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タレント・リテンション: テクノロジーが実現する 6 つのベスト
オラクルホワイトペーパー 2012 年 6 月 タレント・リテンション: テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス はじめに ........................................................................................................................................................ 1 適切な人材の採用 .................................................................................................................................... 4 リテンションのための方策:適切な採用 ................................................................................. 6 ラインマネージャーによるマネジメント ...................................................................................... 6 リテンションのための方策:マネジメントエクセレンス ................................................. 8 クリアな目標に対するフィードバック........................................................................................... 8 リテンションのための方策:クリアな目標、頻繁なフィードバック ........................ 11 従業員によるキャリア管理の実現 ...................................................................................................... 11 リテンションのための方策:キャリアプランニング ........................................................ 13 人材流動性の促進 .................................................................................................................................. 13 リテンションのための方策:人材の流動性 ........................................................................... 16 継続的な測定と改善 ............................................................................................................................. 16 リテンションのための方策:メトリックと分析.................................................................. 18 結論:テクノロジーのベストプラクティスでリテンションを強化 ................................. 18 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス はじめに 優秀な社員を維持することの重要性は、人事と営業どちらを対象にしたアンケート調査でも常に上位の課題で す。たとえば、1,000 人以上の CEO に対して「御社の成長を長期的に持続する競争力を生み出す源として何が 重要ですか」とたずねたところ、実に 97%から筆頭にあげられたのが「重要な人材の活用と維持」であるという回 答でした 1。 人材の維持率(タレント・リテンション)は、以下の 2 つの理由からあらゆる企業にとって決定的に重要となりま す。 1. 離職は高くつく。 2. 業績を伸ばすのは優秀な社員である。 ただし、離職による財務的な影響の推定は、業界や役職、所在地などによって違いが見られ、年間給与の 30% から 250%までの幅があります 2。 離職のコスト発生は、人材確保の際の直接的な補充費用から、役職の不在 と生産性の低下によって生じる機会損失、そして広い意味での業績の低下が原因です。また、それらに加えて 昨今、顧客の流出や企業ノウハウの流出もリスクとして挙げざるを得ません。優秀な社員がもたらす影響は、 マッキンゼーによる「War for Talent(ウォー・フォー・タレント)」のなかで端的に表されています。同書では、シニ アマネージャーらの声として、優秀な社員の能力が平均的な人材を大幅に凌駕していると指摘されています。 マッキンゼーの研究によれば、優秀な社員が業務職に就けば生産性が 40%向上し、経営職に就けば利益が 49%上昇、また営業職に就けば売上が 67%向上するとされています 3。 1 2 3 PricewaterhouseCoopers、「12th Annual Global CEO Survey」2009 年 「Employees Leaving? Here’s Why and What You Can Do」、The New York Times、2008 年 10 月 24 日 McKinsey & Company、『The War for Talent』1998 年 1 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 経費削減と生産性向上を進める企業のなかで最高の人材を維持することは不可欠ですが、その必要性は制約 の厳しい経済状況を背景にさらに高くなっています。こうした二重の課題に直接取り組もうとするのが、タレント・ マネジメント戦略です。たとえば、Taleo Research4 のグローバルな調査によると、経済成長率の低い地域で業 績管理とキャリアプランニングに重点を置いて優秀社員を維持することの必要性が増しているという回答が 70% にも達しました。5 タレント・リテンションが低ければ企業のリソースが流出することになるので、リーダーはどんな習慣が有効か、 タレント・リテンションとモチベーションの継続には何が不可欠かを知らなければなりません。たとえば、従業員 がネットワークを形成してリーダーと、連携感と責任感を感じながら成長発展していけるタレント・マネジメント戦 略が、人材を維持するひとつの手段と言えます。 給与や報奨、福利厚生、ネットワーク環境、ワークライフバランス構想など、リテンションを高める多くのアプロー チが考案されており、それぞれがリテンション戦略の企業ポートフォリオで要所要所に組み込まれています。 現在は、SaaS(Software as a Service)インタフェースを利用した一定のタレント・マネジメント業務が効果を発揮 する状況にあり、企業全体に広がっています。具体的には、タレント・マネジメント業務の全体でリテンション戦 略を実施し、それを堅牢なテクノロジー・プラットフォームで支える方法があります。業務は採用から従業員の業 績管理、企業目標への取り組み、キャリアと昇進の機会の提供、プログラムの成否判定まで、タレント・ライフサ イクルの最初から最後まで多岐にわたっています。 4 Taleo は 2012 年 6 月、オラクルにより買収されました。 Taleo Research with Human Capital Institute (HCI), Business Intelligence, and Markess International、「Quantum Market Research Global Unified Talent Management Survey」、2008 年 5 2 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 本書では、組織がテクノロジーのサポートを利用しながら優秀な人材を維持するために実施できる 6 つのベスト プラクティスを取り上げます。 1. 適切な人材を採用すること。 2. ラインマネージャーのマネジメント能力を磨くこと。 3. 明白で有意義な目標に対して常に従業員のフィードバックを実施すること。 4. 従業員自身によるキャリア管理を実現すること。 5. 人材の流動性を促すこと。 6. リテンション戦略を継続的に測定し改善すること。 3 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 適切な人材の採用 優秀な社員の維持は、まず適切な人材を採用するところから始まります。優秀な人材は頼りがいがあり、組織は そのような従業員を抱えておきたいと考えます。 同様に、仕事に適性を見出して業績をあげている従業員は、 組織とともにありたいと考えるものです。 人材を確保しようとするとき、組織は必要とされるスキルや経験、適性を分析し、社外候補者の人材プロファイル に照合して候補を見きわめます。 効果的な採用には、合理的なプロセスが必要です。スキルベースの自動マッチングと自動ワークフローによって、 募集担当者と採用責任者は採用候補者のシンプルな一覧でまず評価します。そして適切な候補者の人材プー ルを構築すれば、有望な人材の確保とソーシングコストの削減が可能です 6。 候補者を絞り込んで最終的な採用に至るために、企業はまずどの能力がどの仕事に向いているかを定義します。 選考過程は、職務要件に基づいて進められます。人事部門や現業部門は協力して職務を成功させる基準を定 めます。 ・知識、スキル、能力 ・姿勢や動機 ・企業と顧客の両方に対するカルチャーの適性 図1.スキルベースの自動マッチングにより、採用候補者のシンプルな一覧で把握 6 Taleo Research、「Recruiting: Reducing Direct Costs and Reaping Results」、2009 年 4 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 基準が具体的になるほど選考過程の精度は高くなり、技能判定も確実になります。 ある役職に対する基準が定まれば、職務明細の内容からオンライン予備選考に用いる基準まで、その仕事に対 する採用過程のあらゆる観点が決まってきます。職務において高水準の実績を果たす技能と特性が配属後に 確実に発揮されるためには、選定と業績の基準が一致していなければなりません。 企業は、採用の際に責任者が高レベルの決定をし、効果的な採用とその後の定着をおこなうためには適切な手 段とテクノロジーが必要となってきます。 ・成功に必要な能力を明確にし、優秀な社員ベンチマークし作り上げてきた成功基準や成功パターンなどに基 づいて、採用上の決定を下す必要があります。 ・最優秀社員が何をどのように実行しているかを整理し、そのスキルのみならず成功に至った言動についても理 解する必要があります。 募集担当者と採用責任者は、必要とされるスキルや部門と企業の戦略目標を十二分に理解しない限り、才能あ る従業員を引きつけることはできません。採用責任者が採用目標についての情報を候補者と共有できれば、空 きポジションを採用候補者に対して明確にアピールできます。期待される内容、必要なスキル、そして部門や企 業の総合的な成功にその仕事がどう貢献するかということを採用責任者は整然と伝えることが重要です。 募集過程は全社的なタレント・マネジメント戦略に結びついており、緊密に統合されていなければなりません。単 一のタレントマネジメントの仕組みのに統合されている人材データベースにアクセスでき、適正な採用と新規採 用者の定着率引き上げのために企業が必要とするあらゆる情報を入手できれば、企業は大きなメリットとなりま す。 図 2.選考を経て採用に至る過程では、具体的な職務基準の定義とデータの統合が必要 次のステップは入社です。新しい従業員に見込まれる能力と期待される成果を、現場で仕事でパフォーマンスを 発揮していくためのいわば橋渡しの過程に当たります。入社は採用候補者が従業員へと変わる部分ですが、そ れはタレント・マネジメントにおける一連のつながったプロセスのなかの一過程であって、単独のプロセスではあり ません。 5 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 入社のプロセスが成功するには、完全かつ一貫したプロセスと、柔軟な設定が可能なワークフローに伴うテクノロ ジー・プラットフォーム、そして企業のタレント・マネジメント・システムとのシームレスな統合が鍵です。 入社のためのソリューションがタレント・マネジメント・システムの一部になれば、採用過程で収集されたデータを 利用して、従業員の実際の就業日より前に入社の過程を始められます。入社ソリューションを統合することによっ て、適切な結果やお知らせ、連絡を通知できるようになるので、全体的な採用過程が大幅に迅速化され、準備 時間も短縮されます。 第一印象が重要であり、リテンションにも影響します。従業員の 90%は会社にとどまることを最初の半年間のうち に決めているからです 7。優秀な社員は、まず効率的な人材確保のプロセスで特定され、満足のいく入社を経て、 短時間のうちに会社に貢献するようになってやがて定着します。 リテンションのための方策:適切な採用 ・役割と候補者の間で正確なマッチングを実現する。 ・スキルベースの自動マッチング ・採用過程を短縮して優秀な候補者を確保する。 ・採用過程のワークフローを自動化 ・適材候補者から成る人材プールをあらかじめ確立する。 ・人材プールの構築とマイニング ・新規採用者をできるだけ短時間でパフォーマンス発揮に結びつける。 ・入社時に必要なあらゆる活動の連携 ラインマネージャーによるマネジメント 採用が決まると、タレント・リテンションの責任はマネージャーに移ります。従業員の指導、育成と評価はマネージ ャーの役割です。マネージャーがその職責を十全に担うためには、関係するタレント・マネジメント業務をマネー ジャーの日々の業務管理に組み込む必要があります。したがって、マネージャーは企業目標を見通せる必要が あり、それがタスクやプロジェクトと、そして過去と今後の従業員の業績と整合しているかどうかを見きわめて、変 化の激しいビジネス環境に的確に対処することが求められます。 7 Aberdeen Group、「The Onboarding Benchmark Report: Technology Drivers Help Improve the New Hire Experience」、2006 年 6 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 人材を的確に管理するには、適正な情報、事実、データに簡単にアクセスできることが必要です。優れた人材、 スキル、直感だけでは足りません。日々の業務で利用できる単一システムのデータがその基盤となります。たとえ ば、目標に合致したプロジェクトの進捗は、実施された業務の水準とあわせてすぐに追跡できなければなりませ ん。日常的なタレント・マネジメント業務を促進するために、人材管理ツールは例えば Microsoft Outlook やモバ イルデバイスのように時間と場所を問わないビジネス・アプリケーションとシームレスに統合されている必要があり ます。 したがって「マネージャーと従業員にとってのユーザビリティ」は、グローバル調査でもタレント・マネジメント・ソリ ューションでももっとも重要な基準にあげられています 8。タレント・マネジメント・ソリューションのもっとも重要な事 項としてユーザビリティが、コストや ROI さえしのいで圧倒的な最上位を占めています。これは、既存の多くのシ ステムで長い間軽視されてきたことへの反動かもしれません。 直感的で簡単なインタフェースを備えたタレント・マネジメント・システムは、Amazon、Google、eBay のように見慣 れた Web 2.0 的なコンシューマー向け機能を利用しています。たいへん使いやすく、従業員、ラインマネージャ ー、エグゼクティブの全員がセルフサービスで使用できます。タレント・ライフサイクルのすべてを通じて最適化さ れたタレント・マネジメント・プロセスを組み込むには、そのコア部分がすべての関係者にとって使いやすいもの でなければなりません。 ユーザビリティは導入をし易くするだけでなく、ほかにもあらゆるメルットがあります。企業向けに適応し設計され たコンシューマー指向のアプリケーションによって、エンドユーザーのトレーニングが最小限になるので導入が短 時間で進みます。その結果、人事部門では、業績評価やレポート生成、候補者検索や要員計画に必要な分析 の実行など、マネージャーや従業員のサポートにかかる時間が軽減されます。 テクノロジーツールによって、従業員やマネージャーの人材情報の可視化が可能になります。より従業員への理 解を深める事ができ、そして適切なマネジメントや施策を通じ、結果、利益を受ける直属の部下の満足度が従業 員の責任感を育み、リテンションの向上につながります。 8 Taleo Research with Human Capital Institute (HCI), Business Intelligence, Markess International, and Quantum Market Research、「Global Unified Talent Management Survey」、2008 年 7 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス リテンションのための方策:マネジメントエクセレンス ・事実とデータに基づく人材管理。 ・タレント・マネジメントのすべてを包括する単一システム ・ラインマネージャー向けに設計された直感的で効果的なタレント・マネジメント・システム。 ・Web 2.0/コンシューマーレベルのインターネット・ユーザビリティ ・意思決定を支援する関連性の高いデータを提供。 ・コンテキストベースの分析 ・タレント・マネジメント・タスクでいつもとと同等の操作感 ・人材管理ツールと、Microsoft Outlook などのビジネスツールとの統合。 クリアな目標に対するフィードバック 従業員の全員が、正しい目標に向かって取り組む必要があります。有能な従業員は、チーム、部門、および企 業の成功や、その意図、コミットメント、エンゲージメント、そしてリテンションの向上に自分が何をどうすれば貢献 するかを理解しています。 目標とは、人が達成しようと目指す結果を定義するものあり、業績管理、評価、報酬の第一歩です。タレント・マ ネジメントには業績管理と目標の整合性が含まれ、目標は業績管理のベストプラクティスと表裏一体です 9。 図 3.目標は業績管理プロセスのベストプラクティスと表裏一体 9 Taleo Research、「Alignment Drives Employee Engagement and Productivity」、2009 年 8 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 従業員は、業績評価のプロセスと事実に基づく頻繁なフィードバックを求めています。米国の従業員に対するア ンケートの場合、回答者の 80%が業績評価についてなんらかの変化を求めています 10。求められているのは、公 平性と業績に基づく正当な報酬です。 この調査では、特にジェネレーション X(1960~70 年代生まれ)とジェネレーション Y(1970~80 年代生まれ)に属 する従業員がフィードバックを、特に四半期、月次、週次のように高い頻度で求めていることがわかっています 11 。 別の研究結果では、世代間の差に異論が上がっています。米国では、7,800 万人のベビーブーム世代とジェネ レーション Y に属する 7,000 万人が同程度に、正当な評価や新たなチャレンジの機会を重視していることも明ら かになりました 12。 あまり頻繁にフィードバックをおこなっていないマネージャーであれば、高く評価していた従業員から唐突に退職 願を受け取って驚きかねません。フィードバックを受け取って自分の価値を実感できることが、従業員のエンゲ ージメントとリテンションには欠かせません。これは世代を問わず全従業員に共通です。 職を辞めるまでの過程で従業員が不実を感じた理由をたずねた調査によると、上位 4 つの回答は次のとおりでし た 13。 1. 「会社が自分を大事にしていないと感じた」:61% 2. 「給与が不十分」:53% 3. 「努力が認められていない、評価されていない」:46% 4. 「キャリアアップの機会が少ない」:42% 業績管理プロセスによって満足度を高めると、従業員の満足度と責任感に伴う動機が向上し、タレント・リテンシ ョンが改善されます。 業績管理の中では、継続的な従業員評価と育成のプロセスがされなければならず、従業員の業績が事実と行動 に基づいて定期的に、公式化されたレビュープロセスで上位者や同僚によって定期的にレビューされる必要が あります。レビュープロセスでは、従業員の業務実績と設定目標に対する達成率、そして職種に固有のコア能力 やスキルの習熟度に関して、フィードバックをおこないます。 業績管理プロセスの設計が適切であれば、マネージャーと従業員は目標と能力開発計画について定期的に話 し合い、そこにソーシャル学習や非構造的な学習の機会も生まれます。 10 11 12 13 「Taleo Survey Shows that Death and Taxes Can Wait - Job Performance Reviews Are What Americans Really Want to Control Now」、2009 年 4 月 14 日 Taleo Research、「Harris Interactive Survey」、2008 年 Center for Work-Life Policy、「Bookend Generations: Leveraging Talent and Finding Common Ground」、2009 年 CareerBuilder.co.uk、「Harris Interactive Survey」、2008 年 6 月 9 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 理想的なレビュープロセスでは、従業員と管理者の間で業績について双方向のコミュニケーションが促されます。 従業員のエンゲージメントとリテンションには、有意義な話し合いとクリアなコミュニケーションが不可欠です。 マネージャーは、従業員の目標が部門や企業の目標といかに合致するかを解き、データやフィードバックを用い ながら重要な点を伝えます。マネージャーは、従業員の目標と事業目標との整合性をクリアに見通す必要が有り ます。 戦略的計画 計画の見直しと 改訂 企業目標の策定 従業員の目標が 明確な視線 図 4.整合プロセスでは従業員の目標と事業目標を関連づけ、定期的なコミュニケーションを促す リアルタイムでオンデマンドな情報と、簡単に使えるツールが継続的なフィードバックと目標の整合、コーチングと 能力開発を支援します。このようなツールが企業からマネージャーに対して用意されれば、マネージャーと従業 員とのパートナーシップが強化改善されます。 従業員は、自分たちの仕事が所属部署や企業の成功に結びつ いているとわかると、自身との存在価値を感じるものです。 「目標は運命ではなく、方向づけである。それはコミットメントであって、命令であってはならない。 目標は将来を決定するものではなく、将来を 形づくるために企業のリソースとエネルギーを動かすための手段なのである」 - ピーター・F・ドラッカー なかには、チームのメンバーとの貴重な会話を避けるマネージャーもいます。従業員と共有しなければならない データや、業績あるいは目標設定に関する情報が手元にないからです。たとえば紙上のプロセスでは、他の同 僚からの貴重なフィードバックが電子メールや書類のなかで埋もれてしまうことも少なくありません。 最新情報が不十分、具体性を欠く、あるいは存在すらしない場合、マネージャーは不利になります。包括的で正 当な業績評価を実現するために、業績に関するフィードバック、タレント・マネジメント・システムのなかで簡単に 取得できなければなりません。 Web 2.0 ベースでオンデマンドの業績管理アプリケーションは、マネージャーと従業員の間の対話に共通基盤を 築く基礎となります。有意義で継続的かつ最新のデータドリブンな対話に必要な構造を備えています。マネージ ャーは目標へ向けた進捗状況を確認し、おもなマイルストンや障害、遅延について話し合ったうえで、従業員の 目標達成状況基づいた具体的なフィードバックをする必要が有ります。 10 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 従業員は自分の仕事と、それが企業の目標や目的にどのくらい貢献しているかを明確にしたいと考えているもの です。企業の目標全体に対する自身の貢献度に関してマネージャーと従業員の理解を助けるデータがあれば、 自分たちの努力を動的に記録に残し、生産性を改善することでリテンションが向上します。つきつめて言えば、タ レント・マネジメントのベストプラクティスとは、最高の人材に最も優秀な社員として成果を達成させることなので す。 リテンションのための方策:クリアな目標、頻繁なフィードバック ・従業員の目標から部門単位/全社の目標までのクリアな見通し。 ・カスケードされた目標管理 ・広範囲の関連対象者からフィードバックを集める。 ・レビュー担当者のネットワーク構築 ・定期的にフィードバックを取得する。 ・Microsoft Outlook などの E メールによりフィードバックを簡単におこなう ・進捗状況の定期的なレビューを可能にする。 ・直感的な目標管理システム 従業員によるキャリア管理の実現 多くの従業員がキャリアプランニングを真剣に考えるようになるのは、今の仕事の状況に不満を感じたときです。 自身の現在のキャリアパスについて従業員が社内から情報にアクセスできないとしたら、その不満が自主的な退 職に直結するかもしれません。 ある研究によると、退職理由として最上位にあげられたのは、前職で得られなった新しい挑戦あるいは新しい機 会を求めてのことだったと言います 14 。多くの場合、従業員の希望や欲求は会社から見ればブラックボックスで す。 従業員のエンゲージメントとリテンションを促す要因として、やりがいのある仕事や意味のある仕事の重要性が指 摘されています。ジェネレーション Y に属する世代に特化した研究によると、新しいスキルの開発、チャレンジ、キ ャリアの将来性といったキャリア重視の要素が、現在の組織に移った大きい要因であるとされました 15 。別の研究 でも、満足度を促進する要素として「自分の能力を最大限に発揮できるチャンス」という回答が最上位にあげられ ました 16。 14 15 16 Right Management survey、2008 年 4 月 Chartered Management Institute、「Generation Y: Unlocking the Talent of Young Managers」、2008 年 Blessing White、「State of Employee Engagement 2008, North American Overview」、2008 年 11 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 成果を達成して生産性を向上し、イノベーションを生み出すほどに人の心も頭も引きつけるには、仕事にやりが いと意味が必要なことは明らかです。やりがいのある仕事こそ人を引きとめる最大の要因であり、従業員は組織 内でチャンスとキャリアの成長を希望しているものなのです 17。 統合されたタレント・マネジメント・ソリューションには、業績データや社内の空きポジションに関する情報と同じプ ラットフォームに基づいて、従業員による自己管理が可能なキャリア管理ソリューションが用意されています。 Web ブラウザ上で支援ツールを提供するオンデマンドのソフトウェアによって、従業員はキャリアのプランニングと 開発を自身の責任において管理できるようになります。従業員は、キャリアプランのシナリオをいくつも作成でき、 エンゲージメントとモチベーションを満たすシナリオも見つけることができるようになります。簡単な使い方ができ るツールで、空きポジションが随時に従業員に通知されるので、従業員は社外ではなく社内にキャリアを求める ことが可能になります。 図 5.従業員は、セルフサービスのキャリアプランニング・ツールを使用し、自身の責任においてキャリア開発を管理できる 包括的なタレント・マネジメント・ソリューションにアクセスすれば、従業員は能力ギャップを特定し、そのギャップ を埋めるための対応を策定できます。従業員には、同僚が目的の役職に就くまでにたどったキャリアパスも表示 されます。 企業はテクノロジーを利用して能力のある従業員のスキルや希望(興味の範囲、出張や転勤に対する意向)を 特定し、その希望に応えることが可能となります。ソーシャル・ネットワークを通じて興味の似た従業員どうしを積 極的に結びつけたり、新しいスキルを学習したりするアプリケーションが用意されています。 調査によると、従業員が理解して使えるテクノロジーを提供すれば、有能な従業員の獲得と維持が容易になると いう結果が示されています。 17 Taleo Research、「Engaging Times-U.K. Employment Engagement Survey Results」、2009 年 12 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 米国でのアンケートでも、5 人中 4 人が職場で創造性(78%)と生産性(80%)を発揮するにはテクノロジーを使える ことが重要であると指摘しています。 ・そのようなテクノロジーによって企業が市場で優位に立てる(80%) ・最新のテクノロジーを利用できるのであれば転職を考える(39%)18 Web ベースのネットワーキングは、求職者と従業員の間で注目を集めつつあるテクノロジーのひとつにすぎませ ん 19 。LinkedIn、Facebook、MySpace といったソーシャル・ネットワーキング・ツールは、職場外でもあらゆる年齢 層が広く利用していますが、類似の強力なソーシャル・ネットワーキング・アプリケーションが、全社的なメンタリン グ・プログラムでもベースになっています。 タレント・マネジメント・アプリケーションを通じてソーシャル・ネットワーキング・ツールを使用すると、従業員は自 分のスキルやキャリア目標を公開し、社内の職種についての話題を検索して似た興味をもつ他者をさがし、注目 のキャリアパスを検索できます。社内でソーシャル・ネットワーキング・アプリケーションが用意されている場合、従 業員は同僚とつながり、ネットワークとコラボレーションをおこなうことができますが、社内チームのネットワーク・メ ンバーとしてとどまることも自由です。 リテンションのための方策:キャリアプランニング ・従業員がキャリアの志向を定義し分析できるようにする。 ・セルフサービスのキャリアプランニング・ツール ・ベースのキャリアパスと実際のキャリア履歴。 ・キャリアパスでの職務変更とデータ分析 ・従業員がメンターの検索や依頼をできるようにする。 ・インテリジェントな社内ネットワーキング機能 人材流動性の促進 従業員の側にキャリア管理ツールが用意されるのに対し、企業の側には社内の昇進や異動などを通じた従業員 の流動性を把握するツールがあります。キャリア開発を実現し離職を防ぐ方法として、後任者計画の重要性を認 識し重要視する企業が増えています。 18 19 IPSOS Public Affairs、「Fairfax County Economic Development Authority Study」、2008 年 Open Text、「Graduates Don’t Just Want to Use Social Networking in the Work Place They Expect It」、2009 年 13 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 企業は社内異動を通じて空きポジションを埋める場合が増えており、これがコストと準備時間を削減し、リテンショ ンと従業員満足度の向上を可能にしています。ある研究では、社内の転属や昇進が 1 企業の正規職のうち平均 で 38.8%を占めているという結果が出ています 20。 また、社内異動によって実戦投入までの時間も大幅に短縮されます。別の研究によれば、8 業種の従業員にお いて実戦投入までの時間が平均 50%も短縮されたと言われています 21。社内人材プールの活用も、ソーシングと 広告の費用削減に役立っており、生産性とリテンションの向上によって利益の増加に貢献しています。 社内流動性プログラムと後任者計画をリンクすると、豊富な人材ストックを形成できます。有効な後任者計画がな ければ、たとえば能力やスキルではなく交友関係を理由に、不適格な従業員が昇進してしまうリスクがあります。 これは他の従業員の目に不公正な採用昇進として映り、社員のモチベーションを大きく損ねる原因になります。 よりフレキシブルな作業環境の整備 重要な従業員の組織の中での配置転換 従業員が社会的責任がある活動に 従事する機会の創出 外部のの専門家ネットワークと人材を 獲得するために協力 ニーズに即した学習カリキュラムの提供 より多様な人材プールからの採用と人材開発 (例えば、退職者、元従業員、女性等) ビジネス機能のアウトソーシング 契約スタッフの活用 重要な専門知識を得るために他企業を買収 その他 わからない/無回答 Q: 長期的なビジネスの成功のために、人材に関して次のどの戦略が重要ですか? ベース:すべての回答者 1,124 名 ソース:プライスウォーターハウスクーパーズ社の 12 年間の glopbal CED サーベイ 2009 図 6.人材を維持するために、企業は職場の柔軟性を見直して社員を配置している たとえばある研究によると、今でも半数を超える企業(53%)が後任者計画に手作業のアプローチを採用していま す 22 。これでは、後任者計画を組織内で広く十分に展開することは難しく、導入や拡張も現実的ではありません。 企業で豊富な人材ストックを形成できるだけでなく、後任者計画と昇進機会は人材をとどめるもうひとつの要因に なります。後任者計画に必要な人材の検索とマッチングは、タレント・マネジメントのテクノロジー・プラットフォー ムよって自動化できるようになります。 20 21 22 CareerXroads、「Source of Hire Study: What Happened in 2008 and What It Means for 2009」 Mellon Financial Corporation、「Mellon Learning Curve Research Study」、2003 年 Watson Wyatt、「Seeking Cost Advantages in HR Technology and Service Delivery-2009 HR Technology Trends Survey」、2009 年 14 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 企業で業績管理が一定レベルまで自動化されている場合、過去の従業員の業績をレビュー過程で調べる必要 があります。ところが、システムは社内候補者の希望や興味といった要素まで考慮していない場合がほとんどで す。これは、特にミレニアルズ(2000 年代に社会に出る世代)の採用が始まる時期においては重大な「ミッシング リンク」となります。この世代は、ワークライフバランスや「自分にとって本当に大切なこと」といった内面的な目標 を織りこんだキャリア経験を求めているからです。 従業員は熱心な仕事への取り組みや貢献度に基づいて報奨されることを期待していますが、もし客観的な基準 や尺度に基づいて重要な決定を下せるような全てのデータがパパフォーマンスデータとともに収集されていなけ れば、そう言った要素は見過ごされてしまいます。 企業が強力な社内流動性プログラムを欠いていると、どんなリスクがあるのでしょうか。優秀な人材はいつでも選 択権をもっており、自身のキャリアパスを見出せなかったり、他の従業員がスキルも能力もなく昇進したりすれば、 すぐに会社から離れていきます。離職は企業にとって高くつき、生産性にとってもマイナスの影響があります。実 戦投入までの準備段階や貢献可能になるまでの時間は、従業員を社内で登用すれば大幅に短縮できます。 社内流動性を最適化すれば、従来の採用のようにコストや時間を発生させることなく、社内のリソースを適材適 所でシフトできるようになります。さらに重要なのは、社内流動性によってリテンションが高くなり社内コストを抑え られるということです。 図 7.空きポジションのオンライン表示によって、社内流動性を最適化 15 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス リテンションのための方策:人材の流動性 ・社内の空きポジションを可視化する。 ・空き役職のオンライン表示 ・該当する職種で社内候補者にアプローチする。 ・人材プロファイルに基づく空きポジションへの従業員マッチング ・より広いポジションにまで後任者計画を拡張する。 ・自動検索で使い方の容易な後任者計画システム ・後任者計画からの充足率を最大化する。 ・後任者計画と採用システムの統合 継続的な測定と改善 企業で中核となる業務部門では、自動化されたレポートと分析が長年にわたって基本業務であり、その分析シス テムは必須のツールと考えられてきました。たとえば財務部門の場合、ビジネス・インテリジェンスがなければ信 頼性に乏しく、対応も困難です。 「測れないものは改善のしようがない」という格言がすっかり使い古されているのも、それが真実であればこそで す。 「エクセレントカンパニーはエクセレンスを過信しない。絶えざる改善と絶えざる変革を信じるのみだ」 - トム・ピーターズ リテンション・レベルはメトリックとして一般的なものとなっています。グローバルな調査によると、自社でリテンショ ン・レベルを測定しているという回答は 82%にのぼっています 23。単独でも十分な指標なので、リテンション・レベ ルの長期的な傾向を見ることは効果的です。 しかし、企業はあらゆる人材プール(正規と非正規)からタレント・マネジメントに関するデータを組み合わせて情 報を追跡できる必要があります。これには例えば人材獲得の活動から業績管理と後任者計画、社内異動、給与 水準、従業員と企業目標との合致、離職率などさまざまなプロセスやデータが含まれます。学習管理、採用シス テム、業績管理または人事システムなどいくつものシステムが関連することもあり、企業にとっては意味のあるメト リックのまとめを作成することが大きな課題です。 採用担当者や管理者用の分析ダッシュボードが用意された人材管理システムでは、データを取得して対応可能 な情報を表示し、改善に利用することができます。このような情報にアクセスできれば、企業は配置や採用、育成 の戦略を測定して分析し、最適化を図ることが可能になります 23 Taleo Research with Human Capital Institute (HCI), Business Intelligence, Markess International, and Quantum Market Research 、「Global Unified Talent 16 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス Management Survey」、2008 年 ワークフォースに関する分析ソリューションでは、人材の全体像をインサイトするとともに、各人の対応も可能でな ければなりません。レポートはすでに起こったことを伝えるものであり、分析はこれから起こることを伝えるもので す。統合システムであれば、意思決定者は 1 週間前のレポートを確認するのではなく、24 時間 365 日リアルタイ ムでデータを利用できます。 図 8.後任者計画にプールされていない優秀な社員の割合を示すレポートの例 タレント・マネジメントの他の側面でも、-使い易く親しみ易いツールである必要がありますが-、ここでもデータの 取得は簡単にシームレスに実行できる必要があります。ユーザーは、候補者情報の取得、Facebook への求人の 投稿、RSS フィードを通じたキャリアサイトへの新しい求人の投稿などを実行できなければなりません。また、 Microsoft Outlook、Microsoft Internet Explorer、Web サービスなどの一般的なオフィス・アプリケーションとデスク トップツールを利用して、各システムにログオンすることなく、従業員の業績に関するフィードバックも取得できる 必要があります。こういった機能によってクリティカルなデータが得られなかったり失ったりするようなことが回避で き、マイナスのユーザー・エクスペリエンスは無縁のものになります。そしてシステム分析のメリットを享受できるよ うにもなります。 部署、事業単位、全社の規模で必要になるタレント・マネジメントのメトリックについては、ビジネスユーザーが必 要とするメトリックを迅速かつ簡単に設定できる必要があります。分析内容を定義して分析ダッシュボードに組み 込めば、レポートややビジネスオブジェクトに関する専門知識は必要ありません。 標準的なメトリックと KPI を組み合わせて照合し、関連するタレント・マネジメント管理情報のダッシュボード・ビュ ーを作成します。 ワークフォースに関する分析アプリケーションが各種のデータ・ソースから継続的なデータを取得し、個々のユー ザーはパーソナライズされたインタフェースやダッシュボードでそれを表示できます。ダッシュボードではビジネス パフォーマンスに関することに集中でき、12 か月のローリングトレンドにドリルダウンすることもできます。 おもなリテンション業務の効果は、以下のようなデータとメトリックで評価できます。 ・採用の水準 ・ソース別の採用 17 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス ・おもな職種における人材ストック ・自主退職と理由 ・社内流動性 ・昇進レベル(リーダーシップ開発) ・社員のリテンション ・ビジネス戦略に合致した業績目標を達成した従業員の割合 目を引くのは最上層の情報かもしれませんが、実際には次元別の分析も重要です。たとえば拠点別の内部流動 性をドリルダウンでき、ドリルダウンすると基礎データに対して粒度の高い調査が可能になります。 人材管理プロセスは、メトリックの可視化があって初めて意味をもちます。リテンション戦略を実行に移すとき、企 業は該当するデータをすぐに利用できなければなりません。 リテンションのための方策:メトリックと分析 ・リテンション戦略のあらゆる側面にわたってメトリックを取得する。 ・レポート生成とデータウェアハウスの統合 ・問題を調査して根本原因を把握する。 ・人材データに対する分析とドリルダウン ・リテンションを改善する戦略を適応する。 ・タレント・マネジメント・システムを迅速かつ簡単に設定できる柔軟性 結論:テクノロジーのベストプラクティスでリテンションを強化 Fortune 100 のグローバル企業から中小規模まで、優良な企業は各職務に応じた最高の人材を選考し維持する ためのタレント・マネジメントに投資しています。事業を成功に導く鍵は、総合的な人材の優秀さであることを知っ ているからです。採用から業績管理まで、タレント・マネジメント・アプリケーションは個々のリテンション戦略をサ ポートし、まず最高水準の候補者を見きわめ、そして優秀な社員は大切に育成します。 事実、統合的なアプローチで報酬や人材の管理に臨んでいる企業では、クリティカルなスキルをもつ従業員の 維持について問題が発生することは 33%少なく、また最高水準の従業員を維持する困難さも 18%少なくなってい ます。 財政的に優良な企業となる可能性も 18%高いとされています 24。 24 Watson Wyatt/World at Work、「2008/2009 Global Strategic Rewards Report」 18 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス マネージャーが必要とするツールとアプリケーションに対して、利用可能なシステムおよびソリューションを実現 することによって、マネージャーは従業員の明確な目標を定め、有意義な仕事を割り当てて業績を評価し、その 目標の整合を図ることができます。 従業員の側でも、社内のキャリア開発と雇用機会、企業ソーシャル・ネットワークへのアクセスは歓迎されます。 事実に基づく公正なプロセスや、従業員自らが使用できるセルフサービス・テクノロジーの導入が高く評価されて います。 高度なテクノロジーが統合システムを実現し、業績データと採用過程の間でループが完結して、採用担当者は 適材適所で確実に社員を認識できるようになります。また、優秀な社員の成功例から作成した成功パターンを用 いれば、同種の募集も容易です。現在のポジションに適したスキルを有する従業員はさらに生産性が上がり、意 欲的になってリテンションも高くなります。 Web 2.0 技術を利用する統合タレント・マネジメント・プロセスによって、人材情報の取得と分析、レポートが可能 になります。統合されたタレント・マネジメント・プラットフォーム上にビジネス中心のタレント・マネジメント・アプリケ ーションを構築することで、人事部門が管轄するコンプライアンスから、ビジネスユーザーが必要とするタレント・ マネジメントへと重点がシフトします。優秀な従業員は、企業の短期目標と長期目標のどちらについても、自分の 仕事がどのように関わり貢献しているのか、明確に理解できなければなりません。 このアプローチで、従業員は人材管理のライフサイクルすべてを通じて使用できるツールを利用可能になります。 応募者向けのポータルでは応募者が採用過程で現状について最新状態を把握することができ、入社時のソリュ ーションでは新規採用した人材をいちはやく生産性につながる状態に仕上げることができます。そして、革新的 なキャリアプランニング機能によって、キャリアパスを確認し、新規の社内募集を定期的に通知できます。 タレント・マネジメントの情報とプロセスは単一の全体的なビューとして表示されるので、マネージャーは必要な情 報を一目で把握でき、コラボレーションとコミュニケーションのツールを利用してワンクリックで簡単にタレント・マ ネジメント情報を利用できます。テクノロジーが実現するタレント・マネジメントによって、実効的なリテンション戦 略が現実のものとなります。 19 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス Copyright © 2010,2012, Oracle and/or its affiliates. All rights reserved タレント・リテンション:テクノロジーが 実現する 6 つのベストプラクティス 2012 年 6 月 Oracle Corporation World Headquarters 500 Oracle Parkway Redwood Shores, CA 94065 U.S.A. 本文書は情報提供のみを目的として提供されており、ここに記載される内容は予告なく変更されることがあります。本文書は一切間違いがな いことを保証するものではなく、さらに、口述による明示または法律による黙示を問わず、特定の目的に対する商品性もしくは適合性について の黙示的な保証を含み、いかなる他の保証や条件も提供するものではありません。オラクル社は本文書に関するいかなる法的責任も明確に 否認し、本文書によって直接的または間接的に確立される契約義務はないものとします。本文書はオラクル社の書面による許可を前もって得 ることなく、いかなる目的のためにも、電子または印刷を含むいかなる形式や手段によっても再作成または送信することはできません。 OracleとJavaは、Oracle Corporationおよびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。文中の社名、商品名等 は各社の商標または登録商標である場合があります。 IntelおよびIntel Xeonは、Intel Corporationの商標または登録商標です。SPARCの商標はすべてライセンスに基づいて使用しており、SPARC International, Incの商標または登録商標です。AMD、Opteron、AMDロゴ、およびAMD OpteronロゴはAdvanced Micro Devicesの商標または登 録商標です。UNIXはX/Open Company, Ltd.によるライセンスを受けた登録商標です。0612 Worldwide Inquiries: Phone: +1.650.506.7000 Fax: +1.650.506.7200 oracle.com 20 タレント・リテンション:テクノロジーが実現する 6 つのベストプラクティス 21