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フラットパネルディスプレイの人間工学シンポジウム2008 第二グループ 動画像/TVの視覚特性 (講演番号2B) 動画解像度 2008年3月7日 川原 功 * ** * (株) 次世代PDP開発センター ** 松下電器(株) Advanced PDP Development Center Corporation **Also an APDC Representatives for Panasonic Outline 1. 開発の動機・背景 2. APDC方式の特徴 3. 主観評価手法 4. 機械測定システムの開発 5. 測定結果例 6. ディスカッション 1 動画解像度とは? ディスプレイなどの古典的かつ最新の解像度性能指標 サイン波バーストをスクロールさせて、解像限界を評価 単なる画素数と同じではない 動画での精細度指標 動画でのディテールの表現力の指標 単位としてテレビ本(600本などと簡易表記) (ミリ秒は用いない) パーフェクトスコアは1080本(フルHDシステム) 1.開発の動機・背景 FPDはすでに市場のテレビの主流 動画での「解像度」が不十分なFPDの存在 「解像度」:情報ディスプレイとして最も重要な性能指標 テレビは動画がほとんど 正確・汎用の、わかりやすい評価方法が存在しなかった 2 従来手法の課題 画素数(XGA, FHD,etc) Î 静止画のみに通用する指標 Gray to Gray Î デバイス単体の応答速度の評価 (表示性能の評価ではない) MPRT Î 1) ステップ応答のみの評価 (テスト波形が単純すぎる) 2) デバイス性能と視覚特性を混同 MPRTでの課題(1) テスト波形が単純すぎる MPRTは、全画面中一回だけの輝度変化に対する応答を測定 画面全体 明 暗 (輝度レベルの変化) 3 自然画像のテクスチャーはもっと複雑 Images: Courtesy of ShibaSoku Co., Ltd 自然画像のテクスチャーはもっと複雑 Images: Courtesy of ShibaSoku Co., Ltd 4 MPRTでの課題(2) デバイス性能と視覚の混同 (遠) あまり ぼやけていない 視距離によって、ぼやけ 感は変化する (近) かなり ぼやけている 「ぼやけ感」は視距離・視力等に依存しており、 デバイス単体の性能の表現には不適 (観測位置が変わっても、デバイスの性能自体は本来不変のはず) 2. APDC方式の特徴 APDC方式動画解像度における配慮 低域から高域までの広範囲の応答性能を測定 「くさび」ではなく「スタック」にして、実用的精度を向上 複数のレベル・コントラストをチェック デバイス依存性の解消 見た目との相関を確保 視距離・視力の影響排除(視距離フリー) 5秒/画面の速度、オーバーサンプリング手法の導入 5 拡大 3. 主観評価手法 APDC Test Chart (No.1) H 見やすく、安定に・・・が狙い z 4周期のサインバースト z くさびではなく、バーストの積み上げ z 9 レベル (背景3レベル x コントラスト3種類) : → さまざまな動画コンテンツが評価できるように、9種類のレベルを用意 5秒/画面の決定 Scene Descriptions Panoramic Panning in Span Drama Shows 16 8 5 Sports Programs 4 3 Fast Caption 2 [sec/screen] 遅い 早い 画面を横断するのに要する秒数 [sec] TV番組コンテンツの調査から、速さの代表値を定義 5 sec ≈ 6.5 ppf [per screen] [pixel per field] 6 オーバーサンプリングによる精度向上の工夫 6.5 pixels per field : 連続する2フィールドを利用しオーバーサンプリングを行う Appearance on 1080 Matrix Displays 550 900 1080 [ TV lines ] Normal Sampling 550 900 1080 (6.0 ppf) [ TV lines ] Double-Rate Sampling (6.5ppf) (6.5 ppf) 等価的にサンプリング密度が2倍になり、あらゆる解像度 でパターンが見やすくなり、評価の精度が向上する。 主観評価の手順 評価画像を5秒(6.5ppf)でスクロール 4本線が識別できる最大値を読み取る。低解像度か ら判定を行い、最初に解像しなくなった時点で失格 9パターンの結果を平均する 参加者全員の平均値をとる z 視距離、画面サイズの規定は ? z 照明条件は ? z CSF (Contrast Sensitive Function) は 使用しないのか? Discussion 7 4. 機械測定システムの開発 追跡カメラシステム 回転ミラー内蔵、約12倍の撮影倍率 “MR2000ベース” カメラコントローラ カメラ信号前処理 etc… 信号発生器 APDCパターン、サブピクセルスクロール機能 PC MATLAB インストール ソフト - 専用解像度分析ソフト (APDC開発 、プログラムはMATLAB言語で記述) APDC Test Chart (No.2) 8 画面のスナップショット 5. 測定結果例 300 TV-lines (Full-HD) 350 TV-lines 900 TV-lines Display A OK 300 TV-lines OK 350 TV-lines OK 900 TV-lines 450 TV-lines Display B (60Hz FPD) (Marginally) OK 300 TV-lines (Not Readable) NG 350 TV-lines (False Resolution) NG (Not Readable) 550 TV-lines NG 600 TV-lines Display C (120Hz FPD) OK OK OK (Not Readable) NG 9 測定結果例のまとめ Full HD W-XGA XGA Pixel Count Display A Display B (60Hz FPD) 1920x1080 1366x768 1024x768 > 900 > 720 > 720 <= 300 <= 300 - Display B (120Hz FPD) ∼ 600 ∼ 600 [ TV lines ] (主観評価と機械測定で同様の結果) 自動判定:フーリエ解析を基本にした信号処理 キャプチャー画像と波形 輝度波形には多数のピークや谷が存在 し、単純なピーク検出は不向き ÎShort Term Fourier Analysisによる周波数領域での解析 Î結果として、主観評価とよく一致 10 6. ディスカッション 視距離の定義は必要か 精度の見積もり MPRTとの比較 Why Moving Picture Resolution? ディスカッション 1: 視距離の定義は必要か? 視距離は実質的にフリー (視力に合わせ、どこまで近寄ってもよい) (ただし、明視の距離 約25cm 以上) Î自動的に、観測者の視力・画面サイズ、部屋の明るさ などの条件がキャリブレーションされる。 Îいくら近づいても、解像していないものが見えてくるこ とはなく、観測者の視力に応じて、より近くで見てもよい。 ÎCSFによる補正は不必要 (付録1.で説明) 11 ディスカッション 2 : 精度の見積もり Why Moving Picture Resolution? 解像度の刻み 絶対誤差 50 テレビ本 (5% FS) 50 テレビ本 以下(5% FS以下) 50テレビ本の根拠 参考文献 CIPA DC-003-2003 デジタルカメラの解像度測定方法 Resolution Measurement Method for Digital Cameras CIPA:有限責任中間法人カメラ映像機器工業会 ディスカッション 3: MPRTとの比較 直感的、分かりやすい(画素数との関連づけが可能) 見た目に近い結果(特に細部の表現力) 測定対象がLCDに限定されない 主観評価・機械評価の両方が可能(両者の高い相関)、 MPRTは主観評価が困難 ディスプレイの性能と視覚特性が分離して評価できる 12 付録1. リニアスイープでの新事実発見 リニアスイープを用いて、新たに得られた知見: 適正スケールのリニアスケールでは、CSFは観測されない。 (ログスケールで観測していたものは面積平均輝度と推察) New Findings through a linear sweep (Right): No CSF is observed through a linear sweep of right scale. (Average luminance of a certain area can be a cause of what was believed to be CSF.) 付録2. 国際標準としての動画解像度 動画解像度 : FPDのための新たな業界基準 各方面からの関心・サポート ICDM* での標準化を提案中 * The SID International Committee for Display Measurement 13 付録3. 参考文献 [1] I. Kawahara, “New Method for Measuring Moving Picture Resolution Suitable for Various Types of FPD”, EuroDisplay2007, S94, pp165-168 (2007) [2] I. Kawahara, et al, "Measurement and Evaluation of Moving Picture Resolution: From Milliseconds to TV-Lines", IDW'07, VHF1-1, (Invited Paper), (December 6, 2007) [3] Electronic Journal 2007年12月号 P136-137,「見た目に近い動画評 価基準を開発 主観と機械の2つの評価法に対応」 [4] I. Kawahara, "Measurement of Moving Picture Resolution for Displays Using Scrolled Sine-Bursts", to be presented at SID2008, session 10.4, March 20th, 2008 , Los Angeles, USA. (発表予定) まとめ 新評価指標:動画解像度の開発背景紹介 APDC方式の特徴 測定結果例 ディスカッション etc. (CSFに関する新事実の報告を含む) 国際標準として推進を計画中 Thank you. 14