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ChemStation Security Pack
Agilent AD、GC、LC、CE、 LC-MSD、CE-MSD 用 ChemStation Security Pack ユーザーガイド s1 注意 © Agilent Technologies, Inc. 2004 保証 安全に関する注意 本マニュアルは米国著作権法および国 本 マニュアルに含まれる内容は 際著作権法によって保護されており、 「現状のまま」提供されるもので、 Agilent Technologies, Inc. の書面による事 将来のエディションにおいて予告 前の許可なく、本書の一部または全部 なく変更されることがあります。 を複製することはいかなる形式や方法 また、Agilent は、適用される法律 (電子媒体による保存や読み出し、外国 語への翻訳なども含む)においても、 によって最大限に許可される範囲 において、本マニュアルおよびそ 禁止されています。 マニュアル番号 G2183-96003 エディション 03/04 Printed in Germany Agilent Technologies Hewlett-Packard-Strasse 8 76337 Waldbronn, Germany Microsoft ® - Microsoft は米国 Microsoft Corporation の登録商標です。 れに含まれる情報の商品性および 特定の目的に対する適合性に関す る黙示の保障を含めて(ただしそ れだけには限定されない) 、いか なる明示または黙示の保障も行い ません。Agilent は、本マニュアル またはそれに含まれる情報の所 有、使用、または実行に付随する 過誤、または偶然的または間接的 な損害に対する責任を一切負わな いものとします。Agilent とお客様 の間に書面による別の契約があ り、本マニュアルの内容に対する 保証条項が同文書の条項と矛盾す る場合は、別の契約の保証条項が 適用されます。 技術ライセンス ソフトウェアリビジョン 本書は、Agilent AD、GC、LC、CE、LC-MSD、 CE-MSD 用ケミステーションセキュリ ティパックの B.03.0x リビジョンに有効 です。ここで、x はソフトウェアのマ イナーリビジョンを表す数字で、本書 の技術的な正確さに影響するものでは ありません。 2 このマニュアルで説明されているハー ドウェアおよびソフトウェアはライセ ンスに基づいて提供され、そのライセ ンスの条項に従って使用またはコピー できます。 注意 注意は、危険を表します。こ れは、正しく実行しなかった り、指示を順守しないと、製 品の損害または重要なデータ の損失にいたるおそれがある 操作手順や行為に対する注意 を喚起します。指示された条 件を十分に理解し、条件が満 たされるまで、注意を無視し て先に進んではなりません。 警告 警告は、危険を表します。こ れは、正しく実行しなかった り、指示を順守しないと、人 身への傷害または死亡にいた るおそれがある操作手順や行 為に対する注意を喚起します。 指示された条件を十分に理解 し、条件が満たされるまで、 警告を無視して先に進んでは なりません。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 本書の内容 本書では、AD、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD 技術などで 使用する Agilent ChemStation Security Pack について説明しま す。Security Pack は、Agilent ChemStation のアドオンモ ジュールで、電子記録や電子署名に対する米国食品医薬品局 (FDA) の規制 (21 CFR Part 11) に対応できるようになっていま す。 1 はじめに 最初の章では、ChemStation Plus Security Pack、および、電子 記録と電子署名に関する FDA の最新規則である 21 CFR Part 11 の概要について説明します。 2 前提条件、設定、およびインストール この章では、Security Pack を ChemStation にセットアップする 方法について説明します。 3 ミニツアー ChemStation Plus Security Pack の主要コンセプトの概要につい ては、この章を参照してください。 4 アクセスレベルおよびバッチレビューインターフェイスの 変更 この章には、オペレータモードとバッチレビューモードで行わ れた変更に関する説明が含まれます。 5 データの再解析 この章は、データ再解析の手引きとして利用してください。 6 管理タスクとリファレンス この章では、管理タスクの概要を扱います。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 3 4 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 目次 1 はじめに 9 Security Pack の概要 21 CFR Part 11 10 11 21 CFR Part 11 の要求事項 12 コンピュータネットワーク一般におけるデータセキュリティの一般 的側面―オープンシステム対クローズドシステム 12 2 15 前提条件、設定、およびインストール 前提条件 16 PC ハードウェア 16 オペレーティングシステム 16 Windows 2000/XP におけるユーザー管理 17 Windows 2000/XP ユーザー管理の最低必要条件 Windows 2000/XP のグループポリシー 18 ユーザープロファイル 19 インストール手順 21 準備 21 Security Pack のインストール インストール後 22 ChemStation 装置の追加 25 Security Pack の削除 25 3 ミニツアー 17 21 27 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト データの保存 33 ChemStation からのデータ転送 36 データ取込中 36 データ再解析中 36 ChemStation のデータ解析ビュー ChemStation Security Pack ユーザーガイド 28 37 5 目次 ChemStation のバッチレビュー 39 ChemStation から ChemStore C/S データベースへのデータ転送の概 要 44 ChemStation のバッチレビューにおける生データとメタデータの取 得 47 監査証跡 48 51 データの自動バージョン化 4 アクセスレベルおよびバッチレビューインターフェイスの変更 ChemStation のオペレータレベルに対する変更 56 58 バッチモードへの変更 5 55 61 データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送 バッチの設定 62 バッチの読み込み 65 62 ChemStore のラン情報インターフェイスから ChemStation へのデータ転 送 68 ランの再読み込み 68 シーケンスの再読み込み 70 積分 73 シグナルの自動積分 73 シグナルのマニュアル積分 リキャリブレーション 6 管理タスクとリファレンス はじめに 75 77 79 80 ChemStore C/S アクセス許可が必要なタスク 新しいユーザーの作成 81 既存ユーザープロファイルの変更 84 6 81 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 目次 OS 管理者のタスク 85 データベースサイズセキュリティサービスの設定 データベース接続の割り当て 86 85 スタンドアロンバージョンでの新しいデータベースの作成 スタンドアロンバージョンのデータベースバックアップ イベントログファイルのバックアップ 91 電子メール通知の設定 91 スプーラ障害のトラブルシューティング 92 セキュリティ設定 94 索引 88 90 97 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 7 目次 8 ChemStation Security Pack ユーザーガイド Agilent AD、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD 用 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 1 はじめに Security Pack の概要 21 CFR Part 11 11 10 Agilent Technologies 9 1 はじめに Security Pack の概要 Security Pack の概要 Security Pack リビジョン B0.03.01 は、ChemStation A.10.02 以降で動作する ようになっています。Security Pack は、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD、 A/D などで使われる、Agilent ChemStation のアドオンモジュールで、21 CFR Part 11 に準拠できるようサポートするものです。 Security Pack は、ChemStation の結果管理に対して、以下のような変更を行 います。 ・ 各アプリケーションに、ログオンとロックの機能を提供します。 ・ 結果とメタデータの完全な自動バージョン化機能を提供します。自動バー ジョン化は、新たに結果の計算や表示が行われるたびに、その結果を新しい バージョン番号でデータベースに保存する機能です。 ・ データのディレクトリを NTFS アクセス許可権限によって保護します。 Security Pack は、ChemStation のオペレータユーザーの権限を変更し、結果 の管理やデータの保存用の ChemStore C/S リレーショナルデータベースを追 加します。 本書では、ChemStation に対して行われた変更について説明します。 ChemStore C/S 製品については、『Agilent ChemStore C/S コンセプトガイド』 を参照してください。 10 ChemStation Security Pack ユーザーガイド はじめに 21 CFR Part 11 1 21 CFR Part 11 米国食品医薬品局 (FDA) は、製薬会社が、結果を電子署名によって承認した り、記録文書を電子記録へ移行できるようにする新たな規則を、1997 年 8 月 20 日を発効日として公布しました。この規則は、連邦規則第 21 条 11 章 (通 称 21 CFR Part 11) として知られており、FDA の管轄下にあるすべての業界に 適用されます。 この規制が、製薬業界の業務やデータ処理方法に与えた影響は、予想以上に大 きいものでした。「製薬業界で求めていたのは、電子署名に関する規則だった が、実際に得られたのは、電子記録に関する規則だった。」(元 FDA 調査員 Martin Browning 氏の、ワシントンで行われたあるバリデーションセミナー での発言) 21 CFR Part 11 では、電子記録の保護やセキュリティ確保のためにあらゆる手 段を実施することに主眼を置いています。21 CFR Part 11 は、製薬業界や化学 分析装置メーカーに対して、従来のやり方に対する不確実性や変更をもたらす ものの、新薬の商品化までの期間を短縮するという、医薬品研究の最重要課題 の解決にも役立つため、今日のラボで実施する価値は十分にあります。 このような電子データ管理への移行で得られる主な利点は、製薬業界の潜在的 な生産性の向上にあります。この移行により、製薬業界は、データを紙にプリ ントアウトする量を減らしたり、データレビューや承認プロセスを短縮したり することができ、また、コンピュータを使ったシステム管理を基盤とする新し い自動化技術は、製造や溶解薬物のリリーステストなどの面で役に立つ可能性 があります。 21 CFR Part 11 に関しては、このような電子記録に関する規則ばかりでなく、 コンピュータ化されたシステムに対する一般的な要求事項も、監査役の注目を 集めています。このような規則は、データアクセスの制限、データインテグリ ティやトレーサビリティの保証といった、バリデーションの基本的な要件を 扱っています。 この FDA の規則に従って業務を遂行すること自体は、言うまでもなく、製薬 業界側の問題ですが、この規則の要求の中には、化学分析システムやそのメー カーに影響を与えるものも少なくありません。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 11 1 はじめに 21 CFR Part 11 本書では、製薬業界が FDA の規則に準拠する上で、クロマトグラフデータ処 理システムがどのように役立つのかを簡単に示します。Security Pack は、ス タンドアロンの Microsoft® Access データベース、またはサーバーベースの Oracle® データベースを使用する際の、データセキュリティ、データインテグ リティ、および監査証跡に関する FDA の要求に対応するものです。 21 CFR Part 11 の要求事項 FDA の電子記録やコンピュータ化システムに対する規則やガイドラインに対応 するには、以下に述べるような安全なデータ処理の基本を理解することが重要 です。 ・ データセキュリティ ― システムへのアクセスを制限し、不正なアクセスを 防止することで、データを物理的に保護すること。 ・ データインテグリティ ― データやメタデータを保護し、不正な変更から 守ったり、生データと結果をリンクして、監査のときなどに、いつでも元の 結果を再生できるようにしたり、新しい結果コピーを記録したりすること。 ・ 監査トレーサビリティ ― 結果に対して誰がいつ何をしたかを記録したり、 元の生データへの新たな再解析バージョンの追加を追跡したりすること。 コンピュータネットワーク一般におけるデータセキュリティ の一般的側面―オープンシステム対クローズドシステム クロマトグラフシステムにおけるデータセキュリティの詳細について説明する 前に、コンピュータネットワーク一般におけるデータセキュリティの諸側面に ついて考える必要があります。 「ハッカー」と呼ばれる、権限を持たない外部の人間が、面白がって、または 不正行為を目的に、パブリックネットワーク上を伝送されるデータにアクセス する危険性があることは、よく知られています。 機密データや重要なデータに対する認証を、ユーザー ID とパスワードを使っ た電子認証によって行う場合、署名とデータとの関連付けを破壊されないとい う点、さらに署名を偽造されたり、パスワードを盗まれたりしない点が保証さ れる必要があります。パブリックシステムの場合、これを実現するには、秘密 鍵と公開鍵の組み合わせによるデータ暗号化などの、暗号化技術を導入する必 12 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 1 はじめに 21 CFR Part 11 要があります。一方、コンピュータ化システム自体が不正なアクセスから保護 されていれば、署名が第三者の手に渡ったり、権限のない人間に使われたりし ないことが保証されます。 FDA では、この両者を区別して、それぞれ、オープンシステムとクローズドシ ステムとして定義しています。したがって、それぞれの要件を満たしていれ ば、パブリックネットワークシステムはオープンシステム、保護されたネット ワークはクローズドシステムと見なすことができます。 Security Pack は、クローズドシステムを想定して設計されており、クローズ ドシステムでのみサポートされます。 FDA の定義では、 「クローズドシステムとは、システム上の電子記録の内容に 対して責任を持つ者によって、アクセスが制御されているような環境」 (11.3.5) を意味します。特定のシステムがクローズドシステムであるかどうか は、1 回確認すれば済むようなことではなく、システムをクローズドに保つよ うなシステム制御の実行と記録が常に行われているかどうかによって決まりま す。逆に、オープンシステムでは、「電子記録の内容に対して責任を持つ者に よってシステムのアクセス制御が行われていない」ことになります。 したがって、オープンシステムでは、ネットワーク上を伝送されるあらゆる データに暗号化を行うことが必要になります。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 13 1 14 はじめに 21 CFR Part 11 ChemStation Security Pack ユーザーガイド Agilent AD、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD 用 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 2 前提条件、設定、およびインストール 前提条件 16 インストール手順 21 Agilent Technologies 15 2 前提条件、設定、およびインストール 前提条件 前提条件 PC ハードウェア Security Pack は、大量のコンピュータリソースを必要としないため、PC に必 要な条件は、ChemStore C/S と同じになります。最低限必要なハードウェアの 条件については、『ChemStore C/S インストールガイド』を参照してください。 オペレーティングシステム Security Pack には、Windows 2000 Service Pack 4、または、Windows XP Service Pack 1 および Internet Explorer 5.5 以降が必要です。また、 ChemStation Plus システムをインストールするハードドライブは、NTFS フォーマットを使用している必要があります。Security Pack をインストール する前に、ハードドライブをフォーマットしてください。 注 Security Pack リビジョン B0.03.01 では、Windows 2000/XP ディレクトリサービス (別名 Active Directory :AD)をサポートしていません。 クライアント設定 以下のセクションでは、Security Pack と Windows 2000/XP のセキュリティ ツールがどのように結びついており、Windows 2000/XP ではデフォルトのセ キュリティ設定がどのように設定されるかについて説明します。Windows 2000/XP の権限の管理やデータベースに関する詳しい情報については、79 ページから始まる第 6 章「管理タスクとリファレンス」を参照してください。 Security Pack では、ChemStation Plus を 21 CFR Part 11 に完全に準拠させる ため、Windows のグループセキュリティの概念を利用しています。このグ ループセキュリティの概念については、17 ページの「Windows 2000/XP にお けるユーザー管理」で簡単に説明します。また、17 ページの「Windows 2000/XP ユーザー管理の最低必要条件」では、スタンドアロンシステムで十分 に使用できる簡単な設定について説明します。 16 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 2 前提条件、設定、およびインストール 前提条件 ただし、この Windows のセキュリティ設定は、ラボのニーズに応じてカスタ マイズすることをお勧めします。17 ページの「Windows 2000/XP ユーザー管 理の最低必要条件」および 18 ページの「Windows 2000/XP のグループポリ シー」では、Microsoft Windows OS に組み込まれたセキュリティ機能を使っ て、ChemStation Plus をより使いやすくする方法について簡単に説明します。 Windows 2000/XP におけるユーザー管理 Windows をスタンドアロンとして使用する際にユーザー管理の中核をなすの が、グループの概念です。Windows の各ユーザーは、グループのメンバーに なります。ログイン、ソフトウェアのインストール、特定ファイルへのアクセ スなどの許可は、このグループに対して割り当てられます。 ユーザーは、それぞれ固有のプロファイルを保持しており、この中には、デス クトップのレイアウト、スタートメニューに表示されるアプリケーションなど が保存されています。 システムポリシーを使うと、セキュリティ設定をさらにカスタマイズすること ができます。システムポリシーを使うには、通常、Windows 2000 のドメイン が必要です。システムポリシーは、ドメインで集中的に管理されます。 Windows 2000/XP ユーザー管理の最低必要条件 21 CFR Part 11 が電子記録に対して要求しているユーザー認証は、 ChemStation Plus Security Pack によって実現されているので、Windows の ユーザー管理は、その分単純化することができます。この場合、Windows ユーザーのグループは、次の 2 つで十分です。 ・ Operators ― 通常、ChemStation plus システムを使うだけで、データベー ス接続の変更やバックアップは行わない。 ・ Administrators ― データベースのバックアップやデータベース接続の変更 を行う。 たとえば、1 台のコンピュータを共有する全ユーザーが、汎用の Windows ユーザーログオンを 1 つだけ使うというような設定があります。この場合、シ ステムのセキュリティやユーザー認証の管理は、Security Pack によって行わ ChemStation Security Pack ユーザーガイド 17 2 前提条件、設定、およびインストール 前提条件 れます。この汎用ユーザーが所属すべき Windows のユーザーグループは、 Users だけです。このユーザーは、Power Users や Administrators のメン バーである必要はありません。 注 Agilent 以外から購入した Windows システムをご利用の場合には、アプリケー ションで使用するフォルダに対して、特定のアクセス許可を設定する必要があ ります。この設定は、 「Agilent ChemStation A.10.01 以降の Windows XP Professional の設定」(P/N G2170-90107) という文書に従って行ってください。この文書の電 子版は、ChemStation のインストール CD に収録されています。 管理者の作業をトラッキングするため、管理者に対しては、それぞれ固有の Windows ユーザーアカウントを割り当てることをお勧めします。この権限の あるユーザーはすべて、ユーザーグループ Power Users もしくは Administrators のメンバーである必要があります。不正なデータの削除を防 ぐためのセキュリティ設定の選択については、79 ページから始まる第 6 章 「管理タスクとリファレンス」で詳しく説明します。 注 Windows 2000 のネットワーク環境がドメインで構成されている場合、Security Pack が正しく動作するためには、各ドメインユーザーグループが、ローカル ユーザーグループのメンバーとして、明示的に指定されている必要がありま す。このドメインユーザーグループは、Power Users グループのメンバーにはな りません。 Windows 2000/XP のグループポリシー Windows 2000/XP には、コンピュータシステム全体の制御や管理を行うコマ ンドや設定が多数あります。アプリケーションのインストールと削除、PC の 時計の変更などを行うコントロールパネルは、その一例です。Windows のシ ステム設定に対する不正な変更は、通常、PC の動作一般に対する障害の原因 となりますが、ローカル PC の時計の変更のように、電子記録にしか影響を与 えないような設定もあります。Security Pack は、一般のユーザーがシステム 設定にアクセスできるようなシステムでも、完全なセキュリティを確保できる ように設計されています。 ただし、オペレータによる Windows システム制御部へのアクセスをできる限 り避けるため、特定の重要なコマンドやプログラムに対するアクセスは、管理 者権限を持つユーザーに限定することをお勧めします。Windows 2000/XP ネットワークデータシステムにおいて、このようなアクセス制限を実現するた 18 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 2 前提条件、設定、およびインストール 前提条件 めの最もよい方法は、Windows のグループポリシーを利用することです。詳 しくは、Microsoft OS のユーザーマニュアルやオンラインヘルプを参照してく ださい。 グループポリシーを利用すると、システムがより安全で使いやすいものになり ます。グループポリシーは、各ユーザーのデスクトップをカスタマイズした り、システムを制御する重要なプログラムやコマンドに対するアクセスを制限 したりすることを可能にします。グループポリシーは、通常、ドメイン全体に 対して働き、ドメインコントローラまたはドメイン管理者によってセットアッ プされます。これらの機能は、ラボの全体のセキュリティ方針に合わせて設定 する必要があるので、実装の際には、貴社の IT 部門にお問い合せください。 Security Pack 使用の際には、オペレータに対して以下の制限を設けることを お勧めします。 ・ [ スタート ] メニューから [ ファイル名を指定して実行 ] コマンドを削除し ます。 ・ レジストリ編集ツールを無効にします。 ・ タスクマネージャを無効にします。 ・ [ パスワードの変更 ] を無効にします (全ユーザーが共通のログオンを使用 する場合)。 ローカルな Power Users および Administrators グループのメンバーに対して は、自分の Windows パスワードを変更する権限を除いて、同一の制限を設定 したほうがよいでしょう。 Security Pack の管理タスクには、その他のシステム制御機能は必要ありませ ん。 ユーザープロファイル 必須ユーザープロファイルを使うと、全ユーザーが、どのコンピュータでも同 一のデスクトップとスタートメニューに確実にアクセスできるようになりま す。このプロファイルは中央サーバーで保存され、個々のユーザーが変更する ことはできません。オペレータのユーザープロファイルでは、スタートメ ニューから ChemStation Plus アプリケーション以外のアプリケーションをす べて削除し、デスクトップからすべてのアイコンを削除することをお勧めしま す。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 19 2 前提条件、設定、およびインストール 前提条件 管理タスクを行うユーザーは、バックアップやアーカイブに使う SOP に応じ て、Windows Explorer や Windows バックアップアプリケーションにアクセス する必要があります。 20 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 2 前提条件、設定、およびインストール インストール手順 インストール手順 Security Pack が正常にインストールされることを確実にするため、以下の手 順を順番に実行してください。 準備 1 使用している PC が、『Agilent ChemStore C/S インストールガイド』で説明 した最低必要条件を満たしていることを確認します。 2 OS が、Windows 2000 + Service Pack 4、または、Windows XP + Service Pack 1a であることを確認します。 3 Security Pack をインストールするパーティションが、NTFS フォーマット であることを確認します。 4 まだ ChemStation をインストールしていない場合には、ChemStation Plus CD-ROM から ChemStation をインストールします。ChemStation のインス トールの詳細については、お手持ちの ChemStation インストールガイドを 参照してください。 5 まだ ChemStore C/S をインストールしていない場合には、 ChemStore/Security Pack/ChemAccess CD-ROM から ChemStore C/S をイ ンストールします。ChemStore C/S のインストールの詳細については、お 手持ちの ChemStore C/S インストールガイドを参照してください。 6 ChemStore のインストールが済んだら、PC を再起動します。 Security Pack のインストール 1 ChemStore/Security Pack/ChemAccess CD-ROM で G2183 フォルダを探し ます。 2 G2183\setup.exe を選択して起動します。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 21 2 前提条件、設定、およびインストール インストール手順 インストール後 1 Windows のオブジェクトアクセス監査を有効にし、ローカルの hpchem\ chemstor\database ディレクトリに対するアクセスの監査を行います 94 ページの「セキュリティ設定」も参照してください。これは、スタンドアロ ンのシステムでは、コントロールパネルの管理ツールの中にある、ローカル セキュリティポリシーを使って行うことができます。コンソールツリー中の [ 監査ポリシー ] に移動します。図 1 にしたがって設定を変更し、OS にロ グインし直した後も、設定が有効になっていることを確認します。 Windows 2000 のネットワーク環境では、この設定はドメインレベルで行わ れます。 図1 監査ポリシーの設定 2 イベントが削除されることを防ぐため、セキュリティログの設定を変更しま す。[ スタート ]> [ 設定 ] > [ コントロールパネル ] から、[ 管理ツール ] を 開きます。 3 [ コンピュータの管理 ] を開いて、[ イベントビューア ] を展開し、[ セキュ リティ ] >[プロパティ ] を右クリックで選択します。23 ページの図 2 のよ うに、[ イベントを上書きしない (手動でログを消去)] を選択します。 22 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 2 前提条件、設定、およびインストール インストール手順 図2 イベントログの設定 4 該当する場合には、88 ページの「スタンドアロンバージョンでの新しい データベースの作成」の説明に従って新しいデータベースを作成します。 5 86 ページの「データベース接続の割り当て」の説明に従って、ユーザーに 対するデータベース接続を設定します。 6 デフォルトユーザーのパスワードは、システムが完全に動作するようになっ てから変更するようにしてください。各デフォルトユーザーには、関連する タスクを持つユーザーを割り当てることをお勧めします。これらのユーザー を設定したら、デフォルトユーザーのアカウントを無効にします。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 23 2 前提条件、設定、およびインストール インストール手順 表1 注 デフォルトユーザーおよび機能 ユーザー名 パスワード 機能 Admin admin システム管理者。あらゆるアクセス許可を有 します。 Manager manager ラボの管理者。データベースの圧縮やユー ザーの管理は行えません。 Chemist chemist データレビューア。ユーザーの管理やスタ ディの作成は行えません。 Operator operator サンプルオペレータ。割り当てられたデータ バッチの作成だけを行えます。 Support support サポート用ログオン。あらゆるアクセス許可 を有します。 データベースには、「管理者」権限を持つユーザーを、最低 2 人は設定するよ うにしてください。アカウントロックアウトポリシーを厳しくし、管理者アカ ウントを 1 つしか設定しないと、それがロックされた際に、データベースの管 理が不可能になる場合があります。 7 Security Pack のインストール情報は、ChemStation メニューの [Help (ヘ ルプ)] の中の [About ChemStore C/S (バージョン情報)] に表示されます。 この画面には、ChemStore のリビジョン番号と Security Pack のリビジョン 番号の両方が表示されます。 図3 24 ChemStore および Security Pack のリビジョン番号 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 2 前提条件、設定、およびインストール インストール手順 ChemStation 装置の追加 Security Pack インストール後に ChemStation 装置を追加する場合には、装置 のインストール後に、再度 Security Pack のインストールを実行する必要があ ります。これにより、追加した装置からのデータの安全性が保証されます。 これを行うには、21 ページの「インストール手順」の手順 1 と手順 2 を実行 します。 これで、新しい ChemStation 装置のディレクトリは、94 ページの「セキュリ ティ設定」で説明したように保護されます。 Security Pack の削除 コンピュータから Security Pack を削除したい場合には、ChemStore C/S のア ンインストールを行う必要があります。これにより、Security Pack も削除さ れます。ソフトウェアを削除するユーザーは、Windows ユーザーグループ Administrators のメンバーでなければなりません。ChemStore C/S によって 作成され、ChemStation Plus Security Pack によって保護されたディレクトリ を完全に削除することができるのは、このグループのメンバーだけです。コン ピュータから ChemStore C/S を削除する方法の詳細については、『Agilent ChemStore C/S インストールガイド』を参照してください。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 25 2 26 前提条件、設定、およびインストール インストール手順 ChemStation Security Pack ユーザーガイド Agilent AD、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD 用 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 3 ミニツアー 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト 28 データの保存 33 ChemStation からのデータ転送 36 ChemStation のバッチレビューにおける生データとメタデータの 取得 47 監査証跡 48 データの自動バージョン化 51 Agilent Technologies 27 3 ミニツアー 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト Security Pack では、権限のあるユーザーだけがアプリケーションを起動する ことができます。このようなユーザー管理は、ChemStore C/S のデータベース に設定された、ユーザー権限によって実現されます。ユーザー管理は、管理マ ネージャだけが行うようにしてください。データベースへの不正アクセスや データベースの不正利用を防ぐため、ChemStation Plus のユーザーには、そ れぞれ、アクセスパスワードとアクセス許可のセットが与えられることによ り、各ユーザーが利用できる機能が決められています (『Agilent ChemStore C/S コンセプトガイド』の 99 ページ「ユーザーの設定と管理」を参照)。 Security Pack では、同一データベースの異なる部分にあるデータが不正にア クセスされないように、特定のデータベースのサブセットごとに、データアク セスの制限を設定することができます。アクセスは、スタディレベルで制限さ れます。スタディというのは、Security Pack の管理者がデータベース内から 設定・管理することのできる、データベースの構成要素です。 システムアクセスを制限するための最も重要な条件として、ユーザー本人以外 には、たとえシステム管理者であっても、パスワードを知らせないという点が あげられます。システム管理者が、管理できるのは、ユーザーやユーザー ID だけです。これは次の二段階の手順で実現されます。まず、データベース管理 者が、個々のユーザーに対してユーザー識別情報と適切なアクセス許可を設定 します。次に、そのユーザーがアプリケーションに初めてログオンしたとき に、ログオン画面でパスワードを指定します。 このような二段階の手順を経ることにより、パスワードを知っているのはユー ザー本人だけであることが保証されます。パスワードを無くしてしまった、ま たはパスワードを忘れてしまった場合、データベース管理者は、そのパスワー ドを消去して、ユーザーにパスワードの指定とログオンスクリプトの再実行を やり直させることができます。 28 ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト 図4 3 パスワード指定画面 [OK] をクリックすると、[Change User Password (ユーザーパスワードの変更)] ダイアログボックスが自動的に開きます。 図5 ユーザーパスワードの変更ダイアログボックス パスワードの最短長、失効日、パスワードの一意性、アカウントロックアウト などに対して、会社のパスワードポリシーを適用するには、ChemStore C/S ア プリケーションで適切なパラメータを設定します。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 29 3 ミニツアー 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト 図6 パスワード設定ダイアログボックス ChemStation と ChemStore C/S は、ともに、FDA の規制に則って、動作中の ロックを行うことが可能になっています。ロックアウトには、現在のユーザー もしくは管理者のパスワードを指定しないとセッションのロックを解除できな いプライベートロックと、任意の有効なユーザー ID とパスワードの組み合わ せによりセッションのロックを解除できるノンプライベートロックがありま す。 セッションが手動でロックされている際にも、シーケンス実行中などに、 ChemStation Plus アプリケーションの進行状況をモニタすることは可能です。 ロックは、装置の各セッションに対して個別に行われるため、特定の PC から 複数の装置バージョンを操作することも可能です。 セッションのプライベートロックを行うには、ChemStation で、[View (表示) ] > [Lock (ロック)] ChemStation > [privately (プライベート)] を選択するか、 または ChemStore C/S で、[Administration (管理)]> [Lock Session (セッショ ンのロック)]> [privately (プライベート)] を選択します。ここで表示される [Privately locked by user (ユーザーによるプライベートロック)] ダイアログ ボックスには [Cancel (キャンセル)] ボタンがありません。このセッションの ロックを解除できるのは、有効なユーザー名とパスワードを入力しただけで す。 30 ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト 図7 3 ユーザーによるプライベートロックのダイアログボックス セッションのノンプライベートロックを行うには、ChemStation で、[View (表示)] > [Lock (ロック)] ChemStation > [non-privately (ノンプライベート) ] を選択するか、または ChemStore C/S で、[Administration (管理)]> [Lock Session (セッションのロック)]> [non-privately (ノンプライベート)] を選択 します。ここで表示される [Locked by user (ユーザーによるロック)] ダイア ログボックスには、[Cancel (キャンセル)] ボタンがありません。このセッ ションのロックを解除できるのは、有効なユーザー名とパスワードを入力した だけです。 ロックされたセッションを解除しようとして失敗すると、その操作は、 「failed to logon」(ログオン失敗)として、ChemStore データベースのログブックに記 録されます。また、その記録には、ChemStation クライアント名、および、 PC のホスト名 (「instrument 1」など)が識別子として付加されます。 図8 ユーザーによるロックのダイアログボックス ChemStation Security Pack ユーザーガイド 31 3 ミニツアー 必須ログオン、ユーザー管理、およびロックアウト さらに、追加のセキュリティ機能として、21 CFR Part 11 に則った、無操作時 の自動ロックアウト機能も利用できます。この機能により、管理者権限を持つ ユーザーは、指定された時間後にセッションがロックされ、有効なパスワード を入力しないと解除できないように設定することができます。 無操作タイムアウトは、ChemStore データベースによって制御されます。 ChemStore レビュークライアントで無操作タイムアウトが有効になっている と、ChemStation のあらゆるセッションがこの設定の影響を受けます。クライ アント / サーバー型の ChemStore では、ネットワークに接続された ChemStation Plus クライアントのすべてが、同一の無操作タイムアウト設定 を持ちます。無操作設定の変更は、管理者権限を持つユーザーが、ChemStore レビュークライアントからのみ行うことができます。適切な ChemStore 権限 がない限り、システムオペレータが、データ取込用やレビュー用のローカル PC からこの設定を変更することはできません。 ロック解除に有効なパスワードは、プライベートロックかノンプライベート ロックかによって異なります。 自動ロックでは、フォアグラウンドアプリケーションによる好ましくない作業 の妨害を防ぐために、手動ロックとは対照的に、ロックされた ChemStation のセッションのウィンドウは最小化されます。 図9 注 32 時間ベースのセッションロック設定 待ち時間のデフォルト設定は 10 分です。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 3 ミニツアー データの保存 データの保存 本アプリケーションでは、あらゆるデータが ChemStore C/S データベースに 保存されるようになっています。このデータベース内では、目的に応じてラン を論理的にグループ化することができます。このようなランのグループは、ス タディと呼ばれています。必要なアクセス許可のあるユーザーは、スタディを 任意の数だけ作成することができますが、各スタディには一意の名前を付けて 識別する必要があります。スタディの作成時には、そのスタディへのアクセス も設定されます。スタディのデータにアクセスしたり、スタディにデータを転 送したりすることができるのは、そのスタディに対するアクセス権を持つ (「スタディに割り当てられている」)ユーザーだけです。スタディのユーザーへ の割り当ては、データベース中のデータに対するアクセスを、そのデータの所 有者に限定するための、補助的なセキュリティ対策の一つです。 つまり、 「スタディのユーザーへの割り当て」特権は、クローズドシステムの 要件に関する part 11 の規則に則って、グローバルデータベースのクローズド システム内に、クローズドサブシステムを確保するための補助ツールです。 これは、複数のラボや部署が、ChemStation Plus の同一の結果データベース にデータを保存する場合に特に重要です。データベース管理者は、データベー スの一部 (つまりスタディ)を別々のユーザーグループに割り当てることによ り、データにはその所有者だけがアクセスでき、所有者以外のユーザー (同じ データベースに結果を保存している、別の部署のユーザーなど)には見えない ようにすることができます。 スタディをユーザーに割り当てる機能については、『ChemStore コンセプトガ イド』の「組織情報の設定 ― ユーザーへのスタディ割り当て」を参照してく ださい。 ChemStation から ChemStore C/S に結果が転送される際には、各ラン (また はランのグループ)は一個のスタディに割り当てられ、同じスタディに割り当 てられた過去のランと一緒に、一個の論理的な単位として利用できるようにな ります。 セキュリティパック は、FDA がデータインテグリティの面で必須であると指 定した、以下のようなデータのすべてを保存するように設計されています。 ・ クロマトグラフの生データ ― 「d.files」の全内容 ・ 生データを意味の有る結果に変換するための情報やアルゴリズムを含むメタ データ ― メソッドとシーケンス ChemStation Security Pack ユーザーガイド 33 3 ミニツアー データの保存 ・ ChemStation のレジスタで計算され、レポートの種類の選択に従った結果 ・ メソッド、シーケンス、装置のログブック、装置の シリアル番号、カラム パラメータなど、その他のデータ取込パラメータ スタディを作成するには、ChemStore C/S で [Administration (管理)]> [Create Study (スタディの作成)]> [Store in Addition (一緒に保存)] を選択 し、デフォルト設定に従ってスタディにすべてのデータが保存されるようにし ます。 図 10 [ スタディの作成 ] の結果に [ 一緒に保存 ] スタディ管理に関する詳しい情報については、 『Agilent ChemStore C/S コンセ プトガイド』の「組織情報の設定」を参照してください。 データベースは、生データと対応するメタデータとの結合も行います。データ ベースには、結果のバージョンと、指定された結果の計算に使われた個別メ ソッドバージョンが一緒に記録されます。 メタデータは、一箇所にまとめられた [Run information (ラン情報)] の画面か ら簡単に復元することができます。 [Run information (ラン情報)] 画面を表示するには、ChemStore C/S で を選択します。 34 ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー データの保存 図 11 注 3 ラン情報画面 [Run information (ラン情報)] 画面は、ChemStore C/S のサンプルタブビューで のみ表示することができます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 35 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 ChemStation からのデータ転送 データ取込中 データ取込のために、単独のランもしくはシーケンスを開始する前に、データ ベース中のサンプル保存場所や、カスタムフィールド (設定されている場合) の値を指定する、ChemStore C/S の組織情報を設定する必要があります。 ChemStore の組織情報の設定については、 『Agilent ChemStore C/S コンセプ トガイド』の第 2 章「ChemStore のコンセプト」の「結果の整理」を参照して ください。 データ転送設定は、「transfer after each analysis (解析ごとに転送)」に設定 されます。このデータ転送の設定は、ユーザーとは独立に設定され、設定を変 更することはできません。データは、メソッドのデータ解析部分が終了し、結 果が算出されると、ChemStore C/S の ODBC データスプーラによって、ただ ちにデータベースに転送されます。また、「データ取込専用」のランの場合に は、データは取込終了時点で転送されます。 データ再解析中 一般的なデータ解析サイクルは、少なくとも次の二つの段階から構成されま す。 1 メソッド実行の一環としての、データ取込直後の最初のデータ解析 2 データ取込の一環としての、生成された結果のレビュー 取込専用分析の場合のみ:時間軸の後のポイントで、ChemStation バッチレ ビューウィンドウのユーザー設定のバッチとして、結果の計算が別途実行され ます。 データ取込中の自動データ転送については、上記のセクションで説明済みで す。データレビュー処理中のデータ転送も、Security Pack によって管理され ます。セキュリティパック アプリケーションは、結果値が一つでも変更される か、または新しい結果が生成されると、ただちに新しい結果を伴うランを、 ChemStore C/S データベースに自動的に転送します。Security Pack は、最後 の値と新しい値を比較することにより、更新された結果もしくは新しい結果 を、自動的に検出します。この結果の比較の内容は、Sec_Trac.txt というテキ ストファイルに示されます。このテキストファイルは、生データの *.d サブ 36 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 ディレクトリの中に、生データファイルと一緒に保存されます。データの比較 は、以下のような、新しい結果を生成する任意の操作によって初期化されま す。 ・ データ取込後の最初の結果の計算 ・ レポートの印刷 ・ データファイルへのデータ解析メソッドの適用 ・ 積分または自動積分コマンドによるクロマトグラムの積分 ・ キャリブレーションテーブルの変更 マニュアル積分イベントの適用範囲は、対話形式のデータ解析ビューとバッチ レビューで異なります。これらのビューについては、以下の 2 つのセクション で扱っています。 ・ 対話形式レビューについては、37 ページの「ChemStation のデータ解析 ビュー」 ・ データのバッチ全体の再解析に対するバッチレビューウィンドウについて は、39 ページの「ChemStation のバッチレビュー」 ChemStation のデータ解析ビュー ChemStation Plus のデータ解析ビューは、新しいメソッドの開発中などに行 われる各データファイルの高度なレビュー、または、3 次元 UV スペクトルや MS スペクトルの包括的なレビューを想定して設計されています。対話形式 データレビューは、データファイルのバッチ再解析には適していません。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 37 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 図 12 ChemStation マネージャのアクセスレベルが表示された、 ChemStation Plus の対話形式データ解析ビュー バッチ全体またはユーザー定義のランリストに適用されるタスク (新しい積分 イベントや更新後のキャリブレーション設定の適用など)は、すべて、バッチ レビューやシーケンス全体の再解析処理によって、より簡単に再処理を行うこ とができます。 このため、ChemStation Plus Security Pack では、標準のデータ解析ビューは、 デフォルトのデータレビューウィンドウになるようには設計されていません。 また、データ記憶領域を 33 ページの「データの保存」で推奨するように設定 してあると、データレビューに読み込むデータが、ハードディスクから入手で きなくなります。この場合、データファイルは、データベースへの転送の直後 に削除されるからです。 データ解析ランベースのレビューを使ってデータを解析したいユーザーは、生 データのファイルを、ChemStore のラン情報画面からローカルハードディスク に、個別に復元する必要があります。68 ページの「ChemStore のラン情報イ ンターフェイスから ChemStation へのデータ転送」も参照してください。 取込中のデータファイルによる干渉を防ぐために、再読み込み専用のフォルダ を作成することをお勧めします。 38 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 対話形式データ解析ビューにおけるデータトレーサビリティとバージョ ン化 ChemStation Plus のデータ解析ビューのデータバージョン化は、クロマトグ ラムのマニュアル積分に対応していないため、このビューのデータレビュー機 能は、ChemStation のマネージャユーザーレベルに限定されています。 データ解析ビューで ChemStation のオペレータが実行できるのは、作成済み メソッドの実行、またはレポートの印刷だけです。このビューで、オペレータ がリキャリブレーションや積分の変更を行うことはできません。ChemStation オペレータが、クロマトグラムのリキャリブレーションや再積分を行うには、 バッチレビューインターフェイスを使う必要があります。 データ解析ビューと、マニュアル積分のバッチレビューの違いは、次のとおり です。 ・ マニュアル積分イベントは、ランと一緒に保存されない。 ・ ピークテーブルは、マニュアルイベントが終了した直後に更新される。 ・ Security Pack では、ピークパラメータの変更を検出しないので、新しい結 果が計算された場合でも、データはデータベースに転送されない。 最新の結果をデータベースに保存したい場合には、マニュアル積分イベントを メソッドにコピーし、マニュアルデータ転送を初期化する必要があります。 ChemStation のバッチレビュー バッチレビューにおけるデータのトレーサビリティとバージョン化 バッチレビューは、データ再解析時のデフォルトビューです。バッチレビュー は、最後に実行された ChemStation シーケンスを再解析したり、ChemStore C/S データベースから提供されたランをまとめて再解析したりする際に利用す ることができます。また、バッチレビューでは、ChemStation のオペレータが ランの再積分やリキャリブレーションを実行することもできます。バッチレ ビューを使うと、ランリストを 1 つのウィンドウの中でレビューすることもで きます。バッチレビュー画面では、ユーザーは、ランを 1 ステップずつ実行し ながら、自動もしくは対話形式で、新たな結果を計算することができます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 39 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 図 13 ChemStation のバッチレビューインターフェイス バッチレビューにおけるバージョン化 ChemStation Plus 標準のバッチレビュー操作と比較した際の、バッチレ ビューの変更点の詳細については、58 ページの「バッチモードへの変更」を 参照してください。ここでは、バッチレビューから Chemstore C/S データベー スへのデータ転送に的を絞って説明します。 バッチレビューには、マニュアル積分イベントにも対応した、完全自動データ バージョン化が組み込まれています。バッチレビューでは、クロマトグラムに 適用されたマニュアルイベントが、そのクロマトグラムと一緒に保存されま す。 予備的な結果が保存されることを避けるため、結果の生成は、クロマトグラフ データファイルのグラフィカルな再加工と結果の計算とに、分けられていま す。ピークテーブルは、クロマトグラムやデータファイルのグラフィカルな再 加工 (たとえば、手動によるベースラインの描画など)の際には、対話形式の データ解析時とは異なり、新しい結果をすぐには表示しません。ピークテーブ ルは、計算が実際に行われるまでロックされています。ピークテーブルには小 40 ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー ChemStation からのデータ転送 3 さな [info (情報)] ボタンがあり、これをクリックすると、ChemStation plus Security Pack のバッチレビューの異なるバッチレビュー動作モードについて の説明が表示されます。 結果の計算は、別の手順となっているため、グラフィカルなデータレビューで は結果は生成されません。 図 14 バッチレビューにおけるピークテーブルのロック ユーザーが [calculate (計算)] ボタン を押して結果の計算を行うと、ただち に新しい結果が計算され、保存された最後の結果と比較されます。結果に何ら かの差異がある場合には、そのデータはデータベースに転送され、新しい結果 バージョンが作成されます。 通常、マニュアル積分イベントは、メソッドと一緒に保存されません。このよ うな変更を他の変更と一緒にトラッキングするために、ChemStation plus Security Pack では、マニュアル積分イベントを含むあらゆる変更をテキスト ファイルに書き込みます。このテキストファイルは、生データと一緒に ChemStation の *.d サブディレクトリに保存されます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 41 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 また、マニュアル積分イベントは、ChemStore ラン監査証跡にも転送されま す。このマニュアル積分イベントは、ChemStore 監査証跡の [manual integration details (マニュアル積分の詳細)] ボタンを使ってレビューすること ができます。この情報は、監査などにおいて、マニュアルイベントを後で作成 し直す際に、再利用することができます。 図 15 42 ChemStore 監査証跡におけるマニュアル積分イベントのレビュー ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー ChemStation からのデータ転送 3 さらに、最後に行われた変更の理由を記録するために、コメントを入力するよ う求められます。このコメントは、変更イベントを正しく識別するために、テ キストファイルに対するポインタと一緒に、ChemStore 監査証跡のコメント フィールドに記録されます。 図 16 バッチレビューにおけるマニュアル再積分後の結果に対するコメン ト ChemStation Security Pack ユーザーガイド 43 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 ChemStation から ChemStore C/S データベースへのデータ転 送の概要 結果と一緒に保存するように選択されたデータ (クロマトグラム、スペクトル または生データ、メソッド、およびクライアント / サーバーバージョンのシー ケンスファイル)は、分析結果と一緒に転送されます。 スタディの設定で当該設定を行っている場合は、データベースに問題なく転送 された生データは、ローカル PC から削除されます。 このローカルでの削除プロセスは、ChemStore C/S ODBC スプーラという別ア プリケーションによって制御されます。 図 17 ODBC スプーラ (ユーザーインターフェイス) このスプーラアプリケーションは、サーバーへの転送を処理し、データがすべ て積分され、データベースのテーブルに保存されたことを確認します。このよ うに、データがサーバーのデータベースに完全に転送されたことを確認するこ とは、生データのローカルドライブからの削除処理を可能にするためには不可 欠です。このデータ転送全体が、シーケンスログブック、および ChemStore C/S 監査証跡に記録されます。 このスプーラは、ChemStation から ChemStation Plus データベースへのデー タ転送の制御やセキュリティの確保も行っています。転送中に障害やネット ワークトラブルが発生した場合には、スプーラは、一定の制限時間の後に、転 送を一時停止、あるいは中止します。スプーラが一時停止もしくは停止した際 には、エラーを表示し解決した上で、データ転送を再開することができます。 44 ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー ChemStation からのデータ転送 3 Windows の「Power Users」もしくは「Administrators」ユーザーグループの メンバーは、このような、システムユーザーの持つレビューや再開の機能に加 えて、スプーラジョブの削除を行うことができます。スプーラのジョブが削除 されると、Windows OS のセキュリティログにエントリが追加されます。 注 スプーラジョブを削除するためのスプーラへのアクセスは、Windows OS の 「Power Users」および「Administrator」グループのメンバーに限定されていま す。 図 18 ODBC スプーラ (管理者インターフェイス) このようなデータ転送処理により、データの損失の防止や転送ステップの記録 を実現しつつ、あらゆるデータを集中的に管理することが可能になります。 データをさらに処理するには、ChemStore C/S を使って情報を MS Excel にエ クスポートするか、レポートを *.html、*.xml または *.csv 形式のファイルに出 力します。ファイルにエクスポートされたデータは、元のデータとの一致を保 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 45 3 ミニツアー ChemStation からのデータ転送 証するため、チェックサムで保護されます。また、データを Windows のク リップボードにエクスポートして、他の Windows アプリケーションで利用す ることもできます。 46 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 3 ミニツアー ChemStation のバッチレビューにおける生データとメタデータの取得 ChemStation のバッチレビューにおける生データとメタ データの取得 ChemStation において、データ保存アプリケーションの役を果たすのが、 ChemStore C/S のデータベースです。ChemStore C/S ODBC スプーラは、デ フォルトのスタディ設定に従って、全データを中央のデータベースに転送して から、その新しいデータをデフォルトの hpchem データディレクトリから削 除します。 ランを ChemStation で再解析するためには、データベースレビュークライア ント からローカルハードディスクドライブにデータを再転送する必要がありま す。再転送された生データファイルは、転送終了後に、クライアントコン ピュータから削除されます。結果管理からデータ転送に至るプロセスは、4 つ の手順から成っています。最初の手順は、データベースに対してクエリーを実 行することです。 クエリーというのは、データベースを構成する多数のランから、特定の条件に 一致するランのセットを取得するためのリクエストのことです。 ChemStation を起動して、[View (表示)] > [Database Review Client (データ ベースレビュークライアント)] を選択します。 ChemStore C/S のデータベースクライアントから を選択し、クエリー を実行します。クエリーによって、データのレビューや承認を行うための、結 果とデータ情報が取得されます。生データやメタデータの再解析や再処理を行 う必要がある場合には、このデータを、ChemStation のデータ解析ビューに再 転送する必要があります。 ChemStore C/S から ChemStation へのデータ転送には、2 つの方法がありま す。 1 ChemStore C/S から ChemStation のバッチレビューへのデータの転送 (デ フォルトで推奨の転送方法)については、62 ページの「ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送」を参照してください。 2 ChemStore C/S のラン情報インターフェイスから ChemStation へのデータ 転送については、68 ページの「ChemStore のラン情報インターフェイスか ら ChemStation へのデータ転送」を参照してください。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 47 3 ミニツアー 監査証跡 監査証跡 監査証跡では、各サンプルに関連する作業のすべてが記録されます。監査証跡 は、データ取込から始まり、再解析、さらに長期のアーカイブに至るまで、ラ ンに対するあらゆる変更をトラッキングします。 各サンプルは、サンプルデータとは別に、監査証跡を保持しています。監査証 跡のアーカイブは、ランとは別に行われるので、監査証跡には、アーカイブお よびデアーカイブ操作も追加することができます。ランと監査証跡との間のリ ンクは、アーカイブ後も維持されます。 監査証跡は、任意のランについて表示することができます。表示された監査証 跡には、そのランのステータスやカスタムフィールド値の変化に関する情報を 示す、テーブルが含まれています。マニュアル再積分イベントに対しては、 [Man. Integ. Details (マニュアル積分の詳細)] ボタンを使うと、再積分の詳細 を確認することができます。クエリーが「全バージョン」に対して実行された 場合には、このボタンをクリックすると、追加のウィンドウが開いて、選択し たランバージョンの全マニュアル積分の詳細が表示されます。 図 19 48 監査証跡 ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー 監査証跡 3 監査証跡には、変更時間と処理時間がローカル時間 (GMT との差を使って計 算され記録される)で保存され、変更がいつ発生したかがわかるようになって います。この処理時間には、アプリケーションからデータベースへのデータ転 送時間が記録され、変更時間には、監査証跡の原因となる作業が実行された時 間が記録されます。 この 2 つのタイムスタンプは、さらに、データ変更とデータ転送の間のずれを 明らかにし、各ランバージョンのレビュー作業を示します。 監査証跡の情報は、テーブルから直接印刷したり、個々の情報をランセットの レポートとしてまとめたりすることができます。アプリケーションの管理レベ ルの問題などのように、ランに関連付けられた監査証跡では対応できない問題 もあります。 データベースやアプリケーションのセキュリティに影響を与える相互作用は、 すべて、データベースログブックによってトラッキングされ、記録されていま す。また、不正なパスワード使用の繰り返しによってアカウントがロックされ た場合には、電子メールで通知を行うように、ChemStore を設定することも可 能です。電子メール通知用のサーバーの設定方法の詳細は、 『ChemStore コン セプトガイド』の「電子メール通知」の章を参照してください。 ログブックのエントリは、1 つのテーブルとして表示することができます。 図 20 データベースログブック ChemStation Security Pack ユーザーガイド 49 3 ミニツアー 監査証跡 このデータベースログブックと、現在の承認されたユーザーとそのアクセス許 可のリストを使えば、このレコードが保持されている期間の範囲で、本アプリ ケーションのセキュリティ状態をチェックすることができます。 これにより、監査の際には、データの現在のセキュリティ状態、および管理権 限を持つユーザーがシステムにログオンしていたときの一時的な危険期間を、 確認することが可能になります。このような危険な期間の例としては、データ のアーカイブや削除などの、注意の必要な作業に対するアクセス権を持つユー ザーが、システムにログオンしていた期間などがあります。レビューの際に、 上記のような危険な期間を除いて、アプリケーション全体のセキュリティが維 持されていたことを証明するには、次の手順に従います。 ・ Chemstore C/S のユーザー管理画面に現在のアクセス許可権限の一覧を表示 する。 ・ データベースログブックセッションの中から [Reason for entry (入力の理由) ] が [Permission right changed (許可権限変更)] のものを探す。 このような、現在の状態の記録と過去の変更の確認の組み合わせによって、 データベースの存続期間全体における全ユーザーの権限と変更が明らかにする ことができます。 データ取込の記録は、装置やシーケンスのログブックとラン固有のランログ ブックの両方に保存されます。 図 21 50 装置およびシーケンスのログブック ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー データの自動バージョン化 3 データの自動バージョン化 日常業務において、解析結果のコピーが複数必要になることがよくあります。 FDA の規則では、あらゆる再解析データをバージョン化して、元の生データや 結果と一緒に保存することを要求しています。これを実現するためには、ま ず、データベース中の初回ランのバージョンを一意に設定する必要がありま す。この初回ランバージョンを定義するために、Security Pack では、注入時 刻 (コンピュータ OS のローカルタイムゾーン設定を使ったローカル時間で表 されたもの)と一意の注入 ID との組み合わせを使います。この定義が済むと、 この初回ランの再処理コピーや再解析バージョンのすべてが互いにリンクさ れ、初回ランから最終結果にいたるまでの完全な履歴が、中間手順や結果も含 めて、利用できるようになります。このバージョン化は、ユーザーの操作とは 無関係にコンピュータによって生成され、監査証跡に記録されます。 完全なバージョン化を保証するためには、以下も必要になります。 ・ 新しい結果を識別する。 ・ 新しい結果が作成されるたびに、そのデータを自動的にデータベースに送信 する。 これらを実現するために、ChemStation では、数値結果を sec_Save.reg という レジストリファイルに保存しています。このレジストリファイルは、データと 一緒に保存されます。新しい結果のバージョンには、それぞれ、異なるレジス トリファイルがあります。システムは、新しい結果のバージョンを作成する前 に、現在の結果とこのレジストリファイルに保存されたデータを比較します。 この比較結果が異なっていた場合には、新しい結果のバージョンは、ただちに データベースに保存されます。完全なトレーサビリティを保証するために、こ の結果のバージョン間の違いは、sec_Trac.txt というテキストファイルに書き 込まれ、生データの *.d サブディレクトリに保存されます。このデータベース の記憶域管理では、結果の異なっている値だけを保存することにより、ファイ ルサイズを最小限に抑えています。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 51 3 ミニツアー データの自動バージョン化 図 22 生データのサブディレクトリ中の、完全な監査証跡のための新ファ イル バージョン化の文書化 これに加えて、FDA の規制では、変更者と、再処理のタイムスタンプを記録す ることを求めています。これらの情報は、データベースの新しいエントリと一 緒に自動的に転送されます。変更者の ID は、ログインから取得され、その個 人の表示名と一緒に記録されます。タイムスタンプは、PC (スタンドアロン バージョンの場合)、またはサーバー (クライアント / サーバーバージョンの 場合)の時間設定から自動的に生成されます。 ChemStore C/S データベースにおける結果バージョンの取得 ChemStore C/S データベースでデータ取得用のクエリーを設定する際には、ラ ンの全バージョンを取得するか、または最新バージョンだけを取得するかを選 択することができます。全バージョンのランを表示している場合には、[Run List (ランリスト)] の [Audit (監査)] 列には、各ランのバージョン番号が表 示されます。「1」は最も古いバージョン、「2 」はその次に古いバージョン、 「+」の付いたランは最新バージョンです。最新バージョンのランだけが表示さ れている場合、[Run List (ランリスト)] の [Audit (監査)] の列の「*」は、 そのランのバージョンがデータベース中に複数存在することを表します。 52 ChemStation Security Pack ユーザーガイド ミニツアー データの自動バージョン化 図 23 3 バージョンの取得 セキュリティパック では、アーカイブされていないデータの削除を認めていま せん。データを削除するには、まず、データのアーカイブおよび削除の権限を 取得する必要があります。スタンドアローンシステムの場合、ユーザーは、 *.mdb ファイル全体をコピー、アーカイブし、ChemStore ユーティリティに よって新しい *.mdb コピーを作成することにより、データのアーカイブと削除 を行うことができます。 スタンドアロンの MS Access データベースの管理については、『ChemStore C/S コンセプトガイド』の「スタンドアロンバージョンのバックアップ」を参 照してください。 データは、クライアント / サーバー型 Oracle ベースの ChemStore C/S 製品で のみ削除できます。データは、データベースから削除する前にアーカイブして おく必要があります。 このデータ転送は、データベースログブックと監査証跡に記録されます。デー タベースログブックには、転送の開始が、監査証跡には、転送の完了が、処理 時刻のタイムスタンプとともに記録されます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 53 3 54 ミニツアー データの自動バージョン化 ChemStation Security Pack ユーザーガイド Agilent AD、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD 用 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 4 アクセスレベルおよびバッチレ ビューインターフェイスの変更 ChemStation のオペレータレベルに対する変更 バッチモードへの変更 58 Agilent Technologies 56 55 4 アクセスレベルおよびバッチレビューインターフェイスの変更 ChemStation のオペレータレベルに対する変更 ChemStation のオペレータレベルに対する変更 ChemStation Plus Security Pack では、オペレータのデータに対するアクセス を制限し、変更をトラッキングするために、ChemStation のオペレータモード のデータレビュー特権を大幅に変更しています。スタンドアロンモードの ChemStation では、対話形式の再解析作業をトレースすることができないの で、オペレータがこのような作業を行うことはできません。ChemStation Plus Security Pack では、データ解析作業が以下のように変更されます。 ・ ランに対するあらゆる変更をランと一緒に保存する。 ・ メソッドの全バージョンを現在の設定と一緒にデータベースに保存する。 注 これらの機能にアクセスするには、データ解析ビューのバッチモードを使用す る必要があります。 バッチモードでは、ChemStation のオペレータはマニュアル積分イベントを適 用することができます。オペレータは、積分ユーザーインターフェイスを開い て、メソッドのグローバル積分設定を変更することもできます。 表 2 に示すのは、ChemStation オペレータレベルに対する変更を、 ChemStation 標準のオペレータのユーザーの権限と比較したものです。 表2 56 ChemStation のオペレータレベルに対する変更 ユーザータスク ChemStation Security Pack のオペレータ 標準 ChemStation のオペ レータ 取込メソッドの保存 不可 不可 データ解析メソッドの保存 可 不可 シーケンスの読み込み / 保 存 可 可 取込パラメータの変更 可 可 自動再積分 可 不可 マニュアル再積分 バッチレビューでのみ可 不可 ChemStation Security Pack ユーザーガイド アクセスレベルおよびバッチレビューインターフェイスの変更 ChemStation のオペレータレベルに対する変更 表2 4 ChemStation のオペレータレベルに対する変更 ( 続き ) ユーザータスク ChemStation Security Pack のオペレータ 標準 ChemStation のオペ レータ 積分イベントの変更 バッチレビューでのみ可 不可 概要のリキャリブレーショ ンとピーク合計 可 不可 他のリキャリブレーション 不可 不可 メソッドのデータへの適用 とレポートの印刷 可 可 ユーザーに依存しない結果 の自動バージョン化 可 該当せず 結果のマニュアルバージョ ン化を伴うタスクへのアク セス 不可 不可 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 57 4 アクセスレベルおよびバッチレビューインターフェイスの変更 バッチモードへの変更 バッチモードへの変更 標準 ChemStation でクロマトグラムを再積分する際には、クロマトグラムに ベースライン、リテンションタイム、および化合物名が表示されると同時に、 ピーク結果テーブルが更新されます。ChemStation Plus Security Pack の動作 は、これとは異なります。 ChemStation Plus Security Pack では、再解析作業が二段階に分かれています。 第一段階では、ランのセットを視覚的にレビューしたり (ステップスルーラ ン)、新しい結果を生成せずにラン中の各化合物に対するマニュアル積分イベ ントを処理したりすることができます。 第二段階は、データの自動バージョン化を含む結果の計算です。結果の計算を 初期化するには、 ボタンを使うか、ランを一つずつクリックするか、ラン リスト全体を順に自動実行します。 ボタンは、マニュアル積分イベントツールバーに追加されます。新たに計 算された結果は、sec_save.reg ファイルに保存された最後の結果と比較され、 違いがあれば、データがデータベースに転送されます。この仕組みによって、 変更のたびにデータを転送することなく、複数のピークに対するベースライン を構築することができます。 バッチ処理では、新たなベースラインはシグナルと一緒に保存されるので、 ベースラインはシグナルに対して固有になります。一方、対話形式のデータ解 析では、新たなベースラインはメソッドと一緒に保存されます。シグナルは生 データファイルに追加されるので、シグナルが生データファイルの一部として ChemStore C/S に保存される可能性があります。対話形式のデータ解析でマ ニュアル積分を行った場合、マニュアル積分イベントは拡張メソッドファイル に保存されます。 ChemStation plus のセキュリティモードでは、すべての変更がクロマトグラム と一緒に自動的に保存されます。新しい結果を計算する前にマニュアル積分イ ベントを破棄したい場合、積分メニューから積分コマンドを実行することによ り、「最後に保存した設定」を再度適用する必要があります。 定義済みコメントの 1 つをチェックマークで選択するか、個別のコメントをテ キストフィールドに入力し有効なコメントを指定すると、結果がデータベース に転送されます。定義済みコメントにチェックマークを付けない場合は、5 文 字以上のコメントを入力する必要があります。 58 ChemStation Security Pack ユーザーガイド アクセスレベルおよびバッチレビューインターフェイスの変更 バッチモードへの変更 4 バッチがディスクから読み込まれた場合、すべてのランの計算と転送は、バッ チ処理モードを終了したときに行われます。選択したランのレポートを印刷す るか、積分結果を作成する場合には、データが即座に転送されます。 バッチレビューで使用されるデータファイルとメソッドは、オペレータがこれ らのファイルの不正なコピーを作成できないよう、書き込み専用ディレクトリ に読み込まれます。このディレクトリは、ChemStation の "data" ディレクトリ の下に Chemstor という名前で格納されます。このディレクトリは、C:\ hpchem\1\data\Chemstor のようになります。 生データを削除するように設定した場合、ユーザーがバッチ処理モードを離れ るか、新しいバッチを読み込むと、すぐにファイルが削除されます。 セキュリティ上の理由から、バッチモードがアクティブの間は、シグナルを読 み込むことはできません。このため、[File (ファイル)] メニューの [Load Signal (シグナルの読み込み)] オプションは無効になります。ただし、 ChemStation ソフトウェアでは、読み込まれたバッチの中から選択した複数の ランのクロマトグラムを、重ね書きすることができます。標準的なレポートは 複数のランにまたがって生成できないので、再積分と結果生成は不可能です。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 59 4 60 アクセスレベルおよびバッチレビューインターフェイスの変更 バッチモードへの変更 ChemStation Security Pack ユーザーガイド Agilent AD、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD 用 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 5 データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転 送 62 ChemStore のラン情報インターフェイスから ChemStation への データ転送 68 積分 72 リキャリブレーション 76 Agilent Technologies 61 5 データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ 転送 ChemStation Plus Security Pack のデフォルトの設定では、生データは、デー タベースへの転送後に、ローカル PC から削除されます。このデータの再解析 を行うには、生データを ChemStation のローカル PC に再転送する必要があり ます。データベースから再転送されたデータは、ChemStation のバッチレ ビューに送られます。バッチレビューは、データ解析モードの 1 つで、この モードを使うと、サンプルのバッチのファーストパスレビューを素早く簡単に 行うことができます。バッチレビューでは、クロマトグラムを手作業で変更し て、後で利用できるように、その変更を保存することもできます。また、バッ チの結果のレポートを印刷することも可能です。 注 再解析用のランの設定を行うには、対応する ChemStore C/S のユーザー権限が 必要です。 ChemStore C/S から ChemStation へのデータ転送は、二段階の処理によって 実現されます。まず ChemStore C/S でバッチを設定し、次に ChemStation に バッチを読み込みます。 注 データベースからローカルハードディスクへのデータ転送の際に、アプリケー ションは、チェックサムの再計算を行います。ハッシュ値が同一であるかどう かをチェックします。不一致はすべてエラーとして扱われ、 「hash values are different」(ハッシュ値が異なります)というメッセージが表示されます。 バッチの設定 ChemStation への転送用データのレビューやマーク付けは、任意のサンプルレ イアウト、または、化合物グラフィックレイアウトで行うことができます。 バッチ転送の詳細については、『Agilent ChemStore C/S コンセプトガイド』を 参照してください。 62 ChemStation Security Pack ユーザーガイド データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送 5 1 ChemStore C/S レビュークライアントで、[Run List (ランリスト)] (サン プルレイアウトの場合)、または [Summary Results Table (サマリ結果テーブ ル)] (化合物グラフィックレイアウトの場合)からランを選択します。 2 テーブルの下部の [Batch (バッチ)] ボックスをチェックします。ランの マーク付けは、[Review (レビュー)] > [Mark Run For (ランにマーク)]> [Batch Processing (バッチ処理)] を選択するか、あるいは、ランリストの ポップアップメニュー (マウスの右ボタン)から [Batch Processing (バッ チ処理)] を選択することによっても可能です。すべてのランをバッチ処理 対象としてマークするには、[Review (レビュー)]> Mark Run For (ランに マーク)]> [All For Batch Processing (すべてをバッチ処理)] を選択するか、 あるいは、ランリストのポップアップメニュー (マウスの右ボタン)から [All For Batch Processing (すべてをバッチ処理)] を選択します。すべての ランからバッチ処理マークを除去するには、[Review (レビュー)]> [Mark Run For (ランにマーク)] > [None For Batch Processing (すべてをバッチ処 理から除外 ] を選択するか、あるいは、ランリストのポップアップメニュー から [None For Batch Processing (すべてをバッチ処理から除外)] を選択し ます。 3 ランのマーク付けが済んだら、 を選択するか、[ReviewReview (レ ビュー)]>[Create Batch (バッチの作成)] を選択します。[Create new batch (新規バッチの作成)] ダイアログボックスが表示されます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 63 5 データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送 図 24 新規バッチの作成ダイアログボックス 4 左パネルで、バッチに含めたいランの名前を選択し、右向きの矢印を選択し ます。バッチからランを削除するには、右パネルでそのランの名前を選択 し、左向きの矢印を選択します。 5 [Used method (使用メソッド)] グループで [Method (メソッド)] オプショ ンを選択し、リストからバッチと一緒に保存するメソッドを選択します。メ ソッドを保存しないように指定するには、[Used method (使用メソッド)] グループで [None] オプションを選択します。この場合、ChemStation のオ ペレータは、処理用のメソッドを適切に選択する必要があります。 6 バッチ保留中の通知を、ChemStore の全ユーザーが受け取るようにするに は、[All users] オプションを選択します。バッチ保留中の通知を、特定の 64 ChemStation Security Pack ユーザーガイド データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送 5 ユーザーだけが受け取るようにするには、[User] オプションを選択して、下 向き矢印をクリックし、リストから該当ユーザーの名前を選択します。 7 [Comment (コメント)] フィールドに、バッチに関する追加情報を入力しま す。ボタンを選択し、ChemStation からバッチをアクセスできるようにしま す。 バッチの読み込み ChemStore C/S で作成したバッチは、再解析や他の処理のために ChemStation に読み込むことができます。 ChemStore C/S からのバッチの読み込み 1 [Batch (バッチ)]> [Load Batch (バッチの読み込み)]> [ChemStore] を選択 します。[Load Batch from ChemStore database (ChemStore データベースから のバッチの読み込み)] ダイアログボックスが表示されるので、その中の行 の左側のカーソルが黒い矢印に変わる場所をクリックすれば、ChemStore から登録された任意のバッチを選択することができます。 図 25 バッチの読み込みダイアログボックス 2 [Load Batch (バッチの読み込み)] ボタンを選択し、ChemStore C/S から ChemStation のバッチレビューへのランの読み込みを開始します。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 65 5 データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送 [Files for batch missing (バッチ用のファイルがありません)] ダイアログ ボックスが開いて、元の場所で検出できなかったファイルの一覧が表示され た場合には、それらのファイルを元の場所にコピーまたは移動してから [Continue (続行)] を選択して、バッチ全体を読み込むか、何もせずに [Continue (続行)] を選択して、元の場所で検出されたファイルだけを読み 込むか、あるいは、[Abort (中断)] を選択して、ファイルの読み込みを完 全に中断します。 ディスクからのバッチの読み込み ChemStore のスタディ設定で (ファーストパスレビュー終わるまで生データ をローカルハードディスクに保存するため)[delete raw data after transfer (転送 後に生データを削除)] ボタンを無効にしてある場合には、バッチをローカル ハードディスクから読み込むこともできます。 注 66 ChemStore スタディの [delete raw data after transfer (転送後に生データを削除) ] 機能は、有効にしておくことをお勧めします。有効になっていないと、同一 の解析データが 2 箇所に保存されることになり、データ管理やデータインテグ リティの維持が困難になります。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド データの再解析 ChemStore から ChemStation のバッチレビューへのデータ転送 5 1 [Batch (バッチ)]> [Load Batch (バッチの読み込み)] > [Disc (ディスク) ] を選択します。[Load Batch (バッチの読み込み)] ダイアログボックスが 表示されます。 図 26 ディスクからのバッチの読み込みダイアログボックス 2 [File name (ファイル名)] リストボックスで、読み込むバッチの名前をク リックして選択します。 3 [OK] をクリックします。 注 解析済みの生データファイルは、バッチウィンドウが閉じた後、すべてローカ ルディスクから削除されます。データベースに転送されたデータを再処理する には、これらのデータを ChemStore C/S から ChemStation に送信する必要があり ます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 67 5 データの再解析 ChemStore のラン情報インターフェイスから ChemStation へのデータ転送 ChemStore のラン情報インターフェイスから ChemStation へのデータ転送 [Run information (ラン情報)] ダイアログボックスでは、ランまたは完全な シーケンスと一緒に保存された任意のファイルを選択して、対話形式で再読み 込みを行うことができます。 ランの再読み込み 1 [Run list (ランリスト)] からランを選択します。 2 を選択します。[Run information (ラン情報)] ダイアログボックスが表 示されます。 図 27 68 ラン情報ダイアログボックス ChemStation Security Pack ユーザーガイド データの再解析 ChemStore のラン情報インターフェイスから ChemStation へのデータ転送 5 3 [Reload raw data (生データの再読み込み)] ボタンをクリックします。ダイ アログボックスが表示されます。 図 28 生データファイルの再読み込みダイアログボックス 4 パスを入力します。 5 [OK] をクリックします。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 69 5 データの再解析 ChemStore のラン情報インターフェイスから ChemStation へのデータ転送 シーケンスの再読み込み 1 全バージョンに対しクエリーを実行し、[Run List (ランリスト)] から 「バージョン 1」のランを選択します。 を選択します。[Run information (ラン情報)] ダイアログボックスが 2 表示されます。 3 [Reload all files... (全ファイルの再読み込み)] ボタンを選択します。出力パ スに同一のシーケンスファイルが存在する場合には、既存のシーケンスを上 書きするかどうかを選択することができます。シーケンスパラメータが同じ になるよう、既存のシーケンスを上書きすることをお勧めします。 図 29 データディレクトリダイアログボックス 4 再読み込み機能では既存のデータを上書きすることができないので、生デー タの出力パスには、ファイルがないようにしておいてください。Ctrl+C およ び Ctrl+V のショートカットキーを使うと、元のパス全体をコピーすること ができます。 5 [OK] をクリックします。 70 ChemStation Security Pack ユーザーガイド データの再解析 ChemStore のラン情報インターフェイスから ChemStation へのデータ転送 5 6 [Overwrite existing method files (既存のメソッドファイルを上書きする)] [OK] をクリックします。 図 30 既存メソッドファイルの上書きダイアログボックス 7 タスクが完了すると、[Summary (サマリ)] が表示されます。 図 31 サマリ ChemStation Security Pack ユーザーガイド 71 5 データの再解析 積分 積分 このセクションでは、バッチレビューを使った積分について説明します。 ChemStation の対話形式のデータ解析ビューを使った積分については、 『ChemStation の理解』マニュアルを参照してください。 シグナルの自動積分 1 [Batch (バッチ)] > [Load Batch (バッチの読み込み)]> [ChemStore] を選 択します。[Load Batch from database (ChemStore データベースからのバッチ の読み込み)] ダイアログボックスが表示されます。 図 32 バッチの読み込みダイアログボックス 2 [Load Batch... (バッチの読み込み)] ボタンを選択します。コメントに注意 してください。 3 バッチレビュータスクが開始され、ランにメソッドが適用されます。メソッ ドは通常、バッチと一緒に ChemStore C/S データベースから転送されます。 メソッドなしで登録されたバッチに対しては、ローカルメソッドの読み込み を求められます。 72 ChemStation Security Pack ユーザーガイド データの再解析 積分 5 4 マニュアル積分イベント をクリックするか、 を選択します。 5 [Integration (積分)]> [Integration Events (積分イベント)]、または を選択します。 図 33 積分イベント 6 インテグレータが使用する積分イベントを入力します。 7 入力したイベントを、 をクリックします。バッチが終了するか、オペ レータが自動レビューを停止するまで、ランが 1 つずつ選択され、ファイル が次々に再積分されます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 73 5 データの再解析 積分 シグナルのマニュアル積分 1 [Batch (バッチ)] > [Load Batch (バッチの読み込み)]> [ChemStore] を選 択します。 2 読み込むバッチを選択します。 3 [Integrate (積分)] を選択し、現在のメソッドの積分イベントテーブルに指 定された初期値を使ってシグナルを積分します。 4 メニューから [Integration (積分)] を選択して、マニュアル積分作業を指定 します。以下で説明する機能は、[Status (ステータス)] ツールバーからア クセスすることもできます。 a [Draw Baseline (ピークのベースラインを描く)] を選択してベースライ ンを指定します。 ベースラインの一方の端でマウスボタンをクリックし、ボタンを押した ままにします。その後、もう一方の端までマウスをドラッグし、ボタン を放します。 b [Negative Peak(s)(ネガティブピーク)] を選択して負のピークのベース ラインを指定します。 ベースラインの一方の端でマウスボタンをクリックし、ボタンを押した ままにします。その後、もう一方の端までマウスをドラッグし、ボタン を放します。 c [Tangent Skim (タンジェントスキム)] を選択して、接線を指定します。 接線の一方の端でマウスボタンをクリックし、ボタンを押したままにし ます。その後、もう一方の端までマウスをドラッグし、ボタンを放しま す。 d [Split Peaks (スプリットピーク)] を選択して、ドロップラインを指定し ます。 X 軸上のドロップラインを設定する場所をポイントし、マウスボタンを クリックしてシグナルを積分します e [Delete Peak(s) (ピークの削除)] を選択して、削除したいピークの周り にボックスを描きます。 ボックスのいずれかの隅でマウスボタンをクリックし、ボタンを押した ままにします。その後、対角線上の隅までマウスをドラッグし、ボタン を放します。 5 ベースラインの位置に問題がなければ、次のランに移るか、または、積分結 果を表示します。どちらを選んでも、新たな結果はデータベース転送のため 74 ChemStation Security Pack ユーザーガイド データの再解析 積分 5 にスプールされます。ベースラインの位置に問題がある場合には、シグナル の積分をやり直します。新しい結果を表示しない限り、ランバージョンがス プールされることはありません。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 75 5 データの再解析 リキャリブレーション リキャリブレーション ブラケット計算モードを使ったリキャリブレーションの場合、復元したシーケ ンスを、データ解析専用シーケンスとして再実行する必要があります。また、 すべてのブラケットが個別のバッチとして設定されていれば、バッチモードで リキャリブレーションを行うこともできます。キャリブレーションにブラケッ トモードを使いたくない場合、バッチレビューを介してリキャリブレーション を行うことができます。 バッチレビューでは、キャリブレーションラン結果すべての平均を使うか、個 別ランベースの変更を使ってリキャリブレーションを行うことができます。 1 ChemStation にバッチを読み込みます。 2 キャリブレーションテーブルを更新したい場合には、ChemStation 標準の キャリブレーションツールを使います。 3 ランやキャリブレーションテーブルの変更が済んだら、 ます。 をクリックし これにより、バッチの中のキャリブレーションサンプルを使って、キャリブ レーションテーブルが更新されます。 4 更新されたキャリブレーションテーブルを使ってデータを再解析し、新たな 結果を取得するには、 を使って自動ステップスルーランを開始しま す。 化合物の結果を囲っている角括弧[]は、その結果が、現在のキャリブレー ションによって生成されていないことを示します。この括弧は、現在のキャ リブレーションを使って新たな結果が生成されたときに、自動的に消去され ます。 76 ChemStation Security Pack ユーザーガイド Agilent AD、GC、LC、CE、LC-MSD、CE-MSD 用 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 6 管理タスクとリファレンス はじめに 80 ChemStore C/S アクセス許可が必要なタスク OS 管理者のタスク 85 Agilent Technologies 81 79 6 管理タスクとリファレンス はじめに はじめに ChemStore C/S システムのデータインテグリティに影響を与える可能性のある 操作をトラッキングするため、一部の操作は、Windows の「Power users」や 「Administrators 実行できないようになっています。データ取込やデータレ ビューのようなクロマトグラフに対するタスクへのアクセス許可は、 ChemStore C/S 内で管理されています。ChemStation Plus システムを使用す るユーザーは、すべて、ローカル Windows の「users」ユーザーグループのメ ンバーであるか、または、 表3 管理タスク 管理タスク NT グループ ChemStore C/S のア クセス許可 ChemStation マ ネージャアクセスレ ベル 装置の稼動 不要 不要 不要 データの再解析 不要 不要 不要 ChemStation シーケンス (スタディ、 カスタムフィールド値、サンプルなど の)の変更 不要 不要 不要 ChemStation のメソッドの変更 不要 不要 必要 データベーススプーラの再開 不要 不要 不要 スプーラのジョブの削除 必要 不要 不要 新しい ChemStore C/S ユーザーの作成 不要 ユーザーの管理 不要 ユーザーへのユーザー設定割り当て 不要 ユーザー設定の管理 不要 データベース接続の選択 必要 不要 不要 データのアーカイブ (MS Access DB) 必要 不要 不要 データのアーカイブ (Oracle DB) 不要 ランのアーカイブ / デ アーカイブ 不要 80 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 6 管理タスクとリファレンス はじめに 表3 管理タスク ( 続き ) 管理タスク NT グループ ChemStore C/S のア クセス許可 ChemStation マ ネージャアクセスレ ベル 新しいデータベースの作成 (MS Access のみ) 必要 不要 不要 テンプレートからの新しいデータベー ス作成 (MS Access のみ) 必要 データベースの作成 不要 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 81 6 管理タスクとリファレンス ChemStore C/S アクセス許可が必要なタスク ChemStore C/S アクセス許可が必要なタスク ChemStore C/S ユーザー管理における ユーザーの管理 へのアクセス許可は、 Security Pack でユーザーの権利や役割を管理する際の重要な権限です。この 権限により、特定のアクセス許可を持つ新しいユーザーの作成、既存ユーザー のアクセス許可の変更やパスワードのリセットなどが可能となります。 新しいユーザーの作成 1 [Administration / Administer Users...(管理/ユーザーの管理)] を選択しま す。 2 [Administer Users (ユーザーの管理)] ダイアログボックスが表示されます。 82 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 管理タスクとリファレンス ChemStore C/S アクセス許可が必要なタスク 図 34 注 6 ユーザーの管理ダイアログボックス メソッドバリデーション許可は、Method Validation Pack のアドオンをインス トールしている場合にのみ利用することができます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 83 6 管理タスクとリファレンス ChemStore C/S アクセス許可が必要なタスク 3 [Create new user (新規ユーザーの作成)] ボタンを選択します。[Create user (ユーザーの作成)] ダイアログボックスが表示されます。 図 35 ユーザーの作成ダイアログボックス 4 [Login name (ログイン名)] と [Display name (表示名)] を入力します。 5 [OK] をクリックします。 6 ユーザーのアクセス許可を、[Individual permissions (アクセス許可一覧)] パネルから選択し、右向き矢印を使って [Permissions granted (許可権限)] パネルに転送するか、[Individual permissions (アクセス許可一覧)] パネル の下にあるボタンを使って、標準的なアクセス許可のセットを追加します。 7 [ChemStation Operator (ChemStation オペレータ)]、または [ChemStation Manager (ChemStation マネージャ)] を選んでユーザーに 設定します。 8 [OK] をクリックします。 84 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 6 管理タスクとリファレンス ChemStore C/S アクセス許可が必要なタスク 既存ユーザープロファイルの変更 1 [Administration (管理)] > [Administer Users (ユーザーの管理)] を選択し ます。[Administer Users (ユーザーの管理)] ダイアログボックスが表示さ れます。 2 [User (ユーザー)] のリストから、変更するユーザーを選択します。 3 アクセス許可を追加または削除します。 • 許可を追加するには、[Individual permissions (アクセス許可一覧)] パネ ルから選択し、右向き矢印を使って [Permissions granted (許可権限)] パ ネルに転送します。 • アクセス許可を削除するには、[Permissions granted (許可権限)] パネル から選択し、左向き矢印を使って [Individual permissions (アクセス許可 一覧)] パネルに戻します。 4 [ChemStation Operator (ChemStation オペレータ)]、 5 [OK] をクリックします。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 85 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク OS 管理者のタスク 以下のタスクは、」ユーザーグループのメンバーとして Windows にログオンし た場合にのみ実行できます。さらに ChemStore C/S アクセス許可が必要なタ スクもあります。 データベースサイズセキュリティサービスの設定 Microsoft Access データベースのサイズの限界は 1 GB です。したがって、 データベースのサイズが 850 MB を超えないようにすることをお勧めします。 これにより、データベース内の既存のデータを再処理するのに十分なスペース が、データベース内に確保されます。 サイズ警告限界である ユーティリティを使って新しい Access データベースを 作成する必要があります。このサービスの警告限界を設定したり、新たに Access のデータベースを作成したり、Power Users」または 「Administrators 。サイズセキュリティサービスの設定方法の詳細について は、 『ChemStore コンセプトガイド』を参照してください。新たな Access デー タベースの作成方法の詳細については、88 ページの「スタンドアロンバー ジョンでの新しいデータベースの作成」を参照してください。 86 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク データベース接続の割り当て データベース接続を変更することができるのは、Administrators」ユーザーグ ループのメンバーだけです。これ以外のユーザーは、現在選択中のデータベー スにしかログオンできません。データベース接続を変更するには、以下の手順 を実行します。 1 Administrators」ユーザーグループのメンバーとして、Windows にログオ ンします。 2 Windows のスタートメニューから、[ プログラム ] > [ChemStore CS] > [ChemStore Review Client (ChemStore レビュークライアント)] を選択しま す。 図 36 新しいデータベース接続の選択 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 87 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク 図 37 新しいデータベースの選択 3 リストから適切なデータベースのエイリアスを選択するか、選択するのが新 しいデータベースである場合には、[Browse (参照)] を選択して、新しい *.mdb ファイルを指定し、リストに新しいデータベースのエイリアスを作成 します。 4 [Set as default (デフォルトに設定)] のグループでは、次のどちらかを選択 できます。 a [for this session (このセッションに対して)] チェックボックスをマーク すると、選択したデータベースを、この装置やアプリケーションに対し てだけ、デフォルトに指定することができます。「Power User 」や「 Administrator」 b [for all sessions (全セッションに対して)] のチェックボックスをマーク すると、選択したデータベースを、このワークステーション上のあらゆ る装置やアプリケーションのデフォルトとして指定することができます。 「Power User 」や「 Administrator」の許可を持たずに、装置やアプリ ケーションにログオンしている Windows ユーザーは、指定されたデータ ベースを使用する必要があります。 5 [OK] を選択して、選択を有効にします。 6 ここで [Cancel (キャンセル)] を選択すると、ChemStore C/S レビューク ライアントの起動を中止して、Windows の「users」ユーザーグループのメ ンバーとしてログオンすることができます。 88 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク 6 スタンドアロンバージョンでの新しいデータベースの作成 これまでのデータベースのサイズが限界に達したか、データベースを記憶媒体 にアーカイブした場合には、ChemStore C/S ユーティリティを使って、新しい MS Access データベースを作成します。このユーティリティを利用できるの は、Windows の Administrators」ユーザーグループのメンバーだけです。 注意 ユーザー設定、レポートのテンプレート、フィルタ、クエリー、ユーザーイン ターフェイス設定、カスタマイズ設定を保持するため、最後に使用したデータ ベースを新しいデータベースのテンプレートとして使用することができます。 設定を別のデータベースからインポートするには、ChemStore C/S の 「ユー ザーの管理」アクセス許可のあるユーザーとしてテンプレートデータベースに ログオンする必要があります。 注 最小パスワード長やアカウントロックアウトなどのパスワード設定は、新しい データベースには転送されません。 1 Windows の「 Administrators」ユーザーグループのメンバーとして、 Windows にログオンします。 2 Windows のスタートメニューから [ プログラム ] > [ChemStore CS] > [ChemStore Utility (ChemStore ユーティティ)] を選択します。 3 [File (ファイル)] > [Create Access Database (Access データベースの作成) ] を選択します。[Create a new ChemStore B0.03 database (ChemStore B0.03 データベースの新規作成)] ダイアログボックスが表示されます。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 89 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク 図 38 新しい MS Access データベースの作成 4 [Browse (参照)] ボタンを選択します。 5 [Save As (名前を付けて保存)] ダイアログボックスが表示されます。 6 [File name (ファイル名)] テキストボックスにデータベース名を入力しま す。 7 [Save (保存)] ボタンを選択します。 8 テンプレートデータベースから設定をインポートしたい場合には、[Logon (ログオン)] ボタンを選択します。 9 テンプレートとして使用するデータベースのエイリアスを選択します。 10 管理アクセス許可のあるユーザーの名前とパスワードを入力します。 11 [Create (作成)] ボタンを選択します。 12 データベースが作成されたら、ChemStore C/S ユーティリティを閉じるこ とができます。作成したデータベースをすぐに使いたい場合は、86 ページ の「データベース接続の割り当て」の説明に従って、新しいデータベースに 接続する必要があります。 90 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク スタンドアロンバージョンのデータベースバックアップ データベースを不正な操作から保護するため、 「users」グループのメンバーで ある Windows ユーザーには、データベースディレクトリに対する特殊な書き 込みアクセス権限しかありません。このため、これらのユーザーは、データ ベースをバックアップ媒体またはアーカイブ媒体にコピーすることはできませ ん。スタンドアロンデータベースをバックアップまたはアーカイブするには、 以下の手順を実行します。 1 Windows の「Administrators」ユーザーグループのメンバーとして、 Windows にログオンします。 2 データベースをアーカイブする必要がある場合には、88 ページの「スタン ドアロンバージョンでの新しいデータベースの作成」の説明に従って、新し いデータベースを作成します。混乱を避けるため、新しいデータベースは古 いデータベースとは違う名前にします。 3 作成したデータベースファイル (*.mdb) を、hpchem\chemstor\database か らバックアップまたはアーカイブ媒体にコピーします。 4 データベースをアーカイブされた場合には、さらに以下の手順を実行しま す。 a 元のデータベースをハードドライブから削除します。 b Windows のスタートメニューから、[ プログラム ] > [ChemStore CS] > [ChemStore Review Client (ChemStore レビュークライアント)] を選択し ます。 c [ChemStore C/S: Select Database (ChemStore C/S: データベースの選択)] ダイアログボックスを開きます。 d アーカイブ済みデータベースのエイリアスを選択し、[Delete (削除)] を クリックして、このエイリアスを削除します。 e [Browse (参照)] を選択し、手順 2 で作成したデータベースを選択しま す。 f [Open (開く)] をクリックします。 g データベースのエイリアスを入力し、[OK] を選択します。 h 新しいデータベースのエイリアスを選択し、[OK] をクリックします。 i ここで [Cancel (キャンセル)] を選択すると、ChemStore C/S レビュー クライアントの起動を中止して、Windows の「users」ユーザーグループ のメンバーとしてログオンすることができます。 推奨バックアップ手順の詳細については、『Agilent ChemStore C/S コンセプト ガイド』を参照してください。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 91 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク イベントログファイルのバックアップ Security Pack をスタンドアロンの ChemStore C/S で使用している場合には、 解析データを含むデータベースファイルばかりでなく、データの削除や変更が ないことを示す Windows のイベントログファイルに対しても、定期的なバッ クアップが必要です。バックアップまたはアーカイブ媒体に Windows セキュ リティログを保存するには、以下の手順を実行します。 1 Windows の「Administrators」ユーザーグループのメンバーとして、 Windows にログオンします。 2 Windows のスタートメニューから、[ 設定 ] > [ コントロールパネル ] > [ 管 理ツール ] > [ イベントビューア ] を選択します。 3 [ セキュリティログ ] を右クリックします。 4 [ ログファイルの名前を付けて保存 ] を選択して、ファイル名を入力します。 後で簡単に利用できるように、バックアップには、イベントログを EVT ファイルとして保存しておくことをお勧めします。 5 イベントログファイルを、バックアップまたはアーカイブ媒体にコピーしま す。 6 イベントログファイルが大きくなりすぎないよう、ファイルをクリアするこ ともできます。この機能を使うのは、現在のイベントログをアーカイブ媒体 にコピーしてからにしてください。[ ログ ] > [ すべてのイベントを消去 ] を 選択してセキュリティイベントログをクリアします。 推奨するバックアップ手順の詳細については、 『Agilent ChemStore C/S コンセ プトガイド』を参照してください。 電子メール通知の設定 以下の機能は、クライアント/サーバーシステムでのみ利用できます。これ は、特定のイベントが発生した際に、電子メール通知を送信する機能で、その 設定は、管理者 (または管理者許可のある他のユーザー)が行う必要がありま す。電子メール通知を発生させるイベントは、以下の通りです。 ・ ログオン試行回数が多すぎたことによるユーザーアカウントのロック ・ レビュー用バッチの登録 ・ パスワードのクリア ・ 新しいユーザーの作成 ・ 許可の変更 92 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク 「バッチ登録の通知」を除けば、電子メール通知の送信を行うのは、管理者に 対してセキュリティ侵害を警告するときだけにしたほうがよいでしょう。 この設定の詳細については、『ChemStore コンセプトガイド』を参照してくだ さい。 スプーラ障害のトラブルシューティング スプーラ障害のトラブルシューティングは、スプーラジョブの削除を含むトラ ブルシューティングそのものと、エラー修正後のスプーラの再開の、2 つに分 かれています。 「Users」ユーザーグループのメンバーは、エラー (ネットワー ク接続の損失やサーバーのダウンタイムなど)修正後にスプーラを再開するた めに、スプーラの再開やエラーメッセージの表示を行えるようになっていま す。44 ページの図 17 に示すように、Windows の「users」ユーザーグループ のメンバーは、転送の再開が行えるような拡張されたスプーラウィンドウを表 示することができます。このメニューでは、スプーラジョブの削除やスプーラ の一時停止を行うことはできません。 データベーススプーラに対して、完全なアクセス権を持っているのは、 Windows の Administrators」ユーザーグループのメンバーだけです。データ ベーススプーラは、データを一時的に保存して、データベースに転送します。 サーバーやデータベースに障害があると、スプーラが一時的に停止するので、 スプーラを再開させる必要があります。スプーラを再開させたり、スプーラの エラーメッセージを表示したりするには、以下の手順を実行します。 1 Windows タスクバーの右下隅にある、データベーススプーラアイコン を、マウスの左ボタンでダブルクリックします。 2 [Show Error (エラーの表示)] を選択してエラーメッセージを確認し、問題 を解決します。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 93 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク 図 39 「power users 」および「administrators」ユーザーグループのメンバー 用のデータベーススプーラウィンドウ 3 エラーの修正後にデータベースへのデータ転送を続行するには、[Resume (再開)] をクリックします。 スプーラのデータが破損していて、データベースへの転送が拒否される場合に は、[Delete Job(s) (ジョブの削除)] ボタンを選択すれば、スプールエントリ を削除することができます。 注 ジョブをスプーラから削除した場合には、スタディ設定で [Delete raw data from file system after transferring to database (データベースへの転送後にファイルシ ステムから生データを削除)] オプションが選択されていても、生データは ファイルシステムから削除されません。 データを他のメソッドで再処理すれば、最初に使用したメソッドに問題がある かどうかがわかります。 94 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク 6 セキュリティ設定 一般のユーザーによるデータの削除や変更を防ぐために、Security Pack の重 要なディレクトリへのアクセスは、Windows の「Power Users 」または「 Administrators」ユーザーグループのメンバーに限定されています。これらの ディレクトリの場所、アクセス許可、監査などの変更を行うことは、お勧めで きません。表 4 は必要なアクセス許可の設定、表 5 は、Security Pack に必要 な監査の設定を示しています。これらの設定は、インストール時に正しく設定 されます。 ローカルデータベースを作成したら、データベースに対する監査機能も有効に することをお勧めします (詳細については、Windows のヘルプを参照) 。これ により、セキュリティログファイルに、より詳しい情報が入力されるようにな ります。 表4 ディレクトリのアクセス許可 ディレクトリ アクセス許可 コメント \hpchem\chemstor\ database Administrators (変更) (フルコントロール) 、 Power Users (変更) (フルコントロール) Users (読み書き許可) (変更) ローカルデータベース の保存に使用。 ChemStore C/S の Oracle サーバーデータ ベースを使用している 場合は不要。 \hpchem\chemstor\ spool Administrat ors (変更) (フルコントロール) 、 Power Users (変更) (フルコントロール) Users (読み書き許可) (変更) ChemStation と ChemStore 間のデータ 転送時に、一時データ の保存に使用。 \hpchem\1\data\ chemstore Administrators (変更) (フルコントロール) Power Users (変更) (フルコントロール) Users (フルコントロー ル)(変更) ChemStore から ChemStation へのバッ チ再解析用のデータ転 送時に、一時データの 保存に使用。 Administrators (フルコ ントロール) Power Users (フルコン トロール) 新しいデータベース作 成用の ChemStore C/S ユーティリティ。 \hpchem\chemstor\ hputil00.exe ChemStation Security Pack ユーザーガイド 95 6 管理タスクとリファレンス OS 管理者のタスク 表5 96 ディレクトリとファイルの監査 ディレクトリ 監査対象イベント \hpchem\chemstor\ database Administrators および Power Users:成功+失敗 コメント データベースファイルが 「Administrators」グルー プのメンバーによって削除 された場合に記録。 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 索引 数字 P お 21 CFR Part 11 11 PC 時計 18 A S オペレータモード オペレータレベル Access データベース 12 Access データベースの作成 88 administrators 17 Security Pack 94 C ChemStation 56 ChemStation オペレータ 56 ChemStore 64 ChemStore C/S ユーティリティ 88 GMT 49 M MicrosoftÆ 12 MS Access データベース 88 N NTFS 16 O ODBC スプーラ operators 17 OracleÆ 12 OS 管理者 85 か W Windows NT 16 Windows NT ログファイル 91 Windows ユーザーグループ コンセプト 17 Windows ユーザーグループ Administrators 80 あ G 37 56 56 書き込み専用 59 化合物グラフィックレイアウト 62 監査 94 監査証跡 38, 43, 48, 49, 51, 52 監査トレーサビリティ 12 管理者 79, 85 管理ツール 91 き アーカイブ 48 新しい結果 58 新しいベースライン 新しいユーザー 83 暗号化 12 58 既存メソッドファイルの上書き 71 許可権限 50 く イベントビューア 91 イベントログ 91 インポート設定 88, 89 クエリー 47 グラフィカルデータレビュー グラフィカルレビュー 58 クリップボード 46 クローズドシステム 12, 13 え け い エクスポート エラーの表示 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 46 92 計算モード 77 結果 12 結果の計算 58 ChemStation オペレータ 41 39 97 索引 さ た 再解析 45, 47, 58, 61, 62 再起動 21 再処理 47, 52 再読み込み 68 全ファイル 70 シーケンス 70 生データ 69 削除 データ 53 サンプルレイアウト 62 タイムスタンプ 52, 53 対話形式データ解析 38 タスクマネージャ 19 タンジェントスキム 75 シグナルの読み込み 59 システムポリシー 18 使用メソッド 64 ジョブの削除 93 署名 12 す スプーラ 36, 37, 45, 47 再開 92 障害 92 スプリットピーク 75 すべてのイベントを消去 91 せ 積分 73 コマンド 37 マニュアル 39 積分イベント 74 マニュアル 40, 41 積分設定 56 セキュリティ設定 94 全ユーザー 64 そ 98 ち チェックサム 注入 ID 46 注入時刻 51 50 通知 電子メール 88, と 46, 62 ドメイン 17 ドメイン管理者 19 ドメインコントローラ 19 トレーサビリティ 39, 51 つ し 装置のログブック 電子署名 11 電子メール通知 91 転送 62 転送設定 36 テンプレートデータベース 89 な 91 生データ 12, 47 削除 44 て デアーカイブ 48 ディレクトリ 94 ディレクトリのアクセス許可 94 ディレクトリの監査 95 データ 転送 62 データインテグリティ 12 データ解析 58 データセキュリティ 12 オープンシステム 13 クローズドシステム 13 データ転送 36, 44, 47 データの削除 94 データの取得 47 データの変更 94 データベース 12 データベースエイリアス 87, 89 データベース接続 85, 86 データベースログブック 49, 53 データレビュー、グラフィカル 41 電子記録 11 ね ネガティブピーク 75 は バージョン 53 バージョン化 39, 51, 58 パスワード 12 パスワード設定 88 ハッカー 12 バックアップ 90, 91 ハッシュ値 62 バッチ 56, 58, 65 設定 62 バッチの読み込み 65 バッチレビュー 37, 39, 40, 47, 62 パブリックネットワークシステ ム 13 バリデーション 11 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 索引 ひ り ピーク 41 ピーク結果テーブル 58 ピークテーブル 39, 41 ピークの削除 75 表示名 83 リキャリブレーション 77 れ レジストリファイル 47 ろ ふ ファーストパスレビュー 復元 38 不正行為 12 ブラケットモード 77 62 ログイン名 ログブック 83 50 へ ベースラインを描く ベースライン 40 変更者 ID 52 75 ま マニュアル積分 39, 40, 56 マニュアル積分イベント 74 ゆ ユーザーの管理 81 ユーザー 65 ユーザー ID 12 ユーザー管理 17, 50 ユーザー設定 88 ユーザーの作成 83 ユーザープロファイル 17, 19 ユーザープロファイル、変更 84 ら ラン情報 35, 68 ランリスト 63 ChemStation Security Pack ユーザーガイド 99 索引 100 ChemStation Security Pack ユーザーガイド www.agilent.com 本書の内容 本書では、AD、GC、LC、CE、 LC-MSD、CE-MSD 技術などで使 用する Agilent ChemStation Security Pack について説明しま す。Security Pack は、Agilent ChemStation のアドオンモジュー ルで、電子記録や電子署名に対す る米国食品医薬品局 (FDA) の 規 制 (21 CFR Part 11) に対応できる ようになっています Agilent Technologies Deutschland GmbH 2004 Printed in Germany 03/04 *G2183-96003* *G2183-96003* G2183-96003 Agilent Technologies