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夢中になってしまって、我も、時間も忘れてしまったという経験を思い出

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夢中になってしまって、我も、時間も忘れてしまったという経験を思い出
第14回「フロー」
夢中になってしまって、我も、時間も忘れてしまったという経験を思い出せるでしょうか。アメ
リカの心理学者チクセントミハイという人は、これを「フロー」と呼んでいるそうで、私はそのこ
とを茂木健一郎氏のある本への解説で知りました。
「夢中になる」ことの素晴らしさを、本校の生
徒に伝えたいと思っています。
以前、別の高校で小学校との交流を行ったとき、前に立つ高校生の言動をじっと見聞きしている
小学生たちの目が、忘れられない思い出として私にはあります。
「無心」とは、こういうことなの
だろうと強く心を動かされました。翻って、教壇に立つ私の言動を、高校生はあのような目で見て
いるのだろうかと思い、未熟の二文字とともに、あのような目をさせてみたいと思い続けてきまし
た。
「
「フロー」に入ると、人は、時間が経つのを忘れる。我も忘れてしまう。また、何かの目的のため
というのではなく、行為そのものが喜びとなる。したがって、たとえ何らの報酬を得られなくても、
行為することをやめない」と茂木健一郎氏は言っています。
「何かの目的のためではなく、行為そのものが喜びになる」という経験を思い起こしてみると何が
あるでしょうか。読書、音楽、映画・・・運動でもランニング・ハイという状況は、フローの状態
なのかもしれません。また、知らないこと、今おかれているのと異なる世界があることを知った時、
このフローは起こりやすくなるのではないかとも思います。子供たちにとって、この世界はまだま
だ知らないことばかりですが、だからこそ、何かを見つけたり、心を強く動かされたときに「フロ
ー」の状態になりやすいかもしれません。考えてみれば、
「学びの本質」とは、こういうものでは
ないでしょうか。見返りも報酬も頭の中になく、学ぶことそのものが喜びというのは素敵です。数
学者の岡潔氏も「集中とは我を離れる時間」と言っています。
本校生にも、たくさんのフローを経験してほしいと願うとともに、フローのきっかけになるもの
をたくさん作ってあげられたらと思っています。
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