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平成 25 年度 第4回 静岡市環境影響評価専門家会議議事概要

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平成 25 年度 第4回 静岡市環境影響評価専門家会議議事概要
平成 25 年度
第4回
静岡市環境影響評価専門家会議議事概要
1 日 時
平成 25 年 12 月 16 日(月)
2 場 所
静岡市役所
3 出席者
(委員9名)
13 時 30 分~16 時 25 分
静岡庁舎 本館3階 第三委員会室
※敬称略
会 長 岩堀恵祐(宮城大学食産業学部教授)
副会長 佐藤博明(元静岡大学学長)
委 員 板井隆彦(静岡淡水魚研究会会長)、狩野謙一(静岡大学防災総合センタ
ー特任教授)、諏訪哲夫(静岡県自然史博ネットワーク理事)、平井一之
((一社)静岡県環境資源協会専務理事)
、三宅隆(静岡県自然史博ネッ
トワーク副理事長)、村上篤司(環境科学研究所)、横田勇(静岡県立大
学名誉教授)
(事務局職員)
小林環境局長、劔持環境創造部長、
(環境総務課)松田課長、白鳥参事兼統括主幹
4 傍聴者
2人
5 次 第
(1)開 会
(司会:環境総務課
石川副主幹)
(2)挨 拶(静岡市環境局長)
(3)議 事
中央新幹線(東京都・名古屋市間)環境影響評価準備書【静岡県】について
・事前質問に対する事業者からの補足説明
・中央新幹線に関する現地調査結果等の報告
・準備書に対する委員意見について意見交換
(4)その他
(5)閉 会
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6 挨 拶
【環境局長挨拶】
・ 本会の審議は今回で4回目となるが、その間も委員の皆様には個別ヒアリング等にご
協力いただき、感謝申し上げる。
・ 去る 11 月 25 日には、準備書に対する意見募集において、一般から出された意見の概
要と、その意見に対する事業者の見解を示した書類が事業者から送付された。
・ また、同日付けで、知事から正式な意見照会があり、来年1月 22 日までに市長意見
を知事に提出することとなっている。
・ 市長意見の形成に当たっては、本専門家会議において、専門的な見地からの審議結果
を踏まえて作成することとしているため、引き続き活発なご議論をお願いしたい。
【岩堀会長挨拶】
・ 先に開催された静岡市環境審議会において、中央新幹線環境影響評価について報告が
され、様々な意見や質問がだされるなど、審議会委員の関心も高まっている。
・ 本日の会議では、市長への答申に向けて方向性を決定していきたい。
7 議事
(1)事前質問に対する事業者からの補足説明
(資料4、№2、10、12、13、18、21、45、57、78、92、94 について説明)
【質疑応答】
○村上委員
・ №19
知事意見では、プルーム・パフ式以外の手法の検討について指摘しているが、
「地形を考慮した予測手法」とはどのような方法か。
●事業者
・ ERT PSDM モデルといって、プルーム・パフ式の中心軸を地形に沿ってずらしていく
手法で、プルーム・パフ式の補正版のような予測式となる。
・ 他都県にておいて、急峻な地形や丘陵などの地点における民家への影響予測について
も、地形を考慮した ERT モデルを活用している。
○村上委員
・ 知事意見では、プルーム・パフ式以外の手法の検討について指摘したこと対し、今の
説明の予測手法を採用したということは、従来の手法であり、新たな手法ではないの
ではないか。
●事業者
・ 他都県の審査会でも同様の議論がなされ、ERT モデルでの予測について問題ないとう
結論をいただき、全線の予測で採用している。
○横田委員
・ 発生土置き場を7か所予定されているが、それぞれの場所にどの程度の量を置くのか
算定しているようであれば、教えていただきたい。
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●事業者
・ 準備書には7か所の発生土置き場と想定土量をお示ししたが、その内訳は決まってい
ない。
・ それぞれの発生土置き場について、昨年から航空測量やボーリング調査を行い、その
調査結果を踏まえて、概略の盛り方の検討を行っている。
・ 概ねの内訳がないわけではないが、その想定量をもって森林部局や河川部局などの関
係行政機関と事前の協議を始めたところであり、それらの協議を経てからでないと具
体的な量は確定しない。
・ 準備書では概ねの範囲をお示しし、その範囲内で盛土を検討することとしているが、
今回は平面の情報で動植物等への影響について調査等を行っている。
○横田委員
・ 現在予定されている7か所の発生土置き場の変更は考えていないのか。7か所の中で
の調整はあるものの、新たな候補地の追加等はあるのか。
●事業者
・ それぞれの候補地に置く体積は決まっていないが、7か所の中で 360 万㎥の発生土を
処理していくことを考えている。
・ ただし、これは現時点での考えであるため、今後、静岡市が取り組むユネスコエコパ
ークや他事業で活用する場合には、必要に応じて新たな発生土置き場での事後調査の
実施を否定するものではないが、現在お示ししている7か所で処理が可能であるとい
う前提で考えている。
○板井委員
・ №57
準備書には記載されていないが、後から示された調査結果等の内容は評価書に
記載されるのか。
・ あらかじめ特定の希少種を調査する場合には、詳しい調査が行われているが、一般の
調査の中で発見された希少種について、十分な調査がなされたかは不明である。
・ ヤマトイワナについても、しばしば指摘しているが、構造物の上流域なども含め、必
ずしも十分な調査が行われたとは言えない。
・ №21
実地調査で得られた調査結果だと思っていたが、文献調査であるならばその旨
を明記しないと誤解を招く。
・ 文献調査の引用により、ヤマトイワナが生息していることを認めているのであれば、
準備書での「生息地はない」という表現は適切ではない。
●事業者
・ 準備書には、調査日数等の内訳は記載したが、調査人数や箇所数については記載して
いないが、審査会での御意見などをお聞きし、今後、わかりやすい評価書を作成して
いく姿勢を持っているが、正式には、市長意見、知事意見をいただいた上で検討が必
要な事項だと考えている。
・ 希少種の調査に関しては、マニュアル類に沿って行っているため、種によって調査の
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濃淡はあるが、一定のマニュアルに沿った調査という点では、濃淡はないと考えてい
る。
・ 現地で確認されなかった種に関しては位置情報がない分、情報量が少ないが、個別説
明の場でご覧いただいた調査結果については、専門家の方々には確認をしていただい
ていると認識している。
・ ヤマトイワナは非常に関心が高いため、上流部の小西俣まで調査を行っている。調査
ではヤマトイワナと判断できる種は確認できなかったが、ヤマトイワナの特徴を持っ
た強い交雑種も見受けられた。
・ 文献では確認情報もあるなど、文献も重要な調査のひとつだと考えているため、文献
確認種や専門家からのご指摘のある種に対しても、必要な配慮を検討していきたいと
考えている。
(2)事前質問に対する事業者からの補足説明
質疑応答は特になし
(3)準備書に対する委員意見について意見交換
○横田委員
・ 地下水減少の予測について、ボックスモデルを用いて算出しているが、解析の基とな
る数値が不明確であるため、減少した水がどこにいってしまうのか追跡できない状況
にある。その点について、詳細な説明が必要である。
●事務局
・ 水に限らず、全般を通して予測、評価の諸元が不明であるとのご指摘については、予
測結果に至る必要なデータ等を、評価書に記載させることが重要であると考えている。
○岩堀会長
・ シミュレーションは、どのような式を用いて、どのようなパラメータを設定するかに
よって、結果が大きく異なることもあるため、どのようなモデルを用いるかは非常に
重要である。
○村上委員
・ 準備書には、測定点の結果しか出ていない。シミュレーションをやった時には、終了
を含めて格子点に分けて計算をするはずだが、なぜそれが公表されないのか。
・ それがあれば、周囲の状況がシミュレーション結果からある程度推定でき、気象状況
が変わった場合にどのように変わっていくかが推測できる。単に計算結果だけを示さ
れただけではわからない。
・ (ロッジから)たった 900m程度の距離であれば、複数地点の計算をしても作業時間
は変わらないため、環境影響評価書として不親切である。
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・ 全体として、安心安全な計画であるということを一生懸命説明する気がないように感
じられるくらい、おざなりにやったという印象を受ける。
・ 大気に関しては、影響はこの程度だと思っているが、このような内容で準備書を作成
して公表する姿勢が納得いかない。
○平井委員
・ 騒音の測定ポイントと予測地点の説明があったが、アセスの臨場感という点で不足を
感じる。
・ 騒音では距離減衰の概念があり、道路の際から予測地点までどのいう状況で音が落ち
ているかを示すことが大切だが、予測評価地点はロッジで、距離が離れているため問
題ない、という結果しか示されていないことに危惧感をもっている。
・ アセスの性格上、特に騒音の場合は生活環境への影響が重要だとすると、人間が生活
をする場で予測をするという概念になっているが、例えば風力発電等では、超低周波
音、低周波音が生態系に影響が危惧されている。ウミガメや渡り鳥の問題があり、音
という概念が生態系全体への影響として今回の事業で考えなくてよいのか。
・ 暗騒音が沢の影響で高いため、結果的に工事を行っても影響がないとされている。そ
の測定方法についても危惧感がある。
・ 騒音の事後調査は基本的に準備書の中ではやらないと書かかれているが、今後、どう
いう形で問題提起があるかわからないため、継続調査はやっていただきたい。
○板井委員
・ 調査結果の使い方、調査地点だけしか示しておらず、その結果どうなるかは川の水質
についてもはっきりしていない。先程の説明では、
こういう処理設備を使うから 25ppm
以下に抑えられるとのことだが、確かに環境基準の AA を満たすが、実際に現地に住
んでイワナや発見されているオオナガレトビケラなどの希少な底生動物には、その数
値では影響がある。
・ 現地の流量がどれだけあって、いつの時期に 25ppm で出せば、何 ppm になるのかとい
ったことや、下流の減衰予測を行うよう指摘してきたが、事業者はそこまでやる気は
全くない。
・ 示されている数値だけでは、周辺に類似の環境があるから影響はないという判断はで
きない。
・ 事業者が根拠にしているとことは多くは妥当ではないと思うところが多いので、その
点をちゃんと予測評価してほしい。
○三宅委員
・ 今回の建設工事で一番問題となるのは、掘削土をどのように置くのかである。
・ 本坑と先進坑の掘削で発生する 220 万㎥の土砂を捨てるために、斜坑や工事用道路
(トンネル)の 140 万㎥を余分に掘って捨てることとなる。
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・ 危険性が指摘されている扇沢に捨てるために、60 万㎥の工事用道路を掘り、どの程
度の発生土を捨てるのか。それが 60 万㎥なら意味はない。
・ 非常口は実際に使えるのかを考えると、土被り 350m地下トンネルまでは長い斜坑が
必要となる。現地調査の際にトンネル内で事故が発生した場合の対応について質問し
たところ、まず先進坑に避難させるとのことだった。先進坑であれば傾斜が緩いため
車でも可能だが、数㎞にもなる非常口のトンネルを歩いて避難させるのか。また、冬
季の地上部は非常に厳しい状況にもなる。
・ これまで事業者から明解な説明はないが、時間短縮以外に非常口を2か所も掘る理由
がないのではないか。斜坑を掘り出してから本坑まで到達するに何年かかるかといっ
たタイムスケジュールが示されていない。
・ 700 人にもなる作業員が、365 日、10 年間にも亘る長期間の工事では影響がないわけ
がない。
・ 準備書では、工事期間についてはあまり問題視されていないが、生態系にも影響がで
る。同質の環境が周囲にあるからといって問題はないとしているが、10 年間という
長いスパンで見れば影響は少なからずある。
・ 現在の JR の技術からすれば、斜坑がなくてもトンネルを掘ることは可能であろうし、
そうすれば、工事期間も費用面も縮小することができる。
・ 法的に非常口を5㎞置きに設置しなければならないのであれば仕方がないが、危険性
が指摘されている扇沢やツバクロに発生土を置かないためには、非常口を減らすとい
ったことも考えていく必要があるのではないか。
●事務局
・ 事後調査に関して、これまでの事業者の説明では、事後調査として実施するものと
モニタリングとして実施するものとがある。
・ 事後調査は、法律の手続に位置付けて実施し、その結果を公表するものであり、モ
ニタリングは法律の手続には位置付けず、設備の稼働確認等のために実施するもの
である。
・ 静岡県環境影響評価条例では、法対象事業についても事後調査の実施前に事後調査
実施計画書手続がある。事後調査実施計画書については、市に意見照会があるため、
必要な調査の実施について意見を述べることが可能となる。
○板井委員
・ 先日、市の担当者と事業者との打合せを行った際にも、事後調査に関する議論をした
が、事業者が事後調査に位置付けている動物は猛禽類のみである。その他の種に関し
ては、予測が不確実であるにもかかわらず、ほとんどが保全されるとしている。
・ 更なる事後調査の必要性を指摘したが、事業者は国の技術指針に則っているため問題
はないとの姿勢である。
・ 事務局から説明があったが、強い姿勢で指摘しなければ、事後調査計画書に反映され
ないのではないか。
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●事務局
・ 委員ご指摘のとおり、準備書に示されている事後調査に関しては、現状では不十分で
あると考えられるが、説明会や見解書で示されているモニタリングについても、しっ
かりと事後調査に位置付けさせて必要な報告をさせるよう、意見に盛り込む必要性は
あると感じている。
○諏訪委員
・ 準備書の書き方がおざなりであると感じる。
・ それぞれの種に対する環境保全措置が、一般的な環境保全措置の実施や周辺に同質の
生息環境が広く分布するため保全されるというように、ほとんど同じような書きぶり
となっている。
・ 実際には生物の生息環境は微妙に異なり、一見同質の環境に見えても全く違うことが
ある。これらの点をきめ細かく評価するのが本来の準備書ではないか。
・ 説明では、植生図を根拠としているが、植生だけでも同質だとは言い切れない。
○佐藤委員
・ これまで議論を進めてきた中では、準備書の内容だけで我々が心配する環境保全がな
されるのかといったことについては、非常に抽象的な表現であり、各分野においても
安心できないといった意見が出されている。
・ トンネル掘削により、様々な人工構造物が地表に出ることになるが、これまでの事業
者の説明では、準備書には概ねの位置や規模を示したものであり、発生土置き場それ
ぞれの処理量も決まっていないとのことである。今後測量や計画を具体化しないと詳
細は決まらないとしている。詳細な計画が決まった段階では、我々の疑問や懸念に答
えられず、消化不良のまま評価書に進んでしまう。
・ 事業者は、当初から一貫して南アルプスの豊かな自然環境はトンネル構造にすること
により保全される、との説明は乱暴である。本坑だけをみればそうかもしれないが、
本坑掘削に必要な先進坑や斜坑、地表部の人工構造物は地表部に必要な構造物は周辺
環境に影響を与える。発生土置き場についても、新たな災害のリスクとなる。
・ 様々な影響に対して我々が納得できる内容を、今の段階で具体的に示していただかな
いと、結果として、事業者はこのような会議の場を、手続を進めるための通過儀礼と
しか捉えていないように受け取れるため、今後も機会を捉えて様々な懸念を払拭させ
る説明を求めていきたい。
・ ユネスコエコパーク登録への障害とならないかを心配している。狩野委員の説明から
もわかるとおり、発生土を危険な場所に置くことや、様々な場所に置くことによって
渓流の景観を損ねるなどの影響が生じる。
・ 来年6月にユネスコエコパークに登録されれば、多くの方がエコツーリズムや観光で
訪れることが想定されるが、肝心の価値が地表部の人工構造物により損なわれること
になれば影響は大きい。
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・ 工事用道路に関しても、工事期間の 14 年間に亘り狭い山道を大型車両が往来するこ
とになると、その期間中はエコツーリストが安心して通行できず、求める場所に行け
ないということもありうる。
・ ユネスコエコパークは、3つのエリアが登録時の状態で適切に管理されているかを確
認するために、10 年ごとに保全管理計画の提出が求められている。
・ 予定通り来年に登録されれば、リニア建設工事の着工と時期が重なるが、十数年に亘
る工事によって登録時の状態が保証されることは明らかにない。建設工事により適切
に環境が管理されていないと判定されれば、十数年後に登録を取り消されるというこ
とも起こりうる。
・ ユネスコエコパークに対しては、登録前も登録後も、建設工事による不安は払拭され
ない。
○岩堀会長
・ 議論をした内容が計画に反映されるよう、市長への答申については、実効性のある環
境配慮を求めていくことが、答申の骨子であると考えている。
○狩野委員
・ 準備書のイメージは、Before、After がしっかり示されるものだと思っていたが、今
回の準備書では全く示されていないため、自ら必要な構造物を推定して評価するしか
なかった。
・ 今の準備書の内容では、何を評価してよいのかわからないという印象を受けた。
○岩堀会長
・ 委員のご指摘により、事業計画が変更になる可能性は低いと思われるが、様々なリス
クに対して真摯な対応を求めるよう、答申に盛り込んでいきたい。
○佐藤委員
・ ユネスコエコパーク登録との関係について、事業者の見解書では、トンネル工事伴う
様々な情報については関係者との情報交換に努める、できる限りエコパークと整合性
を図った工事計画とする、登録手続上必要な情報について静岡市から話があれば対応
について検討する、といったことが示されている。
・ これを善意に解釈すれば、事業者の一方的な考えで計画を進めるのではなく、エコパ
ーク登録に対して誠意をもって市や県との意見交換や情報提供をしていくとしてい
るため、詳細な設計が固まる前に市の意見をしっかりと伝えて、計画に反映されるよ
うにお願いしたい。
・ 扇沢の発生土置き場の危険性を考えれば、計画を変更させるような意見や、それに伴
う代替案の提示なども必要ではないかと考える。
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○板井委員
・ 代替案の提示は、本来事業者の役割であり、戦略的環境アセスメントの取組が進む
中では、複数案を示すことが必要である。
・ 諏訪委員から昆虫に関して周辺の生息環境についての指摘があったが、河川環境に
ついても同様のことが言える。
・ 河川は線的な環境であり、1つの事業所があれば、下流側には濁水や渇水の影響が
及び、上流側にも渇水等の影響が生じる場合もある。
・ 大井川は、昔から東京電力の発電所による水不足が問題となってきたところであり、
水資源の影響を真剣に予測評価する必要がある。
・ 水量の減少のほか、濁水や生活排水の影響についても、具体的どのように影響が出
るのかを予測した上で、適切な保全対策を講じていただきたい。
以上、会議終了。
上記内容を確認しました。
静岡市環境影響評価専門家会議 会長
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