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動物の科学 - 放送大学

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動物の科学 - 放送大学
事務局 開講
記載欄 年度
科目名(メディア)
2009年度
=
科目
区分
専門科目
動物の科学
科目
コード
1565419
履修
制限
無
単位
数
2
(’09)= (TV)
〔主任講師(現職名): 松本 忠夫 (放送大学客員教授)
〕
〔主任講師(現職名): 星 元紀 (放送大学客員教授)
〕
【 本 学 担 当 専 任 教 員 : 二河 成男 (放送大学教授)
】
講義概要
動物とは、他の生物が作った有機物を摂食して生きている多細胞生物の総称である。生物界を構成している6界の生物の中
で、もっとも後に進化したものたちで、極めて多様な生活様式が見られる。本講義では、私たち人間を含めての動物たちの基本
的な生活様式を見るとともに、生殖、発生、運動、行動、内分泌、生体防御、感覚などのメカニズムを紹介する。そして、動物の
姿を科学することは、人間自身の理解の上で極めて有用であることを知っていただく。
授業の目標
現代における生物科学あるいは生命科学は、極めて大きく発展してきている。そして、生命現象の解明で明らかにされてきた
ことは、非常に複雑かつ高度な物質系であって、全面的な理解のためにはまだまだ多くの謎解きをしなければならないことであ
る。生物以外の他の物質系にはない特徴として、生命の設計図であるゲノム情報の伝達とその変革(進化)があるが、動物では
その様相は複雑きわまりない。本講義は、自らが動物である限り、動物に関しての知識をもっておくことは、現代人の素養であり
生活を豊かにしていく上で必須であると考えて作成されている。
履修上の留意点
本講義を履修するにあたっては、共通科目の「初歩からの生物学」を履修しておくこと、あるいは同水準の生物学を既習してい
ることが望ましい。本講義と専門科目の「植物の科学」は、いわば姉妹講義の関係となっている。さらには、専門科目の「生物界
の変遷」は、生物科学関係の関連した科目として設置されている。
テ ー マ
1 多様な動物の世界
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
動物とはどのような生物をさすのか、その生活メカニズムの
基本的な様相、そして進化上の変遷を説明する。また、現
在の地球上での動物たちの適応放散と過去での適応放散
を比べることにより、動物の生活の本質を考える。さらには、
島嶼に隔離された鳥類における特異的な適応について紹 松本忠夫(放 松本忠夫(放
介し、動物の進化において捕食・披食関係の重要性をす 送大学・客員 送大学・客員
教授)
教授)
る。
【キーワード】
動物の定義、動物の誕生、系統分類、捕食・披食関係、適
応放散、ニュージーランドの生物
動物は従属栄養の生物であり、野外における生活の基本と
して食物資源の獲得がある。また、さまざまな無機環境に適
応している。本章ではその基本的な姿を説明する。さらに、
人間活動によって絶滅ないし絶滅危惧に至った動物たち、 松本忠夫(放 松本忠夫(放
野外における動物集 絶滅危惧動物の保全、そして有害動物の防除など具体例
送大学・客員 送大学・客員
2 団
を紹介する。
教授)
教授)
【キーワード】
従属栄養、ニッチ、絶滅危惧動物、動物の保全、有害動物
の除去、ニュージーランドの固有鳥類
回
テ ー マ
飼育、養殖される動
3 物たち
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
人間は自然界の様々な動物を、自身の生活向上のために
様々に改変してきた。その改変は品種改良としてとらえるこ
とができるが、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、カイコ、ミツバ
チ、魚類など多数種がいて、家畜動物、愛玩動物、実験動
物等に分類される。これら品種改良のポイントはどのような 松本忠夫(放 松本忠夫(放
ことだったのか、動物の本性との対比で考えてみることにす 送大学・客員 送大学・客員
教授)
教授)
る。また、養殖される魚介類の様相に関しても説明する。
【キーワード】
家畜動物、養殖、品種改良、遺伝学の応用、ニュージーラ
ンドの家畜
生殖は種の存続を保証する営みである。生殖には、遺伝子
の混合を伴わない無性生殖と、遺伝子の混合を伴う有性生
殖とに大別される。それぞれの仕組みの概略と、有性生殖 星 元紀(放 星 元紀(放
4 動物の子孫の残し方 の鍵となる減数分裂および受精について述べるとともに、生 送大学・客員 送大学・客員
殖医療の現状について検討する。
教授)
教授)
【キーワード】
無性生殖、有性生殖、減数分裂、受精、生殖医療
個体形成のメカニズ
5 ム
受精卵という1個の細胞が、胚、幼生を経て成体となり、や
がて老化して死に至るまでの複雑な過程が、どのようにして
営まれているのか述べる。また、この過程に大きな影響を与
える薬剤等について触れるとともに、再生医療の現状につ 星 元紀(放 星 元紀(放
送大学・客員 送大学・客員
いて検討する。
教授)
教授)
【キーワード】
初期発生、細胞の増殖と分化、体軸の決定、形態形成、幹
細胞、再生医療
発生様式の変更は進化の重要な要因である。ここでは、進
化とのかかわりにおいて、発生を制御する主要な遺伝子群
について述べるとともに、遺伝子レベルでのわずかな変化 星 元紀(放 星 元紀(放
動物の発生様式と進 がもたらす形態の変化について概観する。
送大学・客員 送大学・客員
6
化
教授)
教授)
【キーワード】
進化発生学、発生関連遺伝子、Hox遺伝子、モジュール、
大進化
動物は生存や繁殖のために、変動する環境の中で多様な
戦略をとり,適応している.このような環境適応は,動物の
成長過程をいかにして修飾するかに依存する.このような 三浦 徹(北
海道大学大
動物における表現型 適応的な表現型の変化を「表現型可塑性」というが,本講
学院地球環
7 可塑性と進化
義ではその仕組みと進化過程について概説する。
境科学院・准
【キーワード】
教授)
表現型可塑性、環境応答、反応基準、表現型多型、発生
拘束、進化
8 動物の感覚生理
動物は生存・繁殖のため、外界の環境を視覚や聴覚、嗅
覚、味覚、触覚等(「五感」)の感覚受容により感知し、適応
的な応答や行動を示す。本章では神経細胞(ニューロン)
の構造と機能、主要な感覚を担う感覚受容器と動物による
多様性、感覚情報を処理する脳の構造、一部の動物に見
られる特殊な感覚の例について解説する。
【キーワード】
感覚受容、メカニズム、脳の構造、種による多様性
久保 健雄
(東京大学大
学院理学系
研究科・教
授)
三浦 徹(北
海道大学大
学院地球環
境科学院・准
教授)
久保 健雄
(東京大学大
学院理学系
研究科・教
授)
回
テ ー マ
内 容
同種または異種の動物が交信のために用いるコミュニケー
ションには、フェロモン等による化学コミュニケーション(嗅
覚)、音声(聴覚)や色彩(視覚)を用いたコミュニケーション
の他、ヒトの言語に代表される記号的コミュニケーションなど
個体間のコミュニケー がある。特に社会性動物では、様々なコミュニケーションが
9
発達している。それらのコミュニケーションの神経的基盤や
ション
生物学的意義を解説する。
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
久保 健雄
(東京大学大
学院理学系
研究科・教
授)
久保 健雄
(東京大学大
学院理学系
研究科・教
授)
【キーワード】
化学コミュニケーション、視覚や聴覚によるコミュニケーショ
ン、ミツバチの尻振りダンス、弱電気魚のコミュニケーション
10 親子関係と性選択
動物界には多様な繁殖戦略が見られる。動物の親子関係
においては、子を生みっぱなしで何ら世話をしないものか
ら、少数の子を極めて親密に養育するものまで多様であ
る。また、親子関係とともに繁殖をめぐる雌雄の関係も多様
である。一般に雌は子を残すにあたって、雄を慎重に選好 松本忠夫(放 松本忠夫(放
することから性選択が起こっている。この回では、そのような 送大学・客員 送大学・客員
子孫を残すにあたっての性行動、子の養育に関する形質 教授)
教授)
の進化を説明する。
【キーワード】
生殖様式、繁殖戦略、親による子の保護、育児行動、雌の
選好性、ニュージーランドの鳥類
動物には集団を形成し、その個体間で様々な協力行動を
するものたちがいる。そのような協力行動はいかなる背景の
元に成立しているのであろうか。そして、協力行動の結果、
それぞれの種固有の社会生態が成立しているが、その進
化はどのようなものだろうか。ここでは、最近、大きく進展を
とげた社会生物学の要点を講義する。
三浦 徹(北
海道大学大
学院地球環
境科学院・准
教授)
三浦 徹(北
海道大学大
学院地球環
境科学院・准
教授)
石浦 章一
(東京大学大
学院総合文
化研究科・教
授)
石浦 章一
(東京大学大
学院総合文
化研究科・教
授)
動物の行動は、ホルモンと呼ばれる細胞が分泌した物質に
よって規定される場合がある。性に応じた行動や、ストレス 石浦 章一
応答などがその代表例である。脊椎動物を例にとって、内 (東京大学大
動物の行動とホルモ 分泌器官のはたらきと動物の行動との関係を紹介する。
学院総合文
13 ン
化研究科・教
授)
【キーワード】
石浦 章一
(東京大学大
学院総合文
化研究科・教
授)
11 動物の社会生態
【キーワード】
協力行動、利他行動、社会進化、血縁選択、分業、カース
ト分化
脳が大きくなることによって、動物は知能や行動というすば
らしい能力を獲得してきた。また、サルからヒトに進化するこ
とによって「精神」と呼ばれるものも兼ね備えてきた。この章
では、神経の機能、ヒトが持つ特殊な能力、モデル動物を
12 動物の脳とその機能 用いた遺伝子と各能力との関係などについて、例とともにわ
かりやすく紹介する。
【キーワード】
神経細胞、脳機能、精神活動、言語野、記憶
ホルモン、自律神経、神経伝達物質、ヒトの行動、アセチル
コリン、ドーパミン
回
テ ー マ
14 動物と感染症
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
動物は、傷を負ったり、微生物の攻撃を受けることがある
が、それらを軽減するしくみを持っている。この生体防御の 石浦 章一
はたらきをヒトを例にとって説明するとともに、それを回避す (東京大学大
るしくみや薬剤についても紹介する。
学院総合文
化研究科・教
【キーワード】
授)
感染症、鳥インフルエンザ、プリオン病、ワクチン、薬剤耐
性菌、免疫、抗生物質
動物の科学を学ぶことは、現代人の生活に取って必須と
なっている。それは、人間自身が動物であることから自明で
あり、また、応用生命科学が高度に進展してきていて、現代
人の生活のあらゆるところで、それらは関係してきているか 松本忠夫
15 応用動物科学の課題 らである。この回では、最近の応用動物科学のいくつかのト (放送大学・
ピックスに関して、ゲストと座談する。
客員教授)
【キーワード】
畜産革命、スーパーカウ、人工授精、 人畜共通症、食肉
の安全性、昆虫機能、カイコ、有用物の生産
石浦 章一
(東京大学大
学院総合文
化研究科・教
授)
松本忠夫(放
送大学・客員
教授)、ゲスト
(唐木英明、
竹田敏先生)
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