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情報ネットワーク法学会特別チャリティ講演会 大災害時のソーシヤル

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情報ネットワーク法学会特別チャリティ講演会 大災害時のソーシヤル
情報ネットワーク法学会特別チャリティ講演会
大災害時のソーシヤルネットワーク・インターネットの効用と課題
2011年 5月13日
慶應義塾大学 金子郁容 ・1995年と2011年の大災害時における通信ネットワークの課題
・震災被災者に対する遠隔システムを使った継続的な支援
・不幸な出来事の「ポジティブな面」を進める:社会改革の契機
1
1995年と2011年の大災害時における通信ネットワークの課題
阪神・淡路大震災から東日本大震災までの16年間で、情報ネットワーク状
況、ボランティアに対する認識、政府の対応などは大きく変化した。その 一方で、課題も指摘されている。
2
1995年1月17日 阪神・淡路大震災発生
インターネットは大学と大企業以外は使っていなかった。
一般の人はパソコン通信が主流。
ニフティ-サーブ(当時)とPC-VAN(当時)が会員100万人でトップ。
震災発生後、寄附サイトと無料伝言板を開始した。
「日本はキリスト教文化がないからボランティアは馴染まない。」
被災地には多くのボランティアが。ネットを介してのボランティアも多数出現。
後に、1995年は「ボランティア元年」とされた。
パソコン通信の難点は、相互の通信ができないこと。
インターVネットが誕生:主要パソコン通信が互いに情報共有できる仕組み
ボランティアと被災者のマッチングに一定の役割を果たした。
3
2011年3月11日 東日本大震災発生
16年間でボランティアは当たり前のこととなった。
政府の対応も変わった。「震災ボランティア連携室」担当総理補佐官が任命された。
インターネット環境も大きく変わった。
しかし、現地の物資や専門家チームなど、さまざまな分野で
情報のミスマッチが多く指摘されている。
4
1995年と2011年の大災害時における通信ネットワークの課題
1995年
2011年
安否情報サイト、寄附サイト、情報提供サイトが
乱立しており、どれを見たらよいか分らない。
Ni#y Serve
PC‐VAN
インター
Vネット
アスキー
ネット
ML/SNSでの情報共有は盛んだが、それぞれ
孤立していて連携ルールがない。
People
小規模
BBS
ネット上の主要寄附サイトは2つ。
ネット上の情報共有の仕組みは
インターVネットのみ。
極めて不十分ではあったが、数が少な
いので混乱は少なかった。
不足
ツイッターは内容の信憑性が不明。
インターネットが個人の情報発信ツールとして
普及したため、全体のマネジメントがきわめて
困難になっている。
分散的なことが特異のインターネットで、「集
権的」にする方が効果的なマッチングや掲示
板閲覧機能をどう実現するかが課題。
平時のインターネットはリソースが豊富でみな
で共有。災害時の衛星通信は限られたリソー
ス。「民主的」なインターネット文化に「ルール」
と「優先度」が必要。
乱立・連携不足 「上」からの調整が困難
5
震災被災者に対する遠隔システムを使った継続的な支援
全体の調整やマッチングについては、インターネットの基本にかかわる課題
が指摘されるが、個々のプロジェクトについては、災害時/災害復興時に おいて情報ネットワークが必須のものであり、有効であることは間違いない。
6
コミュニティ型遠隔医療相談
週一回程度、地域の集会所に集まる。
テレビ電話を使って医師による医療相談、スタッフによる支援。
体重、血圧、体温などの測定、血液検査による生活習慣病関連項目の
検査を定期的に行う。(データは自動的に自治体サーバに蓄積される。)
→ 住民が、声を掛け合い、誘い合わせて運動し、食事会など交流の 機会が増加。健康に対する意識が高まり、運動が増え、食習慣が変化し
検査結果数値が顕著に改善した。
岩手県遠野市
宮城県栗原市 東京都奥多摩町 東京都内の高齢者施設
人口3万人、高齢者率
33%。産婦人科医が0、循
環器の常駐専門医が0な
ど医師不足が顕著。ICTを
積極的に活用した対応策
をとって成果を上げている。
東京都の1.4倍の面積で人口は
7万人の過疎地。高齢化率
31.5%。三年前と今回と、短期
間に二回、大震災の被害を受
けた。遠隔医療相談の実験を
2010年度から開始している。
大型の高齢者入所施設にて、遠
隔医療と対面医療の効果を比較。
また、遠隔相談が安全に効果的
にできる疾病などについて調査を
していりう。他の高齢者住居でも
実証をしつつある。
人口6千人、面積は東京23区の
2/3に相当。高齢者率40%弱。
8地区にテレビ電話端末を設置。
都内の医師二名体制で遠隔医
療を実施。現在、4年目になる
が、顕著な成果が出ている。
7
遠隔システムを活用した継続的な被災者支援プロジェクトがスタート
東日本大震災被災地支援
C3NP
継続ケア・キュアネットワークプロジェクト
Continuous Care & Cure Network Project これまでの遠隔医療相談の経験を踏まえて、遠隔シス
テムを活用したケアとキュアによる支援を中長期的に
継続する。
http://www.c3np.com 被災地である岩手県遠野市と宮城県栗原市を地域拠
点として5月中に活動を開始する。
また、原発事故によるさまざまな被害を受けた福島県
の方々を、地元の大学や保健師などと連携して後方支
援する活動を予定している。
2ケ月、3ケ月が経ち、ボランティアが減り、派遣医師団の多くが撤退した後、被災者の生活が少し落ち
着いてきてからの中長期的な「こころとからだ」に対する医療支援も重要。現地の医療・保健・健康関連
機関と連携しつつ、その後方支援を行うのが、C3NPの目指すところ。
基本的には、医師、「こころのケア」のプロフェッショナル、放射線・被爆医療の専門家などがボランティ
アをとして個人参加して、相談を受けたり助言をしたりする。
8
呼びかけ人と協力機関
□呼びかけ人 (五十音順)(2011.04.24現在)
秋山美紀 慶應義塾大学総合政策学部准教授(地域医療、情報と医療)
池本修悟 NPO事業サポートセンター専務理事 石川義弘 横浜市立大学大学院医学研究科教授 (循環器内科学)
伊藤弘人 国立精神・神経医療研究センター (社会精神保健)
井上大輔 東京都福祉保健局、都立広尾病院救急診療科 (総合医)
鏡俊一 カウンセラー
笠貫宏 早稲田大学先進理工学研究科教授(循環器内科、心身医学)
兼間道子 日本ケアシステム協会会長
川村佐和子 聖隷クリストファー大学看護学部教授 (看護師)
金吉晴 国立精神・神経医療研究センター (災害精神保健)
久保美紀 慶應義塾大学看護医療学部助教 (看護師 慢性期看護)
栗原毅 栗原クリニック院長、慶應大学特任教授 (内科医)
小松浩子 慶應義塾大学看護医療学部教授 (看護師 がん看護)
佐藤勇 宮城県栗原市長
鈴木伸一 早稲田大学人間科学学術院教授 (心理学)
鈴木友理子 国立精神・神経医療研究センター (災害精神保健)
高山守正 東京都CCU連絡協議会会長
武林亨 慶應義塾大学医学部 (公衆衛生)
田中尚輝 市民福祉団体全国協議会
谷口清州 国立感染症研究所感染症情報センター第一室長
友池仁暢 榊原記念病院院長 (内科医) 中島民恵子 (財)医療経済研究機構主任研究員 (介護分野研究)
中島康 都立広尾病院救急センター医長 (救急担当医師、外科医)
中林正雄 恩賜財団 母子愛育会愛育病院院長
中安一幸 北海道大学大学院保健科学研究院客員准教授、
厚生労働省政策統括官付社会保障担当参事官室室長補佐
長瀧重信 長崎大学名誉教授、放射線影響研究所(旧ABCC)
元理事長、国際被曝医療協会名誉会長(内科、甲状腺、被ばく医療)
福井次矢 聖路加国際病院院長 (内科医 プライマリケア、
公衆衛生)
本田敏秋 岩手県遠野市長
本間聡起 慶應義塾大学医学部 (内科医)
水野雅文 東邦大学医学部 (精神科医)
三村將 慶應義塾大学医学部教授 (精神・神経科学科医)
宗像恒次 筑波大学大学院教授 (心理学 認知行動療法)
村上保夫 榊原記念病院前院長 (小児科医)
山下香枝子 聖隷クリストファー大学看護学部教授 (看護師)
吉新通康 地域医療振興協会理事長
吉岡俊正 東京女子医科大学副理事長 和田則仁 慶應義塾大学医学部 (外科医)
□協力機関(2011.05.13現在)
協力医療機関:榊原記念病院 他
特別協賛企業:東日本電信電話株式会社
協力企業
インテル株式会社、オムロンヘルスケア株式会社、キヤノンシステムアンドサポート株式会社、タニタヘルスリンク株式会社
ニフティ株式会社、日本電気株式会社、株式会社リージャー 他
9
不幸な出来事の「ポジティブな面」を進める:社会改革の契機
3.11以降、日本社会はあらゆる分野で「これまでどおり」では立ち行かない。
大きな災害という不幸な出来事であったが、被災地と日本全体の復興に向
けて、前向きに、ポジティブな面を進める社会改革の契機にしたい。
10
遠隔医療に関わる特例措置
遠隔医療については、これまで、医師法20条とそれに関する局長通知によって「診療が対面が原則」という
考え方が示されていた。
自治体や医療機関が遠隔医療を導入するに際して、このことが「法制度面の障壁」だとされてきた。
→ 震災に関してに限定的ではあるが、その「障壁」が緩和された。
|金子の立場:マスコミなどで言われることのある「医師法20条の改訂」は必ずしも必要ないと考えている。患者や利用者の視
|点から、また、限られた医療資源を効果的に活用するために、安全性の確認など、実情に合わせて遠隔医療を実施できる
|範囲を明確化することが必要だと考えている。
厚生労働省医政局医事課及び同省医薬食品局総務課連名による通知(一部)
1 遠隔診療について
今般の震災に係る取扱い 遠隔診療通知においては、「初診及び急性期の疾患に対しては、原則として直接の対面診療によること」としながらも、「直
接の対面診療を行うことが困難である場合(例えば、(中略)遠隔診療によらなければ 当面必要な診療を行うことが困難な
者に対して行う場合)」については、 「患者側の要請に基づき、患者側の利点を十分に勘案した上で、(中略) 遠隔診療
によっても差し支えないこと」としている。 このため、今般の震災の影響で遠隔診療によらなければ当面必要な診療を
行うことが困難となった被災地の患者については、初診及び急性期の患者であっても、患者側の要請に基づき遠隔診療を
実施して差し支えないものとする。
2 今般の震災に係るファクシミリ等により送付された処方箋による調剤について 東北地方太平洋沖地震による患者に対応するため、被災地の医師と連絡が可 能であり、ファクシミリ等により患者の希望
する薬局に処方箋が送付された場 合には、医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、送付されたファクシ ミリ等
を「処方箋」とみなして調剤等を行って差し支えないこと。この場合、通常の手続を行うことが可能となった後、速やかに医
療機関から 処方箋原本を入手し、以前に送付されたファクシミリ等を原本に差し替えることとする。
11
税と社会保障と医療に関わる「共通番号」制度
「税金と社会保障に関連する共通番号」制度についての検討が行われおり、本年6月までに「大綱」ができ、
法制化が行われる予定。医療情報についても、その一環として検討が進んでいる。
医療情報は散在している。開業医のデータ、病院のデータ、薬局の「お薬手帳」、レセプト情報、企業健診な
どの情報が適切に連携され、本人や医師が参照できるようになると、国民の利便性が高まり、また、医療の
質と効率の向上が図れる事がよく指摘される。一方で、個人情報である医療情報が、個人を識別する番号を
ともなって蓄積され連携されることについては、一定の懸念が表明されている。 メリット
自分の健康状態を確認したいときには、
ワンストップで関連する情報が閲覧できる。 急病や災害のときに、本人や医師が患者
の病歴や薬の服用歴などに関する情報を
確認できる。 など。
懸念
個人情報の「国家管理」への不信。
なりすましなどでの個人情報の不正利用。
個人情報が名寄せされて他人や企業に
流出してしまうリスク。 など。
社会保障・税番号要綱
社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会 平成32年4月28日
大災害時における真に手を差し伸べる者に対する積極的な支援
今般、東日本大震災という未曾有の大災害が発生し、被災者救援・被災地復興が我が国における最大の課題となって
いる。特に、今後の被災者の生活再建や地域コミュニティの再生、地域経済の復興には、中長期的な取組みが必要であ
り、番号制度の迅速な導入は、これに資するものと考えられる。また、今後起こり得る大災害に予め備え、実際の災害発
生時に即応でき、復興再建の局面でも効力を発揮するよう、防災福祉の観点からも、番号制度の在り方を考える必要が
ある。
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