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フルサイズ一眼レフのメリットは?
フルサイズ一眼レフのメリットは? この秋、 各カメラメーカーから「フルサイズ」の撮像素子を持つ トの合う範囲)が深くなり、ボケが デジタル一眼レフカメラが多数登場しています。こうしたカメラに 小さくなります。 は、どのようなメリットがあるのですか? 高感度撮影時の画質でも利点があ ります。撮像素子の画素数が同じ場 「フルサイズ」 ( あるいは ないので、一回り狭い範囲しか撮影 合、フルサイズの撮像素子は画素一 「35mm フルサイズ」 )と できません。このため、画像の写り つひとつの面積が APS-Cよりも大き 呼ばれる撮像素子を搭載 方は望遠寄りになってしまいます。 く設計でき、多くの光が取り込めま したデジタル一眼レフカメラの新製 しかし、フルサイズ機ならば撮像範 す。十分な光が得られることで電気 品が各社から登場しています(図1) 。 囲を広く取れるので、広角撮影に有 的な信号の増幅が少なくて済むため、 これまで、 デジタル一眼レフは 利といえます(図 3) 。 画素内に発生するノイズも減り、高 APS-C 型の撮像素子を搭載する製 ボケの大きさでもフルサイズ機が 感度撮影のときでも良好な画質を保 品が主流でした。最も大きな違いは 優れます(図 4) 。両者で同じ画角に つことができます(図 5) 。 撮像素子の大きさです。フルサイズ なるよう撮影する場合、APS-C 機は フルサイズ機は APS-C 機に比べ は APS-C の 2.5 倍ほどの面積があり フルサイズ機と比べてレンズの焦点 ると、一般的に本体やレンズは大き ます(図 2) 。同じレンズを装着した 距離を 1.5 〜 1.6 倍、広角側に設定し く重くなり、価格も高くなります。し 際、フルサイズ機と比べてAPS-C 機 なければなりません。広角側に合わ かし、上記のような利点から、今後 はレンズの中央部の光しか取り込め せると、レンズの被写界深度(ピン 機種数が増えるとみられています。 ●低価格のフルサイズ機が続々登場 ニコン 「D600」 キヤノン 「EOS 6D」 図 1 2012 年秋、主要なカ メラメーカーからフルサイ ズの撮像素子を搭載したデ ジタル一眼レフカメラが相 次いで登場。 従来のプロ向 けフルサイズ機よりも小型・ 軽量化や低価格化が進んだ ●ボケの大きさや高感度でも有利 ●APS-C機と比べ、撮像素子の面積は2.5倍以上も大きい 背景が大きくボケる フルサイズ APS-C サイズ 36 × 24mm 図 4 画角が等しくなる撮影の場合、APS-C 機と 比べてフルサイズ機は被写界深度が浅くなり、背 景がボケやすい。ボケを重視した撮影には最適だ 22.3 × 14.9mm * 1 * 1 キヤノン「EOS 60D」の場合 面積は 2.5 倍以上 図 2 フルサイズと APS-C サイズの撮像素子の比較(実物大) 。機種によって若干の違いはあるが、両 者の面積は 2.5 〜 2.6 倍もの差がある ●同じレンズを使った場合、よりワイドに写せる フルサイズ機 APS-C 機 図 3 同じレンズを装着し、 ズ ームを広角端にして同一 のシーンを撮影。フルサイ ズ機(左)では、右端の観覧 車や左端の建物を含めワイ ドに写し取れたが、APS-C 機(右)では中央部の高層ビ ル群しか写せなかった 高感度でもきれい 図 5 同じ画素数の場合、APS-C 機と比べて画素 一つひとつの面積が大きくなり、より多くの光を 取り込むことができる。高感度撮影時もノイズが 少なく、画質面で優れる場合が多い 日経パソコン 2012.10.22 95