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音楽から何が聞こえる? 心理学の視点

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音楽から何が聞こえる? 心理学の視点
1 音楽心理学
講義の概要と視点
音楽から何が聞こえる?
音がしている
音に高さや大きさの違いがある
リズムや旋律の違いがある
楽器の種類の違い
調の違い
上手,下手の違い
情緒や時代性の違い
芸術性の違い
心理学の視点
外界をわれわれ人間が意識として処理する時
の問題を取り扱う
感覚,知覚,記憶,意識,認知,感情,動機
物理 対 心理
「もの」の世界と「こころ」の世界
「もの」と「こころ」の対立
唯物論と唯心論の哲学的論争
->不毛な対立
我々の心的活動は我々を取り巻く環境に適
応して今あるかたちを取っているはず
「こころ」の理解には「もの」の理解が
必要。
ところが・・・ 一部には「もの」の話
をしているというだけで心の本質を探れ
ないと非難する傾向がある
音楽心理学?
この講義ではこちらの立場をとる
音楽活動を支える人間の心的活動(身体活
動を含む)の基礎的な特性を解明する
音楽や芸術の世界に昔から伝わる謎や神秘
を心理学的に解明していく
こちらはおそらく無理。心理学者は解明したと主張して
も芸術家達はそれを認めはしないはずだから・・・
音の知覚と認知
誰もいない森で大木が
倒れた時,音はすると
言えるのか?
何もない部屋で大木が
倒れる場面を想像した
時,音はすると言える
のか?
より現実的な問へ
木が倒れたことがな
ぜ分かるのか?
脅威を感じるか?
同じことが起こった
はずなのに聞こえな
い人もいるのは何故
か?
聴覚の役割
空気中を伝わる振動のパターンから,身の
まわりで生じた出来事を検出し,認識す
る。
そのために,空気の振動を脳へ伝える
信号の変換
物理量と心理量の対応関係
物理量と心理量
近代の心理学では科学的方法論の必要性か
ら定量化への努力が懸命になされている
特に計算機科学のめざましい発展は物理量
から心理量への情報変換を現実的なものと
した
定量化は人間性の否定?
定量化はしばしば日常の直観とは結びつき
にくい「数」の上での議論を主体とする
「言葉」をあやつるのが得意な人々にはア
レルギー反応を起こすものもいる
音楽の世界ではコンピュータ音楽が「機械
的」として嫌われやすい
定量化の仕方が未熟なのであり,定量化
そのものが悪いのではない
科学的解明と人間の努力
音楽を含む人間の営みを科学的に解明する
ことは時として,その営みを生業としてい
る人にとって脅威に映る
しかし,科学的解明は人手を省くために行
われるのではなく,人の行動を深く理解
し,新たな努力目標を作るためのもの
同じ場所に留まるためには常に走り続けな
ければならない (「赤の女王」)
物理量と心理量の対応づけ
代表的なもの
強度とラウドネス
基本周波数とピッチ
この対応付けの問題点
物理量と心理量の間は簡単な等号関係で
は結べない
音色については心理量の適切な定義がま
だない
線形と非線形
100
2つの変化する量,
x, yがあり,yがxの
1次関数で原点を通
る関係として表せる
ときを線形の対応と
いう
80
60
40
20
0
-20
-40
-60
-80
-100
-100
-80
-60
-40
-20
y = log x
0
20
40
60
80
100
y = sqrt(x)
350
300
5
250
4
200
150
3
それ以外,2次以上
の関係や,累乗根,
指数関数,対数関係
の場合は非線形の対
応という
100
2
50
0
1
-50
-1
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
0
-1
-1
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
x 104
10
x 104
y = x2
y = (x-50)3-x2-5x+100
1.5
x 105
10000
9000
1
8000
7000
0.5
6000
5000
0
4000
3000
-0.5
2000
1000
-1
0
-1000
-10
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
-1.5
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
聴覚系は非線形応答
聴覚系では振幅を2倍にしても素直に2倍
にならない
広いダイナミック・レンジ
非線形歪み
HiFiでない聴覚系
振幅
平坦ではない周波数
応答
非線形歪み
周波数
振幅
周波数
100
2聴覚系
音はどのようにして知覚されるか?
聴覚器の働き方
音から脳の信号へ
骨を伝わる振動
リンパ液を
伝わる振動
脳への信号
空気を伝わる振動
IPA「教育用画像素材集サイト」
http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/
内耳
中耳
外耳
内耳
中耳
神経信号
脳や中枢神経系に伝わる情報
神経細胞の間のイオン・バランス
外部からは電気信号として観測可能
発火(スパイク)と受容電位
神経発火と受容電位
受容電位
細胞体に生じる
刺激されるほどレベルが高く
なる
神経発火
軸策を伝わる
受容電位が閾値を超えると瞬
間的な電位変化をする
大きさはいつも同じ
興奮の度合いは頻度の度合い
になる
発火の伝導
耳小骨
インピーダンス整合 空気と液体の仲立ち
耳小骨の鰓起源説
もともと水中で活動していた生物が進化の過程
で陸へ上がった際に陸上の生活に適応した
蝸牛(内耳)
中央階
内有毛細胞
外有毛細胞
蝸牛の模式図
前庭窓
前庭階
蝸牛孔
中央階
鼓室窓
鼓室階
蝸牛の構造
蝸牛の断面
前庭階
中央階
鼓室階
仕切りの膜
ライスネル膜
前庭階
中央階
蓋膜
基底膜
鼓室階
基底膜上の有毛細胞
外有毛細胞
基底膜に生じた振動は内有毛
細胞に受容電位を起こし,そ
れが聴神経の発火となって脳
(中枢)へ伝わる
内有毛細胞
聴神経
聴覚皮質
内側膝状体
下丘
上オリーブ核
蝸牛神経核
基底膜の進行波
前庭窓側
幅が狭く薄い
速い振動をしやすい
入ってきた振動の速さ
(≒音の高さ)に応じ
てよく振動する基底膜
の場所が異なる
蝸牛孔側
幅が広く厚い
遅い振動をしやすい
場所による振動の振れ幅の違い
振幅
各曲線は異なる場所に対応
入力正弦波の振動数
純音に対する基底膜上の振動の様子
100 Hz
1000 Hz
1123 Hz
複合音に対する基底膜上の振動の様子
100 Hz + 1000 Hz
1000 Hz + 1123 Hz
場所による共振周波数の違い
まとめの動画
外有毛細胞の能動性
入力レベルが
違うと応答特
性の形が異な
基底膜の振動
パターンは外
ってくる
入力を2倍にする
と出力も2倍にな
ると言う単純な形
にはなっていない
有毛細胞が動
くことによっ
て鋭くなって
いる
能動性による
非線形応答
非線形応答の詳細を見ると・・・
入力 80 dB SPL
感度の良い周波数
約15 dBの差
感度の悪い周波数
約60 dBの差
入力 20 dB SPL
聴神経発火の位相固定
発火の頻度は刺激の強度が強くなるほど多
くなる(神経発火の基本特性)
さらに詳細に見ると発火の起こり方にパタ
ーンがある
基底膜の振動の特定の位相で起きる
ピリオド・ヒストグラム
一周期の中
の半分では
発火が起こ
りにくい
不動毛の動き
間開く
興奮
隙間開く
〔興奮〕
隙間閉じる
間閉じる
〔抑制〕
抑制
図1 基底膜の変位と有毛細胞の興奮と抑制
位相固定による時間的情報
100 Hzの入力
最大振幅で振動
すべてが10 ms
周期の発火
周辺もある
程度振動
1 kHzの入力
最大振幅で振動
周辺もある
程度振動
すべてが1 ms
周期の発火
3ピッチ
音の高さ,音程,音階
ピッチと周波数
ピッチ (感覚量)
高低の印象を与える音の基本属性
周期性のある音の基本周期の変化に応じ
て系統的に変わる音の感覚属性
周波数 (物理量)
振動が1秒間に繰り返す回数
音程とピッチ(音高)
音程
2つの音のピッチの隔たり
単独の音には音程は存在しない
時間説と場所説
ピッチの決め手は何?
時間説
波形に備わる周期性
場所説
存在する最低の周波数成分
基本周波数欠落音
基本周波数成分を除去した音のピッチは
どうなるか?
基本周波数成分の欠落と波形
時間説
周期が一緒なのでピッチ
は変わらないはず
場所説
最低の周波数が変わるの
でピッチは変わるはず
基本周波数欠落音の例
Missing Fundamental
10th
1st
200 Hz
非線形歪みの可能性
その可能性を排除する実験例
[1] ウェストミンスターのチャイム
各音 純音ー>複合音
[2] 低域雑音で純音をマスキング
聴覚のような非線形応答をする
系を通すと,非線形歪みの影響
で基本周波数成分に相当するも
のが発生する可能性がある。
[3] 高域雑音で複合音をマスキング
多次元ピッチのモデル
基底膜状の興奮のピー
クに対応した次元
それと直交する時間的
な手掛かり(位相固
定)による次元
音楽におけるオクター
ブや5度の特殊性は後
者から
メル尺度
時間的な手掛かりを使えなくするとピッチの尺度がどう
なるかを推定
音階は周波
数の対数に
対して直線
的な関係
メル尺度
音階
メル尺度で
はそれから
ずれていく
無限音階
場所的な手掛かりを最小化
循環が分からず,無限に上昇するような印象を与える
旋律の弁別とF0の範囲
基準 200 Hz
旋律A
旋律B
基準 1000 Hz
旋律A
旋律B
基準 4000 Hz
旋律A
旋律B
位相固定の限界と時間ピッチの限界
時間ピッチの聴覚的基盤は神経発火の位相
固定性にある
位相固定は約4 kHzを超えるあたりから消
失する
旋律の認識も4 kHzを超えると困難になる
音程
旋律を知覚する場合に本質的なものは音の
絶対的高さではなく相対的な高さの関係
音程
音楽で使われる半音は,基本的には基本周
波数の比が等しい関係にある
音階と音程
音楽では従う音階の上で,半音や全音が定
義される
音階にいくつも種類があるので混乱が生じ
やすい
音楽音響や音楽心理では不要な混乱を避け
るためにcentという値を使用
100 centで半音
cent単位でのf1とf2の音程
⎛f ⎞
1200log 2 ⎜ 2 ⎟
⎝ f1 ⎠
純正律
純正音程(単純な整数比)を積み上げて音
階を作る
ピタゴラス律
ツァルリーノ律
ピタゴラス律
完全5度(周波数の比が2:3)とオクターブ
(周波数の比が1:2)を利用して音階を生成
オクターブ
下の音のもつ周期は必ず上の音も持つ
完全5度
下の音の3回に1回は周期を共有する
5度圏による音階
ド→ソ→レ→ラ→ミ
ペンタトニック
ファ→ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ
ダイアトニック(全音階)
ファ→ド→ソ→レ→ラ→ミ→シ→ファ#→ド#→ソ#→レ#→ラ#→ミ#(ファ)
ピッタリと1:1の関係にならない
狭義の純正律
ピタゴラス律に従うと長3度がちょっときたない
ファ→ド→ソ→ レ → ラ →ミ→ シ
22/3 → 1→ 3/2→32/23→ 33/24→34/26→35/27
1
32/23 34/26 4/3
3/2
33/24
35/27
主和音を弾いたときにきれいに(うなりが生じないよ
うに)鳴るための調律
完全5度(2:3),長3度(4:5),短3度(5:6)にとって調律
1 9/8 5/4
4/3
3/2 5/3 15/8
調整(temperament)
純正律で生じる不釣り合い(広すぎる長3
度,2種類の全音,半音2つで全音になら
ない)について微調整をする概念
代表格 12音平均律
1オクターブを12に等分割
半音=21/12
セント値での音律間の比較
C
D
E
F
G
A
B
C
ピタゴラス
0
203.9 407.8 498.0 702.0 905.9
1110
1200
純正調
0
203.9 386.3 498.0 702.0 884.4 1088
1200
平均律
0
ベルクマイスタ
0
200
400
500
700
900
1100
1200
204.0 408.0 498.0 702.0 906.0 1110
1200
セント値での音律間の比較
C
D
E
F
G
A
B
C
ピタゴラス
0
203.9 407.8 498.0 702.0 905.9
1110
1200
純正調
0
203.9 386.3 498.0 702.0 884.4 1088
1200
平均律
0
ベルクマイスタ
0
200
400
500
700
900
1100
1200
204.0 408.0 498.0 702.0 906.0 1110
1200
セント値での音律間の比較
C
D
E
F
G
A
B
C
ピタゴラス
0
203.9 407.8 498.0 702.0 905.9
1110
1200
純正調
0
203.9 386.3 498.0 702.0 884.4 1088
1200
平均律
0
ベルクマイスタ
0
200
400
500
700
900
1100
1200
204.0 408.0 498.0 702.0 906.0 1110
1200
4マスキングと協和性
周波数分解能力との関連
マスキング
対象となる音を別の音の存在が覆い隠す現
象
ジェット機が上空を通ると話し声が聞こえ
なくなったりするのはマスキングが生じる
ため
直観的には大きな音であるほどマスキング
の力が強いように思われる
スペクトルと大きさ
単純に音の大きさではない
音のスペクトルを考慮する必要性
含まれる成分は変化しない
がその振幅(スペクトル・
レベル)が増加
どちらも大きくなるはず
しかしマスキングの起
き方は両者では異なる
振幅(スペクトル・レベル)は
変化しないが帯域が増加
スペクトル・レベル上昇の効果
帯域幅増加の効果
臨界帯域の概念
マスキングが生じるには雑音のエネルギー
と信号のエネルギーが同じフィルタを通っ
てくる必要がある。
ここでフィルタは基底膜上の場所の違いに
純音信号が入った場合でも基底
よるもの
膜1箇所だけが振動するわけで
その周辺では何もない
場合と比べて聞き取り
はない。その周辺も振動
にくくなる
臨界帯域
臨界帯域と音程
長3度
臨界帯域
全音
半音
音楽的協和と聴覚的協和
聴覚的協和
単独の成分同士の
周波数関係
音楽的協和
楽音(調波複合
音)の音程関係
基本周波数が離れていても
高調波のどこかで近接する
ものが出てくる
周波数比が小さな整数比関
係である必要性がでてくる
臨界帯域の重なり
周波数比が小さな整数比関
係である必要性はない
うなり
2つの周波数が同時に存在すると,その差の周
波数でうなりを生じる
20 Hz + 22 Hz
40 Hz + 42 Hz
60 Hz + 62 Hz
フィルタとうなり
このフィルタには低い周
波数しかないのと同じ
うならない
このフィルタの中には2
つの周波数成分が存在
うなる
このフィルタには高い周
波数しかないのと同じ
うならない
うなりと協和の関係
うなりが非常にゆっくりの
時は不快な感じは低い
その後に不快(不協和)な
領域がくる
速くなると不快度は低減
さらに離れると完全に別の
2つの音が聞こえる
500 Hz
1000 Hz
502 Hz
1002 Hz
504 Hz
1004 Hz
508 Hz
1008 Hz
516 Hz
532 Hz
1016 Hz
1032 Hz
564 Hz
1064 Hz
628 Hz
1128 Hz
756 Hz
1256 Hz
1012 Hz
1512 Hz
1524 Hz
2024 Hz
フィルタの裾野
聴覚のフィルタはバンドパス
基底膜の各点の応答特性
振幅
裾野の広がり
入力正弦波の振動数
ノッチ・ノイズ・マスキング
640
320
160
80
40
5 音色
楽器の違いと音の善し悪し
音色の定義
聴覚上の音の性質の1つで,2音の大き
さ,および高さがともに等しくても,その
2音が異なった感じを与えるとき,その相
違に対応する性質
なんらかの違いを聞き取っているとき
に,確信を持って高さと大きさが等しい
と言えることは稀なので,この定義は非
常に概念的
それでも音色はある
種々のレベルの「音源」の識別に音色の違
いは役に立つ
楽器の違い
人物の違い
ものの性質の違い
出来事の質の違い
音色を分けるときの手掛かり
持続的か過渡的か
周期的か非周期的か
大きいか小さいか
硬いか柔らかいか
スペクトルの違い
ピッチやラウドネスが同じであってもスペ
クトルが違う場合があり得る
例)
バイオリンとチェロ(大きさの違い)
フルートとクラリネット(管の違い)
母音の違い(管の形状の違い)
プラックとボウ(エネルギーの供給の
仕方の違い)
音色の印象空間
様々なスペクトルを持つ音に対して
何組かの印象語の対について評定を
求める
SD(Semantic Differential)法
因子分析手法
相関の高い印象同士をひとつにま
とめる
鋭さ
スペクトル上のエネルギーの
集中の仕方に対応
拡散性
離散スペクトル(楽音)か連
続スペクトルか(雑音)
楽器音の音色空間
楽器音の間の
類似性に従っ
た多次元尺度
構成
12種の楽器
16の高さ
多次元尺度構成とは
相互距離行列からそれぞれの点の位置を推
定した地図を構成する手法
例)
都市と都市の間の距離のデータを基に
地図を作る
日本国内だけだったら2次元でほぼ表
せる
全世界を対象とすれば3次元(地球
儀)が必要となる
楽器音の音色空間
フレンチホルン
クラリネット
チェロ
バスーン
フルート
サックス
イングリッシュホルン
トランペット
オーボエ
低い
狭い
ミュート・トロンボーン
同時
部分音の開始点
共振周波数
高い
広い
周波数帯域
第1次元
非同時
低い
狭い
第2次元
鋭い
アタック
共振周波数
高い
広い
周波数帯域
第1次元
緩やか
第3次元
6 ラウドネス
音の大きさ
ラウドネス(音の大きさ)
強く叩いたり、弾いたりすると音は大きい
一人より二人の方が大きい
遠くより近くの方が大きい
強度が大 ナラバ ラウドネスは大
でもその間の大凡の対応関係は?
単調増加関数のいろいろ
強度
強度
強度を2倍にしたら
ラウドネスも2倍に
なる
強度
強度を2倍にしたら
ラウドネスは2倍未
満になる
強度を2倍にしたら
ラウドネスは2倍以
上になる
L = K • I 0.3
強度の相対値の対数の関数とした場合
L1 K • (I1 )
=
L0 K • (I0 )0.3
0.3
強度のデシベル値
⎛ ( I1 )0.3 ⎞
⎛L⎞
log⎜ 1 ⎟ = log⎜
0.3 ⎟
⎝ L0 ⎠
⎝ (I0 ) ⎠
⎛I ⎞
= log⎜ 1 ⎟
⎝ I0 ⎠
0.3
⎛I⎞
= 0.3• log⎜ 1 ⎟
⎝ I0 ⎠
⎛I⎞
= 0.03•10log⎜ 1 ⎟
⎝ I0 ⎠
ソーン尺度
ソーン
sone
強度とラウドネスの実測関係
2ソーンは1ソーンの2倍
の大きさとなる
様々な等ステップ
振幅上で等ステップ
強度上で等ステップ
ソーン上で等ステップ
ラウドネスと周波数
純音のラウドネスは周波数に依存して変わ
る
仮に強度が全く同じであっても周波数が
異なるとラウドネスが異なってくる
耳の周波数応答特性が異なるため
主に頭,肩,外耳,中耳の影響
等ラウドネス曲線
ラウドネスレベルとphon
種々の周波数,音圧レベルを持つ純音と1
kHzの純音とが同じラウドネスとなるよう
に1 kHzの純音の音圧レベルを調整
つり合ったときの1 kHz純音の音圧レベル
の値をもってラウドネスレベルとする
例えばそれが40 dB SPLだとするとその時
のラウドネスレベルは40 phonとなる
等ラウドネス曲線とラウドネスレベル
等ラウドネス曲線は即ちラウドネスレベル
の等しい点を結んだ曲線
周波数への依存性は音圧レベルが小さいと
きの方が顕著となる。
§聴覚情景分析
聴覚情景分析
Bregman(1990)による喩え
「湖から流れ出す川に、1枚のハンカチをた
らし、その動きを眺める。その動きだけか
ら、湖に何がいるかを当てるようなもの」
音脈分凝 (Stream Segregation)
耳もとで折り重なって存在する音のエネルギー
の中から、適切な要素を選択し、複数存在す
る音源それぞれに対応するような事象を形成す
ること
聴覚情景分析
聴覚的対象と視覚的対象
聴覚情景分析
Bregmanによる4つの規則性
同期性
変化のなだらかさ
調波性
共通運命性
聴覚情景分析
原始的音脈分凝とスキーマ依存的音脈分凝
知覚像 赤青赤休赤青赤休赤青赤休・・・
または
赤・赤・赤・赤・赤・赤・・・・
青・・・青・・・青・・・・・・
聴覚情景分析
交替速度の影響
交替速度が速くなると分凝しやすい
周波数差 大
周波数差 小
聴覚情景分析
一連性境界と分裂境界
聴き方によっ
て印象がコン
トロール可能
聴覚情景分析
音脈分凝 速度の影響
聴覚情景分析
グルーピングの競合
聴覚情景分析
音脈分凝における捕獲
Low -> High, or High -> Low
L
C C C X
H
X C C C
聴覚情景分析
音韻修復
音声の一部が雑音で覆われたときでも、
音声->雑音->音声という連続は聞かず、一
連の音声と平行した雑音という知覚像を
持つ。
雑音ではなく、無音が置き換えた時には、
音声はとぎれとぎれに聞こえる。
聴覚情景分析
音楽の例
トルコ行進曲
「トルコ行進曲」のメロディーの音符の1つがピンクノイ
ズで置き換えられている。われわれの聴覚システムには、
メロディーの流れに従って失われた音を補完する機能が
あり、このパターンでは、メロディーと雑音が互いに分
凝して知覚され、雑音の位置を判断することが難しくな
る。
聴覚情景分析
音楽の例その2
メロディーの 8 番目、または 7 番目の音符が全てピンクノ
イズに置き換えられている。複数の音符が置き換えられて
も、一貫したメロディーを聞くことができる。
聴覚情景分析
連続聴錯覚
音韻修復は連続聴錯覚の一種として考えられる
聴覚情景分析
聴覚情景分析
聴覚情景分析
スキーマ的分凝 対 原始的分凝
交錯旋律 (Interleaved Melodies)
(1) 周波数帯域の違い (小)
(2)
(3)
(4)
(5) 周波数帯域の違い (大)
聴覚情景分析
スキーマ的分凝 対 原始的分凝
交錯旋律 (Interleaved Melodies)
(1) 周波数帯域の違い (小)
(2)
(3)
(4)
(5) 周波数帯域の違い (大)
聴覚情景分析
スキーマ的分凝 対 原始的分凝
交錯旋律 (Interleaved Melodies)
(1) 周波数帯域の違い (小)
(2)
(3)
(4)
(5) 周波数帯域の違い (大)
聴覚情景分析
スキーマ的分凝 対 原始的分凝
交錯旋律 (Interleaved Melodies)
(1) 周波数帯域の違い (小)
(2)
(3)
(4)
(5) 周波数帯域の違い (大)
聴覚情景分析
スキーマ的分凝 対 原始的分凝
交錯旋律 (Interleaved Melodies)
(1) 周波数帯域の違い (小)
(2)
(3)
(4)
(5) 周波数帯域の違い (大)
聴覚情景分析
スキーマ的分凝 対 原始的分凝
交錯旋律 (Interleaved Melodies)
(1) 周波数帯域の違い (小)
(2)
(3)
(4)
(5) 周波数帯域の違い (大)
聴覚情景分析
聞き取る標的を知っている効果
3種類のバンド・ノイズが順番に出てくるが,
その3種類を聞き分けることはなかなか難しい
聴覚情景分析
聞き取る標的を知っている効果
3種類の内のバンドAを先行させるとその音の系
列を複雑な混合の中から聞き取りやすい
聴覚情景分析
聞き取る標的を知っている効果
3種類の内のバンドBを先行させるとその音の系
列を複雑な混合の中から聞き取りやすい
聴覚情景分析
聞き取る標的を知っている効果
3種類の内のバンドCを先行させるとその音の系
列を複雑な混合の中から聞き取りやすい
聴覚情景分析
疑似ポリフォニ
聴覚情景分析
ポリリズムの出現
ピッチレンジを変えると
音色を変えると
聴覚情景分析
ピッチの変化によるポ
リリズムの別例
聴覚情景分析
音色の違いによるもの
聴覚情景分析
スペクトルの違いによる分凝
聴覚情景分析
良い連続よりも周波数の近接性
そもそも良い連続とは?
聴覚情景分析
音では上昇下降の連続は良い連続になる
のか?
上昇・下降の系列を交替に出したもの
高い音の方だけを標的として聞く
低い音の方だけを標的として聞く
上昇系列の方だけを標的として聞く
下降系列の方だけを標的として聞く
上昇・下降系列に音色の差をつけると
聴覚情景分析
変化の急峻さの効果
聴覚情景分析
ピッチの変化
連結型
非連結型
聴覚情景分析
調波性の効果
各ステップ1%ずつ、下降
何ステップ目から分離し出すか?
聴覚情景分析
ミスチューンの状態から」各ステップ
1%ずつ、上昇
何ステップ目から融合し出すか?
聴覚情景分析
周波数
周波数の近接性と融合
こうまとまるか?
こうまとまるか?
この周波数の間隔を
変えることによって
印象が変わる
時間
聴覚情景分析
周波数の近接性と融合
周波数差が大きい場合
聴覚情景分析
周波数の近接性と融合
周波数差が中庸の場合
聴覚情景分析
周波数の近接性と融合
周波数差がない場合
聴覚情景分析
同期性と融合のしやすさ
同期している場合
聴覚情景分析
同期性と融合のしやすさ
同期少しずれている場合
聴覚情景分析
同期性と融合のしやすさ
同期さらにずれている場合
聴覚情景分析
競合音の出現による融合の変化
競合音のない場合
同じくらい高さの音ABのパターンは音Bと音C
とが同期しているので聞き取りにくくなる
聴覚情景分析
競合音の出現による融合の変化
競合音のある場合
音Cの近くに音Dを加えるとCDがひとつの音脈
を作り,結果として音脈AB聞き取り易くくなる
聴覚情景分析
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