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2)生後3日間の初乳のほ乳瓶給与による誤嚥の注意点について

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2)生後3日間の初乳のほ乳瓶給与による誤嚥の注意点について
Ⅱ.出生からの子牛の飼養管理
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図12 ホルスタイン種乳用牛の初乳中 IgG 濃度のばらつき(GAY 1994)
②適切な量を給与する
子牛血清中の IgG 濃度が10mg/mℓを下回るとへい死率が著しく高くなる。血清
中の IgG 濃度を10mg/mℓ以上にするためには、体重が30kg の初生和子牛の場合は、
初乳が高品質(IgG 濃度が40mg/mℓ)で吸収効率を低めに見積もったとき、2ℓ
給与すれば血清中の IgG 濃度がちょうど10mg/mℓになる。生時体重が45kg 程度の
ホルスタイン種子牛であれば3ℓが適切な量になる。
つまり十分な免疫抗体を得るた
めには、出生後可能な限り早期に
2∼3ℓの高品質初乳を摂取させ
る必要がある。もし初乳の質がわ
からない、あるいは低品質初乳し
か入手できないのであれば、12時
間以内(できれば6時間以内)に
再び2∼3ℓ給与するとよい。
子牛の状態によっては、設定量
の初乳を飲めないことがある。こ
写真6 ストマックチューブによる強制投与
のような場合には、ストマック
チューブ等を利用して強制投与する方法もあるが、無理に飲ませず子牛が欲するま
で待つのも一つの方法である。ただしその場合でも6時間以内に全量を飲ませるよ
う、何回にも分けて根気よく飲ませることが必要である。
2)生後3日間の初乳のほ乳瓶給与による誤嚥の注意点について
初乳を哺乳瓶で給与するときに乳首由来の誤嚥性肺炎に注意が必要である。発生の原
因としては、スモールが乳首を吸い→エアー抜きが十分に開いていない→子牛が一生懸
命に吸う→哺乳瓶内が陰圧となる→ミルクの出が悪い→子牛は吸うのを止める→哺乳瓶
内に空気が一気に入り陰圧の解消→再度スモールが飲んだときに一気にミルクが流れ出
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る→一気に流れ出たミルクが肺に入り
込むことによる誤嚥が発生する。
子牛は母牛からミルクを飲むときに
は、尻を母牛の頭部に向け母牛がス
モールの体を支えるように寄り添う位
置で、のどを伸ばして飲む。(写真7)
子牛によっては上手に飲むのもいれ
ば、時間がかかり上手く飲めない子牛
写真7 母牛から直接飲む子牛
もいるが、乳首の形状と「エアー抜き
の穴」をチェックすることにより、誤
嚥の防止に注意したい。特に子牛が生まれてから3日間は大切な期間で、時間をかけて
ゆっくり焦らずに飲ますことがポイントになります。
3)代用乳について
⑴ 代用乳の基礎
①代用乳給与の基本
初乳を十分に給与した後は基本的には代用乳と人工乳および良質の乾草で飼養管
理することになる。
子牛の場合、飼料安全法で、脱脂粉乳を主原料とし液状に溶解して給与する飼料
を代用乳、固形状で給与する代用乳以外の配合飼料を人工乳と称しているのが一般
的である。いずれも概ね3ヵ月齢以内の子牛に給与する。
初乳から代用乳へ切り替わる際には子牛は下痢をしやすくなるので、一度に切り
替えるのではなく、代用乳に初乳を混ぜる等して子牛の状態を確認しながら徐々に
代用乳へ切り替えていくことが良い方法である。
代用乳の給与については、極力同じ人が同じ方法で、同じ時間に給与することが基
本である。
②代用乳の特性とその機能
子牛が液状の飼料を摂取すると食道の出口から第四胃へ直接流入する仕組み(第
二胃溝閉塞機構)が働き、第四胃の消化酵素によって消化・吸収される。
代用乳のタンパク質は、脱脂粉乳、ホエータンパク質、大豆タンパク質などで構
成されている。脱脂粉乳中のカゼインだけは、第四胃に分泌されるレンニンの作用
を受けてカード(凝乳化)を形成し消化酵素であるペプシンによって徐々に消化を
受けることになる。脱脂粉乳のタンパク質の消化率は概ね85∼95%程度と見積もら
れている。しかしながらホエータンパク質や大豆タンパク質はこのようなカードの
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