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マイナンバーと社会情報システムの全体最適

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マイナンバーと社会情報システムの全体最適
テーマレポート マイナンバーと社会情報システムの全体最適
2
情報システム部 参事 中田 和雄
「行政手続における特定の個人を識別するための
ことで、社会情報システムの全体最適が図れるのだ。
番号の利用等に関する法律案(マイナンバー法)」に
基づく「社会保障・税に関わる番号制度」は、国や
地方自治体の対応
地方自治体、および金融機関や公益事業者などが管
一部の地方自治体では、情報システム間の連携に
理運営する社会情報システムの効率性や費用の最適
よる行政サービス向上と業務改革の同時実現、すな
化(全体最適)の議論に大きな影響を与える、注目
わち社会情報システムの全体最適が既に行われてい
すべき施策である。
る。例えば、庁内の各課が持っていた住民向け窓口
機能を「総合窓口システム」として一元化し、各課
社会情報システムの問題点とその解決法
が所管する制度ごとの業務システムと情報連携基盤
現在の社会制度とそのシステム(社会情報システ
でつなぐことによりワンストップ・サービスなどの提
ム)は、制度・組織ごとに自律分散した状態にあり、
供と業務の効率化を同時に実現している。
各種の業務機能と情報を個々の制度・組織の単位で
また、地方自治体にとって今回の「社会保障・税
保有・運用している「縦割り型(サイロ型)」となっ
に関わる番号制度」で整備される情報連携基盤は、
ている。このため、制度・組織の「内部の仕組み」
今まで自庁内で閉じていた情報システム間連携の範
のシステム化は相当進んでいるものの、制度・組織
囲を、他の自治体や国の機関など、庁外に拡大する
間の連携は「ヒトと紙」に頼っている部分がほとん
仕組みとして位置づけられる。この拡 大によって、
どであり、非効率である。また、制度・組織の「内
地方自治体側の「行政サービス向上と業務改革」も、
部の仕組み」自体も、社会全体から見ると重複部分
より一層進めることが可能となるだろう。
が多く、同様に非効率であるといえよう。
この非効率さを解決するためには、社会制度全体
図 自律分散協調型の情報システムによる社会制度
を「自律分散協調型の情報システム」として捉える
社会の構成要素(ヒト・モノ・カネ)
ことが必要だ。一つは、
「制度・組織間の連携(協調)
機能」を共通基盤化すること。もう一つは、各制度・
住民は、社会制度全体に対して
やり取りすれば良い(ワンストップ化)
組織の「内部の仕組み」のうち重複している部分、
収・支給機能」を、住民側から見て一元化(ワンストッ
プ化)し、複数の制度・組織間で共用することだ。
冒頭に述べた「社会保障・税に関わる番号制度」
この基盤に、社会保障・税に関する個々の制度・組
織の「審査機能」「賦課・給付決定機能」をつなぐ
賦課・給付
決定機能
機能を社会全体として共通基盤化したものである。
審査機能
組織間の連携」と「状況把握」「徴収・支給」の各
賦課・給付
決定機能
クシステム)やマイ・ポータルなどの機能は、
「制度・
審査機能
用されている。情報連携基盤(情報提供ネットワー
徴収・支給機能
制度・組織間の連携機能
賦課・給付
決定機能
分散協調型の情報システムとして捉える手法」が採
状況把握機能
審査機能
のシステム化にあたっては、この「社会制度を自律
情報通信技術の活用を前提とした
社会制度の仕組みの構築
つまり住民側との接点となる「状況把握機能」と「徴
(台帳)
(台帳)
(台帳)
社会制度
A
社会制度
B
社会制度
C
制度・組織間の連携、状況把握、徴収・支給の
各機能を基盤化して複数の制度・組織で共用
出所:総務省「地域情報プラットフォーム活用推進事業」成果報告書から
三菱総合研究所作成
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