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無限 - C-faculty
数学入門 - レジメ 1 2015 年前期, 西岡 1 無限と実数 1.1 無限のパラドクス 現代数学では“無限”を日常的に取り扱う. その際, 一見奇妙なことが生じる. 例題 1.1. 次の等式を証明せよ. 0.999 · · · = 1. ⋄ (1.1) 例題 1.2 (アキレスと亀). 俊足のアキレスが亀と競争することになった. しかし「アキレスは俊足, 亀は鈍足」の定評があり, 亀にハンディキャップを与えることにした. するとゼノンが「このハンディキャップは極めて有効で, アキレスは亀に追いつけない」との論 証を以下のように展開した: (i) アキレスが亀のスタート地点 a に到着したとき, 亀は地点 b まで進む. (ii) アキレスが (亀の居た) 地点 b に到着したとき, 亀はさらに先の地点 c まで進む. (iii) アキレスが (亀の居た) 地点 c に到着したとき, 亀はさらに先の地点 d まで進む. .. . #$%&'()*+,(iv) これは無限回繰り返すが, それぞれの繰り返しには正の時間が必要で , 結局アキレスは亀に追い ! #$%&'()*+,つけない . 6 #$%&'()*+,! 6 " ! .$%/01&23+&'()45%6%789 ! " .$%/01&23+&'()45%6%789 6 " ! " 6 " 6 > .$%/01&23+&'()45%6%789 :$%/01&2;%32<=45%>%789 ! " :$%/01&2;%32<=45%>%789 6 > ! " > ? 6 :$%/01&2;%32<=45%>%789 ! > 6 " この論証は正しいのか ? > ⋄? 6 [例題 1.1 証明] Step 1 (簡単な方法). 小学校で学ぶ割り算 1 = 0.333 · · · 3 (1.2) を認めるなら, 極めて簡単に (1.1) が証明できる. (1.2) の両辺に 3 を掛けて 1=3× 1 = 3 × 0.333 · · · = 0.999 · · · 3 となる. つまり (1.2) と (1.1) は同値である. 1 ! " > ? Step 2. しかし厳密には, 「無限小数 0.333 · · · に 3 を掛ける」演算が可能かどうかに疑問点が残る. そこで x ≡ 0.999 · · · とおき, 10 x − x を計算する: +) つまり 9x = 9 ⇔ x = 1. 10x −x 9x = 9.999 · · · = −0.999 · · · = 9.000 · · · 2 [例題 1.2 解答] むろん正しくない. 例えば, アキレスが 10m/sec, 亀が 1m/sec で 100m 先からスタート としてみる. 1 アキレスが亀のスタート地点に到着するまで 10 sec., 2 その間に亀は 10 m 進む ( b 地点), 3 アキレスが b 地点到着するまで 1 sec, 4 その間に亀は 1 m 進む, .. . 結局, アキレスが亀に追いつくのに要する時間は 10 + 1 + で 11.2 秒足らずである. 1 1 1 + + · · · = 10 · = 11.11 · · · sec 10 100 1 − 0.1 2 • 現代数学の特徴は, 無限を頻繁に扱う 点にあるが, 例題 1.1, 1.2 に示されるように, 無限を扱 うには特別の注意が必要である. • さらに 現代数学では「小さな無限, 大きな無限, より大きな無限, · · · 」など“無限の大小関係” を比較することが可能である. • 本節では,「小さな無限=自然数」から「大きな無限=実数」をどうやって作り, 得られた実数 がどのような性質を持っているかを大雑把に述べる. • 基礎数学の目的である ‘微積分’ の根底にあるものは極限であり, この極限は実数の上で展開さ れる. そのため,極限=微積分を理解するためには「無限の厳密な理解」および「実数の理解」 (=無理数論) が是非とも必要となる. 1.2 自然数から有理数へ まず自然数 N とは, N = {1, 2, 3, · · · } のことである. m, n ∈ N にたいし (1.3) 四則演算: 和 m + n, 差 m − n, 積 m × n, 除 を自由に使いたい. 2 m n (i) しかし (1.3) の“差 m − n”が一つの集合の中で完結するためには, 自然数の全体 N では不十 分で, 整数 Z = {· · · , −2, −1, 0, 1, 2, 3, · · · } まで広げなければならない. (ii) さらに (1.3) の“除 m/n”が一つの集合の中で完結するためには, 整数の全体 Z でも不十分で, 有理数 Q={ m : m, n ∈ Z, n ̸= 0} n まで広げる必要がある. (iii) ところが, 一辺の長さ 1 の正方形 ABCD の対角線 AC の長さ x は, 有理数 Q の範囲に留ま らないことが証明できる (有理数の不完全性, 例題 1.3 ). A D B C (iv) また x2 = 2 という方程式を解こうとすると, 有理数 Q の中では解が見つからないことも証明 できる ( 例題 1.3 ). (v) さらに, 近代数学では, 頻繁に極限操作を行うが, √ 2 = 1.41421 · · · に収束する数列 a1 = 1, a2 = 1.4, a3 = 1.41, a4 = 1.414, · · · , を考えると「収束先が見つからない」という不都合がおこる. (vi) 0.3333 · · · などの無限小数の存在はよく知られているが,すべての無限小数で四則演算が可能 かどうかは自明ではない. 例えば末位の数字が判らない場合の乗法 1.73205 · · · × 2.23607 · · · (= √ √ 3 × 5) はどうやって計算するのだろうか? など多くの不具合が発生する. そのため Q をさらに広げる必要がある. 例題 1.3. 辺の長さが 1 である正方形 ABCD の 対角線 AC の長さ x は有理数ではない. ⋄ [例題 1.3 解答] まず ピタゴラスの定理 より x2 = (AB)2 + (BC)2 = 12 + 12 = 2. (1.4) つぎに, もし x が有理数だとすると, ある 整数 k, j があり x = j/k, (1.5) j, k は既約 k ̸= 0, (つまり 1 以外の公約数を持たないこと) 3 と表される. ところで (1.4) より j2 = x2 = 2 ⇒ j 2 = 2 · k 2 ⇒ j は偶数 k2 ⇒ ある整数 q があり, j = 2 · q すると 2 · k 2 = j 2 = (2 · q)2 = 4 · q 2 ⇒ k 2 = 2 · q 2 ⇒ k は偶数 ⇒ ある整数 r があり, k = 2 · r. 結局 j 2·q = k 2·r となり (1.5) で仮定した“既約”に反する. よって, (1.5) が間違っており, x は有理数ではない. なお上記の議論により, “x2 = 2 の解が有理数でない”ことも示されている. 2 1.3 有理数から実数へ そこで私達は 前述 I, (v) の不具合を解消するために,「次に述べる (1.6) の方法」で, 有理数 Q を 拡大する. すると具合の良いこと, §1.2, (iii) – (vi) の難点もすべて解消されることが証明できる*1 . (1.6) “有理数からなる数列”で「基本列」と呼ばれる性質 (1.7) を 備えたものの極限全体を考え, それを 実数 R とよぶ. 直ぐには理解しにくいが, これが 実数 R で,「 数直線上の全ての点の集合と直感できる」ことが示さ れる. まず 基本列 の定義を述べる. 定義 1.4. (実数でも有理数でも) 数列 {an } が 基本列 とは, 任意の ε > 0 にたいし, ある自然数 N があり, (1.7) m, n ≥ N → |am − an | ≤ ε をみたすことである. ⋄ 注意 1.5. (i) (1.7) の言い方が「ε, δ 論法」の典型例である. (ii) (1.7) の意味を大雑把ににいう. 基本列 {an } とは, n が大きくなるにつれ, |an − an+1 | がいく らでも小さくなる数列のことである. 任意の基本列 {an } の極限をすべて付け加えて, 実数 R を作っ たので, 前述 (v) の不具合は解消された. ⋄ こうやって得られた 実数 R は次のような良い性質を備えている. 命題 1.6 (実数の性質). (i) (四則演算が閉じている) a, b ∈ R ⇒ a + b, a − b, a × b ∈ R, *1 b ̸= 0 なら a/b ∈ R. この“拡大の方法”とか, “それで不具合が解消される”ことなど論ずることが, 「実数論」で ある. またどちらも無限個だが, 「実数の個数 > 有理数の個数」となることが証明できる. 4 (ii) a, b ∈ R ⇒ a < b , a = b , a > b のどれかが成立*2 . (iii) a, b ∈ R, a < b ⇒ a < c < b となる c ∈ R が存在する*3 . (iv) 実数列 {an } ⊂ R が (1.7) を満たせば, 必ず limn→∞ an ∈ R が存在する*4 . ⋄ 注意 1.7. 命題 1.6 の証明には, ‘実数論’ と呼ばれる理論に体系付けられており, ここでは述べない. 厳密な実数論の教科書を挙げるので, 興味がある人は通読されたい. • 田中一之, 鈴木登志雄, 数学のロジックと集合論, 2003, 培風館; ISBN4-563-00337-9 C3041 • 高木 貞治, 解析概論 改訂第 3 判, 1983, 岩波書店; ISBN-10: 4000051717. 注意 1.8. 有理数 Q を (1.6) の方法で拡大し, 実数 R が得られた. • では, 実数 R をさらに拡大して, 命題 1.6 の性質を備えたものが得られるだろうか? ⇒ 得られないことが証明されている. つまり 実数 R は, 頻繁に極限操作を行う現代数学の出発点と して丁度よい物と言える. ⋄ 2 無限の数え方 現代数学の特徴の一つは「無限を頻繁に扱う」ことである. ここでは「無限」を分類し, “小さな無 限”,“大きな無限”などが有ることを述べる. 無限を数えるための準備を行おう. 2.1 数の数え方 学生 a, b, · · · , から数人を選び, 集合 X を X ≡ {a, b, c, d, e, } と定義する. X の人数は 5 と直ぐに数えられるが, ここで“数える” とはどういうことかを説明する: U を自然数の部分集合 U ≡ {1, 2, 3, 4, 5} とすると X と U とに 1 : 1 関係がある = 次で定義するが, 簡単に言うと「X の要素に番号をつ ける」. 定義 2.1. ある集合 A と B とに 1 : 1 関係があるとは, 以下の条件をみたす関係式 h : B → A が存 在することである: (2.1) x ∈ B にたいし h(x) ∈ A かつ h(B) = A, x, y ∈ B かつ x ̸= y ⇒ h(x) ̸= h(y). (この (2.1) をみたす関係式を 全単射, bijection とよぶ.) ⋄ 注意 2.2. (i) とくに B が自然数の部分集合 B = {1, 2, · · · , n} の場合, 「集合 A の要素の個数は n 個」という. 例えば, 前述の X と U の場合, 全単射 h は *2 この性質を“線形順序性”という. この性質を“稠密性”という. *4 この性質を“実数の完備性”という. 有理数全体 Q は完備性を備えていない. *3 5 集合 U 1 2 3 4 5 全単射 h ↕ ↕ ↕ ↕ ↕ 集合 X a b d e c つまり h は a, · · · e に番号を振ることである. (ii) 定義 2.1 の方法を使えば (数を数えられなくても) 「集合 A と B が同数」を確かめられる. 定義 2.3. (i) 集合 A と B の要素の個数が同数*5 , ( Card [A] = Card [B] という記号を使う. ) ⇔ A と B とに 1 : 1 関係式 h が存在することである. (ii) 集合 A の要素の個数は B より少ないか等しい. ( Card [A] ≤ Card [B] という記号を使う.) ⇔ B の部分集合 C で, 「A と要素の個数が同数」のものが存在する. ⋄ 例題 2.4. 学生の集合 X = {a, b, c, d, e} と 椅子の集合 Y = { ア, イ, ウ, エ, オ, カ } の要素の個数 を比較せよ. [例題 2.4 解答] X と Y の間には, どんな全単射も存在しない. a b ア イ c ウ d エ e オ カ 1:1 対応がない つまり, 二つの集合 A, B の要素の個数が同じでなければ, A と B の間には全単射が存在しない. ⋄ 2.2 可算無限 自然数の全体 N = {1, 2, 3, · · · } の要素の個数は無限個だか, この無限を特に 可算無限 ℵ0 (アレフ ゼロ) と呼ぶ ( ⇔「N の濃度は ℵ0 」). 例題 2.5. 以下を証明せよ. (i) 偶数の全体の個数は可算無限 ℵ0 . (Card [偶数の全体] = ℵ0 .) (ii) 整数の全体 Z の個数は可算無限 ℵ0 . ( Card [Z] = ℵ0 . ) (iii) 2 次要素整数の全体 Z2 = {(n, m) : n, m ∈ Z} 個数は可算無限 ℵ0 . ( Card [Z2 ] = ℵ0 .) (iv) 有理数の全体 Q の要素の個数は可算無限 ℵ0 . ( Card [Q] = ℵ0 .) *5 A の要素の個数が無限個の場合も許す. 我々は「無限」を更に詳しく分類したいので, 有限を前提とする「個数」の用 語は 不適切. そこで「個数」の代わりに, 「A の濃度 (Cardinal number)」と言う. 6 [例題 2.5 解答] (i) 偶数の全体を E とおく. k ∈ N にたいし h(k) ≡ 2 k とおく. h(1) = 2, h(3) = 6, · · · h(2) = 4, h : N → E は全単射だから N と E の要素の個数は同じ. (ii) 関係式 h を { h(k) = −2k + 1 2k k≤0 k≥1 とおく. · · · , h(−2) = 5, h(−1) = 3, h(0) = 1, h(1) = 2, h(2) = 4, h(3) = 6, · · · -2 となるので, -1 0 1 2 3 h : Z → N は 全単射. これは, 上図の方法で整数 Z を数えることである. (iii) 2 次要素整数の Z2 を漏れなく数え上げる方法を言えばよい. 図で示すと, 下図の方法がそれ. (iv) ある整数 m, n (n ̸= 0) があり, x = m/n と表現できる数の全体が 有理数 Q である. このとき x= m ∈ Q にたいし φ(x) = (m, n) ∈ Z2 n という対応を考えると, Q の要素の個数が Z2 より少ないことが判る. ( 例えば, 1/2 ∈ Q に対応する Z2 の要素は (1, 2), (2, 4), · · · と無限個ある. また n ̸= 0 なので (1, 0), (2, 0), · · · ∈ Z2 に対応する Q の要素は存在しない.) 一方, Q ⊃ N なので Q の要素の個数は N の要素の個数 (=可算無限 ℵ0 ) より多い. 7 つまり (iii) の結果を使うと ℵ0 = Card [N] ≤ Card [Q] ≤ Card [Z2 ] = ℵ0 となり, (iv) が証明された. 2 2.3 非可算無限 前節では, 可算無限 ℵ0 の例しか提示しなかった. では ℵ0 より“大きな無限”は有るのか? この疑問に答えるため, 数直線上の 区間 I ≡ {x ∈ R : 0 ≤ x ≤ 1} に属する要素の個数を考える. 定理 2.6. I の要素の個数は可算無限 ℵ0 より真に大きい. ⋄ 定義 2.7. I の要素の個数を“非可算無限*6 c (シー) ”と呼ぶ. ⋄ 次の命題が証明されたものとして, 定理 2.6 を証明する. 命題 2.8. 集合 B の要素の個数が可算無限 ℵ0 なら, B の大きさ (=長さ) は 0. 定理 2.6 の証明 もし I の要素の個数が可算無限なら, 命題 2.8 より I の長さ |I| は 0. ところが |I| = 1 なので矛盾. よって I は可算無限より大きい無限. 命題 2.8 の証明 ⋄ 2 集合 B は可算無限 ℵ0 なので, B の要素には番号がつけられる: B = {b1 , b2 , b3 , · · · } この B の長さ |B| を計る. δ を任意の小さな正の数とすると, b1 − δ δ < b1 < b1 + , 2 2 b2 − δ δ < b2 < b2 + 2 , 2 2 2 ··· , bn − δ δ < bn < bn + n , n 2 2 ··· . となるので, b1 の長さ < δ, これらを合計して |B| ≤ δ + b2 の長さ < δ , 2 · · · , bn の長さ < δ , 2n−1 ··· . δ δ + · · · + n−1 + · · · = 2 δ. 2 2 ここで δ > 0 は, いくらでも小さくできるので, 次の練習問題 2.9 より |B| = 0. 練習問題 2.9. 次を証明せよ: 任意に小さな数 δ > 0 にたいし, 0 ≤ x ≤ δ ⇒ x = 0. (∗) 2 ⋄ 無限が関わると“点の個数”に関して, いろいろ不思議な事が起きる. 例題 2.10. (i) 開区間 X ≡ (−1, 1) と 開区間 Y ≡ (0, 1) 上の点の個数は 等しい. (ii) 数直線 R ≡ (−∞, ∞) と開区間 Y ≡ (−1, 1) 上の点の個数は等しい. [例題 2.10 証明] (i) 定義 2.9 より A と X 間に全単射が有ることを言えばよい. f (x) ≡ に f : X → Y で全単射の条件を満たしている. *6 “連続無限”ともいい, ℵ1 (アレフ ワン) とも記す. 8 x + 1 とおけば, 上図 左様 2 f(x)= x/2 +1 1 1/2 0 -1 1 (ii) 上図 右の関数 f : Y → R; 1 1 − 1−x 1+x 2 を使い, 前と同じ議論を繰り返す. 例題 2.11. 次を証明せよ: f (x) = 閉区間 X ≡ [0, 1] と半開区間 Y ≡ [0, 1) 上の点の個数は等しい. [例題 2.11 証明] 定義 2.9 より X と Y 間に全単射が有ることを言えばよい. X 上の点列 B, Y 上の点列 C を 1 1 1 , k = 0, 1, · · · } = {1, , · · · , k , · · · } k 2 2 2 1 1 1 1 Y ⊃ C ≡ {ck = k+1 , k = 0, 1, · · · } = { , , · · · , k , · · · } 2 2 4 2 X ⊃ B ≡ {bk ≡ とおく. つぎに全単射 f : X ↔ Y を 1 { f :X →Y; f (x) ≡ x ck もし x ∈ X − B もし x = bk ∈ B 1/2 1/2 とする. この f は, f (1) = 1 1 , 2 1 1 f( ) = , 2 4 ··· であり, B, C 以外の点は同じ点に対応している. これは, 右図のように 全単射 X ↔ Y を定義している. 練習問題 2.12. 次を証明せよ: 2 1/4 1/4 1/8 1/8 0 0 閉区間 X ≡ [0, 1] と開区間 Z ≡ (0, 1) 上の点の個数は等しい. 2.4 まとめ 代表的な無限集合の要素の数は以下の通り: 9 可算無限 ℵ0 自然数 N 整数 Z k 次要素格子点 Zk 点列 {1, 1/2, 1/3, 1/4, · · · } 有理数 Q 非可算無限 ℵ1 c 開区間 (0, 1) の点の数 閉区間 [0, 1] の点の数 実数 R k 次要素実数 Rk (∗) いくつかの事実. 例題 2.13. 「実数 R から 有理数 Q を差し引いた集合 =無理数」の要素の数を数えよ. [解答] 無理数の個数 = ℵ1 である. 2 例題 2.14. 可算無限 ℵ0 と非可算無限 ℵ1 c との間には, 別の大きさの無限が有るのか? [解答] 「証明が不可能」 ということが ゲーデル-コーエン によって証明されている. 「無い」とい う主張が,カントール の“連続体仮説”で, こう仮定して不都合が無いことも証明されている. 一方, 「有る」と仮定しても不都合は無い. 2 例題 2.15. 連続無限 ℵ1 より真に大きい無限が有るのか? [解答] この証明も易しくないが, 「有る」. “実数 R 上の関数全体 F ”の要素の個数は, 真に ℵ1 よ り大きく, 2ℵ1 と表記できる (カントールの定理 ). 2 以上 10