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2016年11月号

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2016年11月号
花だより
鳥だより
ポロト案内舎
2016 年
11 月
59 号
「今年は冬が早いですね」と、挨拶代わりになるくらい、例年より早い冬の訪れです。11 月の
初めで早々と積雪があり、-10℃を下回る寒波もやって来ました。とうと始まった冬。どんなシ
ーズンになるのでしょうか?
少ないワシ
ポロト沼の 11 月、オ
オワシ、オジロワシの飛
来数がピークになりま
す。多い時は 20 羽くら
いのワシが岸辺に陣取
り、遡上したサケを食べ
ています。ところが今年
は、ワシの姿がパラパラ
としかありません。多く
ても 6~7 羽。その原因
はサケの少なさにあり
ます。
サケの遡上ピークは
9 月。しかし、沼は寂びしいものでした。ここだけでなく道東各地で少なかったようです。沿岸域
の海水温が高いため、サケが戻りづらかったのでは?と言われています。採卵のための親魚を確保
するため、沖合の定置網を引き上げる動きがあったほどです。
大陸から渡ってきたオオワシは、1 月の初めころまでサケに頼って暮らしています。北海道で子
育てを行うオジロワシも、この時期はよくサケを食べています。特に若ワシは、捕獲しやすいサケ
を求め、連日ポロト沼に姿を見せています。
早朝、久しぶりにオオワシの声がポロト沼に響きました。サケが海から上って来たようです。ど
こからともなく、次々にワシが舞い降りてきます。少ない食べ物に群がる季節がやって来ました。
紅葉とシカと雪と
11 月は秋から冬へのターニン
グポイント。葉を落とした森に、
カラマツの黄葉がひときわ鮮やか
です。昼が一日一日短くなり、夜
がすぐに訪れます。太陽が落ちる
と、がくんと気温が下がるのがこ
の季節。夜はきらめく星の世界。
夏、霧で隠れていた星空が鮮やか
に復活します。オリオン座が南の
空に輝くころ、森や湿原からはオ
スジカの声、沼からはサケの立て
る水音やマガモの声、海からはク
ロガモの声、そして時おり空から
オオハクチョウの渡る声が聞こえ
てきます。11 月の夜は静かではあ
りません。
冬の色が濃くなるのは、なんと
いっても雪の演出。粉雪が舞い、
次第に本格的な降雪となり、地面
や森を白く覆う頃には、冬の領域
に入り込んでいます。遠くに聳え
る雌阿寒岳、雄阿寒岳、そして知
床の山並みが、いつの間にか真っ
白になりました。この雪が平地に
留まるとすっかり冬。11 月の積雪
はやがて溶け、溶けたころにまた
雪が降ります。秋から冬、冬から
秋を繰り返しながら、しだいに冬
になります。そう言えば、もう、
シカの声がしなくなりました。
冬の鳥たち
寒くなるほど楽しみなのが冬の
鳥たち。遠く北の繁殖地で子育て
を終え、はるばる渡って来ます。
25 日にケアシノスリに出会い
ました。在来のノスリより白く見
えるのが特徴です。腹巻をしたよ
うな黒い帯と尾羽の先の黒帯が目
立ちます。1 羽が霧多布岬の草原
を飛んでいました。巧みに風を捉
え、羽ばたかずに空中の一点に留
まる得意技を披露してくれました。
こうやって地上を走り回るネズミ
を探しているのです。
海ではカモの仲間がたくさん見
られるようになりました。私のお
気に入りは写真のシノリガモ。白
い模様がとても鮮やかです。この
カモは荒磯が大好き。波がぶつか
る岩礁地帯で冬を過ごします。波
に翻弄されることもなく、岩に打
ち上げられずに泳いでいます。森
で生まれ、渓流で育ったカモです
から荒波は平気です。
渡り途中の鳥にも出会いました。
岬の遊歩道で食べ物を探していた
のはツメナガホオジロ。はるばる
北極圏のツンドラ地帯からやって
来ました。一瞬の出会いでしたが、
またこの冬に、どこかで会いたい
ものです。
冬に備える
11 月は薪つくりの季節。ミズナラの丸太
100 本を購入し、チェンソーでストーブに
入る長さに切り分け、斧で割る作業を延々
と続けていました。気温の変動が大きい時
期。薪割りの途中で、-10℃を下回る寒波
に出会い、木は凍りました。すると、以前
より簡単に割れるようになりました。木は
古いものより新しい方が、生より凍った方
がよく割れるます。
薪は 2 年間乾燥させます。今年の薪は家
の前と裏に分けて積んでいます。置き場所
がないので雨ざらしです。今年の薪山の後
ろに去年の薪が見えます。薪小屋の壁に積
んで乾燥させています。ここは屋根がある
ので雨に濡れにくくなっています。この冬
に燃やす薪は小屋の中です。いい感じに乾
燥し、毎日、太陽のぬくもりを放出しなが
ら大気と土に戻っていきます。
図書室できました
客室前の小部屋を図書室にしました。今
までは物置として使っていましたが、中の
物を運び出し、壁を白く塗って本棚を作り
付けました。蔵書の写真集や図鑑、絵本、
コミックなど、気軽に読める本を置いてい
ます。
この部屋は簡易ベッドを置いて予備の寝
室にもなります。寝室がひとつ増え、3 部
屋 5 名様まで宿泊可能になりました。
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