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印刷関連技術による偽造防止技術
第11回情報セキュリティ・シンポジウム 平成21年3月11日 印刷関連技術による偽造防止技術 独立行政法人 国立印刷局研究所 金子 英信 偽造者、偽造方法による分類 偽造者 手段 特徴 個人 パソコン 周辺機器 外観の偽造 組織 集団的規模 国家的規模 パソコン関連機器 真正品と同等水準 の技術 オフセット印刷機 (材料・装置) 市販材料・加工装置 各種偽造防止 要素技術の偽造 精巧な偽造 (例:スーパーノート) 行使 狭範囲 広範囲 規模 少量 大量 偽造手段の多様化・高度化(要因) 周辺技術の進歩 情報網の発達 ・ デジタル機器、商業用材料・装置 (低価格化、高性能化、普及・拡大) ・ 各種偽造防止技術の分析・解析 ・ WEB等を利用した不正情報拡大 (偽造用材料・装置、解析方法) ・ 国境を越えた犯罪組織の活動 国際化 (対抗技術) 偽造防止技術の 高度化 製品の用途を対象とした偽造防止技術の分類 1.群(グループ)判別・・・・・主に有価証券類を対象 銀行券、トラベラーズチェック、商品券、切手、印紙類等 ・一般の人が補助具、機械を用いず、直ちに判別できること。 ・機械処理によって、容易に検知できること。 2.個体判別・・・・・・・・・・・・主に証明書類を対象 (群判別と同時に個体判別) パスポート、ビザ、運転免許証、クレジットカード等 ・証明内容が真性であると容易に分かること。 製品用途に合った偽造防止技術の選択が重要。 認証レベルによる偽造防止技術の分類 認識レベル 項 目 Feel(さわ る) 第1レベル 五感による 真偽判定 第2レベル 補助具を用い た真偽判定 Look (見る/透か す) Tilt(傾ける) 偽造防止技術の効果 手触り感によって確認できる技術。 単純に見ること/透かすこと等によって確認でき る技術。 傾けることによって確認できる技術。 ルーペ、フィルタ、UVランプ等の判別補助具を使うことによって 確認できる技術。 第3レベル 機械による 真偽判定 機械により確認できる技術。 偽造防止技術の評価 第1認証レベル技術(人の五感による真偽判定)・・・・・・・・・・・・ 心理物理量 人の感覚をどのように数量化するか(色差、紙の風合い、手触り感) 人の感覚、知識の差が大きい。 第2認証レベル技術(補助具を用いた真偽判定)・・・・・・・・・・・・物理量、心理物理量 第3認証レベル技術(機械による真偽判定)・・・・・・・・・・・・・・・・物理量 ・偽造防止技術を評価するためには複製機器、新規材料の評価が重要 (技術の 進歩により、それまで一般に出来なかったものが、簡単に出来るようになる。また、 それまで一般的でなかった材料が、容易に手に入るようになる) 技術の進歩を考慮した相対評価 複製機器の種類(印刷機、プリンタ等)、手段に応じた評価が必要 周知の例(日銀券) 一般市民用の偽造防止 要素として、3つの項目に 集約して周知している。 さわる 透かす 傾ける 第1レベル 周知の例(ユーロ) FEEL LOOK (透かす) TILT 第1レベル 凹版印刷 銀行券等には凹版と呼ばれるインキの盛りが高い印刷が 用いられる。 印刷画線 すかし (E一万円券) (アメリカ100ドル券) 日本のすかしは、画像が精密でシャープである。また、階調も 豊かで輪郭がはっきりしている。 超細密画線 E1万円券 出典:日本銀行HP スレッド N IME C E SP (反射光) MEN I C SPE (透過光) 1973年 MEN I C SPE 1993年 イギリス5ポンド券 繊維混抄 MEN I C SPE 着色繊維(アメリカ100ドル券) レインボー印刷 ベタ部 細線部 レインボー印刷の画線状態 潜像模様 潜像効果(斜め) (正面) 潜像凹版(E一万円券) 潜像模様 パール 潜像凹版 潜像パール模様(E千円券) 潜像凹版の高度化例 潜像模様 潜像効果(斜め) E一万円券(正面) (正面拡大) パールインキ (E一万円券) (20ユーロ券) SP EN M I EC 光学的変化インキ アメリカ 100ドル券 D二千円券 500ユーロ券 ホログラム ポーランド200ズオチ券 E一万円券 シンガポール各券 偽造防止技術の評価(まとめ) (1) 第1認証レベル技術は人の五感による判定であるため、 心理物理量としての評価となる。 (2) 技術の進歩や新規材料の出現によって、偽造防止要素の 評価は変わる。そのため、技術の進歩に応じた相対評価が 必要となる。 (3) 複製手段の種類(プリンタ、印刷機等)によって再現機能、 再現品質は異なる。そのため、複製手段の種類に応じて、 それぞれの偽造防止要素の評価が必要である。