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四 国 西 南 部 の
崎 層 群
一
一
朝 彦
甲藤次郎・平
(高知大学理学部・地質学教室)
The
Misaki
Group
(Miocene),
Southwestern
Shikoku
by
Jiro
(Detiartniejit
Katto
of Geology,
and
Faculりof
Asahiko
Taira
Sciences, Kochi
UniversiりKochi,
Japan)
Abstract
A thick sequence (3000m)of
interbedded
sandstone
and mudslone
of the Miocene
age is exposed
along the coastal area between Tosashimizu
and Tatsukushi
of the southwestern part of the
Kochi Prefecture, Japan. This sequence, previously called the Misaki Formation, was redefined
as the Misaki Group, consisting of three formations ; the Yoro, Hamamashino
and Tatsukushi
Formations
in ascending order. The Yoro
Formation is composed
of mudstones intercalated
with rippled very fine・grained sandstone layers. This formation was interpreted to be deposited
on offshore mud-dominated
sea floor with occasional supply of storm-generated thin sand layers.
The Hamamashino
Formation consists of multiple sets of second-order coarsening-upward
cycle
with horizontal and ripple stratifiedmedium-grained
sandstone layers. This formation was interpreted as small marine sand bar − shelfsheet sand deposits. The lower part of the Tatsukushi
Formation
dominant
displays multiple sets of larger scale second-order coarsening-upward cycle.
The
sedimentary structures are low-angle cross stratificationand hor皿ontalstratification.
This cycle was inferred to be generated by migration of large shallow marine sand bar complex.
The upper part of the Tatsukushi Formation is composed
of fining-upward cycles with trough
cross stratifiedvery coarse-grained sandstone layers at the base. This part was interpreted as
subtidal channel deposits and the uppermost part, paralic supratidal meanc!ering stream deposits.
The nature of fossil fauna and abundant
trace fossil assemblage support these interpretations.
Therefore,
the Misaki Group
as a whole shows
a first・order coarsening upward
cycle of
progradational shallow
marine clastic wedge
which
overlies the highly deformed Paleogene
Shimanto
Terrene, the subduction complex. The contrasting depositional environments
and less
-deformed structural'd'attitudeof the Misaki
Group indicate a major change in the tectonism
the Southwestern
Japanese Arc possibly during the late Oligocene and early Miocene.
目
I
n
Ⅲ
次
はじめに
地質概説と時代
層序区分と堆積環境
養老層
浜益野眉
Ⅳ
生痕化石相との対応
V
三崎召群の形成プロセス
\1
むすび
文 献
竜串層
I
は じ め に
四万十帯南部には,古第三系のいわゆる゛四万十帯南帯プロパー″の地層群と不整合あるいは断
層で接する一連の地層群が分布している.紀伊半島の熊野・田辺両層群および本論文でとりあげる
四国南部の三崎層群などがそれである.
高知大学学術研究報告、地質学論文、通巻第77号
of
166 高知大学学術研究報告 第2?巻 自然科学_
これらの地層群は,下位の゛四万十帯プロパー″の地層群と,堆積環境・地質構造において著し
い相違かあり,その間に,西南日本外縁部のテクトニズムに大きな変化があったことを示唆してい
る. 1
本研究の目的は,三崎層群の層位学的研究,特に堆積環境を解明し,三崎層群形成のプロセスを
明らかにすることにある.
n 地質概説と.時代
四国西南部,高知県土佐清水から竜串にいたる地域(第1図)の研究史は古いが,本地域の地質
学的位置をまず明らかにしたのは鈴木達夫(1938)であろう.
鈴木は,足摺半島部から竜串にわたる地域を,下位から大浜層(白亜∼ジュラ系?)・浦尻層
(同)・以布利層(同)・九輪森統(松崎層・水嶋層,第三系∼白亜系)および三崎層(第三系古
期)に細分した.またこれらの地層群の北西側は,三崎断層によって,四国西南部の広大な面積を
しめる四万十統(ジュラ系)と接すると考えた・
甲藤(1960
・ 1961)は,’高知県地質鉱産図及び同説明嗇において,前述の三崎断層の南東側の鈴
木(1938)によって細分された地層群を整理して,三崎層(漸新統)と室戸層に対比される清水層
(始新世∼漸新世)に分けた.三崎層は,鮮新世の越層(甲藤.
1952)により不整合でおおわれ
る.越層については,本論文では調査対象としていないめで,ここではそれらの記述は省略する.
その後甲藤(1977)は,土佐清水市加久見を北西一南東に走る加久見断層並びに特異な加久見篠
岩について報告し,加久見∼養老∼落窪∼下益野にわたる海岸線に模式的に露出する地層は,中新
統であろうと述べた. ’
三崎層は,西側では爪白を東北一西南に走る三崎断層によって来栖・野層(漸新統:甲藤・三井,
1976)と接し,また東側は鈴木(1938)によれば水嶋層と断層で接するとされているが,断層関係
ではなく漸移している.
したがって,三崎断層と加久見断層にはさまれた三角形の地域に露出する地層は一連のものと考
えられ,ここに下部の泥岩を主体とする部分を養老層,中部の砂泥互層部を浜益野層,上部の砂岩
優勢部を竜串層と称する(第2図).
Fルト→ト
夕
0
5
10km
第1図位置図
1.土佐清水 2.大浜 3.浦尻 4.以布利 5.加久見 6.松崎 7.九輪森(294m)
8.水島 9.上野 10.三崎 11.竜串 A.三崎断層 B.加久見断層.
167
四国西南艇の三崎層群 (甲藤・平)
15j←一一・
8  ̄ぞ ̄ ふ4==⇒
に 17
a
I ●●A・●
第2図 三 崎 層 群 地 質 図
矢印で第3・4・5・6・8・9図の位置を示してある.
凡例 1沖積層,2越層,3竜串層,4浜益野層,5養老層,6清水層,7来栖野層
8走向・傾斜,9断層,10推定断層,11地層境界,12漣痕古流向(数字は測定単層数)
13斜交層理古流向,14フルート・キャスト古流向,15漣痕波動方向
16グループ・キャスト方向,17イヒ石産地
A−A三崎断層,
B-B加久見断層,C−C斧積断層
地名 a養老,b松崎,c落窪,d九輪森,e中益野,f下益野,g浜益野,h三崎,i千尋岬,
j朴(イヒ石漣痕),k見残,1竜串,m海中展望塔,n爪白,o平ノ段,p下ノ段,g斧積,
r上野,S高畑,t水島,u加久見
そして,これら3つの地層を一括して,
三崎層群と定義する.三崎層群は3000m以上の層厚をも
つ
養老層は極細粒∼細粒の砂岩薄層と泥岩の泥がち細互層からなる.
浜益野層は中粒砂岩と泥岩の
互層,竜串層は粗粒∼極粗粒砂岩と泥岩の砂がち互層を主体とする.
竜串層には篠岩も含まれる
(第1表).
三崎層群の砂岩はサファーごコーズ質で,竜串層中の磯は,砂岩・頁岩・スレート・凝灰岩・チャ
ート・片岩類・花肖岩・火山岩類・石英脈岩などである.
168
高知大学学術研究報告 第27巻 自然科学
古流向は主として北方からの供給を示すので,四方十帯北部・秩父帯・三波川帯などが後背地と
して考えられよう.
三崎層群は,比較的単純な地質構造をもつ.
走向は北東一南西が主体で,西へ10∼60度程度の傾斜をもつ.80度以上の急傾斜をなす部分は,
九輪森北方の浜益野・養老層中にみられるが全体としては少ない.また榴曲も部分的なもので,大
構造を支配するようなものはない.したがって,大きくみれば,東から西へ,単純に重なった単斜
構造をなす.
東側は加久見断層で清水層(古第三系)と接し,西側は三崎断層で来栖野層と接する.
加久見断層は,高畑北方で三崎断層で切られる.
三崎層群の中央部には,斧積断層(第2図)が通り,浜益野層の基底から判断して左ずれに約
1.8 kmほど変位している.
加久見付近では,緩傾斜の養老層か清水層と加久見断層で接す.る.清水層は,はげしく摺曲し,
また部分的にはブロック状に変形し急傾斜している.著者のニ人甲藤(1977)が報告した土佐清水
市汐見町西の海岸に露出するいわゆる惣口久見篠岩″については,現時点では清水層に含まれるも
のか,断層中にはさまれた三崎層群基底部の礎岩眉なのかまだ判然としていない.
従来,三崎層群からの化石の報告は数少ないが,比較的貝化石を多産する浜益野層については,
その地質時代は,上野(位置は第2図参照)から産する化石(甲藤,
1961)を再検討した結果,漸
新世ではなく中新世と考えられる.(図版V,写真1).
上野(浜益野層)産主要化石
Å,1αjαΓa
sp.
Striarcasp. ト
Acquipecteれ
ci.りushuensis(Nagao)
Chlamys
TnisafeiensisKatto
Clementia(Ekesは)tosaeれsis
Katto
Costacallhta
shifeofeuensis
Katto
CIぷspid
aria(Ccirdiomya)yaheiKatto
Caれcellaria
feochiensis
Katto
また下記の植物化石を産するが(甲藤,
1952),故遠藤誠道博士によればこれらは中新世を示す
ようである.
Quercus sp. (Q.
cii. acu£a?)
QI£ercMS
sp.(Q.
C?T,glauca‘?)
Cinnainomum.
sp.
Dりebhyllumi
Sp’ ● \ つi9
その他の化石としてはヒトデを産する(甲藤,
1952). またその後,本地域の爪白(第2図参
照)から下記の化石か溝渕富弘氏によって採集され,研究資料として提供をうけたのでここに付記
する.‘
爪白(竜串層)産化石
“Tellina”cf.
mαxima Nagao
Caりcorbula
sp.
Variocorbula sp.
Am
「thea sp.
Balanu%
sp.
Eburれeobecten
sp.
四 国 西 南 部 の 三 崎 層 群 (甲藤・平)
Brachyura
gen.
Echinoid
gen.
sp.
sp.
169
indet.
indet.
また竜串∼千尋岬間(竜串∼浜益野層)の生痕化石については,既にOphiomorpha
Lundgren・Sbongia
shifeofeuensisKatto (Katto,
Nereites
muTotoenns
jnisafeiensts
Katto
(Katto,
1960a),
1960),
Convoke
Tubular
bedding
structures
structure・
(Katto,
1952)や漣痕・Flow
Cylindrical
・ Concretions
(Katto,
casting
・ Tongallen
1960b),
1965)の記載があり,また同地域の堆積構造に
ついては,漣痕と層面についての考察(深田・生越,
藤,
Worm
nodosa
structure
(Katto,
(Katto,
1961),
1960),
cast・
Groove
Gennoishi
Cross-ripple
cast (甲
(Katto,
marks
1960),
・ Slump-ball
1965)などの記載がある.
以上の化石・生痕化石類などから判断すると,三崎層群はその大部分が浅海域で堆積したと考え
られる.
Ⅲ層序区分と堆積環境
養 老 層(新称)
〔定義〕
従来,清水層(甲藤,
1960 ・ 1961)に含まれていた土佐清水市落窪から養老にかけての海岸に分
布する泥岩及び泥岩勝ち細互層は,従来の三崎層(甲藤,
1960 ・ 1961)と整合一連のもので,三崎
層の下位に連続するものである.したがって,土佐清水市落窪のバス停の海岸沿いに露出している
厚さ40cm程度の砂岩層をもって境界とし,これより下位を養老層とする.養老層は,東側の加
久見断層で清水層と接する.
〔模式地〕ダ
土佐清水市落窪∼養老間の海岸
〔層厚 600m十〕
〔分布〕
落窪∼松崎∼養老海岸および九輪森北方
〔模式地における岩相と堆積環境〕
ENVIRONMENTS
FACIE5
養老層における代表的な岩相を第3
図に示す.養老層(図版n,写真1)
は,泥岩に数センチ間隔で極細∼細
粒の砂岩の薄層をはさむ細互層をな
す.
OFFSHORE
MUD FLAT
Thin bedded
mudstone
V f sst
砂岩は頻繁に漣痕葉理を示し,とき
にブレザー(flaser)あるいはウェイ
ビー(wavy)漣痕葉理をなす.漣痕
は波漣痕(wave
ripples)・水流漣痕
(current ripples)の両方が認められ
る. これらよりもとめられた波の振動
方向は南北,流れは北からを示してい
B =Bioturbatc
C = Contorted
R=Rippled
る. この薄互層は,多数の波漣痕の存
在’,タービダイト堆積構造(ボーマシ
?
ーケンス)の欠如,更に上位層の示す
第3図 養老層の沖合泥底(Offshore
mud floor)
堆積物の詳細.第2図に地点を示す.(追記:左側
堆積環境との関連等から,ターピダイ
・説明中のmud
flat はmild
floor と改める)
170 高知大学学術研究報告 第27巻 自然科学
卜互層ではなく,沖合のストーム堆積物の互層と推定される・
一般に浅海域では,細粒物質(粘土・シルト)の拡散・運搬は温度・密度等の差によってできる
海水中の境界層を通じて行われる.
たとえばKulm
(1975)がオレゴン州沿岸の大陸棚で行なった研究では,河口よりもたらされた
細粒物質は(1)季節的にできる表面近くでの温度境界層(thermocline)
る密度境界層(pycnocline)
(3)底面部の懸濁層(bottom
(2冲深部に恒常的に存在す
turbid layer)を通じて,底層流・表層
流あるいは内部波等により浮遊・運搬されることが示された.
養老層中の泥岩層においても,このような拡散・.堆積の機構が考えられ,細粒物質は浅海域で比
較的一様に堆積したことが推測される.もちろん細粒物質の供給には,季節的な変化あるいは集中
豪雨などにより一時的な供給量の増加(Drakes,
1972)等の変化もあり,それは泥岩の層厚の変
化や微細な成層構造となって表われていると考えられる.
このような細粒物質の堆積プロセスは,時折のストーム(低気圧,台風)によって乱される.浅
海堆積環境におけるストームプロセスの重要性は,すでにいくつかの現世堆積物の研究において強
調されている(Hayes,
1967;
Reineck
and
Singh,
1972; Kumar
and
Sanders,
1976)・
ストーム時の強風によって引き起こされる表層流は,大陸棚の水塊のかくはん・移動に決定的影
響を与えることが知られており(Swift,
1974),特に潮流と相まって強い底層流を生じると考えら
れる.このストーム時の底層流は,浅海における砂,更に粗粒の貝殼片・礎等の運搬・推積のプロ
セスを支配していると考えられる.このようなストームに伴う強い底層流と波浪の作用は,浅海上
に砂・篠をシート状に堆積する.養老層にみられるような漣痕葉理・水平葉理を示す砂層は,この
ようなストーム起源のものと推定できる. ¨
以上の2つのプロセスの繰り返しにより,養老層に見られる互層が形成された.従って,堆積相
としては沖合泥底相(offshore
mud
floor facies)と呼ぶ.
さらに浜益野層での漸移帯泥底相(transitional
(interbar
mud
mud
floor
facies),竜串層での砂州間泥底相
floor facies)も基本的には同じプロ;セスでできたと考えられる.
このような浅海ストーム起源の互層は,外見は乱泥流による砂泥互層と似ている.実際,ストー
ム底層流においても,堆積のプロセスは(1)初期の強い流れに伴う堆積物の懸濁・運搬,
衰に伴う堆積と,・ その順序は乱泥流の場合と変わらない.ストーム底層流と乱泥流の根本的違い
は,後者は堆積物の懸濁した流体自身の重みで流れるというごとだけである.さらにストーム時に
おける堆積物のかくはんは乱泥流の引き金となり得るめで事は複雑である.
しかるに三崎層群における互層の多くが乱泥流起源でないと判断する証拠としては,まず第一に
他の堆積相との関連から,乱泥流堆積物とは考えにくいということである.
すなわちこの互層は,海底砂州の堆積物と考えられる厚い砂岩層を挾在し,さらに上位では大規
模な砂州群に漸移していると解釈できるからである.このことは以下に述べる記述を読めば理解し
て頂けるであろう.
その他の点としては,(1)大規模な級化構造あるいは塊状無層理構造のように堆積物重力流(平,
1978)を示す堆積構造が少ない(2)大規模な侵食構造,チャかレ構造か少ない(3)波漣痕か数多く
見られる等があげられる.また生痕の観察によると,厚い砂岩層の多くは何回も間隙をおいて堆積
したもので,乱泥流堆積物のように一度に推積したものではないと考えられる.
一般に,これまで乱泥流堆積物の牛メ手として用いられてきたのは,砂岩層での級化構造と豊富
なソール・マークの組合せである.
しかし三崎層群ではこれらは数が少なく,乱泥流堆積物と推定する積極的証拠に欠けている.
(2)流れの減
171
四 国 西 南 佃 の 三 崎 層 群 (甲藤・平)
浜益野層(新称)
〔定義〕
従来の三崎層下部に発達する砂岩刈
は,下位の養老層,上位の竜串層とは整合関係にある・
竜串層との境界は,千尋岬見残しの゛びょうぶ岩″の下面をもってする(図版1,写真2).ま
た相当する境界は,三崎町から三崎中学校を結ぶ線を通っている.
〔模式地〕
警誓蓬 一
岸,および千尋岬東側の海岸
〔層厚 1400m〕
[分布]
SMALL
SAND
SHEET
落窪,九輪森,浜益野,下益野,中
ぺE∼’︰い a’ FACIES
ENVIRONMENTS
土佐清水市落窪∼浜益野沿いの海
MARINE
BAR
&
SAND
Thin
bedded V.f.sst
mudstonz ゛
Rippled m sst
Plane bedded m sst
Contorted
m. sst.
Low angle
m sst
cross
益野,上野,高畑,千尋岬東側
〔模式地での岩相と堆積環境〕・
゛ ’
浜益野層は,養老層に類似した泥岩
a 尚
の卓越した部分とやや厚い細∼中粒砂
Mud
岩との互層部分よりなる(図4).
の砂岩層と薄い泥岩の互層で,砂岩層
は平行葉理・低角度葉理・漣痕葉理を
主体として一部トラフ斜文葉理を示す
第4図
(第5図;図版U,写真3・4・5)・
M ひ作作
含む互層部分は,数十cm程度の厚さ
chips
゛
薄い砂岩層をより頻繁に挟んでいる
(図版U,写真2).やや厚い砂岩層を
.一一.・・い一一.・.・J一︼・に. ぎ
二
TRASITIONAL
MUD FLAT
泥岩の卓越した部分は,養老層より
bedded
Massive
mudstone
ルを示す柱状図.
浜益野屈中の
第2図に地点を示す.(追記:左側説明中の
mud flatはmud
floor と改める)
コンボリューションも豊富である.砂
岩層の特徴は,レンズ状をなし,側方への厚さ・内部堆積構造の変化か著しい. このようなレンズ
状砂岩層は,側方連続性のよいタービダイト砂層と異なる.また砂岩層中で級化層理を示すものは
ほとんどない.
このような砂岩の特徴より,浜益野層は,養老層のようなストーム互層と,浅海でのシート状砂
州の砂岩互層とから構成されていると推定できよう.
さらに竜串層下部は,基本的には浜益野層より大規模・粗粒な砂州堆積物からなる.したがって
浜益野層は,養老層と竜串層との漸移相である. ・
大規模な海底砂州の辺縁部に,独立した小規模な砂州群が発達する状況は,内陸の大規模な風成
砂丘群の例(Norris
and Norris, 1961)から推測できる.さらにストーム時に海底砂州群から砂
が沖合に向かってシート状に堆積していったと考えられる.浜益野層中には,東→西への古流向を
示す砂岩層があり(第2図,第5図),海岸に平行な方向での砂の運搬も行われた.
浜益野層中の厚い砂岩層は,竜串層より漣痕葉理が卓越しており細粒である・
このことは底層流・波浪の影響か浜益野層では竜串層より弱かったことを示している.
以上のことより,浜益野層中の泥岩の卓越した部分は,沖合泥と砂州群との漸移帯に属するの
で漸移帯泥底相(transitional
mud
floor facies)と呼び,互層部を小海底砂州−シート状砂体相
(sand bar-sheet sand facies)と呼ぶ.
高知大学学術研究報告 第27巻 自然科学
172
CURRENT
DIRECTION
N
N 卜
50
cm
匡E3Rゆple sμatificat・on
匝]
Burrows
医回目こ輿忿
 ̄Cross stratification
回国ΞI FUser
匹]
Mud
│Ξ翌il
Trough ’
cross stratification‘
a2互j
四
Mudstone
rヨ回三1 Horizontal
5m
stratification
stratification
Convoluいons
clasts
第5図 浜益野層,小規模砂州層(Small
sand bar)の断面.
基底を平面として作図.第2図に地点を示す.
朴における厚い細∼中粒砂岩相には,図版IV,写真4のような見事な漣痕か発達しており,ここ
では厚さ約5.3cmの砂岩勝ち砂泥互層間に4枚の水流漣痕と16枚の複合漣痕が見られ,その下部
の砂岩層には環虫類の這い跡のNereites
murotoensts
misakiensts
Katto (図版V,写真2)がみ
られる.
またこの堆積相からは,或る種の環虫類の這い跡と考えられるNanfeaites
kochiensisKatto
(図
版V,写真3)が見出される.
竜 串 層(新称)
〔定義〕
従来の三崎層上部に発達する粗粒∼極粗粒砂岩を主体とする部分を竜串層と命名する.
下位の浜益野層とは整合関係にある.上部は,三崎断層で来栖野層と接する.
〔模式地〕
土佐清水市竜串∼爪白の海岸
〔層厚 1000十αm〕
〔分布〕
竜串,爪白・平の段・下の段および三崎川沿い,斧積断層まで
〔模式地での岩相と堆積環境〕
竜串層は大きく下部と上部に区分できる.
竜串層下部は主として非常に厚い中∼極粗粒砂岩からなり(第6図),ときおり篠岩も含む.堆
積構造は低角度斜交葉理(傾斜5度前後で,波高O.5
1.5m,波長5∼20m程度のトラフ斜交葉理
である)一水平葉理が卓越している(図版Ⅲ,写真1・2)・
この厚い砂岩相は,下部に互層部・泥岩部を伴って1つの上方粗粒化をなし,竜串層下部ではこ
のような粗粒化サイクルがいくつも認められる.このサイクルは,砂岩層は風化に強く,泥岩層は
弱いので,地形的に明瞭にあらわれる.たとえば,竜串には少なくとも5つの粗粒化サイクルのセ
ットか認められる(第7図)・
第7図は竜串の地質案内図で,竜串における゛見どころ″を示している.
17ろ
四 国 西 南 部 の 三 崎 層 群 (甲藤・平)
ENVIRONMENTS
FACIES
C
C8 C
MARINE
SAND
BAR
C
Low angle crass bedded
c.sandstone
Low-angle
c.sandstone
50
B
cross bedded
40
C
Low-angle cross bedded
c.sandstone
C
Contorted
m.ヽf. sandstone
R
BAR
MARGIN
C.B
Burrowed
m.-c
sandstone
B
B
Low-ar・gle cross bzdded c sandstone
Trough cross bedded m −csandstone
INTER-BAR
MUD
FLAT
Thin bedded
ripples
V f sandstone,
R R
第6図 竜串層下部の上方粗粒化サイクルを示す柱状図.
第‘2図に地点を示す.(追記:左側説明中の
mud
flat はmud
floor と改める)
mudstone
174
高知大学学術研究報告 第27巻 自然科学
第7図 竜串での見どとろを示す主要露頭案内図.
竜串からは,甲殻類によるサンド・パイプOphiomorbha
nodosaLundgren (図版VI,写真1)
を産し,少なくとも水深50m以浅の浅海下の堆積であることを示している(Dike,
地域には漣痕もしばしば発見され,また層面とほぽ平行或いは斜交乃至直交する各種のサンド・パ
イプが多数発達している.
以上から判断すると,竜串周辺の地層については,潮間帯近くの比較的浅い堆積環境が推定され
る.
このように多量の砂が浅海一沿岸域で集積している所は,現在の大陸棚上では,砂浜あるいは海
底砂州帯(ここでは砂州の形態がわからないので漠然と砂の集合体を指す)がある.しかし竜串層
下部にみられる低角度斜交葉理一水平葉理は,クサビ状の葉理のセットからなる砂浜でのビーチ葉
理と異なっており,またビーチ堆積物と考えた場合には,竜串層下部内で何回もの海進・海退のフ
ェーズを想定しなければならず,困難がともなう.
一方,いくつもに配列した海底砂州を考えれば,第6図に示したような上方粗粒化サイクルは無
理なく説明できる.すなわち,竜串層下部はこれ!こ海底砂州堆積環境による解釈を適用すると,き
1971).また本
175
四 国 西 南 部 の 三【崎 層 群 (甲藤・平)
つの部分からなる小サイクルの繰り返しとして把握できる.
それらは1つの海底砂州の配列に対し(1)砂州間の泥岩堆積相(interbar
州辺縁部堆積相(bar
margin facies) (3)砂州堆積相(bar
mud
floor facies) (2)砂
facies)であり,これらで1つの上方粗
粒化サイクルをなしている.
養老層から竜串層下部までの重なり方は,これらの小サイクルと基本的には同じであり,沖合か
ら海底砂州帯まで全体のプログラデーションによってできた大サイクルである,
現世の海底砂州の堆積構造(Houbolt,
p. 103-132; Johnson,
1968)および地層中での例(Banks,
1973; Harms,
1975,
1976)によると,海底砂州の多くはトラフ・タビュラー斜交葉理,あるい
は大規模な傾斜面から構成されている.しかるに竜串層下部は,主として低角度斜交葉理・水平葉
理からなる.
この理由としては(1)竜串層下部は粗粒なため粗粒平滑床(coarse
ォームとして卓越したこと(Harms,
plane bed form)がベッドフ
1975, p. 21) (2)潮流とストーム底層流の方向が斜交あるい
は反対で,砂州が高い堆積斜面を形成せず,比高の小さい対称形のシート状砂州をなしていた等が
考えられる.
またこの堆積相にば乱堆積″構造が数多く見られ,地元では通称゛しぼり幕″(図版
,写真3)
3),゛らんま石″などと呼ばれている.
程度,高さが0.5∼1
SUBTIDAL
CHANNEL
COMPLEX
5ni程度で,単一
をもつ. ゛しぼり幕″層は,上位の層に
5UBTIDAL
NATURAL
LEVEE
層の堆積前にできたことを示している・
゛しぼり幕″の成因については,細粒物
質の上に砂層がのっている不安定な状態
(一般に堆積後まもない状態では密度
SUBTIDAL
CHANNELNATURAL
COMPLEX
は,砂層>泥層である)において(レー
リー・テーラーの不安定面),地震等の
ショックにより,砂泥層が液化流動現象
を起こしてできたと考えられる.更に液
化現象に伴った排水によってできたと考
えられるdish
structure もみられる(図
版Ⅳ,写真2).
竜串層上部は,桜浜以西に分布する・
主として大規模なトラフ斜交葉理をなす
SUBTIOAL
CHANNEL
COMPLEX
に ︸ご 一 ≒ に -
堆積的に切られており,この構造は上位
Trough
cross bedded
V.C -C sandstone
’¨ の゛しぼり幕″層では比較的一様な波長
匹J オ= 一 ︷心
している.゛しぼり幕″は波長が1へ・3m
−’ 一︷一 ENVIRONMENTS
bedding)は,特に砂州辺縁部相に発達
5 010 10 心 七 言5
易 易 謬 0510 5 0
﹄諮言皿⋮⋮
一
このような渦巻状構造(convolute
ne, mudstone.
rrows
Trough
cross bedded
vc.ヽcsandstone
LEVEE
M.-f.sandstone,「ipples
Trough
cross
bedded
v.c.ヽcsandstone
’
粗∼極粗粒砂岩からなり,上方細粒化の
小サイクルを示す(図版Ⅲ,写真・4;
図版IV,写真1).この竜串層上部は,
さらに上部(B相)と下部(A相)で異
なっている(第8図・第9図).
B相では,泥岩層をA相より多く含
第8図 竜串層上部A相の海底チャネル(Subtidal
channel)および海底自然堤防(Subtidal
natural levee)堆積物.上方細粒化サイク
ルを示す.
第2図に地点を示す.
高知大学学術研究報告 第27巻 自然科学
-
176
ENVIRONMENTS
FACIE
み,多量の炭質物・木片がみられる
S
(図版Ⅳ,写真3).
15 Mudstone.
plant
10 Massive
化サイクルは,河川のチャネル堆積
物,特にポイトバー堆積物の上方細粒
Lignite
Thin bedded
M.-f. sand
troughs・
debris
B相での上方細粒
mudstone
stone,
ripples
mudstonz
化サイクルとよく一致する(第9図).
一方A相では海棲環虫類によるサン
ド・パイプや海綿化石の存在から海水
の影響か認められる(図版VI,写真
Plane
bedded
sandstone
m.
Massive c.sandstone.
5 Mud chips
2・3). また爪白からは既述の貝化
石やカニの化石が発見される.
これらのことから竜串層上部は,B
V.C- C. Sandstone
Troughs .Plant debris.
Mud chips
相が潮間帯より上でのチャネルー後背
Om
back marsh deposits)で,A相は潮
G・Gravels .
M・Mudchips
P=Plant debris
湿地の堆積物(supratidal channel-
間帯∼潮間帯下の潮流によるチャネ
ルー海底自然提防の堆積物(subtidal
第9図 竜串層上部B相の河川チャネルー後背湿地
(Distributary
channel―back
堆積物の示す上方細粒化サイクル.
第2図に地点を示す.
marsh)
channel-subaqueous
levee deposits)
と考えられる.
Ⅳ生痕化石相との対応
生痕化石については,三崎層群中で大きく3つの生痕化石相(ichno
facies)が識別できる.そ
れらは(1)Nereitesmurotoensis
misafeiensis相(図版V,写真2),
版V,写真3),
(2)N ankailei
feochtensts相(図
(3)OphiomoTpha
nodosa相(図版Ⅵ,写真1)である.
これらの生痕化石相は,一般に堆積場での流れや波浪などのエネルギーの強さと関連している.
すなわち常時強い流れや波の作用がある場所では,底質は粗粒になり,底面の形状は常に変化して
いる. このような場所に棲む動物には,堅固な壁をもつ巣穴を造るものがある.有名な例はCallianassa
m aio「(スナモグリの一種)でObhiomoTphaに酷似した巣穴を造る.
またこのようなエネルギーの強い場所では,泥を食べ歩く環虫類はほとんど存在しない・
一方泥が静かに堆積しているような低エネルギーの環境では,環虫類の食べ歩き跡である
Nereites ii^卓越する.
Obhiomorbha相と 1^p.rp.itp.^相の中間的なエネルギー・レベルでは,サンド・パイプや環虫類
のはい跡が混在する,Nanfeattes相がこれに相当している.
このように,生痕化石は堆積場のエネルギー・レベル,すなわち底質と関連しているので,岩相
で区分した堆積相とよく対応している.
養老層は,ほとんど泥岩部(offshore
mud
浜益野層は,泥岩部(transitional
mud
facies)からなりNereiles相と対応している・
facies)と互層部(small
bar-sheet
sand
facies)
なり,それぞれNerettes相・Nanfeaites相と対応している・
竜串層下部は,泥岩部(inter-ba
r
mud
facies)・互層部(bar
margin
facies)・砂岩部(bar
facies)からなり,それぞれNerettes相・Nanfeaites相・Ophiomorbha相と対応している.
竜串層上部A相では,
sand
pipe
がみられるが,B相では生痕はほとんどみられず,B・相が非
海成相と考える1つの証拠となる.
以上の堆積相と生痕化石相は第1表にまとめて示した/
から
177
四 国 西 南_部_忿_三 崎層 群 (甲藤・平)。
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回示
廓1ヨに・悩ぞ
訃
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M ・コ Z
T
諧
当│忿
聯
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叉回
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指数
涼
叉白白
燃
丑奈 据
更新 砿
珊勾 弼
乙勿 収
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圖゛ b
栄珈 端
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昭
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]
い
G e 碗
回召 P
切口囮
怨之11
靭
匙
'□
ロ
吻
C/つ
袖
諸他
珊
乙
な6
妬
圃
但
彊
佃
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Q
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9 邸忿4退c゛屍cg
す馴斜影
階ぐ
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日 ♂呂μ
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l
d
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訟
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Ii5:t!s≪4e
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1・延々甜
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辺ぶ翠総
知恂辺呼
? .、知多
丑-い視.、
乙コ祠田
賤ぺJP貿 、
祗
ト
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冊
習
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影
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高知大学学術研究報告 第27巻 自然科学
178
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∼
y
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∼
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X
X
X
X
X
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SiN3ΣZOaiAN3 "IVZOiiisodsa
N.f
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X
四 国 西 南 部 の 三 崎 層 群 (甲藤●平) 179
V 三崎層群の形成プロセス’
既述の三崎層群を堆積させた浅海域での堆積プロセスは,次のように要約できる.
調査地域内での三崎層群は,全体として上方粗粒化め傾向をもつ.基本的には,下部より(1)沖合
の泥・ストーム堆積物(2)海底砂州群堆積物(3)河口近くのチャネル・コンプレックスの堆積物の
順序で重なっている.
’このことは,当時の海域は全体としてはJohnson
(1919)の古典的な平衡大陸棚モデルが適用
でき,更に堆積物の多量の供給と堆積盆の沈降とにより,全体のプログラデーションが行なわれ,‘
大きな砕屑性堆積物のクサビ(clastic
wedge)を形成していったと考えられる,
古地理を考える上では,古流向の検討等により,当時のチャネルの方向,砂州の配列方向,スト
ーム堆積物の運搬方向を解析する必要かおる.現在までのデータによると,養老層’・浜益野層で
は,リップルの測定結果より,北及び東からの流れが推定でき,これらはそれぞれ海岸と垂直,
平行の流れであったかもしれない.竜串層下部においては,低角度斜交葉理の方向の測定がフィー
ルドでは困難なので,砂州の配列方向を推定するデータは得られていない. しかし砂州開泥相の波
動漣痕は,南北方向の波動を示し,一般的な波のアプローチする方向を示しているかもしれない.
また少数の条痕・フルートキャストから東→西への流れもみられ,砂州は当時の海岸と平行な東西
の伸長方向をもっていたかもしれない.
さらに竜串層上部のA相では,トラフ斜交葉理の主方向は,北からであるが,潮流あるいは河ロ
での塩水クサビの影響による反対方向への流れも認められる(図版Ⅳ,写真1)・
しかし竜串層上部のB相では,北からの流れが卓越し,反対方向への流れを示す斜交葉理はほと
んど認められなくなる.このことは竜串層上部B相では,海水の影響が少なくなっていることを示
している.
以上を総合し,古環境を復元してみると,第10図に描いたような堆積環境が推測できる.
Ⅵ む す び
筆者らは,四万十帯の地史を考察する上で,重要な意義をもっていると考えられる四国西南部の
三崎層群について再検討し,三崎層群を下位より養老層・浜益野層及び竜串層に層序区分し,時代
は中新世とした.
また三崎層群の各堆積環境を明らかにし,さらに生痕化石相との対応を述べ,三崎層群形成のプ
ロセスを明らかにした.
今後は,熊野・田辺・日南・酒谷各層群との比較研究によって,これらの地層群がどのような造
構環境で形成されたかを明らかにしてゆきたい.
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(昭和53年9月30日受理)
(昭和54年3月30日発行)
in
C. L.,
図版 I
写貞1.見残し展望台から竜串を望む(A:見残し湾,B:竜印・.竜串背後の地形の
急変するところを三崎断層が通る)
写真2.竜串層基血の海底砂州砂岩層.蜂の巣構造が
見事である.見残し付近.
写真3.見残し(竜串層)の蜂の巣構造.
︲i
図版
写真1.養老付近の泥
岩相.養老層の沖合
泥底(offshore mud
floor)堆積物.右上
の鉛筆かスケール.
写真2.浜益野層の上
方粗粒化サイクル.
落窪.
写貞4.浜益野層の水流漣痕.落窪.
写真3.浜益野層のシート状砂
休(sheet
sand)堆積物.
フルートキャスト(三崎層群
中では珍らしい)や生痕化石
が底而に認められる.カメラ
キャップかスケール.千尋
岬.
写真5.浜益野眉での小規模な
海底砂州の上方粗粒化サイク
ル.人物の座している所に
乱堆積構造が見られる.千尋
岬.
H
図版 Ⅲ
写真1.竜串層下部の海底砂州堆積眉.砂岩
写真2.竜串層下部における砂州間チャネル
相は厚さ約1m.竜串の通称“大竹・小竹"
の斜交葉理.海底砂州堆積物中で強い流れ
の存在を示す証拠となる.千尋岬.
写真3.竜串層下部のコンボリューション.
厚さ約60cm.竜串の通称“しぼり幕”
写真4.竜串眉上部A相の海底チャネル堆積
相.海中展望台への長島遊歩道沿い.
図版
写真1.竜串層上部A相に見られ
るトラフ斜交葉理.反対2方向
の流向を示している.(反流チ
ャネル堆積物).竜串の海中展
望塔付近.
Ⅳ
4
瘤
24 言
3
図版 V
写真1.上野(浜益野層)産貝化石
χ、dementia(Egesta)
2.
Cancellaria
liochiensis
tosaensis
Katto
Katto
3. ChlanりsmisakiensisKatto
4 . Cuspidaria(Cardiomya)yaheiKatto
S、Costacallista
6.Solen
shifeofeuensisKatto
c1、connecteus
O yama
蓉,
写真2.千尋岬朴(図版IV,写
真4の下位)の環虫化石.
Nereites
murotoeれsis
misakiensis
Katto
写真3.千尋岬見残し(竜串層)の
Nankaites
feochieiisisKatto
図版 VI
写真1.0phiomorpha
nodosa
L undgren
の産状.ところどころ
にOphiomorpha特有の塊状の部分がみられる.見残し付近.
写真2.巨大な転石上に残された
漣痕とSかongia
shikokuensis
Kattoの産状.左端の棒状のも
のは未詳の生痕化石.弁天島.
写真3.海食台に露出した
Spongia
shikokuensis
Kattoの産状.弁天島.
Fly UP