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カナダ・アルバータ州 原油・ガス産業最新動向

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カナダ・アルバータ州 原油・ガス産業最新動向
ALBERTA
OIL & GAS INDUSTRY
QUARTERLY UPDATE
カナダ・アルバータ州
原油・ガス産業最新動向
1
カナダ・アルバータ州の
原油・ガスについて
アルバータ州とその石油部門は世界的
な油価下落と天然ガス価格の持続的低
迷の痛みに耐え抜きました。周期的に
変動する商品価格が最終的に適正な水
準に復帰すれば、アルバータ州はすぐ
にも立ち直れる状態です。
実際テクノロジーを通じて、アルバータ
州の在来型石油・天然ガス業界に再び
好況が訪れようとしています。数年前ま
で、アルバータ州の在来型石油・ガス業
界はゆっくりと斜陽に向かっていまし
た。2010 年には、石油生産量がピーク
時(1973 年)の日量 143 万バレルから日
量 46 万バレル前後まで落ち込んでいま
した。
目次
02
TABLE CONTENTS
アルバータ州の
原油・ガスについて
03
04
原油の分布地図
天然ガスの分布
地図
05-06
政府の最新動向
07-08
石油・ガス業界の
最新動向
09
技術の最新動向
10
労働市場の
最新動向
11-13
原油・ガス統計
14-15
注目される Duvernay
16-17
天然ガス関連
しかし原油掘削活動の促進を目的としたアル
バータ州の新ロイヤリティ優遇策が功を奏し
たのはもちろん、アルバータ州内各地のタイト
オイルプレイで長い水平井とマルチステージ
水圧破砕法の導入が進んだことにより原油掘
削活動が活発化し、生産量が増加した結果、
状況は好転しつつあります。価格軟化に伴い
天然ガスの掘削活動は鈍化しましたが、価格
が回復に向かえばアルバータ州にも好影響
が及ぶものと思われます。
米国から徐々に北へと波及しアルバータ州に
も及んだタイトオイル革命は、実際に州の石
油と天然ガスの探鉱や生産に新しい時代の
幕開けをもたらしました。
アルバータ州では、ますます多くのオイルプレ
イで新技術が使われるようになりました。
中でも新技術の導入が最も進んでいるのは、
アルバータ州中西部の Cardium プレイ、Swan
Hills 近郊の Beaverhill Lake Carbonates プレ
イ、アルバータ州中東部とエドモントン北方
Red Water の Viking プレイ、アルバータ州南部
Princess とアルバータ州北西部 Judy Creek
の Pemiscot プレイです。
さらに、近年明らかになってきた Duvernay
や Montney のような液体留分の多いシェール
層は有望です。実際に Duvernay は、開発がさ
らに進んでいく可能性が最も高い地層かもし
れません。
2013年末にChevron Canada社、Encana社な
どの業界大手は、特に価値の高いコンデンセ
ートを中心に軒並み好調な液体生産量を発
表しました。生産者は、2014年の活動拡大に
向けて準備を進めています。
Duvernayは、豊富な資源を誇るテキサス州の
Eagle Fordとしばしば並び称されます。どちら
も、ドライガスからウェットガス、そして石油ま
であらゆる種類の資源が賦存するシェールプ
レイだからです。ブリティッシュ・コロンビア州
のHorn Riber Basin、国境の南に位置する
MarcellusやBarnettなど、その他多くのシェー
ルプレイは、Duvernay、Eagle Fordと比べると
はるかにガス中心です。
プレイエリアの潜在的規模、源岩の豊富さ、そ
して初期の生産成果から見て、Duvernayは
「Eagle Fordと同規模か、あるいはそれを超え
るプレイへの道を順調に進んでいる」
とCanadian Discovery社は断言しています。
これはカナダの在来型資源残存埋蔵量
のおよそ3分の1にあたります。
2013年の生産量を差し引いたうえで全埋
蔵量を調整すると、2012年比で5%の増加
です。
アルバータ州の2013年在来型原油生産
量は合計2億1,300万バレル(前年比5%
増)でした。
アルバータ州は、カナダの石油および石
油同等資源の生産に最も大きく貢献して
います。また、粗オイルサンド油の市販成
分である改質・未改質ビチュメンを生産し
ているのはアルバータ州だけです。
アルバータ州は、カナダ最大の販売可能
天然ガス生産地です。2013年には、カナ
ダの総生産量の69%がアルバータ州で生
産されました(2012年の70%から減少)。
同時期に、カナダ第2位の生産地である
ブリティッシュ・コロンビア州のシェアは
25%から26%に増加しました。
天然ガス価格が比較的低水準で推移し
たため、ここ数年間アルバータ州では天
然ガス掘削活動が停滞しましたが、価格
が回復すれば利益を上げられる態勢に
あります。
カナダは世界第3位の天然ガス生産国で
す。そのカナダの天然ガスの大部分がア
ルバータ州で生産されています。2012年
末時点の州のデータによれば、在来型天
然ガス確認埋蔵量は33兆立方フィート、
炭層メタンの残存確認埋蔵量は2兆4,000
億立方フィートです。販売可能な在来型
天然ガスの残存潜在埋蔵量は74兆立方
フィートに達するとアルバータ州は推定し
ています。
在来型天然ガスは今なおアルバータ州の
天然ガス供給の非常に重要な部分を占
めていますが、水平掘削やマルチステー
ジ破砕により、新たなガス源である非在
来型天然ガス資源から天然ガスを開発す
ることが可能になりました。
アルバータ州の非在来型天然ガス資源
には、炭層メタンのほかにタイトガス(砂
岩や石灰石など、低浸透の堆積岩に閉じ
込められている天然ガス)やシェールガス
(頁岩に閉じ込められている)などがあり
ます。
用語集
18
お問合せ先
アルバータ州では在来型資源生産の急激な
落込みが予想されていましたが、水平掘削活
動の活発化でその穴は埋められそうです。
アルバータ州エネルギー監督庁は、州内に残
る在来型原油確認埋蔵量は合計18億バレル
と推定しています。
2
注: この資料には、オイルサンドを除くア
ルバータ州の原油・ガス産業に関する情
報を掲載しています。オイルサンドの情報
については、このウェブサイト上の「カナ
ダ・アルバータ州 オイルサンド産業の最
新動向」をご覧ください。
原油の分布地図
アルバータ州エネルギー監督庁
(AER=Alberta Energy Regulator)は、
州内の在来型原油の残存確認埋蔵量を
17 億バレルと推算しています。これはカナ
ダ全体の在来型石油残存埋蔵量の約 1/3
にあたります。
2011 年中に生じた生産量、埋蔵量調整、
掘削による増加を加味した結果、前年比で
9.5%の増加となりました。
アルバータ州エネルギー監督庁(AER)は
1994 年に当時の地質学的予想に基づい
て、在来型原油の埋蔵量ポテンシャルを
最大 197 億バレルと推定しました。最近、
低浸透率層(タイトオイルプレイ)の埋蔵量
が伸びていることから、この推定値は低す
ぎる可能性があるとエネルギー資源保護
委員会(ERCB)は考えています。
アルバータ州の原油総生産量は 1970 年
代初頭から減少傾向が続いていました
が、2010 年を起点として増加に転じまし
た。2010 年から 11 年にかけて、マルチス
テージ水圧破砕法の導入による掘削活動
が水平井を中心として活発化した結果、
軽・中質原油の生産量が増加し始めまし
た。この技術の利用が成功を収め、掘削
件数が増えたことに伴い、2011 年には原
油の総生産量が 7%増加しました。
アルバータ州の 2011 年在来型原油総生
産量は 1 億 7900 万バレルに達しました。
3
天然ガスの分布地図
アルバータ州には豊富な天然ガス資源
が賦存し、在来型資源と非在来型資源
の両方から天然ガスが生産されていま
す。アルバータ州の天然ガスは今もその
ほとんどが在来型資源から生産されま
すが、コールベットメタン(CBM)、頁岩
層(シェールガス)、砂岩層(タイトガス)
での生産も増加しています。今後は州
の天然ガス生産に大きく貢献することに
なると予想されます。
アルバータ州は、天然ガスの膨大な資
源基盤を有しています。コールベッドメタ
ン(CBM)に由来する天然ガスの残存確
認埋蔵量は約 33 兆立方フィート、推定
ポテンシャルは最大 500 兆立方フィート
に達します。さらに、アルバータ州ではシ
ェールガスのポテンシャルを探る大規模
な資源評価が進行中です。これにより、
州の天然ガス採掘有望地は著しく拡大
する可能性があります。
4
政府の最新動向
アルバータ州の物語が新たな章へ
5 月 24 日、アルバータ州の第 17 代首相 Rachel Notley と州内
閣はアルバータ州議会で宣誓式に臨みました。
アルバータ州の州民は、州民の優先事項から手をつける、
強くて安定した多数派政府を選択しました。アルバータ州とそ
の繁栄を築いた価値観を共有する政府です。
「今、アルバータ州の物語は新たな章に入った。 アルバータ
州民は、州の歴史が始まったときから、ますます明るい未来を
築くために誰にも負けないように努力してきた。さまざまな社会
的地位の人々、そして世界中の人々が一つの旅に加わった。
その旅を続けるとき、私たちは揺るぎない価値観に導かれてい
る。 アルバータ州民は働き者で 起業家精神に溢れている。 そ
して我々はどこまでも楽観的だ。 明日はもっと良い日になると
信じている。 そして、実際にそうなるために努力しなければなら
ない。 それがアルバータ州民だ」Notley 首相はこのように述べ
ました。
新内閣は無駄がなく効率的です。また、アルバータ州が直
面する課題の解決をしっかりと見据えています。新たに宣誓式
に臨んだ閣僚は、エネルギー、林業、農業、ハイテク、観光、
小規模ビジネスの分野で州の雇用を創出する企業と連携し、
州経済の拡大と多様化を図ります。
Notley 首相、良識ある透明な石油・ガスロイヤルティ見直しを
約束
Shannon Phillips 環境・公園管理大臣、6 月末までに新た
な気候変動防止規則を実施すると公約
アルバータ州の新政府は、競争力のある現実的な石油・ガスロ
イヤルティ料率を実現する政策を実施することを約束しました。
資源の所有者である州民に対して、十分かつ公正な価値を保
証します。 そのためには、現在の石油・ガスロイヤルティ構造を
包括的に見直すことが必要です。
詳細は追って発表されますが、Notley 首相は世論に配慮
し、透明な手法で見直しを実施する決意です。
「我々は見直しを約束した。その一環として、配慮の行き届
いた、十分な情報に基づく見直しにすること、また、公表前にこ
の手続き自体に何が必要かを全ての当事者が明確に理解でき
るようにすることを約束している」首相はこのように述べました。
2015 年 6 月 30 日、アルバータ州では「特定ガス排出者規則」を
含む 4 つの気候変動防止規則が失効します。「気候変動・排出
管理法」のもとで実施されるこの法律は、初の温室効果ガス排
出防止規則、コンプライアンス炭素取引制度として 2007 年に定
められました。
Shannon Phillips 環境・公園管理大臣は、現行規則が失効す
る前に新たな規則を実施することを公約しました。
「アルバータ州政府は気候変動問題に関してリーダーシップ
をとり、我が州が利害関係者、他州、連邦政府とともに解決策
を策定できるようにする。」Phillips 環境・公園管理大臣はこのよ
うに述べるとともに、今後数カ月の間に大掛かりなコンサルテ
ーションを行うことを約束しました。 第一段階はエネルギー効率
戦略、再生可能エネルギー戦略などです。
5
政府の最新動向のつづき
MARG MCCUAIG-BOYD エネルギー大臣、国際石油
見本市の参加者を歓迎
6 月中旬にカルガリーで開かれた 2015 年度国際石油見本市
(GPS = Global Petroleum Show)の歓迎レセプションで、Marg
McCuaig-Boyd エネルギー大臣が基調演説を行いました。 GPS
は 95 カ国から 6 万 3,000 人の参加者、2,000 社の展示企業を
集める毎年の催しです。McCuaig-Boyd 大臣は次のように発言
しました。
「アルバータ州のサービス会社、メーカー、技術会社は世界で
最も先見の明がある。画期的なガス・石油開発、クリーンテクノ
ロジー、環境マネジメントの分野で、これらの企業が業界に提
供できるものは非常に多い。我々が奨励したいのはこのような
考え方だ。資源開発に対するアルバータ州政府の取組みの焦
点がそこにあることを皆さんは期待してよい。
エネルギー業界で働き、ここに投資する人たちにとって、この部
門には油価下落という不確定要素がある程度存在することは
明らかだ。 同時に、アルバータ州は政権交代を経たばかりであ
り、久しぶりの指導者交代で手腕が問われることは否定できな
い。しかし、我々はできる限り円滑に移行を進め、経済を安定さ
せ、計画を実行すべく努力している。
これらの計画の柱となるのは、豊かさを広げ、質の高い雇用の
機会を創出し、州民全員に利益をもたらす多様な経済を構築
するという我々の公約だ。これは成功するための一つの方法で
あり、また唯一の方法である。
雇用創出役は政府ではなく民間部門で雇用を創出するが、
我々は良きパートナーを目指す。アルバータ州は現在も、そし
て将来も政府のもとで常に健全な民間投資の受け皿であり続
ける。そして、多様な企業と高報酬の雇用がここアルバータ州
で生まれる。
6
アルバータ州で生まれるこれらの機会の多くはエネルギー
部門だ。エネルギー部門は、長年にわたって州と国の成長を
力強く牽引してきた。 新政権と Notley 首相のリーダーシップの
もとで、アルバータ州は引き続きエネルギービジネスを歓迎す
る。 我々はただ、資源の所有者である州民自身と、エネルギー
を採取し、投資に見合うリターンを得る資格を持つ企業に不利
にならないように州の豊富な資源を開発することによって適正
にそれを実行したいのだ。
また、我々は、次世代のために環境を守れるように、できる限
り持続可能な形で全てのことを成し遂げたいと考えている。
私は、これらの目標を達成する上で実業界が政府のパート
ナーになると考える。また、この政府がこれから前進する過程
で、エネルギー部門の誠実で配慮に満ちたパートナーになるこ
とを皆さんに知ってほしい。皆さんの業界と協力できることに胸
が躍る思いだ」
石油・ガス業界の最新動向
アルバータ州首相、温室効果ガス規則とロイヤルティ変更
の可能性を排除せず
Rachel Notley 首相は、温室効果ガス排出やロイヤルティ見直し
などの問題に対して「コンサルテーションと対話を慎重に重ねた
上で」「配慮の行き届いた、熟慮に基づく、賢明なアプローチ」を
とるという政府の方針を改めて表明しました。
一方、変革を起こすという点に関して首相の信念は揺らぎませ
ん。5 月 27 日、全閣僚による閣議が初めて開かれたカルガリー
で、Notley 首相は記者団に対して次のように述べました。「気候
変動を巡る世界的な議論が業界に与えている圧力を考えると、
我々が今後一切の変革を絶対に行わないと宣言することが非常
に責任ある態度だとは思えない。我々は政府として、ロイヤルテ
ィ制度という点で州民のために最善の政策を行っているかどうか
を定期的に確認する義務を州民に対して負っている」
Marg McCuaig-Boyd エネルギー大臣によれば、州政府はロイ
ヤルティ見直しを 6 カ月以内に開始する予定です。
Canadian Natural 社からは、アルバータ州政府のロイヤルテ
ィ、税制、環境政策、温室効果ガス政策の見直しが不確定であ
るため、自社資産の将来的な詳しい資本投資計画を最終決定で
きないとの意見が出されました。Notley 首相の発言はこれを受け
たものです。
Canadian Natural 社は、そのような事情で、本来なら 6 月に開
くはずだった年次投資家説明会を延期したとしています。
これに対し首相は、石油・ガス業界のトップを含め、気候変動
などの問題への対処に失敗したことによって起きる不確定性もま
た問題だと考える人も多いと指摘しました。
「我々は、透明性、コンサルテーション、そして業界パートナーの
総合的貢献を考慮した、細やかで配慮の行き届いたアプローチ
を含む仕組みをまとめた。これこそが、今後進むべき責任ある妥
当な道筋だと考える。政府は決定を急がない。『性急な決断は誤
った決断になりかねない』」Notley首相はこのように述べました。
業界団体、新州政府に協力する姿勢
石油・天然ガス業界は、州内とカナダ全土で雇用と投資を保護・
拡大するために新アルバータ州政府と協力できる日を待ちわび
ています。
石油生産者協会(CAPP)の Tim McMillan 会長は新聞発表の
中で次のように述べています。「アルバータ州民は変革に賛成
だ。我々は新政府に協力し、可能な限り最善の変革を探り、変革
を受け入れる用意がある。 CAPP は、業界を強化するための優
先課題に関して Rachel Notley 首相とそのチームに協力する業界
団体を組織する。強固な石油・ガス業界は強固なアルバータ州
を作るからだ。
業界の成功に関して業界と政府の利害は一致している。雇用と
投資を守る最善の方法は、業界が世界市場で戦えるような強力
な財政制度を維持しながら市場へのアクセスを改善すること、す
なわち新しいパイプライン、鉄道、海上輸送インフラを建設するこ
とだ。
市場へのアクセスを改善し、財政を強化することによって、カ
ナダは安全で責任ある天然資源の開発と供給を通じて、世界の
エネルギー需要を満たすための手助けをするという成果を生む
ことができる。
昨年夏から国際油価は 50%も下落した。今は困難なときだ。全国
のカナダ国民は石油・ガス業界の活動が減退した影響を感じて
いる」
石油・ガス産業の資本投資は 2 兆 3000 億円減少する見込み
です。 支出が減少すれば業界の失業率は上昇します。これまで
に企業が発表したレイオフは 4,500 人を超えます。掘削活動が停
滞した結果、さらに 2 万 3,000 口の雇用が失われました。
「石油・ガス業界を発展させ、雇用の創出と公共収入の拡大に
よって我々の生活の質を高めるためには、アルバータ州とカナダ
全体が石油・ガス投資の魅力的な受け皿であり続ける必要があ
る」McMillan 氏はこのように述べました。
監督機関が協力で合意
6 月初旬に開催されたパイプラインの安全性に関する NEB フォー
ラムで、カナダ西部 3 州のエネルギー監督機関と国家エネルギ
ー委員会(NEB)は、パイプライン安全指標の伝達の窓口統一を
模索することを含め、特定の規制領域で協力することで合意しま
した。
「監督機関が定める報告の基準値はそれぞれ異なる。また、
中には事故の種別が異なる監督機関もある。従って、ある程度
の一貫性を持たせることが重要だ」NEBのChris Loewenオペレー
ション担当副委員長はこのように述べました。
7
石油・ガス業界の最新動向 つづき
アルバータ州エネルギー監督庁(AER)、NEB、ブリティッシュ・
コロンビア州石油・ガス委員会、サスカチュワン州経済省が参加
する西部監督機関フォーラムのアップデートで、AER の Mark
Taylor 業界オペレーション担当副長官は次のように述べました。
「4 つの監督機関が 4 つの全く異なる規則を定めている。自分が
もしパイプライン会社なら、1 本のパイプラインのことで 4 つの機
関全てを相手にしなければならないこともありうる。
肝心なのは、規制枠組みにプラスになる分野に集中し、何ら
かの成果を見出すことだ。
フォーラムでは、監督機関が一体となってカナダ規格協会と
協力し、逸散排出とベンティングに関する新ガイドラインを策定し
た。新ガイドラインはこの夏に公表され、パブリックコンサルテー
ションにかけられる。
さらに 4 つの監督機関は、大気の質に関する市民の不安を解
消するにあたって共通の方法を考えることを目指している。現時
点では、苦情が出る都度、行きあたりばったりで対応するやり方
になっている」
付加価値の高いプロパン・プロジェクトはアルバータ州にプラス
であることが調査の結果判明
アルバータ州ではプロパンがだぶつき、価格が原価を割り込ん
でいます。今後も豊富な供給が予想されるため、エドモントン地
区の経済団体から、付加価値の高いプロパン・プロジェクトを州
政府が奨励する案が出されました。
アルバータ州ハートランド工業団地組合の Neil Shelly 代表理
事は、「余ったプロパンの一部を輸出する前に、付加価値の非常
に高いポリプロピレンに転換したい。 原料のまま輸出するか、こ
こで精製するかの投資対効果を検討する機会になる」と述べまし
た。
同組合から調査を委託された Stantec 社の報告書は、プロパ
ンに付加価値を与える新工業施設を 1 カ所作るごとに、アルバー
タ州ではフルタイムの安定した雇用が創出され、年間 65 億円の
税収が追加されると結論づけています。
Williams Energy Canada 社は、Redwater で 900 億円を投じ、
プロパン脱水素施設を建設中です。このプロジェクトでは、2017
年からポリマーグレードのプロピレンが生産されますが、アジア
の企業 2~3 社もこの計画に強い関心を示しているとのことで
す。Williams 社のようなプラントが 1~2 カ所あれば、1 日に約 2
万 5,000 バレルのプロパンが消費されます。
「プロパンの大半は恐らく輸出されるが、国内には我々が造っ
た代替市場もある。これらの輸出ターミナルに何かトラブルが起
きたときは助かるだろう」と Shelly 氏は話します。
石油会社のトップは景気低迷でも強気: アンケート結果
景気低迷は相変わらず石油・ガス部門を圧迫していますが、最
近行われた調査の結果、業界各社のトップが今後について楽観
的な見通しを持っていることがわかりました。
1 月から 2 月にかけて実施された 2015 年度調査は、カナダ西
部の生産会社と貯留層サービス会社のトップを対象とするもの
で、調査項目には雇用計画、業界が置かれる環境への認識、将
来の予測などが含まれています。
業界の上場会社上位 50 社のうち約半数が、エグゼクティブ転
職エージェント Caldwell Partner 社の調査に回答しました。第 2
のグループとしてカナダ西部の上場生産会社、サービス会社 150
社にも調査票が送られました。第 2 グループの回答率は入手で
きませんでした。
特に 2014 年に株価が最も大きく上昇した上位 50 社の調査結
果が楽観的であることに Caldwell Partner 社の幹部は驚いてい
ます。同社カルガリー・オフィスの Sean McLean 共同マネージン
グパートナーによれば、他方のグループが暗い見通しを示しがち
であるのに対し、上位 50 社は明るい見通しを抱いているというこ
とです。
カナダの上位 50 社には、資金力のある北米最強の上流会社
が含まれているので、経営陣が楽観的な見通しを持っても驚くに
はあたらないとの見解を McLean 氏は示しました。ただし、これら
の企業の強さを考慮したとしても「上位 50 社にはもっと不安や心
配が広がっていると思っていた」Daily Oil Bulletin 紙のインタビュ
ーで McLean 氏はこのように述べています。
結果を見ると、上位 50 社では現在の不況をチャンスと見る企
業が一方の 150 社と比べて比較的多いことがわかります。回答
した上位 50 社の 83%は、「現在の不況は資産または会社全体の
買収機会を生むか」という質問に対して「ややそう思う」または
「強くそう思う」と答えました。 これに対し、他方の 150 社のうち回
答のあった企業のトップで同じように感じている者は約半数にと
どまっています。
*1 カナダドル=100 円
8
技術の最新動向
始動間近の炭素回収・貯留プロジェクト
有望な重質油回収の新技術
オイルサンド業界初の炭素回収・貯留プロジェクト開始に向け
てカウントダウンが始まりました。年間 100 万トンの二酸化炭素
を処理できるこの施設は、Shell Canada 社の Scotford アップグ
レーダーで年末に始動の予定です。
Shell Quest プロジェクトの実施を主導するのは、プロジェクト
マネージャーの Anita Spence 氏です。同プロジェクトはスケジュ
ール通り予算内で進行中です。「アルバータ州の大型プロジェク
トで回収・貯留プロジェクトを成功させられるかどうかは明確さ
と協力にかかっている。
プロジェクト全体の目標を全員が同じように理解できるよう
に、関係を持つことになった多数の企業全社が、明確な目的を
持ち、統一されたアプローチで足並みを揃えることが重要だ。
大切なのは責任を伴う協力だ。請負業者やサプライヤーなし
では成功できないからだ。 彼らが何か問題を抱えているのな
ら、我々は石を投げるのではなく助けることを優先する。最終
的に全体が成功するためだ」Spence 氏はこのように話していま
す。
新技術が被覆ナノ粒子などの材料科学の目覚ましい進歩を急
速に成し遂げ、重質油回収に貢献しているとカルガリー大学の
教授が指摘しました。
大学の科学者たちは、粒子を使って水蒸気の粘度を上げる
方法や水蒸気泡を安定させる方法、そして長期的には、水蒸気
を使わずに熱を作る方法を研究しています。
「ここアルバータ州のオイルサンドというこの非常に大きな難
題に挑戦するために、非常に小さな規模で何かが起きている」
と語るのはカナダ・エクセレンス・リサーチ・チェア(Canada
Excellence Research Chair)第 1 号に選ばれたカルガリー大学
の Steven Bryant 教授です。
Bryant 教授と同僚の研究者たちは、非在来型貯留層に関す
るマテリアル工学のリサーチチェアをつくるため、7 年間にわた
って連邦予算から 10 億円の補助金を受けています。
「予算を拠出する連邦政府に対しては、マテリアル工学、特
にナノ粒子の分野の進歩を利用すべき時は今だという我々の
考えを伝えた」カルガリーで開催された 2015 年 SPE(石油技術
者協会)カナダ重質油技術会議で、Bryant 教授はこのように述
べました。
石油・ガス業界では、すでに掘削液などの製品にナノマテリア
ルが使われていると Bryant 教授は言います。これらのナノマテ
リアルは水相と頁岩の相互作用を防ぐので、「頁岩質の」部分
を掘削する際に役立ちます。
新技術で破砕コストの抑制に成功
Yangarra Resources 社は、新しい坑井仕上げプロセスのおか
げで今年は坑井掘削コストが大幅に削減されるとの考えを示し
ました。同社はボールドロップシステムの使用を取りやめ、現
在はセメントライナーと NCS Multistage 社が提供するスライディ
ングスリーブを使用しています。
同社の Jim Evaskevich 社長兼 CEO は年次株主総会で次の
ように説明しました。「この技術のおかげで当社の掘削コストは
大幅に抑えられた。破砕コストは大きく下がり、現地で必要な馬
力はずっと小さくなった。そして信じがたいことだが、坑井の生
産性は著しく向上したようだ。このプロセスはごく初期だが、こ
の新プロセスで生産性は大幅に向上すると思われる」
Yangarra Resources 社は新システムが 15%のコスト削減をも
たらすと見積もっています。 このプロセスは廉価で簡単に運用
でき、結果も良好です。「地中でスリックパイプを使用するので
ケーシングの制約がない。
パッカーを使わずに、地中のストリング全体にセメントを圧入で
きるようになったので掘削プロセスが簡素化された。仕上げの
段階では、ただコイルを入れるだけでよい。インターバルを破
砕するときにスリーブをスライドさせて開くことができるようにな
った。当社にとっての成果は、窒素ポンパーを使う必要がなくな
ったことだ。また現場で以前と同じ馬力は必要ないので破砕コ
ストが下がる」Evaskvich氏はこのように述べました。
全ての動画と画像はクラウド経由で見ることができます。また、
スマートデバイスからいつでも簡単にアクセスできます。「石油・
ガス業界は、日常生活で使い慣れている技術やセキュリティ機
能にアクセスできるようになった」と、Haw氏は言います。
Osprey社のMichael von Hauff CEOは次のようにコメントしまし
た。「今回の提携を発表できたことに感動している。Convergint社
の素晴らしいチームとの協力が楽しみだ。Osprey社とConvergint
社には、高度な戦略的適合性に加えて共通の重点事項がある。
それは、顧客が抱える重大なビジネス上の問題を解決すること
9
労働市場の最新動向
支出削減の影響でエネルギー業界の雇用が 25%減少す
るおそれ
物価下落を受け、今年の石油・ガス業界の資本支出・操業支
出が 3 兆1,000億円減少することが予想されるため、業界関
連の直接雇用、間接雇用が最大 18 万 5,000 口失われる可能性
があることが、最近行われた調査の結果わかりました。
Enform 協議会(旧 Petroleum Human Resources Council)の石
油労働市場情報(PetroLMI)部門が 5 月に発表した雇用影響評
価によれば、2014 年より雇用が 25%減少するとの予想は、支出
パターンが過去の年と同じであることを前提としています。 調
査報告書によれば、昨年、石油・ガス業界はカナダ国内の探
鉱・開発・生産活動に 12兆5,000億円以上を支出し、72 万口
を超える直接・間接雇用を支えました。
今回の評価では、地質エンジニアやプラントオペレーターなど
の直接雇用と、掘削請負業者やヘリのパイロットなどの間接雇
用の両方への影響を調査しています。ARC Financial から提供
された業界の予想支出にカナダ石油生産者協会の情報を加
え、カナダ統計局の州間インプット-アウトプット・モデルを使っ
て導き出された数字です。
PetroLMI 部門の Carol Howes ディレクターは次のように説明
しています。「昨年 11 月に油価が下がり始めてから、業界はす
でに労働力に大きな影響を与えている。このまま油価が低迷し
た場合には、状況が好転するまで、さらなる支出と雇用の削減
が予想される」
雇用喪失の大半はアルバータ州で発生することが予想されま
すが、雇用への影響は全国に及ぶでしょう。 アルバータ州以外
では約 3 分の 1 の雇用が失われる可能性があります。ブリティ
ッシュ・コロンビア州では 2 万人、オンタリオ州では 1 万 4,000
人が職を失うと推定されます。
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開発プロジェクトの作業の大半を実行する石油・ガス設計建
設会社は雇用への影響が最も大きく、最大 7 万 5,000 口の雇用
が失われるものと予想されます。 次に雇用喪失の影響が大き
いのは、探鉱・開発掘削に深く関与するサポート・サービス部門
で、2 万 6,000 口の雇用が減少すると推定されます。
今回の評価で推定される雇用への影響は、2008~09 年に起
きた世界的経済危機の際の業界の活動縮小と比べると揺れ幅
は大きいものの、規模は同程度です。2 兆8,000億円に最大
の減少が予想されるのは探鉱・開発支出で約 2 兆8,000億円
の減少が予想されます。2014 年比では 37%減ですが 2009 年と
比べると同水準です。
2015 年のカナダの石油生産量はやや増加する見通しです
が、操業関連支出は 2014 年より約 3,300 億円(6.7%)減少するも
のと予想されます。インフレ調整後の資本支出・操業支出予想
減少額は 2009 年を 1 兆円(34%)近く上回っています。
Howes 氏は次のように指摘しました。「明らかなのは石油・ガ
ス会社の行動が、2015 年の実際の雇用喪失数を決定する重要
な要因であるという点だ。 石油価格が下落している時期に、斬
新な労働力維持戦略を通じて人件費を管理することが、これか
ら何カ月間かはますます重要になるだろう。
2016 年以降の見通しは不透明だ。
まさに、ジョブシェアリングや減給などの対策を通じて、労働
力を維持するための独創的な取組みを行えるかどうかにかか
っている。 かつても景気低迷はあったが、今回、企業はこれま
でよりも独創的な対策を考えているようだ。 現実としては、今後
もそれを維持できるようにすることが次の段階だ。
雇用は企業の支出決定や、価格が安定したと企業が考えたと
きに活動を増やすのか否かによっても影響される。ちなみにこ
の予測は、価格が若干持ち直す前の今年 1 月に実施されたも
のだ」
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12
13
The Duvernay
Continues to Emerge
浮上し続けるDuvernay
坑井の初期実績
2009年12月、アルバータ州政府によるその年最後の土地売却
で3億8,430万ドル(約374億3,000万円)という目を見張るような
巨額の取引が成立しました。州有地オークションに関しては、そ
の時まであまり見るところのない年でしたが、一筋の明るい光が
差し込みました。
この売却で高額入札が入った大きな理由は、アルバータ州
Deep BasinのDuvernayプレイの存在と考えられています。そ
してこれは前座に過ぎませんでした。この取引がきっかけにな
り、2年間にわたる州有地売却ブームが起きたのです。ブームが
最高潮に達したのは2011年6月1日です。アルバータ州は、1回
の売却では史上最高となる8億4,303万ドル(約843億300万円)
の巨額歳入を得ました。火をつけたのはDuvernayです。
売約済みの有望な土地の多くに関して今問われているのは、
Duvernayが北米の次なる期待の星として約束を果たすのか、
それとも土地獲得に費やされたこの巨額の資金が無駄になって
しまうのかです。
BMO Capital Markets社が2013年11月に実施した調査によ
れば、この1年半の掘削結果からマルチフェーズ・ウインドウ(乾
性ガス、湿性ガス、揮発性油、黒油)の存在と、真性の異常高圧
頁岩貯留の性質を示す地層の能力が確認されました。また、ほ
とんどの区域は炭化水素を経済的に産出します。
アルバータ州のロイヤルティ制度は、Duvernay坑井より
Duvernayガス井に有利です。これは、少なくとも短期的には、コ
ンデンセートと天然ガス液(NGL=Natural Gas Liquids)が豊富
な区域での画定と掘削に活動が集中することを意味すると調査
報告書は指摘しています。
「Duvernayの頁岩貯留が、珍重される世界クラスの非在来型シ
ェールプレイとして浮上した背景には、こうした継続的投資があ
る。重点は、新時代の金であるコンデンセートに置かれている」
と、BMO Capital Markets社はコメントしました。
Canadian Discovery社は、アルバータ州Duvernayで生産が
報告された坑井が59坑であることを確認しました。うち50坑で
は、2013年8月31日の時点でまだ生産中です。
最もハイピッチなのはRoyal Dutch Shell plcが
15-09-063-20W5のKaybob貯留層に所有する坑井です。この
坑井では、同月中に日量平均約200バレルが生産されました。コ
ンデンセート生産量が最も大きいのは、06-09-063-23W5の
Waskahigan貯留層にあるEncana社の坑井で日量平均480
バレルです。ガス生産量が最大なのは、02-16-062-20W5の
Kaybob SouthにあるChevron Canada社のガス井で、8月
の生産量は日量平均約250万立方フィートでした。
オペレーターが現在順調だからといって、Duvernayプレイが商
業的に成功すると断言するのは時期尚早だとCanadian
Discovery社は認めながらも、「可能性が最も大きいエリアはど
こか、これらのエリアで有効に機能する仕上げ計画はどれかをオ
ペレーターが判断すれば、プロジェクトの工費が大幅に下がり、
長期的にしっかりした採算性が約束されると見ている」と述べまし
た。
今後の開発
Petrel Robertson Consulting社のBrad Hayes社長は、
Duvernayにとって2014年は重要な年としながらも枢要な年とし
ては位置づけませんでした。各社は掘削・仕上げ活動を引き続き
最適化すると思われます。Chevron Canada社、Encana社な
ど一部の企業は、採算が取れるとみたエリアの開発を増強する
見込みです。
「Duvernayプレイの開発は進展するが、全体的な開発の道筋を
突然変えるような重要な出来事が起きる可能性は低い。当社は
数年間、状況を見守ってきたが、まだまだ調査が必要だ。採算性
が相応に見込めるエリアに位置するDuvernayの区画、すなわ
ちフェアウェイの液体資源が豊富な部分は企業が手放さない。
経済的メリットが不確定なエリア(乾性ガスまたは油のエリア)で
は土地の出物が若干ありそうだが、これらのエリアでは、生産性
と商業的メリットがはっきりするまで、土地取引が大きく活発化す
る可能性は低い」Hayes氏はこのように述べました。
BMO によれば、液体分が豊富な Duvernay のガス井の収益性
が高いこと、また、コンデンセートが価値に最も大きな影響を及ぼ
すことを示しています。そこで、オペレーターは、より多くのコンデ
ンセートを求め、油層区域の奥深くまでプレイの境界を押し広げ
ました。
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Duvernay の活動を活発化させるのはコンデンセート需要
Duvernay については、
Daily Oil Bulletin’s special digital magazine
の Duvernay プレイ特集をご覧ください。
5 月末に開かれた会議で、アルバータ州の Duvernay シェール
プレイでの天然ガス液(NGL)開発は短期的には限られたもの
になるとの見通しが示されました。今、石油経済は原油価格の
低下や Cardium プレイなど低コストの調達源の出現という問題
を抱えています。
New Paradigm Engineering 社の Bruce Peachey 氏は、
Duvernay 産天然ガスの大規模開発は何年も先のことになると
の見解を示しました。新興プレイの Duvernay は、Montney など
の低コストで開発できる生産地のガスと競わなければならない
からです。
Peachey 氏は現在、カナダ石油技術連合(PTAC =
Petroleum Technology Alliance Canada)のために Duvernay の
調査を行っています。アルバータ州政府は、中小企業がビジネ
スチャンスを確認し、それをもとに成長を計画できるよう支援す
るためのデータ収集を PTAC に委託しました。
PTAC は Cardium 地層の石油開発活動に関する予測を完
了しました。Duvernay の調査はまだ完了していませんが、5 月
にカルガリーで開かれた PTAC の年次水圧破砕フォーラムでい
くつかの所見が発表されました。
Duvernay の坑井開発は、立地によって 11 億円~20 億円、
あるいはそれ以上のコストがかかります。 多くは試掘井なの
で、全体フィールド開発で得られるような規模の経済のメリット
は生かせません。
一部のエリアは最大 400 メートルと地層が厚く、深度もあり
ます。
Peachey 氏は会議で次のように話しました。「主体はガスだ
が、NGL が豊富なエリアもいくつかある。現在、注目されている
のはこれらのエリアだ。 石油資源が豊富なエリアもいくつかあ
るが、石油を追い求める者はあまり多くない。掘削が可能な
Cardium その他の場所と比べて生産コストが高い石油だから
だ。
短期的に、コンデンセート抽出のための NGL 開発は限定的
だろう。オイルサンドの採算に含まれるので、そのほうが経済
的と思われる。
現在、Duvernayは実のところビチュメン希釈用コンデンセート
によって牽引されている」
15
Trilogy 社の Duvernay 開発計画が前進
アルバータ州に本社を置くTrilogy Energy社は、これまでに
Duvernayランドベースの保全・調査に総額約300億円を投じまし
た。Kaybobのフェアウェイで同社がスイートスポットと考えている
200区画の土地が含まれます。
「当社は、この300億円から確認埋蔵量と推定埋蔵量を合わせ
て約400億円~500億円の価値を生み出した。従ってこの結果に
満足している」同社のJim Riddell CEOは、最近開かれた年次株
主総会でこのように述べました。
同社は、プレイ南部のコンデンセート・ガス・ウィンドウに75の
区画を所有するほか、 北部にかけても、Duvernayの石油または
コンデンセートが豊富な区画を125カ所保有しています。
プレイのガス・コンデンセート・エリアに位置するSouth Kaybob
では、同社初の坑井で約4年間にわたって生産が続いています。
この坑井では、すでに15億立方フィートのガスが生産されまし
た。Trilogy社は40億立方フィートの生産が可能とみています。
この坑井ではこれまでに 14 万 5,000 バレルのコンデンセートが生
産されました。
Riddell 氏によれば、この坑井は生産されたガス 100 万立方フ
ィートにつき 100 バレルのコンデンセートを「きわめて安定的に」
生み出しています。
プレイの北部(プレイの中でコンデンセートと石油資源が豊富
な部分)では、同社が最近掘削した坑井で約 1 年間にわたって生
産が継続しています。 4 億立方フィートのガスが生産され、すでに
13 万 2,000 バレルのコンデンセートを生産済みです。
Riddell 氏は次のように話しています。「この北部坑井では、ガ
ス 100 万立方フィートにつき日量 300 バレルのコンデンセートが
継続的に生産されている。
さきほど話した坑井(South Kaybob 坑井)と比較すると、約 4
年で同量のコンデンセートを生産したことになる。 その点が、これ
らの坑井から引き出される価値を実際に押し上げる要因になっ
ている。生産ミックスに石油が占める比率がますます高まってき
た。
Duvernay プレイのピーク時生産量は石油換算で日量約 5,000 バ
レルに達したが、ここ 6~9 カ月は投資が少なかったため、現在
は日量 3,500 バレルに下がっている」
天然ガス関連用語集
Abandoned Well 廃坑井
枯渇または原油や天然ガスの産出停止により
恒久的に廃坑した坑井。
ケーシング(陥没や地下水汚染を防ぐ井戸内
側を覆う筒)を設置し、生成層との行き来を確
立するためにケーシングへの穿孔を行う。
閉じないようにするため、破砕液とともに破砕
砂などのプロパントを圧入する場合もある。
Acid Gas 酸性ガス
Compressed Natural Gas (CNG)
硫化水素(H2S)や二酸化炭素(CO²)、またはそ
の両者の混合物は、水の存在下で酸または
酸性溶液を形成するため、酸性ガスと呼ばれ
る。
圧縮天然ガス
物質の三態の1つであり、ガスは形や特定の
体積がないという特徴があり、容器全体に広
がる。
Audits 監査
Condensate コンデンセート
企業が法令や社内規定を遵守しているかの
評価を支援し、改善の機会を与えるために、
職員や第三者団体により実施される活動。現
場調査、経営者との面談、文書の審査を伴う
こともある。
主にペンタンと天然ガスから抽出される重い液
体から成る炭化水素の混合物。ガソリン、ジェ
ット燃料や他製品の生成に使用可能であり、ア
ルバータ州では主に希釈剤として使用される。
次のいずれか1つ以上を行う施設。湿性ガス
か坑井ガスから液化可能な炭化水素を除去
する。天然ガスから不要な気体と微粒子成分
を除去する。ガス流から水や湿気を除去す
る。
Conventional Gas 在来型ガス
Gas Reservoir ガス貯留層
Blowout Preventer (BOP) 防噴装置
オイルやガス産業で一般的に採用されている
再生技術を用いて生成される天然ガス。在来
型と非在来型ガスの差異が不明確になりつつ
ある。「非在来型ガス」も合わせて参照のこと。
天然ガスが蓄積する多孔性や透過性の岩石
層。
Deep Cut ディープカット
生産地から消費地に高圧で天然ガスを運ぶ
パイプライン。
坑井掘削中または仕上げや生産修復のため
の是正作業中に、圧力や流体を制御し、貯留
層からの制御不能な流体の浸入を防ぐために
坑口に設置する装置。
Broker 仲介業者
天然ガスの売り手と買い手を引き合わせ、交
渉の援助や輸送、配送関連の手配に従事す
る個人または独立した法人。通常、仲介業者
自身は売り買いは行わず、売り手や買い手の
代理を務める。
Burner-tip バーナーチップ
天然ガスや残留燃料油など、特定燃料の最
終用途消費点。
Burner-tip Price バーナーチップ価格
最終消費者が支払う天然ガス(あるいはその
他の燃料)の価格。天然ガスの場合、ガス価
格に加え、処理、採集、送出、配送費が含ま
れる。
Butane (C4H10) ブタン
家庭燃料や冷却剤、エアゾール噴射剤、合成
ゴムの製造で使用される天然ガス液。
Caprock キャップロック・帽岩
貯留の岩石を覆い、貯留層に天然ガスや原油
を密閉する頁岩などの不浸透性の岩石。ま
た、地熱貯留層を覆う不浸透性の岩石。シー
リングロックともいう。
Carbon Dioxide (CO2) 二酸化炭素
物質の腐敗や動植物の生体による呼吸、化
石燃料を含む有機物の燃焼から生成される
非毒性ガスであり、人間の活動により生成さ
れる温室効果ガスの最も一般的なものであ
る。
Carbon Monoxide (CO) 一酸化炭素
化石燃料の不完全燃焼により生成される無色
無臭の有毒ガス。
Coalbed Methane コールベッド・メタン
石炭の生成過程で生じ、炭層に貯留された天
然ガス。一般的に石炭系天然ガスと呼ばれ
る。
Commingled Gas 混合ガス
物理的に(契約上の)多様な資源から生ずる
天然ガスの均一混合物。
Completion 仕上げ
新たに掘削した生産井の準備。通常、
体積の約1%まで圧縮され、20,000~27,500
キロパスカルで保存されている気体状態の天
然ガス。
パイプラインの仕様に見合うように、ガス販売
の必要量を上回る天然ガスから天然ガス液を
回収する工程。
Deliverability 引き渡し可能量
井戸、土地、採集、伝送または配送システムが
任意期間内に供給可能な天然ガスの容量。
Directional Drilling 傾斜掘削
垂直以外の角度での裸孔の掘削。掘削装置を
ターゲットの真上に設置できない場合や、一箇
所で複数の穴を掘削する際に使用する方法。
Gas ガス
Gas Processing Plant
ガス処理プラント
Gas Transmission Systems
ガス伝送システム
Gathering System 採集システム
生産井から地上施設に天然ガスを輸送する
小径のプラスチックや鉄パイプのシステム(採
集ライン)。
Horizontal Drilling 水平掘削
坑井に対する層の露出を増やすように貯留
層を通じて水平に行う掘削。
Hydrocarbons 炭化水素
石油産業で精製、販売を行う部門。
炭素と水素のみで構成される液体、固体、気
体有機化合物の大分類。ほぼ全ての石油製
品のもととなる。
Dry Gas ドライガス
Hydrogen Sulphide (H2S) 硫化水素
Downstream 下流
液体炭化水素のない井戸の天然ガス、または
液体を除去処理したガス。パイプラインガス。
Energy Resources Conservation
Board (ERCB)
エネルギー資源保護委員会
アルバータ州政府の準司法的な独立機関。公
平で責任のある公益という立場で、アルバータ
州のエネルギー資源を確実に、発掘、開発、
輸送する使命がある。
Established Reserves 確定埋蔵量
一般に、確認埋蔵量に推定埋蔵量の半分を加
えたものと定義される。
Ethane (C2H6) エタン
石油産業の燃料や原料としてオイル回収の向
上にも使用される天然ガス液。
Flaring フレア
自然発生する、腐卵臭のする毒性の高いガ
ス。
Inert gases 不活性ガス
他の物質と反応できない、または反応性の低
いガス。
Injection (oil and gas)
圧入(オイルとガス)
注入強化技術。生産性の向上のために貯留
層に水や他の物質を注入すること。または、
貯留層の圧力保持のために天然ガスを再注
入すること。
Inlet Separation 圧入口分離
天然ガス処理施設で行う第1段階の処理。管
に流入してきた原料のガス流を次の段階に送
る前に、ここで水や天然ガスなどの自由液体
を除去する。
技術や経済的理由から販売不可能な天然ガ
スを、管理体制のもとで焼却すること。大部分
を占めるのは溶解ガスフレアであり、原油やビ
チュメンの生産に随伴して生成された天然ガス
を焼却するもの。
Land 地権
Fracturing (またはfracking)
Landman ランドマン
破砕/フラクチャリング
探鉱チームの一員で、オイルやガスの賃貸契
約など、合意の確保や管理を含め、地主や共
同出資者と石油会社の関係の管理を主たる
業務とする者。調査や開発戦略の考案の支
援も担当する。地権業者・地権担当者ともい
う。
貯留層に働きかける技術。生産性が見込める
層に液体を高圧で圧入し、フラクチャー(割れ
目)を形成または拡大して、貯留層からのオイ
ルやガスの流量率を高める。フラクチャーが
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石油産業で「地権」とは特定地域のオイルや
ガスの権利をいう。例えば、「地権販売」はオ
イルやガスの権利が「売却」される(実際には
権利は賃貸されている)。
Lease Agreement リース契約
Plays プレイ
オイルあるいはガスの掘削および生産のため
に、地表面を利用する権利を、オイルまたは
ガス会社に付与する、交渉に基づく法律文
書。
石油・ガスのトラップを形成する可能性の高い
地質や、物理探鉱アノマリーで、対象層がある
条件を共有しているものをさす。プロスペクトや
リードをある共通する条件にしたがってグルー
プ化したものである。
が比較的高い原天然ガス。硫化水素の含有
率が1%を超える天然ガスは、すべて酸性ガ
スとされる。カナダの天然ガス生産の約30%
は酸性ガスであり、そのほとんどがアルバー
タ州とブリティッシュ・コロンビア州北東部で見
られる。
液化天然ガス
Probable Reserves 推定埋蔵量
Source Rock 根源岩
マイナス160°C以下で液体に保たれた過冷天
然ガス。体積は元の1/640になるため、パイプ
ラインが使用不可の場合でも容易に輸送でき
る。
地質情報を元に、合理的な確実性をもって存
在すると考えられる埋蔵量。
熱と圧力によって、炭化水素が生成される、
あるいは炭水化物が炭化水素になる岩。原
岩は黒色頁岩であることが多い。
Liquefied Natural Gas (LNG)
Manufactured Gas 製造ガス
石炭の分解蒸留、オイルの熱分解、加熱され
た石炭やコークス層を通る蒸気の反応により
得られるガス。例として、石炭ガスやコークス
炉ガス、発生炉ガス、高炉ガス、水性ガス、気
化水性ガス(合成ガスともいう)。
Methane (CH4) メタン
メタンは1個の炭素原子と4個の水素原子から
構成される、天然ガスの主成分である。メタン
は低温、低圧で気体状態を保持。有機物の腐
敗によっても生成される。
Midstream Sector 中間部門
エネルギー産業で主に処理と保管、輸送を行
う部門。
Mineral Rights 鉱業権
地下の資源を調査し生産する権利。石油産業
では、鉱業権を「地権」ともいう。
Propane (C3H8) プロパン
燃料として使用される天然ガス液(天然ガスが
供給されていない地域にある世帯の調理、輸
送、暖房に使用)。
Proppant プロパント
破砕(フラクチャリング)の最後の工程で、新た
に生じさせたフラクチャー(割れ目)が閉じない
ように、持続性を強化するため、裸孔に圧入す
る砂やセラミック、樹脂ビーズ。
Sweet Gas スイートガス
メタンに加え、次の物質の一部または全部から
成る混合物。エタン、プロパン、ブタン、コンデ
ンセート、窒素、二酸化炭素、硫化水素、ヘリ
ウム、水素、水蒸気、少量の不純物。貯留層で
自然に発見される加工前のガス。
Recoverable Reserves
現在の技術で生産可能な炭化水素埋蔵量。現
状では生産が経済的でないものを含む。
Natural Gas Liquids (NGLs)
天然ガス液
天然ガスを生産する際に得る液体。エタンや
プロパン、ブタン、コンデンセートから成る。
Non-associated Gas 非随伴ガス
天然ガスのみを含む貯留層から生産される天
然ガスで、原油の生産には関連しない。
Operator オペレーター
調査や開発、生産活動を管理する企業。
Orphan Wells 孤立井
権利を所有するオペレーターが不在になった
か、追跡できない井戸地。
Pentane (C5H12) ペンタン
5個の炭素原子、12個の水素原子からなる炭
化水素化合物。
Petroleum 石油
主に気体または液体の炭化水素からなる自
然発生の混合物。
Sulphur Recovery 硫黄回収
Raw Natural Gas 原天然ガス
可採埋蔵量
主成分のメタンと少量のエタンやプロパン、ブ
タン、ペンタン(存在量順)から成る石油ガス。
窒素や二酸化炭素、硫化水素、水など非エネ
ルギー化合物と同様に重い炭化水素。
ガス輸送ライン上あるいはライン付近に位置
し、天然ガスから天然ガス液を除去し、輸送ラ
インに戻すガス処理プラント。
既存技術を用いて、既知の貯留層から高い確
実性で経済的に生産できる埋蔵量。
Proved Reserves 確認埋蔵量
連邦エネルギー委員会
Natural Gas 天然ガス
ストラッドル抽出プラント
酸性ガスを回収プラントで処理して硫黄を抽
出し、カナダ内外の肥料製造業者や他産業
向けに販売する。アルバータ州の硫黄回収プ
ラントにおける硫黄の平均回収率は、1980
年の97.5%から2000年の98.8%に向上し
た。
National Energy Board (NEB)
オイルと天然ガス、電気の輸出を認可するカ
ナダ連邦の監督官庁。州間および国家間の
パイプラインを認証し、州間あるいは国家間の
送電線を指定する。また、連邦レベルでの司
法管轄権のもと、オイルとガスパイプラインの
通行税や関税を設定する。
Straddle Extraction Plant
Renewable Energy
再生可能エネルギー
継続的に補充される自然発生のエネルギー資
源。風力、太陽光、水力による再生可能エネル
ギーなど。
Reserves 埋蔵量
現在の知識や技術、経済を用いて活用可能な
資源の回収可能分。
Reservoir (oil and gas)
硫化水素など硫黄化合物の濃度が比較的低
い原天然ガス。
Syngas 合成ガス
石炭や石油コークスなど固体炭化水素から
製造される燃料。製造工程では蒸気や空気、
量を制御した酸素を用いて固体を分解し、一
酸化炭素と水素から成るガスを得る。一酸化
炭素と水素の含有量は様々。
Tight Gas タイトガス
浸透性の低い砂岩に含まれる天然ガス。
Trunk lines 幹線
原油や天然ガス液、精製石油品を精油所や
石油化学プラントに輸送する大径パイプライ
ン。精製品を消費地まで輸送する幹線もあ
る。
Unconventional Natural Gas
非在来型天然ガス
原油や天然ガスが自然蓄積した多孔性、浸透
性の地下岩石層が不浸透性の岩石や水壁に
閉じ込められ、他の貯留層から分離しているも
の。
石炭や硬質砂岩からの天然ガスおよびシェー
ルガスの場合、非在来型貯留層あるいは特
殊生産法や技術を要する貯留層で発見され
た在来型ガス。ガス水和物の場合、在来型貯
留層で発生した非在来型構造の在来型メタ
ン。
Sales Gas 販売ガス
Upstream 上流
貯留層(オイルとガス)
天然ガス処理施設で処理され、販売に適した
天然ガス。最終的に市場へ輸送するためにパ
イプラインに送る前に行う処理の例としては、
圧入口分離、ガス処理、脱水、天然ガス液回
収などがある。
石油資源を調査、開発、生産する企業(一
方、下流は産業を構成する各種製品などを精
製、販売する企業)。
Western Canadian Sedimentary
Basin (WCSB)
Shale Gas シェールガス
西カナダ堆積盆地
頁岩層に溜まった天然ガス。頁岩は微粒子の
堆積岩で、豊富な石油や天然ガスの資源とな
り得る。
カナダ最大規模の堆積岩地帯。アルバータ州
全域とマニトバ州、サスカチュワン州、ブリティ
ッシュ・コロンビア州、ユーコン州の一部に広
がる現在では最大のオイルとガス生産源。
Solution Gas 溶解ガス
地下貯留層の原油に溶解している天然ガス。
原油が地表に出る際、ガスは膨張し原油から
遊離する。
Sour Gas 酸性ガス
硫化水素など、含有される硫化化合物の濃度
17
Wet Gas ウェットガス
天然ガス液の濃度が比較的高い原天然ガ
ス。(エタンやプロパン、ブタン、コンデンセー
ト)
18
Fly UP