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大水深掘削船の動向 - 海洋開発利用システム実現学
内 容 大水深ライザーシステムの運用と技術開発 自己紹介 大水深掘削船の動向 地球深部探査船「ちきゅう」の概要 掘削機器と掘削の流れ サブシーシステム 技術開発 海洋研究開発機構 地球深部探査センター 宮﨑 英剛 自己紹介 JAMSTEC について 所属 戦略研究開発領域 JAMSTEC CDEX 技術部 技術第2グループ 現在の担当業務 「ちきゅう」に関する研究開発および保守整備 サブシーシステム(ライザーやBOPなど) コアリングシステム(地層試料の採取システム) 技術開発の取りまとめ 基幹研究領域 これまでの業務 1992年4月 JAMSTEC入所 「ちきゅう」に関すること 地球環境観測研究開発センター 海洋掘削科学研究開発センター 地震津波海域観測研究開発センター 海洋⽣命理⼯学研究開発センター 海底資源研究開発センター アプリケーションラボ 気候変動リスク情報創生プロジェクトチーム 東日本海洋生態系変動解析プロジェクトチーム 次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム 深海掘削船システムについての研究開発 建造仕様書の取りまとめ 建造時の監督員(サブシー、掘削制御システム) オペレーション支援 その他 無人探査機「かいこう」の開発、観測機器などの開発 科学技術庁/⽂部科学省 出向 大気海洋相互作用研究分野 地球表層物質循環研究分野 統合的気候変動予測研究分野 シームレス環境予測研究分野 地球深部ダイナミクス研究分野 地球内部物質循環研究分野 海洋生物多様性研究分野 深海・地殻内生物圏研究分野 生物地球化学研究分野 数理科学・先端技術研究分野 海洋地球生命史研究分野 むつ研究所 高知コア研究所 研究推進部 開発・運用部門 海洋工学センター 地球情報基盤センター 地球深部探査センター 経営管理部門 経営企画部 総務部 人事部 経理部 事業推進部 広報部 安全・環境管理室 監査室 設⽴ 1971年(海洋科学技術センター) 2004年(海洋研究開発機構) 2015年(国⽴研究開発法⼈へ改組) 予算規模: 約 380億円 職員数: 約 1,060人 地球深部探査センター 組織図 センター⻑ CDEX: 約60名 副センター⻑ 運用技術 担当役 環境保安・渉外 担当役 術 部 部 環境保安グループ 技 用 科学支援部 運 企画調整室 大水深掘削船の動向 「ちきゅう」運航管理 技術第2グループ 技術第1グループ 掘削管理グループ 運航管理グループ 計画推進グループ 地質評価グループ (株)日本マントル・クエスト 「ちきゅう」科学支援 技術部:13名 (株)マリン・ワーク・ジャパン 掘削リグのGeneration 地球深部探査船「ちきゅう」 地球深部探査船「ちきゅう」 主要目 全⻑ 幅 深さ 高さ(水面から) 喫水(計画満載) 総トン数 最大搭載人員 航海速⼒ 完工 210.0 m 38.0 m 16.2 m 約 121 m 9.2 m 56,752 トン 200 人 約 10 ノット 2005年7月29日 Andrew Rennie, Transocean, “Technical Advances in 7th Generation Ultra-Deepwater Drillships”, 2013, AADE 掘削能⼒ 最大稼働水深 2,500 m (将来計画 4,000 m超) ドリルストリング⻑ 10,000 m (将来計画 12,000 m) 大水深掘削船(3,000m超クラス )の保有状況 掘削コントラクター 稼働中 「ちきゅう」 以前に建造 建造中 Discoverer Clear Leader (2009, 第6世代 世代) 世代 Chikyu (2005, 第5.5世代 世代) 世代 大水深掘削船(3,000m超クラス )の建造所 「ちきゅう」以前に建造 合計 Samsung (Korea) 「ちきゅう」 以後に建造 水深10,000ftクラス Transocean 9 9 6 24 Seadrill 0 5 12 17 ENSCO 2 5 3 10 Odebrecht Oil & Gas 0 4 5 9 Noble Drilling 0 5 3 8 Pacific Drilling 0 5 3 8 Ocean Rig 0 5 3 8 Sete Brazil 0 0 8 8 その他 2 18 27 47 13 56 70 合計 PetroSaudi Discoverer (1977, 第4世代 世代) 世代 139 Hyundai (Korea) 6 Ferrol (Spain) 2 Belfast (Ireland) 3 合計 2 13 「ちきゅう」以後 に建造(稼働中) Samsung (Korea) Hyundai (Korea) Daewoo (Korea) STX (Korea) その他 合計 水深10,000ftクラス 19 0 5 2 2 28 水深12,000ftクラス 14 4 9 1 0 28 「ちきゅう」以後に建造 (建造中) Samsung (Korea) 水深10,000ftクラス Hyundai (Korea) 1 Samsung (Korea) 水深12,000ftクラス Estaleiro (Brazil) 3 Hyundai (Korea) 20 EAS (Brazil) 13 Daewoo (Korea) 9 Ecovix (Brazil) 7 STX (Korea) 13 合計 3 27 合計 1 2013年調査 43 2013年調査 「ちきゅう」の全体配置 デリック デッキクレーン パイプラック 研究区画 地球深部探査船「ちきゅう」の概要 ヘリデッキ ドリルフロア 居住区画 推進装置・発電機 自動船位保持システム(DPS) 推進方式:電気推進 主発電機:6 x 5,000kW (AC 6,600V, 3ø, 60Hz) 補助発電機:2 x 2,500kW (AC6,600V, 3ø, 60Hz) 推進装置:アジマススラスタ 4,200kW : 6基(360度回転可能) サイドスラスタ 2,550kW : 1基 GPS衛星 船の位置を自動的に保持するシステム GPSや水中音響を使って船の位置を測位 台風並の状況下でも、直径5〜15m程度 の範囲に船の位置を保持できる GPS信号電波 GPSアンテナ 音響信号送受波機 水中音響信号 トランスポンダー 掘削システムの構成 「ちきゅう」による科学掘削の実績 ライザーパイプ 船と海底の 船と海底のBOP 海底のBOPを BOPを接続する鋼製大径パイプ (外径:約550mm (外径:約550mm) 550mm) 掘削地点 噴出防止装置 噴出防止装置 (BOP) BOP) 海底 海底に に設置し掘削坑を密封する装置 石油やガスの船上へ 石油やガスの船上への上昇を防ぐ 下北八戸沖 下北八戸沖 石炭層生命圏掘削 掘削 石炭層生命圏 ライザー パイプ 噴出防止 装置 東北地方太平洋沖 地震調査掘削 (JFAST) ドリルパイプ 掘削用の鋼製パイプ (外径:約130 (外径:約130~ 130~140mm) 140mm) 船上からライザーを通して坑底まで接続 ドリルビット 南海トラフ地震発生帯掘削計画 (NanTroSEIZE) NanTroSEIZE) 掘削用の刃 ドリルビット ケーシングパイプ 掘削坑の崩壊防止のための補強用鋼製パイプ ステージ1 ステージ1 第314、 314、315、 315、316次研究 316次研究航海 次研究航海 ステージ2 ステージ2 第319、 319、322、 322、332、 332、333次研究航海 333次研究航海 ステージ3 3 第326、 338、 、348次 ステージ 326、338 348次研究航海 研究航海 ケーシング パイプ ドリル パイプ 沖縄熱水海底下生命圏掘削 南海トラフ地震発生帯掘削 東北地⽅太平洋沖地震調査掘削 NanTroSEIZE 南海トラフは、御前崎沖から足摺岬沖にかけて伸びる舟状海盆。 フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む場所。 巨大地震の発生帯(世界で最も浅い:海底下約6km) 紀伊半島沖の熊野灘は、東南海地震の震源地。掘削ポイントは破壊開始地域と推定。 目的 断層帯からの岩⽯試料(コア)採取、孔内計測センサーの設置・⻑期観測。 海底下の構造を掘削により直接観測し、巨大地震・津波発生メカニズムを解明。 現状(2007〜2013年)と課題 水深約1,940mの地点で海底下約3,000mまで掘削済み。目標深度は海底下5,400m程度。 世界有数海流の⿊潮(最大5ノット以上)、掘削が非常に難しい断層帯の複雑な地層。 紀伊半島 相模トラフ 駿河トラフ 四国 室戸岬 足摺岬 Japan Trench Fast Drilling Project 目的 南海トラフ 南海トラフ 掘削海域 地震直後の掘削でしか得られない巨大地震のプレート境界断層の摩擦特性や巨大 津波を発⽣させた海溝軸付近でのプレート境界断層の滑りのメカニズムの解明に 必須なデータを得る。 実施内容(2012年) 掘削同時検層(LWD: Logging While Drilling)により、断層状況を調査。 水深 6889.5 mの海底下648 m から844.5 mにかけての断層岩を回収。 (海面からの深さ世界一:海面からもっとも深い地質サンプル) ⾼精度温度センサー55式を孔内の断層面周辺に設置。約10ヶ月後に「かいこう 7000-II」で回収。海溝型地震における摩擦による熱エネルギーを初めて解析。 掘削場所(日本海溝) 採取した地層サンプル 孔内設置の 温度センサーにより、 熱異常を測定 沖縄熱水海底下生命圏掘削 「ちきゅう」による商業掘削の実績 目的 海底下における微生物生態系の役割の解明。 海底下熱水鉱床の生成と海底下微生物群集の拡がりの関わりの解明。 実施内容(2010年) 掘削により、海底下に広がる巨大な熱水帯構造の発⾒。 コア採取により、「⿊鉱」とよばれる熱⽔性硫化鉱物の分布・組成、熱⽔ 鉱床の成因解明に繋がる新発⾒。 熱水サイトの概念図 掘削場所(沖縄トラフ付近) 掘削で得られた 有用鉱物 ⾦、銀 銅 鉛 亜 鉛 の 硫 化 物 ドリルフロア 掘削機器と掘削の流れ ドリルフロア(やぐらの真下) 掘削作業の中心 パイプの接続、取り外し、揚降 パイプを回転させて掘削 掘削機器の操作 ドリルパイプの移動と接続 サイバーベース – 掘削機器の操作装置 – 主にジョイスティックとキーパッドで操作 – 使⽤する機器ごとに画⾯を切り換えて機器の状態を⾒る パイプラッキングマシーンでスタンドを 井⼾芯まで運び、アイアンラフネックで ネジを締め込み接続 「ちきゅう」の掘削 ライザー掘削 ドリルパイプ全体を回転させてトップ ドライブにより掘削 ドリルパイプのみの掘削 – 孔から掘り屑をうまく除去できず、孔の壁 も崩れやすいので、すぐに埋まってしまう。 – 石油やガスなどに遭遇したときに、その噴 出を止めることができない。 ダウンホールモーターでドリルパイプ 下端のみを回転させて掘削 回転数やビットにかかる荷重を制御し ながら掘削 ⼀⽇当たりのおよその掘削速度 海底下1,000mで300m 海底下3,000mで70m ライザー掘削 「ちきゅう」用コアビット ROV降下 トップドライブシステム ドリルビット回転 大口径パイプ(ライザー)で海底に設置し た噴出防止装置と船を接続。 ドリルパイプはライザー内を降ろす。 泥⽔循環を⾏う。 海底の掘削 ライザー掘削の流れ 泥⽔循環 ⽔に粘⼟などをまぜて、密度や 粘り具合を調整したもの。 泥⽔にからませて、孔から掘り 屑をよりよく除去できる。 孔の壁に泥の膜ができ、孔が崩 れにくくなる。 石油やガスなどに遭遇したとき、 泥⽔の密度を⼤きくしてその噴 出を防ぐことができる。 (Well Control) 泥⽔ 掘り屑 GRA (Guidelineless Reentry Assembly) 掘削孔を補強するケーシングパイプ 36”ケーシング ライザー掘削の始めに海底に設置 下部に36”コンダクターケーシング ケーシングはジェッテイングにより海底下に押し込む 13-3/8”ケーシング 20”ケーシング 噴出防止装置(BOP)の降下・設置 噴出防止装置(BOP)の降下開始 BOP格納位置から、井⼾芯までカートに載せて運び、上部にライザー管 を接続して降下していく。 ライザーの接続・降下作業 ライザーラックからドリルフロア内にライザーを1本ずつ運び、ライ ザーを垂直に吊り上げる。6本の大きなボルトで下のライザーと接続し 降下する。 サブシーシステム 噴出防止装置( BOP )の海底への設置 泥⽔循環、ライザー掘削開始 主なサブシー機器 BOP Stack 坑内に石油・ガス浸入の兆候があった 場合、BOPにて坑井を密封。 BOP Stack (Blow Out Preventer:噴出防止装置) ライザー 「ちきゅう」のBOP構成 Annular Preventer(2段) Pipe Ram Preventer (5段) ライザーテンショナー Casing Pipe切断⽤(1段) Pipe切断/密封⽤(1段) Pipe密封用(3段) ダイバーター BOP Stackを構成する各種BOP Lower Flex Joint Dual Annular Blind / Shear Ram Super Shear Ram Pipe Ram Variable Pipe Ram Wellhead Connector その後、泥⽔⽐重の増加により坑内の 圧⼒増⼤、Choke Lineより坑内流体 の排出。(Well Control) Pipe Ram BOP MUX Control System 船上~BOP間の通信・給電 MUX Cable (光・電気の複合ケー ブル)を通した通信・給電 Blue / Yellowの2系統 作動油 船上の高圧ポンプによる油圧をラ イザー付属のHydraulic Line及び Hotline Hoseを通して送る 船上及びBOP上のアキュムレータ にも蓄圧 作動油:水・グリコール系 作動圧 : 5,000psi (34MPa) バックアップの操作系 通信・給電系統に異常が⽣じた場 合には、音響通信及びROVにより 操作可能 油圧はアキュムレータ利⽤ Oil & Gas Journal BOPの操作 操作場所 Driller’s House (Drill Floor) Drilling Contractor’s Office (居住区) Subsea Workshop (BOPの側、メンテナンス用) BOPコントロール系統 Solenoid Valve SPM Valve Pressure Switch BOP Control Pod BOPコントロール系統のバルブマニホールド コントロール用バルブ SPM(Sub Plate Mounted) Valve Pressure Switch Solenoid Valve BOP降下前の作動確認 BOP Function Test BOP StackのすべてのFunctionを作動確認 MUX Cable 経由 Acoustic Back-Up (音響コントロール) ROV Stab EDS (Emergency Disconnect Sequence) ValveやSensorなどの作動不良、ValveからのLeakなどは、 BOP降下開始前に完全復旧 BOP Function Test MUX ControlによるFunction 各BOP の Open/Close Choke/Kill Lineの各Valveの Open /Close 各Connector の Lock /Unlock Wellhead Connectorなどの加圧量の Regulatorによる調整 EDS Choke Conn. Choke Isolation Gas Bleed 内圧が加わる各BOP Ram、Choke/Kill Valveの圧⼒試験 圧⼒保持できない場合は、 BOP降下開始前に完全復旧 Kill Isolation Lower Annular Kill Conn. LMRP Connector EDS1, EDS2, EDS3 Blind/Shear Choke Valve BOP Pressure Test Upper Annular Super Shear Upper Pipe Ram Middle Pipe Ram Lower Pipe Ram Wellhead Connector Kill Valve BOP Control のバックアップ BOP Pressure Test Acoustic Back-upによるFunction LMRP, Choke/Kill Connector Unlock 各BOP の Close ROVによるFunction Wellhead, LMRP Connector Unlock Choke/Kill Connector Unlock 各BOP の Close Gasket Release Glycol Injection line Acoustic Accumulator Dump 圧⼒の加わるBOP及びValveの圧⼒試験 15,000psi (103MPa) Blind Shear Ram Pipe Ram Upper / Lower Annular Choke/Kill Lineの各Valve 10,000psi (69MPa) Choke Isolation Gas Bleed Upper / Lower Annular Upper Annular Kill Isolation Lower Annular LMRP Connector Deadman Blind/Shear Choke Super Shear Valve Upper Pipe Ram Middle Pipe Ram Kill Lower Pipe Ram Valve BOP Shear Test Blind / Shear Ram Drill Pipeを切断し密封 切断ピストン圧:34MPa (5,000psi) 坑内密封圧⼒:103MPa (15,000psi) Super Shear Ram Choke / Kill Manifold 石油・ガスなどが坑内に浸入した際に、BOP を閉め、坑内への浸⼊流体をChoke Lineを 通して船上まで引き上げ、少しずつ排出する ためのバルブブロック Riser内を降下するCasing Pipe(16”まで) を切断 切断ピストン圧:34MPa (5,000psi) ウェルコントロールに失敗すると ・・・ BOP(ハイドレート問題) BOP及びWell Head部分にハイドレートが形成 ROVの噴流で吹き⾶ばして除去 Well Head Connector内部にハイドレートが形成された場合 に、Lockが解除できなくなる可能性あり。(不凍液で対応) BOPのChoke/Kill Valveなどにハイドレートが形成された場 合、それらのLineが使用できなくなる可能性あり。 2010年 年 メキシコ湾原油流出事故 オペレータ: BP 掘削会社: Transocean社 社 リグ: Deep Water Horizon ライザー 「ちきゅう」のライザー 定格荷重:17,800 kN (4,000kips) ⻑さ:27.4 m (90ft) 最新の大水深掘削船(3,700mクラス) 定格荷重:15,600 kN (3,500kips) ⻑さ:22.9 m (75ft) 「ちきゅう」のライザージョイント 浮⼒体付き ライザー(74本) 重さ: 274kN(空中)、48kN(海中) ⻑さ: 27.4m(90ft) 浮⼒体なし ライザー (12本) 重さ: 188kN(空中)、164kN(海中) ⻑さ: 27.4m(90ft) 浮⼒体付きライザー その他の特殊ライザー (12本) (浮⼒体外径1.27m) 浮⼒体なしライザー 主管 (鋼製、 外径542〜555mm) 接続フランジ Hydraulic Line (ステンレス製、外径92mm - 1本) Choke/Kill/ Booster Line(鋼製、外径159mm - 2本、127mm - 1本) 特殊なライザージョイント Flex Joint 曲がるジョイント ライザーの傾きを吸収 Telescopic Joint 上下方向にストロークするジョイント 二重管のシリンダ構造 テンショナーと接続 回転を吸収するベアリング Flex Joint 物理的には最⼤20度程度まで傾斜可能(荷重による) ライザー掘削時の許容角度 掘削中:平均2°、最大4° スタンバイ中:平均4°、最大6° Bumper Joint 船体と接触した場合の衝撃緩和 Termination Joint ライザーのChoke / Kill Line, Booster Line, Hydraulic Line を船体に接続するMoon Pool Hoseを取り付ける Goose NeckにHoseを接続 Pup Joint 水深に応じたライザー全⻑調整⽤の短管 10~60ft まで5ft毎 Centralizer Joint BOPのMoon Pool内通過時に水平方向の動きを、周囲のフィン により制限 Telescopic Joint ストローク:19.8m 上部のGator Lockでストロークを固定 Dual Packerで3.5MPaをシール Bumper Joint ライザー主管の周囲にクッション用 のゴムを巻き付けて成形。 船体が流されるドリフトオフや荒天 時に船体傾斜が大きくなった際に、 万が一船体と接触した場合に、衝撃 を緩和。 Termination Joint 補助管のついたライザーの最上部 Gooseneckを介してMoon Pool Hoseと接続 ライザーのトラブル 浮⼒体損傷 Jointの外周に取り付けたフィンがドリルフロア の開口部(ダイバータハウジング)に当たり、 BOP/LMRPの揺れを抑制する。 ライザーテンショナー シール面腐食 溶接部クラック Centralizer Joint 船体の動揺や水平移動のライザーへの影響を低減する。 「ちきゅう」のテンショナーは、6本のシリンダーを用い たDirect Tensioner。 総ストロークは約15m。稼働時は最大6m程度使⽤。 ライザーをBOPから緊急離脱した際に、Telescopic Jointの上付きを防ぐため、上昇速度を絞るRiser AntiRecoil Systemを装備。 補助管損傷、変形 通常時 サバイバル テンショナーシステムの構成 Tensioner Cylinder Accumulator Air Air Pressure Vessel Tensioner Fluid Riser Anti-Recoil Valve Rod N2 テンショナーのトラブル ライザー掘削中に、テンショナーロッドの表⾯コーティングが剥離。 テンショナー作動液がリーク。 N2 Tank ライザー掘削中に、テンショナーロッドが変色。シール摩耗による。 テンショナー作動液がリーク。 ダイバータ Drill Floor下に取り付け、ライザー最上部と接続。 ライザー内を戻ってきた泥⽔を分岐。通常は船内の 泥⽔処理システムに戻す。 ガスなどが⼤量に上がってきた場合は、非常に危険 なため、そのまま船外に放出。 3.4MPa (500psi)まで圧⼒保持。 各種ライザー解析 Dynamic Positioning Range Tension Operation Envelopes Drift Off Riser Recoil Hang Off VIV 気象・海象の事前調査 海流プロファイルの事前調査 現場海域の風向・風速、有義波高 ・波向について、利⽤可能な観測 データも使用して、主にシミュレ ーションによって年間の頻度分布 を作成。 過去の台風の影響や前線の通過状 況なども必要に応じて調査。 数ヶ⽉間、掘削現場海域付近に係留系を設置し、 ADCPにより流速分布を取得する。 Current Profile 7000 6000 Elevation (ft) . 5000 4000 3000 2kts 3kts 4kts 5kts 6kts 7kts 2000 1000 0 -1.0 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 Current Speed (kts) Tension Operation Envelopes結果例 Tension Operation Envelopes 以下に関する条件を満たす船体位置のオフセットと テンショナー張⼒範囲を求める。 Drillship Chikyu;1939 Meters Water Depth; Site: NT3-01 Case # 1.3-A-4-4; Mud Weight =1.3 SG ;Vessel Heading = 30 deg Enviroment: Hs = 4m; Tp = 10.5Sec. Gamma= 1;Short-crested Wave Current Profile: Top 1/3 Energy with Surface Speed 4Kts . 4500 4000 Rf= 0.85 Upper Bound Tension 3500 Tension Setting (kips) Minimum Tensioner Tension Maximum Tensioner Tension Upper / Lower Flex Joint Angle Tension Offset Envelope (TOE) -- Connected Drilling/Nondrilling Modes 3000 Limited by: Mean UFJ Angle 2500 2000 16Q Tension Loss Criterion (2202kips) Limited by: Mean LFJ Angle Drilling 16Q Tension Loss Criterion (2202kips) 1500 1000 Nondrilling 500 Up-current Down-current 0 -10 -8 -6 -4 -2 0 2 Mean Vessel Offset (% Water Depth) 4 6 8 10 Drift Off Analysis 泥⽔⽐重とTension設定 「ちきゅう」ブラックアウト時には、ライザー緊急離 脱が必要となるが、以下についての条件が満たされる 切り離しポイントを求める。 NT3-01 Max / Min Tension Setting Note: The tension setting is the mean tension including Tension Ring which can be directly converter to tensioner tension reading in DCIS. 3000 2900 2800 2729kips 2600 2638kips 2500 Tension Setting (kips) 2828kips 2700 2400 1.323sg 1.164sg 2532kips Rf=0.70 Max Rf=0.70 Min 2456kips Rf=0.75 Max 2300 Rf=0.75 Min 2200 Rf=0.80 Max Rf=0.80 Min 2100 Rf=0.85 Max 2000 Rf=0.85 Min Rf=0.90 Max 1900 TJ stroke Tensioner stroke Flex joint angle Riser stress Casing stress Wellhead bending moment Rf=0.90 Min 1800 Year 2013: Set 113/4"liner@4700mbsf TD5000mbsf & Plagback 1700 1600 Year 2012: Set 16&13-3/8"CSG TD3600mbsf 1500 1.02 1.04 1.06 1.08 1.1 1.12 1.14 1.16 1.18 1.2 1.22 1.24 1.26 1.28 1.3 Year 2014: Set 9-5/8"CSG@6000mbsf TD7000mbsf 1.32 1.34 1.36 1.38 1.4 1.42 1.44 1.46 Mud Weight (SG) Drift Off時の船体漂流 Drift Off Analysis結果例 Recoil Analysis 強流中でのVIV疲労解析 BOPからLMRPを切り離して緊急離脱する際に、Riser上端の Jump Outや船体への突き上げ、下端のLMRPのLower BOP との衝突の有無を確認。 1939m-1.025sg-Rf0.9-Tmin-001-2 20 LMRP Displacement (ft.) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 0 20 40 60 80 100 120 Time (sec.) 30 60 90 300 330 360 120 150 180 210 240 270 南海掘削のように⿊潮などの強流中でのライザー掘削については、 ライザーの疲労寿命解析を⾏う。 ライザーの成⽴要件(ハングオフ解析) ライザーハングオフ状態 通常掘削状態 技術課題 (サブシー関連) 天候が悪化した際には、 ライザー下端で切り離し 過⼤な引張⼒が⽣じないこと。 座屈防⽌のため圧縮⼒が⽣じないこと。 渦励振対策 ライザーフェアリング 渦励振対策 ライザーの渦励振による 疲労寿命低減の防止。 渦励振を抑えることで、 ライザーの流体抵抗低減。 フェアリング水槽実験 フェアリングの模型を水平状態にして水中で曳航し、 さらに上下に加振するなどして、流体抵抗や渦励振 発⽣領域などを計測。三菱重⼯業 ⻑崎研究所で実施] 強流中でのライザーの 流体抵抗低減 ライザーに作⽤する強流の 流体抵抗低減により、ライ ザー上下端傾角の抑制。 ライザーフェアリング取り付け ライザーフェアリングとして、テール部を2本の ストラップでライザー管に取り付けるテールフェ アリングを採用。 フェアリング材質は、主に低密度ポリエチレン。 取付時間は1セット6〜7分、取り外しは1セット 5〜6分。 表層の12ジョイント(水深約30〜360m)に、 合計132セット取り付けて、ライザー掘削実施。 ライザーVIVリアルタイムモニタリング 南海掘削においてライザー挙動をリアルタイムでモニタリングする システムを開発 センサー(SVDL): 3軸加速度計(1式)、2軸角速度計(2式) サンプリングレート: 51.2Hz 取り付け数: 7式(水深 59m, 223m, 690m, 1,183m 1,650m, 1,842m, 1,897m) 最⼤流速:5.2knots、疲労被害度: 0.15% (2012年) Accelerometer Axes Angular Rate Sensor Axes マントル掘削に向けた超大水深ライザーの開発 寒冷前線通過時のトラブル 将来「ちきゅう」によるマントル掘削を実現したい。 マントル掘削・・・水深:4,000~5,000m、海底下7,000m 4,000m超ライザーの素材候補 9-10deg Max Vessel Drift Speed 4.3knots Keel Contact Max Riser Angle 19.5deg ⾼張⼒鋼 アルミ合⾦ チタン合⾦ CFRP (炭素繊維強化プラスチック) 超大水深ライザーの要件 19.5deg EDSは成功したが、その後 位置保持できず流されたため、 ライザーが船体に接触 軽量化 ハングオフ状態での船体動揺との同調回避 デッキロードの低減 ⾼強度化 ⼤重量のライザーの吊り下げ 対策: ・天候待機の条件(風速、流速)を低減 ・離脱後の状態についての操船訓練 ・ライザーバンパージョイントのバンパー部延⻑ CFRPライザーの開発 マントル掘削のため、水深4,000m超ライザーの開発 高剛性化 ハングオフ状態での船体動揺との同調回避 CFRPは、これらの要件に最も適した素材 ハングオフ状態での最大有義波高(鋼製ライザー) X80ライザー ⻑尺になるため、重量低減、⾼強度化が必要 管体に⾼⽐強度、⾼⽐剛性の炭素繊維を適⽤したCFRPライザーを開発 課題 CFRP管体と鋼製コネクタの接続部 信頼性確保 降下/揚収(接続)時間短縮 検査⼿法及び認証基準の確⽴ 「ちきゅう」スペシャルではないライザー 水深:4,500m 試験体による各種強度試験 ハングオフ状態での最大有義波高(CFRPライザー) Pan系CFRPライザー Pitch系CFRPライザー CFRP管体と端部鋼製コネクタとの接続構造の強度が課題。 CFRPライザー試験体により、引張、圧縮、曲げ、トルク、 疲労試験を実施。 信頼性の高いCFRPライザーを開発し、マントル掘削の実現 を目指す。 CFRP Steel Flange Steel Liner ⼤⽔深ライザーには⾼剛性素材が有利 Dual Gradient Drilling System 泥⽔による坑底での⽔頭圧は、地層圧より⼤きく地層破壊圧より⼩さくする必要 あり。 ⼤⽔深では、⽔深分の影響があり、泥⽔⽐重の調整代が少なくなる。このため、 Casingの段数を増やす必要があり、⼤深度の掘削が困難となる。 泥⽔の戻りラインにポンプを設置して、⾒かけの泥⽔⽐重を⼩さくする。 (Dual Gradient Drilling) Enhanced Drilling EC-Drill Managed Pressure Drilling System ご静聴ありがとうございました。 Ultra-Deepwater Riserless Mud Circulation with Dual Gradient Drilling Greg Meyer, Scientific Drilling, No.6, July 2008 Chevron, GE