクACT4﹄を、ヴァーリとの戦 いを経て禁手﹃赤龍帝の鎧﹄を修得する等、未だ発展途上の段階だったが、上級悪魔昇 格後に行われたディオドラとのレーティング・ゲーム︵とは名ばかりの禍の団の襲撃︶で 一誠の使い魔。 種族:天馬 エレン レイネルからは﹁いっちゃん﹂と呼ばれている。 将来の夢は﹁新世界の神﹂。 ﹃征龍﹄を修得、オーフィスをも超える実力を持つに至った。 主人公と、その周囲の人物設定 4 5 ギリシャ神話に登場する﹃ペガサス﹄の血を受け継いでいる。 ザトゥージ曰くギリシャに生息している筈との事で、使い魔の森に迷い込んだ折、一 誠を主人として認め、使い魔となった。 ボール・ブレイカーとタスクACT4を発現する為のキーパーソンとなる等、使い魔 となって以後、文字通りの一誠の﹁パートナー﹂となっている。 レイネル︵レイナーレ︶↓レイネル・ブリュンスタッド クイーン 種族:天使↓堕天使↓転生悪魔︵堕天使︶ ランク:兵士︵リアスの眷属時︶↓女王 年齢:17歳 身長:158cm 3サイズ:92/60/84 性格:一誠曰く﹁ちょっとお茶目で可愛いお姉さんキャラ﹂ 駒王学園2年生。 今作のメインヒロインで、一誠が小学1年生の頃に出会った天使の女の子。 初任務︵0章︶の為に人間界に来たものの翼の扱いに慣れず不時着した所を一誠に助 けられた。 主人公と、その周囲の人物設定 6 それ以来兵藤家に居候し、一誠の年相応の天真爛漫さと熱さに惹かれ、ある時の一誠 の相談が切っ掛けで結ばれるも、それが原因で堕天、失踪した。 10年が経ち、或る計画の為に一誠の住む街の教会に潜伏、4話にて再会したが、声 を掛けられるまで一誠だとは気付かずに光の槍を投擲、殺害してしまう。 その直後に通りかかったリアスに、一誠の蘇生を懇願、受け入れられて一誠は悪魔と して転生、自らも転生した。 その後、計画の首謀者としての責任から阻止に協力、成功させた。 戦闘面で目立った活躍はまだない一方、16話で朱乃を一喝して、その出自に向き合 わせている。 最初はリアスやアーシアといった恋のライバルの存在を認めなかったが、フリードに 説得され︵唆されたとも言う︶﹁一番に愛してくれるなら﹂と認める様になる。 一誠の独立と同時に移籍した1人で、その際一誠の女王として、改めて転生の儀を 行った。 一誠からは﹁れーちゃん﹂と呼ばれている。 リューイチ 種族:ドラゴン レイネルの使い魔。 7 スリーピング・ドラゴン 五大龍王の一角﹃終 末 の 大 龍﹄ミドガルズオルムの血を受け継いでいる幼体のドラゴ ンで、その体躯はレイネルより若干小さいものの、その力は強大。 イメージモデルは、デュエルマスターズに登場する﹃緑神龍ドラピ﹄。 ゼノヴィア ルー ク 種族:人間↓転生悪魔︵人間︶ ランク:戦車 年齢:16歳 身長:166cm 3サイズ:87/58/88 聖剣:エクス・デュランダル 基本的に原作通り。 性格:基本的に原作通り。 駒王学園2年生で、カトリック教会に所属していた元聖剣使い。 当初はコカビエルに奪われた聖剣エクスカリバーの奪還の為に一誠達の街に潜入、そ の行き過ぎた信仰心から、一誠達と対立するも、一誠のその純真な想いに心を打たれ、共 に行動する事になる。 主人公と、その周囲の人物設定 8 その後、コカビエルとの戦いを経て禁手に目覚めた祐斗とフリードが手にした聖魔剣 によって、聖書の神が既に死んでいる事に気が付いた事が原因で教会を追放され、リア スの誘いに乗り、悪魔として転生する。 リアスの誘いに乗った理由が﹁一誠と一緒だから﹂である等、一誠に想いを寄せてい エクスカリバー・ルーラー たが、一誠とオーフィスの出会いが切っ掛けで、その想いが早速結ばれる。 一誠の独立と同時に移籍した1人。 その後、一誠に降伏したアーサーが教会に支 配 の 聖 剣を返還した事等から、原作より エクス・デュランダル・ルーラー も早く、完全な形のエクス・デュランダルを教会から渡され、ロキ達との戦いではその 能力を早速使用した。 フェンリル 種族:半神 ゼノヴィアの使い魔。 父であるロキと共にオーディンを襲撃するも、ゼノヴィアの支 配 の 超 絶 聖 剣によっ ︶ て封印され、そのままゼノヴィアの使い魔となる。 しろね 塔 城 小猫↓塔城白音 とうじょう こ ね こ 種族:転生悪魔︵猫 ? 9 ランク:戦車 年齢:15歳 身長:138cm 3サイズ:67/57/73 性格:基本的に原作通り。 駒王学園1年生。 雪 蘭を事も無げにぶっ飛ばした。 シュエラン ライザーとのレーティング・ゲームでは、佳奈から指導を受けた八極拳の腕前を発揮、 実は転生前は猫又の上位種、猫 の娘で、姉の黒歌が多大な戦績を残した事から自ら アーサー・ペンドラゴン 黒歌曰く﹁イッセーに想いを寄せている様にゃ﹂。 名である白音に戻す。 その後、一誠の提案もあってトレード︵事実上の譲渡︶で兵藤眷属入りし、名前を本 しかし、一誠達の尽力によって姉の本当の想いを知り、和解する事が出来た。 となり、愛憎入りまじる感情を覚える。 の才を狙われるも、黒歌の策で事無きを得る⋮が、そのバッシングを一身に浴びる結果 ? 主人公と、その周囲の人物設定 10 ナイト 種族:人間↓転生悪魔︵人間︶ ランク:騎士︵赤龍帝の籠手による駒の脈動が確認されている︶ 年齢:19歳 身長:174cm 聖剣:聖王剣コールブランド 基本的に原作通り。 性格:基本的に原作通り。 駒王学園教師。 古代ブリテンの王アーサー・ペンドラゴンの末裔にして、その名を名乗る青年。 くろか ︶ 元は禍の団に身を置いていたが、ヴァーリの降伏に同行して一誠の眷属となる。 塔城黒歌 種族:純血悪魔︵猫 3サイズ:98/57/86 身長:161cm 年齢:18歳 ランク:僧侶︵駒2つ消費︶↓騎士︵赤龍帝の籠手による駒の脈動が確認されている︶ ? 11 性格:基本的に原作通り。 白音の姉で、駒王学園3年生。 元SS級はぐれ悪魔︵経緯は原作通り︶で、禍の団・ヴァーリチームに所属していた が、一誠達GRIDのライブで白音たちの想いを知り、降伏を決意する。 その後、一誠達の尽力もあってはぐれ悪魔の指定が解除、一誠の眷属となる事が決 まった。 一誠に想いを寄せている1人。 アーシア・アルジェント ビショップ 種族:人間↓転生悪魔︵人間︶ ランク: 僧 侶 年齢:17歳 身長:155cm トワイライト・ヒーリング 3サイズ:82/55/81 神器: 聖 母 の 微 笑 基本的に原作通り。 性格:基本的に原作通り。 主人公と、その周囲の人物設定 12 グ リ ゴ リ 駒王学園2年生で、堕天使の組織﹃神の子を見張る者﹄に身を寄せていた、教会の元 シスター。 かつては神器の力もあって﹃聖女﹄と担ぎ上げられていたが、傷だらけで倒れていた ディオドラを救った事で一転﹃魔女﹄と非難されて教会を追放されてしまう︵実は全て ディオドラの策による物だった︶。 そこで身を寄せたグリゴリにおいて、レイネルから神器を狙われるも一誠達によって 防がれ、その後、彼女を不憫に思ったリアスの誘いに乗り、悪魔として転生する。 ライザーとのレーティング・ゲームにおいて、一誠の優しさと勇敢さに一目惚れし、リ アスの告白に便乗してファーストキスを捧げる。 その想いは一誠とオーフィスの出会いが切っ掛けで結ばれた。 スプライト・ドラゴン 一誠の独立と同時に移籍した1人。 ラッセー 種族:ドラゴン︵蒼 雷 龍︶ アーシアの使い魔。 基本的に原作通り。 ルフェイ・ペンドラゴン 13 種族:人間↓転生悪魔︵人間︶ ランク:僧侶︵赤龍帝の籠手による駒の脈動が確認されている︶ 年齢:16歳 身長:150cm 3サイズ:81/52/82 性格:基本的に原作通り。 駒王学園2年生。 アーサーの妹で、伝説の魔女モルガンに倣った名を名乗る少女。 兄のアーサーの後を追う様に禍の団に身を置いていたが、ヴァーリの降伏にこちらも 同行して一誠の眷属となる。 一誠に想いを寄せている1人。 ヴァーリ・ルシファー 種族:ハーフ悪魔︵人間とのハーフ︶ ランク:兵士︵赤龍帝の籠手による駒の脈動が確認され、頭部に当たる部分が龍の頭 に変形している︶ 年齢:17歳 主人公と、その周囲の人物設定 14 ディバイン・ディバイディング 身長:168cm 神器: 白 龍 皇 の 光 翼 基本的に原作通り。 禁手:|白龍皇の鎧︽ディバイン・ディバイディング・スケイルメイル︾ 基本的に原作通り。 性格:基本的に原作通りだが、自他共に﹁腹黒い﹂と認めている。 駒王学園2年生。 旧魔王ルシファーの末裔にして、現代の白龍皇。 幼少期はその出自から悪魔社会において迫害され、堕天使陣営に身を寄せる。 その後、アザゼルによって鍛え上げられるも、3大勢力の会談の折に裏切る。 その際に一誠と決闘するも敗北、一誠の強さに屈服し、降伏を宣言するも自分を一誠 の眷属にする事を要求、それによって一誠は臨時ながら上級悪魔に昇格、自らは望み通 り眷属となる。 黒歌・小猫︵白音︶姉妹の一件では一誠に真相を知らせる、一誠達による即席ライブ の妨害を食い止める等、解決を影で貢献した。 さわたり び こ う 猿渡美猴 15 種族:妖怪↓転生悪魔︵妖怪︶ ランク:兵士︵赤龍帝の籠手による駒の脈動が確認されている︶ 身長:175cm 性格:基本的に原作通り。 駒王学園教師で、初代孫悟空の子孫である妖怪。 元は禍の団に身を置いていたが、ヴァーリの降伏に同行して一誠の眷属となる。 レイヴェル・フェニックス 種族:純血悪魔 ランク:僧侶↓兵士︵赤龍帝の籠手による駒の脈動が確認されている︶ 年齢:16歳 身長:153cm 3サイズ:85/59/84 性格:基本的に原作通り。 駒王学園1年生で、フェニックス家長女。 元はライザーの眷属で、レーティング・ゲームでもライザー側で参戦していた︵戦闘 はしていない︶が、人間界への留学の為に一誠の眷属になる事が決まった。 その後、自らのバトルスタイルを模索するべく、駒王学園の女子プロレスリング同好 会に、オカ研との掛け持ちで入会した。 一誠に想いを寄せている1人。 ◎リアス・グレモリー眷属 リアス・グレモリー 種族:純血悪魔 ランク:王 年齢:18歳 身長:172cm 3サイズ:99/58/90 必殺魔力 滅 雷砲﹄ フ ァ イ ナ ル マスターイクスイグニッションスパーク 駒王学園3年生で、オカルト研究部部長、 ﹁元72家﹂グレモリー家の次期当主でもあ 性格:基本的に原作通り。 付加して放出する砲撃。 一誠の﹃鉄球の回転﹄をベースに、リアス自らが持つ﹃滅びの魔力﹄に強力な回転を ﹃終末の究極 殲 主人公と、その周囲の人物設定 16 17 る。 4話にて殺害された一誠、及び彼の蘇生を懇願したレイネルを自らの眷属として転生 させた。 他にも10話にてレイネルに協力していた堕天使勢にアーシア、フリードといった 面々、48話にて大輔と良太も眷属とする等、原作と比べて大幅な人員増となっている が、一誠の独立に合わせて一部眷属を移籍させ、後に白音もトレード︵事実上の譲渡︶す る等、出入りが激しくなっている。 ライザーとのレーティング・ゲームにおいて自らの夢の為に全力で立ち向かってくれ る一誠の姿に一目惚れし、ゲーム終了後にファーストキスを捧げる。 その後、一誠とオーフィスの出会いが切っ掛けで、その想いが結ばれる事に。 冥界帰省後、ライザーとのレーティング・ゲームや、一誠が上級悪魔に昇格した事が 切っ掛けで兵藤家、引いては一誠に嫁がせるべきという意見が支援者の間で続発した が、一誠の夢を知り、その意見を受け入れる事にした。 その後にあったソーナとのレーティング・ゲームでは終始圧倒、ソーナとの一騎打ち で終末の究極殲滅雷砲を発射、決着を付けた。 将来の夢は﹁新世界の女神﹂。 主人公と、その周囲の人物設定 18 ひめしま あ け の 姫島朱乃 種族:転生悪魔︵ハーフ堕天使︶ ランク:女王 年齢:17歳 身長:168cm 3サイズ:102/60/89 性格:基本的に原作通り。 駒王学園3年生で、オカルト研究部副部長。 15話にて、堕天使バラキエルの娘だと判明し、自らの出自を恨んでいたが、レイネ ルに喝を入れられ、立ち直った。 ライザーとのレーティング・ゲームでは原作通り、体育館ごと眷属4名を撃破した。 ま つ だ だいすけ 松田大輔 種族:転生悪魔︵人間︶ ランク:戦車 年齢:17歳 身長:175cm 19 ブラスティング・ドラム 神器: 爆 裂 真 紅 自らが触れた物及び、自らが﹃身に着けている物﹄が触れた物を爆発物へ変化させ、自 サンバースト・ドラム らの意志で爆破させる神器。 禁手:偽リノ太陽 任意の場所で核融合爆発を発生させる。 性格:基本的に原作通り。 駒王学園2年生。 48話にて良太と共に、一誠と元士郎から悪魔である事を打ち明けられ、先にリアス の眷属になる事を表明した良太に便乗する形で眷属となる。 冥界での合宿では、ドラゴンの転生悪魔タンニーンの指導で、サバイバル同然の特訓 を受けていた。 その後北欧神話の主神オーディンが来日した際、その護衛として同行していたロス ヴァイセに惚れ、オーディンの命を狙って襲撃して来たロキ達との戦いで禁手﹃偽リノ 太陽﹄に目覚め、フェンリルの子であるハティを爆殺した。 襲撃事件終結後オーディンに置いてけぼりにされた事でリアスの眷属となったした ロスヴァイセに告白、受け入れられる。 主人公と、その周囲の人物設定 20 ロスヴァイセ 種族:ヴァルキリー↓転生悪魔︵ヴァルキリー︶ ランク:戦車 年齢:19歳 身長:173cm 3サイズ:96/61/89 性格:基本的に原作通り。 駒王学園教師。 元 は 北 欧 神 話 の 主 神 オ ー デ ィ ン の 護 衛 と し て 共 に 来 日 し た ヴ ァ ル キ リ ー だ っ た が、 オーディンが帰国する際に置いてけぼりにされてしまい、途方に暮れていた所をリアス ば ゆうと に勧誘され、彼女の眷属となり、大輔から告白されて恋人となる。 き 木場祐斗 種族:転生悪魔︵人間︶ ランク:騎士 年齢:17歳 身長:172cm 21 ソ ー ド・バ ー ス 神器:魔剣創造 ソード・オブ・ビトレイヤー 基本的に原作通り。 禁手: 双 覇 の 聖 魔 剣 基本的に原作通り。 性格:基本的に原作通り。 駒王学園2年生。 タスク・エッジ 過去に教会で秘密裏に進められた聖剣計画の被験者で、失敗作の烙印を押され、毒ガ スによって抹殺されかけた所を脱出し、リアスに助けられて眷属となる。 ライザーとのレーティング・ゲームでは、一誠のタスクをベースにした魔剣﹃爪 刃﹄ を活用し、美月とともに相手を翻弄した。 その後、コカビエルと行動を共にしていた聖剣計画の首謀者バルパー・ガリレイとの 戦いを経て禁手﹃双覇の聖魔剣﹄に目覚め、フリードと共に敵討ちを果たした。 フリード・セルゼン 種族:人間↓転生悪魔︵人間︶ ランク:騎士 年齢:16歳 主人公と、その周囲の人物設定 22 キラー・ブラッド 身長:169cm 神器:刺客の血 キ ラ ー ク イ ー ン・ジ ェ ノ ム ブ ラ ッ ド 自らの血液成分を自由自在に変化させる神器。 禁手:死神女王の聖魔血剣 自らの血液を、不定形生物の様に自由自在に操作する神器。 性格:基本的に原作通りだが⋮ 駒王学園2年生で、元はレイネルが進めていた計画に協力していたはぐれ悪魔祓い。 8話にて一誠の説得に応じようとした堕天使達に罵詈雑言を浴びせ襲い掛かるも、一 誠によって返り討ちにされ、その後、一誠の誘いに応じ、悪魔になる決心をした。 ライザーとのレーティング・ゲームではイルとネルの双子を終始圧倒した。 実は祐斗と同じく聖剣計画の被験者だったが、彼もまた失敗作の烙印を押され、毒ガ スによって抹殺されそうになったその時﹃刺客の血﹄が覚醒、中和した事で一命をとり とめるも、その時の記憶を喪失してしまっていた。 その事を気に病んでいたが、一誠の純真な想いを聞いて立ち直り、首謀者バルパー・ガ リレイとの戦いを経て禁手﹃死神女王の聖魔血剣﹄に目覚め、祐斗と共に敵討ちを果た した︵だが木場の、計画当時の名は未だに思い出せない様子︶。 一誠に無断でレイネル達に﹁一緒にくっついちまえ﹂と説得してハーレム創設をお膳 23 ︶ 立てする等、リアスの眷属でのトラブルメーカーと化している場面が多い。 キリト 種族:妖精︵ 性格:基本的に原作通り。 る﹄効果と比べて燃費が悪い。 現在、 ﹃止める﹄効果の他に﹃鈍くする﹄効果も使用出来る様になっているが、 ﹃止め 基本的に原作通り。 神器: 停 止 世 界 の 邪 眼 フォービドゥン・バロール・ビュー 身長:150cm 年齢:15歳 ランク:僧侶︵変異の駒を消費︶ 種族:転生悪魔︵ハーフヴァンパイア︶ ギャスパー・ヴラディ イメージモデルは、デュエルマスターズに登場する﹃ツイート﹄。 フリード曰く﹁面白そうだったから﹂契約した。 フリードの使い魔。 ? 主人公と、その周囲の人物設定 24 駒王学園1年生。 神器をコントロール出来なかった事で原作通り封印されていたが、4章にて封印が解 除される︵これも原作通り︶。 その際も神器を暴走させてしまうも、眷属内で一誠だけが神器の影響を受けなかった 事、その出自を聞いた事で一誠に引き取られる。 もとはまりょうた 元浜良太 種族:転生悪魔︵人間︶ ランク:僧侶 年齢:16歳 身長:170cm 鬱 の 音 インフレーション・デフレーション 神器: 躁 所有者が放つ﹃音﹄に、様々な効果を付加する神器。 性格:基本的に原作通り。 駒王学園2年生。 48話にて大輔と共に、一誠と元士郎から悪魔である事を打ち明けられ、一誠の命を 救ってくれたリアスに恩義を感じ、眷属になる。 25 オペレーション・フォービドゥン ソーナとのレーティング・ゲームでは自らが考案した4 0 3 作 戦が見事に嵌り、 圧勝の立役者となる。 わきざわ か な 以前から美月に想いを寄せていたが、その美月からの告白によって結ばれる。 カラワーナ↓脇澤佳奈 種族:堕天使↓転生悪魔︵堕天使︶ ランク:兵士 年齢:17歳 身長:173cm 3サイズ:110/77/100 性格:原作と比べてかなり熱血漢且つ姉御肌で、口調も荒々しい男性口調になってい る。 レイネルが進めていた計画に協力していた堕天使。 8話にて計画がバレて意気消沈するも、一誠の説得によって悪魔になる決心をした。 八極拳の使い手で、13話で小猫、14話で一誠、ライザーとのレーティング・ゲー わきざわ し ぐ れ ムでミラ、幕間での使い魔契約でシグナーと立ち合った際に圧倒した。 シグナー↓脇澤時雨 主人公と、その周囲の人物設定 26 種族:ウンディーネ 年齢:推定16歳 身長:170cm 3サイズ:100/70/90 佳奈の使い魔。 縄張り争いに生き残るために鍛えられた為か、女性ながら筋骨隆々である。 る り ぼ し みつき その体躯に興味を持った佳奈との試合で敗北した為、彼女の使い魔となる。 ミッテルト↓瑠璃星美月 種族:堕天使↓転生悪魔︵堕天使︶ ランク:兵士 年齢:16歳 身長:141cm 3サイズ:70/50/70 性格:基本的に原作通り。 レイネルが進めていた計画に協力していた堕天使。 8話にて計画がバレて意気消沈するも、一誠の説得によって悪魔になる決心をした。 27 ライザーとのレーティング・ゲームでは祐斗と共に相手を翻弄、最後はシーリスに止 めを刺した。 以前から良太の事が気になっていて、冥界での合宿の折にその想いが良太への恋心で ︶ あると自覚、告白して結ばれる。 クックル 種族:梟︵ 必殺魔力 しきなみ と う や 身長:183cm 年齢:35歳 ランク:兵士 種族:堕天使↓転生悪魔︵堕天使︶ ドーナシーク↓式波塔也 イメージモデルは、デュエルマスターズに登場する﹃火の鳥ペリュトン﹄。 人語を理解出来る様で、美月の申し出を了承して使い魔となる。 小猫より一回り小さいだけの巨躯、炎の様な鮮やかな羽毛を持っている。 美月の使い魔。 ? イメージモデルは、デュエルマスターズに登場する﹃孤独の影ロンリーウォーカー﹄。 塔也曰く﹃愛嬌ある見た目だが、意外と実力はある﹄との事。 塔也の使い魔。 種族:妖精 ジュバ も、引き換えにライザーの両目を潰し、勝利に貢献した。 を繰り広げるも暴発させてしまい、これが原因でリアス側唯一の脱落者となってしまう ライザーとのレーティング・ゲームにおいても虚無を活用してライザーと互角の戦い をぶつけ合う事で、リアスの滅びの魔力に似た現象﹃虚無﹄を作り出した。 堕天使時代から何かしらの工夫を取り入れていたそうで、14話でも闇の魔力と光力 8話にて計画がバレて意気消沈するも、一誠の説得によって悪魔になる決心をした。 レイネルが進めていた計画に協力していた堕天使。 性格:基本的に原作通り。 術。 によって起こる干渉を利用し、リアスの﹃滅びの魔力﹄と良く似た現象を引き起こす技 塔也自身の属性である﹃闇﹄の魔力と、堕天使として持っていた光力をぶつけ合う事 ﹃虚無﹄ 主人公と、その周囲の人物設定 28 29 しとう ◎ミカエルの御使い 紫藤イリナ エース 種族:人間↓転生天使︵人間︶ ナンバー: A 年齢:17歳 身長:164cm 3サイズ:87/59/89 性格:基本的に原作通り。 一誠の幼馴染。 3章にてゼノヴィアと共に来日、一誠と再会したが、当初はゼノヴィアと同じく対立 するも、一誠の想いを聞いて和解、ソーナの保護に入る。 その後聖剣の破片を持って帰国するが、6章にて、天使に転生し再来日、駒王学園に 転入して来る︵4章の会談の際には既に転生していた様子︶。 ○X│LAWS ラキストをリーダーとして活動していた教会の悪魔祓いチームで、程度の差こそあれ ど、全員が一誠を崇拝している。現在は全員がミカエルの御使いとして転生している。 イメージモデルは、ナナ以外はシャーマンキングの同名キャラ。 銃器をメインウェポンとしている、信仰に関して独自の考えを持っている等、悪魔祓 いチームだった頃は﹁異端﹂と呼ばれていたらしい。 ラキスト・ラッソ キング 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー: K X│LAWSリーダー。武器は﹃FN・F2000﹄の他、﹃FN・P90﹄を用いる 駒王学園1年生で、X│LAWSの前線最高指揮官。現在はミカエルの命によって、 ナンバー: Q クイーン 種族:転生天使︵人間︶ メイデン・ジャンヌ X│LAWS副リーダーで、ラキストの息子。 ナンバー: J ジャック 種族:転生天使︵人間︶ マルコ・ラッソ ︵大半のメンバーも同様︶。 主人公と、その周囲の人物設定 30 31 駒王学園に在籍している。武器は﹃FN・F2000﹄の他、グレイプニルを改造した 拷問・拘束器具を用いる。 リゼルグ・ダイゼル 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:7 駒王学園1年生で、X│LAWSメンバー。現在はミカエルの命によって、駒王学園 に在籍している。武器は﹃FN・P90﹄の他、﹃FN・Five│Seven﹄や手榴 弾などの投擲武器を用いる。 ナナ・メビウス 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:2 駒王学園1年生で、X│LAWSメンバー。現在はミカエルの命によって、駒王学園 に在籍している。武器は﹃FN・ブローニングM2﹄を用いる。イメージモデルはGO D EATER2の香月ナナ。 クリス・ブンスター 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:10 主人公と、その周囲の人物設定 32 X│LAWSメンバー。武器は﹃RPG│29﹄と光剣を用いる。チームが保有する 4台の﹃ハマー・H1﹄は彼の私物。 ケビン・メンデル 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:9 X│LAWSメンバー。幼い頃の事故によって義手となった右手の仕込み銃を武器 として用いる。 ハンス・ライハイト 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:8 X│LAWSメンバー。 ミイネ・モンゴメリ 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:6 X│LAWSメンバー。 ジョン・デンバット 種族:転生天使︵人間︶ 33 ナンバー:5 X│LAWSメンバー。 ポーフ・グリフィス 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:4 X│LAWSメンバー。 ラーキ・ディラック 種族:転生天使︵人間︶ ナンバー:3 X│LAWSメンバー。 ◎GRID 一誠が中心となって結成されたロックバンド。ネーミングの由来は、メンバー4人の 名前の頭文字︵﹃G﹄enshiro、 ﹃R﹄yota、 ﹃I﹄ssei、 ﹃D﹄aisu ke︶。 兵藤一誠 パート:男声ボーカル兼ギター 詳細は上記参照。 主人公と、その周囲の人物設定 34 さじ げ ん し ろ う 匙元士郎 種族:人間↓転生悪魔 ランク:兵士︵駒4つ消費︶ アブソーブション・ライン 年齢:16歳 神器: 黒 い 龍 脈 基本的に原作通り。 パート:コーラス兼キーボード 性格:基本的に原作通り。 生徒会の書記も務めている、駒王学園2年生。 一誠が悪魔として転生する少し前、生徒会長である支取蒼那⋮ソーナ・シトリーの誘 いに乗り、悪魔として転生する。 冥界へ帰省していた折に行われた若手悪魔によるレーティング・ゲームでリアス達と 戦って惨敗を喫した事で危機感を募らせ、オーディンが来日したという知らせを受け て、自らも護衛メンバーに加える事を独断で要求、受け入れられて、自らにヴリトラの 意識が宿った神器を移植される。 35 松田大輔 パート:ドラム 詳細は上記参照。 元浜良太 パート:ベース 詳細は上記参照。 オーフィス ウロボロス・ドラゴン 種族:ドラゴン︵無限の龍神︶ パート:女声ボーカル︵兼コーラスのサポートメンバー︶ 性格:基本的には原作通り、だが⋮ カオス・ブリゲード テロ組織﹃禍 の 団﹄元首領。 ア ポ カ リ ュ プ ス・ド ラ ゴ ン 生まれ故郷である﹃次元の狭間﹄に帰る為の障害となる﹃真なる赤龍神帝﹄グレート レッドを排除する為に、協力者と共に﹃禍の団﹄を設立、その首領となるも、タスクA CT4を発現した一誠に恋心を抱き、一方的に脱退する。 その後一誠と出会って想いを告げた事で、一誠の周囲への想いを受け入れる切っ掛け 主人公と、その周囲の人物設定 36 となる。 アーサー・ペンドラゴン パート:キーボード︵サポート︶ 詳細は上記参照。 0章﹃通学路のフォールダウン﹄ ひょうどういっせい ﹂ !? ﹂ ? ﹁ん⋮うーん⋮﹂ ﹂ ﹁えっと⋮きみ、だいじょうぶ⋮ ﹁あ⋮あれ、私⋮﹂ ! ? やだ、私、翼出しっぱなし !? ﹁あ、それって⋮白い⋮はね ﹁え⋮え ﹂ それに、せなかにあるもの⋮これって⋮ た。 ながいかみのけはくろくてつやつやで、目をとじているけどかなりかわいいかおでし まっ白のワンピースをきた、ぼくとおなじかすこし上くらいの女の子です。 なんと、女の子が空からおっこちてきたのです。 ﹁め、目のまえに女の子が いま、ぼくの目のまえで︵ヒュゥゥ⋮ドサッ︶、しんじられないことがおきました。 ぼくの名まえは兵 藤 一誠、6さいの小学1年生です。 1話︳ぼく、出あいました 37 これがぼくの、うんめいのであいでした。 ││││││││││││ ぼくにいわれて、あわてて女の子がけしたとおもうせなかの白いはね⋮あれってもし かして⋮てんしさまのはね⋮ この女の子はてんしさまなのかな⋮ ﹁お⋮お邪魔します⋮﹂ ﹁ただいま∼。おかあさん、この子ちょっと見てほしいんだけど﹂ た。 いろいろききたいことはありますが、とりあえずおうちにつれていくことにしまし ? さまのはねと、目のまえの女の子のせなかにあったはねはそっくりでした⋮もしかして ようちえんのころにいっしょにあそんでいたともだち⋮イリナがいっていたてんし ? だいじょうぶかな⋮あの子⋮ ﹁あ、はい⋮﹂ ﹁分かったわ。遠慮しないで上がってね﹂ ⋮﹂ ﹁かえりみちでたおれていたところをぼくが見つけたの。けがはないみたいなんだけど ﹁お帰りイッセー。あら、その子は﹂ 1話_ぼく、出あいました 38 あそこのまわりにあるおうちよりも、たかいところからおっこちてきたし、あの白い はねがせなかにあったし、あの子がてんしさまなのはまちがいないとおもいます。 イリナがいっていたてんしさま⋮かみさまによってつくられ、せなかの白いはねで空 をとび、わるい人をやっつけるそうです。 そんなてんしさまがみちにおっこちてきた⋮もしかしてなにかあぶない目にあった のかな⋮ ﹁レイネル⋮じゃあれーちゃんだ ﹂ ﹂ ? ﹁れ、れーちゃん⋮じゃ、じゃあ私も、いっちゃんって呼ぶね﹂ ! ﹁私はレイネル⋮レイネルよ﹂ ﹁ぼくの名まえは兵藤一誠。きみは どうしようかな⋮まずはじこしょうかいからだね。 した。 あれこれかんがえているうちに、てんしさまだとおもう女の子がぼくのところへきま ﹁あ、あはは⋮確かにね﹂ だもん﹂ ﹁どういたしまして。でもびっくりしたよ、いきなり女の子が空からおっこちてきたん ﹁さっきは助けてくれてありがとうね﹂ 39 うん、いいよ ! ﹂ ! というもの ? よかった⋮れーちゃんが、なにかあぶない目にあって、おっこちたのかとおもった⋮ におっこちてきたということでした。 のためにここにきたけど、はねのつかいかたにまだなれていなかったみたいで、あそこ まれるよりまえらしいけど︶つくられたてんしさまで、きょうはじめてわるい人たいじ れーちゃんはそのおかしくなったシステムから、ついさいきん︵といってもぼくが生 なくなってしまったそうなのです。 て、てんしさまをつくるシステムがおかしくなってしまって、てんしさまが中々つくれ まの中でえらい人、3つのあつまりのあいだでおこった大きなたたかい⋮それによっ で、だてんしとめいかいをめぐってよくけんかしているそうです⋮とまおうというあく しおきによってなった生きもの、あくま⋮めいかいというところにすんでいる生きもの れーちゃんたちてんしさまとかみさま、だてんし⋮てんしさまがわるいことをしたお がおかしくなってしまったそうです。 かしおこった大きいたたかいのあとから、てんしさまをつくる⋮システム そのてんしさまについては、イリナからきいていたこととほぼおんなじでしたが、む ぼくのそうぞうどおり、れーちゃんはてんしさまでした。 じこしょうかいもおわり、れーちゃんについてのことをいろいろとききました。 ﹁いっちゃん⋮ああ、イッセーだからいっちゃんだね 1話_ぼく、出あいました 40 ﹁さっきも言ったけど⋮ありがとうね、いっちゃん。貴方が助けてくれなかったら私、ど うなっていたか⋮﹂ ﹂ ? け⋮それだけなのに。 い、いやそんな ﹁それでも⋮何かお礼がしたいわ。何が良い ﹁へ ! れているでしょ だからお礼させて ﹂ う、そこまでいわれると⋮そうだ ﹁と、友達 ﹂ ! れーちゃんとぼく、きょうからともだちだよ ? ﹂ ? ﹁じゃあ、ともだちになってよ ! ! ! かしてもらうのはちょっと⋮とやっぱりおもっていたから。 ﹁友達、か⋮うん、分かった。これから宜しくね、いっちゃん ﹂ てんしさまとともだち、じまんになるかなというおもいもあったけど、それでもなに ! ? ﹁うん ﹂ ﹁むしろさせて欲しいの。何かして貰った時には必ずお礼をしなさいって、貴方も言わ !? ﹂ いつもあのみちをとおっていて、たまたまれーちゃんがおっこちてきた、ただそれだ ら﹂ ﹁ううん、気にしないでよれーちゃん。ぼくがたまたまあそこをとおっていただけだか 41 ぼくたちずっと、ともだちだよ ! なんだかたのしくなりそうで、いまからワクワクするなぁ。 こうしてぼくたちはともだちになりました。 ﹁うん、よろしくね、れーちゃん 1話_ぼく、出あいました 42 ﹂ ! 2話︳ぼくたち、むすばれました、けど⋮ ぼくとれーちゃんがはじめてあって、ともだちになってくれたあの日から、ぼくは ﹂ ﹂ れーちゃんによくおどろかされることになりました。 ﹂ たとえば、山に出かけたときは、 ﹁れーちゃん、早くいこう ﹁待っていっちゃん。虫よけスプレーはした ﹁あ、やってなかった。まあだいじょうぶだよ ? ﹂ ? ありがとうねれーちゃん、ぼくあのまま山みちに入るところだったよ﹂ ! ﹂とおどろいてばかりです。 ! 年そうおう⋮ていうのかな、そんなぼくと、おない年なのにすごく大人なれーちゃん がたに、ぼくはいつも﹁すごーい やっぱりてんしさまだからなのか、ぼくとは大ちがいなほど﹃大人っぽい﹄そんなす ぼくを気づかってくれました。 ⋮あとになって、それはれーちゃんの中の人はいっていないよって気づきましたが、 ﹁あ、そっか ! だよ ﹁良くないよ。悪い虫さんに噛まれてそこが﹃肉片も残さないからっ ﹄てなったら大変 ! ! 43 のそんな日々は、びっくりしつつもたのしいことだらけで、むねいっぱいです。 ﹂ そんなある日でした。 ﹁はい、タッチ ﹁いえいっ ⋮それにしてもあせでびっちょりになっちゃったね﹂ ﹁あは、また捕まっちゃったわね﹂ ! ﹁ん どうしたの、いっちゃん ﹂ ﹁じゃあかえろっか、れーちゃ⋮﹂ たになったので、おうちにかえろうと、おもったときでした。 その日もいつもみたいに、れーちゃんとあそんで︵きょうはおにごっこです︶、ゆうが ⋮てんしさまもあせってかくのかな、とちょっとおもいましたが、それはおいといて。 ﹁本当ね。早くお風呂に入らないとね﹂ ! ? ︶ ! ⋮いまの、なに !? ﹂ まるでれーちゃんがかみさまになったみたいでした。 ﹁︵トクン ? ? ま、まさか何処か悪い所が ﹂ れーちゃんがかいたあせで、キラキラしたそのすがたは、なんていえばいいのかな⋮ した。 いつも見ているはずのれーちゃんのすがた⋮それがきょうは、やけにきれいに見えま ? ﹁どうしたのいっちゃん !? 2話_ぼくたち、むすばれました、けど… 44 ﹁あ⋮だ、だいじょうぶだよれーちゃん ﹂ さ、早くかえろう 本当に大丈夫なの ? ! ﹂ ! ││││││││││││ 何処か、痛い所無い ﹁⋮れーちゃん、ちょっといい ﹁いっちゃん。具合はどう ﹂ ? ? ﹂ ? ﹁え ﹂ ﹄って音がしたんだ﹂ そ、それって⋮何時から ? ! ﹁きょうのゆうがた⋮あせかいたれーちゃんのすがたを、見てから⋮﹂ !? ﹃トクン ﹁あ、あのねれーちゃん⋮じつは、れーちゃんのかおを見たら、ぼくのむねからきゅうに きゅうにはずかしくなってしまって、上手くしゃべれなくなっちゃいました⋮でも⋮ ? て見ることにしました。 ︶ ﹁どうしたの、いっちゃん ﹁︵トクン !? あ⋮また、です⋮こんどはれーちゃんの、しんけんそうなかおを見たら⋮ ! 何でも良いから、少しでも気になる事を私に教えて、ね ﹂ あのかんじ、てんしさまのれーちゃんなら、なにかしっているかなとおもって、きい ﹁ううん、ないよ。でもね⋮﹂ ? ﹂ なんだったのかな、いまの⋮ぼくのむねが、きゅうにドクドクして⋮もしかして⋮ ﹁あ、待ってよいっちゃん ! 45 ﹁⋮えっと、それってもしかして⋮﹂ ぼくのはなしをきいたとたん、れーちゃんのかおが赤くなったとおもったら、なにか もごもごといいながら下をむいてしまいました⋮ど、どうしたのかな⋮ も、もしかしてものすごく、わるいびょうきなのかな⋮ ? ﹂ けれどとつぜん、いないはずのだれかにうんといったとおもったら、ぼくをじっと見 ﹁うん⋮言わなきゃ、いっちゃんに、ちゃんと伝えなきゃ⋮﹂ つめて、 ﹁え、え ﹂ いやどうしたのきゅうに ﹂ ﹁良いから触ってよ、ほら ﹁うわっ ふぇ !? ﹂ とつぜんこんなことをいいだしました⋮え、えぇ ? !? これって⋮﹂ ? ︶うぅ、またぼくのむねが⋮ ! ているの﹂ ﹁⋮そう、私もいっちゃんと同じ。今、いっちゃんの顔見ていたら、胸が凄くドキドキし ﹁⋮え ぼくの手をあててきました︵トクン あわてるぼくの手を、れーちゃんはとつぜんつかんだとおもったら、じぶんのむねに ! !? !? !? ﹁いっちゃん⋮私の胸、触って 2話_ぼくたち、むすばれました、けど… 46 ﹂ ﹂ れーちゃんのむねも、ぼくみたいにドクドクしていました⋮れーちゃんも、ぼくとお なじ⋮ ﹁ねぇいっちゃん⋮恋って聞いた事ある ﹁こい⋮えっと、男の人と女の人がしあわせになること ﹂ ? ﹂ ? ﹂ さーん、にー、いち⋮﹂ す、すきです けれど⋮たぶんわかったとおもいます⋮ぼくの、このドキドキは⋮ あわてていっちゃった⋮またびっくりさせられちゃったな⋮ ! ? ﹁わわ、ちょっまって ! ﹁早く答えて ﹁え、そ、それは⋮﹂ ですか、どっち ﹁もうちょっと短く言って欲しいな。じゃあ⋮問題。貴方は私の事が好きですか、嫌い ﹁えっと⋮すごくきれいで⋮かわいくて⋮大人っぽくて⋮﹂ ﹁ねぇいっちゃん⋮私の事、どう思っているかな おかあさんが見るドラマでしか、きいたことありません⋮こい⋮ しながら幸せになって行く事なの﹂ きになって、一緒に付き添ったり、遊んだり、好きって気持ちをぶつけ合ったり⋮そう ﹁うーん⋮ちょっと惜しいかな。恋って言うのはね、男の人と女の人が、お互いの事を好 ? ? 47 ﹂ ﹁そう⋮それが恋よ、いっちゃん⋮貴方も私も、一緒に恋をしたのよ﹂ ﹁え、れーちゃん⋮も か好きになっていたの⋮良かった、両想いだ⋮ れーちゃんも⋮ぼくのことが⋮ よ、れーちゃん ﹂ いっちゃん ﹂ ﹁いっちゃん⋮﹂ ﹁れーちゃん⋮﹂ ﹁︵チュッ︶ん⋮﹂ ﹁うん⋮﹂ ﹂ ﹂ だいすき、だいすきだ 本当に、ありがとう⋮ ﹁れーちゃんもありがとう⋮ぼく、いますっごくしあわせだよ ﹁ありがとう、いっちゃん⋮私の事、好きになってくれて⋮ ! その日、ぼくとれーちゃんはむすばれました。 ! ! れーちゃん⋮かみさま⋮ありがとう⋮いまぼくはすごくしあわせです⋮ ! ! ! ﹁う、うん⋮子供っぽいけど格好良くて、それでいて可愛い⋮そんな貴方を、何時の間に ? もっていました。 すごくしあわせなこの気もち⋮こんなしあわせが、ずっと、ずっとつづけばいいと、お ! ! ! ﹁私も、私も大好きだよ 2話_ぼくたち、むすばれました、けど… 48 ││││││││││││ れーちゃん どこ、れーちゃん ﹂ ? けれど、 ﹁ん⋮あ、あれ ? ﹁あれ、どこいったの、れーちゃん ? どうしたのかな⋮ なんだろう⋮ ? 御免なさい⋮御免なさい⋮ れーちゃん より﹄ う⋮うそ、だよね⋮これ⋮ なんで⋮なんで⋮こんな⋮ ! ! おーい﹂ でも⋮貴方と一緒に居られなくなりました 大好きだよ、いっちゃん ﹃いっちゃんへ ぼくのつくえの上にあった1まいのかみ、とりあえずそれをとってみると、 ﹁⋮ん ﹂ もしかしてさきにおきたのかなとよびかけてみましたが、へんじがありません。 ? ませんでした。 はじめてあったあの日から、ずっとおなじへやでねていたれーちゃんが⋮いまは、い ? 49 ﹁れーちゃん れーちゃん、どこ いるんでしょ なんで⋮なんでいなくなっちゃったの !? ぼくが⋮よわいから へんじしてよ ﹂ ! そのようせいさんが出ているときだけ、つめをピストルみたいにはっしゃしたり、ナ あるときから、ぼくのそばにピンク色のようせいさんを、出せるようになりました。 どんなにいたくても、つらくても、あきらめませんでした。 どんなにしんどくなっても、くるしくても、へこたれませんでした。 うんどうもべんきょうも、ひっしでがんばりました。 つよくなって⋮わるい人をたいじしたいと、おもうようになりました。 このときからずっと、ぼくは﹃つよくなりたい﹄とおもうようになりました。 ││││││││││││ ﹂ ぼくじゃあ⋮わるい人は、たいじできないから れーちゃんが⋮てんしさまだから ぼくが⋮人だから なのに⋮なんで⋮なんで⋮ あんなにすきだといってくれたのに⋮キスまでしてくれたのに !? ? ? ? ! ! ? ! !? !? ﹁れーちゃん⋮れーちゃん⋮ 2話_ぼくたち、むすばれました、けど… 50 イフみたいにバッサリしたりできるようになりました。 またあるときから、ようせいさんがロボットみたいなすがたに、することができるよ うになりました。 ぼくが﹃ちょうほうけいからせいほうけいをつくって、そのあまりからまたせいほう けいをつくって、またそのあまりからせいほうけいを⋮﹄とおもいうかべるとなれるみ たいで、そのときははっしゃしたつめが、すきなところにとんでいくようになりました。 さらにあるときから、ぼくの左うでに﹃ドライグ﹄というなまえの、ドラゴンのおじ さんが入っている、ロボットみたいな赤いうでに、へんけいするようになりました。 このうでは﹃ブーステッド・ギア﹄というなまえの、﹃ロンギヌス﹄というすっごい、 これもすべて⋮つよくなりたかったから。 あぶないときもありましたが、あきらめずにたちむかいました。 テッド・ギアとともに、わるい人たいじをしていきました。 そしてぼくは、 ﹃タスク﹄となづけたようせいさんと、ドライグおじさんのいるブース たす﹄という力があるそうです、すごいです、ドライグおじさん。 ﹃10びょうたつごとに力が2ばいになる﹄という力と﹃ばいにした力を﹃なにか﹄にわ が、とにかくすっごい力をもっているそうです。 ﹃セイクリッド・ギア﹄⋮いっているぼくのほうが、ちんぷんかんぷんになってきました 51 2話_ぼくたち、むすばれました、けど… 52 つよくなって⋮わるい人たいじが、できるようになりたかったから。 つよくなって⋮れーちゃんとまた、あいたかったから。 つよくなって⋮れーちゃんと、しあわせになりたかったから。 そうおもいつづけて、 俺、兵藤一誠は16歳、駒王学園という私立高校の2年生になった。 第1部﹃無限の体現者、兵藤一誠﹄1章﹃旧校舎のディア リアスお姉様だ まず、 ﹁あっ ﹂ ! ﹁あそこにいるのは朱乃お姉様 ﹂ ﹂ ! ! ! ﹂ ! ﹂ とうじょう こ ね こ ! 学園のマスコット、 塔 城 小猫。 ﹁今日も可愛い∼ ﹁あ、小猫ちゃんが来たぞ 学園の2大お姉様こと、リアス・グレモリー先輩と姫島朱乃先輩。 ﹁何時も綺麗です、憧れます ひめしま あ け の そんな駒王学園には、全校生徒に知られた有名な生徒がいる。 の比率が高い︵男子が3に対して女子が7だったかな︶、俺が在籍している高校だ。 私立駒王学園⋮県下有数の進学校で、かつては女子校だった事の名残から未だに女子 3話︳俺、16歳になりました ボロス﹄ 53 ﹁げっ ﹂ 松田が来やがった ﹁元浜までいるぞ 木場君だ ﹂ ば ゆうと ﹂ もとはまりょうた ﹂ ﹂ 痺れるぅ 嬉しい そして、学園のダブルイケメン、 ﹁きゃ き こっち向いた ﹁格好いいなぁ∼﹂ ﹁あっ ﹂ ﹃王子様﹄の木場祐斗と、 ﹁皆、イッセーさんだ 皆おはようさん ! ﹂ ひょうどういっせい お早うございます ﹁今日もすっごく男らしい ﹁おう ﹂ ! ﹂ 何時もと同じく、周囲からの﹃アニキ ﹄やら﹃イッセーさん ﹄といった歓声に迎 学園のエロコンビ、松田大輔と元浜良太。 ま つ だ だいすけ ﹁あ、アンタ達近づかないでよ ! ! ! ﹃兄貴分﹄の⋮俺、 兵 藤 一誠。 ﹁アニキ ! ! ! ﹂ えられながらの通学⋮はは、人気者は大変だな。 ! ! ﹁イッセーのイケメン野郎がぁぁぁぁ ! ! ! ! ! ! ! ! ! 3話_俺、16歳になりました 54 ︶ ﹂ ﹁何でお前ばっかりモテるんだぁぁぁ ﹂﹂ ﹁うるせぇコラ︵ドゴォン ﹁﹁あべしっ ! ﹂ ! ド、暇さえあれば女子の着替えを覗き、挙げ句糾弾されるや否や﹁脳内で犯すぞ ﹂と エロ本やエロビデオの持ち込みは日常茶飯事、口を開けば放送禁止用語のオンパレー れる原因となっているその振る舞いは、俺のちょっとした頭痛の種である。 の親友なのだが、その振る舞い⋮﹃エロコンビ﹄という不名誉な渾名で男女問わず嫌わ スキンヘッドが特徴的な松田と、典型的な眼鏡男子の元浜、この2人は俺の中学から アットで返り討ち、これもまた何時も通りだ。 そして女子に矢鱈と声が掛かる俺に嫉妬心を持った松田と元浜の襲撃をダブルラリ いるぞ﹂ ﹁お前ら⋮自分の胸に手ぇ当てて考えて見ろ。俺が女子だったらお前らの事を軽蔑して !? ! 55 とは言えそんなキャラが何処か憎めず、というかむしろ見ていて面白いと思っている 無茶苦茶な逆切れ⋮これでモテないと嘆くのはお門違いだと皆思うぞ、俺もそう思う。 ! ﹂と誘いもしないが。 俺も、ある意味同類なのかも知れないな⋮まあそうで無ければとっくの昔に絶交してい るし、俺からあの事で﹁一緒にやらねえか ? ﹂ ﹁アニキに何突っかかっているんだお前ら ! ﹂ ﹂ 早く離れなさい また休み時間にな 退散だ ﹁イッセーさんが汚れちゃう ﹁ちっ ﹁イッセー ! ﹂ ! ﹂ ⋮むしろ﹃エロコンビ﹄の親友である俺の身になって欲しいんだが、お前らの為にも。 中々出来ん﹂ ﹁全くだ、毎朝お前のファンに糾弾される俺達の身になってみろ。お前と話らしい話も ﹁そう思うんだったら代われよ﹂ ﹁ようお前ら、朝はどうにか切り抜けたみたいだな﹂ ││││││││││││ も何時もの光景だ。 俺に挨拶していた無数の生徒達に追い掛け回される形でその場を離れた2人⋮これ ! ! ﹁おう、道中気をつけろよ﹂ ! ! ? 来て早々、バンドの予定を話し合う俺達⋮そう、俺達3人︵+もう1人︶は﹃GRI ﹁ああ、分かっているぜ﹂ ボーカルなんだ、お前がいないと締まらないぜ﹂ ﹁ライブもそう遠くないし、1日でも練習がしたい。何よりお前は、俺ら﹃GRID﹄の ﹁まあそれは置いて、今日のバンドの練習だが⋮お前、出られそうか 3話_俺、16歳になりました 56 D﹄という名前のロックバンドを組んでいて、俺はそのボーカル兼ギターを担当してい る︵松田はドラム、元浜はベース︶。 ﹂と声を掛け、 ? ﹂とアホな動機で快諾した2人と組んだのが始ま と思い立ち、真っ先にこの2人に﹁一緒にやらねえか 元々音楽活動に少なからず興味を持っていた俺、駒王学園に軽音楽部があるという話 を聞いてコレだ りだ。 ﹁バンドで活躍してハーレム街道だ ! ﹂ ? ﹁けど悪い。今日は用事があるんだ。また明日呼んでくれないか ﹂ そろそろ全体練習もしないといけないってのに⋮﹂ ? ﹁本当に悪い この埋め合わせはちゃんとするから、な ﹁はあ⋮分かったよ。何時もの事だしな﹂ ! ﹂ ﹁イッセーは良いよな、歌は直ぐ物にするし、ギターも上手いし⋮﹂ ﹁お、おいおいまたかよ ? メンバーは生徒会役員としての活動が主だし、俺は⋮帰宅部だ。 だが﹃GRID﹄のメンバーで軽音楽部に入っているのはこの2人だけ、もう1人の ﹁あー悪い、そればっかりはな。俺は他にもやる事があるんだ﹂ ﹁部長も言っていたぞ、﹁兵藤さえいてくれれば部も安泰だがなぁ⋮﹂ってさ﹂ てくれないか ﹁分かっているなら良いんだが⋮そろそろ﹃応援﹄としてじゃあなくて、部員として入っ ! 57 ? ﹁本番はちゃんとやってくれる。これがイッセーだもんな﹂ ﹁御免な、練習に中々行けない不良メンバーで﹂ ﹄ そして、俺が軽音楽部に入部出来ない原因である﹃他にやる事﹄⋮それが今日やる事 になり、バンド練習を休まざるを得なくなってしまった。 悪いな、松田に元浜、それに⋮⋮も。 ││││││││││││ ﹁情報からして⋮この辺だな、ドライグ﹂ ﹃ああ。力量はそんなに無さそうだ。相棒なら楽勝だが、油断するなよ ? ウェルシュ・ドラゴン 追われて冥界に落ち延びた﹃堕天使﹄、その冥界の覇権を堕天使と争う﹃悪魔﹄、他にも 天界に住まう神様によって作られ人々を導く﹃天使﹄、天使が欲望を抱いた事で天界を 突然だが、この世界に住んでいる高度な知的生命体は人間だけじゃあ無い。 さを誇るドラゴンだ。 嘗ての大戦で大暴れした挙げ句に封印されたが、本気になれば世界でも5指に入る強 そんな俺⋮正確には俺の脳内に直接語り掛けて来るのは﹃赤 い 龍﹄ドライグ。 辺で噂されている﹃何か﹄の気配を探りに此処にきている。 俺が住む街の外れにある、元は何かのビルだった廃墟、今俺⋮いや﹃俺達﹄はその近 ﹁分かっているぜ、ドライグ﹂ 3話_俺、16歳になりました 58 吸血鬼に妖怪に、世界各地の土着の神族⋮そしてドライグを始めとしたドラゴンが、こ の世界で勢力を築いている。 バニシング・ドラゴン 特に勢力の大きかった天使と堕天使、それに悪魔⋮俗に言う﹃3大勢力﹄は、今から 1万年位前にこの世界の覇権を争って戦争をしていた。 だがそこに乱入したのがドライグと、彼と双璧を成す﹃白 い 龍﹄アルビオン⋮何で もこいつら2体が争っている内に乱入したらしい⋮何をしてんだお前ら。 その争いに巻き込まれた形となった3大勢力は戦争どころでは無くなり、共同戦線を 組んで死力を尽くした末に、2体の封印に成功したらしい。 その封印されたドライグとアルビオンはというと、天界の神様が作り出したアイテム 器 ﹄の1つとなり、現代に至るまで何人もの所有者に力を与え⋮そして今、俺に セイクリッド・ギア は、キックバックともいえる存在をも生み出した。 したとの事で、これによって勢力を急速に回復していったそうだが、早すぎる勢力増大 その1つ、悪魔陣営は何やら他の種族を悪魔として生まれ変わらせるシステムを構築 てしまったので、一先ずは不可侵条約を締結、現代まで勢力回復に努めて来たとの事。 を払ってしまい、その大きさは戦争の続行どころか、種族の維持すらも厳しい程になっ 一方の3大勢力、2体の封印に成功したまでは良かったのだが、その為に多大な犠牲 力を与えてくれる。 ﹃神 59 ﹃はぐれ悪魔﹄。 ⋮に反逆、暗殺したり脱走したりでお尋ね者になったいわば 悪魔として生まれ変わった存在が、その強大な力に溺れて、生まれ変わらせた存在⋮ まあ﹃主﹄と言うべきか ﹃犯罪者﹄だ。 それは⋮﹃はぐれ悪魔の駆除﹄。 まあ、それは置いといて⋮俺がバンドの練習を休む要因となっている﹃やるべき事﹄、 たり⋮純粋な悪魔自身が欲望の塊なのだから、それも大いに有り得ると俺は思うがな。 追い詰められた末に強制的に悪魔にされたり、主との軋轢で反逆せざるをえなくなっ 無論、はぐれ悪魔の中にも込み入った事情がある奴もいる。 くという⋮こっちに言わせれば危険極まりないな。 そんなはぐれ悪魔の大半はその大いなる欲望を主に人間にぶつけ、それを満たしてい ? ﹂ ? た。 危ない展開だが⋮下半身が猛獣やら蜘蛛やら⋮とにかく名状しがたい形状の悪魔がい 足音のした方向に振り向くと、そこには上半身丸出しの女⋮此処までなら別の意味で ⋮来たか。 うなのかな ﹁おや、旨そうな匂いがしたが⋮甘いのか辛いのか、それとも酸っぱいのか苦いのか⋮ど 3話_俺、16歳になりました 60 こいつが、今回のターゲットだな。 ﹂ ﹁まあ、あえて言うなら⋮物凄く旨いぞ。尤も⋮食わせやしないがな ﹁舐めるな人間風情がぁぁぁぁぁぁぁ ﹂ ハイジャンプした⋮ボディプレスでもする気か ﹂ だがな⋮ ? 馬鹿なぁぁぁぁぁぁ ! ﹁タスク ︶ぎゃぁぁぁ !? 俺にとって⋮俺の﹃タスク﹄にとってはでかい的でしか無いぜ ﹁︵ザシュゥ ! ! だ。 ﹂ ︵射程は100m位だったかな︶、地面に当てれば車の如く高速移動も出来る優れもの この回転はかなり凄まじく、ナイフの如く切り裂いたり、ピストルの如く発射したり イツが現れている間だけ、俺の指の爪を回転させる事が出来る事も判明した。 化し、俺の意志で現れたり消えたり、そして動いたりしている物だと分かり、そしてコ ある日突然、俺の目の前に現れたタスク⋮観察している内にコイツは俺の精神を具現 コレを﹃爪︵タスク︶﹄と呼んでいる。 精⋮脆弱な﹃人間﹄である俺が、強大な﹃悪魔﹄と戦う為に身につけた﹃武器﹄⋮俺は ⋮独特の音を出しながら高速回転する俺の指の爪、そして俺の側で佇むピンク色の妖 ! 俺の挑発にまんまと乗ったはぐれ悪魔、高速でこっちに接近したかと思ったら、急に ! ! 61 挙げ句の果てに、切り裂く際には俺の意志で斬撃を﹃伸ばす﹄事も出来る⋮最大で5 mも伸ばせると言えば、それがどれだけぶっ飛んでいるかが分かるだろう。 これを用いて俺は、街に入り込んだはぐれ悪魔の駆除というヒーローじみた事をやっ ︶馬鹿な⋮ ﹂ ﹂ ている⋮あの日の、あの出来事を機に俺がした決意の実現の為に⋮ ﹁しゃぁっ ﹁ば︵ザァン ! ! 余裕の表れと言うべきかな ﹄ ﹃しかし相棒の腕を踏まえれば、今回は時間を掛け過ぎな感があるぞ。だがまあ、あれは ﹁おう、ドライグ﹂ ﹃お疲れ、相棒﹄ とどめの一撃を受け、倒れ伏すはぐれ悪魔⋮結果は上々だな。 ! ? 俺はまだまだ未熟さ⋮もっと⋮強くならないと⋮﹂ ? あの廃墟に、俺の事を監視していた奴がいたとは知らずに。 打たねばな﹂ が封印された高位の物が、既に覚醒している筈⋮いずれ我らの脅威になる。早急に手を ﹁あの人間、恐ろしい位の腕前だな。あの独り言からして神器、それも何らかの魔獣の類 ドライグと言葉を交わしつつ、俺は廃墟を後にした⋮ ﹁そうか 3話_俺、16歳になりました 62 4話︳俺達、また会えました、けど⋮ のイニシャル︵﹃G﹄enshiro、 ﹃R﹄yota、 ﹃I﹄ssei、 ﹃D﹄aisu 此処まで来れば分かる奴もいるだろうが、GRIDの名前の由来は、メンバーの名前 た。 ス兼キーボード担当の匙元士郎が、各々の担当楽器をセッティングして待ち構えてい さじ げ ん し ろ う のメンバーである松田に元浜、それに少し色素が抜けた感じの短髪が特徴的な、コーラ ンプ、ヤマハ・THR10を手に軽音楽部の部室を訪ねると、案の定そこにはGRID そんな俺が愛用のエレキギター、ヤマハ・PACIFICA112JLと、ギターア た事から、数日振りにバンドの練習に顔を出せるようになった。 昨日のはぐれ悪魔の駆除も難なく成功し、この街でのはぐれ悪魔の話も聞かなくなっ ﹁本当に悪かったな、松田に元浜、それに匙﹂ ﹁全くだ。昨日、練習に行けないと松田達から聞いた時は﹃大丈夫か⋮﹄と思ったぞ﹂ ﹁ほんと、バンドの華だもんな﹂ ﹁やっぱイッセーが来てくれねえと始まらないからな﹂ ﹁ういっす、早速始めようぜ﹂ 63 ke︶だ。 ﹁じゃあ早速始めようぜ。曲はどうする ﹂﹂﹂﹂ ﹂ ﹁そりゃあ、出だしは﹃アレ﹄しかないだろ ﹁そうだな、﹃アレ﹄か﹂ ﹁よし分かった、﹃アレ﹄だな﹂ ﹁﹁﹁﹁﹃BraveHeart﹄ ﹂ ? ? ││││││││││││ ギターから掻き鳴らす、何度も跳ね上がる豪快な低音から、俺達の演奏は始まった。 ! 匙の奴なんだが﹂ ? ﹁や っ ぱ ド ラ イ グ も 気 づ い て い た か。数 日 会 わ な い 内 に 悪 魔 に 転 生 し た っ て 事 に な る ﹃ああ。あの人間から、悪魔の気配がした﹄ ﹁⋮ドライグ、気付いているか そんな最中、ふと気になっていた事をドライグに聞いてみる事にした。 演奏練習も一通りこなして解散、俺もまた荷物を纏め、校舎を出た。 ﹁おう、また明日な﹂ ﹁久々だったにしては、上手く出来たな。それじゃあな﹂ ﹁そうだな、暗くなっちまったし﹂ ﹁よし、今日の練習は此処までにしようか﹂ 4話_俺達、また会えました、けど… 64 65 しとりそうな な。リアス・グレモリー先輩か、或いは生徒会長の支取蒼那先輩⋮いや、ソーナ・シト リー先輩。匙は生徒会役員も兼務しているから、恐らくはソーナ先輩の差し金だな﹂ そう、バンドメンバーである匙⋮あいつから、数日前には感じられなかった﹃悪魔の﹄ 気配を、今日は感じる事が出来た。 つまりそれは⋮匙がこの数日中に悪魔に転生した、という事になる。 ⋮俺達が在籍している駒王学園、実を言うと悪魔の中でも名門で知られる家柄﹃元7 2家﹄の一角であるグレモリー家が設立した学校で、その影響から重役も悪魔関係者で 占められている。 また、グレモリー家の令嬢であるリアス先輩、更には同じく元72家の一角のシト リー家の令嬢であろう支取蒼那⋮ソーナ・シトリー先輩が、この駒王学園に生徒として 在籍している⋮恐らく人間界で見聞を広めて来い、という意味からだろうな。 入学して直ぐ、駒王学園の敷地内から悪魔、それもかなりランクの高い存在らしい気 配⋮リアス先輩とソーナ先輩の気配がしたので調べてみたら⋮案の定だった。 他にもこの地はグレモリー家が、悪魔関係の管理を担当しており︵早い話が、3大勢 力間での﹃領土﹄って事になるな。人間が認知しているかは知らねぇが︶、主に街に侵入 したはぐれ悪魔や、他勢力の存在の駆除を行っているそうだ。 そして2人の他にも複数、2人が転生させたらしい悪魔が、こちらも生徒として在籍 している。 しんらつばき ゆ ら つばさ めぐり と も え はなかいもも くさか れ や 学園でも︵良い意味で︶有名な存在である姫島朱乃先輩に木場祐斗、塔城小猫ちゃん にむら る る こ ⋮更に生徒会役員である真羅椿姫先輩に同級生の由良翼沙、巡 巴柄に花戒桃、草下憐耶 に1年生の仁村留流子、そして匙⋮今の所悪魔だと確認出来る生徒は以上だな。 ⋮余談だが朱乃先輩と小猫ちゃんからは、悪魔としての気配以外にも人とは違う何か の気配がした。 特に朱乃先輩からは⋮何処かで会った様な存在に似た気配がしたんだが⋮気のせい だよな、まさか朱乃先輩が⋮ 匙の事についての話し合いを切り上げ、家路を急ぐ⋮けれど、丁度良かったかも知れ ﹁そうそう﹂ 的にも似通っているし、杞憂だったな﹄ ﹃そうか。それにあの人間⋮もう悪魔だったな、あいつは相棒とも気心知れた仲。性格 ないがな﹂ ない筈だ⋮尤もそうで無ければ、いくらランクの高い悪魔であっても生徒会長にはなれ だろう。それにソーナ先輩はクールな様で慈愛に満ちている。匙も悪くは扱われてい 先輩とソーナ先輩は幼馴染だと聞いているし、下手な動きはするなと釘をさしてくれる ﹁どういう経緯で匙が悪魔になったかは分からないが⋮警戒する必要は無いな。リアス 4話_俺達、また会えました、けど… 66 ないな。 匙がソーナ先輩によって悪魔となった、つまりは匙が、ソーナ先輩との﹃悪魔関係の﹄ パイプラインを持ったという事でもある。 今後匙を通じてソーナ先輩、更にはリアス先輩と接触出来る様になるかも知れない。 これが何のパイプも無しに接触すればどうなるか⋮所詮は人間の戯言、と相手にされ ないに違いない。 不思議な事だが、俺がはぐれ悪魔の駆除を今までしていて、両者と接触した事が無い。 つまりは俺の強さを両者共に知らないどころか、俺が3大勢力関係の事を知らない 奴、とすら思っているだろう。 だが匙という存在がいれば⋮話は通しやすくなる。 あれから俺は厳しい鍛錬を積み、タスクを手にして使いこなし、そしてドライグとも、 忘れた事も無い、あの日の事⋮あの日、強くなろうと決意した事⋮ ﹁ああ⋮今頃、どうしているのかな⋮早く、会いたいな⋮﹂ ﹃彼女⋮俺が覚醒する前に出会ったと言う、相棒の初恋の天使か﹄ うけど、試してみる価値はあると俺は思うんだ﹂ の消息も掴めるかも知れない。彼女は天使、敵陣営の情報を掴むのは容易じゃないだろ ﹁匙を通してソーナ先輩、欲を言えばリアス先輩と関係を築ければ⋮もしかしたら彼女 67 ドライグを宿した神器をも手にした。 ﹄ まだまだ青二才の未熟者とは言えだ、それでも昔とは大違いに強くなったと俺は思っ ている。 ﹂ ⋮そう、彼女の、天使である彼女の隣に立っても良い位に。 そう、思っていた時、 相棒を取り込む形で結界が展開されている ﹁な⋮空気が、変わった ﹃これは⋮結界だ ! !? るのか な⋮まさか、俺の活動が何処かの勢力にバレて、危ないと思って始末しようとしてい ! 其処⋮﹂ ! ⋮れーちゃん ︵ドズゥッ ︶ぐ⋮ ! かはっ !? ﹂ 突如発せられた殺気に振り向きつつ、放たれたであろう攻撃の風音に向けて爪による ﹁っ タスクを即座に発現し、爪を回転させて周囲を警戒する、と、 ﹁タスク ﹂ 面白い、何処の誰だかは知らないが⋮この﹃赤龍帝﹄兵藤一誠が返り討ちにしてやる !? ! ! !? ? 斬撃で相殺しようとした、ら、 ﹁ !? 4話_俺達、また会えました、けど… 68 ﹁嘘⋮いっちゃん⋮ いっちゃん⋮だったの⋮ ﹂ !? しっかりして、いっちゃん ! ⋮あ、はは⋮うん、私⋮堕ちちゃったんだ⋮10年前の⋮あの日に⋮﹂ ﹁ ! 俺の⋮俺の所為で⋮れーちゃんが⋮堕ちた⋮ ! ﹁あ、あれ⋮その、黒い翼⋮まさか⋮﹂ だが、 ていた。 ウェスト、そして少し張り出し気味ながらも整ったヒップラインと、女性らしさに満ち は、Fカップは有りそうな巨乳に、 ﹃くびれ﹄とはこういう物だと言わんばかりの細めな せ持った顔立ちはより綺麗さを増し、目測で150cm台終盤の上背となったその体躯 つやつやの黒髪は何の劣化もする事も無く健在だった一方、綺麗さと可愛らしさを併 間違いなく俺の初恋の天使⋮レイネルの姿があった。 た存在とそっくりの声に目を向ければ⋮其処には10年の時を経て成長したとはいえ、 胸の痛みと全身から力が抜ける感覚で気絶しそうになりながらも、嘗て愛を誓い合っ ! ││││││││││││ ﹁いっちゃん ﹂ 俺の初恋の天使との再会は⋮胸部を襲う激痛と共に訪れた。 !? ﹁う⋮あ⋮あ、れーちゃん⋮﹂ ! 69 俺が、俺がれーちゃんに愛を誓わせたから⋮ 俺が⋮れーちゃんと出会ったから⋮ ! ﹂ ﹂ 私こそ⋮御免なさい⋮黙っていっちゃんの前から消えて⋮今、いっちゃ ﹁れーちゃん⋮御免⋮俺の⋮所為で⋮れーちゃんが⋮れーちゃんが⋮ んに刃を向けて⋮ ﹁謝らないで ! ! れーちゃんこそ謝るなよ⋮ ﹂ こんなまっ黒な翼を、欲に塗れた翼を、いっちゃんに見られた ﹁れーちゃん⋮そんな⋮事⋮﹂ ﹁嫌われると思ったの⋮ ﹂ ら⋮嫌われると⋮だから⋮だから⋮ ! ⋮言わせてくれ⋮ ! けれど⋮罪だと分かっているけれど⋮1つ言わせてくれ⋮罪深い俺の欲望の限りを ﹃罰﹄なんだ。 そして今、そのツケが俺に回って来た⋮これは俺への﹃罰﹄、天使を籠絡した俺への んだ。 れーちゃんは俺の前から消えざるを得なくなり、堕天使として生きざるを得なくなった 今 こ う し て 再 会 し た 事 で、全 て 分 か っ た ⋮ 俺 が れ ー ち ゃ ん を 堕 天 さ せ た ば か り に、 ! ! ! ! ! ﹁そんな⋮事⋮無い⋮ 4話_俺達、また会えました、けど… 70 ﹁れーちゃん⋮ ﹂ ﹂ ! ﹂ 傷に障っちゃう れーちゃん、 ﹁いっちゃん、しゃべっちゃ駄目だよ ﹁良いから⋮聞いてくれ⋮ ﹂ い、嫌ァァァァァァァ 大好きだ⋮この世で一番⋮愛している⋮ ! いっちゃん !? その日俺は、愛する存在に看取られながら、人間としての生涯を終えた。 ﹁いっちゃん⋮ ! ! ? ! ! 71 い⋮⋮⋮ん⋮⋮⋮ い⋮ちゃ⋮ けれど⋮けれど何れにしたって、運命ってのも悪趣味な奴だ⋮ ! ! いを伝えられた⋮これが成されなければ、死んでも死にきれなかった筈だ、と思う⋮が、 まあ、俺自身の想いとしてはこれで良いかなとは思う⋮最期に彼女とまた会えて、想 俺の﹃彼女に会いたい﹄という願いを叶えた﹃恩赦﹄なのか。 果たしてそれは、初恋の人によって命を奪われるという名の﹃断罪﹄なのか、或いは ! 彼女が堕天してからの10年のツケを、払わされる形で。 あろう事か、俺の初恋の天使⋮いや、堕天使になっていたな、そのレイネルによって。 夜道を歩いていたら、胸を何かでぶっ刺された。 あ⋮そうだ、俺死んだんだっけ。 真っ暗ってこんな感じだったっけ、て言いたくなる程に暗い。 何だか⋮暗いな。 い⋮⋮⋮ 5話︳俺、悪魔になりました 5話_俺、悪魔になりました 72 俺だけの都合ならそれでも良いが、その下手人となった彼女はどうしていた⋮ 泣いていた⋮明らかに泣いていた⋮ 彼女が何をした⋮彼女が一体、何の罪を犯したと言うんだ⋮ 彼女が何故⋮愛する俺を殺してしまうという﹃罰﹄を受けなければならない⋮ い⋮ちゃん ﹂ ﹂ 良かった⋮本当に良かった⋮ だから⋮だから待っていてくれ、れーちゃん いっちゃん ﹁いっちゃん⋮ 良かった⋮良かったよぉ⋮ ⋮俺は⋮俺は、生きているのか⋮ ﹁⋮れーちゃん ﹁うん⋮うん ﹂ ﹂ ! ! あれ、俺は確か公園で死んだ筈⋮それじゃあ此処は⋮ ﹁れーちゃん⋮此処は一体⋮ ﹁いっちゃん、此処は﹂ ﹂ ﹁な﹂ ﹁な ﹂ ? ! ? ! !? ! ! ! ! れーちゃんのあんな悲しい顔を見てしまったからには⋮死んでも死にきれない 前言撤回だ⋮ ! ﹁何じゃ此処はぁぁぁぁぁ !? ? ! ! ? ! ? 73 ﹂ 俺が再び目を開けると、其処は名状しがたい位にオカルト要素満載な部屋だった。 ﹁あら、起きた様ね、彼﹂ ﹂ れ、この声何だか聞き覚えが⋮ ﹁リアス・グレモリー⋮先輩 ﹂ そんな部屋には何故だか知らないが俺とれーちゃん、そしてもう何人かの存在が⋮あ ﹁ええ。色々とありがとうございます ! ﹁ええ、初めましてと言うべきかしら、兵藤一誠君 ! その1人である、れーちゃんに声を掛けた存在に目を向けるとそこには、鮮やかな紅 ? ? の髪に、俺と同じくらいの長身でプロポーション抜群な体躯の美少女、リアス・グレモ リー先輩がいた。 いや、それだけじゃない。 ﹂ !? ﹁やあ、兵藤君﹂ ﹁それに木場祐斗 ﹂ な黒髪に、リアス先輩にも勝るとも劣らない体躯の、姫島朱乃先輩。 リアス先輩と並ぶ﹃お姉様﹄として有名で、れーちゃんにも引けを取らない位に艶々 ﹁あらあら、お早うございますわ、一誠君﹂ ﹁そっちは姫島朱乃先輩 5話_俺、悪魔になりました 74 !? ﹂ 俺とイケメンNo.1の座を争う、金髪でモデル体型の﹃王子様﹄、木場祐斗。 ﹁塔城小猫ちゃんまで ﹁⋮どうも﹂ かな。 ? まあ良いや、俺も気になっている事は山ほどあるしな。 ﹁目覚めて早々で悪いけど、私の質問に答えてくれないかしら ﹁は、はい。分かりました﹂ ﹂ 間⋮だったよな、俺が此処にいるという事は⋮色々と﹃そっち﹄関連で聞かれるって事 それにしても⋮悪魔であるリアス先輩達の本拠地に、堕天使であるれーちゃんと、人 ているなぁ。 俺が落ち着いたのを見計らった様に、お茶を出してくれる朱乃先輩⋮何だか様になっ ﹁あ、どうも﹂ ﹁粗茶をどうぞ﹂ ││││││││││││ た様です。 耳の美少女、塔城小猫ちゃん⋮俺はどうやら、駒王学園の上級悪魔の一角の本拠地に来 学園のマスコットとして人気の、良く言えば可愛い系、悪く言えばロリ体型の銀髪猫 !? 75 ﹁ではまず、これは確認になるけど、﹃この世界について﹄説明してくれる ﹁はい﹂ て貴方の仕業 ﹂ ﹂ が見つかっているわ。昨日もはぐれ悪魔バイサーの死体が見つかっているの。あれっ ﹁じゃあもう1つ確認。数年前から何度か、この街で出没していたはぐれ悪魔の惨殺体 アス先輩は﹁話は早いわね﹂と頷いていた。 ての大戦及びその余波を、れーちゃんやドライグから教わった事を全て説明したら、リ リアス先輩に促され、俺は﹃この世界について﹄⋮3大勢力その他大勢による情勢、嘗 ? かれ、知り合いを通じて挨拶に伺うつもりでしたが⋮すいません﹂ ﹁はい。数年前から俺、はぐれ悪魔の駆除をしていました。リアス先輩達にも遅かれ早 バイサー⋮きっと昨日俺が倒した奴の事だろう⋮まあ、隠す気も無いしな。 ? て事は、堕天使陣営かな 悪魔とも渡り合える実力と、その身に宿した強力な物と思われる神器⋮その両方を危惧 ﹁単刀直入に言うわ、一誠君⋮貴方は狙われたの。人間でありながら高ランクのはぐれ ? ⋮色々と突っ込み所があったが、やっぱり俺狙われていた訳か⋮れーちゃんが来たっ 納得ね⋮﹂ ﹁⋮神器を宿しているとはいえ、兵士の駒8個でも全然足りない筈だわ⋮狙われるのも 5話_俺、悪魔になりました 76 した堕天使にね⋮レイナーレ、後は頼めるかしら ﹂ ﹂ ⋮へ、レイナーレって誰だ⋮と言うか何でれーちゃんが反応しているんだ ﹁⋮はい﹂ ﹁いっちゃん⋮良く、聞いてね リ ゴ リ 天使と、はぐれ悪魔祓い達を連れてこの街の廃教会に潜伏、そのシスターも、この街に リに身を寄せて来たのを聞いて、それを私の物にしようって決めたの。3人の部下の堕 たの。いっちゃんにも宿っている神器⋮その1つを宿しているシスターが最近、グリゴ くて、至高の堕天使になるんだと決めて、私は⋮今になって恐ろしいと思う計画を立て ﹁アザゼル様やシェムハザ様の期待に答えたくて、私を馬鹿にした堕天使達を見返した そして、 ムハザから気に掛けられていた事。 そんな中で、堕天使の組織﹃神の子を見張る者﹄代表であるアザゼル、副代表のシェ グ 無かった事で、力のある堕天使から蔑まれて続けていた事。 人間である俺との恋が原因で堕天した事、堕天使としては下級から中級程度の力しか 俺に嗅ぎつかれるのを恐れて﹃レイナーレ﹄という偽名を名乗っていた事。 ? ? それかられーちゃんから、俺と別れてからのありのままを聞いた。 ﹁う⋮うん﹂ ? 77 赴任するという形でおびき寄せて、儀式によって奪い取ろうって決めたの﹂ そ⋮そんな事を⋮多分、そうしなければならない程、れーちゃんへのバッシングは苛 烈を極めていたのだろう⋮そんなれーちゃんの状態に気付かずに、何をしていたんだ俺 は⋮ ﹂ ﹁れーちゃんが謝るなよ いっちゃんだと気付かずに、私はあの場で貴方に攻撃した⋮そ 悪いのは俺だ 俺が、俺がれーちゃんを堕天させたから、俺が ! ! ﹂ ? ﹁それは私から説明するわ﹂ こうして会話出来るんだ 10年もれーちゃんをほったらかしにしたから⋮けれど、俺死んだ筈なのに、何で今も ! してそれが貴方の胸部を貫いて、そして一度死んだの⋮本当に⋮本当に御免なさい⋮ ! な⋮ 昨日って事は⋮ああ、バイサーを駆除した時か⋮まさかあの現場を見られていたとは いっちゃん⋮﹂ い る っ て 情 報 を 持 っ て、始 末 す べ き と 進 言 し て 来 た の。そ う ⋮ そ れ が 貴 方 だ っ た の、 魔をいとも簡単に倒した人間が、高ランクの神器を既に覚醒させていると思しき人間が ﹁そんな中昨日、部下の1人であるドーナシークって名前の堕天使が、この街ではぐれ悪 ! ﹁本当に御免なさい⋮ 5話_俺、悪魔になりました 78 俺の疑問を待っていたかの様なベストタイミングで割って入るリアス先輩⋮何だか さっき兵士の駒だか何だかと言っていたけど、それと関係があるのか ? り上げていたわね。その手段を用いて、貴方を悪魔として蘇らせたの。これでね﹂ ﹂ ? ﹁駒4つが脈動って⋮もしかしてコイツですか イーヴィル・ピース ﹂ ⋮へ、色々突っ込みたい所があり過ぎるけど特に、 にひとりでに入って行ったし⋮﹂ ⋮かと思ったら駒のうち4つが突然心臓の様に何回か脈動したかと思ったら貴方の方 して貴方の蘇生を懇願するし、引き受けたら引き受けたで兵士の駒8つでも足りないし ﹁そうね⋮でもびっくりしたわ。堕天使の気配を辿って来てみればレイナーレが土下座 ﹁へぇ⋮これが。悪魔の技術って凄まじいですね﹂ ⋮まあ此処は貴方の説明でも取り上げられていたから省略するわね﹂ 取り込ませる事によって悪魔として転生出来るの。そしてその悪魔に転生した種族は ﹁これがその悪魔として転生させるアイテム、 ﹃悪 魔 の 駒﹄よ。これを使って他の種族に か。 説明と同時にリアス先輩が取り出したのは、チェスで使われる駒⋮形状からして兵士 ﹁これは⋮チェスのピース ポー ン ﹁他の種族から悪魔に生まれ変わらせる事に関して、さっき貴方はこの世界の説明で取 79 ? ﹃やっと俺の出番か⋮会話に入りづらいったらありゃしない﹄ 手﹄かしら ﹂ 悪かったなドライグ⋮そう思いつつ、俺の左腕に宿った神器を展開する。 の トゥワイス・クリティカル ﹁その形状⋮もしかして﹃龍 ⋮ ﹂ ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア ﹁ドーナシークの報告からして亜種、それも何らかのドラゴンの魂が宿った最高位の物 ? ﹄ 角、ドライグが封印された﹃神滅具﹄です﹂ ロンギヌス ﹁いいえ、違います。これは﹃赤龍帝の籠手﹄⋮かつての大戦で暴れまわった二天龍の一 ? !? い。 有者の身体能力を一時的に倍にする能力を持っているが、そこまで珍しくない神器らし ちなみにリアス先輩が言っていた﹃龍の手﹄とはいわば赤龍帝の籠手の下位互換版、所 それ程までに、神滅具というのはレアなのだ。 数値が出るに違いない。 範囲を広げて捜索しようものならどれだけの労力が必要になるだろうか⋮天文学的な その1人しか持ちえない物の所有者を、この広い世界を、天界・人間界・冥界にまで 神滅具は文字通り1点もの、同じ時に2人以上が所持する事などあり得ないのだ。 ⋮凄い驚き様だな、まあそれもそうか。 ﹃ろ、神滅具 5話_俺、悪魔になりました 80 ﹁けれど納得ね⋮赤龍帝の籠手の能力﹃倍化﹄と﹃譲渡﹄⋮これによって駒の価値が跳ね 上がったと考えれば、あの脈動も説明できる﹂ どうやらリアス先輩も俺と同じ結論に至ったのだろう、驚きもそこそこに何か得心が いった様な口振りで独り言を言っていた。 リアス先輩が言っていた﹃倍化﹄と﹃譲渡﹄、これが赤龍帝の籠手の、神器としての能 力だ。 ⋮そう、リアス先輩が言っていた駒の脈動は、倍化と譲渡によって駒の価値が跳ね上 に絞って譲渡する事も出来る︵ある能力、の場合は所有者自身でもOK︶。 この﹃誰か﹄や﹃何か﹄の範囲は物凄く広く、人や物体、挙げ句の果てにはある能力 ﹃何か﹄︶に渡して、その能力を強化させるという物。 そしてもう1つの能力﹃譲渡﹄は、倍化によって上昇した能力を、 ﹃誰か﹄ ︵若しくは う訳だ。 制限が無いだけだが︶、時間の許す限りは際限なく上昇させる事も不可能では無い、とい 力上昇なのに対し、この赤龍帝の籠手は能力上昇の制限が無く︵あくまで神器としての 此処までなら龍の手でも出来そうに聞こえるが、最大の違いは龍の手が1回限りの能 oost﹄という電子音声と共に能力が倍になって行くという物だ。 ﹃倍化﹄は文字通り、所有者の能力を倍にする能力で、神器を展開中は10秒ごとに﹃B 81 がった際に見られた現象だ、俺はそう思う。 ⋮ともかく、色々と異常な現象が起こりはしたが、俺はリアス先輩のお蔭で⋮悪魔と してだが⋮こうして生き長らえる事が出来、再びれーちゃんと一緒になる事が出来た⋮ 経緯は凄まじかったけど。 その恩は⋮俺にとっては言葉に出来ない位に重い。 貴方の為に、俺はど ﹁リアス先輩⋮貴方のお蔭で、俺はまたこうして生きる事を許されました。そしてまた れーちゃんと、会う事が出来ました。この恩は⋮絶対忘れません ﹂ ! ありがとう⋮でも、礼ならレイナーレ⋮レイネルと呼んだ方が良いかしら⋮ んな困難にも立ち向かう所存です ﹁そ、そう ! いたって事よ﹂ ドも何もかも投げ捨てて土下座で貴方の蘇生を懇願して来たもの。余程貴方を好いて 物だし、此処が悪魔の管理下に置かれている以上無礼討ちも考えられる状況で、プライ 彼女に言った方が良いわ。貴方が死んだ原因が彼女だったとは言っても事故みたいな ? う⋮ ﹂ ﹁そ、そんな 私が撒いた種だから⋮でも、良かった⋮本当に、良かったよぉ⋮ ﹂ ! ! 感謝の言葉もそこそこに、俺達は人目も憚らず抱き合った⋮10年という空白を埋め ! ﹁そうですね⋮れーちゃん、ありがとう。俺を助けてくれて⋮愛してくれて⋮ありがと 5話_俺、悪魔になりました 82 83 るかの様に⋮ 6話︳彼女も、悪魔になりました 夜遅くになったから続きは明日ね、というリアス先輩の指示に従い、俺とれーちゃん は家に⋮れーちゃんの場合は10年振りの俺ん家、だな⋮帰る事にした。 ﹂ ﹂ そんな最中、俺はあの場でずっと気になっていた事をれーちゃんに聞いてみる事にし た。 何、いっちゃん ﹁そういえばさ、れーちゃん﹂ ﹁ん ? 思う。 恐らく、俺が悪魔として転生したと同時に、れーちゃんも転生したんじゃないか⋮と と共に、悪魔としての気配も感じ取れる様になったんだ。 そう、俺があの部屋で目覚めて以来、れーちゃんからは今までの堕天使としての気配 ﹁れーちゃんから、悪魔の気配がするんだけど⋮れーちゃんも、悪魔に転生したのか ? ? から、グリゴリに戻っても居場所は確実に無くなるって考えもあったけど⋮彼女は堕天 土足で踏み入った上に、計画も未遂とは言っても、既にいっちゃんを一回殺しちゃった ﹁うん、リアスさんから勧められてね。事前情報に無かったとは言っても悪魔の領域に 6話_彼女も、悪魔になりました 84 使である私の願いを聞き入れてくれた、それも自分の管理下でとんでもない罪を犯した 私をも勧誘してくれた⋮凄く、嬉しかった。何か彼女の為にしたいって思ったの﹂ そっか、あの時そんな事もあったんだ⋮ 何やら暗い表情をしていたから⋮まだ、引き摺っているのか⋮ ﹂ ! 埒が明かないな⋮よし ﹁で、でも⋮﹂ ﹁じゃあ、こうしよう。俺はれーちゃんを、 ﹃天使としての﹄れーちゃんを殺した責任を ! 目にあっている事をずっと知りもしなかった⋮謝るのはこっちの方だ﹂ れから10年間、俺はれーちゃんがバッシングというか苛めというか、ともかくそんな ﹁れーちゃんが謝る事は無いよ⋮そもそも俺が、れーちゃんが堕天した原因な訳だし、そ ちゃんは⋮本当に⋮本当に御免なさい ⋮一度はいっちゃんを殺しちゃった⋮リアスさんが助けてくれなかったら、今頃いっ ﹁ねぇ、いっちゃん⋮本当に、本当に御免ね⋮私の勝手で10年も離れた挙げ句に、一度 ? れーちゃんそれ蛇足⋮という突っ込みをしようとしたが躊躇われた。 ﹁あ、そ、そうだったんだ⋮﹂ 象も何にも無かったけどね﹂ ﹁私もいっちゃんと同じ、兵士だよ。まあ私はいっちゃんと違って1個だけだし、変な現 85 で、でも﹂ ﹂ 取る。れーちゃんは俺を、 ﹃人間としての﹄俺を殺した責任を取る。うん、そうしよう ﹁ふぇ ﹁ほられーちゃん、どうやって責任取って欲しいか、言って ﹁え、えっと⋮﹂ ﹂ ! もう一生⋮離れないで⋮ ﹂ 私の勝手な都合だったけど、10年離れ離れになった から⋮その埋め合わせをして欲しい⋮ ! ! の立場だったら、10年前のあの日、きっと離れる選択をしていたと思うから。 客観的に考えれば身勝手なお願いだが、俺はそう思わない⋮俺だってもしれーちゃん ! ﹁じゃあ⋮一緒にいて欲しい⋮ 俺の、一見すると無茶振りに等しい質問にあたふたするれーちゃんだったけど、 ? !? ! いでくれ﹂ ⋮は、はい⋮ ! ﹁ただいま∼﹂ ││││││││││││ 俺は⋮彼女と共に進む。 俺のれーちゃんへの気持ちは揺るぎないし、れーちゃんだってそうだと思っている。 俺も同じ様なお願いだった⋮よくよく考えたらこれプロポーズだよな⋮まあ良いか、 ﹁ ﹂ ﹁分かった。じゃあ俺からは⋮これからもずっと、一緒にいてくれ。俺の側から、離れな 6話_彼女も、悪魔になりました 86 ﹁あら、一誠。遅かったわね、何か⋮あれ、その子⋮﹂ 俺にとっては何時もの、れーちゃんにとっては10年振りの、我が家。 ﹁お⋮お久しぶりです⋮﹂ さ、上がって ﹂ ﹂ 俺の帰宅を待っていた母さん、れーちゃんの姿を見て、何か逡巡する様な顔だった⋮ あら、大きくなったわね 暫く見ない内に随分と大人っぽくなったね ! まあ10年だからな⋮ 久しぶりだな ﹁ひょっとして⋮れーちゃん ﹂ ! もう二度と⋮俺はもう二度と、れーちゃんを離さない⋮ ﹂ 絶対に彼女と共にある、彼女を護って見せる ││││││││││││ ﹁来たわねイッセー、レイネル﹂ ﹁はい、宜しくお願いします、リアス先輩 ﹁私からも、宜しくお願いします、リアスさん ﹂ ! ! ! ! 本当に⋮本当に良かった⋮れーちゃんが、帰って来てくれて⋮ 10年、10年振りの⋮俺、父さん、母さん、そしてれーちゃん⋮4人のいる兵藤家。 ! ﹁は、はい ﹁やぁ、れーちゃん ! ﹁はい、お久しぶりです。おじさんもおばさんもお変わりないみたいで﹂ ! ! ? 87 翌日の放課後、木場の案内で昨日の部屋⋮どうやら駒王学園の旧校舎にある、オカル ト研究部の部室だった様だ。確かにオカルト満載だったな⋮に招かれた俺とれーちゃ クイーン ん⋮まだ色々な手続きが済んでいない為、直接来たらしい⋮は、改めてメンバー紹介を 受ける事になった。 ナイト ﹁私は姫島朱乃、リアスの女王ですわ﹂ ルー ク ﹁僕は木場祐斗、リアス部長の騎士だよ﹂ キング ﹁⋮塔城小猫、リアス部長の戦車です﹂ あってまだ紹介できる状態じゃないの。御免ね﹂ ﹁そして私は、 王のリアス・グレモリーよ。私の眷属は他にも1人いるけど、諸事情が 余程気配を隠すのが上手いのか、 ⋮おかしいな、俺がこの学園内で感じ取った悪魔の気配は、匙を含めた生徒会メン バーを除くと、目前の4人だけだった筈⋮もう1人 ⋮まあ良 宜しくお願いします 或いは厳重な封印が施されているのか⋮リアス先輩の話からして後者かな いか。 ﹂ ! た。元堕天使で、色々と分からない点はありますが、宜しくお願いします﹂ ﹁レイネル・ブリュンスタッドです、いっちゃんと同じく、リアスさんの兵士となりまし ! ? ? ﹁俺は兵藤一誠、今回縁あって、リアス先輩の兵士となりました 6話_彼女も、悪魔になりました 88 れーちゃんはグリゴリ、及びこの街に潜伏している堕天使の集団から無断で眷属悪魔 となったので、追手を避ける為に名字を付けて貰った︵堕天使としてはレイナーレとい う名前で通していたので、レイネルに戻しても問題ないと判断した︶。 ﹂﹂ ! そして、俺達の悪魔としての生活が、本格的に始まった。 ﹁﹁はい ﹁私達オカルト研究部は、貴方達2人を歓迎するわ⋮悪魔としてね﹂ 89 7話︳俺、シスターを確保しました しとう そこに⋮そのボロボロになった教会に件のシスター、アーシア・アルジェントが赴任 運命で、こうして経年劣化という名の運命を歩んでいる現状だ。 尤も今、聖職者は既に出払った状態、管理する人がいない以上老朽化は避けられない おっと、話が逸れたな。 かの国の聖職になったと両親が言っていたが⋮ 逸話を聞いたりしていたっけな⋮今どうしているんだろう、手紙だとヨーロッパの何処 アイツとはいわば親友みたいな間柄、何時も日が暮れるまで遊んだり、神や天使達の た時、アイツが良くお祈りを捧げていた教会だ。 この教会は、俺がれーちゃんに会う前⋮幼馴染の女の子、紫藤イリナがまだ日本にい 対して、こんなコメントを呟いていた。 長って呼んで﹂と言われたからな⋮の兵士となった翌日の今、俺は横目に見えた教会に ポー ン れーちゃんと2人、リアス部長⋮オカルト研究部に入部すると共に﹁これからは部 げな感じだけどな﹂ ﹁暫く見ない内にボロくなっちまった物だな、この教会。肝試しとか秘密基地には良さ 7話_俺、シスターを確保しました 90 する形でやってくる、れーちゃんはそう証言していた。 その話が本当なら⋮良く考えられた計画だ。 教会はいわば天使陣営の領域、この街が悪魔の管理下であってもそれは同じな所謂 つまりは⋮﹃無断で他国に押し入って住民を連続で殺害した﹄⋮立派な戦争行為だ。 をも行おうとしている。 の強奪を、彼女の殺害⋮何らかの形で神器を抜き取られた人間は死んでしまうらしい⋮ そして既に、俺の殺害という罪を犯した上に、今度はアーシア・アルジェントの神器 れーちゃんも言っていたが、この街に堕天使達が入る事、それは不法入国と同じ。 ⋮まあ1つ見落としていたとすれば、この街が悪魔の管理下にあったという事か。 グリゴリに無断で実行に移したのだろう。 時に神器を持っているアーシア・アルジェントの存在を聞きつけ⋮そしてあの計画を、 だがそんな情報をれーちゃん達、この街に潜伏している堕天使達は入手し、そして同 まい。 のだが、そんな敵対する陣営が喜びそうな情報を、バカ正直に報告する輩もそうそうい 今となっては聖職者が撤収し、管理を放棄した以上、その領有権は無いと言って良い らないのだ⋮関わればそれは天使陣営に対する宣戦布告と同義となるが故に。 ﹃飛び地﹄となっている⋮つまり教会内での出来事に悪魔陣営は介入出来ない、してはな 91 更にそれを上層部に無断で実行した⋮れーちゃんの話だとグリゴリの幹部たちは、コ カビエルという最上級堕天使を筆頭とした一部過激派を除いて、戦争を望んでいないら しく、それに繋がる行為を禁じているらしい⋮となるとグリゴリに戻れば即刻死刑、悪 魔陣営に捕まればトカゲの尻尾切りの如く見放されるに違いない⋮れーちゃんも、その 点もあって悪魔への転生に踏み切ったと言っていたからな。 ⋮ともかくだ、この街で余りにもおぞましい計画を実行に移そうとしていると聞いた 以上、黙って見ている訳には行かない。 ? アーシア・アルジェントが奴らの手に渡る前に、食い止める。 そして︵ドテッ︶ん⋮ ﹂ ! 全開の展開を繰り広げていた⋮ 見ると彼女はシスター服を着用している⋮もしやアーシア・アルジェントか ﹂ ? かる方法を授けるじーさん︵自称︶みたいな⋮ ⋮これが神の試練だとしたら、神は相当な不条理キャラだぞ⋮某あらゆる危機から助 のでしょうか⋮ ﹁はぅぅ⋮何故何も無い所で転んでしまうんでしょうか⋮これも神から授かった試練な ? そう決意した俺の目の前で、女の子が何も無い路面でずっこけるというドジっ娘属性 ﹁はわぅ 7話_俺、シスターを確保しました 92 ﹂ ありがとうございます ﹁⋮大丈夫か、君 ﹁あ、はい ﹂ ﹁見た所教会のシスターみたいだけど⋮どうしてこの街に ! ? 事だ。 ﹁俺は兵藤一誠。君は ﹂ ﹂ ﹁アーシア⋮君がか。実を言うと俺、君を此処に呼び寄せた存在⋮レイナーレに、君をあ 念の為名前を聞いてみたが⋮間違いなかったな。 ! ? ﹁アーシア・アルジェントです ﹂ 生悪魔も例外ではない⋮故に俺には彼女の話す言葉が日本語として聞き取れる、という いわば自らの最も理解出来る言語に自動翻訳する能力があるらしく、悪魔の駒による転 なら何故こうして普通に喋れているかと言うと、部長曰く悪魔には多言語理解能力⋮ 分かるが︶。 安心しているという今の構図だが、俺は日本語以外まともに喋れない︵英語は辛うじて ちなみに彼女が、言葉が通じないと困っていた所を、言葉が通じる俺が通った事で一 ⋮今の台詞で断言して良いだろう、彼女がアーシア・アルジェントだ。 尋ねても言葉が通じず困っていた所なんです﹂ ﹁はい⋮実はこの街の教会に赴任する事になっていたのですが、道に迷ってしまって⋮ ? ! 93 ﹂ ﹂ ﹂ る場所に連れて来て欲しいって頼まれたんだ﹂ ﹁れ、レイナーレ様が ﹁ああ、良かったら付いてきてくれないか ﹁はい、宜しくお願いします、イッセーさん ? ﹂ あ、いえ、お構いなk︵グゥゥゥ︶は、はわわ ! ? て行っても良いが⋮ ﹁ふぇ ﹂ ともかくアーシアとの接触、及び確保に成功した俺、このまま真っ直ぐオカ研に連れ 来るのはどうかと思うぞ。 ⋮少し警戒しようか、幾ら上司の名前を出して来たからって、簡単にホイホイついて ! ? ││││││││││││ か。 分からないし⋮回転寿司屋⋮は今開いているか分からないし⋮安直だが、 ﹃もす﹄にする 彼女を朝食に連れて行く事にする⋮とは言え何処にするか⋮牛丼屋⋮は箸使えるか ﹁あ、は、はい⋮お願いします﹂ だ。俺が奢るぜ﹂ ﹁遠慮するなよ。こんな朝から教会に向かっているとあれば、碌に朝飯摂っていない筈 ? ﹁アーシア、お腹空いていないか 7話_俺、シスターを確保しました 94 カルチャー ﹁はぅぅ⋮ハンバーガー1個まともに買えないなんて⋮﹂ 近所のもす⋮もすバーガーに来た俺達だったが、此処でもアーシアが外国出身故に言 ﹁気にするな、 文 化の壁って奴だ﹂ 葉が通じない問題が発生、しかも教会育ちだった事でハンバーガーを見た事が無く、知 識も少ない状態だったので中身の判別も写真だけでは不可能という問題も起こった。 仕方ないのでメニューの説明を、俺がする事になり、結果頼んだメニューは⋮俺と同 ﹂ じライスバーガー︵パンの代わりに、マフィン型にご飯を固めた物で、ハンバーグを挟 んだメニュー︶だった。 ﹁ほぇー、お米で挟んでいるんですか。凄いです、流石日本のハンバーガーですね ! ﹁こんな感じだ﹂ あむっ⋮美味しいです ! ││││││││││││ そんな彼女の微笑ましい食べ方を見ながら、俺達は朝食を済ませた。 ﹁は、はい ﹂ く⋮アーシアが参考にする以上、行儀良く、な。 見た事が無い以上、食べ方も恐らく知らないと思い、様子が良く見える様にかぶりつ ニューだよな。ところで食べ方だが⋮見ていな﹂ ﹁ああ、郷に入っては郷に従えって諺が日本にはあるんだが、それを地で言っているメ ! 95 ﹁さて⋮此処だ﹂ ﹁此処って⋮学校ですか ついて来てくれ﹂ ﹂ ﹁ああ、駒王学園⋮俺が通っている学校なんだ。レイナーレも此処にいる。それじゃあ、 ? ある。 アーシア⋮絶対に君を死なせはしない ! それから俺達は学校に到着した⋮今日はこの件もあって、前以て遅刻する連絡をして ﹁はい、イッセーさん﹂ 7話_俺、シスターを確保しました 96 8話︳俺達、説得しました ﹂ ﹂ 朝ごはんをご馳走になったばかりか、食べ方もレクチャーしてく ﹁来てくれたわね、アーシア。いっちゃんは、良くしてくれた れました ﹁はい、レイナーレ様 ! ﹁あれ、アーシア ﹂ ﹁はい、失礼しま⋮﹂ ﹁着いたわ、此処よ﹂ そう俺が決意していたその時、オカ研の部室前に到着した。 たに違いない。 ⋮あんな計画を立てて実行するまでにやさぐれていた程だ、それはそれは酷い扱いだっ さだけを捉えて蔑んで来た堕天使の連中に﹃ふざけんな﹄と怒鳴り散らしてやりたいな こんな良い娘を、ずっとほったらかしにしていた俺が言えた話じゃないが、能力の低 で談笑していた⋮やっぱり、れーちゃんの心根は10年経っても変わっていないな。 オカ研の部室に向かう途中でれーちゃんと合流した俺とアーシア、目的地へ向かう中 ﹁そう、良かったわね﹂ ! ? 97 ? ⋮まあ俺だって最初にオカ研の部室を見た時は驚きの余り叫びまくった物だ、アーシ ﹂ ﹂ アが驚きの余り硬直するのも無理は無いわな。 私は一体 ﹁アーシア、大丈夫か ﹁はっ ? ? ﹂ ! ﹂ ? 属は皆授業の為に出払っているからだ。 スタンバイしていた部長が声を掛けて来た⋮尚此処には部長以外の姿は無い、他の眷 ﹁は、はい ﹁いらっしゃい、貴方がアーシア・アルジェントね 改めてオカ研の異様な風景に、アーシア共々苦笑いを浮かべていると、 ﹁驚くのも当然ね⋮何しろ⋮﹂ !? ﹁リアスさんですね、初めまして アーシア・アルジェントです ﹂ ! 解決して見せます﹂ ﹁部長⋮私の我儘を聞いて頂き、本当にありがとうございます。今回の件は⋮ちゃんと ﹁それじゃあ部長、行ってきます﹂ る応対をする部長⋮此処は大丈夫な様だ。 にこやかに自己紹介するアーシアと、元シスターが相手でも普段通り慈愛の感じられ ! ﹁初めまして、私の名はリアス・グレモリー。この駒王学園オカルト研究部の部長よ﹂ 8話_俺達、説得しました 98 ﹂ ﹁気を付けてね一誠、レイナーレ。相手は下級とはいえ堕天使、少しでも対応を誤れば死 ﹂﹂ は免れないわ﹂ ﹁﹁はい ﹁あの⋮イッセーさんにレイナーレ様、どちらへ けれど計画立案者であるれーちゃんと、部長の眷属から俺だけ、であればその言い掛 ゴリのコカビエル辺りがやりそうだ。 ればそれを口実に﹃悪魔側に宣戦の意志あり﹄と言い出す輩も出るかも知れない⋮グリ しい計画を実行しようとしている⋮という動かぬ証拠を持っていても、大人数で襲撃す 幾ら悪魔の領域内で、天使陣営の領有権が失われている廃教会を拠点に潜伏し、恐ろ 廃教会に到着した俺達⋮ちなみに部長以外の面々を授業に出させたのは俺の提案だ。 ﹁了解﹂ ﹁うん⋮部長も言っていたけど、気を付けてね﹂ ﹁じゃ、行って来るよれーちゃん。合図があるまで待機していてね﹂ ││││││││││││ わっている連中の本拠地となっている、あの廃教会へ。 アーシアの疑問と、それに答える部長の声を背に、俺達は向かう⋮今回の計画に関 ﹁ちょっとお話をして来るだけよ。貴方の勤務先にね﹂ ? ! 99 かりは無理がある。 それに相手が数十人の大勢であろうと、これまではぐれ悪魔の駆除をしていた俺、そ の状況も何度かあったし、何れも問題なく対処した⋮今回も難なく切り抜ける自信はあ る。 ⋮尤も今回の相手は堕天使達にはぐれ悪魔祓いの集団、俺達悪魔にとって天敵である 光力を使う以上、警戒するに越した事は無い。 それにアーシアが来ない事を不審に思っている筈、何らかの対策を取っていると考え た方が良い。 転の技術﹄と呼んでいる。 肉体的な動きを与える事無く鉄球を回転させる技術⋮安直だが、俺はこれを﹃鉄球回 接、﹃鉄球が回転している事にはかかわっていない﹄。 して﹃俺は何もしていない﹄⋮厳密には何もしていない訳じゃあ無いが、その行動が直 或る物⋮それ自体は野球ボールサイズの単なる鉄球なのだが、掛かっている回転に対 回転させる。 られている、拳銃用ホルスターみたいな物から﹃或る物﹄を取り出し︵シュルルルル⋮︶ その掛け声と共にタスクを発現させ、爪を回転させる⋮と同時に、ベルトに取り付け ﹁タスク﹂ 8話_俺達、説得しました 100 101 タスクによって回転される俺の爪⋮その回転エネルギーは凄まじいの一言では表現 し切れない程の膨大さを秘めている。 そのエネルギーを応用できないか⋮そう思い立ったのが切っ掛けで試行錯誤の末に 編み出したのが、この鉄球回転の技術だ。 外力を加えず﹃内側から回転する﹄様に働きかける独特の筋肉動作によって、回転し た鉄球が撒き散らす振動波が様々な効果を生み出す⋮これがこの技術の効果だ。 具体的には蝙蝠の如くエコーで物体の位置を見分けたり、身体組織を局地的に濃密 化・硬化させて銃弾を弾き飛ばしたり、飛んで来たもののベクトルを強引に捻じ曲げて 方向転換させたり⋮その効果は多岐に及ぶ。 此処まで言うとかなり強力な効果に聞こえるが実際の所、今まではそんなに役立って いなかった。 というのも、あくまでタスクの回転エネルギーを応用したという関係上、タスクを発 現していないと使えないというのはまだしも、生み出される回転が貧弱で、赤龍帝の籠 手による倍化と譲渡を使わなければまともな効果を発揮できないという致命的な問題 があった。 だが今、俺の右手に収まっている鉄球は、まともに回転してくれている⋮悪魔に転生 した事で、骨格や筋肉組織が発達したからか ? ﹂ 理由がどうあれ⋮効果を期待するには充分な勢いだな。 ﹁オラァ ﹂ ﹁な、何だ貴様は ﹂ 回転エネルギーによって強化された右脚で、教会の扉を蹴破るとそこには、 ! !? 貴様こそ覚悟しておけ ﹂ 仮にこの街が悪魔の管理下だとしても教会は我らの領地 ﹂ ﹂ 大人しく首謀者で ! の連中らしき、法衣を身に纏った奴等がいた。 めぇらが此処で行おうとしている悪事全て、こっちは把握している ﹁俺はこの街の管理を任されている悪魔、リアス・グレモリーの兵士、兵藤一誠だ ﹂ ﹂ ! ! ある堕天使の元に案内すれば良し、さもなくば⋮覚悟出来ているんだろうな ﹁な⋮馬鹿な⋮計画が漏れているだと⋮ ﹁此処なら悪魔も干渉できないと言っていた筈だ ﹂ ! そこに悪魔であ 流石に立場が危うくなると直感したのか、俺の啖呵に怯む奴が大勢だったが、 ﹁そもそも此処は⋮悪魔の管理地だったのか⋮ ! ! 戦争犯罪悪魔は死刑ってねぇ りながら土足で踏み入る等言語道断 やっちまうぜぇ ! ﹁出鱈目だ ﹁やるぜぇ ? て 突如入って来た俺にびっくりするも直ぐに立て直して身構えているはぐれ悪魔祓い ﹁侵入者だ ! ! ? ! ! 8話_俺達、説得しました 102 ! 俺が知らないと決め付けているのか、或いは精一杯の足掻きをしようと決めたのか⋮ ︵バキィ ︶﹂ ︶﹂ ︶﹂ 逆に俺が領土侵犯をしたとして何人かが襲い掛かって来たが、 ﹁せい ﹂ ﹂ ︵ドゴォ ﹁がぁっ ﹁はぁ ﹁げふっ !? ﹁れ、レイナーレ様 ﹂ だなぁ、恋人としては嬉しいが。 ﹂ ぐれ悪魔祓いにマジギレしている点から、待たずに向かって来たみたいだ⋮全く心配性 俺の呼びかけと同時に教会内に入るれーちゃん⋮俺が襲われた事に慌てている点、は ﹂ お前達、何て事を ﹁証拠なら挙がっているんだ。れーちゃん ! ﹁大丈夫、いっちゃん ! さて、デモンストレーションも済んだし⋮出番だぜ、れーちゃん。 呆気なく沈黙した。 左ストレート、右回し蹴り、そして回転していた鉄球のぶち込み⋮たったそれだけで ! ! ︵ズドォン ﹁おぅぅぅらぁ ! ﹂ ﹁ギャァァァァ ! ! ! ! ! ! 103 !? ﹁な⋮何故悪魔などと一緒に ﹂ なさい。これは命令よ ﹂ ﹂ 画の全てが露見している事⋮全て。命が惜しいなら、彼をドーナシーク達の所に案内し ﹁彼が言っている事は全て真実よ⋮この街は悪魔の管理下に置かれている事、私達の計 !? ﹂ 悪魔祓い⋮どうやら上手く行きそうだな。 ﹂ ﹁此処ね⋮お前達は下がっていなさい ﹁はっ ﹂ つら明らかに委縮しちゃっているし⋮ ﹁今戻ったわ﹂ ﹁き、貴様あの時の人間 ﹂ ﹁その気配⋮まさか悪魔だったのかよ 奥にある部屋⋮此処が教会として使われていた時には神父の執務室として使われて ﹁悪魔滅べし、みたいな ﹂ けどれーちゃん、俺が心配なのは分かるけど、そんなに怒らなくても良くない ! !? こい れーちゃんの大喝で慌てて武装解除し、俺達を案内する様な振る舞いを見せるはぐれ ﹁は、はい、只今 ! ! !? ! ? ! ﹁邪魔するぜ﹂ 8話_俺達、説得しました 104 いたであろう部屋の扉を開けると、堕天使が3人、俺の姿を見るや攻撃態勢に入ろうと するのが見えた。 しかし⋮﹂ !? うどうする事も出来ない状況に陥ってしまったの﹂ ! ﹁な⋮何と⋮﹂ ﹁結局⋮結局アタシ達は何も出来なかったって事かよ⋮ ﹂ 弱い私達では直ぐに討伐されるのがオチよ。そう⋮私達は詰んだの。堕天使として、も られてしまえば即刻連行されて死刑は免れないわ。仮にグリゴリを離反出来ても、力の 行為となるわ。おまけに私達はそれをグリゴリには極秘で進めていた⋮もしこれが知 街に私達堕天使が侵入し、アーシアから神器を奪い取ろうとした⋮これは明らかな侵略 ﹁良く聞いて⋮此処は悪魔の中でも名門、グレモリー家が管理している場所よ。そんな 目撃していた奴か。 な見た目した男の堕天使⋮アイツがドーナシーク、俺がバイサーを駆除していた現場を か武器を下ろす3人⋮今更だが、何か俺を知っているかの様な口振りを見せた中年の様 それを止めるれーちゃんの声に抵抗を見せるも、事の結末を告げる一言で観念したの ﹁もう一度言うわ、武器を下ろしなさい。計画は失敗したのよ﹂ ﹁れ、レイナーレ様 ﹁お前達、武器を下ろしなさい﹂ 105 ﹁そ⋮そんな⋮﹂ れーちゃんから告げられた事実に打ちひしがれる3人⋮その気持ち、分からなくも無 いが、あくまで﹃堕天使として﹄だぜ ﹂ ﹂ ︶そして﹂ ﹁レイナーレ様も⋮悪魔に ﹁悪魔の⋮翼 彼も⋮︵バサァ れ変わらせるアイテムがあるの。それによって悪魔になれば、陣営の庇護に入れるわ。 ﹁けれど⋮まだ道が途絶えた訳じゃないわ。悪魔陣営には、他の種族を悪魔として生ま ? よ。どうかしら ﹂ ﹁私も、よ。既に主人であるリアス・グレモリーから許しは得ているわ。後は貴方達次第 !? !? ! ? それに悪魔は、魔王を頂点とした所謂貴族社会的な一面もあるが、地位が下の悪魔で ではないが、それでも罪に問われない事に、変わりはない。 それを、堕天使陣営から悪魔陣営に鞍替えするだけで御咎めなし⋮まあ完全にチャラ れーちゃんもそうだが、既に重大な犯罪者である3人、普通なら極刑となる様な身だ。 い事だ。 れーちゃんから提案された、悪魔として生き長らえる道⋮客観的に言えば願っても無 ﹁﹁﹁そ、それは⋮﹂﹂﹂ 8話_俺達、説得しました 106 あっても眷属として実績を積む事で上位悪魔に出世出来る、実績主義的な面だってあ る。 堕天使陣営では日の目を見る事無く終わるかも知れない3人も、のし上がる事だって 不可能じゃあ無いんだ。 けれども悪魔陣営は堕天使陣営にとって、3大勢力による大戦を抜きにしても、冥界 見返してやりたいと思わないのかよ ﹂ の覇権を争う敵同士⋮堕天使としてのプライド故か返答に口ごもっていた⋮全く。 ﹂﹂﹂ ﹁お前ら悔しくないのかよ ﹁﹁﹁ !? かったんだろ 悔しかったんだろ ずっと だったら 道が1つでも残っているなら、迷わず突き進めよ それ程侮辱に耐えきれなかったんだろ ⋮1回の失敗で諦めんなよ ! それとも何か 幹部連中に、もっと気に掛 ければよかった、手放すんじゃあ無かったと思わせる位にのし上がれよ 突き進んで⋮侮辱していた連中に煮え湯を飲ませてやれよ ! ! ﹂ ⋮お前達の悔しさは、1回の失敗で立ち直れなくなる程度の、ショボい物だったのかよ ! ! ! ! ろう。けれど、そうまでして得たい力で、お前達を侮辱してきた連中を見返してやりた 言っても、悪魔が管理するこの地で、人を殺すなんて事になったらどうなるか分かるだ ﹁確 か に お 前 達 が や ろ う と し て い た 事 は 許 さ れ る 物 じ ゃ あ 無 い。未 遂 に 終 わ っ た と は !? !? 107 !? ﹁﹁﹁ ﹂﹂﹂ ﹂ ﹂ したかの様なきりっとした物に変わっていた⋮いい表情だ。 ﹂ ﹁アタシはこのままじゃ終われねぇ⋮ ﹁何だ、声が小さいぞ ﹁このままじゃ終われねぇよ ! ﹂ スーツを着用した大柄の女堕天使が先陣を切り、 ドーナシークが続き、 ﹁此処では終わらん、終わらせられん りたい ﹂ ! ! ! ! ﹁私、アンタとレイナーレ様の言う主って奴に付いて行きたい⋮ 付いて行って、強くな 俺の一喝に目が覚めたのか、はっとした表情をする3人、程無くその顔は何かを決意 ! ﹁おう ﹂ ﹁うむ ! ! こうして、今回の計画に関わっていた堕天使4人全員が、部長の下で、悪魔となる事 ﹂ ﹂ ﹁はい ! ﹂ ゴスロリ服を着た小柄の女堕天使が締めた⋮皆、覚悟は決まった様だな。 ! ! ﹁なら行こうぜ。俺達の主、リアス・グレモリーと共に 8話_俺達、説得しました 108 になった。 が、 まだ⋮終わらないか⋮ ! とか都合が良すぎじゃあないですかいご都合主義も大概にしろやクソビッチ﹂ ﹁何勝手に大団円迎えちゃっているんですかねぇこの鴉共が。立場悪くなったら鞍替え 109 9話︳俺、OHANASHIしました ﹁さっきから黙って聞いてりゃあ何ですか、お偉いさん方だけで話を進めた挙げ句、クソ 悪魔の分際で何処ぞの暑苦しい元テニスプレーヤーみたいな事をくっちゃべって、結末 死ぬの ﹂ ⋮の は皆して悪魔陣営に落ち延びですかい。どっかの三流演劇とかでも見た事ないんです けど。バカなの 入って来るなり罵詈雑言を浴びせて来る銀髪⋮いや、白髪と言った方が良いか ? ておくべきだったか。 神父、確か俺に襲い掛かったはぐれ悪魔祓いの連中の中にいたな⋮ちっ徹底的にボコし ? ? ﹂ ! くわ、﹃あの堕天使共に騙された、強制されたんだ﹄とでも言えばね﹂ 達の下から去ると良いわ。計画を首謀した私達はともかく、貴方達ならまだ言い訳が効 ﹁フリード⋮今回の計画に貴方達はぐれ悪魔祓いを巻き込んで御免なさい⋮今すぐに私 きな平賀さんちの才人君かっつーの ねぇ。俺達は伝説の使い魔として召喚された哀れな異世界人かっつーの、おっぱい大好 会 的 な 展 開 か ら 建 築 さ れ る 死 亡 フ ラ グ、み た い な 展 開 で 話 進 め な い で く れ ま せ ん か ﹁どっかのくぎゅうボイスのピンク髪ツンデレ魔法使いと紫髪色ボケお姫様の感動の再 9話_俺、OHANASHIしました 110 ﹁んな事はこれっぽっちも聞きたきゃねぇんだよこのクソビッチ共 ﹂ そんな暴言にも嫌な顔1つせず⋮むしろ何処か申し訳無さそうな顔で⋮巻き込んだ ! 事を謝罪するれーちゃんだったが、フリードというそのはぐれ悪魔祓いは、そんなの知 るかと言わんばかりの態度だった⋮お前⋮ ! はぐれ悪魔共を誰よ ただこんな理不尽でクソッタレな世界をぐっちゃ ぐっちゃにしてやりたかったから、俺はこの計画に加わったんだ ! なったんだっけ ﹂ ﹂ ﹁危ない、れーちゃん ︶ ﹁い、いっちゃん !? ﹂ ﹂ ! ! ﹁︵ザッ ! ︶がはっ ﹁︵ドガァッ ! それが出来 ! ﹂ そういやぁクソビッチなレイナーレ様、アンタ確かクソ悪魔に なら⋮﹂ ま、まさか⋮ ? ﹁悪魔には天誅を下すべしってねぇ ? ! ! ! ないとありゃあ、なぁ れ、挙げ句俺もそいつも謂れのねぇ理由でおん出されるそんな世界になぁ りもバッサリして来た俺じゃなくて、あんな神器しか能のねぇ甘ちゃんがチヤホヤさ ! 込まれたとも思っちゃあいねぇ ﹁他の連中は知ったこっちゃねぇが、こちとらそんな計画なんざどうだって良いし、巻き 111 ﹁いっちゃん、大丈夫 ﹂ というのは伊達じゃあないみたいだな⋮ ﹂ 革命者気取りは1人でやってい ﹂ それにやる気か、俺のパ 挙げ句クソビッチを庇うとかアレですか、白馬の ﹁れーちゃんに手ぇ出すんじゃねぇよこのイカレ神父 ろ、地獄でな ﹂ ンチ一発でぶっ飛ぶような、驚きの弱さのテメェ如きが ﹁愛する人を護る事の、悪魔が神父の妨害をする事の何が悪い 騎士気取りですかこのクソ悪魔が ! ! その際にフリードの光の剣が掠めたが⋮く、掠っただけでこの激痛かよ⋮悪魔の天敵 ち込んでやった。 にれーちゃんに飛びかかったヤツに、鉄球回転で強化した右腕でカウンターパンチをぶ フリードの台詞に不穏な物を感じた俺は即座にれーちゃんを庇う様に動き、予感通り !? ︶ ﹂ ! ! ! ︶がぁぁぁぁ ︵ギュルルル ! ﹁オラァ︵ゴッ ﹁ぐ ﹂ 怒号と共に飛びかかって来たフリード、それに合わせ、 ぬかした、後ろのクソビッチを絶望に追い込んでやる程になぁ !? ﹂ ﹁言ってくれたな⋮決めた、テメェは俺が嬲り殺しにしてやる。テメェが愛する人とか ? ? ! ! ! ﹁テメェさっきから邪魔しやがって 9話_俺、OHANASHIしました 112 ! ﹂ 鉄球をぶち込む⋮放たれる波紋で内蔵にダメージを与えつつ、延々と回転し続ける様 にした物を。 ﹁がばぁ⋮な、何なんだよそのボールは ﹂ しかも何故かニヤリとした表情⋮まだやる気か、良いぜ⋮徹底的にやってやる ﹁だが﹂ いっちゃん、気を付けて ! 隠し玉があったのか 血を吹き出しただと るのを防いだが、 ﹁鉄球が溶けているだと ﹂ ﹁おいコラふざけんじゃねぇよ初見で当たらないとかどういう訳 !? てかさっきからその 鉄球何なの、アレですか超高速回転とか変化球とか、そんな物ですかい汚ねぇな流石悪 ? ﹂ 咄嗟に鉄球を投げて空中で制止、吹き出された血を、回転力でその方向を逸らして被 ﹂ ︶ ! ! ︶ オラァ︵ビュォォォ ﹁喰らいやがれ︵ブゥゥゥゥ ! ﹁なっ ! !? ! !? 何故か口を膨らますフリード、そしてそれに気付いて俺に警告するれーちゃん⋮まだ ﹁っ ! ! 効果は覿面の様で、口から血を吐いていたが、まだ立ち上がる⋮何つータフさだ。 ! 113 魔汚ねぇ﹂ 俺が扱う鉄球は、純度の高めな鋼で出来ている、それを容易に溶かすとなれば、あの 吹き出した血に混じる胃酸が原因ではない筈⋮まさか、あの血が強酸なのか ﹂ そうだとしたら⋮神器を使って奇襲するお前が言うな 持った、神器を ならば⋮フリードの野郎も神器を持っているという事か⋮血の成分を変える能力を だが普通の人間の血は弱アルカリ性、それが極端に酸性化すれば生きていられない、 !? ︶ ﹂ ︶﹂ ! ﹂ あの鉄球を溶かした血だけでそこに行きつくなんて、凄い、いっちゃん⋮そうそう、 ﹁れーちゃん、アイツの神器、どんな物なんだ キラー・ブラッド ﹁ネタバレすんなやクソビッチ︵ブゥゥゥゥ ﹂ ﹂ 何でこっち来るんだ ﹁そうか、ありがとう⋮だったら︵ビュォォォ ﹁んな ﹁テメェの力でくたばりな !? ! ! フリードの神器は刺客の血、彼の血の成分を自由自在に変化させる力よ ﹁ ? ! ! でいく。 鉄球を投げつつ、その回転力で成分変化したフリードの血を巻き込みながら突っ込ん ! !? ! ! その様子に驚きつつ、避けようとするが⋮逃がすか ! 9話_俺、OHANASHIしました 114 ︶ ﹂ ! ﹂ 今度は拳銃かよ、本格的に汚ねぇなテメェ ﹁タスク︵バァン ﹁うわ、ちょ ﹂ ! ! ﹁テメェにその言葉、そっくりそのまま返すぜ ! ﹁あぐっ ︵ジュゥゥゥゥゥゥ⋮︶がぁぁぁぁぁぁ ﹂ ! じゃあない筈だ。 だとしたら⋮やり過ぎたか ﹂ ! ⋮まだ息は、意識はあるみたいだ、フリードは今までの事に関して恨み言を口にして 毎日⋮俺だって、俺だって幸せになる資格が、のし上がる資格があった筈なのに⋮ き使われた挙げ句に追い出され、グリゴリに拾われたかと思ったら今までと変わらない ﹁が⋮はぁ⋮俺は結局、下っ端で始まって終わる人生だったのかよ⋮教会で良い様にこ ? 恐らくさっきぶちまけた程、現在の世界に憎しみに近い不満を持っていた事と無関係 不自然過ぎるハイテンション⋮壮絶な過去があったに違いない。 ⋮れーちゃんを守りたいが為に必死だったが、今更ながら冷静に考えれば、コイツの 鉄球、及びそれに巻き込まれた血の強酸をまともに喰らい、フリードは倒れた。 ﹁あばよ、革命家気取りさん﹂ ! そして、 フリードが飛び退きそうな所を予測し、爪弾の連射で潰す。 ! 115 いた⋮被害妄想の可能性もあるし、言い分を全て信用するつもりは無いが、コイツだっ て被害者だったのだろうな⋮なら、放ってはおけねぇな 終わりたくないなら、のし上がりたいなら、まだ道はあ ! 熱 血 度 満 載 な 台 詞 を 吐 い た り、愛 す る 人 の 為 と か ? ﹂ アンタ本当に悪魔なんですか神でも信仰して いってムキになったり⋮今度はさっきまでドンパチしていた俺に、あんなボロクソに叫 ﹁⋮ ア ン タ さ っ き か ら 何 な ん す か る。尤も、お前が嫌う悪魔としてだが、な﹂ ﹁なら⋮お前も付いて来るか ? びまくった俺に﹁付いて来るか﹂だって んじゃね ? ? ﹂ ! れ悪魔祓い達も、グリゴリに無事帰還したしな。 こうして、この街で起ころうとしていた事件は、終息を迎えた⋮フリード以外のはぐ たよ⋮俺もアンタに⋮付いて行くぜ⋮悪魔としてか⋮やってやろうじゃねぇか⋮ ﹁は⋮はは⋮負けた⋮どうあがいてもアンタに勝てないって⋮今分かった⋮分かりまし ﹁れっきとした悪魔だ⋮尤も悪魔歴は2日だが﹂ 9話_俺、OHANASHIしました 116 神を信じ、感謝し続け⋮その神に救われず、 ﹃聖女﹄と見て来た誰1人として手を差し 伸べた故に、追い出された過去。 そして⋮怪我に苦しんでいたのが悪魔だとしても放って置けず、救いたいと手を差し そして多くの人々を救いたいと励み続けた過去。 その事を寂しく思いつつも、神から力を与えられた事が、人々に役立つ自分が嬉しく、 られなかった過去。 常人とは違う力を持ったが故に、大切に思われていても﹃異質﹄な存在としてしか見 と分かった途端に﹃魔女﹄と非難され、そして教会を追い出された彼女の過去。 人のシスターから﹃聖女﹄として担ぎ上げられ、しかしながら悪魔や堕天使をも治せる アーシアの過去⋮その身に宿した神器﹃聖 母 の 微 笑﹄を身に宿したが故に、地方の1 トワイライト・ヒーリング どうも、彼女の過去を聞いた部長が不憫に思い、悪魔にならないかと誘ったらしい。 まず、アーシアが悪魔として転生していた事。 還した俺達を待っていたのは、驚きの連続だった。 この街で行われていようとした計画の首謀者全ての説得・懐柔に成功し、教会から帰 10話︳俺達、見学しました 117 10話_俺達、見学しました 118 伸べてくれなかった過去。 その話に俺は一種の憤りを感じた⋮確かに悪魔と堕天使、そして神を頂点とした天使 の各陣営は、嘗て種族の存亡を賭けた大戦を起こすほど敵対していた間柄⋮相容れない 存在を、敵として見ていた存在を救う等正気の沙汰でないと思う気持ちも分からなくも ない。 だが、救いたいと思う気持ちに、神が説く慈悲の心に、 ﹁悪魔だから、堕天使だから救 うな﹂等という差別的な思考が必要なのか 救いたいと言う気持ち⋮そう﹃慈悲の心﹄に従ったからだろう ナチスかよお前らは それを﹃敵対種族を救った﹄という理由で皆揃って手のひら返しだと⋮ふざけんなよ、 ! 畝達が大勢のユダヤ人の命を救った様に、悪魔を救おうと手を差し伸べたのは、純粋に 彼女が、嘗て第二次世界大戦下のヨーロッパの地にてオスカー・シンドラーや杉原千 !? ビショップ ちなみにランクは﹃僧 侶﹄⋮らしいと言えば、らしいな。 !? あの驚き様からして、木場はフリードの事を知っている様だが、当の本人は﹁悪魔の 次に、フリードの姿を見た途端、木場が﹁何故君が此処に ﹂と驚いていた事。 れーちゃんの事情を聞いたアーシアは悪魔になる決心をし、転生したそうだ。 ⋮ともかく、部長も似た様な怒りを覚えたみたいで、悪魔にならないかと持ち掛け、 ! 知り合いは今までこれっぽっちもいねぇぜ ﹂と、全く身に覚えのない様子だった。 えていた様に、何処かで会った様な気はするらしい。 ⋮後で木場辺りに聞いてみるかな。 ﹂ ﹁改めまして、今回リアスさんの僧侶となりましたアーシア・アルジェントです しきなみ と う や い点はありますが、宜しくお願いします わきざわ か な ﹂ ﹁アタシはカラワーナ、改め、脇澤佳奈ってんだ る り ぼ し みつき 姉さん⋮あ、今はレイネル姉さんっすね⋮姉さん共々、宜しくお願いするっす まあ色々教えてくだちゃい﹂ ! を知られれば引き渡しを要求されかねず、そうなれば命は無いからな。 貰う事にした⋮悪魔陣営に移ったと言っても重大な犯罪を起こした身、グリゴリに所在 そして5人は部長の眷属となった⋮ちなみにドーナシーク達3人は、偽名を名乗って てね﹂ ﹁アーシア、塔也、佳奈、美月、そしてフリード⋮私達は貴方達を歓迎するわ、悪魔とし ﹁俺っちはフリード・セルゼン、部長の騎士になりやした ﹂ これからもレイナーレ 部長の兵士になったばっかで分かんな ! ﹁私はミッテルト、改め、瑠璃星美月、リアス姉さんの兵士っす ! い事だらけだから、色々教えてくれよな 至らな ⋮いや、訂正だ、 ﹁けど⋮何となく初対面ってかんじじゃ無えんだよなぁ⋮﹂と付け加 ? ﹁ドーナシーク、改め、式波塔也です。ランクは兵士。以後、お見知りおきを﹂ ! ! ! ! 119 ││││││││││││ 深夜、街はずれにある廃屋⋮此処に潜伏しているはぐれ悪魔の討伐を依頼された部長 とその眷属である俺達は、依頼の際に渡された情報と、周囲から感じる気配を頼りに討 伐対象の捜索をしていた。 ちなみに俺達は、 ﹁イッセー達、今回は折角だから悪魔としての戦い方を見学して貰うわ。駒の特性につ いても教えて行きたいからね。特にフリードは同じ﹃騎士﹄である祐斗もいるし、勉強 になると思うわ﹂ ﹁了解しました﹂ ﹂ ! ﹁はい﹂ ﹂ ﹂ ﹁分かりました ﹁承知﹂ ﹁あいよ ﹁はいっす ! 部長から見学の指示もあり、他のメンバーとは一歩後ろで同行していた⋮まあ気配か ﹁アイアイサー﹂ ! らしてそこまでじゃあ無いか ? 10話_俺達、見学しました 120 と、その時、 ﹂ ﹁不意打ちを仕掛けて来るみたいね⋮祐斗 ﹁はい ﹁︵ザン ︶がぁ 馬鹿なぁぁぁぁぁぁぁ !? ﹂ ? ソ ー ド・バ ー ス ﹂と感じたらしい。 ﹁死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ ! ﹂ ﹂ ﹂ 木場の斬撃を受けて尚立ち上がるはぐれ悪魔⋮この前のバイサーと比べて人間っぽ ! だ ちなみに木場ちゃん、というのはフリードが木場を呼ぶ際の呼び名だ⋮どうも﹁これ に、能力は某理想を抱いて溺死しろと断言される正義の味方だなw ほぉー速いなぁ⋮それにしても様々な魔剣を想いに応じて⋮か、声は某殺人貴なの ﹁あれは祐斗の神器﹃魔剣創造﹄。祐斗の想いに応じて様々な魔剣を作り出せるの﹂ ありゃあ一体 ﹁あれあれ、部長、木場ちゃんの手に、何処からともなく現れた剣が握られていますが、 わ﹂ ﹁騎士の特性は目にも止まらぬスピードよ。ああいう風に一瞬で近づく事も難しくない ! 何時の間にか握っていた剣で、殺気の感じられた場所へと斬りつけた。 殺気みたいな物を感じた俺達、部長も感知したのか木場を呼び出し、呼ばれた木場は ! ! ! 121 いがそれでも所々異形としか言い様の無い特徴を持った、中年位の男の悪魔だ⋮は、今 ︵ゴッ ︶くっ ﹂ 度は前に出ていた小猫ちゃんに飛びかかるが、 ﹁なっ ﹂ ﹁⋮ぶっ飛べ︵ズドォン ! ︶﹂ ! 一発で軽々と舞い上げた。 すげぇ⋮これが戦車の特性か、或いは小猫ちゃんの素質か そこらの物体も容易く壊せる一撃を放てるわ﹂ ﹂ 部長の説明を聞き、何故か躍起になる佳奈⋮アンタ拳で語る趣味があったのか ? たのが、﹂ ? 違っていた⋮こう、何て言うか、冷たいというか鋭利というか⋮ぶっちゃけ、不気味さ 部長の説明の最中に聞こえて来た朱乃さんの声⋮だが、何やらその声音が何時もと ﹁あらあら、どうしましょうか ﹂ ﹁後、僧侶の特性は膨大な魔力とその制御よ。そして騎士と戦車、僧侶の特性を併せ持っ !? ﹁戦車の特性は圧倒的な破壊力と防御力よ。並大抵の攻撃では傷付かないし、そんじょ ? 飛び蹴りを食らって尚、子猫ちゃんは吹っ飛ぶどころか傷1つつかず、逆にアッパー ﹁がはぁっ !? ! !? ﹁ほぉー仲良くなれそうだな。今度立ち合いを申し込んでみるかな 10話_俺達、見学しました 122 全開だった。 ﹂ ! ﹁うわぁ﹂ ﹁あ、はは⋮﹂ ﹁ひぃぃ⋮﹂ ﹁何と⋮﹂ ﹁おいおいヤバくねぇ ﹁ドン引きっす﹂ ? ﹂ ? 部長のその一言と共に放たれた漆黒の魔力が放たれ、はぐれ悪魔は消失した。 ﹁そう、ならば消えなさい﹂ ﹁殺せ﹂ ﹁さて、最後に言い残す事は した雷の落下地点には、息も絶え絶えで、ボロボロな姿のはぐれ悪魔の姿があった。 そんな俺達を他所に、朱乃さんの一方的な蹂躙もクライマックスを迎え、彼女が落と 朱乃さんの隠れた一面に引くしかなかった俺達だった。 ﹁わーお、悪趣味﹂ ﹂ ﹁⋮女王よ。そして朱乃は⋮究極のSキャラなの﹂ ﹁がぁぁぁぁぁぁ 123 いな。 昇格前の力は貧弱としか言い様が無いが、真価を発揮すればこれ程動きやすい物も無 昇 格が出来るとの事だ。 プロモーション みに俺達の駒、兵士の特性は、王の許可は必要だが、或る条件下で王以外の他の駒に そして部長の、討伐の終わりを告げる声と共に、俺達も家路につく事になった⋮ちな ﹁終わりね。皆、お疲れ様。さあ帰りましょ﹂ 10話_俺達、見学しました 124 2章﹃戦闘校舎のフェニックス﹄ 11話︳俺っち、隠し芸やりやした ﹂ どうか宜しくお願いします ﹁初めまして、レイネル・ブリュンスタッドです。宜しくお願いします﹂ ﹁皆さん初めまして、アーシア・アルジェントです ﹂ 俺達も元は違うとは言っても悪魔になった身、契約を集める事となった。 程のデカい願いで無ければ数年の寿命程度だな︶を奪う。 ﹂ 悪魔はその力を以て、欲の深い人間と契約してその願いを叶え、その対価として魂︵余 それと悪魔になった事で部長達と共に悪魔としての仕事に就く事になった。 田と元浜︶からの追及含めて。 俺と同居しているとカミングアウトしたのには慌てたな⋮後々のクラスメート︵特に松 ⋮その際、れーちゃんとアーシア︵ホームステイとして、俺の家に住む事になった︶が 師だ。美月がいないのは、彼女だけ1学年だから︶として在籍する事となった。 れーちゃん達が部長の眷属となるのに伴い、この駒王学園に学生︵塔也だけは体育教 ! ! ! 宜しくな ﹁ういーっす、アタシは脇澤佳奈ってんだ ! 宜しくお願いするでやんす ﹁お初∼、俺っちはフリード・セルゼンだ ! ! 125 とは言っても直ぐに契約取りをする訳じゃあ無く数日は、契約の為に必要な、部長の 眷属を呼び出す為の魔法陣が刻まれたビラの配布をしていた︵ちなみにこれ、本来は使 い魔⋮悪魔が常に従えている生物だ、俺達にも近々契約する機会が与えられるらしい⋮ の仕事らしい︶。 まあそんな感じで悪魔としての日常を過ごしていた俺達だったんだが、 ﹂ ? ﹁はぁ⋮﹂ ﹂ ﹁いっちゃん⋮最近の部長、ため息ばっかりついているよね ﹁そうだな⋮何か困っている事でもあるのかな ﹁グレモリー家で何か揉め事でもあったりして﹂ ? ﹂ な⋮部長、どうしたんですか 何がおかしいって、最近の部長の様子だ。 ⋮やっぱりおかしい。 ﹁あ、い、いや、何でもないわ。最近ちょっと疲れ気味だったの、ありがとうね﹂ ﹁私達に相談できる事があれば何でも言って下さい。貴方の眷属なんですから﹂ ? ﹂ ﹁へ、え、イッセーにレイネル ﹂ ? ﹁何か困り事ですか ? ﹁あり得るな⋮グレモリー家は悪魔でも名家、ゴタゴタとは無縁じゃあいられないから 11話_俺っち、隠し芸やりやした 126 しきりにため息を吐くのはまだ良いとして、さっきみたいな心此処にあらずといった 様子で、俺達が声を掛けるまで気付かないというのもしばしばだ。 流石に毎日の様に、そんな風に振舞われては俺達が気になるのも当然、今みたいに何 となく聞いてみてはいるものの、﹁大丈夫﹂と言って、打ち明けてくれない。 ﹂ ﹁話を戻すよ。此処の存在を知っているとあらば、恐らくは部長の家族⋮グレモリー家 にも長けているみたいだな。 何やら強大そうな力の持ち主みたいだ⋮俺以外が気付かなかった辺り、気配の隠ぺい 翌日、俺達2年生組が部室に向かっていると、そこから見知らぬ悪魔の気配がした。 ﹁あいすいません﹂ ﹁フリードお前茶化すんじゃねぇよ、イッセーが真面目な話してんだろうが﹂ ﹁おお、メタいメタい﹂ ﹂ 余程大きなゴタゴタがグレモリー家で起こっている、という事なのか⋮俺達眷属が介 入するには荷が重すぎる位の。 ││││││││││││ それは本当かい兵藤君 ﹁木場⋮部室に知らない悪魔の気配がするぞ。何か心当たりは無いか ﹁何だって ? ﹁どっかの特撮ドラマの台詞みたいに言うな、﹃木場﹄違いだぞ﹂ ? ? 127 の方か、或いは実兄のサーゼクス・ルシファー様の使いの方かな﹂ ん⋮ルシファーだって ﹂ ? 名門って事になるな⋮こりゃあかなりの大事そうだな。 成る程そういう事だったのか⋮だとするとグレモリー家は魔王を輩出した名門中の んだ﹂ ﹁そうだね。そして今の四大魔王は、サーゼクス様含めて皆が、初代から名を受け継いだ ﹁成る程⋮つまり襲名みたいな制度にしたんだね、落語とか歌舞伎とか相撲とか﹂ 名を受け継がせていく事にしたんだ﹂ 王の存在なくして悪魔社会は成り立たないという事で、強大な力を持った悪魔に魔王の ﹁ごめん、説明していなかったね。実は先の大戦で魔王様が亡くなられたんだ。けど、魔 シファー家と養子縁組でもしたのか ﹁ちょっと待て。確かルシファーって魔王の家名だろう。部長の実兄って⋮その方はル ? ⋮兵藤君が言っていた通りだ、物凄い実力の持ち主だね。この僕が此処でやっと捉 ! ﹁半端ねぇな、こりゃあ⋮﹂ ﹁イッセーさん⋮﹂ ﹁何、この威圧感⋮﹂ えられるなんて﹂ ﹁ 11話_俺っち、隠し芸やりやした 128 ﹁わーお、ピリピリするねぇ﹂ 部室の前に辿り着いた俺達を出迎えたのは⋮強大な力を感じさせる気配だった。 それを感じ取り、緊張を隠せない皆⋮約1名除いて。 ⋮そして部室の扉を開けた先には⋮張りつめた空気とはこういう物だと言わんばか りの様相だった。 如何にも機嫌が悪いですと言わんばかりの部長に、何時も通りの微笑みを浮かべなが ら目は笑っていなかった朱乃さん、どうした物かと腕くみをしながら考え込んでいる様 ﹂ 子の塔也、関わりたくないと隅っこに避難している小猫ちゃんと美月⋮そして、 ﹁木場⋮この人は イフィアさん⋮堕天使や元教会所属等の敵対勢力出身の多さからか、或いは⋮﹃赤龍帝﹄ こちらに気付いた部長が声を掛けると時同じくして、若干ながら驚きを浮かべるグレ ﹁あら、揃ったわね皆﹂ りだな。 グレイフィアさん、あの強大な気配は彼女から発せられる物だった⋮流石と言わんばか 某少女達による弾幕シューティングゲームに登場する銀髪メイドそっくりの女性⋮ ﹁へぇ、魔王様の奥さんか⋮どおりで⋮﹂ ﹁サーゼクス・ルシファー様の眷属にして奥さんの、グレイフィア・ルキフグスさんだよ﹂ ? 129 である俺に気付いたからか ﹁お嬢様、私から話を致しましょうか ﹁⋮何だこの魔法陣 ﹂ ﹂ ︶どっ グレモリー家のじゃないな﹂ 熱いんですけ︵バシャァ ! ﹁これは⋮フェニックスの魔法陣 ﹁てか炎舞ってない ﹂ と、部長がグレイフィアさんを抑えて話をしようとした時、 ﹁いいえ、私から話すわ。実は⋮﹂ ? ? がり⋮っておいフリード何を、 な、なにがゴボゴボ⋮﹂ ﹁火の用心、魔法陣1枚火事の元ってねぇ ﹂ 何で刺客の血で消火するんだ ﹂ グレモリー家とは違う紋様の魔法陣が展開されたかと思ったら、そこから炎が吹き上 ! ? ? ? ﹁いやそれは分かるがお前何で腕を切るんだ !? ! ! いる奴に心当たりは ﹂ ﹁木場⋮あそこでフリードの血によって溺れかかっているというシュールな芸をやって た⋮何だこれ。 生している炎に向けてぶちまけ⋮出て来たと思しき男が発する炎もろとも消火してい フリードが自らの左腕を掻き切ったと思ったらそこから吹き出した血を、今しがた発 !? ﹁うわっぷ 11話_俺っち、隠し芸やりやした 130 ? ﹁あ、あはは⋮彼はライザー・フェニックス。フェニックス家の三男にして将来を有望視 されている上級悪魔の1人。そして、 部長の婚約者なんだ﹂ ドと即興でシュールなコントを繰り広げるというチャラ男だしなぁ⋮ 格好⋮着崩したスーツにノーネクタイ、ワイシャツを胸まで開けている⋮して、フリー 恐らく部長は、この婚約に反対しているのだろう⋮まあ、相手が如何にも軽薄そうな 部長が悩んでいた事⋮それは部長の将来に関する事か。 ﹁部長の許嫁か⋮成る程、読めて来たぜ﹂ 131 12話︳俺、プッツンしました ﹁粗茶をどうぞ﹂ ﹁うむ⋮いやぁ、相変わらずリアスのクイーンが淹れるお茶は旨いな﹂ ﹁痛み入りますわ﹂ ⋮今朱乃さんが淹れた奴、文字通りの﹃粗茶﹄だった奴だろ、それを旨いとか完全に お世辞だよな、コレ、大方フリードの暴挙を受け流したり、朱乃さんを褒めちぎったり で印象を良くしようって寸法か、安直だな⋮ 対する朱乃さん、ライザーの奴への悪印象は定着しているのか、一応作り笑いはして、 礼はしているが⋮眼は笑っていなかった、相変わらず怖ぇな。 それに気付いている上でやっている確信犯なのか、或いは全く気付いていないのか⋮ 恐らく後者だな、あの様子からして⋮馴れ馴れしく部長の隣に座り、挙げ句に肩抱いた ﹂ ﹂ り手を撫でたりしやがる⋮グレイフィアさんがいなかったら即刻ぶちのめした所だっ たんだが。 ! ﹁なぁ、あのバカ殴って良いか ? ﹁気色悪いっすね、アイツ⋮ 12話_俺、プッツンしました 132 ﹁佳奈、一先ず抑えろ、俺だってぶちのめしたいのは一緒だが﹂ ﹂ ﹁触られていないのに鳥肌が⋮﹂ ﹁大丈夫か、れーちゃん アイツは気付いているのか それにしてもライザーの馴れ馴れしい振る舞いに部長の不機嫌さが増しているのを、 そうか、なら大丈夫だな。 ﹁う、うん大丈夫だよ、いっちゃんが側にいるし﹂ ? ﹁いい加減に︵パァン ︶してちょうだい ﹂ ⋮そろそろグレイフィアさんがどうのと言っている場合じゃ無くなるぞ⋮ ? ! の上無いな⋮ ﹂ ! して魔王サーゼクス・ルシファー様の総意なんだ。それにグレモリー家は君のその主張 談はな、その純粋な悪魔をこれ以上減らさぬための、グレモリー家とフェニックス家、そ ﹁リアス⋮先の大戦で純粋な悪魔、とりわけ72家の面々の大半は消えたんだ。この縁 の ﹁私は貴方と結婚する気は無いわ。私にだって自分の旦那様が誰かを決める権利は有る ! にも関わらずライザーはニヤけ面を崩さない⋮Mなのか、或いは余裕か⋮ウザい事こ あ、とうとうキレた。 ! ! 133 が通る程、切羽詰っていない事情じゃあ無いだろう ﹂ ﹂ だがライザーに引く気配は全く無い⋮そろそろ、やるか⋮ おお、ビシっと言ったなあ、流石部長。 なんてしない ﹁それは分かっているわ。けれどももう一度言うわライザー⋮貴方の様な存在とは結婚 ? ﹂ ﹂ ︵ヒュッ ︶﹂ ⋮言ったな、よし⋮ ﹁タスク ﹁んなっ ﹁焼き鳥だと ﹂ !? ﹂ ! ﹂ 今からそのクソッタレな脳みそ 貴様、下級悪魔の分際で誰に向かって口をきいている と汗臭い胴体とを分割してやろうか ﹁⋮余り舐めた口聞いてんじゃあ無ぇぞこの焼き鳥が ! 当に殺るぞ ﹂ ! ? ﹁ふん、やってみろ 所詮フェニックス家の再生能力の前には無駄だ、無駄無駄無駄無駄 ﹁は、知るか。色々と事情があるみたいだから今は寸止めにしているが⋮これ以上は、本 ! !? ! も行かないんだよ。俺は君の眷属、全員を倒してでも冥界に連れて帰るぞ ﹁⋮リアス、俺もフェニックスの看板を背負って来ているんだ。その名に泥を塗る訳に ! ! !? ! !? ! ﹁イッセー 12話_俺、プッツンしました 134 ﹂ 何か凄まじい威圧感が⋮あの声からしてグレイフィアさんか⋮魔王様の奥さん ! ﹁⋮申し訳ありません﹂ ﹁⋮失礼しました﹂ という肩書きに相違ないって奴だな⋮ っ ﹁御二人ともお止め下さい﹂ そうか⋮なら試して⋮ ! ﹁お嬢様とライザー様による﹃レーティング・ゲーム﹄で決着を付けてはどうでしょう レーティング・ゲーム⋮何じゃそりゃ ? ﹂ たバトルフィールドにて、上級悪魔とその眷属同士が戦うんだ。参加者の生命には万全 ﹁分かりやすく言うと、其々の眷属による小規模な疑似戦争だね。予め異次元に作られ ﹂ ﹁木場、レーティング・ゲームって何だ ? ? か、部長が見当付いた様な顔を見せた。 グレイフィアさんが用意しているという﹃最終手段﹄⋮それに思い当たる物があるの ﹁最終手段⋮まさか﹂ 故に、最終手段を用意しております﹂ ﹁グレモリー家もフェニックス家も、当人の意見が食い違う事は想定しておりました。 ! 135 の保護体制を敷いているから、悪魔を減らす事無く且つ実戦経験を積めるという事で、 今の悪魔社会では優遇されているんだよ。その優遇具合は、ゲームの成績が主人の地位 に影響し、一方で眷属悪魔はゲームで活躍する事で昇進のチャンスが得られ、その果て に上級悪魔として眷属を持てる様になり、そして主人としてのゲームの成績で⋮といっ た程なんだ﹂ ﹁マジか⋮悪魔の技術ってすげぇな⋮﹂ 成る程、実力主義の悪魔らしく、互いの力をぶつけ合って決めろって訳か⋮良いね、こ れであの焼き鳥野郎を合法的にぶちのめせるって奴だな ﹁ふん、良いだろう。俺が勝った時には⋮分かっているな ﹂ ﹁⋮分かったわ、その提案、受けるわ。丁度眷属も一気に増えて来た所なのよ﹂ ! ? 鳥野郎は何時の間にかニヤけ面に戻った⋮いい加減にしろや ﹂ ﹁ところでリアス⋮眷属を増やしたと聞いたが⋮今此処にいる全員がそうなのか ﹁だったら何かしら ﹂ ﹁はは、一気に増やしたと言ってもその程度か。これでは簡単に勝負が付きそうだぞ ⋮おい、俺達を舐めているのか ? ﹂ ? ? ? ! 部長と焼き鳥野郎の意を聞き、ほっとした様子のグレイフィアさんだった⋮が、焼き ﹁了解しました﹂ 12話_俺、プッツンしました 136 ﹁君を加えても11人⋮対して俺は、﹂ パチン、という指を弾く動作と共に、 ﹁16人、フルメンバーだ﹂ ﹂ 魔法陣が形成され、15人の⋮恐らく焼き鳥野郎の眷属だろう⋮女性が現れた⋮って おい、 ﹁15人ものハーレムかよ⋮﹂ ﹂ ﹁おまけに部長入れて16人にしようなんて⋮女の敵だね⋮ ﹁まじ気色悪いんすけど⋮﹂ ﹁何か本格的にぶちのめしたいな﹂ ﹂ ﹁うわっちゃーお、悪趣味此処に極まれりって奴 ﹁は、英雄色を好む、人間界の諺だろう ? ﹁ザコの癖に生意気な ﹂ ﹁な⋮よりにもよってクズだと⋮ ! ﹂ 当に眷属にしたとしか思えねぇ。そんなクズの極みに、部長をやれるかってんだ ! ﹂ ﹁あんな振る舞いをするてめーの事だ⋮とりあえずハーレム作りたいなぁとか考えて適 じゃなくて焼き鳥だ⋮そしてなにより、 悪魔のお前がドヤ顔で語ってんじゃねぇよ英雄と呼ばれている人に謝れお前は英雄 ? ! 137 ! ﹂ ! ﹂ ﹁ライザー様に何て口を やってしまえ ﹁ミラ ! ! ︵スパァ ﹁ふん ︶﹂ ! た。 ﹁なっ 小癪n﹂ ﹂ ︵ギュルルルルルルルル ﹁おぅぅぅぅぅらぁ ﹁がっ ︶ぐぁぁぁぁぁぁぁ ﹂ ! ! ! !? おのれ ﹄ へと押し込み続けてやった。 ﹃ライザー様 ︵ズババババババ ! ! ! !? ﹁タスク・ガトリング ︶﹂ に取り出して腹にぶち込み、永続する回転による波紋で内蔵にダメージを与えつつ後方 その様子を見ていた焼き鳥野郎が激昂して俺に飛びかかろうとしたので鉄球を即座 ! 射程距離外からなら無力だ⋮俺は瞬時に爪の斬撃を伸ばし、棒を細切れにしてやっ ﹂ ﹁⋮え ! 柄な少女で、バトンみたいな棒を武器として持っている⋮を俺に突撃させる⋮が、 俺の悪口が琴線に触れたのかブチ切れた焼き鳥野郎、ミラという眷属⋮和服を着た小 ﹂ ﹁はい ! ? 12話_俺、プッツンしました 138 ﹃きゃぁぁぁぁぁぁぁ ﹄ ﹁以上⋮正当防衛を兼ねた自己紹介﹂ ﹁す⋮凄いわねイッセー﹂ ﹂ ﹁間近で見たのは初めてですわ⋮これがイッセー君の強さ⋮﹂ ﹁僕も負けていられないな﹂ ﹁⋮無双にも程があります﹂ ﹁はわわ⋮だ、大丈夫ですか ﹁いっちゃん⋮素敵⋮﹂ ? ﹁はぐれ悪魔祓い達を圧倒したのも納得っすね﹂ ﹁容赦ねぇなオイ﹂ 其処に痺れる トリング砲の如き掃射によって服やら武器やらをズタズタにして無力化してやった。 更に焼き鳥野郎が吹っ飛ばされたのを見て突撃しようとした他の眷属達も、爪弾のガ !? 俺達じゃあ出来そうに無い事を余裕でやってのける ﹁圧巻の出来だな⋮﹂ ﹂ ﹁流石イッセー君 憧れるぅ ! お嬢様はまだレーティング・ゲームの経験がありません。故に1週間後にゲームを開催 ﹁⋮やり過ぎな感は否めませんが、まあ良いでしょう。しかしながら人数もそうですが、 ! ! 139 するという事で良いですね ﹁⋮分かったわ﹂ ﹂ ? 行った。 1週間後か⋮今から楽しみだぜ ! 最後にそう言い残し、グレイフィアさんと焼き鳥野郎、そしてその眷属達は帰って ﹁⋮はい﹂ 12話_俺、プッツンしました 140 13話︳俺達、訓練を始めました あの焼き鳥野郎達とのレーティング・ゲームが決まった翌日、俺達はグレモリー家が 所有しているという別荘へ向かう為、山道を歩いていた。 グレイフィアさんも言っていたが俺達は焼き鳥野郎達と比べて人数不足、加えてゲー ム経験が無い以上不利なのは明らか、幾らあの場で全員を無力化して見せた︵手の内を 殆ど見せていなかったし、不意打ちだったが︶俺がいるとしてもそれは変わらない⋮そ う判断した部長がこの1週間という準備期間で各々のレベルアップを図るべく訓練し よう、という事で、別荘にて行う事になったのだが⋮ ﹂ ﹁これも訓練の内だ、そうだろう ! ﹂ ﹁分かっている⋮今まで技術ばっかり磨いていたからな、フィジカル面を鍛える良い機 ? ﹁そうだぜ、ファイト一発 ﹁これ位でへばっちゃ先が持たないよ﹂ ﹁⋮根性出して下さい﹂ ﹁⋮マジ勘弁して欲しいわ女子の荷物の多さって﹂ ﹁お⋮重いな⋮一体何が入っているんだ⋮﹂ 141 会だ﹂ ﹁⋮何で木場ちゃん余裕なのこの大荷物で ﹁デカい⋮流石グレモリー家﹂ ﹁着いたわ、此処よ﹂ ││││││││││││ で来るとはな。 ﹂ ⋮はぁ、パワー比べじゃあはぐれ悪魔に勝てないと決め込んで鍛えなかったツケが此処 すと言わんばかりの佳奈が選ばれたのだが⋮その重さに俺とフリードは苦戦していた その荷物持ちとして、俺達男勢と戦車である小猫ちゃん、そして如何にも鍛えていま ? ﹁着替えたら早速訓練に入るわよ、良いわね﹂ モリー家って⋮ 人間界にこんな大きさの別荘を持つとかどれだけ潤沢な財産を持っているんだグレ りデカい屋敷があった。 山道を歩いて数時間、部長の知らせで目を向けると其処には、れーちゃんが言った通 ﹁流石お嬢様っすね、部長﹂ ﹁凄い⋮お屋敷だよコレ⋮﹂ ﹁凄く⋮大きいです⋮てかw﹂ 13話_俺達、訓練を始めました 142 ﹃はい ﹄ 部長の掛け声に伴って俺達は屋敷に入り、着替えをする事にしたが、 ! ﹂ ! ﹂ ? 他人を指導するのも自らの糧になる﹄ ? ﹂ ? たが、ドライグの勧めもあって受ける事にした。 俺みたいな我流の技術でのし上がった奴が、人に教えられる物があるだろうかと思っ れた。 各自ジャージに着替えて集合、訓練に入ろうとした所、部長から、俺の意見を求めら ﹁そうですね⋮分かりました﹂ ﹃良いんじゃないか、相棒 見せた⋮その経験と実力を持つ貴方の指導方針を聞きたいの。良いかしら ﹁ええ。これまで数々のはぐれ悪魔を討伐し、昨日はライザーとその眷属を無力化して ﹁え、俺ですか ﹁さて、これから訓練に入るけど⋮イッセー、貴方の意見も聞きたいわ﹂ ││││││││││││ といった事が男子更衣室であったのは此処だけの話だ。 ﹁おいコラ木場ちゃんくそみそ的な展開は止めろや﹂ ﹁誰が覗くか ﹁覗かないでね﹂ 143 ﹁今回は1週間という期間がありますから、基礎的な物と、後は各々の持ち味を伸ばして いくのがベストだと思います。今ある物を活かしたまま弱点を潰していくとなると時 私は魔力ね。母から受け継いだ﹃滅びの魔力﹄が使えるわ﹂ 間が掛かりますからね。そこでまずはどんな持ち味があるか挙げて下さい。まずは部 長から﹂ ﹁私から ﹁私は魔力による雷撃ですわ﹂ ﹁⋮パワーなら負けません﹂ ﹁僕は剣術かな。後は魔剣創造だね﹂ 八極拳なら少しばかり覚えがあるぜ﹂ ﹁俺っちは剣術と刺客の血、後は色々な武器が使えますぜ﹂ ﹁光力はレイネル達も持っているしな⋮そうだ 改めて聞いてみると結構個性がばらけているよな、俺達って⋮よし ﹁私も無いっすね⋮﹂ ﹁私はそういう持ち味は⋮無いかな﹂ ﹁私も我流だが、格闘術なら多少の覚えがある﹂ ! アーシアで魔力訓練を、といった感じで。後、子猫ちゃんも体術訓練のグループにする ﹁そしたらまずはグループ分けします。木場とフリードで剣術訓練を、部長と朱乃さん、 ! ? ﹁聖母の微笑で傷を治す位しか⋮﹂ 13話_俺達、訓練を始めました 144 けど、振り分けは後でな。残りのメンバーは俺と今日、同行して各自訓練を回り、改め ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ て振り分けます。後、詳しい指導方針は回りながら伝えます⋮といっても魔力に関して ﹄ ﹂ は、俺は門外漢なんで部長と朱乃さんにお任せします。良いですね ﹃了解 ﹁はっ ︵バキィ ﹂ ﹁甘いぜ ﹁なっ ﹁そら ! ? ﹁実力差は歴然だと思っていたけど⋮こうもあっさり負けるとはね﹂ 爪の斬撃によって魔剣を砕かれ、そして首前に爪が突き付けられる⋮ 騎士としての特徴である高速移動を駆使して俺の背後を突こうとする木場だったが、 ﹁これで10回目だ﹂ ﹁くっ ! ! !? ! !? ︶﹂ Lesson1 剣術訓練 ││││││││││││ そして、1週間に渡る俺達の訓練が開始した。 ﹁よし、それじゃあ訓練開始 ! ! 145 ﹁そうでも無いぞ。少なくとも剣術に関しては完成の域に達していると俺は思っている ﹂ ⋮戦法が我流の俺だが、お前の剣筋は綺麗で無駄という物が無い。誰か高名な剣士の指 導でも受けたのか ﹂ 沖田総司って⋮まさか ﹁⋮へ ﹁うん。サーゼクス様の騎士である、沖田総司様からね﹂ ? るが⋮まさか魔王様の眷属になっていたとはな。 歴史上では池田屋事件の際に喀血、肺結核と診断されてそのまま病死したとされてい となり、後の無双振りの素地となった。 藤勇や土方歳三と共に天然理心流の道場で剣術を学び、その天性の才から若くして塾頭 日本の幕末史にその名を轟かせる剣士、沖田総司⋮後に新撰組における上司となる近 ﹁⋮マジですか。通りで綺麗な太刀筋だ﹂ ﹁君の想像通りだよ。新撰組1番隊組長、沖田総司様から剣の指導を受けているんだ﹂ ? ? けるという事はお前のイメージがなっていない証拠だ。そこでお前に課す訓練は2つ。 が、それでもかなり強固なそれだったら弾き飛ばされる。お前の魔剣がいとも簡単に砕 え、作り出される魔剣の練度がなっていないな。俺の爪の斬撃は金属でも切り裂ける ﹁ま あ 剣 術 に 於 い て は 俺 か ら 言 う 事 は 無 い ⋮ 口 出 し た ら 崩 れ か ね な い か ら な。と は 言 13話_俺達、訓練を始めました 146 魔剣創造の練度を高める事と⋮後はフリードの指導だ、アイツはお前とは逆に、刺客の ︶﹂ ﹁力任せに拳ぶん回せば良いってもんじゃあ無いぜ ﹂ 血の扱いは心得ている様だが剣筋がぐちゃぐちゃだ、矯正する所が多すぎる﹂ ﹁うん、分かったよ﹂ 剣術の方はコレで良いな。 ││││││││││││ ﹂ Lesson2 体術訓練 ︶﹂ ! ︶ふっ ︵ビュン ﹁⋮えい ﹂ ﹂ ︵ドン ︶﹂ ︵パッ ﹁甘いぜ ﹁はっ ﹁くっ⋮ ! ︵ドゴォ ﹁ハイィィィィ ! ﹂ ﹁ぐっ⋮うぅ⋮ ! ! ﹁えっ ! ! !? 後は力強い踏み込み﹃震脚﹄からの掌打で昏倒させた⋮凄い手際だな、これが少し、か。 背を向ける様に体勢を直し、八極拳の代表技である背面体当たり﹃鉄山靠﹄で崩し、最 小猫ちゃんと佳奈の立ち合いは、一方的だった⋮ストレートパンチを軽くいなしつつ ? ! ! ! ! 147 それにしても⋮何で八極拳を極めようと思ったんだ ﹁了解だぜ﹂ ﹁⋮分かりました﹂ 堕天使は翼を用いた空中戦が 奈は俺の指導も頼む⋮俺も体術は全く心得が無いからな﹂ ﹁佳奈の言う通りだな。そこで子猫ちゃんは明日から佳奈の指導を受ける様に。後、佳 うが⋮ 肝の筈、震脚の重要度が他の中国拳法の流派とは段違いに高い八極拳とは合わないと思 ? けれど覚えておいて損は無い、俺も受けて見るか⋮今からじゃあ焼き鳥野郎とのゲー ムにおいて付け焼刃にしかならないとは思うが。 ││││││││││││ Lesson3 魔力訓練 ﹁はい ⋮出来ました ﹂ ﹂ ⋮お、出来たっす ﹁成る程⋮こうかな⋮と ﹁分かったっす ﹂ ! ! 朱乃さんの指導に従い、俺達は魔力を集めていた⋮アーシアは小型バランスボール位 ﹁ふむ⋮こうか﹂ ! ! ! ﹁魔力は身体から溢れるオーラを流れる様に集めるのですよ﹂ 13話_俺達、訓練を始めました 148 ﹂ ﹂ の大きさ、れーちゃんと美月はハンドボール位の大きさ、塔也は野球ボール位の大きさ の魔力を形成出来たが、 ﹁む、うーん⋮難しいな⋮ ﹁ふぬぬ⋮中々集まんないぜ⋮ ﹂ ⋮ってカラーボールサイズか﹂ ﹁何でアタシの魔力は豆粒なんだよ ! ﹁うん ﹂ ﹁了解っす ! ﹂ ﹂ ! ! ﹁おっしゃ 練を受けてくれ。良いな﹂ ﹁よし、これで振り分けは決まった⋮佳奈と俺は体術、れーちゃんと塔也と美月は魔力訓 から⋮俺達には魔力を操る才能が無いのかも知れないな⋮ 魔力とはいわば精神力及び苦労的な経験によって増大すると朱乃さんは言っていた 大の大きさ、そして佳奈は⋮豆粒だった。 何とか苦心の末に俺達も魔力を集められたが、俺は塔也の一回り小さいカラーボール ! ﹁出来た 集まる気配が無いという違いがあるが。 俺と佳奈は苦戦していた⋮といっても俺は何とか集められているのに対して佳奈は ! ! 149 ﹂ ! こうして、各メンバーの訓練方針は決まった。 ﹁承知 13話_俺達、訓練を始めました 150 14話︳男連中、早速レベルアップしました Side 塔也 ふむ、私の魔力は闇を示す暗紫か⋮確か闇の属性は、堕天使が扱える光力と相反して ﹂ ﹂ ﹂ いた筈、そして魔力は、聖なる力と相反している⋮となれば、だ。 ﹁朱乃よ﹂ ﹁はい、何ですか塔也さん それがどうかしました ﹁相反する属性同士がぶつかり合った場合、それらはどうなる ﹁消えてなくなりますわよ ? ならば⋮ を合わせるには、計算という手間が必要だ。 物質と反物質をぶつかり合わせれば、僅かながらエネルギーが生じるし、+1と│1 だが消えたり0になったり⋮そういった﹃無﹄に至るには様々な過程がある。 1が合わされば、それらは消えたり、0になったりするのは常識である。 相反する物同士が衝突すれば消えるのは道理⋮物質と反物質がぶつかれば、+1と│ ﹁うむ、少し気になったのでな﹂ ? ? ? 151 ﹁ ﹂ ﹂ 塔也さん、どうなさいました ﹁塔也 ﹁塔也兄さん ﹂ ? ﹁光力 な、何を ﹁まあ見ておれ﹂ そして、 ﹂ ︵バシュゥ ! 光力を球状に発現させる。 !? 様に。 すると、 ﹁ま、眩しい ﹂ ﹁何か地面が削れているっす !? ﹂ ︶﹂ 私が放った闇の魔力と光力の球は直ぐ様ぶつかり⋮その後眩しい光を放ちながら地 ! !? ﹁ガガガガって、何この音 ﹂ 一斉に放った⋮某格闘ゲームで、自らの波動を練って作り出したエネルギー弾を放つ ! !? 訝しむ朱乃達を制しつつ、左掌に私の魔力を集めつつ、右掌には、 ﹁なに、少しばかり試してみたい事があってな﹂ ? ? ? ﹁ハァァァァァァァァ 14話_男連中、早速レベルアップしました 152 ﹂ 面を削り⋮いや一部を消し飛ばしながら飛んでいき⋮やがて消えた⋮中々の結果に なったな。 ﹁塔也さん⋮今のは 敵のガードをこじ開ける事で光力を直撃させる術、針状の光力を生成する術⋮色々思 ンクの高いはぐれ悪魔と渡り合う術を掴むしか無かった。 堕天使の時からそうだった、下級堕天使の私は地力で劣る以上、そうした発想からラ とした発想から切っ掛けを掴んでいくしか無いのだ。 そんな私がこの眷属の中で、いや、悪魔社会でのし上がって行くには⋮そう、ちょっ 佳奈の様に極めた武術も無い。 祐斗やフリード、一誠やアーシアの様な神器も無ければ、小猫の様な頑丈さも無い。 い。 私には主リアスの様な滅びの魔力が無ければ、朱乃やレイネル、美月程の魔力量も無 発想、か。 ﹁思わぬ所からの発想っすね⋮﹂ ﹁す⋮凄い威力ね⋮﹂ どうなるか、と思いついたので、試してみたのだよ﹂ ﹁闇と光は相反し、魔力と聖なる力もまた相反する。ならばそれらをぶつけ合わせれば ? 153 いついては試してみた。 それも全て⋮のし上がりたかったから。 地力で劣る存在も、努力や発想、工夫によって数段も強い敵と渡り合えると証明した かったから。 その想いは今でも⋮いや、今の方が大きいと私は思っている。 絶たれた筈だった道⋮実際に堕天使としては絶たれたが、レイネルや、その恋人だと いう一誠によって、悪魔としての道を新たに作ってくれた。 私達は再び、のし上がるチャンスを与えられたのだ。 その恩に報いる為には⋮そう、のし上がって行くしか無い。 必ずや、必ずやのし上がって見せる ﹂ 努力と発想、工夫こそが大事であると知らしめて見せる ﹁む、どうかしたか ﹁あ、い、いえ⋮﹂ ! ! 何か⋮そうだな、何か言い知れぬ想いを抱いていると言えようか。 目が少し妙だ。 ⋮それにしても、私達堕天使が眷属となってからずっとだろうか、朱乃が私達を見る ? ﹁⋮﹂ 14話_男連中、早速レベルアップしました 154 ⋮そういえば何時だったか、一誠がふと気になる事を言っていたな。 ﹂ ? ﹁私が朱乃さんと似ていた 本当に ﹂ ? ﹂ ﹁ハイっ ! ﹂ ﹁うぉっ ! Side 一誠 ││││││││││││ 私はまだ知らない。 ⋮この時、一誠のちょっとした昔話が気になっていたのが私だけでは無かったのを、 今度、聞いてみるか。 ⋮レイネルと朱乃が似ている⋮か。 た昔話だ﹂ ﹁まあそうだよな⋮俺も何時しか﹃まさか、な﹄と斬って捨てていたよ。まあちょっとし ﹁な、何なんすかそれ、朱乃姉さんとレイネル姉さんが⋮信じられないっす﹂ ﹁はーそうなのか。アタシには分かんねぇなぁ﹂ ? ﹁何だかさ、れーちゃんと良く似た気配がしたんだ﹂ ﹁む、気になっていた、とは ﹁そういえば俺、ちょっと朱乃さんの気配が気になっていた時があったんだよ﹂ 155 ﹁隙ありだ ︵ドゴォ ﹂ あ痛たたたた⋮ ﹁へぶぁ ! ︶﹂ ! まい、悶絶してしまった⋮タスクを使わないとこうも隙だらけだったとはな⋮ ! 佳奈の正拳を回避した所、その隙を突かれてハンマーの様に肘打ちを腹に食らってし ずかったかも知れない。 訓練の最初に佳奈が立ち合いをしようと提案をして来て、二つ返事で了解したのがま ! ! 気がするな﹄ ﹃赤龍帝の籠手を大っぴらに出せるか 後メタい発言は止めろ ﹄ ! 厳しい言葉をどうも⋮これは本格的に接近戦の方面を鍛えないとな。 ! ﹃俺も余り使われていなかったしな、専ら助言役止まりで。最近ではその方面も空気な ﹁⋮それにしても、一本槍にも程があります﹂ んだ﹂ ないと決め込んでいてさ、それで修行の大半を、爪弾を使いこなすために費やしていた ﹁⋮俺も今、その事実を痛感しているよ。人間の身体じゃあ、はぐれ悪魔に太刀打ち出来 の時の凄腕とはまるで別人だぞ﹂ ﹁⋮お前、今まであの爪の斬撃とか銃撃とか、鉄球とかに頼り切っていたみたいだな。あ 14話_男連中、早速レベルアップしました 156 と、現実を痛感していると、 ﹂ ? ﹂ ? たのか ﹁やぁっ ︵ヒュン ﹂ ﹁⋮は ? ︶﹂ ! ていた⋮ドライグの言っている事が本当なら⋮まさか ? 縦に一閃した所、何故か数メートル先まで斬撃が伸び、其処に会った木が切り刻まれ ﹃間違いない⋮相棒の爪の斬撃、あれと同じ物だ﹄ ﹁お、おいあれって⋮﹂ ﹂ ﹁⋮え ? ! そう言いつつ構え、そして、 ﹁ちょっと見ていてね﹂ ? 木場が見せた物⋮それは一見すると何の変哲も無い片手剣だった⋮魔剣創造で作っ ﹁これなんだけどさ﹂ ﹁ほぉ、何だ ﹁いやいやそんな訳無いよ。君に見て欲しい物があってね﹂ ﹁お前も俺に厳しい現実を叩き付けに来たのか、木場 ﹁あ、いたいた⋮って珍しいな、やられ状態の兵藤君って﹂ 157 タスク・エッジ ﹁俺の爪をモチーフにした魔剣って奴か よ﹂ ﹂ を伸ばしたり飛ばしたりすれば⋮凄い魔剣だよ。ありがとう兵藤君、良い題材になった なんだけど、これを短剣型にすれば取り回しやすいし、欠点になりがちなリーチも斬撃 ﹁うん。僕はこれを爪 刃と呼んでいる。まだ試作段階で、形状も慣れ親しんだ片手剣型 ? 手足にはその末端に至るまでに様々な組織で構成されている。 からだ。 何故こう言うのかといえば、それは生物が最も扱いやすい道具、それ即ち己の手足だ に扱う﹄、という言葉を。 何かの達人を紹介する際、こんな言葉をよく耳にすると思う、 ﹃○○をまるで手足の様 弾だったから。 それでもまともに立ち回ったのは、俺の﹃武器﹄がタスク、及びその影響を受けた爪 だった。 正直な事を言うと、俺はあの時、木場のスピーディな立ち回りを目で追うのがやっと た理由、それは﹃武器の優秀さ﹄が大いに関係している。 こう言うと俺の自慢になるが、木場の言っている事は正しい⋮俺がさっき木場に勝て ﹁おお、凄ぇな⋮まさか再現されるとは﹂ 14話_男連中、早速レベルアップしました 158 ベースとなる骨に、操作の為の動力となる筋肉、燃料等を循環させる血管、そして、脳 からの命令を直接伝える神経⋮それらで構成されているが故に、手足は自らのしたい事 を、忠実に実行できるのだ。 それは手指と直結している爪も変わらない、増してや俺の爪弾は、俺のタスク⋮つま り精神を具現化した存在によって回転していて、俺の思い通りに斬撃を伸ばしたり、弾 丸として発射したりできる。 そう⋮薙刀や槍すらも上回るリーチと、ナイフをも超える取り回しやすさと、金属で さえ両断する切れ味⋮こんなチートとも言える武器があったからこそ、俺は木場相手 に、互角以上に立ち回れたんだ⋮逆に、そんなチート武器に頼り過ぎているのが俺の最 大の欠点だが。 そしてそんなチート武器に近い性能を持つ武器を作れたら⋮これ程心強い仲間はい ないだろう。 ⋮そうだ、 ﹁ん 何だい ﹂ ? こうして、其々の修業は続いて行く⋮ ﹁実はな⋮﹂ ? ﹁そしたら木場、お前のその、爪弾を再現して見せた腕を見込んで頼みがある﹂ 159 15話︳俺、決意を新たにしました ﹁あ゛ー、疲れた﹂ ﹁見るからにそんな感じだね、痣も日に日に増えているし﹂ ﹁佳奈の、指導への熱の入り様が良く分かるな﹂ クリーンヒットをぶち込めた。 佳奈も﹁イッセーは飲み込みが早いから指導のし甲斐があるぜ ! ⋮といっても、俺を労っているこいつらも俺と同等、いやそれ以上に厳しい訓練に励 しな⋮痣を矢鱈と増やす羽目になったが。 ﹂とノリノリだった なかったが、日を追うごとに食らいつけるようになり、そして今日、小猫ちゃん相手に に強くなっているという実感がある⋮最初は、佳奈はおろか小猫ちゃんにすら歯が立た に明け暮れたりと、木場達に労われている通りの厳しい物ではあったが、お蔭で日に日 思えばあれからずっと、佳奈や小猫ちゃんと拳をぶつけ合ったり、基礎トレーニング いた⋮本気でこれ旅館みたいだな。 訓練を始めてから4日が経ち、今俺達は屋敷に併設されている露天風呂で汗を流して ﹁お疲れっす、イッセー君﹂ 15話_俺、決意を新たにしました 160 んでいた。 木場はフリードの指導の傍ら、試作した魔剣﹃爪刃﹄の性能アップに四苦八苦してい たし、その木場から指導を受けていたフリードは生傷だらけ、そして部長の﹃滅びの魔 力﹄に似た現象⋮本人は﹃虚無﹄と付けていたな⋮を生み出した塔也は、時折その制御 に失敗してはアーシアの世話になっていた。 ⋮フリードといえば、 ぜ ありがとうな木場ちゃん、イッセー君 ﹂ ! ﹁ふっ はぁっ ﹂ ! ﹂ ! 溜を最大限に解き放つ震脚からの正拳突き⋮今のは良い線行っていたな、佳奈に一撃 ﹁ハィィィィィ 深夜、ふと目を覚ました俺は、外で型の確認をしていた。 ! ││││││││││││ 本当に。 順調な様だな⋮1週間という短い間ながら、着実にレベルアップしている⋮凄いな、 ﹁そういってくれると製作者冥利に尽きるよ。ありがとう﹂ ! ﹁ああ、木場ちゃんが作ってくだすった﹃アレ﹄ですな。あれスゲー俺にマッチしている ﹁そうだフリード、木場から貰った﹃アレ﹄の調子はどうだ﹂ 161 でノされたのが大分前の出来事の様に思える。 ⋮さて、これ位にするかと屋敷に戻ろうとすると、 ﹂ テラスの場所から光が漏れていたのが見えた⋮まだ誰か起きているのか ﹁テラスから光⋮ して俺みたいに自主トレしていたりしてな。 ﹂ 起きていたんですか ﹂ そう好奇心を擽られて向かってみると、 ﹁部長 な。 ﹂ ﹁良いわ。こんな時間にも訓練していたの ﹂ ﹁でも身に着けるに越した事は無いですよ﹂ ひょっと ﹁ええ、そうよ。といっても、教科書通りではライザーには勝てないでしょうけど﹂ ? ? ? ﹁はい。ふと目が覚めましてね。部長は、戦術でも練っているんですか ﹂ あの本は⋮パッと見た感じ兵法書とか、レーティングゲームの戦術書とかみたいだ いた光はスタンドの光だったんだな。 そこには眼鏡を掛け、本を読んでいた赤いネグリジェ姿の部長の姿があった⋮漏れて ? ? ? ﹁イッセー、貴方も ? ? ﹁隣、良いですか 15話_俺、決意を新たにしました 162 孫子という兵法書にも、己を知り、敵を知ればどんな戦も危なげなく進められるとあ る、どうやって進めて行くかを知れば作戦も立てやすい。 ⋮それにしても、深夜にまで戦術を練っているとは、部長はこのゲームに本気で挑も ﹂ うとしている、それ程までにあの焼き鳥野郎との結婚が嫌なのか、或いは⋮ ﹂ ﹁部長、1つ良いですか ﹁何かしら 確かにあの焼き鳥野郎はいけ好か 女性﹃リアス・グレモリー﹄として接して欲しい⋮それだけよ﹂ れは誇りよ。けれど、私と共に歩む人には⋮﹃リアス﹄として見て欲しい、私を1人の 見られていたの。グレモリー家の次期当主、魔王サーゼクス・ルシファーの妹⋮勿論そ いわ。何処に行っても、私はグレモリー家の者として、魔王であるお兄様の親族として ﹁私はね、リアス・ ﹃グレモリー﹄なの。冥界の誰も、私を﹃リアス﹄として見てくれな 俺の正論に少し黙りこくりながらも、部長は、 り純血悪魔の存在は欠かせません。部長もその事は理解している筈ですけど⋮﹂ す、転生悪魔が増えて来たと言っても、はぐれ悪魔を生み出す危険がある以上は、やは とりわけ魔王様の思いが絡んでいると聞きました。俺も悪魔陣営の現状は知っていま ない奴、俺が部長の立場だったら即座にお断りです。でもこの結婚にはグレモリー家、 ﹁部長は何故、この結婚に猛反対しているんですか ? ? ? 163 想いを口にした⋮その気持ち、凄く分かる。 俺もれーちゃんと最初に会った時は、 ﹃れーちゃん﹄としてではなく﹃天使様﹄として 見ていたし、初めの頃は変わらなかった⋮けれど段々と﹃れーちゃん﹄という1人の女 の子として見る様になって⋮そして恋をした⋮だから﹃天使様﹄から﹃堕天使﹄になっ ても、この想いは変わらなかった。 れーちゃんも、同じだと思う、同じく俺を﹃いっちゃん﹄という1人の男子として見 ていると思う⋮同じでなければ、今こうして一緒に、部長の眷属をやっていない。 だから⋮ ! ﹂ グレモリー家が何だ 魔王様が何だ あんなゴミクズに﹃リ 俺達が、 ﹃リアス﹄部長の願いを成し遂げ 悪魔情勢が何だ ﹂ ! ﹁部長⋮俺が、俺達が部長を守って見せます ますよ ﹁ アス﹄部長の想いを踏みにじられてたまるかってんだ ! 焼き鳥野郎に、リアス部長は渡さねぇ ﹁⋮ありがとう、イッセー。お蔭で踏ん切りがついたわ。明日も早いから、しっかり休ん ! 何か言おうとしていた部長を遮り、俺は想いのままにぶちまけた⋮あんなゴミクズの ! ! ! ! ! 為に⋮貴方達を戦いに巻き込んで⋮﹂ ﹁ちっぽけな夢だけど、それでも小さい頃からの夢だったの⋮ごめんなさい、こんな夢の 15話_俺、決意を新たにしました 164 でね﹂ 俺の言葉に何か憑き物が落ちたかの様に晴れ晴れした表情をした部長は、そう言って ﹂ ﹂ 本を抱えてテラスを去った⋮迷いが吹っ切れたみたいで良かったぜ。 ﹂ ││││││││││││ ﹁な、何だ今の ﹁向こうの方からじゃあねぇか れーちゃん ﹂ ﹂ ﹂ !? が⋮ ﹁朱乃先輩 ﹁⋮一体何を !? やったのか⋮ ! しっかりして ﹁れーちゃん ! ﹂ と、そのれーちゃんに向けて憤怒の表情で右手を向ける朱乃先輩が⋮あ、朱乃先輩が 俺達3人が急いで向かうと、其処には何かの攻撃によって膝を付いているれーちゃん !? ﹁っ !? ! す様な轟音が聞こえて来た⋮小猫ちゃんの言葉が本当なら⋮まさか、れーちゃんに何か 部長の想いを聞き、決意を新たにして翌朝の訓練を迎えた俺だったが、其処に水を差 ﹁⋮向こうは確か、朱乃先輩達が魔力訓練している場所⋮ ! !? !? 165 ! ﹂ 何してんすか ﹂ ﹁⋮あ、いっちゃん⋮ごめん、ちょっとヘマしちゃったみたい﹂ ﹁朱乃先輩 ﹂ ﹁⋮落ち着いて下さい ﹁離して下さい ! ! 出ている⋮一体、一体れーちゃんが何をしたって言うんだ⋮ ? と、俺が朱乃さんに憤りを覚えていると、 レイネルも煽るな⋮って、え ﹂ ﹂ ﹂ 図星刺されたからお得意の技 ? 考をしているんだね、バラキエル様の娘﹂ ﹁⋮態度が気に食わないから雷撃 まだ言いますか ﹁落ち着けっつってるでしょ ﹁⋮レイネル先輩、何故それを 随分と都合の良い思 大分酷い怪我だ⋮恐らく雷撃を浴びたのか、あちこちに火傷が出来、そこから湯気が ! ! ! ! ? ! ﹂ ! れーちゃんが告げた真実、それは俺達をびっくりさせるには充分だった。 さんは、堕天使の最高幹部、バラキエル様の娘よ ﹁⋮小猫ちゃんは知っていたんだ。ならいっちゃんと佳奈にも教えるわ。彼女は⋮朱乃 !? ! ﹁なっ⋮ 15話_俺、決意を新たにしました 166 眷属悪魔に転生したという事になる。 ともかく、いっちゃんの話を踏まえると、朱乃さんは天使、或いは堕天使から部長の とも渡り合って来たんだよね、凄いな、いっちゃんは⋮おっとっと。 其処までになる程、私がいなくなってから、ずっと厳しい訓練を積んで、はぐれ悪魔 に似ていると思ったみたい⋮何だか凄いね、そういった気配に鋭いなんて。 いっちゃん曰く、天使だった頃の私と、朱乃さん⋮過去に朱乃さんの気配を感じた時 と私、何処か似た様な気配がしたって。 いっちゃん、私達堕天使だった者と話をしていた時にこう言っていたよね⋮朱乃さん そればかりじゃない。 る様で⋮分かりやすくするなら、複雑な想い、かな。 何と言えば良いのかな⋮何か嫌悪している様で、けれど分かり合いたいとも思ってい 何が気になるのかというと⋮朱乃さんの、私達堕天使だった者を見る目だ。 私がリアス部長の眷属悪魔に転生してから、ずっと気になっていた事があった。 Side レイネル 16話︳彼女が、啖呵を切りました 167 16話_彼女が、啖呵を切りました 168 ⋮でも此処で1つの問題が出て来る、朱乃さんが今17歳の高校3年生だと言ってい る事が果たして本当なのか、という事だ。 仮に本当であったとすると、天使であるという線は消える⋮私が天使として生まれる まで数世紀という長い間、新しい天使は生まれなかったからだ。 故に天使からのルートなら、年齢を偽っているとしか考えられないが、悪魔陣営と天 使陣営は今でも敵対関係、おまけに私と1つしか違わない部長と経歴豊富な天使、果た して部長に屈服させられるのかという疑問点も残る。 だとすれば、17歳だとしている年齢は本当で、堕天使から転生したと思うのが自然 な線だと思う。 ⋮けれど私が堕天した10年前からグリゴリでお世話になっていたが、堕天使の誰か が悪魔陣営に寝返ったという話は聞かないし、悪魔の領地に入ったという話すらも聞い ていない⋮アザゼル様からの厳命で禁止されていたからね。 となればグリゴリに所属していないはぐれという可能性もあるけど⋮ ⋮あ、そういえば以前、アザゼル様からこんな話を聞いた。 最高幹部であるバラキエル様の家族が、その親族に襲われ、妻である人間が亡くなっ た、と。 バラキエル様の1人娘は助かったものの、グリゴリの保護を拒否し、それ以来行方が 分からない、と。 ⋮もしかして ﹁はい、何ですか ﹂ ﹂ ﹁単刀直入に聞くよ⋮バラキエルって堕天使に心当たりは ? ﹂ ? ﹂ ﹁私がアザゼル様やシェムハザ様に目を掛けられていたのは話したよね ﹁な、何故あの人の名を 聞いた瞬間、私の周囲の空気が一気に冷え込んだ様な気がした⋮ ﹁ ﹂ ﹁朱乃さん、今日の訓練の前に1つ、聞きたい事があるけど良い ? ? 人娘の事をね﹂ ? そのアザゼル 明確な物は無いよ、ただ気になっただけ。いっちゃんから少し気になる話を聞 ﹁それが私ではないか、と ? ﹂ ? らかから、部長の眷属悪魔になった⋮という事。そして貴女の年齢、部長との力関係を ﹁うん。その話を踏まえれば⋮考えられるのは2つ。貴女が天使か堕天使か⋮そのどち ﹁わ、私とレイネルさんが、ですか いたからね⋮朱乃さんと私、似た様な気配がしたって言う、ね﹂ ﹁根拠 あ、あら嫌ですわそんな、何を根拠に﹂ 様から少し気になる話を聞いたんだ⋮バラキエル様と、人間の女性との間に生まれた1 ? !? ? 169 ︶⋮ ﹂ も考慮したら⋮天使であるという線は無い。そして10年間グリゴリでお世話になっ た中で悪魔陣営に寝返った情報が入って来なかったとなれば︵バチィッ ! ! ﹂ 幾らリアスの眷属同士だとして だとしたら⋮ 私の推理を喋っていると突然の殺気を感じたので飛び退くと、私が元いた場所に雷ら しき物が飛んで来た⋮まさか今の、朱乃さんが も、限度という物がありますわ⋮ ﹁⋮ 余 り あ の 人 と の 過 去 を 詮 索 し な い で 頂 け ま す か ? ? ﹂ ね。もしかして件のバラキエル様の1人娘って︵ドゴォォォォン た、バラキエル様直々の雷撃⋮ れーちゃん ﹂ ﹂ ﹂ !? ど⋮ ﹁朱乃先輩 ﹁⋮一体何を !? あ⋮いっちゃん達⋮不味いなぁ、不格好な姿晒しちゃったね⋮ !? ﹁っ !? ! ︶く⋮ ﹂ ! こんな一撃を躊躇なく振りかざして来るとは⋮随分と触れたくない過去みたいだけ ! くっ⋮かはっ、強烈な一撃が来たね⋮全身が凄く痛い⋮流石は﹁神の雷光﹂と言われ ! ! ﹁⋮さっきからバラキエル様の事をあの人呼ばわりしているって事は⋮関係者みたいだ ! ﹁あの人の名前を一々呼ぶなぁぁぁぁぁ 16話_彼女が、啖呵を切りました 170 ﹁れーちゃん しっかりして ﹂ ! ﹁朱乃先輩 ﹂ 何してんすか ﹂ ﹁⋮落ち着いて下さい ﹁離して下さい ﹁なっ⋮ まだ言いますか ﹂ レイネルも煽るな⋮って、え ﹂ 考をしているんだね、バラキエル様の娘﹂ ﹁⋮態度が気に食わないから雷撃 ! ! ﹁落ち着けっつってるでしょ ﹂ ﹂ 図星刺されたからお得意の技 ﹁⋮あ、いっちゃん⋮ごめん、ちょっとヘマしちゃったみたい﹂ ! 様の娘よ ﹂ ﹁⋮ええ、そうですわ﹂ 随分と都合の良い思 ﹁朱乃さんが⋮堕天使の娘⋮どおりでれーちゃんと気配が似ている筈だ⋮﹂ ! ! ﹁な⋮本当なのかよ⋮それ⋮ ﹂ ﹁いっちゃんと佳奈にも教えるわ。彼女は⋮朱乃さんは、堕天使の最高幹部、バラキエル 属になったんだっけ⋮なら知っていても可笑しくは無いね。 へぇ⋮小猫ちゃんは仔細を知っている様だね⋮確か小猫ちゃんは幼少期に部長の眷 ? ? ! ! ! ﹁⋮レイネル先輩、何故それを !? ! ! ? 171 ひめしま し ゅ り 私の断言に肯定する朱乃さん⋮それから朱乃さんは話始めた。 バラキエル様と人間の母、姫島朱璃さんとの間に生まれ、慎ましやかながらも一家3 人、幸せに暮らしていた過去。 しかしながら堕天使と契りを結んだ事で朱璃さんが親族から目の敵にされ、刺客を送 り込まれた過去。 その度にバラキエル様が撃退したが、それが却って怨恨を募らせる結果となった過 去。 そして⋮バラキエル様が留守のタイミングで入り込んだ刺客に朱璃さんを殺害され た過去。 か⋮ ﹂ ﹁そ⋮そんな事が⋮﹂ ﹂ ﹁アタシらを何か複雑そうに見ていたと思ったら⋮そんな過去が⋮ ﹁ れーちゃん ! ﹂ ⋮プチっ、ていう音が聞こえた気がした時には、いっちゃんの手を振り払っていた。 ! ! ﹁⋮朱乃先輩⋮ ! ﹂ を⋮そして、そんな忌まわしい存在に生まれてしまった自分を⋮何度、何度恨んだこと ﹁何度恨んだか分かりませんわ⋮母を見捨てた父を、欲望の余り周囲を省みない堕天使 16話_彼女が、啖呵を切りました 172 !? ﹁っ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁お⋮おいレイネル ﹁一体⋮一体何を ﹂ ﹁甘ったれてんじゃないわよ︵パァン !? ︶このバカ女 ﹂ さっきから黙って聞いていれば⋮イライラする事ばかり並べて⋮ 娘 の 癖 に、バ ラ キ エ ル 様 の 事 を 恨みを買いたかった訳じゃ無い ! それを⋮ 父と母が結ばれなければ 私はただ、家族皆で幸せに暮らしたかっただけなんです ︶﹂ ﹂ それを父は、堕天使は奪ったんです ぶち壊しにしたんです ︵ゴッ ⋮人間の両親の下に生まれていれば良かったんです ﹁貴方はもう喋るなぁ ﹂ 貴方の事をどれだけ案じ バラキエル様だって、好きで貴方の母を、愛した人を 肝心な時に見捨てた ? たった1人の娘だよ⋮どんなに拒絶されても、可愛くないと 見殺しにした訳じゃ無い ﹂ ていたか⋮貴方に分かる ちっとも理解していないんだね ﹁欲 望 の 余 り 周 囲 を 省 み な い ? ﹁私が堕天使になってからの事は皆にも話したし、貴方の母を殺されてからの辛さも分 ﹁くぅっ ! ! ! ! ﹁だけど⋮だけど ! ! 思う訳が無いわ ! ! ! ﹁ ! !? !? ? !? ! !? ! ! 173 ﹂ 少なくとも私は、いっちゃんを恨んだ事も、恋をしなければ良かった からなくもない⋮だけどね、それで大事な人を、愛する人を、掌返しの様に逆恨みする のはお門違いよ ﹂ ﹂ んか一度だって無い ﹁ それだけは確かよ ﹂ ! 父親として、慕っている 今からでも遅くないわ⋮ちゃんと話し合わないと。血の繋がった家族は ? ﹁⋮わ、私は⋮う⋮うぁぁぁぁぁぁぁ ﹂ 私の今抱いている想いの丈を全て話した⋮そしたら朱乃さんは、 掛け替えの無い存在だよ。失ったら、無くしてしまったら、お仕舞いだよ﹂ んでしょう ﹁貴方だって⋮本当はバラキエル様を想っているんでしょう ? ! ! 重い罪だと思っている。だけどね、私がいっちゃんに抱いた想い、それが揺らいだ事な としてのいっちゃんを殺した。許される事じゃない。どれだけ償っても償いきれない、 なんて身勝手な理由でね。その点、貴方とは五十歩百歩だし、そしてそれが原因で人間 こんな姿見られたら嫌われる、欲望に塗れた存在なんて好きになってくれる筈が無い、 ﹁確かに私も貴方と同じく、私を想ってくれている人から、その人の想いから逃げたよ。 ! ! なんて思った事も一度たりとも無いわ ﹁ ! ⋮れーちゃん﹂ ﹁ ! 16話_彼女が、啖呵を切りました 174 ! 泣いた、泣きじゃくっていた⋮言い過ぎたかな ﹂ 苦しかったんだよね 私と同じ轍を⋮踏まないでほしいから。 ﹁今まで⋮辛かったんだよね 辛苦、全部涙で流すと良いよ﹂ ﹁お父様⋮お父様⋮うぁぁ⋮あああ⋮ 朱乃さんは、ずっと泣いていた⋮ ││││││││││││ ﹁朱乃姉さんに、そんな過去があったんすね⋮﹂ でも⋮後悔は無い。 ﹁大切な人に見捨てられる辛さ、か⋮何と苦しかったであろう⋮﹂ ﹁しっかしレイネルさんマジ姉御キャラって感じだったねぇ﹂ ﹂ ﹁朱乃さんの辛さを癒すレイネルさん⋮これも神の御導きなのですね ﹁⋮僕達何で、物陰で見ているんでしょう ﹂ だったら泣いて良いよ。今までの かなり荒療治だけど⋮大切な人に向き合って欲しいから。 ? ? と恥ずかしいなぁ。 私達以外の6人が、一部始終を物陰で見ていたと知ったのは少し経ってから⋮ちょっ なったみたいで﹂ ﹁今 更 出 に く い わ ⋮ け れ ど、こ れ で 良 か っ た み た い ね。朱 乃 も 過 去 と 向 き 合 え る 様 に ? ! ! ? 175 16話_彼女が、啖呵を切りました 176 けれど、色々あった訓練も、こうして終わった⋮色々と収穫ある訓練だったね。 さ、明日のレーティング・ゲーム、頑張るよ ! 17話︳レーティング・ゲーム、始めました ついに今日、あの焼き鳥野郎達とのレーティング・ゲームとなった。 時間は深夜11時半ば、俺達はオカルト研究部の部室にて、グレイフィアさんの呼び 出しを待っていた。 そんな状況下で皆何をしているかと言うと⋮まず木場だが、以前俺達に見せた魔剣 アーシアは唯一のシスター服︵他は何時もの学校での服装だ︶、アミュレットを握って よる魔力制御の鍛錬をしている⋮工夫に活路を見出す塔也らしいな。 で言うと中二病かと突っ込まれそうだが違う、実態は、魔力球の大きさを維持する事に 塔也は自らの右手から暗闇の魔力球を出しつつ、それをじっと眺めていた⋮こう一言 装着し、八極拳の型を確認していた。 小猫ちゃんはオープンフィンガーグローブを、佳奈は包帯をぐるぐる巻きにした物を に立て掛けてあった木刀を素振りしたりと、こちらも鍛錬に余念が無かった。 フリードは木場から習った剣術の復習なのか、帯刀している刀を居合抜きしたり、側 い、という事か。 ﹃爪刃﹄のナイフ版の出来を確認しては作り直していた⋮まだその出来に満足していな 177 何かお祈りを捧げている様だった⋮良く見ると握っている手が震えている、まあ疑似的 で小規模とは言え、初めての戦争だ、無理もないだろう。 部長と朱乃さん、れーちゃんと美月はテーブルを囲んで紅茶を飲みながらガールズ トークをしていた⋮傍から見ると女子会だな。 そしてそんな周囲の状況を事細かに説明している俺はと言うと⋮タスクによって回 転している爪をグラインダー代わりに鉄塊を削って、鉄球製作をしていた⋮今回は今ま での様なはぐれ悪魔との戦いじゃない、本格的なチーム戦だし、悪魔になって鉄球の重 要性も増した、使う場面は多くなるし、多く作って置くに越した事は無い⋮最近の基礎 開始10分前です﹂ トレーニングで10個程度なら然程重さは感じなくなったしな。 そんな感じで待機していると、 ? いな⋮ グレイフィアさんが来た⋮使い捨てで世界を作り出すとは、悪魔の技術って本当に凄 異空間に作られた使い捨ての世界ですので、思う存分戦って構いません﹂ ﹁開始時刻になりましたら、こちらの魔法陣から戦闘用のフィールドへと転送されます。 ﹁ええグレイフィア、準備はOKよ﹂ ﹁来たか⋮﹂ ﹁皆様、準備は宜しいでしょうか 17話_レーティング・ゲーム、始めました 178 ﹁今回のレーティング・ゲームはグレモリー家とフェニックス家の皆様の他、魔王サーゼ クス・ルシファー様を始めとした上層部の方々も、他の場所より中継で拝見されます。 お忘れなきよう﹂ いよいよ不死身として名の知られたフェニッ まさか妹である部長の件とはいえ、魔王様が態々見に来るとはな⋮こりゃ腕の見 ﹁お兄様が⋮分かったわ﹂ っ せ所って奴だな ﹄ ﹁あれ、部室 ﹂ ⋮と思ったら、 ││││││││││││ ﹂ 部長の決意の声と共に、俺達は魔法陣に乗り、部室を後にした⋮ ﹃はい 手じゃないわ。全力で勝ちに行きましょう で学んで来た事は確かに身になっている筈よ。それを信じて立ち向かえば、敵わない相 シア、レイネル、佳奈、美月、塔也、フリード、そしてイッセー⋮貴方達がこの一週間 まるわ。言うまでもなく私達にとって初めてのゲームよ。だけど朱乃、祐斗、小猫、アー クス家の中でも将来有望な才児ライザー・フェニックスとのレーティング・ゲームが始 ﹁さあ、私の可愛い眷属達。準備は良い ? ! ! ! ! 179 ? 光が晴れた其処には、転移する前と変わらない部室があった⋮転移失敗したのか ﹃いや⋮相棒、外を見てみろ﹄ ⋮ ﹂ 訝しむ俺の脳裏に、聞こえて来たドライグの勧め⋮外に何かあるって言うのか⋮って ? 界って感じだな。 だったらありえない、緑やら黄色やらといった色合いが混じりあっていた⋮ザ・異世 何て言うか、外にも駒王学園の風景が相変わらず広がっていた⋮が、その空は、普通 ﹁空が⋮名状しがたい色合いになっている !? ! ! の相棒の存在を隠す事も無いだろう﹄ ﹁分かった。さしずめ﹃赤龍帝の悪魔社会デビュー﹄って所か ﹂ きる様、俺を出しておけ。悪魔陣営に入った以上、今までの様に俺の、 ﹃赤龍帝﹄として ﹃それもそうか⋮相棒、鉄球の準備に余念が無かったみたいだが、Act2も直ぐ補充で ら良い﹂ ﹁良いじゃねぇかドライグ、好きなだけそう思わせて、実際に動き回ってアッと驚かせた かも知れん⋮俺達も舐められた物だな﹄ う⋮大方、地理的に優位なこの場所でさえ勝てないとあれば諦めも付く、等と言う考え ﹃恐らくは我らのホームグラウンドである駒王学園を模した世界となっているのであろ 17話_レーティング・ゲーム、始めました 180 アビエーター Act2、というのは現時点でのタスクのもう1つの能力だ⋮が、これの詳しい説明 は後でな⋮現時点で、と加えている事についても後で。 ﹃はい﹄ ﹁皆、これを着けて。これで通信が可能になるわ﹂ して塔也の5人⋮一方の焼き鳥野郎達は上限いっぱいの16人だから⋮8人いる訳か。 ここら辺はチェスと一緒だな⋮俺達の陣営の兵士は、俺、れーちゃん、佳奈、美月、そ ます﹄ ております。両陣営の兵士は、相手方の本陣に足を踏み入れた瞬間、昇格が可能となり オカルト研究部の部室。ライザー・フェニックス様が本校舎にあります生徒会室となっ ﹃両陣営が転送された、現在いる地点が其々の本陣でございます。リアス様が旧校舎の、 ⋮改めて悪魔の技術マジ凄い。 属の方々が通われる駒王学園の校舎をベースとした世界を用意しました﹄ ﹃今回のレーティング・ゲームのフィールドとして、リアス・グレモリー様、及びその眷 さんのマイク越しであろう声が聞こえて来る。 ドライグと方針を話し合い、赤龍帝の籠手を左手に展開した俺の耳に、グレイフィア グレモリー家の使用人、グレイフィアと申します﹄ ﹃皆様、この度グレモリー家とフェニックス家の試合において、審判役を任ぜられました 181 部長から、通信機の役割を持つらしい光の球を渡された⋮互いの連絡は重要だよな。 ﹃チャイムが鳴り次第、開始となります。制限時間は人間界の夜明け、午前5時までと なっております﹄ チャイムが鳴った⋮始まったか⋮ 地図を広げつつ部長が仕切る⋮さてどうするかな⋮ ﹁さあ、作戦会議を始めましょう﹂ ! 体育館はセンターとも言える場所。優位に進められ ? スピードの速い奴か、遠距離攻撃が出来る奴が良い﹂ ? ﹁⋮はい ﹂ ﹂ ﹁アイアイサー ! ! ! ﹁祐斗と美月は森林で待機して﹂ ﹁おっしゃあ ﹂ の確保に向かって﹂ ﹁分かったわ。なら各自罠を作成して持ち場に付いて。小猫とフリード、佳奈は体育館 だ ﹁主リアス、体育館の確保をスムーズに進めるべく、周囲の森林に伏兵を忍ばせてはどう ます﹂ ﹁部長、体育館を確保しませんか ﹁まずは攻撃拠点を確保したいわね⋮﹂ 17話_レーティング・ゲーム、始めました 182 ﹁はい﹂ ﹂ ! ﹁はい、部長 ﹂ ! ! 行こう、いっちゃん ! ﹂ ! ﹂ ! 始した⋮ 木場と塔也の提案で方針を決めた部長、俺達はその部長の指示に従い、其々行動を開 ﹁承知 ﹁分かりました ﹁アーシアと塔也は此処で待機。アーシアはけが人の治療を、塔也は護衛を頼むわ﹂ ﹁はい ﹂ ﹁イッセーとレイネルは前線で遊撃ね﹂ ﹁分かりましたわ﹂ ﹁朱乃は両方を警戒、戦闘が発生した場所に援護に向かって﹂ ﹁了解っす 183 ﹂ 18話︳俺、初披露しました ﹁少し待ってくれ﹂ ﹂ ﹂ どうしたんだい兵藤君 ﹁いっちゃん ﹁ん ﹁何すか、一体 ? ? ﹁ん ⋮分かったよ﹂ ﹁此処に罠を張る。その説明がしたいから少し待っていてくれ﹂ を引いていたれーちゃんを制す⋮まあ急ぐ気持ちも分かるが。 部長の指示に従って体育館近くの森林に潜入しようとした木場と美月、そして俺の手 ? ? ? ︵ババババババババババァン ︶タスクAct2 ! ﹂ ! 対約1.618の黄金長方形⋮ ﹁来た⋮ ! ! 美月の急かす声に応えつつ、俺はある﹃図形﹄をイメージする⋮イメージするは、1 ﹁了解﹂ ﹁早めに頼むっすよ﹂ ﹁うん、いっちゃん﹂ 18話_俺、初披露しました 184 ﹂ ﹂ 俺の爪から放たれた10発の爪弾は森林に、 ﹁あれ、もう炸裂した ﹁まあ見ていろって﹂ ﹁まさか失敗じゃないっすか !? ﹁弾痕が動いた ﹂ ﹁そのまんま森に向かっているっす ﹁いっちゃん⋮凄いね⋮﹂ ありえるんすか、アレ ﹂ !? !? 2の比率で出来た長方形で、此処から一番 ÷ そんな黄金長方形を俺の脳内でイメージし、それから数々の正方形を、それらを繋げ ドの線で繋げていくと、巻貝の様な渦巻きが出来る。 形が作られていく図形で、その切り取った正方形達を元の位置に置いたままフリーハン 方形を切り取ると、残った長方形はまた黄金長方形となり⋮という風に延々と相似な図 大きい正方形を切り取ると、残った長方形も黄金長方形となり、そこから一番大きい正 黄金長方形⋮正確には1対︵1+√5︶ ﹁あれが俺の爪弾の1つ⋮俺はそれを﹃黄金回転の爪弾﹄と呼んでいる﹂ う1つ﹄の能力。 炸裂して出来た弾痕は留まる事無く森林に向かう⋮そう、これが俺の、タスクの﹃も ! 向かう途中で炸裂した⋮その様子に失敗したんじゃないかと慌てる3人だったが、 !? 185 て出来る渦巻き⋮俺は此れを﹃黄金回転﹄と呼んでいる⋮を思い浮かべて、それを俺の 爪弾にトレースする⋮すると俺のタスクの、側に浮かんでいるピンク色の妖精だった姿 が、同じくピンク色の鋏型の手をしたロボットみたいな姿に変わり、同時に爪も今まで みたいにその場をクルクル回っているのでは無く、指を軸に公転する様に変化し、 来た弾痕がミソだ。この弾痕、俺がイメージした相手に向かって陸だろうと空だろうと ﹁黄金回転の爪弾は、それその物は今までの爪弾と何ら変わりないが、それが炸裂して出 海だろうと追いかけ回し、到達した瞬間に弾痕内の物体を破壊するんだ﹂ 尤も今回は特に誰を狙えとか指定した訳じゃあ無く、森林内部の土に向かい、其処で 何かが入って来たら破壊する様にイメージした⋮まあ早い話が、対人地雷である。 ﹁ 手がどうし⋮ ﹂ いっちゃん、どうしたのその手 ﹂ これ明らかに無防備っすよ ﹁爪が⋮生えていない ﹁大丈夫なんすか ﹂ !? そう、これがAct2のデメリット⋮爪が生え変わるのに時間が掛かるのだ。 !? ! !? !? ? リットもある。これを見てくれ﹂ ﹁いや、そうでも無いぞ。確かに追い掛け回して破壊する力は有効だが、それなりのデメ ﹁⋮どんだけチートなんすか、イッセー兄さんの爪弾って⋮﹂ ﹁一種の追尾弾だね⋮凄いな⋮﹂ 18話_俺、初披露しました 186 Act1の時に発射した爪弾は直ぐに生え変わるのだが、何故かAct2の時は一度 発射すると生え変わるのに時間を要する⋮まあ常人よりは明らかに早いのだが、それで も生えていない間は不便極まりない⋮俺が何時もAct1を愛用していたのは、後々不 便になるのが嫌だからだ。 ﹂ けれど今回はあの焼き鳥野郎との、部長の将来を賭けたレーティング・ゲーム、手札 を惜しむ気は無い。 だから、 ﹄ ﹁大丈夫だ⋮これは、﹂ ﹃Transfer ﹂ ﹁今の声⋮赤龍帝の籠手からっすね ﹁一瞬で生え変わった ! ﹁それで森に入った敵はあの弾痕踏んづけてドガン、警戒して登って来た敵を私達がモ ﹁つまり僕達はあの弾痕に巻き込まれない様⋮木に登っていた方が良いって訳だね﹂ 先程ドライグが神器を出しておけと勧めて来たのはこれが理由だ。 ﹁カップ麺じゃないすか⋮﹂ ﹁そう⋮尤も、それでも3分掛かるけどね﹂ ﹁成る程⋮﹃倍化﹄した力を、爪の再生速度に﹃譲渡﹄したんだね﹂ ? !? 187 ﹂ グラ叩きの如く遠くから魔力やら光やらで叩き落として更にドガン⋮って流れっすね。 了解っす た⋮ ﹂ ! ││││││││││││ 分かった、いっちゃん ﹁むっ⋮れーちゃん、隠れて ﹁ ﹂ 俺のもう1つの能力の説明、それを踏まえた打ち合わせも済み、俺達は二手に分かれ ﹁兵藤君達も、しっかりね﹂ ﹁おう、しっかりな﹂ ! ! 大方、出て来た所をドガンって寸法か ? 見た所、俺から100m位先で体育館の周囲、特に入り口付近を注意している様だ⋮ らしい。 炎を放つ、典型的な魔法使いタイプで、朱乃さん曰く﹃爆弾女王﹄として知られている ボ ム ク イー ン ユーベルーナ⋮肩当ての付いたドレスを着用し、武器として扱う魔法の杖的な物から ? れを察知し、周囲を警戒する⋮と、その視線の先には、 ﹂ 鉄球回転をレーダーとして使用、周囲を索敵していた俺達、敵の反応を示す波紋の乱 ! ﹁あいつは⋮焼き鳥野郎達の女王⋮確か、ユーベルーナだったか 18話_俺、初披露しました 188 なら⋮ ンスだ ﹂ ﹃Explosion ﹁黄金回転の爪弾 ﹄ ⋮構える暇もなく、ユーベルーナの全身を取り込むように弾痕が広がり⋮そし ! 良し、どんどん行くぜ ! ﹁そうみたいだね⋮やったね、いっちゃん ﹂ ﹁グレイフィアさんのアナウンス⋮これで誰が撃破されたか、大まかながら分かる訳か﹂ ﹃ライザー・フェニックス様の﹃女王﹄、リタイア﹄ て破壊、消えた後には何も残っていなかった。 う遅い 赤龍帝の籠手からの電子音声、そして響き渡る俺の声と銃声に気付いた様子だが⋮も ! ! ! 見た所向こうは体育館ばかりに意識が向いて、こっちには気付いていない⋮今がチャ を失うと大きな痛手だし﹂ ﹁そうだね⋮それに体育館には小猫ちゃんに佳奈、それにフリードも入っている⋮3人 な駒、此処で潰せば相手の動揺は大きい筈﹂ ﹁黄金回転の爪弾で先手を打つ。女王はチェスでもレーティング・ゲームでも最も強力 189 ! 19話︳私達、ぼっこぼっこにしてやったっす Side 美月 ﹂ イッセー兄さんが爪弾の地雷を設置した森林の中に潜入してから程無く、敵の気配が したっす。 ﹁そうみたいっすね。数はどの位っすか ﹁ざっと4人って所だね﹂ ? れないっす⋮そしたら、 ﹁祐斗兄さん、入り口で少しドンパチして、直ぐに森の中に逃げる⋮ってどうっすか ね。 ﹁行くよ、爪刃 ﹂ ︶喰らえっす ﹂ ! ! ﹁光の槍を︵ビュゥン ! 孫子⋮確か昔、軍師として大いに活躍し、その名が3大勢力にも知れ渡った人間っす ﹁孫子の﹃半ば進みし半ば退くは誘い也﹄だね。よし、それで行こう﹂ ﹂ 4人すか⋮地雷は10個、これ位なら十分っすが、逆に多すぎて入って来ないかも知 ? ﹁美月ちゃん、来たみたいだよ﹂ 19話_私達、ぼっこぼっこにしてやったっす 190 ﹁なっ 上から ﹂ !? ﹁こ、これは光力 ﹁逃がすか ﹂ ﹂ ﹂ ! ﹁シーリス待って 引っ掛かったっす ﹁置いて行かないで ! ! ! ﹂ ! ﹂ ! ﹂ ︵ビュオン ! ︶﹂ ! ね ﹁喰らえ ﹂ ﹁うわっち ﹁おっと ! ! ! 追撃を仕掛け、その後ろから残りの3人も追いかける構図⋮ものの見事に作戦成功っす 私達が直ぐに退却したと見るや、シーリスと呼ばれたデカい剣を持った戦士風の女が ﹂ ﹂ ﹁はいっす、祐斗兄さん ﹁人数的に不利か⋮逃げるよ、美月ちゃん ﹁崩れとは随分と言ってくれるっすね⋮まあ事実っすけど﹂ ﹁堕天使崩れがいたなんて⋮﹂ !? ! ! ﹁木に紛れていたのか 191 ﹂ ︵ドバァン ︶がぁっ ﹂ 途中、シーリスが振り回す大剣から衝撃波が出て襲い掛かって来たっすが、何とか避 これは ! ! け、 ﹁ !? ! ﹂ く、片足を根こそぎ破壊されたっす。 地雷が発動、シーリスはその直前に何か来ると直感して離れようとしたっすがもう遅 ﹁シーリス !? ! ﹁うちのエース謹製の地雷さ﹂ 作戦が成功して思わず口が滑っちゃったっすが、 ﹂ ﹃ライザー・フェニックス様の﹃女王﹄、リタイア﹄ ﹁ユーベルーナ様が ﹂ ﹁体育館の周囲を警戒していた筈⋮何でこんな早くに ﹁こうもあっさりやられる筈が⋮ ﹁だとしたらイッセー兄さん達っすね。これ﹂ ﹁そうだね﹂ ﹂ !? !? ﹁あ⋮あの時ライザー様を侮辱した青二才か⋮ ! ! ﹂ ﹁そうっす。ものの見事に引っ掛かってくれたっすね﹂ ﹁貴様ら⋮最初からこれが狙いか 19話_私達、ぼっこぼっこにしてやったっす 192 ︶﹂ ! ﹂ 私達にとっては吉報が、相手にとっては凶報が続いたっす⋮重要ポジションである女 王をあっさりノすとは、流石イッセー兄さんっす。 ︵ビュン ! ﹁何時までもびっくりしている暇なんて無いっすよ ﹂ ﹂ ﹁隙ありだよ ﹁うわ ﹁きゃぁ ! ﹂ ﹂ !? !? ﹁はい次っす ﹂ ﹂ ! ! ﹁喰らわないわよ ﹂ ﹁な、バカ ﹁ぎぃ ! ﹃ライザー・フェニックス様の﹃兵士﹄1名、リタイア﹄ !? ﹂ ﹁く⋮まだトラップはあるのか⋮﹂ ﹃ライザー・フェニックス様の﹃兵士﹄2名、リタイア﹄ ﹁あぐ ﹁うっ 地雷の残りっすよ。 動揺している所に追撃を加え、それを避けるメイド服姿の2人でしたが⋮そっちは⋮ ! ! 193 学習能力無いんすかね⋮これまで二桁位の公式のレーティング・ゲームをやって、敗 北はたった2敗、それも全て八百長による物だと聞いたっすけど、十中八九あの焼き鳥 ﹂ ︶がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹂ の回復能力によるゴリ押しなんじゃないっすかねぇ⋮まあそれは良いとして、最後の1 人っす ﹂ ﹂ ﹂ ︵ガキィン︶っ⋮刃を伸ばせるのか⋮ ﹁トドメだよ ﹁くっ ﹁はいっす ﹁なっしまっ︵ドズゥ ! ! ﹁あ、そうだったね﹂ ﹂ ⋮そう呆れつつも空に脱出すると、 体育館を包む様に降り注いだ雷とその轟音と、グレイフィアさんからの撃破情報、 ﹃ライザー・フェニックス様の﹃戦車﹄1名、﹃兵士﹄3名、リタイア﹄ 祐斗兄さん、アンタ天然っすか ? ? ﹁翼で飛べば良いんじゃないっすか ﹁さて、救援に向かおうか⋮その前にどうやって脱出しよう﹂ これで撃破は合計5人、早くも人数差は無くなったっすね。 ﹃ライザー・フェニックス様の﹃騎士﹄1名、リタイア﹄ ! ! ! ! ! ! ﹁今だよ美月ちゃん 19話_私達、ぼっこぼっこにしてやったっす 194 ﹁うふふ、撃破﹂ ﹁相変わらず朱乃姉さん怖いっす⋮﹂ ﹁そ、そうだね﹂ そして朱乃姉さんのSッ気満載の笑顔を私達は見聞きしたっす⋮マジ怖いっす ││││││││││││ Side 小猫 まあ道なき道を歩いて来たんだし許してちょ 部長からの指示で体育館の裏口に辿り着いた私達3人⋮でしたが、 ﹁先回りされたみてぇだな、こりゃあ﹂ ﹁ありゃりゃ、のんびりし過ぎちゃった んまげ﹂ ﹁そうですね⋮数は4人位でしょうか⋮﹂ ! 人数的にもそうですが、この場にいる私達全員、種類こそ違えど駒1個、客観的にみ してざっと4人ですね。 ⋮既に体育館は相手方に占拠されている様で、その防衛に当たっているのは⋮気配から この場においてもふざけているフリード先輩は置いて、佳奈先輩と状況を把握すると 数的に不利だな﹂ ﹁⋮イッセーもそうだけど凄いな、そんな事細かに気配を察知出来るなんて⋮4人か、頭 ? 195 て力量不足は否めません。 ですが、それは最初から分かっていた事、それを補う為にこの1週間、佳奈先輩やイッ セー先輩と訓練に励んで来て、体術やフィジカル面でレベルアップして来ました。 それを忘れなければ⋮勝機はあります ⋮そうだ、 ! か ﹂ ﹁イイね ﹂ そしたらイッセー君みたく徹底的に侮辱的な発言しちゃおーぜ ﹁お前の血しぶき芸も大概だったがな⋮まあ良いぜ、乗った ﹂ ! ? 正規の入り口から踏み入り、 ﹂ ! ﹁出て来なさい⋮駄メンズ好きのバカ女の皆さん﹂ あーぱー吸 血 生 物 共め きゅうけつなまもの ﹁腐った焼き鳥にも股開くクソビッチは︵ピー︶でも洗って出直してきんしゃい ! ﹁誰が駄メンズ好きのバカ女ですって ﹂ 輩は無理矢理中の人ネタに走らないで下さい。 ⋮フリード先輩、これ以上に無い位汚らわしい罵倒をありがとうございます、佳奈先 ﹁出て来いや ! ﹂ フリード先輩と佳奈先輩の了解もあり、私達は裏口に入りかけた足を反転、横にある ! ! ﹁恐らくは向こうも私達の存在に気付いている筈⋮いっそ大胆に出向いて挑発しません 19話_私達、ぼっこぼっこにしてやったっす 196 !? ﹁ライザー様を腐った焼き鳥って言うな ﹂ この白髪コンビにオトコオンナ ﹂ ﹁腐っているのはそっちです ﹁誰がクソビッチよ、誰が ⋮誰が、白髪ですって ! ﹂ ! せます。 シュエラン ﹁ライザー様の戦車、 雪 蘭です﹂ ﹂ ﹁ライザー様の兵士、ミラよ﹂ ﹂ ﹁同じく兵士のイルでぇーす ﹁同じくネルでぇーす ﹁リアス部長の戦車、塔城小猫です﹂ ! ﹁リアス部長の騎士、フリード・セルゼンだ ! ! ﹁リアス姉さんの兵士、脇澤佳奈だ﹂ ﹂ ﹂ 佳奈先輩が何か言っていますが構いません、ノして来て、私の髪は銀髪だと思い知ら 頼むぜ﹂ ﹁アタシがやりたかったんだけどなぁ、オトコオンナとかぬかしやがって⋮まあ良いや、 ﹁わーお、小猫ちゃんプッツンしちゃってるぅ ﹁⋮私があのバカ中華女をノしてきます、先輩方は他の3人を﹂ ! ! ? ! ! 197 ﹂ ﹂ ︶﹂ そう心の中で突っ込みつつ、雪蘭の飛び蹴りを、 私の相手は戦車でしたか⋮これは潰し甲斐があります。 ﹁ホワチャー ﹂ ⋮貴方はブルース・リーですか ﹁なっ ﹁きゃぁ ! ﹁⋮ぶっ飛べ ﹂ ︶きゃぁぁぁ ! ﹂ ﹂ ! ︶がっ ! ﹁ア ン タ 前 線 に 立 つ よ り、後 方 で オ ペ レ ー タ ー し て い る 方 が 向 い て い る ん じ ゃ ね ぇ ⋮ ! ハイィィィィィ ﹁やぁ ! ︵パァン ﹁くっ ! さて他の2人は⋮どうやら向こうも圧倒しているみたいですね。 せん。 ストレートパンチを腹にぶち込むと呆気なく吹っ飛びました⋮最後に訂正も忘れま ﹁⋮私の髪は銀髪です、白髪ではありません﹂ ! ! ﹁なっ︵ごすぅ ﹂ 佳奈先輩から指導を受けた鉄山靠で体勢を崩し、 ! ? ! 回転させる様にいなし、 ! ﹁⋮てい︵ドゴォ 19話_私達、ぼっこぼっこにしてやったっす 198 のっ ﹂ ﹂ ﹁うわ、チェーンソーが ﹂ ﹂ ︶きゃぁぁぁぁぁ ﹁何で溶けるの、この液体、いったい何 ︵ドカドガァン ! 何故か柄の利き手で握る部分にも刃が付いているという変わった姿をしていました⋮ する様に溝が、さらにそこから刃側に何本も枝分かれしている様に彫られていて、更に ちなみにフリード先輩が持っていた刀ですが、刀身には刃先から根元に至るまで両断 の挑発、それも中の人ネタですよね、相手方の。 い液体で溶解させ、挑発に乗って飛びかかって来た所をダブルラリアットしました⋮そ 人のスポーツマンっぽい服装の少女のチェーンソーを、持っていた刀から射出された赤 フリード先輩はイル・ネルと呼ばれた⋮一纏めにしたのは双子みたいだからです⋮2 ! ﹁くそうwくそうw﹂ ﹁﹁キィィィィィィ ﹂﹂ ⋮最後の台詞は某ハンティングゲームでの中の人ネタですね、相手方の。 武器の様に振り回して痛めつけ、最後はホームランしました。 佳奈先輩は、ミラと呼ばれた和服少女から棒をぶんどって、それをまるで使い慣れた ﹁きゃぁぁぁ ! ! ﹁くそうwくそうw﹂ ! !? !? 199 簡単に言えば、Blood+の主人公である小夜が使っている刀を、より現実の刀に近 づけた感じでしょうか。 その刀の柄にある刃からフリード先輩の血液を流し込み、それが刃の溝を伝う構造に なっている様です⋮使い方までそっくりですね。 勿論この刀は一般的な物では無く、イッセー先輩の構想を元に祐斗先輩が作った物だ ﹂ ﹂ そうです⋮色々な意味で凄いです、イッセー先輩が味方に付いてくれて、本当に良かっ たです。 ﹄ さて、後はトドメを、 ﹁どうした ﹁⋮部長、どうしました ? ﹁良いのか ﹂ もう中にいる奴倒しちまったぞ まだリタイアにはなっていねぇけど﹂ ? ﹁わかりました﹂ 所にイッセー達が襲撃を仕掛けるって寸法よ﹄ ﹃朱乃の雷の威力を見せ付けて、相手への威嚇に使うわ。そこで躊躇して固まっている ? ﹃体育館を朱乃の魔法で破壊して、一網打尽にするわ﹄ ﹁あいあい、何ですかい ? ? ? ﹃皆、聞こえる 19話_私達、ぼっこぼっこにしてやったっす 200 ﹁あいよ ﹂ ﹂ 凄いですね⋮っ 過ぎです。 後に晴れたそこは、まっ黒な瓦礫しか残っていませんでした⋮朱乃先輩、相変わらず凄 私達が脱出してから数秒後、朱乃先輩の雷が体育館を包み込み、アナウンスを聞いた ﹃ライザー・フェニックス様の﹃戦車﹄1名、﹃兵士﹄3名、リタイア﹄ ! 輩達がやってくれたみたいです。 ンスが続々とやって来ました、体育館内の眷属は皆まだ消えていない以上、外にいる先 その指示に従い脱出を図ります⋮その間に、相手の眷属がリタイアしたというアナウ 拠点防衛をする余裕は無いですね。 仕留めようとした所に部長からの連絡です⋮まあこちらの人数が不足している以上、 ! ! ﹁アイアイサー 201 20話︳俺、果し合いをしました ﹃ライザー・フェニックス様の﹃戦車﹄1名、﹃兵士﹄3名、リタイア﹄ ﹁おお、皆頑張っているな﹂ ﹁そうだね、私達も負けていられないね﹂ 焼き鳥野郎の眷属達が脱落するアナウンスが続々と放送されるのを耳にしながら、俺 とれーちゃんは翼を広げて周囲を索敵していた⋮普通に考えれば遮蔽物の無い空中を 移動するなど自殺行為に等しいが、逆に言えば陽動として効果的であるし、慎重な相手 であれば迂闊に攻めて来ないだろう、仮にそうでなくてもAct2で対処は可能だ。 ﹂ ⋮もしかしなくても敵だね。どうしようか、いっちゃん ﹂ そう思い立ち、戦局を進める上で有効と考え、鉄球のレーダーを使いながら周囲を飛 行していた⋮む ﹁ ﹂ ﹁うん、気を付けてね﹂ ﹁分かった ! ? ! ! ﹁俺が陽動に出る。れーちゃんは光力で援護してくれ﹂ ! ﹁れーちゃん、森林内のあの地点に木とは違う反応が 20話_俺、果し合いをしました 202 れーちゃんと言葉を交わし、その地点に急接近する⋮数は分からなかったが、残りの ﹂ 人数からしてそう多くは無いだろう、俺の爪弾の残りも考えれば⋮何人だろうと立ち回 れる そう判断し、 は え ﹁美南風 み ﹂ !? ﹂ ﹁きゃぁっ ﹁しゃぁぁらぁぁぁ ︶﹂ ! ﹂ ︵ザン 翼を閉じ、黄金長方形をイメージし、 ﹁タスクAct2 ! ! ﹂ !? だが⋮驚く隙は与えないぜ ︶﹂ ︵ビュゥン ! ﹁しぇぇあぁぁ ! まさかあんな距離から味方が切り裂かれるとは思いもしなかったのか動揺する連中 ﹁にゃ、にゃにゃ⋮﹂ ﹁ば、馬鹿な⋮一体どうやって ﹃ライザー・フェニックス様の﹃僧侶﹄1名、リタイア﹄ 空中から左腕で薙ぎ払った⋮どうやら手応えあった様だな。 ﹁あ⋮あんな距離からだと !? !? ! 203 ! ﹁な ﹂ 来るぞ ﹁っちぃ ﹁﹁︵ザシュゥ ﹁ニィ、リィ ﹂ ︶にゃぁぁ ﹂ ﹂﹂ ﹂ ! 残りは⋮3人か、どうやらこれで焼き鳥野郎を除いて全員という訳か。 ﹁随分な手際だ⋮﹂ ﹁な⋮こんな短時間で⋮此処まで追い詰められるとは⋮ ﹃ライザー・フェニックス様の﹃兵士﹄2名、リタイア﹄ !? ! !? ! ! ! 俺達に出来ない事を平然とy﹄ ! ﹃本当っす。正にイッセー兄さん様々っすね﹄ ﹃ははは⋮あの地雷といい、女王を倒した事といい、イッセー君の土壇場だね﹄ ﹃フリード、その中の人ネタはもういいっつーの﹄ ﹃流石イッセー君 ﹃⋮相変わらずのチート振りです﹄ ﹃あらあら、私も負けていられませんわね﹄ ﹃大活躍ね、イッセー﹄ だ﹂ ﹁皆、どうやら俺の目の前にいる奴ら3人で、あの焼き鳥野郎の眷属の残りは全員の様 20話_俺、果し合いをしました 204 ﹃格好いいです、イッセーさん ﹃私も負けていられんな﹄ ﹄ ! 私はライザー様の リアス・グレモリーの眷属よ、此処で一勝負しようじゃないか ﹁まさか此処まで追い込んでくるとは⋮あんな大口を叩く程はある ﹂ 騎士、カーラマインだ ﹂ ﹁なっカーラマイン ! が名乗りだした⋮一騎打ちしようってか ハァァァァ ﹂ ﹂ き鳥野郎に引っ付いている只のバカ女かと思ったら、中々の根性じゃないか。良いぜ 今代の赤龍帝だ ! ! ! だったら相手に不足は無い ! 俺はリアス部長の﹃兵士﹄、兵藤一誠 ﹂ ﹁ほお、伝説に聞く赤龍帝か ﹁行くぜ行くぜ行くぜ ! そう思いつつも俺はカーラマインと名乗った少女の一騎打ちに乗り、駆けて行く。 か。 あの焼き鳥野郎も良い眷属持っているじゃねえか⋮流石に見た目だけでは無いって ! ! ﹁そんなあっさり乗ると思っているのか⋮と言いたい所だったが気が変わった。あの焼 ? 俺が部長達に報告していると、突然、西洋風の鎧を身に纏い、バンダナを巻いた少女 ﹁またコイツの悪癖が⋮﹂ !? ! ! 205 ﹂ ! ! ︶ハァっ ﹂ その距離が段々と近づき、タスクの斬撃の射程圏内に来て、 ﹂ ︵ビュゥン ! ﹁しゃぁぁぁぁぁぁぁ ﹁甘い ﹁っちぃ ! ている鎧といい、お前は何処のピンク髪のヤンデレポイズンシェフだ ﹂ ﹁決まっている⋮こうだ ﹁っく ︵ヒュゴォ ︶﹂ ! ﹂ ? ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ 焼き鳥野郎との戦いの為にキープしたかったけど、こうなったら⋮仕方ない くっ今まで色んな悪魔と戦って来たが⋮此処までやりにくい相手は初めてだ ! ﹁メタ発言している暇など与えん ﹁お前本格的に中の人が一緒なピンク髪のヤンデレポイズンシェフそっくりだな ﹁遠くからチマチマした攻撃は好かんのだが、君相手にはこうでもしないとな ! ? ! ! ! ! ! 伸びたのであろう。そして斬撃を伸ばせる距離には限界がある⋮そうだろう ﹁君がどうやって美南風やニィ、リィを倒したかは分かっている⋮その爪による斬撃が ! ら刃状の炎が放たれ、俺は何とかそれを斬撃で相殺した⋮あの炎の剣といい、身に着け 左腕を一閃するもそれを先読みしていたかの様に避けられ、逆に炎を纏っていた剣か ! ﹁ああ、大当たりだ。だが、タネが割れた所でどう対処する 20話_俺、果し合いをしました 206 ︵ドバァン ﹂ ! ﹂ ︶くっ⋮うぅ⋮やってくれるじゃないか⋮ ﹂ ! ﹁黄金回転の爪弾 ﹁ ! ﹁なっ⋮腕一本だけだって⋮ ! ﹁そうかい。︵ドバァン ︶じゃあな﹂ それにしても、フェニックスの涙って確か、受けた傷を全て癒してくれるアイテム りあって見せた彼女への、な。 すべきと思っていたのにこんな無駄遣いをしたのは、俺なりの敬意だ⋮俺とまともにや 互いの健闘をたたえ合いながら、俺はもう1発、爪弾を彼女に放った⋮さっきキープ ! と戦えて光栄だ﹂ ﹁ふふっライザー様の罵倒は聞くに堪えなかったが、それを抜きにしても君の様な猛者 ﹁そこまで読んでいたとはな⋮何だか負けた気分だぜ﹂ このザマだが﹂ させたとしか思えん⋮どうやら君の弾丸がその様だな。警戒して正解だった。尤も⋮ 彼女が、いの一番にやられたとあれば、それ程の攻撃を、反応する暇すら与えずに直撃 ﹁ユーベルーナがあっさりやられたんだ⋮実力者の上にフェニックスの涙を持っている したが⋮カーラマインは左腕を失いながらも、尚その場で戦意を示していた。 これで決着を付けてやろうとAct2による追尾能力のある弾痕を持つ爪弾を発射 !? 207 だったよな⋮いの一番に倒して良かったぜ。 ﹂ ﹂ ﹃ライザー・フェニックス様の﹃騎士﹄1名、リタイア﹄ ﹁いっちゃん、大変だよ ﹁れーちゃん、どうしたんだ ﹂ ﹁実は、部長が⋮﹂ ﹁ ? ! 聞き逃したか 早く行くと良い。私達は手を出さん﹂ いる、焦って部長の救援に向かって、背後から急襲されたら面倒だ⋮ ﹂ ? ? だが、 は、はぁ ﹁イザベラの言う通りですわ﹂ ﹁ ? ! どうした物か、まだ此処には2人⋮撃破された数からして僧侶と戦車だろう⋮残って ! そうだが、部長の意志は固かった⋮くそっカーラマインとの戦いに気を取られて通信を ゲームの勝敗を左右する王が自ら本陣に乗り込むなど正気では無いと皆して留めた 何と部長が、アーシアと塔也だけで焼き鳥野郎の本陣に突っ込むそうだ。 カーラマインを倒した所でれーちゃんから聞いた情報⋮それは俺を驚愕させた。 ! ﹁リアス・グレモリーの救援に行くのだろう 20話_俺、果し合いをしました 208 その葛藤を見越していたのか、何とこの場を見逃すとの発言が、イザベラと呼ばれた、 顔半分を仮面で隠した少女から出た⋮一体何を ? 所ですの﹂ ﹂ ﹁⋮へ ? ﹁うん、言っていたね⋮まさか⋮﹂ ﹁れーちゃん⋮彼女、今﹃兄﹄って言わなかった い、今何て⋮ ﹂ ﹁⋮え ? な、 !? ﹁なん⋮だと⋮﹂ ﹁⋮つまり⋮妹も眷属にする変態兄⋮ ﹂ ﹂ ﹁ああ、そのまさかだ⋮この方はライザー様の妹君、レイヴェル・フェニックス様だ﹂ ? ? ﹁そうですわ。それに⋮驕り高ぶった兄には少し灸を据えなければと、丁度思っていた かっても足止めにすらならん⋮背を見せた隙を突いた所で同じだ﹂ ﹁ユーベルーナ様やカーラマインを圧倒して見せたその手腕⋮仮に私達が束になって掛 行けと言われて、はいそうですかとはいかないんだが﹂ ﹁生憎、それを鵜呑みに出来る程バカでも、考えた末に信用出来る程冷静沈着でも無い⋮ 209 ﹁⋮正直、そう考えざるをえませんわね。私を入れた理由が﹃妹属性も入れるべきだろ う﹄という物でしたから⋮兄には失礼ですが、出来れば貴方に灸を据えて欲しいのです わ﹂ ﹁あの時ライザー様を罵倒された時には、新米悪魔が分かった様な口をきくなと思った 物だが、さっきまでの戦闘を見ればそんな思いも吹っ飛んだ⋮頼む赤龍帝よ、ライザー 様の目を覚まさせてやってくれ﹂ ﹂ ! ﹁⋮ああ、分かったよ﹂ 待っていろよ、焼き鳥野郎 ! ! 味方に、ましてや妹にまでこうも言われるとは⋮こりゃあガチで叩き潰さないとなぁ ﹁頑張ってねいっちゃん、ファイト 20話_俺、果し合いをしました 210 21話︳私、特攻しました Side 塔也 主リアスによる、自らの敵本陣急襲。 ﹂ 今押している状況なのに、自ら突っ込むなんて正気の沙汰 通信機越しに皆が反対するのと同じく、私もアーシアも反対であった。 じゃありません ﹁部長さん、危険すぎます おられるのか ﹂ あんな下種な ! 此処まで優位に立っている以 リタイアすれば負け、主の未来が決まってしまうのだぞ 輩に嫁がなければならない、そんな未来が だけど、いや、だからこそ私は行くわ ! ﹂ 皆をグレモリー家のゴタゴタに巻き込んでしまったこの責任に、私自信がケ リを付けなければならないの ! しかしながら、主リアスの決心は固かった。 ! らないの 人員は残っていない。そこを突く。それに⋮私が、私の力でライザーを倒さなければな 上、相手は私自ら本陣に突っ込むなんて予想はしていないし、気付いた所で狙える程の ﹁分かっているわ ! ! ! ﹁主リアスよ、貴殿がこのゲームにおいてどれだけ重要なポジションにいるか分かって ! ! 211 こうなってしまっては我らの制止を押しのけてでも行きかねない、ならばせめて皆に ﹂ も来る様伝えてはどうかと提案しても駄目だった⋮仕方ない、こうなれば⋮ ﹁来たわよ、ライザー ! だな ﹂ ﹁まさか君自身が乗り込んでくるとは、どうやらこの婚儀の重大性を分かってくれた様 ! るわ ﹂ ? ﹂ 幾ら不死身のフェニックスでも心を折ってしまえば﹁ヒートアップ ﹁ふん、フェニックスの血を持った俺に勝てるとでも ﹁勝って見せるわ ﹂ している所済まないが、待たれよ主リアス﹂塔也 !? ! 一介の兵士如きが俺と勝負だと 笑わせるな ﹂ ! と一勝負して頂きたい﹂ ﹁はっ ﹁塔也、これは私の問題よ、邪魔をs﹂ ! リアスより優れた能力を有している等ありえん。そんな私が勝てる相手であったなら ﹁まあまあ落ち着かれよ主リアス。ライザー殿が申された通り、一介の兵士たる私が主 ? ﹁我が名は式波塔也、主リアスの兵士だ。ライザー・フェニックス殿、主リアスの前に私 ? ﹂ ﹁馬鹿を言わないで⋮その逆よ。私がこの手で貴方を倒し、自ら婚約破棄を掴んで見せ ? ! ﹁何だ貴様 21話_私、特攻しました 212 ﹂ ば、主リアスなら事も無げに倒せるであろう。もし私がライザー殿を討ち取ったとして も、そういう事で溜飲を下されよ﹂ ﹁貴様、兵士の癖に俺を倒すとはふざけた事を ﹂ ? 討ちに会った⋮そんな因縁でもあったのではないか るまい⋮大事なのは、目の前の下種を討ち取るまで ! まあ、そんなありそうにない与太話を持ち出してまでこの怒りの原因を探る必要もあ ? 案外ライザー殿の前世に、私の前世の親友を殺され、私の前世が敵を討とうとして返り 先程戯れに口から出た﹃前世の因縁﹄という言葉が、本格的に現実味を帯びて来た⋮ て会った時の下種振りが目に余ったとしてもだ。 私も何故ライザー殿に此処まで怒り狂わなければならないのかが疑問だ⋮幾ら初め 処したら良いかといった表情で、先程の熱さも何処えやらである。 ない⋮アーシアは若干の怯えを見せながら疑問を投げ掛けているし、主リアスもどう対 正直に申せば、今この場でも怒りに震えている、形相も険しい物になっているに違い ﹁ぜ、前世⋮ですか そうだな、例えば前世の因縁がこの場で蘇ったとしか﹂ が出来ぬ、私とライザー殿にそれ程因縁があるとは思えぬのだが⋮何と言えば良いか、 ﹁それに、どうも私はライザー殿を見ると⋮何やら心底から湧き上がる怒りを抑える事 ! 213 ﹁では行くぞ ﹂ ﹁覚悟は良いな⋮この雑魚が ︶﹂ ︶﹂ ︵ヒュゴォ ﹂ て力強く感じる⋮これなら、行ける ﹁喰らえ ﹂ ! ! ﹂ にか行ったのだろうか⋮何時もより魔力が集まる感じが強い上に、身体も身軽に、そし だが、敵本陣に入ったが故に兵士である私の昇格が可能になり、実際にそれを何時の間 私は闇の魔力と光力を、ライザー殿は炎を、其々両手から展開し、突っ込んだ⋮今更 ! ! ︵ギャォン ﹁滅殺 ! ! ! 小癪な ﹁なっ ! ︶﹂ ﹁一回消した位で良い気になるな ︵ギャォン ! ︵ゴォ ︶﹂ ! じく消した。 先程よりも更なるパワーを感じる炎がこちらに向かって来るも、白色の光は先程と同 ﹁でいや ! ! 白色の光は、炎を文字通り﹃消した﹄。 の﹃虚無﹄には何ら関係が無い⋮闇の魔力と光力がぶつかり合う事による干渉で出来た ライザー殿が放った炎、それは私を飲み込むに余りある巨大さとパワーだったが、私 ﹁どうした、雑魚である私に覚悟させるのでは無かったのか ? ! 21話_私、特攻しました 214 ︶﹂ ︵ドドドドドドドドドド ! ﹁くっ⋮なら ︶﹂ ︵ガオン ︶ならば ! ︵ガオン ! ! ! ﹂ ﹂ ﹂ うすれば⋮︵バチィ ﹁がっ ﹁塔也 ﹁塔也さん ︶なっ、しまっ⋮ ! 焦りが出てしまい虚無を暴発、その反動を食らってしまい、脇腹に激痛が走る⋮流石 ﹁ふん⋮どうやらその白い光、まだまだ使いこなせていなかった様だな、鴉崩れよ﹂ !? ! ザー殿だ、炎の弾幕が凄まじい⋮今は捌けているが、逆に言えば攻め込めない状態、ど ⋮くっ流石にこれまで何度となくレーティング・ゲームを経験し、勝ってきたライ 場面で干渉が発生し、私に襲い掛かる、正に諸刃の剣だ。 だが無論、一緒に生成する際の扱いは繊細でなければならない⋮これを怠ると思わぬ より早く、より多く虚無を作り出せる。 先程までは別々の手で魔力と光力を生成していたのを、一緒に生成する⋮こうすれば 力と光力を作り、それを振りかざして消し飛ばす事にした。 石にこの量を﹃虚無﹄で消すにはまだ素早さが足りない、そう思い立ち、私は片手で魔 一撃を大きくしても届かないと気付いたライザー殿は、今度は炎を乱射して来た⋮流 ﹁ちぃ ! !? ! 215 に付け焼刃でどうにかなる程甘くなかったか⋮ だが⋮ ﹂ ﹁確かにな⋮だがそんな戯言も、私にとっては宝なのでな ! ︶﹂ ︵タッ る時間はそう長くないが⋮それだけで十分だ ﹂ ︶馬鹿かお前、自ら炎に突っ込むなど ︵ゴォ ! ﹂ そんな物で俺 ! ﹂ びかかり、 ﹁せぃ ﹂ ﹂ あんな大口を叩いたかと思ったら単なる飛び蹴りか ! ! に一太刀浴びせられるか ﹁は ! ドロップキックを放つも、難なくガードされる⋮が、 ! ましてやその遅さでこの俺 ライザー殿が炎を放つのも構わず、その炎が直撃して私が燃え上がるのも気にせず飛 ! ﹁はぁ ﹁なっ ! ! 私はまだ戦える、私の力を示すチャンスはある⋮脇腹のダメージは想像以上で、動け ! を倒せると思い上がるな 滅の力⋮面白い発想だが、アイデアも現実に出来なかったら単なる戯言 ﹁闇と光、魔力と聖なる力、相反する力同士をぶつけ合う事による干渉を逆手にとった消 ! ! ! !? ! ﹁勝てないなら一太刀浴びせ、バトンを繋ぐまで 21話_私、特攻しました 216 ﹂ サンダークロススプリットアタック ︶稲 妻 十 字 空 裂 刃 ! ﹂ 字を描く様に、光力を込めた両手のチョップをぶち ︵ドズドズゥ ! ﹁ぐぁ 稲妻十字空裂刃。 込んだ。 それを両脚で強引に抉じ開け、 ﹁掛かったな、アホが ! 俺の目が、回復しないだとぉぉぉぉぉ !? !? るだろう⋮そしてそれは不死身らしいライザー殿にとっても例外では無く、 目が、目がぁぁぁぁ !? ら悶え苦しみ続けていた⋮ぐ、が、先程までは感じなかった炎の熱さ、そして全身に負っ どうやら眼球に突き刺さったらしい⋮それを食らったライザー殿は両目を抑えなが ﹁ぎゃぁぁぁ ﹂ あっても下級堕天使の光力が時として致命傷にすらなりうるのだからその脅威が分か そしてそれによって叩きこまれた光力は、悪魔にとって最大の天敵だ⋮上級悪魔で 私の、絶望的な状況において頼れる技となっている。 反撃も食らってしまうが、こうでもしないと倒せなかった場面は幾らでもあり、今では これを使って、光力が届かなかった例は今まで一度として無い⋮尤も、その間に敵の その完成型だ。 堕天使時代の私が考案した、格上のはぐれ悪魔相手に、確実に光力を叩きこむ方法⋮ × !? た火傷の痛みが、今になって⋮ ! 217 ﹁部長 ﹂ ﹁イッセー ﹂ ﹂ ! ﹂ ! ﹂ 塔也さんが、塔也さんが が、はぁ⋮来てくれたか、一誠⋮ ﹁イッセーさん 後は任せろ ﹁一誠⋮私は確かにバトンを繋いだぞ⋮ ﹂ ﹁塔也⋮ああ、分かった ﹁頼んだ⋮ぞ⋮ ! 一誠の頼もしい言葉を最後に、私の意識は途絶えた。 ! ! ! ! !? ! ﹃リアス・グレモリー様の﹃兵士﹄1名、リタイア﹄ 21話_私、特攻しました 218 22話︳俺、覚醒しました︵1︶ ﹂ ﹂ ﹁イッセーさん ? ﹂ 部長が俺を悪魔として転生させてくれた事で、失われた筈の ! 俺の未来は再び繋がったんです ! 部長の手が繋げてくれた た事で刺されて、一度は未来を失いました。だけど⋮だけどその失ったはずの未来は、 ﹁俺は、兵藤一誠は、一度は未来を失った存在です。れーちゃんとのゴタゴタに目を背け だけど、 の気持ちも痛い程分かる⋮あの日あの場所で、部長の夢を聞いた俺には痛い程に。 そして、そのケリを自分でつけなければならないという決意であんな暴挙に出た部長 題、部外者である俺が関わって良い問題じゃないのは分かっている。 ⋮確かにこれは部長、引いてはグレモリー家とフェニックス家の魔王様も交えた問 が自ら止めを刺すと言いかねない、ならばと先手を打つ事にした。 部長が自ら出撃した理由をれーちゃん経由で聞いた俺、このまま放って置いたら部長 ? ﹁イッセー⋮ ﹁部長⋮俺にやらせて下さい﹂ 219 あの日もし、部長が俺達を発見してくれなかったら、部長が俺を転生させようと思っ てくれなかったら⋮今こうして俺はレーティング・ゲームに参加していなかった。 佳奈や美月、塔也やフリード、そしてアーシアと知り合わなかった。 部長や朱乃さん、木場に小猫ちゃんと仲良くなる事も無かった。 ﹂ 部長の⋮1人の女性、 悪魔として、未来を歩ける様に そして⋮れーちゃんは深い悲しみから一生逃れられなくなったかも知れない。 俺が部長の未来を繋ぐ ﹁俺はまた、未来に向かって歩く事を許されたんです だから⋮だから今度は ! ! 俺が、俺がこの手で、繋ぐ番なんです ! 俺は⋮俺はただ、部長の未来の為に⋮あの焼き鳥野郎を叩き潰す そう思った俺は、一縷の迷いも無く、 ! なったんです ⋮イッセー⋮﹂ リアス・グレモリーの夢の道を繋ぐ ! ! グレモリー家やフェニックス家、魔王様の都合など関係ない。 ! ﹂ ! こめかみに、銃の様なポーズを取った右手の人差指を突きつけ、 い。だけど⋮だけど俺は、あの焼き鳥野郎を叩き潰します アの様に傷を治す術も無い。フリードの様な体質も無い。佳奈の様な格闘術にも程遠 術でもない。小猫ちゃん程のパワーも無い。れーちゃん達の様な光力も無い。アーシ ﹁俺には部長の様な滅びの力は無い。朱乃さん達程の魔力も無い。木場の様な綺麗な剣 ! ﹁ 22話_俺、覚醒しました(1) 220 ﹂ ! 来るぞ、相棒の、新たなる力の目覚めが ﹂ ﹄ ! ﹁俺にはそれを成せる術があります⋮ こ⋮これは ! ﹁タスク⋮Act3 そして、 ﹃ ! ﹁イッセー ﹂ ﹁イッセーさん 一体何を ﹂ !? !? ︵ガシィ ︶なっ、貴様 ﹂ ﹂ ︶良かったなぁ ﹁イッセー、何時の間にそこに ﹁そいつは︵ズボォ ﹂ ! !? ! 全て、全て俺の意志で成された事だ。 痕から﹃身を乗り出す様に生えて﹄、奴を羽交い絞めにし、再び弾痕に﹃潜り込んだ﹄⋮ 弾痕が焼き鳥野郎の直ぐ近くまで移動し、奴の目が回復したのに合わせて俺がその弾 ! !? ! ﹁がはぁ⋮あぁ⋮やっと、やっと目が治ったぞ あの鴉崩れめ、手間を掛けさせてくれr その爪弾は即座に弾痕に変わり、狙った先にいた俺を取り込んで行き、 爪弾を放った⋮自分に向けて。 ! 足が生えた形状のロボットに変形したのを尻目に、 俺の側にいたタスクの⋮手が鋏の様な形状をしたロボットの姿から、鍵爪の様な手と ! 221 俺の⋮俺のタスクの、新たなる力、Act3。 説明書なんて無いけど理解した⋮その力は俺自身を弾痕の中に潜り込ませ、自由自在 に移動できる﹃弾痕操縦﹄。 そしてこの俺が潜り込む弾痕は、Act2での性質も受け継いでいるが故に⋮入り込 ︶ぎゃぁぁぁぁぁ ﹂ んで来た﹃俺以外の﹄存在を根こそぎ破壊する。 故に、 ﹁︵ズガガガガガ この焼き鳥野郎が取り込まれる瞬間、こいつの全身を根こそぎ破壊する !? ︶がぁぁぁぁ な、何故がばぁ !? 回復してもげばぁ 俺の身体がズタ ! 体が復活するのではと普通は思うだろうが⋮ ! しかしながらこいつは、不死身の力を有するフェニックス家、破壊されても直ぐに身 ! ! ! ﹂ !? ﹁︵ズガガガガガ 止めてくれぇぇぇぇぇ ﹂ ! ︶ぎぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ⋮た、助け⋮﹂ 止める訳が無いだろう⋮お前が投了するまで。 リザイン !? 自分の身体が再生と破壊を延々と繰り返す、その感想は ﹁どうだゴミクズ ! ︶ぐぁぁぁぁぁ ﹁︵ズガガガガガ ! ! ﹂ この弾痕は⋮異物を一切認めない⋮在り続けるなら、無くなるまで、破壊するまでだ。 ズタにぃぃぃ ﹁︵ズガガガガガ 22話_俺、覚醒しました(1) 222 !? ﹁助かりたいなら⋮さっさと白旗を上げるんだな﹂ k﹂ ﹂ 俺達に出来ない ふぅ、終わったか⋮塔也、お前のバトンは確かにゴールまで繋いだぜ。 それに⋮部長の夢の道もな。 ﹁終わりました、部長﹂ ﹁⋮凄い⋮これが、イッセーの力⋮﹂ ﹁イッセーさん⋮格好良かったです⋮﹂ あのライザー・フェニックスを圧倒するなんて ││││││││││││ ﹁やったね兵藤君 ! ﹂ けどまぁ、本当に凄いなイッセーは。アタシがボコし ﹁あのゴミクズの癖してしぶとい野郎を叩き潰すとは流石イッセー君 ﹁だから言わせねぇよフリード ﹁⋮本当にチートです﹂ ていた奴と同じとは思えねぇぜ﹂ ! 今回のMVPはイッセー兄さんで決まりっすね ! ! ! ﹁凄いっす、イッセー兄さん ! 様の勝利となります﹄ ﹃ライザー・フェニックス様の投了を確認。よって今回のゲームは、リアス・グレモリー リザイン ﹁︵ズガガガ⋮︶⋮も、もう⋮許し⋮﹂ 223 凄く恰好良かったよ ﹂ ﹁あらあら、おいしい所全て奪われちゃいましたね﹂ ﹁凄いよいっちゃん ! ⋮なら楽しんじゃおうかな ﹁うん、当てているからね﹂ ﹁それ何てテンプレ ? なぁ。 ちゃんに至っては抱き付いて胸を当てるというテンプレまでやった⋮柔らかかった り響いてから程無く、他の眷属達が続々集まり、俺に激励のメッセージをくれた⋮れー 俺達の勝利を、部長の夢が繋がった事を知らせるグレイフィアさんのアナウンスが鳴 ﹁きゃーw﹂ ﹂ ﹁あはは⋮れーちゃん当たってるよ、何か柔らかいのが﹂ ! !? しているというか⋮顔も少し赤くなっていないか ⋮どうした物か。 ﹁イッセー⋮ありがとうね。貴方のお蔭で、私は⋮﹂ ? しかった⋮なんというか、さっきから何処かぼーっとした様子というか、何かもじもじ ただ⋮俺と焼き鳥野郎との戦いを間近で見ていた部長とアーシアの様子が何かおか ﹁イッセーさん⋮﹂ ﹁⋮﹂ 22話_俺、覚醒しました(1) 224 ﹁部長、言ったでしょう。部長は俺の未来を繋いでくれた、だから今度は俺が部長の未来 を繋ぐんだ、と。それに俺は部長の兵士、これぐらいどうって事無いですよ﹂ 部長、どうしたんですか ﹂ ﹁⋮うん、こういう事よね、この気持ちって﹂ ﹁へ ? ︶ん⋮﹂ 変わらなかったが、突然部長は何かを決心したかの様な独り言を言って、 ﹂ ﹁︵チュッ ﹁んぅ ﹁﹁﹁﹁﹁﹁へ ﹂﹂ ﹂﹂﹂﹂﹂﹂ ! ? こ、これって⋮ま、まさか⋮ ﹁ファーストキス⋮レイネルという彼女がいる貴方なら、この意味が分かるわよね れが⋮私の気持ちよ、イッセー﹂ ﹁え⋮﹂ こ 思案していた俺に寄って来た部長は俺に礼を言って来た⋮それに対する俺の答えは ﹁はい、どうし⋮﹂ ﹁イッセー﹂ ? ﹁﹁ぶ、部長 !? !? えぇぇぇぇぇぇ !? ? 225 え、ちょ、マジっすか 部長が、部長が俺の事を⋮ ﹂ ﹂ ﹁部長さんだけずるいです︵チュッ ﹁うわっ ﹁あ⋮アーシア ﹁⋮思わぬライバル登場ね⋮﹂ アーシアお前もかぁぁぁぁぁ ︶ん ! ﹂ いやいや、お、俺にはれーちゃんという最愛の彼女が⋮ !? !? ! 来を決めた人がいてだな⋮ ﹂ ﹂ ! ﹂ だから泣かないでくれ、れーちゃん わ、私がいっちゃんの彼女だよね、ね ﹁わ、私だって負けません ﹁いっちゃん ﹁なんだこのカオス﹂ ﹁あ、ああ、そうだ !? ! ﹁⋮私達、ゲームに勝ったんすよね ﹂ ! ! ﹁⋮嫌らしいです﹂ ? ! ﹂ いやだから、2人の気持ちは嬉しくない訳無いんだけど、俺にはれーちゃんという将 ! !? !? ﹁レイネルにアーシア、貴女達には負けないわよ 22話_俺、覚醒しました(1) 226 ﹁あはは⋮﹂ ﹂ ? ⋮誰か止めてくれ。 ﹁あらあらモテモテですわね、うちの頼れる兵士様は﹂ ﹁わーお、イッツ昼メロ的展開 227 後から入って横取りなんて、幾ら部長でも酷いです 23話︳周りが、カオスになりました ﹁いっちゃんは私の彼氏なんです ﹂ ! ﹂ ! ? 恋心を そんな感じで、俺が対応に苦慮していると、 ? それにしても、部長もアーシアも、何でまた俺に⋮れーちゃんという彼女がいる俺に、 ら暫く経った今も、れーちゃんと部長、そしてアーシアの口喧嘩は収まらなかった。 レーティング・ゲームでの勝利が決まった後の突然の部長とアーシアの告白、それか ⋮どうした物か。 ﹁わ、私も諦められません てイッセーの事を諦めるなんて出来ないわ﹂ ﹁それは分かっているけど、悪魔は欲深い存在よ 貴女を蔑ろにはしないけど、だからっ ! ﹁﹁﹁何 ﹂﹂﹂ 耳拝借﹂ ﹁まあまあお三方、落ち着いてくだしあ。何ならこんなのはどうでしょう。ちょっとお 23話_周りが、カオスになりました 228 !? ⋮で、でもそれは⋮﹂ ﹁まずは部長から⋮﹂ ﹁ ⋮ええ、そうね⋮そうよね⋮﹂ ﹁ですがねぇ⋮﹂ ﹁ ⋮そうですね﹂ ﹁じゃあ次はアーシアちゃん⋮﹂ ﹁ ⋮で、でも⋮﹂ ﹁最後はレイネルさん⋮﹂ ﹁ ﹁大丈夫ですって⋮﹂ ⋮うん、そうだよね⋮﹂ ﹂ ﹂﹂ ﹂ フリードが割って入り、何か耳打ちしていた⋮な、何を話しているんだ ﹁ ﹁いっちゃん ﹁﹁イッセー︵さん︶ ﹁へ、な、何ですかれーちゃんに部長、それにアーシア ! ! ? ! ! ! ! ! ﹂ ? ﹁イッセーさん、私も貴方の事が諦められません⋮レイネルさんや部長さんのついでで も私も、貴方の側にいさせて ﹁イッセー⋮レイネルがいる以上、一番は望まないわ。二番、いや三番でも構わない⋮で ? 229 良いんです⋮私も、一緒にいさせてくれますか じているから﹂ ﹂ はぁぁぁぁぁぁぁ ﹁は⋮ まさか ﹂ ﹄と言わん って事で﹂ ﹁いやぁレイネルさんは勿論ですが他の2人も﹃引き際 何それ美味しいの お前どういうつもりだよコレ ﹂ 何これ、何時の間に俺がハーレム作る前提で物事が進んで⋮は、 とも、女性として魅力的だしね⋮だけど、いっちゃんが私を一番に想ってくれるって、信 ﹁いっちゃん⋮私は、いっちゃんが2人の事好きになっても良いって思っている。2人 ? ばかりでしたからねぇ、だったらいっそ3人ともくっついちまえ って事で、じゃねぇよ ? !? ねぇか ﹂ 眩しい ﹂ ! えているんだ俺は ︶うわ ! ﹁じゃ、そういう事で ﹁おい、話は終わってn︵パァン ! ! ! いや確かにれーちゃんの言う通り部長もアーシアも女性として魅力的⋮って何を考 ! 俺の意志⋮れーちゃんを只1人の恋人として愛するっていう俺の意志完全無視じゃ ! ! ? ! !? ? ! ﹁フリード 23話_周りが、カオスになりました 230 ﹁あばよ、とっつぁん ﹂ あいつ⋮後でシバく ! ││││││││││││ ! ﹄ ! ﹂ ! ﹂ !? しまった挙げ句、先端恐怖症になってしまったらしい⋮あの時は焼き鳥野郎への怒りと ちなみにレイヴェルの話だと、あれ以来焼き鳥野郎は部屋に引き籠ったきりになって ︵言い換えれば自分達の敗北に関する事︶に首を突っ込んでいるんだか⋮ してイザベラがいた⋮カーラマインの言い分は兎も角として、本当に何で敵の祝勝会 何故か其処には焼き鳥野郎の眷属⋮つまり敵方の筈のカーラマインとレイヴェル、そ ﹁私もだ﹂ ﹁ちなみに私も加わらせていますわ、兵藤さん﹂ ﹁実力を認めた相手に敬意を払うのは騎士の礼儀だ﹂ ﹁ちょっと待て何で焼き鳥野郎側のお前が居るの ﹁赤龍帝よ、見事であった。凄まじき戦いぶりだったぞ﹂ 翌日、オカ研の部室にて行われた祝勝会、木場の合図で乾杯をする俺達だった⋮が、 ﹃乾杯 勝利を祝って ﹁それでは、我らオカルト研究部の部長、リアス・グレモリー様のレーティング・ゲーム 231 勝利への執念が相まって迷いなく踏み切ったが、流石にACT3による無限スクラッ パー地獄はやり過ぎたか⋮ ﹁イッセー、本当にありがとうね⋮あの後、正式に婚約破棄が決まったわ﹂ ﹁ぶ、部長⋮そ、そうでしたか﹂ ﹁本当に、貴方のお蔭よ⋮貴方がいなかったら、勝てていたか分からないわ﹂ と考えていると、カーラマインが歩み寄って来た⋮何やら好戦的な顔をしてだ。 長が撃破される危険もあったからな。 特攻あってこそACT3を行使する余裕が出来たのだし、そもそも俺が到着する前に部 けど、王である焼き鳥野郎に関しては俺だけの力ではどうだったか⋮塔也の捨て身の 破した事だそうだ。 人中︶6人という最多撃破数と、ACT2による弾痕地雷で翻弄した事、何より王を撃 魔王ルシファー様から表彰される事になったらしい⋮選出理由は、︵撃破された全14 そして非公式でありながら、レーティング・ゲームでのMVPに俺が選出され、後日 か、そういう意味では無い⋮と思う、俺にはれーちゃんがいるんだし。 騒動以来、どうも部長の前だと変な意識をしてしまう⋮別に好意を持っているが故だと 後、部長と焼き鳥野郎との婚約も正式に破棄された⋮は良かったんだが、昨日の告白 ﹁い、いえ、それは買い被り過ぎですよ﹂ 23話_周りが、カオスになりました 232 ﹂ ﹂ 私とカラオケで勝 ﹁さて、赤龍帝よ。聞けば君は、ボーカル兼ギターとして、人間界でバンド活動をしてい るそうだな﹂ ﹁ああ、それがどうかしたか ﹂ ﹁レーティング・ゲームでは歯が立たなかったが⋮歌では負けない 負しろ ﹁は、はい タイプの機器もあるけど、唐突過ぎないか ⋮でもまあ、乗るか ﹁まあ良いぜ。バンドのボーカルとしての実力を見せてやるよ﹂ ? ある私に負けは無い ﹂ が寄って来て、代表して部長が声を掛けた。 と、カーラマインの唐突な宣戦布告を受けると⋮﹁私もやる ﹁それは聞き捨てならないわね ? ! ﹁わ、私も同じ中の人でアイドル歌手の方がいます ﹂と言わんばかりに皆 負けられません ﹂ ! ﹁あらあら、そしたら私も、中の人のカヴァー曲を﹃国歌﹄と言って下さる方の為に負け ! ﹁私の中の人もプロの歌手よ。それもオリコンベスト10入りした、ね﹂ ! ﹂ ﹁ふっ⋮幾ら君がボーカルとして鍛えられているとしても、中の人がプロのシンガーで ! いや確かにこういう華々しいパーティでは定番だし、部費で借りたというコンパクト ? ! ! ? 233 られませんわね﹂ ﹁語るに落ちたなリアス・グレモリー。オリコンでベスト10に入ったと言っても、所詮 カオス 諸事 あと朱乃さん、それは裏名義を名乗った別の 人気アニメのタイアップの影響だろう、主人公の中の人が赤龍帝と同じの、な﹂ ﹂ ﹁何で皆してメタ発言しているんですか 人です 俺が知りたい。 !? まあこんな感じで、祝勝会は楽しく過ぎて行った⋮え、カラオケバトルの様子 情でカットだ。 ? ! ﹁何なのだこの混沌は﹂ 23話_周りが、カオスになりました 234 幕間﹃昼休みのファミリア﹄ ﹁生徒会室⋮部長、どうして此処に ﹂ ﹁部長って、生徒会の連中と関わりでも深いのか ﹁ほぇー、此処が生徒会の本拠なんですね⋮﹂ ﹁見た感じ普通の教室と変わらないっすね﹂ ﹂ ﹁シンプル・イズ・ベストって訳ですかい﹂ ﹁主リアス、何故教師である私も ? ? ﹂ ? ﹁ええ、そうよ。ソーナの正体にまで気付いていたなんて、流石イッセーね﹂ な眷属の紹介か何かですか 徒会長でしたよね。そしてシトリー先輩も最近新たな眷属を持った⋮もしかして、新た ﹁部長、確か支取蒼那⋮いえ、元72家の一角、シトリー家のソーナ・シトリー先輩が生 るれーちゃん達だったが、俺はその理由に見当が付いていた。 俺達は部長に連れられ、生徒会室前に来ていた⋮何故此処に来たのか疑問符を浮かべ ? ﹂ 結末が色々とカオスだった焼き鳥野郎とのレーティング・ゲームから数日が経ち、 24話︳俺達、使い魔の森に来ました 235 ﹁伊達に人間の頃からはぐれ悪魔に喧嘩売っていませんから﹂ 俺の予想に感心したように認めた部長と、それに驚くれーちゃん達⋮まあ学内では偽 名を使っているから気付かないのも無理はないか。 そしてシトリー先輩側の新しい眷属となれば⋮アイツ、匙の可能性が高いな。 ││││││││││││ リアス先輩の、眷属に ? ﹂ ﹁予想はしていたが、まさか本当にシトリー先輩の眷属になっていたとはな、匙﹂ ﹂ ﹁ひょ、兵藤⋮お前も、悪魔になったのか ﹁⋮リアス、私の事、彼に話しました ? ? ﹁まあ悪魔として忙しかったなら仕様が無いし、俺も人の事言えないが⋮この前久々に ﹁悪かったな匙、今までバンドの練習を、これまで以上にほったらかしにして﹂ トリー先輩はともかく匙の悪魔化までは確証を持っていなかったが。 た筈のシトリー先輩の素性を把握していたとあればびっくりだわな⋮かく言う俺も、シ 生徒会室で繰り広げられていた光景、それは驚きの連続だった⋮まあ正体を隠してい とは⋮﹂ ﹁人間の頃からはぐれ悪魔を倒していた凄腕と聞いていましたが、まさか筒抜けだった よ﹂ ﹁いいや、全く話していなかったわ。彼、人間だった頃から貴方の正体に気付いていたの 24話_俺達、使い魔の森に来ました 236 ﹄とな﹂ 顔出ししたら、松田も元浜も相当怒っていたぞ。﹃バンドの華が2人もいない状態でど う練習しろと ! ﹂ ﹁2年で部長の騎士、フリード・セルゼンってんだ ! ﹂ ! 今後も宜しくお願 宜しく∼ロビン﹂ ! ﹁お前それ匙の中の人ネタだろ⋮まあ改めて、2年で部長の兵士、兵藤一誠だ。これから ! いします ﹁同じく2年生で、リアス部長の僧侶、アーシア・アルジェントです ﹁よう、同じく2年生でリアス部長の兵士、脇澤佳奈ってんだ。今後も宜しくな、匙 ﹁初めまして、2年生でリアス部長の兵士、レイネル・ブリュンスタッドです。宜しくね﹂ 元士郎です。兵藤とは同じバンドの仲間です。宜しくお願いします﹂ ﹁あ、はい会長。兵藤以外は初めまして。2年生で生徒会書記兼、ソーナ会長の兵士、匙 しょう﹂ ﹁匙、関係者とはいえ、バンド仲間との会話もそこそこにしなさい。今回の主題は別で からは積極的に顔出しするか。 これは不味いな⋮幸い、体質が夜型になった事で悪魔の仕事との両立は容易だ、今度 かった⋮つまり、半月以上サボり中だ。 悪魔になってからもう半月はゆうに経つが、それまでにバンドの練習に全く出ていな ﹁ヤベェ⋮なるべく顔出しする回数増やさないとな﹂ 237 は新米悪魔同士、宜しく頼むぜ﹂ ﹁1年生でリアス姉さんの兵士、瑠璃星美月っす 宜しく頼むっす、匙先輩 ﹂ ! 見ると、大分にぎやかだよな、これ。 ﹂ ? ﹁大幅に増やしたと聞き及んでいましたが⋮一気に逆転されましたね﹂ 力を感じるわ。どれぐらい消費したの ﹁あらソーナ、眷属は数が全てじゃないと言っていたのは貴方でしょう ﹂ 現に彼、結構な シトリー先輩に促され、自己紹介を始めた俺達⋮しかしまあ改めて此処にいる面子を 顧問も務めている。宜しく頼む﹂ ﹁主リアスの兵士、式波塔也。知っていると思うが、この学園の教師で、オカルト研究部 ! ﹁へぇ奇遇だな匙、俺もなんだ。何か神器でも宿しているのか ? ﹂ ? ﹃まさか相棒のバンド仲間が、アイツの欠片の持ち主だったとはな。世間とは狭いな﹄ ﹁ああ。ドライグ﹂ か ﹁ああ。﹃黒 い 龍 脈﹄。龍王ヴリトラの力が宿った神器なんだ。しかし、お前もその口 アブソーブション・ライン かったのか、或いは神器、それも中々のランクの物が宿っているに違いない。 匙 も 俺 と 同 じ 4 個 消 費 し た の か ⋮ だ と す る と 戦 闘 経 験 が 豊 富 で ポ テ ン シ ャ ル が 高 ? ﹁はい、兵士の駒4個です﹂ 24話_俺達、使い魔の森に来ました 238 ﹁ど、ドライグ ま、まさかその籠手って⋮﹂ !? ﹂ ? は ザトゥージ⋮誰だ ﹁部長、今言ったザトゥージって方は一体 ? ﹂ ? ? る、何が良いかな⋮ ﹁使い魔か⋮可愛いのいないかな ﹂ ﹂ 使い魔か、まあ持っていて損は無いな⋮けれど使い魔って言っても色々なタイプがあ していたのよ﹂ 使い魔になってくれそうな生物が住む地を管理している悪魔ザトゥージと日程を調整 ﹁実を言うと、皆も悪魔になった事だし、そろそろ使い魔を持たせようと思ってね。その ? ? ﹁済ませてあります。この大人数ですので時間を取るのに手間取りましたが﹂ ﹁それでソーナ、ザトゥージさんへの連絡は る際に、俺の契約に用いた悪魔の駒に不可解な現象が起こった、等と。 シトリー先輩の指摘にお茶を濁す部長⋮まさか言える筈も無いだろう、俺を転生させ ﹁まあ、色々とね﹂ 済ませられましたね アス⋮神滅具持ちで、人間の頃からはぐれ悪魔と渡り合った彼を、良く兵士の駒4つで ﹁そうです、匙。兵藤君の神器は神滅具の一角﹃赤龍帝の籠手﹄ですよ。それにしてもリ 239 ﹁アタシと共に過ごすんだ⋮頑丈そうな奴が良いな﹂ ﹂ ﹁デカい奴いないっすかねぇ﹂ ﹁私も可愛い子が良いですね ﹂ ﹁使い魔か⋮ふむ、何が良いか⋮﹂ ! てきたな。 使い魔と契約できるとあって期待の色を浮かべるれーちゃん達⋮俺も楽しみになっ ﹁オモロい奴カモーン ! ﹄ ! 使い魔契約のサポートを担当する事になっていますが⋮まだの様ですね﹂ ﹁先程話題に上がったザトゥージさんは、此処を管理する中級悪魔です。今回皆さんの 皆に、使い魔を手に入れて貰うわ﹂ ﹁此処が、悪魔が使役する使い魔としての実力ある生物が多く住む森よ。此処で今日は 転移魔法陣の光が晴れるとそこは、鬱蒼とした森の中だった。 ││││││││││││ 部長とシトリー先輩の先導で、俺達は転移した。 ﹃了解 ﹁匙、行きますよ﹂ ﹁それじゃあ、早速行きましょうか﹂ 24話_俺達、使い魔の森に来ました 240 成る程な、確かに此処なら気配が察知されにくい⋮片や外敵から身を守り、片や獲物 を奇襲する、その両方で此処はうってつけで、個性的な生物が沢山いそうな雰囲気がひ しひしと伝わって来る。 ﹂ ﹂ そう、此処を評価していると、 ﹂ ﹁ゲットだぜ ﹁ひゃ ! ﹂ ﹂ ﹁うわっと ﹁きゃぁ ! !? ﹁な、なんすか !? 詞⋮その方向に振り向くと、 ﹁一誠君⋮あれってサトs﹂ ﹁フリード、皆まで言うな﹂ ってやらすなよ ﹂ それは俺の中の人ネタだ ! ? 姿形まで永遠の10歳を真似たとしか思えない様な存在がいた⋮尤も、声は流石に ! ﹁背後に炎を纏った鳥らしき姿が一瞬見えたが、気のせいか ﹁マジシャンズ・レッド ! ﹁塔也までメタい発言を⋮﹂ ﹂ 突如背後から聞こえて来た、どっかの永遠の10歳のポケモントレーナーみたいな台 !? 241 俺に掛かればどんな 違ったが⋮ポケモンに指示するより、どっかの遊撃隊の戦闘機を操縦している方がしっ くり来る感じのな。 ﹂ ! ! ﹁ザトゥージさん、彼らが連絡で話していた子達です﹂ ⋮本当に大丈夫か ? 使い魔も即日ゲットだぜ ﹁へぇ、リアス嬢ちゃんにソーナ嬢ちゃんの新しい眷属か⋮OK 24話_俺達、使い魔の森に来ました 242 25話︳俺達、使い魔契約しました 私、この子を使い魔にします ﹂ 案内役だというザトゥージに対する不安を抱えながら、使い魔探しは始まったが、俺 ﹂ の不安も杞憂だと言わんばかりに、順調に進んでいった。 例えば、 ﹁キュルー スプライト・ドラゴン ﹁はわわ、か、可愛いです ! ﹂ !? はぁっ ! ! 次に、 ﹁ふっ ﹂ ちなみに名前は雷撃+俺で﹃ラッセー﹄にしたとか⋮おいおい。 無理だという存在らしく、驚いていたな。 ザトゥージ曰く蒼雷龍は激レアなドラゴンで見つけるのは勿論、使い魔契約も普通は を発見、向こうも気づくや否やアーシアに抱き付き、そのまま使い魔となった。 蒼雷龍の幼体だという存在︵それでも大型の鳥位はあった︶が木の枝で休んでいる所 のか ﹁まさか蒼 雷 龍が簡単に懐くなんてな⋮お嬢ちゃんにも使い魔マスターの素質がある ! ! 243 ︶がっ ﹂ ! ﹂ ハィィィィィィ ︵ズドォン ! ﹁甘いぜ ﹁ ! ! ﹂ ! ﹂ ! ﹂ ﹂ ﹂ 響だとはいえ、これはやり過ぎじゃねぇか⋮ 更に、 ﹁うきゅ ﹁⋮か、可愛い⋮ ﹁うきゅーうきゅー ! ! ? ? ﹂ フリードの呟きには俺も同感と言わざるを得なかった、ザトゥージ曰く縄張り争いの影 さん、シグナーが現れ、それを気に行った佳奈との立ち合いの末に使い魔契約をした⋮ 俺達がウンディーネに対して持っていたイメージとは大幅に違った筋骨隆々のお姉 ﹁⋮それは無いと思うぞ、フリードよ﹂ ﹁⋮佳奈さんといいウンディーネといい、最近は筋肉娘がトレンドなんですかねぇ﹂ ﹁頼もしい言葉、有難うな ﹁ああ、貴方となら何処までも付いて行く﹂ なってくれよ ﹁粗削りだが、良い線行っているじゃねぇか。シグナー、約束通り、アタシの使い魔に ! ﹁あはは、こ、こらくすぐったいよ⋮私、この子にします ! 25話_俺達、使い魔契約しました 244 ﹁⋮まさかあの伝説に聞いたミドガルズオルムの幼体が、此処に紛れ込んでいたとはな ⋮ましてやそいつが懐くなんて⋮﹂ ﹄ ﹂ ﹁いっちゃーん ﹁うきゅ 私の使い魔だよー 可愛いでしょ ﹂ スリーピング・ドラゴン ! ﹁そいつは服を溶かすスライムだな。まあ人体には害は無いk﹂ ばかりの液状の生物が振りかかり、 例えば、アーシアがラッセーと契約してから程無く、如何にもスライムですと言わん 尤も、良い事ばかりじゃない。 ちなみに名前は﹃リョーイチ﹄⋮何でも龍+俺らしい⋮可愛いなぁ。 てもドライグが言っていたドラゴンとは思えないが、それでも心強いな。 し、そのまま契約した⋮その体躯はれーちゃんより若干小さい位、幼体とは言っても、と れーちゃんが、五大龍王の一角である﹃終 末 の 大 龍﹄ミドガルズオルムの幼体を発見 ! ? ﹁あ、ああ⋮可愛いな⋮﹂ ! ! 優に超える程だが⋮幼い頃はこんなに小さかったのか⋮というか子供作っていたのか ﹃あ、ああ⋮俺達二天龍に次ぐ五大龍王と呼ばれた存在の一角で、その大きさは俺達をも ﹁⋮ど、ドライグ⋮ミドガルズオルムって⋮﹂ 245 ﹁黄金回転の爪弾 ︵ドバァン ︶れーちゃんに手ぇ出すなこのエロ生物 ! ﹂ ! た事。 後は、 ﹁クァァァァァァァァァァァ ﹂ ﹂ 女性陣に襲い掛かろうとしていたので俺が咄嗟に放った黄金回転の爪弾で撃沈させ ﹁い、いっちゃん⋮ありがと///﹂ ! ﹁うわ、うっさいなぁ ! ﹂ ! ﹂ ﹂ !? ﹁ヒヒィィィィン ﹂ 突如上から吹き荒れた突風を堪えつつもその発生源であろう上を向くと、 ﹁上空から風が !? ﹁おわ、何だ まあそんな感じで使い魔探しは続いていたが、 あったな⋮小さいけどパワーは想像以上だなコイツ⋮ もなく拳型のエネルギーを発生させて腹部にぶち込んで遥か彼方に吹っ飛ばした事も 鳥人のイメージにぴったりな存在の鳴き声の余りの煩さにリョーイチが何処からと !? ﹂ ﹁うきゅぅ ! ︶クァァァァ⋮ ﹁︵ゴスゥ ! ! 25話_俺達、使い魔契約しました 246 ﹁純白の馬⋮ ﹂ ﹂ ﹁身体に翼が⋮ ? ﹁もしかしてコイツ、天馬か ? えて⋮俺、何かしたっぽい ﹂ コイツも紛れ込んでいたのか⋮﹂ ﹂ 訝しむ俺を他所に天馬は更に近寄り、 ﹁ヒヒン ﹂ ﹁え⋮もしかして、乗れって事か ﹁ヒヒン 宜しくな、エレン ﹂ ! ⋮だとしたら嬉しいな。 ﹂ ﹁よし、お前をエレンと名付ける ﹁ヒヒィィィィン ! ! 言わんばかりに頷く天馬⋮ひょっとして俺の使い魔になるべく来てくれたって事かな 身体を横にして、俺に騎乗を進めて来た⋮もしかしてと思い聞いてみると、そうだと ? ? ! ! ﹁言葉が分かるのか⋮つまりコレって、俺を認めてくれるのか、主人として ﹂ 嘶きを上げ終えた天馬は着陸するや否や、こちらに歩み寄って来る⋮何故か俺を見据 た⋮さっきの突風はコイツが降下した際に巻き起こったみたいだな。 其処には嘶きをあげる、ギリシャ神話に登場する天馬﹃ペガサス﹄そっくりの馬がい !? ? 247 ﹁いっちゃんも使い魔ゲットだね うわぁ、格好いいな ﹂ ! 俺っちはコイツにするぜ 要なキーになるとは、今はまだ知らなかったけどな。 その後も、 ﹂ ﹂ こうして俺も、使い魔を手に入れた⋮まさか後に、俺が物凄い力を手に入れる際の重 ! 何コイツすげぇ面白そうな奴だな ﹂ ! ﹁ひゃはっ ﹁うおっ ﹁ヒャッハー ! ! が使い魔にしたり、 ﹁む⋮お前、私の使い魔になるつもりか ? ﹂ 私の使い魔になって欲しいっす ! だろう︶認められたり、 あ、あの ! ﹂ な体躯の存在が塔也に近寄り、使い魔にしてくれと頼んで︵塔也の口振りからしてそう 頭に髑髏の様なヘルメットを被った某何でも吸い込むピンクの悪魔みたいな真ん丸 ﹁ふむ⋮何やら愛嬌或る姿だが、何気に力を感じるな⋮良いだろう﹂ ﹁︵コクッ︶﹂ ﹂ 水みたいな体躯、長靴とアイマスクだけを装着した良く分からない存在を、フリード ! ! ! 何か恰好いい鳥っす ! ﹁クェッ ﹁おお ! 25話_俺達、使い魔契約しました 248 ﹁クェ﹂ やったっす、有難うっす ﹂ ! は狐みたいな姿だった。 ﹂ それにしても今回は凄い光景を沢山見させて貰ったぜ じゃあな ! ﹁ザトゥージさん、今日はありがとうございました﹂ ﹁良いって事よ 使い魔マスターへの道は遠いって事だな ﹄ こうして俺達は各々の使い魔を連れて、森を後にした。 ! 俺もまだまだ 匙もまた何時の間にか使い魔契約していた⋮お前何時の間に⋮ちなみにその使い魔 り認められたりもした。 炎を纏った様な紅い色合いの、梟の様な大きい存在に美月が交渉を申し込んであっさ ﹁い、良いんすか !? ! ﹃ありがとうございました ! ! 249 3章﹃月光校庭のエクスカリバー﹄ 26話︳俺、疑念を抱きました いっちゃんはこの頃から魅力的だったんですよ﹂ ﹁こ、この子が小さい頃のイッセー⋮可愛い⋮﹂ ﹁ですよね、部長 ﹁あらあら、可愛いですね。お持ち帰りしたい位ですわ﹂ ﹁⋮小さい頃の先輩⋮﹂ ﹁今じゃあ考えられない位の可愛げさだなこりゃ﹂ ﹁はわわ、今とはまた違ったイッセーさんの魅力が⋮﹂ ! これが小学生位の頃のイッセーよ ! ! 本当にどうしてこうなった、凄く恥ずかしいんだが⋮ ﹁皆、どんどん見てね ﹂ なったのだが、何時の間にか俺のアルバム鑑賞になっていた。 今日は旧校舎が全体清掃の為、オカルト研究部の放課後での活動はウチで行う事に ⋮どうしてこうなった。 ﹁まあイッセーには、色々と訳があったからな﹂ ﹁⋮人間って分からないっすねぇ、たった10年で此処まで逞しくなるんすから﹂ 26話_俺、疑念を抱きました 250 ﹁母さん何勧めてんの ﹂ !? だし﹂ ! ドラゴンの力は強大、それが力有る者を引き寄せる⋮ドラゴンの魂が宿った神器を有 に降りかかるだろう。 眷属であると知れ渡った以上、俺の意志など関係無いと言わんばかりに厄介事がこの身 それを宿した俺が悪魔陣営の、名家で知られるグレモリー家の次期当主である部長の にとって忌まわしい意味で有名な二天龍の一角、ドライグ。 赤龍帝の籠手は、神器でも最高級である神滅具の一角な上、宿っているのは3大勢力 の﹄俺の立場を鑑みてだ。 言ってもそうそう信じられないであろう事を何故話したのは、俺の、﹃赤龍帝として に一回は殺され悪魔として転生した事⋮等々。 3大勢力を始めとした人外勢力達、れーちゃんの正体、俺に宿った神器、れーちゃん それは両親には既に、俺達の事を話しているからだ。 な事を言ったのか。 ⋮ちなみに何故母さんが﹃お嫁さんや家族﹄と、オカ研メンバーの正体を仄めかす様 ﹁いやそうだけどさ ﹂ ﹁あら良いじゃない、これから1人息子の御嫁さんや家族になるかも知れない方達なん 251 している俺も、それは例外じゃない。 増してや二天龍には大昔からの因縁があり、その神器を宿した者同士が出会った時、 命尽きるまで戦い続けたという話も過去何度もあった。 そう⋮俺は何時、戦乱に身を落とすか分からないし、家族が巻き込まれないとも限ら ない。 そうなった時、事の次第を知らなければ⋮ だから、俺は話した⋮もう、俺は家族を失いたくないんだ。 その時の反応は、まあ俺の予想通りと言うべきか、両親ともに半信半疑の様相だった が、 ﹁悪魔になろうと、イッセーはイッセーだ﹂とか﹁イッセーは強い、運命に立ち向か える位に﹂と言ってくれ﹁いざとなった時は、自分たちの事は気にするな﹂とまで言わ れた⋮親って、強いよな。 より一層、俺は失いたくないと決意した⋮家族を、大切な人を。 ﹂ なぁなぁイッセー君、この写真なんだけどさぁ⋮﹂ ﹁どうした、フリード ? ﹁ああ、これか。こいつは俺の幼馴染、紫藤イリナだ⋮もう10年なんだよな。アイツ、 喋らないと思ったら。 そう、改めて決意した俺に、フリードの呼び出しが聞こえた⋮どうしたんだ、珍しく ? ﹁あるぇ 26話_俺、疑念を抱きました 252 今頃どうしているんだろうな﹂ フ リ ー ド の 呼 び 出 し に 応 じ て 近 づ く と、そ こ に 1 枚 の 写 真 ⋮ 幼 稚 園 児 の 頃 の 俺 と、 ﹂ ﹂ ボーイッシュを通り越して男子と間違われかねない俺の幼馴染、紫藤イリナが並んで 映っている写真が目に入った⋮これがどうかしたのか ﹁どうしたんだい、フリード ﹁いやそうじゃなくてだ⋮なぁなぁ木場ちゃん、ちょっと見てくれない ? ⋮こ、これは⋮ さ⋮﹂ ﹁ ﹂ ﹁コイツを見てくれ⋮コイツをどう思う ! ││││││││││││ 満ちていると言うべきか⋮ に⋮2人の様子は、何時もとは明らかに違っていた⋮何て言うか、得体の知れぬ怒りに 某ゲイ漫画の様な受け答えをする2人、だが文にすると笑えるこの受け答えとは裏腹 ? !? ﹁凄く⋮聖剣だよ⋮﹂ ﹂ ﹁木場ちゃん⋮この写真の⋮ガキの頃のイッセー君の後ろに映っている物体なんだけど そこには僅かながら憎悪と呼べるような怒りが滲んでいた様な気がしたが⋮ 俺の答えに、的外れだと言わんばかりに嘆息し、今度は木場を呼び出した⋮心なしか、 ? ? 253 ﹁聖剣計画、ですか﹂ ﹁ええ、そうよ﹂ 木場とフリードの様子がおかしかった事について、少なくとも木場に関しては、俺よ りも関わりの深い部長なら何か知っているのではと思って翌日聞いてみると、とある計 画を聞かされた。 聖剣計画。 教会の裏で嘗て行われた、聖剣使いを人為的に育て上げる為のプロジェクト。 木場を始めとした多数の、僅かながらも聖剣を扱う資格を有しているであろう子供達 が掻き集められ、一人前の聖剣使いとなる様、厳しい訓練を強いられた。 だが計画は失敗、聖剣使いは1人として輩出出来なかった様で、木場達は﹃不良品﹄と して毒ガスによって皆殺しにされてしまった。 その中で木場は唯一、毒ガス部屋から脱出出来たものの、部長が見つけた時には既に 息絶えていて、事の次第を知った部長が悪魔として転生させたそうだ。 それから部長はその過去を忘れられる様働きかけつつ現在に至る⋮という訳だが⋮ ﹁部長は悪くありませんよ。普段の木場からは想像出来ない程の形相⋮余程その件に関 ⋮﹂ ﹁御 免 な さ い イ ッ セ ー ⋮ 私 が イ ッ セ ー の 昔 の ア ル バ ム を 見 た い と 言 い 出 し た ば か り に 26話_俺、疑念を抱きました 254 して憎悪を抱いていたと俺は思います。遅かれ早かれ、フラッシュバックしていたかも 知れません﹂ 表では神の教えを代弁していると言いつつ、裏でそんなおぞましい事をしていたとは な⋮ナチスの過ちを認めなかったり、聖剣計画を平気でやってのけたり⋮教会はとこと ん腐っちまった様だな⋮ ! す。木場が以前、フリードを見て﹁何故君が此処に ﹂って驚いていましたし、あの写 ﹁ところで部長⋮これは俺の推測なんですが、フリードも、聖剣計画の被験者だと思いま 255 陣営に身を寄せたんでしょう まさかそんな筈は⋮﹂ 斗だけだし、それに、フリードは悪魔祓いとしての所業で教会から追放されて、堕天使 ﹁⋮考えられなくは無いわね。でもあの日、聖剣計画の被験者で私が助け出せたのは祐 真で物凄い憎悪を抱いていました⋮間違いないと思います﹂ !? れないが⋮ あのフリードの気性からして、話に聞いた仕打ちを受けて尚、其処に留まる等考えら みたが⋮まあ、そうだよな。 教会への怒りを覚えつつ、俺は1つの疑念を⋮フリードと聖剣計画との関連を聞いて ? ﹂ ﹁フリードはともかく⋮木場にそんな過去があったとは⋮何だか、嫌な予感がします﹂ ﹁嫌な予感 ? その嫌な予感が現実と化すのに、時間はそんなに掛からなかった。 ﹁はい⋮何となくですが、木場、引いては聖剣に関する、嫌な予感が﹂ 26話_俺、疑念を抱きました 256 27話︳あいつらが、おかしくなりました ﹂ ! ﹂ ﹁行くぞ、エレン ! ﹂ ﹁ヒヒィィィィン ! 此処で行うコンビネーション訓練⋮それはもっと実戦的な事だ。 が取り付けられているだけだ⋮付けるとエレンにとっても俺にとっても障害だからな。 実際に普通の馬に取り付けられる様な轡も手綱も付いていない、騎乗の為の鐙付きの鞍 在、一般的な馬術の様な手綱によるコントロール方法を身に着ける、という訳では無く、 尤もエレンは知能の高い天馬である上、俺の実力を認めて使い魔になってくれた存 ば、エレンと俺のコンビネーションの訓練だ。 此処みたいなだだっ広い草原に来たのは、天馬であるエレンを乗りこなす為⋮いわ 屋敷が建っている山の中にある草原だ⋮に来ていた。 するまで⋮そう思い、俺は使い魔であるエレンを連れて草原⋮部長達と合宿をしたあの あれ以来何処かおかしい木場とフリードの様子は気になるが、今は現状で出来る事を ﹁ヒヒィン ﹁それじゃ頼むぜ、エレン﹂ 257 ︵ビュン ︶せいっ ︵バァン ! ︶﹂ 訓練開始を告げる俺の指示と同時に、俺を乗せているエレンは走り出した⋮行くぜ ﹁しゅっ ! ! ! ﹄ ︵ギュルルルルルル ︵ドォン ﹃Explosion ﹁タスク・キャノン ︶﹂ ︶﹂ ! ! ﹁ヒヒィン ︵ザザァ ︶﹂ ! ﹂ ! 用するな。 弾で砲撃する⋮全部狙い通り、今まで鍛えて来た俺の技は、流鏑馬みたいな状況でも通 次は鉄球を標的に向けて投げつつ、結構離れた所に生えている木に向けて倍化した爪 ! ! ﹁オラァ より背が高くなっている雑草だ⋮に向けて放つ。 まずは鐙に引っ掛けた両脚でバランスを取りつつ、爪による斬撃と銃撃を、標的⋮他 ! ! 取りにくいなこれは⋮ る規定演技にもなっている︶、方向転換は所謂サイドターンで向きを変えるという、普通 ⋮ブレーキを掛ける部分なら兎も角︵スライディングストップと呼ばれる、馬術におけ エレンが何をしたかと言うと、後ろ足でブレーキを掛けつつ右に90度向きを変えた ! 俺の指示に合わせ、後ろ足を軸に方向転換しようとするエレン⋮って、結構バランス ! ﹁次行くか。旋回だ、エレン 27話_あいつらが、おかしくなりました 258 ︶そこ ﹂ の馬では考えられない挙動だった⋮踏んばらないと確実に振り落される⋮ ︵ビュン ! ! 振り下ろす⋮今のは良い感じか ﹁ヒヒィン ﹂ ﹁次はジャンプと、180度ターンだ ? ! ﹂ エレンから振り落とされまいと抵抗しつつも、横目で捉えた標的に向けて爪の斬撃を ﹁っ ! ﹁もう一発︵ドォン ﹄ ︶タスク・キャノンだ ﹂ ! ! 中した。 ﹂ ﹁ふぅ⋮お疲れ、エレン。大分無茶な動きをしたみたいだが、痛い所は無いか ﹁ヒヒィン ? 常も無いとか﹂ ﹁はは⋮びっくりだぜ、普通の馬なら出来そうに無い事を平然とやり、それでいて何の異 ! ﹂ 倍化した爪弾による砲撃を、横目で捉えていた、少し遠くにある木に向けて発射し、命 ! ﹃Explosion もそれに振り落されまいと両脚に力を入れつつ、 し、着地と同時に前足を軸に反転する⋮これまた普通の馬なら確実に怪我する挙動、俺 体勢を立て直しつつ新たな指示に応えるエレンはそのまま加速、大きなジャンプを ! ! 259 ﹃伊達に伝説の馬のDNAを受け継いでいないという事だろうな﹄ ︶で返した⋮ドライグの言う通り、天 さっきから無理な挙動をしたエレンを気づかうも、当のエレンは何ともないと言わん ばかりのドヤ顔︵馬にこの表現は合っているか ﹂ 馬のDNAは伊達じゃないんだろうな⋮こりゃあ最高の使い魔と巡り合えたか イッセー、特に期待しているからね ﹂ ﹂ ? ? 俺や部長もそうだが、何故皆して勝利への執念を燃やしているのかと言うと⋮各競技 日は部活対抗の球技大会に参加、準備運動をしながら勝利への執念を燃やしていた。 若干の懸念を抱きながらも何時も通りの日常を過ごしていた俺達オカルト研究部、今 ! ││││││││││││ 鉄球で鍛えた腕見せますよ ﹁さあ頑張るわよ皆 ﹁はい ﹂ ﹁頑張ってください、イッセーさん ﹂ ! ﹂ ﹁アタシも全力で付いて行くからな ﹂ ! ﹁うふふ、日ごろの鍛錬の成果を見せますわ﹂ ﹁⋮頑張ります ﹁やるっすよ、皆さん ﹁私も援護致す、主よ﹂ ! ! ! ! ! ! ﹁ファイトだよ、いっちゃん 27話_あいつらが、おかしくなりました 260 の優勝者には学食のフリーパスが貰えるからだ。 一定期間、ランチが無料になるこのフリーパス⋮狙わない手は無い るし、それを差し引いても悪魔の身体能力は伊達じゃない⋮勝算はある 球技の経験はそれ程では無いが、俺は鉄球を何時も扱う関係で球の扱いには自信があ ! バッター、アウト 閑話休題、球技大会の方だが、 ﹁ストラーイク ﹁⋮先輩、ナイスピッチングです﹂ ﹂ 役を務めているだけはある、物凄いフットワークだ。 だ、という事で佳奈の双子の妹として、先日転入する事になったのだ⋮流石に悪魔が重 人の様な風貌のシグナー、学校関係者でも無いのに佳奈の側に侍らせるのは不自然 シグナー⋮脇澤時雨だ。 わきざわ し ぐ れ 本人は勿論入っていない⋮じゃあ誰かと言うと、佳奈の使い魔となったウンディーネの ⋮ちなみにさっきの円陣の中に塔也みたいな喋りをする奴がいたが、教師である塔也 ! ﹂ ﹁リアス⋮まさか貴方と此処で戦う事になるとは思いませんでしたよ﹂ 俺の奪三振ショーが繰り広げられ、 野球では、鉄球回転を応用したジャイロボールとスライダー、ドロップカーブによる ﹁は、速い⋮それに加速している⋮ ! ? ! 261 ﹂ ﹁同感ね、ソーナ⋮さあ、決着を付けましょうか ﹁望む所です ﹂ ! テニスでは部長が順調に勝ち上がり、決勝戦で生徒会のシトリー会長と壮絶なラリー ! ﹂ 合戦を見せた。 が、 ﹁覚悟ぉ ﹂ ! おい木場 ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ? ﹁お、おいフリード ﹁ぐぁっ ﹁ウオラァ ? ドッチボールでの出来事だった。 ﹁祐斗 ! !? ﹁パス ﹂ それよりもおかしいのは、そのフリードだった。 た。 投げられても動こうとせず、寸での所でフリードに助けられてもそれは変わらなかっ 此処最近何処か呆けた様子の木場、今日もそれは変わりなく、自分を標的にボールが ? ! ﹁木場 27話_あいつらが、おかしくなりました 262 ! ﹁寄越しやがれ ﹂ ﹂ ! ですが﹂ ︶これで覚めたかしら ﹂ 球技大会の練習で疲れが溜まっているので休みたいの 俺平常通りっすよ ⋮やっぱりおかしい、まさかとは思うが⋮ ﹁何で俺呼ばれてるんすか ? ﹁おい⋮お前らどうしたんだ、最近おかしいぞ ﹁兵藤君には関係ないよ﹂ ﹂ ? ? ? ﹁話はこれで全てですか、部長 だが普段のあいつら⋮特に木場なら丸く収まる所が、 ? ││││││││││││ ﹁祐斗︵パシィン フリードも頭を冷やしなさい﹂ 結局ドッチボールは優勝、野球やテニスを合わせた三冠を獲得するに至ったが⋮ 怒りに満ちていた。 フリーダムさはアイツの持ち味みたいな物だが⋮今日はそれが、鬱屈を払うかの様に 強奪紛いにカット⋮ルール違反すれすれのラフプレーが目立った。 相手の顔面を狙いすましたかの様な鋭いシュート、パスしようとした相手のボールを ﹁うわぁ !? 案の定、そんな2人を部長は咎めた。 ! 263 ﹁さっきから言ってるっしょイッセー君、俺は平常通りだって﹂ って位だぞ ﹂ ﹁何処がだ。最近のお前らのおかしさと言ったら⋮お前ら本当に俺達の知っているお前 らなのか ? 思い出したんだよ、俺⋮達の事をな﹂ だったら言わせて貰いましょうかい⋮ ﹁こりゃまた大げさな、だから俺は常に何時も通りだって。まあでも、其処まで疑うん !? ﹂﹂ 目的⋮まさかお前ら⋮ ﹁﹁聖剣を叩き潰す事⋮ ! ﹁ついでに、僕の本来の目的をね﹂ 27話_あいつらが、おかしくなりました 264 ! 28話︳俺、幼馴染達に喧嘩売りました あの言葉⋮やっぱりフリードは聖剣計画の被験者で、木場共々聖剣計画による復讐心 を目覚めさせちまったって訳か、あのイリナとの写真の所為で⋮ 当たって欲しくなかった予測だが、一方で、この予測でしかあのフリードの破綻振り は説明できない⋮聖剣計画における人道から悉く外れた扱い⋮あれがフリードの性格 を歪めて行ったとしか。 ⋮兎も角、昔の重大なトラウマを思い出した以上、あの2人は絶対に止まらないだろ う⋮聖剣に対する復讐心を満たす、その日まで。 止められないなら、せめて⋮む アーシア ﹂ ﹂ ! !? !? この⋮俺達悪魔が苦手とする気配⋮俺の家からか いっちゃん ﹁れーちゃん ﹁うん ﹂ ! シアと共に家に大急ぎで向かう⋮中からはあの﹃聖なる物﹄以外の不穏な気配はしない、 何やら良からぬ事が起こっていないかという不安を覚えながらも、れーちゃんとアー ﹁は、はい ! ! ! 265 久しぶり ﹂ 外国に行ったっていう か⋮って、あれ、この微かに聞こえて来る声⋮ ﹂ ﹁やっほ、イッセー君 ﹁イリナ ﹁イリナって⋮いっちゃんの幼馴染の ! ﹁うん。日本に用事があってね。ところで隣の人は ﹂ ﹂ ﹁随分と前に外国に行ったきりだったが⋮まさか日本に帰っていたとはな﹂ ││││││││││││ そこにはれーちゃんの言う通り、今は外国にいる筈の幼馴染がいた。 ? ! ﹁か、彼女 ていうかいっちゃんって ﹂ ﹁初めまして、いっちゃんの彼女のレイネルよ。宜しくね、紫藤イリナさん ? ﹂ 離れ離れになってからもう10年、彼女の1人位作っても何ら変な事はないぜ ⋮俺が彼女持ちになったらおかしいか !? そして俺を睨んでいる少女⋮あの抑える気すら無い敵意は、確実に俺達が悪魔だと、 の気配⋮間違いない、彼女たちは教会陣営の者、それも悪魔祓いだな。 きから俺達を睨んでいる、緑のメッシュが入った青髪の少女から感じられる﹃聖なる物﹄ ⋮等と冗談交じりに幼馴染との再会を懐かしんでいるが、イリナ⋮ともう1人、さっ ? ? !? ? ? !? ﹁俺の彼女﹂ 28話_俺、幼馴染達に喧嘩売りました 266 倒すべき敵だと気付いている、そんな目だ。 ﹂ ? ⋮気付いていたんだ。彼女はゼノヴィア、私と一緒に教会から来た悪魔祓いの子だ ! ﹁そう思って貰って結構。兎も角、詳しい事は明日にでも話す﹂ ﹁ごめんねイッセー君、彼女融通が利かない所があって﹂ ﹁良いって事よ。それだけ神様を想う気持ちが強いって事だろう 見えていないとも言えるだろうがな﹂ ﹁あはは⋮それじゃ、またねイッセー君。また明日ね﹂ ? ││││││││││││ 後にあるイリナ達の言う﹃用事﹄も。 ⋮明日か、木場やフリードの事もあるし、穏便には行かなさそうだな⋮交渉も、その ﹁おう﹂ ⋮想い過ぎて周りが ﹁そんな殺気振りまいておきながら⋮交渉、ねぇ。碌な物じゃ無さそうだな﹂ た。その件で明日、駒王学園に行く事になっている⋮君達悪魔と交渉する為に﹂ ﹁ゼノヴィアだ、宜しく頼む。さっきもイリナが言っていたが、とある用事でこの街に来 よ﹂ ﹁ ちの子は ﹁ところでイリナ、さっきから俺達⋮教会の敵である俺達﹃悪魔﹄を睨みつけているそっ 267 ﹁先日、カトリック教会ヴァチカン及びプロテスタント側、正教会側にて保管、管理され ていた聖剣﹃エクスカリバー﹄が奪われました﹂ エクスカリバーって確か、今でいうイギリスで活躍した英雄、アーサー王が持ってい たとされる、持っている者に勝利を約束すると言われる聖剣⋮ ﹁7つに分けられたエクスカリバーを分けて其々の教会で管理していた内の何本かが奪 を基に7つの聖剣を作ったって、前にれーちゃんが言っていた様な⋮て事はだ。 けど確か、エクスカリバー自体は3大勢力の大戦の折、粉々に砕け散って、その破片 ! 並の人間が聖剣に対抗するには聖剣しか無 い去られ、その奪還の為にお前らが残った何本かを帯剣して、この悪魔が管理する地へ、 ? ⋮随分な推理力だな。其処まで的中させているなら話は早い。奪われたのは其々の ! ⋮おいおいマジかよ﹂ !? 俺が察知出来ないなんて⋮ ! まればその強さは相当な筈、部長からもそういった気配察知が得意だと評価されている イリナ達が持っている物ですら少し離れている所でも察知出来る程の気配⋮3本集 ﹁ だ犯人は⋮この街に潜伏している。そういう事だ﹂ 教会で管理していた2本の内の1本⋮ちなみに残りの1本は行方知れずだ。その盗ん ﹁ いし、昨日も感じた﹃聖なる物﹄の気配⋮聖剣なら納得出来るからな﹂ ﹃要求の為に﹄やってきました⋮って所か 28話_俺、幼馴染達に喧嘩売りました 268 ﹁それで、盗んだ存在は ﹁ ﹂ ﹂ コカビエルさ⋮コカビエルが⋮ ﹁ま⋮マジっすか⋮ ﹂ ! ﹁何という事だ⋮この街を戦地にする気か⋮ ﹂ ﹁奪ったのはグリゴリの幹部、コカビエルだ﹂ ? ﹁チッ⋮当たって欲しくなかった心当たりが当たったぜ⋮ ! ! !? んて事だ⋮ ﹂ ﹂ ? 協力者との戦いに一切手を出すな、という注文をね﹂ ﹁私達の依頼⋮いや注文を伝える為だ。この件に関して⋮私達とコカビエル、及びその ﹁それで⋮教会の悪魔祓いたる貴方達は何の為に私達悪魔に接触したのかしら そしてそれが元で3大勢力が再び戦争になれば⋮それこそコカビエルの思うつぼだ。 侵入どころでは無く⋮がん細胞の如く暴れ回られかねない。 敵陣営から奪い取った聖剣を手に、敵である悪魔の地に潜伏したとなれば、単なる不法 ゼノヴィアからの報告を聞き、渋い顔を浮かべる部長⋮確かに、堕天使の最高幹部が では無いわね。けど確かにそれなら納得ね⋮上の悪魔は聖剣に興味はないそうだから﹂ ﹁堕天使の幹部に、教会の重要な物が奪われ、この悪魔の地に潜伏している⋮失態どころ ! 盗んだ存在の名を聞き、戦慄を覚えたれーちゃん達元堕天使⋮あのコカビエルが⋮な ! 269 おいおい、碌な物じゃねぇだろうとは思っていたが⋮この街が、街の住人が巻き込 まれても、一切関わるなって事か⋮ 様の妹だと知った上で⋮ ! ⋮尤もだが、随分と舐めた口聞いてくれるじゃねぇか⋮しかも部長が魔王ルシファー させる⋮例え魔王の妹であろうとな⋮上司からの伝言だ﹂ と同等に利益がある。もしコカビエルと手を組んでいるとあらば、私達はお前達を消滅 ﹁上は悪魔と堕天使を信用していない。教会側から聖剣が無くなれば、悪魔とて堕天使 ﹁⋮随分な物言いね。私達が堕天使と手を組むのを危惧していると言いたげね﹂ ! !? ﹂ ⋮流石部長、我を忘れず、きっぱりと言い切った の顔に泥を塗ったりはしないわ ! ﹂ ? グレモリーの名に懸けて、魔王 ﹁ああ。カトリックからは私、プロテスタントからはイリナ⋮正教会は派遣を保留した。 ﹁そう⋮ところで、貴方達だけかしら れるからね、魔王の妹ならば尚の事だ﹂ る事、エクスカリバーを3本所持している事⋮その情報を渡さないと私達が教会に恨ま ﹁それを聞けて安心したよ。さっきの注文もあるが、コカビエルがこの街に潜伏してい ! ! ! らば言わせて貰うけど⋮私は堕天使とは手を組まない ﹁⋮私の身の上を知っているという事は、貴方達も相当上に通じているという訳ね。な 28話_俺、幼馴染達に喧嘩売りました 270 私とイリナがやられたとしても、最後の1本は死守するつもりだろう﹂ おいおい、そうだとしたら⋮ 無謀よ﹂ ? 相変わらずね、貴方達の常軌を逸した信仰心は﹂ やっぱり自爆特攻かよ⋮ ? ⋮ ﹁いや、良い﹂ ﹁そう。お茶は頂かなくていいのかしら ﹂ ﹁さて、そろそろおいとまさせて貰おう、行こう、イリナ﹂ ! 神の為、神の為か⋮それが真っ当な方向であった事⋮果たしてどれ位あっただろうな 離す事だ。その為なら私達は死んでも良い﹂ いと上層部も言っている。私達の役目は少なくともエクスカリバーを堕天使の手から ﹁そうだな。それに堕天使に利用される位ならエクスカリバーを全て破壊しても構わな ﹁我々の信仰を馬鹿にしないでちょうだい、リアス・グレモリー﹂ ﹁死ぬ覚悟でこの街に ! ﹁私もイリナと同意見だが、正直に言えば、まだ死にたくはないな﹂ ﹁それは承知の上、死んでも構わないわ﹂ のコカビエルを倒すとでも ﹁たった2人、エクスカリバーも2本しかない状態で、エクスカリバーを3本所持したあ 271 ? ﹁⋮相変わらずね、ゼノヴィア。御免なさいね、それじゃあ﹂ そう言って帰ろうとした2人だった⋮が、 ﹁あ、あの⋮﹂ それに其処の男⋮﹃殺人鬼﹄フリード・セルゼンまで⋮まさか、この地で出会うとは﹂ ﹁⋮兵藤一誠の家で会った時、まさかとは思ったが﹃魔女﹄アーシア・アルジェントか ? 悪魔や堕天使をも癒す力を ﹁随分と懐かしいニックネームを出してくれますねぇ教会の狗が﹂ ﹁貴方が一時期噂になっていた﹃魔女﹄こと元﹃聖女﹄さん ﹂ ? ⋮頭の中でそんな音が聞こえた。 持っていたそうね ブツン ! しちゃう力なんて﹂ ﹂ ﹁⋮タスク︵バァン ﹁ ︶﹂ ﹂ ⋮アーシアを﹃魔女﹄か⋮成る程な⋮ ﹁い、イッセー⋮君 ! ? !? ? の過ちを認めないクズだらけだって事がなぁ ﹂ ﹁お前達教会の事は良く分かった⋮今の言葉でよーく分かったぜ⋮約70年前のナチス ! ﹁追放されて何処かに流れていたって聞いたけど⋮仕方ないわね、悪魔や堕天使すら治 28話_俺、幼馴染達に喧嘩売りました 272 ! ﹁なっ 貴様 !? ﹂ ﹂ !? ! ⋮それは敵で ? 悪魔の分際で神を語るな ﹂ ! それを行った事で、一発で﹃魔 ! イスラム教徒が占領した聖地を奪還するという名目で十字軍を結成したは良いが、最 ﹁はっ誰が聞くか⋮まだあったな。そんな神の意志の下で、お前ら信者は何をして来た ﹁貴様 ﹂ た事と1つも変わらないなぁ ! ﹂ 今すぐ撤回して ! ! ﹁イッセー君 ! 女﹄扱い⋮ナチスが第二次世界大戦中にユダヤ人、及びレジスタンスに対してやってき 人を助けた時に抱いた想い⋮神の想いに従ったまでだ ある悪魔をもただ単に助けたいという想い⋮オスカー・シンドラーや杉原千畝がユダヤ は思っている。何故アーシアが怪我している悪魔を治したか分かるか 文だ。シンプルだが、お前らが盲信している神が言いたい事をズバリ体現していると俺 ﹁﹃汝、隣人を愛せよ﹄ ﹃敵を憎むな﹄⋮悪魔である俺ですら知っている、聖書の有名な一 ﹁イッセー君 273 の下は碌な物じゃねぇなぁ これじゃ聖剣もあっさり盗まれるなぁ ! ﹂ ち上げて絶対的な独裁政治を敷いて、私服を肥やした⋮神の想いは本物だとしても、そ 狩りと称して、碌な証拠を揃えもせずに無関係の人を次々と虐殺した⋮神の意志をでっ 初の遠征以後は、中東の諸国への言い掛かりで宣戦布告、挙げ句同士討ちもした⋮魔女 ? ! ﹁ ⋮貴様、表に出ろ ﹂ ﹁今の言葉⋮力ずくでも撤回して貰うから ﹂ グラウンドで待っていろ、必ずテメェらの過ちを叩きなおしてやる ﹂ ! ! ﹁俺達も混ぜろよ ﹂ ? ﹂ ﹂ ? ﹁何だ、木場にフリード ﹁ちょいと待ちなイッセー君﹂ ﹁待ってよ﹂ だろう⋮良し、行きますか⋮って、 さて⋮余りの展開について行けない様子の部長達は⋮置いといて良いか、直ぐに来る ﹁上等だ ! ! ! ? ﹁僕達も付き合わせて貰うよ 28話_俺、幼馴染達に喧嘩売りました 274 29話︳俺達、介入を始めました ﹂ ? りは毛頭ない⋮俺だってれーちゃんや両親、それに部長達といった大切な存在が殺され 復讐は何も生まないとか、復讐心を忘れて幸せになれとか、そんな綺麗事を言うつも ⋮聖剣、というより使い手である2人を叩き潰そうとしているという様に。 だが、2人の様子を正直に言うと⋮復讐心の余り、目的を食い違えている様に思えた の手で、という想いもあるだろう。 2人としては聖剣への復讐を果たす願っても無い機会、俺という第3者では無く自分 した俺を引き留めた木場とフリードだ。 ゼノヴィアが指摘した、大人しくしている2人⋮無論、待ち合わせ場所に出向こうと ﹁まあそういう事だ﹂ る事か ﹁野暮用というのは⋮ずっと後ろで大人しくしている﹃殺人鬼﹄と⋮あとの1人と関係あ ﹁はっ買った喧嘩から逃げる訳無いだろ。ちょいとした野暮用で遅くなっただけだ﹂ ﹁逃げたら逃げたでコカビエル捜索と一緒に、矯正の為に追い掛け回すけどね﹂ ﹁遅かったじゃないか⋮尻尾巻いて逃げたかと思ったぞ﹂ 275 たら復讐を考えると思うからだ。 だがそんな、怒りで我を忘れている様な状態では、怒りに振り回されている状態では ⋮復讐など出来る筈も無い。 存分に怒って 復讐を忘れろと言うつもりは無いが、捉 目的を食い違えたら⋮それは本当の復讐じゃない。 だから俺はあの時、こう一喝してやった。 ﹁今のお前達は復讐心に振り回された道化だ われ過ぎたら我を忘れ、周囲が見えなくなり、出来る事も出来なくなる 己を忘れるな ! ! ! 良い、恨みを募らせて良い、憎んで良い⋮だがその時こそ冷静になれ ! 今のお前達はそれが出来ない道化だ ! ! それでは復讐どころか、 怒りを、恨みを、憎しみを、どうすれば綺麗さっぱり晴らせるかを考え、忠実に実行す ﹂ るんだ⋮それが復讐だ 犬死にするだけだ ﹂﹂ !? ! ﹁さて⋮喧嘩の前に1つ提案だが⋮お前らが勝ったら俺はさっきの言葉を撤回し謝罪す とな。 見ていろ﹂ に、思慮深く⋮どう晴らすかを考えて実行してやる。助太刀はいらねぇ、後ろでじっと ﹁俺がその手本を、あの2人との戦いで見せてやる⋮積もり積もった怒りの中で、冷静 ﹁﹁ 29話_俺達、介入を始めました 276 ﹂ る⋮その代わり、俺が勝ったら⋮お前らの部長への要求、却下させて貰うぜ ﹁何⋮ と良い﹂ ﹁ぜ、ゼノヴィア 勝手に決めないでよ ﹂ ⋮そうだね﹂ ﹂ ﹂ 俺1人 私にはこの聖剣﹃破 壊 の 聖 剣﹄がある。 エクスカリバー・デストラクション ⋮良いだろう、其処まで言うなら、貴様が勝った暁には、この件に関して好きにする ? のも可能じゃないか だったら⋮ ? 剣は、見た感じ形状を変形させる能力があるみたいだな⋮極端な話、向こうから伸ばす と付いているだけあってパワー重視の能力を持っているんだろう⋮一方のイリナの聖 応じて腰にぶら下げていた紐を変形させて日本刀型にさせた⋮ゼノヴィアのは﹃破壊﹄ ゼノヴィアが、帯剣していた聖剣の封を解いて構えた直後に放った言葉に、イリナも ﹁ 無論お前にも⋮悪魔1人、訳は無いさ﹂ ﹁私達が下級悪魔1人位倒せないと思うか ! ! ! ? ! ﹁ 聖剣もぶんどられて犬死になんて未来も浮かんで来そうだしなぁ ノせない様じゃあ、聖剣を奪還するとかバカかと言いたいな。ぶっちゃけ今持っている ﹁これからお前らが相手するのは、堕天使でも最高幹部と呼ばれていた奴だろ ? ? ? 277 ﹂ 後で消滅しても⋮知らないから﹂ ﹁さあ貴様⋮今なら土下座で許してやる﹂ ﹁イッセー君⋮謝るなら今の内だよ ﹂ ﹂ ﹂と言われかねない。 ! ﹂ エクスカリバー・ミミック ! 来た ︵カカカカカァン ! ︶﹂ うとし、イリナが聖剣を変形させようとした⋮今だ ﹂ ﹁しゃぁぁぁぁぁ ﹁うわぁ !? ! ! 爪の斬撃の間合いギリギリに入り、ゼノヴィアが振りかぶっていた聖剣を振り下ろそ ! ﹁行って、﹃擬 態 の 聖 剣﹄﹂ ﹁喰らえ もっと近く、爪の斬撃の範囲内に来てから⋮そこからが勝負だ。 は聖剣を使う事無く負けたが、あれはノーカウントだ れるかも分からんし、使って勝ったとしても、絶望感はイマイチだろう⋮後で﹁この前 今現在の間合いはざっと30m⋮爪弾の射程範囲内だが、ACT2でも無いと対処さ 相手の挑発に、更なる挑発で返す⋮案の定、2人とも食いついた。 ! ! ? ﹁御託は良いから来い⋮10秒でケリを付けてやる ﹁貴様 ! 彼の者に光を ﹁神よ ! 29話_俺達、介入を始めました 278 ﹁きゃぁ ﹁へ ﹂ ﹂ ﹂ ︵ゴスゥ ﹂ ︵ゴスゥ ︶﹂ ︶きゃぁぁぁぁぁ ﹂ ﹂ ﹂ ︶ねぇよ ﹂ ! とんだお笑い草だな﹂ ? だ。 飛ばし、怯んだ隙に震脚から掌打を打ち込む要領で鉄球を腹部に直撃させた⋮という訳 込めを繰り返して、インパクトの瞬間を、こちらの勢いに影響が無い程度にした︶弾き を5連続でぶつけて︵手刀の様に振り下ろしつつ、小指の爪から斬撃を伸ばしては引っ 一連の流れを説明すると、イリナとゼノヴィアが攻撃しようとしている所に爪の斬撃 だって ﹁は ぁ ⋮ 1 0 秒 も 持 た な い と は、驚 き の 弱 さ だ な。こ れ で コ カ ビ エ ル か ら 聖 剣 を 奪 う ︶ぐぁぁぁぁぁぁ ︶ぜぇ ︵ギュルルルルル ﹁オラァ ﹁な ﹁遅ぇ ︶﹂ ﹁よそ見厳禁だ︵ドッ ﹁イリナ ﹁うっ ! ︵ギュルルルルル !? !? ! ! ! ! ! ? !? ﹁くぅ !? ! ! !? !? !? ! ﹁おいおい、あっさりと剣を手放してんじゃあ︵ダッ 279 全く、こんな程度でコカビエルを倒せる訳が無い⋮良くもまあ相手と自分との力量差 を見極めないままあんな高圧な交渉を仕掛けた物だ、逆に尊敬するぜ⋮イリナも10年 で此処まで変わっちまうとは、これも聖書の神への﹃間違った﹄盲信って奴か さて⋮と、 的な態度を取る奴に頼んだ物だ、案外破壊する事だけが目的だったりしてな 教会の上層部も、良くもまぁそこまで強そうじゃない癖に相手の実力を見誤って高圧 ? ﹁木場、フリード⋮此処に2つの聖剣がある。お前らにとって憎むべき相手だ。アイツ ? らに持たせたままじゃあコカビエルに渡るかも知れんし、向こうも堕天使の手に渡る位 なら破壊しても構わないと言っている⋮破壊を頼むぜ﹂ ︶﹂﹂ ! ﹁そうだ⋮それで良い。お前らの目的は⋮本当の復讐は聖剣エクスカリバーを破壊する ﹁これでお相子なんざ出来やしねぇぜ﹂ ﹁いや⋮まだだよ⋮﹂ ﹁これで復讐心は晴れたか﹂ ⋮まだ晴れないみたいだな。 運び、破壊を依頼した⋮その依頼に少し逡巡しながらも各々の神器を使って破壊したが 鉄球のダメージで倒れ伏した2人が手放した2振りの聖剣を木場とフリードの前に ﹁﹁⋮︵パキィン 29話_俺達、介入を始めました 280 ﹂ ﹂ ! ﹂ 下手したら消滅させられる所だったのよ ﹁いっちゃんがどうなっちゃうかと心配したんだから ﹁イッセーさん無茶しないで下さい ﹂ 事。堕天使コカビエルの手から聖剣を引き剥がして破壊する事だ。断じて、破壊しても ﹂ 良いと言ってくれている教会の聖剣使いを殺す事じゃあ無い⋮分かったな ﹁⋮うん﹂ ﹁⋮オッケーだぜ、イッセー君﹂ ﹂ ﹁さて⋮イリナ達は⋮って﹂ ﹁イッセー、大丈夫 アーシア イッセーさん、今行きますから ﹁いっちゃん、怪我は無い ﹁は、はい ⋮漸くですか。 ││││││││││││ ﹁聖剣使いと決闘なんて何を考えているの⋮ ﹂ ! !? !? たんです﹂ が罵倒されて、れーちゃんの純然な想いが否定された様な気がして⋮我慢が出来なかっ ﹁すいません⋮頭に血が上っていました。でも⋮部長がぞんざいに扱われて、アーシア ! ! ! ! ! ! 281 本当に、部長の言う通りだ⋮下手したら俺は聖剣の光の力で消滅された挙げ句、これ を口実に天使陣営が悪魔陣営に宣戦布告する事もありえたのだ⋮今回は︵俺の挑発的に 近い一喝があったとは言え︶向こうが吹っ掛けた形だし、結果オーライとなったが⋮ 全く、大切な人を失いたくないと思っていながら、火急でも無いのに自分を危険な状 況に投じさせ、その大切な人に心配掛けさせては駄目だな⋮俺がいなくなったら、誰が れーちゃんを⋮俺の大切な人を守るんだ だけど⋮だけど今回はやらせて欲しい。 怒りに満ちた中で冷静になれ⋮俺自身が出来ていねぇじゃねぇか。 ? ﹂ ! 相手は堕天使の最高幹部の1人、コカ ! グリゴリにいた私には分かる⋮今まで戦って来た敵とは次元が違う ! セーでも、今回の相手はどうなるか分からないのよ 唯でさえ堕天使が持つ光の力は悪 も、イッセーは誰よりも活躍している⋮明らかに、私よりも強いわ。けれどそんなイッ ﹁イッセーは確かに強い⋮はぐれ悪魔の討伐も、ライザーとのレーティング・ゲームの時 よ ビエルなんだよ ﹁3大勢力どうこう以前の問題だよいっちゃん ので、後で介入を指摘されても問題ありません﹂ いんです⋮3大勢力間の事については大丈夫です、ゼノヴィアからは言質を取ってある ﹁でも⋮今回の件はやらせて下さい。木場とフリード、あの2人の鬱屈を、俺は晴らした 29話_俺達、介入を始めました 282 ! 魔にとって天敵、増してや最高幹部となれば⋮ ﹂ ! ﹂ ! ⋮いっちゃん﹂ ! それも病気だ ! それを晴らさない限り 木場もフリードも、永遠に満たさ ! 此処で晴らさないと、2人はずっと苦しまなくてはならなく れない﹃飢え﹄を⋮﹃無念﹄を抱いたまま今も苦しんでいます は⋮2人は前に進めない ! の掌の上で踊らされた挙げ句に物として処分されて とか事故だとか所謂﹃宿命﹄という言葉で片付けられる事じゃない⋮悪意に塗れた人間 けど木場とフリードは、永遠に会えない事が決まってしまったんですよ は強くなりました⋮俺は結果として10年後、こうしてまた一緒になれたから良い。だ えていました⋮れーちゃんへの想いで﹃飢え﹄ていたんです。その飢えを原動力に、俺 様に感じたり⋮分かりやすく言うなら﹃飢え﹄をずっと感じていました。ずっと俺は飢 以来、何となくでありながらも物凄く息苦しいと思ったり、身体の中がぽっかり空いた ﹁良いんだれーちゃん、それより聞いてくれ⋮れーちゃんと離れ離れになった俺はそれ ﹁っ す。幼い頃にれーちゃんと離れ離れになった俺には﹂ ﹁⋮聖剣計画で大切な人を殆ど失った木場とフリードの気持ち⋮俺には良く分かるんで 3人の言いたい事は分かる、けど⋮それでも譲れないんだ。 ら、だからこれ以上、無茶しないで下さい⋮ ﹁お願いですイッセーさん⋮イッセーさんが出なくても、出来る事は有る筈です⋮だか 283 ! なるんです だから⋮だから⋮ ﹂ ﹁⋮分かったわ、だけど、決して無茶はしないで、良いわね ﹂ ﹂ 木場、フリード﹂ ! 戻るから﹂ 行ってくるよ ﹁⋮うん、分かった、約束だよ ﹁勿論だ ﹂ ちゃん達が見つかったらどうなるか分からない⋮ ! ﹂ ! 索を開始した⋮ ﹂ ﹂ 俺の思いの丈に感じ入り、送り出してくれた皆に応えつつ、木場とフリードと共に捜 ! 皆と一緒に待っていてくれ⋮必ず ﹁駄 目 だ れ ー ち ゃ ん ⋮ 相 手 は 反 逆 の 身 と は 言 え 堕 天 使 の 最 高 幹 部 ⋮ 離 反 し た 身 の れ ー ﹁いっちゃん⋮私も連れてって ﹁⋮イッセーさん、危なくなったら、必ず引き返して下さいね ? ! ! ? ! ﹁頼みますぜイッセー君 ! ! ﹁うん、宜しくね、兵藤君 29話_俺達、介入を始めました 284 お前が思い出した過去を、話せ 30話︳俺、狂人の過去を聞きました ﹁思い出したくも無いだろうが⋮聞かせてくれないか るだけ﹂ やしたが、結局それだけで力尽きて⋮毒ガスに苦しみながら、俺は怨嗟の声を上げ続け ガス室に放り込まれやした。木場ちゃんだけは他の皆と協力して脱出させる事は出来 として仲良くさせて貰いやしたが⋮あの日、俺も他の皆と同じく﹃不良品﹄とされて毒 ﹁イッセー君のお察しの通り、俺も聖剣計画の被験者でさぁ、木場ちゃんとは同じ被験者 そんな俺達の想いを察したのか、フリードは話し出した⋮過去の有りのままを。 残ったのかが。 いた様に問題点が残る⋮毒ガスで木場以外が皆殺しにされた中で、何故フリードが生き これでフリードが聖剣計画の被験者だった事は明らかだが、そうなると、木場が言って フリードの聖剣への憎しみ、木場の反応、そして﹃全て思い出した﹄という口振り⋮ ﹁僕もどうしても気になっていたんだ⋮君が生き残っていた事について、さ﹂ たから丁度良かった﹂ ﹁そうですな、イッセー君には付き合って貰っているし、木場ちゃんにも話していなかっ ? 285 ましたよ、 ﹃俺が何をした、俺がどんな罪を働いた、俺が何故こんな苦しい死に方をしな きゃならない﹄って、ずっと⋮今思えば皆だってそうだったのに、身勝手な物でしょう ⋮何かの皮肉か、その怨嗟を運命は聞いちまった⋮その﹃死の淵﹄何てタイトルが付 ⋮それからはイッセー君が知っている通りです﹂ う名の、狗みたいな仕事をさせられ、それで使うだけ使われてポイ捨てされた訳でさぁ ⋮挙げ句、後遺症でそれまでの記憶を失った俺は、それからも教会のエクソシストとい に損なっちまった⋮残った他の皆が苦しみながら死んだ中、俺だけ死ねなかったんすよ 多分俺の﹃刺客の血﹄で体内に入った毒を分解したんだと思いますぜ⋮そう、俺だけ、死 客の血﹄はその時目覚めたと思いますよ⋮その後はぶっちゃけ覚えていないんですが、 きそうな状況下で、俺の血が、血管が騒めくような感覚を覚えたんです⋮多分、俺の﹃刺 ? たって言うんだ ! らも使い倒した⋮ふざけるなよ⋮ 木場が、フリードが、彼らの亡き旧友たちが何をし げ句惨い方法で殺害され、生き残ったフリードが記憶を失っている事を良い事にそれか け重いだろうと思い知らされる⋮神の名の下で、罪なき子供たちが良い様に弄ばれた挙 予想していたとはいえ⋮改めて聞くと、2人が背負う﹃無念﹄という十字架はどれだ ﹁⋮フリード﹂ ﹁そうか⋮やっぱり皆は⋮﹂ 30話_俺、狂人の過去を聞きました 286 ! ﹁イッセー君の幼馴染だとか言っていたあのムカつくクソビッチとの写真に写っていた 聖剣で思い出した時は、何で俺だけ生き残っちまったんだろうって思いましたよ⋮思っ て悩んで、訳が分からなくなってイライラして⋮その節はどうも迷惑掛けやした。けど 俺が⋮俺があの場で神器を覚醒させて助かったのには意味があるんじゃねぇのかって 思う様にしたんです⋮聖剣に復讐する為に、聖剣計画とか言う冒涜的なバカを風化させ ない為に⋮﹂ ﹂ ! の復讐心⋮これを晴らすには、やはり⋮待てよ それは本当k﹂ ﹁この件⋮もしかしたらその首謀者も一枚噛んでいるかも知れねぇぞ ﹁何だって ﹂ ﹁木場ちゃん、そのネタはもう良いっての⋮で、何でイッセー君はそんな事を ﹂ んな計画を実行していた事が分かれば首謀者は唯で済む筈が無い。故に何が何でも秘 ﹁腐っても鯛、じゃないが教会は天使陣営の総本山、故に体裁って物がある。秘密裏にそ ? !? ? ? ⋮木場とフリードに重くのしかかった﹃無念﹄の文字、そして心に絡みついた聖剣へ い⋮そう思うと⋮どうしても許せない⋮ リードだけ残して皆が惨い殺され方をして、首謀者はのうのうと生きているかも知れな いたみたいだし、僕も最近まで忘れていた⋮でも、やはり忘れる事は出来ない。僕やフ ﹁僕もだ⋮部長は僕に聖剣に対する復讐心に囚われない様、忘れる様、気に掛けてくれて 287 密を守り通そうとする筈だ。被験者たちを毒ガスで始末したのも、確実に息の根を止め られると判断しての事だと思う。其処までして情報が漏れるのを恐れていたのに、脱走 ﹂ 者が出たと聞いて何もしない筈が無い。その脱走者である木場の居所を探す内に悪魔 になった事が判明したとしたら⋮﹂ ﹂ ﹁つまり⋮僕は知らず知らずの内に皆を⋮ ﹁いや⋮それは無いと思いますぜ !? 俺が立てた仮説に木場が戦慄を覚えるも、それは直ぐにフリードが否定した。 ? ﹂ ? 取り柄のオッサンに逃れる術なんざ考えられませんて﹂ 運命にありやす。神器持ちの悪魔祓いだった俺は蹴散らしてやりやしたが、権力だけが ﹁言って良いと思いますぜ。追放された聖職者は秘密裏に悪魔祓いによって始末される か ﹁て事は⋮そのバルパー・ガリレイが関わっている可能性は無いと言って良いという事 な行いを行ったとかで⋮恐らく、聖剣計画がバレた処分だと思います﹂ だった事が判明したんすよ。で、どうも追放された理由が、司祭にあるまじき冷酷非道 なぁとその時は思ったんですが、過去の事を思い出して、聖剣計画の首謀者と同姓同名 言う司祭が、追放されたと言う話を聞いた事がありましてね⋮何か聞いた事ある名前だ ﹁俺が記憶を無くしてから教会にいた時の間だったんですがね、バルパー・ガリレイとか 30話_俺、狂人の過去を聞きました 288 フリードの情報に納得する俺達⋮だが後に、俺の仮設の方が正しかったとはまだ知る 由も無かった。 ││││││││││││ ﹁お、電話だ⋮匙の奴か、もしもし ﹂ と、先の事を考えていたその時だった。 知れないな。 為と、勇んで出たが、いざと言う時は部長を通じて魔王様に頼らざるを得なくなるかも 木場が言っていた通り、相当な実力を有しているんだろうな⋮木場とフリードを救う 無い。 リードに突っ込みつつ、この街に潜入したコカビエルの手掛かりを捜索するも⋮収穫が そんな事をしたら天使陣営による事実上の宣戦布告だ⋮普段の調子を取り戻したフ ﹁﹁それは無い︵な︶︵ね︶﹂﹂ ﹁案外、ガセネタ掴まれちゃいましたってオチだったりして﹂ だろうね⋮兵藤君ですら掴めないなんて、余程の実力があると見ていいね﹂ ﹁相手は堕天使でも最高クラスの力を有するコカビエル、気配遮断も相当な物があるん ﹃聖なる物﹄の気配には敏感だ⋮まさか手掛かりの1つすら掴めないとはな⋮﹂ ﹁しかし、聖剣が3本も集まればその気配は強大な筈、増してや俺達悪魔は聖剣が放つ 289 ? ﹃済まん兵藤 ﹂ こちらで保護していた聖剣使いが脱走した ﹁なん⋮だと⋮ ﹄ ! こんな時の為に聖剣は破壊した筈だったんだが ﹂ あって聖剣エクスカリバーを破壊したって言うのに、それでも動き回りたいか ﹁大丈夫か匙 ? ﹄ あの青髪の奴が他に聖剣を隠し持っていて、それを ? 振り回されて脱走を許しちまった、済まない ﹂ ! ﹃それがゼノヴィアって言ったか あいつら⋮ ! なのは明らかだ⋮そうまでして自分たちでやりたい気か⋮ ! その聖剣を隠し持っていたと言うゼノヴィアは兎も角、丸腰のイリナを抱えては危険 ! !? おいおい、マジかよ⋮下手に動き回られてコカビエルに始末されるのを危惧したのも 属の中で俺の知り合いである匙の、切羽詰った声だった。 電話に出た俺の耳に響いたのは、先程倒れ伏したイリナ達を保護していたシトリー眷 !? ! !? ﹁ま、マジかよ 30話_俺、狂人の過去を聞きました 290 31話︳俺、一喝しました ﹁え∼迷える子羊にお恵みを∼﹂ ⋮何これ ﹁どうか、どうか天におられる主に代わって哀れなる私達にお慈悲をぉぉぉぉ 慈悲無しには食事もとれないのよ ﹂ ああ何と言う事、パンの1つすら買えない私達 ﹂ ! ソ聖剣使いだよな ﹂ ﹁⋮なあイッセー君に木場ちゃんあいつら昨日俺達の所に交渉という名の脅迫をしたク ? ﹁駄目よゼノヴィア、文句ばかり言っちゃ⋮路銀の尽きた私達はこうやって異教徒達の 字もない国は嫌いなんだ﹂ ﹁何と言う事だ⋮これが経済先進国である日本の現実なのか。これだから信仰の﹃し﹄の イリナとゼノヴィアが乞食の如くカンパを募っていた。 は⋮ 一件もあるし会った所で攻撃されかねないと警戒していた俺達の目に映った光景、それ 捜索に加えて、徘徊しているイリナとゼノヴィアの捜索もする事となった俺達⋮昨日の 昨日の匙からの連絡によって、この街に潜伏している堕天使の最高幹部コカビエルの ? ! 291 ? ﹂ ﹁⋮ああ、うん、確かそうだった⋮と思うよ、僕は﹂ ﹁嘘だッ ビッチじゃあるまいし﹂ ? 一先ず俺の家に連れて行き、母さんに簡単な事情を説明して、ちょっと早い昼食を急 ﹁はいはいイリナちゃん、一杯食べてね﹂ ! ! ﹁小母さん、御代わり ﹂ ﹂ ││││││││││││ からな。 フリードに突っ込みつつ、交渉の為に近づいた⋮これ以上やられても目立つばかりだ ﹁いい加減お前も落ち着けや﹂ ﹁訳が分からないよbyQB﹂ ﹁だね。ご飯で釣ってみようよ﹂ めそうだな﹂ ﹁ああ、悪い悪い。で⋮何か予想より早く見つかったし、思ったより簡単に交渉に持ち込 ﹁フリード、君も落ち着いて、さっきから長々と息継ぎしないまま喋っているよ ﹂ ﹁イ ッ セ ー 君 気 持 ち は 分 か る け ど 一 先 ず 落 ち 着 い て 焼 き 鳥 野 郎 に ひ っ つ い て い た 中 華 ! ﹁美味い、美味いぞ 31話_俺、一喝しました 292 ﹂﹂ 主よ、この心優しき悪魔達に祝福を﹂ ピッチで作って貰った⋮母さん、幼馴染達がバカですいません⋮ ︶痛ッ ﹁はふぅ、ご馳走様でした ﹁﹁︵ズキィッ ! ! 頼むわよ、イッセー﹂ ﹁それじゃあ母さんは買い物に出掛けて来るわね。後で出かけるんでしょう 魔である俺達にとっては頭痛を催す事、厳しく注意した。 戸締りは 今更ながら俺達は悪魔だっつーの⋮十字架を持ちながら感謝したイリナだったが、悪 ﹁あっ⋮ご、御免なさい⋮﹂ ﹁⋮飯作ってくれた人の息子に対して嫌味かお前﹂ ! ﹂ ? ﹁悪い事は言わない⋮お前ら2人はこの一件から引け﹂ な、だが⋮ かな空気から一転、天使陣営と悪魔陣営の交渉モードに切り替える⋮まあ予想通りだ 気を効かせてくれたのか、母さんが家を出たのを皮切りに、俺達はさっきまでの和や は許可しても、一任する訳には行かない﹂ ﹁無論だ、私達は教会の、引いては神の意志でこの任務を仰せつかった身、悪魔共の介入 いている⋮大方、俺達悪魔に任せるつもりは無いって事だろ ﹁ああ、いってらっしゃい母さん⋮で、何で保護を振り切って徘徊していたかは見当は付 ? 293 ﹁何だと ﹂ ﹁イッセー君 さっきゼノヴィアが言った筈だよ ﹂ ! あるイッセー君なら分かる筈だよ﹂ ﹁⋮なら前言撤回、天使陣営は俺達悪魔陣営に一任するしか無いな﹂ ﹂ ! それなら死んだ方がマシよ 悪魔に任せるなぞ信用出来ん ! ! ﹂ ﹂ ! ﹂ ? ︶ ﹂ 私達はこの任務を確実に遂行する、それこそが私達の、私達 !? ! が信ずる神の望む答え︵パァン ﹁イッセー⋮君 ? ! ﹁ゼノヴィアの言う通りよ ﹁話にならない、それは信用以前の、私達の信仰に関わる話だ て俺達悪魔には害悪でしかない⋮回収次第、お前達に渡す。それで良いだろう ﹁部長が言った筈だ、悪魔のプライドに賭けて、堕天使とは手を組まない、と。聖剣だっ ! ﹁そんな事が出来るか ﹂ ﹁先延ばしには出来ないって事は、この街の管理をしているリアス・グレモリーの眷属で ﹁無理だ、そうしている内に、確実にコカビエルはこの街で何かを仕出かすだろう﹂ だ﹂ ﹁何も俺達悪魔に一任しろとは言わん⋮唯、救援を要請して、到着次第本拠に戻れって事 ﹁随分と直球で来たね⋮﹂ ! ! ﹁そんな事したら主に申し訳が立たないわ 31話_俺、一喝しました 294 ﹁あれ、ひょっとして⋮イッセー君の堪忍袋が⋮爆発しちゃった感じ⋮ ﹂ ﹂ ﹂ ? ﹂ お前らがやろうとしている事が、天使陣営にとっては、お前らが信 さっきから黙って聞いていれば⋮ ﹁なっ ﹁何ですって お前ら昨日、俺と戦った結果どうなった 得物があっても下級悪 たった10秒足らずであし ずる神にとってはマイナスにしかならないと、何故分からない ﹁この分からず屋が ! れ ﹂ ﹂ 思い上がりも大概にしやが それに得物なら持っている エクスカリバー 俺が聖剣を破壊させなければ、逆にコカビエルに奪われる所だったんだぞ をも凌駕する、そんな得物が ﹁そんな物やってみなければ分からない お前達の事だ、これからも ! 1人で戦うよりずっと難しい事なの るイリナを守りながら戦えると思っているのか ! ﹂ は、悪魔祓いであるお前なら理解出来るだろう ! 2人だけで行動するに違いない⋮唯でさえ勝機が無い相手、それを非戦闘員となってい ﹁ゼノヴィアはそうだろうが⋮イリナは完璧な丸腰だろう !? !? ! ! ! ! 使の最高幹部であるコカビエルから聖剣を取り返すだと 魔である俺ですら片手間で十分な相手、増してやその得物は無い⋮そんな相手が、堕天 らわれて、持っていた聖剣エクスカリバーを破壊されただろう !? !? ﹁良いかお前ら ! !? !? !? ! 295 ﹁し、しかし﹂ ﹂ ! そんな結末 そうなってしまったら天使陣営の力は極端に下がるも同然、戦争に ﹁そのお前が持っていると言う、エクスカリバー以外の聖剣までコカビエルの手に渡る 事を想像したか ふざけるのも良い加減にしろ なった時、3大勢力で最初に滅ぶは天使陣営になる事はほぼ確実なんだぞ ﹂﹂ を、神は望んでいるか ﹁﹁ !? ! !? ﹂ ﹁⋮1つ聞いて良いか ? 黙っていれば、私達の自滅が待っているのに﹂ ? ﹁な ﹂ ﹁俺の彼女であるれーちゃん⋮レイネルは、元は天使だったんだ﹂ 何故だって⋮愚問だ。 態々言ったんだ しい状況の筈だ⋮敵陣営の弱体化程、戦場で望ましい事は無いからな。何故、それを ﹁仮に貴様が言っていた通りになったとしても、それは悪魔陣営にとってはむしろ喜ば ? ﹂ 俺の一喝にシュンとなったのか、俺の指示に黙々と従う2人⋮だったが、 ら俺が護衛に回っても良い﹂ ﹁分かったなら直ぐに学園に戻って、シトリー会長の保護下で大人しくしていろ。何な ! ﹁何だ 31話_俺、一喝しました 296 !? ﹁天使様だったの ﹂ !? って。そしたらそ ? ﹂ ? ﹂ ? そ、そんな事が⋮﹂ !? は戻れなくなったから、グリゴリに身を寄せたんだが⋮そこでの生活は地獄に近かった ﹁堕天した彼女は、こんな姿を俺に見られたくないが為に姿を消し、その身で天使陣営に ﹁ ﹁⋮堕天したんだ、彼女。俺への想いが原因で﹂ ﹁ま⋮まさか 何故か、分かるか 想いだったんだなって。だけど⋮想いを告げた次の日、彼女は忽然と姿を消したんだ。 れが恋って奴で⋮彼女も、俺に恋していた事が分かったんだ。すげー嬉しかったよ、両 からなくなって、彼女に聞いたんだ⋮この胸のドキドキは何なんだ したんだ。でも当時の俺は恋の﹃こ﹄の字すら知らないガキんちょでさ、何が何だか分 事は嫌いで⋮正に、天使の理想像を体現していたよ。そんな彼女に⋮俺は何時しか恋を したんだ。彼女は、優しくて思いやりがあって、ちょっとドジだけど博識で、曲がった に派遣されたみたいだったんだが、急きょ俺の家で保護して、数ヶ月の間、一緒に過ご いるし、まさかと思って聞いてみたら、案の定だったよ。どうやらはぐれ悪魔討伐の為 帰る途中で、飛行に失敗して不時着している所を見つけたんだ。白い羽が背中から出て ﹁今から10年も前⋮イリナが外国に引っ越して行って直ぐ後の事だ。俺が小学校から 297 らしい。人間である俺に恋して堕天した愚か者だとか、能力に欠ける軟弱者だとか苛め られて⋮10年が経って、ある神器保有者が持っていた神器を奪って見返してやろうと いう想いに躍起になる程になってしまった程に⋮お前達が﹃魔女﹄だとか言っていた、 ﹂ ﹂ アーシアの神器﹃聖母の微笑﹄をな﹂ ﹁な⋮ ﹁う、嘘でしょ⋮ ﹂ ? そう、少なくともれーちゃんにとっては最悪な再会を、果たしたんだ⋮ ﹁最悪な⋮ 算段だったらしい⋮そして、其処で俺達は再会したんだ⋮最悪な再会をな﹂ ﹁グリゴリに無断でこの街に潜入して、アーシアも其処に赴任させる名目で、神器を奪う !? !? ﹂ !? イッセー君⋮﹂ !? たいなんだ⋮その時は、彼女は俺だと知らなかったがな。で、彼女が俺の後姿を見つけ ている悪魔だがな、そいつに見られた様で、脅威であり始末するべきと進言して来たみ の協力者だったドーナシークという堕天使⋮今、式波塔也として駒王学園の教師をやっ ﹁その少し前、俺はとあるはぐれ悪魔の駆除をしていたんだが、その様子を、れーちゃん ﹁ ﹁な⋮ ﹁俺、その時に人間として死んだんだ。れーちゃんの光の槍に貫かれて﹂ 31話_俺、一喝しました 298 て襲い掛かった所で俺が振り向き⋮俺は思わぬ再会に固まって、その隙に刺さってし まったって訳だ。彼女、泣いていたよ⋮自分の所為で俺が、ってな⋮でも俺は、10年 間の罪を支払ったと思っている⋮そう、10年前に彼女を堕天させた罪を⋮結局、部長 が悪魔として転生させてくれたお陰で、今こうして悪魔として生きているが。でもそん な再会を経たけど、彼女と再会出来た事は本当に嬉しかった。もう二度と、彼女を離し たくないって思った。その時決意したんだ⋮大切な人を、失いたくないって﹂ そう、それが俺の決意。 そう⋮か⋮﹂ いる戦争を阻止したいんだ ﹁ ﹂ ﹂ ﹂ 失わせない為に、コカビエルが起こそうとして ﹂ 最高の男や⋮ ﹁ご⋮御免なさい⋮イッセー君⋮私⋮私 ﹁兵藤君⋮そんな事を⋮ ﹁イッセー君⋮アンタ男や⋮ ! ! コカビエル⋮お前の好きにはさせない ! ! ! ! ! ! して、れーちゃんを失いたくないんだ ﹁俺は大切な人⋮部長を始めとした悪魔の仲間達、バンドのメンバー、親友達、両親⋮そ 299 32話︳俺、覚醒しました︵2︶ ﹁久々に着るけど、何か着心地悪いな∼。やっぱし悪魔に教会の水は合わない的な ﹁まあ仕方ない、情報が少ない今、取れるだけの策は講じないとな﹂ 上がるのも道理って物かな﹂ ﹂ ﹁そうだね。相手は聖剣を狙っている、教会の者だと認識させれば襲い掛かる可能性が ? ⋮だったらイリナを保護している事や、今こうしてゼノヴィアを同行させている時点 らない。 けて来るだろう⋮結果として戦争に繋がりかねない、あらぬ疑いを掛けられるかも分か だ、俺達悪魔だけで解決となって面白いかと言われればそんな訳が無い、後で難癖を付 さっきはああ怒鳴り散らしたが、それでも天使陣営も被害者として関わっている一件 ているゼノヴィアも同行させて。 イスを元に、神父風の変装をして捜索を行う事にした⋮現役の聖職者で、聖剣を所持し ら受けた﹁コカビエル、及び協力者は、聖職者を狙って襲っている様だ﹂というアドバ あの後、改めてシトリー先輩達にイリナの保護を頼んだ俺達、その後、ゼノヴィアか ﹁私が同行している以上嘘は言っていないしな﹂ 32話_俺、覚醒しました(2) 300 でアウトだろうって言われそうだが、エクスカリバーを持っていない状態で、堕天使の ﹂ ⋮無いだろう、後で難癖付けられても、過去の汚職を盾に 最高幹部が潜入している、悪魔陣営の真っただ中、そんな状況下で天使陣営が確実に﹃一 枚噛む﹄方法は他にあるか エクスカリバー・ラピッドリィ ﹁さてゼノヴィア⋮奪われたエクスカリバーの能力ってどんな物か、分かるか してしまえば向こうは黙るしかないしな。 ? ︶やっぱりか⋮誰だ ! は﹂ ︵ガキィン ! ! ﹁⋮剣及び使い手を透明にさせる能力だ﹂ 下がれ皆 ! ﹁お前⋮コカビエルの協力者か ﹂ ﹁聖剣の気配を辿って見れば⋮まさか聖剣使いが悪魔と共闘していたとはな﹂ ﹁っ ﹂ ﹁確かに、魔法使いが使った方が良さそうな能力だな。最後に透 明 の 聖 剣。これ エクスカリバー・トランスペアレンシー ﹁何処ぞやのホラー映画じゃないすかそれ、聖剣とか嘘こけですな﹂ いる﹂ ﹁次に夢 幻 の 聖 剣。眠っている相手の夢を支配したり、幻術で惑わせる能力を有して エクスカリバー・ナイトメア ﹁大まかな説明を聞くと、そうだね﹂ ﹁聖剣版﹃騎士﹄駒って訳ですかい﹂ ﹁ああ。まずは天 閃 の 聖 剣。使い手の素早さを急激に向上させる能力を有している﹂ ? 301 !? ゼノヴィアの説明中、突如聞こえて来た第三者の声に、咄嗟に声のした方に爪の斬撃 ﹂ ﹂ を繰り出すと、何か刀剣の様な物を弾いた音がした⋮もしかして今聞こえて来た透明の 聖剣の力か ﹂﹂﹂ この声⋮まさかテメェ⋮ ﹁如何にもそうだが ﹁っ ﹁﹁﹁バルパー・ガリレイ ! ? !? だがフリードの話なら⋮ !? ると、まさかずっと前からコカビエルは聖剣を狙っていたのか⋮ !? その姿に驚きを強めるゼノヴィアは疑問をぶつけ、バルパーもまた応じる⋮話を纏め 程の能力からして透明の聖剣を構えていた。 浮き上がる様に現れたそいつは、眼鏡を掛けた初老の神父という出で立ちで、恐らく先 正体を看破されたバルパー・ガリレイはその正体を現す⋮空気しか無い筈の空間から かっただろう⋮﹂ ﹁あ の 時 は 死 に 掛 け た な。あ の 場 に 偶 然 コ カ ビ エ ル が 通 り す が ら な け れ ば 今 の 私 は 無 ! ! 処断された筈の身⋮それが何故⋮今此処に⋮ ﹂ 貴様は既に教会を追われ、そして悪魔祓いによって さかコイツが聖剣計画の首謀者なのか ! 俺の疑問に素直に答えたその声に声を荒げ、その正体を言い当てる俺以外の3人⋮ま !? !? ﹁何故⋮何故貴様が生きている⋮ 32話_俺、覚醒しました(2) 302 ﹁しかし透明の聖剣を以てしても見破られるとは、人数もあって分が悪いな⋮此処は引 ﹂ かせて貰おう﹂ ﹁待ちやがれ ︶眩しい ﹂ 俺みたいな手ぇ使いやがって ﹁︵バァン ﹁ちぃ ﹂ ! ! 俺は一旦部長に連絡を入れる ﹂ ! られた⋮行かせるか ﹄ ﹂ ﹁3人はバルパーを追ってくれ ﹂ ﹂ ﹁はいな ﹁了解 ﹂ ﹁分かったよ、兵藤君 ﹁もしもし、部長 ﹃どうしたの、イッセー ! ! ! ん﹂ いて、今回の事に一枚噛んでいました。盗まれた聖剣を使っていたので間違いありませ ﹁コカビエルの協力者を見つけました⋮聖剣計画の首謀者、バルパー・ガリレイが生きて ? ! ! ! フラッシュグレネードによる目くらましを食らってしまい、怯んだ隙に遠くまで逃げ ! ! 俺の戦慄を他所に撤退をしようとするバルパーを追いかけようとするも、 ! 303 ﹃ まさか、生きていたとはね⋮それで、そのバルパー・ガリレイは ﹄ ? ﹃分かったわ ﹄ コカビエルは⋮ と其処には、5対もの黒い羽を広げた堕天使がいた⋮あれが、あれがコカビエル⋮ ! 僕達にとっては因縁の敵、バルパー・ガリレイを追いかけて何処かの公園にまで来る でも問題なく行える﹂ ﹁まあ良い、あの学校を狙おうと考えていたのはあくまで魔王共に見せつける為⋮何処 ﹁済まないコカビエル、予定を変更せざるを得なくなった﹂ Side 祐斗 ││││││││││││ ! つけ本番でどうなるか分からないが、こうでもしないと勝てる相手じゃあ無いからな、 その途上、俺は腰のホルスターから鉄球を取り出し、ウォームアップを始める⋮ぶっ 既にスタンバイしていたエレンに跨り、木場達の後を追いかける。 ﹂ ﹁さて⋮行くぞエレン ! ! ﹁ヒヒィィィィィィン ﹂ 定です。何か異変が起こったら連絡下さい﹂ ﹁木場とフリード、それにゼノヴィアに追わせました。俺もエレンに乗って後を追う予 ! ! 32話_俺、覚醒しました(2) 304 ﹁さてバルパー⋮統合までにどれ位掛かる ﹁統合⋮ まさか ﹂ !? ﹂ ? れまでコイツと遊んでいろ﹂ エクスカリバーを統合させて、それでこの街を滅ぼすだって⋮ そんな事させるか ! ﹂ た存在に阻まれてしまう。 その存在は⋮ ﹁頭が3つ⋮まさか ﹂ ﹁こ、これは⋮ ! と6つの真紅の目⋮間違いない、地獄の番犬の異名を持つ魔物、ケルベロスだ⋮しかも 狼を思わせるフォルムながら、その巨大さは体高だけで僕達をゆうに越し、3つの首 ! ! ! ﹁流石に堕天使の最高幹部って訳ですかい⋮ ﹂ そう決意して飛びかかろうとするも、先読みしていたかの様にコカビエルが呼び出し ! ﹁そしてその光によってこの街を滅ぼす程の力を有する術式を発動させる⋮貴様らはそ ⋮あの悪魔が余計な事をしてくれた様だな﹂ らが持って来たと思われるエクスカリバーを奪い取り、それをもつぎ込む積りだったが ﹁察しの通りだ、聖剣使いよ⋮この3本のエクスカリバーを統合させる⋮本当なら貴様 ? ﹁5分あれば充分だ﹂ 305 3体も⋮ ﹂ ﹄ ﹁さあやれ、ケルベロス達よ ﹂ ﹃グォォォォォォォォォォォ ﹁来るぞ ﹂ ﹁分かってらぁ ﹁うん ! ! ︶﹂﹂﹂ ﹂ の実力では苦戦を強いられるだろう、けど⋮ その時、 ︵バッ ﹁お前ら其処から離れろ ﹁﹁﹁ ﹂ ﹂ ︵ヒュォォォォン ﹄ ﹁喰らいやがれぇぇぇぇ ぐぁ ﹃ガァァァァァァァァァ ﹁なっ ﹂ ︶﹂ ! ! ﹁ふぅ⋮どうやら間一髪セーフって所か ﹁コカビエル !? !? 後ろから響き渡った兵藤君の声に従って、3人揃って飛び退いた後に見た光景⋮それ ? ! ! ! ! ! ! 飛びかかって来るケルベロスに立ち向かう僕達⋮ケルベロスの実力は相当な物、僕達 ! ﹂ ! ! ! 32話_俺、覚醒しました(2) 306 は、僕達がいた場所を通過し、ケルベロスを3体纏めて、背後のコカビエルごと突き飛 ばした、エメラルドグリーンの人、いや、人型の異形と言うべき存在⋮デッサン人形と も言うべき図体に所々ピンクダイヤモンドの様な珠を散りばめ、耳にあたる部分には円 ﹂ 盤状の突起を生やした存在⋮そんな存在が、両手を突き出して突進する姿だった。 ﹁ボール・ブレイカー⋮これが俺の、俺達の技術の、1つの完成型だ ! 307 33話︳あいつらが、覚醒しました Side 祐斗 ﹁あの悪魔の事もあるから、急仕上げにしたが⋮大丈夫の様だな。完成だ﹂ 兵藤君の攻撃によってコカビエルごとケルベロス達が昏倒したという光 お前はその間、他の連中を足止めしてくれ﹂ ﹁そうか。俺はあの馬に乗った悪魔をやる⋮あいつは、俺自身が仕留めなければ気が済 まん まずい⋮ ﹁分かった﹂ さないとこの街が⋮ だけど⋮その前にケリをつけなければならない事がある。 ! 景を目の当たりにした次の瞬間、エクスカリバーの統合が終わってしまった⋮急いで倒 ! ! ﹂ 貴様は追放されるべくして追放され、そして処断さ れるべく今、我らが処断して見せる⋮ ! ﹁僕は⋮いや僕達はその聖剣計画の生き残りだ⋮尤も僕の場合は貴方に殺された身だ。 ! 絶対に許されるべき物では無い⋮ だがな、その裏で行われた凄惨な実験、そして被験者全てを皆殺しにしたという暴挙は、 ﹁バルパー・ガリレイ⋮貴様の計画によって確かに聖剣使いの資格者は劇的に増えた⋮ 33話_あいつらが、覚醒しました 308 悪魔に転生して、今こうして生き残っている﹂ ﹂ ! あんな計画を仕出かしたか、聞き出す必要がある⋮ 陰だ﹂ 何⋮ ﹁僕達を失敗作と断じて処分した筈だ⋮完成だって ﹂ ﹁そう、実際に被験者の誰もが適性に至った訳では無かった⋮しかしながら研究の途上、 ? !? 工的に作り出す研究を始めたのだ。それが﹃聖剣計画﹄で⋮そして完成した、君達のお らこそ、使える者に憧れを抱いた。その憧れは留まる事を知らず、遂には聖剣使いを人 に聖剣使いの適性が無いと知った時には絶望した物だよ。けれど、自分では使えないか に。幼少の頃に、エクスカリバーの伝説を聞いて、心踊ったからだろうな。故に、自分 ﹁私は聖剣が好きだ。それこそ⋮私が聖剣を手にして悪魔共と戦うという夢を見るまで ! ど兵藤君に言われた﹃怒りに満ちた時こそ冷静になれ﹄の言葉で踏みとどまれた⋮何故 ⋮少し前の僕なら、此処で我慢の限界を越えて飛びかかっていたかも知れない⋮けれ を感じるな。こんな極東の地で、揃いも揃って会う事になろうとは⋮ふふふ⋮﹂ ﹁⋮まさか、くたばり損ないの他にもあの計画の生き残りがいたとは、これは数奇な運命 だ⋮苦しみながら死んだ、俺の、俺達の仲間の辛苦を味わいながら地獄に落ちやがれ ﹁ジジィも災難だなぁ、俺っちという死に損ないを出しちまって⋮まあ、因果応報って奴 309 私はある事に気が付いた。聖剣を使うのには必要な因子があるという事に。その因子 の数値によって、適性があるかどうか変わるという事に。被験者の誰もがその因子が適 ﹄と﹂ 性数値に至らなかったが、故に私はある結論に至った。﹃因子だけを抽出し、集められな いか ﹂ 因子だけを取り除き、この様な結晶にしたのだよ ⋮実際 ﹂ ! テメェには⋮テ 自分の研究、自分の欲望の為に、一体どれだけの命を弄んだ あ⋮あれが⋮皆の⋮聖剣使いの因子⋮何て事を⋮ ⋮ ! に私で試してみたら、あの時の絶望が嘘の様に、聖剣を扱えるようになったぞ ! 死んでいった仲間達の苦しみを、唯1人死に損なった俺の苦 ﹁吐き気を催す邪悪ってこの事を言うんだろうなぁ⋮このクソジジィ ! ! ﹂ ! て⋮手始めにこの街を破壊し、後は世界各地で保管されている聖剣を集め、聖剣使いを たちの因子だ。もう量産出来る段階にまで研究は進んだのだ、もう私には不要だ。そし ﹁ふん。其処まで言うならばこの因子の結晶、貴様らにくれてやろう⋮あの時の被験者 死にやがれ 悩を、1人で逃げなければならなかった木場ちゃんの無念を、その身で思い知りながら メェには地獄すら生温い ! ! ! ﹁そうだ、聖剣使いの少女よ ﹁成る程、読めたぞ。聖剣使いが祝福を受ける時、身体に入れられる物⋮あれが﹂ ? ﹁⋮バルパー・ガリレイ⋮ 33話_あいつらが、覚醒しました 310 量産し、バチカンやミカエルに戦争を仕掛けてくれよう 僕は⋮僕は ﹂ ずっと⋮ずっと思っていたんだ⋮僕が、僕達だけがのうのうと逃 ! ! あ⋮あれが⋮あれが皆の⋮だ、駄目だ⋮抑えきれない⋮ ﹁皆⋮ ! て⋮﹂ たいとも思わなかった癖して、結局皆をほっぽり出して死に損なっちまった⋮ ! 木場ちゃん、これ⋮ ﹂ ! ! た。俺より色々とスゲェ奴がいた。何で、何で俺が⋮ ﹂ ﹂ ﹃⋮れ﹄ ﹁⋮え ﹃⋮きてくれ﹄ ﹁⋮何だ ? ﹁⋮この声⋮﹂ ﹁⋮ ! ? そして フリードの呼びかけに応じて振り向くと其処には⋮僕の仲間たちの、霊体となった僕 ! ﹂ 皆の事を忘れて、ずっと自分勝手に生きて来た⋮ 俺よりずっと生きていくべき奴がい ! ﹁木場ちゃんは⋮木場ちゃんは何も悪くねぇよ 俺なんか⋮俺なんか、脱出する程生き た子もいた。皆、生きたかった筈だった⋮僕が、僕達だけが平和に過ごして良いのかっ げ延びて、生きて良いのかって⋮。僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかっ ! 311 の仲間たちの姿、そして⋮ ﹃自分達の事はもう良い。君達だけでも生きてくれ﹄ み、皆⋮﹂ ﹁ ﹃僕らは、1人では駄目だった││﹄ そして聞こえて来た歌声⋮これは⋮これは聖歌 お前ら⋮﹂ ﹁ ! ﹃聖剣を受け入れるんだ││﹄ ﹃皆が集まれば、きっと大丈夫││﹄ ﹃私達1人1人だけでは、足りなかった。けど││﹄ ? ! ⋮ ! ﹂﹂ ! 僕達の声に呼応するかの様に光り出し、僕達の中に入って行く皆⋮行ける、これなら ﹁﹁││1つだ ﹃私達の心は││﹄ ﹃僕達の心は││﹄ ﹃神が見ていないとしても││﹄ ﹃例え神が居なくても││﹄ ﹃何も怖い物なんて無い││﹄ 33話_あいつらが、覚醒しました 312 ﹁バルパー・ガリレイ。僕は貴方を滅ぼす バーでな ﹂ ﹁今、僕は皆を守る剣となる﹂ ﹁俺は敵を追っ払う剣になるぜ ﹂ ﹂ ﹁僕の呼び声に答えてくれ││﹃魔剣創造﹄ ﹂ ﹂ ﹂ そう言い、飛びかかるバルパー⋮だが、今の僕達は、負けはしない ! ︶﹂ ソード・オブ・ビトレイヤー 手 ﹃双 覇 の 聖 魔 剣﹄ バランス・ブレイカー キ ラ ー ク イ ー ン・ジ ェ ノ ム ブ ラ ッ ド ︵パキィン ︶﹂ ︵ガ ﹂ 俺の血の剣は、聖と魔を有した、皆の想いで出来ている 聖と魔を有する剣の力、その身で受けるがいい 配⋮だけど、悪魔である僕達でも害意を感じない、むしろ力を授けてくれる様な⋮ ﹁禁 キャァ ぜぇ ! 馬鹿な、反発し合う要素が混じり合う事などある筈が⋮ ﹁禁手﹃死神女王の聖魔血剣﹄ ! ! ! ! ! ﹁な、エクスカリバーが !? ! ! その名を口にした瞬間、僕の、いや僕達の身体の芯から感じる聖なる気配と魔剣の気 ﹁俺の呼び声に答えろ││﹃刺客の血﹄ ! ! ! ! まあ良い、直ぐに貴様らも仲間の元に送ってやる。この3本統合させた聖剣エクスカリ ﹁ふん、何をするかと思えば幽霊共と合唱か。所詮はその程度しか出来ないという事か。 ! ! ﹁皆と再会を果たした今の俺は、もう何も怖くないってねぇ 313 ︶が あ⋮﹂ ﹁それがあるんだよ、耄碌ジジィ ﹁︵ドズゥ ﹂ ﹂ 急所の数々を貫いた⋮やった⋮僕達は⋮ 僕達の力は、エクスカリバーを越えたよ﹂ ? ﹂ !? ! の姿があった。 使い魔である天馬のエレンに跨り、コカビエルをタコ殴り︵ ︶にしている、一誠君 ﹁ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹄﹂ フリードの言葉に頷きながらふと周囲を見ると、 福しているみたいだぜ﹂ ﹁⋮やったぜ、皆⋮お、良い風が吹いてきたな⋮新しい一歩を踏み出した俺達を、皆が祝 ﹁⋮皆、見ていてくれたかい ! リードの指から、まるで触手の様に飛び出て来た血はそのままバルパーに襲い掛かり、 僕が作り出した聖魔剣は、3本統合されたエクスカリバーをも難なく打ち砕き、フ ﹁じゃあな⋮地獄を楽しんで来な !? ! ! ! ﹁﹃オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ 33話_あいつらが、覚醒しました 314 ? 34話︳俺、覚醒しました︵3︶、そして⋮ ﹄ ? ⋮成る程な﹂ ! えから生み出されたのが、超音速旅客機﹃コンコルド﹄における、あの細長いフォルム うか⋮ソニックブームの例えで言うなら、押し込む空気が無ければ発生しない⋮この考 だが、それを成すには問題がある⋮﹃黄金の回転﹄同士を上手く重ね掛け出来るかど ニックブーム﹄の如く⋮成る程、面白いな。 気が押し込まれ、数メートル前から現地点の空気が濃縮される事で生み出される﹃ソ ﹃黄金の回転﹄と﹃黄金の回転﹄の重ね掛け⋮差し詰め音速で飛び交う飛翔体の前方の空 ふとドライグが、思いついたかの様に呟いた事⋮それは俺にとって目から鱗だった。 から幾日が経った時だったか。 ⋮あれは焼き鳥野郎とのレーティング・ゲームで勝利を収め、エレンを使い魔にして ﹁ ないか の﹃黄金の回転﹄を、別の﹃黄金の回転﹄と重ね掛けしたら、より強力な物になるんじゃ よって力を発揮し、相棒が言う﹃黄金の回転﹄によって更なる力が目覚める⋮ならば、そ ﹃相棒、ふと思ったんだが⋮相棒の武器であるタスクと鉄球回転、そのどちらも回転に 315 だ。 今現在で俺が﹃黄金の回転﹄を生み出せるのはタスクによる爪弾と、鉄球だけ⋮だが 片手でやろうとすれば乱れが生じる⋮人間の手足というのは別々の行動を同時に行え る程器用じゃない。 かといって両手で分担させても、重ね掛けするには遠い⋮どうすれば上手く行くか⋮ 待てよ そうだ⋮エレンだ⋮ れを重ね掛けすれば⋮ ! 転による走行のパワーは伊達じゃない⋮ 試してみる価値はあるな⋮ ││││││││││││ ︶﹂ ! ! ︵ヒュォォォォォン ﹄ ! こうして俺が立てた推論は、 ﹃ガァァァァァァァァ !? ! い、極端な話、生物が歩行する事だって股関節の回転による物、増してや馬は、その回 よくよく考えれば回転によって力を発揮するのは何もタスクや鉄球回転だけじゃな ! 例え俺1人で重ね掛け出来なくても、パートナーに﹃黄金の回転﹄を生み出させて、そ ? ﹁喰らいやがれぇぇぇぇ 34話_俺、覚醒しました(3)、そして… 316 ﹁なっ ﹂ ぐぁぁぁぁ ﹁コカビエル ﹂ !? ﹁ふぅ⋮どうやら間一髪セーフって所か !? !? ﹂ ﹁ボール・ブレイカー⋮これが俺の、俺達の技術の、1つの完成型だ ⋮まあ、ぶっつけ本番だったけどな。 前はその間、他の連中を足止めしてくれ﹂ ﹂ ﹁俺はあの馬に乗った悪魔をやる⋮あいつは、俺自身が仕留めなければ気が済まん ! たのが余程腹に据えかねていたのか、その視線は憤怒に染まっていた⋮お前は怒りを原 り、バルパー・ガリレイに何か指示を出しながら俺に視線を向けた⋮先程突き飛ばされ だが流石に魔物3体という緩衝材の効果は大きかったのか、コカビエルは立ち上が ﹁分かった﹂ お の俺の何気ない思い付きを、あり得ない程の代物に昇華させた相棒⋮やはり流石だな﹄ ﹃まさかケルベロスを3体、コカビエルごと余裕で突き飛ばすとは⋮今更ながら、あの時 ! れた。 たら黒い翼が5対もあった、恐らくコカビエルだろう⋮ごと突き飛ばした事で、証明さ 生み出し、それが、三つ首の魔物3体を、後ろで偉そうに浮かんでいた堕天使⋮良く見 鉄球からエメラルドグリーンの、人に良く似たヴィジョン﹃ボール・ブレイカー﹄を ? 317 動力にした悪鬼羅刹か る ﹂ ﹁良くもやってくれたな、下級悪魔の分際で⋮ 開戦の前に、貴様を八つ裂きにしてくれ ! ﹂ ﹁それはこっちの台詞だ、この老害が 戦争をまた引き起こすなんざ、何を考えてやがる ! ! ! 故に俺は だが、アザゼルもシェムハ ! そして今、この街を崩壊させる事でそれが ザもバラキエルも、戦争を止めると言い張り、それは今になっても変わらん 単独で戦争を引き起こしてやろうと考えた ﹂ ! その戦争によって、恋人や家族、親友や恩師、仲間や部下⋮そんな大切な存 成就するという算段だ ! にいるお前になら分かる筈だ それでも戦争がしたいか ﹂ ? ﹁ふん⋮ 分からない、と言ったら 今⋮こいつ何つった ? ! ﹂ 在を失う気持ち、1万年以上も生きたお前になら、そんな大切な存在を持った奴が身近 ﹁てめぇ⋮ ! ! ⋮このままやれば、我らの勝ちは揺るがないと言える程に ﹁愚問だ⋮俺は戦争を続けたかったんだ、2天龍が封印されたあの時、我らが優勢だった ! 大切な人を失う気持ちが⋮分からない、だと ? 34話_俺、覚醒しました(3)、そして… 318 !? テメェは⋮テメェはこの﹃赤龍帝﹄兵 1万年以上生きたコイツが、大切な存在を持っている奴が身近にいる筈のコイツが⋮ ﹂ テメェは、テメェだけは許さねぇ⋮ 分からない、だと⋮ ﹁上等だ⋮ 藤一誠が直々にぶちのめしてやる⋮ ! !? に﹂ ︶﹂ 馬鹿な、身体が、動かないだと ﹂ ﹂ これは⋮全 唯の下級悪魔が、神滅具を有した位で、俺を偶々突き飛ばした位で良い気 ︵ドォン 今すぐにその無駄口を封じ込めてやる ﹁タスク⋮Act4 ︶がぁぁぁぁぁ 達はただ、目の前の木に磔になっているピエロ鴉を⋮叩き潰すまで そう⋮俺と、俺の隣に立っている、Act4と化したタスク⋮今までのロボットだっ ! ドライグが何か怯えにも似た声をあげているが、気に留める必要は無いな⋮俺は、俺 ﹁︵ドガァン ﹄ ⋮今まで相棒の事をずっと見て来たが、今回の成長は⋮恐ろしいな⋮ ﹁ふん、何をするかと思え⋮な ! 盛期の俺ですら抵抗できない⋮﹃無限﹄にも比肩する力⋮ ﹃ !? ! !? ! !? ! ! ! !? ! ﹁何を言うか を、一番怒らせてはいけない存在を、怒らせたな⋮これが、貴様の運の尽きだ﹄ ﹃貴様も哀れだな、コカビエル⋮相棒を、大切な存在が失われる事を誰よりも恐れる悪魔 ! ! 319 ﹂ ︶がぁ ﹂ そのふざけた幻想を抱きながら⋮地獄に落ちや たり妖精だったりといった趣とは違って、ピンク色の全身鎧を纏った人型の姿⋮と共 に、叩き潰す がれ ﹄﹂ こ、この俺が、こんな下級悪魔に︵ドゴォン ﹂ ﹂ ﹁ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⋮ すり抜けながら、コカビエルの身体が滅びて行く様に消えて行った⋮やったか⋮ ﹁皆⋮やったぜ﹂ ﹂ ? ︶するかの様に歩み寄る木場達⋮だが、何 ﹁は、はは⋮フリード、僕は夢でも見ているのかな ︶した俺を祝福︵ ﹁これは現実だぜ木場ちゃん⋮﹂ コカビエルを撲殺︵ ﹁⋮﹂ ? かゼノヴィアの様子がおかしい⋮どうしたんだ ? ? ! 俺とタスクによる怒涛のタコ殴りのフィニッシュを決めると、タスクのヴィジョンが !? ﹁さぁ、覚悟は出来てんだろうなぁ⋮ ﹁ば、馬鹿な ﹁﹃オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ ﹁ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹄﹂ !? ! ! ! ! ! ! ! ! ﹁﹃オラァァァァ 34話_俺、覚醒しました(3)、そして… 320 ﹂ ﹁兵藤一誠⋮いや、兵藤一誠の中にいる﹃赤い龍﹄ドライグ⋮記憶にあるなら答えてくれ﹂ もう既に、お亡くなりになられたのか⋮ ﹁ど⋮どうしたんだ、ゼノヴィア﹂ ﹁神は⋮いないのか え⋮それって⋮ ? な、ドライグ、本当なのかよ、それ ﹁ゼノヴィア⋮﹂ ﹁は⋮はは、神は、神はいないのか⋮﹂ !? ﹂ ? ﹁﹁﹁ ﹂﹂﹂ ドライグから驚愕の真実を打ち明けられ、壊れた様な声を上げるゼノヴィアにどう声 !? た﹂ ﹁まさか⋮コカビエルの死体すら残さず滅ぼすとはね。﹃ライバル﹄は相当な凄腕と見 !? ﹃⋮本当だ、神は⋮いない。あの大戦で⋮死んだ。俺達の争いに巻き込まれて﹄ ﹁え、そ、それは﹂ つく⋮なあドライグ⋮神は、いないんだろう 亡くなりになられたとあらば、聖と魔を司る存在のバランスが崩れたとあらば、説明は いた物等、聖と魔の力が混じり合う等、本来はありえない筈なんだ⋮だが、神が既にお ﹁バルパー・ガリレイも言っていたが、木場祐斗やフリード・セルゼンが聖魔剣と言って ? 321 掛けしようかと考えていたその時、今までに感じた事の無い位に強烈な⋮いや、なにか 何処かで感じた様な懐かしい気配を感じ、振り向くと、どっかのロボットアニメに出て 来そうな白い全身鎧を身に纏った奴がいた⋮今の口振りといい、これって、まさか⋮ ﹃ああ⋮まさか白いのが現れるとはな﹄ が良いぞ ﹄ と思ったんだが⋮既に肉体は滅びたし、そっちも取り込み中だろう させて貰おう﹂ ﹂ 今日は此処でお暇 ⋮まあそれは良いとして、今日はコカビエルを連行しよう ﹃今回の赤いのは余程良い相棒に恵まれたらしいな⋮我らでも勝ち目は薄いと思った方 ! 位なら空気読んで入れや ﹂ ! 死ぬ事もあるのだと。ただ⋮な、踏ん切りがつかないだけだ。今まで、もう既に亡くな ﹁⋮良いんだ、兵藤一誠。私は何処かで覚悟していたかも知れない⋮神は万能では無い、 殺した存在を相棒とした俺からのせめてもの詫びだ⋮本当に済まない ﹁ゼノヴィア⋮済まなかった⋮俺1人が謝ったってどうにもならないだろうけど、神を ⋮と、今はゼノヴィアだな。 ! 俺が止める間もなく、今代の﹃白い龍﹄の神器を持った奴は立ち去った⋮直ぐに帰る ﹁あ、待てよ ! ? ! ? ﹁ふふ⋮余計に戦いたいな 34話_俺、覚醒しました(3)、そして… 322 られた神にお仕えしてきたが、その主がいないと分かった今、誰にお仕えすれば良いの か⋮とね﹂ ゼノヴィア⋮ ! ﹁ 兵藤君、何を ﹂ ﹁イッセー君⋮それ自殺志願だと言いたいんですかい !? ﹂ ! 同時刻、某所⋮ ﹂ ﹂ いや⋮﹂ ? 立ち上がり⋮ ﹁ドライグ⋮ 此処でとある少女が⋮ ﹁我と⋮同じ力⋮ ? ? ﹁何⋮この感覚⋮ ││││││││││││ ﹁ああ⋮う⋮あぁ⋮ ﹁⋮分かった、此処で泣いてくれ﹂ ﹂ ﹁それは出来ないさ⋮兵藤一誠、頼みがある⋮胸を貸してくれ﹂ ? !? 思う存分。そしてさ、落ち着いたらまた会おう、今度は⋮そっちにとっての仇敵として﹂ ﹁ゼノヴィア⋮神を殺した存在の相棒である俺が言うのもアレだが⋮今は泣いてくれ、 323 ⋮その場を飛び出した。 ﹁⋮会いたい⋮我と⋮同じ力の⋮使い手に⋮﹂ 34話_俺、覚醒しました(3)、そして… 324 第2部﹃赤き龍の皇帝、兵藤一誠﹄4章﹃停止教室のヴァ ンパイア&ウロボロス﹄ 35話︳俺、堕天使の総督と会いました 結局、聖剣が盗まれた事件は解決、その後イリナは1人、5つのエクスカリバーの欠 片を手に、バチカンへと帰って行った⋮え、何でイリナ﹃1人﹄だって ⋮どうした物か、と思っていたのもつかの間だった。 つて、彼らの信ずる主を殺してしまった事もその気持ちにさせた⋮ ただ頭では理解出来ても、心の中ではどうも遣る瀬無い気持ちになる⋮俺の相棒がか 天使陣営は終わり⋮その気持ちは分かる。 た⋮教会、引いては天使陣営から人員が大きく流出してしまうに違いない、そうなれば ⋮実際にこの話を聞いたアーシアはゼノヴィアと同じく、1時間位、悲しみに暮れてい しい⋮確かに、信ずるべき存在がいないと知れ渡ってしまったら、信者は打ちひしがれ まったのが、教会の戒律に抵触したそうで、ゼノヴィアは教会を追放されてしまったら どうやらゼノヴィアが神の不在を、1万年前の大戦で死んでしまった事を知ってし ? 325 ﹂ ﹁この度、リアス部長の眷属悪魔となった、ゼノヴィアだ。ランクは﹃戦車﹄。今後とも 宜しく頼む﹂ ﹂ ? ﹂ ﹂ ﹁mjdsk ? ﹁⋮は ⋮今、何て ならばお望みにお答えしよう⋮兵藤一誠⋮いや、イッセー、 ﹂ ? も言ったよな ﹂ ﹁いやいやゼノヴィア ? 俺には彼女が、そこにいるれーちゃんが俺の彼女だって事、前に ⋮な、ナンテコッタイ 好きだ、愛している﹂ ﹁何度も言わせる気か ? ? ﹁いや違う⋮君に惚れたのだよ。誰よりも心優しく、そして強い君にね﹂ ﹁⋮成る程、敵討ちの機会を伺おうってか﹂ Kをくれたわ⋮ちょっと釈然としないけど﹂ ﹁ええ、そうよ。行く当てもないから誘ってみたら、イッセーと一緒ならと2つ返事でO ? ﹁⋮本当に ﹁⋮Oh,my god⋮って神はいないんだっけ、何この急展開﹂ ? ⋮今、何て ﹁⋮は ? ⋮どういう事ですか、部長 ﹁⋮え ? 35話_俺、堕天使の総督と会いました 326 ? ﹁ああ聞いた。だがその後、こうも聞いた。自分の家族や親友、主である部長と、仲間達 ﹂ ⋮大切な存在を、絶対護って見せると。つまり其処に私が加わった今⋮私も大切に想っ てくれる、そうだろう ? める 話を飛躍し過ぎだ ﹂ ﹁お前は黙ってろ諸悪の根源 ﹂ もう宣言しちゃえYO、俺は皆纏めて愛してやるぜぇぇ ってさ﹂ ﹁はいはい飛躍でも何でも無いでしょうに、素直じゃあ無いんだから、イッセー君はっ ! ! ﹂ ? ﹁あっはっは、悪い悪い。こうして青春している少年を見るとついからかいたくてさ﹂ ﹁⋮シャレにならないから止めてください﹂ 相でも出ているんじゃね ﹁ははは、悪魔君も災難だなぁ。彼女持ちでも沢山の女の子に引っ付かれてさ。女難の ﹁⋮まあ、そんな事があって、色々と大変だったんですよ﹂ ││││││││││││ は、何だか締まらなかった⋮ の他に持っていた聖剣﹃デュランダル﹄を占有する事が決まった事等の重要事項の発表 ゼノヴィアが部長の眷属として、悪魔に転生した事や、ゼノヴィアがエクスカリバー ! ! ! ﹁いやいやちょっと待て確かにそう言ったし、お前の事も大切だが、何でそこで頬を赤ら 327 俺達が悪魔になってから色々と騒動があった一方、悪魔としての通常の仕事⋮契約取 りの方も、ビラ配りの研修を終え、契約を待つ身となった矢先、早速俺を名指しで指名 して来た人がいた。 今俺と談話している人がその人で、俺より一回り位大きい体躯︵身長で言うと190 cm近くだな︶、黒髪短髪、整ってはいるがチョイ悪系の風貌、そして今時珍しい着流し を着用したアラフォーのオジサンだ⋮此処まで書くと古典的な、ヤが最初に付く人っぽ いが違う、実際に話してみるときさくで親しみやすく、今回の契約からして結構優しそ うな人だ。 だが⋮ ⋮コイ ? ﹁はは⋮期待に答えられる様、頑張りますよ﹂ もっているそうじゃ無いか。それを聞いて、戦ってみたくなったんだ﹂ ﹁ああ。あそこの悪魔達で流行っているって聞いてさ、特にお前さん、かなりの腕前を ﹁はい。それにしても、良く俺がデュエマをやっているって知っていますね﹂ が印刷されているカードの束⋮言うまでもなく、デュエル・マスターズのデッキだ。 そう言いつつ取り出したのは、青地の裏面にDuelMastersと書かれたロゴ ツの﹂ ﹁それで、契約の方だが⋮俺の対戦相手になって欲しいのは分かっているよな 35話_俺、堕天使の総督と会いました 328 ﹁頼むぜ、手加減は無しだ せた⋮なのに⋮なのに⋮ ﹂ あの驚異的陣形は何なんだぁぁぁぁぁぁぁぁ ! による最速ルートでは無いにしても﹃ライラ・アイニー﹄を引けて、3ターン目には出 何て事だ⋮﹃デュアルショック・ドラゴン﹄を早い段階で引けたし、 ﹃エメラル﹄とか ま、負けた⋮orz ││││││││││││ 本当、何処でそれを聞いたんだか⋮そんな疑問は心に留めつつ、準備を始める。 ! ﹂ ? ? ? その総督が悪魔と契約なんて、国交関係からして不味くはないですか ﹂ ﹁それにしても、何で俺を名指しで 唯でさえ悪魔と堕天使は停戦中とはいえ敵対状態、 持っている存在が、俺の直ぐ傍にいるのだ、気配察知が得意な俺だと直ぐに分かる。 ⋮本人としては気配を隠していたつもりなのだろうが、コカビエルをも上回る力量を 程のデュエルに勝った事もあってにこやかだった。 自分の身元が既にバレていたにも関わらず男性⋮堕天使の総督、アザゼルさんは、先 ﹁おや、バレてたのか ﹁⋮堕天使総督はデュエマも強いんですね﹂ ﹁はは、中々面白い速攻デッキだが、ちょいと流れに乗れなかったみたいだな﹂ 329 ﹁そ こ は お 前 さ ん の 主 の 兄 貴 で あ る サ ー ゼ ク ス か ら 許 可 取 っ て あ る ⋮ ま あ そ う 固 い 話 は、今回は無しだ。お前さんには、配下の奴等が色々世話になったし、ちょっと御礼と 謝罪をしないとなって思ってさ﹂ 御礼と謝罪⋮ ! ! コカビエルの件は仲間達の用件に付き合っただけですから ﹂ ﹁ちょちょ、顔を上げてくださいよ れーちゃん達の件は放って置けなかっただけだし、 エルの一件⋮何から何まで解決に奔走してくれたそうじゃないか。ありがとうな﹂ ﹁数か月前のレイナーレ⋮今はレイネルだっけな、アイツらの一件と、つい最近のコカビ ? かったそうじゃないか⋮それは俺達にも責任がある、あの4人の処遇は悪魔陣営に一任 ﹁サーゼクスから聞いたぜ、レイネル達4人とも、グリゴリの追及を恐れて余り出歩かな た人だ。 は一見しておちゃらけている様で、その実、組織のトップであるべき、カリスマに満ち しひしと伝わって来た⋮れーちゃんが﹃役に立ちたい﹄と思う気持ちも分かる、この人 そう言いながら土下座をするアザゼルさん、その背からは、背負っている責任感がひ ざそれで十分だ⋮そして済まない、全て俺の管理の甘さが招いちまった事だ﹂ 物だったんだ、それをお前さんの手腕で内々の問題で片付けて貰った⋮礼を言う理由何 ﹁だがそれでもだ、レイネルの一件もコカビエルの一件も、国際問題に発展するような代 35話_俺、堕天使の総督と会いました 330 すると伝えてある。土産話にでもしてくれ﹂ ⋮アザゼルさん﹂ ! ⋮俺にとっては有用だったが、ちょっと軽率だったな。 かねない、故に契約を無効とするしか無く、1人の人員を無駄に拘束した事と相違無い ていた⋮確かに堕天使が悪魔と契約して対価を支払ったりしたらそれは﹃賄賂﹄になり 余談だが、あの後帰還した俺の話を聞き、部長は﹁営業妨害も良い所ね⋮﹂と立腹し 一緒にいる機会も少なくなっちゃったしな。 これを機に、れーちゃんとの思い出を積み上げて行こう⋮最近は色々と騒がしくて、 精々、学校からの帰り道を一緒に歩く位だ。 そういう都合もあって⋮正直に言うと、れーちゃんとは碌にデートしていなかった⋮ リゴリの追及を恐れて、必要時以外は外出していない。 そう⋮あの事件の後に部長の眷属となってから、れーちゃん達元堕天使の4人は、グ ﹁ 331 プールだ ﹂ 36話︳彼氏が、壊れました ﹁夏だ ! ﹂ ! ﹂ ! ﹁初めてのプール、楽しみです ﹂ ﹁いっちゃん⋮私の水着姿、喜んでくれるかな⋮﹂ ﹁望む所だ、主。ウンディーネとしての力、見せてやろう﹂ ﹁シグナー、水泳競争しようぜ ﹁そっすね、さあ久々に楽しむっすよ ﹁まあまあ、このメンバーなら直ぐにでも終わるよ﹂ ﹁いやまだ堪能するのは後だからな、フリード﹂ ! ! 堕天使総督であるアザゼルさんと出会ってから数日後の事、俺達オカルト研究部の ﹁この張りきり様なら、直ぐにでも終わりそうね﹂ ﹁あらあら、皆楽しそうですね﹂ ﹁準備運動は怠らない様にな﹂ ﹁⋮水遊び、今から楽しみです﹂ ﹁私もだ、教会ではこういった場とは縁が無かったからな﹂ 36話_彼氏が、壊れました 332 面々は、駒王学園のプールに来ていた。 まだプール開きをしていない時期で何故、此処に来ているのかと言うと、単に生徒会 から頼まれたからだ⋮プールの掃除を。 普通に考えると水泳部がするべき事ではないかとも思ったが、掃除後のプールの優先 使用権をちらつかされては食いつくしかない。 という訳で、各々の用意をして、こうしてプールに来た訳だ⋮ちなみに掃除は木場や 部長の言う通り、1時間も掛からなかった。 ││││││││││││ Side レイネル まあ伊達に鍛えていねぇって事だな﹂ ? ﹁⋮︵じー︶﹂ 題になっていた⋮けど、私が気になるのは別の部分だ。 此処駒王学園の、プールの女子更衣室では、佳奈やその使い魔である時雨の筋肉が話 ﹁そうだな。私も自分の身を守る為に鍛錬を重ねる必要があったからな﹂ ﹁お、そうか ﹁ほぇー、カッチカチですね﹂ ﹁本当そうっすね、佳奈姉さんも勿論っすが、時雨も負けず劣らずっすね﹂ ﹁あらあら佳奈さんに時雨さん、凄い筋肉ですわね﹂ 333 ﹁ど⋮どうしたの、レイネル ﹁⋮︵じー︶﹂ ﹂ どうかなさいました、レイネルさん ⋮で、私はどうだろう Side 一誠 ││││││││││││ ﹂ こんな私の水着姿でも、いっちゃんは喜んでくれるかな⋮ ⋮私って⋮本当に中途半端⋮orz ヒップライン⋮丁度真ん中。 腰回り⋮筋肉少女な佳奈と時雨を除くと一番幅広。 胸⋮あるけど部長や朱乃さんには及ばない。 ? いる︵例えば胸⋮Eカップはありそうだ︶⋮ 無く均整が取れていて、筋肉が話題になっていた佳奈や時雨も、女性的な魅力も残して ながらも引っ込むべき所は引っ込んでいる、最近仲間になったゼノヴィアも無駄な肉が 部長や朱乃さんは言うに及ばず、アーシアや小猫ちゃん、美月は未成熟さを感じさせ ? ? ⋮皆、プロポーションが良いなぁ。 ﹁あ、あら ? ﹁まずは屈伸だ。肉離れを起こして一番、生活に支障が出るのは太腿と脹脛だから入念 36話_彼氏が、壊れました 334 にな﹂ いち早く着替え終わった俺達男子組は早速、塔也の指示で準備運動を行っていた。 ﹁1、2、3、4⋮﹂ ⋮さっきれーちゃんがぼそっと言っていたけど、久々︵れーちゃん達元堕天使勢︶、ま たは初めて︵アーシアとゼノヴィア、つまり元教会勢︶のプールだという面子が多かっ ﹂ た事から、この前女子メンバーだけで新しい水着を購入したらしい⋮れーちゃんの水着 姿、どれ位綺麗かな⋮ ﹁お待たせっす∼﹂ ﹁⋮遅くなりました﹂ ⋮あの、イッセーさん、どうですか ! ﹂ ! ﹂ ? 次に入って来たのは佳奈と時雨⋮2人揃ってソードカットタイプのハイレグ水着で、 ﹁待たせた﹂ ﹁おーい待ったか、皆 ﹁ありがとうございます ﹁ああ、似合っているよ﹂ 何と言うか、良い意味でイメージと違わず、似合っていた。 最初に来たのは美月と小猫ちゃん、アーシアの3人⋮全員学園指定のスク水だった。 ﹁お待たせしました ? 335 佳奈は純白、時雨は水色を基調としていた。 筋肉美を適度に強調したそのチョイスは、これまた2人に似合っていた。 ﹁お待たせ、皆﹂ ﹁あらあら、皆さん早いですわね﹂ ﹂ ﹂ その次に入って来たのは部長と朱乃さん、そしてゼノヴィアの3人⋮だったが、 ﹁待たせたな﹂ ﹁どうかしら、一誠 ﹁あら、言わせる気かしら ﹂ ? とな﹂ !? いやいや部長もそうだがゼノヴィア、元から女性的な魅力に満ちているからな2人共 ﹁一誠、気持ちは分かるが落ち着け、オンドゥルっているぞ﹂ ﹁ナニヤテンディスカアナタガタ ﹂ ﹁私も他の面々と比べて女性的な魅力で劣っていると思って、せめて服装で補えないか ? ﹂ チョイス⋮此処まで言えば普通だろうが、 3人共ビキニで、部長は赤、朱乃さんは黒、ゼノヴィアは青と、其々の髪色に合った ﹁部長達の助けも借りて、初めて水着を着てみたんだが⋮どうだろうか、一誠 ? ? ﹁2人は何で⋮マイクロビキニ 36話_彼氏が、壊れました 336 そんな2人がこんな﹁子供は見ちゃいけません ﹂的な服装したら駄目だぁぁ 御免ね、ちょっと遅くなっちゃった﹂ と、俺がテンパっていると、 ﹁いっちゃーん ! ﹂ ﹂ フォォォォォ ! ﹁レイネル姉さん何で通じているんすか⋮﹂ ﹁Muy bien︵素晴らしい︶ ﹂ イッセー君、ゴソゴソロゾギデリントボ︵そろそろ人語に戻して︶ !? ﹁う、うん⋮それで、似合っている ! ﹁きゃっ﹂ ! ? ﹁今度はグロンギ語 ﹁ゴセビギデロ︵それにしても︶、グゴギリズギザベ︵凄い水着だね︶﹂ ショットだった。 紐こそ幅広だったが、黒のスリングショットだった⋮もう一度言おう、黒のスリング ﹁イッセー君、鼻血吹き出しながらオーバーロード語で応対すんなや﹂ ジェムビリェー︵れーちゃん︶﹂ ﹁エゴエゴ︵いやいや︶、ディンムディンムミョジュジエフォエゴ︵全然待っていないよ︶、 ! ! れーちゃんの、俺を呼ぶ声⋮そこに振り向く、と、そこには、 ! 337 ﹃人語に戻ったが今度はスペイン語 早く正気に戻れ相棒 ﹄ ! ﹂ ﹁︵ふにゅ︶ふあっ﹂ ﹁ 良かった⋮ ﹂ ! ││││││││││││ いっちゃん ﹂ ﹂ ﹂ 示だろだったら早速持ち帰っていただくとしますk にはえーとああもう細けぇ事は良いんだよこれはつまりあれだろ﹃食べて﹄って意思表 駄目だれーちゃんの水着姿むっちゃ可愛すぎる可愛すぎて法律違反クラスだ具体的 !? ﹁イッセーさん、無事で何よりです⋮ ! ﹁あ⋮あれ、俺⋮﹂ ﹁いっちゃん ﹁イッセー、大丈夫 !? !? ? められながら、仰向けになっていた⋮何このデジャヴ ﹂ ﹂ 何が起こったかは分からないが兎も角心配掛けた様だ、早く起き上が⋮ ﹁うおっと ﹁いっちゃん、大丈夫 !? !? !? ? 気が付いた時には、れーちゃんと部長、ゼノヴィアとアーシアの心配そうな目に見詰 ! ! ﹁無事か、イッセー 36話_彼氏が、壊れました 338 ﹁無理をするな、あれ程の血を失ったんだ、立ち眩みも起こる﹂ ! それだけ私の水着姿を喜んでくれたって事だし、それに⋮ ﹂ ? のあった俺の先導で上手く行った⋮と思う。 ルを楽しみ⋮帰った後もれーちゃんを美味しく頂いた⋮互いに初めてだったけど知識 周囲で3人が何か言っているみたいだったがまあ気にせず、その後れーちゃんとプー 上の難敵だな⋮﹂ ﹁これがイッセーとレイネルのラブラブ空間なのか⋮覚悟はしていたが、これは想像以 ﹁羨ましいです⋮﹂ ﹁⋮何か私達の入る隙間無いわね﹂ ﹁そ、それじゃあ⋮帰ったら、してくれる ﹁で、でもれーちゃん⋮こういう事はやっぱり同意の上で2人きりでする事であって⋮﹂ いっちゃんになら、襲われても良いかなって⋮﹂ ﹁いっちゃんは悪くないよ ﹂ 幾ら彼女だと言っても、急に襲い掛かった事、本当に御免 あ、そうだった⋮最後に現れたれーちゃんのスリングショット姿で⋮って ! ! ﹁御免れーちゃん ! 突進した挙げ句気絶したイッセーも案外ウブだったのね⋮﹂ ﹁⋮私達以上に際どい水着を選んだレイネルもレイネルだけど、鼻血を吹き出しながら ﹁⋮すいませんイッセーさん、私の神器でも血の補充までは出来ませんでした﹂ 339 36話_彼氏が、壊れました 340 今回ばかりは松田と元浜に感謝だな。 37話︳俺、凄い人︵ ︶達と出会いました ? ﹂ ﹁朱乃さんにオーダー、渋いお茶を淹れられるだけ淹れて ﹁部室から出ちゃダメかな⋮ ﹂ ﹁男手がいの1番に出たら駄目だろう﹂ ﹁⋮嫌らしいです、帰って良いですか ﹁主もどうし⋮私もだ⋮﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁美月、ベタなネタに走るんじゃ⋮アタシの口からも砂糖が ﹁何か口の中が粘々して⋮く、口から砂糖が出て来たっす ? ! ! ? ﹁この前桐生も言っていたが、流石イッセーだな⋮﹂ ﹁は、はわわ⋮﹂ ﹁⋮口がベタベタしてきたので、お茶でうがいして来ますわ﹂ ! んの⋮私には大き過ぎて⋮﹂ ﹁い、いや、その、いっちゃんは悪くないよ、優しくしてくれたし⋮ただその、いっちゃ ﹁その⋮御免、れーちゃん⋮初めてだったから、ちょっと加減が分からなくてさ﹂ ﹁うー⋮まだ変な感じがする⋮﹂ 341 ﹁羨ましいわ、レイネル⋮﹂ ﹂ ﹁あ、はは⋮方々から聞いていたけど、凄い熱愛振りだね⋮私も口から砂糖が出て来た よ﹂ ﹁お、お兄様 調を気遣っていると、突如俺達オカルト研究部員以外の声が⋮え、部長、今何て を取らないがっしりとした体格の美男子がいた⋮まさかこの方が ﹄ ルシファーだ。宜しくね﹂ ﹁マジで マジで今、﹃生﹄魔王様が目の前にいるの ﹂ こ、この方が、部長の兄にして魔王のルシファー様⋮ ﹃ま、魔王様 !? !? ﹁はは、良いさ、今回は公式な場じゃ無いんだ、そうして砕けた感じで接して貰えると助 ﹁フリード⋮生ビールみたいな感じで言うのは失礼だよ⋮﹂ !? ! ﹁初めましてな人もいるから自己紹介するよ、リアスの兄で、現魔王の1人、サーゼクス・ !? あんな感じだと言わんばかりの端正な顔立ち、黒のスーツが良く似合う、塔也にも引け その声に顔を向けると其処には、真紅の︵男にしては︶長髪、部長を男っぽくしたら ? あのプールでの暴走、そしてれーちゃんとの初夜の次の日の放課後、れーちゃんの体 !? ﹁やあ、リアス。それに眷属の皆﹂ 37話_俺、凄い人(?)達と出会いました 342 かるよ﹂ ﹂ ﹁あざーっす。しっかし服じゃなくて髪が赤と来ましたか﹂ ﹁幻想を抱いて溺死しろ⋮どうだい、似ている ﹂ ﹂ 我が妹が勉学に励む姿を間近 じゃあ次はカオスガンダムのパイロットで﹂ ﹂ じゃあ次は﹂ ﹂ ﹁うぉぉ、これもそっくりだ ﹂ で見ない訳には行かないじゃないか ﹁何を言っているんだ。授業参観が近いそうじゃないか ﹁それで、お兄様はどうして此処に 全くこいつは⋮ ﹁へぶぁ ﹁魔王様で遊ぶなぁぁぁぁぁ ﹁お前も馬鹿をやれよ、馬鹿をさ⋮これはどうだい ﹁おぉぉぉ、そっくりでさぁ ? 案外、人⋮いや、悪魔か、見かけや肩書きに寄らない物だな。 処かげんなりした様子の部長⋮もしかしなくても、魔王様って⋮シスコンなのか ⋮この﹃行かなくて何が兄だ﹄と言わんばかりの魔王様の態度、そしてその態度に何 ﹁⋮グレイフィアね、お兄様に授業参観の日程を教えたのは﹂ ! ? ? ! ? ! ! ! !? ﹁それもあるんだけど、本題は、3大勢力の会談が近々、此処で行う予定でね、その下見 !? 343 に来たんだよ﹂ ﹁⋮この街で起こったコカビエルの1件が関連している、という事ですか アザゼルさんがこの街に来ていたのも、その為なのかも知れない。 んだ異常事態だ、対策が遅れれば火種が発火しかねない⋮戦争の火種が。 ﹂ ⋮確かに、アザゼルさんも言っていたが、コカビエルの一件は3大勢力全てを巻き込 事になってね﹂ 管理している土地に不法侵入した⋮この際だから改めて和平を結ぼうじゃないかって ﹁流石はリアスだ。堕天使陣営の最高幹部が、天使陣営から聖剣を盗み取り、悪魔陣営が ? ⋮それにしても切り替えが早いな、流石は魔王様、公私はしっかりと分けているとい う訳か。 ││││││││││││ どうしたんだ急に ⋮まあ確かに、修行とはぐれ悪魔狩り、そしてバンド活動に ? れーちゃんと再会した時に人間として殺され、悪魔になって⋮教会を追放されたアー た。 悪魔になってから僅か2ヶ月近く⋮振り返ってみるとその間に、数々の出来事があっ 精を出していた人間時代とは大きく変わったと言えるな﹄ ﹃相棒 ? ﹁なあドライグ⋮思えば、俺が悪魔に転生してから、色々な事があったな﹂ 37話_俺、凄い人(?)達と出会いました 344 シアを確保して⋮佳奈と美月、塔也とフリードがいた教会に殴り込んで⋮部長の婚約を 巡って焼き鳥野郎とドンパチして⋮朱乃さんの過去を知ってれーちゃんが叱咤激励し て⋮エレンを使い魔にして⋮そして先日はコカビエルとドンパチした。 俺の周囲だけじゃない、俺自身も色々あった⋮ドライグ曰く、俺の能力の1つである タスクが完成の域に達し﹃全盛期の俺ですら抵抗できない力﹄と怯え混じりに説明され て⋮人間時代にはまともに扱う事すら出来なかった鉄球回転の技術が、その完成形であ るボール・ブレイカーを生み出すまでに磨かれて⋮れーちゃんとの関係も、昨夜とうと う初めてを共にした。 まだまだ色んな課題はある⋮部長やアーシア、ゼノヴィアとの関係⋮コカビエルとの 一件で出会った﹃白龍皇﹄の存在⋮3大勢力のこれから⋮そして﹃赤龍帝﹄としての、悪 魔としての、れーちゃんの彼氏としての、俺の在り方。 その課題も、今後増えて行くかも分からない⋮ドラゴンの力はあらゆる物を惹きつけ ﹄ ! る⋮厄介事が降りかかって来るのも、考えられる。 まさか⋮アイツが⋮この近くに⋮ ! ﹂ それでも俺は、悪魔としての、赤龍帝としての運命を受け入れ⋮前を突き進む そう、決意したその時⋮ ! ﹁な⋮何だこの⋮今まで感じた事が無い位に強大な力は⋮ ﹃こ⋮これは ! ! 345 ﹁知っているのか、ドライグ⋮この強大な力を持つ存在を ﹂ ﹃ああ⋮知っているどころの問題じゃない⋮この力は全盛期の俺でも勝てなかった存在 ! ﹄ ⋮今の相棒⋮あの俺ですら抵抗できない領域にまでタスクを進化させた相棒ですら敵 わない存在⋮ ﹁﹃ ﹄﹂ ﹁我、オーフィス﹂ ! は分かる⋮あの強大な力は、この子から発せられている事が⋮ そして、この子が名乗った名前⋮ ! 開いていて、バツ印のテープが両方の胸に張られているという異様な服装だ⋮が、俺に 黒のロングヘアー、可愛らしいが無表情な顔立ち、ゴスロリチックな服装だが胸元は その声に振り向くと⋮其処には小猫ちゃんや美月よりも幼そうな少女がいた。 突如、俺がいた河川敷で聞こえた、第三者の⋮恐らく少女の⋮声。 !? この力からして間違いは無い⋮ ﹄ そんな無限の龍神様が、何故俺の所に⋮ ! ﹁ドライグ、久しい。それと⋮初めまして。名は ﹂ ? ? ﹃ああ⋮﹃無限の体現者﹄だとか﹃無限の龍神﹄とか言われている、あのオーフィスだ⋮ ﹁ドライグ⋮オーフィスって、あのオーフィス⋮だよな。間違いなく﹂ 37話_俺、凄い人(?)達と出会いました 346 ﹁あ、ああ。初めまして。兵藤一誠だ。イッセーって呼んでくれ﹂ ﹁へ⋮ 一体何を言って⋮﹂ え⋮タスクACT4って其処まで凄いのか ﹃﹃無限﹄を持つ存在⋮まさか⋮タスクのACT4か !? ? での代物だったなんて⋮ と、びっくりしていると、 ﹂ ﹁⋮会いたかった︵ぽすっ︶、イッセー﹂ ﹁⋮へ ? 色々言いたい事はあるがまずはこれだけ⋮何このデジャブ ? ! 確かにドライグから、全盛期であっても抵抗出来ないとお墨付きは貰ったが、其処ま !? ﹄ ﹁イッセー⋮我と同じく﹃無限﹄を持つ、存在の名⋮﹂ ﹃久しぶりだな、オーフィス⋮それにしても、俺以外の存在に興味を示すとは、珍しいな﹄ 347 ﹂ ﹂ 38話︳俺、想いを受け入れました ﹁イッセー⋮﹂ ﹁いっちゃん⋮どゆこと ﹁イッセーさん⋮これは一体⋮ 好きな食べ物は ﹂ ? ﹁母さんは順応し過ぎだ らな。 少しは疑問を持ってくれ ﹂ 独断で俺の家に連れ込むのは色々問題ありだが、あの場に置いておく訳にも行かないか あの後、突如俺に抱き付いて来たオーフィスを家まで連れて来た⋮﹃無限の龍神﹄を ! ﹂ 少なくとも俺の知るオーフィスは他の存在への興味はほぼ無いと ﹁オーフィスちゃんで良いかしら ⋮我、分からない﹂ ? ﹁あら、そうなの⋮イッセー、ドラゴンってどんな物が好きなのかしら ﹁好きな食べ物 ? 言って良い筈。増してや相棒は会ってばかりだと言うのに⋮﹄ ! れ﹂ ﹁俺に言われても何が何だか⋮ドライグ、お前知り合いだろ。どういう事か説明してく ? ? ! ? ﹃俺だって分からん 38話_俺、想いを受け入れました 348 しかしドライグの話が本当なら、あの場で抱き付いたり俺の家に来る事を2つ返事で 了承したりする筈が無い⋮そもそも知らない人にホイホイ付いて行くのはどうなのだ ろうか、世界最強クラスのドラゴン故に襲われても返り討ちに出来そうだが、見た目が 異様な服装のロリなだけに杞憂だと突っ込まれそうな程心配になる。 ﹄ もしかして、あの場で言っていた﹃無限﹄⋮ドライグがそれに比類すると言っていた タスクACT4と、それを俺が発現させた事と関係が⋮ ││││││││││││ ﹃さて、相棒の何が、突如現れて抱き付く程の興味を持たせたのだ、オーフィス ? ア ポ カ リ ュ プ ス・ド ラ ゴ ン D ﹄だとか言われ ドラゴン・オブ・ドラゴン 或る日、同じく其処に住まう﹃真なる赤龍神帝﹄だとか﹃D る世界最強のドラゴン﹃グレートレッド﹄、そいつと激闘の末に敗北し、次元の狭間を追 × に住んでいた事。 もいなかった昔、 ﹃次元の狭間﹄と呼ばれる﹃世界﹄と﹃世界﹄の﹃何も存在しない隙間﹄ 遥か昔⋮俺達人間や、天使や堕天使、悪魔といった人外陣営、ドライグたちドラゴン 俺達の要望に快諾したオーフィスは、そのまま淡々とした口調で話し始めた⋮ ﹁了解﹂ は慎重に運びたいからな﹂ ﹁答えられるだけ答えてくれ。俺も悪魔陣営に身を寄せている身、保護するにしても事 ? 349 いやられてこの地球に辿り着いた事。 それから長い年月を経た現在、次元の狭間に戻り静寂を得たいという想いを持ち⋮つ カオス・ブリゲード まりホームシックにかかったって事か、その為の障害になるグレートレッドを排除する 為にテロ組織﹃禍 の 団﹄を設立、協力者を募った事。 ところが最近、自分と同じ﹃無限﹄の気配を感じ取った事で何とも言えぬ想いと興味 を抱き、それを理解すべく禍の団を独断で脱退した事。 そして⋮探し出した末に、﹃無限﹄を持つ存在を⋮俺を、見つけ出したと言う事。 ﹁おいおい、幾らホームシックになったからって⋮テロ組織作るとかマジかよ⋮﹂ な⋮ だがテロリストの誤算は、ホームシックをも吹き飛ばす様な想いをオーフィスが抱い ! せて傀儡としてのトップに据えたんだろう⋮テロリストというのは何時の時代も汚い 恐らくオーフィスのホームシックにつけ込み、その力を得ようとした連中が口車に乗 える。 禍の団という名のテロ組織を設立したのは、その悪い点が出てしまった典型例だと言 つ純粋な存在だと言える。 今までの話や、ドライグからの情報を踏まえると⋮良くも悪くも自分の欲望に忠実か ﹃そしてそれを独断で脱退してまで相棒を探し出すとは⋮余程執着している様だな﹄ 38話_俺、想いを受け入れました 350 た事⋮多分俺が、その想いを抱かせた事、抱かせる様な﹃無限﹄の力であるらしいタス クACT4を発現させた事だ。 そして、その想いに俺は何となく心当りがある⋮それは⋮ ﹁なあオーフィス、それについていくつか質問して良いか ﹁構わない﹂ かがおかしいとか﹂ ﹂ ﹂ ? ﹂ ? ⋮ビンゴだな、これは。 ﹁どうでも良い。今は、この想いの正体を知りたい。この想いを⋮満たしたい﹂ んでいr﹂ ﹁最後だ。禍の団を抜けだした今も、グレートレッドを倒す事、次元の狭間に帰る事を望 ﹁胸の異変が激しくなった、しかし⋮平静を得られた。﹃安らぐ﹄という事だと思う﹂ ﹁3つ目。俺に抱き付いた時、どんな感じだった ﹁否、むしろ若干ながら激しくなった⋮そういえば、顔も少し熱い﹂ ﹁2つ目。その胸のあたりの異変は、俺と出会った事で治まったか ﹁時折、胸の辺りがドクドクと言う様になったり、暖かくなったりした﹂ ? ? ﹁じゃあまずは1つ目。その想いを抱いてから、何か変化は無いか 例えば身体の何処 ﹁我、この想い知りたい。我と同じ﹃無限﹄を持つイッセーへの、この想いの正体を﹂ 351 俺も幼少期、れーちゃんに対して抱いたから分かる、これは、 ﹂ ﹁オーフィス、お前が抱いている想いの正体を教える、良く聞いてくれ⋮お前は俺に﹃恋﹄ をしている。お前は俺に恋心を抱いているんだ。恋は知っているか ﹁知っている、然しながら感じた事は無い⋮これが、これが恋⋮﹂ 翌朝、授業開始から1時間も前の駒王学園旧校舎、その一室である部長の私室⋮今更 ││││││││││││ る決心をした。 オーフィスの、俺への想いを認識し、俺にもたれかかる彼女を見つめながら、俺はあ ﹁⋮﹂ レッドもどうでも良いときっぱり言う位の激しい想いだとはな﹄ ﹃⋮何となく想像していたが、まさかあのオーフィスが⋮しかも次元の狭間もグレート ? オカ研は朝練やって⋮その子は ﹂ だが、俺と、俺の家に居候しているれーちゃんとアーシア以外は此処を︵人間界での︶住 居としている。 イッセーにレイネルにアーシア ? ﹁失礼﹂ ﹁あら ? ﹁我、オーフィス﹂ ? ﹁﹁﹁失礼します﹂﹂﹂ 38話_俺、想いを受け入れました 352 ﹁ お、オーフィスって⋮あの !? ﹂ !? ﹂ 何故こん 俺達6人に関する、大事な話があ ﹁そ⋮そう、分かったわ、お兄様には私から伝えて置くわ﹂ ﹁それと⋮ゼノヴィアを呼んで頂いても良いですか まさか⋮良いわ。ゼノヴィア﹂ りますので﹂ ﹁私達6人 な朝から ﹁どうした、部長⋮って、イッセー それにレイネルにアーシアに⋮後は誰だ ? そう、それは今でも変わらない、変わらないが⋮ ありません﹂ な存在だという事は、もう知っていると思います。その事は、その想いは今でも変わり ﹁皆は、俺がれーちゃんの事が好きだという事は、俺にとってれーちゃんは誰よりも大事 俺を含めて6人揃った⋮始めよう。 ﹁はい﹂ ﹁イッセーから大事な話があるそうよ⋮私達6人に関する。イッセー、後はお願いね﹂ ? ? ? ? い、今、来ました﹂ ついてきたのでどうしようかと思い⋮まずは部長、そして魔王様に連絡して対応をと思 ﹁はい、恐らく部長の思った通りの、あのオーフィスです。昨晩突然俺の元に現れ、くっ 353 ﹁ですが一方で、部長やアーシア、ゼノヴィアを、そして昨日知り合ったばかりのオー フィスを、俺はどう想っているのか、俺の事が好きだと言ってくれた皆を、俺はどう想っ ﹂ ているのか⋮正直分かりませんでした﹂ ? そして⋮神の不在を知ったゼノヴィアの悲しみに満ちた顔を見て﹁殺されても良い﹂ ながら﹁神の、教会の意志に反する﹂と言って諭した。 得物を失っても尚、調査を続行しようとするゼノヴィアとイリナを、悪魔の身であり びせた後、決闘で瞬殺して、持っていた聖剣を破壊した。 イリナを、タスクで威嚇発砲した挙げ句、ナチスドイツの所業等を挙げて罵詈雑言を浴 部長に対して見下した様な態度を取り、アーシアを﹃魔女﹄だと罵ったゼノヴィアと スクラッパー地獄を味あわせた。 焼き鳥野郎をタスクACT3によって出来た弾痕に引きずり込み、無限に破壊し続ける 幾ら不死で且つ生命への安全が保証されているレーティング・ゲームの場とは言え、 だが、本当にそうなのかと思う出来事が立て続けに起こった。 たと思っていた⋮筈だった。 する仲間として、としか想っておらず、3人から告白された時も、それに揺るぎは無かっ 勿論、大切な存在だとは想っている、が、それはあくまで主として、仕える主を共に ﹁イッセー⋮ 38話_俺、想いを受け入れました 354 と捉えられそうな言葉を言い、彼女の﹁胸を貸してくれ﹂という頼みを快諾した。 ⋮最近まではその事も﹁主を、仲間を大切に想っているなら当然だ﹂と、考えていた、 考えようとしていた。 今思えばそれは、認めたくなかったのかも知れない⋮3人の事もまた、女性として好 きになった事を、恋心を抱いた事を。 認める事、それすなわちれーちゃんへの、れーちゃんを想う気持ちへの裏切りだと 思っていたから。 そんな俺に、俺の想いに転機をもたらしたのは、多分昨日現れたオーフィスだろう。 自分と同じ﹃無限﹄を体現した俺へ、自分の様な存在である俺へ恋心を抱き、禍の団 を抜け出して探し出したオーフィス、恋心の﹁こ﹂の字も知らなかった彼女に、その想 いの意味を教えて行くうちに⋮俺もまた、3人への想いを、3人への本当の想いを確認 できた⋮いや、訂正、4人だ、オーフィスと語り明かす内に、彼女へもまた、だ。 焼き鳥野郎の事を﹁クズ野郎﹂と罵った分際だが、最低野郎の発想だと自覚している が⋮認めよう、れーちゃんの他にも、4人の女性を好きになった事を。 す⋮好きです、女性として、大好きです﹂ ア⋮そしてオーフィス⋮れーちゃんを彼女に持っている俺がとんでも無い事を言いま ﹁けれど今になって、ようやく分かりました⋮部長、いや、リアス⋮アーシア⋮ゼノヴィ 355 ﹁﹁﹁﹁﹁⋮ ﹂﹂﹂﹂﹂ こんな馬鹿げた最低な事、フリードのお膳立て︵ ﹂ ﹂ ! ﹂ ︶が無かったら死刑だな。 ﹁今更だけど⋮私も好きよ、イッセー⋮1人の男性として 本当に良かった⋮ ﹁あ⋮ありがとうございます、イッセーさん⋮ ﹁良かった⋮ ! なら良いよ ﹂ ! ﹂ ﹂ ⋮ありがとう、ありがとう⋮っ しょ ﹁いっちゃんは優しくて一生懸命だから、きっとそう言うと思ったよ。でも1番は私、で ﹁⋮ダブルピース﹂ ! ! ? ! ﹁イッセー君、よく決心したね ! ? ﹂ ! ﹁⋮今回は特別ですよ﹂ ﹂ ﹁よっ、モテモテっすねイッセー兄さん ﹁よっしゃ、祝砲だ ﹁主、手伝おう﹂ ? ! ﹁⋮無限の龍神が混じっている事には誰も突っ込まないのか ﹂ ﹁リアス、それにアーシアさんにゼノヴィアさん、おめでとうございますわ﹂ ! ! ! ﹁突撃隣の朝ごはーん 38話_俺、想いを受け入れました 356 ⋮お前ら、 ﹁何時から見ていた ﹂ ﹁殆ど最初からじゃねぇかお前 ﹂ ﹁﹃ゼノヴィアを呼んで頂いても良いですか﹄辺り ? 木場ちゃん、皆、景気よく行くぜヒャッハー ﹂ ﹂ ! ⋮まあ、今回ばかりはコイツのトラブルメーカー振りに﹁ある意味で﹂感謝だな。 ﹁誰か止めてくれコイツ⋮﹂ ! ﹁まあまあ細けぇこたぁ良いんですよ、今は新しいカップル誕生を全速前進で祝福DA ! ? 357 39話︳授業参観が、ドタバタ劇になりました 俺がリアスとアーシア、ゼノヴィアとオーフィスの想いを、4人への想いを受け入れ た後は少し大変だった⋮何しろあの場で突っ込んでいたのが塔也だけとは言え、あの ﹃無限の龍神﹄と呼ばれたオーフィスがいる、それだけでも世間的には大問題だし、増し てや既に脱退した身とは言えテロ組織の首領ともなると⋮想いを通じ合わせた身とし ては胸が痛むが、これも仕方ない事だ。 結局、リアスから連絡を受けたルシファー様の判断によって、オーフィスは一旦俺の 預かりとなり、今度の3大勢力の和平会談の際に改めてその処遇が協議される事となっ た。 で、もう1つ、3大勢力の和平会談となれば禍の団が介入して来る可能性が高い、日 や場所を改める事も検討されたが⋮色々な事情が絡んで平常通りとなり、悪魔側の警備 人員を増やすに留まった。 ﹂ ﹂ ⋮そんなこんなの対応があってから、数日経過した今日、授業参観の日。 ! ﹁れーちゃん達も見ているわよ、イッセー ! ﹁イッセー、しっかりな 39話_授業参観が、ドタバタ劇になりました 358 ﹁イッセー、ファイト、オー﹂ ﹂ !? ﹁﹁あべし ﹂ !? ﹂ レイネルちゃんやアーシアちゃんに飽き足らず、ロリっ娘にまで手を出 ﹂ ﹂﹂ ﹁五月蝿いボケ しただとぉ ! !? この紙粘土に込めて伝えるのです ﹂ ション。コミュニケーションの目的は﹃伝える﹄事。そう⋮自分の思いのありのままを も良い。自分が今思い描いたありのままを形作ってください。英語とはコミュニケー ﹁良いですか、今渡した紙粘土で好きな物を作ってみてください。動物や人、家まで何で そんな騒々しい状況の中で、英語の授業が始まった⋮筈だったのだが。 その件で松田と元浜が突っかかったり⋮まあリアスとゼノヴィアもいるが。 !? ! ﹁畜生ぉぉぉ ﹁イッセー⋮あの子は誰なんだ 俺の両親が、オーフィスをも連れて来たり、 ﹁其処まで想ってくれるのは嬉しいが、立場を考えてくれ⋮﹂ ﹁イッセーの受ける授業、見たい﹂ ﹁いやぁ、どうしても付いて行くときかなくてね。まあ大事な人の晴れ舞台だからなぁ﹂ ﹁父さんに母さん、何故に連れて来たんだ 359 ! 良い事言ったみたいな表情していますけど、それ明らかに脱線していますよね、美術 の授業でやる事ですよ ⋮まあ良いや、さて、何を⋮閃いた ﹂ ﹂ ﹂ まるでフィギュアだ ﹁イッセー⋮好き﹂ ﹁す⋮すげぇ 1つ2000円出す ﹁なら1つ5000円よ ﹂ ﹁売ってくれ ! ﹁だったら俺は1つ3000円だ ! ! ! ﹂ ﹂ そのモデルとなった人への想いが十分に伝わったよ ﹂ ! ! ﹂ ! ! そして出来たのは⋮ のは初めて見た 此処まで精巧な紙粘土細工の数々を、短時間で作り上げた wers﹄を鼻歌で奏でながら、紙粘土を加工して行く。 脳裏に鮮明なイメージが出来た俺は、俺達GRIDの持ち歌の1つ﹃WildFlo ! ! ﹁ど⋮どうも、ありがとうございます﹂ ﹁ ! イッセー⋮私は君に恋をして⋮本当に良かった ! いっちゃん⋮大好き ﹁ ! あ⋮ありがとうございます、イッセーさん⋮ ﹁ ! ! ! ! ﹁す⋮素晴らしいぞ兵藤君 39話_授業参観が、ドタバタ劇になりました 360 ﹁売り物じゃねぇよコラ ﹂ ﹂ ﹂ は大喜びしてくれた⋮想いの通りに作れて、良かったな。 聞いたか ││││││││││││ ﹁おい、イッセー なんでも、廊下で魔法少女の撮影会があるそうだぞ ﹁どうしたんだ松田、また覗き場所の情報か ﹁ちげーよ ﹂ ! !? 撮影会が終わっちまう ! ﹂ ンを行うという事態があったが、この場にはいないリアス以外の、モデルとなった4人 ア風の紙粘土細工だった⋮松田と元浜含めたクラスメートの数人が勝手にオークショ れーちゃん、リアス、アーシア、ゼノヴィア、オーフィス⋮俺が愛する5人のフィギュ ! こっちにも一枚 ﹂ ! 良い笑顔で ﹂ ﹂ ! ﹁うぉぉぉぉぉぉ ﹂ ﹁こっちにも向いて下さい ﹁可愛いよ、可愛い ﹁えへへ∼、皆ありがとう ! ! ! ! たモデルの撮影会が行われているらしい⋮何で神聖な学び舎の動線でそんな事を⋮ た俺に声を掛けて来た松田、何事かと聞いてみると、どうやら魔法少女のコスプレをし 授業が終わり、オーフィスを連れて来た両親に早めに帰る様説得し、校門で送り迎え ﹁早く行くぞ ! ! ? ! 361 ﹂ ﹁おっしゃぁぁぁ ﹁任せろ松田 行くぜ元浜 ﹂ ﹂ ! ルシファー様に次ぐと言って良い位の⋮まさか ﹂ 神聖なる学び舎で、しかも天下の往来で撮影会とは良い身分だな ほら、 ! ﹂ ⋮まあ良いや、貴女も、こんな所で撮影会をしてもらっては困ります よ。それにその格好、此処は学校ですよ、TPOを弁えて下さい ? ﹁えー、だってこれが私の正装だもん☆﹂ ! ﹁只ならぬ気配 ﹁ああ悪い、匙。あのモデルの子、どうも只ならぬ気配がしたから、気になってさ﹂ んだ﹂ ﹁兵藤、黙って見てないで注意してくれ。俺達生徒会も無尽蔵に人員がいる訳じゃ無い 影会をされては通行妨害、生徒会役員としては見過ごせない所だな。 俺が訝しんでいる所に、匙が割って入り、撮影会にストップを掛ける⋮こんな所で撮 解散しろ、解散 ! ? がいた⋮が、ふと気配を探ると、その少女からは膨大な魔力を感じる⋮そう、あの魔王 の中心にいるらしき如何にも﹃魔法少女﹄と言わんばかりのコスプレに身を包んだ少女 松田の案内に従って現場に向かうと、其処にはカメラを構えた大量の男子生徒と、そ ﹁お前ら、何してんの ? ! ! ! ﹁おらおらぁ 39話_授業参観が、ドタバタ劇になりました 362 ⋮そしてこの如何にも﹁軽っ る⋮恐らく、そうだろうな⋮ ﹂ ﹁何事ですか、匙﹂ ﹁会長 ﹂と言いたげなノリ⋮何かデジャヴみたいな物を感じ ! ﹂ ﹂ え、シトリー会長の⋮姉さん、だって ﹁お⋮お、お姉様 ﹁ソーナちゃん、見つけた が、それが即座に止まった⋮もしかして、シトリー会長の関係者 その様子を聞きつけたシトリー会長がこちらへ向かいつつ、何か小言を言い始めた ﹁全く貴方は、何事も速やかに解決しなさいとn﹂ ! ﹁魔王様 と⋮貴方は ﹂ ﹁あ、サーゼクスに叔父様 ? 間違い無い、後からやって来た魔王様と親しげに出来る存在となれば、同じ魔王様 ! 男性、もしかして⋮ でしかありえない⋮それと、同じくやって来た魔王様が少し年食った感じのダンディな ﹂ ﹁お久しぶりです、セラフォルー殿﹂ ﹁やあセラフォルー、君も来ていたんだね﹂ ? !? ! ! !? ? 363 ﹁やあイッセー君、紹介するよ。彼女はセラフォルー・レヴィアタン。ソーナの姉で、私 ﹂ と同じ4大魔王の一角さ。そして隣にいるのが私の父であるグレモリー卿だ﹂ ﹁初めまして、貴方が今代の赤龍帝君ね こんな発表をした。 様達は冥界へと帰って行き、その後部活の為にオカ研の部室に入った俺達に、リアスは その後、レヴィアタン様がシトリー会長を追い掛け回したりする等の騒動を経て魔王 ││││││││││││ 挙してやって来るとは、恐るべし、悪魔の、親族に対する溺愛振り⋮ まさか魔王様が2人に、リアスの父さん、つまりグレモリー家の当主が授業参観に大 ﹁ど、どうも⋮﹂ ﹁君があの時大暴れしたリアスの⋮会うのは初めてだね。娘がお世話になっているよ﹂ ! ずっと気になっていたが、いよいよ今日会えるのか⋮ 封印が解かれる事になったわ﹂ れらを魔王様達が認めてくれて、私の﹃僧侶﹄⋮アーシアの他にもう1人いる﹃僧侶﹄の た事、そしてコカビエルがこの街に侵入した事件で適切な対応を取って鎮圧した事⋮こ ﹁皆、良く聞いて。この前のレーティング・ゲームでライザーとその眷属に対して圧勝し 39話_授業参観が、ドタバタ劇になりました 364 40話︳俺達、吸血鬼と出会いました、ら⋮ 旧校舎のとある一室、 ﹃KEEP OUT ﹄と書かれた如何にもな黄色いテープが幾 ﹂ ? ﹁一応、私達の仲間だからな、ゼノヴィア﹂ ﹁ひゃはは、血が騒ぐぜ。俺の聖魔剣で出来た血がな ﹂ ﹁誰が襲い掛かろうと、デュランダルで成敗してくれる﹂ ﹁こ、怖いですイッセーさん⋮﹂ ﹁もしかして近寄るのも憚れるほどの危険人物だとか⋮ ﹁リアス、此処まで厳重な封印が施される眷属って、どんな奴なんです ﹁いえ、其処までいう程危険じゃないわ。この封印だって深夜には解けて旧校舎内なら スは、 俺の質問を起点に、色々な意見が飛び交う俺らその人物を知らないメンバーに、リア ﹁ちょっと足震えて来たっす⋮﹂ ﹂ 言うか、此処まであからさまな程の厳重さ⋮成る程、俺が気付かない筈だ。 重にも貼られ、恐らくは封印を施すであろう刻印まで刻まれた扉がまず出迎えた⋮何と ! ﹁気ぃ引き締めねぇとな、どれくらいの力量なのか⋮﹂ ! ? 365 探索して良いんだけど⋮所謂引き籠りで、一日中、此処に住んでいるのよ﹂ ﹁ヒッキーですかい﹂ ﹁契約取りとかどうすんだよ、そんな状態で﹂ ﹁それは心配ありませんわ、契約者の中には対面を避ける方もおられますので、その担当 をしているのですわ、結構評判が良いのですよ⋮それが眷属の中でも一番の稼ぎ頭と ヒッキーには必需品っすからね﹂ なっているが故、無理に出て来る様にとも言えず困っているのですわ﹂ ﹁ああ、パソコンっすか たか⋮その事にゼノヴィアや塔也が顔をしかめ、フリードや佳奈、美月が口々に批判を ス達の手に負えない程の危険性があるという事でもある、でもそれ以上にヒッキーと来 返答をした⋮深夜に解けるという事は、悪魔がそれ程力を発揮出来ない昼間ではリア ? ︶少女の物らしい叫び声 展開した⋮まあ外での仕事がメインだったが故、仕方ないな。 さて、何が出るか⋮ ﹂ ﹁さあ、扉を開けるわ﹂ な、何だ ﹁ひぃぃぃぃぃぃ っ !? !? リアスが扉に手を掛けた次の瞬間︵多分、少しは開いたか ? ! が強烈に響き渡った⋮余程外が嫌いか ? 40話_俺達、吸血鬼と出会いました、ら… 366 ﹁ごきげんよう、元気そうで何よりだわ﹂ ﹂ !? ﹁リアス、彼女は一体 ⋮は ﹁えっと部長 ﹂ ﹂ 冗談ですよね⋮ ﹂ ﹁か、彼女が、ですか ﹁嘘っすよね⋮ ﹂ ? ⋮mjdsk ﹁⋮つまり、男の娘って訳ですか、リアス ﹁おお、メタいメタい﹂ ﹂ ﹁ええ、そうよ⋮でも、文章にしないと判別が付かないわよ、イッセー﹂ ? ? ﹁この子はギャスパー・ヴラディ。私の僧侶で、趣味は女装よ﹂ ﹁部長、ジョークは笑える奴にしてくれや﹂ ? ? ? ? ﹁イッセー⋮まあ女の子に見えるのは仕方ないけど、﹃彼﹄は男の子よ﹂ ? かった。 リアスが声を掛けると即座にまた叫び声を上げる⋮その状態に、俺はそう呟くしかな ﹁⋮重症だな、これ﹂ ﹁な、何事ですかぁぁぁぁ 367 ﹁⋮一先ず、入るわよ﹂ 何時も通りのテンションなフリードを放って、リアスの指示に従ってギャスパーの部 屋に入る⋮と、其処は可愛らしい装飾が施され、可愛いぬいぐるみとかが並んだ、閉め 切られたカーテンによって日中なのにうす暗い以外は少女の部屋その物である。 そしてその部屋の主であるギャスパーもまた、アーシア以上に小柄で、さらさらな金 髪、真紅の眼、雪の様な白さの肌が特徴的な、完全に﹃女子﹄だった⋮リアスから男子 だと説明されても、まだ信じられないな。 だが、良く見ると人とは違った特徴も見受けられる⋮まずは所謂﹃エルフ耳﹄と呼ば ﹂ れる尖った耳、次に口から隠しきれていない犬歯⋮最早﹃牙﹄と言っても差支えない代 物だ、そして⋮ ? ⋮さて、と。 だがそれなら部屋が薄暗い理由も分かる、吸血鬼は日光が天敵だからな。 ﹁⋮いるとは聞いていましたが、まさか此処までイメージ通りなんて⋮﹂ ﹁想像の通りよ、イッセー⋮この子は吸血鬼と人間のハーフなの﹂ まさか⋮ そう、部屋の中央にでんと置かれた、棺桶があった⋮ご丁寧に黒っぽい色合いである、 ﹁棺桶⋮何でこんな物が 40話_俺達、吸血鬼と出会いました、ら… 368 な、何だ ﹂ ﹁初めましてだな、ギャスパー。俺の名は兵藤一誠、イッセーって呼んでk﹂ っ ﹁ひ、ひぃぃぃぃやぁぁぁぁ !? !? ﹂ てそれは広がって⋮ってこっちに向かって来る が⋮な、なんだこれ ? ? ゼノヴィア 皆 ? おーい ? ﹂ ? ﹁ぎゃ、ギャスパー ﹂ お前は、何とも無いのか ﹂ ? !? ? れない物を見ている様な⋮おい、失礼だろ。 いや、待てよ⋮今コイツ﹁何で動ける﹂と言わなかったか そしてあのモノクロの広 や、訂正だ、何故か俺を見て驚いた様な表情を見せている⋮その表情は何処か、信じら ギャスパーの慌てた様な声に振り向くと、どうやらコイツだけは何とも無い様だ⋮い ? ﹁な、ななな⋮何で動けるんですかぁ 声を掛けても何の反応も無い⋮ど、どういう事だよ、これ⋮ アーシア リアス ? 危険を感じ、背後の皆にそれを伝えようとすると⋮其処にはぴたりと動かない皆の姿 ﹁皆、危な⋮って、あれ ? !? を無くし⋮いや、物体だけじゃない、何故か周囲の﹃空間﹄すらも色を無くして、そし 俺がゆっくりと歩み寄りながら自己紹介をすると突然、ギャスパーの周囲の物体が色 !? ﹁れーちゃん ? 369 がり⋮あれはギャスパーを起点とした物⋮もしかしてコイツの能力による現象か、全て ﹁ひぃぃぃぃ ぶ、ぶたないでぇぇぇ ﹂ ! ﹂ ﹂ ﹂ す、すごーい 何時の間に其処に ﹂ ! 落ち着かせないと。 ﹁そ、それラマーズ呼吸法ですぅぅぅぅ ヒッヒッフー ヒッヒッフー﹂ ! ! ﹁良いからやれ ﹁は、はいぃぃぃぃぃぃ ⋮俺が落ち着け。 と、思ったら、 ﹁あれ、イッセー ﹂ ! ? すごいです、イッセーさん ! ﹁いっちゃん、もしかして瞬間移動 ﹁テレポートですか !? !? ? とはいえ、ギャスパーも何とか落ち着いてくれた様だな。 ! ! ヒッヒッフー﹂ これは相当だな、余程トラウマになる様な出来事が過去にあったのか⋮とりあえず、 ⋮な、何でそうなる。 !? ﹁ギャスパー、こりゃあ一体どういう事d﹂ ? ﹁いや、殴らないからな、一先ず落ち着こうか、はい深呼吸 40話_俺達、吸血鬼と出会いました、ら… 370 ﹁流石イッセー君 おr﹂ な口振りをする皆⋮まさか ﹂ フォービドゥン・バロール・ビュー ﹁リアス⋮もしかしてギャスパーって⋮時を止める力でもあるんですか ? ﹂ ていた間の記憶が無いと言わんばかりに、まるで俺がギャスパーの方に瞬間移動した様 ギャスパーの﹃能力﹄が解除されたのか、普通に動き出し始めた皆⋮だが、あの止まっ ﹁いい加減そのネタはしつこいっての ! ! ﹂ ﹁でもそれにしても⋮何で俺だけ動けたんですか いたのは俺の筈ですけど あの場でギャスパーから一番近くに いが⋮恐らくコイツが、トラウマ級の過去の原因かも知れないな。 見た物全ての時を止める神器か、確かに危険極まりないし、封印を施されても仕方な ﹁⋮成る程﹂ よりも明らかに上位の実力者は停止させる事が出来ないの﹂ ﹁イッセーの実力がそれだけ群を抜いている、という事よ。ギャスパーの神器は、使い手 ? ? ﹁イッセー、メタいわよ﹂ ﹁⋮メリー・ナイトメアならぬギャスパー・クロナトグって訳ですか﹂ 止める神器よ﹂ ﹁⋮流石ねイッセー、その通りよ。﹃停 止 世 界 の 邪 眼﹄。視界に捉えたあらゆる物の時を ? 371 ど、何処へ向かっているんですかぁぁぁ 41話︳俺、吸血鬼を預かりました ﹁あ、あのイッセーさん ﹂ !? ﹂ ⋮人目の問題があるから詰め込んじまったが﹂ 出したのかというと⋮ というかそもそも何で俺がギャスパーを、そんな手段を講じてまであの部屋から連れ だ、自分でやっておいてあれだが、何処かの高能力芸人みたいだな。 答えるという異様な光景だ⋮ちなみにバックパックの中身は言わずもがなギャスパー バックパックを背負いながら何処からともなく聞こえて来る少女︵ギャスパー︶の声に 王学園の制服に身を包んだ男子高校生︵俺︶が登山用︵しかも縦走向けの大型の奴だ︶の 文章だけで見ると俺とギャスパーが話し合っているだけなのだが、傍から見ると、駒 ﹁だ、大丈夫ですぅぅぅ れより狭くないか ﹁俺の家。取って食おうって訳じゃ無いから安心しな⋮まあ直ぐには無理だろうが。そ ? ! ? ﹂ ? ﹁はい。俺が歩み寄ろうとした瞬間に見せたあのオーバー過ぎる怯え⋮神器の件もそう ﹁⋮ギャスパーの事かしら、イッセー ﹁リアス、ちょっと聞きたい事があるんですが﹂ 41話_俺、吸血鬼を預かりました 372 ですが、あれは尋常じゃありません。過去に何かあったんですか の壮絶な物が﹂ ﹁⋮ええ、そうよ﹂ それから俺はリアスから、ギャスパーの過去を聞いた。 それも⋮トラウマ級 しかしながら神器を自分でコントロール出来ず、当時のリアスもまたギャスパーの力 ターによって殺害され、そこを偶然通りかかったリアスによって悪魔に転生した事。 とある吸血鬼の手助けによって故郷を脱出するも行く当てもなく、ヴァンパイアハン 居場所が無かった事。 上述の理由から、幼い頃より侮蔑、虐待、迫害といった理不尽な扱いをされ、自らの 自らの神器が原因で、人間社会からも化け物扱いされていた事。 故、純血を尊ぶ吸血鬼社会において親兄弟からすらも差別されていた事。 吸血鬼の父と、その愛人だった人間の母との間に生まれたハーフ吸血鬼という出自 ? ﹂ を制御出来なかった為に、周囲の時間を止め続けた為に、封印された事。 お願いします ! それを聞いた俺はいてもたってもいられず、 ﹂ ﹁リアス⋮ギャスパーを俺に預からせて下さい ﹁え⋮ど、どうしたの、イッセー ? リアスの眷属として、1人の男として恥じない、いや ﹁ギャスパーは俺が面倒を見ます ! ! 373 立派な存在に育てます だから、だから俺に任せて下さい ││││││││││││ ? ﹂ ! 問だからな。 い、まああったとしたらギャスパーの故郷ルーマニアからどうやって日本に来たのか疑 伝承の中に﹁流水を嫌う﹂という物があるが、リアスに確認してみたらそれは無いらし そうこうしている内にギャスパーの背中を洗い終え、俺達は湯船に浸かる⋮吸血鬼の たと言ってもどう見ても女子としか言えない華奢さだよな、これは。 で、今俺はギャスパーの背中を洗っている⋮しかし細い背に撫で肩、ナニが付いてい 男子だったから大丈夫だ。 ている⋮見た目的に女子と変わらないので問題ありそうだが、リアスの言っていた通り 安直な手だが、まずは裸の付き合いという事で今俺とギャスパーは一緒に風呂に入っ ﹁は、はい大丈夫ですぅぅぅぅ⋮﹂ ﹁ギャスパー、痒い所は無いか ﹂ そうリアスに頼み、リアスもそれを了解してくれた。 ﹁わ⋮分かったわイッセー、お願いね﹂ ! ﹁ああ、これか﹂ ﹁イッセーさん⋮そ、その、凄い傷ですね⋮﹂ 41話_俺、吸血鬼を預かりました 374 そんな中ギャスパーが、俺の全身に刻まれた無数の傷を見て聞いて来た⋮その時の顔 色が恐怖で青ざめていたり、若干口調が震えていたりしたのは、恐らくトラウマを思い 起こさせるからだろうな⋮安直な手に頼り過ぎたか、これは。 けれど引きこもりを克服するには避けては通れない道、タイミングは早いが、問題な い。 だ﹂ ﹁わっ つ、爪が回転していますぅぅぅ ﹂ ! ︶爪弾を使って ! 特にタスクを発現させたばかりの頃にはやらかしていたな。 しまいかねない危険性も秘めている。その結果がこの所々にある切り傷の跡だ﹂ 由自在に出来はするが、それは逆に俺の意志1つ1つを敏感にくみ取り過ぎて暴発して ﹁ただ、昔から完璧に使いこなしていた訳じゃあ無いんだ。今言った事を、俺の意志で自 ﹁す、凄いですぅぅぅ⋮﹂ あ俺にとって最高の武器だ﹂ その斬撃を5m先まで伸ばせ、更には100m先まで銃撃をも可能にするんだ。今じゃ ﹁ああ。この回転が俺の能力の肝でな、爪の回転エネルギーによって金属をも切り裂き、 !? た俺が身体能力で悪魔に敵う訳が無いから、この︵チュミミィィィン ﹁俺、悪魔に転生する前から1人で、はぐれ悪魔の討伐をしていたんだ。無論、人間だっ 375 斬撃を伸ばすタイミングが早すぎて二の腕を斬ったり、振り下ろした後のフォロース ルーの際に、伸ばしていた斬撃を引っ込めるのを忘れて足を斬ったり、構えた際に回転 している爪をうっかり鎖骨に付けて裂傷を負ったり⋮ ﹁今 で は 完 璧 に 扱 い こ な せ た か ら か、そ う い っ た 暴 発 は 抑 え ら れ て い る。だ が 悪 魔 に なって身体能力が増し、爪弾の暴発の危険性が出て来る密着戦も出来る様にと考えて格 闘 術 も 学 び 始 め た ん だ が ⋮ や っ ぱ り 素 人 同 然 じ ゃ あ ま と も に 立 ち 合 う の も 一 苦 労 だ。 そうして出来たのがこの青痣って訳だ﹂ まだまだ始めて2ヶ月も経過していないが、それでも無駄に多い青痣に恥じない位に は実力は付いた⋮と思う。 指導してくれる佳奈も﹁飲みこみが良い﹂と言ってくれるし、戦車である小猫ちゃん とも善戦出来る様にはなったしな。 ﹂ ? ﹂ これは⋮俺が悪魔になる切っ掛けを作った、罪の証さ﹂ ﹁罪⋮ですか ? れーちゃんの光の槍の、人間としての俺を処刑した凶刃の跡だ。 い を 受 け 続 け て 来 た 彼 女 を ほ っ た ら か し に し 続 け た、俺 の 罪 ⋮ そ の 罰 と し て 受 け た、 そう、俺の罪⋮れーちゃんを堕天させ、10年もの間堕天使社会において理不尽な扱 ? ﹁これか ﹁後、イッセーさん⋮その、胸の大きい傷は 41話_俺、吸血鬼を預かりました 376 ﹁なあ、何でお前を此処に連れて来たか、分かるか わ、分かりません⋮﹂ ? ﹂ ? ﹂ ? ﹂ ? ﹂ ? ﹂ ! ﹁イッセーさんは今代の赤龍帝だと聞きましたし⋮それ以外にも凄い力があると⋮今こ ﹁何だ ﹁イッセーさん⋮1つ聞いて良いですか それが俺に、ギャスパーの力に抗える俺に出来る事。 りはしない。お前が力を暴走させたとしても、俺が救い出してやる ﹁ああ、大切な、大切な仲間だ。お前を絶対に1人にはさせない。お前を絶対に見捨てた ﹁仲間⋮ですか⋮ られなかったんだ⋮同じ、リアスの眷属として、大切な仲間として﹂ な⋮そんなお前が放って置けなかったんだ。俺が何とかしたいって、いてもたってもい ﹁お前には悪いが、リアスから聞いたぜ、お前の過去を。ずっと辛く、苦しかったんだよ なって見えて、放って置けなかったからだ。 れたれーちゃん、そして身に宿した神器によって天国と地獄を味わったアーシアが重 が理由⋮壮絶な過去を持ったギャスパーと、俺との恋愛が原因で堕天した経緯で迫害さ そう、あの時後先考えずにギャスパーを預からせてほしいとリアスに頼んだのはそれ ﹁ダブって見えたんだ。俺の彼女であるれーちゃんとアーシア⋮2人と、お前が﹂ ﹁は、はい 377 の目で見ました。その⋮怖くなかったんですか だが、 そんな力を持った⋮自分が﹂ いが為に人間時代、赤龍帝の籠手は使用しなかった事がその現れだ。 いや、本質的には恐れていたのかも知れない⋮今代の赤龍帝だという事を知られたくな 一杯で、転生した後も色々な事があって考える暇が無かった俺には、答えようが無い⋮ 悪魔に転生するまで、ずっと強くなりたい、れーちゃんの隣に立ちたいという想いが を考えた事は無かったから、正確には分からないと言った方が良いな﹂ ﹁怖くない、と言えば嘘だな。今まで俺は、俺の力の使い方は学んできても、その在り様 だが、 ギャスパーならそう思うか。 怖い、か⋮周囲の時間を止められる神器を持ちながら、それを制御出来ない現状の ? ﹁怖さをどうするか⋮ですか れば良い﹂ ﹂ ⋮単純だが、失わせない程の、奪い去ろうとする存在を返り討ちに出来る程の力を有す ﹁ああ。例えば俺にとって怖い事⋮それは大事な人を失う事だ。それに対しての答えは ? それが大事だと俺は思う﹂ ﹁けどこれだけは言える。怖がるだけじゃあ何も始まらない。その怖さをどうするか⋮ 41話_俺、吸血鬼を預かりました 378 赤龍帝の﹃色々な物を惹きつける﹄性質がそういった輩をも連れて来るなら、そいつ らも倒して見せる。 俺の大切な恋人⋮例えば﹃無限の龍神﹄ことオーフィスを狙う輩がいれば、そいつも 倒す。 ﹂ 以前ドライグから聞いた﹃歴代の赤龍帝の怨念﹄⋮それが目覚めるのならば、それを も克服して見せる。 イッセーさんみたいに、強くなれますか ! ﹂ ? それが出来る位に⋮余裕でして見せる位に、強くなる⋮ ﹁僕にも⋮僕にも、出来ますか ﹁出来るさ⋮いや、俺とお前で、して見せるさ。そうだろう ﹂ やって見せるさ⋮俺が、俺達が ﹁は⋮はい ! ! ? ? 379 42話︳俺、ライバルと再会しました ﹂ ﹁神器の連続使用は身体に負荷が掛かる。だからまずは体力を付けないとな。という事 で、コレだ﹂ ﹁ふ、古タイヤですかぁぁぁ 安直な発想だが、それなりにある重さに加え、ゴムならではの摩擦力の高さからその ニューだ。 そこで用意したのは、車用で使われていた古タイヤ⋮そう、タイヤ引きが今日のメ 通り、まずは体力作りから始める事にした。 風呂から上がり夕飯も済ませ、早速訓練に取り掛かろうとしていた俺達は、今言った !? 場に留まる力が意外と大きく、それを引きずりながら走るのは下半身にかなりの負荷が 掛かる、故に効果的なのだ。 だが、 ﹁え の、乗るんですかぁぁぁ ﹂ !? ずっと引き籠っていた奴にいきなりこれでは厳しい物がある、よって今日はタイヤに !? ﹁いや、お前はタイヤに乗ってくれ。俺が引く﹂ 42話_俺、ライバルと再会しました 380 乗って貰う。 ︶う、うわぁぁぁ ﹂ それだとギャスパーじゃなくて俺のトレーニングになるじゃないか、と言われそうだ ⋮実際にその考えもあるから否定はしない。 ﹂ ﹂ ? だが、 ﹂ ﹁ああ、乗ってくれ⋮準備は良いか ﹁は、はい ︵ギャギャギャギャ ! ﹁行くぜ⋮しっかり掴まっていろよ ﹁へ !? ! ⋮これ位なら大丈夫そうか、なら、 身の筋肉が鍛えられるという訳だ。 故に怪我しない為には全身の筋肉を使って踏んばらなければならず、これによって全 乗っているギャスパーも、思わぬ挙動に振り落される可能性がある。 それ故、引っ張っている俺には通常よりも思わぬ力が掛かりやすいが、そのタイヤに る。 えゴム製のタイヤであろうとグリップが安定せず、左右に滑ったり、揺さぶられたりす 車で走ると分かると思うが、不揃いの石ころが所狭しと散りばめられた砂利道は、例 それが河川敷の砂利道であれば、話は変わって来る。 ? ! 381 ﹂ か、傾いていますぅぅぅ ﹁次は堤防の法面だ ﹁うわぁぁぁ ﹂ ! ! ﹂ んばる事でリターンも高まる、という事だ。 ! ! 俺も頑張って引っ張るからな ! ││││││││││││ ﹁ふぅ、今日はこれ位にするか⋮大丈夫か、ギャスパー ? ふぅ、やっぱ短期間でそうそう体力は向上しないか⋮タイヤ引きを始めてから1時間 ﹁はぁ、はぁ⋮はい、な、何とか大丈夫ですぅ⋮﹂ ﹂ そして俺はギャスパーを乗せたタイヤを、引っ張り続けた。 ﹁頑張れギャスパー ﹂ さっきの砂利道以上に振り落される可能性が高まり、故に身体を水平に保つように踏 ばならないギャスパーも一緒だ。 だがその分のリターンは期待出来⋮そしてそれは傾いた状態のまま踏んばらなけれ うに一定以上のスピードを付けなければならない分、かなりの負荷となる。 尤もそれは普通のランニングの話で、タイヤ引きとなると、タイヤが下に落ちないよ ニングするのも不可能じゃあ無い。 此処の堤防は、比較的法面︵堤防の所謂側面部分だ︶の斜度が浅いので、斜面をラン !? ﹁ふ、振り落されるぅぅぅ 42話_俺、ライバルと再会しました 382 もしない内に大分バテて来た⋮まあ、ギャスパーは俺以上にへとへとの様子だが。 どの道今日のメニューはこれで終了した方が良いな、無理に続けるとオーバーワーク で却って体力的にダメージを負いかねない。 そう考え、古タイヤとロープを回収していると、 ﹂ ? か その声⋮お前、まさかあの時の !? ? ? 違い無い、あの時の﹃白龍皇﹄だな。 まさか此処で二天龍の因縁でも付ける気か⋮ ﹂ ﹁ギャスパー⋮隠れていろ﹂ ﹁話 ﹂ ⋮まあ良いや。で、何だ ﹁隣座っても良いかい ﹂ ? 返事を待たずに、俺の右側に座る白龍皇⋮罠かと勘繰ったが、コイツからは何かしら ? ? ﹁警戒しなくても良い、今日は話がしたいだけさ﹂ 警戒しつつ、ギャスパーを避難させる⋮が、 ﹁は、はい ! そう思い、 堤防の上から1人の男が歩いて来た⋮神器の鎧の姿しか見ていないが、声からして間 ﹁ ﹂ ﹁やあ、久しぶりというべきかな、俺のライバル⋮いや、俺の越えるべき目標と言うべき 383 の謀略めいた様子は感じられない、乗ってやるか。 ﹁そういえばあの時名乗っていなかったな。俺は一誠。アンタは ﹂ きの立っている姿を見るに俺より低めで細見の体躯は、夏に差し掛かろうとしているの ヴァーリと名乗ったその男、銀色の短髪、青い眼をした美少年と言える顔立ちで、さっ ﹁ヴァーリだ﹂ ? に黒のジャケットを、シャツの上から着用していた⋮暑くないのか ? ﹁さっきまでトレーニングしていたみたいだが⋮まさかこんな場所で、法面まで利用し てのタイヤ引きとはね﹂ ﹁ 知っていたのか ﹂ ? ﹂ ? 所属していたとはな⋮ん、待てよ ? 唐突に俺の身の上を喋られて身構えるも、その訳を知り落ち着く⋮まさかグリゴリに の部下としてグリゴリに所属している。君の情報も、アザゼルから聞いたのさ﹂ ﹁ああ⋮相手の情報を一方的に知っているのはフェアじゃないね。俺はアザゼルの直属 ! ﹁そういえば君はリアス・グレモリーの眷属だったね⋮主を共にした仲間という事か﹂ ﹁ああ、俺の仲間なんだ﹂ ﹁アイツ⋮其処で避難している吸血鬼かい ﹁俺自身もそうだが、アイツのトレーニングがメインだ﹂ 42話_俺、ライバルと再会しました 384 グリゴリはアザゼルさんをトップとした堕天使の組織⋮だとしたらコイツは堕天使 という事になる。 だがコイツからは堕天使の気配⋮アザゼルさんやれーちゃん、朱乃さんや佳奈、美月 や塔也の様な気配を感じない。 むしろリアスやシトリー会長の様な気配を⋮純血悪魔ならではの気配を、薄らながら 感じる事が出来る⋮まさか ? ﹂ ? ﹂ ? ﹂ ? だ﹂ ﹁ああ、筋金入りの研究者気質且つ神器への探求心が深くてね、自分で神器を作り出す程 ﹁お、オタク ﹁恐らくそうだろうね⋮尤も、神器オタクだからというのもあるだろうけど﹂ なのか ﹁そうか⋮アザゼルさんってそういったしがらみを気にしない人⋮じゃねぇな、堕天使 あってね、それで悪魔の地を出て行って、アザゼルに迎え入れられたのさ﹂ ﹁詳 し く は 話 し た く な い が、俺 は 純 血 悪 魔 と 人 間 の ハ ー フ な ん だ。そ の 事 で 昔 色 々 と 筈だろう 営は、今は停戦中で且つ今度和平会談が行われるとは言え、敵対関係なのは変わらない ﹁ちょっと待ってくれ。お前からは純血悪魔の気配が感じられる。悪魔と堕天使の両陣 385 そ、そうだったのか⋮人も堕天使も、見かけに寄らない物なんだな⋮あの気さくなオ ジサンが極度の神器オタクだったとはな。 その探求心がデュエマに向かった結果があの驚異的陣形だとしたら⋮恐ろしいな。 ﹁さて⋮ちょっと話が過ぎたかな。あの吸血鬼も待っているだろう。此処でお暇させて 貰うよ﹂ ﹁そうか、じゃあな。アザゼルさんに宜しく伝えてくれ。また機会があったらデュエマ しましょう、とさ﹂ ⋮ああ﹂ ! ⋮ ? 去り際に俺に戦意を向けて来たヴァーリ⋮やっぱ、二天龍の因縁は避けられないのか ﹁ ﹁分かった⋮今は機会じゃないが、何時かは俺とも決着を付けよう﹂ 42話_俺、ライバルと再会しました 386 43話︳俺、天使のトップと対談しました ﹁今日はコイツでトレーニングするぞ﹂ ﹂ 尤も、何時もの鉄球とは少し違うが。 何の力も加えていないのに ﹂ !? ﹁今からこの鉄球を回転させる。︵ギャルルルル ﹁な、何で回転しているんですかぁぁぁ ︶まずお前はこれを止めて見せろ﹂ レーニングの指導をしていた⋮今日のトレーニングは、俺愛用の鉄球を使う。 現代の白龍皇であるヴァーリとの邂逅があった翌日、俺は引き続きギャスパーのト ﹁て、鉄球ですか ? ﹁は、はい ︵ぴたっ ︶﹂ ! とは言っても今まで暴走させていた事を考えれば、今言った様に及第点はあげて良い た右手に違和感を覚えた⋮恐らく、範囲内に入ってしまった影響だろう。 ギャスパーが神器を発動させると、鉄球は動きを止めたが、その際に鉄球を持ってい ﹁⋮まあ及第点といった所か。直ぐに範囲を細かく指定するのは無理があるからな﹂ ! を止める様にな﹂ ﹁俺の能力の1つだ⋮詳しい話は後だ、まずは神器で回転を止めろ⋮なるべく、鉄球だけ !? ! 387 ﹂ ﹂ な⋮俺との出会いで精神的に落ち着きを得られたのなら良いな。 で、これで終わりでは無い。 ﹁次だ。鉄球に数字の羅列が書かれているのが見えるか ﹁は、はい。えっと、1.618033って、コレ何ですか ﹂ ﹂ ︶わわ ﹂ ︶1.6180339︵ギャルルルル 1.61803398︵ギャルルルル ︵ぴたっ ︶あっ の羅列を読む⋮つまりごく狭い範囲を見続けながら作業する事で神器のコントロール このトレーニングの目的は、ごく限られた範囲の神器発動と、その範囲中にある数字 れ。再び回転を始めたらやり直しだ﹂ み続けてくれ。但し、俺は鉄球に回転を与え続ける。だから神器を発動させ続けてく ﹁俺の能力を最大限発揮する為のキーワードだ⋮って今それはどうでも良い。それを読 ? ? ︶えぇ ! 能力と集中力を養う、という事だ。 ﹂ ! ︶1.6180︵ギャルルルル ! ﹁はいもう一回だ ﹂ ﹁は、はい ︵ぴたっ ! ! !? ﹁次 ﹁はい ! ! ! ! ! ﹁は、はい⋮すー⋮はー⋮﹂ ﹁どうしたギャスパー、集中出来ていないな。一先ず深呼吸して落ち着け﹂ ! ! ﹁わ、分かりました 43話_俺、天使のトップと対談しました 388 ﹂ ︶1.6180339887 大丈夫なら、お前のタイミングで始めるぞ﹂ ︶っ ︵ぴたっ ! ︶うぅ⋮あともう少しなのに﹂ ! ! ﹁落ち着いたか ﹂ ﹁嘆いている暇があったら深呼吸だ ! 朱乃さん ﹂ ﹁︵ピリリリリ ﹄ ︶あ、電話だ。少し待っていてくれ、ギャスパー。︵ピッ ︶もしもし こうして、今日もギャスパーのトレーニングに明け暮れる⋮筈だったが。 ﹁は、はい ! 49︵ギャルルルル ﹁はい、お願いします ︵ギャルルルル ! ? ! ﹃イッセー君、ギャスパー君のトレーニングの方はどうですか ? ! ? ! ﹂ 2人共スマホの扱いに慣れないらし い、教会の暮らしってどれだけ古式ゆかしいんだか。 ? イッセー君にどうしても会いたいと言う方がいらっ ﹁それで、急に俺ん所に掛けてくるとは、何か御用ですか ? しゃるんですよ⋮3大勢力において重要な方なのです﹄ ﹃今、お時間取れますでしょうか ? んが掛けて来るんだが⋮ゼノヴィアとアーシア ⋮それにしても、朱乃さんが掛けてくるとは珍しいな、何時もならリアスやれーちゃ ントロールも、今まで暴走させていた事を思えば及第点を上げても良い位です﹂ ﹁良い感じですよ。悪魔であるからか、体力は思っていたよりもありましたし、神器のコ ? 389 ﹁3大勢力の ⋮まさかアザゼルさんですか ﹂ ? ﹂ ? 住んで良いのだろうか ? が⋮悪魔に転生しながら、血縁が所属していたとはいえ敵対勢力の土地と言える神社に 確か朱乃さんの母である朱璃さんが神道を信仰する家系だと、以前リアスから聞いた ﹁じ、神社⋮﹂ ﹃今座標を送りますけど、私が住んでいる神社ですわ﹄ ﹁分かりました。それで、場所は ﹃いえ、違いますわ。詳しくは現地で説明致しますわ﹄ ? ﹂ ! ﹂ ? 策をしたのか ? 離れていない場所にあった⋮悪魔陣営の管理下の地に立てるにあたって何かしらの対 朱乃さんから送られた座標データを頼りに向かうと、その神社は駒王学園からそれ程 権があると言っても﹃郷に入っては郷に従え﹄って所か ﹁へぇ、此処が⋮それっぽい空気は感じるが、俺達悪魔を拒絶する感じじゃない⋮治外法 ││││││││││││ ﹁は、はい しっかり身体を休めろよ﹂ ﹁ギャスパー、朱乃さんからの呼び出しがあるから、今日のトレーニングは此処までだ。 43話_俺、天使のトップと対談しました 390 と、今現在の時点でどうでも良い事を考えていると、 ﹁あら、いらっしゃい。イッセー君﹂ ﹁こんばんは、朱乃さん⋮それと、そちらの方は、天使陣営の ﹁流石イッセー君ですわね。はい、そうですわ﹂ ﹂ ジェントの件は主の教えに関わる事ではと抗議していた事、教会が過去に行った蛮行に ﹁はい、こちらこそ宜しくお願いします⋮イリナからお聞きしました、アーシア・アル 士、兵藤一誠です。宜しくお願いします﹂ ﹁では改めて、初めましてミカエルさん、俺は今代の赤龍帝で、リアス・グレモリーの兵 と入る。 モ疑惑が出ている調査兵団のメンバーみたいだし⋮ミカエルさんと共に神社の本殿へ の肩当が付いたローブを身に纏った金髪の天使の男性⋮だと思う、声が金髪角刈りのホ まさかの方との対面に驚きつつも、巫女服を身に纏った朱乃さんの先導に従い、金色 ﹁ありがとうございます、朱乃さん﹂ ﹁ささ、こちらですわ﹂ ⋮まさか天使陣営のトップが来るとはな。 おります﹂ ﹁初めまして、今代の赤龍帝、兵藤一誠君。私の名はミカエル、今の天使陣営の長をして ? 391 貴方が謝る事では無いですよ ﹂ 憤慨している事⋮全て、私達の陣営の不甲斐なさから起きてしまった事です、申し訳あ りませんでした﹂ ﹁ちょちょ、顔を上げて下さい ! んばかりに頭を上げない⋮アーシアの件の原因がミカエルさんに まさかそんな⋮ ? ? も、このシステムによって生まれたのです﹂ システムによって天使が生まれた⋮ひょっとして ﹁以前、その話を聞いた事があります。10年前、当時天使だったれーちゃ⋮レイネルか ? 徒に慈悲が、教会の戦士⋮悪魔祓い達の事です⋮に加護が与えられました。私達天使 ステム﹄をお作りになられました。このシステムを用いる事によって、地上に奇跡が、信 ﹁話は前後しますが、かつて神は、自身が引き起こしていた加護と慈悲、奇跡を司る﹃シ ﹁はい⋮ドライグから聞きました﹂ ﹂ 考えもしない事、慌てて俺は頭を上げる様に言うも、彼はそれでは気が済まないと言わ 度会談すると言っても敵対関係の、それもトップが下っ端相手に頭を下げるなんて普通 自己紹介を済ませたと思ったら急にミカエルさんが謝罪をして来た⋮びっくりだ、今 る事への謝罪です。本当に申し訳ありませんでした﹂ ﹁いえ、これは私達天使陣営の謝罪の気持ち⋮そして、彼女の件の原因が私達その物にあ ! ﹁一誠君は、私達の主である聖書の神がお亡くなりになられた事は知っていますね 43話_俺、天使のトップと対談しました 392 ら、1万年前の大戦から、天使を生み出すシステムに不具合が出て、純粋な天使が極端 なまでに生まれにくくなった、と﹂ だけで堕天などしないのですが⋮﹂ 本来なら⋮ひょっとしてさっきまでの話と関係があるのか ラ フ は掛ける言葉が見つからなかった⋮天使陣営のトップでも、世界有数の実力者でもどう 辛そうな、悔しそうな声音で現状を説明するミカエルさん⋮そんなミカエルさんに俺 に、申し訳ありませんでした﹂ く、10年前に恋心を抱いた﹃だけ﹄で堕天してしまったのも、それが理由です⋮本当 は考えられない様な理由で堕ちていってしまう⋮方々から聞いていた現状ならともか て⋮信者への恩恵は思う様に行き届かず、天使が生まれる数も激減し、その天使も昔で たのです⋮現状は私を中心とした﹃熾天使﹄全員の力で起動させているのが精一杯でし セ ﹁話を戻しますね。神が亡くなられた事でそのシステムを扱うのが困難になってしまっ ? ﹁いえ、その件は私達こそ謝るべき事です、貴方にも、彼女にも⋮本来なら、純粋な恋心 けしました﹂ ﹁あの時はすいません、俺への恋心を抱かせた事で、彼女は勿論、貴方達にも迷惑をお掛 でも元気でおられる様で安心です﹂ ﹁レイネルですか、懐かしい名前ですね。10年前に堕天したとお聞きしましたが⋮今 393 にも出来ないなんて⋮世界は、運命は、どれだけ残酷なんだよ⋮ ﹁成る程、悪魔や堕天使すらも回復させる神器を持ったアーシアと、神の死という答えを 理由です﹂ な心で実行した彼女達を、教えに反しているという批判も覚悟で追放したのは、それが に関係する場所から遠ざける必要があった⋮アーシアやゼノヴィアを、神の教えを純粋 ﹁その、現状何とか動かせているシステムに影響を及ぼす可能性がある物を、教会やそれ ! ﹂ 導き出したゼノヴィア⋮2人がいると、信者が神を、ミカエルさん達天使を疑いかねな い、という事ですね ? ﹂ が、何かを俺の前に差し出す⋮ってこれは⋮ ﹁この聖なる気配⋮まさか、聖剣ですか ? ! 悲痛の表情から一転、さっきまでの優しさに満ちた表情に切り替えたミカエルさん 受け取って下さい﹂ ら、悪魔⋮いや、今代の赤龍帝である貴方への、三大勢力の和平の証を兼ねた餞別です。 ﹁さて、暗くなる話は一先ずお開きにして、本題に入りますよ。これは、私達天使陣営か その話はまた後でな。 そんなミカエルさんの悲痛な思いを知り、俺はある決意を固めようとしていた⋮が、 ﹁⋮はい﹂ 43話_俺、天使のトップと対談しました 394 方でも扱える様になっております﹂ ﹁す、凄い⋮本当に貰って良いんですか ﹂ ドラゴンスレイヤー 試しに構えてみる⋮おお軽い、龍殺しの聖剣とは思えない位、俺の手に馴染む ﹁はい、どうぞ﹂ ? ﹂ ! ﹁は、はいぃぃぃ⋮﹂ 籠っていろ﹂ ﹁まあ緊張するなというのが無理な話だからな、今回は⋮だが周りは気にせず鞄の中に ﹁い、イッセーさん⋮緊張しますぅ⋮﹂ ミカエルさんとの対談を経て数日が経ち、今日はいよいよ三大勢力の会談の日だ。 ││││││││││││ ﹁はい。また、会談にて﹂ ﹁ええ、どういたしまして⋮時間も押しているので、此処で失礼しますね﹂ ﹁本当に、ありがとうございます ⋮俺の為に此処まで、ありがとうございます。 ﹃悪魔﹄で﹃赤龍帝﹄である俺でこうなのだ⋮余程強力な術式が施されているって事だな ! 天界で管理していましたが、私達三大勢力のトップによって施された術式によって、貴 ﹁ええ、そうですよ。ゲオルギウスが所持していた﹃龍 殺 し﹄の聖剣、アスカロンです。 395 ⋮閑話休題、俺達は会談の場へ足を踏み入れた⋮ ! も考慮し、待機場所がバックパックに変更となった。 ギャスパーは参加出来ず、オカ研の部室で待機する筈だったのだが、禍の団による襲撃 ている生徒会室へ足を運んでいた⋮本来ならまだ神器のコントロールが万全じゃない 俺はオーフィスと、背中のバックパック入ったギャスパーを連れて、会談の場となっ ﹁ギャスパー、お疲れ﹂ 43話_俺、天使のトップと対談しました 396 44話︳俺、会談に参加しました、ら⋮ ﹁失礼します﹂ グレイフィアさんの勧めに応じて生徒会室に入る⋮と、其処には会談の為にこの場に ﹁どうぞ、お入りください﹂ 集結した、3大勢力の重要なポストに就く方達が勢ぞろいしていた。 まず左側にはアザゼルさんやヴァーリを始めとした堕天使陣営⋮俺の姿を見て親し げに返事するアザゼルさんと、好戦的な視線を向けるヴァーリが特徴的だった。 まさか⋮なぁ 続いて奥側には、ミカエルさんやイリナを始めとした天使陣営⋮何故かイリナから、 聖剣による物では無い、聖なる気配がした⋮天使にでもなったのか ? 俺に続いて入って来たオーフィスの存在を見て、大部分がそれを止めて顔を驚愕に染め 今回の参加者が勢ぞろいした事で正面に向き直ろうとした各陣営の面々⋮だったが、 わった面子だ⋮俺達の席も、こちら側にある。 そして手前側には、リアス達オカルト研究部メンバー⋮そう、コカビエルの一件に関 めとした悪魔陣営⋮匙、緊張する気持ちは分かるがガチガチ過ぎるぞ。 更に右側には、サーゼクス様やセラフォルー様、シトリー会長及びその眷属の皆を始 ? 397 る⋮まあ、世界最強クラスの龍神が、下級悪魔の俺に連れられて会談の場に入って来た とあれば驚きだよな。 事情を知らされていない天使陣営と堕天使陣営は特に顕著⋮いや、堕天使陣営、特に アザゼルさんとヴァーリの驚愕の色合いは激しかった⋮その内アザゼルさんの目から は僅かながら敵意が感じられる辺り、まさか⋮ これは、ありそうだな。 陣営の中で、サーゼクス様も向かいのアザゼルさんの様子に訝しむ様な表情を見せる⋮ 事情を既に知っていた為に大した驚きを見せず、周囲の驚き様に苦笑いしていた悪魔 ? たりしたが問題なく進んでいく⋮アザゼルさん、何しているんですか貴方。 過去の小競り合い等を経た現状の確認だ⋮途中でアザゼルさんの発言で場が凍り付い こうして会談はスタートした⋮といっても、最初の方は1万年位前の大戦や、その他 ﹁では、認知している物として話を始めよう﹂ は全員が肯定する様な反応を示した。 驚きに染まった会談の場を平静に戻そうと、サーゼクス様が仕切る⋮その際の問いに 認知している﹂ に確認事項が1つ。此処に集結している者達は、最重要禁則事項である﹃神の不在﹄を ﹁思わぬ存在の参加に驚いておられる様だが、定刻となった為、会談を始めよう。その前 44話_俺、会談に参加しました、ら… 398 ﹁それじゃあリアス、この前のコカビエルの件について説明を﹂ き入れる事で我らを制圧するつもりだ、と。 ディバイン・ディバイディング ﹁それは我ら悪魔陣営も同じだ。堕天使陣営は比較的損傷が重くない、神器所有者を引 使は再び、戦争を始める物だと﹂ に﹃黒刃の狗神﹄⋮神滅具の所有者が貴方達の陣営に入った時は警戒した物です。堕天 ケイネス・リュカオン 器の研究を加速させたりしていた様ですが、何を企んでいるのです ﹃白 龍 皇 の 光 翼﹄ ? ﹁それにしてもアザゼル、此処数年に渡って神器所有者を堕天使陣営に引き入れたり、神 ⋮セラフォルー様、此処は公の場なんですから。 ﹁ありがとう、リーアちゃん☆﹂ ﹁以上が、今回の事件の顛末です﹂ た。 カビエルの事件に大きく関わった俺とゼノヴィア、木場とフリードも補足として説明し その様子に少し寂しそうなサーゼクス様を他所に、リアスの説明が始まる⋮途中、コ 前で返答していた。 める⋮余談だが、幾ら兄妹でも今日は公の場、リアスも魔王としてのサーゼクス様の名 その後、サーゼクス様の勧めに応じてリアスが、この前のコカビエルの件の説明を始 ﹁はい、ルシファー様﹂ 399 彼女が⋮オーフィスが、イッセー君の所に身を寄せ、今日、彼女と貴方が対面するま ではね﹂ ミカエルさんから始まったアザゼルさんへの追及、サーゼクス様が続くも、一呼吸お ﹂ ﹂ ﹂ いて告げた事実は、周囲を再び驚愕させるには充分だった。 ﹁⋮その口振りだと、﹃知っている﹄のか ﹁ああ⋮テロ組織﹃禍の団﹄、それに備えていたのだろう 一体何の話をしているのです ﹂ 奴さんの来襲か タスク ﹂ ルさんが答えようとしたその時、 ﹁っ ﹁っちぃ た ﹂ ﹁イッセー君の予想通りになったか⋮ ! ! ﹁この只ならぬ気配⋮その﹃禍の団﹄というのは、まさか⋮ ﹂ ! ! ! ! ! ギャスパー君をこちらに呼んでおいて正解だっ ﹃知らない﹄が故に会話について行けないミカエルさんが疑問を投げ掛け、それにアザゼ サーゼクス様とアザゼルさんの話からしてアザゼルさんも﹃知って﹄いた様だ⋮唯一 ? ? ? ﹁⋮BINGOだ。お前さんが考えている通りだよ﹂ ﹁﹃禍の団﹄ ? ﹁ああ悪い悪い、今から説明する﹂ 44話_俺、会談に参加しました、ら… 400 ﹂ ﹁ああ、その通りだ たテロ組織だよ 3大勢力を始めとした人外達の現状を、良しとしない連中が設立し ! 今は敵を倒しますよ ﹂ ﹂ 尤も、ちょっと予想外の事態が起こったが⋮ つまりここ数年の貴方の行動は、その為の自衛手段の確立、という た⋮﹃禍の団﹄はやっぱりこの会談の場を狙って来たか ﹂ ﹁テロ組織ですか⋮ 事ですね ﹁ああ、そういう事だ ﹂ ! ﹄ ヴァーリ、行ってきてくれ 白龍皇であるお前が出れば、奴等も動揺 ﹁アザゼルさん、細かい話は後にしましょう する筈だ ﹁ああ、そうだな ! ! ﹃Vanishing Dragon Balance Breaker ﹁了解。禁手﹂ ! 外を警戒すると其処には巨大な魔法陣と、其処から大量に飛び出て来る魔法使いが見え 外から只ならぬ気配を察知して、ミカエルさんやアザゼルさん、サーゼクス様と共に ! ! ! ﹂ ﹁俺達も行くぞ ﹂ エレン ! ﹁はい ! 纏った状態で敵陣に殴り込んでいく⋮あれが、あれが二天龍の禁手か⋮ アザゼルさんの指示でヴァーリが禁手を発動し、それによってあの時見た白い鎧を ! ! ? ! ! ! 401 ﹁ヒヒィィィン 時、 ﹂ ﹂ ﹃オーフィス、探しましたよ﹄ ﹁新手か ﹁これは旧魔王レヴィアタンの魔法陣 ﹂ ? 俺達の前に現れた魔法陣と、其処から聞こえて来た女性の声⋮ ⋮まさか 俺を除く皆は翼を展開、俺はエレンを呼び出して乗り込み、窓から外に飛び出たその ! 末裔か⋮ ﹁先程からの口振りからして﹃禍の団﹄に与したと思って良いという事かい を引く者、カテレア・レヴィアタンよ﹂ ﹁カテレアちゃん どうして⋮ ﹂ ! 今日此処で貴方を殺し、私が魔王を名乗ります 旧魔王の血 ですがそれも今日ま そして世界を破壊し、新たなる世 ﹁良くもまあぬけぬけとその様な言葉が出ますね、セラフォルー で ! ! ! ﹁察しが早くて助かります。その通り、我々旧魔王派は禍の団への参加を決めました﹂ ? ! 悪魔、それもかなりの強さの持ち主⋮サーゼクス様の口振りからして、かつての魔王の 現れたのは、金髪で眼鏡を掛け、結構過激なドレスを身に纏った女性⋮気配からして ! ? !? ﹁ごきげんよう、偽りの魔王達⋮そして各陣営のトップの皆様﹂ 44話_俺、会談に参加しました、ら… 402 ! 界を作る ﹂ その為に私は力を得ようとし⋮途中で逃げられはしましたが、此処で事を成 せれば問題はありません ! ! だが、 カテレアと呼ばれたその悪魔の話から、旧魔王の血筋を引く者達は皆禍の団に加入し たか⋮ ! 事かい ﹂ ﹁⋮ええ、そうですよ﹂ ﹂ ﹁な⋮それは本当ですか ですか うが⋮そっちの好きにはさせないぜ ! 禍の団の連中は、単なる象徴としての他に﹃蛇﹄を狙って引き入れようとしたのだろ が出来る事を。 た﹃蛇﹄を作り出せるという事を⋮これを飲み込む事によって力を格段に増強させる事 サーゼクス様へ報告した際に聞いた事がある⋮オーフィスは、その力を一部分抽出し 向こうの誤算は、オーフィスがこちら側に付いた事。 ていたとはびっくりだったぜ。これが予想外の事態だ﹂ ﹁て事になるな。しかしオーフィスが禍の団を抜けて、しかもサーゼクスがそれを知っ !? ? !? つまり件のテロ組織の元頭首が会談に参加していたという事 ﹁カテレア⋮逃げられた、と言うのは、禍の団の﹃元﹄トップである彼女⋮オーフィスの 403 ﹁オーフィス、今すぐこちらへ戻りましょう ﹂ 此処にいても静寂は得られない⋮次元の 狭間には帰れない⋮グレートレッドは倒せませんよ な、何を言って⋮﹂ おいおいオーフィス、お前、嘘だろ !? ﹁こ、恋心 ﹁へ、こ、恋心だって ﹂ ﹁どうでも良い。静寂より、イッセーへの恋心を満たす方が良い﹂ ? ? ﹁っ 貴様 ﹂ も連れて行くと言うなら⋮容赦しないぞ、クソババァ ﹂ ﹁本当です、そして俺も⋮まあそういう事でオーフィスは俺の大切な存在だ。無理にで ﹁偽りなし。我、イッセーに恋をした。故に禍の団を抜けた﹂ !? !? ! ! ︵ズバババババババ ︶タスク・ガトリング カテレアが激昂してこちらに魔力で作ったであろう氷の槍を連射するが、 ﹂ ﹁しぇぇあぁぁ ﹂ 小癪な ! ﹁なっ ﹁今度はこっちから行くぜ ﹂ ! 爪の斬撃で軽々と斬り伏せ、反撃とばかりに爪弾を掃射するも魔力による壁で塞がれ ﹁くっこの程度 ! ! ! ﹂ まさかの脱退理由に驚愕する周囲、それに便乗して挑発すると簡単に乗ってくれた、 ! ! ! る⋮流石にこれ位は防御されるか、なら ! 44話_俺、会談に参加しました、ら… 404 ﹁喰らいなさい ﹂ ! ﹂ ︶きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ⋮ ! 放ったボール・ブレイカーが衝突⋮する事無く、 馬鹿な︵ドゴォォォォォォォ⋮ !? いった。 ? いる暇は無い ﹂ 私達も加勢しよう ﹁分かっています ﹂ ﹂ ! 時だった。 俺の戦いぶりを見ていた各陣営のトップ勢が気を取り直して各戦場に向かう⋮その ﹁3手に分かれるぞ ! ! ! ﹁はは、信じられない様だけど、あれでもまだ彼の強さの全てじゃないんだ。と、話して ﹁スゲェ⋮俺でも手こずりそうなアイツを、事も無げに倒しやがった⋮﹂ ﹁な⋮何だったんでしょうか、今の ﹂ テレアの、まずは両手両足、次に頭、そして最後は上半身と下半身を千切って、消して レア本人に正面衝突し、勢いを殺す事無く直進を続け、その勢いに耐えられなかったカ ボール・ブレイカーの突進によってカテレアの攻撃は全てかき消され、そのままカテ ﹁な ﹂ 時間が無いと言わんばかりに、カテレアが放った魔力による多種多様な攻撃と、俺が ﹁ボォォォル⋮ブレイカァァァァァァ ! ! 405 ︶うおっ ﹂ !? ! な、お前⋮ ﹂ アザゼルさんを襲うなんて⋮ ! アザゼルさん、危ない ﹁っ ︵ガキィン ﹁は ! の、ヴァーリの姿があった。 ﹂ 俺の目の前には、鎧で覆われた左腕をアザゼルさんに一閃しようとして弾かれた状態 ! ! ﹁ヴァーリ、お前⋮どういうつもりだよ ! ? 44話_俺、会談に参加しました、ら… 406 45話︳二天龍、激突 そして⋮ ! ﹂ ! ヴァーリ⋮まさか⋮ ! まないと思っているが、俺にとって平和な世は退屈だからね﹂ てめぇも、てめぇもあのコカビエルの様に戦争を望むって言うのか ! ﹂ ? ﹃アースガルズ﹄と戦ってみないかって﹂ ﹁コカビエルの身が滅ぼされたのを見届けて本部に帰る途中でオファーを受けたんだ、 かでお前が手元から離れて行くのを予想していたのかも知れないな⋮で、何時だ ﹁やめとけ兵藤、コイツはそういう奴だ。根っからの戦闘狂でさ⋮思えば俺は心の何処 良い﹂ い。コカビエルは堕天使の台頭を望んでいる様だったが、俺は強い奴と戦えればそれで ﹁現状が面白くないという意味では一緒だね。だが戦争を起こしたいという気は特に無 ﹁な⋮ ﹂ ﹁君の想像通りだよ、兵藤一誠。俺は禍の団に協力する事にしたんだ。アザゼルには済 ! ヴァーリの突然の急襲、何とかその一撃は俺が食い止めるも、その事に平然とする ﹁ヴァーリ⋮まさかお前⋮ ﹁今の攻撃を見破るとはね、流石は俺の超えるべき目標だ﹂ 407 アースガルズって確か北欧神話に登場する神の一族だよな⋮そいつらと戦いたいだ けで、アザゼルさんに育てて貰った恩を仇で返すのかよ ﹂ んてどうでも良いんだけどね。本当に戦いたいのは⋮君だよ、兵藤一誠 ﹂ ﹁まあ本当の事を言うと、神を名乗りながら身内同士のゴタゴタも解決できない連中な ! ! せ、ドライグを何故か怯えさせたあの力を見て⋮ あるか 連中は、君の事を障害にすら思っていないと言う事だ。そんな馬鹿な事が 君がコカビエルの身を滅ぼした時に見せたあの無限の回転の力。全盛期の二 た話だろう 悪魔に転生するまではそうだった、 ﹃赤龍帝﹄であること以外は何も無い奴、と。ふざけ と同居していた事はあったが、それ以外は特に何の変哲も無い、一般的な男子高校生⋮ 友人共に全くの普通の人間。先祖に強力な術者や能力者もいない。幼少期に一時、天使 ﹁禍の団において君がどういう風に見られているか、調べた時には目を疑ったよ。両親・ ! まさか⋮あの時コカビエルを倒した時に使ったタスクACT4、オーフィスを惚れさ ﹁俺⋮だと⋮ ! ? ﹂ あれを見て、俺は決意した 二天龍の因縁など関係無しに、 今が、今がその時だ、兵藤一誠 ! ! ! ⋮良いぜ、どうせ逃れられない戦いなんだ。お前をぶっ飛ばして、アザゼルさんの ! 断で抜け出させた、あの力 天龍すらも捻じ伏せるであろうあの力。オーフィスを惹きつけ、禍の団の頭首の座を独 ! 君と戦いたいと ﹁っ ! 45話_二天龍、激突!そして… 408 前で土下座させてやる ⋮下がっていろ、エレン﹂ ディバイン・ディバイディング そう考え、俺はエレンから降りる。 込むわけには行かない。 此処から先は二天龍の遥か昔からの因縁、其処に俺、俺とドライグ以外の存在を巻き ! れをわが物に出来るんだよな ﹂ ﹂ ﹁近づけないなら、遠くからぶっ放せば良い。それは俺の得意分野だ。黄金回転の爪弾 ? ? ﹃ああ、合っている。で、どうする気だ、相棒 ﹄ ﹁ドライグ、確かアルビオン⋮いや、白 龍 皇 の 光 翼 って、触れた物の力を半減させ、そ 409 ⋮な 追いかけて来る ﹂ !? を取るも、 ﹁直前で炸裂した !? ﹁無駄だ ﹂ その弾痕は、標的を捉えるまであらゆる物理的干渉を受け付けない ﹂ ! !? これで勝ったとは思わないが、追尾して来た弾痕を魔力による障壁で防ごうとしてす ! ﹁だったら⋮な ﹁俺の爪弾から出来た弾痕は相手を徹底して追いかける。差し詰め追尾能力って奴だ﹂ ? 流石にカテレアとの戦いを見ていたが故に指からの発射は読めていたのか、回避行動 先手必勝と言わんばかりに、タスクACT2からの爪弾を3連射する。 ! ﹄ り抜けられた事に驚くヴァーリを見て、ある程度のダメージを与えはするだろう⋮そう ﹂ !? ! 思っていたが、 効いていないだと ﹃DivideDivideDivideDivide ﹁なっ ﹂ くぞ ﹂ オラァ ﹁くっ ﹁無駄だ ﹂ ! ! ﹄ 君の力はその程度では無いだろう ﹁な⋮うおっ ﹁どうした ﹂ ﹃DivideDivideDivide ! ルによる投擲に終わる⋮ ⋮ぶっつけ本番だが、やるしかない ! ! ﹂ 完全な無傷のヴァーリが突っ込んでく くっどうした物か⋮ヴァーリの力量からして鉄球の回転も半減され、単なる鉄のボー ンチが飛んでくるのを回避した。 るのを見て牽制で爪の斬撃を放つも、それも半減によって空振りしてしまい、危うくパ ﹃半減﹄の力でパワーを極限まで弱めたのか⋮ ! ! ? ! ! ﹁物理的干渉で防げないなら、力その物を減らしてしまえば良い。今度はこちらから行 !? ! 45話_二天龍、激突!そして… 410 ﹁タスクACT3 ﹂ ﹂ 自分を撃った ﹁シュッ ﹂ 地面から ⋮いや、弾痕の中に潜り込んで突進してきているのか 俺が自分に爪弾を発射した事にヴァーリが驚いている隙に近づき、 ﹁な !? ! !? ! ﹂ ﹄︵ザン ︶がっ ﹂ !? に見抜いているみたいだ、次は半減して防ぐはず⋮だが ﹃DivideDivide ! ﹁シャァ ﹁舐めるな ! ! ! ﹂ そこから突きを放つ⋮予定外の攻撃だったが故に回避行動で済ませたのだろうが、既 !? !? ﹁なっ ! ﹂ ! ︵ドズゥ ︶﹂ 幾ら歴代最強の白龍皇であるお前でも、龍殺しの力を食 ︶トウ ! 距離を離すんだ ︶ハッ︵ザシュゥ ! ﹃ヴァーリ セイ︵ザン ﹂ !? ! ! ! らえば﹄ ﹁そしてコイツだ ! ば、馬鹿な、何故離れているのに斬られるんだ ﹁ぐっがっぎゃぁ ! ! ヴァーリの右脚を深々と切り裂いた。 木場とは大違いの我流、故に太刀筋が荒いが、俺の扱いに応えてくれたアスカロンは 半減すると言っても、元ある物体のリーチまでは減らせないだろ ﹁舐めてなんかいないさ。ミカエルさんから貰った龍殺しの聖剣、アスカロンだ。力を ! 411 それを警戒して空中へと避難するが、そんなのお構いなしと言わんばかりにアスカロ ンはヴァーリの袈裟、手首を切り裂き、そして左肩を貫いた⋮成功みたいだな。 原理はこうだ⋮鉄球の回転、それによる波紋でアスカロンに振動を与えた。 やり方は一言だけだが、これによって威力を増しただけで無く、周囲の空気を巻き込 振 動 す る んで衝撃波を放つ事も出来、更にその衝撃波に龍殺しの因子を付加させた、という事だ。 差し詰め、ヴィブロ・アスカロンって奴かな。 ﹁まずはあの弾痕から追い出さないとな﹂ ﹄ ﹂ 更に仕掛けようとし、電子音声が聞こえたその時、 ﹃HalfDimension ! な、なんで吐き出されたんだ !? て吐き出されたんだ ! !? な、周囲の建物が小さく⋮ ﹂ ! れで俺が入っていた弾痕を小さくしたのか⋮ ! ヴァーリの言葉に慌てて周囲を見ると、其処には何やら小さく見える建物の姿が⋮あ ﹁ !? どうやらあの弾痕にも有効みたいだね、君を飲み込み切れず、吐き出すとは﹂ ﹁俺の禁手は少し特殊な能力もあってね、こうして物体を半減させる事も出来るんだ⋮ !? ば、馬鹿な 俺のタスクACT3は俺の意志で動く筈⋮それが何で俺の意志を無視し ﹁うわっ 45話_二天龍、激突!そして… 412 どうする、ヴィブロ・アスカロンまでは対策を立てられていないが、それ以外は既に ﹂ タネが割れて対策も立っている⋮どうする⋮ ﹂ ﹁ところで兵藤一誠⋮何故本気を出さない ﹁何⋮ ! ﹂ !? 俺を舐めて ! 俺の !? ていないさ﹂ ﹂ なら、何故乗らない 俺と戦うとなった途端、何故降りたんだ ﹁君1人で出来ない⋮まさか、あの天馬が関わっているのか 裏切りを知った時、何故降りた !? ライグ、お前とアルビオン以外を巻き込む訳には行かない。それが俺のプライド⋮赤龍 ﹁お前になら、白龍皇であるお前になら分かる筈だ⋮これは二天龍の因縁、其処に俺とド !? ? ﹁悪いがあれは俺1人で出来る事じゃない。それを踏まえるならば、俺は手加減などし 成る程、そういう訳か⋮だが、 いるのか 不満なのは⋮君がこの期に及んでもあの無限の回転の力を使わない事だ ではどんな事態も考えられる場所、虚を突いて一撃必殺を狙うのも手段の1つだ。俺が ﹁先程から出してくるのは敵の虚を突くような手ばかり⋮別に悪い事では無いさ。戦場 のは。 手を模索していたその時だった⋮ヴァーリの、その如何にも不機嫌そうな声を聞いた !? ? 413 帝としての、俺のプライドさ﹂ ﹃相棒⋮﹄ 正直な事を言えば、随分な付き合いではあれど未だに禁手にすら至っていない、そん な俺が赤龍帝に相応しいのか⋮そう思った事がある。 それ以外の点で言えば強いのかも知れない⋮タスクACT4の力はドライグを怯え させ、オーフィスを惹きつけた。 だが、赤龍帝としては﹃弱い﹄んだろう、﹃弱過ぎる﹄んだろう、俺は。 そ ん な 俺 が エ レ ン か ら 降 り た の は、俺 の プ ラ イ ド ⋮ 赤 龍 帝 と し て の、俺 の ほ ん の ちょっぴりのプライドの現れだ。 だが、 な⋮ るのか 十全に使えるとは言 ? そんな現状でありながら、君はコカビエルを圧倒した末に消滅させた力 未だに禁手を使わない、いや使えない辺り、違うだろう えないだろう がある だから俺は君との戦いを望んだんだ ! がある。全盛期の二天龍をも捻じ伏せられる力がある。オーフィスをも惹きつける力 ? ? ﹁下らない、実に下らないよ。じゃあ聞くけど、君は赤龍帝として、その力を十全に使え !? ﹁下らないな﹂ 45話_二天龍、激突!そして… 414 ! ﹃赤龍帝﹄としての君とでは無く、﹃兵藤一誠﹄としての君と ドライグとアルビオンの、遥か昔からの因縁を⋮下らないだと てめぇ⋮今なんつった らないと言う以外無いね﹂ 戦いという凄まじい輝きの前にはその価値は失せた。今更それを押し付けられて⋮下 天龍の因縁の対決⋮戦闘狂としての俺はかつてそれを望んではいたが、 ﹃兵藤一誠﹄との だが今、俺の前にいるのは﹃赤龍帝﹄としての君だった⋮今ほど落胆した事は無い。二 ! と 歴代の赤龍帝と白龍皇、激突しては命を落としていった先人達の想いを⋮下らないだ ? ? ﹃赤龍帝﹄としてなぁ ﹂ だったら見せてやるよ ﹄ タスクACT4を ﹃兵藤一誠﹄としての俺の本気 営、初代4大魔王様率いる悪魔陣営の決死の苦労を⋮下らないだと を ﹁上等だ⋮ ! ! ﹃Welsh Dragon Balance Braker ! ! !? 因縁の戦いを止めようとした聖書の神率いる天使陣営、アザゼルさん率いる堕天使陣 ? ! ! 415 46話︳俺、覚醒しました︵4︶、ら⋮ 全身が、真紅の装甲で覆われる。 全身が、膨大な魔力によって漲って行く。 全身が、時を重ねるごとに力強くなるかの様に感じる。 全身が、ドライグの意志⋮同じ二天龍の片割れであるアルビオンに勝利して見せると いうドライグの意志で満たされたかの様に昂ぶる。 ブーステッド・ギア・スケイルメイル 手 ﹄、﹃赤 龍 帝 の 鎧﹄⋮ バランス・ブレイカー 全身が⋮アイツを⋮ヴァーリを倒すべしと⋮疼く⋮ ブ ー ス テ ッ ド・ ギ ア これが、これが﹃赤龍帝の籠手﹄の﹃ 禁 ! ! ﹂ ! ﹂ 本当だろうね だろう ならば⋮俺も真の意味での本気を出そう ⋮禁手に至った今で尚、本気じゃない、だと ? ! ? それが、武人の礼儀という物 ﹁驚いた、まさか他人のプライドの為の怒りで禁手に至るとは⋮それに今さっきの言葉、 だ 天龍をもコケにするとは、やってくれるじゃねぇか、ヴァーリ⋮第2ラウンドの始まり ﹁アザゼルさんからの恩を仇で返したばかりじゃなく、自分の力のキーパーソンたる二 46話_俺、覚醒しました(4)、ら… 416 ! ﹀ 面白い、見せて貰おうじゃねぇか、それを⋮ ﹀︿消し飛ぶね ﹁我、目覚めるは﹂ ︿消し飛ぶよ ︿夢が終わる ﹀︿幻が始まる ﹀ ! ﹀︿そう、全てを捧げろ ! ﹁無限を妬み、夢幻を想う﹂ ︿全部だ ﹀ ﹁覇の理に全てを奪われし、二天龍なり﹂ ! ! ﹁ドライグ、ヴァーリが唱えているのは何の呪文だ ! ﹁面白い⋮元よりそのつもりだ ﹁我、白き龍の覇道を極め﹂ ﹁﹃汝を無垢の極限へと誘おう ﹂ ﹄﹂ ﹂ ﹄ ! は人型の白い龍の姿があった⋮伝わって来る、今までに感じた事の無い位、強烈な力の 呪文を読み終えたその瞬間、ヴァーリの全身は光に包まれ⋮それが晴れた時、其処に ! ! ! ﹃Juggernaut Drive ﹄ ⋮相棒、心して掛かれ。全力なら兎も角、手加減しようと思った瞬間、負ける⋮ 一時的にその力を得る事が出来る。俺達を封じた神器にとって禁忌とも呼べる代物だ ﹃あれは覇龍の呪文だ。神器の内に眠る白いの、及び歴代所有者の怨念を解放する事で、 ? ! 417 奔流が⋮あれが、あれが﹃覇龍﹄⋮二天龍の力を解放した、ヴァーリの文字通りの﹃本 気﹄⋮ 力を解き放った﹃覇龍﹄の力って奴を ﹂ ﹁見せてくれよな⋮世界でもトップクラスの力を有する二天龍の片割れ、アルビオンの ! 気の力を ﹂ ﹂ ﹁うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ えた。 ﹂ ﹄ ﹄ 互いに一歩も譲らない⋮様に見える状況だったが、ふとヴァーリの顔に戦慄の色が見 互いに神器の力、その最たる能力を駆使しながら、ラッシュの打ち合いをする俺達。 ﹃DivideDivideDivideDivideDivide ! 互いに一言交わした瞬間、互いに飛びかかり、 ﹁タスク⋮ACT4 ﹄﹂ ! ﹃BoostBoostBoostBoostBoostBoost ﹁﹃オラオラオラオラオラオラオラ 俺は⋮俺とドライグは、﹃本気﹄を出した。 ! ﹄ ﹁見せて貰おう、無限の龍神をも惹きつけた、あの無限回転を、 ﹃兵藤一誠﹄としての本 ! ! ! ! ! ﹃Boost⋮BoostBoosBooBoBBBBBBBBBB 46話_俺、覚醒しました(4)、ら… 418 戦いの最中に恐れと言う名のよそ見とは舐めているのか、と思ったが、その訳は直ぐ に分かった⋮俺の力が、半減の効果で削られる筈の俺の力が、減っていないからだ。 倍化の効果で上がっているからじゃないか、と言われそうだが、その倍化によって力 は確かに上がっている⋮が、 ﹃上がっている﹄だけで﹃減らない﹄⋮つまり﹃上がり続け ている﹄のだ。 余りに強大な力は半減出来ないのか、或いはタスクACT4の﹃因果操作﹄で半減を 阻止⋮コイツを叩き潰すという俺の﹃意志﹄にとって障害となる効果を阻止しているの た⋮俺の、勝ちだ ﹁な⋮何故⋮だ⋮﹂ ! わりに銀髪のイケメン⋮ヴァーリの、左頬がひしゃげ、口から血を流している姿があっ 禁手を解かないままその場所へと向かうと、其処にあの人型の白い龍の姿は無く、代 の端っこまで滑って行って、横たわったまま、止まった。 トドメの一撃として放った右ストレートを喰らい、ヴァーリは吹っ飛んでいき⋮校庭 ! か⋮どちらでも良い。 これが⋮これがお前の求めていた、俺の、﹃兵藤一誠﹄の力だぁ ! ﹂ ﹁﹃オラァァァァァァァァァァァ ﹄﹂ ﹁ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ! 419 ﹁⋮ヴァーリ ﹂ ﹁⋮何故⋮俺を⋮殺さ⋮なかった⋮ あの⋮力で⋮俺を⋮殺す等⋮容易⋮だった⋮筈だ テロ組織に⋮手を貸し⋮アザゼ ? ⋮何故、か。 ルを⋮裏切り⋮二天⋮龍にも⋮憎まれ⋮口を⋮叩いた⋮俺を⋮何故⋮﹂ た⋮だろう⋮それなのに⋮何故⋮俺を⋮生かした⋮ ⋮あの時の⋮コカビエルの⋮様に⋮俺の⋮身を⋮滅ぼす⋮事だって⋮難しく⋮なかっ ? が見えた。 その様子に禁手を解くと、満身創痍の状態に有りながらも声を振り絞るヴァーリの姿 ? ﹂ !? それに⋮お前、禍の団に手を貸してまでやらな ? 戦闘狂として高みを目指す以外に、さ﹂ ? だがコイツは、半減の力が通じないと気付いた瞬間、顔に戦慄の色を浮かべたんだ⋮ 諦めなかったりする物だ。 対した時、怯えるどころか逆に闘争心を掻きたてられたり、達観した想いを持ちつつも 俺のイメージでの話だが、所謂戦闘狂って存在は、自らの力が全く通用しない奴と敵 図星か⋮やはりな。 ﹁ きゃならない事があるんだろう 前を殺したら、それが果たせないだろ ﹁言っただろう、お前をぶっ飛ばして、アザゼルさんの前で土下座させてやる、とな。お 46話_俺、覚醒しました(4)、ら… 420 ヴァーリの力で殆どの手が潰され、反撃手段を模索していたちょっと前の俺みたいに。 多分ヴァーリには﹃強い奴と戦いたい﹄という戦闘狂ならではの想いに加え、何か﹃生 ﹂ だから俺は、あえてお きて成さねばならない﹄という想いを持っている筈だ⋮俺が﹃生きて大切な人を守らね ばならない﹄という想いを抱えて戦いに望んでいる様に。 前を殺しはしなかった⋮何なんだ、それは ﹁お前には、生きて成さなければならない事がある⋮そうだろう イッセーさん﹂ ﹁え⋮良いんですか ﹂ ﹁口の中だけ治す事は出来るか ! ﹂ りを見せるも、俺の勧めに乗ってヴァーリの口の傷を治していく⋮有難うな、アーシア、 無論相手は禍の団のメンバー、周囲に三大勢力の首脳がいる事もあって躊躇する素振 る様頼む。 怪我したままじゃあ聞く事も叶わないな、そう思った俺はアーシアを呼んで回復させ ﹁ああ、良いぜ。仮に逃げる素振りみせたらすぐに抑えつけるからな﹂ ? ? ﹁はい ﹁⋮聞き取りにくいな。アーシア﹂ の⋮完敗だよ⋮兵藤一誠⋮﹂ ﹁⋮は、はは⋮参った⋮参ったな⋮力は⋮おろか⋮器でも⋮及ばない⋮か⋮完敗だ⋮俺 ? ? 421 これで尋問が出来る。 ﹁さて⋮質問の答えだが⋮その前に昔話を1つ。俺の本名は⋮ヴァーリ・ルシファー﹂ ﹄ そう、ルシファーの真の血縁者にして、白龍皇でもある俺が生まれたという事だ﹂ と 人 間 の 母 と の 間 で 生 ま れ た 混 血 ⋮ 白 龍 皇 の 光 翼 は ハ ー フ だ っ た が 故 に 手 に 入 っ た。 ﹁死んだ初代魔王ルシファーの血を引く者だ。だが、以前君にも話したが、俺は悪魔の父 く事情を知っているアザゼルさんを除いて。 質問に答え始めたヴァーリから出たその事実に、俺を含め周囲が驚きに満ちた⋮恐ら ﹃ !? ﹁あの﹃超越者﹄が、そんな事を ﹂ ﹁り、リゼヴィム・ヴァン・ルシファーだと !? ﹂ の糞ジジィ、リゼヴィム・ヴァン・ルシファー⋮ !? ﹂ がったのが⋮世間ではサーゼクス・ルシファーらと共に﹃超越者﹄として恐れられる、あ 先がアザゼル率いる堕天使陣営だった。そしてその一連の行為を糞親父に命令し、面白 た化け物﹄と恐れられたり⋮それ故に家族からは虐待された末に捨てられ、行きついた ﹁事実だ。そんな身の上だからか、 ﹃人間との混ざり物﹄と見下されたり、 ﹃白龍皇を宿し ﹁そんな⋮嘘よ⋮﹂ ﹁なん⋮だと⋮﹂ 46話_俺、覚醒しました(4)、ら… 422 ! ﹁ああ⋮そして俺は誓ったんだ。俺を﹃ヴァーリ・ルシファー﹄として見て来なかった連 ﹂ 中に、俺という存在を見せ付ける事を⋮あの糞ジジィを凌駕する程の力を得て、何時か は倒して見せると⋮ ! 分かった﹂ ﹁そうか⋮なら⋮﹂ ! 今、兵藤一誠に降伏する ⋮へ ? ﹂ ! ﹁三大勢力の首脳達よ テロ組織﹃禍の団﹄メンバーである俺、ヴァーリ・ルシファーは き、罪無き者を叩き潰す連中に手を貸してまで得ようとする力など、偽りでしかないと した堕天使陣営のお蔭⋮少なくとも俺1人では今の俺は無かった。それを忘れ、力無 ﹁だが⋮君との戦いで、俺は俺の過ちに気付けた。今の俺があるのもアザゼルを始めと ては高みを目指すが故、高みに上り、報復を果たすが故⋮か。 アザゼルさんを裏切ったのも、禍の団に手を貸したのも、俺に勝負を挑んだのも、全 ﹁⋮そうか。お前も、生きとし生ける者の悪意に振り回されてきたって事か⋮﹂ 423 47話︳俺、いきなり独立させられました ヴァーリの宣言﹃兵藤一誠に降伏する﹄⋮その真意に、俺は仰天するしか無かった。 曰く﹃3大勢力に降伏する条件として、自分を兵藤一誠の眷属にしろ﹄という事。 更に﹃受け入れられなければ、待機している仲間に自分の身柄を奪還させる。しかし 受け入れられるならば、その待機している仲間も一緒に降伏させる。仲間はその用意が ある﹄とも。 その要求に、サーゼクス様達3大勢力の首脳は再び、対応を協議する事になった⋮今 度は首脳のみの極秘で。 件の当事者が協議に加わっていないというのもおかしな話だが、この一件は対応を少 しでも誤れば情勢を悪化させかねない代物だ、高校2年生の俺に判断させる訳には行か ない、という事なのだろう。 ﹂ ? ⋮それにしても、 ﹂ ? ﹁お 前 も う 俺 の 眷 属 に な っ た 気 か よ ⋮ 命 の 恩 人 に し て 育 て の 親 で あ る ア ザ ゼ ル さ ん を ﹁何か、主イッセー ﹁ヴァーリ⋮お前どういうつもりだよ 47話_俺、いきなり独立させられました 424 お前がどういう神経しているのか分からん﹂ ﹃強い奴と戦いたい﹄という欲だけで裏切って、禍の団に手を貸したと思ったら、今度は 手のひら返しで俺の眷属になるだと ? と、閃いたんだ﹂ ? ⋮今の立場を利用して3大勢力を脅迫、それに否が応でも首を縦に振らせ、俺を出世 力している現状は利用できるんじゃないか 良いか⋮そう考えた時、今の俺の現状⋮﹃史上最強の白龍皇﹄と恐れられ、禍の団に協 まらざるを得ない現状が我慢ならないんだ。その現状を脱却して頂くにはどうすれば おいて出来る事は極めて少ない。俺はその現状⋮主がリアス・グレモリーの一兵士に留 機会が無い現状⋮幾ら二天龍をも凌駕する強さを持った主でも、今の立場で悪魔社会に だったが故に見下されていた。主は人間から転生して僅か数ヶ月、中級悪魔への昇格の 元72家で最高位だったバアル家を重んずる悪魔は少なくないし、俺は人間とのハーフ てはいるが、一方で血縁や階級が幅を利かせている面も否めない。今の4大魔王よりも きだと考えている。ご存じの通り悪魔陣営は貴族社会、実力が物を言うと口々に言われ それを見て、主を敬う気持ちはより高まった。俺はそんな主が、高い地位におられるべ た圧倒的な力に、敵であろうとその真意を図り、救えそうならば救おうとするその器⋮ う。だが、主を敬う気持ちは少しも変わりはない。いや、あの二天龍をも凌駕して見せ 色が悪いと見るや直ぐによりを戻そうとする⋮俺は傍から見れば典型的な小悪党だろ ﹁確かに⋮アースガルズと戦える程の力量を持った禍の団に鞍替えしたかと思えば、旗 425 させようってか⋮ ﹁お前⋮意外と腹黒いな。それもドス黒いと言うか、まっ黒というか⋮それ程までに﹂ 場には無い。今待機させている仲間も、そのチームのメンバーなんだ﹂ ﹁仰せの通り。これ位の腹黒さが無ければ、入ったばかりの禍の団で、チームを率いる立 全く、史上最強の白龍皇に、禍の団のメンバー⋮それだけでは収まらない位、敵に回 すと危険すぎる奴だ。 魔王様達やアザゼルさん、ミカエルさんの判断次第だが、コイツを眷属にしたら、責 任もって面倒見ないとな。 ⋮と、出て来たな。 ﹂ ! サーゼクス様から告げられた通知⋮それは﹃3年間だけの上級悪魔の階級と保護観察 ﹁はい 任を全うする様に。良いね﹂ 出来なければ臨時の階級、保護観察官の任は全て没収とし、眷属は解散となる。心して、 歳までに上級悪魔への昇格試験を通過したら正式に保護観察官に任命する。但し通過 君が20歳になるまで。その間に改めて中級悪魔への昇格試験から受ける様に。20 護観察官﹄に任ずる。但し上級悪魔の階級、及び保護観察官の任は臨時の物で、期間は ﹁リアス・グレモリー眷属、兵藤一誠君⋮君を特例で上級悪魔に昇格させ﹃重要犯罪人保 47話_俺、いきなり独立させられました 426 官の任﹄⋮同時にオーフィス︵禍の団の元首領故、恐らくは俺の下に入るかも知れない︶ とヴァーリは最低3年間、俺の監察下に入る事になる⋮という事だ。 何と言うか、ヴァーリの思惑通りの展開になったな⋮まさか、俺が臨時とは言え、い イーヴィル・ピース きなり眷属を持つ立場に、責任重大な立場になるとはな⋮ ﹁こ、これが悪魔の駒⋮ ありがとうございます ﹂ ! 何か吸い込まれて⋮﹂ ! クイーン ﹂ ﹁いっちゃんの女王、レイネル・ブリュンスタッドです ルー ク 以前からの仲の人は、改めて宜しくね 初めましての方は初めまして、 ! ! て行く所存だ。宜しく頼む﹂ ビショップ ﹁イッセーさんの僧 侶、アーシア・アルジェントです よ、宜しくお願いします ﹂ ﹁イッセーの戦車、ゼノヴィアだ。今後、我が新しい主であるイッセーを守り、盛り立て ! ! ││││││││││││ 行き、そして吸収された様に消えた⋮これって、王になったって事だよな。 何気なく王の駒を取ったその瞬間、駒が俺の身体内へと吸い込まれていく様に入って ﹁うおっ たどった16個の悪魔の駒があった⋮俺はこの内の王になる訳か⋮ キング 通知の後に渡されたアタッシュケース型の鞄を開けると、其処にはチェス用の駒をか ! ﹁そしてこれは私から、君へのプレゼント。 悪 魔 の 駒 一式だ﹂ 427 3大勢力の会談、禍の団の襲撃、ヴァーリとの決闘、そして突然の独立⋮そんな騒々 しい夜が明けた今、眷属を率いる立場になった俺と、リアスの眷属から移籍︵リアス曰 く﹁臨時とはいえ独立祝いよ﹂と快く移籍を許可してくれた︶して来たれーちゃんとゼ ノヴィアとアーシア、そして禍の団にてヴァーリが率いていたというチームから、俺の ポー ン 眷属として来てくれた面子との顔合わせをしていた。 ナイト ﹁今回、主イッセーの兵士となった、ヴァーリ・ルシファーだ。至らない点はあると思う が、宜しく頼む﹂ ! 願いします﹂ 宜しくお願いします ないでくれよな ﹂ ﹂ 見ての通り、初代孫悟空の子孫だが、それは気にし まあ楽しくやって行こうぜ ﹁イッセーの兵士になった、美猴だ ! ! 説的な君主、アーサー・ペンドラゴンの末裔にしてその名を名乗る、金髪で眼鏡を装着 歴代最強の白龍皇と呼ばれたヴァーリは勿論⋮古代ブリテン︵今のイギリスだ︶の伝 何と言うか⋮今更ながら想像以上に濃い面子が揃ったな⋮。 ! ! ! しかもオーフィス様と肩を並べる程の力を持つという一誠様の眷属となれて光栄です ﹁今回、一誠様の僧侶となりました、ルフェイ・ペンドラゴンです あの伝説の赤龍帝で、 ﹁今回、一誠さんの騎士となりました、アーサー・ペンドラゴンです。妹共々、宜しくお 47話_俺、いきなり独立させられました 428 429 した端正な顔立ち、スーツを着用した紳士風の男、アーサー⋮そのアーサーの妹にして 伝説の魔女モルガンに倣った名を名乗る小柄で、如何にも魔法使いだと言わんばかりの 服装の少女、ルフェイ⋮そして極めつけは初代孫悟空の子孫である猿の妖怪で、見た目 やら何やらまで俺が抱いている孫悟空のイメージにそっくりの男、美猴。 何と言うか⋮俺、いや俺達︵アザゼルさんを始め、皆して仰天していたからな︶の想 像の遥か上を行っていた。 実力も相当な物で、アーサーは地上最強の聖剣とも言われる﹃聖王剣コールブランド﹄ を使いこなす類稀な剣術の腕を誇り、ルフェイは魔法や魔力の扱い、魔力量に関して天 性の才を持ち、美猴は中国生まれであるが故か中国拳法を極め、仙術と呼ばれる魔法と は一味違った術式に長け、更には筋斗雲を乗りこなしながら如意棒を叩きこむ戦法を得 意だとしている。 ヴァーリを始め此処までの実力者揃い、かなりの駒を消費するだろうと思っていた が、此処で予想外の事態が起こった⋮かつてリアスが俺を転生させた際に起こったらし い、赤龍帝の籠手が原因であろう﹃駒の脈動﹄が此処でも起こったのだ。 特にヴァーリの際にはそれが顕著で⋮7回も脈動した挙げ句、兵士の駒の頭部と言え る球体が、ドラゴンの頭みたいに変形したのだ。 そのお蔭か4人共駒1つで済ませられたが⋮今度、サーゼクス様に聞いてみるか。 余談だが、れーちゃんのランクがリアスの眷属だった頃の兵士では無く女王になって いる事については、俺の女王として、改めて転生の儀を行ったからだ⋮俺にとってれー ちゃんは一番愛する女性、俺にとっての女王は、そのれーちゃん以外に考えられなかっ たから。 ていないし、まだ高校2年生だ、主人として至らない点は多いと思う。こんな俺だが、是 ﹁今回、色々あってお前達の王となった、兵藤一誠だ。まだ悪魔に転生して3ヶ月も経っ ! 非、ついて来てくれ﹂ ﹂﹂﹂﹂ ﹁﹁﹁﹁はい ! して俺達、兵藤一誠眷属の日常もスタートした。 こうして、3大勢力間で﹃駒王条約﹄という俗称で呼ばれる和平条約が締結され⋮そ ﹂﹂﹂ ﹁﹁﹁ああ 47話_俺、いきなり独立させられました 430 5章﹃冥界合宿のヘルキャット﹄ クイーン いっちゃんの ﹁今回、いっちゃんの女王となりましたレイネル・ブリュンスタッドです ルー ク ナイト ﹁イッセーの戦車、ゼノヴィアだ。今後とも指導の方、宜しく頼む﹂ ! ﹂ ! 宜しくお願いします ﹂ ﹁今回、一誠様の僧侶となりましたルフェイ・ペンドラゴンです ! な皆さんと出会えて光栄です ! ! 若手悪魔の中でも有力 ! が、宜しくお願いします ﹁イッセーさんの僧 侶、アーシア・アルジェントです 悪魔として至らない点はあります ビショップ しくお願いします﹂ ましたが⋮成る程、腕の立つ方が多いですね。宜しければ、訓練の際に手合せの方、宜 ﹁今回、一誠さんの騎士となりましたアーサー・ペンドラゴンです。ヴァーリからも聞き ﹂ 宜しくお願いします ! 女王として、正妻として彼を支えて行く所存です ! します﹂ です。悪魔になって日も浅く、そういった常識面を知らない所があるので、指導お願い ﹁改めて自己紹介。今回臨時ながら上級悪魔となり、眷属を率いる事となった兵藤一誠 48話︳アイツらが、悪魔になりました 431 ポー ン ﹁今回、主イッセーの兵士となった、ヴァーリ・ルシファーだ。リアス・グレモリーにソー 皆、宜しくな ﹂ ナ・シトリー⋮俺の望みを聞き入れて頂き感謝すると、貴女方の兄上や姉上に伝言をお 願いしたい﹂ ﹁今回、イッセーの兵士になった美猴だ ! 今後は ! てね﹂ 私の直臣として、宜しく頼むわ。そしてイッセーの眷属である皆、彼を盛り立てて行っ があるわね。リアス・グレモリーよ。イッセー、上級悪魔への昇進おめでとう ﹁改めて、イッセーの元主⋮と言うのは、引き続きイッセーの主人という立場だから語弊 ! 魔とは流石イッセー君 ﹂ おr﹂ ! おっと、部長の兵士、脇澤佳奈だ 改めて宜しくな、 ! ! ﹁だから言わせねぇよフリード イッセー ! ! ﹁リアス部長の騎士、フリード・セルゼンですぜ まだ17にもなっていない中で上級悪 なら直ぐに上がると予想していたけどね﹂ ﹁部長の騎士、木場祐斗です。あっと言う間に先を越されちゃったね⋮まあイッセー君 ﹁⋮リアス部長の戦車、塔城小猫です。イッセー先輩⋮昇進おめでとうございます﹂ びっくりですわ。流石イッセー君ですわね﹂ ﹁リ ア ス の 女 王、姫 島 朱 乃 で す わ。転 生 し て か ら 3 ヶ 月 足 ら ず で 上 級 悪 魔 に な る 何 て 48話_アイツらが、悪魔になりました 432 ﹂ ! ﹁主リアスの兵士、式波塔也。流石はイッセーだな﹂ やっぱ凄いっすイッセー兄さん ! くりです﹂ ﹁会長の僧侶、花戒桃です 宜しくね、兵藤君 ﹂ ! ら1日が経った今、オカルト研究部の部室にて、改めてリアスとシトリー会長、及びそ あの騒動続きだった3大勢力の会談、そして俺の特例での上級悪魔昇進と眷属結成か ﹁蒼那会長の兵士、仁村留流子です。兵藤先輩、昇進おめでとうございます﹂ 世するとはな。不思議には思わないが、びっくりだぜ﹂ ﹁蒼那会長の兵士、匙元士郎だ。お前とは暫くの付き合いだが、まさかトントン拍子に出 ﹁蒼那会長の僧侶、草下憐耶です。機会があれば、指導の程お願いします﹂ ! ﹁蒼那会長の騎士、巡巴柄です。人間だった頃から底知れぬ気配を感じましたが⋮びっ て欲しい﹂ ﹁会長の戦車、由良翼紗。兵藤君の眷属は猛者揃いと聞く。機会があれば是非、相手をし 3ヶ月足らずで上級悪魔に昇進したり⋮兵藤君には驚かされてばかりです﹂ ﹁蒼那会長の女王、真羅椿姫です。人間の頃から私達の気配を察知したり、悪魔になって 属を率いる者同士、互いに切磋琢磨して行きましょう﹂ ﹁駒王学園生徒会長の支取蒼那⋮もとい、ソーナ・シトリーです。兵藤君、今後は共に眷 ﹁リアス部長の兵士、瑠璃星美月っす 433 48話_アイツらが、悪魔になりました 434 の眷属の皆と顔合わせをする事となった︵ギャスパーがこの場にいないのは、流石に大 人数が集まる場に放り込むのは現状宜しく無いという事で俺の家にオーフィスと共に いるからだ︶。 オカルト研究部と言えば、余談だがあの会談の後、アザゼルさんがオカルト研究部の 顧問に就く事になると言い出した⋮なんでも、禍の団の襲撃に備え、研究部の面々を鍛 え上げたいとの事らしい。 それに対してリアスは既に塔也が就いている事、堕天使陣営の長であるアザゼルさん の立場等と言った事から反対するが、 ﹁なら副顧問で﹂と強引に押し通した⋮だからアザ ゼルさん、何やってんすか。 この一件で﹁オカ研の先輩として宜しくお願いします、塔也先生﹂とアザゼルさんに 言われた塔也が緊張し切りだったのが記憶に新しい⋮分かっていてやっていますよね、 それ。 更に余談だが、ヴァーリ達俺の眷属も、2学期のスタートと同時にこの駒王学園に入 る事が決まった⋮ヴァーリとルフェイは俺と同じ2学年の生徒として、アーサー︵英語︶ と美猴︵古典︶は教師として。 ⋮さて、2学期と言えば、その前には所謂﹁夏休み﹂⋮1ヶ月半にも及ぶ長期の連休 がある。 ﹂ 例年なら﹃GRID﹄にて演奏の練習をしたり、はぐれ悪魔を駆除したりしていたの だが、 ﹁冥界に ⋮ああ、アイツらか﹂ ? そう、﹃GRID﹄の仲間である、松田と元浜だ。 がるだろう⋮﹂ ﹁だよな⋮一誠は兎も角、俺まで夏休み中ずっと休むとなると⋮流石にアイツらも不審 な⋮﹂ ﹁ああ、そうだ⋮夏休み中ずっと冥界に行くとなると、練習を全部休まなきゃいけないよ ﹁イッセー ﹁なあ、元﹂ それはそれとして覚悟していた事ではあったが⋮もう1つ問題があった。 加しなければいけない行事もある。 時とは言え上級悪魔になった事で悪魔社会において色々と覚えなければならない事、参 る⋮上級悪魔に昇進したと言っても彼女が俺の主である事には変わりないし、それに臨 今年はリアスの実家⋮冥界のグレモリー家に帰省する彼女に同行する事になってい に今年は眷属が一気に増えたし⋮恋人もできたし、色々と忙しくなるわね﹂ ﹁ええ、そうよ。私達は例年、長期の連休の時は冥界の実家に帰る事になっているの。特 ? 435 今まではこれまで通り度々練習に顔出しして来たが、この夏休みはそうは行かない。 そしてそうなれば、流石のアイツらも我慢の限界、GRIDの解散を要求されかねな い⋮それは避けないといけない。 確かに救い様が無い位に変態な2人ではあるが、それでも練習をサボりがちな俺を、 事情を知らないながらも受け入れてくれ、今までバンド仲間、そして親友として付き 合って来た間柄なんだ。 ﹂ ﹂ アイツらも、れーちゃん達俺の恋人とは違った、﹁大切な存在﹂なんだ。 ⋮よし ││││││││││││ ﹁おお、良いぜイッセー﹂ ﹁⋮どうしたんだイッセー、何か真剣そうな顔しているが ﹁⋮此処じゃあれだからちょっと来てくれ﹂ ﹁ああ、いいぜ﹂ 今後の活動予定について、と聞いて快く応じてくれたが、元浜は俺の様子を察したの だ︶、元と共に、練習中だった2人に声を掛ける。 顔合わせが終わって直ぐ、ヴァーリ達を家に向かわせ︵今の所、俺の家に仮住まい中 ? ? ! ﹁松田、元浜。夏休みの時の活動についてだが、ちょっと良いか 48話_アイツらが、悪魔になりました 436 か訝しんでいた。 ⋮まあ、色々と重要な話だからな、顔に出たのかも知れない。 ﹂﹂ ? ︶、 ! ﹁⋮本当の話だ。経緯は違うが、俺とイッセーは、4月に悪魔に転生したんだ﹂ ﹁う⋮嘘だろ⋮イッセーと匙が、悪魔になっていたとか⋮﹂ いく内に理解出来たのか驚いた様な表情を浮かべた。 所々掻い摘みながら説明をする⋮当初は話について行けなかった松田も、説明を聞いて そんな2人の反応を他所に、俺達は悪魔について、悪魔陣営含めた3大勢力について、 に押し出した様な表情。 表情を見せた⋮松田は言った事が理解出来ないのか呆けた様な表情、元浜は驚愕を前面 俺達2人から、動かぬ証拠である翼を見せられながらの打ち明けに、2人は対照的な ﹁﹁⋮え 悪魔なんだ﹂﹂ ﹁﹁実は俺達︵バサァ ﹁⋮どうしたんだ、さっきから﹂ ﹁な、なんだ。急に改まって﹂ ﹁ああ。早速始めるか⋮2人には、隠していた事がある﹂ ﹁元、2人を連れて来たぜ﹂ 437 さて、どう言われるか⋮俺の両親みたく受け入れてくれるか、或いは拒絶されるか⋮ どの道、今まで通りとは行かないだろう⋮だがそれは覚悟の上だ、今後秘密にしたまま、 ﹂ 誤解を招いてGRIDの絆を壊してしまうより、手遅れになる前にありのまま打ち明け るべきだ、俺はそう思う。 ﹂ ﹁⋮なあイッセー、匙﹂ ﹁⋮何だ、元浜 これって⋮ 戦 イッセー、お前リアス先輩の直臣になったんだろ 話付 ﹁リアス先輩の眷属の枠って、今空いているか ⋮へ ﹁俺、リアス先輩の眷属になる テロとの戦いだぞ ゲームとは比べ物にならない位の極限の緊張 悪魔になるってどういう事か分かってんの ﹂ なあ頼むよ けてくれないか ﹁ちょちょ、元浜 場に駆り出されるかも知れねぇんだぞ ﹂ !? !? その禍の団だとか言う組織との戦いが終わったとして 下に放り込まれるかも分からねぇんだぞ ? !? ! ? !? !? ? ! ? ! けど俺はイッセーを救ってくれたリアス部長に付いて行きたい だ ! 俺の親友を救ってく なきゃならなくなる事も、はぐれ悪魔とかいう野郎と戦わなければならねぇ事もな も、レーティング・ゲームだとか言う戦争みたいなゲームで主人の勝利に貢献して行か ﹁んな事は分かっているよ松田 !? ! 48話_アイツらが、悪魔になりました 438 ﹂ 俺位の力じゃあ戦力にはならないかも知れないけど、それでも 成し遂げたいんだよ、俺は ﹂ 俺 ! れた恩を返したいんだ ﹂ ﹂ 俺1人だけ高みの見物なんてしないぜ お前がリアス先輩の眷属になるって言うなら俺もなる それでも何かリアス先輩の為に出来る事があれば 元浜⋮ ﹁⋮ああ、分かったよ元浜 達GRIDは常に一緒だ 松田⋮ 俺達は親友だろ ﹂ ﹁松田に元浜⋮いや、大輔に良太⋮お前ら⋮ありがとうな⋮ ﹁何言ってんだよイッセー 早く言ってくれよな 全く水臭いぜ ! ! 代物らしい。 鬱 付加する神器だそうだ。 良太の神器は﹃躁 の 音﹄という、 ﹃波﹄に生物の神経や精神に干渉する効果を インフレーション・デフレーション 大輔の神器は﹃爆 裂 真 紅﹄という、 ﹃爆破系﹄と呼ばれるカテゴリでは最高ランクの ブラスティング・ドラム 太のランクは僧侶となった。 れもアザゼルさん曰く﹁かなりのレア物﹂である事が判明し、大輔のランクは戦車、良 こうして大輔と良太は、リアスの眷属となった⋮余談だがその際、2人共神器持ち、そ ﹁そうそう ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! 439 49話︳俺達、冥界に入りました ﹂ ﹁リアスちゃんの実家って、悪魔の偉い方なんでしょう にならないかしら そしたら正装じゃないと失礼 ? ちゃならない⋮父さん、サイズ的に俺に合いそうな和服無い ﹂ ﹁そうだな。それに俺も臨時だとは言え上級悪魔になったし、色々な行事にも行かなく ? そりゃまた変わったリクエストだな⋮和服か⋮あるかな⋮﹂ ? 宜しいか ﹂ ﹁了解した、イッセー﹂ ﹁部長の実家か⋮何だか今から緊張して来たよ﹂ しかも俺自身も上級悪魔、故に周囲から舐められない様な恰好・立ち振る舞いをして行 母さんも言っていたがグレモリー家は魔王様を輩出した悪魔の中でも由緒ある家柄、 冥界へ行く日が迫っている今、俺達はその準備に取り掛かっていた。 ﹁俺もだよ、れーちゃん﹂ ﹂ ﹁主イッセー、和服なら融通して頂ける存在に心当たりがある。少しこの場を空けても ﹁和服 ? ? ? ﹁ああ、頼むぜヴァーリ。ゼノヴィア、同行を頼んで良いか 49話_俺達、冥界に入りました 440 かないとならない︵和服をチョイスしたのは、スーツだとサイズの許容範囲が狭いし、今 から俺用の奴を買うとなると間に合わず、制服だとありきたり過ぎるからな︶。 その点も気を付けなければならないが、一番の問題は、リアスと俺との関係だ。 大分前の話ではあるが、かつてはグレモリー家とフェニックス家、更にはサーゼクス 様主導でリアスとあの焼き鳥野郎との婚儀が結びかかっていて、焼き鳥野郎とのレー ティング・ゲームに勝利した事でそれは破談した。 それについては両家も納得していた事ではあるも、その後の俺とリアスとの関係はど うか⋮れーちゃんがいながらリアスにアーシアにゼノヴィアにオーフィスとも恋人と なった俺⋮そんな俺に叩き潰されたとなれば面白くないだろう。 サーゼクス様は特に気にした様子は無かったが、授業参観の時に少し話しただけのリ アスの父さんや、まだ会った事もないリアスの母さんはどうなるか⋮ ││││││││││││ 普通其処は魔法陣か何か、とにかくオカルト的な ? ﹁そういやこの街って悪魔が管理を請け負っていたんだった⋮駅に関係者を配置しても 物っしょ﹂ ﹁色々と人間に影響され過ぎじゃね ﹁悪魔の技術ってすげぇ⋮人間界と冥界とを繋ぐエレベーターとか⋮﹂ ﹁ま、まさか何時もの駅の地下深くが冥界の駅だったなんて⋮﹂ 441 不思議じゃないよな⋮﹂ ﹁ほぇー、此処が冥界⋮﹂ そして迎えた冥界のグレモリー家への帰省︵いや、俺達の場合は合っているのか ﹁聞いていたイメージとは少し違うな﹂ ︶の 何しろこの街の駅に設置されているエレベーター、それが何時もの表示よりも更に下 驚きの声を上げていた。 日⋮冥界は初めての俺達6人︵俺、アーシア、ゼノヴィア、フリード、大輔、良太︶は ? の階を表示して、到着したと思ったらもうそこが冥界だからな、色んな意味でびっくり だ。 ﹁あ、あはは⋮いっちゃん大丈夫 ﹂ ﹁おーい、早く行かないと置いて行くぜ ﹂ ? ? ⋮流石に下駄はやり過ぎか ? ﹁イッセー、早く﹂ ! も和服だったな︶から貰った和服に合わせようとチョイスした、下駄に履きなれないか た和服を融通してくれる心当たりがアザゼルさんだった。確かに俺が依頼で伺った時 オーフィスと佳奈の呼び出しに急いで向かうも、アザゼルさん︵ヴァーリが言ってい ﹁分かった、今行く ﹂ ﹁びっくりするのも無理は無いわね⋮朱乃達も最初はそうだったもの﹂ 49話_俺達、冥界に入りました 442 s ﹂ 今日は俺達GRIDの特設ライブに集 らか思う様に走れない⋮今後慣らしていかないとな。 ﹂﹂﹂﹂﹂ s and Girl ││││││││││││ ﹁Hey,Boy まってくれて﹂ ﹄ ﹁﹁﹁﹁﹁ありがとー ﹃Yeah まずはドラムのDaisuke 火を噴くドラミングを見せてやるぜ ﹁それじゃ早速メンバーの紹介だ ﹁ドラムのDaisukeだ ﹂ ﹂ ! ! ! 俺のベースに熱狂するなよ ﹂ ﹁続いてベースのRyota ﹁ベースのRyotaだ ! 連れて来たぜ よ ﹂ キーボードのArthur のOrphith ﹂ ﹁いや俺達悪魔だからな ﹂ ! ! 浄化させたらマズいからな コーラスとレディースボーカル ! ! ﹁我、ボーカル﹂ ! ! ﹁初めまして、キーボードのArthurです 私のキーボードは、全てを浄化させます ! ﹁今日はキーボードとコーラスのGenshiroがいないから⋮サポートメンバーを ! ! ! ! ! ! 443 ﹂﹂﹂﹂﹂ 以上、今日はこの5人で﹂ ﹁最後はこの俺、ギターとメンズボーカルのIssei い ﹄ ﹁﹁﹁﹁﹁派手にやるぜ ﹃Yeah 俺の旋律に付いて来られるか ! 私、感動しました ﹂ ﹂ ! あ中の人ネタという事で。 ﹂﹂﹂﹂﹂ ﹂ ﹁メンバーの紹介も終わった所で、一曲目スタートだ ││││││││││││ ﹁﹁﹁﹁﹁﹃BraveHeart﹄ ﹁かっこいい、かっこいいよ、いっちゃん ﹁凄く良い曲でしたイッセーさん 一曲目は俺達の18番 す﹂とキーボード担当としてアーサーが入った⋮コーラス担当がオーフィスなのは、ま シトリー会長の帰省に同行した元はいないが、代わりに﹁鍵盤楽器には自信がありま からな、読者の皆︶。 というのもあってやる事となった︵普通はこういう公共の場で、独断でやったら駄目だ スの﹁イッセーの歌声を、ライブの形で聞きたいわ﹂という頼みから、列車が貸しきり グレモリー家の領地に向かう途上の列車の中で急遽始まったGRIDのライブ、リア ! ! ? ﹁これがイッセー率いるGRIDの音楽⋮凄いわ⋮﹂ ! ! ! ! ! 49話_俺達、冥界に入りました 444 ﹂ ﹂ 変態コンビっ振りは何処えやらって奴 ﹁これが、イッセー達が奏でる、ジャパニーズロックという奴か⋮凄い迫力だ⋮﹂ ﹁お兄様のキーボード演奏も凄かったです ! ﹁大ちゃんも良ちんも、いい味出していたねぃ か ﹂﹂﹂﹂﹂ ! た、やった甲斐があったぜ 観客の皆、何かリクエストは無いかい さて、列車にいる時間は長い、このまま二曲目行くか ﹁この勢いで二曲目に移るぜ ﹂ ? 良いぜ ﹂ それじゃあ二曲目はゼノヴィ ﹁そしたらイッセー、授業参観の時に鼻歌で歌っていたあの曲をお願いできるか アのリクエストで﹂ ﹂﹂﹂﹂﹂ ﹁﹃WildFlowers﹄だな、ゼノヴィア ﹁﹁﹁﹁﹁﹃WildFlowers﹄ ││││││││││││ ! ! ﹁タイムリミットか。皆、今日は俺達GRIDの歌を聞いてくれて﹂ ﹁周りが明るくなった⋮皆、そろそろよ﹂ ! ? ! ! ! 曲の終了と共に響き渡る拍手と、所々から発せられる俺達メンバーへの声援⋮良かっ ﹁﹁﹁﹁﹁ありがとー ﹁オーフィスって⋮歌上手いんだな⋮﹂ ? ! 445 ﹁﹁﹁﹁﹁ありがとー ﹄ ! ﹂﹂﹂﹂﹂ ! を示す真っ暗から日が暮れる寸前の様な紫色の空が広がった⋮これが、冥界⋮ 何曲か演奏を続けていると、窓からの景色が一変し、それまでのトンネル内である事 ﹃Yeah 49話_俺達、冥界に入りました 446 リアスお嬢様と眷属の皆様 ﹄ ﹂ ﹄ 50話︳俺達、主の実家に招かれました ﹃お帰りなさいませ 兵藤様と眷属の皆様 ! びっくりした⋮皆出迎えに来た執事か何かか ﹃ようこそおいで下さいました ﹁うおっ ? ! ﹁久しぶりですグレイフィアさん、流石は名門って言われているグレモリー家って所で ﹁ただいまグレイフィア。元気そうね﹂ 様、道中お疲れ様です﹂ ﹁お帰りなさいませ、リアスお嬢様に、その眷属の皆様。そして兵藤様とその眷属の皆 うか⋮イマイチ、臨時とはいえ俺もその仲間入りしたという実感が沸かない。 てくれた大軍に礼を言う⋮これが何時ものグレモリー家の、いや、貴族の光景なのだろ そしてその轟音にびっくりした俺とは対照的に、気にした様子もなくリアスは出迎え た⋮す、スゲェ⋮ モリー家から出迎えに来たであろう執事やメイドの大軍からの挨拶の轟音が鳴り響い 列車が駅に到着し、俺達がホームに降りると、待っていましたと言わんばかりにグレ ﹁ええ、そうよ。ただいま、皆。お出迎えしてくれてありがとう﹂ !? ! ! 447 すか⋮信じられない光景を見た気がします﹂ ﹁兵藤様も臨時とはいえ上級悪魔となった身、そしてその力量があれば直ぐにでも﹃臨 時﹄の文字は消えるでしょう、今から慣れる事をお勧めします。それでは皆様、馬車を 何台か手配しましたのでお乗り下さい。本邸までこちらでご案内します﹂ ﹁⋮私達とイッセー達は此処で一旦お別れかしら﹂ ﹁⋮そう、だな。俺は仕事の関係でヴァーリ達を監視しなければならないしな﹂ 徹底されているな︶に乗り込もうとするが⋮多くても10人位か、このサイズ 大軍から出て来たグレイフィアさんの案内で俺達は馬車︵ここら辺も貴族の何時もの 光景か だと。 面倒も見なきゃならないし、俺はオーフィスとヴァーリとアーサーとルフェイと美猴 ⋮仕方ないな、リアスは大輔と良太︵冥界は初めて︶とギャスパー︵対人恐怖症︶の ? ﹂ ! ﹁ああ、此処だ﹂ ﹁ゼノヴィア﹂ ﹁はい ﹁そんじゃあ、点呼取るぞ。れーちゃん﹂ 別々の馬車に乗り込んだ。 ︵元テロリスト︶を監視する必要がある⋮そう結論付け、後ろ髪引かれながらも俺達は 50話_俺達、主の実家に招かれました 448 ﹁アーサー﹂ ﹂ ! ﹂ ! ﹂ ! ││││││││││││ グレモリー家本邸への道へと馬車を進ませた。 点呼で全員いる事を確認した俺のゴーサインに返事した運転手さんは手綱を操って、 ﹁了解しました、兵藤様﹂ ﹁良し、全員いるな。運転手さん、出発して下さい﹂ ﹁ん﹂ ﹁最後にオーフィス﹂ ﹁おう ﹁美猴﹂ ﹁此処に﹂ ﹁ヴァーリ﹂ ﹁はい ﹁ルフェイ﹂ ﹁は、はい ﹁アーシア﹂ ﹁はい、此方に﹂ 449 す、スゲェ⋮ ﹂ ﹁兵藤様、到着いたしました﹂ ﹁はい⋮ ! ﹄ ! ! ﹃兵藤様と眷属の皆様、ようこそおいで下さいました ﹁ど、どうも、お出迎えありがとうございます﹂ お帰りなさい ﹂ ! と、そこへ、 ﹁リアスお姉様 ! 流石に2回目だからこの轟音は予想できたので、戸惑いつつも挨拶した。 ﹁ただいま、今帰ったわ﹂ ﹄ る執事とメイドの列⋮つくづく、名門って凄いなと思える。 更には俺の目前に立っている門、そしてその隙間から見える、道の両脇で待機してい え立っていた。 知らせに応じながら外に出ると、其処には⋮巨大、と言うしかない位にデカい城がそび 馬車が走り出して1時間近くは経っただろうか、馬車が止まり、運転手さんの到着の ﹁ほぇー、凄いお城です⋮﹂ ﹁流石は名門グレモリー家という所か⋮﹂ ﹁お、大きい⋮﹂ ! ﹃リアスお嬢様と眷属の皆様、お帰りなさいませ 50話_俺達、主の実家に招かれました 450 ? 紅い髪の男の子がリアスに抱き付いて来る⋮紅い髪、何処かリアスに似た顔付き⋮リ アスの親族か何かか ? ﹂ ﹂ サーゼクス様の⋮て事は、母親はグレイフィアさんか あの、貴方は ﹁ミリキャス、久しぶりね ﹁はい ? ! なったんだ。宜しくな ﹂ ﹂ あの、イッ ! さん︵余りに若い外見から、俺を始めとした数人がリアスの姉さんかと思った⋮どうや それから城の中に入った俺達は、途中で出迎えてくれたリアスの母さん、ヴェネラナ ﹂ セー兄様と呼んでも良いですか ﹁貴方が、お父様が言っていた ﹁はい、イッセー兄様 ! ││││││││││││ 兄様、か。 ﹂ ! ﹁に、兄様⋮ああ、良いぜ ? ! ! 話に聞いていた通り、凄く格好いいです ﹁俺 は 兵 藤 一 誠。つ い 最 近 ま で リ ア ス の 眷 属 だ っ た ん だ け ど、色 々 あ っ て 上 級 悪 魔 に ! ? ﹁この子はミリキャス、ミリキャス・グレモリー。お兄様の子で私の甥なの﹂ ﹂ ﹁リアス、その子は 451 ら余剰の魔力で外見を維持しているとの事⋮改めて、悪魔ってすげぇ︶と自己紹介を交 わしつつ、グレイフィアさんの案内で各々に割り振られた部屋に入った⋮あと少しした らリアスの父さんも帰って来るらしく、その時に合わせて夕食に呼ばれるとの事だ。 さあ、どうなるか⋮ ﹁兵藤様、夕食の支度が整いました﹂ ﹁はい、今行きます﹂ ﹂と言って結婚の許しを グレイフィアさんの呼び出しに応じ、俺は部屋を出る⋮何だか今、戦場に出陣する兵 士みたいな気分だ、良くドラマとかで﹁娘さんを俺に下さい 得ようとするシーンがあるが、その時の男の心情も、似た様な物なのかも知れないな。 ! ﹂ ⋮つまり、夕食前に俺に話がある、という事か。 ? ﹁時に兵藤一誠君⋮いや、堅苦しいからイッセー君、と呼んで良いかい ﹁は、はい﹂ ? ネラナさん⋮3人だけ 席にいるのは、俺、リアスの父さん⋮長ったらしいからグレモリー卿で良いか、ヴェ 普段ならしない様な言葉遣いになりつつも、案内された席に着く。 ﹁は、はい。今日はご招待いただきありがとうございます﹂ ﹁兵藤一誠君、今日は良く来てくれたね。歓迎するよ﹂ ﹁兵藤様をお連れしました﹂ 50話_俺達、主の実家に招かれました 452 来た⋮ ! ⋮えーと ﹂ ? 乱すと素数を数えて止まらなくなってしまう癖があって﹂ ﹁あ、あはは⋮ところでヴェネラナさん、今の話ですが⋮その⋮﹂ ? と参加しなければならない行事もあるでしょう⋮明日の若手悪魔の会合も、リアスと共 ﹁はい、ヴェネラナさん達に挨拶をするのもそうですが、俺も上級悪魔となった身、色々 ﹁その話ですが⋮イッセー君は、暫くこちらに滞在するのでしょう ﹂ ﹁あら、本当に素数を数え出してしまったわ⋮御免なさいねイッセー君。うちの人、取り 7、19、23、29⋮﹂ ﹁そ、そうだな。どうも私は急ぎすぎるきらいがある⋮2、3、5、7、11、13、1 の状態で持ち出しても、話が纏まりませんわ﹂ ﹁貴方、まだまだ浮かれるにはまだ早い、という事ですわ。この場で中の人ネタが出る程 無い縁だ、素数でも数えていないと平静になれん﹂ ﹁う、うむ。しかし、めでたいではないか。我々にとってもリアスにとっても、願っても ﹁貴方、性急にも程がありますわ。イッセー君が反応に困っているでしょう﹂ ? ﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮へ ﹁⋮今日から、私の事はお義父さんと呼んでくれても構わない﹂ 453 に招待されていますし﹂ ﹁その行事において恥ずかしくない様、貴方には紳士的な振る舞いも身に着けて貰わな ければなりませんから。こちらでマナーや悪魔社会の歴史に文字、その他諸々の学習を して頂きます﹂ も提出する必要があるでしょうし、今から学ばなければと思っていた所です﹂ ﹁有難いです。サーゼクス様から重要犯罪人保護観察官の任も受けた以上、報告書の類 ﹁職務熱心ですね。その信念を忘れないようにお願いしますわ。 ⋮それって⋮ 将来、リアスを嫁として預ける家の頭首として、恥ずかしくない様に﹂ ! 覚悟を決めた⋮ その後にヴェネラナさんから聞いた話で、俺は色々な意味で仰天すると共に、1つの 見もまだ聞いておりません。今は頭の片隅に置くだけでも構いませんわ。ですが⋮﹂ には将来を共にする存在が既にいる事、サーゼクスから聞き及んでいます。リアスの意 ﹁あ、言葉が足りませんでしたわね。正妻の座を狙っている訳ではありませんわ。貴方 50話_俺達、主の実家に招かれました 454 51話︳俺達、若手悪魔の皆と出会いました ヴェネラナさんから衝撃の事実を知らされた翌日、俺達はサーゼクス様達魔王様が統 治する領地、その中の都市ルシファード︵旧魔王ルシファー様が統治していたと言われ ているらしく、それに因んでこの名が付いたらしい︶にある、若手悪魔の会合の会場に 来ていた。 今日の会合に参加する若手悪魔は、俺、リアス、シトリー会長含め7人の王と、その 眷属だとか⋮しかもそのうちリアスとシトリー会長含めた4人が現魔王様の兄弟姉妹、 更に元72家でも最高位である大王バアル家、第2位の大公アガレス家の次期当主も参 ﹂ 加するそうだ⋮その中に、最近上級悪魔になったばかりの俺が割って入る訳か、少し緊 張するな。 ﹁サイラオーグ その方向に顔を向けると、其処にはサイラオーグと呼ばれた1人の男が、恐らく眷属 ﹁久しぶりだな、リアス﹂ スが知り合いを見つけたらしく、呼びかける。 電車を降りてすぐの場所で待機していた係員さんに連れられてホールに入ると、リア ! 455 であろう数人の悪魔を連れていた。 年齢は俺と同じか少し上位、アザゼルさんに迫る位の上背でがっしりした体格、黒の 短髪に野性的な風貌で⋮何か、佳奈や時雨に似た雰囲気を感じるな。 ﹁アイツ⋮出来るな﹂ 後ろで佳奈も絶賛する辺り、相当な実力と見て良いだろう。 ﹁ええ、懐かしいわ。変わらない様で何よりね。あ、初めての人もいたわね。彼はサイラ オーグ、サイラオーグ・バアル。私の母方の従兄弟なの﹂ ﹂ ? の白龍皇﹄とまで呼ばれた彼を、な。その油断なく、しかしながら不敵に佇むその姿、納 ﹁君こそ、其処にいる白龍皇を圧倒した挙げ句、眷属にしたそうじゃないか。﹃歴代最強 程の実力を持っていると見た﹂ ﹁ああ、兵藤一誠だ。貴方がバアル家の⋮凄いな。気迫がびりびりと伝わって来る。余 ﹁君が、最近上級悪魔に昇進したという、リアスの元眷属か と、サイラオーグが俺を見つけるや否や、こちらに歩み寄って来た。 のか⋮グレモリー卿が何処か頭が上がらないという感じがしたが、そういう訳か。 というか話を纏めるとヴェネラナさんって、バアル家からグレモリー家に嫁入りした へぇ、大王バアル家の次期当主⋮どおりで存在感が凄い筈だ。 ﹁俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ﹂ 51話_俺達、若手悪魔の皆と出会いました 456 得だ。機会があれば、拳を交えたい物だ﹂ そのがたいのよさに違わず、どっしりとした雰囲気⋮やっぱり出来るな、大王バアル ﹁ああ、宜しくな﹂ 家次期当主の名は伊達じゃないって事か。 ﹂ その様にライバル心を擽られつつ、握手を交わす。 ﹁ところで、こんな通路で何をしていたの 他のメンバーも来ているの て来た所か、何があったんだ ﹁下らない ﹂ ? ︵ドォォォォォォォォォォン ︶⋮嘘だろ ! ﹁魔王様が来られる場で乱闘かよ⋮マナーがなっていないな﹂ ﹁全く⋮だから開始前の挨拶等いらないと進言したんだが﹂ ? で も 魔 王 様 も 来 ら れ る 様 な 場 と な れ ば、 口 論 に 留 ま る ん だ r あれか、同期のライバル同士の敵愾心が故の場外戦って奴か。 たら早々に、ゼファードルとアガレスがやり合い始めたんだ﹂ ﹁アガレスとアスタロトの次期当主、挙げ句ゼファードル・グラシャラボラスもな。着い ? ? 出て来た⋮恐らく奥の方の扉、あそこに待合室か何かがあるんだろうが、其処から出 ﹁ああ、下らないから出て来たんだ﹂ ? 457 死ぬの 死にたい 気になった様子で扉へ向かうリアスに続くように、俺は和服の帯に取り付けたホルス 殺しても上に咎められないかしら﹂ ﹂ だから だから未だに男も寄って来ず 俺が折角そっちの個室で一発仕込んでやるって言って ? ターから鉄球を1つ取り出して、サイラオーグと共に中に入る⋮と、 の ﹁ゼファードル、こんな所で戦いを始めても仕方ないのではなくて 言ってろよクソアマが ? ったく、魔王眷属の女どもはどいつも処女臭くて敵わないぜ んのによ、アガレスの姉ちゃんはガードが固くて嫌だね ﹁ハッ に処女なんだろ こそ俺が開通式をやろうっつってんだろ ! ! ? 王様が来られる会合だろ、外聞だとか良識だとか微塵も考えないのかコイツらは⋮ その周囲はテーブルや装飾品など、周囲の物が壊され、散乱していた⋮おいおい、魔 た。 ゼファードル・グラシャラボラスだろう⋮が互いに今にも飛びかからんと対峙してい うな風貌通りの品性の欠片も無い台詞を吐く男⋮こっちはサイラオーグが言っていた、 ボン、緑の短髪にタトゥーが刻まれた顔、と何時の時代のヤンキーだよと突っ込まれそ 恐らく大公アガレス家の次期当主だろう⋮と、上半身裸に近い服装、装飾品だらけのズ 眼鏡を掛け、青いローブを着た高貴そうな見た目に似合わぬ物騒な台詞を吐く女性⋮ ! ? ! ! ﹁此処は時間まで待機する広間だったんだがな。もっと言えば、若手が集まって挨拶を 51話_俺達、若手悪魔の皆と出会いました 458 交わす場でもあったんだ。ところが若手同士で挨拶したらこれだ。血の気の多い連中 を集めるんだ、問題の1つも出る。挙げ句、それをも良しとする旧家や上級悪魔の古い 悪魔達はどうしようもない﹂ ﹁あ ﹂ ﹂ ⋮来やがったなこの棚ボタの成り上がり野郎が たもんだ ⋮俺の事か ? 良くもまあふんぞり返って来れ ! ﹂ ﹁惚けんじゃねぇよ、呼ばれた奴の中でお前以外に成りあがり野郎なんざいねぇ 悪魔から偶々上げて貰ったばかりの癖してデカい面しやがって ︶ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹂ ! で﹂ ﹁てめぇ調子こいてんじゃ︵ドゴォォォォォォ ! 下僕 ﹁由緒正しき家柄の癖にお下劣でバカ丸出しよりは千倍もマシだと思うがな、いや本気 ! ! げられた奴って映る訳か⋮少しカチンときた。 棚ボタの成り上がり野郎⋮成る程な、外から見ればヴァーリの策で上級悪魔に持ちあ ﹁は ? ! ? 欠いていると思われかねない。 が、此処までとはな⋮3大勢力が協定を結んだというのに、これでは他勢力に纏まりを ﹃悪﹄魔と名乗っている辺り、人間の常識が通じない部分もあるだろうと覚悟していた ﹁⋮何処の極道マンガだ、それ﹂ 459 言い分に腹が立ったので即座に言い返してやったら食いついて来た、詰め寄って来た ゼファードルの腹に向けて、鉄球を手首のスナップだけでぶち込む⋮こう言う時、和服 ﹂ ﹂ のゆったりとした袖って便利だよな、傍から見れば俺が何もしていないのにゼファード ﹂ ルが何故か急に後ろに吹っ飛んでいる様にしか見えない。 ﹁主 アイツが勝手にぶっ飛んだだけだろ ﹁おのれ貴様、我らが主に何をした 何を言ってんだお前ら ? ﹂ ! アガレス、そっちも化粧直しをした方が良い﹂ ? 魔力とは違う、何か強烈な力を感じた﹂ ? ﹁これは⋮鉄球 ﹂ ﹁⋮流石に御見通しか。コイツだ﹂ ﹁兵藤一誠、今の攻撃は がり、この場は治まった。 にその際、プレッシャーみたいな物を連中に向けて放っていたみたいだ︶お蔭で引き下 その様子にゼファードルの眷属が俺に詰め寄るも、サイラオーグが庇ってくれた︵更 ﹁⋮くっ り、主の回復の方が先じゃないのか ﹁兵 藤 一 誠 が 手 を 出 し て い な い の は 明 ら か だ。そ ん な 下 ら な い 言 い 掛 か り を 付 け る よ ! ﹁は 貴様が手を出したn﹂ ? ! !? ? ﹁ふざけるな 51話_俺達、若手悪魔の皆と出会いました 460 ? ﹁ああ、俺の能力をベースに編み出した技術を使って、コイツをぶちこんだ﹂ は闘志がにじみ出ていた⋮もしかしてヴァーリに似た戦闘狂か そう結論付け、俺達は係員の呼び出しに従って、会場に入って行く。 まあ、サイラオーグの細かい人となりは後でリアスから聞くか。 ぞ﹂ ﹁皆様、大変お待たせしました。魔王様他、来賓の方々が来られました。こちらへどう ? 俺がゼファードルをノした鉄球に興味深々といった様子のサイラオーグ、その目から ﹁成る程、磨き上げた技術の賜物という事か⋮ますます、戦いたくなった﹂ 461 52話︳俺、夢を語りました ﹁私の名はシーグヴァイラ・アガレス。大公アガレス家の次期当主です﹂ 案内の途上、俺達は自己紹介を始めた。 最初に名乗ったのは先程ゼファードルとやり合っていたアガレス家の次期当主であ るあの女性、公私は分けるのか先程の物騒な雰囲気はなりを潜めていた⋮分ける部分が ズレていると思うが。 ﹁僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。皆さんよろしく﹂ さっきの場にも居合わせていたらしいが、どうやらやり合いには参加せず隅っこで待 機していたそうで気付かなかった。 どうやら魔王アジュカ・ベルゼブブ様はアスタロト家の出で、このディオドラもリア スやシトリー会長と同じく魔王様の兄弟姉妹だそうだ⋮が、何か気になる。 何と言えば良いか、一見優しそうなイケメンという風貌にしては、何処かどす黒さを 感じる、と表現するべきか⋮ ﹁私はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です﹂ ﹁私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ﹂ 52話_俺、夢を語りました 462 ﹁俺はサイラオーグ・バアル。大王バアル家の次期当主だ﹂ 続いてリアスにシトリー会長、サイラオーグ。 やはり魔王の妹であるリアスとシトリー会長⋮と言うべきか リアスに言ったら怒 で、俺か︵ゼファードルの野郎は治療の為に少し遅れるらしい︶。 いる。 られるか⋮それに、大王家の次期当主であるサイラオーグだ、堂々とした佇まいをして ? ﹂ ? いうなら、あれも納得だ。 前々からそうなら相応の指導をされていた筈だが、次期当主の座を得て幾ばくも無いと 次期当主と目された人物があんな立ち振る舞いをしていてはその家の恥も良い所だ、 ﹁成る程、代打って訳か﹂ ドルが新たな次期当主の候補となった、という事だ﹂ とされた者が不慮の事故死を遂げられたばかりなんだ。それで、その弟であるゼファー ﹁ああ、それだが⋮グラシャラボラス家は先日、御家騒動があったらしくてな、次期当主 て魔王ファルビウム・アスモデウス様を輩出した所だろう⋮何であんな奴が ない部分があるが、宜しくな⋮所でゼファードルの奴だが、確かグラシャラボラス家っ に、臨時ながら上級悪魔に取り立てて貰った身だ。人間から悪魔となって数ヶ月、至ら ﹁俺は兵藤一誠。最近まで先程紹介のあったリアスの眷属だったんだが、この度魔王様 463 ││││││││││││ 俺達若手悪魔7人と、その眷属が案内された場所は、何処か異様な雰囲気を醸し出し ていた。 俺達の周囲を囲む様な壁、その高い位置には恐らく上層部であろう悪魔の面々が座 り、更に一段上にはサーゼクス様やセラフォルー様、更に何処か怪しそうな雰囲気を出 す美形の青年⋮確かアジュカ様だったな、そして何処か気だるそうな雰囲気の少年⋮ こっちはファルビウム様だったな、現魔王の皆様がいた。 て確認する為に、集まって貰った。これは一定周期毎に行う若き悪魔を見定める会合で ﹁今回の会合に良くぞ集まってくれた。今回、次世代を担うであろう貴殿らの顔を改め もある﹂ 力を高めて貰おうと思っている﹂ ﹁君達7名は実力申し分の無い次世代の悪魔だ。故に、デビュー前にお互いに競い合い、 されていた⋮やらかした俺が言うのもアレだが、少しウケるな。 を追うとさっき俺の鉄球を食らったゼファードル、その腹部には包帯がぐるぐる巻きに 告げる挨拶をし、それに続いて中年位のひげが凄い男性が皮肉げに言い放つ⋮その視線 上層部の中でもトップ︵魔王様以外でな︶にいるであろう初老の男性が会合の開始を ﹁早速、やってくれた様だが⋮﹂ 52話_俺、夢を語りました 464 ﹁我々もいずれ禍の団との戦いに投入される、そういう事ですね ﹂ サーゼクス様が俺達を見回しつつそう告げ、サイラオーグが尋ねるも、 ? 若いとは言えど、我らとて悪魔社会の一端を担っております。この歳にな ? 分かっている、頭の中では分かっている⋮けど⋮ ! は﹃絶対﹄に近づける様努力する時間なんだ、と言っているんだろう。 だが﹃絶対﹄が無くとも、それに限りなく近づける事は出来る⋮サーゼクス様は、今 んな﹃絶対﹄が、通じる程甘く無いんだ。 らない⋮﹃絶対に帰って来る﹄ ﹃絶対に勝つ﹄ ﹃絶対に守る﹄ ﹃絶対に倒して見せる﹄⋮そ 確かに、他の6人もそうだが俺も強いと思っている、だが戦場では何が起こるかが分か その答えに納得が行かないとサイラオーグは食いつくも、サーゼクス様は訳を話す⋮ だ。だからこそ大事に、段階を踏んで成長して欲しいと思っている﹂ りにも大きいんだ。理解して欲しい、君達は君達が思う以上に、我々にとっては宝なん ﹁サイラオーグ、その勇気は認めよう。だが無謀だ。何より、次世代の悪魔を失うのは余 るまで先人の方々からご厚意を受けて尚、何も出来ないとなれば⋮﹂ ﹁何故です サーゼクス様の答えは﹃NO﹄だった。 る﹂ ﹁それはまだ分からない。だが出来るだけ、若い悪魔達は投入したくは無いと思ってい 465 ﹁さて、長い話に付き合わせて申し訳無かった。なに、先も言ったが私達は若い君達に私 ﹂ 達なりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい、君達は冥界の宝なん だ⋮最後に、それぞれの今後の目標を聞かせて貰えないだろうか ﹃ほぉ⋮﹄ ﹁俺は魔王になるのが夢です﹂ ゲームや冥界の情勢を話し、最後にサーゼクス様がこう問いかけた⋮俺の、目標は⋮ そんな俺の葛藤を他所に、サーゼクス様はじめ上層部の方々は今後のレーティング・ ? 最初に言ったのはサイラオーグ、その堂々と言い切った姿に上層部の面々も感嘆の息 を漏らした。 その物怖じしない姿、凄いな⋮ ⋮む、どうしたんだ 気のせいか ﹁私の夢は冥界にレーティング・ゲームの学校を建てる事です﹂ ? リアスが目標を言おうとした時、一瞬迷う様な素振りを見せた気がしたんだが⋮俺の ? ﹁私は、レーティング・ゲームの各大会で優勝する事が近い将来の目標ですわ﹂ ! ﹁俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう﹂ ﹁大王家から魔王を輩出したとあらば前代未聞だな﹂ 52話_俺、夢を語りました 466 あんな奴の目標なんて碌な物じゃねぇだろ︶らしく、シトリー会長 リアスの様子が気になったからか、シーグヴァイラやディオドラの目標を聞きそびれ た︵ゼファードル ﹁レーティング・ゲームを学ぶ場ならば、既に有る筈だが ﹂ の番となった⋮が、それを聞いて、上層部の面々は怪訝な様子を見せた。 ? ! のも分かる。 ⋮今、笑った⋮ ﹂ ? ﹃ハハハハハハハハハハハハハハハハ ﹁それは無理だ ! ﹄ トを浴びせる場、シトリー会長はそれを作ろうとしているんだろう⋮元の奴が、惚れる そんな学校に通える機会⋮自らの才能を育む機会が殆ど無い存在にもスポットライ は大勢いる。 魔社会では平民への差別も少なからずあろうし、人間社会でも学校に通えない子供たち 現代日本で生まれ育った俺にはイマイチ実感が沸かないが、中世ヨーロッパの様な悪 トリー会長。 成る程、今ある﹃貴族向けの学校﹄ではなく﹃平民向けの学校﹄か⋮良いですね、シ 建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える分け隔ての無い学舎です﹂ ﹁それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみに行く事を許された学校の事です。私が ? 467 ﹂ 夢見る乙女という訳ですな ﹁これは傑作だ ﹁成る程 ﹂ しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がその様な夢を語 ! ! ⋮シトリー会長の夢を、笑ったな⋮ ﹁私は本気です﹂ 幾ら悪魔社会が変革の時期に入っていると言っても変えて良い物と悪い物が ﹂ ﹂ 今何と言った ﹂ こん ﹁黙って聞いていれば何でそんなに会長の⋮ソーナ様の夢を馬鹿にするんですか は本気なんですよ ! ﹁口を慎め、転生悪魔の若者よ。ソーナ殿、下僕の躾がn﹂ ! ⋮黙って聞いていれば、さっきから⋮ ﹁見苦しい ﹁な⋮貴様 !? ! ! !? 俺達 ! なの可笑しいですよ ! あります。全く関係の無い、たかが下級悪魔に教えるなど﹂ ますぞ のが常。その様な養成施設を作っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰す事となり ﹁ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出される ? るとは。此処がデビュー前の顔合わせで良かったと言うものだ﹂ ﹁若いと言うのは良い ! ! ? 叶えられないなんて決まった事じゃ無いじゃないですか 52話_俺、夢を語りました 468 世界の何もかもを破壊しようとする禍の ﹁見苦しい、と言いました。1つお伺いしますが、上層部の皆様は悪魔社会の⋮いや、数 多ある人外社会の現状をどうお考えですか ﹂ しい真似を繰り広げている場合では無いと 悪魔となって幾ばくも無 こんな⋮こんな低レベルな罵詈雑言を並 う。上層部の皆様もそれはお分かりの筈です。他の陣営にその在り様を疑われる、見苦 た天使陣営、堕天使陣営と﹃駒王協定﹄という停戦協定を締結したのも、その現れでしょ 団を排除すべく、今は手を取り合うべく動き出そうとしている所です。嘗て敵対してい ? ! 誰のお蔭でこの場に立っていると思っている べるおふざけをしている場合では無いと ﹁き⋮貴様ぁ ! ! ︶あ、ぁぁぁ⋮ ﹂ く、年端もいかぬ転生悪魔がこの場で、王として立っているのは誰の︵ギロッ ︶ヒィ ! ︵ガタガタっ ⋮全く⋮ !? ! ! ず、サイラオーグが先に言ったのと同じく、魔王になる事です。ですが、その先にも成 ﹁そうそう⋮まだ、俺の目標を言っていませんでしたね。俺の目標は⋮そうですね。ま これが、これが悪魔社会の現状か⋮ 揃って腰を抜かすとは、見苦しいと言う他に相応しい表現があればお教え願います﹂ ば恐怖に慄く⋮転生悪魔から上がったばかりの俺が一睨みしただけで、上層部の皆様 ﹁⋮はぁ、やはり見苦しいですね。下手に出ればふんぞり返り、力の差を見せ付けられれ ! 469 すべき事があります。それは改革です。俺が魔王となった暁には、旧家の利がより豊か になる様導くのもそうですが、同時に今までスポットライトを浴びてこなかった下級悪 それによって、他のあらゆる陣 魔や転生悪魔、彼らの才能に注目し、それを育て、更には利を分け与え、この悪魔社会 において重大戦力となる様な改革を次々と実施します す ﹂ 営と対等に渡り合い、手を取り合える様な悪魔社会に⋮世界に、俺は導いて行く所存で ! ﹂ 一呼吸置き、最後に言い放った⋮俺の、俺の最大の夢を。 ! ﹁俺は新世界の神になる 52話_俺、夢を語りました 470 ! 53話︳俺達、修行方針を受け取りました ﹂ ? わってから今に至るまでそうだ。現状を大いに変えるとなれば、かなりの手間暇がかか す ぎ る。何 時 変 え る か ⋮ 三 大 勢 力 が 結 集 し た、今 だ ろ。だ が イ ッ セ ー、あ の 大 戦 が 終 と、その下の中級、下級悪魔の決定的な身分の差⋮力自体はデカいが付け入るスキも多 閥争いが繰り広げられているそうじゃないか。更には元72家を筆頭にした上級悪魔 派閥の離反をみすみす許したんだし、現時点でも﹃現魔王派﹄と﹃大王派﹄とかいう派 ヴァーリに裏切られた俺が言えた事じゃあ無いが、悪魔陣営も﹃旧魔王派﹄という一大 も囲い込んだ事で加速度的に膨れ上がっている⋮純粋なパワーだけはな。だが、一度は は今、現赤龍帝でもあるお前と現白龍皇のヴァーリ、トドメに無限の龍神オーフィスを ﹁だな。確かに悪魔陣営は、その純粋な能力自体は他の勢力にとって脅威だ。その勢力 発言、あれ程のインパクトが無ければ、腰の重い上層部は身体を上げないだろう﹂ 壮語も甚だしいが、主はそれを成せる程の力を有している。あの会合の場においてあの ﹁いや、俺はそう思わないぞ、主イッセー。確かに他の有象無象の連中がそう言えば大言 ﹁確かに、大言壮語が過ぎましたか ﹁はは、﹃新世界の神﹄ねぇ。随分とまあデカく言い放ったじゃねぇか﹂ 471 るぞ。しかしあの場で言い放った以上、二言は無しだ。覚悟は良いな ﹂ ! ﹂ ? あの日、ミカエルさんと初めて会った時に見た、ミカエルさんの無念さが前面に出た だが、後悔は無い。 のく事と同義だ。 く、それは目標達成が遠のく事⋮俺の目標の1つである、魔王になるまでの道のりが遠 あの場での発言で、上層部の俺への覚えは一気に悪くなったと言っても過言じゃ無 当事者からしてみれば堪ったものじゃ無いのは火を見るより明らかだ。 今回の俺の目標の1つ、 ﹃悪魔社会の改革﹄は、旧家の既得権益にもメスを入れる物で、 との関係だ。 その政治手腕の1つが、関係部署との折衝能力⋮つまりは上層部、もっと言えば旧家 治手腕も求められる立場だ。 魔王は冥界全土の行政を主導する役目がある、純粋な戦闘能力もそうだが、いわば政 確かに少し軽率だったかも知れない。 手悪魔同士のレーティング・ゲームに向けた特訓方針の説明も兼ねて。 来た俺達は直ぐにアザゼルさんに呼ばれた⋮数週間後から行われる事になっている、若 俺の﹃新世界の神﹄発言で幕を閉じた若手悪魔の会合、その後グレモリー領に帰って ﹁はい 53話_俺達、修行方針を受け取りました 472 あの顔⋮あれを見て、俺は決意したんだ。 世界を少しずつでも良い方向に導いて見せると。 アーシアやギャスパー、ヴァーリ⋮他にも世界中に何人もいるであろう、身に宿した 力や血筋によって望まぬ運命に振り回される事の無い世界を作って見せると。 悪魔や天使、堕天使に人間、それに数多ある人外勢力⋮皆が互角に渡り合い、そして 手を取り合える、そんな世界を作って見せると。 あの場で言い放った﹃新世界の神﹄⋮あの言葉の元ネタになった青年が思い描き、影 ﹂ やれると私は信じているよ ﹂ で暗躍する事で実現させようとしたディストピアじゃなくて、俺﹃達﹄が思い描き、表 立って活動する事でユートピアを実現させて見せると。 茨の道なのは分かっている。 途轍もなく長い道のりなのも理解している。 だけど俺には、いや、俺達には、それを成せる力がある。 絶対に、成し遂げて見せる ﹂ いっちゃんなら出来る ! ﹁こんな途方も無い夢を描いている様な俺だが⋮皆、付いて来てくれるか ﹁勿論だよ、いっちゃん ﹁元よりそのつもりだ、主イッセー ﹂ ! ! ﹁イッセーさんが思い描く世界⋮凄いわくわくします ! ! ! ? 473 ﹁私もイッセーの夢の為に、全力を注ごう ﹂ したのもそんな世界だったかも知れません﹂ ﹂ ! よっしゃ、ひと肌脱ぎますか ﹂ ! ﹁イッセー様の理想の世界、私も見てみたいです ﹁面白そうじゃねぇか ﹁ふぁいと、おー﹂ 有難うな、皆。 モチベー ﹁数多の勢力と互角に渡り合い、手を取り合う、ですか⋮我が先祖がブリテンに築こうと ! ﹂ ﹃はい ﹄ さあ、これから始まるんだ、俺達兵藤眷属が⋮ ! ! 余談だが7人という中途半端な枠の関係で、俺達兵藤眷属は夏休み中のレーティン 生き抜いて、今日に至った事はあるな。 方針を説明して行くアザゼルさん、その言葉は威厳に満ちていた⋮1万年前の大戦を に効果が出る奴とそうじゃない奴がいる。それは十分に理解しておけよ﹂ ﹁さて、これから夏休み中に行って欲しい修行の説明をするが⋮この修行において直ぐ ! ションも上がった所で、各自のトレーニング方針を考えてあるから、その説明をするぞ ! ! ﹁お前も、お前の眷属も、覚悟は出来ているみたいだな。良い目付きだ⋮よし 53話_俺達、修行方針を受け取りました 474 グ・ゲームは無い。 俺達のレーティング・ゲームのデビューは二学期になってからだ。 更に余談だがアザゼルさんは、夏休み中にレーティング・ゲームのあるリアス達の コーチも兼任している⋮ご苦労様です。 更に更に余談だが、リアスの対戦相手はシトリー会長達で、コーチはグリゴリの副総 督であるシェムハザさんらしい︵アザゼルさん曰く﹁俺より役立つかも﹂とか⋮そこは しっかりして下さい︶。 ﹂ ﹁まずはイッセー﹂ ﹁はい ! ﹁だがまだ穴も多いと言わざるを得ない。まあ王には必須な統率力や戦略に関してはま ﹁はい、ありがとうございます﹂ 級品だと太鼓判を押せる﹂ 況に応じた最適な行動を編み出し、それを即座に実行できる戦術力と決断力、どれも一 ﹃職人﹄とも言うべき技術力、フェニックス家とのレーティング・ゲームにて見せた、状 様々な戦法を編み出せるその応用力、その過程で生まれた技を極限まで昇華させられる ヴァーリを圧倒して見せたあの無茶苦茶な回転の力もそうだが、自らの持つ力を基に ﹁と い っ て も お 前 の 総 力 は 既 に 俺 を 大 き く 超 え て い る。タ ス ク A C T 4 だ っ た か ? 475 確かにそのアプローチは悪く無い。お前の持っている だまだ未知数だから今回はパスとして⋮今確かカラワーナ⋮じゃなかった、佳奈から八 極拳を習っているんだったか ﹂ 今話題に上がった八極拳は無論、八卦掌に詠春拳、太極拳に少林拳、何でもござ ﹁おう ﹂ 過ぎてイマイチかみ合わせが悪い。これをどうするかが課題だ。美猴﹂ る。だがまだその力は十全とは言えない。身体能力もそうだが、今までの戦法が根付き 薄れちまう。その点、八極拳は接近短打を念頭にしながら、お前の技術を発展させられ 技術は全て中距離以降で全力を発揮すると言っても良い。つまり密着されると強みが ? ﹂ 美猴、宜しく頼むな﹂ ﹁任せろ、イッセー ! ﹂ ? ﹁出来るだけ長く﹃赤龍帝の鎧﹄を持続させる、ですか﹂ な。ならば次は出来るだけ禁手を持続させる事だ﹂ ﹁他にも、赤龍帝の籠手だ。この前のヴァーリとの戦いで、初めて禁手に至ったそうだ ! ﹁はい 技術を発展させる要素がある。良いな ﹁そうか。だったら武術に関して美猴の指導を受けるんだ。今上がったのもお前の持つ ﹂ れだ ! ﹁お前、色んな中国武術を極めているんだったよな ? ! ? ﹁何だ 53話_俺達、修行方針を受け取りました 476 ﹁ああ。ヴァーリは禁手﹃白龍皇の鎧﹄を一ヶ月は余裕で持続出来る。特にお前にとって 禁手は肝と言って良い。あの場で聞いた話からの憶測だが、タスクACT4を使うに は、お前の使い魔である天馬に騎乗するか、禁手を発動しなければならない⋮そうだな ﹂ ? ﹂ ! ﹂ ? ﹁じーさんの背はまだまだ遠いぜ⋮﹂ ﹁私よりも強い存在、剣に長けた存在はまだまだ多くいると思っています﹂ ﹁そうだろうか⋮まだまだ主には遠く及ばない﹂ 論だが、メスを入れる余地が無い程、強さに穴が無い﹂ ﹁ヴァーリと美猴、アーサーは突っ込み所が無いな⋮ずっと指導して来たヴァーリは勿 ! 美猴をコーチとした武術の特訓と、赤龍帝の鎧の維持時間の向上か⋮やって見せるぜ ﹃改めて宜しくな、相棒。共に頑張ろう、相棒の夢に向かって﹄ ﹁はい になれ。良いな 少しずつ伸ばしていき、最終的には修行の終わりまでに一ヶ月間、禁手を維持出来る様 ﹁ならば禁手を纏ったまま1日、それが出来たら戦闘訓練をしながら1日、そしてそれを ﹁はい﹂ 477 ﹁そうか⋮なら今ある物をより磨いて行け。俺から言えるのはそれだけだ﹂ ﹁分かった、アザゼル﹂ ﹂ ﹁了解しました﹂ ﹁おう それをより強固にする事こそがコイツらにとっては有用だ、という意味だろう。 俺が戦ったヴァーリは勿論の事だが、アーサーも美猴も、俺と違って土台が盤石だ。 ! ﹂ ! ﹁ゼノヴィアはテクニック面を重視して鍛えて行け﹂ ﹁パワーがあればテクニックなど﹂ す、すまない、イッセー﹂ ﹁テクニック一辺倒で二天龍をも凌駕する領域に至ったイッセーを侮辱する気か ﹁っ ? ﹁謝る必要は無いぜ、ゼノヴィア。どっかの世界最強の人間も言っているじゃないか、 ! ﹂ 密着戦でも対応出来る様になるのは必須だが、何もそれは肉弾戦だけじゃない。 まあルフェイは自らの肉体を酷使する﹃ファイタータイプ﹄じゃないからな。 ﹁はい、分かりました の対抗手段の確立だな﹂ る物を磨いて行く方針で良いと俺は思う。後、強いて言うなら密着戦に持ち込まれた際 ﹁ルフェイは所謂ウィザードタイプ、その手の才はかなりの物だと聞いた。お前も今あ 53話_俺達、修行方針を受け取りました 478 ﹃瑣末な技術や創意工夫は弱者の小細工﹄だと。ただ、身に着ければ大いにプラスになる ぜ﹂ それを補って余りあるサポート能力がある﹂ ? ﹁そ、それは⋮﹂ 方だが⋮質問だがアーシア、お前は瀕死の敵がいたら放って置けるか ﹂ ﹁ああ、そういう事だ。ひとまずお前は、基礎トレーニングを重点に置け。それで神器の ﹁⋮つまり、私に出来る事をしろ⋮という事ですか ﹂ の才能も大したもんだし、向上心もある。力の質や性格からして戦闘には不向きだが、 ﹁アーシアはイッセーと同じく、神器の扱いを磨いて行く事だな。神器はそうだが、お前 その物はしっかりと身に着けている、覚えていて損になる事は無い。 今言った世界最強の人間も、不要と断じて︵本気の勝負では︶使わないながらも技術 になる。 うし、それよりもパワー面を特化して行けば目先の結果は出るが、いずれそれも頭打ち それを、今までパワー一辺倒だったゼノヴィアに当てはめても早々実は結ばないだろ 年間休みなく磨き上げた努力の結果だと思っている。 俺が其処までの領域に至ったのは、タスクや鉄球回転の技術⋮俺の持つ能力を、10 ﹁分かった﹂ 479 ? 出来る訳が無い、よな⋮それがアーシアであり、聖書の神の教えなのだから。 ⋮まあ不可能だろうな。アーシア、お前の優しさは美点 例えそれによって一度は身の破滅を招いたとしても、だ。 だが、これは⋮ ヒー ラー いる味方の方に態々駆けつける必要も無く、それに伴う敵の奇襲のリスクも減る。 聖母の微笑の効果範囲を広げれば、それだけ多くの味方を回復させられるし、遠くに いう事か。 成る程、体力に難のあるアーシアの、回復役としての役目をより強固な物とする、と る事だったんだが⋮﹂ だが、戦闘となれば不利になる。俺が立てていたメニューの目的は回復範囲を大きくす ﹁今のはちょいと酷だったか ? ﹂ ? ﹁はい、やってみます ﹂ 回復力が落ちる可能性もあるが、それでも可能性は広がるぜ﹂ オーラを遠くに放ち、離れている味方だけを回復させる方法、という事だ。そうなると ﹁ああ。回復のオーラを拡大させる⋮此処から派生した方法だ。簡単に言えば、回復の ﹁もう1つ、ですか の応用を覚えて貰うぜ﹂ ﹁だがこの場合アーシアは、味方はおろか敵すらも回復させてしまう⋮そこで、もう1つ 53話_俺達、修行方針を受け取りました 480 ! つまり﹃ばら撒き﹄と﹃精密射撃﹄、という事か。 これは俺のタスクにも通ずる所がある︵爪が即座に生え変わる事を活かした﹃ばら撒 き型﹄のACT1と、敵を追い掛け回す事を活かした﹃精密射撃型﹄のACT2、て所 か︶、アーシアが身に着ければ、俺達兵藤眷属の生命線はかなり太くなるな。 ⋮分かった﹂ ? 余り人に聞かせて良い話じゃないしな﹂ ? 以外を退出させる⋮一体、どうしたんだ 知れない。 その後にアザゼルさんの口から出た言葉が、れーちゃんの運命を決定づけた⋮のかも ﹁さて、レイネル⋮お前への課題はただ1つ⋮﹂ ? れーちゃんの修行方針を説明しようとしたアザゼルさんが、ふと俺とれーちゃん本人 ﹁ 離れてくれないか ﹁最後にレイネルだが⋮済まないが、レイネルと、後は王であるイッセー以外はこの場を 481 54話︳俺、修行を開始しました ﹁もう此処まで悪魔文字をマスターするとは⋮若様は覚えが早いですね。此方としても 教え甲斐があると言う物です﹂ ﹁はい、ありがとうございます。今後、嫌と言う程使って行く事になるでしょうし﹂ ⋮あ、すいません。水の御代わりお願いします﹂ ﹁それでも凄いです、イッセー兄様。たった1日で大半の悪魔文字を覚えるなんて﹂ ﹁そうなのか、ミリキャス ? ﹂ ﹁はい、かしこまりました﹂ ﹁あの⋮暑くないですか ? ﹂ これもアザゼル様から伝えられた修行なんですよね だと言うのに、コレだからな。あ、やっぱり気になるか ﹁い、いえ ? ? ﹁ああ、そうだが⋮何回も言ったが、気になるなら遠慮なく言って良いんだぞ ! 流石にこ ﹃酷いな相棒。そうだと分かっていて禁手を維持しながら悪魔社会に関する勉強を受け たっぷりだって言う事もな﹂ んな見た目だ、見ているだけで汗が噴き出す位に暑苦しいのは分かっている。威圧感 ? ﹂ ﹁そりゃあ凄く暑い、まるでサウナだ。ただでさえこの冥界も人間界と変わらない気候 54話_俺、修行を開始しました 482 ているのは相棒じゃないか﹄ この夏休みは、悪魔社会で生きる上で必要な知識を叩きこむ事、禁手の維持・管理能 手の維持、赤龍帝の鎧の維持だ。 戦闘面でも今の段階から大いにレベルアップしなければならない⋮最たるものは禁 手悪魔同士のレーティング・ゲームに参加する事になっている。 しかしながら同時に禍の団という脅威の対処もそうだが、更に俺も夏休み明けから若 はあるが故、ヴェネラナさんの提案を受け、この夏休みは授業を受ける必要がある。 上級悪魔、しかも魔王様から授かった任務がある以上、そういった知識を覚える必要 だ。 こんな見た目から何から可笑しい姿で授業を受けていた理由は、まあ今言った通り 一応重要だからもう一度言う⋮﹃赤龍帝の鎧﹄を身に纏って、だ。 関する授業を受けていた⋮﹃赤龍帝の鎧﹄を身に纏って。 アザゼルさんから今後の修行方針を聞いた翌日、俺はミリキャスと共に、悪魔社会に くに越した事は無いんだ﹂ かと言って今は禍の団が何しでかすか分かったもんじゃあ無い状況、少しでも鍛えて置 を授かった以上、ヴェネラナさん達からの折角の提案を無碍にする訳には行かないし、 ﹁仕方ないだろ、ドライグ。上級悪魔、しかも魔王様から﹃重要犯罪人保護観察官﹄の任 483 54話_俺、修行を開始しました 484 力を最大限に鍛える事、この2つが現状最も求められるんだ。 だが、その2つを達成出来る位の時間がある程、向こうはのんびりしていない筈。 今は元首領であるオーフィスの離脱や、旧魔王派の構成員を大量に失った事もあって 立て直しを強いられているだろうが、一度あの様な表立った活動をした以上、刃を収め る筈が無い⋮そう遠くない内に、次の一手を打って来るだろう。 それに間に合わせつつ、俺がこの夏休みで取り組むべき2つの課題をクリアするには ⋮並行して行うのがベストだ。 天性の器用さを舐める その結果、今に至るという事だが⋮流石にこんな姿で授業を受けるのは、周囲に多大 な迷惑を掛ける︵え、籠手で覆われた手でペン握れるのかって なよ︶。 俺が今、﹃修行﹄と称してやっている事は、周囲に多大な迷惑を掛ける事なんだ。 に、水を運んでくるお手伝いさんの足労を強いる事になる。 こまめな水分補給をしなければならず、それは授業の場から離れられない俺の代わり 更にその滝の様な汗をかく俺は、熱中症や脱水症状に気を付けなければならない。 臭さも気になるだろう。 自身も無茶苦茶暑い、今言った様にサウナにいる位の物だ、故に汗も止まらない為、汗 この暑い時期に暑苦しく、そして威圧的な見た目的にもそうだが、鎧を纏っている俺 ? 前以て許可を取っていると言っても、向こうが迷惑を被っているのは確かなんだ。 故に、俺は﹃成長﹄という名の﹃結果﹄を残さないといけない⋮それも、周囲が期待 している以上の﹃結果﹄を。 ││││││││││││ ﹁大戦の後、悪魔社会は⋮﹂ ││││││││││││ 明日は今日以上に禁手の維持時間を増やさないとな。 様な状況でも無い。 焦って無茶をしでかしては元も子も無いが、じっくりと腰を据えて、と悠長に言える に立たないとな。 か無い、なるべく早くマスターして、悪魔陣営の歴史や法規の学習というスタート地点 授業の方は悪魔文字の大半をマスター出来たが、あくまで文字の修得はスタートでし まったばかりだが、まだまだヴァーリの限界である一ヶ月は遠いな。 今日は朝8時に発現し、夕方5時に強制解除されたから、9時間か⋮修業はまだ始 でクタクタな身体に、温めのシャワーが心地よく感じる。 禁手が強制解除された事による疲労と、それまでの間晒されて来たサウナの如き熱気 ﹁ふぅ、修行の後のシャワーは気持ちいいな。綺麗さっぱりって感じだ﹂ 485 ﹁成る程⋮あ、すいませんが水の御代わりをお願いします﹂ ﹁はい、かしこまりました﹂ あれから数日が経過し、禁手をほぼ1日まで維持出来る様になり、ヴァーリやアザゼ ルさんから﹁順調過ぎる位に伸びているな﹂と太鼓判を押された⋮まあ色んな意味でグ レモリー家の皆に迷惑を掛けているのだからこれ位成長出来ないとな。 ⋮それにしても今日はやけに暑いな、まあ赤龍帝の鎧を纏うと暑く感じるのは当然だ が、それにしても暑い、空調がおかしくなったのか ︶あ、あれ はい、水の御代わりをどうぞ﹂ や、、やばい⋮ ﹂ 暑すぎて水分補給が追い付かないか⋮ ﹁すいません、うっかりしていました。今拾いますn︵ガクッ ﹂ ! ︶うおっ ﹂ 何時もより水を飲むペースが早く感じられ ﹁すいません、水の御代わりをお願いします﹂ ﹁はい、かしこまりました⋮大丈夫ですか ますが﹂ ﹁暑い⋮ですか ? ! あら、うっかり手を滑らせちまったな、折角入れてくれたのに⋮ ﹁ありがとうございまs︵ガチャン ! ? ﹁だ、大丈夫ですか !? ! !? ? ? ﹁確かに今日は、最近では一番暑いですからね﹂ 54話_俺、修行を開始しました 486 ﹁す、すいません⋮入れてもらって直ぐにあれですが⋮水⋮下さい⋮﹂ ﹂ ! 此処に来て、無茶が祟ったか⋮ ! ﹁は、はい 487 ﹂ ﹂ 55話︳俺、ぶっ倒れました ﹂ ﹁あ⋮あれ、此処は⋮﹂ ﹁いっちゃん、大丈夫 ﹁主イッセー、無事か ﹁イッセーさん、具合はどうですか ﹂ ﹂ ﹁イッセー、無理するな ﹁イッセー、無理して立たなくてもいいぜ﹂ ﹁一誠様、立てますか ! !? !? !? !? ﹁一誠さん、少し安静になさった方が﹂ ﹂ ! ﹁悪いな、皆⋮俺、少し焦っていたかも知れない。禍の団の襲撃に備えなきゃと思う余 ⋮ た⋮ああそうだった、俺たしか熱中症でぶっ倒れたんだっけ⋮全く何やってんだが俺は の天井と、れーちゃんを始めとした俺の眷属達、そしてオーフィスの、心配そうな顔だっ 目を覚ましたその時に目に映ったのは、此処最近やっと見なれたグレモリー家の屋敷 ﹁イッセー⋮ 55話_俺、ぶっ倒れました 488 り、ヴァーリ達の主として恥じない悪魔になろうと思う余り、な。眷属に心配させる事 こそやっちゃいけないのにな﹂ らないんだよ⋮ だから、だから無理しないで ﹂ ! 本末転倒だ、無闇に焦っても、実を結ばない。 ? やって来て、注意されてしまった⋮確かに、もうとっくの昔から、この身体は俺が思っ 何処から聞いたのか⋮恐らくヴァーリかグレモリー家からだろう⋮アザゼルさんも ﹁本当にすいませんでした。以後気を付けます﹂ やかく言わないぜ﹂ うお前1人だけの物じゃあ無いんだぜ。まあ、反省しているみたいだし、これ以上はと ﹁本当だぜ、主がぶっ倒れたなんて事態、部下達にとっては一大事だ。お前の身体は、も ﹁アザゼルさん。すいません⋮体調管理が出来ていませんでした﹂ ﹁イッセー。熱中症になったって聞いたが、具合はどうだ ﹂ 皆を守る為と言いながら、結果として皆を傷つけたり、悲しませたりしたらそれこそ ﹁⋮本当に、ごめん﹂ ! ﹁いっちゃん⋮気持ちは嬉しいけど、いっちゃんが倒れたら、いなくなったら⋮何にもな 点で勝てる存在はグレートレッドしかいない、と言える位に。だから焦る必要は無い﹂ ﹁主イッセーは、今のままでも充分強い。それこそ、主に敵対する可能性があって、現時 489 それにしてはまだ何か ? ている以上に影響力が高い。 ﹂ ⋮ところで、アザゼルさんは俺に注意する為だけに来たのか 何か他に、俺に用事でもあるんですか 言いたげな気がするが⋮ ﹁アザゼルさん ? ﹂ ︶うおっと 無理に立っては駄目ですよ ﹁こ、小猫ちゃんが倒れた︵ガクッ ﹁イッセーさん ﹂ !? ﹁イッセー、無理は禁物﹂ ﹁イッセー⋮状態が良くなったっつっても病み上がりの身だ、無理すんな﹂ ! ! 嘗ての眷属仲間の事を、小耳にでも挟んで貰いたくてな⋮小猫が、特訓中にぶっ倒れた﹂ ﹁ああ、そうだ。今来たのはそっちが本題で、お前の事はその途上で偶然聞いただけだ。 ? !? ﹂ ﹁ああ、悪いな。で、小猫ちゃんが倒れたって⋮一体何があったんですか、アザゼルさん 55話_俺、ぶっ倒れました ? 当時はれーちゃんに会いたい一心で、来る日も来る日も己の技術を磨くのに必死だっ オーバーワーク⋮俺も人間だった頃、経験した事がある。 からまだ良い、だが小猫の場合⋮これ以上の無茶は身体に障る﹂ だ⋮所謂オーバーワークによる極度の疲労だ。お前の場合は偶々体調が良くなかった ﹁どうも俺が考えた特訓メニューを、極端と言って良い位のハイペースで行っていた様 490 たから、少しばかりの体調の変化は無視していて⋮その結果、過労でぶっ倒れた事があ る。 その際に、両親から涙ぐみながらのお叱りを受けて、それ以来、体調が優れなければ 特訓を早めに切り上げる事も覚えた。 しかし、小猫ちゃんは一体どうしてそんな事を⋮ 俺の場合は比較対象がいなかった⋮というか、比較しようが無い程の変則的なバトル ⋮焦りか、さっきまでの俺に通ずる所がある。 も知れないな﹂ ⋮アイツの立場はどんどん無くなって来る⋮そんな想いが、焦りに繋がっちまったのか 扱い方も覚えが良く、ひょっとしたら直ぐにでも禁手に至るかも知れない。そうなれば こから繰り出される棒術は、粗削りながらも神器とのシナジーは抜群だ。それに神器の けは、アイツと同じ戦車の大輔だ。ドラムをやっていた影響からか手首が柔らかで、そ 上回っている佳奈、リアスの滅びの力を疑似的に再現する等の工夫が光る塔也⋮極めつ 恐怖とは無縁に近い性根をしているフリード、堕天使としての力の他純粋な身体能力で 前面でのオフェンスには、現時点でアイツより強い奴ばかりだ。禁手の能力もそうだが の性質に同調したバトルスタイルというのもその現れかもな⋮だが、戦車が得意とする ﹁恐らくは⋮焦りだろうな。アイツの﹃戦車﹄としての素質は申し分の無い物がある。駒 491 スタイルだったのだが、それでも小猫ちゃんの想いは分かる。 前面に立ってのオフェンスを得意としているのが﹃戦車﹄なのに、その他のクラスの 眷属の方がそっちで優れているとなれば、そしてリアスの眷属ではかなりの経歴なの に、ぽっと出の元人間である大輔に戦車としての立場を脅かされるとなれば⋮ こうしちゃいられない ﹁うん でも、病み上がりだから無茶は駄目だよ﹂ ﹁今から小猫ちゃんの見舞いに向かう。皆、ついて来てくれ﹂ ! ﹁大丈夫でしょうか⋮﹂ ﹁了解した。小猫が⋮無事なら良いが﹂ ﹁体調が思わしくないならば遠慮なく俺の肩を﹂ ! 何が出来るかは分からない、だけど、何か出来る事をしたい⋮ ! ﹁では、行ってきます。アザゼル様、態々のご足労、有難うございます﹂ ﹁丁度気になっていた事もあったしな﹂ ﹁はい、行きましょう﹂ 55話_俺、ぶっ倒れました 492 倒れたって聞いたけど、大丈夫なの ﹂ 56話︳俺、見舞いに行きました ﹁イッセー !? 彼女の過去を﹂ ? ﹁猫又 確か変わった術を使うんだっけ ﹂ ? ﹁ええ、所謂妖術ね。それで⋮彼女には姉がいたけど、幼い頃の生活は困窮を極めていた ? ﹁実を言うとね、彼女、妖怪の一種である猫又だったの﹂ そうだったからな、余程の壮絶な過去が、小猫ちゃんにはあったのかも知れない。 スから呼び止められ、勧められるまま聞く事にした⋮持ちかけた時のリアスの顔が神妙 ので、れーちゃん以外の俺の眷属は直ぐ近くの部屋で待って貰う事にした︶、其処でリア 小猫ちゃんの見舞いに来た俺達︵今更だが、多人数で押しかけるのもどうかと思った だし⋮聞いてくれるかしら ﹁そ、そう⋮ちょっとね。丁度良かったわ、イッセーもレイネルも、小猫とは浅くない仲 です﹂ ﹁それで⋮いっちゃん、心配だからって、自分が病み上がりなのを押して見舞いに来たん ちゃんが倒れたんだってな﹂ ﹁ああ、問題ない。軽い熱中症でさ⋮ごめんなリアス、心配かけさせて。それより⋮小猫 !? 493 らしいわ。その才能と境遇に目を付けた悪魔が、姉と交渉した結果、姉を眷属として引 き入れたそうよ。その力はかなりの物で、僧侶の駒を2つ消費した実力を如何なく発揮 したけど⋮或る日、姉は力に呑まれて暴走、主を殺してしまいはぐれ悪魔となり、妹で ある小猫が1人残ったわ。当時、上級悪魔はこぞって子猫を始末すべきだと声を上げた そうよ。いずれ彼女もまた暴走し、悪魔に刃を向けるのではないか⋮そう考えたんだと 思うわ。其処を助けたのがルシファー様⋮お兄様なの。お兄様が小猫の身を預かる事 で、事態は何とか収拾し、その後、私の眷属になって今に至るわ。私はその話を聞いた 時、こう決意したわ⋮絶対にこの娘を救う、姉がいなくなり、悪魔達に叱責されたこの 娘を⋮﹂ のも分かる⋮だが ││││││││││││ とかしなきゃ⋮ 俺の様な病み上がりが色々言っても説得力が無いかも知れない⋮だけど、それでも何 ﹁白音⋮白色の如く純粋な音色⋮か﹂ ﹁その姉の名は黒歌、妹⋮小猫の本当の名は、白音よ。小猫って名前は、私が付けたの﹂ ! 力の暴走⋮確かに危険視するのも無理は無い、一度事故が起きた以上、神経質になる ﹁そっか⋮そんな事が⋮﹂ 56話_俺、見舞いに行きました 494 ﹁小猫ちゃん、お邪魔するよ﹂ ﹂ ? ﹂ ? うごとに、男の子と女の子は次第に惹かれて行って⋮やがて結ばれた。けど⋮女の子は わす事にしたんだ。こうして始まった男の子とその両親、そして女の子の生活⋮日を追 降って来るのを見つけたんだ。男の子はその女の子を救助して、一先ず自分の家に住ま いそうな小学生のガキんちょだった。そんな男の子は或る日、空から1人の女の子が ﹁昔⋮1人の男の子がいた。ちょっとやんちゃで、純粋で、おバカ⋮そんな、何処にでも ﹁⋮昔話 ﹁1つ⋮昔話をしよう﹂ だけど⋮それを乗り越えなければ一生囚われたままになってしまうだろう。 掛けとしたバッシング⋮幼かった頃の彼女からすれば、トラウマ物だろうから。 俺からの返答に、唇を噛む小猫ちゃん⋮まあ、そうだよな、姉である黒歌の事故を切っ ﹁っ⋮﹂ よ﹂ ﹁いや、アザゼルさんから聞いて見舞いに来たんだ⋮リアスからは、君の過去を聞いた と尻尾を生やした姿だった、やっぱり猫又だったんだな⋮があった。 部屋に入ると其処には、ベットで休んでいる小猫ちゃんの姿⋮何時もとは違い、猫耳 ﹁⋮部長から聞いたんですか、私が倒れた事 495 直ぐにいなくなってしまった。男の子は、自分が弱いから、女の子を守れないからいな くなったのではないか⋮そう思い、強くなる事を決意したんだ。偶然だが、男の子には 才能があった。戦う事に於ける、 ﹃異能﹄とも言うべき才能が。だが男の子にはその才能 の扱い方を知らなかった。故に傷だらけになり、激痛に襲われ、時には生死に関わる程 の事態にもなった⋮それでも男の子は諦めなかった。例え傷付いても、男の子はその才 能を使い続けた⋮その才能を物にする為に、強くなるために⋮大好きだった女の子にま た会い、そして守り抜くために。そして男の子はそれを物にして見せ、女の子とも再会 それって、一誠先輩の⋮﹂ し⋮今もこうして、大好きな女の子を守り抜くために強くなろうとしている﹂ ! !? た﹂ ﹁こ、これは⋮ ﹂ 訳じゃ無い。そんな強さを得る為に、物凄い努力をしたし⋮こんな深い傷も負って来 をも倒して見せ、今こうして臨時ながら上級悪魔になった俺だが⋮最初っから強かった ビエル、魔王の末裔であるカテレア・レヴィアタン、最強の白龍皇と呼ばれたヴァーリ ﹁リアスの眷属だった頃から強い強いと呼ばれて来たし、堕天使の最高幹部であるコカ まあ、れーちゃんと再会した時の事とか、色々端折ってはいるけど。 ﹁まあ、そうなんだけどな﹂ ﹁⋮ 56話_俺、見舞いに行きました 496 言いつつ上着を脱ぐ⋮其処に現れた俺の上半身に刻まれた大量の古傷⋮れーちゃん を始めとした俺の彼女以外に見せたのは、ギャスパー以来か ? ﹂ !? ま ? ﹁何時かは⋮ ﹂ だ未熟だった筈だ。 だった筈︵当時の小猫ちゃんの年齢とすり合わせての推測だけどな︶、術の扱いもまだま 小猫ちゃんのお姉ちゃんである黒歌も、暴走させてしまった時は年端も行かない子供 ﹁ああ。信じている﹂ ? いるよ﹂ しない。今は暴走させてしまうかも知れないけど、何時かは使いこなせると俺は信じて あ幼い頃のゴタゴタを考えれば無理もないよ。だけど⋮扱いこなせない力なんて存在 なっていたけど、今になれば何となくだけど分かる。暴走が怖かった、そうだろう ﹁小猫ちゃんが猫又としての力を使わなかった事、本気を出さなかった事⋮ずっと気に ﹁ リも⋮恐らくサーゼクス様だって、小猫ちゃんのお姉ちゃんだってそうだった筈だ﹂ ければ宝の持ち腐れで、たいして強くない⋮俺は今説明した通りだし、リアスも、ヴァー 何処探したって絶対に存在しない。どんなに才能があったって、その使い道が分からな ﹁まあ前置きは長くなったが、何が言いたいかというと⋮最初から強い奴なんか、全世界 497 それを最悪の事態にさせない様に導くのが大人⋮上級悪魔の役目だというのに、問題 が起これば、臭い物には蓋的発想で小猫ちゃんを処分する、か⋮全く。 ⋮待てよ りを巻き込んでしまう事位は。 それでも暴走させて主を殺した⋮まさか ││││││││││││ ? 当然、上級悪魔になって幾日を経た黒歌にもそれは分かっていた筈⋮暴走させれば周 試行錯誤していけば分かって来る。 そしてそれを扱いこなせないと大変な事になると言うのも、ある程度使い慣れれば、 俺は思っている。 かなりの力を持った術等の﹃異能﹄、その凄まじさは使い手が一番良く分かっていると ? ? ⋮主、実は⋮﹂ か ﹂ ﹁っ ! ﹂ ? ﹁小猫ちゃんを見て何処か怪訝そうな顔していたが⋮その姉、黒歌とは会った事はある ﹁どうした、主イッセー ﹁ヴァーリ⋮ちょっと気になった事があるんだが⋮﹂ 56話_俺、見舞いに行きました 498 57話︳昨日の敵、訪問して来ました 俺が熱中症でぶっ倒れ、小猫ちゃんがオーバーワークによって倒れたあの日から更に 数日が経ち、俺は何とか禁手﹃赤龍帝の鎧﹄を丸1日維持出来る様になり、今はその状 態での戦闘訓練を行っている段階だ⋮無論、美猴との武術の訓練も兼ねて。 その武術訓練でも、アザゼルさんが言っていた通り今の俺が持つ技術︵タスクによる、 ﹂ 爪弾と鉄球回転だな︶の可能性をより広めてくれる要素に満ちていた⋮やればやる程、 それが分かって来る、中国武術の歴史は深いな。 そんなある日の事、 ﹂ ﹁兵藤様、少しお時間を頂いても宜しいでしょうか ﹁どうしました、グレイフィアさん ﹁了解した、イッセー﹂ ﹁うん、分かったよいっちゃん﹂ 皆、ついて来てくれ﹂ ﹁分かりました、直ぐに向かいます。まあ、そういう事だから訓練は一旦切り上げだ。 ﹁兵藤様、及び眷属の皆様を訪ねて、お客様がいらしております﹂ ? ? 499 ﹁分かりました、イッセーさん﹂ ﹁了解だ、主イッセー﹂ ﹂ ﹁了解です、イッセーさん﹂ ﹁はい、一誠様 ﹁来客か⋮いったいどこの奴だろうなぁ﹂ ! もしかしたらその事で一言あるのかも分からないな。 き鳥野郎は先端恐怖症になったって、妹で﹃僧侶﹄のレイヴェルが言っていたっけな⋮ あのレーティング・ゲームは非公式とはいえ両家の公認の下で行われたが、あの後焼 クス家だ。 約騒動、その時にレーティング・ゲームで対決した焼き鳥野郎、アイツのいるフェニッ 他にあるとすれば⋮そうだ、まだ俺がリアスの﹃兵士﹄だった時にあったリアスの婚 いな。 特にシトリー会長の所には元もいるし、GRIDの全体練習と称して来る可能性は高 の野郎は無いな、俺の事を成りあがりと嫌悪していたし。 なったサイラオーグかシトリー会長、シーグヴァイラかディオドラだな⋮ゼファードル さて⋮来客か、何処の家からだろうな⋮まず考えられるのは、あの会合の時に一緒に ﹁れっつごー﹂ 57話_昨日の敵、訪問して来ました 500 ││││││││││││ の﹃戦車﹄である雪蘭に、﹃兵士﹄であるイル・ネルの双子だったか という事はフェニックス家の⋮﹂ !? は少し我らフェニックスの才を過信し過ぎていたが、それももう無くなるだろう﹂ 任せるつもりだがな。あのレーティング・ゲームでの君の活躍、見事だった。ライザー ﹁うむ⋮フェニックス家の当主でもある⋮尤も、近いうちに長男であるルヴァルに後を ﹁っ ﹁お初にお目にかかる、兵藤殿⋮ライザーとレイヴェル達の、父です﹂ 人⋮ そしてあの焼き鳥野郎が渋くなった感じの、金髪の壮年男性がいた⋮もしかしてこの ? ベラに⋮後の3人はレーティング・ゲームでは対峙していなかったが、確かあの焼き鳥 ゲストルームに案内された俺達の目に映ったのは、レイヴェルにカーラマイン、イザ ⋮何と言うか、予想が当たった。 ﹁﹁﹁⋮︵じとー︶﹂﹂﹂ える﹂ ﹁流石と言うべきかな、兵藤殿。あの時も凄まじい物を感じたが、一層強くなった様に思 ﹁久しいな、赤龍帝殿。貴殿の活躍、此方にも届いている﹂ ﹁一誠様、お久しぶりですわ。この度は上級悪魔への昇格、おめでとうございます﹂ 501 ⋮あれ、やり過ぎた事に関して文句言われるかと思ったんだけど だに引き籠っている。だがそれも息子の為の良い薬だ﹂ いてな⋮それでいて君が灸を据えてやれば、今度はこの有様だ⋮何人かの眷属含め、未 が、フェニックスの才や、レーティング・ゲームでの戦績もあって最近、傲慢が過ぎて ザーが引き籠った事も此方の教育に問題があった結果だ⋮ライザーは、根は優しいのだ ﹁いやいや兵藤殿、頭を上げて頂きたい。婚約破棄の件は私達が同意した事だし、ライ て引き籠ってしまったと﹂ 対してあの様な行為に及んでしまい⋮レイヴェルから聞きました。先端恐怖症になっ ﹁あの節は申し訳ありませんでした⋮婚約の件をご破算にした挙げ句、貴方のご子息に かは兎も角、謝って置くに越した事は無いな。 でもまあ、流石に息子があんな目に会って気分の良い親は普通いない⋮許して貰える ? ﹃僧侶﹄美南風、﹃兵士﹄ニィ、リィ⋮爪の斬撃でぶった切り 場談︶ ﹃騎士﹄シーリス⋮弾痕の地雷で片足もがれた挙げ句、ミッテルトの光の槍で串刺し︵木 ﹃女王﹄ユーベルーナ⋮黄金回転の爪弾で一撃必殺 そして眷属もまた引き籠っているのか⋮来ていない顔ぶれから考えて、 ﹁⋮まだ、引き籠っているんですか。やっぱりやり過ぎたかな⋮﹂ 57話_昨日の敵、訪問して来ました 502 ﹃兵士﹄シュリヤー、マリオン、ビュレント⋮弾痕の地雷で一発KO︵これも木場談︶ ニックス家にとっては大惨事だ。 一体どんな事だ ﹂ ﹂ 俺は不可能を可能にする男だぁぁ ﹁フェニックス卿、その件で1つ、提案が⋮﹂ ﹁む ﹁まずは⋮﹂ ││││││││││││ ﹂ 頑張って ﹁Wryyyyyyyyyy ﹂ ﹁ライザー様、格好いい ﹁ファイトォ ﹁夢・想・天・生 ﹂ ! ? しっかり !!! ! ? ﹁ライザー様 ! !! ! !!!! ! ﹂ はああ言っているが、流石に主人含め眷属の過半数が再起不能なんて事になったらフェ 此処までトラウマを植え付けてしまった以上責任はとらないとな⋮フェニックス卿 ⋮まあ戦場にて生きると言わんばかりの奴だしな。 ⋮全員俺の爪弾の被害者か⋮爪弾を2発も食らったカーラマインが此処にいるのは ムでは佳奈にフルボッコにされたらしい︶ ﹃兵士﹄ミラ⋮レーティング・ゲーム前に武器の棍棒を真っ二つ︵尚、レーティング・ゲー 503 ﹁カーラマイン、ライザー様のために舞い忍びます ﹂ ってね﹂ ﹁⋮此処まで効果覿面だとは思わなかったな。アイツ、スケベ心が過ぎるだろ﹂ ! ! マークが多用されてそうな口調で応援するイル・ネル姉妹、何時も ! ﹄と叫んでいた眷属達も、 ﹄と情けない叫び声を出していたのとは打って変わって、闘志むき出し デュエル 焼き鳥野郎の闘志むき出しの姿に立ち直り、主人の姿に見惚れていた。 で俺と対峙していて、同じく俺を見るや否や﹃嫌ァァァァァ ! さて⋮先のレーティング・ゲームでは叶わなかった1vs1の決闘を楽しみますか ! ! ワァァァァァ だ が そ の 効 果 は 覿 面 で、さ っ き ま で 引 き 籠 り、挙 げ 句 に は 俺 の 姿 を 見 た 瞬 間﹃ウ 良いからな⋮れーちゃんのキュアハート姿は見てみたいが。 その空気に当てられたかは分からないけど、れーちゃんまで中の人ネタに走らなくて のカオス。 主人公の出で立ちと化したカーラマイン⋮提案した俺が言うのもアレだが⋮なんだこ してセーラー服に白いベレー帽という格好に変えたイザベラ、某爆乳ハイパーバトルの の中華風の出で立ちでは無くノースリーブの巫女服を着用した雪蘭、何時もの仮面は外 なアイドルの如く ⋮某吸血鬼とMSパイロットをごっちゃにした叫び声を上げる焼き鳥野郎、某元気印 ﹁私も後でいっちゃんに試してみようかな⋮プリキュア、ラブリング 57話_昨日の敵、訪問して来ました 504 58話︳俺達、健闘を誓い合いました 焼 き 鳥 野 郎 の 引 き 籠 り を 改 善 し て か ら 更 に 数 日 が 経 ち、リ ア ス 達 の レ ー テ ィ ン グ・ ゲームが迫って来たこの日、サーゼクス様がその前夜祭︵1日前じゃないから語弊があ ﹂ るが︶としてパーティを開く事になり、俺達兵藤眷属は、リアスが先程指定した場所で 急に薄暗くなった ﹂ ? 待ち合わせた⋮のだが、 ﹁な、なんだ⋮ ﹂ ﹁いっちゃん、アレ ﹁お、大きいドラゴンですか ﹂ ﹁な、なんだアレは ! イツに乗って来たのか 笑った。 余談だが、大輔がまるでミイラみたいな包帯ぐるぐる巻きになっていたのには少し ? リード、大輔に良太、そしてギャスパー⋮リアスの眷属が勢ぞろいしていた⋮まさか、コ 良く見るとその背にはリアスに朱乃さん、小猫ちゃんに木場、佳奈に美月、塔也にフ 其処に現れたのは紫色を基調とした、巨大なドラゴンだった。 !? ! ? 505 ﹁ごめんね一誠、待たせたかしら ﹂ ﹁いや、ついさっき来たばかりだ。所で、このドラゴンは一体 龍 ﹂ 聖 タンニーン。ドラゴンから転生した、最上級悪魔なの。昨日まで ブレイズ・ミーティア・ドラゴン 生がメキメキと力を付けているとは言っていたが、こうもしたら嫌でも付くだろう⋮ しかし大輔が包帯ぐるぐる状態になる程って、どんな指導をしたんだが⋮アザゼル先 訳だ。 ドラゴンの転生悪魔⋮どおりでドラゴンとしての力の他に、悪魔としての力を感じる よ﹂ 大輔の指導をしていた縁で、今日のパーティの会場に連れて行ってくれる事になったの ﹁彼は 魔 ? ? ﹃ヴァーリも今までの相棒の中で最高の才を有していたが、一誠はその遥か上をいって るという意味、それでいて今の時点で我らをも凌駕して見せるのだから恐れ入る﹄ ﹃そう謙遜する事は無いぞ、相棒。未熟は未熟でも、相棒の場合は成長の余地に溢れてい ﹁初めまして、兵藤一誠です。いえ、まだまだ俺は未熟ですよ﹂ できる﹂ る日が来るとは思いも寄らなかったが、その面構え、力の膨大さ⋮成る程、それも納得 度は上級悪魔への昇格、おめでとう⋮まさかドライグとアルビオンが同じ釜の飯を食べ ﹁初めましてと言うべきだな、兵藤一誠。リアス嬢から紹介のあった、タンニーンだ。此 58話_俺達、健闘を誓い合いました 506 いた⋮強さを尊ぶヴァーリが惹かれるのも当然の摂理と言えるな﹄ 持っている⋮程度でしかない俺だと余計厳しいんじゃないか ﹂ ! ﹂ ? んてスパルタトレーニング !? 龍王﹄の一角に数えられたタンニーン殿自らの猛攻に晒される毎日だったとか⋮それな 大輔はと言うと⋮タンニーンさんの領地に強制拉致され、悪魔に転生する前は﹃6大 会場へ向かう途中、俺達は訓練の内容やその成果を発表し合っていた。 ⋮﹂ したり、或いは反撃に転じたり⋮今思えばあれが地獄とも言うべき場所なんだろうな ﹁ああ⋮ここ数週間、タンニーンのおっさんの領地で、おっさんの攻撃をかわしたり迎撃 ﹁さ、サバイバル生活⋮ ││││││││││││ ﹁うむ、では出発だ ﹁まあその話は置いて⋮今日は宜しくお願いします、タンニーンさん﹂ ? ですら、世界最強のグレートレッドには全く歯が立たなかったんだ、それと同等の物を 強さのオーフィスからは、自分と同等の物を感じると言われていたが、そのオーフィス いやヴァーリ、それは流石に言い過ぎだぜ⋮確かに全世界でも5指に入ると言われる ﹁ああ、主イッセーは全世界の頂点を狙える存在と言っても過言じゃ無い﹂ 507 ﹁まあでも、イッセーがガキの頃から積んで来た特訓を考えれば⋮これ位どうと言う事 は無いさ。部長から聞いたぜ、幼い頃に離れ離れになったレイネルちゃんとまた会いた い、一緒になりたい一心で極限まで追い込むトレーニングを続けていて、それで得た強 さで部長含めた色んな人を救って⋮改めて、お前の事格好いい奴だって、親友として誇 らしい奴だって思ったぜ﹂ ﹁⋮サンキューな﹂ 其処まで誇られるのもくすぐったいな⋮当時の俺は、れーちゃんへの想いで一杯一 杯、他の事なんか気にする余裕が無かった⋮というのもあったしな。 進させた挙げ句﹃3サイズスカウター﹄とか呼ばれる羽目になるのはなんて皮肉だろう し続ける秀才で、特に興味を持った事への知識の吸収量は凄まじい⋮それが変態化を促 試験を余裕で合格し、今でも学年で1桁順位に届くか届かないかという好成績をキープ 余りの変態振りで影に隠れがちではあるが、良太は難関校で知られる駒王学園の入学 ﹁ははは⋮良太らしいな﹂ とか﹂ 漁っては、グレイフィアさんに注意されたっけ⋮散らかすなとか、暗い中で本を読むな 事が主だったけど、これが面白くってさ、グレモリー家にある魔力関連の蔵書を読み ﹁俺は主に、朱乃さんやアザゼル先生から、魔力や神器の使い方を教わったな。基礎的な 58話_俺達、健闘を誓い合いました 508 か。 属の中では⋮だからそれで、部長の想いに貢献したいんだ﹂ ? ﹁一誠 それに大輔に良太も ﹁おう元、久しぶりだな﹂ ! ﹂ ! ││││││││││││ レモリー領でナンパやら覗きやらを仕出かそうとしていたらしいからな⋮ ンニーンさんの領地でサバイバル生活を強いられていた大輔は分からないが、良太はグ 後は⋮今言った様などうしようもない位の変態ぶりが落ち着けば良いんだがな⋮タ ハラ物の暴言を繰り出した奴とは思えない位、この2人は成長した。 ついひと月位前までエログッズを学校に持ち込みエロトークを繰り広げ、女子にセク ﹁良太⋮﹂ 部長の想いを叶えるべく、奔走する番だ﹂ それでも、俺達の親友であるお前を部長は救ってくれたんだ⋮今度は俺が、いや俺達が、 ﹁別にそんなんじゃねぇよ⋮てか、部長ともフラグ建てたのかよお前、見境ないな⋮まあ ﹁あわよくばリアスと⋮とか考えていないだろうな、リアスは俺の彼女だからな ﹂ 今の俺が自慢できる事と言ったら、弦楽器掻き鳴らす位しかないからな、今の部長の眷 ﹁まあそんな事もあって、何とか物に出来た気がするんだ、俺の神器﹃躁鬱の音﹄をさ。 509 ﹁元気してたか ﹂ には気迫が漂っていた。 向こうもそれに気付いたのか、近づきつつ挨拶を交わす⋮良太の言う通り、その表情 がいた。 パーティ会場に着くと、一足早く着いたのか、元を始めとしたシトリー会長の眷属達 か﹂ ﹁そっちも厳しい訓練を積んだ様だな、前に会った時とはえらい面構えが違うじゃねぇ ? では負けないぜ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁望む所だ、二天龍の力を見せてやるぜ ﹁俺達だって負けないぜ ﹁後で後悔したって遅いぜ ! ! ! そう言葉を交え、俺達は健闘を誓い合った。 ! ﹂ たんだ。一誠にも、リアス先輩の眷属になったお前ら2人にも、レーティング・ゲーム なったばかりだとは思えない位だぜ。だが俺だって会長からの厳しい訓練を乗り越え ﹁あ あ。そ っ ち も っ て 事 は、お 前 ら も か な り の 物 だ っ た み た い だ な ⋮ 一 月 前 に 悪 魔 に 58話_俺達、健闘を誓い合いました 510 ﹂ 59話︳俺達、パーティに参加しました ﹁いっちゃん、お待たせ ﹁⋮︵ぼー︶﹂ ﹁⋮いっちゃん ? ﹂ ? ﹂ ? ごめん、皆して綺麗だったからつい見とれちゃったよ﹂ !? にドレス姿だった、こちらも中々可愛かったな。ちなみに俺達男連中は、俺とヴァーリ フィス⋮俺の恋人達の、其々の個性を活かしたパーティドレス姿を︵ルフェイも同じ様 今言った通り思わず見とれてしまった⋮れーちゃんにアーシア、ゼノヴィアにオー ﹁⋮いえい﹂ ﹁そ、そうか、ありがとう、イッセー⋮﹂ ﹁あ、はい、ありがとうございます、イッセーさん⋮﹂ ﹁き、綺麗⋮あ、ありがと、いっちゃん⋮﹂ ﹁はっ ﹂ ﹁⋮どう、イッセー ﹁イッセー⋮どうだろうか、私のドレス姿は ﹁すいませんイッセーさん、お待たせしました﹂ ! 511 はアザゼルさんから融通して貰った和服、アーサーはフォーマルスーツ、美猴は漢服風 の服装と、其々で決めて貰った︶。 ﹂ まあそんな事もあったが、会場に入って行き、リアス達と合流⋮するが、 ﹁イッセー、お待たせ。どうかしら ﹂ ﹁⋮︵ぼー︶﹂ ﹁イッセー またやっちゃったよ⋮しかし、 ﹁だ、だって着たかったんですぅ⋮﹂ ﹂ ごめんリアス、また見とれちゃったみたいだ﹂ ? ﹁そ、そう⋮ありがとうね、イッセー﹂ ﹁はっ ? になっていた︶、ギャスパーもパーティドレスである⋮顔と体型が故に似合っていたが、 女性である朱乃さん、小猫ちゃん、美月は分かるが︵後、佳奈も着ていたが、中々様 ﹁⋮嫌らしいです﹂ ﹁良太、下ネタ言うなやコラ﹂ ﹁なんでこんなにかわいいのに︵ピー︶が付いているんだ⋮﹂ ﹁くぅ∼なんてかわいいんだ、これで男じゃ無かったら⋮﹂ ? !? ﹁ギャスパー⋮何でお前もドレスなんだ 59話_俺達、パーティに参加しました 512 変態コンビが嘆く通り︵良太に至っては下ネタまで出ている︶男なんだよな⋮これが趣 味なら仕方ないとして、こうしたおどおどした所も直していかないとな。 ││││││││││││ ﹂ ﹁分かっているが⋮主を外聞だけでしか判断できない無能共ばかりなのか、この場は⋮ いになりたくないと思うのは当然の事だ﹂ 会合での﹁新世界の神﹂発言⋮まともな神経を持っている奴なら、出来るだけ関わり合 ロリスト達にその元代表、そしてそれを保護観察する立場にある俺の、あの若手悪魔の ﹁美猴、それも仕方ない事だ。今話題のテロ組織﹃禍の団﹄に最近まで所属していた元テ ﹁おいおい、こっちをチラチラ見てはひそひそ話か、居心地悪い事この上無いぜ﹂ 513 ﹁久しぶりだな、イッセー。この前は迷惑を掛けたな﹂ 尤も、そんな奴ばかりではないのが救いではあるが⋮ まっていると言うのか⋮ かと思っている⋮数万年にも及ぶと言われる悪魔社会の凝り固まりぶりは、此処に極 その態度に憤慨している様子の美猴とヴァーリを窘める俺も、正直この雰囲気はどう る悪魔達が向けて来た意識は、お世辞にも良い物とは言えなかった。 ⋮まあ予想はしていたが、パーティ会場へと入って来た俺達兵藤眷属へ、この場にい ! ﹁よう、ライザー。あれからどうだ している。 ﹂ 格だ﹂という意識を持ったとの事⋮そんなコイツの覚悟に俺も共感を覚え、友として接 本人曰く﹁俺の可愛い眷属達を恐怖に巻き込み、そして心配を掛けられる様では王失 の確執も何処へやら、こうして友達へのそれの様に俺に親しく接してくれる。 は変わりないのだが、まあ其処は俺が突っ込める事じゃ無いな︶、リアスとの婚約騒動で あれからコイツは、何処か憑き物が落ちたかの様に真面目になり︵女好きである事に 先日、フェニックス卿の訪問の際に引き籠りから脱却させたライザー。 ? な﹂ 結果的に、純血悪魔同士の絆を深めるどころか、逆に傷をつける事になっていただろう ない。そうなれば親族や領民への慈愛に満ちたグレモリー家が黙っていなかった筈⋮ ていなかった⋮仮に婚姻が成立したとしてもその関係は冷え込んだままだったに違い な面があった。挙げ句リアスの事もハーレムの一員としか、グレモリーの娘としか思っ ﹁だが今考えれば、あの時の俺はお前が一喝した通り、眷属達を物の様に扱っていたクズ ﹁⋮まあ、その引き籠りの原因を作ったのも俺だが﹂ お前のお蔭だ、お前がいなければ、俺達は立ち直る事は無かっただろう﹂ ﹁ああ、ユーベルーナ達も俺の立ち直る姿に引っ張られたのか、引き籠りを脱却出来た。 59話_俺達、パーティに参加しました 514 ﹁⋮そうか﹂ 今ライザーが言った様な事が、ライザー、引いてはフェニックス家が婚約に関してと やかく言って来ない理由でもあるそうだ⋮だったら最初からやるなと言いたい所では あるが、悪魔社会の現状を鑑みるに、周囲からの圧もあったんだろう。 事か 迎え入れてはくれないか ﹂ な、何だって⋮俺が、レイヴェルを眷属に⋮ ? は絶対に離れたくないし、ルフェイは保護観察の対象だ。眷属に入れるとなれば、クラ ﹁だが、レイヴェルは確か﹃僧侶﹄だろ⋮俺は既に僧侶の枠は埋まっている。アーシアと というお前の下に付きたいらしい。其処で自らを磨き上げたい、とな﹂ ﹁レイヴェルたっての要望でな、是非現代の赤龍帝にして、無限の龍神と同等の力を得た ? うという話が持ち上がっていてな。其処で頼みなんだが⋮レイヴェルをお前の眷属に ﹁実は両親や兄上の間から、レイヴェルの見聞を広めるべく人間界の高校に転入させよ ? 話を切り上げつつ、レイヴェルを呼び出したライザー⋮頼みって、レイヴェル関連の ﹁はい、お兄様。一誠様、またお会いになれてうれしいですわ﹂ ル﹂ ﹁まあ過ぎた話はもう良いだろう、今日はこの場を借りてお前に頼みがある。レイヴェ 515 スチェンジしか道は無いが﹂ ﹁それなら問題は無い。元々社会勉強の為にレーティング・ゲームに参加する目的で、眷 属になったという面もある⋮あの白龍皇ですら﹃兵士﹄だろう、クラスに関してはそっ ちの自由だ﹂ クラスは自由、か⋮だが臨時の上級悪魔に昇格したばかりの俺に、預けてそっちの、 フェニックス家の外聞は大丈夫だろうか⋮俺だけならまだしも、元テロリストが入って いるというのに⋮ ﹂ ? ﹁はい ありがとうございますわ、一誠様 ﹂ ! まさか急に眷属譲渡のオファーが来るとは思わなかったな、しかもそれが純血悪魔で ﹁分かった、ライザー﹂ ﹁良かったな、レイヴェル。一誠⋮レイヴェルを宜しく頼むぞ﹂ ! ヴェル﹂ そっちも準備があるだろう。改めて学校で、クラスチェンジを行おう。宜しくな、レイ ﹁分かった、其処まで言うなら。リアスを始め、学園関係者との折衝もあるだろうし、 る訳には行かないよな、これは。 ⋮上目遣いに涙目って、何ですかこのあざと可愛い子は、女の子に此処までさせて断 ﹁⋮駄目、ですか⋮ 59話_俺達、パーティに参加しました 516 あるレイヴェルと来たか⋮こりゃあ責任重大だな。 ﹁ん だとしたら⋮﹂ あの黒い猫⋮ありゃあまさか⋮﹂ ﹁美猴、それは本当ですか ﹁もしかして小猫さん⋮﹂ ﹂ と、ライザーとの談話、及び色々と唐突な依頼を受け、皆の下に戻ると⋮あれ、小猫 ちゃん ﹂ ? ﹁おトイレ⋮にしては向かう方角が違いますし⋮﹂ ﹁何かあったのかな ﹁⋮小猫ちゃん、あんなに急いで何処行こうとしているんだ ? ば良いが⋮ 眷属の皆に指示を出しつつ、俺はヴァーリと共に小猫ちゃんの後を追う⋮何も無けれ ﹁此方は任せてくれ、イッセー﹂ ﹁うん、いっちゃん。気を付けてね﹂ ﹁了解した、主イッセー。まさかとは思うが、アイツが⋮﹂ は此処で待っていてくれ。直ぐ戻る﹂ ﹁分かった。ヴァーリ、俺は小猫ちゃんの後を追うから付いて来てくれ。れーちゃん達 ? ? ? 517 ﹂ 60話︳俺達、緊迫の現場に潜入しました 大急ぎで小猫ちゃんの後を追うと、 ﹁イッセーにヴァーリ、貴方達も小猫を ﹁それに、何処から紛れたか分からない黒猫の先導に従っている様に見えた。もしかし ﹁ああ。何か大急ぎで会場を出て行ったから、気になってさ﹂ ? 成る程、この場を利用して小猫を⋮って事かしら﹂ たら⋮﹂ ! 猫ちゃんを⋮ 森に潜入してから数分で、小猫ちゃんを発見した⋮が、何かを探している様だ、恐ら ﹁了解だ。アイツ、やはり妹の事が忘れられないという事か⋮﹂ ﹁ええ、そうね。小猫は私の眷属、勝手な真似はさせないわ﹂ ﹁急ごう。紛れ込まれると探知に時間が掛かる﹂ !? エレベーターを降りると、会場近くの森に入って行く姿が見えた⋮まさか、本気で小 リアスの懸念⋮ありえるかも知れない、これは本気で急がないとな。 同じく小猫ちゃんを追っていた様子のリアスと合流した。 ﹁っ 60話_俺達、緊迫の現場に潜入しました 518 く、彼女を呼び出した存在だろう⋮隠れていた方が良いかな。 そう判断し、3人揃って木陰に隠れていると、小猫ちゃんが何かを発見した様だ、視 線を其処に向ける、と、 ﹁にゃはは、久しぶりにゃん、白音﹂ ﹂ ⋮小猫ちゃんの言葉が本当なら、あの子が、小猫ちゃんの姉、黒歌⋮ な体躯を黒い着物で纏い、そしてその背後から尻尾を生やした少女⋮いや、猫又がいた 小猫ちゃんの視線の先、木の上には、黒髪ロングの間から猫耳を生やし、グラマラス ﹁黒歌姉様⋮ ! ﹂ ? ⋮成る程、仙術に長けていると聞いていたが、やはりこっちの気配は感づいていたか。 ら直ぐに帰るにゃん﹂ ﹁怖い顔しないの。ちょっと野暮用でね⋮そっちの3人も聞き耳立てているみたいだか ない⋮何しろ⋮ 過去なだけに怒気の含まれた口調をしているが、まだ姉を慕う気持ちはあるのかも知れ を見て、黒歌の手の者だと気付いた小猫ちゃんが、後を追ったのかも知れない⋮過去が 黒歌が脇に抱えている黒猫⋮あれが、美猴が言っていた黒歌の使い魔か⋮恐らくあれ ﹁姉様、どういう事ですか ﹁会場に紛れ込ませた黒猫1匹如きに此処まで来てくれるなんてお姉ちゃん感動にゃ﹂ ! 519 な、なんでアンタが此処に⋮﹂ そう結論付け、俺とリアス、そしてヴァーリは物陰から出て来た、ら、 ﹁ヴァ、ヴァーリ れて以来だな﹂ ﹁主の同伴命令で此処にいる。久しいな、黒歌。あの時俺の降伏に同行する事を拒否さ !? だったオーフィスの脱退、及びこの一大チームの殆どが悪魔陣営に降伏したという、向 出来るのは、それでいて人間界において禍の団関連の報告が一切聞かれないのは、代表 俺やリアス、シトリー会長等がこうして自らが管理する街を空けてまで冥界に里帰り 鋭揃い故に禍の団でも一大派閥並の発言力を持っていたチームだ。 とルフェイの兄妹、そして黒歌が所属していた、僅か5人だけの少数でありながらも、精 禍の団の特殊部隊、通称﹃ヴァーリチーム﹄⋮リーダーのヴァーリに美猴、アーサー 日ヴァーリに聞いてみたら、全てを話してくれた。 様だった事が気になり、小猫ちゃんがオーバーワークで倒れた事で見舞いにいったあの ヴァーリ達が俺の眷属となって以来、小猫ちゃんへ向ける視線が、知り合いのそれの いたからだ。 の様子でヴァーリと接しているのは、彼女が禍の団に、ヴァーリが率いていたチームに 黒歌が、此処で出会うとは思っても見なかったと、知り合いに会ったと言わんばかり ﹁そ、そうね⋮もう悪魔の下に付くのは我慢がならないのにゃ⋮﹂ 60話_俺達、緊迫の現場に潜入しました 520 こうにすれば信じられない事態の連続で指揮系統が大混乱に陥ったからだとも、戦力面 が大きく削がれたからだとも言える。 だがヴァーリチームが悪魔陣営に、というか俺に降伏するという方針を打ち出した 中、唯一それに離反したのが黒歌だった⋮まあ彼女には今言った様に悪魔陣営へのトラ ウマがある、幾ら信頼する仲間の決断だと言っても従う訳には行かなかっただろう。 そして⋮ ﹂ ﹁妹を大事に想うお前の事だ⋮大方、塔城小猫を悪魔陣営から連れ出そうという算段か 521 ﹂ ! 俺が思い起こしていたのを他所にどんどんと話が進んでいるな⋮小猫ちゃんを連れ 白音と一緒にヴァーリ、アンタも連れて帰るのにゃ ﹁主イッセー主イッセーって⋮随分とご執心の様ね、其処の赤龍帝に⋮気が変わったわ、 殴り倒してからにしろ﹂ 主イッセーとは浅からぬ縁、勝手に離す訳にも行かんな⋮どうしてもと言うなら、俺を らの眷属を大事に想っている⋮主イッセーとの関係は殊にそうだ。それに塔城小猫は ﹁同感だな、リアス・グレモリー。お前が妹を大事に想う様に、リアス・グレモリーも自 ﹁この子は私の眷属よ。指一本でも触れさせないわ﹂ ﹁流石ヴァーリ、ご明察にゃん。あの時連れて行ってあげられなかったしね﹂ ? ︶、少し冷静 帰 ろ う と し た 黒 歌、そ の 様 子 に び く つ い た 小 猫 ち ゃ ん を 庇 う 様 に 前 に 出 た リ ア ス と ヴァーリ、そして黒歌で押し問答が始まった⋮はぁ、全く にな﹂ ﹁ヒートアップしている所悪いが︵ギュォォォォォォォォォォォォォォン ﹂﹂﹂ ! ! 掻き鳴らす⋮何故一触即発の雰囲気の中でこれを取り出したかって まあ見ていろよ。 魔法陣を使って取り出した愛用のギターとアンプを手に、この場を急停止させるべく ﹁﹁﹁ !? ? ﹂ あの事件の真相って ﹂ ⋮やっぱり、ヴァーリから聞き出していたのね﹂ ﹁イッセーどういう事 ﹁教えて下さい、イッセー先輩 !? !? ﹁又聞きしたと言いながら、分かった様な口聞くじゃない⋮でも、それなら話は早いわ。 いぜ﹂ なトラウマがあった現場だ、大事な妹を置いておけないって思うのは何ら不自然じゃな な⋮小猫ちゃんを悪魔陣営に置けないって気持ち、なんとなくだが理解出来るぜ。あん ﹁詳しくはヴァーリに、或いは本人に聞いてくれ、俺もヴァーリから又聞きしただけだし ! !? ﹁ ヴァーリから話は全て聞いたぜ⋮お前がはぐれ悪魔になったあの事件の、真相もな﹂ ﹁紹介が遅くなったな⋮俺の名は兵藤一誠、現代の赤龍帝にして、ヴァーリ達の主だ。 60話_俺達、緊迫の現場に潜入しました 522 さっさと白音を渡すといいにゃ、ついでにヴァーリも﹂ ﹂ ? ぐだぐだ言っていないで、さっさと渡し ? ﹄ ! ﹂ た存在の声がしたのは⋮まさか ﹁な、何にゃ一体 ﹂ ﹁話は聞かせて貰ったぜイッセー ! そういう事なら、俺達も混ぜないと始まらないだろ ついた様な顔をし⋮そして振り向くと、 第三者の登場でびっくりした黒歌、一方でリアスも小猫ちゃんもヴァーリも、見当が ﹁主イッセー、音楽とは、音楽が繋いだ絆は偉大だな⋮﹂ ﹁ひょっとして⋮﹂ ﹁⋮この声、まさか⋮﹂ !? ? 黒歌と一言二言交わしつつ、ギターを構えようとしたその時だった、背後から、見知っ ﹃ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹁そう急かすな、結論はこれからだ⋮そういう訳だから俺が使うのは、﹃コイツ﹄﹂ たらどうにゃ ﹁言っていることがちぐはぐじゃないかにゃ が妹を本気で大事に想っているお前に、拳も武器も、使いたくは無いな﹂ ﹁そいつは出来ない相談だな、小猫ちゃんもヴァーリも、俺にとっちゃ大事な存在だ⋮だ 523 ! ﹂ ﹁俺達GRIDは常に一緒だ うとすんなよ が出来る事を、俺達皆の手でしようぜ ﹂ 始めようぜ、俺達GRIDの即興ライブをな 1つで準備が整う。 ! さあ、 ﹄ ﹂ 離れていても、所属がバラバラでも、こうしていざと言う時に集まり⋮俺の呼びかけ て言った通り、俺達の絆は確かに強固だな。 良太、大輔、そして元⋮GRIDのメンバーが勢ぞろいしていた⋮ヴァーリがぼそっ ﹁お前ら⋮ああ 今は俺達 悪魔になろうと、主が違ってもな だから、1人で始めよ ! ﹁黒歌の事件の真相は少し気になるが、今この場で考えるのは野暮って物だ ! ! ! ! ! ! ﹃黒歌、俺達の歌を聞け 60話_俺達、緊迫の現場に潜入しました 524 ﹂ ﹂ 仄かだがキラキラという擬音が聞こえて来そうな高音パートを奏でる右手と、明るい り、俺のギターがメインだった曲調は、元のキーボードメインの曲調へと変化する。 更に、イントロは今から本番⋮此処から大輔のドシンと圧し掛かる様なドラムも加わ 伝えるメロディが、良太のベースからのリズムを強調する様な細やかな音が加わる。 其処から、ストレートに響き渡る高音と共に、元のキーボードからの仄かな明るさを 曲名のコールと共に俺のエレキギターから掻き鳴らされる、何度も跳ね上がる低温。 る黒歌と、その妹である小猫ちゃん。 観客は背後にいるリアスとヴァーリと⋮後は、今日最もこの曲を聞かせたい相手であ 俺達GRIDが集結し、始まった即興のライブ。 ﹂ 61話︳BraveHeart、勇敢なる心 ﹁今から奏でる曲は、俺達GRIDの十八番 ﹁そして今のお前にとって、最も聞かせるに相応しい一曲 ﹁俺達の全身全霊を以て、この曲をお前の心に届けて見せるぜ ﹂ ﹁さあ黒歌⋮心して聞け ! ﹄ ﹃BraveHeart ! ! ! ! 525 曲調を噛みしめるかの様な低音パートを奏でる左手⋮元はそんな複雑な動きを、正確 に、そして情熱的にこなして行く。 それに引っ張られる様に、それを引き立てる様に、俺は抑え目に、然しながら今の想 いを乗せる様に、低音を掻き鳴らす。 此処から、大輔の連打から始まる、Aメロ。 端的に言えば﹁逃げちゃダメだ﹂ ﹁諦めるな﹂と、某人造人間に搭乗して得体の知れな い敵に立ち向かう少年の台詞の様な詩を、元のキーボードや大輔のドラムがメインと なっている曲に乗せて、途中で入るギターメインの部分では低音を激しく掻き鳴らす事 でボルテージを上げて、歌う。 次にサビへと向けて、明るさを、励ましをあらわすかの様なBメロ。 う。 かう気持ちを⋮自らの﹁希望﹂を守る、その大事さを、俺の、俺達の想いを乗せて、歌 自分にとっての﹁叶えたい夢﹂ ﹁守りたい存在﹂の大切さを、その為に諦めずに立ち向 ビに入る。 そして、俺のギターから掻き鳴らされた高音と、大輔の激しいドラムを境に、曲はサ に悪い仮面騎士の台詞の様な、抱く想いの様な詩を、歌う。 ﹁自分にしか出来ない事﹂ ﹁この世界で自分に出来る事﹂といった、どっかの運勢が相当 61話_BraveHeart、勇敢なる心 526 大輔が力強く叩き鳴らすドラムの旋律に、元が情熱的に奏でるキーボードのメロディ に、良太が繊細に掻き鳴らすベースの低温に乗せて、歌う。 ﹂ 小猫ちゃんの、黒歌の心に届ける為に、歌う。 この歌を⋮この歌が持つ意味を ! が ﹁黒歌 ﹄ 黙って主達GRIDの歌を、皆の想いの丈を聞け ﹃Divide ﹂ ! ! に応えるのが主の、主役であるGRIDのボーカルの役目だ 厳しさもありながら、 ﹁立ち向かう力を、武器を持とう、使いこなそう﹂という不屈の想 2番のAメロにある、 ﹁何時でも思い通りになるとは限らない﹂という現実の、世界の そんなヴァーリの頑張りに応えるべく、2番に入った歌に想いを込め続ける。 ! 結界でそれも出来ない様になっている⋮良い会場運営だな、本当に⋮だったらその期待 普通に考えれば逃げられる機会が幾らでもあるが、ヴァーリが何時の間にか展開した ねぇかヴァーリ。 ヴァーリがそれを、白龍皇の光翼を駆使してまでそれを止めた⋮やってくれるじゃ ! ! 黒歌が何かを叫びながら攻撃を仕掛けようとする⋮聞く気など無いという事か⋮だ ﹁く、うぅぅ⋮歌を、歌を止めるのにゃぁ ! 527 いの詩を、歌う。 Bメロにある、 ﹁人生の道標なんて無い、自分で作る物だ﹂という、嘗て日本で活躍し た詩人の、その中で最も知られた作品の1つの、その一文の様な、自らの中にある﹁自 由﹂を書いた詩を、歌う。 Bメロからサビへと繋ぐギターソロを、流れる様に、情熱を前面に出す様に掻き鳴ら す。 サビにある、 ﹁全力で取り組む事の大切さ﹂ ﹁全力で立ち向かう勇気﹂を書いた詩を、歌 い⋮そして曲はクライマックスに突入する⋮ ! 例え今の ! ない 荒れ果てた方向に道を敷き続ける事は無い ﹂ 今は茨の道でも、何時かは平坦な道がやって来る 道なき道を歩み続ける事は無い ! お前にだって、その時はやって来る ! 私達に何があったか、その後私はどうなったか、どんな道を敷いて来たか、敷か ! んだ ﹁黙れ ! ! ! 景が広がる里山へ、賑やかな喧騒が響き渡る都市へと方向転換する事だって不可能じゃ 悪い山々に敷かれていたとしても、其処から爽やかなそよ風が吹く草原へ、のどかな光 道が荒れ果てた荒野に、鬱蒼としたジャングルに、空気すら凍る雪原に、急峻で足場の かった事にするのも至難の業だ⋮だけど、だけどその先は自由に道を敷ける ﹁既 に 出 来 上 が っ ち ま っ た 道 を 潰 し た り、修 正 し た り す る の は 大 変 な 事 だ ⋮ 完 全 に 無 61話_BraveHeart、勇敢なる心 528 なきゃならなかったか⋮それをヴァーリから又聞きしただけのアンタが分かった様な どんな道だって歩んでやるわ 小猫 どんなに苦しい道 アンタは生き方を示した地図なんか無いって歌うけど、だったら私がどん ﹂ ! 口を聞くな な地図を書いたって自由でしょ だって、白音やヴァーリと一緒なら躊躇する事なんて無いわ ! ! ! ﹂ る事を望んでいる⋮それが、それが分からないのかよ ﹂ ヴァーリの仲間だろ ﹁っ ! お前は、小猫ちゃんの姉だろ ! ラウマへの決別﹂を、﹁障害へ立ち向かう勇気﹂を描いた詩を、歌う⋮ に歌い⋮ ﹁うぅ⋮うにゃぁぁ⋮うぁぁぁぁぁ⋮ ﹂ 曲が終わった時には⋮黒歌は力尽きたかの様に、打ちひしがれたかの様に膝を折り、 ! ! そして、自らの﹃BraveHeart│勇敢なる心│﹄を信ずる大切さを、精一杯 ! そして⋮曲はクライマックスとも言うべき3番の、サビにある﹁未来の大切さ﹂を、﹁ト を、そして小猫ちゃんの、ヴァーリの、皆の想いを、黒歌へと伝える。 クライマックスへ向けての間奏パートを奏でつつ、俺の想いを、この曲を選んだ意味 ! ! ちゃんもヴァーリも、お前が平坦な道を歩む事を願っている⋮お前と平坦な道で合流す ﹁その小猫ちゃんとヴァーリは、それを望んでいないって事が分からないのかよ ! 529 530 61話_BraveHeart、勇敢なる心 そして⋮泣きじゃくっていた。 ﹂ 62話︳俺達、奔走しました ﹁そっちの首尾はどうだ というと⋮ ⋮まあそもそも、何故俺達がそんな危険を冒してまで、潜入を行おうとしているのか、 期したい。 うして俺含めた4人で潜入するのだが、それでもやるべき事を全うするまでは、慎重を そして俺の眷属である皆も巻き込む事になる⋮既に皆からは快諾されてはいるし、こ 悪魔としての資格をはく奪されるばかりでなく、斬刑に処されるかも知れない。 これが明るみに出れば俺達の立場はより危うい物となるだろう、下手すれば即刻上級 ⋮今からやる事はヴァーリの言った通り潜入だ、それもとある上級悪魔の領地へ。 に答える。 アーサーはコールブランドを片手に、美猴は何かしらの術式を練りながら、俺の問い ﹁⋮まあ、堂々と立ち入るのではなく潜入するんだがな﹂ ﹁いざと言う時の脱出手段もあります、遠慮なく乗り込んで行きましょう﹂ ﹁問題ないぜ。俺達の存在を認識させない様にするなんざ、仙術で楽勝よ﹂ ? 531 62話_俺達、奔走しました 532 ││││││││││││ あの即興ライブの後、小猫ちゃんとリアス、そしてGRIDのメンバーたちは、黒歌 とヴァーリから、黒歌がはぐれ悪魔となった事件の真相を聞いた。 黒歌が眷属悪魔となった経緯こそ、リアスから聞いた物と同じではあった。 だが、黒歌が持つ類稀な実力に目を付けた主人は、妹である小猫ちゃんにも術式を覚 えさせようとした挙げ句、小猫ちゃんをも眷属悪魔にしようと画策した。 黒歌は契約内容に違反するとして抗議し、急な術式の修得は危険が多いと忠告したが 聞き入れようとしなかったらしい。 挙げ句、小猫ちゃんを手に掛けるという脅迫までしていたとか。 このままでは小猫ちゃんが危ない⋮黒歌は考えを巡らせた末に、術式の暴走を装って 主人を暗殺し、はぐれ悪魔となった。 だが当時の黒歌はまだまだ未熟、身を守る術の無い小猫ちゃんを引き連れて行ける程 の実力も無かった為に、止む無く置き去りにしたらしい。 それからは想像するまでもなく、黒歌ははぐれ悪魔として人外勢力から命を狙われる 事になった⋮でも、その心底は、小猫ちゃんを想う気持ちで一杯だった。 何時かは迎えに行く⋮実力を付けて、小猫ちゃんを守ると。 禍の団に入ったのも、その一派であるヴァーリチームに入ったのも、自分1人で行動 するよりは、テロ組織ではあったが、いやテロ組織だからこそ自らの安全をある程度保 障してくれるから、という考えからだそうで、特に白龍皇の仲間ともなれば、おいそれ と手出し出来ないと踏んだらしい。 そんな、事件の真相を聞いた小猫ちゃんとリアス、そしてGRIDのメンバー達は号 ﹂ ﹂ 泣、特に妹である小猫ちゃんは黒歌の胸の中に飛びついて泣きじゃくっていた。 ﹁お姉様⋮お姉様ぁ⋮ ﹁御免なさい、黒歌⋮私、貴女の事、誤解して⋮ るものがあるぜ⋮ ﹂ ﹁ヴァーリ、次は⋮﹂ 後は、黒歌のはぐれ悪魔の指名手配を何とかしないとな。 姉を慕っていたんだ、こっちの解決は時間の問題だろう。 離れていた時間というのはそれだけ重い⋮だけど黒歌は勿論、小猫ちゃんも心の底では これで姉妹の間の蟠りは解けた、とは直ぐには行かないだろう、小猫ちゃんと黒歌が 黒歌⋮﹂ ﹁俺も、はぐれ悪魔が全て、欲に駆られて主に反逆していたと思っていた⋮悪かったな、 ! ! ﹁黒歌さん⋮理想のお姉さんだ⋮ ﹂ ﹁全く、泣かせてくれるじゃねぇか⋮アニメとかでこんな展開を良く見たけど、やっぱ来 ! ! 533 ﹁了解だ、主イッセー﹂ ││││││││││││ で、黒歌が脅迫されていた証拠を探るべく、黒歌の元主の家系の領地にがさ入れ⋮も ﹂ とい、潜入調査に入る事にしたって訳だ、が、 ﹁これじゃないか 日 黒歌が私の命に刃向い、 ﹁白音は渡せない﹂と抜 × 代表はサーゼクス・ルシファー達4大魔王ではあると言っても、その権力は十全とは言 ﹁成る程な⋮バカ正直に悪魔陣営に見せた所で握りつぶされる恐れがある。悪魔陣営の ﹁俺はこれを先に、アザゼルさんに見せて置いた方が良いと思う。所謂内部告発だ﹂ と進言するが⋮事はかなり重大だ、俺達の対応次第では思わぬ結果を招く恐れがある。 入って数分で見つかった、その上々な結果から、アーサーが早速魔王様へ申請しよう ﹁待て、アーサー﹂ ﹁兎も角、これで物証は十分ですね。早速魔王様にこれと共に黒歌の指名手配解除を﹂ ? つけたな、美猴﹂ ﹂ かしおった。誰が主か分からせてやる必要があるな﹄⋮ビンゴだな、良くあっさりと見 音も眷属とするとしよう﹄ ﹃○月 ﹁何々⋮﹃○月△日 黒歌の力量は想像以上だ、これは妹である白音にも期待できる。白 ? ﹁それっぽい気配がする奴を見つけただけだぜ 62話_俺達、奔走しました 534 えず、旧家の意向が大分反映されている。その旧家の大半が自分達純血悪魔の利権を守 ろうとする守旧派で、主イッセーの改革方針には反感を示している。態々自分達に不利 になる材料を魔王に渡す訳が無いし、魔王に直接渡そうにも、多忙を理由に会わせて貰 えない可能性がある⋮例え魔王の妹であるリアス・グレモリーと恋仲の主イッセーで あってもな。そして自分達の立場が不利益になる様な材料を持つ主イッセーを、何かと 理由を付けて追い落としを図るに違いない。だが悪魔陣営と同じ位の勢力を誇る堕天 使陣営の代表たるアザゼルなら違う。アザゼルはこっちで俺達のコーチを受け持って いる以上、会う機会はかなり多い。また、主イッセーの改革方針に賛同、それどころか 関与する気満々だ。そのアザゼルに今回の一件を物証と共に提出したとなれば⋮﹂ ﹂ ? 達は分からない⋮ヴァーリの話の通り72家の大半は俺の改革方針に反感を示してい そう、それが俺の考えだ⋮サーゼクス様達魔王様は信頼出来るが、所謂その他の上役 るしかない、という事か、主イッセー﹂ ると思われる事は2つ⋮都合の悪い情報は握りつぶすか⋮知られた情報を元に改善す そんな中で自分達の立場を悪くするような対応は避けなければならない。となればや ﹁ああ。今は3大勢力を始めとした人外勢力が力を合わせて禍の団に対処すべき事態、 め、悪魔陣営は一応の友好関係である堕天使達の話を受け入れるしかねぇ、てか ﹁アザゼルを始めとしたグリゴリの連中はここぞとばかりに悪魔陣営の批判をおっぱじ 535 る様で︵例外はリアスを始めとしたグレモリー家、ライザー達フェニックス家、シトリー 会長を始めとしたシトリー家位か︶、そんな中で魔王様達にこの物証を渡せるかどうか ⋮悪魔陣営内に限れば厳しいだろう。 だけどアザゼルさんを始めとした堕天使陣営を介すれば⋮って事だ、が、 其処を守旧派に突かれて正式な上級悪魔への昇格の道を狭められるかも分かりま 悪魔陣営を無視して他の勢力に情報を横流しする方法を取っては、余計に睨まれません ﹁しかし一誠さん、確かに72家は貴方に反感を抱く者ばかりですが、いや、だからこそ、 か アーサーが懸念を述べて来る⋮まあ、其処も頭の片隅では考えているが、 ません﹂ せん。そうなれば、一誠さんの夢の道は遠のくばかり、下手したら閉ざされるかも知れ ? ││││││││││││ ? を黒歌1人に押し付け、それが元で禍の団への流出を招き、更にはその自らの過ちで生 由で追い詰めたのを野放しにした挙げ句、本末転倒な結果を導いたばかりか、その原因 ﹁失態ですね。猫又の中でも特に高い力を持つ猫 である黒歌を、その主の身勝手な理 俺のその言葉に、アーサーは黙って頷いてくれたが⋮さて、どうなるか⋮ 知った仲だ。仮にそういう流れになったとしても、信じるだけさ、魔王様達を﹂ ﹁その守旧派は兎も角、サーゼクス様とセラフォルー様はリアス達との関係もあって見 62話_俺達、奔走しました 536 537 み出したテロリストにあっさりと領地侵犯を許すとは⋮大体、悪魔陣営の管理能力は ⋮﹂ 結果としては成功だったと言える⋮グリゴリの副総督であるシェムハザさんが悪魔 の上役の面々を会談ルームに集めて、舌鋒鋭く問い詰めた事で、黒歌のはぐれ悪魔認定 が解除、元主がいた家は上級悪魔でも最も階位の低い﹃男爵﹄に降格した⋮流石に禍の 団に所属していたテロリストという点までは払しょく出来なかったが、其処は俺の保護 観察に置く事で結論は出た。 63話︳俺達、ミーティングを行いました Side 良太 魔王様主催のパーティと、小猫ちゃんのお姉さんである黒歌さんが其処に潜入する事 件のあったあの日から更に時は流れ、いよいよシトリー会長、及びその眷属達⋮勿論、元 士郎の奴も入っている、アイツらとのレーティング・ゲームが明日に迫り、今はリアス 部長と、俺ら部長の眷属、更にコーチ役を買って出てくれたアザゼル先生による最終 ミーティングをしていた。 いよいよ、俺達が﹃戦場﹄に駆り出される時が来たって訳だ⋮その事実に、レーティ ング・ゲームの経験が無い俺と大輔、それとギャスパーは、緊張からかちょっと震えて いた⋮まあ覚悟していたと言っても、実際に経験しないとその重みは分からないから ﹂ な、けど何時かは来ると分かっていた事だし、その為に特訓を重ねたんだ、今更逃げた りなんかしないぜ ていない能力の人もいるけどね﹂ ﹁ソーナの事、副会長である﹃女王﹄の事、後は数人の能力は知っているわ。一部判明し ? ! ﹁リアス。ソーナ・シトリーの眷属はどの位把握している 63話_俺達、ミーティングを行いました 538 ア ザ ゼ ル 先 生 が シ ト リ ー 会 長 側 の 情 報 で 知 っ て い る 事 を 部 長 に 聞 い て 来 る ⋮ こ う いったほぼ初見の相手に対し、事前の情報ほど役に立つ物は無いからな。 其処で出た答えは⋮まずソーナ会長は、氷や水流と言った魔法を用いたテクニックと ミ ラ ー・ア リ ス ウィザード、両方の特性を兼ねたタイプ、次に会長の女王である森羅椿姫副会長は、敵 の攻撃を受け止める鏡を生成してそれを破壊した衝撃を跳ね返す神器﹃追憶の鏡﹄を使 うテクニックタイプ、他に有力なのが元士郎、 ﹃黒い龍脈﹄という、過去に﹃5大龍王﹄ と呼ばれた存在であるヴリトラの魂が宿った神器を使うテクニックタイプだ⋮会長の 眷属って、テクニックタイプが多いな。 ? る皆を見て思う。 ﹁一方でお前の方は、あちらはどれ位把握しているんだ ﹂ ぎない事実だ⋮尤もそれは質が伴えばの話ではあるが、それも問題ないと俺は周りにい 多勢に無勢、と言うには程遠いが、それでも基本的に人員が多い方が優位なのは揺る で8人ね。まだ駒全部揃えていないみたいだし、数の上でもこちらが3人多いわ﹂ ﹁ええ、 ﹃王﹄であるソーナ、 ﹃女王﹄1、 ﹃戦車﹄1、 ﹃騎士﹄1、 ﹃僧侶﹄2、 ﹃兵士﹄2 ば良い。相手の数は確か8人だったか﹂ 闘中に禁手に至る事⋮情報違いが発生する事だってある、その辺りは細心の注意を払え ﹁まあ、その辺りはゲームでも実際の戦いでも良くある事だ。事前の情報も大事だが戦 539 けでやる、指を拳銃の銃身に見立てて相手に付きたてるポーズをする等、普通なら﹁お け﹂と言わんばかりに手を振るか、良くドラマとかの主役張っているイケメンが格好つ 其処で見せたイッセーの戦いは⋮引っ掻いたり手刀を放ったり、というか﹁あっち行 無双と言うべき戦いだった。 だが何より俺の目を引いたのは、当時は部長の兵士であったイッセーが見せた、正に ゲームとは思えない位、皆がその持ち味を発揮していた。 対 し て 技 術 と 覚 悟 を 以 て 真 っ 向 勝 負 を 挑 ん だ 姿 ⋮ 初 め て だ っ た ら し い レ ー テ ィ ン グ・ きと光の槍の投擲、そして塔也先生があのフェニックスの血が流れているという相手に ちゃんのパワフルかつ流れる様な体術、美月ちゃんの忍者の様なアクロバティックな動 から飛び出た血が物を溶かしたり相手悪魔の身を焦がしたりしていく様、脇澤と小猫 朱乃さんの迫力満載な雷撃、木場が作り出す魔剣の変幻自在な攻撃、フリードの身体 な。 その映像なら俺も見た、自分の仲間の情報を知らないとサポートのしようが無いから し、大輔と良太の神器も強力な分、見抜かれるのも時間の問題ね﹂ 部には公開されているもの。更に言えばギャスパーの神器も小猫の素性も割れている 塔也の主力武器は認識していると思うわ、フェニックス家との一戦を録画した映像は一 ﹁最近加入した大輔と良太以外は、粗方ね。例えば朱乃に祐斗、フリードに佳奈、美月に 63話_俺達、ミーティングを行いました 540 前バカ ﹂と突っ込みたくなる姿だ⋮普通なら。 神器﹃赤龍帝の籠手﹄に匹敵すると言われている能力らしい。 部長たちの話では、あれこそが今の一誠を、悪魔としての一誠を体現した物⋮一誠の 言えば良いのか、俺には分からない。 使って、イッセーは相手眷属の過半数を1人で倒した、これがチートと言う以外に何と の指の爪が10枚とも剥がれ、それが地雷となって、踏んだ相手を飲み込む⋮それらを り裂かれ、指鉄砲を向けた先の相手に何か銃弾みたいな物が直撃する、更にはイッセー 手が届かない位置から引っ掻いたり手刀を放ったりする度に、その延長線上の相手が切 だがイッセーは普通じゃ無かった、というかチートにも程があった⋮明らかに相手に ? そうだ。 ら自分で何を言っているのかわからねーが、ともかくそんな能力が、イッセーにはある 物を破壊しつくしたり、挙げ句の果てには回避不能のラッシュをぶちこんだり⋮途中か その弾痕に自らを入れる事で地面の中を自在に移動で来たり、弾痕に入った自分以外の というか銃弾が爆発して出来た弾痕に追尾機能と相手を飲み込ませる機能を付けたり、 その回転力で爪を﹃銃弾﹄として放ったり出来るらしく、更にその力を引き出せば銃弾、 いたり手刀を放ったりしたりといった動作に伴って、爪の﹃斬撃﹄を﹃延長﹄させたり、 ﹃タスク﹄とイッセーが名付けたその能力は、自らの爪を高速回転させる事であの引っ掻 541 最初の部分からしてチートだよ、イッセーにとってリーチという単語が﹃リーチw﹄と 草を生やすに値する単語になってしまう程に。 ⋮まあ明日のレーティング・ゲームには余り関係の無い話だな、此処は気を取り直し て、と。 刺客の血は本人の考え1つで自由に変質する、つまり ? んが援護射撃をし、最後は大輔と小猫ちゃん、脇澤が制圧する⋮挙げ句フリードはその トと敵の妨害をし、木場と美月ちゃん、塔也先生が引っ掻き回す、其処に部長と朱乃さ こう聞くと俺達って結構バランスが整っているな⋮俺とギャスパーが味方のサポー ザードタイプの素質もある﹂ 奈程じゃあ無いが技量はある、ギャスパーはテクニックタイプにも近いし、美月はウィ どっち方面にも振り分けられるからな。他にも佳奈はテクニックも兼ね備え、小猫も佳 オールマイティと言うべきか と良太はサポートタイプ、祐斗と塔也、美月はテクニックタイプだな。フリードは⋮ ら、リアスと朱乃はウィザードタイプ、小猫と大輔、佳奈はパワータイプ、ギャスパー プ、そして魔力全般が秀でたウィザードタイプの4つだ。このタイプに分けて言うな クニックタイプ、味方の補助を行ったり敵を妨害したりする能力を持つサポートタイ 力を前面に活かして一撃必殺を狙うパワータイプ、自らのスピードや技量を駆使するテ ﹁レーティング・ゲームには、プレイヤーに細やかなタイプを付けている。自らの身体能 63話_俺達、ミーティングを行いました 542 何処にでも入れる。 アザゼル先生はそう、引き締めるかの様な言葉を述べ始めた⋮流石に1万年前の大戦 じゃ無い、実際のチェス同様に、局面次第で価値は大きく変わる﹂ だってそう思っているが⋮﹃絶対﹄勝てるとは思っていない。駒の価値も絶対的な物 ﹁お 前 達 が 今 回 の ゲ ー ム で 勝 利 す る 確 率 は 9 0 % を 超 え て い る と も 言 わ れ て い し、俺 み合わせでぶつけようと考える筈だ。 ンター対策を有していると分かって、態々ぶつけて来るとは思えない⋮必ずや優位な組 ただ相手も、特にシトリー会長を始めとした相手は切れ者が結構いる、こっちがカウ 天使の能力を有する朱乃や佳奈で受けた方が良い。何事も相性だ﹂ ある祐斗に美月に塔也、もしくはヴァンパイアの特殊能力があるギャスパー、それと堕 ﹁そういった敵とぶつかったら、出来るだけ攻撃を避けろ。カウンター使いには技術が な。 森羅副会長の事か⋮まあ俺の場合は腕っぷしも無いに近いし、気にする必要は無い 強ければ強いだけ、その被害は尋常じゃないぞ﹂ ウンター系能力は文字通り、こちらの力を、相手の力がプラスされて自分に返って来る、 認だ。小猫や大輔、佳奈の様なパワータイプはそれ一発で形勢逆転される事もある。カ ﹁分かっているとは思うが、向こうにカウンター系の神器を使う奴がいるそうだから確 543 を生き抜いた事はある、その言葉には重みがあるし、俺も思う所があったから心身に響 く⋮戦いってのは、戦争ってのは、何時だってそうだ。 よし⋮俺は、俺達は絶対に勝ちに行くぜ そして俺が活躍した暁には美月ちゃんと⋮ ! で俺がお前達に伝える最後のアドバイスだ﹂ 見るなよ。絶対に勝てるとは思うな⋮だが、絶対に勝ちたいとは思え。これがこの合宿 るんだよ⋮勝てる見込みが10%も無い連中が勝利した場面を。1%の可能性を甘く ﹁俺は長く生きて来た。その中で、多種多様な、様々な戦闘を見て来た。だからこそ言え 63話_俺達、ミーティングを行いました 544 64話︳俺達の初陣、始まりました Side 良太 いよいよこの日がやって来たな⋮俺達リアス部長の眷属と、元士郎達シトリー会長の 眷属との、レーティング・ゲームが⋮ その開始が間近に迫った事を示す様に、俺達がスタンバイしているグレモリー領の居 城地下に現れる魔法陣⋮どうやら、あれがレーティング・ゲーム専用の異世界へとジャ ンプさせる魔法陣らしい。 りなさい﹂ ﹂ ﹁グレモリーの者として恥じぬ戦いをしなさい。眷属の皆さんもですよ﹂ ﹁頑張って下さい、リアス姉様 という事から既に会場入りしたらしい、全く、幾ら競い合う相手だからって恋人なんだ ゼル先生が応援の言葉を掛けてくれた⋮イッセー達がいないのはまあ対戦相手だから、 その出現を見て、部長の両親であるグレモリー卿とヴェネラナ様、ミリキャスにアザ ! ! ﹁今回、教えられるだけの事は教えたつもりだ。後はお前達次第、気張っていけよ ﹂ ﹁リアス、一度は勝利したとはいえその立役者たるイッセー君はもういない、心して掛か 545 から応援の言葉の1つや2つは無いのか、あのハーレム野郎め、と思いきや、リアス部 長がぽつりと﹁⋮イッセーが、競い合う立場をおしてメッセージをくれた、頑張らない とね、私の想いの為にも⋮﹂と呟いていた辺り、しっかりしているぜ、本当に。 さて、頑張りますか 程、フードコートか、て事は、だ。 ﹃本陣﹄はテーブルだらけの場所、周りはファストフードの店が軒を連ねていた⋮成る 魔法陣でジャンプした先、つまりレーティング・ゲームの舞台となる世界の、俺達の ││││││││││││ ! ﹃両陣営、転移された先が本陣でございます。リアス様の本陣が2階東側、ソーナ様の本 のデパートか。 突如聞こえて来たグレイフィアさんのアナウンスを聞いて確信を持つ⋮やっぱり、あ 駒王学園の近隣に存在するデパートを模したフィールドを用意致しました﹄ しくお願いします。早速ですが、今回の戦場には、リアス様とソーナ様両名が通われる 主、サーゼクス・ルシファーの名の下、ご両家の戦いを見守らせて頂きます。どうぞ宜 なりました、ルシファー眷属の﹃女王﹄、グレイフィア・ルキフグスで御座います。我が ただき、ありがとうございます。私は今回のレーティング・ゲームの審判役を担う事に アビエーター ﹃皆様、この度はグレモリー家、シトリー家のレーティング・ゲームのご観戦にお越しい 64話_俺達の初陣、始まりました 546 陣が1階西側でございます。兵士の方はプロモーションをする際、相手の本陣まで赴い て下さい﹄ て事は、こっちは脇澤と美月ちゃん、後は塔也先生が1階の西側に行けば強化され るって訳で⋮逆に向こうは元士郎と仁村がこっちに来ると強化されるって訳か⋮あっ ちのキーマンが更に強化されると厄介だな⋮ ブ リッ ツ ﹁困りましたわね、大質量による攻撃をほぼ封じられた様な物ですわ﹂ 器を持ったお前が一番割を食うルールではあるな。 作戦タイムスタートと共に、大輔が苦い顔をする⋮まあ、物体を爆破させるという神 ﹁マジか⋮俺や朱乃さんにとっては不利な事極まりないぜ⋮﹂ さあ始まるぜ、俺達の戦いが⋮ タイムを設けます。それでは、作戦タイムのスタートです﹄ ﹃今回の制限時間は、短期決戦のルールに則り3時間とします。尚、事前に30分の作戦 ぜ⋮ おいおい、マジかよ⋮派手な攻撃が得意な奴が多いウチには重いハンディキャップだ ます﹄ おります。尚今回は、フィールドであるデパートを大規模に破壊する行為は禁止と致し ﹃今回のレーティング・ゲームでは両チームに1つずつ、フェニックスの涙が供給されて 547 その意見に朱乃さんも乗る様に、2人にとっては持ち味を完全に封じられたと言って 良い⋮まあ、やり様は幾らでもあるんだが。 ただ、不利な条件はそれだけじゃあ無い。 ﹁ギャスパー君の眼も効果を望めませんね。店内では隠れ場所が多すぎる。商品もその ままの陳列状態を模しているでしょう、視線を遮る物が溢れています。闇討ちにも有効 ですし⋮困りましたね﹂ 俺の意見を代弁する様に木場が意見を述べる⋮待て、﹃そのままの陳列状態﹄ ? そういえば確かレーティング・ゲームの異世界は、モチーフとなった建物の構造を忠 実に再現していたって言っていたよな⋮て事は⋮ ! ちはちゃっかりしてんなぁ、おい。 置く⋮黒歌さんの件はほったらかしにした挙げ句に対応を誤り続けていた癖して、こっ 俺の考えを述べるのは後だな、まずは部長達から伝えられる、事前情報に耳を傾けて ね﹂ で、挙げ句にアザゼルが開発した神器の封印眼鏡を装着との事よ⋮全く、用意が良いわ 言えないから。暴走させてゲームの全てが台無しになってしまったら困ると言う判断 神器使用を禁ずる﹄という規制が入ったの。理由は勿論、まだ完全に使いこなせたとは ﹁いえ祐斗、ギャスパーの眼は最初から使えないわ。こちらに﹃ギャスパー・ヴラディの 64話_俺達の初陣、始まりました 548 ﹂ まあいい、これで事前情報は以上かな、他にこっちが抱える爆弾的な物は無いし⋮ ﹂ ? ? くか ﹄ ! ﹁さて私の可愛い眷属達、イッセーがいなくても渡り合える強さがあると世界に知らし ﹃了解 進むわ﹂ 複数の蝙蝠に変化して店内の監視と報告。進行具合を見て私がフリード側のルートを で待機、場合によっては其処から動いて貰うわ。祐斗達は1階へ回って。ギャスパーは の進行よ。立体駐車場へ行くチームの内、佳奈達は罠を仕掛けながら屋上へ行って其処 の3手に分かれるわ。フリード達は店内から、祐斗達と佳奈達は一緒に立体駐車場から ﹁指示はさっきの通りよ。フリードと塔也と大輔、祐斗と小猫と良太、朱乃と佳奈と美月 ! グレイフィアさんのアナウンスと共に、俺達の初陣が、本格的に始まった⋮さあ、行 ﹃開始時刻となりました。それでは、ゲームスタート﹄ Side 大輔 ││││││││││││ ﹁はい。まずは⋮﹂ ﹁何かしら、良太 ﹁部長、1つ良いですか 549 ﹄ めるわよ ﹃はい 絶対に勝ちに行くわ ! ﹂ ! しかいないんだ⋮と今更ながら怖気つきつつも先に進んでいると、 正直上手く行くかは分からない、むしろ不安しかない、というか何で俺ん所だけ野郎 に誘い込んで、其処で撃破をする、って流れだ。 となって本部を制圧、抵抗が激しい様なら後退して朱乃さん達が罠を張った立体駐車場 そして部長から或る﹃指示﹄が来たら戦闘をこなしつつ本陣を急襲、フリードが中心 はせず、今まで通りの進撃を続ける。 敵とエンカウントしたらその血溜りから簡易的な罠を作動させつつ戦闘、但し深追い ラ代わりにし、その情報を元に進む。 剣﹄、それを使って数十メートル先に血の球を投げつけ、其処に出来た血溜りを監視カメ 俺達の指示はこうだ⋮フリードの神器である﹃刺客の血﹄の禁手﹃死神女王の聖魔血 部長の指示に従い、通信用の宝玉を装着しつつ、俺達は各自の行動に移った。 ! フリードの指示に従いつつ、血溜りの先の敵に仕掛けようとすると、 ﹁あいよ﹂ ﹁了解した﹂ ﹁塔也センセ、大ちゃん、敵を発見したぜ。作戦通り、行っちゃおうぜ﹂ 64話_俺達の初陣、始まりました 550 もうやられたのかよ、ギャスパーか、良太か ﹃リアス・グレモリー様の﹃僧侶﹄1名、リタイア﹄ なっ ﹁ああ、これは﹃指示﹄が直ぐにでも来そうだな﹂ ﹁こりゃあやられたのはギャー君だねぃ﹂ !? まずは︵ブツン ︶なっ︵ドゴォン ! ﹄ ︶へぶぁ ﹂ !? つも俺は、俺達はその通りに動き出す、と、 ﹁大輔か ﹂ !? ! GRIDはIsseiの熱気溢れるギターと透き通ったハイトーンボイ ! まずは1曲目 そ れ が 違 う っ て 事 を、今 日 の レ ー テ ィ ン グ・ ﹄ ゲームの場を借りた俺、Ryotaのソロライブで知らしめてやるぜ ﹃RecklessFire 2011﹄ ! ? ! ! の迫力あるドラムだけだと思ったかい ス、Genshiroの流れる様なキーボードと伸びやかなコーラス、Daisuke ﹃Y e a h 女子の悲鳴、 後方からの何か紐みたいのが切れた音と何かが落下した音に、元士郎と、仁村らしき ﹁きゃぁ ! フリード達の憶測と、それが正解だと知らしめる部長の﹃指示﹄に、恐怖感が増しつ ﹁うわぁマジかよ、これが戦場か⋮容赦ねぇな、やっぱ﹂ ﹃皆、ギャスパーがやられたわ⋮コード403、急いで !? ! 551 64話_俺達の初陣、始まりました 552 そしてギターが激しく掻き鳴らされて放たれたBGMと共に、良太のソロライブの開 幕を告げる声が響き渡った。 65話︳作戦、遂行されました 純粋な力量に勝るリアスの眷属を、知略と技量に長けたシトリー会長の眷属がどう崩 ﹄ していくか、そんな前評判が大勢を占めていた今日のレーティング・ゲーム。 だがその蓋を開けてみれば、 ﹄ 何で、何で神器が使えないんだ ﹃ほらほらぁ、ナマス斬りだぜぇ ﹄ ﹃ぐっがぁぁぁぁぁ ﹃ふっはっやぁぁ ﹄ !? ! 結界が、結界が張れない⋮ ﹄ ﹃きゃぁぁぁぁぁぁ ﹃せいっはっとう ﹄ !? ! ! ! ! 攻撃を返せないなんて⋮ !? 上げて行くぜぇぇぇぇぇぇ ! ! うな光景だった。 ﹃Yeah ﹄ リー会長の眷属達を斬りつけているという、何時の時代の白兵戦だよと言いたくなるよ アスの眷属達が剣を振るって、自らの持つ神器や魔力が使えない事に戸惑っているシト フリードが、塔也が、大輔が、木場が、佳奈が、美月が、小猫ちゃんが⋮とにかくリ ﹃あぐっ ! 553 そしてそのBGMとして流れている良太のソロライブ、恐らくあれが、今の光景の原 因だろう⋮考えたな、良太。 ││││││││││││ Side 大輔 作戦タイムの時、良太はこんな提案をしていた。 ﹁こういう入り組んだフィールドとなれば、重要なのが偵察⋮つまりサーチャーの役割 です。死角を無くして行ける存在ならば尚良い。俺達で言うなら、仙術を用いた小猫 ちゃん、刺客の血を使ったフリード、そして、ヴァンパイアの能力を使ったギャスパー ですね。特に、自分の周囲に範囲が限られる小猫ちゃんとフリードと比べて、ギャス パーは確か複数の蝙蝠に変化出来るんですよね。だとすれば隅々まで探索できる分、有 用です。ですが相手はそれを承知していると聞きました。となれば強力な﹃目﹄となる ギャスパーを真っ先に潰し、向こうの大局的な動きを悟られない様にしてくる筈です。 ギャスパーはハーフとはいえヴァンパイア、弱点はかなり多く、対処のしようがありま す﹂ そんな顔しているわよ﹂ ? ﹁え、お、囮ですかぁぁぁぁ ﹂ ﹁はい。いっその事、ギャスパーを陽動として使いましょう﹂ ﹁確かにね⋮で、何か策はあるのでしょう、良太 65話_作戦、遂行されました 554 !? ﹁良太、相手の出方が分からない以上、ギャスパーを失うのはかなり痛いわよ ﹂ ? 階へ向かい、 スタッフルームへ向かいます﹂ ? ﹂ !? ﹁そう⋮敵味方問わず、魔力の行使、俺以外の神器の発動等々⋮様々な人智の範囲外の力 ﹁人智及ばざる力⋮まさか ﹃生命が持つ人智及ばざる力を封ずる﹄音色﹂ 付加した音色を、フィールド全域に撒き散らします。撒き散らすのは⋮ 其処へいち早く向かい、ギャスパーがやられたのを合図に、俺が躁鬱の音による効果を 造 物 を 忠 実 に 再 現 し た 物 と な っ て い る と 聞 き ま し た。恐 ら く は 放 送 機 材 も 使 え る 筈。 ﹁ええ、そういう事です。レーティング・ゲームの舞台となる異空間は、人間界とかの建 ﹁スタッフルーム⋮成る程、そういう事 ﹂ へ行き、罠を配置しつつ屋上へ向かって下さい。そして俺達は立体駐車場を経由して1 ね。まず塔也先生達はこのまま2階を進んでください。次に朱乃さん達は立体駐車場 也先生とフリードと大輔、木場と小猫ちゃんと俺、朱乃さんと脇澤と美月ちゃん、です 動ける人、そして罠の察知が得意な人の3人ずつ、計3チーム作ります。お勧めは、塔 位に浮かれている所を突きます。まず各自の動作ですが、腕っぷしの強い人と、素早く ﹁逆に言えば、向こうはギャスパーを撃破すれば優位に動けると考えるでしょう、その優 555 を封じます。シトリー会長側の大半は、元は一高校生でしか無かった、いわば戦闘訓練 である小猫ちゃん⋮人員は勿論 とかを受けていない一般人⋮対してこちらは、元は堕天使である塔也先生に脇澤に美月 ちゃん、教会で訓練を受けていた木場にフリード、猫 ﹁何だい、元浜君 ﹂ いる筈です、其処で木場﹂ り確実な物となるでしょう。勿論、シトリー会長側にもそういった方面が得意な面子も の事、魔力が封じられた時に物を言うのが其々の近接格闘経験です、これなら勝ちはよ ? ﹂ ! グ・ゲームなのかよ⋮ 403作戦、か⋮何て言うか、すげぇ発想だなお前、本当に俺と同じく初レーティン 以上が、俺が立てた⋮名付けて、 4 0 3 作 戦 オペレーション・フォービドゥン 音色を発している時はこれを得物とすれば、武器持ちの相手にも優位に戦えます⋮ 確保してくれ。この音色の中であっても、流石に聖剣の気までは封じられません、故に ﹁何かしらの特殊能力はいらない、とにかく剣としての性能に特化した聖魔剣を人数分 ? ﹁はい、部長。元浜君、期待通りの物を作って見せるよ﹂ を人数分お願いね﹂ ね⋮分かったわ良太、貴方の作戦、採用よ。祐斗、早速だけど良太の要求通りの聖魔剣 ﹁403作戦⋮本当にレーティング・ゲームが、戦場が初めてとは思えない、大胆な作戦 65話_作戦、遂行されました 556 ﹁おう、期待しているぜ、イケメン野郎﹂ ││││││││││││ ︶喰らえ ﹂ ! ︶厳禁だってねぇ ﹂ ︵ザン ﹂ ! ﹂ こうして、良太が立案して採用された403作戦は、 ﹁トドメだ ﹂ ﹁ぐぁぁぁぁぁぁ ﹁匙先輩 ! ﹁よそ見は︵ドズゥ ﹁あぐぅ⋮ ! !? ﹃皆、聞こえる ﹄ ﹁何かあったのか、主リアス ? ﹂ ﹁あれ、何かこんな場面を以前見た気がすんだけど⋮﹂ ? ? ﹁はい、どうしました部長 ﹂ さて、後は何処にいるかも分からないシトリー会長を探しに、 此処まで上手く行くとは思わなかったぜ。 る会長のみ、一方でこちらは、囮となったギャスパーの犠牲だけで済んでいる⋮まさか、 ものの見事にスムーズに進行し、シトリー会長の眷属は悉くリタイアして後は王であ ﹃ソーナ・シトリー様の﹃兵士﹄2名、リタイア﹄ !? ! ! 557 ﹂﹂﹂ ﹃これから、ソーナに一騎打ちを仕掛けるわ﹄ ﹁﹁﹁え ばる仲間達の度肝を抜いた。 ﹁うわ出たよ、ご主人様の﹃私が私が﹄精神が﹂ ﹁待たれよ主リアス、貴殿はライザー殿とのレーティング・ゲームで何を学んだ ﹂ それを態々ドブに投げ捨てるつもりですか ﹂ 403作戦だって順調すぎる位順調です ! この ! 向く必要など今は無い筈だぞ まま行けば勝ちは確実 !? ! ! ﹁今は絶対的に優勢な状況なんですよ ! 主が出 通信機越しに届いたリアス部長からの連絡、それは、俺達3人は勿論、他の場に散ら !? ﹄ 勿論、皆を立ち合いとして連れて 行くつもりだし、危なくなったらお願いするつもりよ⋮だからお願い ! ての事だろうけど⋮ リアス部長のその迫真の声での懇願に、俺達は頷くしかなかった⋮何か、考えがあっ ! でも、でも今日どうしても私がソーナを討ちたいの ﹃勿論分かっているわ、今それをする必要性が無いのも、却って敗北の危機を招く事も⋮ 65話_作戦、遂行されました 558 66話︳私、決意したわ Side リアス 屋上階⋮良太の音色が止まった事で猫又の力が使える様になった︵黒歌との再会、及 び和解で使う決心が付いた様ね︶小猫によって、ソーナが此処に潜伏しているとの情報 を得た。 本陣である1階を捨て、屋上階に行くとは、ソーナらしいわね⋮王が取られてしまえ ばゲームはその瞬間に終わってしまう、ならば最も奥まった地点へ移動して此方へ来ら れる迄の時間を稼ぐって所かしら。 だけど、その地点を選んだのは私にとっても好都合よ⋮今から、王が取られてしまう という、ゲームに負けてしまうというリスクの重すぎる愚策を弄してまで一騎打ちを仕 掛けようとする私にとっても、ね。 面でもメキメキと力を付けていた、という事ですか﹂ ﹁まさか、私達の作戦が悉く封じ込まれるとは思いませんでした⋮この1ヶ月余り、戦略 事ね﹂ ﹁来たわよ、ソーナ⋮随分と苦い顔しているわね、余程今回の作戦には自信があったって 559 ﹂ 学園きっての問題児という点にばかり目が行っておりましたが、テストに ﹁残念だけど、今回の作戦を考えたのは私じゃないわ。良太よ﹂ ﹁元浜君⋮ おいて学年1桁順位を常に保つ程の学力がありましたね⋮失念しておりました⋮ 時かは足を掬われかねません﹂ ティング・ゲームを甘く見過ぎでは 一度勝ったとは言え、今が圧倒的優勢とは言え、何 ﹁ですがこうして正面からのこのこと、王自ら出向くとは感心しませんね。貴方はレー だけどね⋮ 理は無いわね⋮駒王学園の1桁順位となれば難関大学も容易に入れる﹃秀才﹄の筈なん して余りにも知られてしまっているから、その学力面がクローズアップされないのも無 確かに良太は、GRIDのベーシストとして、何より大輔と一緒に﹃変態コンビ﹄と ! !? ? かった存在にも光を向ける、その為の学校を作るという夢⋮サイラオーグが打ち明けた ﹁貴方が若手悪魔の会合の時に打ち明けたあの夢、今までスポットライトを浴びられな そう、その為の、私の想いを示す為の、愚策。 敢えて貴方との一騎打ちを望むわ﹂ ね、ソーナ⋮私は貴方とのゲームに、ある想いを抱いて臨んで来たの。その想いの為に、 のは分かっているわよ。今回の事が余りにも愚策だという事も、承知の上よ。だけど ﹁親友の忠告、重く受け止めて置くわ。勿論、レーティング・ゲームが一筋縄で行かない 66話_私、決意したわ 560 あの夢、才能無き者でも努力次第で頂点にのし上がれるという事を、自らの身を以て証 明するという夢⋮貴方達の夢を聞いた時、私の夢がどれだけちっぽけな物か、思い知ら されたわ。自分の為だけじゃない、大勢の為、悪魔社会全体の為、世界の為⋮その為に ﹂ ! 本気で思っているんだと、痛感させられたわ﹂ ︶私の夢の為に散って下さい ! 手出しは無用よ ﹂﹂ そうソーナが一声上げると同時に、背後から爆発音が響き渡る⋮確かそっちの方向に ﹁そうですか。ならば︵ドゴォォォン 危な﹁待って ! は、貯水タンクが⋮やるわね、ソーナ。 ﹁部長 ! ﹂ ﹁ブラックホール︵ギュォォォォォォォ ︶﹂ ンクから放たれた水流の槍が私へと牙を向け、 それを防ごうとする皆だが、私がそれを制止した為に動く事が出来ず、そして貯水タ ! ﹄ 貴方のそれにも引けを取らないと知らしめる為に ﹃は、はい ! 皆、左右へ散開しなさい ! ﹂ いたのよ⋮貴方の策略全てを打ち砕ける力があると知らしめる為に。私が抱く想いが、 ﹁貴方がまだ策を用意していたなんて事、予測済みよ。だからこそ敢えて正面から出向 全て、私が天へと掲げた左手の先へと軌道を変え、何かに吸い込まれる様に消えた。 ﹁なっ、馬鹿な !? ! 561 ! ﹂ 私の指示を聞いた眷属達が左右に散開したのを確認しつつ、私は掲げていた左手⋮滅 ﹂ ︶行っけぇぇぇぇぇ ︶きゃぁぁぁぁぁぁぁ ︵ドゴォォォォン ! ! びの魔力を帯びた左手を後方に突き出し、 星 イクスイグニッション・ブレイジングスター 彗 ﹁殲 ! 物⋮でも、これで終わりじゃないわ ﹁あの日、イッセーがどんな夢を語ったか覚えている 1万年以上もの間、今の様な体制 ! さっきソーナの攻撃を吸い取ったのは全て、この左手に帯びさせた滅びの魔力による 上空へと飛ばした。 滅びの魔力の奔流を後方へ発射し、その反動によるロケット噴射でソーナに突進し、 !? 滅 ﹁な︵ズドォォォォォン ! 66話_私、決意したわ 562 勿論、実現には高く険しい関門が幾重にもそびえたっている事だろう⋮そんなイッ 来る、そんな力がある。 だ私達なら⋮出来る、イッセーなら、無限の龍神オーフィスと肩を並べる程の彼なら出 うな物、だけどイッセーなら、彼とその周りにいる眷属となら⋮そして、彼と愛を結ん 普通ならば余りにも壮大過ぎて、実現出来る訳が無い、夢を見過ぎだと突っ込まれそ 大な夢を語ったのよ﹂ 界の神になると。サイラオーグの夢もソーナの夢もちっぽけに聞こえる様な、そんな壮 で続いて来た悪魔社会を抜本的に改革すると、その先陣に立って指揮して行くと⋮新世 ? セーの為に、私は、 叶えに行くわ イッセーが何かを成そうとするならば、私はその道筋を作って見せる イッセーが事を起こそうとするなら、私はその準備を万全な物に整えて見せる ! ﹂ イッセーが新世界の神を名乗るならば、私は新世界の神の妻⋮新世界の女神になるわ ! ! ﹁イッセーの主として、イッセーと恋仲を結んだ存在として、私はイッセーの夢を、共に 563 ﹁じょ、冗談じゃありません あのレーティング・ゲームは両家納得した上での事だと聞 陥ってしまったのも、その意見に拍車を掛けた様です﹂ う意見が、支援者の間から飛び出て来ました。結果としてライザー殿が引き籠り状態に の子⋮つまりは嫡流であるミリキャスが成人となるまで代替わりを待つべきではとい するのは、人格的な面から止めた方が良いのではという意見が、嫡子であるサーゼクス ゲームと、それを行う事になった経緯をきっかけに、貴方をグレモリー家の次期当主と ﹁正直、貴方に伝えるべきかと思っていましたが⋮フェニックス家とのレーティング・ グレモリー領に帰省したあの日、お母様から衝撃の事実を告げられた。 ││││││││││││ ! ! ﹂ きました。それに勝ったら掌返しで次期当主にするべきじゃない等と意見が出るのは、 理不尽にも程があります ! ﹁私達もその様に反論し、結果としてその意見は直ぐに鎮静化しました。然しながら、先 日のイッセー君の上級悪魔への昇格、及び禍の団の元構成員の眷属入り⋮それらが、そ の意見を再び上げさせる原因となりました。元テロリストを眷属としたイッセー君の 主であるリアスが、グレモリー家の次期当主とするのは外聞が悪すぎる、と。勿論彼ら は、元はそういった集団に属していた身とは言え、現状は更生の道を辿ろうとしていま ﹂ す、そう説明しても収まる気配がありませんでした﹂ ﹁な⋮ ﹂ プを早めに構築するべきだと﹂ という意見まで出ました。其処までの実力者であるイッセー君との⋮兵藤家とのパイ ﹁更に言えば、未成年ながら上級悪魔となったイッセー君⋮兵藤家に嫁を出すべきでは ! ! う有力な家の当主の座を継ぐ等、周囲から見れば何かしでかすのでは無いかと勘繰るの 普通に聞けば御尤もな意見ね⋮元テロリストを抱きこんだ状態で、グレモリー家とい その支援者からの要求に、腹立たしさの余り声が出なかった。 るなら、なるべく早めにお願いしますね﹂ ります⋮が、向こうもありとあらゆる手を使って要求を突きつけて来ています。決断す ﹁⋮私とて、此処まで理不尽な意見を出されては我慢がなりません、粘り強く説得に当た ﹁何と⋮なんという⋮ 66話_私、決意したわ 564 565 も当然ではあるわ。 でも、旧魔王ルシファー様の血筋を持ちつつも身に宿した﹃白龍皇の光翼﹄によって 虐げられ続けて来たヴァーリ、及び色んな経緯で彼と同じ道を歩んで来た仲間達⋮彼ら を間近で見て来た私には、一見正論であるその意見も暴論だと言いたい⋮誰が、誰がそ んなテロリストを生んだのか、自分の胸の内に聞いてみなさい、と。 だけど、別の視点で考えて見れば、これは私の夢の1つを叶える為のチャンスでもあ るわね⋮ イッセーと、私を1人の女性﹃リアス・グレモリー﹄として見てくれる彼と、一緒に なる⋮そんな私の夢を叶える、そんなチャンス。 イッセーと恋人となった今、その関係が大っぴらになった今、周囲はその間を裂くよ うな縁談を申し込もうとは思わないでしょう⋮例え申し込まれたら、その時はぶち壊し にして見せるけど。 だからと言って、イッセーにはレイネルという、彼にとって一番の女性がいるし、他 にもアーシア、ゼノヴィア、オーフィスもいる⋮そんな彼を婿入りさせるのは、私を本 妻としろと言うのは、レイネルを捨てろと言う事と同義で気が引けるし、周囲もそう いった関係を持つイッセーとの縁談を、元人間の彼を夫として迎えるのを良く思わない だろう。 だとすれば⋮支援者たちの暴論を丸呑みする様で腹立たしいが、そうしなければ、私 はイッセーと一緒にはなれない。 でも、私にはもう1つの夢が⋮ そんな私の迷いは、 ﹂ ││││││││││││ の決意の重さを、受け取りなさい ﹂ ﹁私はこれからイッセーの妻、兵藤リアスとして生きて行くわ ! ファイナル け、 その言葉と共に、私は滅びの魔力を極限まで込めた両手を、上空を舞うソーナへと向 ! ソーナ⋮この一撃を、こ その、彼の言葉で、吹っ切れた⋮私の想いは、此処で決した。 ﹁俺は新世界の神になる ! 滅 ⋮﹂ 標的であるソーナへの照準を調整して、 ﹁殲 イクスイグニッション その塊をドンドンと巨大化・濃縮させ、 ﹁究極⋮﹂ マスター 両手から、今か今かと放出を待つ魔力の塊を作り出し、 ﹁終末の⋮﹂ 66話_私、決意したわ 566 スパーク ﹁雷砲 ﹂ の新たなる力を ﹂ ﹁行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ ︶きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ⋮ ︵ヒュゴォォォォォ⋮ ﹁な ! ! ﹂ そして解き放つ⋮私の滅びの魔力と、イッセーの回転の力、それらを組み合わせた、私 ! ! !? そして、勝負を決める、私の決意を物語る一撃となった。 利となります⋮﹄ ﹃ソーナ・シトリー様の投了を確認⋮よって今回のゲームは、リアス・グレモリー様の勝 リザイン 私の両手から放出された、巨大な滅びの魔力の奔流は、ソーナを余裕で呑み込み、 ! 567 67話︳俺達、婚約の報告をしました ﹁リアス⋮決心したみたいだな。俺も、その決心に恥じない男にならないとな﹂ 想う気持ちは、いっちゃんを支えて行く決意は部長に負けない、いや勝っている筈なの ﹁あそこまではっきりと言えるなんて、ちょっと妬けちゃうな。私だっていっちゃんを に、その決意をあんな一撃で見せられるんだもん﹂ んの方法で、イッセーさんを支える事は出来ます。勿論、ゼノヴィアさんにはゼノヴィ ﹁大丈夫ですよ、レイネルさん。レイネルさんにはレイネルさんの、部長さんには部長さ アさんの、オーフィスちゃんにはオーフィスちゃんの、私には私の方法で﹂ ﹁我、イッセーの敵を叩き潰す。えいえいおー﹂ ﹁そしたら私はイッセーの敵を同士討ちさせちゃおうかにゃ ? 頑張りますよ ﹂ ﹁ならば私は不死鳥の力を以てイッセー様の外敵を火葬して見せますわ ﹁私も魔力を以て外敵を討ちます ! ! ﹂ ! ﹂ はデュランダルを振るう、といった所か。うん、私達はバランスが取れているね﹂ 皆を癒し、オーフィスが敵を捻じ伏せ、レイネルがイッセーの側で心の支えになり、私 ﹁そうだな。差し詰め、部長が砲撃を行ったり人脈を活かしたりし、アーシアが傷付いた 67話_俺達、婚約の報告をしました 568 ﹁って黒歌にレイヴェルにルフェイ 何でちゃっかり加わっているの !? ﹂ !? って来たのにゃ。これで惚れない女がい ! ま⋮マジで ﹂ ! いが、だけど黒歌もレイヴェルも会ってまだ数日しか関わり合いが無いし、そう急に言 俺も男だ、5人もの彼女がいても、純然な好意を向けられるのはやはり悪い気はしな ⋮ 黒歌とレイヴェルとルフェイ、3人もまた俺に恋心を抱いている事が判明した⋮マジか を誇る砲撃と共に聞き、俺達も想いを新たにしたのだが、其処にちゃっかりと加わった わらず王同士の一騎打ちを仕掛けたリアス、その理由である決意表明を、圧倒的パワー シトリー会長とのレーティング・ゲームの終盤にて、圧倒的優位に立っているにも関 ? け入れ、そして補おうとする謙虚さに感激しました ﹁私も黒歌さんやレイヴェルさんと同じですが、他にも自らの足りない部分を捉えて受 イッセー様の眷属になれないかと、お兄様達に御頼みして本当に良かったですわ﹂ 量の広さ、そしてどんな困難にも立ち向かうその気概の強さに心を射抜かれましたわ。 ﹁私も、最初はイッセー様の強さに憧れがありましたが、昨日の敵にも友好的に接する度 たらそいつの未来は喪女にゃ﹂ 立ち向かえるその強さにズギュゥゥゥゥン ﹁何でって、イッセーには白音との件で助けてくれたし、何より心から大切な人を想い、 569 われてもな⋮え、だったらゼノヴィアとオーフィスはどうなんだって ⋮まあ、この話は置いて、だ。 ほっとけ ! を申し込もうとしたとの事だが﹂ も出さず逆に敵眷属を続々と討ち取る、圧倒的優位に持ち込んだにも関わらず一騎打ち ニックスとのレーティング・ゲームでも、16vs11という人数差ながら1人の犠牲 の本質を考え直すべきだな、リアス・グレモリーは⋮主イッセー、聞けばライザー・フェ 意打ちも仕掛けられた⋮ソーナ・シトリーも指摘した通り、少しレーティング・ゲーム 態々一騎打ちを申し込みに行くのは好ましくない。大局に変化は無かったとは言え、不 ﹁それにしても、公開の場での決意のアピールの為とは言え、あの圧倒的優位の場面で ? 変わっていたかも知れないし、恋仲になる事も、俺の妻として ° ﹁そのレーティング・ゲームですが、元浜君が思わぬ活躍を見せましたね。業務連絡用の 更だ⋮直臣としても、恋人として⋮いや、将来の夫としても、そう思ってやまない。 だから、もうあんな無鉄砲な行動はして欲しくない、今回みたいな圧倒的優位なら尚 兵藤家に入るのを打診される事も、こうした決意表明も無かった。 けたら⋮結果は180 あの時、塔也の時間稼ぎが少しでも遅れたら、というか塔也が割って入るのを押しの んだけどな﹂ ﹁ああ、あの時は塔也が割って入って時間稼ぎをしてくれたから俺の到着が間に合った 67話_俺達、婚約の報告をしました 570 機材を利用して神器の効果を全域に流すのも面白い策略でしたが、その神器を見事に使 ﹂ いこなしていた。本当に悪魔に転生してから、 ﹃裏﹄の事情を知ってから一ヶ月余りしか 経過していないのですか ? 第一、あの時の俺は何処の勢力にも属していない人間、赤龍 ! ﹁はい、お父様、お母様、お兄様⋮今まで、お世話になりました。私はこれから、イッセー ﹁そうか⋮イッセー君に嫁ぐ事を選んだか﹂ ││││││││││││ うぜ、アイツはそういった行動が出来ない環境に置かれただけだしな。 ⋮アイツらが行動を改めない限り、アーサーが抱く大輔のイメージは直ぐ崩れると思 れません⋮松田君は﹂ ﹁ええ、美猴。学校では変態コンビと呼ばれていると聞いていましたが、ちょっと信じら ﹁まあ何にせよ、松田の奴も禁手まで秒読み段階らしいし、先が面白い奴らだぜ﹂ 帝として大っぴらに明かすと皆に迷惑が掛かるから使えなかったんだ﹂ ﹁メタ発言を止めろっての 久しぶりな気がするんだが﹄ ﹃それは相棒が俺を積極的に使わなかったからだろう。そしてこうして喋るのも何だか 至るの10年以上経ってからだったのに﹂ ﹁ああ、そうだぜ。良太も早いうちに上級悪魔への道が開けるかもな⋮俺ですら禁手に 571 の将来の妻として、彼を支えて行きます﹂ ゲームの後、グレモリー領に帰還した俺とリアスは、その時のリアスの決意を、テー ブルの向かいにいるグレモリー卿⋮いや、義父さん、ヴェネラナさん⋮いや、義母さん、 サーゼクス様⋮いや、義兄さんに報告した。 あの話⋮ライザーとのレーティング・ゲームの一件と、俺の上級悪魔昇格をきっかけ に、リアスをグレモリー家の次期当主とすべきでは無く、俺に嫁がせるべきとの意見が 支援者から続発した話は、俺の直後に聞かされた様で、故に若手悪魔の会合では何処か 複雑な様子での決意表明となったみたいだが、俺の夢を聞いて、それも吹っ飛んだらし い⋮そう言われたら余計に頑張らないとな、でないと、リアスに、グレモリー家の皆に 恥をかかせることになってしまう。 ﹁勿論です、義父さん﹂ ﹁イッセー君、改めて言おう⋮これからはお義父さんと呼んで欲しい﹂ ﹁はい、分かっておりますわ、お母様﹂ ﹁はい、義母さん﹂ ス、その険しい道を地ならしするのが、将来の妻となる貴方の役目ですよ﹂ しい道となるでしょう。ですが貴方になら、貴方達になら其処も歩けるでしょう⋮リア ﹁イッセー君、貴方が歩むと決めた道は私達でも、サーゼクスですら歩いた事も無い、険 67話_俺達、婚約の報告をしました 572 ﹁もう、お父様ったら張り切り過ぎですわ﹂ 気が早すぎます ﹂ ! ﹂ ! 義兄さんは一言多かった、やっぱり何時もの、平時の調子だなこりゃ。 その報告を受け、義父さんと義母さん、そして義兄さんから激励の言葉を貰った⋮が、 ﹁お、お兄様 ! 洒落にならないからマジで止めてください ﹁義兄さん、この歳の上にそうと確定していない状態でリアスと既成事実を作るなんて めて言われても実感が無いと言うべきか﹂ か、赤龍帝の兄になって感慨深いと言うべきか、今までそういう風に見て来たからか改 ﹁イッセー君、我が妹を宜しく頼むよ。しかし、これで私はイッセー君の義兄となる訳 573 68話︳俺達、冥界を後にしました、が⋮ ﹁ん⋮ふぁ、もう朝か、早いな﹂ リ ア ス と の 婚 約 を 義 父 さ ん と 義 母 さ ん、そ し て 義 兄 さ ん に 報 告 し て か ら 一 夜 明 け、 すっかり馴染んだグレモリー領での俺の部屋の天井を見上げる⋮今日で冥界への帰省 は終わり、この部屋とも、暫くお別れになる。 とゼノヴィアとオーフィスと共に一夜を明かした⋮無論、そっち系な意味で。 昨夜は婚姻を正式に結んだリアス、既に初夜を済ませたれーちゃん、それとアーシア 埋めるオーフィス⋮布団こそ掛けられてはいるが、皆揃って全裸だ、勿論俺も。 で抱き枕の様に抱き付くアーシアとゼノヴィア、そして俺の上から抱き付いて胸に顔を 周りを見回すと、俺の其々の腕を枕代わりにしているれーちゃんとリアス、俺の両脇 ﹁ふにゅ⋮我⋮イッセーの側に⋮﹂ ﹁くー⋮イッセー⋮私の一生を共に⋮﹂ ﹁ん⋮イッセーさん⋮ずっと⋮一緒ですよ⋮﹂ ﹁くぅ⋮イッセー⋮愛しているわ⋮﹂ ﹁すぅ⋮すぅ⋮いっちゃん⋮好きぃ⋮﹂ 68話_俺達、冥界を後にしました、が… 574 何度か身体を重ねながらも慣れないのか未だ初々しい反応を見せたれーちゃんと、初 めてで緊張し切りだったリアスとアーシア、ゼノヴィア︵まあ知っていた。アーシアと ゼノヴィアは元聖職者だし、リアスはグレモリー家の令嬢だしな︶とオーフィスの姿⋮ 余りに可愛かったので夜明け近くまでやっていたな。 本当、こんなに可愛くて綺麗な俺の恋人、いや、俺の将来の妻が5人もいてくれるな んて、少し前の俺なら想像すらしなかった⋮まあ、れーちゃんを一途に想い続けていた、 というのもあるが。 こうして絶世の美女と言える5人もの女性が、俺の事を一途に慕ってくれている⋮い や、向こうから好意を寄せている黒歌、レイヴェル、ルフェイも入れて8人か。 彼女達の身を、彼女達の想いを守る為、無茶はし過ぎないまでも、より一層頑張らな いとな。 王として、直臣として、赤龍帝として、男として⋮そして、﹃夫﹄として。 ││││││││││││ 冥界の駅にて列車を待つ俺達に、義兄さん達が見送りに来てくれた⋮今日までの一ヶ ﹁了解です、義兄さん﹂ ﹁はい、お兄様﹂ ﹁リアス、向こうでも元気でね。イッセー君、妹を宜しく頼むよ﹂ 575 68話_俺達、冥界を後にしました、が… 576 月余り、悪魔に転生してから一番濃密だったと言える位、色々とあったな。 義父さんと義母さんに会い、若手の王の皆と会い、会合の場で俺の夢を叫び、皆と修 行に明け暮れ、小猫ちゃんの過去を知り、ライザー及び眷属の皆と和解し、そのライザー の妹であるレイヴェルが俺の眷属に入る事となり、小猫ちゃんの姉である黒歌と出会っ て救い出し、その黒歌もまた俺の眷属に入る事となり、黒歌とレイヴェルとルフェイか ら好意を向けられている事が判明し、そしてリアスの眷属とシトリー会長の眷属による レーティング・ゲームでリアス側が圧倒した末、リアスが婚約宣言をして、そして義父 さんに義母さん、義兄さんと、グレモリー家の方達をそう呼ぶ事になって⋮ あ、そうそう、レーティング・ゲームと言えば、他の試合の結果も届いた。 まずはサイラオーグとゼファードル、人数で勝るゼファードルだったが、質で大幅に 劣っていたのかサイラオーグ側に圧倒された末に、サイラオーグとの一騎打ちを申し込 むも、そのサイラオーグに自らの力が全く通じずボコボコにされたらしく、再起不能に なってしまったそうだ⋮大丈夫か、グラシャラボラス家。 一方のディオドラとシーグヴァイラ、途中まではシーグヴァイラが優勢を保っていた ものの、突如王であるディオドラが前線に立ってからは一変、ディオドラ1人による無 双乱舞とも言える状態だったらしく、そのままディオドラだけでシーグヴァイラの眷属 達を倒していったそうだ⋮妙だな、ディオドラは前評価では中くらいの総合力しか無 かった筈︵パワー面では男の王では最低の4位、テクニックやウィザード面では結構な 物があったが、その程度だ︶、其処までの光景を生み出せるとは思えないが 当の小猫ちゃんにそれを提案すると﹁い、良いんですか、イッセー先輩 ﹂と何時も が良いと思ったからな。 よる蟠りが小猫ちゃんにはある、それを早く解消する為にも、姉妹揃えて眷属とした方 黒歌とはずっと離れ離れになっていて、その空いていた時間ずっと誤解していた事に の空いている戦車の駒とトレードをする事にした。 まあちょっと気になるが其処は一先ず置いて、小猫ちゃんだが、リアスに提案して、俺 ? の無口で大人しい様子も何処へやらな感じで快諾してくれた⋮その様子を見た黒歌が !? いた、が、 ﹁アーシア アーシアだね﹂ ﹁あ、あの⋮ ﹂ 其処に突如やって来たディオドラが、アーシアに声を掛けて来る⋮一体何の用だ ? ﹁ああ、済まない兵藤君。だけど、彼女にはお礼が言いたくてね﹂ ﹁おいディオドラ、アーシアが困っているだろう。そう過剰に詰め寄るな﹂ ? ? ま、まあそんな事があった冥界での日々もいよいよ終わり、列車の到着時間も迫って ﹁まさか姉妹揃って同じ相手に恋するとは予想外にゃ⋮﹂と言っていたが⋮まさか、な⋮ 577 お礼、だと⋮この滞在中に会った事が⋮いやそれは無いか、修行中もずっと俺の側に いてくれたからな。 だったら、何なんだ⋮ まさか、貴方があの時の⋮﹂ ﹂ ﹁この傷、覚えているかい ? ! ﹂ ? ける。 前で⋮そう言いつつアーシアの手を取ろうとしたディオドラの手を掴み上げて、睨みつ 随分とまた唐突な求婚だな、しかも知らないだろうとは言え将来の夫である俺がいる ﹁待ちな﹂何だい、兵藤君 ﹁アーシア・アルジェント。僕は君が好きだ。君には是非、僕の妻になって貰いたいと かながら強く感じる。 言いに来ただけでは無い様だな、あの時、若手悪魔の会合の時の様な邪な気が、今は僅 コイツが、アーシアが助けたという悪魔だったのか、成る程な⋮だが、ただ単に礼を 言える﹂ ﹁僕は貴方に助けられた悪魔だ。やっと会えた、凄く嬉しいよ。これで僕は君にお礼が ⋮まさか⋮ その俺の疑問は、ディオドラが見せた傷と、それを見たアーシアの反応が氷解させた ﹁そ、それは⋮ ? 68話_俺達、冥界を後にしました、が… 578 割り込まれた側のディオドラも負けじと睨んでくるが、此処で睨む筋合いがあるのは ⋮俺だぜ ? ﹂ !? だと覚悟を決める様に。 俺はディオドラに向けて、真実を告げてやった⋮これが、新たなる波乱の幕開けなん ﹁何⋮だと⋮ ﹁アーシアは俺の将来の妻だ。婚儀の申し込みなら他を当たってくれ﹂ 579 6章﹃体育館裏のアポカリプス﹄ 69話︳俺達、新居に引っ越しました ﹁此処が、手紙に書いてあった場所か﹂ ﹁凄く良い立地だね。駅も学園も近いし﹂ ﹁ほえー、大きいです﹂ ﹁ああ。流石はグレモリー家、マンション丸ごと買い取るとは凄い財政だね﹂ 事にゃ﹂ ﹁我とイッセー達との愛の巣﹂ ! ﹂ ? ﹁あ、ああ、そうだな﹂ てはどうか ﹁主イッセー、その驚きはお察しするがご両親も待っておられるだろう、そろそろ入られ ﹁イッセー様を始めとした皆さんとの共同生活、今から楽しみです ﹂ ﹁それだけイッセーは、私達兵藤眷属は、囲い込むに値するどころじゃ無い力があるって ﹁私やイッセー様達の為に此処まで⋮恐れ入りますわグレモリー卿﹂ ﹁お父様、幾ら何でも張りきり過ぎじゃないかしら⋮﹂ 69話_俺達、新居に引っ越しました 580 ﹁明日から教師としての生活か、これはこれで楽しみだぜぃ ﹂ ! 妹間にはまだ蟠りが残っている、いきなり2人きりの生活、というのは性急すぎるだろ 2F:1号室は黒歌と小猫ちゃん姉妹とレイヴェル︵名目上はホームステイだが、姉 ゼノヴィア、オーフィスも花嫁修業と称して一緒に入る事になった︶ 1F:管理人室⋮と称して、兵藤家による一帯占拠︵れーちゃん、リアス、アーシア、 ちなみに其々の部屋の割り振りはこんな感じだ。 グレモリー家の財力ってすげぇ⋮ の家族には既に連絡は付けてある﹂との連絡を受けたからだ⋮しつこい様だが、改めて を通じて﹁今日からリアスとイッセー君、及び2人の眷属達は此処に住むと良い。其々 心配してくれ、折角だからと婚約報告後直ぐに購入してくれたそうで、さっき駅員さん 何で此処に来たのかと言うと、義父さんが俺達の眷属が増えた事による住居の問題を ションだった。 たのは其々の家では無く⋮駅と駒王学園の間に位置する地上5階・地下2階建てのマン 人間界にある、俺達が住んでいる街の駅に帰って来た俺達だったが、その足で向かっ す﹂ ド、聖剣使いのゼノヴィア⋮そしてオーフィスがいるとなれば、鍛錬のし甲斐もありま ﹁そうですね美猴。それにイッセーさんにヴァーリ、聖魔剣使いである木場君にフリー 581 うと判断して同じ部屋にして貰った︶、2号室はアーサーとルフェイ兄妹、3号室はギャ スパー、4号室は元浜家、5号室は美猴、6号室は塔也 3F:1号室はヴァーリ、2号室は木場、3号室は松田家、4号室はフリード、5号 室は朱乃さんと美月、6号室は佳奈と時雨 4Fと5F:まだ入居者無し。俺もリアスも駒に空きがある︵俺:騎士が1つと兵士 が6つ、うち2つは黒歌とレイヴェルの枠。リアス:戦車が1つと兵士が5つ︶為だ。 B1F:現在は殆ど空き室だけど、近々トレーニングルーム設備などを設置するつも り。 B2F:専ら倉庫として使う予定かな。 ﹁お義父さん、お義母さん⋮不束者ですが、いっちゃんの妻として支えて行く所存です。 ││││││││││││ た⋮いないと思っていたら裏で動いてくれていたんですね︶だ。 後︵俺と俺の眷属分は父さんと母さんが、リアスの分はグレイフィアさんが運んでくれ と移動して行く⋮因みに此処にいるメンバーは全員既に、此処に大方の荷物が運ばれた 俺の号令と、それに応じる様にヴァーリが代表して返事をすると共に、其々の部屋へ ﹁了解した﹂ ﹁さて皆、各自の部屋に荷物の整頓をしてきてくれ﹂ 69話_俺達、新居に引っ越しました 582 どうか、宜しくお願いします ﹂ ! ますわ﹂ ﹁わ、私もイッセーさんのつ、妻として頑張ります 宜しくお願いします ﹂ ! ﹂ ! ﹂と言いたげな恰好 !? に付き添って行く女性が出来るかもしれないが、その真摯な想いは本物だ。息子を宜し ﹁まあ、こんな節操の無い息子だし、宿した神器の事もある、もしかしたらまたイッセー と、覚悟を決めたら、 るだろうし、薄々感づいていただろうが、それでも何かしらの批判はあるだろう。 がら他の女性と関係を結んだんだ、恐らく義父さんと義母さんから事前に話は通ってい 流石に5人もの女性に、しかも将来を共にする事が公然としていたれーちゃんがいな で報告した⋮まあ俺も正座なのだが。 に関係を結んだ事を、正座と三つ指という﹁何時の時代の嫁入り さて1階の、俺達の部屋に入る事になったれーちゃん達俺の、5人の妻⋮だが、正式 何が何でも守って行く所存だ。宜しく、お願いします ﹁父さん、母さん⋮れーちゃんだけじゃなく、5人もの女性に手を出した俺だけど、皆を ﹁我も頑張る、イッセーの妻として﹂ ﹁私もイッセーの妻として、彼を守り通す所存です。父上、母上、宜しくお願いします﹂ ! ﹁私もイッセーの妻として、イッセーの為に全力を尽くしていきます。宜しくお願いし 583 く頼む ﹂ ﹄ 応し過ぎじゃないか ││││││││││││ ? の両親って普通の人間の筈だよな、なのに、色々と超常な出来事が起こっているのに順 あっさりと受け入れてくれた⋮少し肩すかし食らった気分だな、何時も思うんだが俺 ﹃はい ﹁イッセー、今言った言葉、決して忘れないでね﹂ ! ! ﹂ ! ! 加入した小猫ちゃん⋮改め、白音ちゃんの挨拶が行われた。 き、改めて俺の眷属が集結、新たに眷属入りした黒歌とレイヴェル、そしてトレードで そんな、結果としてあっさりした物となったれーちゃん達の嫁入りの宣言から時を置 となりました。宜しくお願いします﹂ ﹁⋮黒歌姉様の妹の塔城小猫、改め、塔城白音です。トレードで、イッセー先輩の﹃戦車﹄ にゃ ﹁イッセーの﹃騎士﹄となった黒歌にゃ 知り合いも初めましてな人も、皆よろしくなの く所存ですわ﹂ と申します。今後はイッセー様の眷属として、イッセー様の夢の為にこの身を捧げて行 ﹁皆様改めまして、此度、イッセー様の﹃兵士﹄となりましたレイヴェル・フェニックス 69話_俺達、新居に引っ越しました 584 ただ黒歌もレイヴェルも揃って元のクラスが僧侶だったので、改めて転生の儀を行 い、クラスチェンジさせた⋮黒歌は様々な術式によるジャマーとしての働きを期待して 駒の﹃倍化﹄を利用したが。 無論、今の俺の実力では2人共駒1つで収まる筈が無かったので赤龍帝の籠手による らのプロモーションを期待して﹃兵士﹄に。 ﹃騎士﹄に、レイヴェルは不死鳥たるフェニックス家の血筋を活かしたゴリ押しと其処か 585 70話︳二学期、始まりました ﹁皆さん初めまして、今回縁あって1年の英語担当を任ぜられる事となりました、アー さわたり 担当は3年の古典、今後 サー・ペンドラゴンと申します。教職に就くのは初めてですので、不慣れな点はありま ﹂ ! すが、どうか宜しくお願いします﹂ ! ﹁駒王学園の生徒諸君、宜しくな 俺の名は猿渡美猴ってんだ 仲良くしてくれよ ! よな⋮え、今更 まあ確かに、塔也は1学期の途中で教職に就いたし、れーちゃんとアー 音ちゃんも本名に戻す事になる為、事情を知らない一般の生徒達は﹁何のこっちゃ﹂だ ルフェイ、1年にはレイヴェル、3年には黒歌が転校して来るし、ギャスパーも復学、白 こうして教職員が大幅に増員されるのもそうだが、生徒の方も、2年にはヴァーリに の挨拶をしていた。 猴、そして俺達のサポートとして堕天使陣営から来たアザゼルさんが、新任教師として 駒王学園の2学期の始まりを告げる始業式、檀上では俺の眷属であるアーサーと美 ぜ﹂ ﹁今回、2年の化学を担当する事になった、アザゼルと言います。生徒の皆、宜しく頼む 70話_二学期、始まりました 586 ? シアと佳奈と美月とフリードはゴールデンウィーク明け、ゼノヴィアに至っては6月半 ば頃に転校して来たしな。 だけどこの時は気付いていなかった、俺達が﹁何のこっちゃ﹂と突っ込みたくなる事 態が起こる事に。 ││││││││││││ ! 今後とも宜しくお願いします ﹂ ﹂ 先程の新任式で紹介がありま ﹁初めましてだな、俺の名はヴァーリ・ルシファー。今後とも宜しく頼む﹂ したアーサー・ペンドラゴン先生の妹です 皆、宜しくね ! ! ﹁皆さん初めまして、ルフェイ・ペンドラゴンと言います ﹁初めまして、紫藤イリナです ﹄ ! ていたな ﹁ゼノヴィア、イリナが転校して来る事知っていただろ。全く、教えてくれりゃあ良いの ││││││││││││ !? は苦笑いするが⋮その苦笑いする連中の中にゼノヴィアもいた⋮お前知っていて隠し それが分かるのか、恐らく教室に入る前に紹介があったであろうヴァーリとルフェイ 前⋮其処でびっくりする余り﹃え﹄が﹃ゑ﹄となった俺達の反応は正常な筈だ。 ヴァーリとルフェイに続いて入って来たその少女の姿と、自己紹介で名乗ったその名 ﹃ゑ ? ! 587 に﹂ ﹂ ﹁済まないイッセー、イリナから転校して来る事を口止めされてね、本人曰くサプライズ らしい﹂ ﹁えへへ、びっくりしたイッセー君 ⋮堕天使陣営の長であるアザゼルさんが行くなら天使陣営からも、という事か で感じ取ったのは俺の勘違いでも何でもなかったみたいだな、どうやったんだ、一体 生した様に、天使陣営にも人間を天使に転生させる様なシステムがあるのか ﹂ それの様な気配がする。だがお前は元々人間だった筈だ⋮もしかして、俺達が悪魔に転 ﹁ところでイリナ、3大勢力による会談の時から気になっていたんだが、お前から天使の ? 挙げ句にその身からは相変わらず天使が持つ様な気配がする⋮3大勢力による会談 ? そりゃびっくりだ、まさか天使陣営にいるイリナが此処に唐突に転校して来たとはな ? ? の札は何だ ﹂ エース クイーン ﹁悪魔がチェスなら、天使はトランプか。天使様も面白い事を考えるね。それでイリナ を、ミカエル様を始めとした10名のセラフの方々は持つ事にしたそうなの﹂ たそうよ。それが﹃御 使 い﹄、トランプのAからQを模した12人の転生天使の配下 ブレイブ・セイント 魔や堕天使が用いていた技術を転用して、他の生命を天使に転生させるシステムを作っ ﹁うん、そうだよ。イッセー君冴えているね。ミカエル様の話だと、セラフの方々が、悪 70話_二学期、始まりました 588 ? ﹂ 私はA、ずばり、ミカエル様の配下のエースという これ程までのご期待、応えない訳には行かないわね ﹁良く聞いてくれたわねゼノヴィア キング 光栄な配置を頂いたのよ ! ! トランプという出自からしてJOKERもありそうだが。 成る程、 Kを支える、AからQの﹃12使徒﹄という訳か、何とも天使陣営らしい⋮ ! 部室で良いよね ﹂ ゼノヴィアに天使陣営からプレゼント ││││││││││││ 一体どんな物だ ? 初めましての方もいらっしゃいますでしょうが、再びお会いした方も多 ﹁紫藤イリナさん、貴方の来校を歓迎するわ﹂ ﹁はい、皆さん ? ﹁そうか⋮本当に済まないな、既に縁が切れた筈の私に其処まで﹂ ていたわ﹂ 信心深かったゼノヴィアを不本意な形で追い出さざるを得なかったお詫びだって言っ ﹁良いの良いの、ミカエル様からも﹃これからは仲良くですよ﹄とのお達しだし、それに デュランダルの持ち出しを黙認してくれたばかりか、其処までしてくれるのは⋮﹂ 事に当たり、互いに交流を深めるべき時期だ。だが私はその前に教会を出奔した身だ。 ? ? ﹁ああ、楽しみにしているよ。しかし良いのか 確かに今は3大勢力が手を取り合って ﹁それはそれとして、ゼノヴィア。プレゼントは放課後に渡すね。場所はオカルト研究 589 ! ﹂ いですね。紫藤イリナと申します 参じました せた 何時の間にそんな事を ? 教会⋮いえ、天使様の使者として、駒王学園に馳せ ﹂ した⋮これが言っていたプレゼントか⋮待て、デュランダルとエクスカリバーを合体さ そんなゴタゴタが収まった頃、イリナがゼノヴィアに、鞘に収められている大剣を渡 聖剣か⋮﹂ ﹁ありがとう、イリナ。これがデュランダルとエクスカリバーを合体させた、私の新しい ﹁はい、ゼノヴィア。これがさっき言っていたプレゼントだよ﹂ ゴタゴタがあったが。 に襲われたり、ゼノヴィアが出奔する際に一悶着があったのか謝罪し合ったりといった イリナの挨拶に合わせて拍手を送った⋮まあその際に祈りを捧げて大半の面子が頭痛 俺とその眷属、そしてアザゼルさんが集結し、天使陣営からやって来たイリナを歓迎し、 放課後のオカルト研究部の部室、此処にリアスとその眷属、シトリー会長とその眷属、 ! ! なるオーラがダダ漏れだ。故に普段は亜空間にしまってあるんだが、それだといざと言 至高の物だが、使い手の言う事を聞かないじゃじゃ馬で、しかも私達悪魔には有害な聖 ﹁済まないイッセー、報告が遅れてしまった。私のデュランダルは斬れ味こそ聖剣でも ? ? ﹁ゼノヴィア。どうしたんだ、それ 70話_二学期、始まりました 590 う時に取り出す手間が掛かる。其処で天使陣営の錬金術師によってエクスカリバーを ﹂ ! ﹂ ! 不完全じゃないか ﹁ゼノヴィア⋮1振り足りなくて制御に綻びが出る、なんて事は無いのか 天使陣営に返還されたそうだ﹂ ﹄ そんな話一度も聞いていないんだが ﹃ゑ ? ﹁アーサー⋮何でそれを言わなかった ﹂ ? !? ﹂ 後のエクスカリバー﹃支 配 の 聖 剣﹄を発見して入手したそうでな、一誠に降伏する折、 エクスカリバー・ルーラー ﹁其処は心配ご無用だ。アーサーが禍の団に所属していた時、行方不明になっていた最 ? ? 更にその内の1振りは行方不明になっていた筈⋮つまり、教会が持っていた分だけでは 確かエクスカリバーはオリジナルがバラバラになって以後7振りの聖剣に作り直され、 合体させる事で、互いが互いを抑えつつ、互いが互いを高め合う、か⋮凄い発想だ⋮が、 ゼノヴィアのネーミングセンスの無さはともかく、デュランダルとエクスカリバーを ﹁安直なネーミングだなおい んだ。名付けてエクス・デュランダル 聖剣に力を与える﹄特性によって互いが相乗効果を生み出し強力な力を得る事が出来た ﹃鞘﹄に変えて被せる事で受け皿とし、制御を可能とした上、デュランダルが持つ﹃他の 591 ﹁すいません、イッセーさん⋮まさか我々に帰って来るとは思わず﹂ 長年失われていた聖剣が発見されていたなんざ、結構重大なニュースなんだからちゃ んと報告してくれよ⋮ ﹂ ﹁まあともかく、これで我がデュランダルは新たなる力を得て、より制御のしやすい物と なった。イッセー、これで貴方の外敵を斬り払って見せる ﹁ああ、ありがとうなゼノヴィア﹂ ﹁勿論だ。私は貴方の嫁だからな﹂ ││││││││││││ ングを開いた。 て、今度の土曜日に行われる俺達兵藤眷属のレーティング・ゲームに向けてのミーティ 決めていたらしい︶、家路に着いた俺達は、マンション1階にある俺の家のリビングに 放課後に行われたイリナの歓迎会も終わり︵ちなみに住居は嘗て住んでいたあの家に ! ディオドラ・アスタロト眷属だ﹂ べきデビュー戦の相手は、 い。だが、今テーブルを囲んでいる俺達11人揃ってでは初めての実戦だ。その記念す 人では経験している面子もいるし、命のやり取りと言える戦いを経験して来た面子も多 ﹁今度の土曜日は俺達兵藤眷属にとって初めてのレーティング・ゲームとなる。個人個 70話_二学期、始まりました 592 593 丁度良い、あの時アーシアと将来を約束したと宣言しても未練タラタラ、というか邪 な気ダダ漏れだったアイツと決着を付ける良い機会だ⋮まさか恋愛系物語でのお約束 的展開を現実でやるとはな。 71話︳俺、ブチ切れました 何か知っているのか、黒歌 ﹂ ﹁イッセー。ディオドラ・アスタロトについて、ちょっと小耳に挟んで欲しい話があるの にゃ﹂ ﹁ディオドラについて ? るな。 からぬ雰囲気が漂っていた︵悪魔だから、と突っ込まれればそれまでだが︶し、気にな 訓方針を伝えた後、俺は黒歌に話しかけられた⋮ディオドラの事か、アイツには何か良 今度のレーティング・ゲームの相手がディオドラである事、それに向けての其々の特 ? 徴が、どの話でも同じだったのにゃ﹂ ﹃聖女﹄が悪魔と接触、助けた事で追放された まさか⋮ ﹁黒歌、まさかその何度か聞いた噂の中にアーシアの事が⋮ ? ﹂ ﹁恐らく入っていたと思うのにゃ。で、その特徴と、あのアーシアに声を掛けた上級悪魔 !? ! よると悪魔と接触して、助けたかららしいんだけど⋮どうもその噂に出て来る悪魔の特 心深いシスターや﹃聖女﹄と崇められていた女性が追放されたらしいのにゃ。聞く所に ﹁はぐれ悪魔となって放浪していた時期に、何度か噂で聞いた話なんだけどね、各地で信 71話_俺、ブチ切れました 594 ⋮ディオドラ・アスタロトのそれが一致していたのにゃ。まあ私自身、その噂の現場に もしそれが本当なら、アーシアは⋮ ! 直面していた訳じゃ無いけどね﹂ 何だって⋮ ! にゃ﹂ ﹁何⋮だと⋮ ﹂ そしたらディオドラの野郎⋮悪魔陣営を、3大勢力を裏切ったという事か !? こってしまったら⋮ ﹁分かった、ともかくありがとうな黒歌、重要な情報を教えてくれて﹂ ﹁当然にゃ、イッセーの為だもん﹂ 情報を提供してくれた黒歌の為にも何とかしないと⋮でもどうする⋮ ! ! ム前にもっと確定的なそれを集められたら良いが時間が少ない⋮かと言って事が起 し、周囲はそのソースの出所的に信用してくれない⋮どうにかしてレーティング・ゲー これは直ぐにでも義兄さん達に報告すべきだが、証拠が黒歌の証言だけと少なすぎる ! その顔も、仙術で感じ取った雰囲気も⋮ディオドラ・アスタロトにそっくりだったの にゃ。見ない顔だったから、恐らくは現魔王派か大王派にいた存在だと思うんだけど⋮ にいた時の話なんだけどね、旧魔王派と接触する年若い悪魔の姿を見かけた事があるの ﹁まあそっちは噂程度でしかないから何とも言えないけど⋮問題はこっちにゃ。禍の団 595 ﹂ 何か、悩み事ですか ﹂ ﹂ さっきから上の空よ ご飯、減っていないけど ││││││││││││ ﹁イッセー ﹁いっちゃん、食欲無いの ﹂ ﹂ ? ? ? ﹁イッセー、何処か具合でも悪いの ﹁イッセーさん、大丈夫ですか ﹁⋮はっ ﹁イッセー、考え事なら私達が相談に乗るぞ﹂ ? ? ? ? まった。 黒歌から伝えられた情報が気になってつい考え過ぎたか、恋人達から心配されてし !? あ、あの方の事なら、ディオドラ・アスタロトさんの事 ? ﹁勿論だよ、私達はいっちゃんのお嫁さんだから﹂ ﹁本当に大丈夫だよ、アーシア。皆もありがとうな、心配してくれて﹂ ぶっ壊れたアーシアには。 ⋮でも、話す訳には行かないな⋮特に、ディオドラと関わった事によって人生が一度 うのは変ですが、こうしてイッセーさんと一緒になれたんですから﹂ なら心配ありませんよ。あの時あの方を救った事に後悔はありませんし、そのお蔭と言 ﹁⋮あの、本当に大丈夫ですか ﹁ああ、悪い。ちょっと気になる事があってさ﹂ 71話_俺、ブチ切れました 596 ﹁ええ、レイネルの言う通りよ﹂ 仲間達を守って見せる 話に日本神話といった3大勢力以外の勢力のお偉いさんも招待されている、禍の団に が無い⋮何しろ今日は義兄さん達魔王様やアザゼルさん、ミカエルさんに加え、北欧神 の前に立っている⋮ヴァーリは無事を祈る様な言葉を口にするが、何事も起こらない筈 得られないままレーティング・ゲーム本番を迎え、俺達は舞台となる異世界への魔法陣 結局、ヴァーリ達男衆と黒歌にディオドラの身辺捜査を指示したが、まともな情報が 用しない。必然的に、俺達が対応しないとな⋮﹂ ﹁仕方ないさ、時間が無かった。ソース元も義兄さん達魔王様は兎も角、他の上層部が信 た。今日のレーティング・ゲーム、何も起こらなければ良いが⋮﹂ ﹁済まない、主イッセー。ギリギリまで手は尽くしたが、まともな証拠は上がらなかっ ││││││││││││ ! が起こったとしても、俺は大切な人達⋮俺の家族を、俺の眷属を、俺の恋人達を、俺の ⋮どうするか迷うのは止めだ、今は出来得る手段を講ずるだけ、例えそれが及ばず事 ﹁我ら、イッセーの支えになる﹂ ﹁ああ、私達が力になれるならば全力でサポートしよう﹂ ﹁そうです。だからイッセーさん、困った事があったら遠慮なく相談して下さいね﹂ 597 とってはこれ程狙い目の日は無いだろう。 ﹁さて皆、今日は俺達兵藤眷属の、記念すべきレーティング・ゲームのデビュー戦だ。だ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁イッセー様、頑張ります ﹂ ﹂ ﹁無論だ、主イッセー ﹁任せろ、イッセー ﹂ ﹂ ﹁全力を尽くしますわ、イッセー様 さあ、覚悟を決めるか⋮ 魔法陣によって転送された先は、何処か不気味さ漂う真っ赤な空に包まれた、石造り ││││││││││││ ﹂ が俺達の力を発揮すれば敵わない相手じゃない。気負う事無く、だが手を抜く事無く、 勝ちを取りに行くぞ ﹂ ﹂ ﹁うん、いっちゃん ﹁ああ、イッセー ﹁勿論にゃ、イッセー ﹁了解です、イッセーさん﹂ ﹁⋮はい、イッセー先輩 ! ﹁分かりました、イッセーさん ! ! ! ! ! ! ! ! ! ! 71話_俺、ブチ切れました 598 の神殿が後方に見え、恐らく大理石の様な物で出来たぶっとい柱が何本も並んだ空間 だ。 ﹄ ! ﹂ ! ︵ズダァン ﹂ ﹂ ︶危ない ︶喰らえ ﹂ イッセーさん アーシア︵グイッ 連中は、本気で叩き潰しに掛かるって訳か⋮っ ﹁っ ﹁きゃっ ﹁其処か ﹂ ! を撃ち込むと⋮其処には﹃此処にいる筈の無い﹄ディオドラの姿が、爪弾を右腕に喰らっ 何か不穏な気配を察知した俺は咄嗟にアーシアの手を引き、彼女が元いた場所に爪弾 ﹁がぁっ ! ! ! ? !? ! !? ! ! 俺の号令に反応し、皆が身構えた瞬間、俺達を取り囲むように現れる様々な魔法陣⋮ ﹃ ﹁皆、来るぞ ﹁故障で無いとなれば⋮﹂ 陣営の恥だし﹂ ﹁故障⋮は無ぇよな、各勢力のお偉いさんが集まっている場所でヘマなんぞしたら悪魔 ﹁だが主イッセー⋮変だ、審判役の声が聞こえない﹂ ﹁此処がレーティング・ゲームの舞台となる世界か﹂ 599 たディオドラの姿があった⋮野郎⋮ たって事だろ で、アーシアを強引に拉致して色々とやらかそうって算段か そうはな ﹁⋮ 何 で 貴 様 が 此 処 に い る か は 敢 え て 聞 か ね ぇ。悪 魔 陣 営 を 裏 切 り、禍 の 団 に 寝 返 っ ! ? 今、何て言った⋮ アーシアを、俺の嫁を、物扱いにした、だと⋮ ? ? いらないや。其処で旧魔王派の面々に嬲り殺されると良いよ。じゃあね﹂ 分かった以上、 ﹁⋮成る程、其処の裏切り者に聞いた訳か、まあ良いや。もうアーシアが手に入らないと らなかったがな﹂ ? アーシアを、自らの立場をふいにしてまでお前を助けてくれた存在への恩を、仇で返 す、だと⋮ !? ﹁我、目覚めるは│﹂ 71話_俺、ブチ切れました 600 72話︳俺、覚醒しました︵5︶ Side ヴァーリ ﹂ イッセーの奴、怒りに駆られて覇龍を使おうとしている ﹁我、目覚めるは﹂ ﹃い、いかん 今の貴方にその力は危険過ぎ⋮ ﹄ ! 所有者を蝕む⋮俺ならばハーフ悪魔という素性、旧魔王ルシファーの子孫という素性か が、勿論そんな無茶苦茶な力を維持するには多大なエネルギーが要求され、その渇望は 発動さえすれば、封印されているドラゴンにもよるが神すらも上回る力を発揮する られたドラゴンの魂を解放、その全力を顕現させる物だ。 覇龍の呪文⋮ドラゴンの魂を宿した神器の所有者が自らの身体を依代に、神器に封ぜ にとっては禁句とも言える言葉だった。 る俺にとって馴染みの深い、それでいて恐らく俺以外のドラゴンを宿した神器の所有者 掛けて転移すると同時に、主イッセーが口にした言葉⋮それは俺にとって、白龍皇であ たディオドラ・アスタロト、奴がアーシアに対して余りにも無情な、淡白な言葉を投げ 禍の団に寝返り、このレーティング・ゲームの場に旧魔王派であろう連中を引き入れ !? ! ﹁止めるんだ、主イッセー ! 601 らなる膨大な魔力を消費するだけで済むが、魔力で賄いきれない場合は⋮所有者の寿命 が、下手したら命が奪われる事になる。 幾ら主イッセーが圧倒的な実力を有していると言っても、アザゼルが言った様にそれ はあくまでも主イッセーが培って来た技術による物、純粋な能力⋮身体能力や魔力と 言った面で言えば俺の足元にも及ばない、そんな主イッセーが覇龍を使うとしたら⋮ 周りを取り囲んでいる旧魔王派の連中が何かをした訳じゃ無い、そんな連中如きに恐 そう思い立ち、止めさせようと説得を試みたが⋮何故だ、何故身体が竦んでいる ! !? 怖を覚えてもいない、だが、だが何で身体が竦んで、主イッセーの元に向かえないんだ ﹃何をしているんだヴァーリ ﹄ ﹂ 主イッ 早くしないとイッセーが覇龍の詠唱を完成させてしまう そうなってしまったら、イッセーは ま、まさか⋮ だ が、だ が 何 故 か 身 体 が 言 う 事 を 聞 か な い ん だ セーを止めないと行けないと言うのに ﹁分 か っ て い る ア ル ビ オ ン まさか⋮主は、タスクACT4を用いて、俺達が止めるのを阻止しているのか ! 華させた物。 タスクACT4⋮主イッセーの、強さの秘訣とも言えるタスクを、主が最高な物に昇 !? ! ! ! ! ! ! !? ﹁覇の理を神より奪いし二天龍なり﹂ 72話_俺、覚醒しました(5) 602 コイツの力は、一言で言うなら﹃無限回転による因果操作﹄⋮つまり、主イッセーが 筈だ、それを一時の怒りで発動しようとし、それを無理矢理実現させようなど⋮ ⋮ ﹂﹂﹂ ﹄ お前達、主イッセーを⋮ ﹂ ! ﹁無限を嗤い、夢幻を憂う﹂ ││││ そうだ、レイネル、アーシア、ゼノヴィア ! ﹃何と言う事だ、止められないのか⋮ ﹁っ ! 馬鹿な⋮主イッセーは、怒りの余り恋人達の説得も聞く気は無いと言うのか ﹁﹁﹁││││ ﹂ ﹁口封じ ! ! ﹃む どういう事だ、イッセーの詠唱が変だ⋮ ﹄ ! ﹁我、赤き龍も過去の意も征し﹂ 主イッセーの恋人たる3人に至っては声も出せない⋮これでは止める術が無い⋮ !? 詠唱が違う⋮これは一体⋮いや、それよりも詠唱が終わりかけている⋮もう駄目か⋮ !? ! ! ! ! こいつら程度、主ならば片手間でも楽勝だと言うのに、怒りに駆られて我を失ったら ! だとしたら何を考えているんだ主イッセーは、ドライグから覇龍の危険性は教わった う、正に神の所業だ。 ﹁やる﹂と決めた事への障害を、無理矢理捻じ曲げて﹁やる﹂事を成し遂げてしまうとい 603 ﹂ ﹄ ﹁汝を絶対意志の牢獄へと誘おう ﹃がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹄ ﹄ ! ﹃きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹄ 止めろぉぉぉぉぉぉぉぉ相棒ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ 赤いのが、歴代赤龍帝の念が、悲鳴を上げているだと ﹂ !? ﹃な、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ !? !? !? 一体何が起こっているんだ⋮ ﹃どういう事だ ﹁何だって !? !? こんな事が起こるのか⋮ 眩しい⋮ ﹂ これが、これが主イッセーの覇龍か⋮ ﹂ ! イッセーが⋮赤いのを、歴代赤龍帝の念を、喰っている⋮ ! れる場所から、膨大な力の奔流が巻き起こった⋮ ﹄ !? ﹁くっ な ﹃いや⋮これは !? !? アルビオンが発した言葉の、余りの突拍子の無さに突っ込もうとしたが、主イッセー !? そんな馬鹿 主イッセーがそう告げた瞬間、視界が真っ赤な光に包まれ、主イッセーがいると思わ ! ? その中に、覇龍によって解放される筈のドライグの悲鳴まであった⋮おかしい、覇龍で、 詠唱が終わると同時に、断末魔とも言える悲鳴を上げる歴代の赤龍帝の残留思念達、 !? ! ! ﹁ApocalypseDrive 72話_俺、覚醒しました(5) 604 605 がいると思われる場所からの間隔⋮主イッセーの他に感じられる複数の力の1つ1つ を、主イッセーの力が順番に取り込んで行き、最後にはドライグの物と思われる膨大な 力をも取り込んで行った⋮そんな感覚が、それが現実だと⋮アルビオンが言った通り、 ドライグを、歴代赤龍帝の残留思念を、主イッセーが喰っているのだと、感じさせた⋮ 馬鹿な、こんな事が、こんな馬鹿げた事が起こって良いのか⋮幾ら主イッセーが常識外 れの存在だからって⋮ 駒王学園の制服の、ズボンの上から飛び出した、ドラゴンの尻尾 背中から大きく飛び出した、真紅のドラゴンを思わせる一対の大翼 胸に大きく開いた口を中心に埋め込まれた、赤いドラゴンの頭部 赤龍帝の籠手を更に大きく、刺々しくしたかの様に発達した両腕 炎の様に爛々とした光を放つ、真紅に染まった瞳 肩まで伸び、新品の銅線の様な光沢を放つ赤茶色の髪 体格からは、何時も着用していた駒王学園の、制服の上着の存在は既に無い 鱗にびっしりと覆われながらも存在感を失わず、密集した火成岩の様な鍛え抜かれた 真紅に染まり、純度の高いルビーの様な真紅の輝きを放つ鱗に覆われた全身の皮膚 覚え、真っ赤な光が晴れたのを感じて、目を開くと其処には、 そして、ドライグの力をも全て取り込んだ瞬間、力の奔流が爆発するかの様な感覚を ! まるで、主イッセーの原型を留めたままドラゴンと化した様な、神々しい存在と化し た様な、そんな姿⋮今の主イッセーは、そんな姿だった。 ﹁あれが、あの姿が、主イッセーの覇龍⋮﹂ ﹃いや違う⋮あの姿から感じる、圧倒的な力⋮俺達二天龍がちっぽけに感じてしまう、あ ﹄ のオーフィスですら及ばないと感じてしまう、それ程までの力⋮あれが、あれが覇龍で ある筈が⋮ ﹁イッセーさん⋮凄く、美しいです⋮﹂ ﹁ああ⋮イッセー、まるで神の如き姿だ⋮﹂ ﹁いっちゃん⋮綺麗⋮﹂ ! の美しさに一種の畏怖すら覚えた⋮その、美し過ぎる姿に。 そんな主イッセーの姿に、魅了の術に掛かった様にみとれる仲間達⋮だが俺には、そ ﹁イッセー様⋮正に現代に舞い降りた神の如き、美しい姿です⋮﹂ ﹁本当ですわ、アーサーさん⋮何と神々しい、姿でしょう⋮﹂ ﹁あれが、イッセーさんの覇龍⋮何と、美しい姿だ⋮﹂ ﹁何でだ⋮イッセーは男の筈なんだが⋮すげぇ、綺麗だ⋮﹂ ﹁⋮凄く、美人です⋮﹂ ﹁びっくりなのにゃ⋮イッセーの覇龍⋮ビューティフルなのにゃ⋮﹂ 72話_俺、覚醒しました(5) 606 ﹁主イッセー⋮貴方が神か⋮ こう言い放った。 ﹂ その余りに美しい姿にポツリと俺が言ったのを聞いたかどうかは分からないが、主は ? ﹃ 征 龍 ﹄⋮これが今の俺だ﹂ ApocalypseDrive いや、覇龍では無いな。 ﹁俺は今、赤龍帝の怨念も、二天龍その物すらもわが物として見せた。これが俺の覇龍⋮ 607 73話︳征龍、降臨 Side ヴァーリ ﹂ ﹁あ⋮あんなの見せかけのこけおどしだ ! に襲い掛かろうとした、が、 ︶がぁぁぁぁぁ ︵ドゴォン ﹂ ︶ぐぅぅぅぅぅ ﹂ !? 無論、主イッセーに襲い掛かり、今正に苦悶の声を上げる奴等にそんな意図がある筈 セーの命に従っているかの如く。 頭を深々と下げていた⋮その姿はまるで主イッセーに平伏しているかの如く、主イッ と急降下し、地面に激突したかと思ったら、片膝をつき、身体を主イッセーの方に向け、 主イッセーがそう口にした瞬間、その空中に浮いていた筈の悪魔達は例外なく地面へ ! ﹁﹃跪け﹄﹂ ﹁な︵ガクッ ! ﹁な、馬鹿な、何故身体が急に !? ! いた旧魔王派の悪魔達だが、やけくそか或いは己の勘違いと思い込んだのか主イッセー 征龍と主イッセーが呼んだその姿、いや、その力の余りの強大さに暫く立ち止まって ﹂ ﹁我らが人間くずれ共に負ける訳が無い ! 73話_征龍、降臨 608 も無い⋮つまりこれは、主イッセーの力によって成された光景だ。 ︵ゴン ﹂ ︶頭を下げている ︶あぐぅ ! ︶偽物の魔王共に︵ゴン ︶がぁぁぁぁぁぁ ︶我らが︵ゴン ! ﹂ ︶ぐぁぁぁぁぁぁ⋮ ︶ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ ︶何故勝手に事を︵ヒュゴォ ︶手が︵ドゴォン ﹂ ﹂ !? ﹁な、何を︵ググググ ﹁何故︵ゴン ! ! ! ﹁﹃自害しろ。己が力を以て﹄﹂ ﹁な︵ググググ ! ! その光景は正に、圧倒的という言葉が似合う、戦いの光景だった。 ! ︶あぐぅ︵ギギギギ⋮︶うぐ、あ、ああああ︵ガクッ ﹁何故だ︵ゴォォォォ⋮ ﹁や、止めて︵ガシィ ! ! ⋮ 強大だ⋮ ! ︶⋮﹂ ⋮主イッセーから感じる力は、俺がオーフィスから感じた力とは比べ物にならない位に アルビオンがぽつりと﹁オーフィスですら及ばない﹂と言っていたが、それも納得だ ! 俺ですら全く歯が立たなかったタスクACT4を手にして尚未完成だったと言うのか これが、これが主イッセーの圧倒的な力⋮神の所業とも言うべき力を、覇龍を使った 矢理従わされる、まさに﹃支配﹄の光景だった。 いや、戦いとは到底言えない⋮主イッセーが命令し、旧魔王派の悪魔達がそれに無理 ! ! ! ! ! ﹁誇りを失くし、テロリスト共に取り入った旧魔王派の悪魔達よ、﹃土下座をしろ﹄﹂ 609 ﹁皆、あの下種悪魔の処断に行くぞ﹂ ﹁あ、ああ、了解した、主イッセー﹂ ﹁う、うん、いっちゃん﹂ ﹁わ、分かりました、イッセーさん﹂ ﹁わ、分かった、イッセー﹂ ﹁う、うにゃ、了解なのにゃ、イッセー﹂ ﹁は⋮はい、イッセー先輩﹂ ﹁り、了解しましたわ。イッセー様﹂ ﹁は、はい、イッセー様﹂ ﹁り、了解です、イッセーさん﹂ ﹁お、おう、イッセー﹂ 周囲の悪魔達全員が自害を成し遂げたのか倒れ伏したのを確認し、主イッセーは告げ ﹂ た⋮その威厳に満ちつつも華麗な立ち振る舞いに、皆揃って思わず返答が遅れてしまっ た。 ︶フン ! それを確認するや、 ! 虚空に向けて真っ直ぐに拳を突き出す、と、信じられない光景が目に映った。 ﹁せーの⋮︵バキィ 73話_征龍、降臨 610 ﹂ それだけではありません ﹁な、空間が割れている ﹁ヴァーリ 空を見上げて下さい ﹂ ! ︵ガシャァァン 見事に打ち破るとは⋮。 ﹁せいっ ! ﹁い⋮一体何が起こっているんだ、さっきから⋮ ﹂ ﹁む⋮其処にいるのは、ディオドラ・アスタロトだな ﹂ ﹁今度はぶん殴った所から何か別な所の光景が見えるんだが ! ! ﹂ それを見るや否や﹃穴﹄に入って行く主イッセーに続き、俺達も入って行く。 空間も見える、どうやらディオドラ・アスタロトはあの神殿内に逃げ込んだ様だな。 ﹂ に出来た﹃穴﹄からディオドラ・アスタロトの姿が見えた⋮更にその後ろには石造りの 更にひび割れていた空間に更に拳を突き出すと、その空間﹃だけ﹄が砕け散り、其処 ! !? ︶よし﹂ 以外変わっていない辺り、あの赤い空は何らかの干渉だったようだが、それ﹃だけ﹄を スが粉々になる様な音と共に割れ、其処から青空が広がって行った⋮異世界の光景が空 ス窓の様に割れ、そしてそのひびが伝わったのか真っ赤な空にひび割れが伝わり⋮ガラ そう⋮主イッセーが付き出した拳の先にある虚空がまるで強烈な衝撃を受けたガラ !? ! !? ﹁にゃ、にゃにゃぁ ︵ピキペキポキパキ ︶そ、空にひび割れが広がっているのにゃ ! ! ﹁⋮イッセー先輩、どれだけ凄いんですか﹂ !? 611 こんな筈では 禍の団は君を何とも思っていなかった筈だ ﹂ ﹁随分と焦った様子だな、ディオドラ・アスタロト。大方、目論見が崩れたという所か﹂ ﹁ば⋮馬鹿な ! ! 従うだけの﹂ 神滅具では中くらいの力量 霧 ﹄の所有者が作り出し、 デ ィ メ ン ジ ョ ン・ク リ エ イ ト 禁手﹃霧の中の理想郷﹄を用いて設置した装置まで置いた ! 全を期して臨んだ、という事か⋮ ワーアップしたんだ 僕だってこの時の為にパ これが﹁﹃地に伏 ! ! オーフィスが作り出した﹃蛇﹄、そのコピーで ! ﹁こ、こんな話聞いていないぞ、な、何て出鱈目な⋮だ、だが イッセーに圧倒的な力の差を見せ付けられれば、向こうも萎縮してくれそうだな。 ディオドラ・アスタロトにその情報が来ていなかっただけかも知れないが⋮そんな主 だ が こ の 期 に 及 ん で ま だ 主 イ ッ セ ー を 危 険 分 子 と す ら 見 て い な か っ た と は ⋮ い や、 ! トップであるオーフィスや一大派閥だった俺達の離脱による傷も癒え、今日の襲撃に万 絶霧だと⋮成る程、旧魔王派単独では無い、アイツらも関わっているという事か⋮ が﹂ ﹁結界らしき物を感じ取ったが、成程、神滅具による物だったか。別段強固でも無かった である赤龍帝の籠手程度で打ち破れる物じゃ無い ﹂ ﹁大体、この空間は結界系神器最強と言われた神滅具﹃ 絶 ディメンジョン・ロスト ﹁成る程、件のテロリストグループも所詮は烏合の衆という事か。俺が命じた事にただ ! ! 73話_征龍、降臨 612 せろ﹄ ﹂︵ズドォン ! ︶あがぁ ! ﹂ !? ならばあの不条理な場面も説明がつく。 ? ﹁んう⋮ ︵ドサッ ︶ん⋮﹂ ! とっての、正に﹃生き地獄﹄を作り出す事を始めると言わんばかりに。 アーシアを無理矢理眠らせ、主イッセーはそう告げた⋮ディオドラ・アスタロトに ﹁さて⋮これより、ディオドラ・アスタロトの処断を始める﹂ ? ﹁アーシア、﹃今は眠れ﹄﹂ う行動を取るとは、命知らずにも程があるな。 の﹃蛇﹄を禍の団総出で、本人の知らぬ所で悪用した⋮此処まで主イッセーの怒りを買 しかし馬鹿な物だ、アーシアの人生をぶち壊しにした︵らしい︶挙げ句、オーフィス は﹃蛇﹄による物か スタロトがシーグヴァイラ・アガレスとのレーティング・ゲームで見せたあの独り舞台 ⋮まさか、オーフィスの﹃蛇﹄が複製されていたとは、ひょっとしてディオドラ・ア て。 突進しようとした瞬間、空気が凍り付いた、気がする⋮主イッセーの、余りの怒りによっ こんな状況を認めたくない様子のディオドラ・アスタロトが空元気とも言える様子で ﹁俺の恋人の所有物に手垢を付け、弄り回すとは⋮覚悟は出来ているな⋮﹂ 613 74話︳征龍、執行 Side ヴァーリ ﹁さてディオドラ、何か弁解する事はあるか ﹂ ? ているんだ、自らの力を以て。 ⋮間違い無い、主イッセーはディオドラ・アスタロトに洗いざらい﹃自発的に﹄吐かせ ようとしているのに無理矢理笑おうとしている様なその表情を見て、俺は得心がいった 何を喋っている、と突っ込もうとしたが、その引きつった笑み⋮実際は別の表情をし アスタロトが発した言葉は意外な物だった。 るで裁判官が被告人に弁論の場を与えているかの如く⋮だがそれに対してディオドラ・ の後に発した言葉はうって変わって﹁話は聞いてやる﹂と言わんばかりの物だった、ま 地に伏しているディオドラ・アスタロトに向けて処刑を通告した主イッセーだが、そ 語道断﹄てね﹂ だ。勿論家に秘密にしていたけど結局バレて叱られたよ、﹃悪魔が教会に近づくなど言 シスターが大好きだ。そんなシスターを見る為に、幼少の頃から教会に行っていたん ﹁ぼ、僕は 74話_征龍、執行 614 今いる眷属の ﹁でも時が経っても僕は諦められなかった。シスターたちのあの清楚な姿⋮ あの姿をどんな風に壊したら良いのか楽しみでしょうがなかったよ っ⋮こいつ、間違い無い は正に、僕の欲を満たすのに相応しい﹂ た末に、壊れて行ったけど。あはは、清楚なシスターを抱いて、闇の中に堕ちて行く様 女の子達もまた、地元では有名なシスターだったよ。まあ、僕の誘惑に負けて追放され ! ﹂ あり⋮アーシアもまたその﹃噂﹄の犠牲者である事、今のコイツの話ではっきりした ﹁ならばアーシアもか ! 黒歌が言っていた、幾多のシスターが追放されたという﹃噂﹄、その張本人がコイツで ! ﹁そうさ、僕の計画さ。僕の欲を満たす為にね けが人を装って彼女に近づき、悪魔の気 ? 615 なっちゃったからさ⋮思い通りにならない物は皆ぶっ壊しちゃえと思って、奇襲も仕掛 句、アーシアは君の女になってしまったって訳さ。傷も残っちゃって、取り越し苦労に 染だったとは予想外にも程があるよ。お蔭でリアス・グレモリーに先を越された挙げ 眷属とし、堕天使達も皆殺しにしようとしたけど、まさかその堕天使の1人と君が幼馴 たから、今度は上から虐げられている下級堕天使を利用して、アーシアを殺させて僕の を僕が近づいて堕とす⋮その予定だったけどその前に堕天使陣営に引き取られちゃっ を出して周囲に気付かせる。其処に彼女が僕の傷を治す様を見せ付けて追放させ、其処 ! ﹂ けたけど⋮何もかもが台無しだよ ﹂ か、身体がぁぁぁぁぁぁぁぁ ・・・・・・・ ﹂ するものとなる⋮それを﹃自発的に﹄飲ませ、苦しませる⋮間違い無い、主イッセーは は猛毒と言える﹃聖水﹄だった、それを勢いよく飲みこんだら、その苦しみは想像を絶 その水から発する聖なる気、そして主イッセーが口にした言葉⋮そう、悪魔にとって !? だが、それは、 あが、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ !? ﹁そんなにがぶ飲みすると身体に悪いぞ、教会謹製の聖水をな﹂ !? そういって差し出した水を、 ﹃躊躇なく﹄手にして口にするディオドラ・アスタロト⋮ ﹁あ、ああ、ありがとう﹂ ﹁そうか、良く喋ってくれたな。そんなに喋って口が渇いただろう。水でも飲むと良い﹂ 妙な違和感があるな⋮。 となった為伺えないが、如何にも冷静沈着といった顔付きだった⋮この落ち着き具合、 も、何故か主イッセーがそれを止めた、その主イッセーの表情は、顔色こそ素で真っ赤 全てを白状したディオドラ・アスタロトに激昂したレイネルが飛びかかろうとする ちゃん だ挙げ句、私達をも利用していたなんて⋮許せない﹁待ってくれ、れーちゃん﹂い、いっ アーシアを、シスター達の人生を、その想いを弄ん ディオドラ・アスタロト⋮ ! ﹁な⋮ ! ! ? ﹁ゴク⋮ゴク⋮っ 74話_征龍、執行 616 本気でキレている⋮ ! ﹂ ? う︵ドズゥ ︶がはぁ ︵ギギギギ ! ︶あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ! ﹂ ! だったね︵グシャッ ︶ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹂ ! 発的に﹄去勢を行ったのだ。 ﹂ ﹁が ぁ ぁ ⋮ お っ と い け な い、汚 物 を 撒 き 散 ら し て は 迷 惑 だ っ た ね︵ヒ ュ ゴ ォ ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ⋮ ! た内臓を、そして自らを順番に、魔力の業火で焼き尽くし⋮そして、断末魔の悲鳴を上 そしてディオドラ・アスタロトは﹃自発的に﹄、撒き散らされた色んな体液を、露出し ! ︶ ディオドラ・アスタロトは更に﹃自発的に﹄股間を魔力によって叩き潰した⋮そう、 ﹃自 ! ﹁あぐ、済まない、忘れていたよ。幾多のシスターを犯しぬいた愚息も罰してしかるべき 処断が⋮あくまで、﹃始まった﹄だけだが。 ﹃自発的に﹄行われたディオドラ・アスタロトの切腹⋮遂に始まった、主イッセーによる ! 教え込ませる⋮それが良いな。そうだ、このオーフィスの﹃蛇﹄で増幅された力も使お あるだろう⋮罪人に多大な苦しみをさせながら死に至らしめ、そしてそれが名誉な物と ﹁あがが、じゃ、じゃあ腹を斬ろう。日本の武士の重罪に対する罰として切腹という物が うした物か ﹁さて、自らの罪を告白したのは良いが、それをどうするかはまだ決まっていないな。ど 617 げながら息絶えた。 全て、全て主イッセーがディオドラ・アスタロトに﹃自発的に﹄行わせた所業⋮主イッ セーの力、これ程までの力とは恐れ入る⋮っ ﹁其処の者、﹃出て来て跪き、名を名乗れ﹄﹂ わ、我が名はシャルバ・ベルゼブブ⋮﹂ ! ルゼブブの血筋か を継ぐ者か ﹂ ﹁ベルゼブブと名乗っていたが、貴様も旧魔王派、もっと言えば旧魔王ベルゼブブの血筋 ? 出て来させたのは、初老の悪魔だった⋮ベルゼブブと名乗っていたが、まさか旧魔王ベ 俺が物陰からの気配を察知すると同時に主イッセーも気付いた様だ、自らの力を以て ﹁がっ !? ? ﹂ ! 挙げ句に薄汚いドラゴンを宿した貴様に成すすべも ! 奴を引き入れたのは失敗だった﹁そうか、もう良い。﹃散れ﹄﹂ぐぁぁぁぁぁぁ ! シャルバ・ベルゼブブは主イッセーの力によって﹃自発的に﹄計画の真相を白状し、主 ⋮ 無かった まに披露して計画を露見させた 子を探らせ、グラシャラボラスの次期当主を殺したが⋮奴は﹃蛇﹄のコピーをあからさ るべく、我らは禍の団に協力した。ディオドラの奴もスパイとして引き入れ、連中の様 ﹁あ、ああそうだ、我ら真の魔王の血筋に﹃旧﹄魔王の烙印を押した偽りの魔王共を滅す 74話_征龍、執行 618 イッセーの指示によってその身は滅びた⋮やはり、グラシャラボラスの次期当主は禍の 団がやったのか⋮ は、超えるべき目標と定めていた存在とは、此処まで差が開いているのか⋮ 上にあるかの様な錯覚を受けた⋮主イッセーとは、嘗てライバルだと思っていた存在と げ、転送された場所へと足を向かわせた⋮その圧倒的な力を背負った姿が、まるで雲の シャルバ・ベルゼブブの身が滅び、他の脅威が無い事を確認した主イッセーはそう告 ﹁此処はもう安全の様だ⋮皆、帰ろう﹂ 619 75話︳征龍、敵対 Side ﹂ ﹁兵藤一誠⋮取るに足らぬ存在と思っていたが⋮これ程までだとは ﹁なんてヤローだよ⋮こんなつえー奴だなんて聞いてねぇぞ ﹂ ! ﹁どうするのよ⋮あんな奴がいたらこっちの計画に多大な支障が出るわ ! を⋮ ﹂ ﹂ ﹁我々は踏んではいけない地雷を踏んでしまったという事か⋮旧魔王派め、なんて真似 ! ???? ﹂ ! 其処へ、 英雄派諸君 ? この期に及んでやっとその化け物の凄さが分かった訳 映る映像には、征龍を発現させ、旧魔王派の悪魔達を蹂躙するイッセーの姿があった。 とある部屋にて、5人の男女がモニターを囲んで口々に言葉を交わしていた⋮其処に 彼は危険分子でしかない。我々の計画の為にも、真っ先に排除しよう﹂ ﹁人間のままで今の力を手にしていたのなら此方に引きこもうとも思っていたが⋮今の ! ﹁此処の連中は皆、少しも理解しようとしていませんでしたからね。あの化け物の脅威 ? ﹁でひゃひゃひゃひゃひゃひゃ 75話_征龍、敵対 620 を正しく理解していたのは、リゼヴィム様と私のみ﹂ 人を小馬鹿にするような笑い声を上げた、銀髪が映える中年男性と、慇懃無礼な態度 ﹂ それに、ユーグリット・ルキフグスもか ﹂ を取る、同じく銀髪が映える青年の2人が現れ、場に緊迫した空気が流れ出した。 ﹁リゼヴィム・ヴァン・ルシファー !? ! ていなかった。 何故なら、 ? ﹂ ? ﹃っ⋮ ﹄ 達の眼が、節穴では無かった事が﹂ ﹁貴方達もこれで分かったでしょう、あの化け物の恐ろしさを前々から危惧していた私 なかったのは勇敢、て訳。Do you understand カ正直に挑むのは無謀、それに気付いていた僕ちん達が腰抜け言われるの覚悟で参加し ﹁どっかの誰かさんが言っていたじゃん 勇敢と無謀は違うってさ。あんな化け物にバ ユーグリットはその従者であるルキフグス家の出身だった⋮が、今回の襲撃には参加し の団・旧魔王派に属する悪魔で、リゼヴィムはその名の通り旧魔王ルシファーの末裔、 と呼ばれた青年⋮2人共、イッセー達のレーティング・ゲームを狙って襲撃を企てた禍 リゼヴィム・ヴァン・ルシファーと呼ばれた中年男性と、ユーグリット・ルキフグス ﹁旧魔王派の腰抜け共が今更何の用だ ? 621 ! 彼らは前々から気付いていたからだ⋮彼らが﹃化け物﹄と恐れる、イッセーの脅威に。 禍の団が、イッセーを﹃赤龍帝である以外、何も無い﹄と歯牙にもかけていなかった 時から。 ﹁全く此処はバカチンの吹き溜まりだよホントに。あの化け物の恐ろしさをちっとも理 ﹂ 解出来なかったばかりか﹃赤龍帝である以外、何も無い﹄だってさぁ。本当に笑わせて ﹂ だったらテメェらはどうやってアイツの強さに気付いたって言うんだよ 貰ったよ、でひゃひゃひゃひゃひゃひゃ ﹁んだとコラ ! あんな魔力も身体能力も無ぇ、赤龍帝でしか無かった筈のアイツが ! ! マシだったと思うよ ﹂ リット君から見せられた映像であの化け物の凄さが分かったクチだけど、それでも大分 ? ? 鳥とそのしもべ達とのレーティング・ゲームの映像を見ていないの 僕ちんもユーグ ﹁⋮あっきれたー、本気でそう思っていた訳 あの化け物が悪魔社会デビューした、焼き ! ? しても聞く耳持たないし、どうしようかと思ったよ。知っている奴もいたにはいたけど ﹁ホントにびっくりしたよー。で、僕ちん達があの化け物の恐ろしさを知らしめようと の力を過剰にアピールする為のCG合成だと思い込んでいたそうです﹂ 旧魔王派の方々にも見せた所、その反応に私も呆れて物が言えませんでしたよ。赤龍帝 ﹁その映像は悪魔社会内で広まっていたのでそれを此方にもリークしたのですが、他の 75話_征龍、敵対 622 さ、あの糞ガキのいる所は気に食わないし、オーフィスは気付いた途端にトンズラこい ちゃうし、結局糞ガキ達も出て行っちゃうしで、相談できる相手がユーグリット君しか いなかった訳だよ﹂ 歩み寄り、 ﹂ ﹁⋮だが兵藤一誠を滅しなければ我らの目的を果たせない。何か策はあるのか ! 後ろの連中も、見習ったらいいと思うよ。でひゃひゃひゃひゃひゃひゃ ﹂ あの乱世の奸雄とか言われていた人間の末裔は切り替えが早 ちらの失態を馬鹿にする為だけに出向いた訳では無いだろう ? ? ! ﹁さっすが英雄派の代表 いね ! 態々こ が、そんな中、1人の男性⋮学生服の上に漢服を羽織るという出で立ちをした男性が けなかった為に反論はこれ以上出せなかった。 その馬鹿にし切った、見下し切った態度に歯噛みしつつも、イッセーの脅威に全く気付 一方、リゼヴィム達に言われ放題の5人の男女⋮英雄派と呼ばれた集団の幹部一同は の内に禍の団に共に所属していた事になる。 イッセーの眷属となったヴァーリの事⋮そう、ヴァーリはリゼヴィムと、知らず知らず リゼヴィムが糞ガキと言った存在⋮それは、彼の孫であり現代の白龍皇、そして今は 思い込んでいたあの化け物が、実は我らにとって恐れを抱くべき脅威だという事が﹂ ﹁ですがこれで分かった筈です。貴方達がその節穴な目で、歯牙にもかけない存在だと 623 乱世の奸雄⋮三国志に登場する英雄、曹操孟徳が少年期に、当時有名な人物鑑定家 だった許劭に評された事が知られている異名である⋮その曹操の末裔であり、英雄派の 代表らしい青年は、リゼヴィムにそう問いかけた。 そんな彼の問いにリゼヴィムは他の男女を馬鹿にしつつも、 そう提案した⋮イッセーへの警戒の網は今、禍の団・英雄派にて築かれ始めた。 さ。尤も、オーフィスをも超えちゃった今、前者はお勧めしないね﹂ あの化け物に匹敵する化け物をぶつけるか、あの化け物の弱点を突けば良いだけの話 ﹁で、対策だったね。まあ一言で言える位シンプルだけど、これがかなり難しいって奴。 75話_征龍、敵対 624 第3部﹃龍魔神王、兵藤一誠﹄7章﹃放課後のラグナロク﹄ ﹃征龍﹄でドライグその物を取り込んだからではないか、と主にヴァーリから指摘されも しまった。 俺が﹃征龍﹄を発現させたのをきっかけに、その声は、意識は全く出て来なくなって ドライグの声が、ぱったりと聞こえなくなった事。 ﹁⋮また駄目か﹂ その1つが、 な認識を生む要因になっている⋮だが、勿論全てが元通りとはいかない。 実際禍の団の活動と見られる報告は、ぱったりと無くなってしまったというのもこん いなかった、認知していなかった時に戻った様になっていた。 は悪魔としての仕事に励み、合間にはトレーニングをする⋮まるで、禍の団が存在して 平日は学校に行き、その放課後には部活に勤しみ、休日は彼女達と過ごし、そして夜 経った今、あの時の喧騒が嘘の様な、平穏な日常が繰り広げられたいた。 ディオドラとのレーティング・ゲーム︵とは名ばかりの、禍の団の襲撃︶から数日が 76話︳俺、後輩から恋愛相談を持ちかけられました 625 したが、ドライグの存在は相変わらず俺の内部、俺の﹃赤龍帝の籠手﹄から感じ取る事 が出来るし、籠手の力も﹃禁手﹄も問題無く使う事が出来る。 俺自身も﹃征龍﹄が解除されてから、身体に変化は見られない⋮強いて言うなら体力 を一気に持っていかれたからか脱力感が半端なかったが、その割に﹃覇龍﹄の副作用で ある寿命の削減が全く認められなかった。 だけど、ドライグの声だけが、意識だけがすっぽりといなくなった⋮本当に、なんで だろうな。 人間だった頃は人外勢力との過剰な干渉を避ける為に、籠手の使用を控えていたし、 悪魔に転生してからはイマイチ存在感が薄かった様な気がする⋮が、ドライグは俺に とって戦いの師匠であり、相棒であり⋮れーちゃんをはじめとした俺の将来の妻とも、 ヴァーリをはじめとした俺の眷属とも違う、大事な存在なんだ。 ││││││││││││ どうしたんだ急に ? ﹂ ﹂ ﹂ そんな或る日の放課後、部活に参加する為にオカルト研究部の部室に入った所、 ﹁美月 ﹂ ﹁⋮此処じゃあれっすから、ちょっと私と2人で外出て貰っても良いっすか ﹁内密の呼び出し もしかして美月、いっちゃんに愛の告白でもするのかな ? ? ? ? ? ﹁あ、イッセー兄さん。丁度良かったっす。ちょっと良いっすか 76話_俺、後輩から恋愛相談を持ちかけられました 626 ﹁いや違うっす、別件でちょっと﹂ ﹂ 突然、美月に呼び止められ、部室を出る事になった⋮どうしたんだ、美月の奴 ﹁まあ、別に構わないけどさ﹂ ﹁イッセー兄さんは、良太さんとは長い付き合いっすよね ああ、アイツとは中学からの付き合いだぜ﹂ ? 様な⋮ 是非教えて欲しいっす ﹁イッセー兄さん⋮そ、その、良太さんについてなんすが﹂ ﹁お、おう⋮なんだ、美月﹂ ま、まさか美月の奴⋮ ﹂ 確かにアイツ頭良いし、顔だってオタクっぽさを考慮しなければ ﹁良太さんってどんな女性が好みなんすか やっぱりかぁ え、でも何で良太 !? のかよ ﹂ え、いや、その、えーと⋮まあ此処に来た当初は、あんまり好きじゃ無かったっ ﹁美月⋮正直に言ってくれ。良太のどの辺が好きなんだ ﹁すっ ? !? 悪くないし、性格もエロ要素に目を瞑れば熱血な好青年だけど、よりによってアイツな !? ! ! ? 何を聞いて来るかと思えば良太の事か⋮ん、美月の奴、顔がほんのり赤くなっている ﹁良太 ? ? 627 !? す。白音達から聞いていた通りのエロの権化で。でも良太さんが人間だった頃、イッ セー兄さんのバンドの練習を見に行った時があったんすけどね、其処で黙々とベースを 弾く姿が、イッセー兄さん達をリードするんだっていう気迫に満ちた姿が、なんか格好 良くて。それに匙先輩から聞いたっす。イッセー兄さんを生き返らせてくれた恩を返 したいって言って悪魔に転生する事を、リアス姉さんの眷属になる事を自ら言い出し たって﹂ 元の奴、喋っていたのかよ⋮まあ別に口止めを要求してもされてもないけどな。 ﹁けど良太さんへの想いに気付けたのは良いとして、それを良太さんが受け入れてくれ 成る程、嫉妬心が切っ掛けで恋心を自覚したって訳か⋮ だって気付いたっす﹂ の中に覚えたっす。このもやもやの原因を考えている内に私、良太さんの事が好きなん 覗こうとしたりしていたのは玉に瑕っすが⋮でもその時、訳の分からないもやもやを胸 の姿が凄く眩しく見えたっす。まあ、時折グレモリー家の使用人にナンパしたり風呂場 友であるイッセー兄さんを生き返らせてくれた恩を返そうとしているって思って⋮そ ていた姿⋮あれを見て、良太さんは本気でリアス姉さんの為に尽くそうとしている、親 を覚えようと、修得しようと話を黙々と聞いていた姿、グレモリー家の蔵書を読み漁っ ﹁それに冥界での修行の時に、必死にアザゼル様や朱乃さん達から魔力や神器の扱い方 76話_俺、後輩から恋愛相談を持ちかけられました 628 るかどうか⋮ちょっと不安なんすよ。私、白音程じゃ無いっすけどチビだし、胸だって 無いし⋮﹂ という事は、私の見た目は⋮﹂ ﹁安心しろ、良太はロリコンだ﹂ ﹁ろ、ロリ ﹂ ﹂ つまり私には大チャンスって事っすね イッセー兄さん、色々とあり ﹁ああ、アイツのストライクゾーンど真ん中だ﹂ これから頑張って来るっす ﹁ま、マジっすか がとうっす ﹁おう、吉報を待っているぜ﹂ 美猴センセ、仙術効いていないじゃん。どうなってんの ﹁あれー、おかしいなぁ。ちゃんと掛けて置いた筈なんだが﹂ ﹁ヒャハハハ﹂ ﹁あり、バレた ﹁お前ら、物陰から聞き耳とは悪趣味だぞ﹂ 良かったな良太、お前にも春が来そうだぜ⋮で、だ。 ! !? ? イツもノリはフリード寄りなのか だがそれにしては変だな、美猴は仙術を始めとした様々な妖術に長けていた筈、口振 ? かフリードが、使い魔であるキリトを連れ、美猴と共に出て来た⋮美猴までいるのか、コ 後方の物陰から見知った気配がしたので声を掛けると其処から、やっぱりと言うべき ? !? ! ! 629 りからして仙術による気配遮断も施していた様だが⋮ ﹁イッセーの言う通りにゃ。仙術まで使ってこそこそ聞き耳立てるなんて、ましてや美 月の、可愛い眷属仲間の恋バナじゃない、悪趣味にも程があるにゃ。だから偶々通り掛 かった私が妨害を掛けて置いたのにゃ﹂ ﹂ ! ? ﹁一生大事にする ﹂となれば良いんだが。 少なくとも美月の外見は良太の好みど真ん中ではある、そんな美月に好意を寄せられて てはアイツ、大輔と一緒に手当たり次第にナンパしていたしな⋮さっきも言った通り、 5人の恋人を持つ俺が言えた話じゃ無いが、GRIDのメンバー総出で街に繰り出し ﹁だよなぁ。アイツにとって初めての彼女になる、そこら辺どうなるか⋮﹂ の女に浮気しないかどうかにゃ⋮﹂ イッセーとの友情も熱かったし、中々良い男じゃないのかにゃ ⋮問題は、向こうが他 ﹁それにしても⋮美月があのエロコンビの一角にねぇ。まあでも、頭の良さは認めるし、 いた美猴をシバいていたってヴァーリから聞いていたんだが。 らしい⋮いやだったら捕まえるなりシバくなりしてくれよ、ヴァーリチームでも調子こ その疑問は直ぐ氷解した⋮どうやら偶然こっちを通りすがった黒歌が妨害していた ﹁お前かよ 76話_俺、後輩から恋愛相談を持ちかけられました 630 ! ﹂ ﹂ 77話︳俺、リア充の仲間入りしました Side 良太 どうしたんだ急に ﹁あ、良太さん、ちょっとついて来て貰って良いっすか ﹁美月ちゃん ? 太﹂モゴゴ ﹂ ﹁はいはいお邪魔虫な俺達は退散退散あくりょーたいさんあくりょーたいさん ﹁フリード、そのネタ古いよ。ともかく行って来ると良いよ、良太君﹂ 一体どうしたのかな、急に フリードがヤケに不自然なテンションで︵ある意味何時も通りか︶、某動画投稿サイト 拉致するかの如く引き摺って行っているし。 何故かイッセー達が総出で、何を勘違いしているのか俺に突っかかろうとした大輔を ? 止める様に、背後から美月ちゃんの声が聞こえた。 或る日の放課後、イッセー達と共にオカルト研究部の部室に向かおうとした俺を呼び ! !? ﹁あ、ああ。分かった、イッセー、木場﹂ ﹂ ﹁良太てめ﹁リアスには俺から言って置くから先に美月ちゃんの用事を済ませて来な、良 ? ? 631 で何年も前に話題になったネタを交えたダジャレを言っているし。 それに突っ込む木場は相変わらずのイケメン度満載な顔で送り迎えして、腹立つし。 まあ気にする事は無いか、まずは美月ちゃんからの用件を聞けば良い。 だけどその用件が、 私、良太さんの事、以前から好きだったっす 良かったら私と付 ! ﹂ ! うしてしまう程、俺はテンパっていた。 何時もの俺ならまずしない、これが小説だから許される︵ ︶脈絡のない質問だが、そ ﹁メタ発言やめろお前 ﹁固い事は良いじゃねえか、これ小説なんだし﹂ ﹁いや事情は既に把握しているが急に、という訳で、と言われても﹂ オーフィスちゃんまで嫁にしたお前の、リア充の先輩たるお前の意見を聞きたい﹂ ﹁という訳でイッセー。レイネルちゃんに部長にアーシアちゃんにゼノヴィア、果ては ││││││││││││ た。 まさかの愛の告白だとは、それも俺が想いを寄せていた美月ちゃんだとは思わなかっ ? ﹂ き合って欲しいっす ﹁あ、あの、良太さん ﹂ ! ﹁ゑ ! 77話_俺、リア充の仲間入りしました 632 ? なにしろ生まれて17年近く経って初めての彼女、しかも相手は俺が密かに想いを寄 せていた、1年後輩で共に部長の眷属である美月ちゃん、挙げ句の果てには美月ちゃん も俺に想いを寄せてくれていた事も、両想いだと言う事まで分かった。 好きな女の子に想いを寄せられているとあらば、それに応えたいと考えるのは男の性 だが、いかんせん俺にとって初めての彼女。 大輔と共に収集した資料︵注:エロ同人誌等の事です︶のお蔭でベッドの上での知識 なら十分なのだがそれは結婚を意識する程に仲を深めてからの話、其処までに至る為の 知識は、つまりお勧めのデートスポットだとか、どんなアプローチを取るべきだとか、そ ういった恋愛術的な物は、はっきり言ってゼロに近い。 だが、 る、という訳だ。 侍らせているイッセーならば、良いアドバイスをくれるだろうと指南をお願いしてい だからこそ、俺の親友でバンド仲間、そしてレイネルちゃんを始めとした5人の嫁を して俺は彼女に、デートを満喫させられるのか、不安要素は其処なんだよな⋮ そんな恋愛の﹃れ﹄の字でつまずきそうな状態で出来た美月ちゃんという彼女、果た ら、身に着ける時間も無かった。 ﹃リア充になる為の知識﹄とかを得る前に大輔と共にそういったリア充を僻んでいたか 633 ﹁アドバイスと言われても俺、れーちゃん達をデートに連れて行った事殆ど無いからな ⋮﹂ ﹂ 現実は非情だった。 ﹁なん⋮だと⋮ え、おま、レイネルちゃん達をデートに連れて行った事が殆ど無いだって ちゃん達だってイッセーと2人きりで出かけたいだろうに。 恋人関係はそれが全てでは無いとは言えだ、良くそれで関係を保てるな、レイネル !? ? けど本当に大丈夫か、これで⋮ ﹂ ど、どうして此処に 2人揃ってどうしたの ││││││││││││ ﹁あれ、美月に元浜君 ﹁レイネル姉さんにイッセー兄さん 今日、俺の不安はある意味で的中した。 イッセーのアドバイスを受け、美月ちゃんをデートに誘ったんだが、その当日である !? ? ﹁お前、自分が行く予定の店俺に勧めてどうすんだよ⋮﹂ !? ? ﹁まさか、同じ日に鉢合わせする事になるなんてな⋮﹂ ﹂ と、驚愕の事実をカミングアウトしつつも色々とアドバイスしてくれたイッセー、だ ﹁そんな俺からの意見だから参考になるか分からんが、まずは⋮﹂ 77話_俺、リア充の仲間入りしました 634 アドバイス通り先ずは洒落たカフェで、昼食でもと思って入ろうとしたんだが、其処 に同じくデートで来たであろうイッセーとレイネルちゃんと鉢合わせする事に。 俺もリア充の仲間入りを果たしたから、イッセー達がイチャコラしようと気にはなら ないと思っていたんだが、流石に付き合い始めの今は不味い。 木場やフリード等の、俺達が入る以前からいたオカルト研究部のメンバー曰く2人の イチャコラ振りは﹁見ているだけで口から砂糖が溢れる﹂﹁物凄く渋いお茶が欲しくな る﹂ ﹁むしろお茶でうがいしたくなる﹂ ﹁熱愛振りで有名な魔王サーゼクス様すら口から 砂糖を吐いた﹂程らしい。 エロ同人誌の如く、2人に負けていられないという想いで仲が深まれば棚ボタ物なん だが、そうそう上手くは行かないだろう、むしろ2人の光景に気恥ずかしくなってしま うかも知れない。 そうなれば、気まずい関係になってしまうのは必定。 よし、 ﹂ ﹁じゃ、じゃあゆっくりしていって﹁まあ待てよ︵ガシ ︶﹂うぉっ何で掴んでんだお前 635 ! だろ ﹂ ﹁良いじゃねぇか、折角だし4人で入ろうぜ。彼女をへとへとにさせる訳にも行かない !? ? ﹁え とにかく放せ ﹂ りょ、良太さんならバッチこいっすけど、流石にいきなりは⋮﹂ つまりへとへとになった私を良太さんがあんな事やこんな事をするって事っすか エロ同人誌みたいに ﹂ ﹁美月ちゃんなにトリップしてんの ﹂ ﹁ささ、美月も中に入ろうよ レイネル姉さん ! た。 こうなりゃヤケだ、どうとでもなれ ││││││││││││ Side フリード ! 離れようとした俺達だったが、無情にもイッセー達によって中に連れ込まれてしまっ !? ! !? !? ﹁うぇ !? !? !? ﹂ ? ﹂ ! 行為しなきゃいけないんだ、いやマジで﹂ ﹁フリード、なんでコイツまで誘ったんだよ。つーかなんでアタシらこんなストーカー しやがれこのロリコンが ﹁おのれ良太ぁ、エロコンビの片割れだったお前までリア充になりやがってぇ、即刻爆発 ちゃんに佳奈さん 中々よさげな雰囲気じゃん、こりゃあ遠くない内にゴールインもありそうですなぁ、大 ﹁おうおうおうおう、イッセー君とレイネルさんは勿論だけどさ、良ちんと美月ちゃんも 77話_俺、リア充の仲間入りしました 636 ﹁いやいやほらさ、イッセー君とレイネルさんの激甘バカップルはともかく、良ちんと美 月ちゃんはまだ付き合い始めなんだし、2人の仲睦まじい様子をニヤニヤしtげふんげ ふん、上手く行くか見守って行くのが俺達関係者の役目ってもんでしょ﹂ んと美月ちゃん、どうなるかなぁ ﹁おいしい ﹂と見つめながら聞いているじゃん、やっぱりあのバカップルは格が違う うわ、イッセー君が早速、パフェをレイネルさんに食べさせているよ、しかもなんか ? さてさてイッセー君とレイネルさんのバカップルに連れられてカフェに入った良ち ばれたか、まあ良いや。 ﹁いやお前言いかけた事が本音だろ﹂ 637 大ちゃんだって見た目的には爽やかスポーツマンだし、この街では知らない人はいな ろっつーの はい大ちゃん、﹃ぐぎぎ﹄って擬音が聞こえそうな歯ぎしりしない、親友なら祝福し ん。 カルドリンクにストローを2本刺したかと思ったら、2人見つめ合って飲んでいるじゃ と思ったら良ちん達もやるねぇ、 ︵何であるのかは気にしない︶ラージサイズのトロピ ているし。 ねぇ、周りが砂糖を吐き出しているし、何かブラックコーヒーらしき物の注文が殺到し ? ! 77話_俺、リア充の仲間入りしました 638 いと言って良い学生バンド﹃GRID﹄のドラムとして人気なんだし、良い人︵人かど うかは分からないねぇ、例えば美月ちゃんは元堕天使だし︶見つかるぜ、きっと ! 78話︳私、飛翔しますわ Side レイヴェル さんは、天使として生まれながらもイッセー様を慕う余り堕天、紆余曲折の末にイッ イッセー様の﹃女王﹄にして、イッセー様の正妻という位置に立たれているレイネル 持った特長が余りにも際立った﹃個性派﹄揃いだと断言出来ますわ。 失礼を承知で言わせて頂きますが、眷属の方々は生まれや育ちは勿論、その生まれ ですわ。 ざっくりした言葉で言えば、眷属の中で、私はどの様なポジションなのか、という事 るか。 悩み、それはイッセー様及び、私を含めた眷属の方々の中で、私はどの様な存在であ 私こと兵藤一誠様の﹃兵士﹄、レイヴェル・フェニックスには或る悩みがあります。 行かなくてはなりません。ですが、どうした物でしょう⋮﹂ ティング・ゲームでも、その他イッセー様の下で必要となる事柄にも積極的に関わって 身。今までの様に、フェニックス家の娘という肩書きは通じませんわ。これからはレー ﹁私はイッセー様の下で自らを磨き上げると、父様や母様、兄様方に誓って眷属となった 639 78話_私、飛翔しますわ 640 セー様共々リアス様によって悪魔に転生されたとお聞きし、その慈愛に満ちた物腰は、 何故堕天してしまわれたのかが今でも不思議でなりません。 そのレイネル様が転生されるきっかけとなった事件に前後して、彼女と共にこの街に いらした﹃僧侶﹄にしてイッセー様の妻の1人、アーシアさんは、嘗ては教会のシスター であり﹃聖母の微笑﹄を身に宿した事から﹃聖女﹄として崇められていたそうですが、あ の憎きディオドラ・アスタロトが仕掛けた罠に嵌ってしまい教会を追放、堕天使陣営へ と流れ着いた末にこちらもリアス様によって転生されたそうで、優しくも揺るぎない理 念を感じられるそのお姿は、こちらも教会の対応に不可解な点を覚えましたわ、例えそ れがディオドラ・アスタロトの策だとしても。 そういえば教会出身者がもう1人、 ﹃戦車﹄にしてこちらもイッセー様の妻の1人、ゼ ノヴィアさんもそうでしたわ。 元は教会所属の聖剣使いとして各地を転戦されていたゼノヴィアさん、堕天使陣営の 最高幹部であるコカビエルが起こした事件の鎮圧の為にこの街へ潜入された際、その強 固に過ぎる教会への信仰心もあってイッセー様と対立されていたそうですが、イッセー 様の純真なる想いに打たれて和解、リアス様によって転生された後は、言うまでもあり ませんわね。 さて、イッセー様が今の地位に就かれた過程において外せない方が、私と同じ﹃兵士﹄ 641 であるヴァーリさんですわね。 旧魔王であるルシファー家で生まれたヴァーリさん、ただ悪魔と人間のハーフという 出自、更には宿した神器が原因で酷い虐待を受けていたそうで、幼少期に堕天使陣営に 流れ着き、総督であるアザゼル様の下で鍛錬を積んでおられたそうですが、コカビエル の事件に伴う事後処理も兼ねた駒王学園での3大勢力による会談の場で、彼は裏切り、 今の悪魔陣営を始めとした多勢力を騒がせているテログループ﹃禍の団﹄へ寝返った事 を表明しましたわ。 そしてその場でイッセー様と因縁の対決、そう、 ﹃赤龍帝の籠手﹄を宿したイッセー様 と、 ﹃白龍皇の光翼﹄を宿したヴァーリさん、二天龍の因縁の争いが勃発してしまいまし たが、イッセー様が﹃イッセー様の力で﹄その因縁に、そしてヴァーリさんに打ち勝ち、 屈服したヴァーリさんが3大勢力へ脅迫紛いの降伏宣言をされた事で晴れてイッセー 様は上級悪魔の仲間入りを果たされた、という事ですわ。 そのヴァーリさんが禍の団にてチームを組んでいた美猴先生、アーサー先生とルフェ イさんの兄妹、そして黒歌さん。 美猴先生はあの﹃初代﹄孫悟空として知られている闘戦勝仏様の末裔にあたる方だそ うで、飄々とした佇まいとは裏腹にその実力は確かな物で、イッセー様の武術指導もさ れている程ですわ。 78話_私、飛翔しますわ 642 アーサー先生ですが、その名前を聞くとあの人間界において伝説となっている﹃アー サー王﹄を真っ先に思い浮かべますが、そのアーサー王の末裔だそうで、 ﹃カリバーン﹄ としてこれまた伝説となっている聖王剣コールブラントを用いた剣術は、あの魔王サー ゼクス様の眷属である沖田総司様にも迫る程だと聞いており、正に﹃名は体を成す﹄と 言えますわ。 そのアーサー先生の妹であるルフェイさんは、こちらもアーサー王伝説において名が 刻まれている魔女、モルガン・ル・フェイに倣った名を名乗っていて、その魔術の腕前 は大層な物だとアザゼル様が絶賛しておりましたが、彼女もイッセー様をお慕いしてい る様で油断なりませんわ。 今上げた御三方は、ヴァーリさん降伏の折に同行されましたが、チーム内で唯一これ に賛同しなかったのが黒歌さんですわ。 嘗てはSS級はぐれ悪魔として名を馳せた黒歌さんでしたが、妹である白音さんを心 底大事に想っていて、はぐれ悪魔となった経緯も当時の主が、黒歌さんを眷属とした時 に交わした契約に違反して白音さんを眷属にしようとしたからで、しかもその対応が脅 迫その物︵従わなければ白音さんを手に掛ける、とまで言われたそうですわ。同族とし て恥ずかしい限りです︶だった事から、白音さんを守る為に殺害したとの事、その時の 嫌悪感とでも言いましょうか、それが要因となってヴァーリさんに同行する事を拒否し 643 たそうです。 その後、リアス様やイッセー様が眷属の方々を連れて冥界へと帰省され︵イッセー様 は違いますわね︶、特訓を経た後に開かれた魔王様主催のパーティにて、白音さんを引き 取ろうと潜入したそうですが、其処でイッセー様達のバンド﹃GRID﹄による魂が込 められた熱唱に心動かされ、イッセー様に降伏したそうですわ。 そしてその黒歌さんの妹である白音さん、黒歌さんがはぐれとなった事件の後に上層 部の方々からの激しいバッシングを受けた事で一時は感情を無くされたそうですが、リ アス様が親身になって頂いた事で笑顔を取り戻したとの事ですわ。 ただ、つい最近まで黒歌さんに憎悪にも似た感情を抱かれていたそうですが、それも イッセー様達の仲立ちもあって和解し︵尤もまだまだ蟠りがある様で、マンションの同 じ一室で共に暮らす私には、何処かぎこちなさを感じますわ︶、その優しさと熱い心に心 動かされ、つい最近、イッセー様の眷属に移籍しましたわ。 以上の様に生まれや育ち、眷属となった経緯が際立ってバラバラならば、その能力や 立ち位置もバラエティに富んでおりますわ。 アーシアさんは、その身に宿す神器﹃聖母の微笑﹄によってこれまで我々フェニック ス家が作り出していたアイテム﹃フェニックスの涙﹄だけしか無かったと言って良い回 復の手段を新たに生み出し、RPGにおける﹃ヒーラー﹄というレーティング・ゲーム には無かったポジションを確立する事になるでしょうし、ゼノヴィアさんやアーサー先 生の剣士としての手腕は、その手に持つ強力な聖剣の存在も相まって﹃アサシン﹄にも ﹃ソルジャー﹄にもなりえます。 らに取り込んで超絶なる力を発揮する﹃征龍﹄へと昇華させましたわ。 遂げ、ついには神器に宿るドラゴンの魂を解放する禁忌﹃覇龍﹄を超え、その全てを自 その原動力となった﹃イッセー様の力﹄である﹃タスク﹄は、あれから更なる成長を に兄様すら圧倒したその姿。 私がまだライザー兄様の眷属だった頃に見せた、縦横無尽に仲間達を蹂躙し、最終的 ですが何よりも凄まじい力を誇るのが、我々の主であるイッセー様。 才覚も一級品と言えますから文字通り﹃何でもできる﹄と言えるでしょう。 ヴァーリさんは神滅具の一角である﹃白龍皇の光翼﹄を宿している上、悪魔としての ある事から、ならではの能力が﹃ジャマー﹄としてうってつけです。 黒歌さん・白音さん姉妹は様々な術式に明るい他、元はニィ・リィと同じ﹃猫又﹄で への才覚は遠距離戦において重大な武器ですわ。 ら近∼中距離戦では死角はないと言っても差し支えありませんし、ルフェイさんの魔術 美猴先生は手に持つ如意棒や筋斗雲、そして己自身の肉体から繰り出す武術の巧さか ﹃アサシン﹄としての適性なら、天使だったレイネルさんも負けてはおりませんわね。 78話_私、飛翔しますわ 644 さて、話は戻しますが、そんな方々の中で私の﹃特長﹄足り得る物、それは何でしょ うか 頃は﹃僧侶﹄であった程の魔力も、ルフェイさんの方が上でしたわね。 やはりフェニックス家の娘、という出自からなる﹃不死身﹄でしょうか ﹁おや 一体なんですの、この雑誌は そんな私の目に入った1つの雑誌。 ﹂ ? いか、活かすならば、其処ですわね⋮ 相手が私を、倒す必要があると思い知らせる程の実力を身に着けるにはどうすれば良 す必要があったからという面もありますし︶。 に敗れるまで事実上の無敗だったのは、不死身の兄様が﹃王﹄である事、どうしても倒 無ければ、折角のこの身も無意味な物となってしまいます︵ライザー兄様がイッセー様 性が無ければ無視しても構わない存在、つまり相手にとって倒す必要がある程の事案が ですがレーティング・ゲームは王を取れば勝利のゲーム、兵士である私は、倒す必要 フェンダー﹄としてこの上無い力ではありますわ。 ければリタイアしないというのは、レーティング・ゲームにおいてこの上無い力、 ﹃ディ 確かに私の心が折れたり、再生が追い付かない程の凄まじい一撃を受けたりさえしな ? 純粋な近接戦闘では下から数えた方がはやいでしょうし、ライザー兄様の眷属だった ? ? 645 ﹁こ、これですわ 早速、特訓の始まりですわ ﹂ ! ﹁何奴 ﹂ って、貴方たしか⋮﹂ ﹁頼もー、ですわ 私の行く道を決めたと言って良い、とある雑誌を目にした翌日である今日、 ││││││││││││ これが私の、後の運命を決めたと言っても過言ではありませんわね。 ! ! ﹁えっ ﹂ ! いや、入ってくれるなら大歓迎だけど、大丈夫なの ﹂ !? すわ。私をこの同好会に入会させて下さいまし ﹁高等部1年のレイヴェル・フェニックスと申しますわ。早速ですが用件を申し上げま !? !? ﹂ ﹁ご安心くださいませ。私、体力と身体の柔軟性、それに頑丈さには自信がありますわ 78話_私、飛翔しますわ 646 そのサークルの名は、﹃女子プロレスリング同好会﹄。 私は駒王学園の或るサークルの門を叩きましたわ。 ! 今日はトレーニング・ルームには行かないんですか 79話︳俺、指導を続けます ﹁あ、あの、イッセーさん ﹂ ? ﹁いっちゃん 此処でスタンバイしているのかしら ﹂ 此処でギャスパーのトレーニングをするって聞いたけど、私達は何で、 ﹂ ? ﹁あらイッセー ? ゲームをする。其処で1位を取って見せろ﹂ ﹁ギャスパー、今日のトレーニングは趣向を変えて、俺とお前、れーちゃんとリアスで 姿があった。 もう一度言う、 ﹃ゲームのコントローラーを構えて待っている﹄れーちゃんとリアスの の姿があった。 其処にいたのは、ゲームのコントローラーを構えて待っているれーちゃんと、リアス ? 更に言うと、 にあるトレーニング・ルームでは無く、1階の俺の部屋でやる事にした。 毎日の日課となっているギャスパーのトレーニング、だけど今日は何時もの、B1階 ﹁ああ。今日はちょっと趣向の変わった特訓をしようとな﹂ ? 647 ﹁え、えぇ それってトレーニングなんですかぁぁぁぁ ﹂ !? ﹂ ﹁ええ、そうね﹂ ﹁そうだね。ちゃちゃっと終わらせて、始めちゃお﹂ ﹁まあ詳しい内容は後で説明するとして、とりあえず初期設定を終わらせよう﹂ る1作だ。 そう、俺達がやろうとしているゲームは﹃○太郎電鉄﹄、通称﹃○鉄﹄シリーズのとあ ターが飛び跳ねたり踊ったりする様子が映し出されていた。 キャラクターが車掌姿で敬礼し、背景には日本の様々な場所の特産物を模したキャラク 因みにテレビ画面に映し出されているタイトル画面には、某昔話の主人公を模した 失礼な、これでもちゃんとトレーニングと言える内容を考えているんだがな。 !? ! れーちゃん↓アルク社長 俺↓ホープ社長 で、決まった名前が、 るか。 けど、ただ単に自分の名前を付けるだけじゃ面白くないから、ちょっと捻った物にす まずはメンバーの名前を決めるか。 ﹁は、はい 79話_俺、指導を続けます 648 リアス↓マリサ社長 ギャスパー↓ユズキ社長 中の人ネタぇ⋮ さて、順番決めはどうなるか これなら長くても2時間位で終わりそ ? よし、初期設定を完了した所で、今回のトレーニングの発表だ。 うだし。 年数はどうするか、うーん、3年位で良いか この順番になったか、ギャスパーのトレーニング内容からして好都合だな。 プ社長︵俺︶ ユズキ社長︵ギャスパー︶↓マリサ社長︵リアス︶↓アルク社長︵れーちゃん︶↓ホー ? 駅に止まってイベントルーレット ? ﹁レイネル、TASって何かしら ﹂ ﹁ぼ、ボクの力だけでTASをしろって事ですかぁ ? ﹂ ﹁成る程、神器を用いた人力TASって訳だね。あ、人力じゃなかったね﹂ が回る時だろうが、使って構わない。それらを用いて1位を取って見せろ﹂ 駅に止まってカードルーレットが回る時だろうが、 のみ、神器の使用を許可する。お前のターンなら、サイコロを振る時だろうが、カード ﹁さてギャスパー、今日のトレーニング内容を発表する。このゲーム中、お前のターン時 649 !? というのが今回のトレーニングの意図する所で、その方法として有用なのがTAS ? 付を数十分の1秒毎に行う︵バッサリ言うと、ゲーム機のフレーム処理毎に︶。 通常ゲームはプレイヤー及びテレビの間隔に合わせる為に、コントローラーの入力受 TAS動画を撮る上で重要な機能と言えば何か、それはゲームスピードの変更だ。 だ。 か それを、 ﹃止める﹄でも﹃止めない﹄でも無い、 ﹃鈍くする﹄という選択肢を作れない スパーへの負担も多い。 長物と化してしまう両極端な代物、そして、例え通じる相手にも、﹃止め﹄続けるのはギャ 通じる相手になら現状でも強力ではあるのだが、通じない相手となると途端に無用の 現状、ギャスパーの神器による効果は、時を﹃止める﹄か﹃止めない﹄か、のみ。 いう物だ。 今日のトレーニングは、そのTASを、ギャスパーの神器によって現実の物とする、と ネット動画とかで良く見かける動画ジャンル、TAS。 ギャスパー君の神器がその代替になるって事ですね﹂ だ っ た ら 専 用 機 材 と か を 使 う ん で す け ど、い っ ち ゃ ん の ト レ ー ニ ン グ 内 容 か ら し て、 名された、如何にも人智を超えた様に見えるゲームプレイ動画のジャンルです。普通 ﹁Tool│Assisted│Superplay、その頭文字を取ってTASと命 79話_俺、指導を続けます 650 その入力受付を延ばす方法、それがゲームスピードを、引いてはゲーム機の﹃時間﹄を だが、﹃止める﹄と上手く行かない。 ﹃鈍くする﹄事だ。 ゲーム機の動作こそ止まり、現時点でテレビに映し出されている内容が保存される が、同時に入力受付も行われなくなっている。 現状のギャスパーでTASをやろうとすれば、適当な所で﹃止め﹄て、内容を確認し てから解除、其処から何フレーム経ったら入力を、という無茶をする必要がある。 故に﹃鈍くする﹄事を覚える必要があり、そのトレーニングとして最適、という訳。 これを覚えれば、これまで神器の能力が全く以て通じなかった相手にも、完全に通じ なくとも﹃鈍くする﹄事も可能になり、また、これまで通じていた相手にも、力をセー ブして﹃鈍くする﹄程度に収め、温存しつつ優位に進める、という事が出来る様になる。 ﹂ まあ、折角真剣にゲームを楽しもうとしていたれーちゃんやリアスには申し訳ないけ ど、今回は、ちょっとな。 さて、上手く行くかどうか⋮ も、貰っちゃいます ﹂ ! ││││││││││││ ﹁に、二刀流カード ﹁開始早々二刀流カード !? ! 651 ﹁いきなりか、それも目押しで⋮﹂ 俺の考えたトレーニングの、理想と言える結果、それをギャスパーは、難なく実現し て見せてくれた。 まず開始早々に二刀流カードを目押しで引き、 ここです や、やった ﹂ ﹁此処で4を出せば目的地⋮ ! ﹂ 何にしようかな⋮ やった、援助金ですぅ 駅に付きました ﹂ ﹁よし、伊賀上野を独占ですぅ ﹂ あ、のっとり君 駅のイベントで、莫大な援助金をゲットし、 ﹁此処で援助金ゲット えいっ ! どの物件乗っ取るつもり ﹂ あと4マスで目的地、という状況で目押しによって到着し、 ﹁つまりボンビーは、俺に付く訳か﹂ ﹁ま、また目押しで決めた⋮﹂ ! ﹁やったぁ 埋蔵金ですぅ ! ﹂ 莫大な資金に物言わせて俺達の物件を次々と乗っ取り、 !? ! ! ? ? ﹁ちょ、ちょっと !? ! !? ! ﹁ 79話_俺、指導を続けます 652 ! 結果になって良かったぜ。 まあゲームの方は、これなんて無理ゲーだよ、と思うが、トレーニングとしては良い かった。 終わって見れば、ギャスパーが圧倒的大差で1位、俺達は2位争いに終始するしか無 こ れ は ひ ど い な﹂ トレーニング内容を言い出した俺が言うのもあれだが、 ﹁うわぁ⋮ 653 ﹂ ギャー君の新しい力が効いているって感じです 80話︳吸血鬼、実戦訓練しました ﹁行きますよぉ ﹁な、なんだこの感じは⋮﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹂ ﹁ははっ信じられない位のろっちぃな かい ﹁くっ⋮ ﹂ ﹁せいやぁ ﹁くぅ⋮ フリードが言う様に、何時ものアーサー達では信じられない位にあらゆる動作が遅 いた。 スパーの、先日のトレーニングで会得した神器による﹃鈍くする﹄力が猛威を発揮して サーとゼノヴィア、黒歌と白音の4人、この4vs4で行われている模擬戦、此処でギャ リアスの眷属からはギャスパーと大輔、木場とフリードの4人、俺の眷属からはアー ! ! ﹁アタタタタタタタタタ !? ! ! ! ! ? ﹁にゃぁ 80話_吸血鬼、実戦訓練しました 654 く、攻撃に行こうとしても軽く躱され、或いはいなされ、そして相手からの攻撃には対 応に苦慮している、そんな展開が終始繰り広げられていた。 リアスの眷属側は前線で活躍出来るメンバーが3人、しかもその内大輔は悪魔になる までこういった戦闘経験が無かった﹃元一般人﹄、一方で俺の眷属側は4人全員が前線で も活躍出来、しかもアーサーと黒歌は少数精鋭で知られた禍の団・ヴァーリチームのメ ンバー、その実力差は明らかであるにも関わらず、この結果。 ﹂ 間違い無く、先日のトレーニングによる効果は覿面だったと言えるだろう。 ﹁よし、模擬戦はこれで終わりだ。皆、今日の様子はどうだった ﹂ ! ﹂ ? ﹁⋮未だに何されたのかが良く分からない気分です。これがギャー君の新しい力、敵に 来た所で避けられるのが関の山じゃないかにゃ ﹁急にそんな事されちゃった物だから、戸惑って﹃気﹄を練られなかったのにゃ。まあ出 アップしましたからね。自分達の時間を遅くされると、こう感じるのですね﹂ ﹁私 も び っ く り で す。急 に 私 達 以 外 の 動 き が、ま る で ビ デ オ の 早 送 り の 様 に ス ピ ー ド かの様だった﹂ ﹁そうだね、まるでウルトラハイスピードカメラで撮ったビデオをスロー再生している ちゃのろっちぃんだもん、ギャー君の新しい力ってホントすげぇ ﹁い や ぁ マ ジ ビ ッ ク リ。無 茶 苦 茶 強 か っ た 筈 の ア ー サ ー セ ン セ が、今 日 に 限 っ て む っ ? 655 回すと恐ろしいです⋮﹂ ﹁全くだ。私の持ち味を全殺しだからね﹂ だに驚かされるぜ。改めてスゲー奴だな、お前って﹂ ﹁イッセー、お前とは長い付き合いだけどさ、TASからこんな発想に辿り着くとか、未 模擬戦を行ったメンバー達からも、ギャスパーの新たなる力の効果を絶賛する。 特に今まではその圧倒的実力差から﹃止める﹄事が出来なかったアーサーを、 ﹃鈍くす る﹄事に成功したのは大きい。 ﹂ だけど、そう事が上手く運ぶとは限らず、 ? ドラクエ史上初の即死呪文として知られ、今現在は敵1グループを範囲に取れる﹃ザ ? 例えるなら、ドラクエにおける﹃ザラキ﹄と﹃ベギラゴン﹄の違い、と言えば良いか に力を消耗してしまうそうだ。 今回の模擬戦で木場が言っていた程まで鈍くしようとすると、却って﹃止める﹄時以上 実際に使う側であるギャスパーから話を聞くと、ちょっと鈍くする程度なら兎も角、 新たな問題が発生したっぽい。 ﹁こ、これ意外と疲れますぅ⋮﹂ ﹁ギャスパーはどうだ、ギャスパー 80話_吸血鬼、実戦訓練しました 656 ラキ﹄と、ギラ系最高威力を誇り、どっかの動画チャンネルのネーミング元にもなった くする﹄効果、と言えるな。 る﹄効果、効果はそこまでじゃないが実力差に関わらず発揮出来る﹃ベギラゴン﹄が﹃鈍 つまり、効果は強烈だが圧倒的な実力を持った存在には通じない﹃ザラキ﹄が﹃止め ジを抑えられはするが通じるって、大分話が脱線したな。 通じない一方、ベギラゴン等のダメージを与えるタイプの攻撃呪文は、ある程度ダメー ゲームバランスの都合上、という側面もあるとは言え、ボスキャラにはザラキが全く もなると話は違う。 だがそれはフィールド上でランダムに遭遇する、通常の敵ならの話で、ボスキャラと 程の差、これならザラキで即死を狙った方が効率的だろう。 それも、ベギラゴンを2回余裕で唱えられる程のMPなら、ザラキを3回唱えられる はベギラゴンの方が多い。 だがこの2つの消費MPは、ザラキが7、ベギラゴンが10︵共にドラクエ5︶と、実 程脅威では無い。 いぜい100台のダメージ、ある程度のHPがあり、回復をこまめにやっておけばそれ ザラキの方は確率こそあれど一発で死亡させる効果を持つ一方、ベギラゴンの方はせ ﹃ベギラゴン﹄。 657 しかし、これはちょっと予想外だったな。 本来は﹃止める﹄為に必要な力の消費を少なくする為に思いついた﹃鈍くする﹄効果 なのに、使い方を誤れば逆効果となってしまうとか、本末転倒と言わざるを得ないな。 まあ一方で、実力差に関わらず効果を発揮出来る選択肢を得られたのは収穫だった。 となれば、次の課題はその、力の消耗に関する点だな。 最優先はスタミナの強化ではある、が、例え強化した所で有限である事には変わらな い、長期戦ともなればスタミナ面の管理に気を配らないといけない。 幾ら﹃鈍くする﹄効果が実力差に関わらず発揮出来ると言っても、圧倒的実力差を理 由に強めたまま使い続けてはギャスパーの身が持たない。 よし、今後のトレーニング方針が見えて来たな。 メントが欠かせない。 く居続ける為には効果の使い分けや、 ﹃鈍くする﹄効果の強さの調整、そういったマネジ んな重要戦力であるギャスパーが長く戦場に居続ければ相手にとっては脅威となる、長 ﹃止める﹄効果も﹃鈍くする﹄効果も、使いこなせば強烈であるのは揺るぎない事実、そ 80話_吸血鬼、実戦訓練しました 658 81話︳新たなる日々、幕開けしました ﹁ん ああ、そうだな。確か京都だっけ ﹂ ? い ﹂ そうだ、もう9月も中盤を過ぎて、10月上旬の修学旅行まであと少しだったな。 かけに、なんか色々とカオスになってきた。 昼休み中、机をくっつけて一緒に昼飯を食べていた俺達だったが、大輔の発言をきっ ? ? ﹁ヴァーリの頭に、なんで枕投げが念頭に置かれているのかな⋮ ﹂ てからだから、色々と楽しみだな。主イッセー、合戦用の枕は幾つ持っていった方が良 ﹁まあ、それは置いておくとして、修学旅行か。俺は学校に通う事すらこの2学期に入っ なっつーの﹂ ﹁大 ち ゃ ん、抑 え て 抑 え て。良 ち ゃ ん も リ ア 充 に な っ た か ら っ て あ か ら さ ま に 惚 気 ん 緒でさ。俺は美月ちゃんと暫く離れ離れになるのか⋮﹂ ﹁そうだった気がするぜ。はぁ、イッセーは良いな、レイネルちゃん達が同学年だから一 ? たけど﹂ ﹁そういやぁイッセー、もうそろそろ修学旅行だな。いろいろあり過ぎて忘れかけてい 659 ﹁確か3、4人のチームを組むんだよな﹂ ﹁ああ。泊まる所が4人部屋だかららしい。俺達の場合、どういう組分けで行く 6人を2つの組に分けるのは確定としても﹂ この だよなぁ、何かあった時に迅速に動けるよう、悪魔である俺達だけで組んだ方が良い。 ? ﹂ ﹂ ﹂ 話を聞きつけたのか、れーちゃん達が誘って来た。 ﹂ 私にゼノ となれば組分けは、まず俺の所にヴァーリは確定だな、今の立場を考えると。 ﹂ ? こっちから誘いたかった位だし﹂ よし、乗った 大好き ! ﹁勿論さ ! ﹁ありがとういっちゃん ! ! ? 後の4人はそうだな、と、考えていると、 ﹁ねぇいっちゃん、そろそろ修学旅行でしょ その時、私達と一緒に行かない ? ヴィア、アーシアにルフェイ、イリナに佳奈の6人で﹂ ﹁イッセー、頼めるか ﹂ ﹁イッセー様、宜しくお願いします ﹁イッセー君、一緒しても良い ? ! ? ﹁まあコイツらがこんな感じでさ、他の皆も良いか ? ﹁イッセーさん、ご一緒しても良いですか 81話_新たなる日々、幕開けしました 660 ﹂ ﹁あ、ありがとうございます、イッセーさん ﹁ありがとう、イッセー﹂ ﹁はい、宜しくお願いします ! ﹂ ! なんでイッセーばっかり ﹂ ﹁お前はいい加減枕投げから離れろや﹂ なんだこのカオス。 ││││││││││││ ﹁リアスや朱乃さんは去年の修学旅行、何処へ行ったんだ ﹂ 放課後のオカ研の部室でも、話題は修学旅行に関してとなり、それを聞いたリアス達 ﹁私達も京都ですわ。部長と一緒に、金閣寺や銀閣寺と、名所を回った物ですわ﹂ ? ﹁そう、もう二年生は修学旅行の時期なのね﹂ ﹂ 今日にでも聞いてみるか﹂ ﹂ ﹁おう。さて、美月ちゃんへの土産はどうしようかな ﹁うん、同席頼むよ﹂ ﹁はいはい大ちゃん落ち着いて。まぁ宜しく頼むぜ ! ﹁合計12人か。旅館にある分も加味すると、何個くらい持っていくか﹂ ? ! ﹁チクショォォォォォ ﹁おいおい、イッセーだけ⋮に近いな、コイツらは。お前らも、宜しく頼むな ﹂ ﹁ありがとうね、イッセー君 ! ! ! 661 も加わって来た。 へぇ、リアス達も京都だったんだ。 せず、詳細な時間設定を先に決め手から行動した方が良いわ。日程に見学内容、食事の ﹁そうね。けど、意外に3泊4日でも行ける場所は限られてしまうわ。貴方達も高望み 時間もそうだけど、案外移動も時間が掛かるから、そこもきちんと入れて置かないと、痛 い目を見るわ﹂ なんか、ヤケにリアルな忠告だな、まさか⋮ ﹁朱乃、それは言わない約束でしょう まあ、私もはしゃぎ過ぎたわ。日本好きの私とし なってしまって、駅のホームで悔しそうに地団駄を踏んでいましたわ﹂ れも見るあれも見るとやっていたら、最後に訪れる予定だった二条城に行く時間が無く ﹁移動の時間まで把握していなかったのが今になって悔やまれますわ。部長ったら、こ 81話_新たなる日々、幕開けしました 662 と。 れーちゃん達とも色んな名所を回りたいし、この忠告はちゃんと心に留め置かない いな。 まあでも、リアスも朱乃さんもまだ高校生、こういった好奇心も少女らしくてかわい まさかの実体験だった⋮ ては、憧れの京都だったから、必要以上に街並みやお土産屋さんに目が行ってしまって﹂ ? ﹁修学旅行もそうだけど、そろそろ学園祭の出し物も考えないといけないわ﹂ 1学期の球技大会もそうだけどさ、駒王学園はどんだけお祭りが好きなんだ !? ﹂と言いたげな実体験を聞いた後、話題は修学旅 ! ﹂ 囲気の中で無粋な事を思ったのは俺だけの秘密だ。 ﹁学園祭、楽しみです 良い時期に転入したよね、私 ! ﹁ああ、私もハイスクールでの催しは凄く楽しみだ﹂ ﹂ ﹁私もこういうの初めてだから楽しみだわ エル様の御導きだわ ! ! ! これもミカ 特に修学旅行の直ぐ後に学園祭とか、授業の面で問題は無いんだろうかとか、この雰 フリードの言う通り、駒王学園はイベントが結構多い。 行の直ぐ後に行われる学園祭に移る。 リアスの如何にも﹁悔しいですっ のね。今年はメンバーが一気に増えたから助かるわ﹂ えば、貴方達が旅行に行っている間に3年生と1年生、後は顧問の塔也で準備出来るも ﹁だからこそ、今の内に学園祭について相談して、準備しておかないと。先に決めてしま うからね。そう考えると僕達2年生は結構大変だね﹂ ﹁確かにそうだね、フリード。特に2学期は修学旅行に学園祭と、短い間隔で、連続で行 か⋮﹂ ﹁マジで 663 アーシアとゼノヴィア、イリナは楽しみで胸いっぱいって感じだし、 そしたら良太さんの生演奏も ﹂ ﹁学 園 祭 と 言 っ た ら、生 徒 達 の バ ン ド が 演 奏 す る っ て 良 く 聞 く よ ね。だ と す る と い っ ﹂ !? ちゃん達GRIDも ﹁それは本当っすか、レイネル姉さん ﹁我も行く、イッセーの生歌声、聞きたい﹂ !? !? えた今、必ずや何か仕掛けて来るに違いない。 だったオーフィスの脱退、一大派閥だったヴァーリチームの消滅、といった深い傷も癒 旧魔王派が起こしたあの襲撃事件以来表立った活動の情報が来ないとはいえ、代表 そう、テロ組織﹃禍の団﹄だ。 ている。 この日々がずっと続いてくれればいいけど、今の人外社会において重大な課題が残っ いろいろ紆余曲折はあったけど、その末に今一応はこの日々を満喫出来ている。 ああ、こんな楽しさ一杯な日々を青春、と言うんだろうな。 は楽しみといった感じだし。 ているけどね︶GRIDのライブに期待感いっぱい、それに佳奈が呆れつつもその様子 れーちゃんと美月、オーフィスは、学園祭で行われる︵事にされている⋮まあ予定し ﹁お前らバンドメンバーの追っかけかよ。まあ気持ちは分からなくもないけどさ﹂ 81話_新たなる日々、幕開けしました 664 665 修学旅行で訪れる京都も、日本の神様達にとって本拠とも言える場所、となれば何か しでかす上で適した場所と言えなくもない。 そして何か事が起これば、俺達も対応に当たる可能性がある。 まあそれもあって、悪魔である俺達11人と、天使であるイリナの合計12人で行動 しよう、となった訳だが。 で、今ちょっと気になっているのが、禍の団の、表立った活動の情報が﹃来ない﹄事 だ。 旧魔王派による襲撃事件が失敗に終わって、表立った活動を控えているのならば、確 かに不自然では無いが、それにしても無いなんて事態は違和感がある。 オーフィスをも超えた実力を持つ、と周囲から言われている俺の存在から、この街で は活動しない方が良い、という考えも分からなくはないが、それはあくまでこの街の中 のみでの話であって、全世界の、どの人外勢力からも、禍の団が活動した、という情報 が無いのは変だ。 禍の団は一体、何を企んでいるんだ⋮ ││││││││││││ 帰って来た俺達、だったけど、 そんな違和感を抱えた俺を他所にオカ研の活動は終了し、自宅であるマンションへと ? ﹁おや 駐車場に見慣れない車があるな﹂ ﹁なんかデッカイ車だね、それも4台も﹂ ? マンションの駐車場に、見慣れない車が4台も駐車されていた。 おいおい、これハマー・H1じゃねぇか。しかも4台ともだ﹂ ﹁このデカさにこのデザイン⋮ 81話_新たなる日々、幕開けしました 666 82話︳北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました ﹁ただいま﹂ ﹂ ﹁おかえり、皆。そうそう、イッセーにお客さんよ﹂ ﹁お客さん まさかあの車の主は俺に用があって此処に来たのか ? ﹄ ! く天使の様だが、そんな存在に様付けで呼ばれるのは、なんか照れるな。 そ、それにしても司祭服の12人はその気配からして教会所属、それもイリナと同じ して真っ白な司祭服に身を包んだ12人の男女が、俺が入ると同時に出迎えてくれた。 物凄く強大な気配がするおじいさん、そのおじいさんの側で控えるスーツ姿の女性、そ まるで自分の家の様に寛いでいるアザゼルさんと、何処かラフな格好をしているけど ﹃お帰りなさいませ、イッセー様 るばる訪日した甲斐があるという物じゃ﹂ ﹁ほっほっほ、お主が今話題の龍魔神王、兵藤一誠か、凄まじい程の力を感じるぞい。は ﹁おう、お帰りイッセー。ほら、じーさんに護衛の諸君、お目当ての奴のお帰りだぜ﹂ 母さんからその話を聞き、リビングへと向かうと其処には、 ? 667 ルフェイやレイヴェルは俺の眷属だし、もう慣れたが。 ﹂ ﹁紹介するぜ、皆。まあ知っている奴もいると思うが、そこのチャラい恰好したじーさん はオーディン。アースガルズの主神、と言えば分かるな ま、まさかそんなビッグな方が、態々俺の所に挨拶に来てくれるとか、これは夢か お、オーディンって、アザゼルさんが言う、あのオーディンだよな え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ の時の大暴れ振り、あの場にいた儂も絶句したもんじゃい﹂ ﹁初めましてじゃな、兵藤一誠。お主の凄まじい活躍、見させてもらったぞい。あの襲撃 ? て良かった。 オーディンさんの隣に控えていたスーツ姿の女性、ロスヴァイセさん。 ﹁はい、ロスヴァイセと申します。以後、お見知りおきを﹂ クールな感じの美人で、スタイルも良い、体型だけで言うとリアスに近いかな ﹁彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーじゃ﹂ ﹁そ、そ、それは関係ないじゃないですかぁぁぁ わ、私だって、好きで彼氏が出来なかっ ? ムにも来賓として招かれていたそうだが、会う事かなわなかったから、此処で挨拶出来 でも、あの襲撃の時も、冥界でのパーティ及びリアス達若手悪魔のレーティング・ゲー ? !? !? ﹁んで、じーさんの隣に付いているのは、じーさんのお付きのヴァルキリー﹂ 82話_北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました 668 ! た訳じゃ無いんですからね う、嘘だろ⋮ 好きで処女な訳じゃなぁぁぁい ﹂ ! 世の中分からない物だな⋮ こんな美人で、スタイルも抜群で、それで彼氏いない歴=年齢 ! っておい大輔、後ろで﹃よし狙うか﹄と言いたげに拳を握り締めるな。 ? ? の男を先頭に、前に出て来る。 いて、オーディンさんに促される様に司祭服の集団が、そのリーダー格らしい黒の短髪 ロスヴァイセさんの身の上から垣間見える人外社会の世知辛さに関しては一先ず置 ﹁はっ。オーディン様、お気遣いありがとうございます﹂ している者が大勢いるからのぉ。ほれ、お主たちの番じゃ﹂ ﹁まあ、ロスヴァイセの話はここらで良いじゃろう。後ろで自己紹介したくてうずうず で取り上げていたけど、人外社会も例外じゃ無かったのかよ⋮ 確かに人間界も此処最近まで世界規模の不況で、此処日本も就職氷河期だとニュース え、えぇぇぇぇ⋮ つも儂のお付きになるまで職場の隅にいたのじゃよ﹂ 近では英雄や勇者の数も減ったもんで、経費削減によって部署も縮小傾向でのぉ、こや ﹁まあ、ヴァルキリーの業界も厳しくてのぉ。器量良しでも中々芽吹かない者も多く、最 669 ﹁お初にお目にかかります、イッセー様。我らは﹃X│LAWS﹄。教会に属する悪魔祓 ﹂ いのチームで、現在はミカエル様の御使いを務めております。私の名は、ラキスト・ラッ あの﹃異端﹄チームが、私の同僚なの ソ。X│LAWSのリーダーを務めている者です﹂ ﹁え、X│LAWS !? は﹂ た物だ。あの﹃異端﹄チームとして知られたX│LAWSのメンバーを御使いにすると ﹁ミカエル様の御使い、となればそうなるな。しかしミカエル様も思いきった決断をし !? リナの同僚という事になるな。 それにしても﹃異端﹄て、どういう事して来たんだ ﹄ ﹁お前達、イッセー様に自己紹介を﹂ ﹃はっ ﹁私の隣に控える銀髪の女は、メイデン・ジャンヌ。X│LAWSの副リーダーを務める ! ? 感じた気配はやはり間違いじゃ無かったか、ミカエルさんの御使い、という事は、イ 羽が出現した。 リーダーであるその男、ラキストの自己紹介と共に、メンバー全員の背から、天使の む﹂ ﹁君が、紫藤イリナか。ミカエル様から話は聞いている。今後は同僚として、宜しく頼 82話_北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました 670 者です﹂ ている、という事か ﹁あ、ああいえ、気にしていないので﹂ い物で﹂ ﹁クリス、もう少し話したらどうだ⋮申し訳ありません、イッセー様。此奴は口数が少な ﹁クリス・ブンスターです⋮宜しくお願いします﹂ ﹁その隣の大男は、クリス・ブンスター﹂ 髪の毛は全然似ていないが。 結構堅物そうな雰囲気といい、切れ長の眼といい、確かに親子だな。 次は、金髪で眼鏡を着用した男、マルコ。 ﹁マルコと申します。今後とも宜しくお願い致します、イッセー様﹂ ﹁その隣にいる金髪の男は、マルコ・ラッソ。我が息子です﹂ ? 美月より幼い感じだな、こんな子が副リーダーとは、それだけのポテンシャルを秘め まず紹介があったのは、銀髪で赤目の少女、メイデン。 ラキストに促されるまま、他のメンバーが彼の隣に並び立ち、自己紹介を始めた。 その疑問は、後で聞いてみるか。 ﹁メイデンと申します。イッセー様、本日はお会いになれて嬉しゅう御座います﹂ 671 その次は、角刈りの大男、クリス。 がたいのよさといい、多くを語らないその姿といい、聖職者と言うより軍人と言った 方がしっくり来そうなのは、俺だけじゃ無い筈だ。 ﹁その隣にいる、仮面を被った男は、ケビン・メンデル﹂ す。幼い頃に訳ありまして﹂ ﹁ケ ビ ン と 申 し ま す。こ の 姿 に 関 し て は お 気 に な さ れ ぬ よ う に し て 頂 け る と 有 難 い で その次は、仮面にヘルメットの様な帽子、義手になっている両腕という、異様な出で 立ちの男、ケビン。 声が少ししゃがれているのもそうだが、幼い頃に何か事故でもあったのかも知れな い。 の気のせいか イッセー様、宜しくお願いします ! ﹁その隣の緑髪の男は、リゼルグ・ダイゼル﹂ ﹁リゼルグと申します ﹂ ! ? 自分の番になるや否や、如何にも触れ合いたいという、ヤバい雰囲気を感じるのは俺 その次は、長髪の男、ハンス。 ﹁貴方様がイッセー様ですか、成程、聞いていた通り、強大なる雰囲気を感じる⋮﹂ ﹁その隣の長髪の男は、ハンス・ライハイト﹂ 82話_北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました 672 元気いいなコイツ、というか男だったのか。 次に紹介されたのは、一見すると性別がどっちなのか分からない緑髪の少年、リゼル グ。 ﹁その隣の茶髪の女は、ミイネ・モンゴメリ﹂ 次に紹介されたのは、数少ない女性メンバーの1人、ミイネ。 ﹁初めまして、イッセー様。ミイネと申します﹂ 女性らしい、といえばそうだが、他のメンバーが何処か堅そうな雰囲気だったり何処 か鋭さを感じたりするのに対し、彼女は何処か柔和そうな雰囲気だな。 ﹁その隣のツンツンヘアーの男は、ジョン・デンバット﹂ ﹂ イッセー様もこう言っているんだからよ ﹁ジョン・デンバットです。イッセー様、今後とも宜しく ﹁ジョン、イッセー様に対して少し無礼だぞ﹂ 良いじゃねぇか別に ! ﹁いや、別に気にしていないので﹂ ﹁はぁ、堅いなマルコ ﹂ ! まあ、フリードという前例があるんだし、そういう悪魔祓いも結構いるのかも知れな なんか、本当に教会の悪魔祓いなのか、と突っ込みたくなる位に軽いな。 次に紹介されたのは、金髪をツンツンヘアーにした男、ジョン。 ! ! 673 い。 ﹁申し訳ありません、イッセー様。ジョンには後で言い聞かせて置きます。その隣のス キンヘッドの男は、ポーフ・グリフィス﹂ ﹁ポーフ・グリフィスと言います。宜しくお願いします、イッセー様﹂ 気のせいだ、ライザーがX│LAWSのそれの様な司祭服に身を包んだ画が浮かんだ が気のせいだ。 ポーフと呼ばれたその男、綺麗に剃られたスキンヘッドといい、鋭く吊り上がった眉 毛といい、何処かきつそうな雰囲気をかもしだしているな。 冷静沈着で、紳士的な感じだな。 ! ﹁最後に、黒髪の少女は、ナナ・メビウス﹂ ナナと言います ! ﹁今回、我々X│LAWSは、来日されたオーディン様の護衛の為、教会より派遣されま 最後に紹介されたのは黒髪の、快活そうな少女、ナナ。 ﹁初めまして、イッセー様 ﹂ 次に紹介されたのは、顔に古傷を持った男、ラーキ。 す﹂ ﹁ラーキ・ディラックと言います。初めましてイッセー様、お目にかかり光栄に御座いま ﹁その隣の、傷持ちの男は、ラーキ・ディラック﹂ 82話_北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました 674 した。その折、オーディン様のリクエスト及び、我々の要望もあって、イッセー様、貴 方様に挨拶へと伺った次第です。この夜分に、大人数で押しかけた事、お詫び申し上げ ます﹂ いや、それは構わないけど、 ﹂ ﹂ 貴方様から﹃さん﹄を付けて頂く資格は持ち合わせてお ﹁いや、それは別に良いとして、えーと、ラキスト、さん ﹁ラキストとお呼び頂けますか ﹁なんで、X│LAWSのメンバー皆して俺の事を、名前の様付けで呼んでいるんだ な、なんだろう、すげー話しにくいんだが。 ? 貴方様は﹃新世界の神﹄となられるべき御方、新しき秩序の代表とな ? さ、天使陣営からは見ての通りX│LAWSが、堕天使陣営からは最高幹部を長とした ﹁ラキストが言った通り、爺さんが日本に居る間、俺達3大勢力が護衛に回る事になって てくれるというのは、嬉しい限りだ。 でもまあ俺の、いや俺達の夢である﹃新世界﹄、賛同してくれている存在が教会にもい あの﹃新世界の神﹄発言、他陣営にも聞こえていたのかよ⋮ います﹂ られるべき力を持った御方。勢力が異なろうと、その様な御方を敬うは当然の事に御座 ﹁何を仰られます ? りませんので﹂ ? 675 特命部隊がその任に就く。俺もその件で最近忙しくてさ、此処にいるのも限られるか ら、その間は、其処にいるバラキエルがお前達の面倒を見る事になった⋮っておーい、何 私はもじもじなどしては⋮ 時まで娘相手にもじもじしてんだお前は﹂ ﹁あ、アザゼル で、話を戻そう。 た10年間という溝は、そう簡単には埋まらないのだろう。 黒歌と白音の関係もそうだが、やはり離れ離れになり、その間一方が敵意を抱いてい とか和解した様だが、まだ蟠りが残っているのかも知れない。 ライザーとのレーティング・ゲームに向けての合宿中、れーちゃんの一喝もあって何 が流れていた。 のだが、何を話したらいいかとお互い手間取っている様子で何処かぎくしゃくした空気 言うとオーディンさんやX│LAWSのメンバーの自己紹介の最中も朱乃さんといた で、アザゼルさんに突っ込まれて、慌てて自己紹介したバラキエルさんだけど、実を だと、朱乃さんのお父さんなんだよな。 アザゼルさんの代わりに、バラキエルさんが来るのか、確かれーちゃんから聞いた話 あぁすまない、バラキエルだ。宜しく頼む﹂ ! ﹁アザゼルさん、3大勢力から護衛が派遣される、という事は、悪魔陣営からは俺達が就 82話_北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました 676 く、という事ですか 此処に来たのも、それが理由なのですか ? ﹂ ? ﹂ ? 今までの事件は巻き込まれて仕方なくという面があったが、今回はそれ ? 若手悪魔の会合でも言っていただろ、お前らはお前らが思う以上に、 ? それは分かっている。 特にイッセー、お前に至っては、その言葉が比喩でも何でもないんだ﹂ な。 アイツらにとっては宝なんだ、と。だからこそ大事に、段階を踏んでいって欲しいとも か、サーゼクスは も予測出来る。そんな事態が起こるかも知れないという状況に、態々突っ込ませる奴 高校生だろう 出せばオーフィスにすら勝てる。だが、どれだけ実力があろうと、お前らの大半はまだ にあたって、主導的な役割をして来た。殊にイッセーの実力はチートじみていて、本気 ﹁なんか皆して意外そうな顔してんな。確かにお前らはこれまで数々の事件を解決する その様子をアザゼルさんが目敏く見抜いたのか、更に続けた。 と決意した俺だったが、アザゼルさんから帰って来た答えは意外な物だった。 オーディンさんの護衛任務の話を聞き、その任に就くであろう俺達も覚悟を決めよう ﹁⋮ゑ まで爺さん達のリクエストだ。お前に逢いたい、そんなリクエストで、な﹂ ﹁いや、お前達が選ばれる事は無いだろう。ラキストが言った通り、此処へ来たのはあく 677 れーちゃん達が起こした騒動も、コカビエル達が起こした聖剣事件も、禍の団による 襲撃事件の数々も、はっきり言えば俺達は﹃巻き込まれた﹄、故に仕方なく、という面も あった。 だけど⋮とやりきれない想いを抱いていた俺に、アザゼルさんは、 ﹄っ て 事 だ。今 す ぐ 夢 を 叶 え よ う と し な く て も 良 い じ ゃ な い か。あ と 1、2 年 ! そう、優しくも、はっきりと語りかけてくれた。 だ﹂ けどな、青春は今、この時しかないんだぞ。目一杯楽しめる時間は、この時限りなん 会は幾らでもある。 経ってから一歩を踏み出しても良いじゃないか。お前の夢は、この先叶えようとする機 しろ 校生の仕事は、とにかく学んで、とにかく遊んで、まあぶっちゃけ言えば﹃全力で青春 多い。だが、いやだからこそ、お前を大事にしたいんだ。お前はまだまだ高校2年生、高 や、X│LAWSのメンバー、そしてリアスとその眷属に、お前の眷属、応援する奴も と言っても過言じゃ無い。お前が成そうとしている夢も知っているし、少なくとも俺 ﹁イッセー。お前の強さは、此処にいる皆が、もっと言えば人外勢力の誰もが知っている 82話_北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました 678 ﹂ 83話︳俺、マジギレしたぜ Side アザゼル 今、なんつった ? ばそうだった。 ミカエルも、そう思っていたし、サーゼクスの口から発表された案もまた、実力で言え 故に悪魔陣営もまた、それに見合った連中を派遣して来るだろう、俺は、いや恐らく した。 刺客の実力を想定した、良く言えば﹃ドリームチーム﹄、悪く言えば﹃物々しい﹄編成に を中心とした特命チーム、という様に、爺さんの実力、及びその爺さんを狙うであろう る程の独特の理念を持つX│LAWS、俺達堕天使陣営は、最高幹部であるアルマロス ミカエル達天使陣営は、実力もずば抜けていながら教会内では﹃異端﹄と騒がれてい の、派遣予定のチームを聞く事になっていた。 て始まったテレビ電話による会談、其処で俺とミカエルは、未だ決まっていない悪魔側 と共に来日した爺さん、その今後の予定を立てるべく、俺とサーゼクス、ミカエルによっ 昨日、日本の神々との会談に臨むべく、教会から護衛として派遣されたX│LAWS ﹁サーゼクス ? 679 ﹃実力で言えば﹄、だが。 ﹃我々悪魔陣営からは、イッセー君及び彼の眷属、そして彼の主であるリアスとその眷属 ﹂ を、オーディン様の護衛に任ずる事にした、と言ったんだ﹄ ﹁サーゼクス、お前もう一辺言ってみろ 俺が納得できないのは、もっと別の理由だ。 る、単純な実力面で見れば、コイツら以上の適任はいないと言っても良い。 確かにイッセー、及びアイツの眷属達は、今の世界においてトップクラスの実力を誇 じゃないと分かった時には、俺は画面越しのサーゼクスに噛みついていた。 聞きなおした俺へ再度、サーゼクスの口から発表された内容、それが俺の聞き間違え ! ﹁サーゼクス、お前はイッセー達若手悪魔の会合の時、こう言った筈だよな ﹃君達は君 83話_俺、マジギレしたぜ 欲しいと思っている﹄、と。バアル家の跡取りが﹃いずれ禍の団との戦いに投入されるの 達が思う以上に、我々にとっては宝なんだ。だからこそ大事に、段階を踏んで成長して ? ﹂ お前達4大魔王や、悪魔陣営の上層部が顔をそろえた会合で、そ か﹄と質問したのに対して﹃出来るだけ、若い悪魔達は投入したくは無いと思っている﹄ ? それを、舌の根も乾かねぇ内に反故にするってのかよ !? と、返したんだよな う言ったんだろ !? 言っていられなくなったんだ。禍の団による襲撃が再度予想される中、警戒の為の人員 ﹃それは、済まないと思っている。その会合で語った事は私の本心だが、状況的にそうも 680 を割く訳には﹄ ﹂ そんなの悪魔陣営だけじゃねぇ、俺達堕天使陣営や、ミカエル達 ! けれどその懸念も、最近は少し心配し過ぎじゃないかという風潮もある。 天使陣営だって同じだし、爺さん達北欧勢力の様な、地方勢力にも言える話だ ? 余りにもマヌケ過ぎて信じがたい話だが、その認識はあの襲撃事件の時にイッセーが トの狼狽ぶりから、その認識はあの時まで変わっていなかった。 そしてイッセー達から聞いた、襲撃事件の首謀者の1人であるディオドラ・アスタロ 無い﹄と、的外れにも程がある位の評価を下していた。 ヴァーリから聞いた話では、禍の団は当初イッセーの事を﹃赤龍帝である以外、何も そう、イッセーという存在だ。 でコレでは、何を企んでいるのかと勘繰ってみた結果、最近1つの結論に達した。 とんぼ返りしてきたばかりの時とは違って、ハプニングによる混乱も収まった筈の状態 首領だったオーフィスが抜け、ヴァーリが自分をリーダーとしたチームの面子と共に だ。 うと殆ど無い、あったとしても下っ端構成員の独断で引き起こしたらしい小競り合い位 禍の団・旧魔王派が引き起こした襲撃、あれ以来禍の団によるテロの報告は、実を言 ! 禍の団による襲撃 ﹁そんな見苦しい言い訳何ざ聞きたくねえんだよオイ 681 83話_俺、マジギレしたぜ 682 見せた﹃征龍﹄の力、上級、中には最上級悪魔級の実力を持った存在が何人もいた筈の 襲撃者達を、ただ﹃命じた﹄だけで捻じ伏せ、その命を絶たせた力、オーフィスすら歯 が立たないであろうその圧倒的な力、それを目の当たりにして改められたであろう。 そのイッセーに恐れをなした、とこれだけが結論ではない、これだけならばこの街を 標的にせず、イッセーが関与出来ない所でテロを起こすだろうからな。 けれどこれは限りなく正解に近いと言える、何故ならそれ以外の要因も、イッセーが 関わる話だからだ。 あの襲撃事件以来悪魔陣営に、同盟関係や国交締結を望んだり、会談を申し込んだり する人外勢力が急激に増えた、ぶっちゃけ、世界のほぼ全ての人外勢力から来ているだ ろうな、こりゃ。 まあ気持ちは分かる、禍の団という危険分子がいる中、イッセーが所属する悪魔陣営 と友好関係を結んでおけば集団的自衛権によってうんぬんかんぬん、といった感じで、 自分達の勢力が危険にさらされても直ぐに鎮圧してくれる、と考えるだろうから。 そう、イッセーはもはや、全世界の人外勢力からその実力を畏怖され、そしてテロへ の﹃抑止力﹄として大いに渇望されている。 そんな状況下では下手に藪を突きたく無い筈、突けばイッセーが出る。 禍の団は今、イッセー1人によって四面楚歌な状態に陥りかけている、それが結論だ。 無論、警戒するに越した事は無い、キューソネコカミでは無いが、追い詰められたテ ロリスト程危ない奴はいないから、警戒人員を配置したい気持ちも分かる。 けれど俺達もミカエル達も、そんな状況下でも人員を割いて爺さんの護衛に、精鋭と 言える人材を当たらせているんだ、そんな中サーゼクス達は公式発言を反故にしてまで イッセー達若手に当たらせたいだと、ふざけんな 自分の近親に、 そして俺の怒りはそれだけじゃ、悪魔陣営の対応に対してだけじゃない リアスはお前にとって妹、イッセーは義理の弟だろ ! ! ! ﹄ ! ﹂ ! も無い だが、サーゼクスは平然とその事実を受け入れた様に、俺には感じられた。 れでも到底我慢出来る物じゃねぇって事くらいは分かる。 だから俺がサーゼクスの立場だったらどう感じるかは、俺には想像し切れないが、そ ! 俺には本当の意味で兄弟と言える奴は居なかったし、子供を持った事も、いや、何で ないんじゃないか、その疑念が俺の怒りを増幅させていた。 サーゼクス自身がこの事に対して、自分の妹と義弟を戦場へ送る事を何とも思ってい ﹃っ のかよお前は まだ年端もいかねぇ妹弟に﹃戦場へ行って来い﹄と命じる事に対して、何とも思わねぇ ﹁大体サーゼクス ! 683 魔王としては、悪魔陣営のトップとしては当然の姿だろうが、兄としては最低な姿、そ れが俺には我慢ならなかった。 こんな冷血野郎が家系にいる位だしな ﹂ スの様子からもそれが本当だと思いかけたんだが、リアス達がそうなだけのデマだった ﹁お前の生まれであるグレモリー家は身内への慈愛に満ちていると聞いていたし、リア ﹄ ようだな そいつらを派遣する案を纏めてから出直して来やがれ るんだろ ! 冗談じゃねぇ、冗談じゃねぇよ こんな奴等に、イッセーをやりたい放題されてたまるか ! ! ﹂ ! という効果音が響きそうな位に荒々しく、回線を切ってやった。 ブチィ ! セーには遠く及ばなくとも、俺達が派遣した連中以上のチームがそっちにはゴロゴロい ! ﹃なっ ﹄ イッ 此処は非公式とはいえトップ同士の会談の場、言葉を慎んだらどうです ﹃アザゼル ! とにかく、堕天使陣営を代表して、悪魔陣営の案に反対を表明する ﹁うるせぇ ! ! ! !? ! 83話_俺、マジギレしたぜ 684 Side アザゼル 魔王領ルシファード、此処へ来るのはリアス達の帰省に同行して以来だったか へ言った分が弱すぎ﹂と理由の少なさを指摘されたりし、結果としてバラキエルの﹁改 しょう﹂と俺の短絡的な対応を批判されたり、ベネムネからは﹁ダメな理由の、向こう とは言ってもシェムハザからは﹁一時の怒りで突き返しても向こうは聞き入れないで で協議した所、全会一致で俺の意を支持された。 は独断で、堕天使陣営を代表しての反対表明をしちまった訳だが、この件を最高幹部達 スとその眷属を起用するという悪魔陣営側の方針、それに色んな意味でマジギレした俺 昨日の電話会談でサーゼクスが発表した、爺さんの護衛にイッセーとその眷属、リア ちゃけ言えばイッセー達を抜擢した事に対する抗議だな。 魔陣営が見せた外交姿勢を問い詰める為、というと真面目かと突っ込まれるが、ぶっ 尤も、今回来たのはその時の様な友好関係では無い、爺さんの護衛をどうするかで悪 短い間隔で訪れる事になろうとはな。 まさか、嘗て敵対していた悪魔陣営のトップと言える連中が集う場所に、此処までの ? 84話︳俺、小一時間問い詰めたぜ 685 めて悪魔陣営に抗議声明をしてはどうだ﹂という意見が採決されたが。 確かにサーゼクスの、若手悪魔の会合の場での発言を反故にした、というのも理由と しては真っ当ではあるがあくまで悪魔陣営内向けの発言であり、陣営外も含めた情勢次 第ではどうとでもなるというのが現実だし、サーゼクスの良心に対する批判も、はっき り言って感情論だ。 もっとだ、もっと理路整然とした、建設的な反論で、アイツらがイッセー達を護衛に 起用する事を、せめて﹁イッセー達で良いか﹂的な発想で起用するのを阻止しなくては ならない。 イッセー達、特にイッセー本人は、そんな軽々しいノリで戦場に立たせて良い奴じゃ 無いんだ ! ! の外交姿勢について問いに来たと﹂ しばしお待ちを !? さて悪魔陣営のお偉いさん方、丸一日かけてでも問い詰めさせて貰うぜ ││││││││││││ ? より堕天使陣営のトップが来るとなれば向こうも事の重大性を理解するだろ。 普通なら外交担当の面子に任せるべき案件なんだが、俺の個人的な抗議もあるし、何 ﹁あ、アザゼル様 ﹂ ﹁グリゴリ総督のアザゼルだ。魔王達に伝えろ、今回の護衛任命の件に関する、悪魔陣営 84話_俺、小一時間問い詰めたぜ 686 ﹁ようお前ら、護衛の適任チーム探しは順調か ﹂ ? 本当にアザゼルちゃん本人が来ちゃうなんてびっくり﹂ ? ﹂ それはサーゼクスからも聞いたぜ、アジュカ。 ? させているんだ、それは言い訳にならねぇな﹂ 談の為に来日していて、天使陣営も堕天使陣営も、爺さんの護衛の為だけに精鋭を付け 大体それは他の陣営だって一緒だ。そんな中でも爺さんは自ら日本神話の連中との会 ﹁脅威がある以上、警戒人員は割けない ﹁アザゼル、悪いが今は禍の団の脅威が﹂ 表明する﹂ 今回の事、イッセー達を爺さんの護衛に任ずる事に、堕天使陣営として改めて反対を ﹁さてお前ら、俺が此処へ来た理由が分かっている様だから早速切り出させて貰うぜ。 に少しイラッとしつつも、本題を切り出す事にした。 待つ事数分、サーゼクス達4人がいる応接室に案内された俺は、ファルビウムの発言 ? ? ﹁態々ご苦労様だね。もしかして暇 ﹂ ﹁本 当 に ア ザ ゼ ル 本 人 が 来 る と は 思 わ な か っ た。余 程 今 回 の 件 が 気 に 食 わ な い の か い ﹁あ、あらら 本当に来ていたとはね⋮﹂ ﹁あ、アザゼル⋮ 687 ダメだ、このままじゃ埒が明かねぇな。 早速だが、核心に踏み込むしかねぇな。 が、それなら聞かせて貰うぜ。 ﹂ ﹁まあ、イッセー達以上の実力者は存在しない、と言いてぇなら一応の理由として通る お前ら、イッセーという存在をどう認識しているんだ は少しの間、ポカンという擬音が聞こえて来そうな様子だった。 それは、﹃物凄く頼れる義弟﹄って所かな ﹁﹃完全無欠なスーパードラゴン﹄と言っておくよ﹂ ﹁﹃これからの悪魔社会、全世界を引っ張って行く悪魔﹄と言うべきか ? その後、 ﹂ ﹂ ﹂ 普通に考えると唐突な質問、実際、俺の口から出て来た突然の質問に、サーゼクス達 ? ﹁私は﹃すっごく強くて格好いいヒーローみたいな男の子﹄かな ? あ、俺も1人の堕天使という立場だったらそんな感じの答えを出していたかも知れない ﹁はぁ、お前ら、良くもまあそんなお気楽な認識で悪魔陣営のトップをやっているな。ま まあ、予想はしていたが⋮ が返って来た。 こんな感じの答えが、偏に強くて頼れる存在、という認識を持っている、という答え ? ? ﹁イッセー君という存在 84話_俺、小一時間問い詰めたぜ 688 が。俺の教え子を貶める様で気が咎めるが、グリゴリのトップとして答えるなら、 ﹂ !? ﹂ !? 旧魔王派が起こした大規模襲撃事件、あれ以来、禍の団のテロ活 ? イッセー ? 今や禍の団だけじゃない、全世界の人外勢力から、その実力を評価され、畏怖されてい の存在だよ。あの無茶苦茶にも程がある、オーフィスにすら勝る実力を誇るイッセー、 を申し込んだり、会談に招待しようとしたりしている事。何故だか分かるか 動が殆ど無くなった事、悪魔陣営に、全世界の大半の人外勢力から、同盟や国交の締結 ﹁報告は聞いているぜ という方針を淡々と述べていたお前が言うな、と言わんばかりに罵倒してやった。 サーゼクスが気を悪くした様に反論するが、あの電話会談でその義弟を戦場に送り出す 俺の、グリゴリ総督としての俺の認識を聞いた途端、騒めき出すサーゼクス達、特に ぐう畜 ﹁アザゼル、幾ら君でも私の義弟をその様な﹁うるせぇよシスコンの皮被ったぐう畜﹂ぐ、 ﹁え、えげつない表現だね⋮﹂ ﹁実力を考えると間違ってはいないが⋮﹂ ﹁し、史上最恐ですって ﹃史上最恐にして最も扱いやすい大量破壊兵器﹄、これだな﹂ 689 るんだよ。そして禍の団と言う脅威に怯える人外勢力は、そのイッセーを擁する悪魔陣 営と友好関係を結んでおけば、集団的自衛権によって的な感じで、その脅威から守って くれる、と思っている。そんな人外勢力の動きがある中で、禍の団は下手に藪を突けな い。突いてイッセーが出張って来たら終わりだからな。 そう、イッセーは﹃この世のどんな兵器にも勝る抑止力﹄、もっと言えば﹃史上最恐に して最も扱いやすい大量破壊兵器﹄、お前らがどう思おうが、全世界の人外勢力の認識は こうなっているんだよ﹂ ﹁た、確かに言われてみれば⋮﹂ ﹁そう思うと、敵にならなくて良かったと思うよ⋮﹂ 俺の指摘に、納得したかの様な反応を示すセラとファルビウムだが、まだ話は終わっ ていねぇぜ ? たとしよう。それを聞いた他の人外勢力、特にアースガルズはどう思うだろうな ﹂ ふざけないで ﹂ ! ? ﹁あ、暗殺 !? ﹃悪魔陣営は、兵藤一誠を使ってオーディンの暗殺を企てている﹄そう思うんじゃねぇか ? ﹁で、だ。そんなイッセーを爺さんの護衛に付かせる、とお前らが正式に決定して表明し 84話_俺、小一時間問い詰めたぜ 690 ﹁なっ そんな馬鹿な ﹂ !? ﹂ ﹄と考 ? ? と爺さんの実力差からして、例え爺さんが暗殺を感知したとしてもそれを防ぐ術は無 大量破壊兵器﹄ことイッセーを爺さんの護衛に付かせるなんて公表してみろ。イッセー ﹁それと同じだ。お前らにそんな意図は無いにしても、 ﹃史上最恐にして最も扱いやすい ﹁そ、それは⋮﹂ た戦争を引き起こそうとしている腹積もりだ﹄とな﹂ きこんだりしていたのを、駒王会談の時まで怪しんでいた筈だぜ ﹃堕天使陣営は、ま お前らだって、イッセーの所にオーフィスが来なけりゃ、俺達が神器所有者を次々に引 の勢力全体の総意として﹃こうするつもりだったんだろ﹄と追及して来る事になるのさ。 えちまう輩が出て来ちまうし、そんな輩が構成メンバーの何割かを占めれば、それがそ 意図が無くとも、他の勢力の中から﹃こうしようとするつもりじゃなかったか て言うのは面倒くさくてなぁ、ある勢力のある出来事、それを起こした存在にその様な し、イッセーだってそんな事を仕出かす様な奴じゃないのも分かっている。だが外交っ ﹁落 ち 着 け お 前 ら。俺 だ っ て お 前 ら が そ ん な 事 を す る 奴 等 じ ゃ な い の は 分 か っ て い る いやだから、お前ら個人個人がどう思おうが関係ないんだよ。 ﹁なんでそんな面倒になりそうな事をしないといけないのさ⋮﹂ !? !? ﹁イッセー君に限ってそんな事をする筈が 691 い、いわば爺さんの命はイッセーの、ひいては悪魔陣営の掌の上って事になる。そんな 向こうとしては危険な、悪魔陣営としては都合の良い状況を態々公表したら、 ﹃悪魔陣営 は、兵藤一誠を使ってオーディンの暗殺を企てている﹄、そう思われても仕方がねぇんだ ぞ。例え何事も無かったとしても、向こうの覚えが悪くなるのは必至だ﹂ 俺の長々とした指摘を聞き終え、押し黙るサーゼクス達。 漸く、状況を理解してくれたか。 るからな。 イッセー、お前の夢の為にも、お前を都合よく利用させない様に、俺は俺なりに頑張 そう、念を押す様に忠告し、俺は応接室を後にした。 そのどっちが、悪魔陣営にとって有益になるのか、よーく検討しておくんだな。﹂ の護衛に相応しい連中を見つけるのか、 ﹁改めて言うぜ。これまで通りイッセー達を爺さんの護衛に付かせるのか、他に爺さん 84話_俺、小一時間問い詰めたぜ 692 85話︳俺達、結局参加する事になりました Side アザゼル 現実って言うのは、残酷だ。 ? れた。 ? ゼクスに聞いてみた。 かられても良い結果など生み出せる筈も無いと思い留まり、内心を落ち着かせつつサー 俺の意見に聞く耳持っていないんじゃねぇかコイツら、と一瞬思いもしたが、怒りに ﹁訳を、聞いても良いか まさか、俺が言った事を早速忘れたとかじゃねぇだろうな ﹂ したんだが、悪魔陣営の答えを変える事が出来なかった事で、改めてそれを突きつけら されないようにと奔走し、サーゼクス達4大魔王に、脅迫まがいのメッセージを告げも イッセーが易々と起用されない為に、イッセーが悪魔陣営の上層部共に良い様に利用 いて、改めてそれを思い知った。 サーゼクスやミカエルと、改めて開いた電話会談で、サーゼクスからそんな報告を聞 にはイッセー君の主であるリアスとその眷属を派遣する事で採決された﹄ ﹃我々悪魔陣営はオーディン様の護衛に、これまでの方針通りイッセー君とその眷属、更 693 ﹃勿論忘れていないよ、アザゼル。忘れられる筈も無いよ、私達の目を覚まさせたあの忠 告は。あの忠告があったからこそ私達は、少なくとも私を含めた魔王全員は、イッセー 君という存在の認識を改める事が出来た。一歩間違えれば世界的な大事になる、そんな 存在なんだと、思い知ったよ﹄ 帰 っ て 来 た 答 え は、俺 が し て 来 た 事 が 無 駄 じ ゃ 無 か っ た と 言 え る 物 で は あ っ た が、 だったら何故、イッセー達を派遣するという方針を変えなかったんだ ? 爺さんの護衛にイッセーをつける事、それによる周囲の反応、それらを知った上で、何 故 ? 魔陣営に集中するに違いありません ですが絶対はありえないのです スの実力の持ち主です そうなってしまった 群を抜いた実力者であろう あの方を上回る実力者の中で、オーディン様を討とうと画策す る者も思いつきません ! と、呆気なく討ち滅ぼされる事も現実として起こり得るのです ! ! ! !? ! 確かにオーディン様は、全世界において最高クラ 力の反応はどうなります ﹃何故兵藤一誠を派遣しなかった﹄というバッシングが、悪 ﹃ならばもし兵藤一誠を起用せず、オーディン様の護衛に失敗してしまったら、各人外勢 してくれた事を説明した上で。そしたら、とある上層部の悪魔が、こう進言したんだ。 存在であるかを、イッセー君を起用した場合の、他の人外勢力からの反応を、君が忠告 ﹃その上で、改めて関係者達と協議を進めたんだ。イッセー君が世界においてどの様な 85話_俺達、結局参加する事になりました 694 ﹄ 時、もし打てる手を打たなければ﹃何故そうしなかった﹄と批判されるのは必定 にとってその打てる手というのが、兵藤一誠の抜擢なのです 我々 ! 其処まで議論した上でその結論とあらば、無念だがもう俺には反対出来る術は無い。 いるじゃないか。 成る程な、状況をまともに理解し切れない老害共だと思っていたが、中々キレる奴も とね。他の上層部もその意見に賛同した以上、それを悪魔陣営の総意としたんだ﹄ ! ││││││││││││ る協議は締められた。 そう内心を納得させつつ、俺達3大勢力の、爺さんと日本神話の神々との会談に関す けでも、良しとしないとな。 まあ﹃イッセーで良いか﹄的な軽々しいノリでイッセーを起用する事が避けられただ する﹂ チーム、悪魔陣営はイッセー眷属とリアス眷属、この編成で爺さんの護衛に当たる事に ﹁ああ、天使陣営はX│LAWS、堕天使陣営は最高幹部アルマロスを中心とした特命 ﹃そうか、アザゼル。それなら、﹄ いな﹂ ﹁はぁ、分かったよ。其処まで考えた上での結論とあらば、もう俺には反対する理由が無 695 ﹁まあそう言う訳で、この前言った事を反故にする形にはなっちまったが、お前らも爺さ んの護衛に参加して貰う事が決まった。悪いな、色々と忙しいこの時期に﹂ そう言って、申し訳なさそうに頭を下げたアザゼルさん。 俺達は既に覚悟していた事もあって、やっと来たかという思いだったけど、あの時の 説得等、俺達の事を親身になって想ってくれているアザゼルさんにとっては、罪悪感が 残る物だったんだろう。 今後の方針を聞いておかないと。 まあ、色々一悶着はあったけど、これで俺達もオーディンさんの護衛となった訳だし、 ﹁本当に済まねぇな。そしてヴァーリは少しも自重しねぇな、全く﹂ いわ﹂ ﹁そうよ、アザゼル。ヴァーリは少し戦闘狂振りが過ぎるけど、貴方が気に病む事じゃ無 そいつと戦ってみたかったから丁度良い﹂ ﹁それに、北欧の主神たるオーディンを狙う輩となれば、相当な腕利きになる筈。俺自身 は我慢出来なかったんで、むしろ良かったです﹂ 堕天使の皆がそいつらとドンパチをするかも知れないって時に、指を加えて見ているの ディンさんを狙っている輩がいるかも知れなくて、オーディンさんとX│LAWS達、 ﹁アザゼルさん、顔を上げて下さい。覚悟していた事ですから。それに、この街でオー 85話_俺達、結局参加する事になりました 696 は頼みたい。そのポジションだが⋮﹂ 会談の前には、爺さんが各所を視察する事になっているから、その間の護衛をお前達に 欧の神々と日本の神々の仲介をし、俺が会談に同席する運びとなっている。その正式な だ。これは俺達3大勢力も大いに関わっている。ミカエルとサーゼクスが、爺さん達北 ルを発表するぞ。この前も言った通り、爺さんが来日した目的は、日本の神々との会談 ﹁それじゃあ爺さんの護衛につくメンバーも正式に決まった事だし、今後のスケジュー 697 86話︳悪神、来襲しました 俺達がオーディンさんの護衛となってから数日間、俺達はオーディンさんの視察に同 行していた。 その視察の際、移動手段として使用していたのが八本脚で有名な軍馬﹃スレイプニル﹄ が引く巨大馬車だったのと、それがサンタさんのソリの如く空中を浮かんでいるのは びっくりしたが。 で、そのスレイプニルにオーディンさんとアザゼルさん、ロスヴァイセさんとバラキ エルさん、俺達とリアス達悪魔側の派遣メンバーが乗り、X│LAWSとイリナ、そし て堕天使護衛チームが周囲を浮遊して警戒している、というポジショニングで各地を視 察していたんだが⋮ ある時は寿司屋、ある時は遊園地、ある時はキャバクラ、ある時は﹃一見さんお断り﹄ な筈の店⋮ これ、視察だよな 寿司屋なら堕天使側の要職であるアザゼルさんと会食という事で 納得出来るが⋮ ? ﹁日本の大和撫子はいいのぉ。ゲイシャガール最高じゃ。ほっほっほ﹂ 86話_悪神、来襲しました 698 699 ああ、これはあれだな、もしかしなくてもオーディンさんの趣味に付き合わされてい る感じだな。 周りの皆もそんなオーディンさんの趣味丸出しな視察と言う名の旅に振り回され、大 半は疲労でぐったりしているし。 まだまだ余力は残っていますという感じの面子も、例えばロスヴァイセさんはそんな オーディンさんの様子に怒り心頭で大輔︵アプローチのつもりで聞き役に回っていた︶ 相手に愚痴をこぼしているし、バラキエルさんと朱乃さんは相変わらず何処か落ち着か ない様子だし、アザゼルさんも色々な状況に対して﹁しょうがねぇなぁ﹂と諦めムード だし⋮ まあ、そんな中でも他陣営の面々と色んな話が出来たのは良かったな。 例えばX│LAWSのメンバー達。 リーダーであるラキストを中心に、様々な銃器・兵器に関する知識に通じている彼ら から、そっち方面に関する結構ディープな話を聞いた。 俺も高校2年生、FPS等の銃器とかが登場するゲームも良くやるので、そのゲーム に登場する銃器の開発経緯や現実での採用実績等の話は面白かった。 他にも車好きなクリス︵X│LAWSが俺達のマンションに立ち寄った際に停めてい たハマーは、全てクリスの私物らしい︶からは、車の各種構成パーツに関する豆知識や、 86話_悪神、来襲しました 700 各メーカーの販売車種の特徴等といった本格的な話を聞いた。 普段は寡黙なクリスが、車や銃器に関する話題となると途端に饒舌になるのはすこし びっくりしたが、今後俺が車を所有する時が来たら、今回のクリスの話を参考にしよう と思った。 流石にクリスが所有している様なデカい車は遠慮したいが。 一方で、メイデンから様々な拷問器具の話が出て来た時にはドン引きした。 幾ら悪魔祓いの仕事でサブウェポンとして使っているからって︵それもどうかとは思 うが︶、俺より4つも下︵どうやらまだ12歳、日本の中学1年生と同じ年代だった。と いっても飛び級の関係で今の学年は俺と同じくらいらしい︶の女の子がそんな話をする のは、誰が相手でも引くぞ。 人は見かけによらない、今回ほどそれを思い知った事は無い。 まあそれは頭の片隅に置いておくとして、堕天使陣営から参加している堕天使の皆か らも、普段のアザゼルさん達はどんな存在なのか、グリゴリの組織内の雰囲気はどんな 感じなのかを、聞く事が出来た。 ︶ 当初はれーちゃん達が酷いバッシングを浴びていた事もあって良い印象を持ってい なかったけど、アザゼルさんの人柄︵人じゃないから堕天使柄って言った方が良いか もあってそれも薄れていて、こうして最高幹部ではない、グリゴリに籍を置いていた頃 ? のれーちゃん達の様な一介の堕天使達ともこうして普通に接する事が出来た。 まあ、アザゼルさん達が選抜したメンバーが、そういった事を気にしない面子ばかり かも知れないが。 そんなんじゃから彼氏の1人も出来んのじゃよ﹂ ? ﹂ ! ! 美人だから、CMで映えそうな気がする。 ? れを思い知った。 人︵いや、神か︶は見かけによらない、メイデンの時とは別次元な意味で、改めてそ 振りだが、その実世界トップクラスの実力の持ち主なのだから、世の中わからない。 しかしそのオーディンさんも、普段は義兄さん達4大魔王をも上回る位のはっちゃけ かな 絶えないのだろう、ヴァルキリーにも対応しているならス○ッフ○ービスに紹介しよう さん、何時もオーディンさんのそういった面に振り回されてロスヴァイセさんは苦労が と、なんだかもう見慣れた感じのやり取りをしているオーディンさんとロスヴァイセ んですからぁ ﹁か、彼氏がいないのは関係ないでしょぉ す、好きで独り身をやっているわけじゃない どうじゃ ﹁全く、お前は遊び心の分からない女じゃな、ロスヴァイセ。もう少しリラックスしたら 下さい。このままでは、帰国した時に他の方々から怒られますよ﹂ ﹁オーディン様、もうすぐ日本の神々との会談なのですから、旅行気分はそろそろお収め 701 と思って︵ガクン ﹂ ︶いると、 まさかテロ ﹂ だが、こういう時大抵ろくでも無い事が起こるもんだ ﹁何事ですか ! ﹁アザゼルさんそれフラグ ﹁分からん !? 我こそは北欧の悪神、ロキだ ﹂ ! な まさか、そんな存在が狙って来るとはな。 北欧の地を色々と引っ掻き回した、最大のトリックスター。 !? ﹂ ロキって、まさか北欧神話でもオーディンさん等と並んでメジャーな、あの悪神だよ ! 打ちしたのを見ると、相手はアースガルズの関係者、それも神格の存在かもしれない。 その姿をロスヴァイセさんが見ると心底驚いた様な顔をし、アザゼルさんが見ると舌 に着ている様なローブを着用した1人の男がいた。 そしてその先には、水色の長髪で目付きの悪いイケメン、オーディンさんが有事の際 使チームの面々も何時でも飛びかかれるよう身構えていた。 其処にはX│LAWSのメンバーが各々の銃器・兵器を取り出して構え、イリナや堕天 のにおい満開なアザゼルさんの言葉に突っ込みをいれつつ、窓から外の様子を見ると、 突如として馬車が急停止、その事態に驚きの声を上げるロスヴァイセさんと、フラグ ! !? ! ! ﹁初めまして、諸君 86話_悪神、来襲しました 702 ﹁これはこれはロキ殿、こんな所で奇遇ですな。何か御用ですかな ﹂ この馬車には北欧 の主神オーディン殿が乗られている。それを周知の上での行動だろうか が、それを聞いたロキは、 る。 普段なら絶対使わない様な敬語で応対する辺り、冷静に振舞おうとする意識が伺え て、落ち着いた対応をしていた。 突如として現れたロキに驚愕する周囲だったが、そんな中でもアザゼルさんは前に出 ? ? と会いたくは無かったのだが、致し方あるまい。オーディン共々我が粛清を受けるがい ﹁誰が髪型一角獣な応援役か。と、そんな話は良い。本来、貴殿ら堕天使や悪魔、天使達 口調が普段の物になっていたり、これ以上にない位のメタ発言で挑発していたり。 ていた。 その悪びれもしないその物言いに、アザゼルさんの対応もかなりキレ気味な物になっ の声で﹂ ﹁堂々と言ってくれるじゃねぇか、ロキ。某カードゲームアニメの初代空気みたいなそ 悪意を全く隠す事無く、宣言した。 して行くのが耐えがたい苦痛でね。我慢できずに邪魔をしに来たのだ﹂ ﹁いやなに、我らが主神殿が、我らが神話体系を抜けて出て、我ら以外の神話体系に接触 703 い﹂ ﹁お前が他の神話体系に接触するのは良いってのか グ ナ ロ ク と呼ばれていないし、今更だが。 矛盾しているな﹂ そんな押し問答で得られる物は無いと思ったのか、 ? れに対してロキの答えは、 まともな返答は期待していない、といった感じの口振りをしたアザゼルさんだが、そ 指を突きつけつつアザゼルさんは問いかけた。 って、それを律儀に答える 押し問答が始まるが、ロキの奴、ろくな事考えないな、まあろくな事考えていたら悪神 アザゼルさんの挑発にも軽くツッコミを入れるだけで流したロキと、アザゼルさんの 件で得たい物とは何なのだ﹂ らが迎えるべき神々の黄昏が成就出来ないでは無いか。ユグドラシルの情報と交換条 ラ ﹁どちらにせよ主神オーディン自らが極東の神々と和議をするのが問題だ。これでは我 ﹁それを俺に言われても困るんだが。その辺はミカエルか、聖書の神にでも言ってくれ﹂ 域に土足で踏み込み、其処で聖書を広げたのはそちらの神話なのだから﹂ ﹁他の神話体系を滅ぼすなら良いのだ。和平をするのが納得出来ないのだよ。我々の領 ? お前のこの行動は禍の団と繋がっているのか ! 悪神様でもないか﹂ ﹁1つ聞く 86話_悪神、来襲しました 704 ﹁愚者たるテロリストと我が想いを一緒にされるとは不愉快極まりない事だ。己の意志 で此処に参上している﹂ 如何にも面白く無さそうな感じで、律儀に答えていた。 ロキがどう思っていようと、禍の団の連中がどう思っていようと、思い描く結果は大 して変わらないじゃねぇか、というツッコミは野暮か ? ! セさんを引き連れて馬車から出て来たオーディンさんが、そう返していた。 ﹂ 主神に牙を剥くなど許される事ではありません べき公正な場で異を唱えるべきです ﹁ロキ様、これは越権行為です ! も、そのベストが通じない時だってある。 まあ本来ならロスヴァイセさんが言った様な対応がベストなんだが、どんな社会で スーツ姿から、ヴァルキリーならではと言うべき鎧姿に変わりつつ、物申していた。 オーディンさんに連れられて外へ出たロスヴァイセさんが、さっきまで着用していた ! 然る ロキの返答を受けてアザゼルさんがオーディンさんに問いかけると、丁度ロスヴァイ で登場するのでな﹂ ﹁ふむ、どうにも頭の固い者がまだいるのが現状じゃ。こういう風に自ら出向くアホま が北欧が抱える問題点って奴か﹂ ﹁禍の団じゃねぇ、と来たか。だがこれはこれで、厄介な問題だ。成る程な爺さん、これ 705 俺も冥界で合宿していた時、黒歌を救い出す為に、悪魔陣営の上層部に報告せずに、堕 天使陣営のトップであるアザゼルさんにリークしたからな。 ロキもそんな腹積もりなのか、ロスヴァイセさんの言葉に聞く耳を持たず、 ﹂ ﹁一介のヴァルキリー如きが我が邪魔をしないでくれたまえ、我はオーディンに聞いて いるのだ。オーディンよ、まだこの様な北欧神話を超えた行いを続けるお積りか オーディンさんに迫った。 えた。 オーディンさんは、そんなロキの鬼気迫るといった様子にも動じる事無く、平然と答 異文化交流をしようと思っただけじゃよ﹂ らのユグドラシルに興味を持っていた様でな。和議を果たしたら互いに大使を招いて、 ケーションをとる方が万倍も楽しいわい。日本の神道を知りたかったし、あちらもこち ﹁そうじゃよ、少なくともお主よりサーゼクスやアザゼル、それに龍魔神王殿とコミュニ ? というか、其処で俺が出て来るの まあオーディンさんに其処まで思われているのは 悪い気はしないが。 ? 此処で黄昏を行おうではないか﹂ なんと愚かな事か。 ﹁認識した。たかが一介の悪魔に恐れをなすとは、あのオーディンも落ちぶれた物だ。 86話_悪神、来襲しました 706 ﹂ そんなオーディンさんの返答に、侮蔑の感情を隠そうともしない苦笑いを浮かべなが ら、敵意全開で宣戦布告の様な宣言をして来るロキ。 ︶ ! ﹁それは宣戦布告と受け取って良いんだな﹂ ︶やぁぁ︵ザシュゥ ! ﹁如何にも﹂ ︶とぅ︵シュッ ! アザゼルさんの最後通告にも動じる事無く不敵な笑みを浮かべて返すロキ。 ︶はっ︵ビュオッ ﹂ ! その瞬間が、スタートだった。 小癪な ﹁せいっ︵ヒュン ﹁ぐっ ! 斬られた袈裟から血が出ている様子は全く無い。 だ﹂ ﹁今のは聖剣か。何とも小癪な輩だが、神を相手にするにはまだまだ。この程度、皮一枚 サー、実際外にいるロキも、 戻って来るなり大した結果を残せなかったと言わんばかりに苦笑いを浮かべるアー ﹁不意打ちに一太刀浴びせようと思ったのですが、少し浅かったですね﹂ 斬りかかり、一太刀浴びせたかと思ったら、すぐに馬車に戻って来た。 アーサーが、コールブランドの能力を最大限に活かしたフェイントを交えながらロキに その直後に、何処からともなく出現した︵まあコールブランドを使ったんだろうが︶ !? ! 707 ﹂ だが︵ヒュンヒュンヒュン ちぃ !? ! ︶︵バァンバァンバァン ! が、ロキへと襲い掛かった⋮ ! ︶、合図としては充分だった。 ! 三方向から聞こえて来た風切り音とそれに少し遅れて聞こえて来た銃声、その音の主 ﹁なっ 86話_悪神、来襲しました 708 ︶しました ? 99mmNATO弾を用いた超長距離狙撃だ。 × 撃銃としても凄まじいポテンシャルを誇る︵ただ三脚無しでも38kgある重量︵これ べき高価なミサイルを、M2の設置場所に態々ぶっ放して陥落させる羽目になる等、狙 超長距離狙撃で戦況を優位に進め、これに苦慮したイギリス軍が、本来戦車相手に使う 年のフォークランド紛争においてはアルゼンチン軍がイギリス軍相手にM2を用いた 狙撃用スコープを装着たM2を用いて約2300mの超長距離狙撃に成功し、1982 着目したアメリカ軍スナイパー、カルロス・ハスコックがベトナム戦争中の1967年、 更には戦車にこそ通じなくはなっているが軽装車等を貫通できる威力、それらの要素に 長さ、弾丸その物の重量からくる風等の外的要因への抵抗力︵つまりは長距離弾道性︶、 国の軍隊で幅広く採用される程の実力を誇るが、大口径の銃弾を用いた事による射程の 世界大戦前に開発され、その用途においても今尚日本の自衛隊やアメリカ軍等の様々な 3人がメインウェポンとしているFNブローニングM2、元々は機関銃として第二次 れも12.7 れらは全てX│LAWSのスナイパーであるナナ、ラーキ、ポーフの3人による狙撃、そ 突如として鳴り響いた3つの風切り音と、それに少し遅れて聞こえた3つの銃声、そ 87話︳俺、覚醒︵ 709 は射撃の反動が少なくなるという利点にもなるが︶等もあって、現在は同じ様な大口径 弾を用いた所謂対物ライフルが開発され、こうした役目を担っているが︶。 そんな威力を誇るM2の超長距離狙撃︵それもラキスト曰く﹃自分達の任務用に改良 を施した﹄物︶、喰らえばいくらロキであろうとダメージは少なくない筈、実際、魔力的 ﹄ ﹂ な障壁を張って銃弾を防いでいるロキだが、その顔には苦み走った様子で、反撃に移れ ないでいる。 ︶ オーディン様に牙剥く悪神を誅せよ ! そして、その隙を逃すX│LAWSでは無い。 ﹁全軍砲撃 ﹃了解︵バシュゥ ! ! る爆弾の数々、それには、 ︵ドガガガガガガガガガガァン ︶﹂ 無茶苦茶な威力を誇る銃弾の前に防戦一方な所に、自らへ向けて雨あられと降って来 チャー﹃GL1﹄が、一斉にロキへと放たれた。 ト達残りのメンバーが構えている自動小銃﹃F2000﹄に装着されたグレネードラン ゼルグが投げつけた手りゅう弾が、ケビンの義手に仕込まれていたミサイルが、ラキス 9﹄が、ジョンが構えているリボルバー型グレネードランチャー﹃ダネルMGL﹄が、リ ラキストの指示と共に、クリスが構えている対戦車ロケットランチャー﹃RPG│2 ! ! ﹁うぉぉぉぉぉ ! 87話_俺、覚醒(?)しました 710 流石のロキも、必死こいて障壁の強度を上げているのが、声からも伺える。 ﹂ 此処まではこちらの、というかX│LAWSによる圧倒的攻勢、実際、 ﹁や、やったの⋮ 天使は、人間の武器を持った奴が十人余り。堕天使も有象無象の輩共と、最高幹部が ﹁それにしても、だ⋮ とは言えこれが致命傷とは言えない、精々、行動に少なめな影響がある程度だろう。 負っていた。 のだろう、着ていたローブは全体的にズタボロと化し、身体の所々に大小様々な裂傷も 尤も全くの無傷という訳でも無く、グレネードが爆発した事による鉄片が切り裂いた 爆風が晴れるとやはり其処には、ロキが健在していた。 ダでは済まなかっただろう﹂ ﹁たかが天使共の攻撃と侮っていたが、まさかこれ程とはな。一歩間違えれば我とてタ し、警戒する。 けた気を再び引き締め、余りの攻勢に馬車から出るのを忘れていた俺達も外に飛び出 メイデンの警戒する様な声を前に、外にいた堕天使チームの大半とイリナは、緩みか ﹁いえ、まだまだの様です。皆さん、構えを解かぬよう、お願いします﹂ と、外で身構えていたイリナがポツリと呟いていた、が、 ? 711 3人。悪魔は、確かその赤い髪は現魔王の血筋、グレモリー家だったな、そいつを含め て沢山。二天龍も並び立ち、そして件の龍魔神王とやらもいる。オーディン、唯の護衛 にしては余りにも厳重だ﹂ ﹁お主の様な大馬鹿者が来たんじゃ、結果的に正解だったわい﹂ 決して少なくないダメージを負っているというのに、オーディンさんに馬鹿にされて いるというのに、ロキは未だ、その不敵な笑みを崩していない。 まだ、何かあるというのか ﹂ 高らかに叫んだロキ、それに応じて空中に生じる歪み、ま、まだ来るのか ﹁宜しい、ならば少し本気を出そう。出でよ、我が愛しき息子よ ﹄ というか、息子って言っていたよな、ロキの息子と言えば、まさか !? ﹂ ! 皆、下がれ ! ﹁神を喰う狼﹃フェンリル﹄か ああ、ありゃあ危険だ ﹄ ﹂ ロキの息子で、狼で、ドライグ達すらも上回りそうな威圧感、となればアイツか !? ! ? 咆哮と共に登場したのは、体長10mは越していそうな巨大な灰色の狼。 ! ! ﹁良く知っているな、イッセー⋮ ﹃はっ ! ! ﹃グォォォォォォン 87話_俺、覚醒(?)しました 712 俺の発言と、アザゼルさんの緊張に満ちた指示と共に、前線にいた面子は下がって行 く。 アザゼルさんが此処までの緊張を浮かべるのも分かる、あれは、フェンリルは世界 トップクラスの実力を有していると言っても差支えない程の存在、まともに相手したら ひとたまりも無い。 いざとなったら、使うしかないか⋮ ! その先にいたのは、リアス ! やれ﹂ ﹃グォォォォォォォォォン ﹄ ﹁魔王の血筋。それを舐めるのもフェンリルの糧となるだろう。 !? そうフェンリルの事を紹介しつつ、ロキの指先がすーっと動かされる。 ない﹂ くは無いが、まあこの子に北欧の者以外の血を覚えさせるのも良い経験となるかも知れ と余裕で致命傷を与えられる。本来なら、北欧の者以外に我がフェンリルの牙を使いた 無いが、他の神話体系の神仏にも有効だろう。上級悪魔だろうと伝説のドラゴンだろう クラスの部類だ。何せコイツの牙は、どの神でも殺せる程の代物なのでね。試した事は ﹁良く知っているな、龍魔神王とやら。そう、コイツは我が開発した魔物の中でもトップ 713 ︶ギャウン ﹄ やらせるかぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹃︵ゴシャァ 一体何があったと言うのだ ! ﹃︵ザシュゥ ﹁フェンリル ︶ギャイン ﹂ ﹂ ︵ゴスゥ 一体誰の仕業だ、これは ︵ドズゥ フェンリル ︶ガゥ !? ︶ギィ ! ﹄ !? だがオーディン この国の神々との会談の日、またお ! その時こそ我と我が子フェンリルが、その喉笛を噛み切って見せよ ﹁くっ今日は一旦引き下がろう ﹂ 邪魔させて貰おう う ! らって、身動きがとれなくなり、その様子にロキも狼狽した様子を浮かべていた。 リアスへと襲い掛かろうとしたフェンリル、だが突如として謎の攻撃を立て続けに喰 ! ! お前らにリアスを、俺の大切な人を良い様にされてたまるかぁぁ ﹁なっフェンリル !? !? !? !? ! !? ! !? ! ! ? よし、戻しても大丈夫か。 ! リアスの言葉と共に、周りの誰もが俺の左手に﹃何時の間にか﹄装備されている剣へ ﹁え、ええ、大丈夫よ、イッセー。ところで、その剣は⋮﹂ ︶、大丈夫か ﹂ 時に其処に入っていき、そして捨て台詞と共に消えていった。 流石に分が悪いと判断したのか、フェンリルを引き上げさせ、背後の空間が歪むと同 ! ﹁リアス︵パシッ 87話_俺、覚醒(?)しました 714 と目を向けた。 一見すると先端部がフランベルジュの如く横に突き出て、宝石がはめ込まれた片手 剣、しかし柄の先端部に龍の頭を模したレリーフがはめ込まれ、その口から出ているか のように、柄をガードするかの様に、斧状の真紅の刃が形作られている。 それは、 で、でもアスカロンはそんな形状していなかった筈⋮﹂ !? キャリバクス 俺はそう思っている。差し詰め、﹃アスカロン・ C X﹄と言うべきか﹂ させたんじゃないか⋮ 殺しの聖剣たるアスカロンが、俺のドラゴンとしての力に共鳴して、その姿と力を変質 を境に、姿を変えたんだ。これは推測なんだが、俺が﹃征龍﹄を具現化させた事で、龍 ﹁勿論、ちょっと前まではこんな形していなかったんだが、ある時、そう、あの襲撃の時 ﹁あ、アスカロン ﹁これか。これはアスカロンだ﹂ 715 88話︳俺達、作戦会議を開きました、ら⋮ 一先ずロキ達を撃退した俺達、だが再度の襲撃が考えられる為、改めて作戦会議を行 うべく、俺の家の居間に護衛メンバー全員が集結していた。 ﹁それにしてもまあアスカロンをどっかの特撮ヒーロー、その最終形態が使う武器みた いな姿に進化させるとはなぁ。おまけにそのスペックも無茶苦茶と来た。相変わらず 凄いぜ、イッセー﹂ 考えるなら、俺1人だけでも十分いける。 まあそれは後で考えるとして、ヴァーリが言った通り、ロキ達を﹃倒す﹄事﹃だけ﹄を れに答えるとヴァーリがなんか遠い目をしていた。 開口一番、アザゼルさんがアスカロン・CXに興味津々といった様子を見せ、俺がそ ける事すら不可能だな。主の背中が、益々遠くなった気がする⋮﹂ アスカロン・CXを操っただけで圧倒して見せた。ロキ達が束になろうと、主に傷をつ 言われた魔獣。征龍やタスクACT4を使わずして敵う相手では無い筈。それなのに ﹁本当に凄まじいな、主イッセー。フェンリルと言えば全盛期の二天龍にも匹敵すると ﹁俺も驚いています。征龍の力、まだまだ俺にすら全容が把握出来ません﹂ 88話_俺達、作戦会議を開きました、ら… 716 フェンリル相手にもアスカロン・CXが有力なのは分かったし、いざとなれば禁手か らタスクACT4を使えば良い。 あれから大分トレーニングを積んで、禁手を維持したまま一週間は継戦できる様に なったからな。 だが今回の目的は、あくまでロキ達の襲撃からオーディンさんを﹃護る﹄事。 俺1人だけをターゲットにロキ達が大軍勢で攻め込んでも勝つ自信はあるけど、その 大軍勢を俺が相手をしている間に、別働隊がオーディンさんを狙って来たとしたら、そ れを阻止する自信は無い。 な能力を使える訳が無い。 が起こり得るという事、オーディンさんを護らなければならない状況下でそんな不安定 プラスに言えばまだまだ成長の余地があるという事だが、マイナスに言えば暴走とか そして征龍は、正直今言った様に俺にも未知な事だらけだ。 ないんだ。 オーフィスにも届くと言われているが、こういった状況下でそれが発揮出来るとは限ら 俺 の 今 挙 げ た 能 力 で 言 っ て も、タ ス ク A C T 4 は 効 果 が 及 ぶ 範 囲 が 限 ら れ て い る、 ても、必ずどこかに穴は有るんだ。 ﹃強力﹄な能力はあっても、 ﹃万能無敵﹄な能力は存在しない、どんな強力な能力であっ 717 イッセー これらの事を鑑みると、やはり俺以外のメンバーにも大いに動いてもらう必要があ る。 アザゼルさんが話を切り出すと、周囲は皆真剣な顔でそれを聞く。 有効と考えて良いだろう﹂ は言うに及ばず、X│LAWSの銃撃もロキに少なからずダメージが入っていた事から ﹁さて、向こうの戦力を考えると、まあこっちの戦力を考えれば問題は無いか ? の報告によると、効かなくなったらしい。其処をどうするかだが﹂ ﹁そのフェンリル対策として、良く知られているのはグレイプニルだな。ただ、北欧から 笑えないなそれ、量産型フェンリルとか。 ている事だ。同じ様な存在をロキが量産していても不思議じゃ無い﹂ も分からんぞ。フェンリルにはスコルとハティという息子がいた事は、神話でも知られ ﹁フェンリルに匹敵する強敵はいないにしても、それに準ずる戦力だって揃えているか やる、と言いたげな様子だったし。 そこだよなぁ、もう何が何でもオーディンさんを討つと言いたげな、会談を邪魔して 力を投入するに違いない﹂ 逸脱して行動している以上、背水の陣を敷いて来る筈、会談の日は、なりふり構わず戦 ﹁ただ問題は、それ程の戦力をある程度ながら見せ付けられたロキ側の対応だ。本筋を 88話_俺達、作戦会議を開きました、ら… 718 ﹁心配及びません、アザゼル総督﹂ フェンリル対策を練ろうとしていたアザゼルさんだったが、突如として﹃私に良い案 ﹂ がある﹄と言いたげな声がし、それに振り向くと、メイデンが立ち上がって手を上げて いた。 ﹁X│LAWSのメイデンか。何かいい案でもあるのか 引きちぎろうとすれば多大 ? も凍ると言っても過言じゃ無いその言葉の数々に、会って間もない俺達はおろか、同僚 護衛メンバーの中で最も年若い筈のメイデン、そんなメイデンから発せられる、背筋 う、うわぁ⋮ 苦痛で気が折れる筈です。試してみる価値はあると思います﹂ な苦痛を受け、仮に引きちぎったとしても立て続けに拘束してしまえば向こうも余りの 込んだ物、例えば鉄 の 処 女の様な物であればどうでしょう アイアン・メイデン 付けるのは厳しいでしょう。ですが其処に殺傷したり苦痛を与えたりする機構を組み ﹁北欧の報告を鑑みれば、私が所有しているグレイプニル製の器具でもその行動を縛り 束・拷問器具をサブウェポンとして使用していたんだっけ。 ああ、確かメイデンって、メインウェポンであるF2000の他に、色んな種類の拘 て貰った、グレイプニル製の物があります﹂ ﹁ええ。私のサブウェポンである様々な拘束・拷問器具の中に、北欧の民に依頼して作っ ? 719 である筈のX│LAWSメンバーですら引いていた︵ラキストに至っては﹁何処で教育 目を輝かせないで 同類を見つけた的な顔をしないで ! を間違えたんだ⋮﹂と天を仰いでいたし︶。 って、朱乃さん ! 多数となればお前1人では荷が重いだろう﹂ くれ。さっきも言ったがフェンリルに準ずる強さを持った奴等もいるか分からん、仮に デン、何人かにそのグレイプニル製の器具を分けてやって、その使い方を教えてやって ﹁ま、まあ、そうだな、其処まで言うなら試してみる価値はありそうだ。それじゃあメイ !? ? 策会議を締めくくろうとした、その時だった。 ﹁イッセーにアザゼル先生、ちょっと宜しいですか ﹂ メイデンショックから未だ立ち直っていないアザゼルさんだったけど、何とかして対 ざとなればイッセーもいるしな﹂ そのロキもハイパワーな攻撃を叩きこみ続ければ勝てるのはさっきも実証済みだ。い ﹁さ、さて、フェンリルへの対策も一応のメドは立った、奴を拘束すれば後はロキだけ。 子供って怖い⋮ 様子で答えるメイデン。 そんなメイデンの様子に引きながらも指示を出していくアザゼルさんに、平然とした ﹁了解しました、アザゼル総督﹂ 88話_俺達、作戦会議を開きました、ら… 720 ﹁母さん ﹂ ? ﹂ 一体どうしたんだ 何か ? ﹄と言って聞かないんですが⋮﹂ ! 一体どうして ﹂ 話を聞いてみます﹂ ああ、支取生徒会長の﹃兵士﹄で、イッセーとはバンド仲間でしたね。確かヴリト ﹁元が ラの神器を宿していた﹂ ? ? ﹁ともかく中へ入れて頂けますか ? ﹁アザゼル先生、いや、グリゴリのトップである、アザゼル総督。 と思ったら、 その思い詰めた様子がひしひしと伝わっていた。 アザゼルさんが了解の意を伝えると共に、母さんの案内で入って来た元の今の顔も、 い詰めた様な表情をしている所を良く見かけたな。 それにしても元か、そういえば夏休み中のレーティング・ゲームで惨敗して以来、思 母さんが突如、作戦会議をしていた俺達に来客を伝えて来た。 ﹁分かりました。匙君、中へ入って良いそうよ。話を聞いてくれるって﹂ ? ﹁匙 ﹃なら尚更入れて下さい ﹁匙君が先生達にお願いしたい事があると訪ねて来たんです。打ち合わせ中と言っても ? ? ﹁イッセーの母さん 721 88話_俺達、作戦会議を開きました、ら… 722 お願いします ﹂ ! 俺を、オーディン様の護衛に加えさせて下さい と、土下座して頼んで来た。 ! ていないが、ともかく俺はソーナ会長に、ソーナ会長の説教で気付いた、これまで大い そんな気持ちがソーナ会長への恋心へと変わったのは、正直何時頃だったのかは覚え なる存在になっていた。 必死こいて弁解に当たっていたそうで、そんなソーナ会長が、何時しか俺にとって気に それだけじゃない、学内でも相当なワルとして知られ出して来た俺を、ソーナ会長は そんな俺にも諦める事無く、ソーナ会長は俺を気に掛けてくれた。 最初は面倒くさい女だと思った事もあって突っぱねる様な対応をして来た俺だけど、 くも親身な対応をして来た。 が、そんな俺を、当時副会長をしていたソーナ会長は、事ある毎に探し出しては、厳し ても授業はサボる事が多かったり、校外の連中に喧嘩を吹っ掛けたりしていた俺だった 駒王学園への入学当初、学校へはGRIDの練習などでしか来る事が無く、来たとし のは、もう半年前になるか。 ソーナ会長が悪魔だと知って、その﹃兵士﹄となり、会長の夢を聞いて深く感動した Side 元士郎 89話︳俺達、スタンバイしました 723 89話_俺達、スタンバイしました 724 に迷惑を掛けて来た存在︵例えばお袋とか︶にこれ以上迷惑を掛ける訳には行かない、そ う思い立ち、これまでの行いを正し、真面目に授業を受ける事にした。 そんな努力が認められたかどうかは分からないが、1年の頃の2学期終盤に行われた 生徒会役員の選出の折、ソーナ会長からの推薦を受けて、生徒会書記になり、其処でソー ナ会長達が悪魔だと言う事を知り、その夢を聞いて感動し、その眷属となった。 ソーナ会長の夢、下級悪魔達をも通える様にしたレーティング・ゲームの学校を創設 させると言う、夢。 これまで悪魔社会において差別されて来た存在、スポットライトが殆ど当たらなかっ た存在に注目し、その埋もれた才能を開花させようと言う、夢。 そんな会長の素晴らしい夢はしかし、今の悪魔社会、それも上級悪魔の中においては 異端と言うしかない物で、事実、若手悪魔の会合の場で会長が打ち明けた途端、上層部 からの嘲笑の嵐だった。 そんな上層部に我慢ならず、噛みつくも碌に相手にされない︵まあ、その後のイッセー の一喝に皆して怯えた様を見て、一応溜飲は下ったが︶。 ソーナ会長も言っていたが﹃バックボーンの無い理念等、下地の無い夢など、絵空事 と思われても仕方ない﹄という事なのかもしれない、特にソーナ会長の夢は、何度も言 う様だが今の悪魔社会では異端、それを成し遂げられる程の実力があるという事を見せ 725 付けなければ、叶えるのはままならない。 ならば俺達の実力を見せ付けてやろう、悪魔社会における実力行使の場﹃レーティン グ・ゲーム﹄で勝って実力を見せ付けてやろう、その思いで俺達は、夏休みの終盤に行 われる事となったリアス先輩達とのレーティング・ゲームに向けて、堕天使陣営の副総 督であるシェムハザさんの下で厳しい特訓を重ねて来た。 リアス先輩、及びその眷属達の特徴も、過去に行われたライザー氏の眷属とのレー ティング・ゲームの映像などで把握して来た。 その対策等を織り込み、綿密な作戦も立てて来た。 前評判こそリアス先輩達には届かないと言われていたが、作戦通りに行けば、イッ セーやアーシアさんが抜けた今のリアス先輩達に勝てる、そう思っていたし、実際に出 だしは順調だった。 が、現実は残酷だった。 リアス先輩達にとって重要な偵察役と言って良いギャスパーを、吸血鬼の弱点として ポピュラーなニンニクを用いてリタイアさせ、其処で動揺しているであろうリアス先輩 アブソーブション・ライン の眷属に、俺と仁村が奇襲を仕掛けようとしたその時だった。 突然、俺の神器﹃黒 い 龍 脈﹄で出来たワイヤーがぶつりと切れてしまい転落、奇襲 に失敗してしまう。 89話_俺達、スタンバイしました 726 そして其処から先は、木場が造ったであろう聖魔剣で武装したフリードや大輔、式波 先生に、神器が使用できないままフルボッコにされ、何も出来ずにリタイアとなった。 そしてその後は聞いた話なのだが、作戦の一環で、屋上に待機していたソーナ会長も、 リアス先輩の砲撃に飲み込まれてあっさりと敗れ去ってしまった。 俺達が全滅したのに対し、リアス先輩達でリタイアしたのは、最初に脱落したギャス パーだけ。 これ以上に無い、これ程のそれは無いと言って良い位の、惨敗だった。 陸上の短距離走で言えば、最高のスタートダッシュをした途端に、躓いて競技続行不 可になるという、体たらく。 いや、後で聞いてみれば、その最高のスタートダッシュすらも、相手の作戦、こっち が大いに警戒しているであろうギャスパーを囮にして、良太がスタッフルームへ行くの を悟らせず、到着したのを見計らって良太の神器を発現させて異能を封じる、そんな作 戦の為、させられただけに過ぎなかった。 此処の力量で駄目、作戦でも駄目という状態で、それ以来、俺達の評価がガタ落ちに なったのは言うまでも無い。 上層部の連中から﹁あのレーティング・ゲームでリアス眷属と、随分と差が付きまし たぁ。悔しいでしょうねぇ﹂﹁いけてないんじゃないの、ソーナ眷属のみなちゅわーん ﹂なんて嘲笑が聞こえて来そうだが、今のままではそれに言い返す事も出来ない。 このままじゃ駄目だ、このままじゃ⋮ そう思い立った俺は、 ! ? 護衛に加えさせて下さい お願いします ﹂ ! そして、作戦会議の折に押し入って、護衛メンバーへの加入を申し立てて来た元だが、 待機している。 X│LAWSのスナイパーであるナナ、ラーキ、ポーフも、狙撃の為に周囲のビルで 内だ。 此処にアザゼルさんはいない、会談での仲介役を担う為にオーディンさんと共に会場 セさんは、会談の場となった都内の高級ホテルの屋上で待機していた。 俺の眷属とリアスの眷属、X│LAWSと堕天使達の特命チーム、そしてロスヴァイ 会談の日、もうすぐオーディンさんと日本の神々による会談が始まる時刻。 ││││││││││││ ソーナ会長に内緒で来たのは、此処だけの話な。 えるよう、アザゼル総督に土下座で頼み込んだ。 日本の神々との会談に臨む為に来日した北欧の主神、オーディン様の護衛に加えて貰 ! ﹁アザゼル先生、いや、グリゴリのトップである、アザゼル総督。俺を、オーディン様の 727 シトリー会長に無断で押し入っていた事もあって、当初はそれを却下する予定だった、 俺達が入っている以上今更だが義兄さんには、育ち盛りの学生は成るべく戦場に送る訳 には行かないという考えがあるからな。 護衛に加えるかどうかは其処で判断する﹂と提案、一先ずその提案に乗る形 だが、何か思う所があったのか、アザゼルさんが﹁一先ず、グリゴリで預からせてく れないか 来るぞ ﹂ リアスが腕時計を見ながらつぶやいたその時、 ﹁時間ね﹂ で、判断は先送りとなった。 ? ! ホテル上空の空間が、歪みだした。 ! ﹂ ! ﹄ ! ﹃はっ ﹁総員、構え ﹁っ 89話_俺達、スタンバイしました 728 90話︳私、覚醒したぞ Side ゼノヴィア ロキと言えば北欧神話に疎い私でも知っている程の有名さを持つトリックスター、当 然、何かしら奇策を用いて来るかと思ったが、まさかの真正面突撃か。 この前の交戦の時、イッセーのアスカロン・CXによって、向こうのエースと言って 良いフェンリルがボコボコにされたにも関わらずこの行動、何か勝機があっての事か ? まあ良い、貴様がどんな策を仕掛けようと、私達に、特に我が将来の夫であるイッセー の前には無駄だという事、この場で嫌と言う程分からせてやる ! 手筈は一言で纏められなくも無い位にシンプル、メイデン達が持つ拘束具・拷問器具 私達が担当するは、フェンリルの無力化。 指示を待つ。 グレイプニル製の拘束具・拷問器具を手にスタンバイしているメイデン達に声を掛け、 向こうで朱乃先輩の父であるバラキエル氏とロキが口論を繰り広げている中で私は、 ﹁了解です、ゼノヴィアさん。それでは皆さん、指示と共に参ります﹂ ﹁メイデン、手筈通りに頼むぞ﹂ 729 によってフェンリルの動きを封じ込めた隙に、私がエクス・デュランダルの力によって フェンリルの無力化を行う、という物。 無論、口で言うのは簡単でも、実際に行うのは簡単では無い。 アザゼル先生の報告にもあったが今のフェンリルに、拘束具としてのグレイプニルの 効力は薄いと言って良い、メイデンが使うそれは拷問器具としての運用も想定されてい る為に、拘束を引きちぎろうとする際にダメージを与えられはするが、それでも拘束時 間を多少は伸ばせる、程度でしか無い。 そしてそんなフェンリル相手に、聖剣エクス・デュランダルを有しているといっても、 私がまともに太刀打ちできる筈もない。 ! だが、まともに太刀打ちできないなら、まともじゃない方法をとれば良い。 私のエクス・デュランダルは、そのまともじゃない方法のやり方を知っている⋮ ﹂ ﹁了解、メイデンちゃん ﹂ ﹂ ﹂ ﹁ええ、了解しましたわ ﹁任せろ ! ﹁準備万端にゃん ! ﹂ ! ! ﹁了解したっす ! ﹁そろそろ始まります。皆さん、構えを﹂ 90話_私、覚醒したぞ 730 バラキエル氏とロキの口論も大詰めとなったのを見計らい、メイデンとレイネル、朱 乃先輩と美月が其々所持しているグレイプニル製の拘束具・拷問器具を構え、私はエク ス・デュランダルを構え、黒歌は術式を練る。 そして、 掛から ﹁今です ﹂ グレイプニル・ジベット グレイプニル・ブーツ ﹁巻きつけ ﹂ ﹂﹂ グレイプニル・スクリュー グレイプニル・フォーク ﹁締め上げなさい ﹁砕け散れッす ! ! ﹂ ! ! ! その器具はグレイプニル製か ﹂ だが無駄だ グレイプニルの対策など、とうの ! 取りついた。 ﹁むっ !? 昔に織り込み済みだ ! !? 者のフォーク﹄をフェンリルへと投げつけ、それらは狙い違わずフェンリルの身体へと して美月がフォーク上の機構を両側に持った鉄棒にベルトが付けられた拷問器具﹃異端 型の拷問器具﹃スペインの長靴﹄を、レイネルが吊り篭を、朱乃先輩が親指締め機を、そ ジ ベッ ト ロキが何かを言って、フェンリルを突撃させようとした瞬間を狙い、メイデンが具足 ! ! ! ! ﹁それでは、神殺しの牙をご覧に入れよう 先の襲撃では不意打ちにあったが、もう引っ 731 だが、ロキの言う通り、それらをフェンリルは事も無げに振りほどこうともがき出す、 ﹄ ! が、 ﹂ ︶ァァァァ ! ま、まさかその器具か ︶ァァ︵ザシュゥ 一体どうしたと言うのだ ︶ァァァァ︵ブツブツッ ! だが、まだまだ終わりでは無いぞ ! ﹂ ! ﹁撃て 撃て ! ﹂ う、ロキが妨害しようとするも、 私達がフェンリルに対し更なる策を仕掛けようとしているのに気付いているのだろ た転移魔法の陣をフェンリルのいる場所に形成、こちらに転移させようとする。 フェンリルが苦痛によって隙だらけになっているのを見逃さず、黒歌が練り上げてい ほいっと ! 其々がフェンリルですら無視できない程のダメージを与えていた。 に巻きついて顎と身体を抑え込んでいた﹃異端者のフォーク﹄は、顎の部分が突き抜け、 まで突き刺さり、その指先に噛みついた親指締め機は、締め上げが更に強烈になり、首 ついた﹃スペインの長靴﹄は、元々締め上げていた突起に加え、折れた際に出来た断面 全身を取り囲んでいたジベットは、内側に仕込んだ鋲が突き刺さり、4本の脚に食い !? ! フェンリル !? ﹃ガァァ︵ブチィ ﹁なっ !? 振りほどこうとしたフェンリルが突然、苦痛にのたうち回る。 !? ﹁よし、スタートダッシュは成功にゃ 90話_私、覚醒したぞ 732 ! ﹁くっ ︵ガガガガガガガ ︶また天使共の目障りな銃撃か ! ! ﹂ ! エクスデュランダル・ルーラー ﹃支配の超越聖剣﹄へと姿を変えた。 我らに牙を剥く魔狼を支配せよ だが、これだけでは終わらないぞ ﹁剣達よ ﹂ ! き、 そして一斉にフェンリルへと向かう ﹁貫け ﹂ エクスデュランダル・ルーラー ﹃支配の超越聖剣﹄ ﹂ 回りに血染めの炎剣が生成され、花開くかの様にその刀身をフェンリルへと向けて行 私の宣言と共に、まるで紙ファイルを開くかの様に、支配の超越聖剣を起点に、時計 ! ! や が て エ ク ス・デ ュ ラ ン ダ ル は 十 字 架 の 形 を し、刀 身 が 真 っ 黒 に 染 ま っ た 大 剣 身を中心に周り、支配の聖剣が刃の部分に移動すると共に、柄の部分が巨大化して行く。 エクス・デュランダルの鞘として刀身を覆っていた7本のエクスカリバー、それが刀 ! 功した。 よし、締めは私だな ! 森羅万象を我が意に置く力 ﹁超越せよ、支配の力 ! X│LAWSの一斉射撃の前に防御せざるを得ず、結果として黒歌の行動は難なく成 ! ! 拷問器具による苦痛にのたうち回っていたフェンリルにはそれに対処する術など無 ! 733 ﹄ ! く、 ︶ガァァァァァァァ⋮ ! も大いに苦労するこの力を無理矢理解放した事が祟ったか⋮ のは事が終結した後だった。 フェンリルの封印、その為に持てる力を出し切った私はそのまま気絶、次に目覚めた ! っ、やはり﹃支 配 の 聖 剣﹄の能力は、私には手に余る物だった、現状では使うだけで エクスカリバー・ルーラー そして眠るかの様にその目を閉じて、私の元へと寄って来たのを最後に突っ伏した。 串刺しとなり、今までのたうち回っていたのが嘘の様に、急速に大人しくなっていき、 ﹃︵ザザザザザザザ 90話_私、覚醒したぞ 734 91話︳お、俺、覚醒しました Side 大輔 ﹂ ! 爺さんを狙うなんて事しているから、こちとら色々と迷惑被っているんだよ になったとも聞く程、お前の勝手な行動によってどれだけ神経すり減らしただろうな それに、顔には怒りの表情こそ浮かんでいるけど、打つ手が無くなったと言わんばか でも心中ながら文句を言わないとやっていられない。 まあそんな事言って改める様な輩じゃ無いのは分かり切った事ではあるんだが、それ ! 一時はアザゼルさん達堕天使陣営と、魔王様達悪魔陣営のトップ同士が一触即発の空気 で、結果として3大勢力は新たな脅威に対応しなきゃならなくなったし、それを巡って 禍の団の脅威がイッセーのお蔭で幾分か和らいでひと段落、と言いかけた時にこれ ! ったく、キレたいのはこっちの方だっつーの、お前みたいな厄介な輩がオーディンの てますと言いたげな様子で叫ぶ。 ノヴィア達によるフェンリルの無力化に成功した俺達、その状況にロキが如何にもキレ X│LAWSの面々による集中射撃によってロキに身動きを取らせず、結果としてゼ ﹁おのれ、我が息子を ! 735 りの絶望感は全く感じられない、て事はまだ隠し玉を用意しているだろう。 ﹂ と、考えていたのがフラグになったのかも分からない、 ハティ ! とハティ、とロキが呼んでいたって事は⋮ ﹂ ﹁太陽を喰らう神狼スコルに、月を喰らう神狼ハティか ま、マジかぁ 其処まで本腰入れるとはな⋮ 月蝕の原因とも言われているあの2頭、そいつらまで連れて来るか ! 背後から聞こえて来た良太の台詞からして間違い無い、フェンリルの息子で、日蝕や ! ! 片方は体毛が真紅になった感じ、もう片方は体毛が青み掛かった様な感じで、スコル ルと良く似た︵といっても大きさは一回り位小さいけどな︶、2頭の魔物が姿を現した。 ロキが何かしらの指示を飛ばすと同時に、背後の空間が歪み出し、其処からフェンリ ﹁現れよ、スコル ! ! ! その牙と爪で喰らい千切るがい ! 分に神、そして貴殿らを葬れるだろう ﹂ さあ、スコルとハティ 父を奪ったのはあの者達だ い ! ! ! として生まれたのがこの2頭だ。フェンリル程では無いとは言え、その牙は健在だ。十 ﹁左様だ。ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えてフェンリルと交わらせ、結果 91話_お、俺、覚醒しました! 736 ﹃﹃グォォォォォォ くっ速い ﹄﹄ ! のハティは、俺達か ︶﹂ デンちゃん達が使っていた拘束具も使い果たしちまったらしい、なら ﹁喰らいやがれ︵ドガガガガガガガガガン ! ゼノヴィアはフェンリルを無力化する為に力を使い果たして気絶しちまったし、メイ ! 真紅の体毛をしたスコルはX│LAWS達がいる方へ、もう片方、青み掛かった体毛 ロキの指示を受け、咆哮と共に突進して来た2匹。 ! 加した物を構え、ハティの接近に合わせてそれを撒き散らし、爆破させた 際問題、否定できないが︶、その場で一喝された。 そんな最初から逃げ腰の俺が、おっさんには﹃やる気が無い﹄と映ったのだろう︵実 なう訳が無いと逃げ腰だった。 上級悪魔の地位に上りつめたおっさんに対して、当時の俺は悪魔になりたての新米、か れた俺、主な特訓内容はおっさんとの実戦だったんだが、過去の栄光に加えて今では最 ンニーンのおっさんの下で、スパルタを通り越してサバイバル生活紛いの特訓を強いら 冥界での合宿の時、嘗ては六大龍王の一角としてその名を轟かせたドラゴンであるタ ! 俺は予め持っていた大量の砂に、俺の神器である﹃爆裂真紅﹄の効果で爆破因子を付 ! 737 ﹁貴様 その様な体たらくで、兵藤一誠達との絆を守り通せると思っているのか なんも知らねぇおっさんが俺達の事に口出すんじゃねぇ ﹂ ! ﹂ !? それを忘れるな ﹂ ! 勢、それこそが戦場に於いては重要な事だ やすい程の汎用性を持った力がある ﹂ ! ! ! その1つが、こういった身近にある物を爆弾に変える効果を利用した戦術。 りの重傷モノだったが、得られる物は多かった。 最終的に、おっさんに与えられたダメージは精々鱗が破損する程度、対して俺はかな こう、指導してくれ、その後もアドバイスを送りつつ相手をしてくれた。 ﹁は、はい ! 特に松田大輔、貴様はその打つ手を模索し 強敵とて打つ手が無い訳では無い、その打つ手を見出そうとする姿 が、その戦術と、﹃勝てる訳無い﹄とあきらめずに勝機を見出す姿勢と映ったのか、 れ、尻尾で叩き落とされた。 込む、という流れで行こうとしたんだが、全く怯んだ様子が無かったおっさんに見破ら それによって怯ませると共に爆破による爆風で浮き上がって其処から下方向へ突っ ﹃爆裂真紅﹄の効果で爆破因子を付加させ、それを撒き散らして爆破させた。 と反論︵になっていない暴言︶、真正面からおっさんに突進、その際にふと掴んだ土に ﹁うるせぇ ! その一喝で目が覚めた、というより図星を刺されて逆ギレしたと言う方が正しいが、 ! ﹁その意気やよし 91話_お、俺、覚醒しました! 738 今持って来た砂も、校庭で集めてリュックサックに入れた物、大して警戒してこない だろうと踏んでぶんなげたら、ものの見事に爆破に巻き込まれてくれた。 ﹄ 流石にこれで倒したと考える程おめでたい頭はしていないが、それでも少なからずダ メージは通ってい、 ない あの爆破を喰らっても平気で突っ込んで来やがるってそんな事言っている場合じゃ ﹃グォォォォォォォォ ! 間に合わ│﹂ ろ、ロスヴァイセさん ﹁なっ でくる、その標的は、 そしてそんな隙を逃してくれるハティでは無く、狙いを付けたのか其処へと突っ込ん るとは思わなかった他の面々は、驚きで一瞬だが固まってしまう。 俺の爆破にも怯まずに突っ込んでくるハティ、一方であの爆破に構わず突っ込んでく ! !? が、間に合いそうにない このままじゃロスヴァイセさんが 間に合え、間に合え、 ! ま、まずい、今しがたハティが突っ込んでくるのに気付いて術式を展開しようとする !? ! 739 ﹂ ! ﹂ ﹂ という音が聞こえ、世界は一瞬、白い光に包まれ、その後には、 ﹁間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ キィン ? 何時の間に ﹁ま、間に合った、のか ? 突き出した左手の先には、﹃腹が根こそぎ抉られて﹄息絶えたハティの姿があった。 ロスヴァイセさんの前に﹃何時の間にか﹄俺が左手を突き出す様に立っていて、その ? ! ﹁ま、松田君 91話_お、俺、覚醒しました! 740 92話︳アイツが覚醒しました、そして⋮ 大輔が引き起こしたらしい謎の閃光、それによって大輔たちの方に飛びかかっていた ﹄ ︶、そんな最中、 ハティが息絶えたその光景に、俺達は驚きを隠せず暫しの間呆けていたが︵ブオオオオ オオオオオオオン ! シェムハザです﹄ ? ﹁シェムハザさん、まさかあの黒い炎は ﹂ のシェムハザさんの声、此処から導き出される答えは、 この何処か感じた覚えのあるオーラを放つ黒い炎、グリゴリの本陣で待機していた筈 して以来のボイスが聞こえて来た。 念の為に付けていた通信機器から、合宿の折、黒歌の件で上層部に抗議する声を耳に ﹃兵藤君、聞こえますか こりゃあ一体何なんだ、と思っていると、 そして息絶えた。 た、突如として現れた黒い炎らしき物によって拘束され、やがてその悲鳴も小さくなり、 俺達、というかロキに向けて銃撃していたX│LAWS達に突撃していたスコルもま ﹃ギャオオオオオオォォォォォォ⋮ !? ? 741 ﹂ ﹂ ﹂ ﹃ええ、匙君です。詳しくは後で話しますが、トレーニングの結果、今回の件で投入する に相応しい実力を有する事となりましたので、転送させて貰いました﹄ 時間の無駄だ ︶ぐぁぁぁぁ これでお前の悪だくみも此処までだ かくなる上は︵ドゴォォォン さて、フェンリル達はもういないぞロキ き飛ばす。 させないというメッセージを込め、発現していたタスクACT4による拳撃でそれを弾 追い詰められ、持っていた得物で何かを仕出かそうとしたロキだったが、そんな事は ! ﹁分かりました、ありがとうございます⋮ ﹁お、おのれぇぇぇ ! !? ! ﹁此処までだと言った筈だ、無駄な足掻きはするな ! ! ! ﹂ ︶ぎゃぁぁぁ ﹂ お前がどういう存在に喧嘩を売ったのか、それを後悔しながら俺の絶対意志の拳で 沈みやがれ ﹁ば、バカな、こんな、こんな事があってたまるか︵ドゴォォォン ! ! ガガ ︶ ﹄﹂ ! ﹁ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ ﹂ ! ! ﹁﹃オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ︵ドガガガガガガガガガガガガガガガガ ! ! だ しようとしていたみたいだが、お前の我儘がこれ以上まかり通る等と思ったら大間違い ﹁これまで北欧の地で随分と好き勝手してくれた挙げ句、こっちに乗り込んで好き勝手 92話_アイツが覚醒しました、そして… 742 ﹁﹃オラァァァァァァ︵ドゴォォォォォォ⋮ ﹂ ! ︶ ! ﹄﹂ ! 道具を消さずに残したのか⋮ こういう事が起きると想定していたのか⋮ 何故、人間に神殺しの術を持たせようとした⋮ そう、言い残しながら。 ││││││││││││ ﹂ デリート・フィールド シャドウ・プリズン ただ本来なら五大龍王であるヴリトラの意識は、二天龍であるドライグ程ではないに 因みに元に移植された神器の出所だが、あー、その、察してくれ。 至ったって訳だ。 した結果、五大龍王の一角であるヴリトラの意識が覚醒、で、あそこまでの力を持つに じヴリトラの力が宿った神器﹃邪 龍 の 黒 炎﹄ ﹃漆黒の領域﹄ ﹃龍 の 牢 獄﹄の3つを移植 ブレイズ・ブラック・フレア まず、あの場に黒い炎となって現れた元だが、アイツの神器である﹃黒い龍脈﹄と同 で、全てが終わり、俺達は色々な事後処理をする事になった。 ? ? ? ﹁聖書に記されし神が、何故﹃禁手﹄という現象と、神滅具などという神を殺せるだけの 行った。 そして俺のラッシュによって、ロキは瀕死の重傷を負い、その身は地面へと落ちて ﹁が⋮あ⋮ 743 しろ強大で、元のポテンシャル的に扱える物では無く、発動と共に意識を失うモノらし いのだが、事が終わった後には元は何事も無く意識を取り戻して神器を解除していた。 元曰く﹁GRIDの絆が、ヴリトラの意識を克服した﹂との事、なら納得だ。 尚、今回の件に関して独断で加わった事がシトリー会長にバレ、元がこっぴどく叱ら れたのは言うまでも無い。 続いて、ハティの命を絶った、大輔が放ったらしい閃光だが、どうやらあの時、ハティ サンバースト・ドラム が突進して来るという危機的状況に大輔の神器﹃爆裂真紅﹄が禁手に至り、その効果に よって生み出されたとの事。 その様がまるで太陽が光輝く様だったとのアザゼルさんの意見で、 ﹃偽リノ太陽﹄と名 付けられた。 後、ゼノヴィア達の活躍によって封印されたフェンリルだが、折角だからと言う事で 俺達が引き取る事になり、話し合いの結果、ゼノヴィアの使い魔になる事が決まった。 そういえば色々とゴタゴタがあった所為でゼノヴィア達はまだ使い魔を持っていな かったっけな、今度ザトゥージさんに連絡して、使い魔を見繕って貰わないと。 まあそんな感じで今回の件の事後処理も一通り済み、オーディンさん一行とX│LA WSは本国へ帰国する事となった、のだが、 ﹁イッセー様、リアス殿。協議の末、我々X│LAWSからメイデン、リゼルグ、ナナの 92話_アイツが覚醒しました、そして… 744 3名を、此処駒王学園に転入させる事と相成りました。彼らを、宜しくお願いします﹂ ﹂ ! ﹂ ! ! 何でいるの ? ﹂ ロスヴァイセさん ﹁もう、終わりだわ ? し込まれ義兄さんは承諾、週明けにも3人を転入させる事になった、が、 さんから義兄さんに、X│LAWSの一部メンバーを此処駒王学園に転入させたいと申 流石に天使陣営から派遣されたのがイリナ1人だけなのが不安だったのか、ミカエル ﹁私達は貴方達3人を歓迎するわ。宜しくね、3人共﹂ ﹁ああ、宜しくな、メイデン、リゼルグ、ナナ﹂ ﹁イッセー様との、学園生活、わくわくします ﹁宜しくお願いします、イッセー様、リアスさん ﹁イッセー様、今後とも宜しくお願い致しますわ﹂ 745 ﹂ 93話︳俺が変わった先に、貴方がいるなら⋮ Side 大輔 私を置いて行くなんて ! ! く来日した悪神ロキ率いる軍勢との戦いは終結し、元が新たなる力を得たり、俺が禁手 北欧から来日した、北欧神話の主神であるオーディンの爺さん、その命を狙って同じ ﹁酷い、オーディン様ったら、酷い ! ﹂ 本に置いて行かれるなんて =年齢の処女ですよ どうせ私は仕事が出来ない、頭の固い女よ 彼氏いない歴 ! ! いやいやロスヴァイセさんや、貴方が仕事の出来ない女だったら、世の中の女子は皆 ! ! ﹁リストラ、これ、リストラよね 私、あんなにオーディン様の為に頑張って来たのに日 た爺さんに、置いてけぼりにされてしまったらしい。 オカルト研究部のソファーで号泣しているロスヴァイセさん、どうやら帰国して行っ だがまだまだ全てが終わった訳じゃ無かった。 しい︶した以外、今までと変わりの無い日常がまた始まる、筈だった。 グ、ナナの3人が此処駒王学園に転校して来たり︵尚、学年は白音ちゃん達と同学年ら ﹃偽リノ太陽﹄に目覚めたり、この戦いで協力したX│LAWSから、メイデン、リゼル 93話_俺が変わった先に、貴方がいるなら…! 746 ダメ女になっちゃいますから。 そう慰めようと声を掛けようとしたが、爺さんが気付かない筈が無いのに連絡が無い 当たり本当にリストラされたのだろう、その状況では逆効果になりかねないと思い留 まった、というより、ロスヴァイセさんを何の言葉も無く首切りにした爺さんへの怒り でそれどころじゃ無くなった。 なんで此処までしっかりしたロスヴァイセさんを首切りにするんだろうな北欧の主 神さんは、護衛に抜擢する事で一時の希望を与え、それをリストラで奪い取るとか何処 のファンサービスだ ! ﹂ ! その時の部長の顔は、その場面を目撃していた皆揃って﹁正に悪魔﹂だったとか。 程の出来だったらしいフリップで分かりやすく説明し、眷属に引きこんだらしい。 け、挙げ句に自らの眷属となった際の将来像を、何時用意したんだと突っ込みたくなる 教職に就く事を提案、更に色んな特典の書類を提示してロスヴァイセさんの気を引きつ 後で良太達から聞いた話だが、悲しみに暮れるロスヴァイセさんに部長は駒王学園の 転生した事に、俺達の仲間となった事に気付くのが遅れた。 と、怒りを抑える事で必死だったせいで、件のロスヴァイセさんが部長の眷属として です。至らない所は多いと思いますが、宜しくお願いします ﹁皆さん、本日よりリアスさんの眷属悪魔となりました、元ヴァルキリーのロスヴァイセ 747 因みにランクは俺と同じ﹃戦車﹄、リストラされたとはいえ爺さんの護衛に就いていた ? 程の実力者だ、眷属とするなら﹃戦車﹄程のランクじゃないとな。 けどそれなら、もう我慢しなくて良いよな もう俺の想いに蓋をする必要は無いよな ││││││││││││ ? ﹂ 俺の、恋人になって下さい ﹂ んなもん、異性を人気のない所に呼び出して、なんてシチュエー 好きです、ロスヴァイセさん ﹁え⋮ ! ﹁ロスヴァイセさん、単刀直入に言いますね。 ションで考えられるのは一つしかないだろ。 ? 唐突なタイミングでの俺の告白に、何処か戸惑った表情を見せるロスヴァイセさん、 ? ! 呼び出した理由 ロスヴァイセさんを此処、駒王学園の新校舎の屋上へと呼び出した。 まあそれはともかく、オカルト研究部にてロスヴァイセさんが仲間入りした後、俺は れは正直言って俺も何が何だか、という状態だったからな。 あの時、というのはハティがロスヴァイセさんに向けて襲い掛かった事だろうか、あ ﹁構いませんよ、松田君。あ、あの時はありがとうございます。お蔭で助かりました﹂ ﹁急に呼び出してすいません、ロスヴァイセさん﹂ 93話_俺が変わった先に、貴方がいるなら…! 748 749 だけど其処に俺の悪名を知っているが故の嫌悪感は全く見られず、純粋に告白された事 に戸惑っている様だった。 彼氏いない歴=年齢だとは聞いていたが正直冗談だと思っていた、こんな綺麗な人が そんな訳ないだろうとさ、まさか本当だったとはな⋮ 正直、思い当たる節が無い訳じゃ無かった。 爺さんの視察、とは名ばかりの日本観光に引きずり回された俺達、その間も自由時間 が無かった訳じゃ無く︵あれだけの大人数が門前で待機していたら物々しいにも程があ る為、というのもある︶、その間ロスヴァイセさんの愚痴︵主に爺さんに対する︶を聞い ていたりしていた。 勿論他愛のない話をしたりもしていたんだが、ロスヴァイセさんの口から出て来る話 題はというと、日本の百円ショップの品ぞろえとか、手軽に出来る節約術だとか、そう いった面ばっかりだった。 特に百円ショップで見つけたと言う雑貨の話となると物凄く上機嫌になっていて、そ の様子にイッセーは﹁某嵐を呼ぶ幼稚園児の母親が乗り移っている﹂、良太は﹁100均 ヴァルキリー﹂と、周囲は残念な人という認識で一致していた。 俺から言わせれば物を、お金を大事にするしっかりした人に見えるんだが、この様子 が男共を離れさせていたのかも分からない。 まあロスヴァイセさんの金銭感覚はどうでもよ、くは無くむしろそれも今回の要素に 入って来るんだが、ロスヴァイセさんと初めて出会った時、俺はその美人でスタイルも 良い彼女の俺好みな姿に、彼氏がいないという情報に、よしそれならとマークした。 ︶ ! ? 正直その時、本気で好きになったかと言われれば否定するしかない、当時の俺はその ほっとけ 姿に浮ついた想いを抱いていた、まあハニートラップに引っ掛かったと言うべきか ? 近づいて行こうと思い、それをやってきた。 そんな中で彼女の人となり︵ヴァルキリーだから厳密には違うか ? はない。 える物、ならば俺の﹃ロスヴァイセさんを救いたい﹄という想いに反応してもおかしく 事が出来たのも、その想いが実現させたのだと今では分かる、神器は使い手の想いに答 ハティがロスヴァイセさんを急襲した際に俺が禁手に目覚め、結果として彼女を救う ﹃本当の想い﹄となった。 俺は本気で、ロスヴァイセさんの事が好きになったんだと感じた、浮ついた想いは、 つれ、彼女への想いが深くなるのを実感した。 ︶を知っていくに て殆ど知らない、だから最初は愚痴に付き合ったり他愛のない話をしたりと、少しずつ ただガツガツと突っ込んでも相手にドン引きされるのは明らかだし、俺も彼女に関し ︵え、引っ掛けたくなるガラじゃないだろうって 93話_俺が変わった先に、貴方がいるなら…! 750 だけど彼女は北欧神話の勢力に属する身、俺は冥界の悪魔陣営に属する身、冷静に考 えると、恋人になるにはハードルが高すぎると痛感した。 増してや彼女は爺さんの護衛と言う要職、一方の俺は部長の一眷属でしかない、立場 的にかなり高いハードルが待っているのは想像に難くなかった。 だから、正直言って諦めようと思った、今からロスヴァイセさんに告白するに相応し い地位となれる様必死こいても、その前に彼女が運命の相手を見つけるのが早いに決 まっている、後々後悔するなら、と俺の想いに蓋をしようと思った。 だけど、彼女が俺達と同じく部長の眷属になったのなら、俺達の仲間となったのなら、 そのハードルも無いに等しい、後は俺の決意のみ。 だったら、もうこの想いを偽りはしない ! いですか﹂ ﹁俺だって分からないです。其処は知らない者同士、これから知って行けばいいじゃな か分からないし﹂ ﹁それに彼氏が出来た事も無いからデートスポットとか、どんなプレゼントが良いかと くても、ロスヴァイセさんは充分女の子です。いや、女性と言った方が良いな﹂ ﹁真面目でしっかりしている、という事ですよ。それに女の子っぽく振る舞おうとしな ﹁で、でも、私、オーディン様の言う通り堅物だし、女の子っぽい所も無いし﹂ 751 ﹁で、でも⋮﹂ ﹁それとも、俺じゃ駄目ですかね これが、俺の偽らざる想い。 ﹂ ︶んむぅ 今まで色んな女子に目移りしていた俺だけど、もうその日々にさようならだ。 ﹂ ﹂ 松田君の、側に居ても良いんで︵チュッ 俺にとってロスヴァイセさんこそが、運命の女性なんだ ロスヴァイセさんの問いに、キスで答えた。 俺の想いを精一杯伝える為に。 ﹁ありがとう、ございます⋮ あ、ありがとう、ありがとう、ロスヴァイセさん ! ! 私も、ロスヴァイセも、松田君、いや、大輔君の事が好きです ﹁ 良かった、本当に良かった⋮ ! ! ? ! ﹂ 格好良くて、優しくて、強くて、頼もし 変態の悪名高い俺じゃあ⋮﹂ 松田君は素敵な人です でも、私なんかが⋮﹂ ! ﹁なんか、って言っちゃダメです。俺はロスヴァイセさんが良いんです くて ﹁そんな事ありません ! ? ! ! ? ! ! ﹁本当に、私で良いんですか 93話_俺が変わった先に、貴方がいるなら…! 752