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樹種の説明(17~32ページ)[PDF/3.4MB]
キョウチクトウ (夾竹桃) 33 常緑・低木~小高木 キョウチクトウ科 ○ インド原産で,日本には 江戸中期に渡来した ○ 暖地性の植物であるが, 近年は県内でも観賞用に庭 木や公園木としてよく植え られるようになった ○ 特に公害に強い木といわ れ,緑化用樹木としての利 用も多い ○ 木は弱毒性のため,昆虫 がこの花を嫌い,交配され ずに種子は結ばない 昆虫が近づかない ため実はつけない 近年は当地でもよく植えられるようになった キンシバイ 34 オトギリソウ科 (金糸梅) 落葉・小低木 梅に似た花弁 ビヨウヤナギの花弁は おしべがとても長い 17 ○ 枝は基部からよく分岐す る。高さは1m程になる ○ 葉は,無柄対生。葉を透 かして見ると油点が見える。 葉の長さは2cmくらい ○ 花は直径3~4cmの黄金色 で6~7月に咲く。花弁には 艶があり5枚が巴状に重な り咲く ○ 近似種のビヨウヤナギは 高さ1.5m。葉は4cmで5枚 の花弁は反り返る。おしべ の長いのが特徴 おしべがとても長い 35 キンモクセイ (金木犀) モクセイ科 常緑・小高木 ○ 庭,公園,学校等に広く 植えられる。甘い香りが好 まれ,数ある緑化木の中で も,最も人気のある樹木 ○ 秋に橙色(黄金色)した 花の甘い香りは,かなり遠 く離れた所まで届く。 ギンモクセイの花は白色 ○ 刈り込みに強く,円筒形 や鐘形などの庭木や生垣と して利用される ○ 実は見られないが,挿し 木で容易に増殖できる 日本人に最も好まれる樹木であろう 36 ク ス ノ キ (楠) クスノキ科 常緑・高木 ○ 暖地性の樹木だが,県内 でも平野部などでは生育可 能である。街路樹や神社, 公園などに多く植えられる ○ 葉は互生,表面は光沢が あり3本の葉脈がはっきり 確認できる。裏面は白緑色 ○ 日本最大の巨樹は鹿児島 県にある「蒲生のくす」で クスの大木は各地にある ○ クスノキは「樟脳木」と も言われ,防虫剤や医薬品 に使われる樟脳を取る 日本の樹木では有数の大木になる 18 ク チ ナ シ (梔子) 37 アカネ科 常緑・低木 花期は6・7月頃 花は枝先に1個つく オオヤエクチナシ がく片が残る果実 ○ 静岡県以西の暖かい地方 のものといわれるが,県内 でも庭園や公園などによく 植えられる ○ 花は6~7月に枝の先端 に大型の花を1個咲かせる。 この匂いは春のジンチョウ ゲ,秋のキンモクセイと並 ぶ良い香りを発する代表木 ○ オレンジの実は,黄色の 布の染料,漬け物の着色に 使われる ク ヌ ギ (櫟) 38 落葉・高木 ブナ科 銀色の春萌え 夏の樹姿 左:冬樹 右:夏樹 19 ○ 山野に生え雑木林の主要 な樹種である。公園などに は郷土樹種の代表として植 えられる ○ 2年越しで成熟した果実 は,お椀形の殻斗に包まれ たドングリになる ○ 樹皮は灰褐色で縦長に深 い丌揃いの裂け目が入り, ゴツゴツして固い ○ 果実は万葉集で「つるば み」と読まれ,布の染料原 料として使用された 39 ク ロ マ ツ (黒松) マツ科 常緑針葉・高木 庭園に植えられるクロマツ 樹皮が歴然と違う 右がクロマツ , 左2本がアカマツ 40 ク ロ モ ジ (黒文字) 落葉・低木 クスノキ科 果 実 樹 姿 ○ 県内の松は主にクロマツ とアカマツである。樹皮が 暗褐色と赤褐色の違いで, 見分けがつく ○ 針葉は固く「雄松」とさ れ,反対にアカマツは軟ら かく「雌松」と呼ばれる ○ 古来から縁起の良い木と して,庭木の代表樹として 優れた風格を醸し出す ○ 近年は松くい虫被害に脅 かされ,憂慮される事態に なっている 緑色の樹皮と黒い斑点 20 ○ 山野に普通に生える低木。 近年は花,樹皮,香りを楽 しむため,庭木に多く植え られる ○ 早春に黄緑色の葉が出る 前,淡い黄色の小花を咲か せ,季節感を漂わせる ○ 樹皮は平滑で暗緑色に黒 い斑文がある。和名の「黒 文字」はこの斑文を文字に なぞったもの ○ 材は香りがよく,黒文字 の楊枝はよく知られる 41 ゲッケイジュ (月桂樹) 常緑・小高木 クスノキ科 花序をつけた枝 常緑の葉は上品な香りを放つ ○ クスノキ科の多くの樹木 は芳香を出す木が多いが, 中でもゲッケイジュはその 代表格である ○ 地中海沿岸地方の原産と いわれるが,県内でも通常 に生育し,寒害にも影響が ないように見える ○ 枝を分岐させながら上向 きに立たせながら成長する ○ 乾燥した葉は,ローリエ としてカレーやスープの香 りつけとして用いられる ケ ヤ キ (欅) 42 落葉・高木 ニレ科 ○ 枝幅の狭いケヤキ品種 公園に植えられたケヤキ 21 古くから公園や神社・仏 閣,公園,街路樹として色 んな場所に植えられる ○ 青葉通りや定禅寺通りの 街路樹は仙台市を代表する 木である。 宮城県の県木でもある ○ 木姿は,太い枝が広がり 箒状になるが,近年は枝幅 の狭い品種が好まれる ○ 新緑,深緑,紅葉,冬枯 れなど,四季折々に変化を 醸し出す木である 43 コウヤマキ (高野槇) 常緑針葉・高木 スギ科 ○ 自然樹形が美しいので, 庭園や公園などによく植え られる ○ 日本庭園の構成木として 欠かすことのできない樹木 で,県内の旧家には古い巨 木が残されている ○ 巨木になる樹木で樹高30 m位に達するものもある ○ 和名は,高野山に多いこ とから名付けられた ○ 秋篠宮親王殿下のお印の 木としても有名である 枝と葉 自然樹形のコウヤマキ 44 コ デ マ リ (小手毬) バラ科 落葉・低木 花は前年伸びた枝にビッシリつく 手まりに似た花冠 22 ○ 中国原産。古くから庭木 や公園樹によく植えられる ○ 花は早春に新しい枝先に 葉が開くとともに1cmほど の花を集め咲かせる ○ 小さな手まり状の花を上 向きに隙間なく並べ咲かせ 花のつけた枝先は,その重 みで垂れ下がり,見事な姿 で春を代表する木である ○ 伸びすぎた枝は強い剪定 にもよく絶え,新しい枝を たくさん出す コ ナ ラ 45 落葉・高木 ナラ科 ○ 県内の自然林では,本数 蓄積とも最も多い樹木で, 雑木林を構成する最も重要 な樹種である ○ 里山を構成する代表樹で あることから,公園などに 郷土樹種として広く植えら れるようになった ○ 春の少し遅い時期の芽生 えは,銀色から黄緑色に変 わり若葉とともに花を付け る。秋の黄葉は褐色で地味 ながら味わい深い 果 実 樹 姿 冬のコナラ林 46 コノテガシワ (児手柏) ヒノキ科 常緑針葉・小高木 ○ 中国原産。葉がヒノキに 似て,枝は直立することか ら表裏の区別がしにくい ○ 原産地では高さが10mほ どになるといわれるが,県 内では公園や庭に多く植え られ,一般的には低く抑え ながら管理するものが多い ○ 高さを必要とする場所の 生垣には好適な木である ○ 和名は掌を合わせ,立っ ている様子を見立てたもの 列植し生垣として使われる 23 コ ブ シ (辛夷) 47 落葉・小高木 モクレン科 ○ サクラより花期は早い 蕾の先端は北を向く 48 葉よりも早く出て咲く 果皮が割れ種子が出る 山地に自生し,日当たり の悪い斜面に多い ○ 他の花の咲かない早春に 香りのある白い花が見られ るため,街路樹や庭園木に よく植えられる ○ 花の下に1個つける葉は 互生し,広倒卵形で先が鋭 くとがる ○ つぼみは一斉にその先端 を北側に向けてつける ○ 名前は実の形が拳に似て いることから名付けられた ゴヨウマツ (五葉松) マツ科 常緑針葉・高木 ○ 山野の自生木で,庭木や 盆栽として好まれる。 〇 特に,庭木に仕立てられ たものは風格がある ○ ヒメコマツとも呼ばれ, 高いものでは20mに達する 大きなものもある ○ 和名の「五葉松」は,針 状の葉が5本束生してでる ことから名付けられた ○ 若い枝の先端に雌花をつ け,翌年の秋に球果を熟さ せる 風格のある樹木として名高い 24 サ ク ラ (桜) 49 バラ科 落葉・高木 ○ 日本人に最も愛される花 木で,県内にも数多くの名 所がある。春の季節のシン ボルとして,なくてはなら ない樹木である ○ ソメイヨシノは,数多く ある品種の中でも公園,街 路,学校,堤防や河川など に広く植栽される。 ○ シダレザクラは,枝が長 く伸び垂れ下がる。 神社や寺に植えられた名木 は多い ソメイヨシノ カンザン 手前:シダレザクラ,奥:ソメイヨシノ ザ ク ロ (石榴) 50 ザクロ科 落葉・小高木 ○ 花後につけた果実 小アジア原産といわれ, 中国を経て日本に渡来した ○ 観賞用,薬用,食料,染 料など数多くの用途を持つ ○ 高さは5・6mになる。枝 は直立し,よく分岐する ○ 若い枝は4稜となり, 短枝の先はトゲ状となる ○ 6~7月頃,枝の先に1個 ずつ朱赤色の花をつける ○ 果実は径5cmの球形。先 端はがく片が残り突き出る 成熟した果実 玄関先に植えられたザクロ 25 51 サ ザ ン カ (山茶花) 常緑・小高木 ツバキ科 初冬を代表する花 ○ 元来は暖地性の樹木だが, 県内でも普通に植栽される ○ 秋から冬にかけて花の少 ない時期に花を付かせるこ とから重宝がられ,公園や 庭木に多く見られる ○ 花はピンクや赤,白など 多くの園芸品種がある ○ 刈り込みに強く,生垣に 用いられるが,日当たりの 悪い場所では枯れ上がりが 出る欠点がある 垣根にもよく植えられる 52 サ ツ キ (皐月) 常緑・低木 ツツジ科 ○ 関東以南の渓流に沿った 岩場などに自生する。県内 では,色々な園芸品種が盆 栽として仕立てられる。 庭園や公園にも植栽される ○ 地植えで最も一般的に赤 紫色の花を付ける品種名は, 「大盃」という ○ 普通には春咲きのものを ツツジ,初夏咲きのものを サツキと区別する ○和名の皐月は陰暦の五月頃 に咲くのでこう呼ばれる 庭園の根締めに使われたサツキ 26 53 サラサドウダン (更紗燈台) ツツジ科 落葉・低木~小高木 壺形の花の色は, 木により変化が多い 54 ○ 奥羽山脈の高地に多く自 生し,初夏に鐘状の花を房 状に吊り下げる。 ○ 花冠は白花のドウダンツツジ に似るが,花の先が薄紅色 で更紗模様の縞がある。和 名はこの名が付けられた ○ この木の魅力は可憐な花 の美しさと秋の鮮やかな紅 葉が楽しめることである ○ 庭木に植えられるのを数 多く見る。刈込みにも強く 生垣にも利用される サルスベリ (百日紅) ミソハギ科 落葉・小高木 1個ずつの花弁にはシワが著しい 27 ○ 中国原産で江戸時代に渡 来。庭や公園,街路樹にと, 色々な場所に植えられる ○ 幹は赤褐色で滑らかにス ベスベする。古く薄い皮の はげ落ちた跡は白い模様を 残す。サルスベリの名は, 幹のこの様を見立てて名付 けられた ○ 「百日紅」は花の期間が 百日にも及ぶというものを 表したもので,旧盆を中心 に実に長い期間咲き続ける サ ル ナ シ (猿梨) 55 マタタビ科 落葉・つる性 ○ 山野の沢筋で肥沃な場所 に自生する ○ 自生種は果実がなりにく いが,園芸種の一歳サルナ シは容易に実を結ぶ ○ 花は6~7月に葉腋に直 径1~1.5cm程度の白い花 をつける ○ 実は長さ1.5~2.5cmの 広楕円形で,秋に熟すにつ れ緑色から黄緑色に変わる そのまま食べても美味だが 果実酒は実においしい 棚に作られたサルナシ 果はとても美味 56 サンゴジュ (珊瑚樹) スイカズラ科 常緑・小高木 光沢が美しい葉 赤色の花序 28 ○ 関東南部以西の樹木で, 庭に,生垣に,公園に,街路 樹にと,県内には実に多く 植えられる ○ 防風・防火樹として効果 がある ○ 葉は対生し長さ10~20cm の長楕円形,質が厚く表面 に光沢がある。葉を喰うサ ンゴジュハムシの食害が葉 を汚くするので注意したい ○ 赤く熟した果房を海の珊 瑚に見立てたことが和名 57 サンシュユ (山茱萸) ミズキ科 落葉・高木 ○ 黄金色の集合花 公園内に植えられたサンシュユ 58 秋,鮮虹色に色づく実 日本には朝鮮半島から享 保年間に渡来したと伝えら れる ○ 庭や公園に花木として植 えられる ○ 3月頃,葉が開く先に立 ち,黄金色の花を枝一面に つける。開花期間も長く, 花の少ない時期に貴重な彩 りを添える木である ○ 果実は長さ1.5cmの楕円 形で秋に赤く熟す サンショウ (山椒) ミカン科 落葉・低木 ○ 県内の平地や丘陵地,山 地にごく普通に自生する ○ 庭の生垣や公園に植えら れる外,食用や薬味に利用 するため,各家庭に植えら れる ○ 若葉には強い芳香があり 食用にし,秋に黒く熟した 球形の種子は香辛料に。材 は「すりこぎ」に利用する ○ やや乾燥地に自生するイ ヌザンショウの刺は互生す るが,本種は対生である 葉の付け方は, 奇数羽状複葉 29 シダレヤナギ (枝垂柳) 59 ヤナギ科 落葉・高木 ○ 原産国は中国といわれる ○ 庭園や街路,公園に植え られ,水辺によく似合い, 池や川のほとりなどによく 植栽される。乾燥地でもよ く育つ ○ 樹高は高いもので20mに も伸びる。小枝は細長くし なり地面近くまで枝垂れる。 雄株は雌株より,より長い ○ 落葉樹の中では春一番早 くに葉を開き,鮮やかな若 葉を見せる 庭園にも良く植えられる シャクナゲ (石楠花) 60 ツツジ科 常緑・低木 西洋シャクナゲ アズマシャクナゲ ハクサンシャクナゲ 30 ○ 栗原市花山にある御嶽山 のアズマシャクナゲは,国 の天然記念物に指定され, 自生北限地として名高い ○ 花は春に輪生した葉の上 にツツジの花に似た漏斗状 の花をまとめてつける ○ 日本に自生するシャクナ ゲでは,ハクサンシャクナ ゲ,ツクシシャクナゲが主 ○ 外国産の園芸品種は西洋 シャクナゲと呼ばれ,自生 種よりも数多く植えられる 61 シ ラ カ シ (白樫) ブナ科 常緑・高木 ○ 常緑高木の中で,県内で は最も多く植栽されている ○ 自生地が福島県以南のこ ともあり,適応性は強い ○ 近年,街路樹や屋敷,ビ ル,マンションの庭などに 盛んに植えられる ○ 刈り込みに強く,高垣・ 低垣などに仕立てられる ○ 葉の裏が白っぽいのが特 徴で,名前は,材の色が白 いことによる 街路樹に植えられたシラカシ シラカシの生垣は重厚である 62 シラカンバ (白樺) カバノキ科 落葉・高木 ○ 本州中部地方以北の深山 で,日当たりの良い場所に 自生する ○ 樹幹は真っ直ぐ勢いよく 伸びる ○ 幹の表面は白く,表皮が 薄く紙状に剥がれる。雤に 濡れてもよく火がつくので 付け火として使われる ○ 高原地の庭園木として, よく植えられる ○ 樹皮が白くきれいだが, 欠点は寿命が短いこと 木はまっすぐに伸びる性質を持つ 31 63 ジンチョウゲ (沈丁花) ジンチョウゲ科 常緑・低木 花は雄花の集まり 春の訪れを告げる花の代表 ス 64 ○ 中国原産で,庭や公園に よく植えられる ○ 早春を代表する木として まだ花の少ない時期に良い 香りを楽しむことができる 人気のある樹木である ○ 株は雌雄異株。日本にあ る木はほとんど雄木のため 果実を見ることはできない ○ 根は細根が少ないゴボウ 根のため,大きな木の移植 は難しい。挿し木により増 殖する。発根は容易である ギ (杉) 常緑針葉・高木 スギ科 ○ 建築用材として植林され るものがほとんどだが,京 都北山の台杉は日本庭園の ポイントとして使われる ○ 近年は花粉症の張本人と して悪者扱いにされるが, 今から1300年以上も前に, 盛んに植えられた一首が万 葉集に残されている ○ 台杉のように挿木で作ら れた苗木は,花粉が着きに くい性質を持ち,使い方に より植栽範囲が拡がる 公園内に作られたスギ スギの雄花 翌春に花粉を飛ばす 32