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141 第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援 第2 部

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141 第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援 第2 部
第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援
(第1節 困難な状況ごとの取組)
国各地で,街頭での声掛け等の非行防止活
なお,児童養護施設等を退所し就職をした
動,地域で非行問題等を話し合うミニ集会
ものの仕事が続かない子ども・若者や住居等
等を実施・推進しており,今後とも,地域
生活の基盤が確保できなくなる子ども・若者
の子ども・若者育成支援に携わる機関や団
に対し,社会的に自立した地域生活を営むこ
体が幅広く連携し,地域が一体となって,
とができるよう,施設退所児童等アフターケ
多様な活動の機会や場所づくりを進めるこ
ア事業によりきめ細かな支援を行っている。
ととしている。
文部科学省では,子ども・若者の活動拠
点として求められる機能など地域社会全体
での立ち直りを支援する体制づくりを行う
事業や,立ち直りのための活動を円滑にす
すめるための方策等新たな社会活動の場を
開拓する取組を推進している。
6 外国人等特に配慮が必要な子ども・若者の
支援
⑴ 外国人の子どもの教育の充実等(内閣府,
文部科学省)
義務教育段階にある外国人の子どもについ
ても,公立の義務教育諸学校へ就学を希望す
る場合には,国際人権規約等に基づき,日本
保護者のいない児童や保護者から適切な監
人児童生徒と同様に無償で受け入れており,
護を受けられない児童等が健やかに成長でき
教科書の無償配布及び就学援助を含め,日本
るよう,指導・支援の単位の小規模化等を推
人と同一の教育を受ける機会を保障している。
進し,児童養護施設等における処遇の向上に
努めている。
また,家庭的な環境の下で児童を養育する
「里親制度」についても,里親への委託を推
文部科学省では,外国人の子どもを公立学
校へ受け入れるにあたって,
① 外国人児童生徒等に対して日本語指導を
行う教員等の加配
進し,里親家庭への支援体制の充実を図るた
② 日本語指導者等に対する研修の実施
め,平成20年度から「里親支援機関事業」を
③ 就学ガイドブックの作成・配布
実施し,里親と関係機関との連絡調整,里親
④ 学校における外国人児童生徒の受入体制
家庭への訪問支援,里親による相互交流の促
の在り方や不就学の外国人の子どもに対す
進など,里親への子どもの養育に関する支援
る就学促進に関するモデル事業
や里親制度の積極的な普及啓発等を総合的に
を実施してきている。
実施している。さらに,里親制度を普及させ
また,平成22年度から,
るための CM を流したりするなど,広く里
① 就学前の外国人の子どもへの初期指導教
親制度の周知が図られるよう広報・啓発活動
室(プレクラス)の実施など,外国人児童
にも努めている。
生徒の公立学校への受入体制の整備を支援
⑶ グループホーム等の居場所づくり(厚生労
働省)
する補助事業(帰国・外国人児童生徒受入
促進事業)
児童養護施設等を退所した後に就労・自立
② 教員を中心とする関係者が,外国人児童
を目指す子ども・若者が生活できる自立援助
生徒に対して適応指導,日本語指導を行え
ホームの拡充を図っている。また,児童養護
るような環境づくりを支援することに資す
施設の本体施設の支援の下,地域社会の民間
る取組(外国人児童生徒の総合的な学習支
住宅を活用して,近隣住民との適切な関係を
援事業)
保持しつつ,家庭的な環境の中で養護するグ
を実施している。
ループホーム(地域小規模児童養護施設)を
さらに,景気後退により,自宅待機・不就
計画的に整備している。
学等になっているブラジル人等の子どもに対
141
第2部− 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章
⑵ 要保護児童の居場所づくり(厚生労働省)
第2部 子ども・若者に関する国の施策
して,日本語などの指導や学習習慣の確保を
個々の求職者のニーズを踏まえた綿密な支援
図るための場を設け,主に公立学校への円滑
を行っている。
な転入ができるようにする「定住外国人の子
さらに,定住外国人が多く集住する都道府
どもの就学支援事業」を緊急措置として平成
県において,訓練の受講に当たって一定の日
21 年 度 か ら 3 年 間 の 予 定 で 国 際 移 住 機 関
本語能力を有する者に対して,その日本語能
(IOM)において実施しており,平成22年度
力等に配慮した職業訓練を実施している。
については42件(39団体)が採択され,事業
⑶「日系定住外国人施策に関する基本指針」に
を実施している。
沿った施策の推進(内閣府)
平成21年12月に,有識者等の協力を得て,
日本人の子孫として我が国と特別な関係に
定住外国人の子どもや留学生を含む外国人に
あることに着目してその受入れが認められ,
対する日本語教育や就職支援等の課題につい
我が国に在留する,ブラジル人,ペルー人を
て意見交換等を行うために,中川文部科学副
中心とする日系人及びその家族(以下「日系
大臣主宰のもと,「定住外国人の子どもの教
定住外国人」という。)について,日本語能
育等に関する政策懇談会」を設置した。
力が不十分であることなどから再就職が難し
平成22年5月,本懇談会の意見を踏まえ,
く,生活困難な状況に置かれる者が増加した
喫 緊 の 課 題 と し て ,日 系 人 等 の い わ ゆ る
こと等を踏まえ,平成22年8月31日に,内閣
ニューカマーと呼ばれる外国人の子どもの就
府特命担当大臣(定住外国人施策)を議長と
学や留学生に対する日本語教育等に焦点を
し,関係省庁の副大臣等で構成される「日系
絞って,今後の政策のポイントを取りまとめ
定住外国人施策推進会議」において,日系定
た。政策のポイントでは,特に義務教育段階
住外国人を日本社会の一員として受け入れる
において,「入りやすい公立学校」を実現す
ための,国としての体系的・総合的な方針で
るため,
ある「日系定住外国人施策に関する基本指
① 日本語指導の体制の整備
② 定住外国人児童生徒が,日本の学校生活
に適応できるよう支援体制の整備
針」を策定した。
「日系定住外国人施策に関する基本指針」
は,日系定住外国人施策の基本的な考え方と
③ 公立小中学校へ入学・編入学する定住外
して,「日本語能力が不十分である者が多い
国人児童生徒の受入れ体制について,制度
日系定住外国人を日本社会の一員としてしっ
面の検討を含め,環境整備を行うととも
かりと受け入れ,社会から排除されないよう
に,上級学校への進学や就職に向けた支援
にすることが必要である」とし,日本語習
の充実
得,子どもの教育,就労,情報提供等の施策
を図ることとしている。
の具体的な方向性と,国として今後取り組む
⑵ 定住外国人の若者の就職の促進等(内閣府,
又は検討する施策を記載しているところであ
厚生労働省)
日系人を始めとする定住外国人の若者の就
職を促進するため,日系人が集住する地域を
る。
⑷ 性同一性障害者等(法務省,文部科学省,
各省庁)
管轄するハローワークによる日系人就職支援
法務省の人権擁護機関では,「子どもの人
ガイダンスを実施するとともに,ガイダンス
権を守ろう」,「外国人の人権を尊重しよう」
出席者を対象とした職業意識啓発指導,職業
のほか,「性同一性障害を理由とする差別を
指導等,個別の就職支援を実施している。
なくそう」及び「性的指向を理由とする差別
また,就職意欲が高い日系人等に対し,早
をなくそう」をも年間強調事項として掲げ,
期の就職を実現させるため,担当制による
1年を通して全国各地で,講演会等による啓
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第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援
(第2節 子ども・若者の被害防止・保護)
発活動を実施している。
文部科学省においては,性同一性障害のあ
度)の妊婦健診を受けられるよう,公費負担
の拡充を図ったところである。
る児童生徒への対応について,学級担任や管
また,妊娠や出産等の悩みを抱える方に対
理職を始めとして,養護教諭,スクールカウ
して,訪問指導等の母子保健事業を活用した
ンセラーなど教職員等が協力して,児童生徒
支援や,保健医療施設等の相談者が利用しや
の実情を把握した上で相談に応じるととも
すい施設において実施する女性健康支援セン
に,必要に応じて関係医療機関とも連携する
ター事業を通じ,相談体制の充実を図ってい
など,児童生徒の心情に十分配慮した教育相
る。
談の徹底を関係者に対して依頼している。
⑸ 十代の親への支援(厚生労働省)
妊娠・出産・育児について,医師や助産師
等から専門的なアドバイスを受ける機会でも
ある妊婦健診について,必要な回数(14回程
第2節 子ども・若者の被害防止・保護
いくことが必要である。
⑴ 児童虐待の現状(厚生労働省)
① 児童虐待防止対策の充実に向けた取組
児童虐待への対応については,平成12年11
児童虐待については,その発生予防から
月,「児童虐待の防止等に関する法律」(平12
虐待を受けた子どもの自立に至るまで,切
法82)(以下,「児童虐待防止法」という。
)
れ目なく総合的に支援していくため,関係
が施行されたが,その後,平成16年及び平成
省庁が連携して,施策の一層の充実を図っ
19年には,児童虐待防止法及び児童福祉法の
ている。
改正が行われ,制度的な対応について充実が
○ 発生予防
図られてきたところである。しかしながら,
厚生労働省では,発生予防に関して
子どもの生命が奪われるなど重大な児童虐待
は,すべての乳児のいる家庭を訪問し,
事件が後を絶たず,全国の児童相談所におけ
子育てに関する情報提供や乳児及びその
る児童虐待に関する相談対応件数も増加を続
保護者の心身の状況及び養育環境等の把
け,平成21年度には児童虐待防止法制定直前
握を行うなど,乳児のいる家庭と地域社
の約3.8倍に当たる4万4,211件となるなど,
会をつなぐ最初の機会とすることによ
依然として,社会全体で早急に取り組むべき
り,乳児家庭の孤立化を防ぎ,乳児の健
重要な課題となっている。
全な育成を確保するための「乳児家庭全
⑵ 児童虐待防止対策の充実(警察庁,法務省,
文部科学省,厚生労働省)
戸 訪 問 事 業(こ ん に ち は 赤 ち ゃ ん 事
業)」を実施している(平成21年度にお
児童虐待は,子どもの心身の発達及び人格
いては,全国の市区町村のうち84.1%に
の形成に重大な影響を与えるため,児童虐待
あたる1,512市区町村にて実施(雇用均
の防止に向け,虐待の「発生予防」から「早
等・児童家庭局総務課調(平成21年7月
期発見・早期対応」,さらには虐待を受けた
1日現在)))。
子どもの「保護・自立支援」に至るまでの切
また,養育支援が必要な家庭に対し
れ目ない総合的な支援体制を整備,充実して
て,保健師,助産師,子育て経験者等が
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第2部− 第1章 第2章 第3章 第4章 第5章
1 児童虐待防止対策
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