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報 告 書
深川市・アボツフォード市姉妹都市提携 10 周年 深 川 市 公 式 訪 問 団 報 告 書 平成 20 年 8 月 3 日(日)∼10 日(日) 深 川 市 企 画 課 ― 目 次 ― アボツフォード市公式訪問を終えて 深川市公式訪問団団員名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 2008年深川市公式訪問団派遣事業日程 訪問日程の概略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8月3日・日曜日(1日目) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8月4日・月曜日(2日目) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8月5日・火曜日(3日目) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8月6日・水曜日(4日目) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8月7日・木曜日(5日目) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8月8日・金曜日(6日目) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8月9日・土曜日(7日目)∼10日・日曜日(8日目) ・・・ 4 4 4 5 9 10 13 15 今後の交流のあり方等についての話し合いの内容 ・・・・・・・・・・・・・・・ 16 2008年公式訪問を終えて ・・・・・・・・・・・・・・・ ∼団員からの感想 19 資 料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26 アボツフォード市の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 アボツフォード市との交流経過 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28 アボツフォード市公式訪問を終えて 深川市長 山 下 貴 史 去る8月3日から10日までの8日間、私を団長として、市議会、深川国際交流協会、拓 殖大学北海道短期大学の代表者を含め総勢6名のメンバーとともに、本市の姉妹都市である カナダ・ブリティッシュコロンビア州のアボツフォード市を公式訪問させていただき、両市 の友好親善に努めてまいりました。 今年は、1998年にアボツフォード市と姉妹都市提携を結んで10周年という記念の年 であり、また、2年毎に相互訪問をするという年にも当たっていることから、訪問をしてき た訳であります。 バンクーバー空港に到着した時は既に夜の10時を過ぎていましたが、ファーガソン市長 夫人をはじめ、日加親善協会、姉妹都市委員会など多くの市民の方々の心温まる歓迎を受け、 非常に感激をいたしました。 幸い、滞在中は晴天に恵まれ、多少暑さに苦しみながらも、私ども6名は、アグリフェア や航空ショウなど現地で開催中のイベントに招待されたり、市内の公共施設等を視察したり、 さらには第34学区教育委員会や地元フレーザーバレー大学を訪問するなど、連日朝から夜 まで、盛り沢山の日程をこなしてきました。 また、報告書の中にも記載しましたとおり、ファーガソン市長や姉妹都市委員会委員長の ジョン・スミス氏、経済振興担当者等と今後の両市の姉妹都市交流のあり方等についての話 し合いも行ってきました。 私にとっては初めての訪問で、同市は約13万人の人口で本市とはやや釣り合いは欠くも のの、基幹産業は農業であること、地形や気候などで類似点が多いことなど、多くの共通点 があることを今回の訪問で実感しました。 国際化が進展する中、同じ感性で地域の将来を率直に語り合える海外の友人として、アボ ツフォード市との友好関係を維持強化することは、本市の今後にとって、大事な課題である といえるのではないでしょうか。その意味で、今回の公式訪問は、両市の友好親善と絆の強 化に貢献する有意義なものであったと確信しています。 今回の訪問の成果を今後の本市の市政運営によりよく反映していきたいと考えています。 1 深川市公式訪問団団員名簿 市長 山 下 貴 史(団長) 市議会議長 北 本 清 美(副団長) 拓殖大学北海道短期大学 杉 本 雅 彦 深川国際交流協会副理事長 板 倉 明 子 深川国際交流協会理事 高 田 真知子(通訳) 企画課長 瀬 川 慎(随行) 准教授 2 2008年 月日(曜) 8/3 (日) 深川 千歳 千歳 台北 台北 時間 発 着 発 着 発 交通 訪問行程 11:00 13:00 16:00 19:05 23:55 公用車 深川市発 BR115 便 台湾桃園空港へ BR010 便 バンクーバー空港へ、 バンクーバー着 アホ ゙ツフォー ド 着 19:40 22:00 ア ホ ゙ ツ フ ォ ー 入国手続 ド市で送 迎 (アボツフォード市内ホテル泊) 8/4 (月) アボツフォード 滞在 13:00 18:00 8/5 (火) アボツフォード 滞在 8:00 アボツフォー ド市で送 迎 アボツフォー ド市で送 迎 1 2 地名 深川市公式訪問団派遣事業日程 11:45 3 13:15 14:05 8/6 (水) 9:00 アホ ゙ツフォー ド 11:00 発 バンクーバー着 14:00 バンクーバー発 アホ ゙ツフォー ド 着 4 8/7 (木) アボツフォード 滞在 8:30 10:00 11:45 アグリフェア視察 アボツフォード市主催歓迎夕食会 (アボツフォード市内ホテル泊) 公共施設視察(下水道処理施設、ごみ中継施 設、リサイクル施設、コミュニティセンター) アボツフォード市役所訪問及び青少年カナ ダ交流訪問団と昼食会 国際友好庭園予定地で記念植樹 公共施設視察(文化センター、新病院) (アボツフォード市内ホテル泊) ア ホ ゙ ツ フ ォ ー アボツフォード市庁舎視察 ト ゙ 市 で 送 姉妹都市交流の今後のあり方等について協 迎 議 バンクーバー市内視察 グランビルアイランドを中心に視察 クイーン・エリザベス、スタンレー両公園 アボツフォー ド市で送 迎 5 13:30 14:45 18:00 8/8 (金) 6 7 8/9 (土) 8/10 (日) 8 アホ ゙ツフォー ド 発 バンクーバー着 バンクーバー発 台北 台北 千歳 千歳 深川 着 発 着 発 着 8:15 ア ホ ゙ ツ フ ォ ー 9:45 ト ゙ 市 で 送 13:45 迎 17:00 21:30 23:00 2:20 BR009 便 5:05 10:10 15:20 16:15 18:35 (アボツフォード市内ホテル泊) フレーザーバレー日本語教室視察 アボツフォード市内の中学校視察 第 34 学区教育委員会及びフレーザーバレー 大学主催の昼食会 中学生交流派遣事業について協議 フレーザーバレー大学視察 アリーナ建設現場視察 深川市主催返礼夕食会 (アボツフォード市内ホテル泊) モー・ギル市会議員農園視察 ハワード・ウオン農産物販売所視察 アボツフォード国際航空ショー視察 トリッサ・ストロング宅で夕食会 搭乗手続、出国手続 台湾桃園空港へ 国際日付変更線通過(機中泊) BR116 便 千歳空港へ 入国手続 公用車 3 備考 訪問日程の概略 1 8月3日・日曜日(1日目) 午前11時深川市を出発。新千歳空港に到着後出国手続きを終わらせ、予定より若干遅れ てカナダ・アボツフォード市に向けて出発。今回の空路は、新千歳空港からバンクーバー空 港への直行ではなく、台湾桃園空港を経由してカナダに入るという経路になった。 約13時間の飛行後バンクーバー空港に到着。団員の荷物が一時見つからないというアク シデントがあったが、無事入国手続きを終 えカナダに入国。 すでに午後10時を回っていた遅い時間 帯であったにもかかわらず、アボツフォー ド市長夫人、日加親善協会、姉妹都市委員 会のメンバーなど大勢の方々の歓迎を受け、 その後アボツフォード市内のベストウェス タンベーカービュー・インホテルへと向か った。団員全員がホテル内で落ち着いた時 間は既に深夜の12時近くになろうとして バンクーバー空港での歓迎のようす いた。日本との時差は約16時間である。 2 8月4日・月曜日(2日目) (1)アグリフェア視察 8月1日から4日の日程で開催されているアグリフェアに参加。4日間で延約6万人の人 出を集客する市民イベント。深川市のイベントに例えるなら、農業収穫祭、スプリングフェ スタ、秋祭り(露天出店)等が一堂に会したようなイベントで、観覧車など大型遊具も設置 さており、また動物のショーなど催しものが多彩で、子どもから大人までが楽しめるフェア。 今年はブリティッシュ・コロンビア州の150周年記念ということもあり、それら歴史を 知ってもらうコーナーなども設けられていた。 アグリフェアのようす 4 (2)アボツフォード市主催歓迎夕食会 午後6時からアボツフォード市内のラマダ・インホテルでアボツフォード市主催の歓迎夕 食会に出席。ファーガソン市長・夫人をはじめ、アボツフォード地区選出の国会議員エド・ ファスト議員、大塚日本総領事、市会議員、姉妹都市委員会及び日加親善協会(市民団体) など、多くの関係者の出席をいただき、姉妹都市委員会ジョン・スミス委員長の司会進行で 進められた。 両市長の挨拶等の後、山下市長、北本議長に記念品が贈呈され、市内市民コーラスグルー プによるアトラクションも披露され、心温まる歓迎会が和やかな中で行われた。 ファーガソン市長から記念品をいただく山下市長 3 8月5日・火曜日(3日目) (1)下水道処理施設 アボツフォード・ミッション地区及びスマス地区(アメリカ)の広域の共同下水処理施設 で、24万人分の廃水処理能力を有する。地域の発展、人口増が続いているので、今後10 年間で1億ドルの投資拡大の予定がある。従 業員は技術者も含め15名。フレーザー川の 水質汚染を防ぐため、微生物による分解処理、 化学処理によって一定の基準まで浄化し、コ スト削減のために二次散水ろ処理装置による 処理法を用い費用対効果を高めている。また、 同川に排水される前に一部水洗トイレの水に 再利用するなど、再利用の拡大研究が進めら れている。 処理工程で発生するメタンガスは、施設で 広域共同下水道処理施設 使用される電力の約10%を賄っている。 5 (2)ごみ中継施設及びリサイクル施設 アボツフォード市のゴミが集積され、こ の施設でリサイクル用原料を業者に売却し ている。リサイクル業者の選定にあたって は、ビジネスの倫理感覚がしっかりいる点 をポイントに選んでおり、売却した原料が きちんと製品として生かされているか追跡 調査を実施。 施設維持運営費は、固定資産税からの徴 収とリサイクル原料の売却金で賄っている。 施設の説明を受ける公式訪問団一行 (3)コミュニティセンター(建設中) 現在建設中の施設で、2年前に市内にス ポーツなどのできる総合施設が不足してい るということから、20年償還の借金をお こして建設するという案に対し、53%の 住民の同意を得て建設に着手。アボツフォ ード市の場合借金をして建設事業等を行う 場合には50%以上の住民の同意が必要と なっている。 新しい施設は、若い人から高齢者まで、 それぞれの目的にあったさまざまな活動 説明を受ける公式訪問団一行 ができるように設計されている。 隣接して温水プールやバスケットボール、バレーボール、1周157mの室内トラックを 備えた体育館がある。 年間維持費用については市からの補助 金がある。年間維持コスト約 56,200 ドル /年。 温水プールのようす 6 (4)アボツフォード市庁舎訪問及び青少年カナダ交流訪問団との昼食 アボツフォード市庁舎を表敬訪問するととも に、7月24日から同市に滞在している青少年 カナダ交流訪問団6名と昼食をとった。 ファーガソン市長から、文化、教育、経済で の交流を目的に2つの市が結ばれ、この10周 年になる記念の年に、アボツフォード市でお迎 えすることができてとても嬉しいこと、文化、 歴史等いろいろな違いはあるが、今後もお互い ファーガソン市長の挨拶のようす に理解し合い、さらにいい交流を続けていきた いなど心のこもった挨拶がなされた。 また、国際友好庭園と名づけられた日本 庭園を今年秋の完成を目指し建設中であり、 日本庭園にした理由は、本市と日本の深川 市が姉妹都市提携を結んでいるということ、 日本式の庭園にすることでお互いに民族の 文化の違いというものを理解し合えること からである、と話された。 青少年カナダ交流訪問団からファーガソ ン市長に記念品として掛け軸が贈られた。 記念品として贈呈された掛け軸 (5)国際友好庭園で姉妹都市提携10周年記念植樹 市庁舎に隣接してスピリッツ・スクエアという広場があり、国際友好庭園と名づけられて いる。ここでファーガソン市長、山下市長、ジョン・スミス姉妹都市委員会委員長、北本議 長の4人による記念植樹が、アボツフォード市会議員、第34学区教育委員会、フレーザー バレー大学関係者、日加親善協会等の方々に見守られる中で行われた。 国際友好庭園予定地での記念植樹のようす 7 (6)文化センター(9/22 オープン) 姉妹都市提携10周年記念植樹が終わった後、9月22日のオープンを前に開館準備を進 めている文化センターを視察。 美術品と文化遺産の収集、展示、そして教 育のための施設として建設された。最新の建 築技術を駆使し設計されており、環境に優し い建築基準のカナダ最高のAランクと指定さ れた施設であり、世界的な展示物を置くこと が認められた施設である。 総面積 20,000 平方フィート。展示スペース が 6,000 平方フィート。発掘された先住民族 の文化遺跡、地元ゆかりの美術、工芸作家の 説明を受ける公式訪問団一行 作品などが収集されている。 (7)新病院視察(8/24 オープン) ファーガソン市長が歓迎夕食会の挨拶の中で、 是非見ていただきたい施設とおっしゃっていた 新しい地域病院。 バンクーバー地域でも最先端のがん治療が行 える医療機関であり、各階随所に工夫した設計が 施されている。この病院の特色は、最先端のがん 治療と緊急治療、集中治療が充実している点。ベ ッド数は300、手術室9、緊急患者用担架40 を装備。医師数について、ICU担当医師は5名、 新病院のホール 特化した専門の医師が約50名、一般診療担当の 医師が50名ほどいる。ICU専用ベッドは12。保育器は12。 8月24日にオープンする予定で、引越しによる診療の空白を作ることはできないので、 約200人の患者を15台の救急車を使用し、5∼6時間で移送する計画が特別チームによ り進められている。 新病院の説明を受ける公式訪問団一行 新病院のようす 8 4 8月6日・水曜日(4日目) (1)アボツフォード市庁舎視察及び行政課題協議 今回公式訪問の受入れを担当するセクション で、滞在期間中私どものお世話をしていただい たビル、シェリーが所属する部署を中心に簡単 な組織機構について説明を受けた。 彼らが所属する部署名は、Administration& Corporate Planning といい、日本語で「行政・ 管理・企画部」と訳される。詳細には、都市建 設計画の立案、指導及び調整、法制局、議会事 務局、市有財産の管理、条例制定及び施行など アボツフォード市庁舎のようす さまざまな分野の業務を担当。日本、とりわけ本市の企画総務部企画課とは業務を異にする。 説明をしてくれたケリーは代理書記で、議事録など議会関係の書類作成・記録管理、情報 開示担当であり、今回の滞在期間中すべてのお世話をしていただいたビルは部長代理で部の 全体総括者、シェリーは課長で行政担当となっている。 アボツフォード市ではIT技術を駆使しての市民対応が進んでおり、アボツフォード市の ウェブサイトからホームページを開き、市庁舎に来なくても必要なデータが取れるようにな っている。例えば、新たに営業を行う場合に、必要な土地・場所についての情報を見たり、 資料を取り出すことができ、ネットを通じてカードで購入もできるシステムになっている。 また、これら情報のデータ更新については毎日5∼6人の職員が関わっているといことであ る。 庁舎内の視察説明を受けた後、4階会議室にて両市の今後の交流のあり方等について、経 済交流も含め話し合いを行った。 アボツフォード市との話し合いのようす 9 (2)バンクーバー市内見学 会議終了後、バンクーバー市民の賑わいの場としての知られているグランビルアイランド を中心に、クイーン・エリザベス公園、スタンリー公園を見学。つかの間の自由時間を楽し んだ。 アボツフォード市側受入れスタッフと公式訪問団員 (クィーン・エリザベス公園にて) 5 8月7日・木曜日(5日目) (1)フレーザーバレー日本語教室訪問 日本語教室は25年前に開設され、現在は 日本語教師三代目となるカナダ人と結婚され た日本人カヌッド智美先生が、幼児から小学 校高学年の9名の生徒に日本語を教えている。 整列した子供たちは、この日のために練習し てきた「きらきらぼし」をはじめ日本の童謡 を歌ってくれました。また、小学生ながら自 作の俳句や短歌も披露してくれ、さらにアボ ツフォード市と深川市の産業、特産品、人口 両市の違いを説明しているようす や気候の違いについて調べた内容を表にし、 説明してくれました。 自宅を開放して図書室にしているということで、こどもの絵本や漫画、ぬり絵など日本文 化を伝える物の寄贈を願っているとのことでした。 (2)アボツフォード市内中学校視察 国際バカロレア機構の認定プログラム校で、世界共通の教育プログラムにより履修を終え た生徒が試験に合格すると欧米のほとんどの大学に無試験で入学することが許可される。ブ リティッシュ・コロンビア州では他に3つあり、アボツフォード市では1校しかない。年齢 は11歳から16歳と、日本の小学校6年生から高校1年生に当たる生徒が、世界各地から 集まっている。 10 教育理念は「全人教育」で、異文化に対す る理解力と寛容性を養い、コミュニケーショ ン能力の育成・強化に力を入れており、言語 教育を重視している。 科目を8つに分け、すべての教科を連携さ せて総合的に教えていく方法をとっている。 例えば、環境教育では6月5日の環境デーに 生徒が環境の勉強をして、地域の環境ボラン ティア活動を行う。言語教育ではさまざまな 国の本を用意し、その語を母語とする親が集 説明を受ける公式訪問団一行 まり読み聞かせを行うなどの授業が実施され ている。教員間では指導方法に関して入念な打合せが行われ、どの教師に教えられても同じ 内容の教育が受けられるよう徹底したシステムになっている。 (3)フレーザーバレー大学と第34学区教育委員会が主催する昼食会 フレーザーバレー大学及び第34学区教育 委員会主催の昼食会が同大学内で設定され、 それぞれの代表者等と姉妹都市提携に至る経 過などが話され、楽しい一時を過ごした。ま た、夏休みを活用した中学生交流派遣事業の 内容の見直しについて、第34学区教育委員 会のシンディ・スカファー教育委員長と協議 をすることができた。 昼食会のようす (4)フレーザーバレー大学構内視察及び両大学間の今後の交流について 昼食会後、拓殖大学北海道短期大学とフレーザーバレー大学との今後の交流について意見 交換がなされ、拓殖大学北海道短期大学は、フレーザーバレー大学が姉妹校として提携した 最初の大学であり、大学の全職員が特別な感情を持っていることなどが話され、今後も両大 学間の交流を推進していくことが確認された。 フレーザーバレー大学のようす 拓殖大学北海道短期大学と記載されたパネル 11 (5)アリーナ建設現場 現在建設中の施設で、2006年に住民投票で55%の住民の同意を得て建設が決まった 施設である。アイスホッケーの試合が開催できるよう設計されており、7,000 人を収容でき る客席を設け、年60回の興業、年40回のアイスホッケーの試合を計画しており、それら 興業収入による独立採算が期待できることから、市からの施設維持運営に対する補助金はな いということである。 エルトン・ジョンやミック・ジャガーなど世界のスターを呼んで音楽コンサートも考えて いると声を弾ませていた。 アリーナ建設のようす 説明を受ける公式訪問団一行 (6)深川市主催返礼夕食会 ファーガソン市長、リア夫人、市会議員、 日加親善協会及び本市からアボツフォード市 に留学している栗原さんなど総勢32名の出 席をいただき、アボツフォード市内のラマ ダ・インホテルで返礼夕食会を開催した。山 下市長は、アボツフォード市、姉妹都市委員 会、フレーザーバレー大学、第34学区教育 記念品を贈る山下市長 委員会の各代表者に記念品を贈呈し、懇親会 では、日本人学生通訳も含め団員全員で七夕 にちなんだ劇を披露し、和やかな中で夕食会 が行われた。 きらきら星を歌う団員及び日本人学生通訳 12 6 8月8日・金曜日(6日目) (1)モー・ギル市会議員農園視察 最終日の朝、予定にはなかったが、是非ともモー・ギル氏(市会議員)が経営する農場を 視察したいとの要望から当農園を訪問した。バラ科に属するラズベリーの適地の選定、生育 から収穫までに至る注意点などの説明を受けた。ラズベリーは適量の雪であれば冬場に冬眠 状態を作り出せ生育にプラスになるが、豪雪地帯には向かないとのことであった。深川市の 東出氏の土地はブルーベリー向きであること、25年から30年の連作が可能であることな どの説明を受けた。夕方からは、集められた原料でジュースを作る作業が行われるが、それ を見学できなかったことは非常に残念なことであった。 実をつけているブルーベリー 説明を受ける公式訪問団一行 (2)ハワード・ウォン農産物販売所視察 1975年から始められ中国系カナダ人が経営する農産物等の販売所で、アボツフォード 市周辺から集荷された野菜、果物がところ狭しと並べられおり、多くの市民等が買い物に訪 れていた。 農産物が販売されているようす 品種名:国寶ローズ(4.99 カナダドル/kg) 13 (3)アボツフォード国際航空ショー視察 国際的なエア・ショーで、毎年20万人がこのショーを見るためにアボツフォード市に集 まるという。関係者(市・企業等)毎にブースが設営され、招待客席と一般観客とが区分さ れており、多くのボランティア職員の手で運営されていた。 今年は8月8日と9日の2日間アボツフォード空港で開催された。 ファーガソン市長と観戦している山下市長 国際航空ショーのようす (4)トリッサ・ストロング元市総務部長宅夕食会 トリッサ・ストロングさんは元市総務部長で、在職中は姉妹都市交流事業の責任者でもあ った。ストロングさんの自宅は小高い丘の上に建っており、そのベランダから見下ろす風景 は、まるで音江の田園風景を見ているようで、なるほど、滞在中何人かの方が「similar to Fukagawa」と言っていた意味が納得できた。ファーガソン市長からは、前回の訪問時に植樹 した木の成長具合を尋ねられ、山下市長は帰り次第写真を送ることを約束した。 ストロングさんの手料理に舌鼓を打ちながら、ファーガソン市長夫妻、クリスティン市会 議員夫妻との会話がはずみ、両市の友好の絆が深められた。 ファーガソン市長と会話をする山下市長 14 7 8月9日・土曜日(7日目)∼10日・日曜日(8日目) ストロング氏宅での夕食後、公式訪問団は予定どおりアボツフォード市を出発し、バンク ーバー空港に直行した。 空港で搭乗手続きを行い、セキュリティチェック、出国審査を終えた後、訪問団は台湾桃 園空港を経由し、予定よりやや遅れ10日午後3時20分新千歳空港に到着した。 新千歳空港で迎えに来ていた企画課職員と合流し、公用車で一路深川へ。市役所前に午後 6時35分に到着し、無事公式訪問の全行程を終了した。 台湾桃園空港で乗継待ちをしている一行 帰りのエバー航空機 15 今後の交流のあり方等についての話し合いの内容 1 両市の今後の交流のあり方等について (1)訪問頻度について ・協議者 深川市 山下市長 北本議長 板倉副理事長(国際交流協会) 杉本准教授(拓殖大学北海道短期大学) アボツフォード市 ファーガソン市長 瀬川企画課長(市随行) ビル代行理事 シェリー課長(行政担 当) ジョン・スミス市会議員(姉妹都市委員会委員長) ・協議日 8月6日午前(現地時間) ・通 高田 訳 真知子(深川国際交流協会理事) ・基本的考え方 深川市 姉妹提携後10年間の交流について、特に若い人たちの相互交流が活発に行われてき たことを評価している。人的な交流に加え経済的な交流も含め、この姉妹都市関係を推 進したい。 その一方で、我が市の財政事情が非常にタイトになっており、国全体の経済的リセッ ションや人口減少等が要因となり、厳しい状況に直面している。従って、これまでの2 年に1度の交流の見直しをしたいと考えている。できれば2年後にアボツフォード市か ら深川市に来ていただき、その以後はお互いに3年毎に訪問するということが望ましい と考えている。 アボツフォード市 4年から6年に相互交流を行うことについて異論はない。現在アボツフォード市は他 の2つの都市と姉妹都市提携を行う予定で準備している。予算にも限りがある。 姉妹都市委員会に持ち帰り、同委員会から議会に提案し、最終的に議会の承認を得る必 要がある。 11月に議員選挙があり、議員のメンバーが変わる。姉妹都市提携に深い理解を示し ている議員もいれば、新しくなる議員の中には、深川市との姉妹都市交流を知っていな い議員もいると思うので、11月の選挙の結果が今後の交流にも関わってくると思う。 また、この件については第34学区教育委員会やフレーザーバレー大学とも話しをし なければならない。 今回の会議で双方がお互いのつながりをもっと確認して、交流の絆を強めていこうと することを確認したことは非常に良かったと思う。 ・協議結果 アボツフォード市の議員選挙後、姉妹都市委員会から議会に対し、相互交流の訪問頻 度について提案し、その結果に基づき進める。 16 (2)経済交流について ・協議者 深川市 山下市長 北本議長 板倉副理事長(国際交流協会) 杉本准教授(拓殖大学北海道短期大学) アボツフォード市 ファーガソン市長 当) ビル代行理事 シェリー課長(行政担 ジェイ・テイチロウブ(経済開発担当) ・協議日 8月6日午前(現地時間) ・通 高田 訳 瀬川企画課長(市随行) 真知子(深川国際交流協会理事) ・基本的考え方 アボツフォード市 アボツフォード市は起業を応援する町である。農産物加工業務、輸出入関係の業務も 提供できる。両市の仲立ちを業務とすることもできる。ビジネスの面での交流について、 どういう機会・チャンスがあるのか話し合って進めて生きたい。 次回アボツフォード市から深川市に訪問団を送る際にビジネス界の関係者を加える。 アボツフォード市にはいろいろな食料品の流通を探り、その仲立ちをする人がいるの で、お米を作っている人がカナダにお米を輸出したいのであれば、その方々とコンタク トをとって販路を広げていくこともできる。 深川市 ビジネス関係の交流は将来的には推進すべきテーマ。例えば、両市の特産物、農産物 の相互交流、展示・販売などの可能性を考えたい。 深川に戻り、経済交流について希望する内容は何かを関係団体等に確かめたい。 ・協議結果 お互いに経済面での交流について、その道をさぐってみるという点では一致した。 今回の姉妹都市交流会議で、経済的交流について話し合いができたという成果を、市 民に知らせると言う意味からも「覚書」のようなものを、両市長の署名で交わせたらい い。 2.今後の中学生交流派遣事業について ・協議者 深川市 山下市長 第34学区教育委員会 シンディー・スカファー教育委員長 ・協議日 8月7日午後(現地時間) ・通 高田 訳 フレーザーバレー大学構内会議室 真知子(深川国際交流協会理事) ・主な協議内容 深川市 夏休みを活用しての中学生の派遣事業があるが、これに高校生の参加枠も加えて新た なプログラムとしたい。アボツフォード市側からも同じような希望があれば深川市でも 受け入れは可能である。 17 第34学区教育委員会 夏休みを活用した中学生の交流プログラムに高校生も加えることについて異論はない。 夏休みを活用してアボツフォード市から深川市に派遣するという内容については、第 34学区教育委員会で協議したい。 本年10月1日に新たに直接の担当者が決まるので、 (具体的な内容については)深川 市と、新担当者及び教育委員長で詰めていきたい。 ・協議結果 本年10月1日に新たな担当者が決まることから、その後に深川市、教育委員長、新 担当者で具体的内容について詰めていく。 3.拓殖大学北海道短期大学とフレーザーバレー大学との今後の交流について ・協議者 深川市 山下市長 北本議長 板倉副理事長(国際交流協会) 杉本准教授(拓殖大学北海道短期大学) フレーザーバレー大学(UFV) ・協議日 8月7日午後(現地時間) ・通 高田 訳 瀬川企画課長(市随行) カローラ・スティンソン国際教育学部長 大学構内会議室 真知子(深川国際交流協会) ・意見交換 (1)本年4月から UCFV(短期大学)から UFV(4年制)に昇格し、総学生総数は1万 4千人に増えた。今後も拓殖大学北海道短期大学の関係は変わりなく続けていく。 (2)UFV は拓殖大学北海道短期大学の他に3つの大学と姉妹提携を結んでいるが、拓殖 大学北海道短期大学はフレーザーバレー大学が一番最初に提携した大学で、大学職員 全員が拓大との友好関係について特別な意識を持っている。 (3)UFV に新たに日本語専攻科が新設されるため、今後は拓殖大学北海道短期大学へ研 修にいく学生が増えると期待できる。 (4)今年は拓殖大学北海道短期大学から UFV へ、夏季研修にいく学生はいなかったが来 年に期待したい。 (5)拓殖大学北海道短期大学に研修施設ができたため、UFV からの研修生の宿泊にも利 用できる。 4.その他の交流について (1)IT技術を使って両市の情報を交換し合うこと。 (2)お互いに双方の日常の習慣、文化、芸術、制度、産業など基本的な情報を交換し、市 民に知らせていくことが重要であること。 18 2008年公式訪問を終えて ∼団員からの感想 深川市議会 議長 北本 清美 私はこの度、市の公式訪問団の一員として、初めて、姉妹都市であるカナダのアボツ フォード市を訪れる機会をいただきました。 今年は、アボツフォード市と本市が姉妹都市提携10周年という節目の年にあり、加 えて、議会論議の中でも、両市の姉妹都市としての交流のあり方、今後の方向性が問わ れており、重い課題を背負いながらの訪問でありました。しかし、市長はじめ全ての団 員が様々な機会を捉え、アボツフォード市長や対応していただいた方々と、充分なる会 話や意志の確認をすることが出来ました。 話し合いの中で、アボツフォード市側からは、本市との姉妹都市交流は有意義であり、 経済交流や文化交流などの拡大と共に、民間交流も視野に入れた幅広い交流を積極的に 望んでいることが伝えられました。 また、山下市長からは、2年ごとの公式訪問を3年に延伸したいとの提案がなされ、 このことについては、現在アボツフォード市では、東南アジア及びヨーロッパの各1市 と姉妹都市提携に向け協議中であり、姉妹都市交流の有効性を認識しながらも負担軽減 の観点から一定の理解が示されました。しかしながら正式判断は、今年の11月に行わ れる市長、議会議員選挙後の議会議決で決定されるとのことであり、その後に具体的な 打ち合わせ協議がされるとのことでした。 フレーザー・バレー大学訪問の時にも伝えられましたが、「最初の友人は最も大切に したい」というもてなしの心を示され、交流の原点を改めて認識させられましたし、訪 問時に接した多くの人達からも強くその気持ちが感じられました。しかもうれしいこと に、そのもてなしの心は「深川市との交流で学んだ」とのことであり、本市との交流を 非常に大切に考えていることをあらためて知りました。 これらの状況等を踏まえ、今後の姉妹都市交流を進めるにあたっては、民間交流に力 を入れることが必要であり、民間交流を推進するための行政的支援に力をそそぐことが、 今後の姉妹都市交流の効果、メリット拡大に繋がるのではと感触を持ったところです。 次に、今回アボツフォード市を訪問しての感想を2、3書いてみたいと思います。 アボツフォード市到着翌早朝、一時間ほど付近を散策し、先ず感じたことは、気候的 にも、風景的にも深川と似た雰囲気であり、親近感を持ちました。更に、家屋の密集感 が無く、広々とした敷地もきれいに整備され、個々に手入れされた景観は、まさに美し いと感じました。 (後日、聞くところによると、アボツフォード市独自の条例として『良 き隣人条例』があり、内容として「騒音規制」「ペットを敷地内できちんと飼うこと」 「ゴミは決まった日に出すこと」「家の周囲を見苦しくしない」などが記載され、その ほか『土地の使用区分条例』では「農地に商工業関係の建物を建設することが出来ない 19 し、住宅地で牛や豚を飼うことが出来ない」等、具体的な事が条例によって決められて いるとのことでありました。) 訪問前のアボツフォード市に対する私のイメージとして、うっそうと生い茂る大自然 に囲まれた中にポツンと建つ家屋とか、広大な小麦畑や草地の拡がる風景を想像してい ましたが、郊外の景観は、山々の稜線が周囲を遠望し、深川と同規模くらいに区画割り された家屋が点在する緑豊かな散村風景であり、本市は稲作を中心とする水田地帯です が、アボツフォード市はベリー(ブルーベリー、ラズベリーなど)畑が広がる、緑いっ ぱいの豊かな景観であり、約13万の人口を要する農業都市でありました。その農業で 大きく異なることは、深川では収穫された農産品の多くはそのままで各地に移送され、 直接消費者に消費されることが少ないのに比べ、アボツフォード市では、地元で加工、 製品化し、付加価値を付けて各地に移送され、直接消費される比率が非常に高いことは 充分参考になりました。構造的・物理的相違があり、安易な判断は出来ませんが、この ことは、本市にとって将来的課題でもありますことから、その手法には大いに参考にす べきと考えているところです。 今回の訪問で感じたことは、歴史・民族、言葉や思想・文化など様々な異なりはあり ますが、より多くの人達が交流することにより、学ばされることが多々あると感じまし た。短期間であり、表面的判断や言葉の違いから誤った見方もあるかとは思いますが、 私なりに得た感想を書かせていただきました。今後も姉妹都市交流が、両市共に有意義 な取り組みとなりますように、私も微力ながら努力させていただき、今回、参加させて 戴きましたことに感謝申し上げご報告とさせていただきます。 深川国際交流協会 副理事長 板倉 明子 国際交流協会設立当時、事前調査団として、12年前にアボツフォード市を訪問いた しましたが、10周年の今回の訪問はその時とは全然違って、本当に親密度の濃い交流 がなされていることを肌で実感してまいりました。この10年間の交流の成果が着実に 実ってきていることを、確信いたしました。 交流というのはやはり何といっても、互いに「会う」というスキンシップが基本では ないでしょうか。今回は経済的な事情からも、訪問の期間を4年から6年に提案いたし ましたが、いずれ事情が許せば、もっと互いに会える機会を作る方がやはり良いのでな いかと感じました。 「交流相手はカナダばかりでいいのか」という意見もこれまで何度か聞きましたが、 今の深川市にとってはやはり「カナダ」が一番、アボツフォード市とのお付き合いがと てもいいと、私は感じております。町の大きさ、施設の規模は違っても、豊かな自然と 20 資源に恵まれ、特にこの地方は広い農地をフレーザー川が流れ、深川市と良く似た風景 が拡がっていて、心温かな人々とのお付き合いは、とても大切なものを、私たちに教え てくれるような気がいたします。 何よりも拓大とフレ−ザーバレー大学との交流基盤があることが有難いと思います し、英語圏であることで言葉の問題も比較的解決し易い点もあります。 また、この経済の厳しい時に国際交流などやっている場合か、というご意見も或いは お持ちの方もあるかと思いますが、現在、深川で街づくりに熱心に取り組んでおられる 方々には、海外に出た経験のある方が沢山いらっしゃると思います。ヨーロッパに永く 滞在のご経験のある市長さんをはじめ、農業研修や商店街視察でたくさんの方々が海外 に出ました。交流派遣団でアボツフォードを訪問された議員さんをはじめ、国際交流協 会の皆さん、また農協の組合長さんなど要職にある方々は皆、深川市を外から見る目を 養われた方が多いとお見受けいたします。そういう人材を育て続けていくことが、この 地方が良くなる一番の原動力になるのではないでしょうか。 今、お腹が空いているからといって明日撒く種まで食べてしまう人はいないでしょう。 苦しい時ほど明日のために備えることこそ、豊かな未来を作る鍵となるのではないでし ょうか。 青少年を海外に送り人材を育て、われわれ大人もグローバルな感覚を持って、この地 域作りをしていかなければ、将来に「悔い」を残すものと思います。 拓殖大学北海道短期大学 准教授 杉本 雅彦 拓殖大学北海道短期大学とカナダ・ブリティッシュ・コロンビア州立フレーザー・バ レー大学との国際交流は、平成2年(1990年)よりはじまりました。当初は国際交 流の一環として、深川市民を対象とする公開講座が平成5年9月より3回、平成6年度 には計7回実施されました。この講座は本学のスタッフによるものばかりでなく、フレ ーザー・バレー大学のスタッフによる公開講座もひんぱんに開かれ、例えば、平成6年 5月16日には、ノーマ・セン教授による「カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州の 農業」や、同5月18日には、メーブル、デル・シーナス両氏による「カナダの保育」 などが行われました。 こうしたいくつかの相互交流を経験し、平成6年11月9日にはフレーザー・バレー 大学長ピーター・ジョーンズ氏と本学とで姉妹提携の調印を交しました。その後、両校 の国際交流は活発となり、翌平成7年秋には、ピーター・ジョーンズ学長の交換教授第 1号が実現しました。ジョーンズ学長は、本学での教科目「地域研究」を担当し、3ヶ 月間本学の学生にカナダ学を講義されました。 21 平成8年夏には、第4回目のカナダ研修旅行が実行されました。学生12名、教員2 名からなる研修生は3週間フレーザー・バレー大学で農業、経済、保育、英語の研修を うけることとなりました。また、この年の6月にはフレーザー・バレー大学より6名の 日本語研修グループが2名の引率教員とともに来校し、深川市でホームステイしながら、 3ヶ月間深川で過ごしていきました。 私は、平成16年8月22日から9月12日に学生10名のカナダ研修旅行に引率で 参加しました。この21日間の研修を通して学生たちは多くのことを学ぶことができた と思います。まず学生たちの何人かは初めての海外旅行および海外生活を体験し、ホー ムステイは全員初めての経験でした。コミュニケーションが不自由な環境の中でも、ホ ストファミリーとお互いの理解のために精一杯の努力をし、食事や寝起きを共にした生 活を体験したことは、彼等の今後の人生に役立つ力強さ、協調性、他人への思いやりな ど多くのことを自分のものにできたであろうと思います。 今回の深川市公式訪問により、私のカナダ訪問は2度目となり、8月7日にはフレー ザー・バレー大学へも行くことができました。私にとって、フレーザー・バレー大学を 訪問できたことはとても嬉しいことであり、また懐かしく感じることでもありました。 フレーザー・バレー大学は、本年4月から4年制の総合大学に昇格し、総学生数は1万 4千人に増え、体育館や学生寮などは新しく建設され大規模な大学へと成長していまし た。大学では、国際教育指導部長のカローラ・スティンソン氏と面談することができ、 拓殖大学北海道短期大学との交流について次のように話していただけました。「今後も 拓殖大学北海道短期大学との関係は変わりなく続けて行きます。現在、フレーザー・バ レー大学には、拓殖大学北海道短期大学の他に3つの姉妹提携する大学があります。し かし、拓殖大学北海道短期大学が一番最初に提携した大学であり、大学職員全員が拓大 との友好関係について特別な意識を持っています。また、フレーザー・バレー大学に日 本語専攻科を新設するため、今後の拓殖大学北海道短期大学へ研修に行く学生に期待が できます。 」 この話を聞いて団員の一人は、スティンソン氏の言葉が、拓殖大学北海道短期大学を 初恋の相手のように思っていただき、いつまでもずっと大切にして行きたいと言ってい るかのように聞き取れたと言われ、私もそのように感じました。この10年間を通して、 すばらしい友好関係を築き上げてきた諸先輩方に、私は敬意を表し、今後も拓殖大学北 海道短期大学とフレーザー・バレー大学との交流、そして、深川市とアボツフォード市 の国際交流が末永く続くことを願っています。 22 深川国際交流協会理事 通訳 高田 真知子 今回は、私は通訳を委任されての公式訪問団参加であった。 姉妹都市提携10周年の節目であることから、大切な式辞や挨拶のスピーチも多く、今 後の交流のあり方を話し合う重要なセッションの場も設定されており、責任は重かった。 何はともあれ、大過なく任務を果たすことができてホッとしている。 到着初日には、夜遅い時間にも関わらず、市長夫人をはじめとした姉妹都市委員会の 方々、市役所の担当スタッフの方がバンクーバー国際空港で、暖かく出迎えてくださっ た。アボッツフォードから1時間くらいかけてわざわざ来てくださったのだ。長旅の疲 れが吹っ飛んだことは言うまでもない。ホテルに着くと、すでにチェック・インがなさ れており、フロントでのわずらわしい手続きを一切することなしに、すぐ部屋に入るこ とができた。このような配慮は滞在中ずっと続き、我々が訪問の目的を無事に果たすこ とができるように、スケジュールの組み替えなど、常に柔軟に対処していただいた。予 想外の暑さに参った時もあったが、つめたい飲み物は言うまでもなく、帽子、サングラ ス、日焼け止めとまさにかゆいところに手が届くような気配りであった。しかも彼らい わく「私たちは、深川でしてもらったと同じようにもてなしているだけです。日本式の おもてなしの心を深川から学んだのです。 」 私のアボッツフォードとの関わりは、1998年の姉妹都市提携調印の時にボランテ ィア通訳としてお手伝いした時から始まった。この10年の間に深川ではアボッツフォ ードからの公式訪問団を3回受け入れている。受け入れにあたっては、市の担当職員、 国際交流協会の関係者、見学受け入れ施設の担当者など、数多くの人たちが、一生懸命 「日本式おもてなしの心」でお世話をしてきた。始めの頃は、盛りだくさんの予定を組 みすぎて、彼らを疲れさせてしまったこともあった。しかし長い付き合いの間に、「希 望は率直に相手に伝える。無理をしない。 」 「勝手な思い込みでなく、訪問者が一番望む ようにお世話をする。」などが、定着してきたように思う。これも2年に一度の相互訪 問で、お互いに信頼と友情ができあがっているからだろう。このように土台が出来上が っているからこそ、毎年、青少年カナダ交流訪問団の子供たちを2週間安心して派遣で きる。10年に渡り受け入れに関わって苦労してきたすべての皆さんに、このことをお 知らせして、喜びを分かち合いたい。 最後にアボッツフォード滞在中に、カナダ側から頂いた貴重な助言を紹介しておこう。 「相互交流とはいいつつも、特に学生を中心に考えると、深川からアボッツフォードを 訪問する人数のほうがずっと多い。かなり一方通行状態である。これはひとつには英語 をカナダで学んでみたい人と、日本語を日本で学んでみたい人の数のアンバランスが原 因である。しかし、カナダ側には、退職してお金も時間もある年齢層の人たちの中に、 日本に行って本場の生け花、お茶、柔道などの体験をしてみたい人たちが沢山いる。そ ういう人たちが深川を訪問したくなるような魅力的なプランを作成すれば、もっと交流 の輪が広がるのではないか。」という助言であった。 23 これは、2004年の深川からの公式訪問の際に、当時の双方の市長の間で行われた 「現状は青少年を中心とした交流になっているが、その輪をもっと広げるために、両市 民の体験交流型観光の可能性を前向きに検討してみよう。 」という話し合いと合致する。 しかし、その後実現にはいたっていない。 今回、深川市から、財政困難を理由に、公式訪問の回数を減らす提案がなされた。ア ボッツフォード側でも他に2つの姉妹都市を持つ予定があるから、異存はないようだ。 今後も両市それぞれに状況の変化はおこるだろうが、お互いに相手の状況を理解しなが ら、姉妹都市の絆を継続、強化していくという前向きの姿勢を持ち続けることが大切だ と考える。 今(9月12日現在)カナダから2名の生徒が高校生交換留学の制度を利用して深川 に来ている。ホストファミリーを始め、東高、市役所、拓大、国際交流協会などそれぞ れの関係各機関の多勢の人たちが、協力し合って彼らの滞在が素晴らしい経験となるよ うに力を尽くしている。カナダに行く機会がない深川の若者たちにとっても、いながら にして異文化交流する良い機会である。両市とも交換留学への参加者が少なくて継続が 困難視されていた事業であるが、蒔いた種はいつかは発芽する。継続が必要だと考える。 深川市企画総務部企画課 企画課長 瀬川 慎 (随 行) 他の団員の方々が、滞在中のいろいろなでき事、感じた事、交流訪問に対する考え、 あるいはこれまでの10年間の意義など、いろいろお書きになっているので、私からは 随行という立場から思った事を書いてみたいと思います。 私は姉妹都市カナダ・アボツフォード市への訪問は今回が初めてであり、いろいろと 論議がなされた上で決定された公式訪問であったことから、「随行」という立場を考え ると相当のプレッシャーがかかっていたことは確かであり、各団体等から推薦された他 の団員の方々も多分同じ気持ちであったのではないかと思います。しかも、5月の段階 から滞在中の日程について、本市側の幾つかの要望を出していましたが、出発間際に届 いた最終スケジュール表では変更がなされていなかった事が不安を広げ、プレッシャー を重くしました。 しかし、この不安を取り除くきっかけとなったのは、他ならぬ市長の2つ行動であっ たと思います。 千歳空港を出発する前に、市長は私にこう言いました。「海外では必ず予期せぬ事が 起きる。今回も準備を重ねたが、何かが起きると思った方がいい。しかし、焦ってはダ 24 メで、ゆっくりと最善策を考えることだ」。 一つ目の行動は台湾桃園空港で起きました。今回の空路は直行便ではなく、台湾桃園 空港を経由してバンクーバー空港に入るという経路でした。千歳空港を飛び立ち台湾桃 園空港に着くや、市長は我々の先頭に立ち、こちらこちらと手招きしながら前を進むで はありませんか。隣を歩いていた通訳の高田さんが「市長はなんだか張り切っているよ うね、まるで添乗員みたい。これまでの市長像とは違うな」と笑いながら言いました。 「えぇ、そのようですね。でも、本来は私がすべきことなんですよね」と私は答えた。 そこに板倉さんも参加して「楽しんでいるようなので、このまま少し市長の様子(行動) を見ていましょうか」。 (笑い)この市長の行動が我々団員の気持ちを和らげてくれたこ とは間違いなく、その後の添乗員=市長の後に続きながら、国際線待合室へのエスカレ ーターに乗り通路を歩く途中で「このツアーは市長に任せましょう!」とひそかに一致。 ところで議長は?と辺りを見回すと、あのおおらかな表情が目に入り安心。杉本先生が 「ちゃんとついてきてますよ。」とにこり。私はこの時、団員の重い心が解きほぐされ たように思え、このメンバーなら公式訪問の目的を果たすことができると思いました。 その後バンクーバー行きの機内では、これまで話したことのなかった高田さん、板倉 さんと会話がはずみ、高田さんとの話しから、私は迷っていた日程後半に予定されてい る返礼夕食会での司会進行役をすることを決めました。 無事バンクーバーに到着。夜10時を過ぎていた遅い時間であったにもかかわらず、 ファーガソン市長夫人を含め大勢の心こもった出迎えを受け、私たちは用意された市公 用車に乗り、ホテルへと向かいました。そして、二つ目の行動はその車中で起ったので す。 アボツフォード市側から2名の職員が同乗し、その内一人はビル・フリトンという行 政管理企画担当者で「代理理事」という職名をもつ相当権限のある方でした 遅い時間でありましたが、時折街路灯の明かりで照らし出される町並みや景色等を見 ながら、市長とビルとの会話が始まり、高田さんの通訳も加わりました。私は、もしこ こであの件を切り出さなければ、もうチャンスはないなと思いました。 空港を出発してどれほど経過したでしょうか、その時、市長が今回の滞在中の日程に ついて、ゆっくりと話し始めたのです。「ビクトリアへの視察をキャンセルすることが できますか。大事な今後の交流等の話しに多くの時間をかけたい。」と市長。ビルは間 をおかず「訪問団がそのように望むのであれば、それが一番いい事だと思います。」と 答えた。話しが決まった!私の脳裏からアボツフォード市から送られてきた「too late to cancel」という文字が消えた。 滞在中は晴天にも恵まれ、公式訪問日程は順調に進み、両市の友好親善と絆の強化に 貢献する意義のある訪問となったことを心から嬉しく思いました。 25 資 料 アボツフォード市の概要 アボツフォード市との交流経過 26 アボツフォード市の概要 1995年1月、マックイ市とアボツフォード市が合併して誕生した、カナダのブリティ ッシュ・コロンビア州南西部、バンクーバーから72キロメートル東に位置する州内最大級 の農地を有する農業都市。 土地の最初に開発は、ゴールドラッシュの時期に当たる1858年に、イギリス軍によっ てフレーザー川流域の測量が行われたことに始まる。1860年代後半、入植者はタバコ、 牛乳、バターなどの乳製品を生産していた。 人口は、約 12 万 4,000 人で州内第5位、国内第37位の人口規模を持ち、面積約360平 方キロメートル。 アメリカと国境を接しており、南東100キロメートルのところにベーカー山がある。 温暖な気候と都市部周辺の農場地帯の土壌が、乳製品、卵、鶏肉、野菜、果樹や畜産など 数百万ドルの産業を生み出し、地域経済を支えている。 また、フレーザーバレー地域の小売業の中心地でもあり、国政的な商店街、田舎の伝統的 で親しみのあるダウンタウンなどユニークなスタイルの商業エリアがある。 本市とは、1994年に行われた拓殖大学北海道短期大学とフレーザーバレー大学の姉妹 大学提携を機に、市民レベルの交流が始まり、深川市から1996年に市民交流調査団が、 1997年には深川市長を団長とする親善訪問団がそれぞれアボツフォード市を訪問した。 1998年5月にはアボツフォード市において、カナダ・アボツフォード市姉妹都市提携 使節団として訪問した深川市助役がアボツフォード市長とともに姉妹都市提携に係る覚書を 取り交わし、1998年9月14日深川市において提携調印を行った。 姉妹都市提携以前の1997年から中高生による青少年カナダ交流訪問団を派遣するととも に提携以降は交換留学制度の創設による青少年交流や、混声合唱団コール・メムが訪問を行 い、ジョイントコンサートを開催し、老人クラブや小学校を訪問するなど、市民レベルでの 文化交流を重ねている。 カナダ・アボツフォード市の位置 27 アボツフォード市との交流経過 時 期 1990 年 内 容 拓殖大学北海道短期大学がフレーザーバレー大学に紹介資料を求 め、大学間交流開始 1994 年 11 月 拓殖大学北海道短期大学とフレーザーバレー大学が姉妹協定 1996 年6月 深川市国際交流推進協議会設立 1996 年9月 カナダ市民交流調査団派遣 1997 年2月 1997 年3月 1997 年6月 1997 年8月 1998 年5月 1998 年9月 国際ソロプチミスト深川とソロプチミストアボツフォードが姉妹 提携 深川国際交流協会設立 第1回青少年カナダ交流訪問団派遣(以後毎年派遣(H15 は SARS で中止) ) カナダ親善交流訪問団を派遣 アボツフォード市姉妹都市提携使節団派遣 「深川市とアボツフォード市の姉妹提携に関する覚書」を交わす アボツフォード市代表団受入 アボツフォード市と姉妹提携調印式を挙行 1999 年∼2002 年 市職員7名がアボツフォード市に派遣研修 2000 年8月 深川市公式訪問団派遣(親善交流及び交換留学についての協議) 2001 年 10 月 高校生の交換留学制度事業を創設したが、米国同時多発テロ事件 により派遣中止 2002 年5月 アボツフォード市公式訪問団受入 2002 年9月 アボツフォード市留学生5人受入 2002 年 12 月 深川高校生5人アボツフォード市に派遣 2003 年 11 月 混声合唱団コール・メムが訪問 2004 年7月 深川市公式訪問団派遣(親善交流及びスポーツ交流) 2004 年 アボツフォード市留学生3人受入、深川高校生3人派遣 2005 年 アボツフォード市留学生1人受入、深川高校生1人派遣 2006 年8月 アボツフォード市公式訪問団受入 2007 年 11 月 深川高校生2人派遣 2008 年8月 深川市公式訪問団派遣(親善交流及び今後の交流のあり方につい ての協議) 28