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八代利之 - 日本有機農業研究会
房総半島の最南端にある南房総市は、黒潮の影響をうけ、温暖 な気候に恵まれている。私の集落は、温石川の源流から両岸に 戸が点在する山村です。 「全員が鶏を飼う」決まりがあり、 羽のヒヨコを育てること になりました。指導者は生産グループ代表の古宮政義さんの祖父 1975年に三芳村安全食糧生産グループ(当時代表和田博之 氏)に入会させていただき有機農業をはじめました。 80 年前、山の煙を里山に呼び戻したい思いで炭窯をつくった。 窯に入れる材料は、雑木、間伐材、竹林の間伐したものです。 肥マルチとして使用しています。 肥づくりが進行しています。堆肥はすべて地域からのもので、堆 は、元気に育ち、命ある卵を産み、安心な自家鶏糞と有機物で堆 加え積んでおくと発酵の熱を感じます。手作り小屋の中で鶏たち い方へ集まりますので、それを堆肥場へ運び、米糠、粉炭、水を みます。鶏の習性もあって、それらをかき散らします。徐々に低 私は緩やかな傾斜畑に鶏舎をつくりました。高い所へ堆肥の素 材であるもみがら、切藁、野菜くず、雑草、落葉、粉砕木等持込 さんで、長い経験で得た技術情報を提供して下さいました。 50 ンコ病で病んでいたブドウが良い実をたくさんつけるようになり れ、独特の匂いが野原にまき散らされます。これまで虫害とウド す。 窯 の 煙 は 植 物 を 元 気 に す る と 言 わ れ ま す。 炭 化 が 進 む に つ っ 黒 に な っ て い る 鶏 も い ま す。 灰 も 沢 山 出 ま す の で 畑 に 使 い ま 炭は暖房等の燃料として使用し、ほかは粉炭に加工します。粉 炭を鶏小屋に置くと良く食べます。鶏糞も黒くなり、体じゅうま 12 八代利之 千葉県南房総市 自家鶏糞で安全な肥づくり、12 年前から炭焼きも 堆肥小屋 ←動植物を元気にする炭窯の煙 エサをついばむ初生ひな→ ました。煙から取れる木酢は、育苗 箱の除菌に役立っています。 有 機 農 業 の 領 域 は 大 変 広 く 深 い。 大切な水は、里山の産物であり、木 材、 竹 等 の 資 材 も 山 林 か ら 得 て い る。 年間に1000人の人たちが そんな想いの中で農業をはじめ炭 焼き、里山等の現場で、1993年 から 私は、 年前に会社をやめて「農業をやってみたい」と言った 長男弘樹へ経営移譲した自分は幸せ者と思う気持ちを、有機農業 げてゆきたいと考えます。 先人がご苦労された思いをちょっぴり味わいながら、知恵と工 夫で生み出す可能性に常に挑戦することで安全な食料自給につな に千葉県農業賞をいただきました。 研修に来られたことで、2004年 10 1939年、南房総市生まれ。宮城県農業短大卒業、農林業に専念。 1975年、三芳村安全食糧生産グループ入会。 自然循環による安全な食べ物づくりを目標とし、作物をつくり、木を育て な が ら、 水、 環 境 に 関 心 を も ち「 安 全 な 食 べ 物 を つ く っ て 食 べ る 会 」 の 方々と研修、交流を重ねながら地元小学生等の体験も受け入れてきた。 2004年、千葉県農業賞をいただく。 千葉県南房総市珠師ヶ谷189 八代利之プロフィール と良い環境づくりに向けてやってゆきます。 10