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資料3 第6回委員会において外国制度に関してご指摘いただい

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資料3 第6回委員会において外国制度に関してご指摘いただい
資料3
第 6 回委員会において外国制度に関して ご指摘いただいた事項について 1
イギリスにおける統計の諸課題への対応について
(1) 1980 年代~1990 年代前半の状況について(Bill McLennan 氏からの情報提供)
(2) 1990 年代以降の状況について(Stephen Penneck 氏からの情報提供)
2
フランスの国家統計情報審議会(CNIS)の内部構成について
3
各国の中央統計機関の長の資格要件等について
1
イギリスにおける統計の諸課題への対応について
(1) 1980 年代~1990 年代前半の状況について(Bill McLennan 氏からの情報提供)
1993 年から 1995 年までイギリス中央統計局(CSO)の局長を務め、その後オーストラリア統計局長を務めた Bill
McLennan 氏にイギリスにおける統計の諸課題への対応について照会したところ、イギリス統計制度の変遷及び
1980 年代から 90 年代にかけてのイギリスの中央統計局における統計改善の評価について、HP と文献を紹介いただ
いた。
イギリス統計制度の変遷 1940 年
政府社会調査局の創設
1941 年
中央統計局の創設(チャーチル首相の提唱による。)
1967 年
中央統計局の強化、政府統計サービス(GSS=Government Statistical Service)の制度の創設
1970 年
政府社会調査局と人口登録局を統合し、人口センサス調査局に改組
1980 年
Rayner 卿による統計制度見直し
(中央統計局の職員を 263 人(1979 年)から 200 人(1982 年)に縮減。)
1988 年
Stephen Pickford による政府統計の横断的見直し、中央統計局の機能強化を提言。
1989 年
経済統計局を中央統計局に統合、雇用省の小売物価指数と家計調査を中央統計局に移管。中央統計局を財務省に移管。(中央統計局は 170 人
から 1,000 人超に)
1991 年
中央統計局の根拠を与える文書として Framework Document を決定。
1993 年
「開かれた政府に関する白書」により政府統計の位置付けを明確化。
「・・・政府統計は、政府内だけでなく広く社会全体における議論、意思決定、研究などのために収集されるべきものである。・・・信頼できる社会・経済統
計を提供し、それに対する公共の信頼を維持することは政府の責任である。」
1995 年
雇用省の労働市場統計を中央統計局に移管。
1996 年
中央統計局と人口センサス調査局を統合し、国家統計局を創設。
統合の目的は次のとおり。
・統計の作成に関する助言や支援の役割を各省の政策部門に残すことを認めつつ、統計の収集・一次分析を集中化する。これにより、国家統計局長は、GSS の長
として、統計基準、分類、規範などを GSS 全体に徹底させやすくなると期待される。
・従前よりはるかに広い分野の統計活動を担当する国家統計局は、統計の優先順位の設定に対してより影響力を持つと期待される。その結果、GSS の管理・調整
がより容易になる。また、これによって、国の統計の不足する部分を明らかにし、それを満たすためのより強固な基礎が得られる。
・新たに誕生する組織の職員の技能の規模の大きさと幅の広さによって、政府内に存在する膨大な量のデータを統合して取り扱い、その相互関係を意味づけ、そ
れを政府全体や社会一般に対して提供していくことがより容易に実行可能となる。
2000 年
「国家統計のフレームワーク」の制定、統計委員会の創設
統計委員会の創設(統計委員会とは、どの省にも属さず、独立して政府統計の問題に関する客観的な意見を述べる助言を行う機関。
また、このフレームワークでは、国家統計局長が国家統計全体の調整を行い、統計の品質の向上、統計への信頼向上などに責任を負うこととされた。
[出典]イギリス 国立公文書館 National Archives のホームページ“Statistical Departments”に関する記述を基に作成。
(http://www.ndad.nationalarchives.gov.uk/AH/5/detail.html#note19)
1980 年代から 90 年代にかけてのイギリスの中央統計局における統計改善の評価 ものである。1980 年代後半、いくつかの統計系列において改訂が非常に
大きく、場合によっては系列の解釈を変えなければならないほどとなっ
た。
[出典]
Central Statistical Office “CSO Agency Review - Prior Options and
Evaluation Report” (April 1995) [説明]
2
英国議会の財務・公務委員会は、1988 年の第 4 報告において「財務省
は、政府統計が不満足な状態にあるために、経済に関して厳格な判断を
下す能力が大きく制約されている。」との懸念を表明し、これらの問題
はかなり重大であるので徹底的なレビューが必要であると指摘した。こ
れを受けて、政府経済統計に関するピックフォード検討委員会が国民経
済計算統計の収集に関する業務に関して信頼性を改善する観点から調
査を行うこととなった。この検討は、その後、中央統計局の拡充と政府
部局としての位置付けの確立につながった。
3
近年、中央統計局は政府統計 -特にマクロ経済統計- の品質及びそ
れに対する信頼の改善のために様々な方策を講じている。当評価チーム
に提出された意見によれば、そのような方向で大きな進歩があったとさ
れている。1993 年 7 月に公表された現行の「フレームワーク・ドキュメ
ント」(注 中央統計局の業務の枠組みを与える文書)及び「事業計画」
では、が統計の品質と有用性を改善し、統計に対する信頼を確立してい
こうとする中央統計局の意思が明記されている。当評価チームは、中央
統計局の実績を、統計の品質、その有用性及び統計の integrity の観点
から検討を行った。
4
1990 年 5 月及び 1991 年 11 月、大蔵大臣はマクロ経済統計の改善方策
(大蔵大臣提案)を発表した。これらの提案は速報の推計値の信頼性を
高め、統計上の不突合を縮小することを目指すものであった。これら提
案によりもたらされた変化はすでに明らかになっている。
・図1は、近年における GDP 成長率の改訂幅の縮小を示している。
・図2は、部門勘定の調整項目の改善の実績を示している。
・付録 C の表は、過去 6 年間の国民経済計算の実績評価指標を比較し、
改善が明らかであることを示している。
(訳注:図 1 及び図2のみ本資料の最終ページに添付した。
)
1991 年の大蔵大臣提案の影響はその後の公表数字にも及んでおり、今
イギリスでは、1988 年に Pickford 検討委員会により経済統計の見直しが行われ、そ
の指摘を踏まえて 1989 年に中央統計局(内閣府)と経済統計局(貿易産業省)とが統合
された。その後の成果を評価するために、1994 年にその後の実績の評価が行われ、その
結果として取りまとめられたのが上記の評価報告書である。
以下では、その中で、統合前後でどのように統計の品質が改善されたか評価をしてい
る部分を翻訳した。
第 3 章 品質と Integrity
1 1980 年代後半、イギリスのマクロ経済統計は品質が低いと一般に認識
されていた。中央統計局は、その統計の品質と integrity に関してメデ
ィア等からの批判の中心にあった。次の3つの分野について関心が持た
れていた。
・GDP の三つの推計の間の大幅な乖離
・部門勘定における調整項目の大きさと増加
・頻繁で大幅な改訂
(i)GDP GDP は、支出、所得、生産の 3 面から推計され、理論的にはこれらは
同じ結果を与えるべきものである。1980 年台の後半には、これら3つの
数字の乖離が目立って大きいことに懸念が高まった。特に 1988 年には
その乖離が大きかった。
(ii)調整項目(Balancing items)
それと同時に、部門勘定の調整項目が大きくなってきた。部門勘定の
調整項目とは、金融データから測定される金融資産の純取得と部門の収
支との差のことである。これらの調整項目は、いくつかの主要経済指標
に比べてかなり大きくなり、その数字を解釈するのが困難になっていた。
(iii)改訂
ほとんど全ての統計において、よりよい情報が得られた場合には改訂
されることがある。ある統計の改訂の記録は、当初の情報が、後で得ら
れるより信頼される情報に比べてどれだけよいものであったかを示す
後も更なる改善が明らかになると考えられる。
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近年、国民経済計算や国際収支の統計においていくつかの手法の改善が
行われた。その主なものとしては、1993 年-94 年にはじめられた経済
統計の収集の標準的方法があり、それは現在も継続している。季節調整
及びトレンド推計に用いられている手法は見直しが行われ、調査結果に
おける標本誤差、非標本誤差の影響の分析が始められた。時系列結果の
分析の一環として、中央統計局は季節調整法の世界的な専門家である
Estelle Dagum の協力を得ることとしている。
6
評価チームは、近年における着実な進歩を認め、今日までに達成された
品質の改善を歓迎する。しかし、この改善は経済統計の品質の低下した
1980 年代後半の比較的低いベースの下で達成されたものであることに
も留意している。したがって、今後行われるべきことはまだたくさんあ
る。このような見方は、この評価に寄せられた意見や提言でも支持され
ている。例えば、産業レベルのデータの品質の改善の要求、公表数字の
改訂と正確性に関する懸念なども見られる。例えば、British Invisible
「我々は、
の見解は、寄せられた多くの意見の中の典型的なものである。
統計のカバレッジと品質の改善という大きな進歩を歓迎する。・・・し
かし、まだ多くのことが行われなければならない。」
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中央統計局は、統計の早期公表にも注意を払っている。例えば、中央統
計局は次のような公表を行っている。
・各四半期の 3 週間半後に GDP 成長率の暫定推計値を公表。
(従前より 4
週間早い。)
・GDP の支出、生産、所得の内訳を 7 週間半ないし 8 週間後に公表。
・国際収支及びすべての部門勘定を含む国民経済計算を 11 週間半から
12 週間後に公表。部門勘定は、国民経済計算の他の統計と同時に得られ
るようになり、大きな改善が図られた。
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いくつかの月次公表値でも改善が図られた。最も重要なのは、生産指数
(1992-93 年に 1 日早期化、93-94 年にさらに 1 週間早期化。)である。
このほか、家計支出、経済動向、地域動向の公表も早期化された。
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これらの改善は各方面から歓迎された。実業界のある代表は「改善の著
しい分野は統計公表の早期化である」と感じている。しかし、ここでも、
賞賛がある一方で、さらなる改善も求められている。例えば、資本支出
調査と国際収支についてはさらなる早期化の要請があり、また、その他
いくつかの年次の調査についてもより早期の公表が要請されている。当
評価チームの結論は、イングランド銀行からのコメントにより適切に要
「多くのことがなされたが、さらになすべきことも多くある。
」
約される。
(以下省略)
(2) 1990 年代以降の状況について(Stephen Penneck 氏からの情報提供)
現 ONS 国民経済計算部長の Stephen Penneck 氏にイギリスにおける統計の諸課題への対応について照会したところ、メールにて以
下のとおり情報の提供を頂いた。
過去 20 年間のイギリスの官庁統計の歴史は、統計調査の業
務を順次中央統計機関に統合していくものでした。その中で、
国民経済計算は重要な原動力となってきました。1990 年以前
には、企業関係の統計調査は各産業分野に関する政策を担当す
る部門により行われ、社会調査は人口センサス・調査局により
行われていました。1980 年代後半に国民経済計算の諸問題が
生じた後、Pickford 氏らによる見直しが行われ、企業関係の
調査は貿易産業省から中央統計局に移管するよう提案されま
した。これは 1990 年代初めに実施されました。これによって、
特にサービス分野の統計について、国民経済計算を原動力とす
る改善が進みました。
その後、雇用省の作成する雇用関連統計の整合性が問題とな
り、その結果、それらの統計は中央統計局と人口センサス・調
査局を統合して新たに設置された ONS(国家統計局)に移管さ
れました。この新組織は、大半の政府の統計調査を行い、また、
全産業をカバーする省庁間共用ビジネスレジスター(企業デー
タベース)と企業共通の年次企業調査を通じて更に統計の統合
化が進められました。ONS は現在、全ての調査に共通の IT 基
盤で共通のシステムやツールを適用する「統計近代化計画」に
着手し、相乗効果と効率性を高めるようにしています。
これらの経緯の詳細については、次の文献を参照してくださ
い。
統合化された経済統計システムの整備 - 過去の経験から学ぶ -(抄訳)
イギリス国家統計局統計アウトプット部門グループ長 スティーブン・ぺネック
Developing Integrated Economic Statistical Systems Learning from the Past -
(Paper for UN Workshop on Economic Censuses, July 2005)
By Stephen Penneck Director, Statistical Output Group, Office for National Statistics レイナーによる見直し
ートするウェイトと詳細な構造統計をすることが主な役割であった。ピック
1981 年のレイナーによる見直しによって、政府の統計予算は 25%削減され
フォードは、年次生産センサスと雇用センサスとで雇用の推計にギャップが
た。これにより、政府は「統計調査の費用と回答の負担は必要不可欠の限度
あり、1980 年代半ばには 10%にも達していることを指摘した。同時に、アー
を超えている」と結論づけた。これがいわゆる「レイナー・ドクトリン」で
ムストロング・リーズが 1989 年に行った貿易産業省に関する見直しでは、調
あり、これにより政府統計の唯一の利用者は政府であるとして位置づけられ
査コストと回答負担への懸念のため、ACOP のサンプルサイズと 16,000 から
た。これを受けて、雇用センサスの調査周期が毎年から 3 年毎にされ、サン
13,000 に減らし、商業・サービス業調査にローテーションサンプリングを導
プリングが導入された。また、四半期売上高調査が縮小されたほか、年次生
入することを提案した。
産センサスにもサンプリングが適用され、商業、サービス業の調査の調査周
1991、92 年に実施された経済統計の改善(大蔵大臣イニシアティブと呼ば
期は年次から 2 年毎とされ、節約がはかられた。レイナーによる削減は経済
れる)は、四半期 SNA の精度改善をねらいとして短期調査について注目して
統計の質に大きな影響を与えた。
おり、サービス業の新調査の開始、国際収支統計の改善が進められた。90 年
代初頭、このイニシアティブの結果、経済統計の著しい改善が見られた。し
1990 年初頭―見直しと開発
かし、中央統計局の企業調査については効率性や効果の点で問題が残った。
1980 年代後期、国民経済計算の不突合が拡大した。それにより生じた不確
多くの調査は長期のうちにアドホック又は実務的にばらばらに開発された。
実さは政策判断を誤らせ、経済の過熱を許したと考えられた。ピックフォー
それぞれの個別統計をレビューするメカニズムは十分確立されていたが、統
ドによる報告では、経済統計の抜本的改革及び経済統計局の中央統計局への
合性、整合性の確保や標準化を進める観点から調査全体としてレビューが行
移管を提言した。その意図は、国民経済計算を経済調査の重要な利用者と位
われる仕組みはなかった。中央統計局はこの分野について効率性に関するレ
置づけ、統計整備の原動力を与えることであった。
ビューを行い、その結果を 1993 年 11 月に報告した。
ピックフォード報告の主眼は短期指標の改善にあり、年次構造調査にはあ
そのレビューでは、いくつかの重要課題を検討した。具体的には、標準化、
まり言及していなかった。当時、年次調査は SNA の 5 年毎の基準改訂をサポ
ベストプラクティス、調査と専門性の統合などである。この検討では、標準
的な手法、運用、共通の定義、共通調査処理ソフトウェアを提言した。また、
ームは、カットオフサンプリングから層化ランダム抽出に切り替えられた。
単一の SNA 調査を提言したが、四半期ごとの調査は費用を報告負担がかかり
調査・データ収集の面では、調査票読み取りや電話調査に関する新技術の
すぎるとして採用されなかった。さらに、国民計算分野で行われている調査
活用や中央データベースによる回答者の情報の共有が可能となった。このよ
のさらなる統合を視野に入れ、データ収集から調査結果公表まで一貫して中
うな動きは、データ入力が大規模に統合されてこそ可能になったものである。
央統計局内の単一の組織が行うべきと主張した。さらに、データ収集は、分
業務の統合と新技術の活用により、
データ入力では約 40%の節約が達成され、
野横断的に、効率性を最大化し、共通の運用を広めるよう統合されるべきで
調査回答者との関係も大幅に改善された。調査・データ収集を単一の管理体
あると提言した。
制下に置くことにより、共通の処理と作業方法が実現された。従来よりも大
このレビューに続いて、異なる企業調査の間で実施方法を調和させるため
きなチームが複数の調査を担当することにより、ワークフローをよりスムー
の技術開発が集中的に行われた。この動きは、新たな国家統計局が経済調査
ズにすることができ、より高い効率性が得られた。この段階で、データ確認
と雇用調査の両方を担当するようになったことと省庁間共通ビジネスレジス
の自動化が行われ、単純な誤りは自動的に訂正されるようになった。
ター(注 IDBR。企業調査用の母集団情報データベース。
)が整備されたこと
によって実現したものである。1995 年に稼動を始めた IDBR は、イギリスの
国家統計局の創設
多くの企業調査の標本フレームを調和させるための初めて本格的な施策であ
1996 年、経済統計の責任を有する中央統計局と、センサスなどを各種調査
った。それまでは、中央統計局は付加価値税の情報に基づく登録簿(レジス
及び人口登録を担当する人口センサス調査局が統合され、国家統計局が創設
ター)を用い、雇用省は国税庁の情報源を用いていたため、不整合があった。
された。また同じ時期に、雇用省の担当であった雇用及び賃金統計も移管さ
IDBR により、サンプリングの改良と調査に回答する企業のサーベイ・ホリデ
れた。組織の強化により、共通の戦略ビジョンが確立され、統合化を推進す
ーが可能となった。
(注 サーベイ・ホリデーとは、調査対象を定期的にロー
るためのマネジメント能力が高まった。従来の各省・各部門ごとに調査を管
テーションすることにより、企業が一定の期間、調査対象から外れること。
)
理する体制では、新しい手法を開発するのが難しかった。各省・各部門では
1990 年代半ばには、調査は共通のソフトウェアにより、標準化された方法
手法開発のチームを編成することができず、経済調査の手法開発は部分的か
で行われるようになった。時間の制約があったため、ベストプラクティスの
整備やすべての業務の調和までは行われなかった。統計集計システムの上で
最も重要な動きの一つは、年次生産センサスのシステムを 1995 年に SAS(注
統計パッケージ)に切り替えたことである。これによって、集計の課程で、
カナダ統計局の開発した推計及びウェイト付けの技法などの統計技法を適用
することが可能となった。それ以前には、年次生産センサスの処理は、統計
処理ではなく単なる数値処理によっていた。これと同時に、標本設計のスキ
つ不均衡なものであった。
ONS の創設により、以上のような業務推進への拍車がかかった。
2
フランスの国家統計情報審議会(CNIS)の内部構成について ③
①
⑥
① 審議会(Conseil)
・ 経済大臣が議長を務め、177 人の委員から構成(うち 14 人は現在空席)
・ 年 1 回開催
② 小委員会(Formations)
・ 分野ごとに 13 の小委員会(農業、商業・サービス、人口動態、教育、雇用・
所得、環境、産業・食品産業・エネルギー、金融・財政、保健・社会保障、地方
統計、生産体系、輸送・観光、都市計画・施設・住宅)を設置し、各々年 3 回開
催される。
・ 小委員会ごとに約 100 人程度から構成され、全体では 1,700 人を超える。
③ 執行委員会(Bureau)
・ 運営管理・調整業務を担当
・ 15 人から構成される(国立統計経済研究所長、経済企画庁長官、フランス銀
行総裁、産業界代表 5 人、労働界代表 5 人、CNIS 委員のうち 2 人(うち 1 人は
CNIS の副議長であり、執行委員会の議長を務める))
④
②
⑦
④ 事務局(Secrétariat général)
事務局長は INSEE の調整担当部長が兼務
⑤ 作業部会(Groupes)
特定の課題が生じた際に設置
⑧
⑤
⑥ 統計調査審査委員会(Comité du label des Enquetes Statistique)
・ 4 つの部会から構成(農業調査部会、自治体調査部会、企業調査部会、家計調
査部会)
・ 部会はそれぞれ 10 人程度から構成される。
・ 統計作成者が実施する統計調査について、必要性や品質の確保の観点から審査
を行う。
⑦ 義務的統計調査訴訟委員会(comité du contentieux des enquêtes statistiques
obligatoires)
・ 経済担当大臣が議長を務め、委員 35 人から構成される。
・ 年 2 回開催され、調査対象者が調査を拒否した場合の審査を行う。
⑧ 統計秘密保護委員会(comité du secret statistique)
・ 年 3 回開催され、統計に係る秘密保護に関する審議を行う。
⑩
⑨
⑨ 経済学・社会学用語国家委員会(commission nationale des nomenclatures
économiques et sociales)
⑩ 国勢調査評価国家委員会(commission nationale d'évaluation du recensement
de la population)
(出典:CNIS のホームページ等)
3 各国の中央統計機関の長の資格要件等について ○ アメリカ
・ アメリカ合衆国法典第 44 編第 35 章「連邦情報政策の調整」に
おいて、大統領府行政管理予算庁に置かれる首席統計官の任命に
ついて、
「本節に示された任務を遂行するよう、訓練され、経験を
積んだ専門家である首席統計官を任命すること(appoint a chief
statistician who is a trained and experienced professional
statistician to carry out the functions described under this
subsection)
」との規定が設けられている。
・ 現在の首席統計官である Katherine Wallman は、国際統計協会
やアメリカ統計協会の会員であり、1992 年にはアメリカ統計協会
の会長も務めた経歴を持つ。
○ イギリス
・ ONS (国家統計局)の権限、目的等を定めている Framework
Document には、国家統計局長の資格要件等に関する規定はない。
・ 統計委員会及び国家統計長(National Statistician)の設置を
提言した「White Paper on Statistics – Building Trust in
Statistics (1999)」において、
「政府は総合的な専門性を持った
者を国家統計長に任命し、ONS の局長を兼ねさせるとともに、政
府の政策に関する提案について、大蔵大臣や各省大臣の相談相手
を務めさせるべき」との指摘がなされている。この提言に基づき、
第 2 代国家統計局長である Len Cook が国家統計長に任命されてい
る。
・ 初代の国家統計局長である Tim Holt(在職期間:1996-2000.5)
は公募によって任命された。現在はサザンプトン大学の社会統計
学の教授を務める。
・ 第 2 代国家統計局長である Len Cook(在職期間:2000.5-2005.8)
は、1992 年から 2000 年までニュージーランド政府の Government
Statistician を務めている。
・ 現在の国家統計局長である Karen Dunnell(在職期間:2005.9-)
は内部登用。
○ フランス
・ INSEE の所長の資格要件等が法定されているかどうかは確認でき
なかった。
・ IMF が 2003 年に作成した ROSC(Report on the Observance of
Standards and Codes)において、
「INSEE には、civil service codes
や related practices は存在するものの、職員に倫理上の基準に
従わせるための明確な命令は存在しない。他方、職業意識や独立
性は統計を作成する上での必要条件であるとする確立された伝統
は存在している。これは、INSEE の所長が Council of Ministers
によって任命されたとしても、慣習によって政権の任期を超えて
在職し続けることがよく例証している」との記述がある。
・ INSEE が発行した「Courrier des statistiques, English series
no. 9, 2003」の中で、「Edmond Malinvaud(注)が 1997 年に記し
た『中央政府機構における統計的経済的研究機能』という報告書
の中で、『独立性と倫理は法令によって規定されているものでは
ない。行政上の権力者や管理スタッフ、そして雇用者たちの実践
を通じて長い間積みあがってきたものである』と書かれている」
との記述がある。
(注)Edmond Malinvaud:著名な経済学者であり、1974年から1987
年までINSEEの所長を務めた。
・ 現在の所長であるJean-Michel Charpinは、かつて国立統計・経
済管理学校(ENSAE)で学んでいる。また、国立高等工芸学校(l’Ecole
centrale)の経済学の教授と国立行政学院(ENA)の国際経済学の
教授の経歴を持つ。
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