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Annual Report 2012 CSR Data Book Creating Corporate Value through CSR CSRによる企業価値創造 Contents タケダのCSR活動 環境 3 CSR の基本的な考え方 30 環境マネジメント/環境リスクの低減 4 国連グローバル・コンパクト 42 気候変動への取り組み 5 ISO26000 45 水資源問題への取り組み バリューチェーン・マネジメント 46 生物多様性への取り組み 6 IIRC 48 廃棄物削減/化学物質排出量の削減 7 AA1000 51 大気・水質・土壌の保全 タケダのステークホルダー 52 環境コミュニケーション/環境モニター/環境会計 CSR 活動の目標と実績 54 タケダブループ事業活動に伴う環境負荷 8 サイトからのメッセージ 10 特集: 東日本大震災による 被災地への支援 56 サイトデータ/専門家のご意見 公正な事業慣行 組織統治 12 58 CSR マネジメント デューディリジェンス 汚職防止/透明性に関する指針 60 ステークホルダー・エンゲージメント 14 Message 常務取締役 内部統制および特命事項担当 吉田 豊次 公正な事業活動に向けて/業界における取り組み 公正なプロモーション活動/グローバル CSR 購買 CSR 購買ガイドライン/グリーン調達の実施 62 グローバル購買方針/従業員のコンプライアンス 64 知的財産 15 コーポレート・ガバナンス 消費者課題 17 コンプライアンス 66 18 危機管理 ステークホルダーに対する情報開示等の実施状況 偽造医薬品対策 バリューチェーン管理の強化/情報提供 68 品質保証体制 72 生産供給体制 人権 20 人権課題 コミュニティ参画および発展 22 人権課題への取り組み 74 企業市民活動の方針 76 NGO/NPOとの協働/企業財団 途上国の保健医療支援 労働慣行 24 グローバル人事ポリシー 78 タケダグループ各社の取り組み グローバル人材育成 26 ダイバーシティの推進 114 タケダの歴史 28 ワーク・ライフ・バランス 116 会社概要 障がい者の活躍の支援 117 社会的責任に関する主な指標 従業員の健康と安全 118 GRIガイドライン対照表 労働組合との関係 122 国連グローバル・コンパクト アドバンスドレベル COP 対照表 126 第三者所見 Takeda CSR Data Book 2012 CSRデータブック 編集 方 針 タケダでは、アニュアルレポートと CSR 報告書の統合版を発行しています。 「 CSRデータブック」は、CSR 活動を通じた 社会と企業に対する価値および価値創造のプロセスに関する 詳細な情報をまとめています。 タケダは 1781 年の創業以来、くすりづくりを誠 2011 年には、ステークホルダーの皆さまに当社 実に行うことで、高い倫理観と、強い使命感を培って の価値創造・維持プロセスを適切な形で開示する目 きました。企業活動のグローバル化に伴い、CSR(企 的で、統合報告の国際的なフレームワークを提供す 業の社会的責任)に対する要請が高まっていますが、 る「国際統合報告審議会( IIRC )」のパイロットプログ タケダは、経 営 哲 学「タケダイズム( 誠 実=公 正・正 ラムに参加し、以下の 5 つの基本原則に則り、開示を 直・不屈)」に基づき、 「優れた医薬品の創出」を実現 試みています。 していく企業活動そのものが、CSR の根幹であると 1.戦略的焦点 2.情報の結合性 3.将来志向 4.反応性およびステークホルダーの包含性 5.簡潔性、信頼性および重要性 認識しています。他方、タケダは、 「健全な社会のサ ステナビリティ (持続可能性)なくして自社のサステ ナビリティはない」という点についても十分に認識し ており、企業市民として、自社の強みが活かせる分野 における社会的な課題の解決に向け、イニシアティ 関連情報 P.6 IIRC ブを発揮したいと考えています。 このように、社会と企業の関係を統合的に捉える なかで、諸活動の報告についても統合報告を念頭に 置き、2006 年度より、アニュアルレポート上に財務 情報だけでなく、人権、環境、コミュニティへの取り組 みなどの非財務情報を取り入れた統合版アニュアル レポートを発 行してきました。 「 CSR データブック」 は、さらなる説明責任を果たすために、アニュアルレ 国際統合報告審議会( IIRC )の統合報告に 関するパイロット・プログラムに参加しています。 ポートに掲載した情報に、より詳細な情報を加えて再 IIRCは、2010年に、国際的な企業報告フレームワー 編集したものです。掲載した情報は、タケダにとって クの開発を目指して民間企業・投資家・会計士団体・行 の重要性と社会にとっての重要性の観点から総合的 に検討し、選定しています。なお、環境負荷低減も考 慮して、PDF 版・電子ブック版でのご提供とさせてい ただきます。 政機関等によって設立されました。IIRCは、統合報告 の目的を、企業の戦略・ガバナンス・財務パフォーマン スと、企業が事業活動を行う社会・環境・経済的基盤の 間の相関性を明らかにすることとしています。 Takeda CSR Data Book 2012 1 ステークホルダー・エンゲージメントの アプローチに関する考え方 ステークホルダー・エンゲージメントとは、ステー 対象期間 2011 年度( 2011 年 4 月1日∼ 2012 年 3 月31日) ※一部、2012 年度の活動内容も含みます。 クホルダーの関心事項を理解し、企業活動や意思決 発行時期 定に反 映する取り組 みを意 味します。タケダでは、 2012年9月(前回:2011年9月) AA1000 のスキームを参 考として、ステークホル ダーとの対話を重視した CSR 活動の推進に取り組 参考ガイドライン んでいます。 サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン グローバル・レポーティング・イニシアティブが発行した、全世界で適用で AA1000の基本原則 きる持続可能性報告書の枠組みを示したガイドライン。 包 括 性 : Inclusivity (根本原則) サステナビリティに関する対応策の作成と実行について、 ステークホルダーを関与させているか? AA1000 英国アカウンタビリティ社が発行したコミュニケーション・システムなど の策 定 過 程に、ステークホルダ ーが関 与 する体 系 的 なプロセスを 示したガイドライン。 ISO26000 重 要 性 : Materiality 国 際 標 準 化 機 構が発 行した、社 会 的 責 任に関する国 際ガイダンス 企業とステークホルダーにとって、重要な課題を特定しているか? 規 格 。先 進 国 および途 上 国における全ての 組 織が使 用することを 意図して作成されています。 対 応 性 : Responsiveness ステークホルダーの課題に対して、十分に対応しているか? 加盟している主な団体 ● 社団法人 日本経済団体連合会 ● 日本製薬工業協会 関連情報 P.7 AA1000 P.13 ステークホルダー・エンゲージメント ● 大阪医薬品協会 ● 社団法人 経済同友会 お問い合わせ先 武田薬品工業株式会社 東京本社 コーポレート・コミュニケーション部 対象範囲 タケダグループ連結対象会社 〒103-8668 東京都中央区日本橋二丁目 12 番 10 号 Tel: 03-3278-2111 Fax: 03-3278-2000 ※一部、武田薬品工業株式会社単体のデータにとどまるケースがあり ますが、今後、連結ベースでのデータ把握をしてまいります。 ホームページアドレス http://www.takeda.co.jp/ タケダにおけるCSRとサステナビリティ (持続可能性)の関係 CSR 活動=経営理念の実践 持 続 可 能な 社 会 「企業市民」としての活動 • ステークホルダーに対する取り組み • 医療の発展に向けた基盤整備 持 続 可 能な 企 業 Takeda CSR Data Book 2012 タケダイズムに基 づく ﹁ 誠 実 ﹂な 事 業 経 営 2 「企業」としての活動 • 優れた医薬品の創出 (CSR活動の根幹) タケダの CSR活動 「原則」、 「実践」、 「開示」、 「対話」に関するCSR の国際標準を参照し、 包括的な視点から価値創造に取り組みます。 CSR 活動に関する [ CSR の基本的な考え方] 原則 規範フレームワーク タケダが考えるCSRの根幹とは、経営理念である 「優 れた医薬品の創出を通じて人々の健康と未来の医療 に貢献すること」にあります。そして、 この経営理念を実 グローバル企業として尊重すべき普遍的原則 現するためには、同時に、医薬事業のバリューチェーン 対話 実践 AA1000 ISO 26000 説明責任を果たすための プロセスを示したガイドライン 社会的責任に関する 国際ガイダンス規格 上で社会に及ぼす多様な影響を事前に認識した上で、 事業プロセス全体の健全性の維持・向上に努めること、 また、企業市民として、社会の持続可能性を高める活動 に関わることが重要であると考えています。 開示 規範フレームワーク GRI この 考え方を具 現 化していくために、タケダは、 2009年に国連グローバル・コンパクトに参加し、グロー IIRC 持続可能性報告の 枠組みを示した ガイドライン バル企業として尊重すべき普遍的原則を学び、2010 統合報告の 枠組みを示した ガイドライン (案) 年からは、社会的責任に関する国際的なガイダンス規 格であるISO26000を参考にしながら、具体的なCSR ホリスティック・アプローチ 活動を実践しています。 また活動にあたっては、自社が単独で実施する「コー 情報開示に関しては、従来から参照していたGRIガイ ポレート・アクション型」 という従来の考え方を拡張し、他 ドラインに加え、2011 年には、IIRC のパイロット・プロ のステークホルダーとともにCSR活動を実施する「コレ グラムに参加し、IIRCが提示している原則に基づいた クティブ・アクション型」、さらには、 アドボカシー、ルール 財務情報と非財務情報の統合開示を試みています。 メイク、 イニシアティブといった、他のステークホルダー さらにAA1000 のスキームに基づいてステークホル を巻き込む「プロデュース型」の活動を含むホリスティッ ダーとの対話を深め、改善点を探るなど、国際社会の ク (包括的)な視点を持ち、社会と企業の価値創造に向 要請に応えるCSR活動の充実に努めています。 けた機会を最大限に活用していきたいと考えています。 価値創造に向けた CSR のホリスティック・アプローチ Corporate Actions Collective Actions Actions as Producer 単独で実施する 他社と実施する プロデュースする 海外連結 同業他社 イニシアティブ ※3 国内連結 異業他社 ルールメイク ※2 本社単体 取引先 アドボカシー ※1 ※ 1 問題解決に向けた提言活動 ※ 2 ルールづくりのプロセスへの参加活動 ※ 3 率先して流れを作る活動 Takeda CSR Data Book 2012 3 タケダのCSR活動 原 則: 国連グローバル・コンパクトの10原則を支持し、 「LEADプログラム」のメンバーとして、 理念の実践と普及をリードする活動を進めています。 [国連グローバル・コンパクト] 国連グローバル・コンパクト ( GC ) とは、企業が責任 ある企業市民として、自主的に行動することを促すた めの世界的な枠組みです。参加する企業・団体は、 「人 権」 「労働」 「環境」 「腐敗防止」から構成される10 原 則の支持、実践が求められます。タケダは、2009 年 に国連 GCに参加し、GC10 原則を企業活動全般に取 り入れて、ステークホルダーとの関係を深めています。 さらに、2011 年 1 月には新設された「 LEAD プログ レスポンシブル・ビジネス会議(ヤンゴン) ラム」のメンバーとなり、約 60 社のグローバル企業と ともに、国連 GC の理念の実践と普及をリードする活 動を進めています。 リオ+20 国連GCコーポレート・サステナビリティ・フォーラム LEADプログラム参加企業としてのコレクティブ・アクション型/プロデュース型の諸活動 2011年6月:コペンハーゲン 2011年10月:東京 国連GC年次総会にてLEADプログラム参加企業 に対し 「タケダ・イニシアティブ」を解説 「日本を変えるCSR ∼ 3.11 東日本大震災を経験して」シンポジウムにて 長谷川社長がコレクティブ・アクションの重要性を提言 Copenhagen Yangon Tokyo Rio de Janeiro 2012年5月:ヤンゴン 4 Takeda CSR Data Book 2012 2012年6月:リオ・デ・ジャネイロ レスポンシブル・ビジネス会議にて、当社の統合版 国連持続可能な開発会議(リオ+20 )国連 GCコーポレート・ アニュアル・レポートをミャンマー企業に紹介 サステナビリティ・フォーラムに参加し、CSRの方向性を確認 実 践: 国連 GC で掲げられた原則をバリューチェーンごとに 日々の業務に落とし込み、責任ある製薬事業を実践していくための ツールとして、ISO26000を活用しています。 [ ISO26000 ] ISO26000 は、2010 年 11 月に国際標準化機構 環境に対する正負の影響を事前に認識し、適切に対 が発行した、社会的責任に関する国際ガイダンス規格 処すること」が重要であると認識しており、 これらを解 です。7 つの中核主題ごとに分類された「実践活動と 説しているISO26000を積極的に活用しています。 して検討すべき項目」が記載されています。 中核7主題のフレームワークの具体的な活用例 タケダは、中期計画の達成には、 「期間中に発生する 社会・環境 タケダ 影響 1.各主題におけるリスクをバリューチェーンごとに 可能性のある、社会・環境の 洗い出すための整理ツール 変化に起因する事業上の機 2.各主題の主要責任部署との 会とリスクを事前に認識し、 社内コミュニケーション用ツール 3.社外SRIアンケートへの回答案作成時の 適切に対処すること」、およ タケダと社会・環境が、相互に 与えあうさまざまな影響を踏 まえて、CSR 活動を立案・実践 しています。 手引き用ツール び「期間中に及ぼす可能性の 4.ステークホルダーに対する開示用ツール ある、事 業に起 因する社 会・ [バリューチェーン・マネジメント] バリューチェーン タケダでは、研究、開発から、調達、生産、物流、販売 レート・コミュニケーション部内に設置したCSR 活動を 原材料の調達から製品・サービ スが顧客に届くまでの企業活 動全体を、 「価値創造の連鎖」 と捉える考え方。 までのバリューチェーン各段階における社会的課題 推進する専門組織とが連携しながら、具体的な活動を の認識に努めています。 進めています。 バリューチェーンごとの課題と取り組むべき施策の 関連情報 洗い出しにあたっては、ISO26000 の中核主題フ P.8 CSR活動の目標と実績 P.12 組織統治 レームワークを活用し、それぞれの責任部署と、 コーポ バリューチェーン全体での CSR 活動の推進 CSR 活動=経営理念の実践 事業経営を 支える機能 開発 調達 生産 物流 販売 人事・総務 財務・経理 資源の投入 活動の成果 対象者の行動変化 持 続 可 能な 社 会 研究 持 続 可 能な 企 業 経営管理 「企業」 としての活動 社会への波及効果 ⋮ 宣伝・広報 「企業市民」 としての活動 Takeda CSR Data Book 2012 5 タケダの CSR活動 開 示:「国際統合報告審議会( IIRC )」の原則に沿って、価値創造・維持プロセスを 適切な形でご理解いただけるよう、開示内容の充実に努めています。 [ IIRC ] タケダは、2011 年に、ステークホルダーの皆さま ISO26000の中核主題ごとに、2011年度の目標・実 に当社の価値創造のプロセスを適切な形で開示する 績、2012年度の目標を設定するだけでなく、 「Future 目的で、統合報告の国際的なフレームワークを提供す Outlook 」の欄を設け、社会との関わり方に関する今 る「国際統合報告審議会( IIRC )」のパイロット・プログ 後の方向性についても開示しています。 ラムに参加しました。本レポートでは、IIRC の 5 つの基 4. 反応性およびステークホルダーの包含性 本原則に則り、以下のような開示を試みています。 事業と関わりのあるステークホルダーを特定し、直 接対話をはじめとする多様なコミュニケーションの機 IIRC の基本原則に沿った情報開示 会を設け、企業価値向上に活用しています。具体的に 1. 戦略的焦点 は、 グローバルなIR 説明会の開催のほか、世界経営者 タケダの事業目標と、それを実現するための具体的な 戦略や実施計画を盛り込んだ中期計画を記載し、企業価 値および社会価値の創造のプロセスを開示しています。 会議や国連グローバル・コンパクトなどへの積極的な 関与を通じ、ステークホルダーからの期待や要請を的 確に捉え、迅速に対応しています。 また、ダイバーシティ経営、ガバナンスの強化、新興国が 抱える社会的課題への対応など、事業機会の拡大に伴う 5. 簡潔性、信頼性および重要性 リスクへの対応についても詳細に説明しています。 株主・投資家を中心とした幅広いステークホルダーに 対して、重要と思われる情報のみを厳選し、開示してい 2. 情報の結合性 ます。例えば、本統合版アニュアルレポートでは、簡潔 研究開発や導入・アライアンスといった川上から、 市場別のマーケティング・販売といった川下にいたる まで、バリューチェーン毎に事業戦略を開示すること で、事業全体を結合性に配慮して説明しています。ま た、ISO26000 の中核主題の枠組みを活用すること で、CSR 活動に関わる情報についても、関連性を示し ながら、全体像を包括的に開示しています。 性と信頼性を確保するため、要点のみを掲載し、経営 トップの発言内容(マネジメント・メッセージ)は、動画で 確認できるようウェブ上のリンク先を掲載しています。 また、環境データなど一部の専門家に対して重要 な情報は、 「 CSR データブック」 ( PDF 版・電子ブック 版)で詳細に開示しています。 「 CSR データブック」で は、非財務情報の信頼性を高めるために、独立した第 3. 将来志向 三者の「所見」を継続して掲載するアプローチを採用 将来の事業見通しについては、中期計画による説明に しています。非財務情報に関する「保証」については、 加え、経営層の考え方を詳細に開示しています。また、 その実効性も含めて検討を進めています。 開示フォーマットの変遷 CSR AR AR AR IAR ’ 03 ’ 04 ’ 05 AR AR AR EVR CSR 紙媒体 PDF版 WEB サイト Takeda CSR Data Book 2012 IAR IAR ’ 10 ’ 11 ’ 12 IAR IAR IAR CDB CDB IAR IAR IAR IAR ’ 06 ’ 07 ’ 08 ’ 09 IAR IAR IAR IAR CDB CDB ※ 年度 ※ ※ 2012 年度から、電子ブック版も掲載しています。 動画 6 AR:アニュアルレポート EVR:環境報告書 CSR:CSR 報告書 IAR:統合版アニュアルレポート CDB:CSR データブック MM: マネジメント・メッセージ EVR MM 対 話: 開示した情報を適切に発信し、AA1000 のフレームワークを活用して 対話の質を高めることで、企業活動の価値を高めていきたいと考えています。 [ AA1000 ] AA1000 は、英国アカウンタビリティ社が発行し ワークを活用し、特定した重要なステークホルダーと た、コミュニケーション・システムなどの策定過程にス の多様な対話機会をつくり、CSR 活動の改善に努め テークホルダーが関与する体系的なプロセスを示した ています。 ガイドラインです。タケダでは、AA1000 のフレーム タケダのステークホルダー 患者さん・ 医療従事者の 皆さま タケダは、一人でも多くの方が健康でいられることを願って、優れた医薬品 を、 より早く、 より多く創出するとともに、 「患者さん」のニーズを理解するた め、患者団体などを通じ、良好な関係を築くことも重要と考えています。また、 医薬事業を通じ、 エビデンスに基づいた、質の高い医薬情報活動を推進する 主な対話方法 • 医薬情報活動 •くすり相談室、ホームページなどを通じた情報提供 • 健康講座などの開催 • 広告を通した情報提供 ことで、 「医療従事者の皆さま」 との間に信頼関係を構築していきます。 株主・投資家の 皆さま タケダは、 「 株主・投資家の皆さま」のご期待に応えるため、持続的成長の実 現を目指していきます。また、アニュアルレポート、 ホームページを通じた適 時・適切な情報公開を継続し、 「 株主・投資家の皆さま」との間により良い関 係を構築していきます。 社会 タケダは、 グローバル社会の発展が、自社の発展と密接に関係していること を十分に認識しています。企業市民としてグローバル社会が抱える課題へ の対応を常に検討し、取り組みを進めていきます。 ■ 公的機関との関わり 事業活動を行う国・地域において、国際ルールや現地の法 • アニュアルレポート、ホームページなどを通じた 情報提供 • 株主総会、投資家説明会 • IR 活動 • 社会責任投資家からの CSRアンケート対応 • NGO/NPOと協働したプログラムの実施 • 経済団体、業界団体を通じた諸活動 • 社会人・学生を対象にした CSR 講演 • 意見交換会(ダイアログ) • ボランティア活動 律を遵守し、公的機関と連携し、その国・地域の発展に貢献していきます。 ■ 経済団体との関わり 事業展開している地域における経済団体の活動が、グロー バル社会の持続的成長に貢献しているとの認識に立ち、経済団体の活動に協力してい きます。 ■ 製薬団体との関わり 自国内の医薬品産業が抱える課題にとどまらず、グローバ ル社会で問題となっている医薬品アクセスや途上国の疾病問題に、活動地域の製薬団 体と協力し、取り組んでいきます。 環境 タケダは、地球温暖化問題をはじめ、医薬品が生産過程を通して環境に与 える影響を最小限にするため、さまざまな取り組みを行なっています。さら に、生物多様性や水資源に関わる問題への取り組みも推進していきます。 お取引先 タケダは、優れた品質の医薬品を創出するためには、 「 お取引先」とのパー トナーシップが重要と考えています。私たちは、優れた品質の医薬品創出に 情報公開 • タケダ・グローバル行動規準、CSR 購買ガイドラ インに基づいた誠実な購買活動の実践 えています。 • お取引先アンケート調査の実施 • 意見交換会、説明会、勉強会 • お問い合わせ窓口 タケダは、従業員の多様性、人格、個性を含む人権を尊重し、成長の源泉と • グロー バ ル 風 土 意 識 向けた想いを「お取引先」にご理解いただき、 ともに発展していきたいと考 従業員 • 工場・研究所周辺の地域住民の皆さまとの対話 •アニュアルレポート、ホームページなどを通じた して人材育成を重視するとともに、全従業員がタケダグループの一員であ ることを誇りに思えるような環境の構築を目指していきます。 調査 • 社内イントラネット • 相談窓口 • 労使協議 • カウンセリング • 社内報 • タケダイズム実 践 月 間の実施 • 能 力 開 発 に 資 する 多 様な研修 ステークホルダーとは、企業の事業活動により影響を受ける、 または企業の活動に影響を与える、 すべての関係者(存在) を意味します。 関連情報 P.18 ステークホルダーに対する情報開示の実施状況 Takeda CSR Data Book 2012 7 タケダのCSR活動 社会的責任に関する国際規格「 ISO26000 」の中核主題に従って、 タケダの CSR 活動の取り組み内容を開示します。 CSR 活動の目標と実績 ISO26000 の中核主題 組織統治 人権 GC 2011 年度の目標 2011 年度の実績 社内各部門のCSR意識向上を目的とした、社内イントラ などを通したCSR情報提供の強化(CSRマネジメント) 社内イントラの CSR サイトをリニューアルし、 グローバルな 情報を掲載したほか、社内CSR説明会を実施した。 ステークホルダー・ダイアログの継続実施(ステーク ホルダー・エンゲージメント) タケダ・ウェルビーイング・プログラムによる支援先の NPO が参加したステークホルダー・ダイアログを開催した。 研究、開発、調達、販売など各業務プロセスにおけ る人権に関する社内規則の遵守 各プロセスにおいて、社内規則に則った業務を着実に遂行 した。 ダイバーシティ推進の強化 ダイバーシティ推進ビジョンの策定 ニュースレター、WEB サイトによるダイバーシティ推進ビジ ョンの浸透 Takeda Global Awardsの実施(継続) 世界各国の従業員 137 名が受賞した。 Takeda Leadership Instituteの実施(継続) 第 5 回 TLIを開催し、28 名が参加した。 メンタルヘルスケアの強化(継続) 休務開始から復職後のフォロー体制を強化した。 ワーク・ライフ・バランスの推進 ノー残業デーを週 2 回導入した。 (日本) 武田薬品グループ環境自主行動計画の推進 当計画に基づき、 各部門がそれぞれ目標を設定、 遂行した。 原則1∼6に該当 労働慣行 GC 原則3∼6に該当 環境 「環境防災業務基準」の徹底 評価 当基準に沿った環境防災活動を確実に実施した。 2011 年 11 月に湘南研究所で漏水事故が発生した。原因 環境・防災管理体制の強化充実 の究明と再発防止策の遂行を徹底した。 東日本大震災の経験に基づき、地震防災対策を見直した。 社員全員参加の省エネルギー活動の推進 社内エコポイント制度の開始など、従業員の環境意識向上 に取り組んだ。 環境・防災意識の高揚と教育訓練の充実 各事業所における環境防災訓練を計画通り実施した。 原則7∼9に該当 生物多様性への取り組みの強化 京都薬用植物園において絶滅が危惧される薬用植物の保 全を継続実施した。 公正な事業慣行 タケダ・グローバル行動規準の徹底 各国の法令を踏まえた実施および浸透に努めた。 GC CSR 購買ガイドラインに基づいたサプライヤーへの アンケート実施 209社に対して、CSRアンケートを実施した。 原則3∼10に該当 グリーン調達の推進(継続) 基本方針に基づき、着実に実施することができた。 消費者課題 偽造医薬品対策の実施(継続) 新たに策定した「タケダ・偽造医薬品対策 3ヵ年計画」に基づ き、着実に施策を実施した。 充実した医薬情報活動のための IT 戦略の強化 全MRにタブレット端末を提供し、 医薬情報活動の充実を図った。 治療や予防に関する幅広い情報提供(継続) 健康講座、 セミナーを継続開催したほか、 ホームページを通 じた情報提供を強化した。 東日本大震災による被災地への継続的な支援 長期的な寄付プログラムの実践など、 継続的支援を実施した。 保健医療分野における企業市民活動の推進 (継続) タケダ・イニシアティブをはじめとする各種プログラムを継続実施した。 医療の発展に資する幅広い分野への助成(継続) 武田科学振興財団、尚志社、発酵研究所などの企業財団を 通した研究助成を推進した。 NGO/NPOとのパートナーシップ(継続) 市民社会創造ファンドなど、 さまざまな団体と協働プログラ ムを推進した。 企業市民活動に関する基本ポリシーの周知活動の実施 社内イントラにCSR専用サイトを開設し、 周知活動を徹底した。 グローバル寄付ガイドラインの策定 グローバル寄付ガイドラインの策定が完了した。 GC コミュニティ参画 および発展 国内従業員に対するボランティア活動機会の提供 (継続) 評価: ○:目標を達成した 8 Takeda CSR Data Book 2012 CSR 専用サイトを通じて、ボランティアの呼びかけを継続的 に案内した。 △:目標に達しなかったが、活動内容が前年度より進捗・向上した ×:目標に達しなかった 2012 年度の目標 CSRに関する従業員の認知・意識の向上 ステークホルダー・ダイアログの継続実施(ステークホルダー・エンゲージメント) 人権に関するグローバルポリシー作成の検討 ダイバーシティ推進の強化(継続) グローバルチャレンジャープログラムの実施 Takeda Global Awardsの実施(継続) Takeda Leadership Instituteの実施(継続) CSR データブック 掲載ページ P.12 CSRマネジメント/デューディリジェンス ステークホルダー・エンゲージメント コーポレート・ガバナンス P.20 人権課題/人権課題への取り組み P.17 コンプライアンス P.24 労働慣行 P.24 グローバル人事ポリシー グローバル人材育成 ダイバーシティの推進 ワーク・ライフ・バランス 障がい者の活躍の支援 従業員の健康と安全 労働組合との関係 ワーク・ライフ・バランスの推進(継続) 武田薬品グループ環境自主行動計画の推進(継続) グローバルEHS 方針の策定 環境・防災管理体制の強化充実(継続) 社員全員参加の省エネルギー活動の推進(継続) P.30 環境マネジメント/環境リスクの低減 気候変動/水資源問題/生物多様性 廃棄物削減/化学物質排出量の削減 大気・水質・土壌の保全/環境コミュニケーション 環境モニター/環境会計 事業活動に伴う環境負荷/サイトデータ 環境・防災意識の高揚と教育訓練の充実(継続) 生物多様性への取り組みの推進(継続) 「タケダ・グローバル行動規準」および「タケダ贈収賄禁止グローバルポリシー」の浸透 P.58 P.17 コンプライアンス グリーン調達の推進(継続) 公正な事業活動に向けて/業界における取り組み 汚職防止/透明性に関する指針/公正なプロモーション活動 グローバルCSR購買/CSR購買ガイドライン/グリーン調達の実施 グローバル購買方針/従業員のコンプライアンス/知的財産 偽造医薬品対策 3ヵ年計画の着実な実施 P.66 CSR購買ガイドラインに基づいたサプライヤーへのアンケート実施(継続) IT戦略の強化などにより情報発信の機会を増やし、幅広いニーズに対応する医薬情報活動を実施 治療や予防に関する幅広い情報提供(継続) 東日本大震災による被災地への継続的な支援 保健医療分野における企業市民活動の推進(継続) 医療の発展に資する幅広い分野への助成(継続) NGO/NPOとのパートナーシップ(継続) 偽造医薬品対策 バリューチェーン管理の強化 情報提供/品質保証体制 生産供給体制 P.74 P.10 企業市民活動の方針 NGO/NPOとの協働 保健医療アクセスへの取り組み グローバルなコミュニティ参画 企業財団 タケダグループ各社の取り組み 東日本大震災による 被災地への支援 企業市民活動に関する基本ポリシーの周知活動の実施 グローバル寄付ガイドラインの周知活動の実施 国内従業員に対するボランティア活動機会の提供(継続) Takeda CSR Data Book 2012 9 特集:東日本大震災による被災地への支援 タケダは、 「いのち」に携わる企業として、東日本大震災を忘れることなく、 一人ひとりの誠実な行動を通して、被災地の復興に向けた支援を続けていきます。 タケダでは、寄付金や医薬品の拠出、ボランティアを 希望する従業員のサポート、社内情報サイトの設置な ど、多岐にわたる活動を行っており、今後も長期的・継 続的な支援を進めていきます。 日本を元気に・復興支援 タケダは、 「日本を元気に・復興支援」としてアリナ ミン類の収益の一部を積み立て、年間約 8 億円を3 年 間にわたって拠出します。2011 年度には、下記の表 に示している支援プログラムを決定しました。そのう グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク シンポジウム 基調講演 (代表取締役社長 長谷川閑史) ちの一つ「タケダ・いのちとくらし再生プログラム」は、 日本 NPOセンターを通じて、主に岩手県、宮城県、福 “ 自然災害という問題は、まさに人間の安全保障を脅かす問題であり、 島県を対象に、人道支援と基盤整備支援を実施する CSR の観点から企業がしっかりと取り組まなければいけない問題で 支援事業です。日本 NPOセンターに事務局を設置し、 あると認識しています さまざまな 関 連 団 体と ” (基調講演のスピーチより) 連 携して実 施 する自主 事 業と、現 地 で 支 援 活 東日本大震災では、地震、津波による被害だけでな 動を行って いる団 体に く、原発の事故も発生し、復興には長い時間がかかる 対する助成事業を推進 と言われ、今後も継続した支援が求められています。 していきます。 タケダ・いのちとくらし再生プログラム ホームページ 「日本を元気に・復興支援」支援プログラム テーマ 被災者の多様な ニーズ支援 〈NPO 〉 産業活性化・ 人材育成 〈経済界〉 シンクタンク・ 提言活動 〈シンクタンク〉 Takeda CSR Data Book 2012 支援先 タケダ・いのちと くらし再生プログラム 寄付金額 プログラム期間 日本 NPOセンター 8億円 5年間 経済同友会 7億5千万円 5年間 日本再建イニシアティブ 3億円 5年間 米日カウンシル 9千万円 3年間 教育支援グローバル基金 6千万円 3年間 災害ボランティア・NPOサポート基金 中央共同募金会 2千万円 東北未来創造イニシアティブ事業 東北ニュービジネス協議会 2千万円 タケダ・キャパシティビルディング・ イニシアティブ 東日本大震災現地NPO応援基金 2千万円 IPPO IPPO NIPPON プロジェクト 日本再建 イニシアティブ 次世代への 機会創出 〈官民パートナーシップ〉 TOMODACHI 若者の リーダーシップ育成 〈国際社会〉 ビヨンドトゥモロー その他 10 プログラム名 被災地支援の考え方 17 緊急 億円 2010-11年度 寄付金総額 これまでの考え方 2011年度 ボランティア活動 支援制度を利用した 従業員数 ストレッチ カネ ストレッチ 人 復興 モノ ヒト 88 復旧 その他 ストレ ッチ 長期的・継続的な支援活動 ワークが主催する「GC-JN東日本大震災復興支援コレ タケダは、被災地の支援活動を、緊急期、復旧期、復 クティブアクション」との連携を図るなど、ボランティア 興期に分け、それぞれの期に応じた支援活動を行って 活動を行いやすい環境を整えています。また、社内 きました。緊急・復旧期における支援として、義援金( 3 イントラネットに「タケダ 億円)を日本赤十字社に拠出するとともに、武田薬品 東日本大震災サイト」を 回 労働組合と共同で、従業員からの募金に同額を上乗せ 立ち上げ、ボランティア 2011年度 するマッチングギフト方式により、認定NPO法人ジャパ 活動などに関する情報を ン・プラットフォームへ約 7,600 万円を寄付しました。 発信しています。 8 企業内マルシェ 開催数 さらに、国内外のグループ各社から、計約1億円が各国 タケダ東日本大震災サイト (社内イントラ) の赤十字社などへ寄付されました。復興期に向けて 5 回 2011年度 社内フォーラム 開催数 は、東日本大震災現地 NPO 応援基金への寄付、 「日本 を元気に・復興支援」を継続中です。また、企業財団で Takeda’s Voice ある武田科学振興財団、尚志社、発酵研究所は、それ ボランティア休暇を利用して、宮城県亘理町で ぞれ東北地方の大学への寄付を行っています。 の活動に参加しました。被害の大きさを目の当た 被災地の消費回復に向けて、労使共催により 「企業内 りにし、自分は何も力になれないのではと胸が痛 マルシェ」を計8回開催しており、東北・関東地方の特産 みました。 しかし、現地の方から「ボランティアに参 品を従業員向けに販売しました。また、同様に、社内 加することを『人と人が出会う機会に恵まれた』 と フォーラムを5回にわたって開催し、被災地で勤務する 前向きに捉え、長期的に参加して欲しい。それが 従業員による現地状 町の復興につながるから。」と声をかけていただ 況の発表や、ボラン き、大変救われた気がします。ボランティアをきっ ティア活動に参加し た従業員の活動報告 かけとして人の輪が広がり、この町が好きになり ました。またこの町に行きたいと思っています。 などを行っています。 企業内マルシェ (光工場) 従業員のボランティア活動支援 従業員が安心して被災地におけるボランティア活 動に参加できるように、2011 年 4 月から、特別有給 休暇の付与とボランティア保険料の会社負担を始め 人事部 橋口さやか ました。さらに、 グローバル・コンパクト・ジャパン・ネット Takeda CSR Data Book 2012 11 組織統治 「企業価値創造」に向けて 企業評価指標に「SRIインデックスの継続組み入れ」を採用 タケダでは、本業のくすりづくりに誠実に取り組む「企業活動」と、企業市民 としての立場から実践する「企業市民活動」を統合的に推進することが、当社 にとっての CSR 活動であると認識しています。この観点から、タケダは事業活動 全般に対する外部評価指標として、SRIインデックスの継続的な採用を重視して おり、2012 年度より、経営幹部の業績評価指標の一つに取り入れました。これ により、経営戦略の中における「社会的責任の重視」がより明確化されたものと 認識しています。 3 業績評価に組み入れられている 種類 SRIインデックスの数 [ CSRマネジメント] CSR推進体制 等を通じて製薬企業が取り組むべき課題への期待や タケダは、CSR 活動を推進する専門組織をコーポレ 要請を分析します。これに加えて、 「 ISO26000 」を 人 ート・コミュニケーション部内に設置しています。この 参考にし、タケダにとっての重要性も考慮して、活動 2011年度 CSR研修 受講者 組織は、本業の医薬品の品質・安全性を管理する部署 の重点項目とKPI を決定します。重点項目とKPI につ のほか、社会、環境、人権、調達などのグローバル・ガバ いては本レポートおよび CSRデータブックで開示して ナンスを担当する社内の責任部署と密接に情報交換 います。 し、各部署の CSR 活動を側面から支援することで、会 ※BSR(Business for Social Responsibility) :1992年に米国で発足したCSRに 194 関する国際的な企業会員組織 社全体の活動を底上げする役割を担っています。CSR に関わる重要案件については、ビジネス案件と同様 に、それぞれの責任部署が必要に応じてグローバル・ リーダーシップ・コミッティーや取締役会に報告、提案 関連情報 P.8 CSR活動の目標と実績 IFPMA が設定している重点課題( 2012 年) 非感染症 する体制をとっています。 知的財産 CSRに関するマテリアリティ (重要性)の 特定とKPIの設定 タケダは、積極的なステークホルダー・エンゲージ メントを通じて、 グローバルな製薬企業に対する期待 偽造医薬品対策 信用と倫理 ワクチン供給 ミレニアム開発目標( MDG's ) や要請を把握するよう努めています。具体的には国連 グローバル・コンパクトや BSR ※ への参加のほか、CSR 規制ポリシーと能力開発 活動の国際的な評価機関、市民やNGO/NPOとの対 生命倫理 話、日本経団連の CSR 関連委員会等のほか、国際製薬 WHO GSPoA ※ 団体連合会( IFPMA )や製薬協の業界団体への参加 ※GSPoA(The Global Strategy and Plan of Action) :WHOが推進している 知的財産権・技術革新・公衆衛生に対する取り組み 12 Takeda CSR Data Book 2012 [デューディリジェンス] デューディリジェンス 社会的責任という背景のなか で の デュー ディリジェンスと は、組織の決定および活動が 及ぼすさまざまなマイナス影 響を特定し、回避・緩和するプ ロセスを意味します。 事業活動が及ぼす影響に関する取り組み タケダは、人々の「いのち」に携わる製薬会社とし て、自社の事業活動から発生する社会や環境に対する 影響について、潜在的な影響を含めて特定したうえ で、適切に対処していきたいと考えています。 「人権」については、本レポートのP.60∼61で、バリ ューチェーン全体に関わる影響側面を概観し、 「 課題」 と「取り組み」を開示しています。また、 「 環境」につい ては、 「 環境に関する基本原則」における「製品・生産プ ロセスの環境影響評価」に則って、製品研究、技術開発 にあたり、事前に、製品の研究開発から使用・廃棄に至 る全ての過程で環境に与える影響を評価し、環境への 影響を軽減する取り組みを行っています。 関連情報 P.15 コーポレート・ガバナンス P.20 人権 P.30 環境マネジメント 第 3 回ステークホルダー・ダイアログ 第3回ステークホルダー・ダイアログ 「タケダ・ウェルビーイング・プログラム」をテーマと して、新たな助 成 対 象 団 体にも参 加していただき、 2012 年 3 月に第 3 回ステークホルダー・ダイアログ を開催し、今までの取り組み成果を踏まえて、今後の 活動についての課題を検証しました。 第 3 回ダイアログでいただいた課題 1「長期療養の子どもたちと家族」 . という社会的 ステークホルダー・ エンゲージメント ステークホルダー・エンゲージ メントとは、ステークホルダー の 関 心 事 項を理 解し、企 業 活 動や意思決定に反映する取り 組みを意味します。 [ステークホルダー・エンゲージメント] 「AA1000」のスキームに基づいた ステークホルダー・エンゲージメントの実施 2. 特に医療従事者、医療系学生への「長期療養 の子どもたち」という社会的課題の周知 3. 「タケダ従業員の関与」の促進 「ISO26000」では、社会的責任の基本的な慣行と して、ステークホルダーの特定およびステークホルダ 3 課題に対する社会一般の認識の向上 関連情報 ー・エンゲージメントを重視しています。タケダでは、 回 ステークホルダー・ ダイアログ実施回数 ( 2009-11年度) アカウンタビリティ (説明責任)についての国際規格 「 AA1000 」のスキームを参考としてステークホルダ P.4 国連グローバル・コンパクトLEAD プログラム参加企業としての諸活動 P.7 タケダのステークホルダー/ 主な対話方法 P.74 コミュニティ参画および発展 ー・エンゲージメントの充実に努めています。 Future Outlook 今後の課題と取り組み SRIインデックスからの評価指標は、 グローバルレベルで求められている社会的要請が表 れていると認識しています。これを社内の CSR 実践部門への伝達・認識を推し進めるために、 CSR専門組織による各部門への説明会などを実施していきたいと考えています。 また、NGOを招いたステークホルダー・ダイアログも、毎年、継続的に実施していくことで、 社会の動向と課題の把握に努めていきます。 Takeda CSR Data Book 2012 13 組織統治 Message from Management タケダイズムに基づく価値観をグループ全体で共有し、 誠実な企業活動を実践していきます。 常務取締役 内部統制および特命事項担当 吉田 豊次 Toyoji Yoshida グローバル製薬企業としての「持続的な成長」を確かなものとするために、タケダは大きく変わろうと しています。しかし、 「 革新への挑戦」は、今に始まるものではありません。230 年を超える歩みは、常に 自らを変革し続け、幾多の困難を乗り越えてきた歴史でした。そして、そのなかで培ってきた企業哲学 が、いかなる場面においても、常に誠実であることを旨とする「タケダイズム」です。 企業の内部統制やコンプライアンスの強化については社会的な課題ともなっていますが、タケダでは、 事業のグローバル化が急速に進展するなかで、世界中の従業員の想いを一つにまとめ、タケダイズムに 基づく誠実な企業活動を実践していくために、コーポレート・ガバナンスに関する各種ポリシーの整備を 進めてきました。また、 「 活力ある企業文化の創造」に向けて、ダイバーシティの推進にも積極的に取り組 んでおり、取締役会やグローバル・リーダーシップ・コミッティーを外国人を含む多様性に富んだメンバー で構成するなど、多角的視点を経営判断に反映する体制を強化しています。 企業は、時代の変化を見越して常に変わっていかなければなりませんが、一方で守り抜いていくべきも のがあります。これからも私たちは、タケダイズムをグループ全体で共有し、 「人々の健康と医療の未来 に貢献する」という使命を果たすために、誠実な歩みを続けていきます。 Takeda-ism Day タケダでは、世界に広がるグループの従業員の間でタケダイズム の共有を図るため、さまざまな取り組みを行っています。2012年 5月には、シンガポールにおいて、アジアで研究開発を進めるグル ープ会社などを対象として、 「 Takeda-ism Day 」を開催し、常務 取締役 吉田豊次がスピーチを行いました。 14 Takeda CSR Data Book 2012 コーポレート・ガバナンス [基本的な考え方と仕組み] コーポレート・ガバナンスの考え方 性向上を図るチーフ メディカル&サイエンティフィック タケダでは、 「優れた医薬品の創出を通じて人々の健 オフィサー( CMSO )と、癌領域を除いた全ての海外 康と医療の未来に貢献する」 という経営理念のもと、 グ 販売機能を統括するチーフ コマーシャル オフィサー ローバルに事業展開する世界的製薬企業にふさわしい ( CCO )の統括職を設置するとともに、事業範囲の拡 事業運営体制の構築に向け、健全性と透明性が確保さ 大に伴うグローバルなビジネスリスクに対応するため、 れた迅速な意思決定を可能とする体制の整備を進める 社内取締役を中心とするグローバル・リーダーシップ・ とともに、コンプライアンスの徹底を含む内部統制の コミッティーが、全社最適な観点からグループの重要 強化を図っています。これらの取り組みを通じて、 コー 案件の審議・意思決定を行う体制を構築しています。 ポレート・ガバナンスのさらなる充実を目指し、企業価値 タケダでは、取締役会を「会社経営の意思決定を行 の最大化に努めてまいります。 うと同時に、業務執行を監視・監督することを基本機 能とする機関」と位置付けています。取締役会は取締 経営体制 役 9 名から構成され、原則月 1 回の開催により、経営 タケダでは、取締役会においてタケダグループの基 に関する重要事項について決議および報告が行われ 本方針を定め、その機関決定に基づいて、経営・執行 ています。 を行う体制をとっています。また、社外監査役による また、タケダでは、グローバルに事業を展開してい 監査を通じて取締役会の透明性を確保するとともに、 くうえで直面しうるあらゆるリスクについて、各基本組 社外取締役の起用により、業界の常識にとらわれるこ 織の責任者が担当領域ごとに管理するとともに、そのリ となく適正に業務を執行する体制を目指しています。 スクの程度・内容に応じた回避措置・最小化措置を行 さらに、多様化する経営課題に機動的かつ迅速に対 う体制をとっています。 応するため、イノベーションの推進と研究開発の生産 内部統制システムを含むコーポレート・ガバナンス体制についての模式図 株 報告 取 締 付議・報告 社 選任・解任 役 主 総 会 選任・解任 報告 会 監査 監 査 役 会 選任・解任・ 不再任 報告 会 計 監 査 人 選任・解任/監督 指示 長 監 査 室 報告 グローバル・リーダーシップ・コミッティー (経営戦略・経営上および業務執行上の 重要事項の審議・意思決定) 付議・報告 品質保証監査室 執行指示/監督 各 統 括 職 付議・報告 環境安全管理室 付議・報告 執行指示/監督 内部監査 執行指示/監督 各 部 門 長・グ ル ー プ 会 社 社 長 Takeda CSR Data Book 2012 15 組織統治 社外取締役の取締役会への出席状況 さらには、 「タケダグループ経営管理ポリシー」およ び「関係会社管理のあり方」に基づき、 グループ各社の 役割・責任を明確にするとともに、定期的な内部監査 やコントロール・セルフ・アセスメント( CSA )プログラ ム※ 等の実施により、 グループ各社における法令遵守 數土 文夫 取締役会 10 回中 9 回 小島 順彦 取締役会 10 回中 8 回 社外取締役の選任理由 ならびに適正な事業運営を確保しています。 長年にわたり経営者として活躍し、企業経営にかかる幅広い 識見と豊富な経験を有していることから適任であると、総合的 ※各社・各部門の責任者が内部統制の状況を自己診断し、改善計画の実行を約束し たうえで、その適正性について宣誓するプログラムです。タケダでは、経営者によ る財務報告にかかる評価・確認の根拠としています。 に判断しました。また、社外取締役としての職務を遂行するう えで、当社の一般株主と利益相反が生じるおそれがある事由 はなく、 独立性が高いと判断し、独立役員として指定しました。 監査体制 組織形態は監査役設置会社です。タケダでは、監査 社外監査役の取締役会・ 監査役会・監査役連絡会への出席状況 役の重要な会議への出席や重要な文書の閲覧権限な 14 回中 14 回 15 回中 15 回 監査役連絡会 10 回中 10 回 取締役会 どを「監査役監査規程」として定めることにより、監査 監査役会 石川 正 役の監査が実効的に行われることを確保するための 体制を整備しています。なお、経営の透明性向上につ 14 回中 14 回 15 回中 15 回 監査役連絡会 10 回中 10 回 取締役会 いては、社外監査役 2 名(監査役 4 名中)による監査が 藤沼 亜起 十分に機能していることから、経営監視機能の客観 監査役会 性・中立性が確保されていると考えています。また、会 社外監査役の選任理由 計監査人はあずさ監査法人が担当しています。 長年にわたり弁護士および公認会計士として活躍し、幅広 い識見と豊富な経験を有していることから適任であると、 総合的に判断しました。また、社外監査役としての職務を遂 行するうえで、当社の一般株主と利益相反を生じるおそれ がある事由はなく、独立性が高いと判断し、独立役員として 指定しました。 役員の報酬等の状況 役員区分ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額及び対象となる役員の員数 役員区分 報酬等の種類別の総額(百万円) 報酬等の総額 (百万円) 基本報酬 賞与 ストックオプション 取締役 (社外取締役を除く) 589 277 140 172 7 監査役 (社外監査役を除く) 104 104 ̶ ̶ 2 59 59 ̶ ̶ 4 社外役員 (注)上記には、平成23年 6月24日開催の第135 回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役1 名 および平成 24年6月26日開催の第136 回定時株主総会終結の時をもって退任した取締役1 名を含んでいます。 「コーポレート・ガバナンス報告書」を、ホームページに掲載しています。 http://www.takeda.co.jp/about-takeda/corporate-governance/article_65.html 16 Takeda CSR Data Book 2012 対象となる 役員の員数(名) [コンプライアンス] タケダ・グローバル行動規準および グローバル・コンプライアンス推進体制 を推進しています。また、 「タケダ・ タケダが社会の信頼に応え存在価値を認められる グローバル行動規準」を元に、武田 ためには、タケダグループの全役員・従業員が、法令を 薬品の役員・従業員が遵守すべき基 遵守することはもちろん、 「タケダイズム」の実践によ 準として「武田薬品コンプライアン り、高い倫理観・道徳観をもって企業活動を展開してい ス行動規準」を制定しています。 くことが不可欠です。このような観点から、タケダで そして、 「武田薬品コンプライアンス行動規準」に関 は、グローバルに、より統一の取れた事業運営を行っ するe ラーニングを含む各種の研修や職場における ていくため、 グループ各社に共通するコンプライアン 意見交換会その他の取り組みを通じて、役員・従業員 スの基本ルールとしての「タケダ・グローバル行動規 に対し、コンプライアンスに関する啓発および教育を 準」を制定しています。2011年度には、 グローバルな 実施しています。 贈収賄規制強化に対応して、 「タケダ贈収賄禁止グロ また、通報者の保護を確保しながらコンプライアン ーバルポリシー」を策定しました。 ス に 関 す る 通 報 を 受 け 付 け る シ ス テ ム とし て 、 委員会を置いて、 コンプライアンス また、タケダグループ全体としてコンプライアンス 「 Voice of Takeda System( VTS )」および社外 を推進するため、 グローバル・コンプライアンス・オフィ VTS通報窓口(外部法律事務所の弁護士が窓口)を設 サーおよびグローバル・コンプライアンス・コミッティを けています。 設置し、 グローバル・コンプライアンス・オフィス(武田 薬品法務部)が補佐する体制を構築しています。 研究に関するコンプライアンスの推進 タケダでは優れた医薬品開発のため薬事法などの タケダグループ各社のコンプライアンス推進 法令および社内の諸規定を遵守して研究活動を行っ タケダグループ各社では、グロ ています。 ーバル・コンプライアンス推進体制 新薬の研究・開発に必要不可欠な動物実験の実施 のもと、 「タケダ・グローバル行動規 にあたっては、 「動物の愛護及び管理に関する法律」 準」に即したコンプライアンス・プ 等の法令を遵守し、生命を尊重して動物を愛護すると ログラムの強化を進めています。 の考えに基づいた倫理的かつ科学的な基盤である グロー バ ルレベ ルで の 対 応 が 3Rs※ の実践に最大限に配慮しています。 必要な場合は、グローバル・コンプライアンス・オフィ また、バイオハザードやケミカルハザードなどにつ スがグループ各社のコンプライアンス担当部門と協 いても、人や環境への影響を考慮して万全の対策を 力します。 講じています。 武田薬品におけるコンプライアンス推進 武田薬品では、1999 年 4 月に「武田薬品コンプラ イアンス・プログラム」をスタートさせ、武田薬品コン プライアンス・オフィサーおよびコンプライアンス推進 ※ Reduction(使用する動物数の削減)、Replacement( 動物を使用しない実験 への置き換え)、Refinement( 動物の苦痛軽減 ) 関連情報 P.20 人権 P.30 環境 P.58 公正な事業慣行 P.68 品質保証体制 「タケダ・グローバル行動規準」 「武田薬品コンプライアンス行動規準」を、ホームページに掲載しています。 http://www.takeda.co.jp/about-takeda/corporate-governance/article_69.html Takeda CSR Data Book 2012 17 組織統治 [危機管理] タケダグループの危機管理体制 に対し可能な限りの予防措置を講じています。また本 タケダグループにおけるコーポレート・ガバナンス ガイドラインに沿って、危機の種類に応じて的確・迅速 の一環として、経営に大きな影響を与えるリスクの に対応できるような体制・仕組みを構築し、危機が発生 未然防止と発生時の的確な対応は重要であり、グル してもタケダグループが受ける人的・経済的被害や社 ープ全体で監査など内部統制の充実、コンプライア 会に及ぼす影響を最小限に抑えるようにしています。 ンスの推進とともに危機管理体制の一層の強化に取 り組んでいます。 ガイドラインで想定している危機 危機管理に際しては、株主・顧客・取引先・従業員・地 域・社 会などのステークホルダーに対する責 任とし て、また、タケダグループの人的な安全確保と経済 的な損失を回避するため、公正で誠実な対応が重要 です。タケダでは、 「タケダグループにおける危機管 理ガイドライン」および「危機管理規則」を定めると ■会社資産、経営および事業活動に重大な損害を 被る事態 ■役員および従業員の生命・身体の安全、人権に関 わる事件・事故により安全等が損なわれる事態 ■会社の信用、 ブランドへの信頼を著しく損なう事態 ■株主、顧客、取引先をはじめ、社会一般に重大な 影響を及ぼす事態 ともに、災害や事故等の発生に伴う事業活動の中断 を防ぐため、あるいは中 断したとしても可 能な限り 短 期 間 で 再 開 す るた め に 、事 業 継 続 計 画( B C P: グループ会社との連携 Business Continuity Plan )を策定しています。 タケダの各部門およびグループ各社は、それぞれの これらの取り組みにより、今後も使命である「安定 自己責任において、危機管理体制の構築、予防措置と した医薬品供給」を継続的に果たしていきます。 発生時の対策を実施します。タケダとして全社的対応 を要する事態、 グループ共通で対処すべき事態につい 危機管理ガイドライン ては相互に連携を保ち、経営管理部・人事部を事務局と タケダグループの危機管理に関する基本的な考え する武田薬品の「危機管理委員会」で統一的に情報・状 方、原則・基準をまとめた「タケダグループにおける危 況を把握し、 トップマネジメントへの報告、各部門・グル 機管理ガイドライン」に従い、発生が予測される危機 ープ各社に対する対策の指示とフォローを行います。 [ステークホルダーに対する情報開示等の実施状況] 株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けての取り組み状況 株主総会招集通知の 早期発送 株主総会の会日より3 週間前に発送しています。 集中日を回避した 株主総会の設定 2008 年 6 月開催の定時株主総会より、集中日以外の日に開催しています。 2007年6月開催の定時株主総会より、 (株)東京証券取引所等により設立された合弁会社(株)ICJが運営 電磁的方法による 議決権の行使 する議決権電子行使プラットフォームの利用を含め、電磁的方法による議決権の行使を採用しています。 その他 ンテーションを行うなど、株主にとって分かりやすい開かれた運営を目指しています。また、招集通知お 株主総会の運営に関し、映像を利用したビジュアル方式により、事業報告や社長からの経営方針プレゼ よびその英訳版を、発送日に、当社ホームページ、株主名簿管理人である三菱 UFJ 信託銀行(株)ホーム ページその他 WEB サイトからもご覧いただけるようにし、議決権行使の促進を図っています。 18 Takeda CSR Data Book 2012 IRに関する活動状況 代表者自身による 説明の有無 補足説明 ディスクロージャー ポリシーの作成・公表 個人投資家向けに 定期的説明会を開催 アナリスト・ 機関投資家向けに 定期的説明会を開催 情報開示に当たっての基本的な考え方・担当部門・連絡ルート・手順等を明確にした「情報 開示ガイドライン」を策定しています。 2011 年度は、日本国内計約 15 の主要都市において、IR 担当部署による個人投資家向 け会社説明会を実施しました。 なし 年度決算時と第 2 四半期決算時の年 2 回、決算発表の当日に決算説明会を実施していま す。決算説明会では業績報告のほか、参加者からのご質問に対して、当社マネジメントが 直接ご回答しています。第1四半期、第3四半期においては、 カンファレンスコールを実施 あり し、業績報告のほか、参加者からのご質問に当社マネジメントが直接ご回答しています。 海外投資家向けに 定期的説明会を開催 年度決算時、第 1 四半期決算時、第 2 四半期決算時、第 3 四半期決算時においては、海外 投資家向けに英語によるカンファレンスコールを実施し、参加者からの質問については、 あり 当社マネジメントが直接ご回答しています。 URL:http://www.takeda.co.jp/ IR資料の 掲載資料:決算短信、 データブック、決算説明会などにおける説明会資料、 アニュアルレポー ホームページ掲載 ト、従来のビジネスレポートを統合した株主総会招集通知、証券会社カンファレンスで発表 したプレゼンテーション、決議通知等 IRに関する部署(担当者) の設置 IR 担当部署:コーポレート・コミュニケーション部 ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況 当社の「経営理念」である「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」は、医薬品 社内規程等により ステークホルダーの 立場の尊重に ついて規定 を通じた患者さん・医療関係者の皆さまへの貢献を旨としており、 「 行動原則」においては、 「コミットメント (ステークホルダーの期待に応えるため、自らの責任を全うします)」、および「透明性(ステークホルダーと これまで以上にス の間に信頼関係を築くため、適切な情報共有と対話を大切にします)」の 2 つに言及し、 テークホルダーとの関わり合いに重きを置いた内容としました。また、武田薬品コンプライアンス行動規 準において、ステークホルダーの立場を尊重するための行動指針を定めています。 環境保全活動: 「環境に関する基本原則」に基づき、中長期的な視点を持って、環境保全活動に取り組んでい ます。具体的な目標値を設定して「地球温暖化対策」や「廃棄物削減」などの課題に取り組むとともに、事業者 環境保全活動、 CSR 活動等の実施 による化学物質の自主管理活動「レスポンシブル・ケア活動」を実践し、国内グループ会社や海外の生産拠点 でも採用しています。 CSR 活動:コーポレート・コミュニケーション部内にCSR専任組織を設置し、 「国連グローバル・コンパクト」や 「ISO26000」などの社会的責任に関する国際的な理念・規範に則り、企業市民としての視点を大切にした CSR活動を推進しています。 ステークホルダーに 対する情報提供に 係る方針等の策定 情報開示に当たっての基本的な考え方・担当部門・連絡ルート・手順等を明確にした「情報開示ガイドライ ン」を策定しています。 Takeda CSR Data Book 2012 19 人権 「企業価値創造」に向けて 「ヒト由来試料」使用の適否の審査 タケダでは、 「ヒト由来試料(血液、組織、細胞など)」に関して、医薬研究本部 内に「研究倫理審査委員会」を設置し、ヘルシンキ宣言に則り、研究への試料使 用の適否を審査しています。 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」については別に生命 倫理委員会を設置しています。この生命倫理委員会は、男女 6 名の常任委員で 構成され、常任委員の半数以上を社外委員とするよう定めています。 社外委員 3 ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する 人( 6 人中) 生命倫理委員会における社外委員 [人権課題] 研究における課題 医薬品の研究においては、臨床試験を実施する前 徹底することなどの、人権の尊重が重要な課題と認識 にヒトにおける安全性と有効性を予測するため、ヒト しています。 由来試料(血液、組織、細胞など)を利用する必要があ また、研究所周辺の地域住民の方に対する健康面 ります。ヒトゲノム・遺伝子解析研究の進展に伴い、ヒ での影響等に関する情報開示や、探索研究において ト由来試料から得られる知見がより広く活用されるよ 土壌などから遺伝資源を採取する場合における「遺伝 うになってきています。タケダでは、試料提供者から 資源へのアクセスと利益配分」などについても、配慮 の事前の自由意思に基づく同意(インフォームド・コン すべき課題と考えています。 セント)の取得や、遺伝情報を含む個人情報の保護を バリューチェーン全体における人権課題/ISO26000の中核主題との関わり 研究 開発(臨床試験) 中核主題「人権」 • 難病・希少疾患等の治療薬の研究・開発 • ヒトゲノム研究における試料提供者の人権問題 • ES細胞研究における生命倫理問題 • クローン研究における生命倫理問題 中核主題「人権」 • 被験者の人権(臨床試験の安全性、インフォ 中核主題「環境」 中核主題「公正な事業慣行」 • 地域住民の方の健康への影響に関する情 • 患者さんの健康を第一に考えた医療関係 調達 中核主題「環境」 • 地域住民の方の健康への影響 ームド・コンセント、 プライバシー等) • 難病・希少疾患等の治療薬の研究・開発 • ヒトゲノム研究における試料提供者の人権問題 中核主題「公正な事業慣行」 • 新興国・途上国のサプライヤーにおける 労働に関する人権問題 報開示 中核主題「公正な事業慣行」 • 生物遺伝資源に対する権利の問題 20 Takeda CSR Data Book 2012 者との適切な関係の維持 中核主題「消費者課題」 • 偽造品・異物混入による患者さんの 健康問題 開発(臨床試験) における課題 医薬品の開発は、研究段階で有効性・安全性が確 スク管理の強化に努めています。また、近年世界的な 認された物質を、臨床試験を実施することでヒトで 問題となっている、偽造医薬品対策についても、患者 の有効性・安全性を実証し、申請、承認につなげる役 さんの健康を損なう可能性があることから、調達・生 割を担っています。臨床試験の実施にあたっては、予 産・物流全般に関わる課題の一つと認識しています。 想される効果や起こりうる可能性のある副作用、守っ 関連情報 ていただく事項等について十分に説明し、患者さん がその内容をよく理解されたうえで、同意を得る必 P.36 環境リスクの低減 P.61 CSR購買ガイドライン P.66 偽造医薬品対策 要があります。 タケダでは、臨床試験に参加していただく患者さ 販売における課題 んの自由意思を尊重し、安全性を確保するとともに、 医薬品は生命に深く関わるものであり、その使用を 個人情報を保護することが、開発における重要な課 誤れば、患者さんと社会に対して大きな損害を与えか 題と考えて最大限の配慮を行っています。 ねません。優れた医薬品をお届けするとともに、医薬 関連情報 情報を適正な手段で的確かつ迅速に提供・収集・伝達 P.17 コンプライアンス することは、製薬企業にとって基本的な責務です。タ ケダでは、医薬情報担当者( MR )一人ひとりが企業を 調達・生産・物流における課題 タケダは、 グローバル製薬企業として、新興国を含 む世界のさまざまな地域から資材を調達し、医薬品の 生産を行っています。そのような事業活動を進めるな かで、労働に関する権利も含め、人権を尊重すること が特に求められていると認識しており、サプライヤー に対しても、それぞれの事業活動において十分留意 いただくようお願いする必要があると考えています。 代表して医薬情報活動を遂行する立場にあることを 強く自覚し、何よりも患者さんの人権を尊重して誠実 なプロモーション活動に努めています。 また、 グローバル市場においては、各国の法規制を 遵守するとともに、国際的に一貫性のある医薬情報の 提供を行っています。 関連情報 P.74 保健医療アクセスへの取り組み 生産においては、工場周辺の地域住民の方の健康 に配慮することがタケダの責務であると考え、環境リ 生産 中核主題「環境」 • 地域住民の方の健康への影響 物流 中核主題「消費者課題」 • 偽造医薬品の流通による患者さんの 健康問題 中核主題「公正な事業慣行」 • 新興国・途上国における労働に関する 人権問題 販売 中核主題「公正な事業慣行」 • 患者さんの健康を第一に考えた医療関係 者との適切な関係の維持 中核主題「消費者課題」 • 医薬品情報の虚偽・隠蔽による患者さんの 健康問題 中核主題「消費者課題」 • 偽造品・異物混入による患者さんの 健康問題 Takeda CSR Data Book 2012 21 人権 グローバルな視点から、最大限に人権を尊重し、 バリューチェーン全体での取り組みを進めています。 [人権課題への取り組み] 研究における取り組み タケダでは、生命の尊厳および人権を尊重するポ リシー・規約を体系づけ、研究活動を推進しています。 「ヒト由 来 試 料( 血 液 、組 織 、細 胞など)」に関して は、医薬研究本部長を委員長とする「研究倫理審査 委員会」を設置し、ヘルシンキ宣言に則り、研究への 試料使用の適否を審査しています。 「ヒトゲノム・遺伝 子解析研究」については別に倫理委員会を設置して います。常任委員 6 名の男女両性で構成され、常任委 員の半数以上を社外委員とするよう定めています。 環境リスク低減に関しては、 「武田薬品グループ環 境防災業務基準」に基づき継続的な取り組みを行っ ています。また、遺伝的なサンプルのライブラリー利 用時には特別な配慮を行うなど、人権に関する課題 への取り組みを着実に進めています。 開発(臨床試験) における取り組み 臨床試験にあたっては、ヘルシンキ宣言の精神を 研究・開発における主な人権関連規則 4 もとに定められた ICH-GCP(医薬品の臨床試験の実 施の基準)を遵守し、患者さんの自由意思による同意 回 2011年度 人権関連規則に関する 委員会の開催回数 研究倫理審査委員会規則 ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する生命倫理委員会規則 (インフォームド・コンセント)を得て、各国の規制要 件、社内基準および治験実施計画書に従って実施し ています。 合同遺伝子組み換え実験安全委員会規則 また、途上国における臨床試験や、対象者に社会的 弱者が含まれる場合などにも、被験者の人権が損な 臨床検体取扱実験委員会規則 われることのないよう十分な配慮を行っています。 ヒトゲノム・遺伝子解析研究の実施に関する規則 調達・生産・物流における取り組み 遺伝子組み換え実験実施規則 サプライチェーン全体における労働コンプライア ンスの遵守については、2010 年に「 CSR 購買ガイ ドライン」を制定し、自らの行動規準を定めるととも に、サプライヤーに対して期待する事項と行動規範 を明記し、取り組みの強化を図っています。 環境リスクの低減に関しては、 「武田薬品グループ 環境自主行動計画」を制定し、着実な取り組みを推 22 Takeda CSR Data Book 2012 2 進しています。また、国際機関と連携しながら、偽造 団体 グローバルな 人権ワーキンググループ 参加団体数 CSRに関する国際的な企業会 員組織「BSR」 、 グローバル・コン パクト・ジャパン・ネットワークの 人権ワーキンググループに参 加しています。 医 薬 品についてのグローバルレベ ルの 対 策を進め ています。 CSR 購買ガイドラインにおける人権関連項目 ■ CSR 購買行動規準より 人権の尊重、差別の撤廃 私たちは、人権を尊重し人権侵害に加担しません。 従業員、派遣社員、その他取引先を含めて購買活動に関わ るすべての人の人格を尊重し、国籍、人種、民族、信条、宗 教、性別、年齢、障がい、疾病、社会的身分による不当な差 別、その他差別的取り扱いや嫌がらせを行いません。 ■サプライヤー様に対して期待する事項より 法令・社会規範の遵守、 ステークホルダーの利害と人権の尊重 [従業員に対する取り組み] 「タケダ・グローバル行動規準」に則って サプライヤー様には、法令や社会規範を遵守し、違反行為 従業員の人権と多様性を尊重しています を是正する適切な社内管理体制を構築していただくこと タケダは、 グローバルな視点で人権を尊重し、各国 を依頼します。また、贈収賄や不公正な行為を行わない公 正かつ誠実な事業活動を遂行し、児童労働・強制労働や人 の雇用関連法令を遵守することはもちろん、雇用関 種・性別等による差別の禁止などの国際労働基準を尊重 係に関わるコンプライアンス基準を含む「タケダ・グロ し、社員個人の尊厳を尊重し、従業員並びに地域社会の安 ーバル行動規準」をグループ全体で遵守し、事業活動 全衛生を確保するなど、ステークホルダーの利害と人権の 尊重に努めていただくことを期待します。 を推進しています。 「タケダ・グローバル行動規準」では、従業員の多様 性と人格を尊重し、国籍、人種、皮膚の色、信条、宗教、 販売における取り組み 性別、年齢、障がい、その他法的に保護されている事 「医療用医薬品プロモーションコード」や「医療用医 由に基づく差別的な取り扱いや嫌がらせを禁止する 薬品製造販売業公正競争規約」を遵守し、 「 企業活動 ことを定めています。また、それらを防止するため適 と医療機関等の関係の透明性に関する指針」を定め 切な措置を講じることも明記しています。 て、公正なプロモーション活動に努めています。 関連情報 さらに、独自のプロモーションコードと規約を定め P.17 コンプライアンス P.26 ダイバーシティの推進 て、 「高い倫理観」に基づく質の高い医薬情報活動を 展開し、患者さんの人権の尊重を徹底しています。 Future Outlook 今後の課題と取り組み 人々の「いのち」に携わる製薬業界には、 くすりづくりの各段階において、人権に関わる特 有の課題が存在しています。特に、途上国を含む新興国でビジネス活動を実施するにあたっ ては、今まで以上に人権課題に対する配慮が重要となってきます。タケダでは、ISO26000 やラギー・レポートによる国際的規範となっているフレームを活用して、保健医療アクセスへ の対応を含めた誠実な取り組みを推進します。また、CSRに関する国際的な企業会員組織 「 BSR」の人権ワーキンググループにも新たに参加し、 ここから得られる知見を通して、 グロー バル企業に相応しい取り組みを進めていきます。 Takeda CSR Data Book 2012 23 労働慣行 「企業価値創造」に向けて Takeda Leadership Institute 「Takeda Leadership Institute」 ( TLI)は、世界有数のビジネススクール INSEADとの提携のもとに2007 年度より実施しているグローバルリーダー 育成プログラムで、世界中から選抜された従業員が受講しています。2012年度 は、2012年9月から2013年2月まで、日本やフランスで開催する計画です。 28 人 2011年度 Takeda Leadership Institute 受講者数 Takeda Leadership Institute 2011年度研修 [グローバル人事ポリシー] 人事ビジョンをグループ全体で実践します タケダでは、採用、配置、人材開発、評価、報酬など また、国内拠点のグローバル化にも積極的に取り組 み、 グローバル人事インフラを整備して、多様性の広 がりのなかで従業員が生き生きと働ける職場環境づ くりを進めます。 の諸制度の仕組みやその運用に関する基本方針を 「人事ポリシー」としてまとめ、具体的な施策を実施す ることで、 「人事ビジョン」の実現を目指します。 人事ビジョン グローバルに活躍する人材の獲得・育成 タケダは、国籍を問わず多様な人材の採用を積極的 に進めるとともに、 グローバルに活躍する人材の育成に 仕事を通じた達成感によってやりがいを感じ、成果を追求 ついても力を注いでいます。グローバルでの事業展開 する企業文化に共感し、それを誇りに感じる人々が集う活 を支え発展し続けるためには、 さまざまな “違い” を超え 力にあふれる会社を目指す その違いを強みとして発揮できる従業員が不可欠と なります。 [グローバル人材育成] グローバル人材育成に関する基本姿勢 タケダでは、 「グローバル人材の獲得・育成」を、経 営方針「活力ある企業文化の創造( Culture ) 」の基本 戦略の一つに位置付けています。具体的には、多様な 人材獲得を推進し、OJTによるトレーニングに加え、社 内研修を充実させることにより、優秀な人材を全社で 一丸となって育成していきます。 清華大学のインターンシップ研修生 24 Takeda CSR Data Book 2012 多様な人材を採用するため、2007年から米国のジ ョブフェア「ボストンキャリアフォーラム」 (BCF) に参加 しています。BCFは、25年の歴史を持つ世界最大級の 日英バイリンガル対象のジョブフェアで、毎年、約 1 万 人の学生が参加しています。アジア地区では、シンガ ポールや、中国の大学へ独自にキャンパスビジットを 実施しているほか、韓国においても採用活動を行って います。2011年7月∼9月には、中国を代表する大学 の一つである清華大学とのインターンシップを実施し、 4人の研修生を受け入れました。 また、人材育成においては、 日本と各拠点間での人材 交流を積極的に進めており、 グループ全体で多様性を 活かした、 グローバルに活躍する人材を育成する仕組 みをつくっていきます。 International Employee Symposium グローバル人材育成拠点「CLI」 ※ 研修所「CLI」 は、 グローバルリーダー研修や新入社 員研修をはじめ、さまざまな研修プログラムを実施す るグローバル人材育成の拠点として、2010年3月、大 阪府吹田市に開設されました。最大408名を収容でき アカデミアとの連携 るホールをはじめ、テレビ会議システムや同時通訳設 タケダでは2011 年度より、早稲田大学と連携しグ 備を完備した会議室、双方向コミュニケーションを重視 ローバル人材の育成を目的とした寄附講座を開講しま した。海外グループ会社のトップを含む経営幹部が講 師となり、研究・開発・販売戦略のみならず、事業運営や した会議に最適な階段教室、294名を収容できる宿泊 施設(バリアフリー2室を含む)など、 ダイバーシティの 推進を踏まえた多彩な設備を備えています。 CSR 活動なども交えたグローバルな事業活動につい また、周辺環境との調和を考慮して、緑の森のなか て、15 回にわたって体系的な講義を行いました。講義 に建物を伸びやかに配置するとともに、屋根材一体型 は英語で実施され、日本人学生、留学生約100名が熱 アモルファス太陽電池システムを採用し、空調負荷軽 心に聴講し、活発な質疑応答がなされました。 減のための技術を導入するなど、地球環境保全にも 配慮した設計となっています。 International Employee Symposium ※「CLI」: Center for Learning and Innovationの頭文字。タケダの持続的な 成長に必要なイノベーションの起点となってほしいという想いを込めた愛称です。 2010 年から、外国人従業員、海外での経験が豊 富 な日 本 人 従 業 員 が 参 加して 、 「 International ( IES )を開催しています。 Employee Symposium 」 IES では、タケダのグローバル化に関する課題につい てのディスカッションを通じて、 メンバー間のネットワ ーク構築や情報交換を行い、国際的感覚を持つ社員 が働きやすい環境を整えるための取り組みや、経営幹 部に対する提案を行っています。 研修所( CLI ) Takeda CSR Data Book 2012 25 労働慣行 従業員一人ひとりの多様性を互いに理解・尊重し、 タケダイズムの理念に基づいた企業文化の醸成を進めています。 [ダイバーシティの推進] 従業員の多様性を成長の活力に ある企業文化の創造を目指すものです。5 回目を迎え タケダは、2010 年度から、ダイバーシティを「経 た 2011 年度は、15ヵ国の従業員 137 名が受賞し、 営の基本精神」の中の「行動原則」の一つとしていま 創薬イノベーションのグローバル拠点である「湘南 す。年齢、性別、国籍、人種や障がいの有無など異な 研究所」で表彰式を開催しました。 る背景がもたらす多様性を互いに理解・尊重すること により、創造的な思考を生む企業文化を醸成し、新し 従業員の構成(人) 2009年度 2010年度 2011年度 男性 4,703 4,761 4,787 女性 1,631 1,710 1,778 合計 6,334 6,471 6,565 契約社員 246 269 292 2006 年度から、全世界のタケダグループの従業 派遣社員 488 466 513 員を対象とした「 Takeda Global Awards 」を実施 パート・アルバイト 186 169 211 19,585 18,498 30,305 い価値観を経営に反映させていきます。 正社員 Takeda Global Awards 15 137 ヵ国 人 タケダ 単体 しています。この表彰は、経営哲学「タケダイズム」の 浸透やグループの一体感の醸成を図ることで、活力 2011年度 Takeda Global Awards タケダグループ (注)就業人員数を表示しています。なお、2010年度から工数換算ベースで表示して おり、2009年度についても変更後の基準に基づき組み替えて表示しています。 労働慣行に関する指標 受賞者の勤務国と人数 タケダ 単体 2009年度 2010年度 男性 39.9歳 39.6歳 39.4歳 平均年齢 女性 36.7歳 36.7歳 36.9歳 合計 39.0歳 38.8歳 38.7歳 男性 15.8年 15.2年 14.8年 勤続年数 女性 14.6年 14.3年 14.1年 合計 15.5年 15.0年 14.6年 353人 260人 203人 新卒採用 平均年間給与 Takeda Global Awards 2011 表彰式 Takeda’s Voice 自分自身に、正直であること。それは、私の職務と自己成長にとって、 とても重 要なことです。責任をもって、すべてのことを成すためには、正直でなければな りません。誰でも、もちろん私も、間違うことがあります。それを認めるのは難し いことですが、間違いを認め、改善していくことが、人として、また組織として成 長できる唯一の方法だと思います。 タケダの仲間たちは、みんな、素晴らしい才能と、スキルをもっています。そ して、私たちは、人々の QOL( 生活の質)を高めるくすりを創るために、 ここに集 まりました。お互いを心から信頼しあうことで、一人ひとりが寄り集まるだけで は成し得ない、大きな成果につなげることができるはずです。 武田カリフォルニア Inc. Maria 26 Takeda CSR Data Book 2012 Wilson 2011年度 9,535千円 9,249千円 9,435千円 [人材育成] 日本における取り組み ダイバーシティ推進ビジョンの策定 日本においては、人事部に専任担当を設置し、 「グロ ーバルに活躍する人材の獲得・育成」「 、女性のキャリア 育成の支援」、 「障がい者の活躍の場の拡大」、 「各職場・ 各個人へのダイバーシティの理解・浸透」、 「仕事と個人 の生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の支援」を中心 に全社的な取り組みを進めています。 2011 年度には、日本におけるダイバーシティ推進 ビジョンを策定しました。ダイバーシティ推進を通じて、 タケダが未来にわたって成長 タケダでは、自律的なプロフェッショナルの育成に 力を入れており、部門ごとに専門的な知識、技術の習 得を目指した「課題別研修」を実施するとともに、新入 社員、中堅社員、新任マネジャー等を対象とした「階層 別研修」も充実させています。例えば、MR 配属者は、 新入社員研修において約 6ヵ月におよぶ導入教育を 受けた後に全国の営業所に配属され、その後も、e ラ ーニング、OJT 、階層別研修などによって「 MR の質」 の向上を図っています。 その他、 「外部派遣研修」や「自己啓発支援」など、 し続ける姿を表 現したシンボ 幅広い取り組みを通じて、従業員一人ひとりの能力向 ルマークのもと、活動のさらな る充実を図っていきます。 研修制度の充実 上に対する強力なバックアップと組織力向上に努めて ダイバーシティ推進 シンボルマーク グローバルチャレンジャーの募集 公募にて選出された従業員が、新興国を中心とした います。 教育研修の体系 ◎タケダイズムセッション 企業理念・戦略研修 (階層別研修やリーダー育成研修に組込み) 海外関係会社へ5年を目処に赴任し、現地スタッフと同 様に業務を遂行することができる制度で、2011 年度 に新設されました。タケダが真のグローバル製薬企業 階層別研修 ◎新入社員研修 ◎J2研修 ◎新任マネジャー研修 課題別研修 ◎ビジネススキル強化研修 ◎英語力強化研修 ◎異文化理解研修 へと大きく飛躍し、歴史的に変わろうとしているこの時 期に、新たな世界で自分の可能性にチャレンジしたいと リーダー育成研修 ◎選抜型研修 ◎国内外の外部教育機関派遣研修 いう従業員の熱い「想い」をサポートしていきます。 部門別研修 ◎各部門による専門教育 自己啓発支援 ◎社内TOEIC、eラーニングなど その他 ◎セクハラ・パワハラ研修、 メンタルヘルス 研修 ◎ライフプラン研修 女性活躍推進プログラム「WILL」 「 WILL 」は、人事部が提供している日本における女 24 人 2011年度 女性活躍推進プログラム 「 WILL」参加者人数 性活躍推進プログラムで、 メンタリング、集合/個別研 修、女性の経営幹部との意見交換会などの機会を提供 し、計画的な女性のリーダー育成を図っています。女性 マネジメントの育成・輩出には、具体的な目標値を定め て取り組んでおり、2011年度の女性管理職比率の実 積は2.1%でした。 2012 年 3 月には、 「 WILL 」の活動が、 「 性別による 差をなくすベストプラクティス」として、 「女性営業職 教育研修 受講者(人) 階層別研修 (うち新入社員研修) 2009年度 2010年度 2011年度 1,335 923 595 (352) ( 194 ) (193 ) 1,149 1,360 1,440 リーダー育成研修 121 119 72 ライフプラン研修 92 77 60 課題別研修(ビジネススキル・英語) ( MR )の活躍推進」とともに、 「世界経済フォーラム」 (WEF)のホームページに掲載されました。 Takeda CSR Data Book 2012 27 労働慣行 人事制度・福利厚生のさらなる充実を図り、 仕事に全力投球できる環境の整備を進めています。 [ワーク・ライフ・バランス] 労働時間制度/福利厚生・各種制度 ダイバーシティ推進の重点課題の一つとして ワーク・ライフ・バランスを支援 タケダでは、仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライ フ・バランス」支援に向けて、 フレックスタイム制や休暇・ 休職制度の充実など多様な働き方をサポートする取 り組みを進めています。社内 Webに「 Life Balance Up Navi 」を開設するなど、従業員への情報提供も 積極的に行っており、医薬営業本部では、ライフイベ ントと仕事を両立しながら活躍するMR の姿を紹介す る社内誌「 Beautiful Being 」を発行しています。 2009年度から毎週水曜日に “効率よく業務をし、自 己研鑽や家族との団欒など個人生活も充実させる日” として定時退社を推奨する「パワーアップデー」の実施 ●フレックスタイム制/在宅勤務制 従業員が仕事と生活との調和を図りながら、創造性を発揮 し、 生産性や業務効率の向上を図ることを目指し、 始業・終業 時間や就業場所を従業員に委ねる制度。 ●連続休暇取得制度 心身ともにリフレッシュする機会をもつために、会社休日と 合わせて5日以上の連続休暇を取得する制度。 ●配偶者の分娩に伴う 「特別有給休暇」 「配偶者の出産予定日1週間前」 から 「育児休暇対象期間内」 5日間の特別有給休暇を取得できる制度。 に、 ●育児休暇 「子どもが 1 歳 6ヵ月」または「 1 歳を超える4 月末まで」どちら か長い期間、 育児休暇を取得できる制度。 (連続5日間のみ有給) 1 年以内(初回取得日から1 年以内の休暇日数が93日未満 の介護休暇が取得できる制度。 の場合は通算93日まで) ました。また、2011年4月から、従業員のボランティア ●OB・OG再雇用制度 活動を支援するため、特別有給休暇の付与とボランテ 結婚、 出産、 育児、 介護などを理由に自己都合退職する場合、 本人の意思により、 再雇用希望の登録が行える制度。 支援対策推進法」に基づく認定マーク「くるみん」につ いて3 回目の取得をいたしました。育児休暇の一部を 有給化することなどにより、男性従業員にとっても子 男性従業員 育児休暇 取得者数 事業所外で仕事をすることの多い MRに適用される、 あらか じめ定めた所定労働時間を働いたとみなす制度。 震災の影響による節電対策も兼ね、金曜日にも拡充し 積極的に進めており、2012 年 6 月には「次世代育成 2011年度 ●事業所外みなし労働時間制 ●介護休暇 育児と両立しながら安心して働ける環境の整備も 人 研究開発業務を担当する部門において、 業務遂行の手段や 時間配分を従業員に委ねる制度。 を開始しましたが、2011 年 7 月1日からは、東日本大 ィア保険料の会社負担を行っています。 49 ●裁量労働制 育てしやすい環境づくりも進んでおり、2011 年度に は 49 人の男性従業員が育児 休暇を取得しています。2011 ●ボランティア休暇 企業市民活動の一環として、社員の自発的な社会参加を支 援し、 社員がボランティア活動を通じてさまざまな社会の動 きや変化を体感することができるよう、 年間 5日以内の有給 休暇を取得できる制度。 ●フィランソロピー休職制度 公的機関、 NGO、NPOが主催する社会貢献活動に参加する (有給) ために最大1年間休業できる制度。 福利厚生・各種制度の 利用状況 64.7% 60.1% 57.2% 平均取得日数 11.6日 10.8日 10.3日 育児短時間勤務制度※1取得者数 所内保育施設「タケダキッズ」 を開設しました。 取得率 有給休暇 年 4 月には湘南研究所に事業 次世代認定マーク 42人 65人 72人 取得者数(女性) 65人 66人 109人 取得者数(男性) 8人 44人 49人 取得者数 0人 2人 2人 取得者数 0人 2人 2人 育児休暇 時間外勤務の制限 深夜勤務の免除 ※2 ※2 ※2 1人 8人 10人 介護短時間勤務制度 取得者数 0人 1人 0人 介護休暇 取得者数 5人 5人 4人 ー ー 64人 子の看護休暇 取得者数 ボランティア休暇 取得者数 フィランソロピー休職 取得者数 湘南研究所・事業所内保育施設「タケダキッズ」 28 Takeda CSR Data Book 2012 2009年度 2010年度 2011年度 2011年度までの累計 7人 ※1 子が小学校3年生修了時まで ※2 子が小学校就学前まで などの 専 門 家に相 談できる外 部 EAP( Employee [障がい者の活躍の支援] Assistance Program)を採用するなど、特にメンタル 株式会社エルアイ武田 1995 エルアイ武田 ※3では知的障がい、聴覚障がいなど 年 をもった従業員が、コミュニケーション面など、さまざ エルアイ武田 設立年 まな課題をクリアしながら前向きに仕事に取り組んで エルアイ武田は、医薬品業界 では初めての、障がい者雇用 を目的とした特 例 子 会 社とし て設立されました。 います。業務内容は、名刺、パンフレット、小冊子、ポス ター等の作成や、ダイレクトメールの発送、また清掃、 洗濯業務などで、研究開発、営業部門などの業務の一 端を担っています。研修所「 CLI 」および、併設する宿 泊施設の整備にも従事するなど就労機会を拡大して います。2011年度には、従業員2名がビルクリーニン グ技能士資格(国家資格)検定試験に合格しました。 ※ 3「エル」は労働を意味するLabor 、 「アイ」は愛、すなわち「働く障がい者を愛する 会社」を経営理念とし、従業員一人ひとりの社会的自立を支援しています。 2009年度 2010年度 2011年度 障がい者雇用率※4 1.95% 2.03% 2.09% 重度 57人 61人 61人 軽度 23人 24人 30.5人 合計 80人 85人 91.5人 障がい者 雇用者数 ※5 ※ 4 各年度3月1日時点 ※ 5 短時間労働( 20 時間以上 30 時間未満)の障がい者についても 0.5 人分と ヘルスにおける予防・早期発見・治療を支援しており、 長期休職が必要となった際の生活保障と職務復帰支 援を行う制度も備えています。 安全衛生について タケダでは、人間尊重を基本理念として、 グローバ ルEHS方針に基づき、全員参加による安全と健康の確 保を目指しています。工場・研究所だけでなく、本社・支 店にも安全衛生委員会を設置するとともに、毎年策定 される全社安全衛生管理方針をもとに、それぞれの活 動計画を策定し、労働災害防止、健康増進に向けた取 り組みを推進しています。 健康診断受診率 2009年度 2010年度 2011年度 97% 98% 96% [労働組合との関係] 健全な労使関係の構築 タケダグループでは、各国の法令などに基づき、各社 カウント の労働組合や従業員代表と話し合いを行っています。 日本では、 「 武田薬品労働組合」と労働協約を結び、労 [従業員の健康と安全] 働条件、人事制度をはじめとした諸制度について、定期 メンタルヘルスケア 的な協議を行い、健全な労使関係を構築しています。 「タケダトータルヒューマンセーフティーネット」 (THS)は、従業員の心身の健康管理をサポートするシ ステムです。THSでは、従来の健康診断や産業医等に よる医療スタッフ体制に加え、社外の医師・臨床心理士 Future Outlook 今後の課題と取り組み タケダは、Takeda Leadership Institute の開催やグローバルチャレンジャー制度等を 通じ、新興国を含む地域に事業基盤を拡大した当社の持続的な成長に寄与するグローバル リーダーの育成に、積極的に取り組んできました。引き続き、年齢・性別・国籍などの観点から 多様な人材の獲得・交流に努め、企業文化を活力のあるものにしていくことで、グローバル な製薬企業としての企業価値を高めていきます。さらに日本においては、ダイバーシティ推 進ビジョン「 2015 年には、多様な一人ひとりが最大限力を発揮し、タケダとともに成長を続 けていることを実感している」の実現に取り組んでいきます。 Takeda CSR Data Book 2012 29 環境 「企業価値創造」に向けて 企業統合に伴うグローバルな環境影響評価 タケダでは、ナイコメッド社の統合によって、新興国を含む約 70ヵ国へと進出 国が大きく広がったことを受け、環境影響評価についても、地域を拡大して行っ ています。さらに、 「武田薬品グループ環境自主行動計画」で掲げている地球温 暖化対策、廃棄物削減、水資源問題、化学物質管理などに関する中長期的な目 標を旧ナイコメッド社と共有し、タケダグループ全体として積極的に取り組んで いきます。 19% タケダグループの CO 2排出量における旧ナイコメッド社が占める比率 (2011年度実績 ※)※統合前も含む1年間の数値で計算 武田 Pharma Ltda.(旧ナイコメッド社 ブラジル工場) [環境マネジメント] 環境に関する基本原則 1. 基本責務 5.不測時の対応 研究開発から生産、流通、販売、調達、事務などのす 環境に悪影響を与え、または与えるおそれがある場 べての企業活動において地球環境への影響を重視 合、その回復、対策に迅速かつ的確に最善の努力を し、環境を積極的に保全し、向上させる。 つくす。 2.資源・エネルギーの効率的利用と排出物の削減 6.責任の明確化 省資源、省エネルギーを推進し、排出物の削減、 リサ 環境責任者を任命し、責任の所在を明確にする。 イクルを積極的に行う。 7.社会との共生 3.製品・生産プロセスの環境影響評価 地域社会の環境保全向上活動に積極的に協力する 製品研究、技術開発にあたり、事前に、また常に、製品 とともに、公正・適切な情報を提供する。 の研究開発から使用・廃棄に至るすべての過程で環境 に与える影響を評価し、環境への影響を軽減する。 8.教育と啓発 社員一人ひとりが日常の活動において、環境問題の 4.環境技術の開発と活用 重 要 性を理 解し、自覚を持って行 動できるように教 環境保全・向上の技術を開発するとともに、新技術を 育・啓発する。 積極的に導入採用する。 環境に関する 基本原則 武田薬品グループ 環境自主行動計画 年度方針 実施計画 基本原則を理念として、武田薬品グループ環境自主行動計画ならびに年度方針を制定し、 環境に関する諸施策を実施しています。 30 Takeda CSR Data Book 2012 グループ全体の管理体制を再構築 1970 年 環境保全 対策委員会を設置 1970 年に「環境保全対策委員会」を設置して以 また、環境( E )、健康( H )、安全( S )は、相互に切り 来、タケダでは、長期的な視点を持って環境保全活動 離すことのできない重要課題と認識し、地球環境、従 を継続してきました。1992 年には、それまでの「公 業員の労働安全衛生、事業所の保安防災について包 害に対する基本 10 原則」に代えて「環境に関する基 括的に取り組むため、2011 年に、製薬本部が所管す 本原則」を制定し、 グループ全体で地球環境問題に向 る製造拠点を対象とした「製薬本部グローバル EHS けたグローバルな活動を推進しています。 方針」およびその具体的な基準を示したガイドライン 2010 年には、中長期的な視点から環境に関する を制定しました。2012 年 6 月には、 これを発展させ、 課題や目標を具体化するために、国内外グループを 国内外グループを対象とした「グローバル EHS 方針」 対象とした「武田薬品グループ環境自主行動計画」を を制定しました。 制定しました。地球温暖化対策、廃棄物削減などの具 体的な目標値を設定しており、年度ごとに進捗状況を 把握し、活動を推進しています。 グローバル EHS 方針 私たちタケダグループは、製薬事業をグローバルに展開する企業として、優れた医薬品の創出を通じて人々の 健康と医療の未来に貢献します。同時に、環境( E )、健康( H )、安全( S )における社会と時代の要請に応えて、持 続可能な成長をめざします。私たちは、共に働くすべての方々や地域社会の方々の健康と安全を確保し、さら に地域や地球の環境を守り維持することが私たちの重要な責務と考えています。私たちはこれらの課題に対し て、タケダイズムにのっとり、誠実に取り組みます。 基本責務 意識の醸成 タケダは、人と環境を守ることが基本的な責務である 私たちは、健康、安全の確保、および環境の保全とそ と考えています。私たちは、すべての事業活動を通じ の維持が私たちに課せられた使命であることを自覚 て、健康、安全の確保、環境の保全を最優先に位置づ し、それらに関するリスクを最小化するために知識や けます。 技術を習得し、実践します。 コンプライアンス コミュニケーション 私たちは、健康、安全の確保、および環境の保全に関 私たちは、地域社会をはじめとする様々なステークホ する各国の あらゆる法令を遵守し、最善の実践をめ ルダーとの積極的な対話を行い、また、健康、安全の ざします。 確保、環境の保全に関する社会的責任を果たし、社会 との信頼関係を築きます。 役割と体制 タケダは、役員および従業員それぞれの担うべき役割 と責任を明確にし、健康、安全の確保、環境の保全につ いて継続的な改善を行うための体制を整備します。 Takeda CSR Data Book 2012 31 環境 武田薬品グループ環境自主行動計画に基づいて、年度方針を制定し、 環境防災に関する活動の充実を図っていきます。 武田薬品グループ環境自主行動計画 タケダでは、中長期的な視点から環境に関する課 しました。グローバル製薬企業としての社会的責任を 題や目標を具体化するために、2010 年度に「武田薬 果たすために、地球温暖化対策、廃棄物削減などの具 品環境自主行動計画」および国内外グループを対象 体的な目標値を設定しており、年度ごとに進捗状況を とした「武田薬品グループ環境自主行動計画」を制定 把握し、活動を推進しています。 2011年度 武田薬品グループ環境自主行動計画 進捗状況 テーマ T-EMS (武田環境マネジメント システム) 地球温暖化対策 項目 2011年度実績 武田グループの生産事業場、研究所は「環境防災業務基準」に基づ き、ISO14001活動、環境防災監査および環境防災内部監査を活 用した、 自律的な環境防災活動を行う。 各事業場において、武田薬品グループ環境防災業務基準に基づく環境防災活動 を推進している。ISO14001 認証取得事業所では、規格にしたがった活動を継 続した。 ○ 武田グループの事務所、営業所は、事業場の規模や内容に応じた環 境防災マネジメントシステムを整備し活動を行う。 グローバル武田グループの販社等オフィス部門に対し、環境責任者を任命し、 コ ミュニケーションのルートを明確にした。 △ エネルギー起源の CO2 排出量を、2015 年度に2005 年度比で 18%削減する。 2011年度のグループCO2排出量は331千トンで、2005年度比32%減であ った。 ○ 再生可能エネルギーの利用を推進する。 大阪工場第九技術棟、光工場抗体医薬治験薬製造設備など、新設備建設時に太 陽光発電設備を設置した。 ○ 2015 年度の廃棄物最終処分量を2010 年度レベル以下に抑制 2011年度の国内グループ廃棄物最終処分量は562トンで、2010年度比7% する。 増加となった。 △ 発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)の3R 活動を推進する。 分別の徹底によるリサイクル推進、廃棄物の再資源化、有償化などの取り組みを 実施した。 ○ 水資源の有効利用に努め、水使用量を削減する。 水資源の使用状況を把握した。2011年度のグループ水使用量は、前年度比3% 増加であった。 △ 水の循環的利用を推進する。 RO逆浸透膜による排水の再利用を行った。また、冷却塔における水の循環利用 を行った。 ○ 化学物質の環境への排出量削減に努める。削減にあたっては、 リス ク評価に基づき、優先的に削減を検討する。 設備更新、工程改良、物質代替により、化学物質の排出量を削減した。国内グル ープPRTR大気排出量は前年度比17%増加した。 △ PCB、アスベストは、法規制に従い、計画的に適正処理する。 状況を把握するとともに、適切に保管管理し、順次処分を行った。 ○ オゾン層保護 オゾン層破壊物質を使用する機器を計画的に更新する。 状況を把握するとともに、更新を計画的に行った。 ○ 大気・水質保全 排出基準、総量規制を遵守し、NOx、SOx、COD排出量の削減を推 進する。 法律、条例、協定よりも厳しい社内基準値を設定し、管理を行った。 ○ 生物多様性 事業活動における生物多様性への影響を把握し、生物多様性の保 全と、生物資源の持続可能な利用に資する活動を推進する。 敷地内に生育する希少植物種の保存を行っている。また、野生品由来の生薬の 自社栽培化研究を続けた。 ○ 遺伝資源等の利用においては生物多様性条約に配慮する。 生物多様性条約への準拠を表明している医薬品リサーチベンチャーとの提携を 継続した。 ○ 本社・営業所における省エネルギーを推進し、エネルギー使用量の 削減に努める。 数値目標を設定するなど、 オフィスにおける節電などに取り組んだ。 ○ オフィスにおける廃棄物削減、 コピー用紙使用量削減を推進する。 廃棄物の分別回収を進めるとともに、 コピー用紙の裏面利用、ペーパーレス化な どに取り組んだ。 △ 事務用品のグリーン購入を推進する。 可能な限りグリーン製品を優先して購入する仕組みの整備を行った。 △ 廃棄物削減 水資源保護 水資源保護 化学物質管理 水資源保護 オフィスの環境活動 (注)旧ナイコメッド社を除く 32 評価 Takeda CSR Data Book 2012 方針の内容レベルを超える成果がみられた:◎ 方針の内容レベルを概ね達成した:○ 方針の内容レベルは一部未達であった:△ 方針の内容に取り組まなかった: × 2011年度 タケダ単体の環境に関する主な方針と実績 テーマ 環境問題への 基本的取り組みの推進 2011年度実績 方針 評価 事業所、部門ごとに各項目の取り組みを推進した。 ○ 遵法体制を推進するとともに社内基準値を遵守する。 法規制より厳しい社内基準値を管理値とし、定期的な環境測定を通して遵法体制 を維持した。 ○ 環境に配慮したオフィスや営業活動を浸透させる。 グリーンオフィス計画として、 オフィスの省エネルギー、廃棄物削減、 コピー用紙 削減、 グリーン購入について目標を設定し活動した。一部目標未達の事業所が あった。 △ 「武田薬品環境自主行動計画」を推進する。 省エネルギー・温室効果 ガス排出量削減 2015年度にCO2排出量を1990年度比で30%削減する。 廃棄物の削減 全 社にわたり廃 棄 物 の 排 出 抑 制 、再 使 用 、再 資 源 化を推 進し、 2015年度の廃棄物最終処分量を2010年度の最終処分量以下に 抑制する。 ゼロエミッション活動の推進などにより、廃棄物最終処分量の削減に努めたが、 研究所移転に伴う廃棄物の増加で、2011 年度の最終処分量は 56トンと、 2010年度比17%増加した。 △ 委託先における廃棄物の適正処理を確認し、排出者責任を果たす。 廃棄物処理委託業者( 26 社)および新規委託業者( 3 社)を視察し、適正処理が 行われていることを確認した。 ○ 化学物質の適正管理と 環境への排出削減 化学物質の環境への排出量を2010年度レベル以下に抑制する。 光工場でジクロロメタンの排出量が増加し、2011年度のPRTR対象物質の排出 量は17トンで2010年度比43%増加した。 △ 生物多様性の保全 事業活動における生物多様性への影響を把握し、生物多様性の保 全と、生物資源の持続可能な利用に資する活動を推進する。 薬用植物園において植物種の保全を継続するとともに、環境教育を行った。倉庫 棟の建設において移植により緑地帯の維持を図った。 ○ 教育・啓発活動の推進 環境問題について、全従業員の啓発活動を行う。 会報や社内イントラネットを活用するとともに、 ライトダウンキャンペーンへの参 加や環境啓発映画の上映などを通じ、従業員の意識向上を図った。 ○ 地域社会への貢献 行政、住民とのコミュニケーションを図り、地域の生活環境の維持向 上に努める。 環境モニター制度や、地域行政および周辺住民との連絡会を活用するなど、積 極的なコミュニケーションを図った。事業所周辺ボランティア清掃を実施し、美化 に努めた。 ○ 事故防止・環境保全のためにさらなる努力を続けるとともに、当社の 姿勢を正しく理解してもらうための活動を行う。 研究所で遺伝子組換え生物等を含む廃液の漏洩事故が発生した。ソフト面、 ハー ド面における再発防止策を徹底した。この事故以外では、工事に伴う騒音や光害 等、全社で4件の苦情が発生したが、いずれも直ちに対応し、再発防止に努めた。 △ 2011年度 タケダ単体の防災に関する主な方針と実績 テーマ 防災管理の強化充実 防災対策の強化 防災教育の充実 2011年度のCO2排出量は20.4千トンで、1990年度比50%減であった。 ○ 集計範囲:大阪工場、光工場、つくば地区研究部門、湘南研究所(CO2排出量は本社、東京本社含む) 方針 2011年度実績 評価 防災に関する法規制を遵守する。 各部門への周知、教育などを通じ、防災安全に関する各種法規制を遵守した。 ○ 非定常作業マニュアル、防災マニュアルを活用し、事故や災害を防 止する。 非定常作業マニュアル、防災マニュアルの見直し、必要に応じた改正および新規 制定を行い、事故防止に努めた。 ○ 地震、台風などの自然災害、緊急時の製造プロセスの対応などに関 するマニュアルを充実し、安全確保、二次災害の発生・拡大防止の徹 底を図る。 地震防災マニュアルを見直すとともに、BCP等を活用した教育を実施し、安全の 確保と二次災害の発生・拡大防止を図った。 設備・配管の定期的な点検および保守、老朽化設備の計画的更新、 および休止設備の安全確保を図る。 老朽化設備および休止設備を点検して更新等の必要性を判断し、計画的な更 新、安全対策を実施した。 ○ 静電気対策の徹底と安全確認により災害を防止する。 機器類の接地抵抗、漏洩抵抗および帯電電位を定期的に測定して対策の有効性 を確認し、事故防止に努めた。 ○ 可燃性物質の危険性排除対策と安全確認を徹底する。 窒素シール設備機器等の定期点検で、対策の有効性を確認し、事故防止の徹底 を図った。 ○ 地震防災対策の見直しを行い、ハード対策とソフト対策の両面から 必要な施策を実施する。 耐震診断の結果に基づき、建物の耐震補強を実施し、地震災害の被害拡大防止 に努めた。また、東日本大震災の経験を踏まえ、津波対策として津波避難建物を 設定し、地震や津波発生時に適確に対応できるよう備えた。 ◎ 事業所、製造現場の特色を生かした防災教育・訓練により防災技術・ 手法の習熟を図り、計画的に伝承する。 非定常作業マニュアル、防災マニュアルを用いた教育・訓練を計画的に実施し、 防災技術の伝承を図った。 爆発危険に関する体感教育を行い、 プロセス安全の向上に努めた。 ○ 地震避難訓練、救助訓練、防災資機材を用いた訓練などにより、地 震発生時の緊急事態に的確に対応する。 総合防災訓練、地震防災訓練を実施した。地震防災訓練では、津波発生時の避難 行動に何度も取り組み、改善を重ねた。また、夜間通報訓練や無線機器使用訓練 など、防災手法の習熟を図った。 ◎ ○ 方針の内容レベルを超える成果がみられた:◎ 方針の内容レベルを概ね達成した:○ 方針の内容レベルは一部未達であった:△ 方針の内容に取り組まなかった: × Takeda CSR Data Book 2012 33 環境 グローバル製薬企業としての責任を果たすために、 グループ全体で活動を推進していきます。 レスポンシブル・ケア活動 レスポンシブル・ケア活動、すなわち「責任ある配 ント手法についても定めています。その適合状況は、 慮」に基づく活動は、事業者による化学物質の管理に 「 環 境 防 災 監 査 」によって 検 証して い ます 。な お 、 関する国際的な自主管理活動で、現在 55 の国と地域 「 ISO14001 」については、現在、日本国内のすべて に活動が広がっています。その目的は、化学物質を取 の生産事業所、およびタケダ・イタリア・ファルマチェウ り扱う業務における「環境」 「安全」 「健康」を確保する ティチ S.p.A. 、ナイコメッド GmbH 、広東テックプー ことにあり、タケダは日本レスポンシブル・ケア協議会 ル・バイオファーマ Co., Ltd. の生産事業所等で認証 発足時の 1995 年からレスポンシブル・ を取得しています。 ケア活動を実践するとともに、国内グル ープ会社や海外の生産拠点でも採用し ISO14001認証取得事業所 レスポンシブル・ケア ています。 26 事業所 ISO14001 認証取得事業所数 武田薬品グループ環境防災業務基準 タケダでは、国内外グループの生産事業所・研究所 が環境防災業務を行う際の統一した基準として「武田 薬品グループ環境防災業務基準」を制定しています。 この業務基準では、化学物質管理や防災管理など具体 的な業務の管理基準ならびに、環境マネジメントシス テムの国際規格「 ISO14001 」を参考としたマネジメ 武田薬品工業株式会社 ●大阪工場 ●光工場 和光純薬工業株式会社 ●全社(12事業所) 水澤化学工業株式会社 ●中条工場 ●水沢工場 大和特殊硝子株式会社 ●全社( 2 事業所) 日本製薬株式会社 ●成田工場 ●大阪工場 武田ヘルスケア株式会社 ●全社 タケダ・イタリア・ ファルマチェウティチ S.p.A. ●チェラノ工場 ナイコメッド GmbH ●シンゲン工場 ●オラニエンブルク工場 ●コンスタンツ事業所 広東テックプール・ バイオファーマ Co., Ltd. ●広州工場 環境委員会 委員長からのメッセージ 2011年、 タケダはナイコメッド社を統合し、進出地域を一挙に世 界約 70ヵ国に拡大しました。これを大きなビジネスチャンスとして タケダのプレゼンスを高めていくためには、事業活動において、環境 ( E )、健康( H )、安全( S )の面でも確固たる基盤を築く必要がありま す。この認識のもと、タケダは2012 年にEHS 活動の基本精神とな る「グローバルEHS 方針」を策定しました。タケダイズムを基礎にお くこの方針が、今後の環境施策や個々人の責任ある行動に反映さ れ、EHS活動が確実に前進することを期待しています。なお、2010 年度に策定した「武田薬品グループ環境自主行動計画」で掲げた 「エネルギー起源の CO 2 排出量を、2015 年度に2005 年度比で 18%削減する」などの具体的な目標に関しても、継続して積極的に 取り組んでいきます。 常務取締役 環境委員会委員長 34 Takeda CSR Data Book 2012 吉田 豊次 環境安全管理体制 タケダでは、 「環境に関する基本原則」に基づいた事 で、それぞれの事項に関する施策を推進、実施していま 業活動を推進するにあたり、各部門の環境責任者で構成 す。さらに、工場や研究所には環境担当責任者を置き、 される「環境委員会」を設置しています。 「環境委員会」 中期計画や年度計画に基づいた具体的な活動を推進し では、全社的な環境保全、省エネルギー、防災を含めた ています。 環境に関する問題を審議し、毎年の環境方針等を決定し なお、環境委員会での審議事項は必要に応じて事務 ます。 「環境委員会」の下には、 「環境」 「省エネルギー」 局が国内外のグループ各社に周知します。 「防災」の 3 つの小委員会を設置し、実務責任者レベル 社 長 環境小委員会 環境委員会 ●委員長(常務取締役) ●エネルギー管理統括者 事務局 (環境安全管理室) ●委員(基本組織) 方針 報告 基本組織 Future Outlook 今後の課題と取り組み 省エネルギー小委員会 防災小委員会 周知 報告 国内外グループ会社 タケダでは、環境保全に関する中長期的な目標を設定した「武田薬品グループ環境自主 行動計画」に基づき、CO 2 排出量をはじめ、廃棄物削減( 2015 年度の廃棄物最終処分量を 2010 年度レベル以下に抑える)、化学物質管理(環境への排出量削減)、大気・水質保全 (排出基準、総量規制遵守、NOx 、SOx 、COD 排出量削減)などの各課題に、積極的に取り 組んでいきます。また、 「グローバル EHS 方針」に基づきガイドラインを策定するなど、引き 続き、環境ガバナンス強化を推進していきます。水問題についても、量と質の両面から取り 組んでいきます。東日本大震災を教訓とした防災体制の見直しを迅速に進めていきます。 Takeda CSR Data Book 2012 35 環境 「武田薬品グループ環境防災業務基準」に則して、 環境リスクを低減する取り組みを継続実践しています。 事業活動における環境への影響 環境負荷物質の排出、地域社会・自然環境への影響 事業所内・ 周辺地域への影響 研究開発段階 生産段階 市 場 [環境リスクの低減] 環境リスクの低減に関する基本姿勢 タケダでは、製品としての医薬品を含め、多種類の 災業務基準」に則して、事業活動の各段階における 化学物質を取り扱う企業であることを認識し、環境 環境防災業務を遂行するとともに、継続的な環境防 面と防災面から、環境リスクを可能な限り低減する 災監査によって、その取り組みが適切に行われてい 体制を構築しています。 「武田薬品グループ環境防 るか徹底的にチェックしています。 環境リスク低減に関する課題など 研究開発段階 ●医薬品は一般の化学製品と比較した場合、使用量は少なく、環境負荷 は小さいと考えられます。 しかし、生理活性物質である医薬品が微量 ながらも環境中に残存することには、配慮する必要があります。 ●米国食品医薬品局( FDA )、欧州医薬品審査庁( EMA )が定めた医薬 取り組み内容の詳細 ●申請準備段階の新製品について各国のガイドラインに則して周辺環 境に影響が出ないよう適切な対応を進めています。 ●新製品や新生産プロセスの開発に際し、製品が生産・使用され、廃棄物 として処分されるまでのライフサイクルにおける環境影響を、省エネ 品の環境影響評価に関するガイドラインでは、新薬の承認申請時には ルギー、廃棄物発生量、化学物質の排出、資源枯渇防止等の観点から 有効性や安全性のデータとともに、環境影響評価データの提出が義 「製品・生産プロセスの環境影響評価表」に基づいて評価し、環境にや 務付けられています。 さしい製品や生産プロセスの開発を行っています。 ●タケダの事業活動において、最もエネルギーを使用し、環境負荷物質 ●化学物質管理では危険物、毒劇物の適切な保管管理の徹底や MSDS を排出するのは生産段階であり、環境リスク低減の取り組みを重点的 (化学物質等安全データシート)の整備を行うとともに、環境への排出 に進めています。 生産段階 ●グローバル生産拠点におけるエネルギー使用量、廃棄物発生量など の環境負荷量を正確に把握し、事業所ごとに具体的な活動推進計画 に基づく削減活動を推進しています。 量の把握と削減への努力を行い、国内ではPRTR 法に基づく行政報告 をしています。 ●地球温暖化問題に対しては、第 10 次省エネルギー計画において数値 目標を設定し、省エネルギーや、より温室効果ガス排出の少ない燃料 への転換を進めています。 ●「設備計画における環境配慮ガイドライン」を策定し、設備建設段階か らの環境負荷低減に取り組んでいます。 ●各生産拠点では、定常時の防災対策と、地震、火災発生時などの緊急時 に備えた防災対策を行うことで、 地域社会や自然環境に与える影響を抑 制する努力を重ねています。 市場 ●患者さんに医薬品を提供した後の容器包装のリサイクルや、営業活動 などに使用する業務用の車両に関する環境負荷低減を進めています。 ●容器包装リサイクル法など各国の規制に従い適切な処理に努めてい ます。 ●営業車の「低公害車導入率」は、寒冷地仕様の4WDを除いて100%と なっており、 ハイブリッド車の導入率は39%となっています。 36 Takeda CSR Data Book 2012 環境防災監査 【環境防災監査の監査項目】 ひとたび環境汚染を起こしたり、設備災害が発生し たりした場合の周辺地域に与えるダメージは計り知 れません。タケダは、環境・防災面のリスクを社内の専 門家がチェックすることにより、徹底したリスク管理を 行う「環境防災監査」をグループ全体で実施していま 1.システム監査 ●環境防災マネジメント ●省エネルギー ●遵法性の評価 ●廃棄物 ●化学物質管理 ●土壌、地下水汚染 ●設備保全 ●プロセスの防災対策 ●地震対策 ●教育、訓練 ●前回の監査指摘対応 す。また、各事業所の業務が「武田薬品グループ環境 防災業務基準」に適合しているかを自ら検証する「内 2.現場監査 ●全般 ●環境面 ●防災面 部監査」を、全事業所で実施しています。 「環境防災監査」は、社内の監査担当者が事業所ご ■国 内 後、事業所を訪問し数日間におよぶ監査を実施しま 武田薬品工業株式会社 和光純薬工業株式会社 水澤化学工業株式会社 大和特殊硝子株式会社 す。その結果は監査報告書としてまとめ、経営層に報 告しています。また、 「 環境防災監査」における指摘事 10 【環境防災監査 実施事業所】 とに提出される統一書式記入表の事前評価を行った ●大阪工場 ●播磨工場 ●東京工場 ●水沢工場 ●中条工場 ●市島工場 ●新高工場 項については対策の進捗報告を義務付け、確実なフ ■海 外 ォローを行っています。 天津武田薬品有限公司、タケダ・イタリア・ファルマチェウテ ィチ S.p.A.、武田ケンブリッジ Limited 2011 年度は、関係会社を含め国内 7 事業所と海 事業所 2011年度 環境防災監査を 実施した事業所数 外 3 事業所の「環境防災監査」を実施した結果、特に 重大な指摘事項はありませんでした。 【環境防災内部監査 実施事業所】 ■国 内 武田薬品工業株式会社 ●大阪工場 ●光工場 日本製薬株式会社 ●成田工場 ●大阪工場 武田ヘルスケア株式会社 和光純薬工業株式会社 ●東京工場 ●愛知工場 ●三重工場 ●大阪工場 ●播磨工場 水澤化学工業株式会社 ●水沢工場 ●中条工場 大和特殊硝子株式会社 ●市島工場 ●新高工場 ■海 外 ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc./武田カリフォル ニア Inc.(サンディエゴ、サンフランシスコ)/タケダ・イタリ ア・ファルマチェウティチ S.p.A./武田ケンブリッジ Limited /武田アイルランド Limited(ブレイ工場、グレンジキャッス ル工場)/天津武田薬品有限公司/P.T. インドネシア武田 タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ S.p.A. における環境防災監査 Takeda’s Voice 当社では、2011 年 7 月に、環境安全管理室による環境防災監査を受けました が、継続的な業務向上のために大変有意義なものとなりました。チェラノ工場は 2012年2月にISO14001の認証を取得し、現在OHSAS18001に沿った労働 安全衛生マネジメントシステムの構築に努めています。これからも環境・健康・安 全( EHS )システムの向上に努力し、タケダグループ全体の目標達成に貢献して いきたいと考えています。 タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ S.p.A. チェラノ工場 EHS 責任者 Bruno Radice Takeda CSR Data Book 2012 37 環境 万一の事故災害を防止し、環境を保全するために、 総合的な対策を徹底しています。 防災への取り組み タケダでは、年度ごとに「防災方針」を策定してい 危険を把握するためのリスクアセスメントを実施し、安 ます。各事業所では、方針に基づいた具体的な計画 全対策を徹底しています。これらの防災対策は国内外 を定め、ハード・ソフトの両面から防災活動を推進して タケダグループの生産事業所全体で実施しています。 います。 一方、タケダでは、製造プロセスにおける火災・爆発 ハード面では、老朽化設備の計画的保全など、設 に対する安全性を高めるためには、使用する化学物質 備管理を徹底するとともに、静電気や可燃性物質へ および製造する医薬品の物理化学的な性質を把握し、 の対策により、災害防止を図っています。静電気の帯 その性質に見合った方法で製造が行われることが重 電や放電は冬場には身近でも見られる現象ですが、 要と考えています。そのため、研究開発の初期段階か 工場の可燃性ガスや粉塵に火がつくと大きな事故に ら、医薬品候補化合物や製造プロセスの危険性評価 つながります。一つひとつの設備やプロセスについ を行い、プロセス安全会議、製剤プロセス安全会議に て静電気のリスクを取り除く作業を続けています。 おいて、安全性の確保を徹底しています。 また、各事業所で実施されている大規模工事におい 【静電気対策】 ては、その安全管理に万全の注意を払うとともに、協 ●設備のアース、 ボンディング ●帯電防止作業服・作業靴の着用 ●作業時の設備の帯電度測定 ●導電性樹脂による床の塗装 など ●フィルター、 ホースなどの導電化 ソフト面では、 「防災マニュアル」のさらなる充実、 「非定常作業マニュアル」の整備に努めています。 「防 力会社と安全情報を共有するなど、事故や災害の防止 対策を徹底しています。 【化合物・プロセスの危険性評価】 ●熱危険性 ●反応暴走危険性 ●摩擦・衝撃危険性 ●粉塵爆発危険性 など 災マニュアル」と 「非定常作業マニュアル」は、教育、訓 練などに用いるとともに防災技術の継承にも活用し、 事故や災害の防止を推進しています。また、潜在的な リスクマネジメントと情報開示の強化 さまざまな化学物質を取り扱う医薬品メーカーと して、研究開発や生産においてリスク評価に基づいた 管理を行う必要があると考えています。2011年 11月 に、湘南研究所において遺伝子組換え生物等を含む 廃液の漏水事故が発生し、地域住民の皆さまに多大 なご心配をお掛けいたしました。今後このような事故 が発生しないよう、安全面を継続的に点検・検証し、情 報開示に努めてまいります。 関連情報 光消防署との合同防災訓練(光工場) 38 Takeda CSR Data Book 2012 P.18 危機管理 P.40 湘南研究所における防災・安全対策 地震対策の見直しと強化を推進 タケダでは、東日本大震災を教訓として、津波対策 4 台を「エネルギー・防災センター」に設置し、移動電 を含めた防災対策全般の見直しを進めており、2012 源車( 800kW )2 台も導入しました。移動電源車は、 年 7月には、大阪工場に自家発電設備や防災機能を備 大阪工場だけでなく、全社および地域の災害対策とし えた「エネルギー・防災センター」を開設しました。 ての活用も期待できます。また、将来は、風力発電設 備や太陽光発電設備などの導入も想定しています。 エネルギー・防災センター(大阪工場) 災害時における生産用の電力を確保 東日本大震災以降、大阪工場のある関西エリアで 津波や河川の氾濫も想定し、 「地域の防災拠点」としての対応も検討 は、電力供給に関して不安定な状態が続いています。 「エネルギー・防災センター」は、地震による津波や 医薬品の製造においては、厳格に温湿度管理された 河川の氾濫による5.5m の浸水を想定した防潮扉を 施設内で生産や品質試験を行わなければなりません。 備えています。内部には発電機の制御室のほか、化学 停電の発生によって、空調設備が停止してしまえば、 消防車や高所放水車などの特殊車両を納める駐車ス 空調の停止期間のみならず製造環境を完全に保証で ペースと防災倉庫、さらに緊急時に危機管理本部を設 4,000 kW エネルギー防災センター (大阪工場) に設置した ガスエンジン発電機 総発電量 きるまで 生 産 を 再 置できる機能とスペースを確保しています。 開 することは で き 大阪工場は、市街地にある事業所として、地域社会 ず 、製 品 の 安 定 供 との共生を図っています。津波の際の一時避難場所と 給 に 支 障 をきたし して工場内の健康管理センター、食堂などを提供でき ます。タケダは、万 るよう協議を進めています。 一 の 災 害 時にも生 産を継 続し、 「いの ち」に携わる企業と して の 安 定 供 給 の 責 任を果たすため に、ガスエンジン発 エネルギー・防災センター 概要 ●建物面積:約 940m 2 ●延床面積:約 3,800m 2 ●構造・規模:鉄骨鉄筋コンクリート造( 1 階) ・鉄骨造( 2 階以上) 電機( 1,000kW ) 地上 4 階 Takeda’s Voice タイムリーで安定的に医薬品を出荷するために必要なエネルギー供給と、万 が一の災害時にも周辺地域への影響を極力回避する、 という二つの役割を担っ ている「エネルギー・防災センター」の稼働は、タケダイズムに基づく 「誠実」な事 業経営を具現化したものです。将来にわたり、大阪工場における医薬品の安定生 産と供給と地域防災に貢献するシンボルとして、今、工場内外から大きな期待が 寄せられています。 製薬本部 EHS 推進部 EHS 大阪グループマネージャー 大橋 憲彦 Takeda CSR Data Book 2012 39 環境 環境の保全、安全の確保に努めながら、 人々の健康と医療の未来に貢献する創薬を追求します。 湘南研究所における防災・安全対策 2011 年 2 月に竣工した湘南研究所では、建設に あたって神奈川県環境影響評価条例(環境アセス条 ハード面からの未然防止措置の基本的な方針 例)に基づいた環境影響評価を実施して、人の健康 と環境に優しい設計を心がけました。 防災・保安計画については、設備の不良や人為的 ミス、地震災害等への具体的な対応として、 リスク評 価を行い、ハード、ソフトの両面から適切な未然防止 ●建物・施設の地震対策として、堅固な砂岩層を支持層 とする杭基礎とし、建物構造は震度7の地震に対応で きる免震構造を採用しています。 ●使用する研究材料・機材から予測される危険性に適合し た実験機器・設備を設置し、安全性を確保しています。 措置を講じます。地元消防署及び警察署等関係機関 と十分協議した上で、適切な防災・保安体制、従業員 教育及び防災設備の設置等を図っています。また、 第三者を含む客観的な施設・運営の安全性評価がで ソフト面からの未然防止措置の基本的な方針 きる体制を検討しています。 ●各実験機能について、関係法令を遵守した運用規定、 SOP(標準作業手順書)を作成し、実験を行います。 ●予想される危険度に応じた実験操作・実験作業につい て訓練済みの研究者が実験を行うことで、安全性を 確保します。 事故や災害時対策の基本的な方針 巨大地震に備える免震構造を採用 ●動物施設、RI施設、バイオ施設関連や、その他一般法 令に準拠する社内規定を整備しており、その中に事 故や災害時の対応について規定しています。これら 免震装置 「湘南研究所」の詳しい情報は、ホームページで公開しています。 の規定を遵守して対応することで、内外への災害・被 害の拡大を防止します。 http://www.takeda.co.jp/shonan/ 地域の皆さんとの交流 湘南研究所では、より親しみを感じていただけるよ う、楽しいイベントなどを通じて、地域の皆さんとの交 流を深めています。2012 年 4 月には、敷地内の桜広 場エリア、緑地エリア、遊水池エリアを一般開放して、 桜と新緑を楽しむ散策イベントを開催しました。当日 は快晴に恵まれ、約 2,700 名の方々をお迎えして、満 開に近い桜の花見を楽しんでいただきました。 桜と新緑を楽しむ散策イベント 40 Takeda CSR Data Book 2012 湘南研究所における漏水事故の原因と 再発防止策について 湘南研究所では、2011 年 11 月30 日に遺伝子組 換え生物等を含む廃液を、施設内の滅菌室、および免 Q1 A1 施設の外には 漏れていないのですか? 漏出した廃液については、滅菌室床面に外 部に通じる排水口がないこと、免震室の漏 震室に漏出させる事故が発生し、地域住民の皆さまに 出箇所近傍に外部に通じる排水口がないことから、環 多大なご心配をお掛けいたしました。事故発生以来、 境への遺伝子組換え生物等の拡散の可能性はないと 全社一丸となって、事故の原因究明と再発防止策の実 考えています。また、滅菌措置を行った廃液の漏出箇 施に取り組んでおります。その概要は、以下の通りで 所周辺の微生物検査を実施した結果、廃液に含まれて す。タケダは、今回の事故を忘れることなく、こうした いた可能性のある遺伝子組換え大腸菌、遺伝子組換 事故を起こさないよう日々改善を続けてまいります。 えサルモネラ菌、遺伝子組換えバキュロウイルスの生 存は認められませんでした。 したがって、今回の事故に 【事故の経緯】 よる環境への影響はないと考えています。 11月30日、実験滅菌排水原水タンク (以下、廃液タ ンク)から遺伝子組換え生物等を含む廃液が漏出しま した。漏出した廃液は、ほぼ滅菌室内にとどまったもの の、室外の地下免震室にも一部漏出しました。発見後 ただちに、廃液の回収と不活性化措置を講じました。 【事故の主な原因】 遺伝子組換え生物等を滅菌するために地上階に設 Q2 A2 サルモネラ菌が漏れたと 聞きましたが安全ですか? 実験に用いたサルモネラ菌は哺乳動物等 に対する病原性のないことが確認されて いるTA1535 株という種類ですので、人体への影響 はありません。 けた廃液タンクにつながる実験室内の水道栓を閉め 忘れたことによるものです。さらに、廃液タンクから廃 液が溢れた場合の防液堤として機能するはずだった滅 菌室の防水に一部不良があったことが重なって、廃液 の一部が階下の免震室まで漏出しました。 【再発防止策】 Q3 A3 地域住民への説明を どう進めていくのですか? 事故の経緯および原因究明と再発防止策 について、藤沢市・鎌倉市との協定に基づ きご説明するとともに、両市の立入調査時に地域住民 ハード面では、水道栓の撤去や防水加工の強化など の方にも現場をご確認いただきました。加えて、ホー を実施し、 ソフト面では、教育訓練、手順書の再整備に ムページでのご説明や戸別訪問、情報のポスティング 加え、夜間休日であっても緊急時に研究者が速やかに 等により、 ご説明させていただいています。 現場に向かえる体制の整備を実施しました。これらの 対策について、文部科学省ならびに藤沢市、鎌倉市に ご報告いたしました。その後、外部機関による、研究所 全体の安全に関するリスクアセスメントを実施し、課題 については、責任部署、期限を定めて改善に努めてい ます。 事故の詳細は、湘南研究所ホームページでご説明しています。 http://www.takeda.co.jp/shonan/public/ Takeda CSR Data Book 2012 41 環境 CO 2の削減につながる省エネルギー活動を1974 年から計画的に実施。 これからも、長期的視点に立った取り組みを進めます。 [気候変動への取り組み] 地球温暖化防止に関する基本姿勢 タケダ単体CO2排出量の推移 (千トン-CO2) 500 409 タケダは、グループ全体で温室効果ガスの排出量 削減に努めています。1974 年に省エネルギー対策 325 245 250 委員会を設立し、30 年以上にわたって、温室効果ガス 203 204 162 160 ’ 09 ’ 10 の削減につながる省エネルギー活動を進めてきまし た。その実績はアニュアルレポートのほか、CDP ※ 等 0 を通じて、積極的に社会に公表しています。 ※ CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト) :世界中の企業に対して気候変 動への戦略や温室効果ガスの排出量の公表を求めるプロジェクト ’ 90 ’ 07 ’ 08 ’ 11 ’ 20(目標) 年度 集計範囲:タケダ単体の全事業所 タケダグループCO 2排出量の推移 (千トン-CO2) 600 552 中期目標の策定 18% タケダは「武田薬品グループ環境自主行動計画」で、 削減 タケダグループの CO2排出量 2015年度 削減目標 (2005年度比) 407 300 306 331 286 291 ’ 09 ’ 10 目標値を設定しています。 • エネ ル ギ ー 起 源 の C O 2 排 出 量を、2 0 1 5 年 度に 2005年度比で18%削減する。 • エネ ル ギ ー 起 源 の C O 2 排 出 量を、2 0 1 5 年 度に 1990年度比で30%削減する。 • エネ ル ギ ー 起 源 の C O 2 排 出 量を、2 0 2 0 年 度に 1990年度比で40%削減する。 タケダの主要生産拠点 光工場(山口県 光市) Takeda CSR Data Book 2012 440 国内外グループの生産事業所・研究所について、以下の タケダ単体としては、以下の目標値を設定しています。 42 453 484 0 ’ 05 ’ 07 ’ 08 タケダグループ合計(旧ナイコメッド社を除く) 11 ’ ’ 15 (目標) 年度 タケダグループ合計(旧ナイコメッド社を含む) 集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所(タケダ単体は全事業所) 算定方法 ■算定対象 CO 2 排出量は、化石燃料の燃焼による直接排出および電気使用に伴う間接排出を 対象としています。 ■CO2 排出係数 国内の実績については、 「エネルギー使用の合理化に関する法律」に基づいており、 購入電力の CO 2 排出係数は、各年度、各電気事業者ごとの実績値( 2011 年度は前 年度実績)を使用しています。海外の購入電力の CO 2 排出係数は、GHGプロトコル の各国ごとの係数を使用しています。なお、係数変更に伴い、過去のデータを再計算 しています。 26% 削減 2011年度 タケダグループの CO2排出量 (2005年度比) 2011年度実績 討しています。これまでに、タケダ・イタリア・ファルマ タケダは2010∼12 年度を対象とする「第 10 次省 チェウティチ S.p.A. のチェラノ工場や大阪工場、光工 エネルギー計画」を策定し、活動を展開しています。 場などに太陽光発電設備を設置したほか、一部の社 2011年度のタケダ単体のCO2排出量は20万トンで、 宅にも太陽光発電設備を導入しています。 1990年度比で、50%削減となりました。また、タケダ グループの 2011 年度の CO 2排出量(旧ナイコメッド 社を含む)は41万トンで、2005年度比で26%削減と エネルギー管理システムによる 「見える化」を推進 なりました。ナイコメッド社の統合、湘南研究所の本格 タケダでは、各事業所のエネルギー量を収集し、使 稼動、工場における設備増強に伴い、エネルギー使用 用量の増減を確認できる「エネルギー管理システム」 量は増加傾向にありますが、全員参加の省エネルギー を導入しました。データを視覚的に表示することによ 活動を推進し、 できる限りの増加抑制に努めます。 って「見える化」 し、 ムダなエネルギー使用の削減につ なげていきます。また、第三者による「省エネルギー 温室効果ガス排出量検証(GHG検証) 診断」も実施し、効果的な省エネルギー施策の計画・推 大阪工場では 2010 年度に CO 2 排出量に関する 進に活かしています。 第三者検証を受け、排出量の算定方法が適切である ことを確認しました。光工場でも第三者検証を受けて おり、同様の算定方法を用いている他の事業所もあ わせてCO2排出量を適切に把握しています。 生産拠点における燃料転換、 再生可能エネルギー導入 タケダでは、2008 年度に、光工場において重油か ら都市ガスへの燃料転換等を行い、大幅な CO 2 排出 エネルギー管理システム モニター画面 量削減を実現しました。また、再生可能エネルギーの 導入を推進しており、工場、研究所、研修所等に新設 設備を建設する際には、太陽光発電設備の導入を検 Takeda’s Voice 私たちは、 グローバル製薬企業としての責任を果たすために、持続可能な資源 の使用に努めています。汚染物質の排出とエネルギー使用量の削減は、環境の 持続性とコスト削減を目指す取り組みを行っているCCOグローバル事業部の、 優先課題となっています。地熱と木材ペレット技術を使用したカーボンニュート ラルエネルギー回収システムといった、先進的で効率のよい動力設備を他社に 先駆けて導入するなど、取り組みの成果は着実に上がっています。 武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル GmbH 副社長 Barthold Piening Takeda CSR Data Book 2012 43 環境 新興国を含む地域への事業基盤の拡大に伴い、 グローバルな視点での取り組みを強化していきます。 省エネルギーに配慮した設備機器等の導入 2010年度に制定した「設備計画における環境配慮 ガイドライン」に基づき、省エネルギーに配慮した設備 機器・技術等を積極的に採用する取り組みを行ってい ます。具体的には、機器更新時のトップランナー機器 ※ の採用、再生可能エネルギーを利用した設備の導入等 の検討を進めています。 ※空調熱源、照明、OA 機器、自動車などの各々の機器(省エネ法で指定されている 特定機器)において、エネルギー消費効率が現在商品化されている製品のうち最 も優れている機器。 全社横断的な取り組み 2008 年度に開始した、オフィスや営業部門を含め 太陽光発電設備を装備した 大阪工場第九技術棟 大阪工場第九技術棟は、抗体医薬や核酸医薬 をはじめとするバイオ医薬品の製剤技術などを 研究する拠点として、2011 年に誕生しました。 全体のデザインと調 和を図りながら、建物 の正面には太陽光発 電設備を組み込むこ とで 、1 5 0 k W の 発 電量(設備容量)を確 保しています。 たタケダ「エコ」プロジェクトでは、 クールビズ実施によ る室内温度の管理、エコカーの導入、食堂の廃食用油 のバイオディーゼル化など、地球温暖化防止に向けた ざまな省 CO 2技術を導入しており、 「 国土交通省 平成 きめ細やかな取り組みを進めています。 21年度 第1回住宅・建築物省CO2推進モデル事業」に 39 % 営業車の低公害車導入率は、寒冷地仕様の 4WDを 選定されています。 除いて100%となっており、2009年度には、東京都と 全国的な電力不足に対しては、適切な空調温度の徹 2011年度 神奈川県において、営業用社用車として 50 台の電気 底、不要照明の消灯、エレベーターの一部停止などの 自動車を導入しました。順次ハイブリッド車への切り 取り組みを行い、社員への啓発活動を進め、全員一丸 替えを進めており、2011 年度の導入率は 39%とな となって対応しました。今後も、 これら取り組みを継続 っています。 するとともに、照明の LED 化など、ハード面からの対応 また、2011 年 2 月に竣工した湘南研究所は、さま も進めます。 タケダ単体 営業車への ハイブリッド車導入率 武田 44 Pharma Ltda.(旧ナイコメッド社 ブラジル工場) Takeda CSR Data Book 2012 [水資源問題への取り組み] タケダグループ 水使用量/排水量の推移 水使用量の削減を推進 10 (千m3) 10,000 8,598 水資源への需要が拡大するなか、世界各地で水不足 億人 衛生的な飲み水を 利用できない 世界の人たちの数 出典:国連「世界水発展報告書」 (2012年) 7,543 が深刻な問題となっています。2012 年 3 月にフラン スのマルセイユで開催された「第 6 回世界水フォーラ 5,000 ム」では、35,000人を超える人々が集まり、水資源問 題への解決策が話し合われました。タケダでは、 このよ うな状況を踏まえて、国内外グループの生産事業所・研 究所において水資源の再利用施設を導入するなど、水 使用量の削減に取り組んでいます。 0 ’ 07 ’ 08 使用量 ’ 09 ’ 10 ’ 11 年度 排水量 集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所 エリア別水使用量( 2011年度) タケダでは、従来、水使用量の多くを国内の事業所 集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所 が占めており、水リスクの大きな事業所はないと認識 アジア してきましたが、ナイコメッド社の統合に伴い、約 70ヵ 欧州 4% 米州 3% 8% 国に広がった進出地域において、エリアごとに水使用 に関する実態把握に努めています。現在のところ、水リ スクの大きな増大はないと考えていますが、アジアな どの事業所については、潜在リスクの高い地域に立地 日本 85% していると認識しています。 世界における年間1人当たりの水資源量 2010年度までのタケダの生産拠点 旧ナイコメッド社の自社製造工場/合弁会社による生産拠点 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 (m3/年) 国連食糧農業機関(FAO)のデータベース「AQUASTAT2008」より作成 Takeda CSR Data Book 2012 45 環境 タケダは、生物多様性の問題を早くから重視し、 着実な取り組みを進めています。 [生物多様性への取り組み] 京都薬用植物園 生物多様性に関する基本姿勢 1933年から、薬用・有用植物の研究を続け タケダでは、 「武田薬品グループ環境自主行動計 画」に生物多様性に関する内容を記載し、生物多様性 条約の目的を踏まえて、部門ごとに取り組みを進めて います。 生物資源の持続可能な利用への取り組み タケダは、製品の生産原料として、また研究開発過 程での間接的な利用も含めて、生物資源を利用して います。生産原料としては、一般用医薬品の漢方・生 薬製品に生薬を使用しています。主に栽培品が中心 ですが、一部、野生品の生薬も利用しています。野生 品については、安定的な調達のために栽培品への切 り替えを検討しており、生物多様性の保全につながる ものと認識しています。また、研究開発過程において も、遺伝資源を利用する場合は、生物多様性条約に対 して、十分配慮した活動を進めています。今後も、 タケ ダは、グローバルな連携をさらに強化しながら、生物 多様性に配慮した誠実な活動を推進していきます。 絶滅危惧種の保全に寄与しています 京都薬用植物園は、80 年近くにわたって、世界各 保有率 地から薬用・有用植物を収 63.7% 集・活 用してきました。現 絶滅危惧植物 1,690種のうち 1,076種を保有 在、2,690 種を超える植 物 を 栽 培 し て お り 、約 500 種の種子を貯蔵して います。 日本の植物園における 「絶滅危惧植物」の保有率 (2011年度) 社団法人日本植物園協会では、 「 植物多様性保全拠 点園ネットワーク」を構築して生物多様性保全の問題 に取り組み、2011 年度には、日本の絶滅危惧植物の 63.7%(1,076種)の保有を達成しています。京都薬 用植物園は、 「植物多様性保全拠点園ネットワーク」の 一端を担う施設として、その活動に寄与してきました。 現在、絶滅危惧種 101種(薬用植物68種)を保有して おり、薬用植物の絶滅危惧種については 100 種を目 指して収集を続けています。また、京都薬用植物園が 生薬の利用状況 野生品の比率 (使用量) 2009年度 2010年度 2011年度 20.8% 20.3% 20.2% 中心となって作成した、全国の薬用植物園が所有する 希少種のリストを活用し、植物園同士で希少種を融通 しあうなどの取り組みも行っています。 生物多様性条約の目的 ①生物多様性の保全 ②生物資源の持続可能な利用 ※ ③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS) 生物多様性に関する全社方針(環境方針) 生物多様性に関する各部門の課題 研究部門 調達部門 生産部門 京都薬用植物園 ライブラリー利用時の配慮 CSR 購買ガイドラインへの「生物多様性の配慮」の織り込み 生薬原料について、栽培品比率増加の検討 生産活動における環境負荷の低減 薬用植物を中心とした絶滅危惧植物種の保全 ※生物の遺伝資源をもとに、医薬品などを開発して利益が出た場合、その利益を遺伝資源を提供した国にも公平に分配する仕組み。 46 Takeda CSR Data Book 2012 アイの生葉染め体験(わくわく自然ふれあい隊) 植物を観察する子どもたち(わくわく自然ふれあい隊) グローバル製薬企業に相応しい 薬用植物園として、新たな活動を推進 子どもたちの環境教育支援活動 「わくわく自然ふれあい隊」 京都薬用植物園では、創立 75 周年を機に園内整 2011 年 4 月から12 月まで、近隣の小学校の生徒 備を進めてきましたが、2010 年 10 月に、事務棟と とその保護者を対象とした全6回シリーズのプログラ 研修棟が完成し、薬用植物の保全と教育支援を推進 ム「わくわく自然ふれあい隊」を開講しました。この取 する施設として、新たなスタートを切りました。今後 り組みは、子どもたちが植物の栽培、収穫、加工を体 は、薬学の教育実習の積極的な受け入れなども計画 験しながら、植物が「人の生活になくてはならない存 しています。 在」、 「 薬づくりの原点」であることに気づいてもらうこ とを目的としたものです。ワタやゴマの世話をしたり、 アイの生葉染め体験を楽しんだりと、多彩なプログラ ムを提供し、好評を博しました。 第2回いきものにぎわい企業活動コンテストで (社)日本アロマ環境協会賞 受賞 京都薬用植物園は、2011 年 10 月 14 日に、 「第 2 回いきものにぎわい企業活動コンテスト」において、 薬用植物を中心とした植物保全活動と「わくわく自然 中央標本園 京都薬用植物園で保有している「絶滅危惧種」の一例 101 ふれあい隊」における教育支援活動が評価され、 「社 団法人 日本アロマ環境協会賞」を受賞しました。この 種 賞は、生物多様性の保全や持続的な利用などの優れ 2011年度 た活動を実施している企業などに贈られます。 京都薬用植物園で 保有している 絶滅危惧種 ホームページで、 「京都薬用植物園」の詳細をご紹介しています。 ムラサキ オニバス http://www.takeda.co.jp/kyoto/ Takeda CSR Data Book 2012 47 環境 循環型社会の創出に向けて、 廃棄物削減に積極的に取り組んでいます。 [廃棄物削減] 廃棄物削減に関する基本姿勢 で目標を達成し、それ以降もゼロエミッションを継続維 タケダグループにおける廃棄物削減の基本姿勢は、 持しています。 廃棄物発生量を削減することに加え、事業所内での有 効利用と減量化を図るとともに、社外での再資源化を 促進し、最終処分量を削減することです。これによっ て、循環型社会の形成への貢献を目指しています。 」で 「ネットシェアリングシステム (The EARTH) リユース活動の拡大を図っています ネットシェアリングシステム ( The EARTH )とは、事務用 第5次削減活動を推進しています 7% 増加 2011年度 タケダグループ国内の 廃棄物最終処分量 (2010年度比) 主な増加理由: 湘南研究所への 移転作業に伴う増加 事務用品リユースキャンペーン (大阪工場) 品、什器備品などの消耗品お タケダは、1993 よび生産機器・分析機器を対 年度から継続して廃 象として、それらが不要な部門と必要な部門をイント 棄物削減活動を推進 ラネットを通して仲介するシステムです。 リユース活動 してきました。2011 のさらなる促進を図るために、2010 年 6 月に導入し 年度より、 「 2015 年 ました。2011 年度は、事務用品をはじめ、作業服やキ 度の廃棄物最終処分 ャビネットなど、1,600件、32,000点以上のリユース 量を2010 年度レベ が行われました。 ル以下に抑制する」ことを目標として、第 5 次削減活動 をスタートし、全社にわたり廃棄物の排出抑制、廃棄物 の有価化などによる再利用促進、再資源化を推進して います。 躍動感のあるデザイン、機能性とともに、環境への配 などにより廃棄物削減に努めましたが、湘南研究所移 慮を行っていることが、新ユニフォームの大きな特徴 転作業に伴う廃棄物の増加によって、タケダ単体の最 となっています。リサイクルエコ素材原料が一部使 終処分量は56トン( 2010 年度比 17% 増加) となりま 用され、使用済みの時には、焼却処分することなく防 した。国内グループの最終処分量は562トン (2010年 度比7%増加)でした。 水シート・軍手などにリサイクルされ、1着あたり2kg の CO 2 発生量を削減することができます。また、カ ーボンオフセットの仕組みを取り入れ、ユニフォーム なお、大阪工場、光工場で取り組んでいるゼロエミッ の生産および輸送の際に発生するCO 2は京都メカ ション活動は、2009年度に当初の予定から1年前倒し ニズムクレジットにより相殺されています。 廃棄物発生量・排出量・最終処分量の推移 (千トン) 80 56 40 19 0 1.2 ’ 07 発生量 ’ 08 排出量 ’ 09 ’ 10 最終処分量 集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所 廃棄物:一般廃棄物、産業廃棄物、有価物の合計 Takeda CSR Data Book 2012 タケダでは、2011 年、創業 230 周年を機に、研 究・生産現場の新たなユニフォームを採用しました。 2011年度については、ゼロエミッション活動の推進 48 環境に配慮した新ユニフォームの採用 ’ 11 年度 2011年度廃棄物処理の流れ (単位: トン) 発生量 排出量 41,767 16,922 直接最終処分 社内中間処理 社外中間処理 直接再資源化 81 25,698 6,560 9,831 社内減量化 処理後社外処理 減量化 24,846 404 4,018 処理残渣 処理残渣 853 2,542 処理後処分 処理後再資源化 処理後処分 処理後再資源化 101 348 380 2,162 最終処分量 再資源化量 562 12,342 廃棄物発生量・内訳の推移 (単位: トン) 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 汚泥 17,119 24,189 28,224 21,513 22,360 廃油 9,594 9,609 10,905 5,337 4,706 22,239 12,313 10,875 9,970 9,843 廃プラスチック類 776 694 690 754 840 金属くず 738 746 708 645 823 ガラス・陶磁器くず 990 1,162 923 875 842 その他産業廃棄物 1,906 1,792 1,698 1,636 1,595 一般廃棄物 1,043 872 741 600 760 54,406 51,378 54,763 41,330 41,767 廃酸・廃アルカリ 合計 集計範囲:タケダグループ国内の生産事業所・研究所 Takeda CSR Data Book 2012 49 環境 化学物質排出量の削減に努めるとともに、 タケダグループ全体で、大気・水質・土壌の保全に取り組んでいます。 [化学物質排出量の削減] 化学物質管理に関する基本姿勢 ホルムアルデヒドの削減 タケダでは、2010年度に策定した武田薬品グルー ホルムアルデヒドは、製剤工程の無菌化等に使用し プ環境自主行動計画において、 「化学物質の環境へ ています。タケダでは、工場における環境・労働安全リ の排出量削減に努める。削減にあたっては、 リスク評 スクを軽減するため、代替物質の採用などによるホル 価に基づき、優先的に削減を検討する」、 「 PCB 、アス ムアルデヒドの使用量削減に取り組んでおり、2011 ベストは、法規制に従い、計画的に適正処理する」と 年に竣工した大阪工場第九技術棟では、代替物質と いう方針を掲げ、化学物質の適正管理に取り組んで して過酸化水素を用いた施設を新設しました。 います。 PRTR対象物質 取扱・排出・移動量の推移 (トン) PRTR対象物質の排出量・移動量について 17% 8,000 6,539 タケダ単体の 2011 年度の PRTR 届出対象物質は 増加 2011年度 タケダグループ国内の PRTR届出物質 大気排出量 (2010年度比) 主な増加理由: 光工場生産量の増加 10 物質で、大気への排出量は17トンと、2010 年度 の12トンに対し42%増加しました。光工場における生 6,000 4,000 産量の増加に伴い、ジクロロメタンの排出量が増加し 2,155 たことが主な要因です。国内グループ全体では 89 物 2,000 質で排出量は58トン (対前年16%増)、そのうち大気 0 への排出量は56トン(対前年 17% 増)でした。引き続 58 ’ 07 取扱量 き、 リスク評価に基づいた化学物質の環境リスク低減 ’ 08 排出量 ’ 09 ’ 10 ’ 11 年度 移動量 集計範囲:タケダグループ国内の生産事業所・研究所 に向けて、取り組みを進めています。 PRTR対象物質データ集計(2011年4月∼2012年3月) (単位: トン) 排出量 対象化学物質 大気 公共用水域 土壌 合計 トルエン 22.8 0.0 0.0 22.8 0.0 68 68 ジクロロメタン 13.8 0.0 0.0 13.8 0.0 138 138 1,2-ジクロロエタン 8.3 0.0 0.0 8.3 0.0 9.9 9.9 アセトニトリル 5.1 0.0 0.0 5.1 0.0 118 118 ノルマルヘキサン 2.2 0.0 0.0 2.2 0.0 103 103 ホルムアルデヒド 1.9 0.2 0.0 2.1 0.0 0.0 0.0 亜鉛の水溶性化合物 0.0 1.2 0.0 1.2 0.0 0.0 0.0 N,N-ジメチルアセトアミド 1.0 0.0 0.0 1.0 0.0 75.6 75.6 集計範囲:タケダグループ国内の生産事業所・研究所 排出量合計が1トン以上の物質を掲載。 50 Takeda CSR Data Book 2012 移動量 下水道 事業所外 合計 [大気・水質・土壌の保全] 大気・水質・土壌の保全に関する基本姿勢 タケダは、国内外のグループ各社の各事業所におい て法規制値、条例や地域協定値よりも厳しい社内基準 値を設定し、NOx・SOx・ばいじん排出量、COD(化学的 酸素要求量)の削減を進めています。定期測定で社内 基準値を上回る項目が発見された場合は、 「武田薬品 グループ環境防災業務基準」に則って、必要な措置を 講じ、原因を究明して、改善処置を行います。騒音や悪 臭についても定期的な測定を実施し、近隣の方々の生 活、環境に配慮しています。 Limited グレンジキャッスル工場 汚染防止への取り組み 武田アイルランド タケダでは、土壌・地下水汚染の防止のために「土壌・ の敷地内 2ヵ所で土壌汚染が確認されましたが、周辺の 地下水汚染対策指針」に基づいた管理を行っており、各 環境に影響を及ぼすものではありませんでした。これに 事業所では、定期的な地下水のモニタリングを行い、問 つきましては、指針に基づいた対策を進めています。 題のないことを確認しています。2011 年度に光工場 評価指標による活動の検証 SOx/NOx排出量の推移 SOx NOx (トン)500 LIME ※ LIMEとは、日本の国家プロジェクトとして開発され 287 た環境影響評価法で、二酸化炭素、廃棄物、化学物質 250 など、さまざまな環境への影響を総合的・定量的に評 105 価する手法です。検証の結果、 これまでタケダで実施 0 ’ 07 ’ 08 ’ 09 ’ 10 ’ 11 年度 してきたエネルギー転換や化学物質排出量の削減、 廃棄物の削減などの施策により、2007 年度を100 ばいじん排出量の推移 とした指標は2011 年度には35となり、環境影響が (トン)50 大きく低減されたことが確認できました。 ※Life-cycle Impact assessment Method based on Endpoint 26 modeling 25 MFCA(マテリアル・フロー・コスト会計) 0 ’ 07 ’ 08 ’ 09 ’ 10 ’ 11 年度 MFCAとは、企業の製造工程等における環境負荷 低減とコスト削減の両立を図るための管理会計手法 COD負荷量の推移 としてドイツで開発され、日本が主導して国際標準化 (トン)1,000 されたものです。製造工程等で発生する廃棄物や不 良品のロスを「負の製品」 としてコスト認識する点に特 徴があります。タケダの 2011 年度の成果としては、 500 270 0 ボイラーの蒸気圧力低減や自燃性廃油有価化によっ て環境負荷の低減とコスト削減につながっています。 ’ 07 ’ 08 ’ 09 ’ 10 ’ 11 年度 集計範囲:タケダグループの国内外生産事業所・研究所 Takeda CSR Data Book 2012 51 環境 生産事業所・研究所の周辺環境の保全に努め、 住民の方々との交流活動にも取り組んでいます。 [環境コミュニケーション] 日本における活動 ■大阪工場 大阪工場では、ボランティア清掃活動を積極的に行 っており、大阪市一斉清掃「大阪マラソン “クリーンUP” 作戦」にも参加しました。周辺住民の方を対象とした 「タケダ園芸教室」や「納涼の夕べ」なども継続して開 催しています。また、環境保全をテーマとした映画を社 内で上映するなど、従業員の環境意識の向上を促進す 大阪マラソン “クリーンUP” 作戦 る取り組みなども進めています。 ■光工場 光工場においても、継続的に周辺地域のボランティ ア清掃活動や従業員向けの環境映画上映を行っていま す。また、2011年度も、タケダ夏まつりでの工場開放 やイベントなどを行い、地域住民の方々と楽しい交流の ひとときを過ごしました。その他、地元漁協の方を工場 タケダ夏まつり (光工場) にお招きし、意見交換などを行う機会を設けています。 ■湘南研究所 湘南研究所では、藤沢・鎌倉両市と締結した環境保 全協定に基づき、地域の方々を含む連絡会等を定期 的に開催し、意見交換・情報開示に努めています。ま た、近隣の一斉清掃日前後にボランティア清掃を実施 し、さらには敷地内に藤沢市の木であるクロマツや、 地域独自の桜である玉縄桜を植樹しています。 850 約 人 制度開始5ヵ月の間に タケエコポイントを 申請した人数 玉縄桜の植樹(湘南研究所) 従業員と、その家族のエコ活動をバックアップ。 「タケエコポイント制度」 タケダでは、2012 年 4 月に、従業員とその家族のエコ活動に対してポイントを 付与する「タケエコポイント制度」をスタートしました。 「環境イベントに参加する」 「緑のカーテンを育てる」 「エアコンを適正温度に設 定する」など、さまざまな日常のエコ活動が対象となり、社内ホームページからポイ ント申請する仕組みとなっています。たまったポイントは、エコ商品に交換すること ができ、エコ活動へ寄付することもできます。この制度を通じて、社員一人ひとりの 環境意識を醸成し、エコ活動の輪が家庭にも広がっていくことを期待しています。 ® タケエコポイント応援キャラクター たけえこさん 52 Takeda CSR Data Book 2012 海外における活動 ■武田カリフォルニア Inc. 武田カリフォルニア Inc.では、2011 年 6 月にオー シャンビーチで行われたサンディエゴ・リバーパーク 基金の清掃活動に参加しました。カリフォルニアの美 しい海岸砂丘や湿地帯は、開発のために危機に瀕して おり、生物多様性保全に役立つことを願って活動に取 り組みました。 オーシャンビーチでの清掃活動(武田カリフォルニア Inc.) [環境モニター] タケダでは、光工場、大阪工場および湘南研究所に おいて周辺住民の方に「環境モニター員」になってい ただき、工場の騒音、臭気などに関する調査をお願い しています。環境モニター員や近隣の方からのご意見 には、きめ細やかに対応するとともに、環境モニター 員を対象とした工場見学会なども開催しています。 工場見学会(大阪工場) [環境会計] 環境保全コスト タケダは 1980 年度から環境保全コストの投資額 (単位:百万円) や費用額を把握・管理しています。国内グループの事 分類 業エリア内コスト、上・下流コスト、管理活動コストの 公害防止コスト 事業エリア内コスト 地球環境保全コスト 集計結果は右記の通りです。2011 年度の環境保全 資源循環コスト コストの投資額は約 17 億円、費用額は約 31 億円で した。投資額では、環境保全設備の老朽機器の更新 上・下流コスト などがその多くを占めています。なお、老朽化設備 管理活動コスト の更新、耐震工事など防災の取り組みとして、約 28 合計 億円の防災対策設備投資を行いました。また、タケ ダにおける省 エネ ル ギ ーに伴う経 済 効 果 は約 1 億 1,700 万円でした。 投資額 費用額 562 904 204 1,243 184 1,106 29 14 561 1,684 3,123 ●対象期間:2011年4月1日∼2012年3月31日 ●集計範囲:タケダグループ国内の生産事業所・研究所 ●参考ガイドライン:環境省「環境会計ガイドライン2005年版」 日本化学工業協会「化学企業のための環境会計ガイドライン」 Takeda CSR Data Book 2012 53 環境 生産段階における環境負荷の抑制を重視し、 諸政策を実施しています。 [タケダグループ事業活動に伴う環境負荷] ● PRTR 対象物質 取扱量 ●エネルギー投入量 総エネルギー投入量 (原油換算量) 9,275 百万MJ 239,297 kL PRTR対象物質 6,539 トン 取扱量合計 [主なエネルギー源] 購 入 電 力 重 油 軽 油 都 市 ガ ス 462,578 6,742 956 90,401 MWh kL kL 3 千m ●原料(中間体)投入量 主な原料(中間体) 投入量合計 ●包装材投入量 ●水資源投入量 上 水 工 業 用 水 地 下 水 3,663 千m3 4,413 千m3 522 千m3 研究 開発 ば い じ ん PRTR 対象物質 C O D 全 リ ン 全 窒 素 PRTR 対象物質 10,512 トン (容器包装リサイクル法に基づく特定容器包装利用量) 製 品 ●廃棄物等の排出 407 千トン-CO2 105 トン 287 トン 26 トン 56 トン 再 資 源 化 量 31,345 トン 1,187 トン 21,708 トン 使用済容器包装 3,086 トン 排 出 量 最 終 処 分 量 (容器包装リサイクル法に基づく再商品化義務量) ●輸送に伴う環境負荷量 ●水域への排出 排 水 量 容器包装 利用量合計 生 産 ●大気への排出 CO2 SOx(硫黄酸化物) NOx(窒素酸化物) 6,078 トン 7,491 千m3 270 トン 5 トン 30 トン 1.4 トン CO 2 排 出 量 製 品 輸 送 量 7,799 トン-CO2 66,983 千トン・キロ 環境データ集計方法 ●集計期間:2011年4月1日∼2012年3月31日 ●集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所。エネルギー、CO2 はタケダ単体の本社、営業所等を含む。ただし、PRTR 対象物質、全リン、 全窒素、輸送に伴う環境負荷量については、国内の生産事業所・研究所。原料(中間体)投入量については、 タケダ単体の生産事業所。 54 Takeda CSR Data Book 2012 [サイトからのメッセージ] Takeda’s Voice 武田ファーマシューティカルズUSA Inc. イリノイ州ディアフィールドにある当社の社屋は、サステナビリティ (持続可能性) を最大化する設計となっています。一般的な工法と比べ、エネルギー使用量を18% 以上削減しており、米国グリーン・ビルディング・カウンシルのLEED認証でゴールドの 格付けを受けています。環境に対して正しく行動することは、大きな充実感を与えて くれます。私たちは、 これからもサステナビリティを重視して、努力を続けていきます。 基本的な考え方として「持続可能な未来のためのビル」を掲げ、今後も環境意識向 上とサステナビリティへの取り組み拡大に向けて、敷地内のグリーン化キャンペーン を積極的に進めていきます。 総務部 シニア・ディレクター Susan Hall ナイコメッド GmbH CCOグローバル事業部では、世界 15ヵ国、21 生産拠点のネットワークを有して おり、タケダのサステナビリティに関する目標達成のため、各工場の日々の業務の一 部でもある環境、健康、安全管理システムを標準化しています。廃棄物削減と貴重な 資材のリサイクル化に取り組んでおり、全ての国や工場で従業員自らが小さな改善 を積み重ねています。 しかしまだ改善すべき余地はあります。これからも、原材料と 自然資源を効率的に使用し、省エネルギーへの取り組みと大気中への排出や排水量 削減の努力を続けることで、将来的に、私たちのエコロジカル・フットプリントをさら に減らすことができると思います。 安全、健康、環境部 アソシエイト・ディレクター Gabriel Agostini 日本製薬株式会社 日本製薬株式会社大阪工場は、大阪府南部に位置する泉佐野市の食品コンビナー トの中にあります。食品コンビナートの近くには関西国際空港があり、周辺は大阪湾 に面しています。 気候は温暖で比較的降水量も少なく、古来より自然災害の少ない地域ではありま すが、南海トラフにおける巨大地震・津波の発生が想定され、昨年の東日本大震災を 踏まえて、防災対策の見直しを進めています。近隣会社とも協力して、 まずは人命の 安全を第一とした「避難」を中心とするソフト対策を講ずるとともに、長期的な視野に 立った施設・設備等の減災対策を推進していきます。 大阪工場 工場長 太田 守 Takeda CSR Data Book 2012 55 環境 タケダグループ全体でデータを把握し、 環境負荷抑制に向けたグローバルな取り組みを進めています。 [サイトデータ] タケダ単体の生産事業所・研究所合計 資源投入量 総エネルギー投入量 環境負荷量 4,573 百万MJ CO2排出量 廃棄物発生量 [主なエネルギー源] 購入電力 重油 都市ガス 水使用量 175,906 1,718 61,159 4,883 MWh kL 千m3 千m3 廃棄物排出量 廃棄物最終処分量 SOx NOx 204,178 9,552 6,173 56 3 134 トン ばいじん トン COD トン 全リン トン 全窒素 4 92 4 27 トン 13 18 1 2 トン トン トン トン トン トン 単体を除く国内タケダグループの生産事業所・研究所合計 資源投入量 総エネルギー投入量 環境負荷量 1,629 百万MJ CO2排出量 廃棄物発生量 [主なエネルギー源] 購入電力 重油 都市ガス 水使用量 81,743 3,874 11,184 2,386 MWh kL 千m3 千m3 廃棄物排出量 廃棄物最終処分量 SOx NOx 71,634 32,215 10,749 506 31 94 トン ばいじん トン COD トン 全リン トン 全窒素 131,381 14,606 14,424 625 71 60 トン ばいじん トン COD 53,719 1,656 1,634 13 0.08 15 トン ばいじん トン BOD トン 全リン トン 全窒素 トン トン トン トン トン 海外タケダグループの生産事業所・研究所合計 資源投入量 総エネルギー投入量 環境負荷量 3,073 百万MJ CO2排出量 廃棄物発生量 [主なエネルギー源] 購入電力 重油 都市ガス 水使用量 204,930 1,150 18,058 1,328 MWh kL 千m3 千m3 廃棄物排出量 廃棄物最終処分量 SOx NOx 9 トン 160 トン トン トン トン トン タケダ単体のサイトデータ ■大阪工場 資源投入量 総エネルギー投入量 環境負荷量 1,419 百万MJ CO2排出量 廃棄物発生量 [主なエネルギー源] 購入電力 重油 都市ガス 水使用量 84,150 0 13,206 1,388 MWh kL 千m3 千m3 廃棄物排出量 廃棄物最終処分量 SOx NOx PRTRデータ (単位:トン) 大気 アセトニトリル 0.20 0.021 0.015 0.016 0.071 0.17 ジクロロメタン N,N-ジメチルホルムアミド ダイオキシン類 (mg-TEQ) トルエン ノルマルヘキサン 56 Takeda CSR Data Book 2012 トン トン トン トン トン トン 排出量 物質名 0.1 29 1 4 移動量 公共用水域 土壌 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 合計 下水道 0.20 0.021 0.015 0.016 0.071 0.17 0.010 0.0015 0.10 0 0.0004 0 事業所外 13 1.0 1.4 0.19 7.0 11 合計 13 1.0 1.5 0.19 7.0 11 ■光工場 資源投入量 環境負荷量 1,758 百万MJ 総エネルギー投入量 CO2排出量 廃棄物発生量 [主なエネルギー源] 購入電力 重油 都市ガス 水使用量 MWh kL 千m3 千m3 18,436 1,709 32,841 3,032 廃棄物排出量 廃棄物最終処分量 SOx NOx PRTRデータ (単位:トン) 89,112 7,208 3,852 0 3 118 トン ばいじん トン COD トン 全リン トン 全窒素 大気 アセトニトリル ジクロロメタン N,N-ジメチルアセトアミド N,N-ジメチルホルムアミド ダイオキシン類(mg-TEQ) トリエチルアミン トルエン ノルマルヘキサン ホルムアルデヒド 1-メチル-1-フェニルエチル=ヒドロペルオキシド 0.59 13 0 0 0.000024 0 1.4 0 1.6 0 公共用水域 トン トン トン トン トン トン 排出量 物質名 4 63 2 19 移動量 土壌 0 0 0 0 0.00031 0 0 0 0.23 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 合計 0.59 13 0 0 0.00033 0 1.4 0 1.8 0 下水道 事業所外 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1.1 94 0 0 2.0 0 0 0 0 0 合計 1.1 94 0 0 2.0 0 0 0 0 0 ■湘南研究所 資源投入量 環境負荷量 1,199 百万MJ 総エネルギー投入量 CO2排出量 廃棄物発生量 [主なエネルギー源] 購入電力 重油 都市ガス 水使用量 59,262 9 14,017 439 MWh kL 千m3 千m3 廃棄物排出量 廃棄物最終処分量 SOx NOx PRTRデータ (単位:トン) 大気 アセトニトリル 0.13 0.011 0.31 ノルマルヘキサン トン ばいじん トン BOD トン 全リン トン 全窒素 0 8 1 4 トン トン トン トン トン トン 排出量 物質名 N,N-ジメチルホルムアミド 53,671 567 567 11 0 0 移動量 公共用水域 土壌 0 0 0 0 0 0 合計 0.13 0.011 0.31 下水道 事業所外 合計 0 0 0 8.4 1.1 20 8.4 1.1 20 タケダグループの環境活動に対する専門家のご意見 ナイコメッド社を統合して後、 グローバルEHS 方針を策定しグループ全体に展 開されていること、 グローバルな環境マネジメント体制下に旧ナイコメッド社を含 め、速やかに集計開示対象に組み込まれたこと、さらに湘南研究所での漏水事故 に関する詳細な報告の実践などが、優れた環境経営として評価できる点です。東 日本大震災を教訓とする各種防災・安全対策も具体的な報告となっています。 企業価値創造につながる環境経営視点からの期待として、将来への見通し記 述を充実させるとさらによいと思います。グループ CO 2 排出量推移に関して、 2015年度目標を既に達成されていますが、2011年度以降、日本国内の各電気 事業者の CO 2 排出係数が増加することも予想されます。このような外部環境変 化を勘案したうえでの達成見通しが、その一例として考えられます。 (株)サステナビリティ会計事務所 代表取締役 福島 隆史 氏 Takeda CSR Data Book 2012 57 公正な事業慣行 「企業価値創造」に向けて タケダ贈収賄禁止グローバルポリシーの策定 タケダでは、全従業員がさらに高い倫理観を持って日々の業務に取り組む ために、2011 年に「タケダ贈収賄禁止グローバルポリシー」を策定しました。 当ポリシーについては、各国において、現地の贈収賄禁止法を踏まえた従業員 の理解促進を図っており、ビジネス活動を進めるなかで、贈収賄行為に対して どのような小さな行為も容認しないことを徹底しています。日本では、国公立 の医療施設を担当する従業員や取引先との業務を担当する従業員など関係 従業員を対象に当ポリシーに関するe-ラーニングを実施しました。 6,718 2011年度 日本における贈収賄防止e-ラーニング受講者数 人 [公正な事業活動に向けて] グループ全体で公正な事業活動を進めます 業界全体の公正な事業慣行を促進 BSR タケダグループ全体のコンプライアンスの基本ル タケダは、日本製薬工業協会・品質委員会などを通 BSR( Business for Social Responsibility)は、1992年 に米国で発足した CSR に関す ールである「タケダ・グローバル行動規準」では、 「誠 じて、公正な事業慣行に関する業界全体の取り組み 実・公正な事業活動」という項目を設けています。 を促進するよう努めています。また、CSRに関する国 その項目において、 「患者さんの安全はタケダに 際的な企業会員組織「 BSR 」に加入しており、BSR の とって最も優先される事項」であることをはじめに明 会 員 となって い る 世 界 的 製 薬 企 業 で 構 成 さ れる 記し、研究開発、製造、保管、流通および市販後の諸 Healthcare Working Groupに参加し、グローバル 活動を通じて、製品の安全性および品質の確保に関 な連携を図っています。 する法令を遵守するよう定めています。さらに、事業 さらにタケダでは、2011 年 1月より、国連グローバ 活動を行う全ての国における、プロモーションコード ル・コンパクトの「LEADプログラム」のメンバーとして、 る国際的な企業会員組織。会 員企業に対して、さまざまな情 報提供や活動の支援を行って います。 の遵守、汚職・贈賄の禁止、公正かつ自由な競争など に関する指針を具体的に示しています。 また、環境保全、知的財産の尊重などについての 項目も記載しています。タケダグループの全ての役 員および従業員は、タケダ・グローバル行動規準を理 解し、日々の業務において遵守・実践することが求め られます。 関連情報 58 [業界における取り組み] Takeda CSR Data Book 2012 P.17 コンプライアンス P.64 知的財産 P.68 品質保証体制 「人権」 「労働」 「環境」 「腐敗防止」からなる10 原則の 実践と普及をリードする活動を推進しています。 関連情報 P.4 国連グローバル・コンパクト [透明性に関する指針] [汚職防止] タケダ・グローバル行動規準に則して、 医療機関並びに医療関係者の皆さまの 汚職・贈賄の禁止を徹底します ご協力をいただき、企業活動と医療機関等の ISO26000 では、公正な事業慣行における第一 関係の透明性・信頼性向上に努めます。 の課題として「汚職防止」をあげ、汚職は組織の有効 新薬の研究開発から製造販売に至る全ての段階 性や倫理的評価を損なうだけでなく、人権侵害、社 で、製薬企業と医療機関・医療関係者との連携は不可 会の貧困化、環境破壊などの問題を引き起こす可能 欠なものとなっています。その透明性を確保していく 性があると指摘しています。 ことで、製薬企業が医学・薬学をはじめとするライフサ タケダでは、 タケダ・グローバル行動規準に「汚職・贈 イエンスの発展に寄与していること、および、その活 賄の禁止」についての指針を明記し、公務員、外国公 動は高い倫理性を担保したうえで行われていることに 務員および民間の従業員に対する賄賂(金銭、物品、 ついて、広く理解を得ることが重要となります。すでに 接待、贈答、その他の利益を含む)の提供を厳しく禁じ 海外はもとより我が国においても、文部科学省、厚生 ており、 「タケダ贈収賄禁止グローバルポリシー」によ 労働省、日本医学会等で利益相反マネージメントへの ってより具体的な行動方針を定めています。 取り組みが進んでいることから、日本製薬工業協会で は、2011年に「企業活動と医療機関等の関係の透明 「タケダ・グローバル行動規準」における 汚職防止 関連項目(抜粋) 性ガイドライン」を策定しました。タケダは、 このガイド ラインを参考として、武田薬品「企業活動と医療機関 ■誠実・公正な事業活動より 等の関係の透明性に関する指針」 ( 透明性に関する指 汚職・贈賄の禁止 私たちは、公務員および外国公務員に対する贈賄を 針)を策定しました。医療機関等への資金提供に関す 禁止する法令を遵守します。 る情報の公開は、2013年度から実施します。 武田薬品「企業活動と医療機関等の関係の 透明性に関する指針」 ( 抜粋) 「タケダ贈収賄禁止グローバルポリシー」 方針/基本原則(抜粋) 武田薬品工業株式会社(以下、当社)は、高い倫理性 タケダは、タケダ従業員によるか、タケダのために 行動する「第三者」によるかを問わず、あらゆる贈収 賄行為を禁止しています。とりわけ、タケダ従業員 およびタケダのために行動する「第三者」は、次の行 が求められる生命関連産業の一員として、医学・薬学 をはじめとするライフサイエンスの研究、実用化、お よび医薬品の適正使用の普及に不可欠な医療機関 等との関係の透明性を高め、社会からさらに高い信 頼を得られる企業となることを目指し、本指針に基 為をしてはなりません。 • 不当な利益を得、または取引を獲得・維持するために • 相手方の作為・不作為または意思決定に、影響を及ぼ づき、医療機関等への資金提供に関する情報を公 開します。 公開の時期および方法 し、誘引し、 またはそれらへの見返りとする目的で • 金銭その他の利益を、直接または間接に、公務員を 各年度における医療機関等への資金提供に関する 含む個人に対して、提供することを申し込み、約束し、 情報を、当該年度の決算確定後に当社のウェブサイ もしくは承認し、 または自ら受け取ること。 ト等を通じて公開します。 「透明性に関する指針」を、 ホームページに掲載しています。 http://www.takeda.co.jp/csr/policies/article_47824.html Takeda CSR Data Book 2012 59 公正な事業慣行 グループ全体で公正な事業活動を進めるとともに、 お取引先へも CSR の実践を働きかけています。 [公正なプロモーション活動] 指針をグループ各社に対しても示しており、各国に 各国の法令・ルールを遵守し、 公正な競争に基づく取引を進めます 医薬品は、 「いのち」に深い関わりを持っているた おける薬事関係法令や IFPMA コードなどの遵守を 徹底しています。 関連情報 P.12 CSRマネジメント め、その製造販売・情報活動にあたっては、高い倫理 IFPMA 国際製薬団体連合会(IFPMA) は、ジュネーブに本拠地を置く 非営利NGOで、先進国、途上 国を代表する主要な業界団体、 世界の研究開発型製薬企業が 加盟しています。 的 自 覚 が 求 め ら れ ま す 。国 際 製 薬 団 体 連 合 会 ( IFPMA )は、医療関係者に対する医薬品の倫理的 [グローバル CSR 購買/ CSR 購買ガイドライン] なプロモーション等についての国際的自主基準とし て「 IFPMA 医薬品マーケティングコード」 ( IFPMAコ お取引先を含むバリューチェーン全体で ード)を定めています。日本においては 1993 年に、 CSRへの取り組みを推進 日本製薬工業協会によって、IFPMA コードに準拠し 新たな進出地域への拠点拡大に対応したグローバ た「医療用医薬品プロモーションコード」が制定され ル供給ネットワークを構築するために、2010 年度に 「グローバル ました。日本製薬工業協会では、製薬会社に対して、 「グローバル購買方針」を制定しました。 「医療用医薬品プロモーションコード」をさらに具体 購買方針」では、品質、価格、納期、社会性、環境を重 化した自社コードの策定を求めており、タケダでは 視した購買活動を行うことを基本方針としています。 「武田薬品医療用医薬品プロモーションコード」を独 さらに、タケダでは、自らの事業活動だけでなく、サ 自に策定し、当社のプロモーションにおける行動規 プライヤーの方々(購入先、製造元、製造委託先など) 準としています。 に対しても、社会や環境に関する課題の解決に取り組 また、タケダでは、タケダ・グローバル行動規準に んでいただくよう、 「 CSR 購買ガイドライン」を共有し、 おいて、公正なプロモーション活動に関する明確な CSRの実践を働きかけています。 「タケダ・グローバル行動規準」における公正なプロモーション活動 関連項目 ■誠実・公正な事業活動より 医療関係者との関係 宣伝・プロモーション タケダは、医療関係者との関係において、法令および業 私たちは、プロモーション活動および宣伝に関する法 令および業界団体の基準を遵守し、これらの活動を適 切かつ倫理的に実施します。 私たちは、プロモーション情報およびプロモーション・ 宣伝用材料が、法規制に適合し、正確・公正で、科学的 な根拠のある、バランスのとれたものとなるようにし、 また虚偽や誤解を招くようなものとならないようにす るための、社内手続を遵守します。 私たちは、必要な販売承認が得られていない効能につ いてのプロモーションを行いません。 界団体の基準(国際製薬団体連合会(IFPMA)のプロモ ーション・コードおよび地域・国の業界団体の定める基準 を含みます) を遵守します。 私たちは、私たちの製品について有利な取り扱いを誘引 するために、あるいは有利な取り扱いに対する見返りと して、医療関係者に対して、金銭、物品、接待、贈答その他 の利益を提供したり、申し出たり、約束しません。 私たちが、医療関係者に、 コンサルティング、アドバイザ リーボードに関する業務、その他の業務を委託するとき は、正当な事業上の必要性がなければならず、 また、私た ちは、提供を受けた業務に対する適切な市場価格を超え る報酬を支払いません。 60 Takeda CSR Data Book 2012 サプライヤー・アンケート 質問項目 「いのち」に関わる 企業としての 社会的責任 CSR 購買ガイドラインは、工場・研究所で使用する の資材の製造・供給 • 安定供給に対する取り組み • 偽造医薬品対策 法令遵守・倫理 • 法令遵守 • 事業倫理と公正な競争 • 懸念事項の明確化 • 実験動物保護 • 情報セキュリティ • 適切な輸出管理 労働 •自由な選択による雇用 • 児童労働の禁止 • 差別撤廃 • 法令に基づいた雇用条件の確保 安全衛生 • 従業員保護 •プロセス安全 • 緊急時への備えと対応 • 危険情報 環境 • 環境に関する許認可 • 廃棄物と排出ガス • 危険有害物質の流出と放出 • 環境負荷軽減に向けての取り組み マネジメント •CSR 活動の推進 • 法と顧客の要求事項 • 研修と能力開発 • 継続的改善 資材を調達する部門が購買活動を行う際に遵守する 「 CSR 購買行動規準」に加えて、 「サプライヤー様と の継続的な取引に向けて重視する項目」と「サプライ • 有効性・安全性に優れた医薬品のため ヤー様に求める行動規範の実践項目」から成り立っ ています。 「サプライヤー様との継続的な取引に向けて重視 する項目」では、従来から主な評価項目としてきた品 質、価格、納期とともに、社会性、環境という視点をさ らに強化しています。 「サプライヤー様に求める行動 規範の実践項目」においては、 「『いのち』に関わる企 業としての社会的責任」という項目を設置しており、 「有効性・安全性に優れた医薬品のための資材の製 [グリーン調達の実施] エコ・グリーン購入を推進しています 造・供給」 「安定供給に対する取り組み」 「偽造医薬品 タケダは現在、日本国内のすべての生産事業所で 対策」を求めています。 ISO14001の認証を取得しており、ISO14001環境 マネジメントプログラムに基づき、エコ・グリーン購入 「サプライヤー・アンケート」の実施 209 社 2011年度 サプライヤー・アンケート 実施企業数 を積極的に推進しています。また、オフィスや営業部 「 CSR 購買ガイドライン」に基づき、サプライヤー 門も含めたタケダ「エコ」プロジェクトにおいても、事 の方々に対しては、 「 CSR に関するアンケート」を依 務用品カタログにエコマーク・グリーンマーク認定品 頼しています。品質保証体制や安定供給への取り組 を掲載するなど、グリーン調達に向けての活動を進 みのほか、法令順守や適切な労働管理体制、環境保 めています。 全活動の取り組みなど、CSR に関する状況について も確認しています。集計された結果については、それ 関連情報 P.32 武田薬品グループ環境自主行動計画 ぞれのサプライヤーに対して、フィードバックを行っ ています。 関連情報 P.62 グローバル購買方針 Takeda CSR Data Book 2012 61 公正な事業慣行 新興国等への進出地域の拡大にも対応しながら、 お取引先との対等で公平、公正な関係づくりに努めています。 [グローバル購買方針] 新規参入希望企業への対応フロー CSRにも配慮して、購買、生産、配送の 総合的なグローバル供給ネットワークを構築 原材料の場合 工事・機器の場合 新規参入希望企業からの 連絡、 または候補企業の調査 新規参入候補企業の調査 企業の調査 見積依頼候補先の選定 見積依頼・有力候補 企業の選定 見積依頼先の選定 発注先選定会議 見積依頼 サンプル注文・評価 見積内容検討 製品試作・評価 発注先の選定 実地確認・価格交渉・ 契約書締結 価格決定・契約締結 取引開始 取引開始 医薬品業界はサプライヤーが数多く存在する業界 と異なり、各国の厳しい医薬品製造・販売規制に合致 した高い技術・高い品質の原材料や優れた設備など を、継続的・安定的に提供していただけるお取引先と の「健全かつ公正で対等なパートナーシップ」に基づ く取引が重要となります。 このような観点から、工場・研究所で使用する資材 の調達を担当する資材購買部においては、CSRに配 慮した「購買基本方針」に基づく公平、公正な関係づく りに努めてきましたが、新たに「グローバル購買方針」 を制定し、新興国等の新たな進出国・地域への拠点拡 大にも対応した購買、生産、配送の総合的なグローバ ル供給ネットワークの構築を進めています。 「グローバル購買方針」では、品質( Q:Quality )、 価 格( C:Cost )、納 期( D:Deliver y )、社 会 性( S: [従業員のコンプライアンス] Sociality)、環境(E:Environment)を重視した購買 活動を行うことを基本方針としており、その考え方は、 6 コンプライアンス教育研修を実施 「 CSR 購買ガイドライン」においても「サプライヤー様 タケダでは、 「 武田薬品コンプライアンス・プログラ 2011年度 との継続的な取引に向けて重視する項目」として取り ム」に則り、 「 全社版購買業務に関する運営要領」およ 資材購買部 コンプライアンス 教育研修 一人あたりの実施回数 込まれています。 び各部門の購買内容に即した「部門購買業務標準」を 回以上 策定し、関連法令遵守に努めています。コンプライアン スの徹底に向けて、資材購買部では「購買倫理マニュ 主な調達品目 アル」、 「独占禁止法遵守マニュアル」、 「下請代金支払 研 究・開 発 用 原 材 料 生 産・研 究 機 器 遅延等防止法遵守マニュアル」などを整備し、部員へ の教育を継続して行っています。また、各部門ではお取 製 薬・製 剤 原 料 設備工事 引先と価格交渉などを行う購買担当者を「交渉業務担 当者」 と位置付けて登録制とし、外部講師による研修も 原 薬・中 間 体 燃料 容 器・包 装 材 料 補 助 材 料・消 耗 品 実施しています。これらの教育活動を通して、従業員が 自らコンプライアンスの重要性を認識し、自己規律に 満ちた職場文化を醸成することが、お取引先から信頼 される購買活動の推進につながると考えています。 62 Takeda CSR Data Book 2012 グローバル購買方針(要約) 〈目的〉 〈購買体制〉 私たちタケダグループは、 タケダイズム「誠実=公正・ 全世界の Q・C・D・S・Eに優れたサプライヤー様から、 より 正直・不屈」を実践することによって経営理念である 良い資材を最低コストでかつ安定的に調達するために、 「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の 未来に貢献する」ことを目指しています。これらタケ ダイズム、経営理念を始めとする経営の基本精神に 基づき、製薬本部では、世界最高水準の製造技術を 最適な購買体制を構築し、 タケダグループのグローバル な製造・供給体制に対応します。 〈CSR購買行動規準〉 タケダグループは、 「 いのち」に関わる企業の社会的責 確立し、最高品質、最低コストの医薬品を、世界のあ 任として、経営の基本精神を根幹とし、国連グローバル らゆる地域のお客様に、 こころを込めて、確実かつ安 コンパクトへの参加や「タケダコンプライアンス行動 定的に供給することをあるべき姿として、新興国等の 規準」を策定して遵守するなど積極的にCSR活動を推 新たな進出国・地域への拠点拡大にも対応した購買、 進しています。 生産、配送の総合的なグローバル供給ネットワークを また、購買のグローバル化にともない、新興国を含む 構築し活用します。資材購買部では、 グローバル供給 全世界のサプライヤー様と取引を行うにあたっては、 ネットワークの中で、国内外における最適な購買活動 これまでの品質保証や安全性に関する管理はもとよ を行うための具体的方針を示すものとして「グロー り、自らがCSR活動を実践していることを前提とした バル購買方針」をここに策定し、実践します。 うえで、サプライヤー様に対してもCSRの実践を働き 〈対象範囲〉 かけ、評価することが、適切なサプライヤー様と公正、 資材購買部が行う原料、材料、設備等の研究・製造用 公平、対等に取引を行うための重要な要素であり、な 資材の購買活動を対象範囲とします。この購買活動 お且つ、社会的な要求に応えることであると考えます。 は、全社の「購買業務に関する運営要領」 ( 事業戦略 私たちは、資材購買活動を行ううえで遵守すべきCSR 部)を基に策定された資材購買部「購買業務要領」に の基本的事項や行動規準を「CSR購買行動規準」とし 基づくものです。 て定め、実践します。 このCSR購買行動規準をはじめ、サプライヤー様に求 〈基本方針〉 グローバルな購買体制を構築し、世界市場から優れ める具体的な事項の詳細については、 「CSR購買ガイ た品質の研究・製造用資材を( Q:Quality )、競争力 ドライン」に記載しています。 のある価格で( C:Cost )、タイムリーに調達します ( D:Delivery )。また、法令や社会規範を遵守して社 なお、 CSR購買行動規準は、製造委託業務にも適用 されます。 会的責任を果たし ( S:Sociality )、環境にも配慮した (E:Environment)購買活動を行います。 Future Outlook 今後の課題と取り組み タケダでは、創業以来培われてきた「誠実なくすりづくり」、すなわち公正な事業活動を改 めて徹底するために、 「タケダ・グローバル行動規準」や「タケダ贈収賄禁止グローバルポリ シー」などのポリシー体系の整備を進めています。従業員に対して、各種の研修などを通じ て、 これらのポリシーの理解促進と浸透を図っています。 また、サプライヤー・アンケートについては、統合したナイコメッド社のサプライヤーに対し ても実施していく方針です。 Takeda CSR Data Book 2012 63 公正な事業慣行 優れた医薬品を継続的に提供し、社会に貢献するための、 「知的財産」活動を推進しています。 [知的財産] 「新たなタケダへの変革」の実現に向けて 事業を支える知的財産権 当社の事業を支えている医薬品は、さまざまな智 知的財産部では、新規科学アイデア(発明)と製品 恵により、研究開発・上市され、世界の人々の手に届け の信用( goodwill )を適切に保護、活用することで、 られています。このような智恵の結集により生まれた 「新たなタケダへの変革」の実現を目指す全社事業活 成果を保護する手段が、知的財産権です。 動をサポートしています。そして、全社事業および組 知的財産部は、新規科学アイデア(発明)を特許権 織のグローバル化に対応して、知的財産部の活動もグ で、製品の信用( goodwill )を商標権で、それぞれ保 ローバル化することが求められます。 護を行い、さらにその活用を促進することで、事業を そのためには、まずは世界各拠点にある知的財産 サポートしています。 部のチームが一体となってグローバル活動に対応で 一般的に医薬品は少ない特許権、例えば新規有効 きる組織を構築するとともに、また世界中の知財制度 成分の物質特許だけで保護されていると思われてい がボーダレスに展開される事業に即応できるように各 ます。しかし、現実にはパテントポートフォリオと称さ 種外部団体活動を通してロビーできるような体制を れる特許群によって、市場性(競争優位性)を確保して 取っています。こうしたグローバルな知財活動を実施 います。パテントポートフォリオには、有効成分自体を することによって、以下のタスクを実現し、研究・開発 保護する物質特許をはじめとして、有効成分の用途・ から販売に至る当社の全事業を支えます。 製法・製剤、製造中間体、周辺化合物、疾患マーカーの 測定方法等を保護する各種特許があり、医薬品の事 ①製品・パイプラインの充実化およびその権利保護 ②アライアンスサポートによる導入・導出活動の活発化 業を総合的に保護しています。 および適切化 また、近年には再生医療、細胞治療、遺伝子療法な ③広域国での権利確保とその保護 ど先端医療技術が開発されてきており、 これら新技術 から生み出される新事業を、どのようなパテントポー このような活動を通して「新たなタケダへの変革」 トフォリオで保護していくかという新しい命題が医薬 を実現するためには、 とりわけ、パイプラインの強化お 品産業界の知的財産の領域に与えられており、当社 よび進出地域の拡大と新規進出国・新興国市場での 知的財産部の重要な課題にもなっています。 成長が重要な課題です。これに対処するには研究開発 各部門との協働活動が最も重要 知的財産活動における3つの柱 です。そこで、チーフ メディカル& サイエンティフィック オフィサ ー ●革新への挑戦( Innovation ) ●活力ある企業文化の創造( Culture ) ●持続的な成長( Growth ) ( CMSO )のもと、医薬研究本部、 CMC 研究センター、医薬開発本 部などとの強固な連携による機 知的財産部 グランドデザイン 製品・ パイプラインの充実化 およびその権利保護 アライアンス サポートによる 導入・導出活動の活発化 および適切化 動的な活動を行っており、今後も 広域国での 権利確保とその保護 他部門との密接な連携・信頼感の醸成 知的財産機能のグローバル体制の構築 人財育成、職場の風土改革、ダイバーシティ 64 Takeda CSR Data Book 2012 より一層、パイプラインの強化に 貢献します。 グローバル知的財産体制 日・米・欧の知的財産拠点 ケンブリッジ チューリッヒ シカゴ 欧州 州 ケンブリッジ サンディエゴ 東京 湘南 米国 日本 知的財産権に関するリスク 法の運用が適切ではない場合があります。そのような 保有する知的財産権が他者に侵害された場合には、 国や地域に対しては知的財産関連の外部団体活動を 期待される収益が失われる可能性があります。タケダ 通して、是正を求める努力も続けています。 では、特許権をはじめとする知的財産権を適切に管理 し、他者による侵害にも常に注意を払っています。ま グローバル知的財産体制 た、タケダの自社製品等が他者の知的財産権を侵害 グローバル化を通して変革し、 「持続的な成長」の実 することのないよう、研究・開発段階から十分な調査を 現を目指すタケダでは、医薬品市場の約 40%を占め 実施し、自社・他者双方の知的財産権を尊重した活動 る米国(シカゴ、サンディエゴ、ケンブリッジ)、および約 を推進しています。このような活動を通じて、会社事 30%を占める欧州(ケンブリッジ、チューリッヒ)に知 業の持続的な成長のみならず、世界中の国々におけ 的財産に関わる機能を保有しており、日本を含む三極 るタケダ製品の安定的な供給に寄与します。 を拠点に、 グローバルな視点から競合品・後発品への 自社品・競合品の特許満了によるその後発品、およ 対応策として、ケースに応じた「予防」、 「攻撃」、 「防 び競合品のスイッチ OTC 薬の出現などにより、国内 御」を柔軟に進めています。さらに、タケダは自社製品 外、特に米国での競争環境が厳しいものになってきて の保護強化のみならず、第三者へのライセンスを含め います。このような状況に対し、タケダは、効能追加や て知的財産権の有効活用に努めていきます。 剤型変更等の製品改良を通して、患者さんにより有益 います。知的財産部はこうした改良技術の保護も適切 ライフサンエンス分野における 研究開発の発展のために に行うことにより、製品ライフサイクルも延長し、継続 タケダでは、ライフサイエンス分野における研究開 的な事業活動を支援します。 発のさらなる発展のため、産業政策に沿った知的財産 昨年度、ナイコメッド社との統合により、タケダは世 制度の推進、発明の保護と権利の活用が重要である 界約 70ヵ国に事業拠点を保有する文字通りのグロー と考えています。この目的達成のために、タケダは、政 バル企業へ変革しています。すなわち、多くの新興国 府をはじめとした関係省庁および関係団体と積極的 においても知的財産権によって製品を保護していかな な協力・協議を推進しており、さらには、国際製薬団体 ければいけませんが、そのような新興国では医薬品事 連合会(IFPMA)などとともに、国際レベルでの知的財 業運営に十分な知的財産制度が整っていない、 または 産に関する課題に取り組んでいます。 な医薬品を継続的に提供できるように努力を続けて Takeda CSR Data Book 2012 65 消費者課題 「企業価値創造」に向けて サプライヤー・データベースの整備 患者さんおよび消費者の皆さんに高品質な医薬品をお届けするためには、 サプライチェーン全体での品質管理を徹底することが重要となります。タケダ では、国内外のサプライヤーについての品質面に関する各種データと最新評価 結果を旧ナイコメッド社を含めて集中管理するデータベースの整備を進めて います。今後、問題が発生した場合には、本データベースを活用することにより 迅速な対応を取ることが可能となります。 700 社 サプライヤー・データベース 登録企業数(2012年6月現在) [偽造医薬品対策] 「偽造医薬品対策3ヵ年計画」を策定 近年、世界的に偽造医薬品による健康被害の発生 が大きな問題となっています。2010 年の WHO の報 告によると全世界で流通する医薬品の約 1 割を偽造 「偽造医薬品対策3ヵ年計画」の概要 偽造医薬品・不正流通に関する啓発活動 サプライチェーンセキュリティ対策の確立・実施 医薬品が占めているとも言われており、日本の医薬品 市場の売上高に相当する規模と推定されています。 偽造医薬品を製造・販売する犯罪組織の調査・摘発 偽造医薬品に関する脅威がますます高まるなか、 タケダは、 グローバル事業を大きく進展させていくに 通して偽造医薬品の取締りや摘発に協力しています。 あたり、患者さんの安全確保のためにさらなる対策強 加えて偽造、改ざん防止技術の導入および偽造医薬 化が必要であると考え、2012 年から始まる「偽造医 品を見分ける分析手法の開発を進めることによって、 薬品対策 3ヵ年計画」を策定しました。 製品の品質を保証する対策も実施しています。 例えば、患者さんの安全を最優先に考え、お取引先 を選定する際に品質保証の観点を重視した入念な調 66 Takeda CSR Data Book 2012 「タケダ・セキュリティラベル」の導入 査を実施しています。また、原材料取引先、製造・包装 タケダは、偽造医薬品対策について、全ての製品・ 工程の委託先、物流拠点などに対しては、定期的な監 国で画一化するのではなく、製品および販売国固有 査を行い、製品の品質確保に努めています。 のリスク特性およびそのレベルを考慮する必要があ さらに、ICPO(国際刑事警察機構)等の国際的な ると考えます。今後は、ナイコメッド社の統合によって 組織と連携し、世界レベルでの偽造医薬品情報の収 約 70ヵ国へと拡大した進出地域についてのリスク分 集と調査を実施しており、各国行政・司法当局および 析を踏まえて、エリアごとの効果的な対策を構築、実 警察に対しては、調査結果の報告や押収品の分析を 施していきます。 [情報提供] 10 万 2 千件 「くすり相談室」、 「ヘルスケア・カンパニー お客様相談室」に 寄せられたお問合せ件数 (2011年度) 具体的な施策としては、偽造不能で追跡可能な封緘 質の高い医薬情報活動を推進 シール「タケダ・セキュリティラベル」など、高度な偽造 タケダの医薬情報活動は、 「タケダの必要とされる 防止技術の導入を計画しています。その他、インター 薬剤とその適切な情報活動を通じて、患者さんの幸せ ネットサイトの監視、市場調査、税関への登録、真贋 の実現に貢献し、医療関係者の方々と喜びを共有する」 判 定 法 の 確 立など、 を基本理念としています。MR(医薬情報担当者)は、 リスクレベ ルに応じ 医療関係者の皆さんと直接対話するFace to Face活 て 、さまざまな 対 策 動を基本とし、疾患啓発サイトなどのホームページも を行っていきます。 活用して医療関係者や一般生活者の皆さんへの情報 偽造不能な封緘シール 「タケダ・セキュリティラベル」 発信の機会を増やし、幅広いニーズに対応しています。 加えて、日本においては、患者さんのアドヒアランス※ [バリューチェーン管理の強化] 医薬品の物流における品質管理を徹底 偽造医薬品・不正流通リスクが高まるなか、各国の 向上をサポートする取り組みも推進しています。 また、医療用医薬品については「くすり相談室」、一 般用医薬品・医薬部外品については「ヘルスケア・カン パニーお客様相談室」を設置し、電話、電子メールなど 規制当局も、バリューチェーン全体での品質管理に対 によるお問合せにも対応しています。2011 年度のお する要求を強めています。 問合せ件数は、約102,000件でした。 (日本) タケダでは、GMP(医薬品の製造管理及び品質管 理に関する基準)などの法令を遵守するだけでなく、 ※服薬や生活習慣の改善について、患者さんが積極的、主体的に治療に参加し継続 すること 流通過程におけるさまざまな業務を通じて製品の品 質を保証するGDP(医薬品の物流に関する基準) とい う新しい考え方を取り入れた体制づくりを進めていま す。2011 年度には、グループ全体におけるバリュー チェーン管理をさらに強化するために、 「武田グロー バルGDP標準」を制定しました。 関連情報 P.5 バリューチェーン・マネジメント P.68 品質保証体制 P.72 生産供給体制 Future Outlook 今後の課題と取り組み タケダでは、患者さんや消費者の皆さんの安全性を高めていくためには、バリューチェー ン全体に対して、きめ細やかな活動を進めていく必要があると考えています。急増する偽造 医薬品および不正流通に対しては、2011年に策定した「偽造医薬品対策3ヵ年計画」に基づ き、社内外に向けた偽造医薬品・不正流通に関する教育を行うとともに、特にサプライチェー ンにおける対策を確立・遂行することに注力していきます。加えて、品質保証部門・製造部門・ 海外販売子会社間の連携を強化し、 グローバルな体制整備を推進していきます。 Takeda CSR Data Book 2012 67 消費者課題 文化・宗教の違いや、偽造医薬品問題まで考慮に入れて、 「グローバル製薬企業」にふさわしい品質保証体制を構築しています。 [品質保証体制] 基本的な考え方 グローバル「質」保証ポリシー タケダは、法令・規制の遵守はもとより、安全で高 タケダは、国内外全てのタケダグループが遵守す 品質の製品を患者さんや消費者の皆さまにお届け べき、 リスク管理、危機管理を含む品質保証活動のあ し、安心して使用していただけることを最優先の課題 り方を包括的に示す指針として、グローバル「質」保 として品質保証・安全管理の体制を構築しています。 証ポリシーを制定しています。 研究から始まり、臨床試験、製造、物流、適正使用情 品質保証監査室は、タケダグループの品質保証の 報の提供、市販後に製品が広く使われていく過程で 要として、このようなポリシーや関連するガイドライ 得られる安全性および品質に関する情報収集・解析 ンを策定し、 グループ内に周知徹底することを通じて までの製品ライフサイクル全体にわたり、各国の品 グローバル製薬企業としての品質保証体制の整備・ 質保証部門と連携を取りながら、グローバルなレベ 構築を推進しています。 ルで全ての業務の信頼性の確保に努めています。 タケダの考える「質」とは ①原材料・原薬・治験薬・製品、および流通段階 での規格適合性 ②完結した正確な情報(製品プロファイルを構 成する情報の取得、記録、文書化、ならびに コンピューター化システムを含めた検証) ③顧客への時宜を得た情報伝達(効能・効果、 用法・用量および使用上の注意) 顧客満足実現のための「質」保証のサイクル 経営理念 優れた医薬品の創出を通じて 人々の健康と医療の未来に貢献する 実 現 顧 客 満 足 具現化 ①効果 ②安心 タケダ・グローバル行動規準 ③使いやすさ ④適正使用情報の充実 組織・経営幹部を含む「質」保証のあり方の規定 タケダ製品のグローバル「質」保証ポリシー 目 標 68 Takeda CSR Data Book 2012 製品ライフサイクル全体にわたる 品質保証体制 ■ 研究、非臨床試験 ■ 市販後の品質管理 GLP(医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施 医薬品の発売後は、製品出荷前の品質管理を確実 の基準)を遵守し、試験およびデータ管理を厳密に実 に行うのみならず、市場に出た製品の品質に関する情 施しています。 報を収集し、調査と評価を行うことで潜在的な問題点 の早期検知と継続的な品質改善に努めています。ま ■ 臨床開発 た、日本においては、薬事法に定められている GQP GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)を遵守す るとともに、それぞれの国や地域に適用される規制要 (医薬品などの品質管理の基準)も遵守しています。 件、社内基準および治験実施計画書に従って実施して ■ 医薬品の安全性監視 います。 開発段階から安全性の情報を収集し、医薬品の発 売後も継続して世界中の患者さんや医療従事者の ■ 治験薬および医薬品の製造 治験薬および医薬品製造に関する規制要件である GMP(医薬品などの製造管理及び品質管理に関する 基準)の最新情報を取り入れ、遵守し、世界各地のどの 生産拠点で製造された医薬品も、国際的に通用する品 質を確保しています。 方々から安全性の情報を収集し、調査と評価を行うこ とで、適正使用方法とともに最新の安全性情報を適 時・適切に医療機関・販売会社にお届けするファーマ コビジランス活動を実施しています。また、日本にお いては、薬事法に定められているGVP(医薬品などの 製造販売後の安全管理基準)も遵守しています。 製品ライフサイクルと医薬品に関する規制 研究 開発 製造 販売 GLP GCP GMP GPP GDP 非臨床試験 臨床試験 製造・品質管理 安全性監視 物流管理 GQP GVP 品質管理(日本のみ) 安全管理(日本のみ) 医薬品に関する規制 【薬事法に基づく規制】 GLP:Good Laboratory Practice GMP:Good Manufacturing Practice GVP:Good Vigilance Practice 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準 医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準 医薬品などの製造販売後の安全管理基準 GCP:Good Clinical Practice GQP:Good Quality Practice 医薬品の臨床試験の実施の基準 医薬品などの品質管理の基準 GPP:Good Pharmacovigilance Practice GDP:Good Distribution Practice 医薬品の安全性監視に関する基準 医薬品の物流に関する基準 Takeda CSR Data Book 2012 69 消費者課題 品質保証監査室を要としたネットワークを強化し、 グローバルなリスク管理、危機管理体制の整備を進めています。 ■ 薬害を繰り返さないために リスク管理、危機管理 医薬品の安全性監視活動が適時・適切に行われな 医薬品の品質管理、安全管理に万全を期していて かった結 果 、過 去に多くの 薬 害が発 生しています。 も、想定されていなかった製品の不具合、または副 1960年台に1万人以上の方が罹患されたスモン(亜 作用が発生する可能性があります。タケダは、医薬 急性・脊髄・視神経・末梢神経障害)ではタケダも関係 品による健康被害の発生を未然に防ぐための情報 する会社の一つであり、現在も患者さんへの補償を 収集、評価を世界的なレベルで適切に行い、万一発 行っています。2010 年 4 月に厚生労働省 有識者会 生しても拡大の防止に努めます。 議作業部会から出された「薬害肝炎事件の検証及び 再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」 ■グローバル回収体制 の最終提言では、薬害を繰り返さないため製薬企業 グローバル製品については、製造場所、販売ルート における薬害教育の実施を求めています。タケダで が多岐にわたり製品管理が複雑化しているなか、世 は、薬害の悲惨さ、患者さんの苦痛、そして企業として 界 規 模で回 収が突 発 的に発 生する可 能 性があるた の社会的責任の重さを忘れることがないよう、薬害に め、 「グローバル回収体制」を確立し、危機管理を行っ 関する教育を安全性監視活動に携わる部門に実施し ています。 ており、さらにその教育対象を全社員に広げて順次 実施しています。 薬害を繰り返さないための取り組み 安全監視活動 医療に関わる者の責務として 薬害を繰り返さないため 副作用発生 以下の取り組みを 行っています。 情報提供 情報公開 適時・適切な 安全性監視活動 情報収集 • 適時・適切な安全監視活動を行 うことにより、重篤な副作用の 対応措置 決定 データ 評価・分析 発生を最小限にとどめ、拡大し ないように努めています。 • 社内体制を整備し、過去の薬害 の教訓を基にした社内教育を実 スモン事件の教訓 施しています。 ①殺菌剤として使われていた外用薬であるキノホルムを内服薬として適用 拡大し、使用制限も緩和 →使用法や使用目的が変われば、決して安全とは言えない ②スモン大量発生の10年以上前から散発の副作用報告 →類例のない、まれな報告も関連性を検討する ③ウイルス原因説の発表後、人生を悲観した相次ぐ自殺者 →確かな裏付けに基づいた迅速で正確な公表を行う 薬害根絶に向けた「誓いの碑」 (厚生労働省) 70 Takeda CSR Data Book 2012 リスクマネジメントの考え方 タケダグループ:リスクマネジメント協議会 情 報 リスク分析 リスク評価 実 施 アクションプラン ●薬事関連のリスク ●品質関連のリスク ・カントリーリスク(宗教、文化、政治) ・製品のセキュリティに関するリスク(偽造医薬品、異物混入) 16 億人 世界の イスラム教徒の 人口総数 出典: 米国の非営利調査機関 Pew Research Center Website ■リスクマネジメント協議会 ■ ハラル(Halal)への対応 タケダは、優れた製品を世界中にお届けすること ナイコメッド社の統合に伴い、タケダの製品が新興 で、一人でも多くの患者さんの健康に寄与したいと考 国で販売される機会が大幅に増加しました。新興国で え、 グローバル化を積極的に進めています。それに伴 ビジネスを展開する際には、特に、文化・宗教といった い、従来以上に多様な条件を考慮に入れてリスクマネ 側面に十分配慮する必要があります。 ジメントを行う必要性が高まってきました。 ハラル( Halal ) とは、イスラム法において合法であ 例えば、認識不足から、文化・宗教によっては、タブ ることを意味しています。豚やアルコールはハラルで ーとされている原材料を製品に使用することで、深刻 ないため食用にすることが禁じられています。2010 な事態を招くことがあります。また、偽造医薬品や偽 年における世界のイスラム教徒の人口は 16 億人で 造原材料、品質不良原料による健康被害が、近年世界 世界の総人口の 23%を占めており、タケダは、イスラ 的に大きな問題となっており、 グローバルに事業を展 ム教徒の患者さんに当社の医薬品を提供するために 開する全ての製薬企業に対して、責任ある対応が求 は、ハラルを考慮する必要があると認識しています。 められています。 ただし、ハラルに関する法規制や解釈は国ごとに異な タケダでは、進出地域の拡大に伴うそのような文 っており、 リスクマネジメント協議会ではその多様性 化・宗教の違いや政治・経済・社会環境に由来する各国 を考慮に入れたリスク対策を進める体制を構築して 特有の状況、偽造医薬品問題などを事前に把握し、 います。さらに、多様な他の宗教上のリスクなどにつ 想定されるリスクに対応するために、品質保証監査室 いても対応を進めていきます。 が主催する「リスクマネジメント協議会」 ( CREAM: Council for Risk Evaluation And Mitigation) を設置し、 リスク軽減・回避の対策を考え、実行に移し ています。 Takeda CSR Data Book 2012 71 消費者課題 世界中のお客様に、高品質の医薬品を低コストで、 確実かつ安定的に供給します。 [生産供給体制] グローバル供給ネットワークマネジメントの強化 タケダでは、販売網の急速なグローバル化に確実に 対応する供給ネットワークと品質保証体制をグローバ ルに強化しています。 タケダは、2011 年度にナイコメッド社を統合する 以前は、大阪工場、光工場、アイルランド工場(武田 アイルランド Limited)の3工場を中心にグローバル な生 産 体 制を築 いていましたが、現 在では、タケダ グループ全体として、世界 14ヵ国に17 の自社製造工 場、アジアに3つの合弁会社による生産拠点、そしてよ りグローバルな規模でのサプライチェーンを有するよ うになりました。2012 年度は、タケダグループ全体 大阪工場 で、優れた生産技術のイノベーションや統合による シナジー効果を活かし、さらなる高品質とコスト競争 力の向上を追求します。また、販売地域の拡大に確実 に対応できる製品供給体制の整備を進めていきます。 特に、市場成長が著しい新興国への対応として、中国 では、天津工場を中国市場向けの供給拠点とする体制 整備を、また、ロシアでは、2014 年度の稼動開始を 目指して新工場を建設中です。 建設中のロシア・ヤロスラブリ工場 関連情報 P.61 グローバルCSR購買 武田アイルランド 72 Takeda CSR Data Book 2012 Limited ブレイ工場 タケダの生産拠点 24 ポーランド 拠点 タケダグループの 生産拠点数 建設中のロシア・ヤロスラブリ 工場を除く ノルウェー デンマーク ベルギー エストニア ロシア (建設中) アイルランド ドイツ オーストリア イタリア 中国 日本 メキシコ インド コロンビア インドネシア ブラジル アルゼンチン 旧ナイコメッド社の自社製造工場/合弁会社による生産拠点 Takeda’s Voice 私たち製造現場では、設備の点検を毎日欠かさずおこなっています。計器の数値 をチェックする他、音や振動、色や匂いのわずかな違いも見逃さないよう、五感を フル活用しています。 変化の少ない点検業務ですが、タケダのくすりを安心して使っていただけるよ う、プロ意識をもって取り組んでいます。 製薬本部 大阪工場 森川 健一 私は、外観の目視検査という、製品が工場を離れる直前の、すなわち、製品が患 者さんに届けられる最終工程を担当しています。そのことから、常に、誠実な行動 を心がけています。 医薬品という製品を扱っている以上、すべての目視検査を厳密に、そして等しく 行わなければなりません。私は、誠実に行動することで、患者さん、そして同僚たち の信頼と敬意を得ることができると考えています。 武田アイルランド Limited ブレイ工場 Derek Flynn Takeda CSR Data Book 2012 73 コミュニティ参画および発展 「企業価値創造」に向けて 保健医療アクセスへの取り組み 国連ミレニアム開発目標( MDGs)の主要な課題である「 HIV /エイズ、マラ リア、その他の疾病の蔓延防止」や「乳幼児死亡率の削減」に向けて、タケダは、 「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」 ( 世界基金)や公益財団法人プラン・ジャ パンとパートナーシップを組み、途上国の人々の保健医療アクセスを高める活 動を支援しています。また、プログラムのアウトカムやインパクトを高めるため に、パートナー団体と支援現場を直接訪問し、ステークホルダーとのダイアログ も積極的に行っています。 10.5 億円 寄付金を通じた保健医療アクセスに対する 支援コミット額(2009年∼2019年) 医師の診察を受けるHIV陽性の母親。 治療により母子感染を防ぎ、自らの健康も保っています。 ©The Global Fund / John Rae [コミュニティ参画および発展に対する考え方][企業市民活動の方針] ホリスティック・アプローチ 基本ポリシーとバリューチェーン思考 タケダは、病気でお困りの患者さんに対して、優れ タケダでは、CSR活動のなかでも、特に、社会的課題 た医薬品をお届けし、一人ひとりの QOL( 生活の質) の解決のために実施するさまざまな支援活動を「企業 を高めることで、 コミュニティの発展に尽くしたいと考 市民活動」 と位置付けています。2011年には、 グルー えています。しかし、このような「治療」段階に入る前 プ全体で共有すべき基本原則である「企業市民活動に の、 「 予防」段階でできることもあります。例えば、ワク 関する基本ポリシー」を制定しました。活動領域を「保 チンのような予防薬の研究開発や健康な方々への 健医療」分野にフォーカスすることで、 「くすりづくり」 疾病予防教育、特に、新興国をはじめとする途上国に の知見が活かした活動を実践しています。 おいては栄養や衛生の重要性に対する啓発活動など 実践のアプローチには、多様なものが含まれます が重要です。また、 「 治療後」にも目を向け、長期療養 が、いずれのアプローチについても、企業市民活動を を余儀なくされている患者さん、特に、支援体制が脆 プロセスごとに異なる付加価値を生み出す「バリュー 弱な子どもたちの QOLを高めることにも目を向ける チェーン」のフレームワークで捉え直したうえで、企業 必要があると考えています。このほかにも、企業財団 側の視点ではなく、ステークホルダー側の視点を持つ による研究助成等を通じた医療関係者のキャパシティ・ ことが重要であると認識しています。 ビルディング、医療系学生に対する多様な支援を含む 人材面での医療基盤の強化など、グローバルな製薬 企業が本業として、また、企業市民としてできることを 企業側の視点 • どの程度の経営資源を投入したか(=インプット) • どの程度の対象者をカバーしたか(=アウトプット) ホリスティック(包括的)に捉え、実践していきたいと 考えています。 ステークホルダー側の視点 • 対象者にポジティブな効果を生み出せたか(=アウトカム) • 社会全体にポジティブな波及効果を及ぼすことが できたか(=インパクト) 関連情報 74 Takeda CSR Data Book 2012 P.5 バリューチェーン・マネジメント NGO/NPOとの連携による 長期的・継続的な企業市民活動 「保健医療」分野における社会的な課題について と連携のうえで、それぞれの状況を改善するために は、人々の「いのち」に携わる分野であるだけに、企 必要な期間を見定めて、継続的な支援プログラムを 業側にも長期的・継続的な視点に立った、サポート体 実施しています。 制を確立することが重要だと考えます。タケダでは、 社会的課題の現場を深く理解しているNGO / NPO タケダが実施している主な企業市民活動とその期間 プログラム名 概要(連携組織) 開始年 期間 タケダ・イニシアティブ アフリカにおける三大感染症対策の支援 (世界エイズ・結核・マラリア対策基金) 2010年 10年 タケダ-Plan 保健医療 アクセス・プログラム アジアにおける子どもたちの保健医療アクセスの向上支援 (公益財団法人 プラン・ジャパン) 2009年 5年 タケダ・ウェルビーイング・ プログラム 国内の長期療養中の子どもたち、およびそのご家族の支援 ( NPO 法人 市民社会創造ファンド) 2009年 5年 2011年 3年 「日本を元気に・復興支援」 プログラム アリナミン類の収益の一部を東日本大震災の復興支援として 拠出(認定NPO法人 日本 NPOセンターなど) 企業市民活動におけるバリューチェーンとタケダの視点 タケダは、活動の対象者および社会全体にとってポジティブな効果が生まれることを念頭に置き、 ステークホルダー側の視点から企業市民活動を行います。 企業視点 (例えば) ステークホルダー視点 インプット レベル アウトプット レベル アウトカム レベル インパクト レベル 資源の投入 活動の成果 対象者の 行動変化 社会への 波及効果 受診率の Z% 向上 他地域への 横展開 NGO / NPOに X 万円の寄付 Y 人への追加的な 啓発活動 Takeda CSR Data Book 2012 75 コミュニティ参画および発展 外部団体との連携による活動を進めるとともに、 医療の発展に向けた基盤整備にも継続的に取り組んでいます。 [ NGO / NPOとの協働] タケダ・ウェルビーイング・プログラム 「タケダ・ウェルビーイング・プログラム」は、NPO の期間では8 団体、13プロジェクト (総額 2,340 万 法人 市民社会創造ファンドとともに、長期にわたり病 円) に助成が行われました。2012年度は、 「絵本カー 気療養する子どもとその家族をサポートする市民活 ニバル」、 「 小児がんネットワークMNプロジェクト」、 動を支援するために立ち上げた助成プログラムです。 「全国小児病棟遊びのボランティアネットワーク」な 支援対象プログラムの選定は、社外有識者からの助 どが推進するプロジェクトに対する助成が進められ 言を踏まえたうえで決定しており、2009-2011 年度 ています。 タケダ・ウェルビーイング・プログラムの支援団体と支援対象分野 活 動 のレ ベ ル アップ 〈パフォーマンス〉 子ども劇場千葉県センター 〈心のケア(震災対応)〉 日本クリニクラウン協会 人材の育成 活動基盤の強化 〈ボランティア育成〉 〈交流スペース〉 生きるちから 病気の子ども支援ネット 遊びのボランティア VIVACE 〈クラウン育成〉 日本ホスピタル・ クラウン協会 〈「きょうだい」サポート〉 しぶたね インフラの整備 〈全国大会〉 エスビューロー 〈ネットワーク構築〉 全国小児病棟遊びの ボランティアネットワーク 〈就労支援〉 〈絵本展示・交流〉 〈交流・情報発信〉 HOPEプロジェクト 絵本カーニバル MNプロジェクト ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。http://www.takeda.co.jp/chouki/ [企業財団] 26.7 億円 武田科学振興財団、 尚志社、発酵研究所が 提供している 研究助成金/奨学金 (2011年度) 尚志社 武田科学振興財団 「尚志社」は、1923 年に五代武田長兵衞が私費を 「武田科学振興財団」は、1963 年、タケダからの寄 投じて苦学生に学費支援をはじめたことにそのルーツ 附金を基金として設立されました。現在の主要事業と があります。その遺志が受け継がれ、1960 年に育英 2011年度実績[( )内]は以下の通りです。 事業を目的とする財団法人「尚志社」に発展しました。 ①科学技術に関する研究機関および研究者に対す 本事業の開始から2011 年度までに奨学金の提供を る奨励金の贈呈( 469 件、22 億 6,550 万円)、②外 受けた学生の数は、627名に及びます。 国 人 留 学 研 究 者 に 対 す る 奨 学 金 の 贈 呈( 4 6 名 、 ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。 8,600 万円)、③科学技術に関する注目すべき研究 http://www.shoshisha.or.jp/ 業績に対する褒賞(武田医学賞) ( 門脇孝博士:東京大 学教授、水島昇博士:東京医科歯科大学教授)、④科学 技術に関する国際シンポジウムの開催( 2011 年度は 開催せず)、⑤科学技術の振興に関する出版物の発 刊、⑥図書資料館「杏雨書屋」における東洋医書その 他図書資料の保管、整理、収集、および公開。 発酵研究所 「発酵研究所」は、1944年に当時の内閣技術院と武田 薬品との共同出資により設立され、微生物株の保存機関 として、2002年まで国内外の研究を支援してきました。 2003年度からは微生物学の進歩発展に寄与することを 目的として、微生物研究への助成事業を行っています。 ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。 http://www.takeda-sci.or.jp/ 2011年度の助成実績は、44件、4億810万円でした。 ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。 http://www.ifo.or.jp/ 76 Takeda CSR Data Book 2012 [途上国の保健医療支援] タケダ・イニシアティブ MDGs への対応:目標 6 MDGsの主要な課題の一つである「三大感染症の蔓延 防止」に取り組むため、 タケダは2010年から 「世界エイズ・ 結核・マラリア対策基金」 ( 世界基金)を通じて、アフリカに おける保健医療人材の育成・強化を図る寄付プログラム 「タケダ・イニシアティブ」を実施しています。 寄付金額は年間 1 億円で、2010 年∼ 2019 年までの 10 年間継続します。現在の支援対象地域は、タンザニア (対象疾病:マラリア)、ナイジェリア(対象疾病:エイズ)、 セネガル(対象疾病:結核)の 3ヵ国です。タケダは、タンザ ニアのプロジェクトを現地視察するなど、医療関係者との ステークホルダー・ダイアログも実施しています。なお、寄 付金の使途については、世界基金は全て監査法人などの 外部専門機関の監査・検証を受けており、透明性の高い ©The Global Fund / John Rae マラリア感染の疑いがある乳児を診察する医師(ナイジェリア) プロジェクトとなっています。 タケダ-Plan 保健医療アクセス・プログラム 「タケダ -Plan 保健医療アクセス・プログ ラム」は、公益財団法人 プラン・ジャパンと の提携によって、2009 年にスタートしまし た。本プログラムでは、中国、インドネシア、 フィリピン、タイのアジア4ヵ国において、子どもたちの保 タイにおける活動 若年層の HIV/AIDS 感染予防 フィリピンにおける活動 MDGs への対応:目標 6 MDGs への対応:目標 2 、目標 8 インドネシアにおける活動 中国における活動 屋外での排泄禁止促進 子どもの栄養改善 MDGs への対応:目標 4 、目標 7 MDGs への対応:目標 1 、目標 2 子どもの医療支援 健医療アクセスを支援するきめ細かい取り組みを推進し ています。3 年目となる2011 年度では、プログラムの対 象エリアや延べ対象人数が広がりを見せるとともに、中間 評価をもとにプログラム改善を進める地域が出てくるな ど、着実な進展を見せています。また、タケダではフィリピ ンやタイのプロジェクト現場を訪問し、 プロジェクトの改善 に向け、医療関係者や現地スタッフ、保健ボランティアと のステークホルダー・ダイアログも実施しています。 Future Outlook 今後の課題と取り組み 写真提供:プラン・ジャパン 2011 年 9 月、国際連合とIFPMAは、世界の製薬企業に対して、途上国における非感染症 (NCDs :Non Communicable Disease)分野での対応を期待するアピールを発信しました。 NCDsはタケダの事業領域と大きく重なり、またナイコメッド社の統合により、途上国コミュ ニティにもアウトリーチすることができるようになりました。今後もビジネスと企業市民活動 の両面を視野に入れたホリスティックな活動を通じて、コミュニティの発展に尽くしたいと 考えています。 Takeda CSR Data Book 2012 77 コミュニティ参画および発展 米国 地元の NPO の支援に向けて 「タケダ・ケアーズ・デー」を開催しました。 「タケダ・ケアーズ・デー」は、 より健康的なコミュニティづく りに向けて、従業員が楽しく気軽に地元の NPOを支援する イベントです。今年は、武田ファーマシューティカルズ USA Stakeholder’s Voice Inc.( TPUSA 社)ならびに武田グローバル研究開発セン ご支援をいただき、心より感謝いたします。皆 ター( TGRD 社)の敷地内にある1.1 マイルの歩道で開催 さんが 1 人 100ドルずつ集めてくださったおか され、従業員は、1 人 100ドルずつの寄付金を集めるため に、5km のランニングやウォーキングといった、さまざまな げで、私たちがサポートしている子どもたちに1 年間、家庭教師をつけることができます。 「タケダ・ ケアーズ・デー」は、社会を大切にするタケダの 野外イベントなどに参加しました。 姿勢をよく表していると思います。 催しは大成功で、集められた寄付金はコミュニティ・ヘルス レイク郡ユナイテッド・ウェイ 理事 (医療保険未加入者への医療サービス提供)、アイバイオ・ Ms. Kim Dodson インスティテュート (人材育成)、ユナイテッド・ウェイ(子ども たちの教育支援)などの NGOに寄付されました。自分たち が働き、生活しているコミュニティに貢献するために、550 名以上の従業員が参加し、積極的に活動しました。 レイク郡ユナイテッド・ウェイ ホームページ http://www.liveunitedlakecounty.org/ ウォーキング・マラソンに参加する従業員 78 Takeda CSR Data Book 2012 米国 地元学生たちに向けた 教育プログラムに参加しました。 現在、科学技術の分野において、世界的な競争力を維持 するための課題の一つに、科学・技術・工学・数学( STEM )分 野を目指す生徒が減少していることが挙げられています。マ サチューセッツ技術リーダーシップ評議会は、2007 年から Stakeholder’s Voice 私たちは、生徒たちに科学技術に興味を持ち、 この課題への対策に取り組んでおり、マサチューセッツの 6 将来職業として選択してもらえるよう、 この活動 つの団体が組織したSTEMTech同盟によって、 「DIGITS」と に参加しています。ミレニアム社は、癌の新たな いう教育プログラムが作成されました。 この教育プログラムでは、バイオ関連企業の従業員と地 治療を開発するための力となってくれる、新しい 世代を必要としています。子どもたちは、私たち の未来です。学生たちとの交流と通して、皆さん 元のミドルスクールが協力し、4年生に対して、STEM 分野の の興奮と熱意を目の当たりにできて、 とてもうれ キャリアの重要性や、数学や科学の研究が将来のキャリア機 しく思いました。 会の拡大につながることについて教えています。ミレニア ミレニアム社 研究員 ム・ファーマシューティカルズ Inc.(ミレニアム社)は、医学や David Lichter 科学技術の将来にとって、若い学生たちがこの分野に興味 を持ち、関連するキャリアを選んでいくことが大切だと考え ています。今年は、19 人の従業員が参加し、1,000 人以上 の地元の学生たちと交流しました。 活動に参加した従業員 学生たちへのレクチャー風景 Takeda CSR Data Book 2012 79 コミュニティ参画および発展 米国 未来のイノベーションの扉を開く、 学生たちを支援しています。 昨年に続き、今年も武田 グロ ー バ ル 研 究 開 発 セン Stakeholder’s Voice ター Inc.( TGRD 社)では、 TGRD 社は「シカゴ・パブリックスクール・スチュ 「シカゴ・パブリックスクール・ ーデント・サイエンス・フェア」への参加を通じて、 スチューデント・サイエンス・ フェア」の支援を行い、保健 シカゴ・パブリックスクール・スチューデント・ サイエンス・フェア2012 医療分野で成績優秀な 7 人の学生に奨学金を提供するとと もに、会場でのボランティア活動に従業員が参加しました。 この「シカゴ・パブリックスクール・スチューデント・サイエン ス・フェア」は、イリノイ州全土から集まった学生たちが、科学 シカゴ地区の教育を向上させるための、私たち の取り組みを支援してくれています。皆さんから の奨学金が、未来の科学者たちへの貴重な投資 となることは間違いありません。 シカゴ・パブリックスクール・スチューデント・サイエンス・フェア 奨学金責任者 Ms. Rita Nelson への情熱を共有できる機会を提供しており、60 年間にわ たって、生徒たちの科学、技術、工学、数学における研究成果 の発表の場となっています。 ボランティアとして参加した従業員は、会場の受付や特別 賞の審査員などを務めるとともに、開会式や昼食会でスピー チを行いました。 シカゴ・パブリックスクール・スチューデント・ サイエンス・フェア ホームページ http://cpsscifair.org/ 奨学金授与者 Ms. Margaret Tramと従業員 80 Takeda CSR Data Book 2012 米国 糖尿病の治療と研究を支援する 2 つの活動に参加しました。 武田カリフォルニア Inc.( TCAL 社)の従業員は、地域コ ミュニティにおける企業市民活動の一環として、2011年に、 糖尿病の治療と研究を支援する2つの活動に参加しました。 サンディエゴで働く従業員たちが、バルボア公園で行われ Stakeholder’s Voice 糖尿病治療のためのチャリティウォークに参 た国際若年性糖尿病財団による糖尿病治療のためのチャリ 加することは、素晴らしい経験です。今回に参加 ティウォークにタケダチームとして参加し、1型糖尿病を患う した際には、私たちの活動に対してとてもよい反 子どもたちのよりよい治療のための寄付金が、4,600ドル 集められました。 響があり、大変励みになりました。1 型糖尿病の 患者さんの生活を変えるために国際若年性糖 尿病財団の活動をサポートすることができた、 と また、近年、従業員は、糖尿病を防ぐため健康的な生活習慣 いう達成感だけでなく、自分自身にとっても、楽 を、自らの行動を通してアピールする取り組みを行っており、 しいエクササイズにもなりました。 今年は、 ミッションベイのフィエスタ島周辺でウォーキングと TCAL社 Corine Holub サイクリングを行いました。この 活動での従業員の走行距離は合 計 1,503 マイルに達し、米国糖 尿病学会に対する7,500ドルの 寄付もあわせて実施しました。 バルボア公園での活動に参加した 従業員 ミッションベイでの活動に参加した従業員 Takeda CSR Data Book 2012 81 コミュニティ参画および発展 カナダ 「 INSPIRE 」プログラムを通じて 子どもたちの成長を支援しています。 ナイコメッド・カナダ Inc. (ナイコメッド・カナダ)では、 Stakeholder’s Voice 「 INSPIRE ー呼吸し、遊び、 学ぶプログラム」を立ち上 カナダ 少 年 少 女クラブは 、若 者 が 人 生にお げ、地域の少年少女クラブ ける可 能 性を最 大 限に発 揮 できるようなチャ に対する、教育、技術、環境、 活動中の子どもたち リーダーシップ育成、芸術などの、さまざまな分野における 活動を支援しています。このプログラムに対して30,000ド は、私たちの活動に対する共感があふれていま す。このプログラムを通じた全国の少年少女ク ラブへの支援は、私たちと、ナイコメッド・カナダ 活動を発展させるとともに、他のクラブとプログラムを共有 との素晴らしいパートナーシップの要となって することなどにも、その資金を活用することができます。さ います。 学金を4 人の若者たちに提供しています。国内 700 以上の クラブのさらなる支援に向けて、年間を通じて、さまざまな ボランティア活動やファンドレイジングの取り組みを進めて います。 少年少女クラブの子どもたち Takeda CSR Data Book 2012 「 INSPIRE ―呼吸し、遊び、学ぶプログラム」に ルの助成金を提供しており、支援先となったクラブは自らの らに、INSPIRE 奨学金制度を設けて、毎年 2,000ドルの奨 82 ン ス を 提 供 す る こと を 目 的 とし て い ま す 。 カナダ少年少女クラブ 代表 Ms. Pam Jolliffe メキシコ 子どもたちの栄養不足問題に取り組む NGO「ウン・キロ・デ・アユダ」を支援しています。 鉄欠乏性貧血は、先進国・途上国などの地域性や、大人・子 どもの年齢の違いなどには関係なく健康に影響を及ぼすも のですが、特に子どもにとっては、栄養不足と深く関わって Stakeholder’s Voice いるといわれています。NGO「ウン・キロ・デ・アユダ」は、最 貧血への対策としては、鉄分の投与が欠かせな も対策が必要とされている子どもたちを対象とした、総合栄 いことから、ナイコメッド・メキシコに「Ferranina」 養プログラムを立ち上げ、現在 35,000 人の子どもたちを 支援しています。2011 年に「ウン・キロ・デ・アユダ」から、 の提供をお願いしました。 「 Ferranina 」は優れ た効能で知られており、味もよく、胃にもやさし いため、子どもたちが嫌がらずに服用することが ナイコメッド・メキシコ S.A. de C.V.(ナイコメッド・メキシコ) できます。2011 年に「 Ferranina 」の提供をし に、 「 Ferranina 」19,500 錠の提供依頼をいただいたこと ていただいて以来、国内で最も支援を必要とし から、協力関係がスタートしました。 ているコミュニティの子どもたちにも届けること 2012 年は、同 NGOと協働して、5,000 件にのぼる貧血 ができ、5,000 人以上の子どもの貧血の症状を 改善することができました。 撲滅に関する案件のフォローアッ ウン・キロ・デ・アユダ プを行っています。ナイコメッド・メ Ms. Tharnya Labrada キシコでは、今後も「 Ferranina 」 の提供と、個々の活動への支援を 続けていきます。 鉄サプリメントの提供を待つ 母親と子ども 支援を受けた子ども Takeda CSR Data Book 2012 83 コミュニティ参画および発展 コロンビア 地震で被害を受けた学校の 修復活動に参加しました。 旧 ナイコメッド社(コロンビ ア)は、社会に関心を持ち、人々 Stakeholder’s Voice の 幸 せな生 活に貢 献したいと 考 えて います 。そ の 考 えの も 学校の修復に、旧ナイコメッド社(コロンビア) の皆さんが協力してくださったことに感謝してい と、1999 年にアルメニア市で 起きた大きな地震の被害から、 学校の修復を行う従業員 依然として回復していない学校の修繕作業に参加しました。 ます。地震のため椅子もなく、子どもたちと文化 的な活動を行う安全な場所もなくなりました。こ の支援を通じて、私たちがとても大切にされてい この学校では現在80人の生徒が学んでいますが、未だ、授 ると感じることができました。子どもたちのため 業を行うため十分な場所や、椅子などの必要な資材も確保で に学校の環境を整え、最良の教育を与えなけれ きない状況にありました。旧ナイコメッド社(コロンビア)の従 ばなりません。旧ナイコメッド社(コロンビア)は、 業員は、壁の塗り替えや、 ドアや窓を修理する活動に参加し、 私たちの心に強い印象を残し、 また子どもたちに 文化活動を行えるよう設備や椅子の提供も行いました。 笑顔を取り戻してくれました。何よりも、希望の 光を与えてくれました。 従業員たちは、情熱をもって修復活動に取り組みました。 そして、国の未来を担う子どもたちにとっては、一緒に頑張 れば夢はかなうということ、そして、心を込めて人に何かを 与えることの大切さを学ぶ機会となりました。 参加した従業員と子どもたち 84 Takeda CSR Data Book 2012 キンバヤ保護者教育センター Ms. Sonia Benavides ブラジル 児童福祉施設「ラル・フェリス・シェルター」を 支援しています。 武田Distribuidora Ltda.(武田Distribuidora) は、 ブラ ジルにおいて、社会の不公平をなくし、 コミュニティの環境や 生活の質の向上をめざすプロジェクトを支援しています。その Stakeholder’s Voice ために、社内において「ソーシャル・チーム・ビルディング」活動 ボランティアの方々からは、全てを失った子 を立ち上げました。 どもや若者たちに、快適な新しい住居を提供い 最初の取り組みは、工場があるサンパウロの「ラル・フェリ ス・シェルター」で行われました。 「ラル・フェリス・シェルター」 ただきました。また 1 年を通して、備品などの寄 付 も い た だ い て い ま す 。2 0 1 2 年 に は 武 田 Distribuidora から支援をいただいた、芸術、 は、一時的に家族と離れて暮らしている子どもや若者のため 文化、娯楽、学習のための新しい建物も開設し 児童福祉施設です。従業員は施設をリフォームし、家具、 テレ ます。武田 Distribuidora は、できる限りの支 ビ、 ビデオゲーム、玩具、本などを提供しました。このような活 援を継続的に実施いただける特別な会社です。 私たちは、子どもや若者たちの生活の質の向上 動は、社会によりよい変化を と幸せの実現を第一に考えており、同じ価値観 もたらすだけではなく、従業 を共有するパートナーのいることを、大変うれし 員個々の能力を高め、チーム く思います。 を活性化することにもつなが ラル・フェリス・シェルター 創設者 るものと考えています。 Mr. Paul Van Opstal 施設のリフォームを行う従業員 「ソーシャル・チーム・ビルディング」に参加した従業員 Takeda CSR Data Book 2012 85 コミュニティ参画および発展 アルゼンチン 恵まれない人たちのための チャリティマラソンを支援しました。 2011 年 11 月 20 日に、ブエノスアイレスで「マラソン・ デ・ラ・アミスタッド」 (友情のマラソン)が開催されました。 旧ナイコメッド社 (アルゼンチン)が後援しているこのイ ベントは、慈善団体「 DWG 」が毎年主催しているチャリティ 「DWG」は、95年前にアルゼンチンで設立さ 活動で、子どもの家「マリア・ルイーザ」と介護施設「ロス・ピ れ、公益のためのチャリティ活動や、貧しく恵まれ ノス」の資金集めのために行われています。 マラソンコースは、あらゆる年齢層の方が参加できるよう 供するためのファンドレイジングを行ってきまし た。 「DWG」は、旧ナイコメッド社(アルゼンチン) が、 「マラソン・デ・ラ・アミスタッド」に参加してくれ が参加、家族や友人が大きな声援を送っていました。 たことに、大変感謝しています。従業員の皆さん マラソンに参加した従業 は、家族や友人を連れて積極的にこのイベントに 員たちは、一体感をもって 参加いただき、多大な貢献をしてくれました。 素晴らしい目的に向かって DWG 代表 Mr. Juan Diego Finsterbusch した。 「マラソン・デ・ラ・アミスタッド」についての Webニュース 「マラソン・デ・ラ・アミスタッド」に参加する従業員 Takeda CSR Data Book 2012 ない子どもや家庭、高齢者に、財政的な支援を提 5kmに設定されており、さまざまな企業から1,200人以上 協力する喜びを感じていま 86 Stakeholder’s Voice ロシア 地域の自治体と協力して 教育プロジェクトを実施しています。 ナイコメッド ディストリビュー ション・センター Limited Liabil- Stakeholder’s Voice ity Company(ナイコメッド ディ ストリビューション・センター )で この教育プログラムは、教育という観点から見 は、主要な企業市民活動の一つと ても、また期待できる成果から考えても、非常に 興味深くユニークなものだと思います。専門教 して、教育プロジェクトに取り組ん 育プログラムの開発・実施に、高い教育レベルを でいます。このプロジェクトは、ロ シア国内の専門教育をサポートす 学生への教育活動 有する講師が参加し、さらに英語学習もプログラ ムに取り入れるなど、当地域において専門性の る、 という基本的な考え方に沿って行われており、ヤロスラブ 高い技術者が多数育成されることが、大いに期 リ地域の製薬業界に従事するために必要なスキルの習得を 待されています。 目的としています。ナイコメッド ディストリビューション・セン 化学技術大学 ターは2010 年からヤロスラブリ地域の自治体と協力し、 こ Ms. Irina Basalova のプロジェクトを化学技術大学で実施しています。さらに 2011 年からは、ヤロスラブリ地域の就職ニーズに応えた、 中等教育システムの包括的サポートも実施しています。 教育プログラムに参加した学生たち Takeda CSR Data Book 2012 87 コミュニティ参画および発展 エストニア 「 SEB タリン・マラソン」を通じて、 人々の健康を支援しています。 旧 ナイコメッド社(エスト ニア)は、スポーツの体験と Stakeholder’s Voice 共有が従業員の健康や福利 向上につながる最良の方法 スポーツイベントでは、参加した全員に一体感 だと考えており、さまざまな が生まれます。このようなマラソンイベントに参 イベントに参加する機会を、 SEB Tallinn Marathon Website http://www.tallinnmarathon.ee/ 積極的に従業員に提供して います。毎年 9 月に行われる「 SEB タリン・マラソン」にも従 加することは、身体的、精神的にもよい効果があ り、私たちが健康的な生活をおくることに貢献し てくれます。今後もスポーツを続けようという気 持ちを高めてくれるイベントに参加する機会が 業員が多数参加しており、従業員の士気やチームワークを 与えられて、 うれしく思っています。 高める絶好の機会となっています。 旧ナイコメッド社(エストニア) 2000年にスポーツ振興の目的で始まった「SEBタリン・マ Tiina Apart ラソン」は、 この5年間でバルト諸国最大のランニングイベン トの一つになりました。フルマラソンに加えて、ストックが使 えるノルディックウォーキングでゴールが目指せる10kmの シティランも開催されており、地域の方々の健康に貢献する イベントとなっています。 「SEBタリン・マラソン」 に参加するTina Apart 「SEBタリン・マラソン」 88 Takeda CSR Data Book 2012 ポーランド 子どもたちの環境意識の 啓発活動に取り組んでいます。 ナイコメッド Pharma Sp.z.o.o. (ナイコメッド Pharma) では、 ウィシュコビツェ工場を中心として、地域社会への貢献 を重視した活動に取り組んでいます。その活動には、寄付を Stakeholder’s Voice 行うだけではなく、将来コミュニティにとって重要となる課 ウィシュコビツェ幼稚園では、さまざまな教育 題に取り組むことも含まれており、その一環として、子ども プログラムがありますが、その一つが環境に関す たちの環境意識の向上につながる活動を支援しています。 リサイクル業者とともに、 ウィシュコビツェ幼稚園で2 回に るプログラムです。環境について子どもたちの意 識を高める機会があれば良いと考えていました が、ナイコメッド Pharmaの活動は、私たちが考 わたり勉強会を開催し、楽しい雰囲気のなかで、ゴミの分別 えていたことの実現にとても役に立ちました。子 方法や、環境保護の重要性についてレクチャーしました。子ど どもたちは、どのように家庭のゴミを分別し、そ もたちは、驚くほどの熱心さで活動に参加し、学んだばかり れがどうして重要なことなのかを学ぶことができ の環境問題に関する質問に、 ました。子どもたちには少し難しい情報でした が、分かりやすく教えてくれたので、興味を持っ 一生懸命答えようとする姿勢 て楽しく過ごすことができました。 を見せてくれました。 ウィシュコビツェ幼稚園 Ms. Halina Kucińska 活動に参加する従業員 子どもたちとの環境問題の勉強会 Takeda CSR Data Book 2012 89 コミュニティ参画および発展 ノルウェー 「 AKTIV アゲンスト・キャンサー」を通じて、 癌患者さんを支援しています。 「 AKTIV アゲンスト・キャンサー」 ( AKTIV )は 2007 年に ノルウェーで設立された財団で、世界的なマラソン選手の故 Grete Waitz 氏とHelle Aanesen 氏によって設立されま した。 「健康な方に対しては癌の予防、癌患者さんに対しては 生活の質の向上」を目的として、全ての人々の生活に運動を 取り入れるための活動をしています。 「AKTIV」は、 「Go AKTIV」 というウェブサイトを立ち上げて います。提携企業の従業員が、自分の取り組む運動を登録す Stakeholder’s Voice 私は、個人として、またナイコメッドPharma 従業員として、ニューヨークシティマラソンを含 む、 クロスカントリースキー、サイクリングなどの 「 AKTIV 」の活動に参加しました。私の活動は、全 てウェブサイト「 Go るとポイントが付与され、そのポイントをもとに、ナイコメッド のためにもなっていて、またレースに参加しよう Pharma AS(ナイコメッドPharma)から「AKTIV」に寄付が という気持ちにさせてくれます。 また、 「 AKTIV 」は、 とてもよいチーム意識を生 行われる仕組みになっていま みだしていて、ナイコメッドPharmaがこの取り組 す。その寄付金をもとに、 ノル みに貢献していることをうれしく思っています。 ウェーの癌専門病院にトレー ナイコメッドPharma ニング施設が設立され、癌治 Marit Engelstad 療の一部に運動が組み込ま れるようになりました。 サイクリングに参加した Marit Engelstad 「AKTIV」支援のためにオスロマラソンに参加した従業員 90 Takeda CSR Data Book 2012 AKTIV」に登録され、癌患者 さんへの支援になるとともに、自分自身の健康 フィンランド 高齢者をケアする ボランティア活動を行っています。 Oy Leiras Finland AB ( Oy Leiras Finland )は、高 Stakeholder’s Voice 齢者のケアを企業市民活動 の 優 先 課 題と位 置 付けてお Oy り、孤独感をやわらげるため 活動は、 「今日の働き方」への概念を変えるととも のボランティア活動を行って 作品づくりの支援 います。 Oy Leiras Finland の従業員は、勤務時間中でも、高齢 Leiras Finlandの皆さんのボランティア に、企業イメージの向上に大きく寄与していると 思います。 「クスターンカルタノ高齢者ケアセン ター」のスタッフと入居者は、 ボランティアの皆さ んを私たちのチームの一部だと感じています。 者施設でボランティア活動をすることができ、高齢者の散 さらに、Oy 歩やミニイベントを企画するほか、身体に障がいのある高 合唱団を作ることができました。歌を歌いたかっ 齢者がレクリエーションへ参加する際のサポートなどを行っ ています。これらの活動は高齢者の方々だけでなく、従業員 にも楽しみをもたらすものとなっています。ボランティア活 Leiras Finlandの支援によって、 た入居者は多かったにも関わらず、スタッフの中 に指揮ができる人がいなかったため実現できな かったのですが、Oy Leiras FInlandがプロの指 揮者を手配してくれました。毎週行われる合唱団 動は、企業文化にもよい影響を与えるものであり、従業員 の練習はとても人気があり、皆の合唱はCDにも が、普段の業務では得られない貴重な経験をし、それを共 録音されました。 有する機会を与えてくれます。 クスターンカルタノ 高齢者ケアセンター(ヘルシンキ) Ms. Emilia Pullianen 高齢者施設でのボランティア活動 Takeda CSR Data Book 2012 91 コミュニティ参画および発展 フランス 希少疾患と戦っている患者さんとご家族を 継続的に支援しています。 2003年から、 ラボラトワール・ タケダ (LT社) は、 さまざまなプロ Stakeholder’s Voice グラムを通して仏フリードライヒ 失調症※協会(AFAF) を支援して 過去 9 年間、LT 社から毎年数名のボランティ います。その一つが従業員のボ アがAFAF の年次総会に参加し、患者さんとその ランティア活動で、2012 年も LT社従業員 AFAFの年次総会の資料準備と総会の運営を支援しました。 年次総会の 1ヵ月前から、20 人以上の従業員がランチタイ らない存在であり、また患者さんたちにとっては 太陽の光のようなものです。オレンジの Tシャツ を着ているので、私たちはLT 社のことを「オレン 組みました。また総会が行われた2012 年 3 月の週末には、 ジチーム」と呼んでいます。 事や移動のお手伝いすることで患者さんやその家族をサ ポートし、心の交流も深めました。従業員は患者さんたちの 支えとなることに喜びを感じており、今後も、活動を継続し たいと考えています。 ※遺伝性の希少疾患で、神経細胞の異常に伴い運動機能が衰退していく病気です。この病気 は進行性で、患者さんは、発病後10年から20年で自力歩行ができなくなります。 フリードライヒ失調症の患者さんと従業員 Takeda CSR Data Book 2012 トしてくれるLT 社は、事務局にとってなくてはな ムに総会参加者のための資料や運営サポートの準備に取り オレンジの Tシャツを着た 6 人の従業員が総会に参加し、食 92 家族に付き添ってくれています。手際よくサポー LT 社はAFAFを長い間支えてくれており、 この ボランティア活動も、重要な取り組みの一つと なっています。 仏フリードライヒ失調症協会(AFAF)会長 Ms. Juliette Dieusaert イタリア 南スーダンの医療助手の教育を 支援しています タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ S.p.A.( TIF 社)は、 アフリカ医 療 研 究 財 団( AMREF )とともに南スーダンの Aurelio Loboi Amathiaさんに奨学金を提供しました。 Amathiaさんは、2013 年 1 月に国立マリディ医療研修所 でコミュニティ医療従事者の 3 年コースを修了し、臨床医学 および公衆衛生学部を卒業する予定です。その後は、年間何 百人もの人々の治療にあたることになります。 南スーダンの医療は複雑な状況下にあります。医療従事 Stakeholder’s Voice 私は現在 30 歳で、南スーダンの北カポエタ出 身です。私の出身地域の人口は約 54,000 人 で、公衆衛生の環境も生活のための基本的な設 備もひどい状態です。病院はたった一つしかあり ません。マリディ医療研修所で勉強を始める前 は、生活のためにさまざまな仕事をしましたが、 者の研修はほとんどなく、賃金も低く、医療施設にはくすりや 現在の目標は地域社会の医療ニーズに応えるス 設備が不足しているため、 アフリカ以外の地域へ移住する医 キルを身に付けることです。イタリアの皆さんか 師や医療従事者もいます。現 ら支援をいただき、勉強する機会を得たことを大 変感謝しています。卒業後は、地元の人々の治療 在、医療助手は約 270 人し に尽力したいと考えています。 かおらず、そのため、TIF 社の 国立マリディ医療研修所 臨床医学および公衆衛生学部 支援は、南スーダンの医療の Mr. Aurelio Loboi Amathi 未 来にとって重 要な意 味を 持つものとなっています。 南スーダンにおける診療風景 南スーダンにおける医学研究風景 Takeda CSR Data Book 2012 93 コミュニティ参画および発展 英国 世界腎臓病デーにあわせて、 従業員に腎臓病についての啓発活動を実施しました。 英国武田 Limited(TUK社) は、世界腎臓デー(WKD)の公 式スポンサーとして多様な活動を実施しています。その一環 として、世界腎臓病デーの期間中である2012年3月に、TUK 社は、従業員に対して腎臓病のさまざまな啓発活動を実施し、 英国では300万人以上の人が腎臓病のリスク 慢性腎疾患の患者数の増加や、 どのような治療法があるのか を抱えており、その数は増加を続けています。腎 についてなど、 多くの知識を得る機会を提供しました。 腎臓病患者数が増加している背景を学ぶため、オックスフ 社のランチ勉強会やオンラインクイズのような イベントを世界腎臓デー期間中に行うことは、深 刻化する問題に関心を持ってもらうために有効 を講師としてお招きし、ランチ勉強会を開催しました。このイ な方法です。 ベントに加え、オンラインクイ TUK 社の従業員の方々はとても関心が高く、 腎臓病についての知識を、 さら 積極的に取り組んでいただきました。また、オン photo に深めることができました。ク あり、ランチ勉強会ととともに 大きな成果を上げています。 活動に参加した従業員 ラインクイズは自宅に正確な情報を持ち帰るこ とができるため、英国における臓器提供登録につ いての認知向上にもつながると考えています。 イズには多数のエントリーが Takeda CSR Data Book 2012 臓病に対する認識を高めることが必要で、TUK ォード大学病院の腎臓部門長のMargaret Townsendさん ズを実施することで、従業員は 94 Stakeholder’s Voice オックスフォード大学病院 腎臓部門長 講師を務めていただいた Dr. Margaret Townsend Dr. Margaret Townsend 英国 科学する心を育む 「キャリア・デー」を支援しました。 2012 年 3 月、武田ケンブ リッジ Limited( TCB 社)か Stakeholder’s Voice ら、医化学、創薬生物学、薬理 学などの専門家によるボラン 「キャリア・デー」は、製薬業界で働くことにつ ティアチームが、地元の 4つの いて、子どもたちが学ぶことができる良い機会だ 学校の中学 2 年生を対象とし ったと思います。私たちが使用する器具のこと、 活動に参加したTCB社従業員 た「キャリア・デー」に参加しま 仕事の内容、また科学者になるにはどんな資格 がいるのかなどを、楽しみながらたくさん質問し した。これはSTEM 分野(科学、技術、工学、数学)のレベルア てくれました。子どもたちが、積極的に活動に参 ップを目的とした政府プロジェクトの一環であり、TCB 社 加してくれて、私たちも大変うれしかったです。 はその重要な活動をさまざまな形で支援しています。 TCB社 研究者 キャリア・デー当日、子どもたちは、ピペット操作、 ブレイン Kim Brackenborough ゲーム、化学分子モデルの構築、顕微鏡での細胞標本の観 このような重要で意義のある取り組みに参加 察などにチャレンジし、TCB 社のボランティアチームは、 「科 することができ、また、未来の科学者たちに製薬 学使節団」としての役割を熱心に務めました。子たちからは 業界の現場を実際に体験してもらう機会を提供 「最高に面白かった」という喜びの声が届いており、STEM プロジェクトからも高い評価をいただきました。 できて、 とてもうれしく思っています。 TCB社 人事部 Linda Millett 子どもたちへのレクチャー風景 Takeda CSR Data Book 2012 95 コミュニティ参画および発展 英国 従業員によるさまざまな ファンドレイジング活動を推進しています。 武田グローバル研究開発センター(欧州)Ltd.( TGRD ( EU )社)では、地域のどの慈善団体に対しファンドレイジン グ活動を行うかを、従業員が決定しています。2011 年は、 障がい者に対する寄付・自立支援を行う団体「アクション・フ TGRD( EU )社のボランティアの方々が実施さ ォー・キッズ」への支援を実施することになり、従業員主体の れた、 とても熱心なファンド・レイジング活動に感 委員会が 1 年を通して、さまざまなファンドレイジングの方 謝しています。 「アクション・フォー・キッズ」の活動 は、英国の障がいのある子どもや若者を対象と 法を計画し、実施しました。 するもので、提供された寄付金で、 トレーニング 体力のある従業員は10kmのチャリティマラソンに参加し、 や学習の機会、各種設備の提供を継続的に支援 オフィスではベークセールも開催 することができました。また、TGRD( EU )社の され、大盛況でした。また、全従業 方々が、 このボランティア活動を楽しみながら実 員が参加する夏期ミーティングで 施されていることを大変うれしく思っています。 アクション・フォー・キッズ 企業提携マネージャー は、チャリティオークションを実施 Ms. Lyn Prodger し、 クイズナイトなどのイベントも 開催しました。オークションを通じ て集まった寄付金は、12,000ポ ンドを超える金額となりました。 チャリティマラソンに参加する従業員 96 Takeda CSR Data Book 2012 Stakeholder’s Voice 活動に参加する従業員 アイルランド 知的障がい者とともに 「折り紙」を楽しむイベントを開催しました。 武田アイルランド Limited( TIL 社)は、従業員の持つ力 を最大限に活かした地域への貢献に取り組んでいます。 各地域の成人の知的障がい者をサポートしているサンビ Stakeholder’s Voice ームハウス・サービスでは、 「一般の人々と同様に充実した生 TIL 社での折り紙教室は、本当に楽しかったで 活を送ることができるよう、必要なスキルを提供し習得して す。最初は難しかったですが、TIL 社の従業員が いただく」ことを使命としており、TIL 社は、その活動を支援 手伝ってくれてコツをつかむことができました。 しています。2012 年 1 月には、サンビームハウス・サービス の利用者を社内に招待して、 「 折り紙アフタヌーン」を開催し カエルを作るときは、逆に、私が彼らを手伝って あげました。何人かの TIL 社の従業員には以前に も会ったことがありますが、ユーモアにあふれた ました。2 人 の 従 業 員が講 楽しい方々が多く、まるで家族のように感じられ 師を務め、サンビームハウ ました。日本人の先生も素敵な人で、日本の文化 ス・サービスの利用者ととも を学ぶよい機会となりました。 に、他の従業員も「折り紙」 サンビームハウス・サービス 利用者 Mr. Thomas Gilbert を学び、笑顔にあふれた楽 しい午後を過ごしました。 スタッフの方々と従業員 折り紙の基本のレクチャー Takeda CSR Data Book 2012 97 コミュニティ参画および発展 スペイン ホスピタル・クラウン団体 「テオドーラ財団」を支援しています。 ナイコメッド Pharma S.A.(ナイコメッド Pharma) と世 界最大のホスピタル・クラウン団体「テオドーラ財団」は、子 どもの手術に付き添う試験的なプロジェクトをスタートしま Stakeholder’s Voice した。このプロジェクトは、マドリード、バルセロナ、カナリア スマイルドクター(=ホスピタル・クラウン)たち 諸島にある3 つの病院でスタートし、2012 年にはアンダル の活動は素晴らしいです。彼らの存在は、入院中の シア地方にも広げられる予定です。スペインにおける「テオ ドーラ財団」の活動は2000年に開始され、現在20病院で、 子どもたちだけでなく、その両親や家族にとって も、心なごませる良いくすりとなり、楽しみを与え てくれています。また、彼らの情熱と幸福感は、周 合計 26 人のホスピタル・クラウンが活動しています。過去 囲の医療スタッフにもしっかりと伝わっています。 10 年間で、25 万人以上の入院中の子どもたちを笑顔にし インファンティル・ヴィルヘン・デル・ロシオ病院 てきました。 Dr. María Teresa López Marín ホスピタル・クラウンが、病室だけではなく手術室にも付 き添う今回のプロジェクトでは、子どもとその家族を精神的 にサポートすることで、医療スタッフが手術に集中すること ができ、手術前の投薬量を減らせる場合も出てくるかもしれ ないと考えられています。 「テオドーラ財団」のホスピタル・クラウン 子どものケアをするホスピタル・クラウン 98 Takeda CSR Data Book 2012 南アフリカ ブランケット作りを通じて、 ホームレスの子どもたちを支援しました。 70,000人以上が居住するハ ウテン州コスモシティは、ホーム Stakeholder’s Voice レスの人々に住居を提供する活 動が行われていることで有名な 100 枚のブランケットは、それを最も必要とし 町です。この地域のホームレスの ている子どもたちに配られました。子どもたちは、 多くは、孤児となった子どもたち ブランケット作りに取り組むナイコメッド・ ファーマシューティカルズ従業員 です。ナイコメッド・ファーマシュティカルズ(Pty)Ltd.(ナイコ 「貧困に負けないように、ブランケットがもらえ て、僕たちはラッキーだね」と言って、 とても喜ん でいました。 メッド・ファーマシュティカルズ)では、NPO「Vuleka」が実施し 子どもは成長が早く、服はすぐに小さくなりま ている、子どもたちを支援するプロジェクトに参加しています。 すが、 ブランケットは長い間使えます。子どもたち ハウテン州は冬になると夜の気温が氷点下になり、暖かい の生活に、ずっと役立つものになることでしょう。 ブランケットが必要となるため、 「Vuleka」は、子どもたちに贈 るブランケット作りの方法を教えているのです。ナイコメッド・ ファーマシュティカルズでは、ブランケット作成費用を提供 この冬、たくさんの子どもたちに良い変化をもた らしていただき、心より感謝しています。 NPO「Vuleka」財務担当者 Ms. Janet Saner するとともに、従業員がブランケット作りにも取り組みました。 その活動はとても楽しく、100枚ものブランケットを仕上げる ことができました。 ブランケットを贈られた子どもたち Takeda CSR Data Book 2012 99 コミュニティ参画および発展 中国 薬学の将来を担う学生たちに、 奨学金を提供しています。 広東テックプール・バイオファーマ Co. Ltd.(広東テック プール・バイオファーマ)は、調和のとれたコミュニティの発 展に貢献し、社会的責任を果たすため、さまざまな取り組み を進めています。2006 年からは、広州の中山大学、華南理 工大学、金橋技術学校などといった大学、技術学校の薬学専 攻の学生を支援するために、奨学金制度を設立しました。 2011 年には、各大学、技術学校の成績優秀学生に、合計 Stakeholder’s Voice 2011 年、華南理工大学生物工学部の 2 年生 のときに、広東テックプール・バイオファーマから 奨学金をいただいたことを、 とても誇りに思って います。また、インターンシップ生として働く機会 をいただいたことに感謝しています。インターン 45,000ドルの奨学金が提供されました。広東テックプール・ シップの際には、従業員のキャリア育成をしっかり バイオファーマでは、 このような社会への意義ある貢献を継 とサポートしながら、品質向上を追求し、日常業務 続して取り組んでいきたいと考えています。 の中でのコミュニケーションやチームワークを重 視している企業文化に感銘を受けました。 モチベーションを高めてくれた、 これらの貴重 な体験を糧として、これから一生懸命勉強し、将 来、社会のために貢献したいと思っています。 華南理工大学 生物工学部 Mr. Rongfei Yu 授与式の様子 奨学金を授与された学生たち 100 Takeda CSR Data Book 2012 中国 子どもたちに学校用品を 寄贈しました。 2011 年 12 月18 日、中央 地域済南市の旧ナイコメッド Stakeholder’s Voice 社( 中 国 )の 従 業 員とそ の 家 族が、山東市FMラジオ局の呼 旧ナイコメッド社(中国)の方々が、済南市から びかけで集まったボランティ この活動に参加してくださったことに感謝しま アグループとともに、山東省・ 山東省・石門小学校の子どもたち 石門小学校へ向かいました。石門小学校は、人里離れた山 す。ボランティアの募集から活動日までは数日し かなかったのですが、皆さんはとても積極的に行 動してくれました。石門小学校に代わって、お礼を 間地にあります。ボランティア活動に参加した人々は、約 4 申し上げたいと思います。このような、困っている 時間かけて200 キロの道のりを旅し、生徒たちに本や文房 人々への支援は、社会の一員として、今後も継続 具を届けました。そして、 どのような支援が必要とされてい 的に続けていかなければならないと思います。中 るか、生徒たちと語り合いました。 この素晴らしい取り組みは、多くの人々の心を動かしまし 国には、 「誰かに花を贈ると、その香りはいつまで も自分の手に残る」という古い諺があります。私 たちの心と世界を、愛情でいっぱいにしましょう。 た。これからも、このような活動に多くの従業員が参加し、 タケダイズムの精神に基づいた企業市民活動を通じて、よ 山東市FMラジオ局 キャスター Ms. An ke り良い社会づくりに貢献したいと考えています。 子どもたちと触れ合う従業員 Takeda CSR Data Book 2012 101 コミュニティ参画および発展 中国 学生日本語スピーチコンテストを 支援しました。 武田薬品(中国)有限公司(武田薬品(中国))は、公共の福 祉に貢献するため、毎年、さまざまな活動を推進していま す。その一環として、日中青年交流センターが主催してい る、学生日本語スピーチコンテストを支援しており、日本語 日中青年交流センターは設立以来、日中間の を学んでいる若者に、日本を訪れ、若者同士の交流を深める 友好関係づくりに努め、両国の若者たちがお互い チャンスを提供しています。コンテストに参加した学生にと っては、一人ひとりにさらなる成長の力を与えてくれる得難 い体験であり、学生たちは、世界に向かって自分自身をしっ ています。 学生日本語スピーチコンテストは、武田薬品 (中国)が積極的にサポートしてくれている活動 の一つです。コンテストを通じて、中国の若者が、 このコンテストへの支援は、学生 日本の企業や文化を知ることのできる、 よい機会 たちのコミュニティにおいて、タケダ となっています。 日中青年交流センター Mr. Wu Wensheng ており、タケダの企業文化に触れて いただく良い機会となることを期待 しています。 日本語スピーチコンテスト ポスター 日本語スピーチコンテストに参加した学生たち Takeda CSR Data Book 2012 の文化を知ることで相互理解を深める支援をし かりと表現していました。 の存在感を高めることにもつながっ 102 Stakeholder’s Voice 台湾 ワーク・ライフ・バランスの啓発活動の一環として、 台北マラソンに参加しました。 近 年 、台 湾 で も「 過 労 死」が頻繁に起こるように Stakeholder’s Voice なり、ワーク・ライフ・バラ ンスに関する意識を高め 台北マラソンに参加して、 「 完走するためには、 る活動が重要となってい 呼吸と足の動きが合っていなければいけない」 と ます。そ のような 背 景 の 従業員とその家族 もとで、台湾武田Ltd.(台湾武田)は、大規模なマラソンイベ いうことを実感しました。そのためには、 レースの 前にしっかりと練習すること、そして仲間からの サポートも重要となります。人生もまた、同じでは ントである台北マラソンに参加しました。 ないでしょうか。目的を達成するためには、さまざ 台湾武田の約 8 割の従業員とその家族が、何千人もの台 まな困難に備え、前へ進むためのスキルを磨き 北マラソン参加者の一人として、ゴールを目指して、ベスト 続けることが大切です。そのような観点からも、 を尽くして走りました。このイベントは、従業員のライフスタ 仕事と生活のバランスをとることは、成功や達成 イルへの意識を変えるだけではなく、一人ひとりの体調管理 の意識啓発にとっても良い機会となりました。台北マラソン 感につながるものであると感じています。 武田台湾 Jonathan Chiang への参加の取り組みは初めてでしたが、ワーク・ライフ・バラ ンスの重要性の啓発に向けて、大きな成果を上げることが できました。 台北マラソンに参加した従業員 Takeda CSR Data Book 2012 103 コミュニティ参画および発展 フィリピン フィリピンの恵まれない人々に 医薬品を提供しました。 「 PHAP ケアーズ基金」は、フィリピンの製薬企業、および ヘルスケア協会の会員である製薬・医療企業団体 PHAPに よって設立された、非営利・非民間資本組織です。2003 年 Stakeholder’s Voice に法人となり、 「 PHAPケアーズ基金」はPHAP のコミュニテ フィリピン武田からは、医薬品の提供を含めた ィ開発およびフィランソロピーの担当部門となり、フィリピ 継続的な支援をいただいており、 とても感謝して ンの貧しい人や恵まれない人々に対する、医薬品寄付に関 する統合プログラムを設立・管理する責任を負うことが義務 付けられました。 2011年度、フィリピン武田 Inc.(フィリピン武田)は、65万 フィリピンペソ相当の骨粗鬆症治療剤「エビスタ」 (ラロキ います。これからも、貧しい患者さんたちに優れ た医薬品を提供し続けていただきたいと願って います。今後も、変わらぬご支援をいただけれ ば、大変うれしく思います。 PHAPケアーズ基金 Mr. Emerson Querimit シフェン塩酸塩) と消化性潰瘍治療剤「プレバシド」 ( ランソ プラゾール)を当基金に寄付しました。また、カローカンシ ティにおいて、約 900 人の住民の方を対象に行われた医療 サービスプログラムの実施に際して、必要な医薬品を提供 しました。 PHAPケアーズ基金のスタッフ Emerson QuerimitさんとMarian Pausanosさん PHAPCares基金を通じて提供される医薬品 104 Takeda CSR Data Book 2012 タイ 洪水による健康への悪影響を抑える 活動に参加しました。 2011 年の洪水による被害は、タイ国内の約 3 分の 1 の 地域に及び、北部から流れ出た水が、首都バンコクにも迫り ました。多くの地域の住人に避難勧告が出され、支援の手を Stakeholder’s Voice 差し伸べるためにたくさんのボランティアが集まりました。 タイ武田のボランティアの方々が、医薬品や救 タイ武田 Ltd. (タイ武田)の従業員も、バンコク・メトロポリタ 命用具の箱詰めなどを手伝ってくれたおかげで、 ン・ヘルスセンターの避難所で、ボランティアとして医薬品 や救命用具の箱詰めなどを手伝い、全ての医薬品を安全な 全ての医薬品を安全な場所に移し、救命用具を 洪水による被災者に届けることができました。皆 さんの活動に、 とても感謝しています。 場所に移動させました。 洪水が次第におさまるなか、次第に汚水による健康被害 バンコク・メトロポリタン・ヘルスセンター Ms. Sriwimol Chuengsatiansup が広がり、汚臭も耐え難いものとなりました。そのような状 況を改善するために投入されたのが、微生物の力によって水 質を保全するEMボールです。何千人ものボランティアとと もに、従業員がEMボール作りに取り組みました。 従業員によるボランティア活動 EMボール作りを行う従業員 Takeda CSR Data Book 2012 105 コミュニティ参画および発展 インドネシア 工場の周辺住民の方々に、 健康診断の機会を提供しました。 P.T. インドネシア武田(インドネシア武田) は、2011年10 月 1 日に、工場周辺のコミュニティにおいて無料の健康診 断を実施し、体調の良くない方に対して、70 枚の受診券を 優先的に配布しました。 工場の周辺住民の方々に、タケダが健康診断 この健康診断は、インドネシア武田の工場敷地内で行わ を無料で行うと聞いた時、私は大賛成しました。 れました。工場の従業員が中心となって活動を進めました が、このような取り組みを工場周辺のコミュニティで行う のは初めてだったこともあり、インドネシア武田の産業医 おり、健康診断の機会を得ることが難しい方が多 いからです。病院の同僚にも声をかけて、診断を 手伝ってもらいました。このような取り組みは、地 域コミュニティに対する企業市民活動として、 と 人々から大変好評で、受診された方は 67 人に及び、 このよ ても良いものですし、今後も定期的に行っていく うな 取り組 みをぜ ひ 定 期 必要があると思います。 インドネシア武田 産業医 Dr. Femi Widya も多数寄せられました。 健康診断を受ける住民の方 従業員による問診表の作成 Takeda CSR Data Book 2012 この地域では多くの方々が貧しい生活を送って も 熱 心に協 力してくれました 。この 健 康 診 断 は 、地 域 の 的に行ってほしいという声 106 Stakeholder’s Voice シンガポー ル バイオテクノロジー専攻の学生のインターンシップを、 継続的に実施しています。 武田シンガポール Pte. Ltd.( TSP 社)では、 シンガポール の理系学生の教育とキャリア開発を支援する継続的な活動 として、 シンガポール・テマセク・ポリテクニックでバイオテクノ Stakeholder’s Voice ロジーを学ぶ学生を対象に、毎年 20 週間のインターンシッ TSP 社でのインターンシップに参加したこと プを実施しています。2006 年からスタートしたこのプログ で、創薬ビジネスに関する理解を深めることがで ラム (SIP) には、2011年までに合計15人の学生が参加しま きました。その体験を通じて、将来的に製薬業界 した。2012年1月に3人が研修期間を終了しており、2012 で力を発揮するために、バイオテクノロジー分野 での学位取得を目指したいと、強く思うようにな 年9月には新たに3人の研修生を迎え入れる予定です。 りました。また、貴重なスキルや知識を身に付け SIPは、テマセク・ポリテクニックの学位取得においても重 ることができ、今後の私のキャリア形成において 視されており、応用研究に関する理解を深め、技術力を育 も、大きな強みになったと感じています。 み、実際の創薬プロジェクトに 携わることができる貴重な機会 Maccine Pte Ltd 医療技術者 (2008 年 インターンシップ研修生) Mr. Ivan Low Ying Wei となっています。 テマセク・ポリテクニック SIPホームページ http://www.tp.edu.sg/home/global/glo_sip.htm TSP社の業務を体験する2012年のインターンシップ研修生 Takeda CSR Data Book 2012 107 コミュニティ参画および発展 オーストラリア 洪水による被災地への寄付と、 従業員による支援活動のサポートを行いました。 2010 年 12 月から、オー ストラリアは何度かにわたり Stakeholder’s Voice 洪水に見舞われ、70 町村で 約 20 万人が被災しました。 クイーンズランド州ブリスベ ンでは、2011 年 1 月に最も ブリスベンの洪水は、オーストラリア全体に深 刻な影響を与えました。ブリスベン住民が被災し 泥の後がオーストラリアの形に見える 被災した住宅のドア 大きな被害が出て、35人が死亡、9人が行方不明となりまし ただけでなく、地方や国全体への経済的打撃に もなりました。主要産業の鉱業分野では何ヵ月に もおよぶ減産となり、中小企業は人員整理を行 た。援助要請が出た際に、ナイコメッド Pty. Ltd. は、被災し わざるをえず、保健医療サービスも混乱しまし た従業員や支援活動への参加を希望する従業員に対して休 た。そのような状況に対して、地域の製薬企業が 暇を許可するとともに、義援金の寄付を行いました。 協力して、100 万オーストラリアドル以上の寄付 従業員の中には、1974 年の大洪水で被害を受けた経験 がある人もいます。人々の間に、再び洪水による心の傷が蘇 っているように感じられ、従業員一人ひとりが懸命に支援活 動に取り組みました。 を行うとともに、必要な医薬品を継続的に供給し ました。ボランティア活動も含め、ナイコメッド Pty. Ltd.では、自然災害に対して製薬企業が果 たすべき責任の一端を、今後も担っていきたい と考えています。 ナイコメッド Pty. Ltd. James Jones 被災地ボランティアに参加した従業員 108 Takeda CSR Data Book 2012 日本 「GC-JN東日本大震災復興支援コレクティブアクション」と連携し、 東日本大震災被災地の復興を支援しています。 グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク ( GC-JN ) が主催する「 GC-JN 東日本大震災復興支援コレクティブア クション」とは、GC-JNに参加する各企業の連携を通じて社 会課題の解決に臨むという組織の特徴を活かし、複数企業 が協働して復興支援に取り組む活動です。本活動は、 カキ養 殖用筏の組み立てや瓦礫撤去などを手伝う 「宮城県・気仙沼 大島コース」と、 「亘理グリーンベルトプロジェクト」の種子採 Stakeholder’s Voice 震災から一年になる3月上旬に「気仙沼大島コ ース」に参加しました。震災の爪痕は想像以上 で、被災された方から地震や津波来襲時の状況 を聞いてその脅威を再認識しました。私たちは、 海水浴場の清掃、瓦礫の撤去、ホタテ養殖の支 取や苗づくりを行う 「宮城県・亘理町コース」の 2 種類があり 援活動を行ないましたが、他企業からの参加者 ます。タケダは、各コースへの参加案内およびボランティア との交流も有意義でした。復旧・復興のためには、 活動のサポートなどを行い、合計29名が参加しました。参加 私たちが現地への思いを持ち続けることが大事 者 からは「 現 地 へ 足 を 運 び 、 『 震災を忘れない 』ことの大切 さを感じた」などの感想が寄せ と感じました。今後も社内外に活動の輪を広げた いと思います。 環境安全管理室長 田坂 昭弘 られました。 ホタテ稚貝の分別作業 気仙沼大島でのボランティア活動に参加した従業員 Takeda CSR Data Book 2012 109 コミュニティ参画および発展 日本 認定NPO法人「ファミリーハウス」 「ファミリーハウス」 は、小児癌などの難病 の治療を受けるため、 遠 隔 地 から東 京 の 高 度 専 門 病 院に来てい る子ども た ちとそ の ©Yuriko Yamawaki 2006 家族のための宿泊施設を運営している認定 NPO 法人 です。タケダでは2004 年度より毎年寄付金と飲料を 「リレー・フォー・ライフ ( RFL)」に参加した従業員 提供しています。また、2010 年からは、 「ファミリー ハウス」の運営業務の専門性を確立する「職域確立プ ロジェクト」が、タケダとの協働のもと、3 年間の計画 で進められています。 「リレー・フォー・ライフ」参加者の声 「社内はもとより社外の方との交流ができてよかった」 「社会から向けられる研究への期待を感じられた」 2011 年度には、11 名のタケダの従業員が「かん がるーの家」における大掃除ボランティアに参加した ほか、 ファミリーハウス主催の「ホスピタリティ研修」に 3名が参加しました。 労働組合の取り組み 武田薬品労働組合では、組合員皆さんの積極 的参加により、 ボランティア活動・災害支援活動・ 各種カンパ活動など、 さまざまな社会貢献活動に 取り組んでいます。さらにはモンゴル国への支援 活動も継続した取り組みの一つです。 「手から手 へ」をコンセプトに、現地の学校に文房具・衛生用 品などを寄贈するとともに、子どもたちとの文化 交流も行い、心の通った活動を10年以上にわた って実施しています。 「かんがるーの家」での大掃除ボランティア 「リレー・フォー・ライフ」への協賛 タケダは、 「リレー・フォー・ライフ (RFL)」に協賛し、各 実行委員が用意するトートバッグなどの参加者用グッ ズの制作費サポートを行いました。 「RFL」とは、癌と闘 う患者さんやその家族・支援者をサポートする24時間 チャリティ・ウォーキングイベントです。1985年に米国 で始まったこのイベントは、現在世界 20ヵ国で開催さ れています。2011 年度はタケダの有志が集まり、横 浜大会と東京大会に参加し、タケダのチームフラッグ を掲げて、会場を、交代しながら、途切れることなく歩 き続けました。 110 Takeda CSR Data Book 2012 日本の玩具を使った、モンゴル国の子どもたちとの交流 各国におけるその他の活動 米国 「ナショナル・リビルディング・デー」において、低所得者や高齢者の方などのために住宅の修復を行いました。 従業員とその家族がボランティアとして参加し、3軒を修復しました。 武田ファーマシューティカルズUSA Inc. マーケティング部門の従業員がロボットハンドを制作し、爆弾や地雷などで腕を失った方々に提供しました。 また自転車を制作し、シカゴの少年少女クラブの 20 人の子どもたちに提供しました。 白血病&悪性リンパ腫協会(LLS)の「ラッシング・ トゥウォード・ア・キュア」を支援し、ニューイングランド・ペイトリ オッツフットボールチームが100ヤードラッシュするごとに、1,000ドルを寄付しました。 ミレニアム・ファーマシューティカルズ Inc. ナショナルスポンサーとして、多発性骨髄腫研究基金( MMRF )の「レース・フォー・リサーチ 5kmウォーク& ラン」を支援しています。従業員がMMRF への寄付を集めるとともに、 ウォーク&ランにも参加しました。 NPO「キッズ・アラウンド・ザ・ワー ルド」の活動を支援しており、当 NPO を通じて、途上国の子どもたちに 15,000食のミールパッケージを提供しました。 武田グローバル研究開発センター Inc. 科学者の社会貢献に向けた連携のあり方を話し合う、 ノースウェスタン大学の研究部会「 NUCATS 」主催の 国際サイエンス会議を支援しました。 乳癌支援団体「スーザン・G・コーメン・フォー・ザ・キュア」が主催するチャリティウォークに、従業員が 30 匹の 犬たちとともに参加し、研究と啓発のための活動資金 20,000ドルを集めました。 武田カリフォルニア Inc. 国連「世界環境デー」の記念行事に参加し、 トーリー・パインズ・ステート自然保護区とバルボア公園内のジャパ ニーズ・フレンドシップ・ガーデンを整備するボランティア活動を行いました。 カナダ 「アース・デー」イベントとして開催された、オークビルの地方政府による清掃活動に従業員が参加し、環境に やさしい活動についての理解を深めました。 ナイコメッド・カナダ Inc. オンタリオ家庭医大学( OCFP )の成績優秀な学生に授与される奨学金を支援しています。 メキシコ ナイコメッド・メキシコ S.A. de C.V. 国連「世界環境デー」に、エネルギーや水問題についての啓発を目的とした、教育支援活動を行いました。 ブラジル サンパウロ市の公立学校、図書館など200の団体に、視覚障がい児向けの2,000冊の点字オーディオ・ビジュ アルブックを配布する「Brailinho Tagarela」プロジェクトを支援しています。 武田Distribuidora Ltda. さまざまな NPO・団体と連携して、支援が必要な方々に対して、食糧、衣類、玩具などを寄付しています。 ロシア 視覚および聴覚の障がいを持つ子どもたちのための本の制作費用を支援しました。 ナイコメッド ディストリビューション・センター Limited Liability Company 内分泌学研究センター、およびロシア厚生省ヨウ素欠乏症研究センターと連携して、ヨウ素欠乏症の予防・ 治療に向けた研究プロジェクトを実施しています。 Takeda CSR Data Book 2012 111 コミュニティ参画および発展 各国におけるその他の活動 ポーランド 2011年6月に、ウィシュコビツェの幼稚園や学校に、子どもの日のお祝いの寄付を行いました。 ナイコメッド Pharma Sp.z.o.o. ウィシュコビツェ地域で行われる、高齢者などを対象としたクリスマス・イブ・イベントを支援しています。 ノルウェー アスケー博物館が地域の子どもたちを対象に実施する、900 年の歴史を持つアスケーの石灰産業のレク チャーに、従業員がボランティアとして参加しました。 ナイコメッド Pharma AS 地域の教育団体を支援し、さまざまなテーマで学生向けの講座を開講しています。また学生が「 1 日マネー ジャー」として、会社の業務に参加できる仕組みも設けています。 フィンランド Oy Leiras Finland AB ラオスの少女たちを支援する「スクールプロジェクト」に協賛しました。 フランス ラボラトワール・タケダ 乳癌撲滅の研究費用の調達を目的に開催されている「オデッセイア・レース」に、従業員が2009 年から参加 しています。 イタリア 「アクティブ・シチズンシップ」協会による、市民向けの希少疾患および腫瘍専門のウェブサイトの作成とメンテ ナンスを支援しました。 タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ S.p.A. 国際NGO「アフリカ医療研究財団(AMREF)」による「フライングドクターサービス」を支援し、 アフリカの患者 さんの医療をサポートしています。 英国 チャリティマラソンイベントである「ロンドン・ロイヤル・パークス・ハーフ・マラソン2011」への従業員の参加を 通じて、骨肉腫研究基金(BCRT) を支援しました。 英国武田 Limited による、医療関係者向けのe-ラーニングシステムの開発を支援しました。 貧血スペシャリスト看護師協会(ANSA) 科学専攻の学生 12 名に対し、4日間にわたり化学研究室で業務体験ができる「ワークシャドーイング」の機会 武田ケンブリッジ Limited を提供しました。 地球環境保全を願って、オフィスビルの玄関に、2本の桜と数本の椿の木を、従業員たちの手で植樹しました。 武田グローバル研究開発センター(欧州)Ltd. 地元の運動場や庭の改修プロジェクトに、従業員がボランティアとして参加しました。 アイルランド 地元コミュニティの「エディブル・ガーデン」づくりに従業員がボランティアとして参加し、菜園の土づくりと ハーブやベリーの苗の植え付けを行いました。 武田アイルランド Limited 従業員がベークセール(お菓子を作って販売するイベント)を開催し、乳癌撲滅を目指す「アイリッシュ癌協 会」に売上金 888ユーロを寄付しました。 112 Takeda CSR Data Book 2012 スペイン 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者とその家族向けの、治療やリハビリに関する視聴覚教育ガイドDVD「エポック・ ガイド」の制作を支援しています。 ナイコメッド Pharma S.A. 女性向けのトレーニングプログラムを提供している団体「リデラ・プログラム」と提携し、健康づくりを支援し ています。 南アフリカ エイズの子どもたちの支援プロジェクト「ビレッジ・セーフ・ヘブン」を推進し、治療支援のほか、洗濯機や乾燥機 ナイコメッド・ファーマシューティカルズ (Pty) Ltd. の寄贈などを行っています。 「マンデビル・ ドルフィンズ・スイミング・クラブ」で、障がいを持った人たちが、水泳の練習をするための支援 を行っています。 中国 旧ナイコメッド社 (中国) 従業員が、地域の学生たちを訪問し、本、文具、スクールバッグなど約 7,000 人民元相当の学用品を寄贈 しました。 未使用の 32 台のデスクトップコンピューターを、上海海外中国財団へ寄贈しました。これらのコンピューター は、遠隔地に住む生徒たちの支援のために役立てられます。 武田薬品(中国)有限公司 世界自然保護基金(WWF)が提唱する、不必要な電気を1時間消すイベント「アース・アワー」に参加し、従業員 の環境保護意識の向上を図りました。 台湾 中高年の男性を対象として、医師による前立腺癌の説明会や無料スクリーニング検査会を開催しました。 台湾武田 Ltd. 高雄医学大学の薬学専攻の学生を対象にインターンシッププログラムを実施し、マーケティングや営業など の業務を体験する機会を提供しました。 フィリピン フィリピン武田 Inc. オフィスで不要となった事務用品を、 イーエムズ シグナル・ヴィレッジ小学校に寄付しました。 インドネシア P.T. インドネシア武田 インドネシア赤十字と提携して献血活動を行い、会社近隣の方々にも参加していただきました。 シンガポー ル シンガポール科学技術研究庁主催の創薬コース開設にあたり、会社幹部が、創薬プロセスの基礎知識につ いての講義を行いました。 武田シンガポール Pte. Ltd. 従業員のファンドレイジング活動により集めた約 600シンガポールドルを、病気と闘っている子どもたちと その家族を支援する団体「クラブ・レインボー」へ寄付しました。 オーストラリア 全社営業会議の場において、従業員がチームに分かれて16 台の自転車を組み立て、恵まれない環境にいる 子どもたちに寄付しました。 ナイコメッド Pty. Ltd. ジーンズを着用することが許可される「ジーンズ・フォー・ジーンズ・デー」にファンドレイジング活動を行い、 集めた寄付を、小児医療研究のために提供しました。 Takeda CSR Data Book 2012 113 タケダの歴史 タケダは230 年以上にわたり変革を続けながら、誠実に事業を推進してきました。 これからも、グローバル製薬企業としての責任を果たしていきます。 1781 1914 創業 1962 武田研究部設立 研究活動を開始 1781 年、初代近江屋長兵衞が を大きく拡大していきました。 大阪・道修町で和漢薬仲買の商い を始めた時からタケダの歴史は 1989 スタートします。明治維新を迎え、 いち早く 「洋薬」 ( 西洋医薬品)の 前立腺癌・乳癌・子宮内膜症治療剤 「リュープロレリン酢酸塩」 上市(米国・欧州) 輸入を始めています。 1895 実験室における研究の様子(1939年) 製薬事業を開始 大阪に自社工場を設立して、製薬 メーカー へ 生まれ変わるという 「変革」を遂げています。 1991 1950 消化性潰瘍治療剤 日本初の総合ビタミン剤 「パンビタン」上市 創業者:初代近江屋長兵衞 「ランソプラゾール」 上市(欧州) 1997 1954 ビタミンB1 誘導体 「アリナミン」上市 高血圧症治療剤 「カンデサルタン シレキセチル」上市(欧州) 1900 1700 1933 1992 1960 ※ 「京都薬用植物園」開設 京都試験農園( 1954 年) 海外市場に進出 アジア、欧州、米国へと進出地域 「尚志社」設立 「環境に関する 基本原則」制定 世界各地から薬用・有用植物を収 1923 年に五代武田長兵衞が私 集・活用し、現在、96 種の絶滅危 費を投じて苦学生の支援を始め 地球環境問題に向けて、グロー 惧種を含む 2,400 種を超える植 たことにルーツがあり、1960 年 バルな取り組みを進めるために 物を栽培しています。 に育 英 事 業を目 的とする「 尚 志 制定されました。タケダグループ ※開設時の名称は「京都武田薬草園」。1945 社」に発展しました。 年に「京都試験農園」と改名し、1994 年か 1944 「発酵研究所」設立 全体の基本ポリシーとなってい ます。 ら現在の名称となりました。 1963 「武田科学振興財団」設立 タケダからの 寄 附 金を基 金とし 1995 「エルアイ武田」設立 60年間にわたって、微生物株の保 て、科 学 技 術 の 研 究を助 成 振 興 「働く障がい者を愛する会社」と 存機関として研究を支援してきま し、科学技術および文化の向上発 いう経営理念のもとに設立され した。現在は、微生物研究の助成 事業を行っています。 展に寄与することを目的として、 設立されました。その事業は 年々拡充されています。 た、医薬品業界では初めての障 がい者雇用を目的とした特例子 会社です。 「解体新書」 (安永3年・1774年/杏雨書屋蔵) 114 Takeda CSR Data Book 2012 1999 2010 2012 2 型糖尿病治療剤 2 型糖尿病治療剤 ワクチンビジネス部設立 「ピオグリタゾン塩酸塩」 上市(日本・米国) 「ネシーナ」上市(日本) グローバルでのワクチン事業を強化。 抗癌剤 「ベクティビックス」上市(日本) 腎性貧血治療剤 「オモンティス」上市(米国) 2005 2011 不眠症治療剤 「ラメルテオン」上市(米国) 高血圧症治療剤 「イダービ」上市(米国) 2008 湘南研究所 開設 ミレニアム社を統合 高血圧症治療剤 「アジルバ」上市(日本) URLファーマ社を統合 痛風・高尿酸血症治療剤「コルクリス」を獲得 し、痛風領域を強化。 2009 マルチラブ社を統合 逆流性食道炎治療剤 「デクスラント」上市(米国) 痛風・高尿酸血症治療剤 「ユーロリック」上市(米国) 湘南研究所 ナイコメッド社を統合 ブラジル市場でのプレゼンスをさらに高め、 新興国事業を強化。 成長著しい新興国への販路拡大と欧州全域 での事業基盤の強化を実現。 2000 2006 アニュアルレポートに CSR報告書を統合 財務情報と非財務情報をあわせて記載した 「統合レポート」形式にて、アニュアルレポー 2010 「タケダ・イニシアティブ」開始 アフリカにおける保健医療人材の育成を支 援 する寄 付 プ ログラム 活 動 を 、世 界 基 金 (The Global Fund)と協働し、立ち上げま 2011 国連グローバル・コンパクトの 「LEADプログラム」へ参加 国連グローバル・コンパクトの理念の実践と普 及をリードする活動に取り組んでいます。 トの発行をスタートしました。 した。 2009 ダイバーシティの推進および バリューチェーン管理の強化 アリナミンの収益の一部を寄付金として、東 ダイバーシティ (多様性)を行動原則の一つ 続的に支援しています。 「日本を元気に・復興支援」 「国連グローバル・コンパクト」に 参加/ CSR 専任組織の設置 に掲げ、取り組みを強化しています。また、バ 「人権」、 「 労働」、 「 環境」、 「 腐敗防止」からな リューチェーンに関するポリシーを整備し、 る10 原則を支持し、企業活動全般に取り入 お取引先まで含めたCSR 環境の整備をスタ れています。また、CSR ートしました。 専任組織を設置し、タケ ダ の CSR 活 動 の 充 実を 図っています。 日本大震災による被災地の復興を長期的・継 2012 「SRIインデックスの継続組み入れ」を 企業評価の指標として採用 「タケダ・グローバル行動規準」制定 企業活動の評価指標にSRIインデックスの継 ガバナンスを強化し、 グローバルなタケダグ 続組み入れを採用し、経営戦略における「社 ループ全体におけるコンプライアンスの徹 会的責任の重視」をより明確にしました。 底を図っています。 Takeda CSR Data Book 2012 115 会社情報 会社情報 2012年3月31日現在 名 武田薬品工業株式会社 創 業 1781年6月12日 設 立 1925年1月29日 金 635億41百万円 表 代表取締役社長 長谷川閑史 会 社 資 本 代 本 社 〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号 Tel: 06-6204-2111 Fax: 06-6204-2880 東京本社 主な事業内容 医薬品、医薬部外品等の製造・販売・輸出入 従 業 員 数 30,305人(連結) 売上高 〒103-8668 東京都中央区日本橋二丁目12番10号 Tel: 03-3278-2111 Fax: 03-3278-2000 EPSおよびROE 当期純利益 (億円) (億円) 20,000 15,089 15,000 3,000 7,755 10,000 海外 ’ 08 ’ 09 ’ 10 ’ 11 12 157.29 100 0 年度 ’ 07 ’ 08 ’ 09 ’ 10 ’ 11 年度 従業員数 研究開発費 30 20 0 4 ’ 07 ’ 08 20,000 0 0 0 対売上高比率 Takeda CSR Data Book 2012 ’ 11 年度 0 当社 0.02% 個人・ その他 9,530 10,000 ’ 11 年度 ROE 5.35% 10 ’ 10 ’ 10 その他の法人 2,819 ’ 09 ’ 09 証券会社 5.32% 30,305 (人) 30,000 2,000 8 株主の状況 20,775 18.7% 対売上高比率 (%) 6,000 4,000 116 300 EPS (億円) 研究開発費 16 6.1% 国内 ’ 08 400 1,000 研究開発費/対売上高比率 ’ 07 20 200 1,242 0 ’ 07 E 500 P S 2,000 7,334 5,000 (%) (円) 4,000 ’ 07 海外 ’ 08 国内 ’ 09 ’ 10 ’ 11 32.49% 外国 法人等 株主数 24.86% 304,628名 金融機関 31.96% 年度 R O E 社会的責任に関する主な指標 労働慣行 従業員数 ※ 2012年3月期 2011年3月期 2010年3月期 合計 30,305 人 18,498 人 19,585 人 日本 9,530 人 9,467 人 9,305 人 海外 20,775 人 9,031 人 10,280 人 医薬事業 28,284 人 16,470 人 17,568 人 医療用医薬品事業 27,844 人 16,035 人 17,125 人 440 人 435 人 443 人 2,021 人 2,028 人 2,016 人 28 人 33 人 36 人 ヘルスケア事業 その他事業 グローバルリーダー育成プログラム 受講者 グローバル従業員サーベイ ー 実施 ー ※就業人員数を表示しております。なお、2011年3月期から工数換算ベースで表示しており、2010年3月期についても変更後の基準に基づき組み替えて表示しております。 環境 総エネルギー投入量 9,275 百万MJ 6,614 百万MJ 6,269 百万MJ 水資源投入量 8,598 千m3 7,309 千m3 7,461 千m3 CO2排出量 407 千トン-CO2 291 千トン-CO2 286 千トン-CO2 SOx(硫黄酸化物)排出量 105トン 40トン 49トン NOx(窒素酸化物)排出量 287トン 237トン 231トン ばいじん排出量 26トン 18トン 12トン 廃棄物発生量 56 千トン 44 千トン 58 千トン PRTR対象物質 大気排出量(日本) 56トン 48トン 51トン 寄付金 5,324 百万円 4,416 百万円 5,517 百万円 武田科学振興財団 研究助成金 2,260 百万円 2,201 百万円 2,053 百万円 コミュニティ参画および発展 尚志社 奨学金 発酵研究所 研究助成金 法人税等合計 70 百万円 32 百万円 33 百万円 408 百万円 443 百万円 393 百万円 125,207 百万円 121,326 百万円 115,668 百万円 Takeda CSR Data Book 2012 117 GRIガイドライン対照表 GRIガイドライン 内容索引 タケダでは、 「アニュアルレポート2012」および「アニュアルレポート2012 CSRデータブック」を作成するにあたり、全世界で適用でき る持続可能性報告書の枠組みを示すGRIの「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン (第3.1版)」を参考にしています。 GRIは同ガイドラインの規定に基づく準拠レベル( GRIアプリケーション・レベル)を宣言することを推奨しており、タケダの「アニュアルレ ポート2012」および「アニュアルレポート2012 CSRデータブック」は、GRIアプリケーション・レベル「B」の報告基準を満たしているものと 考えています。 GRIガイドライン対照表 項目 記載ページ CSRデータブック 指標 アニュアルレポート 1 戦略および分析 1.1 組織にとっての持続可能性の適合性とその戦略に関する組織の最高意思決定者(CEO、会長またはそれに相当する上級幹部)の 声明 1.2 主要な影響、 リスクおよび機会の説明 10-16 - 31,33,60-61,64, 68-69,76,90-91, 105,121-122 18,20-21,32-33, 36,40-41,58-59, 65,66-70 124 116 - 2 組織のプロフィール 2.1 2.2 組織の名称 2.3 2.4 主要部署、事業会社、子会社および共同事業などの組織の経営構造 2.5 組織が事業展開している国の数および大規模な事業展開を行っている、あるいは報告書中に掲載されているサステナビリティの 課題に特に関連のある国名 2.6 所有形態の性質および法的形式 2.7 参入市場(地理的内訳、参入セクター、顧客/受益者の種類を含む) 主要なブランド、製品および/またはサービス 組織の本社の所在地 34-35,47 82-83 125 116 82-83 - 124 7,8 116 - 5,7,8-9,85-122 117 85-122 - 63 28,47 以下の項目を含む報告組織の規模 2.8 • 従業員数 • 事業(所)数 • 純売上高(民間組織について)あるいは純収入(公的組織について) • 負債および株主資本に区分した総資本(民間組織について) • 提供する製品またはサービスの量 以下の項目を含む、規模、構造または所有形態に関して報告期間中に生じた大幅な変更 2.9 2.10 • 施設のオープン、閉鎖および拡張などを含む所在地または運営の変更 • 株式資本構造およびその資本形成における維持および変更業務(民間組織の場合) 報告期間中の受賞歴 3 報告要素 118 3.1 3.2 提供する情報の報告期間(会計年度/暦年など) 表紙裏 2 前回の報告書発行日 (該当する場合) - 3.3 3.4 報告サイクル(年次、隔年など) - 2 2 125 2 49,53 2-3 85 85 2 2 報告書またはその内容に関する質問の窓口 3.5 以下を含め、報告書の内容を確定するためのプロセス • 重要性の判断 • 報告書内のおよびテーマの優先付け • 組織が報告書の利用を期待するステークホルダーの特定 3.6 報告書のバウンダリー(国、部署、子会社、 リース施設、共同事業、サプライヤーなど)※詳細はGRIバウンダリー・プロトコルを参照のこと 3.7 報告書のスコープまたはバウンダリーに関する具体的な制限事項 3.8 共同事業、子会社、 リース施設、 アウトソーシングしている業務および時系列でのおよび/または報告組織間の比較可能性に大幅な 影響を与える可能性があるその他の事業体に関する報告の説明 7,36 - 3.9 報告書内の指標およびその他の情報を編集するために適用された推計の基となる前提条件および技法を含む、データ測定技法 および計算の基盤 8-9,65,125 26,28-29,42-43, 45,48-49,50-51, 53,54,56-57,117 Takeda CSR Data Book 2012 項目 記載ページ CSRデータブック 指標 アニュアルレポート 3.10 以前の報告書で掲載済みである情報を再度記載することの効果の説明、およびそのような再記述を行う理由(合併/買収、基本と なる年/期間、事業の性質、測定方法の変更など) 3.11 報告書に適用されているスコープ、バウンダリーまたは測定方法における前回の報告期間からの大幅な変更 3.12 報告書内の標準開示の所在場所を示す表 以下の項目を検索できるように、ページ番号またはWEBリンクを明らかにする。 • 戦略および分析 1.1∼1.2 • 組織のプロフィール 2.1∼2.10 • 報告要素 3.1∼3.13 • ガバナンス、コミットメントおよび参画 4.1∼4.17 • カテゴリーごとのマネジメント・アプローチの開示 • 中核パフォーマンス指標 • 盛り込まれているGRIの追加指標 • 報告書に盛り込まれているGRIの業種別補足文書の指標 3.13 報告書の外部保証を受けることに関する方針および現在の実務慣行。サスティナビリティ報告書に添付された保証報告書内に記載 がない場合は、外部保証の範囲および基盤を説明する。また、報告組織と保証の提供者との関係を説明する。 - - 該当なし 該当なし 55 9,118-121 - 126-127 4 ガバナンス、コミットメント、および参画 4.1 戦略の設定または全組織的監督など、特別な業務を担当する最高統治機関の下にある委員会を含む統治構造(ガバナンスの構造) 73-79 15-17 4.2 最高統治機関の長が執行役員を兼ねているかどうかを示す(兼ねている場合は、組織の経営におけるその役割と、 このような人事 になっている理由も示す) 78-79 - 4.3 単一の理事会構造を有する組織の場合は、最高統治機関における社外メンバーおよび/または非執行メンバーの人数と性別を明記 78-79 - 4.4 株主および従業員が最高統治機関に対して提案または指示を提供するためのメカニズム 以下のプロセスへの参照を盛り込む • 少数株主が最高統治機関に意見を表明するための株主決議またはその他のメカニズムの利用 • 組織レベルの「労使協議会」などの正式な代表組織および最高統治機関内の従業員代表との、職務上の関係についての従業員へ の通知および協議 73 15 4.5 最高統治機関メンバー、上級管理職および執行役についての報酬(退任の取り決めを含む) と組織のパフォーマンス (社会的および 環境的パフォーマンスを含む) との関係 74 16 4.6 最高統治機関が利害相反問題の回避を確保するために実施されているプロセス 73 15 4.7 最高統治機関およびその委員会メンバーの性別その他多様性を示す指標についての配慮を含む、構成、適性および専門性を決定 するためのプロセス ※2012年3月期 有価証券報告書 ※2012年3月期 有価証券報告書 4.8 経済的、環境的、社会的パフォーマンス、さらにその実践状況に関して、組織内で開発したミッション(使命)およびバリュー(価値) についての声明、行動規範および原則 以下の項目についての程度を説明する • 組織全体を通じて、異なる地域および部署/ユニットでどの程度適用されているか • 国際的に合意された基準にどの程度関連しているか 17 - 4.9 組織が経済的、環境的、社会的パフォーマンスを特定し、 マネジメントしていることを最高統治機関が監督するためのプロセス。関連 のあるリスクと機会を特定かつマネジメントしていること、 さらに国際的に合意された基準、行動規範および原則への支持または遵 守を含む 58 12 最高統治機関のパフォーマンスを、特に経済的、環境的、社会的パフォーマンスという観点で評価するためのプロセス 58,79 12 4.11 組織が予防的アプローチまたは原則に取り組んでいるかどうか、およびその方法はどのようなものかについての説明 31,33,59,60-61, 64-65,68-69,76, 90-91,121-122 13,18,36,40-41, 50-51,65-71 4.12 外部で開発された、経済的、環境的、社会的憲章、原則あるいは組織が同意または受諾するその他のイニシアティブ 49-53 3-7 4.13 組織が以下の項目に該当するような、 ( 企業団体などの)団体および/または国内外の提言機関における会員資格 • 統治機関内に役職を持っている • プロジェクトまたは委員会に参加している • 通常の会員資格の義務を超える実質的な資金提供を行っている • 会員資格を戦略的なものとして捉えている 50 2,4 4.14 組織に参画したステークホルダー・グループのリスト 53 7 4.15 参画してもらうステークホルダーの特定および選定の基準 53 7 4.16 種類ごとのおよびステークホルダー・グループごとの参画の頻度など、ステークホルダー参画へのアプローチ 49-53,59 2-7,13 4.17 ステークホルダー参画を通じて浮かび上がった主要な課題および懸案事項と、それらに対して組織がどのように対応したか 59 13 4.10 Takeda CSR Data Book 2012 119 GRIガイドライン対照表 項目 記載ページ CSRデータブック 指標 アニュアルレポート 5 マネジメント・アプローチに関する開示とパフォーマンス指標 経済 12-16,85-122 - EC1 収入、事業コスト、従業員の給与、寄付およびその他のコミュニティへの投資、内部留保および資本提供者や政府に対する支払いな ど、創出および分配した直接的な経済的価値 - - EC2 気候変動による組織の活動に対する財務上の影響およびその他のリスクと機会 - - EC3 確定給付(福利厚生)制度の組織負担の範囲 - EC4 政府から受けた特筆すべき財務的支援 112 - EC5 主要事業拠点について、現地の最低賃金と比較した性別ごとの標準的新入社員賃金の比率の幅 EC6 主要事業拠点での地元のサプライヤーについての方針、業務慣行および支出の割合 EC7 現地採用の手順、主要事業拠点で現地のコミュニティから上級管理職となった従業員の割合 EC8 EC9 商業活動、現物支給、 または無料奉仕を通じて、主に公共の利益のために提供されるインフラ投資およびサービスの展開図と影響 マネジメント・アプローチ 影響の程度など、著しい間接的な経済的影響の把握と記述 - - - 51,61 - 5,22-23 - 70-71 125 74-113 117 64-65 - 8-9,30-57 環境 マネジメント・アプローチ 54,56-57 - EN1 使用原材料の重量または容積 EN2 リサイクル由来の使用原材料の割合 - EN3 1次エネルギー源ごとの直接的エネルギー消費量 - EN4 1次エネルギー源ごとの間接的エネルギー消費量 - 54,56-57 - 65 42-43 125 42-43 EN5 省エネルギーおよび効率改善によって節約された総エネルギー量 EN6 エネルギー効率の高いあるいは再生可能エネルギーに基づく製品およびサービスを提供するための率先取り組み、およびこれらの 率先取り組みの成果としてのエネルギー必要量の削減量 EN7 間接的エネルギー消費量削減のための率先取り組みと達成された削減量 EN8 水源からの総取水量 EN9 取水によって著しい影響を受ける水源 - 44 125 45,54,56-57,117 65 - 45 - EN10 水のリサイクルおよび再利用量が総使用水量に占める割合 EN11 保護地域内あるいはそれに隣接した場所および保護地域外で、生物多様性の価値が高い地域に所有、賃借、 または管理している土地 の所在地および面積 65 46-47 EN12 保護地域および保護地域外で、生物多様性の価値が高い地域での生物多様性に対する活動、製品およびサービスの著しい影響の 説明 65 46-47 EN13 保護または復元されている生息地 65 46-47 EN14 生物多様性への影響をマネジメントするための戦略、現在の措置および今後の計画 65 46-47 EN15 事業によって影響を受ける地区内の生息地域に生息するIUCN のレッドリスト種(絶滅危惧種)および国の絶滅危惧種リストの数。 絶滅危険性のレベルごとに分類 - - EN16 重量で表記する直接および間接的な温室効果ガスの総排出量 EN17 重量で表記するその他の関連ある間接的な温室効果ガス排出量 65,125 - 42-43,54,56-57,117 - EN18 温室効果ガス削減のための取り組みと削減実積 EN19 重量で表記するオゾン層破壊物質の排出量 65 - 42-43 - EN20 種類別および重量で表記するNOx、SOxおよびその他の著しい影響を及ぼす排気物質 125 51,54,56-57,117 EN21 水質および放出先ごとの総排水量 125 45,54,56-57 EN22 種類および廃棄方法ごとの廃棄物の総重量 125 48-49, 54,56-57 EN23 著しい影響を及ぼす漏出の総件数および漏出量 64 40-41 EN24 バーゼル条約付属文書Ⅰ、 Ⅱ、 Ⅲ、およびⅣの下で有害とされる廃棄物の輸送、輸入、輸出、あるいは処理の重量、および国際輸送された 廃棄物の割合 - - EN25 報告組織の排水および流出液により著しい影響を受ける水界の場所、およびそれに関連する生息地の規模、保護状況、および生物 多様性の価値を特定する EN26 製品およびサービスの環境影響を緩和する率先取り組みと影響削減の程度 EN27 カテゴリー別の再生利用される販売製品およびその梱包材の割合 EN28 環境規制への違反に対する相当な罰金の金額および罰金以外の制裁措置の件数 EN29 組織の業務に使用される製品、その他物品、原材料の輸送および従業員の移動からもたらされる著しい環境影響 EN30 種類別の環境保護目的の総支出および投資 - - 65 - 46 - 該当なし 該当なし - 40-41 - 53 労働慣行と公正な労働条件 マネジメント・アプローチ 62-63 8-9,24-29 LA1 性別ごとの雇用の種類、雇用契約および地域別の総労働力 LA2 新規従業員の総雇用数および雇用率、従業員の総離職数および離職率の年齢、性別および地域による内訳 8,125 - 26,117 - LA3 主要事業拠点についての、主要な業務ごとの、派遣社員またはアルバイト従業員には提供されないが正社員には提供される福利 63 28 中核指標 120 追加指標 Takeda CSR Data Book 2012 項目 記載ページ CSRデータブック 指標 アニュアルレポート 労働慣行と公正な労働条件 LA4 団体協定の対象となる従業員の割合 労使協約に定められているかどうかも含め、著しい業務変更に関する最低通知期間 63 - 29 LA5 LA6 労働安全衛生プログラムについての監視および助言を行う、公式の労使合同安全衛生委員会の対象となる総従業員の割合 - - LA7 地域別および性別ごとの、傷害、業務上疾病、損失日数、欠勤の割合および業務上の総死亡者数 - - LA8 深刻な疾病に関して、労働者、その家族またはコミュニティのメンバーを支援するために設けられている教育、研修、 カウンセリング、 予防および危機管理プログラム - 29 LA9 29 - 労働組合との正式合意に盛り込まれている安全衛生のテーマ - LA10 従業員のカテゴリー別および性別ごとの、従業員あたり年間平均研修時間 - 27 LA11 LA12 従業員の継続的な雇用適性を支え、キャリアの終了計画を支援する技能管理および生涯学習のためのプログラム 62-63 - 24-27 - 性別、年齢、マイノリティーグループおよびその他の多様性の指標に従った、統治体(経営管理職)の構成および従業員カテゴリー別 の従業員の内訳 - 26,29 LA14 従業員のカテゴリー別および主要事業所別の、基本給与と報酬の男女比 - - LA15 性別ごとの育児休暇後の復職および定着率 - - 60-61 - 8,9,20-23 - LA13 定常的にパフォーマンスおよびキャリア開発のレビューを受けている性別ごとの従業員の割合 人権 マネジメント・アプローチ HR1 人権条項を含む、あるいは人権についての適正審査を受けた重大な投資協定および契約の割合とその総数 HR2 人権に関する適正審査を受けた主なサプライヤー、請負業者およびその他のビジネスパートナーの割合と取られた措置 - - HR3 HR4 研修を受けた従業員の割合を含め、業務に関連する人権的側面に関わる方針および手順に関する従業員研修の総時間 - - 差別事例の総件数と取られた矯正措置 HR5 結社の自由および団体交渉の権利行使が侵害されるか、もしくは著しいリスクに曝されるかもしれないと判断された業務および 主なサプライヤーと、それらの権利を支援するための措置 - - HR6 児童労働の事例に関して著しいリスクがあると判断された業務および主なサプライヤーと、児童労働の効果的廃絶に貢献するための対策 66-67 60-61 HR7 強制労働の事例に関して侵害されるか、もしくは著しいリスクがあると判断された業務および主なサプライヤーと、あらゆる形態の強制 労働の防止に貢献するための対策 66-67 60-61 HR8 業務に関連する人権の側面に関する組織の方針もしくは手順の研修を受けた保安要員の割合 - - HR9 先住民の人権に関係する違反事例の総件数と取られた措置 - - HR10 人権の調査や影響の評価を必要とする業務の比率と総数 - - HR11 人権に関する苦情申し立ての数および、正式な苦情対応システムを通じて対処・解決された苦情の数 - - 66-67,70-71,75 58-65,74-113 38-41,52-53 - 社会 マネジメント・アプローチ SO1 地域コミュニティとの取り決め、影響評価、開発計画などの履行をともなう事業(所)の比率 SO2 不正行為に関するリスクの分析を行った事業単位の割合と総数 64 - SO3 組織の不正行為対策の方針および手順に関する研修を受けた従業員の割合 - SO4 不正行為事例に対して取られた措置 - 62 - SO5 SO6 公共政策の位置づけおよび公共政策立案への参加およびロビー活動 - - 政党、政治家および関連機関への国別の献金および現物での寄付の総額 - - SO7 非競争的な行動、反トラストおよび独占的慣行に関する法的措置の事例の総件数とその結果 - - SO8 法規制の違反に対する相当の罰金の金額および罰金以外の制裁措置の件数 - - SO9 地域コミュニティに及ぼす可能性の高い、 または実際に及ぼしているネガティブな影響のある事業(所) - - 地域コミュニティにネガティブな影響を及ぼす可能性の高い、 または実際に及ぼしている事業(所) で実施されている防止策や軽減策 - - マネジメント・アプローチ 33,68,69 66-73 PR1 製品およびサービスのライフサイクルを通じた安全衛生の影響について、改善のために評価が行われているライフサイクルの ステージ、ならびにそのような手順の対象となる主要な製品およびサービスのカテゴリーの割合 33,68,69 66-73 PR2 製品およびサービスの安全衛生の影響に関する規制および自主規範に対する違反の件数を結果別に記載 - - PR3 各種手順により必要とされている製品およびサービス情報の種類と、 このような情報要件の対象となる主要な製品およびサービス の割合 - - PR4 製品およびサービスの情報、ならびにラベリングに関する規制および自主規範に対する違反の件数を結果別に記載 - - PR5 顧客満足度を測る調査結果を含む、顧客満足に関する実務慣行 69 67 PR6 広告、宣伝および支援行為を含むマーケティング・コミュニケーションに関する法律、基準および自主規範の遵守のためのプログラム 61,69 23,60,67 PR7 広告、宣伝および支援行為を含むマーケティング・コミュニケーションに関する規制および自主規範に対する違反の件数を結果別に 記載 - - PR8 顧客のプライバシー侵害および顧客データの紛失に関する正当な根拠のあるクレームの総件数 - - PR9 製品およびサービスの提供、および使用に関する法規の違反に対する相当の罰金の金額 - - SO10 製品責任 中核指標 追加指標 Takeda CSR Data Book 2012 121 国連グローバル・コンパクト アドバンスドレベル COP 対照表 国連グローバル・コンパクト アドバンスドレベル COP 対照表 GC Advanced Levelの基準(武田薬品による仮訳) 開示箇所 CSRデータブック 開示内容 アニュアルレポート 戦略、ガバナンス、エンゲージメント 基準1 COPでは、グローバル・コンパクトの原則に沿った 企業の高レベルなサステナビリティ戦略の 特徴について説明している。 31 品質保証体制 33 - バリューチェーン全体における人権課題/ISO26000の中核主題との関わり - 20-21 68-69 66-67 偽造医薬品対策 76 18 90-91 - 環境リスクの低減 64 36-37 タケダのCSR活動 49-53 3-7 125 117 ガイドラインで想定している危機 事業等のリスク 社会的責任に関する主な指標 CSR活動の目標と実績 基準2 基準3 - 知的財産 54-55 8-9 2011年度 タケダ単体の環境に関する主な方針と実績 - 33 2011年度 タケダ単体の防災に関する主な方針と実績 - 33 COPでは、企業のサステナビリティに有効な CSR推進体制 58 12 意思決定プロセスとガバナンス体制について 説明する。 企業評価指標に「SRIインデックスの継続組み入れ」を採用 58 12 COPでは、あらゆる重要なステークホルダー エンゲージメントついて説明する。 第3回ステークホルダー・ダイアログ 59 13 タケダのステークホルダー 53 7 タケダのステークホルダー>主な対話方法 53 7 ステークホルダーエンゲージメント>ステークホルダーとの対話例 59 13 タケダ・グローバル・アドバイザリーボード 79 - 国連の定める目標と課題 基準4 COPでは、国連の定める広範囲な目標と 課題解決に向けた支援のために行われた 活動について説明している。 25 - 70-71 - LEADプログラム参加企業としてのコレクティブ・アクション型/ プロデュース型の諸活動 50 4 業界全体の公正な事業慣行を促進 66 58 グローバルでのワクチン事業の強化 保険医療アクセスへの取り組み 人権実践 基準5 基準6 COPでは、人権の分野における強固な コミットメント、戦略または方針について 説明している。 COPでは、人権に関する指針の統合に有効な - 23 研究・開発における主な人権関連規則 60 22 CSR購買ガイドラインにおける人権関連項目 - 23 54-55 8-9 59 13 人権課題への取り組み 60-61 22-23 研究における取り組み - 22 武田薬品におけるコンプライアンス推進 75 17 バリューチェーン全体における取り組み - 20-21 56-57 10-11 「タケダ・グローバル行動規準」に則って従業員の人権と多様性を尊重しています CSR活動の目標と実績 マネジメントシステムについて説明している。 事業活動が及ぼす影響に関する取り組み 基準7 COPでは、人権に関する指針の統合に有効な モニタリングと評価の構造について説明している。 基準8 122 COPでは、統合的な人権活動の主要な 結果について説明している。 Takeda CSR Data Book 2012 特集:東日本大震災による被災地への支援 GC Advanced Levelの基準(武田薬品による仮訳) 開示箇所 CSRデータブック 開示内容 アニュアルレポート 労働原則の実践 基準9 COPでは、労働分野における強固なコミットメント、 業界全体の公正な事業慣行を促進 戦略または方針について説明している。 事業成長の機会とリスクに社会的側面から対応し、持続的成長の実現を サポートします 66 58 16 - 経営の基本精神 17 - タケダのステークホルダー 53 7 調達・生産・物流における課題 61 21 - 23 調達・生産・物流における取り組み - 22-23 お取引先を含むバリューチェーン全体でCSRへの取り組みを推進 - 60 「タケダ・グローバル行動規準」に則って従業員の人権と多様性を尊重しています CSR活動の目標と実績 基準10 COPでは、労働に関する指針の統合に有効な 54-55 8-9 研修制度の充実 - 27 武田薬品におけるコンプライアンス推進 75 17 125 117 67 61 労働組合との関係 63 29 従業員の健康と安全 - 29 ダイバーシティの推進 62 27 ワーク・ライフ・バランス 63 28 障がい者の活躍の支援 - 29 マネジメントシステムについて説明している。 基準11 基準12 COPでは、労働に関する指針の統合に有効な モニタリングと評価のメカニズムについて 説明している。 COPでは、労働原則を統合的に実践した上での 主な結果について説明している。 社会的責任に関する主な指標 「サプライヤー・アンケート」の実施 環境責任の実践 基準13 COPでは、環境責任の分野における強固な コミットメント、戦略または方針について 説明している。 ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況 77 19 レスポンシブル・ケア活動 - 34 グループ全体の管理体制を再構築 64 31 環境に関する基本原則 - 30 グローバルEHS方針 - 31 お取引先を含むバリューチェーン全体でCSRへの取り組みを推進 - 60 CSR活動の目標と実績 基準14 基準15 COPでは、環境原則を統合的に管理する有効な システムについて説明している。 COPでは、環境責任に有効なモニタリングと 54-55 8-9 武田薬品グループ環境自主行動計画 - 32-33 企業統合に伴うグローバルな環境影響評価 64 30 ISO14001認証取得事業所 - 33 事業活動が及ぼす影響に関する取り組み 59 13 環境安全管理体制 - 35 2011年度 タケダ単体の環境に関する主な方針と実績 - 33 武田薬品におけるコンプライアンス推進 75 17 ISO14001認証取得事業所 - 33 環境会計 - 53 環境防災監査 - 37 環境リスクの低減に関する基本姿勢 - 36 67 61 評価のメカニズムについて説明している。 「サプライヤー・アンケート」の実施 Takeda CSR Data Book 2012 123 国連グローバル・コンパクト アドバンスドレベル COP 対照表 GC Advanced Levelの基準(武田薬品による仮訳) 開示箇所 CSRデータブック 開示内容 アニュアルレポート 環境責任の実践 基準16 COPでは、環境原則の統合による 主な結果について説明している。 財務・非財務ハイライト 8-9 - 水資源問題への取り組み 65 45 タケダグループ事業活動に伴う環境負荷 - 54 サイトデータ - 56-57 125 117 気候変動への取り組み 65 42-44 2011年度廃棄物処理の流れ - 49 廃棄物発生量・内訳の推移 - 49 化学物質排出量の削減 - 50 社会的責任に関する主な指標 大気・水質・土壌の保全 - 51 生物多様性への取り組み 65 46-47 廃棄物削減 - 48 環境会計 - 53 リスクマネジメントと情報開示の強化 64 - 環境防災監査 - 37 湘南研究所における漏水事故の原因と再発防止策について - 41 腐敗防止の実践 基準17 基準18 COPでは、腐敗防止の分野における強固な コミットメント、戦略または方針について 説明している。 COPでは、腐敗防止に関する原則を統合に 管理する有効なシステムについて説明している。 66 58 54-55 8-9 タケダ・グローバル行動規準に則して、汚職・贈賄の禁止を徹底します - 59 各国の法令・ルールを遵守し、公正な競争に基づく取引を進めます - 60 お取引先を含むバリューチェーン全体でCSRへの取り組みを推進 - 60 グループ全体で公正な事業活動を進めます 66 58 業界全体の公正な事業慣行を促進 66 58 2011年度 日本における贈収賄防止e-ラーニング受講者数 66 58 タケダ贈収賄禁止グローバルポリシーの策定 CSR活動の目標と実績 67 61 事業成長の機会とリスクに社会的側面から対応し、持続的成長の実現を サポートします。 16 - 武田薬品におけるコンプライアンス推進 75 17 武田薬品におけるコンプライアンス推進 75 17 2011年度 日本における贈収賄防止e-ラーニング受講者数 66 58 「サプライヤー・アンケート」の実施 基準19 COPでは、腐敗防止の統合された取り組みに対し 有効なモニタリングと評価のメカニズムについて 説明している。 基準20 124 COPでは、腐敗防止に関する原則の統合による 主な結果について説明している。 Takeda CSR Data Book 2012 GC Advanced Levelの基準(武田薬品による仮訳) 開示箇所 CSRデータブック 開示内容 アニュアルレポート バリューチェーンの実践 基準21 COPでは、バリューチェーンにおける グローバル・コンパクトの原則の実践状況について 説明している。 バリューチェーン全体における人権課題/ISO26000の中核主題との関わり - 20-21 バリューチェーン・マネジメント 51 5 グローバルCSR購買/CSR購買ガイドライン 67 60-61 グローバル購買方針 - 62 タケダのステークホルダー 53 7 ステークホルダーの立場の尊重に係る取り組み状況 77 19 タケダのステークホルダー>主な対話方法 53 7 質の高い医薬情報活動を推進 69 67 調達・生産・物流における取り組み 61 22 「サプライヤー・アンケート」の実施 67 61 エコ・グリーン購入を推進しています - 61 サプライヤー・データベースの整備 68 66 医薬品の物流における品質管理を徹底 69 67 124 116 82-83 - 7 - 34-35,47 - 8-9 - 84-122 - GRIガイドライン対照表 - 118-121 国連グローバル・コンパクトアドバンスドレベルCOP対照表 - 122-125 透明性、検証 基準22 COPには、企業の業務の概要と状況に関する 情報を記載している。 会社情報 主要子会社および関連会社 タケダ スナップショット マーケティング 財務・非財務ハイライト 財務セクション 基準23 COPでは、透明性と情報開示に関する高い基準を 採用している。 125 117 社長メッセージ 16 - 財務・非財務ハイライト 8-9 - 社会的責任に関する主な指標 基準24 COPは、信用できる第三者機関による独自の CSRによる企業価値創造 49-71 - GRIガイドライン対照表 - 118-121 第三者所見 - 126-127 検証を受けている。 Takeda CSR Data Book 2012 125 第三者所見 CSR活動の評価 会 社 は 、社 会 的 責 任 に 関 す る 国 際 規 格( I S O 26000 )の中核的主題に沿って、CSR 活動の体系を 構築し、その実績の評価を行い次年度の目標を設定 しています。また、その解説についてはデータ・ブック の掲載ページとリンクさせて詳細に説明しています。 なお、目標や評価方法が定性的ですので、必要に応じ て具体的な指標、数値を設定、開示して評価内容に透 明性を持たせることも必要と考えます。 今回の報告書から各主題の冒頭においてKPI(重要 業績指標) を表示したことはCSR活動の客観性を維持 東洋大学 経営学部教授/公認会計士 するもので有用な情報として評価できます。今後は、 中村 義人 CSR 活動の基準となる指標について、有用か、測定可 氏 (社)協力隊を育てる会監事 (福)川崎市社会福祉協議会監事 (社)ニューオフィス推進協議会 オフィスセキュリティマーク認証制度委員長 能か、正確か、評価可能かなどを検討して継続的開示 をされることを望みます。 組織統治について CSR の本質的な特徴は、企業の意思決定や活動に 武田薬品工業株式会社(以下、 「会社」という。)の CSRデータブック2012 年版(以下、 「 データ・ブック」 という。)に関して、またCSR 責任者とその取り組みに ついて会議を行い、前年に引き続き第三者としての所 見を述べさせていただきます。 社会や環境に対する配慮を組み込み、その影響に対し てアカウンタビリティ (説明責任)を果たすことです。 その意思決定や活動をその目的に向かわせるものが 組織統治であり、CSR 活動と密接に関連します。報告 書においては、CSR推進体制、 ガバナンス体制、 コンプ ライアンスなどについて説明されており経営の有効 126 Takeda CSR Data Book 2012 CSRの考え方 な統治機能は理解できます。さらには、人権、労働慣 会社は、優れた医薬品の創出を実現するという企業 行、環境、公正な事業などの CSR の主題に対する統治 理念と経営活動そのものがCSR の基盤であると認識 の構造、 ポリシー、意思決定プロセス、実績などの説明 し、アニュアルレポートに財務情報とCSR 情報を統合 があるとアニュアルレポートを補完するデータ・ブック して報告しています。さらに必要とするCSR 情報につ の意義がより高まるものと思います。 いては、別冊として本データ・ブックを公表しています。 リスクマネジメントについては、危機管理として、ま これは、会社が国際統合報告審議会( IIRC )に参加し、 た消費者課題において、薬事・品質管理として述べら 情報の統合性や戦略性、将来指向などの企業価値創 れていますが、最近はリスクを「経営目的に対する不 造プロセスを積極的に開示しようとする姿勢の表れで 確かさ」と定義して、 リスクにはネガティブ・ポジティブ あり、大変注目すべきことと思います。 の両面があり、企業価値に影響を与えるものであると する考え方( ISO 31000:2009 )も浸透してきてい 消費者課題について ますので、会社の統合的マネジメントしての位置付け 医薬品に対する消費者の最大の関心事は、その効 の説明もほしい所です。 能・作用とともに品質と安全性です。これらを担保する 労働慣行について 企業活動のグローバル化が進むにつれて、会社の 国 別 従 業 員 の 構 成 も 大 きく変 化してきて います 。 2011 年度では、4 分の 3 以上が海外従業員であり、 海外売上高が国内売上高を超えております。国籍、人 種、性別などの異なる従業員が一つの価値観で働くた めには、ダイバーシティマネジメントが必要となり、会 社は、タケダイズム浸透のための表彰制度や海外従 業員の声を記載しています。報告書の後半には、各国 の従業員の社会活動を詳細に掲載し、会社の取り組み の効果が分かりやすくなっています。日本においては、 ワーク・ライフ・バランスについての施策が説明されて 基本は情報と考えます。特に医薬品市場はグローバル 化、バリューチェーン化し、その管理は複雑化・広域化 しています。会社はこれらに応えるために報告書にお いて、偽造医薬品対策、セキュリテイラベル対策、品質 保証体制などについて情報を積極的に開示し、消費 者の安心感維持に役立てています。また、環境主題に おいて湘南研究所における廃液漏水事故を詳細に報 告しており、会社の情報開示に対する真摯な姿勢が理 解できます。今後も、国内だけではなく会社グループ の課題への取り組みを分かりやすく説明され、消費者 からの信頼性を高めることを望みます。 (この所見は、データ・ブックの記載内容の正確性や網羅性等について、 意見を表明するものではありません。) おり、男性従業員の育児休暇の取得なども説明もされ ており、その整備が進んでいることが分かりますが、有 給休暇取得率が減少傾向にあるのは気になるところ です。 環境への対応について 会社は企業統合により地球環境負荷も増加し、 グロ ーバルな環境への取り組みが要請されています。その ため、 グローバル EHS 方針を策定し、そのもとで環境 ガバナンスを強化しています。また、当年度の環境自 主行動計画の進捗状況について、すなわち、マネジメ ントの状況、CO 2排出量・廃棄物・化学物質などの排出 量削減状況について自己評価を行っており、そのほと んどが達成されていることが分かります。今後は、環 境負荷は明確な定量化が可能な領域であり、必要な 環境データを数年次比較形式で開示しその評価をス テークホルダーに委ねる形式がより環境マネジメント の透明性が増すものと思います。 Takeda CSR Data Book 2012 127 武田薬品工業株式会社 アニュアルレポート 2012 CSRデータブック アンケート 「アニュアルレポート2012 CSRデータブック」をお読みいただき、ありがとうございました。 今後の CSR活動やレポート作成の参考とさせていただきますので、お手数ですが、以下のアンケートにご協力いただければ幸いです。 Faxまたは郵送でお送りくださいますよう、お願いいたします。 FAX:03-3278-2000 武田薬品工業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 宛 郵送:〒103-8668 東京都中央区日本橋二丁目 12 番 10 号 武田薬品工業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部 ホームページからもご回答いただけます。 http://www.takeda.co.jp/csr/ Q1「CSRデータブック」全体を通して、どのようにお感じになりましたか? ●内容 □とても充実している □充実している □普通 □もの足りない □とてももの足りない ●わかりやすさ □とてもわかりやすい □わかりやすい □普通 □わかりにくい □とてもわかりにくい ●情報量 □多すぎる □多い □普通 □少ない □少なすぎる ●デザイン □とても読みやすい □読みやすい □普通 □読みにくい □とても読みにくい ●タケダの CSR 活動 □とても充実している □充実している □普通 □もの足りない □とてももの足りない Q2 どの項目に、特に関心をお持ちになりましたか?(複数回答可) □タケダのCSR活動(P.3-7) □生物多様性への取り組み(P46-47) □CSR活動の実績と目標(P.8-9) □廃棄物削減(P.48-49) □特集「東日本大震災による被災地への支援」 (P.10-11) □化学物質排出量の削減/大気・水質・土壌の保全(P.50-51) □事業活動に伴う環境負荷(P.54) 【組織統治】 □デューディリジェンス (P.13) 【公正な事業慣行】 □ステークホルダー・エンゲージメント (P.13) □汚職防止/透明性に関する指針(P.59) □公正なプロモーション活動(P.60) 【人権】 □人権課題(P.20-21) □グローバルCSR購買/CSR購買ガイドライン (P.60-61) □人権課題への取り組み(P.22-23) □グローバル購買方針(P.62-63) 【消費者課題】 【労働慣行】 □偽造医薬品対策(P.66-67) □グローバル人材育成(P.24-25) □ダイバーシティの推進(P26-27) □バリューチェーン管理の強化(P67) □ワーク・ライフ・バランス (P.28) □品質保証体制(P.68-71) 【コミュニティ参画および発展】 【環境】 □環境マネジメント (P.30-35) □企業市民活動の方針(P.74-75) □環境リスクの低減/環境防災監査/防災(P.36-39) □NGO/NPOとの協働(P.76) □湘南研究所における防災・安全対策(P.40-41) □途上国の保健医療支援(P.77) □気候変動/水資源問題への取り組み(P.42-45) □タケダグループ各社の取り組み(P.78-113) Q3 どのようなお立場でお読みになりましたか? □株主 □患者さん □当社事業所の近隣の方 □ NGO・NPO の関係者 □企業の CSR 担当者 □金融・投資関係者 □生活者 □当社の従業員・家族 □政府・行政機関の関係者 □報道関係者 □医療従事者 □お取引先 □学生 □ CSR・環境の専門家 □その他 Q4 ご意見・ご要望などがありましたらお聞かせください。 ご協力ありがとうございました。