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半導体光増幅型可同調レーザを用いた 温度補償機能付 FBG 振動センサ

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半導体光増幅型可同調レーザを用いた 温度補償機能付 FBG 振動センサ
Proc. Symp. Ultrason. Electron., Vol. 27, (2006) pp. 261-262
15-17 November, 2006
P2-27
半導体光増幅型可同調レーザを用いた
温度補償機能付 FBG 振動センサアレイ
FBG vibration sensor array with temperature compensation
using semiconductor optical amplifier tunable laser source
稲本清之†, 田中哲, 横須賀泰輝, 高橋信明 (防衛大 通信)
Kiyoyuki Inamoto, Satoshi Tanaka, Hiroki Yokosuka and Nobuaki Takahashi
(Department of Communications Engineering, National Defense Academy)
A multi-wavelength fiber optic tunable laser is proposed for use in a fiber Bragg grating (FBG) vibration sensor
array. The laser employs a semiconductor optical amplifier (SOA) as a gain medium, and FBGs as wavelength
selection components. Since the SOA is an inhomogeneous broadening gain medium, stable multi-wavelength
oscillation can be realized. In this configuration, oscillation outputs respectively serve as optical sources of the
wavelength-division multiplexed (WDM) FBG sensor array in which multiple vibrations applied to the sensing
FBGs can be detected at the same time. In addition, by controlling strain to the respective tuning FBGs the tunable
operation can be achieved for the temperature compensation of the sensor outputs. For the demonstration of the
performance principle of the sensor system, we have fabricated a dual-wavelength tunable laser and arranged two
FBG vibration sensors in serial. In the experiment, the thermally stabilized WDM operation of the sensor array has
been successfully demonstrated.
1.はじめに
我々はこれまで、光ファイバブラッググレーティ
ング(FBG)を用いた振動および水中音響センサを
各種提案してきた。なかでも、光源として可同調レ
ーザを用いた手法では 1-4)、温度補償機能が得られる
だけでなく、インコヒーレント光を用いた手法に比
べて光源の出力が高くそのスペクトルも狭いため、
センサの SN 比や感度の向上に対して有利な特長を
もっていた。しかしながら、これらのレーザでは多
波長の安定した同時発振が困難で、多点振動の同時
検出を行う波長分割多重(WDM)型のセンサアレ
イに適用することができなかった。そこで、本研究
では、WDM 型の FBG 振動センサアレイの光源とし
て、利得媒質に半導体光増幅器(SOA)を用いた可
同調の多波長同時発振レーザを提案する。実証実験
では、可同調 2 波長同時発振レーザを試作するとと
もに、2 つの FBG 振動センサを WDM 方式によって
アレイ化し、2 箇所の振動の同時検出動作および温
度安定化動作の実証実験を行った。
同時に安定して得られる。また、FBGL1 および FBGL2
は、それぞれ積層型の PZT1 および PZT2 に固定され
ており、これらの PZT にひずみを印加して FBG の
ブラッグ波長をシフトさせることで、レーザの発振
波長をそれぞれ制御することができる。
Fig.2 にレーザの発振スペクトルと室温下で測定
OCL
[email protected]
- 261 -
FBGL1
FBGL2
OC1
VOC
FBGS1
Control
Circuit
OC2
Vibration
PD1
Vibration
PD2
Output 1
Fig. 1.
FBGS2
Output 2
Experimental setup.
FBGS2
Reflectance (a.u)
60
FBGS1
Oscillation
spectrum
40
λ2
20
λ1
Output (a.u)
--------------------------------------------------------------------
PZT2
SOA
2.動作原理
実験で構成した FBG 振動センサアレイの概略図
を Fig.1 に示す。図において、一点鎖線で囲まれた
部分は可同調 2 波長同時発振のレーザを示し、SOA、
光サーキュレータ(OCL)、可変光結合器(VOC)、
および FBG
(FBGL1、FBGL2)により構成されている。
ここで、利得媒質として用いた SOA は不均一拡がり
をもつ媒質なので、同一共振器内で FBGL1 および
FBGL2 の反射を利用した2つのリング共振器が共存
可能である。したがって、このレーザでは FBG のブ
ラッグ反射波長(λ1および λ2)で 2 つの発振出力が
PZT1
0
1528 1530 1532 1548 1550 1552
Wavelength
(nm)
Wavelength (nm)
Fig. 2.
Reflection spectrum of FBG and
oscillation spectrum of fiber laser.
したセンサ用 FBG(FBGS1, FBGS2)の反射率スペク
トルを示す。図に示されているように、センサ用
FBGS1 および FBGS2 の反射率スペクトルの傾斜部
(動作点)に、発振スペクトル λ1および λ2がそれ
ぞれ同調されている。したがって、レーザ出力の λ1
および λ2の成分はそれぞれ、FBGS1 および FBGS2 で
反射され、光検出器 PD1 および PD2 でセンサ出力が
得られる。
この FBG 振動センサアレイにおいて、センサ用
の FBG に振動が印加されると、FBG の反射スペク
トルが波長に関して周期的にシフトして FBG 反射
光が強度変調を受けるため、光検出器で得られる信
号の AC 成分から振動を直接観測することができる。
一方、センサ用 FBG の周囲の環境温度が変化すると、
FBG の反射スペクトルが温度によってもシフトす
るため、動作点が変動してセンサ感度が劣化するこ
とになる。この温度変化の影響を補償するため、帰
還制御回路を用いる。この回路では、センサ出力の
DC 成分から動作点の変動を検出し、これを一定に
保つようにレーザの発振波長を制御することで、温
度補償を実現している。
センサ出力の温度補償動作を確かめるため、セン
サ用の FBG S1 の周囲の温度を 30 から 140 ℃の間で
変化させ、センサ出力を測定した結果を Fig.4 に示
す。図において、■は参照のためレーザの波長制御
を行わずに、すなわち温度補償機能を付与せずに測
定した結果を示し、一方、●は波長制御を行って得
た結果を示す。温度補償を行うことにより 35 dB 以
上あったセンサの出力変動を 2.5 dB 以内に抑えられ
ていることが分かる。
4.まとめ
本研究では、SOA を用いた可同調 2 波長同時発振
レーザを試作して、WDM 型の FBG 振動センサアレ
イを構成した。実験を行った結果、レーザの利得媒
質に SOA を用いることによって 2 波長同時発振動作
が安定して得られ、センサアレイの振動検出におけ
る WDM 動作を確認することができた。また、発振
波長制御による温度補償においては、30 から 140 ℃
の温度変動に対して、温度補償が無い場合に 35 dB
以上あったセンサ出力の変動を 2.5 dB 以内に抑える
ことができた。
3.実験および結果
振動検出における WDM 動作を
確かめる実験では、FBGS1 および
FBGS2 を角柱型の PZT に固定し、
17.64 kHz および 50.03 kHz の正弦波
状の振動をそれぞれ同時に印加し
た。このとき、観測されたセンサ出
力波形およびスペクトルを Fig.3 (a)、
(b) および (c)、(d) にそれぞれ示す。
ここで、(a) と (c) は PD1 で得られ
た出力を示し、(b) と (d) は PD2 で
得られたものである。これらの結果
から、センサ出力は、ひずみが小さ
く振動に対してほぼ線形に応答す
ること、また、2 つのセンサ出力間
でクロストークがなく独立に振動
が検出されていることが分かる。
(a)
(c)
10 dB/div
56.6 µε
0 Hz
With Stabilization
25 Hz
50 Hz
(d)
(b)
10 dB/div
50.03 kHz
19.2 µε
0 Hz
-30
17.64 kHz
10
2.47 dB
75 kHz 150 kHz
Fig. 3. Sensor outputs. Waveforms: (a), (b),
and spectra: (c), (d).
Output (dB)
-40
-50
引用文献
35 dB
(1) N. Takahashi, K. Yoshimura and S. Takahashi: Jpn. J.
Appl. Phys. 39 (2000) 3134.
Without
Stabilization
-60
-70
(2) S. Tanaka, T. Ogawa, W.Thongnum, N. Takahashi and
S. Takahashi: Jpn. J. Appl. Phys. 42 (2003) 3060.
Noise Level
40
60
80
100
120
(3) S. Tanaka, T. Ogawa, H. Yokosuka and N. Takahashi:
Jpn. J. Appl. Phys. 43 (2004) 2969.
140
Temperature (deg.)
Temperature (℃)
Fig. 4.
(4) S. Tanaka, H. Yokosuka, K. Inamoto and N. Takahashi:
Jpn. J. Appl. Phys. 45 (2006) 4588.
Temperature dependence of sensor output.
- 262 -
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