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認知症連携パス ガイドライン(原案)
1.認知症連携パスの概要 (1)認知症医療とケアの現状 認知症医療やケアへの取り組みは、あらゆる分野で検討が進んできましたが、今なお家族で抱え込み、 それぞれの病期に応じた適切な医療や相談につながっていない現状があります。その背景には、近江八 幡市内や二次医療圏域に認知症疾患医療センターがなく、認知症の早期発見・診断体制が未確立である ということがあります。 また、診断後の医療関係者と福祉・介護関係者の連携も十分ではなく、市民に一貫した支援方針のも とサービスを提供できていない事例もありました。認知症の病態から考えると、ご本人の意思確認が難 しく個人の尊厳を守る療養環境が整えられていなということも大きな課題です。 この問題を改善するため、近江八幡市では、平成 24 年度の在宅医療連携拠点事業を起点として「医療 連携ツール開発普及ワーキンググループ」を立ち上げ、医療と介護・福祉の連携強化による認知症の包 括的支援体制構築に向けた取り組みを始めました。 (2)「認知症連携パス」作成の目的 認知症の人と家族を支援するさまざまな専門職(機関)が、本人情報を共有するためのツールとして、 「認知症連携パス」を作成しました。 この認知症連携パスは、認知症もしくは認知機能低下が疑われる人の必要な情報を支援機関で共有す ることによって、ご本人と家族が、その時々の状態に応じた適切な支援が得られることが目的です。 こうした情報共有体制が整うことで、 『認知症になっても本人の意志が尊重され、できる限り住み慣れ た地域の良い環境で暮らし続けることができる』まちづくりを目指します。 (3)「認知症連携パス」の構成要素 パスは、次の3つの要素と参考資料から構成されます。 様式1 医療連携ツールの概要(フロー):パスの全体像。「いつ、どこが、どの連携ツールを用いて情 報共有するのか」を、 「情報共有が必要な場面」を横軸に、 「主な関係機関」 を縦軸に一覧で示しています。 様式2 情報共有のしくみ:様式①と対応した「情報共有が必要な場面」ごとに、使用する連携ツール 作成時の留意点や作成時に必要な情報源、発信元と発信先を示しています。 様式3 連携ツール: 各種連携ツールの様式集。 参考資料1:連携ツール(コメント付) :各種連携ツールに、記入時の注意点をコメント 挿入したもの。記載時に参照します。 参考資料2:行動観察方式 AOS の使い方を、 「キャラバン・メイト養成研修 スキルアッ プ編―NPO 法人 地域ケア政策ネットワーク全国キャラバン・メイト連絡 協議会―」から引用しています。 (4)パスの対象者 認知症および認知機能低下が疑われる方を対象とします。 2.パス使用の手順 (1)パス対象者の支援に際して、関係機関との情報共有や連携の必要が生じたときには、まず対象者の状 態がどの場面にあるかを様式1「医療連携ツールの概要(フロー)」の横軸で確認します。 次に、連携の必要な機関を縦軸で選び、情報共有が必要な場面とクロスした矢印内の番号を確認し ます。矢印内の番号と対応した連携ツール名と掲載ページが、様式1右欄で分かります。 例)かかりつけ医が認知症の診断をし、 治療方針をケアマネジャーへ情報提供 する場合、2-④を選択。 2-④に該当する連携ツールは「診 療情報提供書(指定居宅介護支援 事業所等」 。 (2)様式2「情報共有のしくみ」の縦軸「流れ」から、手順(1)で選択した番号を探します。 (中略) (3) (2)で「作成する様式」を確認し、様式3「連携ツール」で該当ツールを選び出し、作成します。 連携ツールの記載にあたっては、様式4「連携ツール(コメント付) 」を参照します。 (4)連携ツールを関係機関から受け取ったときは、以下の手順で返信します。 様式1「医療連携ツールの概要(フロー) 」で、次に情報を返す先(矢印番号)と連携ツールを 確認します。 参考資料1「連携ツール(コメント付) 」を参照して返信様式を作成します。 3.パス使用上の留意点 (1) 認知症連携パス作成の目的は先に述べましたが、具体的には以下のねらいがあります。 医療情報と生活情報の両方を得ることで、認知機能障害だけでなく生活機能障害にも着目し、 認知症の早い段階での支援介入を目指します。普段の生活習慣や人となり、仕事や家事能力 の変化に関する情報が有用です。 早期介入によって、治療可能な認知症に、時期を逸することなく対応できます。 また治癒できなくても、症状の進行を遅らせたり維持する治療やケアが奏功する場合があり ます。 早期であれば、本人や家族が今後の生活や医療、介護について考える時間が確保でき、関係 機関も、本人の意向に沿った支援を組み立てていくことが可能になります。 こうしたことが、認知症になっても本人の意志が尊重され、尊厳ある療養生活を保障してい きます。 標準的な連携ツールを定めましたが、これらの様式を「書く」ことだけがねらいではなく、 「ど の時期に、どのような機関と、どんな情報のやりとりをすればよいか」を理解して必要な情 報を共有でき、認知症の人を支援できることが目的です。 標準的な連携ツールとは異なる様式を使用する場合は、同種様式の留意点(コメント)を参 照し、必要な情報を盛り込むようにします。 (2) 様式1「医療連携ツールの概要(フロー)」や様式2「情報共有のしくみ」で次の連携先が確認で きます。情報提供先が支援に入りやすいよう、ご本人と情報提供先の「つなぎ」を意識しましょう。 「つなぎ」をご本人や家族に任せると、途切れてしまう場合があります。 (例) 「〇〇(機関名)が、こうした相談にのってくれます。こちらから連絡しておきましょう。」 「次の診察で先生に相談しやすいよう、私からも連絡しておきますね。」 *情報提供には、ご本人や家族の同意を得ることが前提です。 (3) 認知症の人は、自分の意志や思いを伝えることが困難な場面が多くあります。平易な短い言葉で伝 えたり、言語以外の方法(ご本人の表情・行動)からも思いをくみ取ることを意識しましょう。そ うした反応を、ご本人の尊厳を守る情報として大切にしていきましょう。 家族の場合も同じです。訴えの少ない家族には、他の機関に情報を求めたり、家族の言外に読み取 れる雰気や本人への態度にも着目します。 *「看取り期」においては、ご本人の意志を表明した文書が作成されていないか、ご家族に確認し、 自己決定権の尊重に努めます。 (例)リビングウィル 事前説明書など (4) 本人や家族はもとより、専門職同士であっても領域外の専門用語は理解しづらいものです。なるべ く分かりやすい言葉で記載してください。 (5) 認知症連携パスは、運用しながら今後も改良していきます。改善点等の気づきがあった場合は、近 江八幡市地域包括支援センター(☎31-3737)までお知らせください。 「様式3 連携ツール」は、「※参考様式」を除き、近江八幡市公式ホームペ ージからダウンロードできます。 http://www.city.omihachiman.shiga.jp/ 「HOME」⇒「申請書ダウンロード」