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がん診療連携拠点病院機能強化事業
1/2 総 事案名 所管 (14)がん診療連携拠点病院機能強化事業 厚生労働省 組織 厚生労働本省 括 調 査 票 調査対象 予算額 平成 23 年度:3,430 百万円 平成 22 年度:3,431 百万円 会計 一般会計 平成 21 年度:5,406 百万円 調査区分 本省調査 取りまとめ財務局 − ①調査事案の概要 【事案の概要】 がん医療水準の「均てん化」 (全国どこでもがんの専門医療を受けられるよう、医療技術の地域格差是正を図ること)を目的として、不足しているがん専門医の育成や、がん患者やその家族に対する 相談支援事業を実施。 専門的ながん医療を提供し、医療技術の地域間格差が是正されるよう、実施施設(がん診療連携拠点病院:専門的ながん医療の提供等を目的とし整備された病院で、厚生労働省が指定する病院)が 行う次の事業に対し、国庫補助を行う。 (1)がん医療従事者研修事業:がん専門医の不足が指摘されている中で、がん医療を支えるコメディカルスタッフ(看護師、臨床放射線技師、臨床検査技師等)を育成するための研修を実施する。 (2)がん診療連携拠点病院ネットワーク事業:多地点テレビ会議システム等により、全国の研究・診療レベルの施設・地域間格差是正を図る。 (3)院内がん登録促進事業:地域や全国レベルでの正確ながんの罹患率等を把握するため、がん患者の診断・治療内容等のデータ登録を実施する。 (4)がん相談支援事業:院内外のがん患者及びその家族の不安や疑問に適切に対応するため、電話、面談等による、がん患者の療養上の相談、地域の医療機関やセカンドオピニオン医師の紹介を実施 する。 (5)地域のがん診療連携事業:がん患者及びその家族の不安や疑問に適切に対応するため、がんに関する各種情報の収集・提供及び小冊子やリーフレット等を作成・配布する。 (6)その他(上記事業に分類不可能な消耗品費など) 【補助先】 国立大学、国立大学病院、労災病院、 (民間等)その他病院 【補助率】 国立大学、国立大学病院、労災病院:10/10、(民間等)その他病院:1/2 <実施施設ごとの平成21年度事業費支出状況(単位:千円)> 2/2 総 事案名 括 調 査 票 (14)がん診療連携拠点病院機能強化事業 ②調査の視点 【調査の視点】 1.実施施設ごとに、事業費の 差は生じているか。 2.事業費の内訳はどうなって いるのか。また事業の趣旨に 沿った事業費の内訳となっ ているか。 (なお、検証にあたっては、 総事業費の約半分を占める 「がん相談支援事業」を検証 することとする。また、事業 費の内訳については、都道府 県に概ね1箇所設置されて いる都道府県がん診療連携 拠点病院を用い、分析をす る。) ③調査結果及びその分析 ④今後の改善点・検討の方向性 1. 実施施設ごとにがん相談支援事業費、相談件数、がん入院患者数等をまとめると、下表のとおりとなる。 (図1) 相談件数あたりの相談支援費用を比較すると、国立病院と、その他病院は、平均を下回っている。一方、労災病 院と国立大学病院については平均を上回っており、業務内容は同じにも関わらず、実施施設ごとに、相談件数あた りの相談支援費用に差が生じていることを確認できる。 (図1)実施施設ごとのがん相談支援事業費等 実施施設 施設数 労災病院 1か 所 当 た り 単 価 ・ 件 数 国立大学病院 1か 所 当 た り 単 価 ・ 件 数 国立病院 1か 所 当 た り 単 価 ・ 件 数 その他病院(民間等) 1か 所 当 た り 単 価 ・ 件 数 合計 1か 所 当 た り 単 価 ・ 件 数 11か 所 40か 所 32か 所 280か 所 363か 所 がん相談支援事業 (千円) 99,421 9,038 443,975 11,099 304,256 9,508 2,336,531 8,345 3,184,183 8,772 相談件数 (件) 1,425 130 6,630 166 6,807 213 55,866 200 70,728 195 がん入院患者数 (人) 2 3,873 2 ,170 148 ,577 3 ,714 7 4,678 2 ,334 724 ,376 2 ,587 971 ,504 2 ,676 相談件数あたり 相談支援費用 (円) 69,769 66,965 44,697 41,824 45,020 2.都道府県がん診療連携拠点病院のがん相談支援事業費内訳を確認すると、下表のとおりとなる。 (図2) (図2)がん相談支援事業費の内訳 事業費については主に、職員に対する給料、消耗品費等の需用費、業 務用パソコン等の備品購入、通信運搬費等の役務費及びそれらに含まれ 事業費 ない事業費(その他)に分類できる。内訳を見ると、給料が事業費の大 経費区分 割合 (千円) 半を占めており、給料以外の事業費については少額に留まっている。 566, 706 91 .8% 給料 がん相談支援事業については、職員が、がん患者やその家族から相談 需用費 20,9 34 3. 4% を受ける事業であるため、職員に対する給料が大半を占めることとなる。 備品 21,4 15 3. 5% 役務費 1, 884 0. 3% そのような観点からすると左図の結果については、事業の趣旨に沿った その他 6, 518 1. 0% 事業費内訳となっているものと判断できる。 合計 617, 457 10 0% なお、このような傾向は、職員 (図4)がん相談支援事業における によるがん患者のデータ登録が主 A大学病院の例 (図3)院内がん登録促進事業費の内訳 たる業務である、院内がん登録事 事業費 事業費 業でも見受けられる。 (図3) 経費区分 割合 経費区分 割合 (千円) (千円) しかしながら、一部の施設にお 410,437 84.6% 給料 6,144 34.9% 給料 いては、がん相談支援事業費のう 需用費 18,372 3.8% 需用費 3,198 18.2% ち業務用パソコンや複合機などの 24,074 5.0% 備品 備品 8,136 46.3% 役務費 1,453 0.3% 備品購入が、経費の大半を占めて その他 30,732 6.3% いる実施施設が存在している。 その他 109 0.6% 485,068 100% 合計 (図4) 合計 17,587 100.0% (注)図2、3は都道府県がん診療連携拠点病院の合計 がん相談支援事業については、 職員が電話、面談等により、がん 患者及びその家族からの相談に対 応するものである。 しかしながら、一部の施設にお いて、業務用パソコン等、備品の 購入が事業費の大半を占めている ものがあり、経費の支出が相談事 業の趣旨に沿っているとは言い難 い。 以上を考慮すると、事業の趣旨 に沿った国庫補助を行うために は、補助対象経費に何らかの基準 額の設定が必要と考えられる。具 体的には、事業の性質ごと(経費 区分ごと)に国庫補助の上限を設 定することが考えられるのではな いか。 なお、国庫補助の上限を設定す ることにより、実施施設ごとの、 事業費の乖離が是正されるととも に、実施施設において事業費が見 直され、その結果、国庫補助金額 の減少が見込まれる。