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こちら - 奈良女子大学 素粒子論研究室
2011年7月1日午後5時 奈良女子大学 平山 貴之 @ 京都産業大学 益川塾 arXiv:1106.3624 一般相対性理論を平坦な時空の周りで摂動展開 して量子化した量子重力理論を考える。 ‘t HooftとVeltman(‘74)が計算したようにスカ ラー場の1ループグラフから繰りこみ不可能な 紫外発散が出てしまう。 ( ‘77 Stelle) 高階微分重力理論 は繰りこみ可能だがグラビトンにゴーストが 出てしまいユニタリティーを壊してしまう。 ゴーストが(質量が虚部を持ち) 通常の粒子に崩 壊すれば漸近場に現れないのでユニタリティー の問題を避けられる。(‘69 Lee-Wick) →多ゴースト粒子状態が実質量を持ち漸近状態 として現れる。 プロパゲータがUV領域ではe^{-p^2/M^2}で 落ちていればゴーストも出ずに発散がなくなる のではないか? 時間微分を無限個含む非局所場理論になる。 これでうまくいくのか? ユニタリティーの問題、因果律の問題は本当に ないのか? ここではプロパゲータをUV領域でどのように 変更したら繰りこみ不可能な発散がなくなるの か考えていく。 ユニタリティー、因果律の問題は深くは触れな い。 そして、「繰りこみ可能」から見えてくるUV 領域、即ち微小空間での物質の振る舞い(非局 所性?)を考察する。 動機 繰りこみ可能な量子重力理論を構築するいろい ろな取り組み 1ループグラフの計算 考察 まとめ プランクスケールでは重力の量子的揺らぎが大 きく距離の概念が無くなる? 非局所性、又は広がり、がキーワード? 点→広がり:弦理論 非局所場理論: (湯川 ‘50,’53) 多変数 無限階微分 弦理論→時空の不確定性(米谷) →最小長さ(Gross, Veneziano) 時空の変更:Snyder時空(‘47) 場の理論を作るのが難しい? 非可換時空 全ての積をMoyal積に変えれば良い。 他にもいろいろ 分散関係の変更(Lorentz対称性を破る): Horava 対称性:超対称性、共形不変性 現在、弦理論がリードしている。 あまり、何が本質的なのかよく分からない。広 がり、不確定性、対称性? 弦理論までいかないといけないのか? 場の理論で何とかならないか、もう一度考えて みる。 UV領域でプロパゲータを変更して繰りこみ可能な 量子重力理論を作れないか? 作用と汎関数積分 平坦な時空からの揺らぎを量子的揺らぎとして 扱う。 作用を展開 メトリックが次元を持たないので プロパゲータは高エネルギーで定数に近づく。 一つの例は無限階微分を含む これは、ゴーストを出さない。(無限個の初期 条件は必要ない。) ユニタリティーを保つかは調べなくては分から ない。 非可換時空上の場の理論はループレベルでユニタリ ティーが破れる。変更されたT積を用いるとユニタ リティーを保てる。が正エネルギー条件が破れてし まう。 可換非結合型時空上のスカラー場の理論(Sasakura ‘06)はループレベルでユニタリティーが保たれる。 因果律の破れも評価しなくてはならない。 1/p^2より遅く落ちるので、Yukawa結合や Higgsの自己結合にe^{-p^2/M^2}を入れて繰 りこみ可能性を保たせないといけない。 定数に近づく。 →ダイナミカルではなくなる。 →量子補正が無くなる。 微小領域に行けばいくほど泡立っているのでは なく、反対に静かになる。量子的な揺らぎが無 くなる。 量子重力理論で繰りこみ可能性を課すと高エネ ルギーでプロパゲータが定数に近づかなくては ならない。 粒子はダイナミカルではなくなり、量子補正が 無くなる。 スカラー、フェルミオンは良いが、ゲージ場、グラ ビトンはどうしたらよいか? ゴーストが出ないようにプロパゲータを変更す ると非局所場になる。 非局所場理論は量子重力理論のアイデアを試す うえで有用な理論である。 ユニタリティーの破れなど研究していく価値の ある理論である。 重力の量子的性質を明らかにしていくことがで きるだろう。