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John Williams : 組曲 『スターウォーズ』より 今から25年前、目の前の

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John Williams : 組曲 『スターウォーズ』より 今から25年前、目の前の
● John Williams
: 組曲 『スターウォーズ』より
今から25年前、目の前のスクリーンで
A long time ago in a galaxy far,far away
の文字が、金管のファンファーレとともに流れ、胸をときめかせたのは決して私だけで
はないはずです。今年の夏、最新作が公開された時も40過ぎのおじさんがあのファン
ファーレでこれから始まるスクリーンに期待を寄せてしまいました。
1977年に「スターウォーズ」の第一作が封切られ、歴代映画の興行記録を塗り替え
ました。同時にジョン・ウィリアムズが作曲しロンドン交響楽団を指揮したサントラLPは
映画音楽として史上最高の売り上げを記録しました。
ワーグナーの楽劇に用いられたライトモチーフという手法を大々的に取り入れ、かつ
てのハリウッド史劇を思わせるフルオーケストラによるパワフルな音楽は、スクリーン
ミュージックの枠を超え、単独の音楽として充分に鑑賞にも演奏にもクラッシックの地位
を獲得した音楽となっています。むしろスターウォーズを語る上で映画監督のジョージ
ルーカスよりも音楽監督のジョン・ウィリアムズの貢献が大であると言っても決して過言
ではありません。
25 年前、封切られた当時から今でもトランペット吹きたちが自慢気に、あの
「タタタ ターター↑」のメロディーを吹いていますし、オーケストラでもブラスバンドでも
親子二代で憧れた方も多いことでしょう。
さて、本日の演奏は
・メインテーマ , ・レイア姫のテーマ
をお送りします。
メインテーマは、いまさら解説の必要もありませんが、前述のとおりトランペット吹き達
が演奏の機会を狙っている曲です。
レイア姫のテーマは、スターウォーズと聞くとメインテーマのような元気のいい曲を思
い浮かべてしまいますが、ホルンとフルートが落ち着いた綺麗なメロディーを奏でてい
ます。
動と静の両方のスターウォーズをお楽しみください。
● Peter I. Tschaikowsky :幻想的序曲 『ロメオとジュリエット』
曲はゆっくりとした荘重な序奏からはじまり、ローレンス僧正の慈悲深い心を表す主
旋律がクラリネットとファゴットによって奏され、沈んだオーケストレーションによって不
安感が醸し出される。弦は控えめな旋律を奏で、ハープは希望に満ちた上行旋律を
奏します。テンポがアレグロに加速すると共に緊張が高まり、警告するようなローレンス
の主題がフォルティシモで奏された後、再びテンポはゆるまり静まっていきます。
音が大きくなり、争いの主題が始まります。最初はこぜりあいで言い合いをする程度だ
ったものですが、曲が終わりに近づくにつれ、同じ主題にシンバルが入って、剣を使っ
た激しい争いへと変わっていくのが分かります。
そして、愛の主題がコールアングレとヴィオラによって奏でられます。続いて弱音器
付きの弦によって美しく揺れ動く主題が現れますが、ふたたび愛の主題がホルンと弦
の伴奏のもとフルートとオーボエによって奏でられ、聴いている人たちを陶酔の世界へ
といざないます。このあたりが、有名なバルコニーのシーンじゃないかと(笑)。
その後、闘いが劇的に展開されます。その中には、最初のローレンス僧正の主題も
含まれます。とても慌しく、混乱した雰囲気が実によく出ていて、その中で愛の主題、
争いの主題とどんどん激しく展開し、情熱的なクライマックスへと繋がっていきます。
悲愴な音楽が続いた後、再び愛の主題が登場しますが、バックのホルンの伴奏が
もの悲しく響いている気がします。
そして、物語は悲劇へと続いていく…。愛の主題が突如争いの主題と重なり、哀し
みはとんでもない方向へ。ジュリエットが死んでしまったと思い込んだロミオは慌てて
馬を飛ばしてジュリエットの元へ。そして、自分も死んでしまうのです。哀しみの葬送曲
が響き、目覚めたジュリエットはロミオの死を知って後を追う。最後は、優しく儚げなメロ
ディで、二人の愛は死をもって成就したことを知るのです。
● Johannes Brahms
: 交響曲 第 2 番 ニ長調 作品73
ブラームスが最初の交響曲(第1番)を書き終えたのは、構想からなんと20年後でし
た。これはベートーベンの偉大な交響曲群を大いに意識しての慎重な推敲のためと言
われています。しかしその好評を博した初演の翌年1877年夏には、アルプスを望む
オーストリアの避暑地ペルチャッハから友人に宛てて次のような手紙を書いています。
「この冬頃には新しい交響曲をお聞かせできることと思います。とても明るく楽しいもの
で、こちらのヴェルダー湖畔では豊かな自然の中、旋律たちが飛び交っているのだ、
と思われるかもしれませんね」 そしてその年の暮れには、第2番がお目見えします。
肩に力の入らないのどかな田園風景を思わせる、親しみやすい曲想は第1番とは好対
照ともいえます。
冒頭の低弦の歌う「ニ−嬰ハ−ニ」という3つの音は、基本動機として1楽章だけでな
く各楽章の主題や主要な旋律などで使われて、曲全体を統一する役目をしています。
明るい暖かさの中に一抹の哀愁が込められ、奏でられる叙情的な旋律。時にはユー
モラスに。そして最後は金管楽器のコラール風の句から始まって、エネルギーの爆発
というべきクライマックスを迎えます。
演奏する側からしても、弦楽器も管楽器もそれぞれが見事に使われたっぷり満足感
が得られる曲です。今回この曲をやろうという言い出しっぺが、チェロでもホルンでもな
くトロンボーン(出番は必ずしも多くないのに)からだったのは、その象徴といえるかもし
れません。
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