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第1章 交通の現状と課題

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第1章 交通の現状と課題
第1章 交通の現状と課題
1-1
鹿児島市の交通の現状
(1)自動車利用者の増加と公共交通利用者の減少
本市においても他都市と同様に、自動車保有台数の増加に伴い、移動手段における自
動車の分担率が上昇するなど、モータリゼーションが進展するとともに、市街地の外延
化が進むなど、都市が肥大化・拡散化してきました。鹿児島市の自動車保有台数は、平
成 17 年以降から増加が緩やかになっていますが、1人当たりの保有台数は増加し続けて
いるため、今後も自動車への依存が高まることが懸念されています。平成 28 年度鹿児島
市の公共交通の利用等に関するアンケート調査においても、外出の際の主な交通手段と
して平日で約6割、休日で約7割の人が自動車を利用すると回答しています。
また、本市の自動車における温室効果ガス排出量を、平成 2 年度と平成 25 年度で比較
すると、排出量は約 23.3%増加しています。本市の自動車登録台数は平成 2 年度から平
成 25 年度まで約 47.7%増加しており、自動車の利用が増加したことが温室効果ガス排
出量の増加の主な要因と考えられます。
一方、本市における公共交通としては、鉄道、路面電車、路線バス、フェリーがあり、
それぞれが、市民等の移動手段として重要な役割を担っていますが、モータリゼーショ
ンの進展などを背景に、その利用者数は、九州新幹線全線開業による鉄道利用者数増加
を除くと、近年横ばいあるいは減少傾向にあります。
今後の人口減少を踏まえると、公共交通利用者数は長期的には減少傾向で推移するも
のと予想されます。
4
<鹿児島市における自動車保有台数の推移>
乗用車
軽乗用車
一人当り 保有台数
世帯当り 保有台数
350,000
(台/人,台/世帯)
1.40
300,000
1.20
250,000
1.00
200,000
0.80
150,000
0.60
100,000
0.40
50,000
0.20
(台)
0
S47 S49 S51 S53 S55 S57 S59 S61 S63 H2
H4
H6
0.00
H8 H10 H12 H14 H16 H18 H20 H22 H24 H26
(年)
※平成 16 年の分担率が欠損しているのは、市町村合併に伴うデータ年次の齟齬のため
資料:乗用車台数は九州運輸局資料、軽乗用車台数は鹿児島市資料
<外出の際の主な交通手段>
平日の主な交通手段
自転車
5.6%
徒歩
8.7%
その他
0.3%
休日の主な交通手段
鉄道
2.8%
自転車
3.6%
タクシー
0.4%
市電
4.0%
タクシー
0.7%
バス
13.3%
バイク
4.9%
徒歩
6.0%
その他
0.2%
バイク
2.9%
鉄道
1.1%
市電
3.3%
バス
10.9%
フェリー
0.6%
フェリー
0.7%
自動車
71.0%
自動車
59.0%
N = 1,677
N = 1,807
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
5
<土地利用の推移(市街地の外延化の状況)>
【昭和 51 年】
【平成 26 年】
【平成26年】
田
その他の農地
森林
荒地
建物用地
道路
鉄道
その他の用地
河川及び湖沼
海浜
海水域
ゴルフ場
出典:かごしまコンパクトなまちづくりプラン
(立地適正化計画)(原案)
資料:国土数値情報「土地利用細分メッシュ」
(平成 26 年度)
<運輸部門における温室効果ガス排出量の推移>
(千tCO2)
2,000
1,772
1,788
1,773
1,731
1,670
1,707
1,700
1,699
1,681
1,707
466
469
467
469
464
8
8
8
8
8
1,577
1,500
1,389
332
1,000
500
494
487
7
8
490
470
8
8
445
9
441
8
11
1,046
船舶
鉄道
自動車
1,270 1,294 1,275 1,253 1,216
1,234 1,223 1,225 1,204 1,235
1,129
0
H2
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
(年度)
出典:鹿児島市域の 2013 年度温室効果ガス総排出量
6
<公共交通利用者数の推移>
鉄道の利用者数
15,000
路面電車の利用者数
(千人/年)
15,000
12,500
12,500
乗
車
人
数
(千人/年)
10,000
10,000
乗
車
人
数
7,500
7,500
5,000
5,000
2,500
2,500
0
0
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
(年度)
(年度)
※ 鹿児島中央駅の乗降客数を除く
資料:JR九州鹿児島支社
※平成18年3月分からは敬老パスの利用者数を含む
資料:市交通局
路線バス(県内)の利用者数
桜島フェリーの利用者数
(千人/年)
(千人/年 )
60,000
5,000
50,000
4,000
40,000
乗
車 30,000
人
数
20,000
旅 3,000
客
人
数 2,000
10,000
1,000
0
0
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
(年度)
※平成18年3月分からは敬老パスの利用者数を含む
資料:運輸要覧(平成27 年版 九州運輸局鹿児島運輸支局)
7
(年度)
資料:市船舶局
(2)鉄道・路面電車により形成された基幹交通軸
本市の鉄道は、九州新幹線のほか、在来線である鹿児島本線、日豊本線、指宿枕崎線
により、鹿児島中央駅を中心とした放射状のネットワークを形成しており、郊外部から
都心部への高い速達性と定時性を確保しています。
路面電車は、市交通局により 1 系統(鹿児島駅前~騎射場~谷山)と 2 系統(鹿児島
駅前~鹿児島中央駅前~郡元)が運行されており、日中は、1時間当たり 8~10 本程度
といった高い運行頻度を確保しています。また、交通局局舎移転を受け、中央駅方面直
行便(鹿児島駅前~鹿児島中央駅前~谷山)を新設するなど、路面電車の利便性は鹿児
島中央駅を中心に高まっています。
このように、鉄道と路面電車は、路線のわかりやすさや各々の特性を活かした輸送サ
ービスにより、本市の基幹交通の役割を担うとともに、都心部と副都心を結ぶ基幹的な
公共交通軸を形成しています。
<鹿児島市における鉄道の運行概要>
JR九州新幹線
JR鹿児島本線
JR日豊本線
JR指宿枕崎線
博多~
鹿児島中央
門司港~八代
川内~鹿児島
小倉~鹿児島
鹿児島中央~枕崎
鉄道事業法
鉄道事業法
鉄道事業法
鉄道事業法
専用軌道
専用軌道
専用軌道
専用軌道
複線
複線(市内)
単線
単線
1,435mm
1,067mm
1,067mm
1,067mm
電気方式
交流 25,000V・60Hz
交流 20,000V・60Hz
交流 20,000V・60Hz
非電化
運行本数
38 往復/日
45.5 往復/日
起点/終点
準拠法
軌道構造
複線・単線
軌間
備
考
43.5 往復/日
48.5 往復/日
(内特急 12 往復)
(内快速 3.5 往復)
・2011 年(H23)に、博多 ・ 貨 物 列 車 の 運 行 あ ・鹿児島本線の鹿児島 ・鹿児島本線の鹿児島
~鹿児島中央間全線
り。
中央駅まで乗り入れ
駅までの乗り入れ
開業
・八代~川内は、肥薩
ている(うち、5 往
がある(3 往復)。
・一日 23 往復新大阪ま
おれんじ鉄道
復は川内駅まで乗り
で直通運転
入れ)。
資料:JR 九州時刻表(平成 28 年 7 月末時点)
8
<路面電車(市電)のネットワーク>
唐
湊
市 立 病 院前
神 田(
交通局 前)
工
学
部
前
中
都
洲
通
通
鹿
児
島
中
央
駅
前
純心学園前
中
高 見 橋
郡
加治屋町
高見馬場
山
上
塩
屋
笹
脇
貫
田
宇
宿
一
丁
目
二
軒
茶
屋
南
鹿
児
島
駅
前
涙
橋
郡 元 (南側)
谷
郡
鴨
元
池
騎
射
場
荒
田
八
幡
二
中
通
武
之
橋
新
屋
敷
甲
東
中
学
校
前
高
見
馬
場
天文館通
系統
区 間
距 離
時 間
①
鹿児島駅前
騎射場 経由
谷 山
9.4km
40分
②
鹿児島駅前
鹿児島中央駅前 経由
郡 元
5.6km
30分
いづろ 通
識別
市
役
所
前
朝
日
通
水
族
館
口
桜
島
桟
橋
通
鹿
児
島
駅
前
※ 郡元と高見馬場で 1系統⇔2系統 の乗換ができます。(ただし、鹿児島駅前~天文館通で乗車した場合を除く)
資料:市交通局
起点/終点
上り運行本数
(平日)
下り運行本数
(平日)
<路面電車(市電)の運行状況>
1系統
2系統
鹿児島駅前~谷山
鹿児島駅前~郡元
(騎射場経由)
(鹿児島中央駅前経由)
中央駅方面直行便
鹿児島駅前~谷山
(鹿児島中央駅前経由)
144本/日
134本/日
8本/日
141本/日
137本/日
7本/日
(うち脇田止まり3本)
資料:市交通局(平成 28 年 11 月末時点)
(単位:本)
5時台
6時台
7時台
8時台
9時台
10時台
11時台
12時台
13時台
14時台
15時台
16時台
17時台
18時台
19時台
20時台
21時台
22時台
1系統(谷山方面)
2系統(郡元方面)
中央駅方面直行便
平日
土曜日
日祝日
平日
土曜日
日祝日
平日
土曜日
日祝日
0
0
0
0
0
0
0
0
6
5
5
5
5
5
2
0
11
8
8
10
8
7
1
0
11
10
9
11
9
9
1
0
8
11
10
9
10
9
0
0
9
10
10
9
10
10
0
0
8
10
10
9
10
10
0
0
9
10
10
8
10
10
0
0
9
10
10
9
10
10
0
0
8
10
10
8
10
10
0
0
9
10
10
10
10
10
0
0
9
11
10
10
10
10
1
0
11
10
10
9
10
10
2
0
11
9
8
10
9
10
0
0
8
8
7
8
7
6
0
0
6
6
6
7
6
7
0
0
5
5
5
6
6
5
0
0
4
4
3
4
5
6
0
0
142
147
141
142
145
144
7
0
合計
土曜日
平日
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
13
22
23
17
18
17
17
18
16
19
20
22
21
16
13
11
8
291
0
10
16
19
21
20
20
20
20
20
20
21
20
18
15
12
11
9
292
日祝日
0
10
15
18
19
20
20
20
20
20
20
20
20
18
13
13
10
9
285
※始発駅(鹿児島駅前)の出発時時間帯の入庫・直通便含む全ての運行本数
資料:市交通局時刻表(平成 28 年 11 月末時点)
9
(3)天文館に一極集中するバス路線
本市の路線バスは、市交通局を含め 5 事業者により運行されていますが、バス路線に
ついては、いずれの事業者の系統もその多くが天文館地区を経由するルートとなってお
り、都心部一極集中の交通体系をなしています。
都心部内や都心部と周辺の主要な住宅地を結ぶ路線は、基幹交通として高い輸送サー
ビスを提供している反面、事業者間の競合もあり運行頻度が非常に高く、場所・時間帯
によっては団子運行も発生するなど、定時性・速達性の低下を招いています。
一方、郊外部においては、運行頻度が低いなど十分な輸送サービスが提供されてい
ない地域もあります。
<中心市街地における路線バスの運行本数>
※往復運行本数の概数を記載
資料:各社局提供資料を基に作成(平成 28 年 7 月末時点)
10
<路線バスの運行本数(平日)>
資料:各社局提供資料を基に作成
11
(平成 28 年 7 月末時点)
(4)公共交通空白地・不便地の存在と公共交通不便地対策
本市は、平成 16 年の隣接 5 町との合併に伴い、これまで以上に広域かつ分散化した都
市構造となり、それらの周辺部や、また旧市域内においても、公共交通サービスが十分
に行き届いていない公共交通の空白地や不便地が存在します。
このようなことから、バス停等からの距離や運行本数などの基準に基づき選定した公
共交通不便地 14 エリアにおいて、平成 20 年度から順次コミュニティバスあいばす等の
運行を開始し、また、平成 22 年度には、合併で引き継いだ吉田・松元・郡山地域のコミ
ュニティバスをあいばすの制度に統一し、地域住民の交通手段の確保に努めています。
さらに、平成 27 年度には、バス停等からの距離を短縮し、地形の傾斜を考慮するなど
新たな基準に基づき 4 地域を選定し、そのうち 2 地域においては平成 28 年度からあいば
すの運行を開始しています。
12
<公共交通不便地対策実施対象地域>
資料:公共交通不便地対策実施対象地域は鹿児島市提供資料を基に作成(平成 28 年 11 月末時点)
バス路線は各社局提供資料を基に作成(平成 28 年 7 月末時点)
13
(5)道路交通渋滞の影響による公共交通の走行性低下
本市では、比較的平野部が乏しいといった地形的制約により、丘陵地を中心に住宅団
地が開発されてきたことや、市街地の中心部を広域道路網が通過していることなどから、
広域通過交通と市内の生活交通が一部経路に集中して、交通混雑・渋滞が発生していま
す。
交通の混雑度は、国道 3 号、10 号、225 号といった郊外部から都心部にアクセスする
幹線道路で特に高く、都心部と郊外部を結ぶ路線バスなど公共交通機関の定時性・速達
性の低下の要因にもなっています。
平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査においても、6 割以
上の人が市内の渋滞に対して問題意識を持っています。
<主要な道路の混雑度(都心部周辺拡大)>
資料:・混雑度は道路交通センサス(H22)を基に作成
・主要渋滞箇所は「地域の主要渋滞箇所」(鹿児島県交通渋滞対策協議会 平成 25 年 1 月)を基に作成
14
<市内の渋滞に関しての問題意識>
どちらともい
えない
11.5%
非常に問題
である
17.0%
まったく問題
でない
2.5%
あまり問題
でない
25.2%
問題である
43.7%
N = 1,846
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
<渋滞を緩和あるいは解消するために望む取り組み>
0
100
200
300
400
500
市街地を避けて通る迂回路等の整備
600
700
800
646
交差点の立体交差や右折レーンの設置
665
バス専用・優先レーンの整備
315
バスや市電等の公共交通機関の利用を促進
405
バスや市電等を利用しやすく改善する
603
鉄道や市電の路線の延伸、新設
326
時差出勤等で自動車利用の時間帯を分散
273
相乗り通勤・カーシェアリングの促進
78
主要駅等へのパーク・アンド・ライド用駐車場の整備
182
都心部への自動車乗り入れを制限する
54
信号のサイクルを適切に調整する
680
高速道路の料金を安くする
442
自転車道の整備やかごりんポートの拡大
164
その他
105
N = 1,827
(複数回答)
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
15
(6)活性化しつつある中心市街地
本市の中心市街地は、様々な高次都市機能が集積し交通結節点として高い利便性を有
する本市のまちの顔として発展してきましたが、消費者ニーズの多様化や公共施設等の
中心市街地からの移転、大型商業施設の中心市街地外への出店などにより、その相対的
な地位の低下が懸念されています。
このため、本市においては、平成 19 年に「鹿児島市中心市街地活性化基本計画」、平
成 25 年に「第 2 期鹿児島市中心市街地活性化基本計画」を策定し、中心市街地の活性化
に向け、様々な取組を進めています。
中心市街地の歩行者通行量は、平成 24 年は九州新幹線全線開業の追い風もあり、増え
ましたが、降灰や台風の影響が考えられた平成 25 年に一旦減少し、その後は持ち直しつ
つあります。
中心市街地の現況としては、市民消費の減少や中心市街地外の大型商業施設の立地に
よる影響など、依然厳しい状況にあると考えられますが、計画に位置づけられた各種事
業の実施や国内外からの観光客、アミュプラザ鹿児島プレミアム館の開業がもたらすに
ぎわい創出効果もあいまって、本市の中心市街地は、鹿児島中央駅地区が牽引する形で
活性化しつつあることがうかがえます。
<大規模小売店舗(10,000m2 以上)の立地状況>
資料:第 2 期鹿児島市中心市街地活性化基本計画(H25.3)を基に作成
16
<中心市街地における歩行者通行量調査地点(30 地点)>
[いづろ・天文館地区(20地点)]
さつまいも
の館
12
テ
ン
パ
西 口駅前 広場
T-MAX
ク
通
り
J R九州 ホテル 鹿児島
扇屋
御 着屋
交番
ま きの
8
13
に ぎわい 通り
JR
中 央駅
山 形屋
ドトール
さつま屋
17
MARUZEN
6
7
は いから 通り
十 字屋
ク ロス
い わさき
パーキング
か ぎん
WELL
鹿 児島中 央郵便 局
ア ミュプ ラザ鹿 児島
18
16
21
ベ ル通り
24
プ ラザ
14
ドコモショップ
15
モスバーガー
22
東 口駅前 広場
バス
アルボーレ
鹿 児島
ア エール
タ ーミナ ル
タ ワー
4
3
25
中 央 ク ゙ ラハ ン
ア エール
一 番街
5
東 横イン
鹿 児島
19
天
文
館
本
通
り
ゾ ウさん のはな 通り
30
山 形屋
2 号館
なかまっち
10
9
ア パホテ ル
ベ ルク
広場
20
ぴ らも~ る
鹿銀
ATM
西 本願寺
11
ー
セブンイレブン
[鹿児島中央駅地区(10地点)]
LAZO
表 参道
ト ゙ コ モシ ョ ッフ ゚
いづろ通
黄 金 通り
鹿児島中央駅前
23
天文館通
文
化
通
り
タ カプラ
マ ルヤ
ガ ーデン ズ
1
ブラザー
ビル
ロ ーソン
JA
かごしま
南国
27
26
28
29
セ ンター ビル
リバティーハウス
鹿 児島中 央
キ ャンセ ビル
高見橋
タ ーミナ ルビル
225
2
屋 台村
G
3
山 之口本 通り
1
2
5
8
は夜間(20時~翌1時)調査地点 27
30
29
は 夜間(20時 ~翌1時)調 査地点 資料:中心市街地歩行者通行量調査報告書
<中心市街地における歩行者通行量の推移(土・日曜日平均)>
(人/日)
180,000
160,000
140,000
151,845
157,337
128,184
125,531
157,718
164,410
160,300
152,707
129,869
125,101
165,664
130,712
122,404
122,275
161,137
120,695
120,000
100,000
80,000
60,000
40,000
26,314
32,617
29,153
34,952
34,541
30,303
38,025
40,442
20,000
0
H18
H20
H22
鹿児島中央駅地区
資料:平成 27 年度
H23
H24
いづろ・天文館地区
H25
H26
両地区の計
認定中心市街地活性化基本計画のフォローアップに関する報告(H28.3
17
H27
(年)
鹿児島市)
(7)九州新幹線の全線開業に伴う交流人口の増加
平成 23 年 3 月の九州新幹線の全線開業による移動時間の短縮効果などにより、本市へ
の入込観光客は年間約 70 万人増加しました。その中でも特に県外からの入込観光客数の
増加が顕著であるため、九州新幹線開業による本市への効果は大きいといえるとともに、
さらなる観光誘致に期待されています。
<鹿児島市の入込観光客数(宿泊+日帰客)の推移>
九州新幹線全線開
(千人/年)
10,000
九州新幹線部分開業
大河ドラマ「翔ぶが如く」
大河ドラマ「篤姫」
9,555
9,021
9,000
8,694
8,215
8,378
8・6豪雨災害
8,259
7,984 8,054
8,000
9,392
9,517 9,498
8,842 8,875
8,584 8,566 8,590
8,177 8,227 8,247 8,253 8,258 8,186
7,666 7,747
7,355
7,076
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
H元 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
入込観光客数
県外客
(年)
県内客
資料:鹿児島市観光統計
18
(8)観光振興に寄与する路面電車とフェリー
本市の特色ある公共交通として、国内でも数少ない路面電車とフェリーがあげられま
す。
路面電車は、気軽で便利な環境にやさしい交通手段として、市民や観光客に親しまれ
ています。さらに、架線柱のセンターポール化や軌道敷の緑化、新型車両の導入などに
より、都市景観や観光資源としての魅力も高めています。また、平成 24 年には鹿児島市
電運行 100 周年を記念して、観光レトロ電車「かごでん」を導入するなど、観光資源と
しての活用を進めています。
桜島フェリーは、桜島地域の生活を支える重要な航路として、24 時間の運航体制が敷
かれ、利便性の高い輸送サービスを提供するとともに、鹿児島が世界に誇る自然の観光
資源である桜島へのアクセス手段として、本市の観光振興に重要な役割を果たしていま
す。また、平成 23 年には、よりみちクルーズの運航を開始しました。
<路面電車の取組状況>
センターポール・軌道敷緑化・連接式超低床電車
観光レトロ電車「かごでん」
出典:市交通局 HP
<国内の路面電車一覧(平成 28 年 3 月現在)>
札幌 札幌市交通局一条・山鼻軌道線(8.9km)
●
●
函館 函館市交通局(10.9km)
富山 富山地方鉄道富山市内軌道線(7.6km)
富山 富山ライトレール(1.1km)
高岡 万葉線(8.0km)
東京 東京都交通局三ノ輪早稲田軌道線
(12.2km)
福井 福井鉄道(3.4km)
広島 広島電鉄広島市内軌道線(19.0km)
岡山 岡山電気軌道(4.7km)
東京 東京急行電鉄世田谷軌道線(5.0km)
●●
●
●
長崎 長崎電気軌道(11.5km)
●●
●
●
●
●●
豊橋 豊橋鉄道豊橋市内軌道線(5.4km)
●
●
●
●
大津 京阪電鉄大津軌道線(21.6km)
●
京都 京福電鉄嵐山軌道線(11.0km)
●
●
高知 とさでん交通(25.3km)
堺 阪堺電気軌道(18.5km)
松山 伊予鉄道松山市内軌道線(6.9km)
熊本 熊本市交通局(12.1km)
鹿児島 鹿児島市交通局(13.1km)
※図表の距離は軌道法による営業キロ数をあらわしたものであり、実際の営業距離とは異なります。
19
<桜島フェリーの運航状況>
時間
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
鹿児 島港発
30
30
30
30
30
30
0
0
0
0
0
5
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30
15
15
15
15
15
5
15
10
15
15
15
15
15
15
15
30
30
30
30
30
30
25
25
30
30
30
30
30
30
30
30
30
桜島港発
45
45
45
45
45
45
45
50
45
45
45
45
45
45
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
10
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
30
15
15
15
15
10
30
15
15
15
15
15
15
15
15
15
30
30
30
30
30
30
50
30
35
30
30
30
30
30
30
30
45
45
45
45
40
50
桜島フェリー
(電気推進船「サクラフェアリー」と桜島)
45
45
45
45
45
45
45
45
※赤字はよりみちクルーズ船
※所要時間は約15分
資料:市船舶局(平成 28 年 11 月末時点)
よりみちクルーズ 運航コース
出典:市船舶局 HP
<国内の船舶乗降人員上位10の港湾>
(万人)
900
800
700
う ち桜島フェリー利用
600
500
400
300
200
100
0
1位
2位
3位
4位
厳島港 鹿児島港 桜島港
石垣港
(広島) (鹿児島) (鹿児島) (沖縄)
5位
高松港
(香川)
6位
広島港
(広島)
7位
博多港
(福岡)
8位
神戸港
(兵庫)
9位
東京港
(東京)
10位
鳥羽港
(三重)
※甲・乙港湾の上位10 外国航路含む
資料:港湾調査 平成 26 年値
20
(9)環境にやさしい交通環境等に寄与するコミュニティサイクルの導入
本市では、自家用車等から公共交通や環境にやさしい自転車への転換を促進し、温室
効果ガス排出量の削減、中心市街地の回遊性の向上、観光の振興を図るため、平成 27
年 3 月からコミュニティサイクル「かごりん」を導入しています。
平成 28 年 10 月時点で、サイクルポートを市内 21 箇所に設置し、自転車 174 台で運用
しており、累計 23 万回以上利用されています。
<コミュニティサイクル「かごりん」のサイクルポート位置図>
出典:かごりん HP
21
1-2
社会経済情勢の変化
(1)高齢化の急速な進行と人口減少局面への移行
我が国の人口は、平均寿命の上昇等に伴う自然減(死亡)が、合計特殊出生率の低下
等に伴う自然増(出生)を上回り、平成 20 年の約1億 2,808 万人をピークに減少へと転
じ、その後も一貫して減少基調となることが見込まれています。また、世帯数は、核家
族化の進行により増加しますが、平成 31 年をピークに減少へと転じることが見込まれて
います。
鹿児島市の人口推移をみると、平成 22 年までは増加を続けており 605,846 人となりま
したが、平成 27 年には 599,814 人となり、減少に転じました。また、今後も引き続き減
少していくことが見込まれています。
人口の構成を見ても、0~14 歳の年少人口は、昭和 60 年の 130,652 人をピークに平成
22 年の 84,4410 人へと減少し、また、65 歳以上の老年人口は、昭和 45 年の 30,664 人か
ら平成 22 年の 129,449 人へと増加しており、少子高齢化が進行していることが分かりま
す。また、全体の人口減は生産年齢人口の減少にも影響を与えています。
平成 27 年 12 月に策定した「鹿児島市まち・ひと・しごと創生 人口ビジョン」におい
ては、国と比べ本市人口のピークは遅れていたものの、平成 27 年に人口減少局面へ移行
した可能性が高くなったと示されています。その要因として、自然動態については、合
計特殊出生率はここ数年ほぼ横ばいの状況で推移していますが、少子化や県外転出など
の影響により、出産の 9 割以上を占める 20~39 歳の若年女性が減少したことなどから出
生数が減り、平成 25 年以降は自然減が続いていることが指摘されています。社会動態に
ついては、平成 25 年以降は若い世代が福岡市や熊本市、宮崎市などの九州圏に対し転出
超過の傾向にあることが指摘されています。
なお、同ビジョンでは、人口流出の抑制や交流人口の拡大などを通して、平成 72 年ま
での長期的な目標として、人口規模 51.5 万人程度を維持するとともに、人口構造の若返
りを目指すことが示されています。
22
<鹿児島市の人口推移>
700,000
(人)
574,672 582,252
600,000
594,430 601,693 604,367
547,756
605,846 599,814 598,437
605,846 600,670
590,745
496,802
588,841
577,226
560,878
500,000
人
口
400,000
541,658
519,563
444,165
415,439
367,548
参考:国立社会保障・人口問題研究所(平成 25年(2013年)3月推計)
383,418
325,919
300,000
200,0001950
S25
1955
S30
1960
S35
1965
S40
1970
S45
1975
S50
1980
S55
1985
S60
1990
H2
1995
H7
2000 2005
2015 H32
2020
H12
H17 2010
H22 H27
2025
2040
H37 2030
H42 2035
H47 H52
2045
(年)
資料:平成 27 年以前は国勢調査
平成 32 年以降は「かごしま都市マスタープラン」(平成 27 年 3 月)における将来予測値
<鹿児島市の年齢 3 区分別人口の推移と将来推計>
(年)
資料:平成 22 年以前は国勢調査(平成 16 年 11 月に合併した吉田町など 5 町の人口を含む)
平成 32 年以降は国立社会保障・人口問題研究所(平成 25 年 3 月推計)
<鹿児島市の老年人口比率>
(%)
40
36.1
33.4
35
29.1
30
26.6
全国
老 25
年
人
口 20
の
割
合 15
10
5
30.3
31.6
35.4
33.3
31.9
30.3
28.2
23.0
24.8
19.5
17.3
16.0
12.0
7.1
6.4
7.9
7.1
9.1
10.3
21.2
18.8
14.5
鹿児島市
13.4
11.0
7.8
9.1
0
1970
S45
1975
S50
1980
S50
1985
S55
1990
S60
1995
H2
2000
H7
2005
H12
2010
H17
2015
H22
2020
H27
2025
H32
2030
H37
2035
H42
2040
(年)
H47 (年)
資料:平成 27 年以前は国勢調査
平成 32 年以降は国立社会保障・人口問題研究所(平成 25 年 3 月推計)
23
(2)環境問題の顕在化・深刻化
地球温暖化をはじめとする地球環境問題の顕在化・深刻化、ヒートアイランド現象や
大気汚染、騒音等の都市環境・生活環境の悪化などにより、環境問題に対する人々の意
識・関心はますます高まっています。
特に、地球温暖化は、人類の生存基盤に関わる喫緊の課題であることから、本市とし
ても平成 24 年度に策定した「鹿児島市地球温暖化対策アクションプラン」において、平
成 33 年度(2021 年度)における温室効果ガス総排出量を、基準年度比(平成2年度比)
で 12%削減することとしており、都市交通の分野においても、その達成に向けた積極的
な取り組みが求められています。
<温室効果ガス総排出量の将来推計(全体)>
出典:鹿児島市地球温暖化対策アクションプラン(H24.3)
24
(3)社会経済システムの変革、地方分権の進展
世界的な規制緩和の流れやバブル経済の崩壊、IT革命の進展等により、これまでの
日本的な社会・経済システムは変革を迫られ、規制緩和や経済構造、金融システムの見
直しなどが進められています。
また、地方自治においても、国と分担すべき役割を明確にし、地方に必要な権限や税
財源を移譲する地方分権によって、地方の自主性及び自立性を高めるとともに、地方が
自らの判断と責任においてまちづくりを進めていくことが求められています。
(4)価値観、ライフスタイルの多様化、余暇の重視
人々の価値観は、ものの豊かさより心の豊かさ、生活の利便性よりも快適性、さらに
は自然とのふれあいなど、ゆとりや質を重視する傾向にあります。
また、自由時間の増大等からスポーツ・レジャー等の余暇活動や地域のコミュニティ
活動、ボランティア活動など、多様なライフスタイルが選択されるようになってきてい
ます。
このようなライフスタイルの多様化により、公共交通を含む移動手段に対するニーズ
も多様化していることが考えられます。
(5)国際化、高度情報化の進展
交通・通信基盤の発達などにより、人、物、情報等の地球規模での交流が進展し、社
会経済のさまざまな局面においてボーダレス化が進んでいます。
なかでも、情報通信分野の発展は目覚しく、就業形態やライフスタイルの選択肢が増
すとともに、年齢や環境を問わずさまざまな人々の社会参加が促進されるなど、この分
野の市民生活や都市活動における重要度はますます高まっています。
また、国が「観光立国」に向けた施策を推進している中で、平成 27 年には訪日外客数
が約 1,900 万人(前年比 47.1%増)(日本政府観光局 統計データ参照)に達するなど、
今後もインバウンド需要が拡大していくと考えられます。
25
(6)厳しさを増す財政環境
人口減少等により、労働力人口の減少や経済・産業活動の縮小を引き起こすとともに、
高齢者の増加に伴う医療・介護等に係る社会保障費の増大などが懸念されており、国や
地方自治体を取り巻く財政環境は一層厳しさを増すことが想定されます。
他方、これまで整備されてきた社会資本の維持更新コストは着実に増加することから、
財政的制約は一層高まると考えられ、大規模な交通基盤の整備に充てることのできる財
源は、今後抑制されることが予想されます。
26
1-3
鹿児島市の公共交通の課題
本市の交通の現状及び交通を取り巻く社会経済情勢の変化を踏まえると、本市における
公共交通の課題は次のようになります。
(1)公共交通の利便性(サービス水準)の向上
本市の公共交通の運行状況をみると、自動車と走行空間を共有している路面電車・路
線バスについては、交通混雑・渋滞や右折車両の軌道敷内進入、バス路線の集中による
団子運行等により、定時性や速達性が低下する状況が生じています。
また、平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査においても、
バスや路面電車のスピードアップ、定時性の確保といった、サービス水準の向上を望む
意見が約 8 割を占めています。バス利用に着目すると、利用に関して満足している人が
約 3 割、不満がある人が約 4 割と不満のある人が多く、不満がある理由としては、「運
行本数が少ない(待ち時間がながい)」、「必要な時間帯の便がない」、「時間(ダイ
ヤ)通りに来ない・着かない」とサービス水準のうち、特にダイヤと定時性の乏しさを
指摘する人が多くを占めています。
今後、人口減少が進む中において、横ばいあるいは減少傾向にある公共交通の利用状
況に歯止めをかけ、増加に転じるためには、多様化する利用者ニーズに応じた運行サー
ビスの提供に取り組むなど、利便性の向上を図ることが重要になると考えられます。
<バスや路面電車のスピードアップ、定時性の確保の必要性>
どちらとも
必要だと思 いえない
3.7%
わない
2.3%
わからない
6.1%
あまり必要
だと思わな
い
9.1%
必要である
46.8%
やや必要
である
31.9%
N = 1,875
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
27
<バスの利用満足度>
非常に不
満がある
10.7%
わからない
11.6%
非常に満
足している
8.3%
少し不満
がある
27.8%
まあまあ満
足している
17.2%
どちらでも
ない
24.4%
N = 1,342
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
<バスの利用に不満のある理由>
0
50
100 150 200 250 300 350 400
時間(ダイヤ)通りに来ない・着かない
228
必要な時間帯の便がない
246
運行本数が少ない(待ち時間がながい)
速度が遅い(時間がかかる)
368
39
最終便の時間が早い
高齢者・障害者などが乗り降りしにくい
181
64
駅や停留所等までが遠い
74
乗り換えが不便(接続が悪い)
80
運賃が高い
路線が複雑でわかりにくい
待合施設(停留所など)に上屋・ベンチなどがない
その他
70
78
94
124
N = 807
(複数回答)
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
28
(2)公共交通機関の役割分担の明確化
本市の公共交通ネットワークは、サービス水準が比較的近い路面電車と路線バス、あ
るいは路線バス同士が競合する区間があるなど、必ずしも効率的とはいえないことから、
各機関の位置付けや役割分担を明確にした上で、それぞれの特性を活かした、利用者に
とってもわかりやすい、効率的な公共交通ネットワークを構築する必要があります。
公共交通ネットワークを、団地と中心市街地などを結ぶ幹線的な路線と団地内など地
域内を走行して幹線的な路線に接続する支線的な路線とに分けると、目的地までの走行
距離が短くなり、便数が増えたり、時間通りに目的地へ到着できます。このため、国に
おいては公共交通機関の役割分担の明確化を推奨しています。
平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査においても、公共交
通を幹線的な路線と支線的な路線とに分ける取り組みについて、約 6 割の人が必要であ
ると考えています。
また、交通事業者へのヒアリングにおいても、各公共交通機関の役割分担を明確にし
て、効率的な公共交通ネットワークを構築することが求められています。
<公共交通を幹線的な路線(バス、路面電車、鉄道など)と支線的な路線(バスなど)とに分ける取り組みのイメージ>
出典:国土交通省資料
<鹿児島市の公共交通を幹線的な路線(バス、路面電車、鉄道など)と支線的な路線(バスなど)とに分ける取り組みの必要性>
どちらとも
いえない
10.0%
必要だと思
わない
1.7%
あまり必要
だと思わな
い
10.3%
わからない
18.6%
必要である
32.6%
やや必要
である
26.9%
N = 1,855
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
29
(3)公共交通機関の結節機能の強化
公共交通機関の役割分担の明確化とあわせて、円滑な移動の連続性を確保するため、
鹿児島中央駅や鹿児島駅、谷山駅周辺など主要な交通結節点における交通機関相互の結
節機能の強化を図るとともに、環境対策や渋滞緩和の面からも、パークアンドライドや
サイクルアンドライド等の推進により公共交通と自動車・自転車等との結節機能を高め
ていく必要があります。
平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果においては、約
8割の人がバス、路面電車、JR、マイカー等の相互のスムーズな接続及び乗り換えを
実現することが必要と考えています。
<公共交通、自動車等の相互のスムーズな接続を実現することの必要性>
どちらとも
いえない
必要だと思
4.3%
わない
1.2%
わからない
6.9%
あまり必要
だと思わな
い
8.4%
必要である
44.5%
やや必要
である
34.6%
N = 1,854
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
30
(4)公共交通不便地の解消、拡大抑制
本市では、公共交通の不便な地域においてコミュニティバスあいばすを運行するなど、
その解消に取り組んでいるところですが、今後も、少子高齢化、モータリゼーションの
進展に伴う路線バスの需要減少や規制緩和の影響などにより、不採算路線の廃止・縮小
や運行便数の削減が行われ、公共交通の空白地や不便地が拡大することが危惧されてい
ます。
このため、今後とも、公共交通不便地の解消に向けた取組を推進するとともに、郊外
部等における公共交通の維持・存続に向けた取組を強化することが重要になると考えら
れます。
また、平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査においても、
8 割以上の人が、バス路線の維持が図れない、または公共交通の不便な地域の交通手段
の確保のためのコミュニティバス運行などの行政支援が必要と考えています。
<公共交通不便地の交通手段確保のための行政支援の必要性>
必要だと思
わない
1.8%
どちらとも
いえない
4.2%
わからない
5.4%
あまり必要
だと思わな
い
6.2%
必要である
44.7%
やや必要
である
37.8%
N = 1,876
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
31
(5)社会的要請への対応
①
高齢化の急速な進行等に対応した交通施設の整備
本市においてはこれまで、「鹿児島市新交通バリアフリー基本構想」等に基づき、
道路の段差・勾配の解消や電線類の地中化、低床車両の導入など、交通施設のバリア
フリー化に取り組んできたところですが、高齢化の急速な進行と多様な利用者への対
応を見据えると、高齢者や障害者等が円滑に移動できるよう、バリアフリー化の一層
の推進はもとより、電停・バス停への上屋、ベンチの設置等による待合施設の改善な
ど、安全・快適な交通施設の整備がますます重要になると考えられます。
②
地球温暖化防止などの環境対策
社会経済活動の拡大等に伴い生活環境や都市環境、さらには地球環境の悪化が進行
する中、あらゆる分野において環境負荷の低減が求められています。
とりわけ、喫緊の課題である地球温暖化問題について、本市の温室効果ガスの排出
割合は、運輸部門が最も大きく全体の 4 割弱を占めていることから、この部門での排
出量削減が地球温暖化防止に効果的であり、交通政策の面から実効性のある具体的な
取組が求められています。
平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査においても、約 8
割の人が、地球温暖化などの環境対策として「マイカーから自転車や公共交通へ」の
住民、企業等の意識改革が必要と考えています。
<「マイカーから自転車や公共交通へ」の住民、企業等の意識改革の必要性>
必要だと思
わない
3.4%
どちらとも
いえない わからない
5.7%
5.6%
あまり必要
だと思わな
い
9.8%
必要である
34.0%
やや必要
である
41.6%
N = 1,867
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
32
(6)まちづくりとの連携
①
中心市街地の活性化に資する交通環境の整備
本市の中心市街地は、消費者ニーズの多様化や大型商業施設の中心市街地外への相
次ぐ出店等により、その相対的な地位の低下が懸念されています。
このような中、本市が九州新幹線の全線開業等により激化する都市間競争を勝ち抜
くためには、中心市街地のにぎわい創出と活性化を着実に推進し、実現する必要があ
ります。
そのためには、にぎわいとやすらぎのある都市空間を整備するとともに、主要なタ
ーミナルからの二次交通を充実させて、中心市街地へのアクセス性及び中心市街地内
での回遊性の向上を図るなど、来街しやすく気軽にまち歩きを楽しめる交通環境の整
備を図る必要があります。
②
都市景観・観光資源としての公共交通の活用
本市は、公共交通として、国内でも数少ない路面電車やフェリーを有しており、こ
れらは、個性と魅力あふれるかごしまの都市景観を構成する一つの要素として、その
役割が再認識されているところです。平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関す
るアンケート調査結果においても、約 7 割の人が、全国でも数少ない路面電車を活用
したまちづくりを進めるため、路面電車の運行区間の拡大を図ることが必要と考えて
います。路面電車の運行区間の拡大は、鹿児島中央駅地区、いづろ・天文館地区、ウ
ォーターフロント地区といった拠点間のネットワークを充実させる観点からも大きな
役割を果たすことが考えられます。
余暇重視の傾向や九州新幹線の全線開業による広域的な交流拡大などを踏まえると、
これらの特色ある公共交通を観光資源として積極的に活用していくことが、都市間競
争を勝ち抜くための地域の差別化・個性化といった観点からも重要になると考えられ
ます。
33
<路面電車を活用したまちづくりに向けた運行区間の拡大、延伸の必要性>
どちらとも
いえない
4.3%
必要だと思
わない
5.6%
わからない
5.9%
あまり必要
だと思わな
い
12.8%
必要である
43.4%
やや必要
である
28.0%
N = 1,866
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
③
施設や居住の誘導に関する施策・事業との連携
人口減少局面に対応したコンパクトなまちづくりの実現に向け、「コンパクトシテ
ィ・プラス・ネットワーク」の考えのもとで、医療・福祉施設や商業施設、住居等の
まとまった立地を誘導するとともに公共交通により生活利便施設等にアクセスしやす
くすることが求められます。
このため、施設や居住の誘導に関する施策・事業の実施と公共交通に関する施策・
事業を両輪として連携しながら推進していく必要があります。
34
(7)公共交通の維持
高齢化の進行により、運転できない人の増加が見込まれることから、公共交通の重要
性は一層高まることが考えられます。平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関する
アンケート調査においては、4 割以上の人が自動車を将来的に利用できなくなる不安が
あるとしており、その内、約 8 割の人が自動車を利用できなくなった場合に公共交通を
利用すると回答しています。
一方、交通事業者へのヒアリングによると、公共交通の担い手であるバスの運転手の
不足が深刻な問題となっております。
都市機能、交通事業者の運営の両方の観点から公共交通を維持していくために、効率
性の高い、持続可能な交通体系を構築していく必要があります。
<自動車を将来的に利用できなくなる不安の有無>
どちらとも
いえない
6.3%
とても不安
がある
9.8%
特に不安
はない
27.7%
少し不安が
ある
32.5%
あまり不安
はない
23.7%
N = 1,701
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
<自動車を将来的に利用できなくなった場合の対応>
0
外出しない
200
400
600
800
1,000
47
公共交通を利用する
628
他の人が運転する自動車に同乗する
201
徒歩・自転車を利用する
196
その他
74
N = 772
(複数回答)
資料:平成 28 年度鹿児島市の公共交通の利用等に関するアンケート調査結果
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