Comments
Description
Transcript
硫化水素事案に対する消防活動
平成 21 年2月 25 日 神 戸 市 消 防 局 硫化水素事案に対する消防活動 1 神戸市における発生状況(平成 21 年 2 月 24 日現在) 発 生 件 数 17 件 死 者 16 名(企図者 15 名・巻き添え1名) 負 傷 者 10 名(企図者 2 名・巻き添え 8 名) ※ 別紙「神戸市内における災害発生状況」参照 2 化学剤災害の活動方針 硫化水素発生事案への対応は、平成 15 年に消防局で作成した特殊化学災害マ ニュアルに従って活動している。 なお、市内で大規模テロ災害等の緊急対処事態としての化学剤災害が発生した 場合は、当該マニュアルの内容を盛り込んだ「国民保護実施マニュアル(化学剤 テロ対策編)」に基づき、関係機関と連携しながら、災害対応を行うことになる。 3 119 番の受信 (1)119 番の受理 119 番の通報内容に、下記の(ア)~(エ)までの事項が1項目でも該当 する場合は、硫化水素事故として対応する。 (ア)人が風呂場、トイレ等で不自然な状態で倒れている。 (自殺している。) (イ)部屋に目張りがしてある。 (ウ)「毒ガス発生中」等の張り紙がある。 (エ)硫黄臭、腐卵臭等の変な臭いがする。 (2)避難指示 通報者に対しては、要救助者への応急処置および換気を行わず、速やかに 建物外に避難するように指示する。 4 出動隊 任務分類 指揮監察 消火(警戒・支援) 救助 救急 その他特殊 選別車両 計 本部指揮隊 1 署指揮隊 1 指揮支援隊 1 放水隊 1 専任救助隊 1 消防救助隊 1 救急隊 1 本部特殊災害隊(ハズマット KOBE) 1 方面特殊災害隊 1 計 9 -1- 5 現場活動の内容 (1)情報収集 特に先着隊にあっては情報収集および状況把握に努め、隊員の安全管理な らびに付近住民の二次災害防止に努める。 (2)避難誘導 硫化水素は低所へ滞留する特性を理解し、住民を速やかに消防警戒区域外 の安全な場所に誘導する。 (3)ゾーニング 現場最高指揮者はコールドゾーン(消防警戒区域)、ウォームゾーン(除染 区域)、ホットゾーン(危険区域)などの警戒区域を若干広範囲に設定する。 ※ 別図1および別図2参照 (4)要救助者除染 空気呼吸器を着装し除染活動を行う。 先ず汚染された衣服を脱衣させる。脱衣させた衣類等は二重ビニール袋に 入れ密封する。 軽易な場合には濡れタオル等で拭き取る。 (5)薬品の処理 発生薬品の残液等は拡散防止処理後、回収及び 処理方法については、警察機関と協議し調整する。 (6)現場の除染 硫化水素が残留している浴室や室内では、簡易型硫化水素除去装置により、 人体許容濃度 10ppm 未満の安全濃度まで除去を行なう。 (7)救急搬送 傷病者には高濃度の酸素吸入などの応急処置を実施し、傷病者を車内収容 した後は、窓を開放するなど車内の換気を実施しながら搬送する。救急隊員 は、防毒マスクを着装して二次災害防止を行なう。 (8)医療機関 搬送先医療機関に対しては、傷病者の状態等、詳細な情報などを伝え、病 院内の二次災害防止に努める。 (9)安全宣言 薬品を処理後、建物内および周辺を測定器による検知ならびに臭気等によ り安全を確認後、付近住民へ広報を行う。 -2- ゾーニングのイメージ図 特殊災害隊等による濃度測定結果によっては、必要に応じ範囲縮小することも ある。 ※ 図1.一般住宅(戸建て)のゾーニング例 コールドゾーン ・・・ 屋外で風向き及び地上滞留場所 等を考慮し決定 ウォームゾーン ・・・ 建物の敷地内 ホットゾーン ・・・ 建物全体 現場指揮所 風向 図2.共同住宅のゾーニング例 コールドゾーン ・・・ 上記(戸建て)と同様 ウォームゾーン ・・・ 発生階+下階 小規模建物では建物全体 ホットゾーン 風向 現場指揮所 -3- ・・・ 発生した住戸 防護レベルと活動範囲 防護レベル 防護措置 写真 レベルA活動隊は、ホットゾーン 内での検知・測定及び人命検索・救 出を行う活動隊である。 なお、物質の判明前若しくは判明 後(物質によりレベルAでないと適 応しない物質が存在するため)であ っても、最高レベルが求められる。 陽圧式化学防護服+空 気呼吸器 レベルA 物質の判明前 ウオームゾーンが活動範囲であ る。 密閉式化学防護服+空 気呼吸器 物質の判明後 防護レベルBが物質に適応する と指揮所が判断した場合のみ、ホッ レベルB <除染活動時のみ> TST 防護服ユニット トゾーン内への進入・活動すること ができる。 物質の判明前 コールドゾーンが活動範囲であ 防毒衣+空気呼吸器又 は全面式防毒マスク る。 物質の判明後 防護レベルCが物質に適応する と指揮所が判断した場合、ウオーム ゾーンまでの活動ができる。また条 件によってはホットゾーンまでの 活動もできる。 レベルC 簡易防護服(タイベック C又はFタイプ)+空気 呼吸器又は全面式防毒 マスク (写真はFタイプ) レベルD 活動範囲 物質の判明前 簡易検知を実施し安全が担保さ れた場合のみ、コールドゾーン内で の活動ができる。 物質の判明後 コールドゾーン内での活動がで きる。 標準防火着装で呼吸保 護をしていない服装 -4- 神戸市内における災害発生状況 平成20年 覚知日時 発生場所 死傷者 1 避難状況 出動隊 平成21年2月24日 現在 3月24日 9時39分 灘区 共同住宅 死者1名(23歳女性=企図者) 中等症1名(53歳女性=企図者の母親) 17世帯中7世帯 指揮隊、本部特殊災害隊、ポンプ隊、救急隊 その他 覚知日時 発生場所 死傷者 2 避難状況 出動隊 その他 3 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 その他 覚知日時 発生場所 死傷者 4 避難状況 出動隊 その他 3月27日 2時34分 北区 一般住宅 死者2名 27歳男性=企図者 64歳男性=企図者の父親 中等症2名 59歳女性=企図者の母親 32歳男性=企図者の兄 付近住民に窓を閉めるように広報、避難はなし 指揮隊、本部特殊災害隊、方面特殊災害隊、専任救助隊、 ポンプ隊、救急隊2隊、ドクターカー 中等症患者2名発生のため、ドクターカー要請したもの 4月15日 20時35分 東灘区 一般住宅 死者1名 49歳女性=企図者 なし 救急隊1隊 先着した警察官からの要請事案。入浴剤の空容器がと発生 現場である浴室の扉に目張りがあることから硫化水素を発生 させ自損したものと推定される事案。現場に臭気もなく、事故 発生からの長時間経過している状況 4月25日 18時20分 垂水区 共同住宅 死者1名 19歳女性=企図者 自主避難した住民が数名。消防からの避難勧告等は行なっ ていないが、発生階の上下階に窓等を閉鎖するよう指示。 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、 本部特殊災害隊、ポンプ隊、救急隊 ベランダでビニール袋内にガスを発生させ吸引したもの 5 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 その他 6 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 5月12日 9時28分 須磨区 高速道路高架下路上 死者1名 21歳男性=企図者 なし 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊(2)、方面特殊災害隊、 ポンプ隊(2)、救急隊 屋外で大きいビニール袋に全身を入れ、ガスを発生させたもの 5月20日 12時13分 兵庫区 共同住宅 死者1名 25歳女性=企図者 なし 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部特 殊災害隊、ポンプ隊、救急隊 その他 7 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 その他 覚知日時 発生場所 死傷者 8 避難状況 出動隊 その他 5月21日 22時19分 東灘区 共同住宅 死者1名 37歳男性=企図者 なし 署指揮隊、消防救助隊、本部特殊災害隊、救急隊 警察からの要請により出動、浴槽内において浴槽の蓋をし た状態で、ガスを発生させたもの。 7月16日 8時49分 北区 共同住宅 死者1名 22歳男性=企図者 軽症1名 24歳男性=企図者の近隣者 周辺住民を避難誘導 署指揮隊、本部指揮隊、消防救助隊、方面特殊災害隊、本 部特殊災害隊、ポンプ隊(3)、救急隊 共同住宅の管理人からの要請により出動、浴槽内において、 ガスを発生させたもの。 9 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 8月24日 11時13分 西区 一般住宅 死者1名 36歳男性=企図者 周辺住民を避難誘導 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部 特殊災害隊、方面特殊災害隊、ポンプ隊、救急隊 その他 覚知日時 発生場所 死傷者 10 避難状況 出動隊 その他 11 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 9月6日 10時26分 市内 宿泊施設 死者1名 50歳男性=企図者 軽症2名 25歳男性=宿泊施設の清掃作業員 17歳男性=宿泊施設の清掃作業員 宿泊施設の従業員および宿泊客を避難誘導 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部 特殊災害隊、ポンプ隊(2)、救急隊(2) 簡易型硫化水素除去装置の活用奏功事案 9月13日 7時48分 北区 高速道路パーキング内 死者1名 57歳男性=企図者 なし 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、方面 特殊災害隊、ポンプ隊(2)、救急隊 その他 12 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 10月15日 7時25分 北区 車両内 死者1名 30歳代(推定)男性=企図者 なし 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、方面 特殊災害隊、ポンプ隊、タンク車隊、救急隊 その他 13 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 その他 10月16日 15時40分 西区 車両内 死者1名 54歳男性=企図者 なし 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部 特殊災害隊、方面特殊災害隊、ポンプ隊、救急隊(2) 14 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 10月17日 11時55分 市内 宿泊施設 死者1名 34歳男性=企図者 宿泊施設に他の宿泊客はいなかったもの。 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部 特殊災害隊、ポンプ隊、救急隊 その他 15 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 その他 16 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 出動隊 その他 平成21年 覚知日時 発生場所 死傷者 避難状況 17 出動隊 その他 10月18日 22時16分 兵庫区 一般住宅 死者1名 23歳男性=企図者 なし 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部 特殊災害隊、ポンプ隊、救急隊 簡易型硫化水素除去装置の活用奏功事案 12月8日 15時42分 東灘区 公共施設 死者1名 23歳男性=企図者 なし 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部 特殊災害隊、ポンプ隊、救急隊 簡易型硫化水素除去装置の活用奏功事案 1月8日 1時25分 須磨区 共同住宅 重症1名 26歳男性=企図者 下階住民を集会所へ避難誘導 署指揮隊、本部指揮隊、専任救助隊、消防救助隊、本部 特殊災害隊、ポンプ隊、指揮支援隊、救急隊 本事案より、指揮支援隊を追加出動させるようになったもの