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「持続可能な消費」とは

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「持続可能な消費」とは
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3章/
Introducing
sustainable
consumption
「持続可能な消費」
とは
「私たちが今のままの消費行動を続
ければ、技術がいくら進歩したとして
も、地球は持ちこたえられません。資
源をもっと効率的に活用する方法を、
「持続可能な消費」は、1人1人が問題意識を持って行動することで、バランスを欠いてしまった現代の社会問題や
環境問題を解決しようとするものです。そのためには「生産と流通」「
、消費と廃棄」
といった製品やサービスのライフ
早急に見つけるしかないのです。」
バーバラ・ヤング(イギリス、英国環境
庁総務部長2003年)
サイクル(原材料の採取から製造、販売、使用及び処分に至るまでの、製品やサービスの一生)に目を向ける必要があ
ります。
「持続可能な消費」の目的は、過剰な消費を抑え、世界中の全ての人たちが生活するために最低限必要なもの
を手に入れられるようになることです。そして環境破壊の回避を目的にしています。
「持続可能な消費」は国連が取り組んでいる最も重要な課題の1つで、
「持続可能な開発」
を達成するために欠くこ
との出来ない極めて重要な事項です。
「持続可能な開発」は、次の定義が一般的です。
「将来世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす開発」
社会変革のための手段を提供するのは、政府や法的な規制機関、非政府組織(NGO)や企業の役割と言えるでしょ
う。そして世界中の消費者/市民が本来担うべき、大切な役割は、
これらの組織に対して、
もっと意義のある行動を早
「持続可能な消費」
は英語で
Sustainable Consumption、
SCと表記されることもあります。:
現在でも広く受け入れられているこの定
義は、国連の
「環境と開発を考える世界
委員会(ブルントラント委員会)」
が発行
した報告書「地球の未来を守るために」
が原典です。
(Gro Harlem Brundtland et al., Our
Common Future,
WCED, New York-Oxford, Oxford
University Press,1987, p. 43).
急にするよう促していくことでしょう。
「持続可能な消費とは、1人1人が持っている力を意味します。消費者として力を持たない人はいません。環
境に配慮した商品を選択することは、誰でも出来ます。1人1人が力を発揮すれば、持続可能な商品を生産す
る社会構造も、少しずつ作られていくでしょう。」
「持続可能な消費」の考え方は多岐に渡りま
す。
ともすると複雑で、必ずしも決まった定義は
存在しません。ただし、ほとんどの場合は次のよ
うな共通の特徴を含んでいます。
4人間が生きて行くための基本的なニーズ
が満たされること
4全ての人たちの生活水準が保障され、質
の高い生活が営まれること
4富めるものと貧しいものとが、
ともに資源
を分かち合うこと
4将来の世代を念頭に置いて行動する こと
4製品の生産から廃棄までのそれぞれに おける過程が与える環境への負荷を考 えて消費すること
4資源の利用、
ごみの廃棄、環境の汚染を 最小限にとどめること
「持続可能な消費」の国連の定義は、次のよ
うなものです。
「持続可能な消費とは、将来世代
のニーズを損なわないために、ライフサイクル全
般を通じて天然資源の利用および有害物質や
廃棄物・汚染物質の排出を最小限に抑える一方
で、基本的なニーズを満たし生活の質を向上さ
せるようなモノやサービスを使用すること」(国
連開発計画、1998年)出典:「持続可能な未来
を教え、学ぶ̶̶マルチメディア専門開発プロ
グラム」、UNESCO 2005年www.unep.fr/pc/
sustain/10year/SCP_Resource_Kit.htm
国連環境計画(UNEP)は
世界中の専門家と供に
「持続
可能な消費」
についての討議
を重ねています。
「 持続可能
な消費ネット(SC-net)」は、
話し合いと情報交換の場と
して、全ての人に公開されて
います。
www.uneptie.org/sustain
コフィ・アナン(前国連事務総長)
ニューヨーク、2004年4月29日
:www...
youthxchange.net
持続可能性の定義について、詳しく
は次のサイトを参照して下さい。
www.unep.fr/pc/sustain
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出典:「持続可能な未来を教え、学ぶ
̶マルチメディア専門開発プログラム」、
UNESCO 2001年
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そこで国連の二つの機関、国連教育科学文化機関(UNESCO)と国連環境計画(UNEP)は共同で、環境と社会に配
慮した生活様式について若者に考えてもらい、暮らし方を見直してもらうよう働きかけることにしました。
「持続可能な消費」
とは消費自体を減らすことだと考えがちです。
しかし、必ずしもそうとは限りません。今までとは
異なる消費の仕方や、
もっと効率の良い消費をすることも大切です。世界中には既に過剰に消費している人たちがい
る一方で、生活に必要なものすら消費できない人たちがいます。その隔たりを解消することが大切なのです。
世界の20億人以上は生活に必要な最低限のものすら、消費することが出来ません。
UNEP、若者と持続可能な消費、
ナイロビ/パリ、1999年10月
「世界には生き延びるために必要な最低限のものすら、消費することが出来ない人たちがたくさんいます。
ですからそれ以外の人たちは、
自分たちが恵まれていることを良く自覚して消費を考え直す必要があります。
そうすればより少ない天然資源と、
より少ない温室効果ガスの排出で、世界中の全ての人たちが、生き生きと
希望に満ちた生活を送ることが出来るようになるでしょう。」
アーネスト・フォン・ヴァイゼッカー、
エイ
モリー・B・ロビンズ、L・ハンター・ロンズ
共著「ファクター4:富を2倍に、資源の使
用を半分に」
Earthscan publications, UK 1998,
www.factor10-institute.org
そのための方法として、
「ファクター4」(資源の利用効率を4倍にする)と
「ファクター10」(環境効率を10倍にする)と
いう考え方があります。
「ファクター4」
とは、資源の消費量を今の2分の1に抑えながら、世界中の人たちの平均的な
生活水準をいまの2倍に引き上げるために、私たちはここ数十年間で資源の利用効率を今の4倍にする必要がある、
という考え方です。
また「ファクター10」
では、先進国で2050年までに、資源の利用効率を今の10倍にまで引き上げ
る必要がある、
としています。環境問題を克服し、なおかつ世界中の人たちが平等に資源を活用できる社会を実現す
るためには、今までの私たちの生産と消費に対する考え方や行動を改める必要があるのは明らかです。
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UNEPによる持続可能な消費と生産に関する
情報キット(The UNEP Resource Kit on
SC and Production)は、12の主要な消費
分野(広告、デザイン、エネルギー、食、住居、
レジ
ャー、ライフスタイル、交通、情報通信技術、
ファ
ッション、観光、水)に関する情報を提供していま
す。現在は、英語とフランス語で入手できます。
この情報キットでは、各分野の消費が環境と
社会へ与える影響を明らかにしています。また個
人や企業、それに地方自治体が環境に配慮した
活動を実践できるよう、世界中の参考になる事
例を紹介しています。
www.unep.fr/pc/sustain/10year/SCP_
Resource_Kit.htm
ミレニアム開発目標
(The Millennium Development
Goals - MDG) 「ミレニアム」
とは英語で
「千年間」
を意味します。
「ミレニアム開発目標」
はこれからの世界の開発に関する課
題を解決するために設定された目標
です。具体的には、2015年までに達
成すべき8つの目標を掲げています。
ました。
8つの目標(貧困の撲滅、教育の普
及、社会的な性別の平等、子供の死
亡率の削減、妊婦の健康の改善、疫
病の防止、持続可能な環境作り、社
会が運営される仕組みの改良)には、
18の具体的な数値目標が設定され
ています。
さらに数値目標は48の指
標で評価できます。
を達成する
「ミレニアム開発目標」は2000年 「ミレニアム開発目標」
9月に開催された「国連ミレニアム・ ための効果的な手段として期待さ
「 持続可能な消費と
サミット」
で、147の国家元首を含む れているのが、
189の加盟国の代表が採択した
「国 生産(Sustainable Consumption
の考え
連ミレニアム宣言」
を基にして作られ and Production :SCP)」
方です。これは2002年の「持続可
能 な 開 発に関する世 界 首 脳 会 議
(World Summit for Sustainable
Development :WSSD)」
から派生し
た概念です。
「ミレニアム開発目標」
に
ついて、詳しくは16ページの
「私たち
が優先して取り組むべきこと」
を参照
して下さい。
www.undp.org/mdg
外務省 MDGsってなんだろう?
http://www.mofa.go.jp/mofaj/
gaiko/oda/doukou/mdgs/
ks_01.html
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