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日立市商工振興計画(PDF形式 3532キロバイト)
日立市商工振興計画 ~商業と工業の連携から見える新しいまちづくり~ 平成 25 年 3 月 日立市 は じ め に 日立市のものづくり産業は、我が国を代表する世界的企業をはじめ、多様な技術・技能を 有する中小の製造企業が連携、補完する形で集積を見せており、この再興なくして本市の持 続的な成長は成し得ないものといえます。 先の震災で本市のものづくり産業も被災しました。震災後は、政府の復興特区やグループ 補助の制度を活用するとともに、日立市独自の中小・小規模企業被災建築物再建支援事業や、 工場敷地の緑地率の緩和などを行い、早期の復旧と雇用の維持に努めてまいりました。 その震災から2年、一定の復旧を終え、これからは本格的な復興への取組時期となります ので、新たな日立市の産業を創り出すという覚悟をもって産業振興に臨んでまいりたいと考 えます。 一方、世界規模での企業再編が進む中、地域中小企業への仕事量の減少だけではなく、雇 用維持や地域経済への影響も懸念されることから、これまで以上に企業との密接な関係を築 く必要があると考えます。また、そうした流れの中では、中小企業といえども、国際化を余 儀なくされているのは間違いなく、その支援を如何に講じていくかも行政の役割の一つかも 知れません。 産業振興の重要性、それは雇用の維持と創出に最大のポイントがあります。働く場所なく して、まちの活性化は望めませんし、市内の企業が思う存分に活躍できる環境を提供し続け ることこそが、行政に課せられた永遠のテーマでもあります。市内の企業に再投資を促し、 本市の産業集積の力を維持、継続させること、そして新たな企業立地を推進し、産業集積に 厚みと柔軟さを加えていくことが肝要だと考えております。 そうした中、今般、日立市商工振興計画が策定されました。本計画は、向こう 5 カ年の商 工振興に対する基本戦略と施策を掲げており、関係機関と連携しながら、その早期の具体化 に努めてまいりたいと考えております。 また、今回、初めて商業と工業の振興計画を一緒に策定することとなりましたが、それぞ れの産業を専門的な見地で別々に考えることは当然として、商業と工業、そして他の産業や 地域コミュニティと融合することによる新しい振興の姿も検討いたしました。初めての試み であり、今後、どのように各施策を推進していくのかなど、未知な部分もありますが敢えて チャレンジしてまいりたいと考えております。 策定にあたっては、筑波大学の上原健一氏を委員長とする、日立市商工振興計画策定検討 委員会の各委員の方々、アンケートやヒアリング調査に御協力いただきました市内事業者の 方々、日立商工会議所など多くの御協力をいただきました。この場を借りて、改めてお礼を 申し上げます。 平成 25 年 3 月 日立市長 -1- 吉成 明 日立市商工振興計画の策定にあたって 日立市の商工業を取り巻く環境は厳しい状況にありますが、こうした時こそ、景気の影響 を受けない産業基盤をつくる変革・挑戦のチャンスであると考えます。今回の検討では、こ のような認識に基づいて具体的な施策群をまとめました。この計画に魂を入れるのは、個々 の事業者の実践であり、事業者間のネットワークによる協力や連携です。つまり、行政には、 これまでの枠に捉われない個々の事業者やグループへの支援などが求められており、改めて 政策の執行機関としての力量が問われていると言えるでしょう。 商業振興については、商店街の魅力を向上することと、事業の担い手・後継者の発掘と育 成を図ることを策定検討委員会等で議論してきました。商店街の魅力向上については、個店 の魅力の強化、地域社会が求める新たな機能を付け加えることが求められます。そのために は、農林水産業の事業者などと連携し最寄品の提供を強化したり、子育て支援や高齢者に配 慮した新たな商品・サービスを展開する事業者の発掘・開業支援を行うこと、その担い手や 事業意欲を持った後継者を増加させ、定着させることが大切になります。さらに、市の政策 の中に、商店街の地域社会での必要性を位置付け、長期的、継続的な支援を行う意義を明確 にしておくことが重要です。 工業振興については、強みは何か、市場、顧客をどこに求めるかを考え、それを行政とし てどのように支援していくかを委員会で議論してきました。具体的には、中小企業の「見て、 触っても簡単に真似できない技術・技能」を強みとして、国内外の市場の顧客を広く開拓し ていくことです。そのためには、世界市場とつながるための信頼できるチャンネルを確保し、 異文化・異言語でのコミュニケーション能力を向上する具体策が求められます。また、地域 の競争力を高めるため、中小企業の持つ技術・技能の伝授を地域全体で行う仕組み構築を支 援することも大事なことです。併せて、改善・改革を自発的、自律的に継続できるような組 織力も磨かなければなりません。これらの多くは人材育成の課題であり、その支援策が重要 になります。 計画の特色として、今回は商業振興と工業振興を合わせて作成しました。全国的な傾向と しては、地域全体の振興という視点から、農商工連携や6次産業化などを合わせた総力戦で 挑む状況が見受けられるようになってきています。各委員からも異産業やコミュニティなど との連携による取組が必要という意見が出され、次期計画策定の際には、地域の全産業を融 合した「産業振興計画」を検討してみてはいかがでしょうか。 最後になりますが、本計画に掲げる施策の推進にあたっては、商工、観光物産及び農林水 産の各担当が臨機応変に連携していただくこと、現実を直視した柔軟な計画の見直しを図る ことが極めて重要になってくると思われます。商工業や他産業の連携から、新しい日立市の 姿が見えてくることを期待しますとともに、計画の策定にあたり、御協力いただきました皆 様方に、この場を借りて、改めてお礼を申し上げます。 平成 25 年 3 月 日立市商工振興計画策定検討委員会 委員長 -2- 上原 健一 目 第1章 次 計画策定の趣旨等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 1 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・・・・・ 5 2 計画の位置付け ・・・・・・・・・・・・・・ 5 3 計画期間 ・・・・・・・・・・・・・・ 6 4 計画の策定方法 ・・・・・・・・・・・・・・ 6 第2章 日立市の商工業の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 1 日立市の概況 ・・・・・・・・・・・・・・ 7 (1) 人口減少と少子・高齢化への対応 ・・・・・・・・・・・・・・ 8 (2) 医療・福祉、介護施策などの充実 ・・・・・・・・・・・・・・ 8 (3) 教育と文化の振興 ・・・・・・・・・・・・・・ 8 (4) 産業の振興 ・・・・・・・・・・・・・・ 9 (5) 都市基盤と市街地の整備 ・・・・・・・・・・・・・・ 9 (6) 自然環境の保全と生活環境の向上 ・・・・・・・・・・・・・・ 10 (7) 協働によるまちづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・ 10 (8) 東日本大震災の被害と復興 ・・・・・・・・・・・・・・ 10 2 日立市商業の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・ 11 (1) 日立市商業の歴史 ・・・・・・・・・・・・・・ 11 (2) 事業所数の推移 ・・・・・・・・・・・・・・ 11 (3) 従業者数の推移 ・・・・・・・・・・・・・・ 12 (4) 販売額の推移 ・・・・・・・・・・・・・・ 12 (5) 商圏について ・・・・・・・・・・・・・・ 13 (6) 日立市商業の課題 ・・・・・・・・・・・・・・ 17 3 日立市工業の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・ 22 (1) 日立市工業の歴史 ・・・・・・・・・・・・・・ 22 (2) 日立市工業の特色と主要な工場・研究所 ・・・・・・・・・・・・・・ 23 (3) 事業所数の推移 ・・・・・・・・・・・・・・ 24 (4) 従業者数の推移 ・・・・・・・・・・・・・・ 25 (5) 製造品出荷額の推移 ・・・・・・・・・・・・・・ 25 (6) 日立市工業の課題 ・・・・・・・・・・・・・・ 26 4 地域企業アンケート及びヒアリング調査 第3章 ・・・・・・・・・・・・・・ 32 振興の展開方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 1 日立市商業の展開方向 ・・・・・・・・・・・・・・ 40 (1) 商店街への新しい機能の付加 ・・・・・・・・・・・・・・ 40 (2) 後継者、担い手の発掘と育成 ・・・・・・・・・・・・・・ 41 (3) 新しいビジネスモデルの創出 ・・・・・・・・・・・・・・ 42 -3- (4) 異産業、地域コミュニティとの連携強化 ・・・・・・・・・・・・・・ 43 (5) 6 次産業化と観光産業の推進 ・・・・・・・・・・・・・・ 44 2 日立市工業の展開方向 第4章 ・・・・・・・・・・・・・・ 45 (1) 量産から非量産への徹底した転換 ・・・・・・・・・・・・・・ 45 (2) 海外需要の積極的な取り込み ・・・・・・・・・・・・・・ 46 (3) 成長産業分野への事業展開 ・・・・・・・・・・・・・・ 48 (4) ものづくりを伝承する地域の実現 ・・・・・・・・・・・・・・ 50 (5) 操業環境の整備と支援体制の再構築 ・・・・・・・・・・・・・・ 51 振興に向けた基本戦略と施策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52 1 施策体系 ・・・・・・・・・・・・・・ 52 2 施策一覧 ・・・・・・・・・・・・・・ 53 3 商業振興の基本戦略と各施策 ・・・・・・・・・・・・・・ 58 (1) 基本戦略 1「商店街への新しい機能の付加」 ・・・・・・・・・・・・・・ 58 (2) 基本戦略 2「後継者、担い手の発掘と育成」 ・・・・・・・・・・・・・・ 64 (3) 基本戦略 3「新しいビジネスモデルの創出」 ・・・・・・・・・・・・・・ 68 (4) 基本戦略 4「異産業、地域コミュニティとの連携強化」 ・・・・・・・・・・・・・・ 70 (5) 基本戦略 5「6 次産業化と観光産業の推進」 ・・・・・・・・・・・・・・ 74 4 工業振興の基本戦略と各施策 ・・・・・・・・・・・・・・ 75 (1) 基本戦略 1「量産から非量産への徹底した転換」 ・・・・・・・・・・・・・・ 75 (2) 基本戦略 2「海外需要の積極的な取り込み」 ・・・・・・・・・・・・・・ 80 (3) 基本戦略 3「成長産業分野への事業展開」 ・・・・・・・・・・・・・・ 86 (4) 基本戦略 4「ものづくりを伝承する地域の実現」 ・・・・・・・・・・・・・・ 89 (5) 基本戦略 5「操業環境の整備と支援体制の再構築」 ・・・・・・・・・・・・・・ 93 5 商工等連携による産業振興に向けた基本戦略と各施策 第5章 計画推進のために ・・・・・・・・・・・・・・ 97 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98 1 産業振興の基本姿勢 ・・・・・・・・・・・・・・ 98 (1) 中小企業憲章を考える ・・・・・・・・・・・・・・ 98 (2) 産業振興は自治体の裁量範囲の政策 ・・・・・・・・・・・・・・ 99 2 産業振興を推進する組織等について ・・・・・・・・・・・・・・ 99 (1) 産業支援機関の存在 ・・・・・・・・・・・・・・ 99 (2) 効果的、効率的な産業支援のために ・・・・・・・・・・・・・・ 99 資料編 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・102 -4- 第1章 計画策定の趣旨等 1 計画策定の趣旨 本市は、 日立製作所、(旧)日本鉱業の立地に端を発したものづくり産業の集積地として 100 年超の歴史を有し、電力、家電、自動車等の製品等を支える基盤的技術を蓄積する多くの 中小企業が立地した、ものづくりを基幹産業とする茨城県県北の中核都市です。 工業の発展、活性化に連動するように市街地や都市基盤が整備される過程で、JR常磐 線の各駅前などを中心に商店街が形成され、商業機能も充実してきました。 しかしながら、産業構造の大きな転換の中、製造事業所や製造業従事者が減少し続けて いるとともに、人口減少の傾向も止まらず、商業、工業ともに停滞、縮小の状況におかれ ています。 このような状況を産業の転換契機と捉え、生活者と商工業事業者の両方の視点に加え、 地域コミュニティや商業者と工業者との連携などを視野に入れながら、新しい商工振興政 策に取り組むことが求められています。 「日立市商工振興計画」は、本市の商工業における課題抽出をベースに、それら課題を 克服するための戦略や具体的な施策を提案することを目的としています。 2 計画の位置付け 本市はこれまで、 「日立市基本構想」(平成 9 年度から平成 23 年度まで)において、目指す ま ち 都市像を『創造とふれあいの都市・日立』と定めるとともに、その実現を図るための施策 を「日立市基本計画」に位置付け、進めてきました。 しかし、基本構想策定から 15 年が経過し、この間には本市と十王町が合併したり、リー マンショックなどにより大きく経済環境が変化したり、東日本大震災により甚大な被害が 発生したりするなど、地方自治体には変化への対応力とともに、これまで以上に主体性や 効率性が求められています。さらには市民の意識や生活様式までもが大きく変わりました。 こうした中、社会情勢の変化に対応し、市民のニーズを踏まえながら、将来にわたって、 誰もが安心して生き生きと暮らせるまちづくりの推進の新たな指針として、 『日立市総合計 画』が策定されました。この計画は、本市行政の最上位の計画であり、中長期的な観点か ら、将来都市像とこれを実現するための基本的な考え方や施策、事業を示しています。 ※ 日立市の目指す都市像と施策の方向を示す「基本構想」 、具体的に展開する施策・事業の体系を示す「基 本計画」 、年度ごとに実施する事業を示す「実施計画」を策定し、これらを合わせて「総合計画」とし ています。 したがいまして、本計画は、本市の基本構想及び基本計画を更に具現化する個別計画と して策定し、今後、実施すべき具体的な施策の提案を行います。 -5- 【個別計画】日立市商工振興計画(商業・工業分野) 3 計画期間 本計画の期間は、平成 25 年度から平成 29 年度までの 5 年間とします。 4 計画の策定方法 計画策定の方法については、平成 23 年度の日立市総合計画策定の中で行われた市民ニー ズ調査を踏まえるとともに、専門的知識や経験を有する学識経験者、商業と工業事業者の 代表者、消費者代表及び産業支援機関による日立市商工振興計画策定検討委員会、並びに 商業と工業のそれぞれ部門別検討分科会により検討を進め、商業、工業の関係団体への説 明を経て策定しました。 -6- 第2章 日立市の商工業の現状と課題 1 日立市の概況 本市は、関東平野の北東端に位置し、東は太平洋を臨み、西は阿武隈山系が連なり、 一年を通じた温暖な気候と海・山の豊かな自然に恵まれています。 市域は太平洋に面して南北に長く、JR常磐線、国道 6 号、常磐自動車道が縦断して います。市街地は、JR常磐線の各駅周辺に立地した大規模工場を中心に形成されてお り、山側や南北行政界付近まで住宅地域が拡大しています。また、市域南部は重要港湾 である茨城港日立港区があり、北関東における物流の重要拠点として、全国各地、諸外 国を結ぶ玄関口となっています。 「日立」という地名は、水戸黄門として有名な水戸藩二代藩主「徳川光圀」公がこの 地を訪れ、 「日の立ち昇るところ領内一」とたたえた故事に由来すると言われています。 明治時代の後半には日立鉱山において銅の採鉱が始まり、その後、鉱工業を中心とした 「ものづくり」のまちとして成長するとともに、産業都市として独自の歴史や文化、コ ミュニティが育まれてきました。 以下については、日立市総合計画で述べられている、本市を取り巻く現状と課題を抜 粋したものです。 -7- (1) 人口減少と少子・高齢化への対応 本市では、近隣自治体への転出や出生数の低下などによる人口減が続いており、人 口の維持が行政課題となっています。特に本市の人口減少の特徴として、若年層の市 外への流出が顕著となっており、将来的な労働人口不足が危惧されています。 高齢化においても、国・県を上回る高齢化の進展が予想される中、高齢者を対象と したサービスや商品の提供が、商業、工業において無視できない状況にあります。 また、少子化対策については、子育て支援や仕事と生活の調和を図り、生き生きと した市民生活の実現が求められています。 日立市将来人口構成比 年 区分 2005 年 2010 年 2015 年 2020 年 2025 年 100.0 96.2 92.4 88.0 82.9 年少(0~14)人口割合(%) 14.3 13.5 12.3 11.1 10.3 生産年齢(15~64)人口割合(%) 64.8 61.0 58.2 56.6 56.1 老年(65 以上)人口割合(%) 20.9 25.4 29.5 32.2 33.6 8.8 11.1 14.4 18.0 20.9 総人口指数 75歳以上人口割合(%) 出典:「日本の市町村別将来推計人口(2005 年基準 2008 年 12 月推計)」 (国立社会保障・人口問題研究所) (2) 医療・福祉、介護施策などの充実 本市では、地域の中での見守り体制や介護保険事業の充実など、市民福祉の充実に 努めてきましたが、平均寿命が延び、更なる高齢化が進展する中で、生きがいづくり などの施策の充実が求められています。 また、少子化対策の一環として子育て家庭に 対する支援を充実するだけでなく、子どもから 高齢者まで、誰もが住み慣れた地域で、いつま でも安心して自立した暮らしができる環境づく りが必要となっています。 さらに、健康な生活が市の活力増大につなが ることから、市民の健康づくりなどの地域医療 体制の整備が必要です。 (日立総合病院救命救急センター) (3) 教育と文化の振興 教育は次の時代を担う人材を育成するという使命を担っており、まちづくりの基本 となるものです。また、文化の振興は、本市に住む人々の心の豊かさの向上を図る重 要な要素です。 -8- 今後は、子どもたちの一層確かな学力、豊か な心と健やかな体を育成するための教育環境の 向上を図るとともに、本市の多様な地域資源や 文化などについて学ぶ機会を広げ、郷土に愛着 を持つ心を育むことが必要です。 (日立理科クラブによるモノづくり工房) (4) 産業の振興 本市は、製造業を中心に発展してきましたが、現在では第 2 次産業の就業者数は減 少傾向にあり、第 3 次産業の就業者数が多くなっています。 第 2 次産業については、本市特有の産業集積により蓄積された人材・技術・技能な どの資産を十分に活かしていくことが重要であるとともに、そうした産業を支える中 小企業の維持・拡大を目指す活動を支援する施策の充実を図ることが重要です。 第 3 次産業については、特に商業分野におい て若年層を中心に買い物客等が市外へ流出し、 商店街が空洞化している現状を踏まえた再整備 を検討するなど、集客力を高める取組が必要で す。 また、環境問題や高齢社会の諸問題などの社 会的課題、地域課題をビジネスの手法で解決を 目指す「ソーシャルビジネス」 「コミュニティビ ジネス」などの展開支援も必要です。 (日立地区産業支援センターによる普通旋盤研修) (5) 都市基盤と市街地の整備 本市は、上下水道、学校、福祉施設などの都市機能が充実している一方で、海と山 にはさまれた地形上、狭い範囲に市街地が集積し、脆弱な幹線道路に交通が集中して いるため、災害時の対応を含めた渋滞の解消が課題となっています。 さらに、人口増加期に山側に造成された住宅団地における急激な高齢化や、中心市 街地の空洞化、老朽化したインフラの更新・再整備なども課題となっています。 特に交通渋滞は、製造業におけるデリバリーコスト高の原因になるばかりか、物流 上のボトルネックとなり企業誘致におけるデメ リットとなっています。 平成 24 年度には、大みか~久慈地区に新交通 システム(BRT:Bus Rapid Transit)が整備 され、市街地における新しい交通体系を基軸と したまちづくりや、産業活性化への活用に期待 が寄せられています。 (整備予定のBRT:Bus Rapid Transit) -9- (6) 自然環境の保全と生活環境の向上 本市の豊かな自然や身近な地域の生活環境を守り、次の世代に確実につなげていく ためには、市民、企業、行政がそれぞれの立場で環境負荷の低減に取り組むことが求 められています。 また、高齢化や核家族化等の進展に 伴い、防犯についての関心も高まって おり、子どもから高齢者まで誰もが安 心して生活が送れるように、地域の中 で防犯への取組の強化などが求められ ています。 (日本のさくら名所 100 選【平和通りのさくら】 ) (7) 協働によるまちづくりの推進 本市では、今後の人口減少に伴う労働力人口の減少や雇用形態の変化などから、税 収不足が懸念されています。このため、行財政改革の推進、財源の安定的確保と効果 的・重点的な予算執行や人的資源の有効活用への取組が必要です。 これらの観点に立つと、市民、企業、大学、行政が協力し合ってまちづくりを進め ることが必要となっています。 これまでに育まれてきたコミュニティ組織や多くの市民活動団体などの活動を活か し、更に若年層の参加促進や活動ノウハウの継承などを支援するなど、協働によるま ちづくりを進める仕組みの充実を図ることが重要です。 (8) 東日本大震災の被害と復興 本市は、東日本大震災において震度 6 強の揺れに見舞われ、家屋や道路、電気、上 下水道等の生活基盤、産業と物流の拠点である茨城港日立港区の施設などが大きな被 害を受けました。 このような中で、まずは市民の生活再建を最優先すべきとし、被災者支援をきめ細 かく行うとともに、産業の復興支援、市庁舎などの改築を含めた震災時の対応強化、 その他公共施設の復旧などが課題となっています。 また、道路、上下水道等のまちの基盤について早急な復興を図るとともに、救急医 療体制の充実や地域のコミュニティ組織における支え合いの強化を図るなど、ハード とソフトの両面で減災への取組を強化し、市民生活の安全を確保していくことが必要 となっています。 さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う住民の健康リスクの低減、農 業、水産業をはじめとした産業面の復興が大きな課題となっています。 これらの課題に対応するため、東海村の原子力関連施設に近接していることを踏ま え、震災復興計画に位置付けた施策を効果的・効率的に展開することが必要です。 - 10 - 2 日立市商業の現状と課題 (1) 日立市商業の歴史 日立市商業の形成は、基幹産業である工業の発展と密接に関係しています。 (旧)日本鉱業の精錬所から搬出される精錬銅の輸送手段であった鉱山電車(トロッコ電 車)の沿道に、商店等が集積し商店街が形成されてきました。その様子は下図「日立商店 街の変遷」のとおりです。 大雄院から新町、栄町、桐木田、助川下町、新道へと現在の JR 日立駅に向かって商店 街が作られ、そして現在の中心市街地は第 2 次世界大戦前に概ね形作られました。 戦後からバブル崩壊前までの期間は、中心市街地と呼ぶにふさわしく百貨店や映画館 の立地もあり、買い物の場としてだけではなく、週末の市民の社交場としても機能して いました。 しかしながら、バブル崩壊後の景気の停滞は、百貨店と映画館の撤退、既存商店街の 個店の閉店を誘発し、全国の他の地方都市と同様に「空き店舗」に悩む中心市街地へと 変容していきました。 (2) 事業所数の推移 日立市の商店数は、昭 和 54 年の 3,983 件をピー クに減少を続け、直近の データ(平成 19 年)では 1,989 件と減少していま 4,500 4,000 3,500 3,983 3,054 3,000 3,034 2,977 2,500 2,647 す。 3,197 3,293 3,060 2,655 2,709 2,776 2,592 2,135 2,000 2,220 個人 1,989 1,801 1,520 1,500 1,418 1,233 1,062 1,000 1,006 500 経営組織別に見た 事業所数の推移 法人 2,413 1,952 1,189 1,102 1,237 1,235 1,357 1,255 1,107 1,158 1,113 計 1,028 961 517 413 0 S45 S49 S54 S60 S63 H3 H6 H9 H11 H14 H16 H19 (商業統計調査より独自に作成) - 11 - 卸売小売業を事業区分でみると、事業所数の推移にあるように、かつては全体数 3,983 件の 4 分の 3、2,977 件を個人事業者が占めていましたが、直近の平成 19 年で は 961 件、全体数は 1,989 件とそれぞれが約半分に減少しています。 個人消費の減退や郊外型大規模店舗の周辺地域への進出など、経営資源に限りのあ る個人事業主には厳しい経営環境が続いており、後継者難の状況を生み出しているこ とが推察されます。そしてそのことが中心市街地の商店数の減少、空き店舗の増加、 店舗以外の土地利用への転用へとつながり、結果として商店街の魅力を奪うことにな っています。 (3) 従業者数の推移 卸売小売業に従事される方は、昭和 54 年の 16,447 人をピークとしていますが、平 成 14 年までは 15,000 人を維持し、大切な雇用の場となっておりました。しかしなが ら、平成 11 年以降は減少を続け、直近では 13,231 人となっています。 従業者数の推移 18000 16447 16122 15599 15477 16000 15291 15628 15280 14000 15471 14530 15189 13231 12000 12056 11103 10000 卸売小売数 8267 8000 従業者数(人) 6000 3983 4000 2000 3293 2896 3060 3054 3197 2592 2709 3034 2655 2354 2220 1989 2413 0 S35 S41 S45 S49 S54 S60 S63 H3 H6 H9 H11 H14 H16 H19 (商業統計調査より独自に作成) (4) 販売額の推移 販売額は、平成 3 年の 7,162 億円をピークとし、直近では 3,893 億円と 54%に減少 しています。要因として考えられるのは、バブル崩壊による消費の低迷、平成 17 年の 百貨店撤退、近隣地域における郊外型大規模店舗の進出による影響が大きいと考えら れます。 県内の主要都市との比較を見ますと、事業所数の差がそれほどない土浦市、つくば 市に対して、それぞれ 67%、50%の販売額となっており、1 事業所あたりの販売額が 少ない状況となっております。 県下最大の商業都市である水戸市との比較においては、事業所数で 56%、販売額で 25%となっています。 - 12 - 年間商品販売額の推移 (商業統計調査より独自に作成) 県内主要都市の年間商品販売額 事業所数(人) 従業者数(人) 年間商品販売額万円) 日立市 1,989 13,231 38,935,156 水戸市 3,529 30,834 152,014,124 つくば市 1,822 14,292 77,781,208 ひたちなか市 1,534 11,614 35,890,921 土浦市 1,802 13,862 57,427,291 古河市 1,734 10,963 27,135,619 牛久市 605 5,144 10,411,362 守谷市 399 3,725 7,986,247 (平成 19 年商業統計調査、住民基本台帳より独自に作成) (5) 商圏について 2010 年茨城県生活行動圏調査報告書によりますと、吸収人口の最も多い市町村は水 戸市で約 79.9 万人、つくば市が 63.7 万人、ひたちなか市が 44.9 万人、土浦市が 33.8 万人、日立市が 25.1 万人の順となっています。(中学 1 年生を持つ全世帯が調査対象) 吸収率の最も高いのは下妻市で 418.3%、以下、守谷市 392.8%、水戸市が 301.7%、 つくば市が 300.9%で続いています。 吸収率が大きく上昇している市町村をみると、ここ数年の間に大型商業施設などが 新規出店しており、その影響によると考えられます。 - 13 - 茨城県北部における買物客の吸収・流出率は、次の図のようになっています。 水戸市は市内及び周辺自治体からの買物客の吸収率が最も高く、茨城県北部におけ るほぼすべての自治体から買物客を集めています。 ひたちなか市も水戸市ほどではないものの、周辺自治体からの買物客の吸収率が高 くなっています。 一方、日立市はJR常磐線の各駅周辺に独特な発展を遂げた商業機能を有しており、 買物動向が地元商店街及びドラッグストアや食料品スーパーなどの大型店で完結して いることが想定され、地元吸収率が高くなっています。近隣自治体から多少の買物客 流動が見られるものの、他自治体からの吸収率は高くなく、周辺地域への影響力の大 きい商圏を構築できていないと言えます。 全体の吸収率は 130%(人口に対して 130%の商圏人口を有することを示す。)で、 吸収率では高萩市が 56%で最も高く、北茨城市、常陸太田市が 30%前後となっていま す。流出率ではひたちなか市が最も高く、水戸市がこれに続いています。 茨城県北部における買物客の吸収・流出率(2009 年) (2012 年 筑波大学地域研究年報 34 「日立市における商業構造の変容」より) - 14 - (単位:人) 他都市から吸収人口 順位 年度 平成 21 年 平成 18 年 平成 15 年 平成 12 年 平成 9 年 1位 2位 3位 4位 5位 高萩市 常陸太田市 北茨城市 ひたちなか市 東海村 17,492 16,191 14,635 8,031 6,671 55.8% 28.4% 30.8% 5.1% 18.1% 高萩市 北茨城市 19,163 常陸太田市 17,305 高萩市 北茨城市 19,006 15,574 常陸太田市 17,688 高萩市 北茨城市 16,938 15,427 常陸太田市 16,873 高萩市 常陸太田市 19,597 15,921 北茨城市 19,147 ひたちなか市 8,686 十王町 5,086 ひたちなか市 11,473 十王町 10,360 ひたちなか市 10,591 十王町 17,917 年度 平成 21 年 平成 18 年 平成 15 年 平成 12 年 平成 9 年 76,466 東海村 8,404 ひたちなか市 10,318 8,965 (単位:人) 他都市への流出人口 順位 合計 1位 2位 3位 4位 ひたちなか市 水戸市 高萩市 東海村 66,348 64,475 21,813 21,705 34.2% 33.2% 11.2% 11.2% 水戸市 ひたちなか市 50,567 水戸市 東海村 38,849 ひたちなか市 38,611 水戸市 31,118 32,830 東海村 27,166 18,028 高萩市 25,709 北茨城市 25,418 22,157 高萩市 常陸太田市 29,526 37,370 28,430 東海村 ひたちなか市 水戸市 高萩市 19,904 19,219 高萩市 17,028 (茨城県生活行動圏調査報告書より独自に作成) 日立市内の商店街は、次ページの図のとおり分布しています。 19 の商店会等が現存していますが、JR 常磐線の各駅前に形成されている例が多く、 その他では(旧)日立電鉄の久慈浜駅前、陸前浜街道に面した滑川、川尻の旧宿場町に見 ることができます。ただし、店舗数はいずれの商店街でも減少傾向にあります。 - 15 - 商店街の分布状況 № 商 店 会 等 1 川尻商店街 2 日高商店会 3 滑川丘商店会 4 神峰商工親交会 5 下町商店会 6 日立駅前平和共栄会 7 ひたちぎんざもーる商店会 8 まいもーる商店会 (日立銀座中央商店街振興組合) 9 日立銀座1丁目商店会 10 パティオモール商店会 11 中町商店街 12 旭町商店会 13 さくら町商店会 14 多賀銀座商店会 15 多賀駅前中央商店街振興組合 16 千石商店会 17 多賀駅前商店会 18 大みか商店会 19 久慈町商店会 平成 24 年 7 月 5 日現在 - 16 - (6) 日立市商業の課題 ア. 担い手・後継者不足 工業者と比較して、商業者における後継者不足は深刻です。ヒアリング調査によれ ば 20%程度の個店にしか後継者が存在していない状況があり、こうした状況下では近 い将来、個店の存続、商店街の維持が困難になることは明らかです。 このような状況を打開するためには、後継者の発掘とその育成が急務であると言え ます。 一方、商業者においては企業規模が比較的小規模であることから、社内や家族の中 で後継者が存在しないことも想定され、事業継承者を第三者から公募することも検討 する必要があります。 商店街ヒアリングより(ある商店街からの声) 地域の人口が減少する中、各個店では後継者の問題が大きい。少し前までは息子が戻ってきて後 を継ぐ動きが見られたが、規制緩和でスーパーなどでも酒類販売ができるようになり、後を継いだ はずの息子さんが再就職している状況もある。 後継者に関するアンケート調査 後継者がいる 今はいないが 後継者が 後継者は いずれ継ぐ いない 必要ない わからない 件数 130 18 141 39 117 比率(%) 29.3 4.0 31.6 8.8 26.4 (平成 23 年度茨城県商店街実態調査報告書より) イ. 商店街に求められる新しい機能 銀座通りに展開する 3 つの商店街(ひたちぎんざもーる商店会、まいもーる商店会、 パティオモール商店会により構成され、「3 モール商店街」と呼ばれている。) を例に 考えてみると、約1km の区間にかつては 300 件の店舗が立地していましたが、現在で は 120 店舗程度に減少しています。空き店舗だけではなく、建物を取り壊し駐車場に 転用するなど商店街としての景観さえ失われつつあります。 また、現在、商店街で購入できる商品を見ても、生鮮食料品などの最寄品が圧倒的 に不足しているのは従来どおりですが、加えて、せともの屋、紳士服屋、時計・貴金 属店などのいわゆる専門店が閉店、撤退をしており、商店街として提供できる商品(コ ンテンツ)が不足している状況となっています。 今後の人口構成を考えますと、ますます高齢者が増大することは明白であり、高齢 者を主要顧客としてとらえた商店街、個店の事業展開が求められています。 また、少子化や核家族化の傾向が顕著となっている中、子育てに対する親の不安は 募る一方であり、そうした不安を解消するために「子育て支援カフェ」のような機能 を商店街が提供する事例も全国的には珍しいものではなくなっています。 - 17 - 一方、東日本大震災においては、商業機能が「電気」「ガス」「水道」 「道路」「通信」 に続く「第 6 のインフラ」として再認識されました。つまり食糧などの供給基地とし ての役割です。スーパーなどが物流麻痺により開店できない中、住宅街の中の商店な どがストック品を惜しみなく販売し、改めて注目を集めたのは記憶に新しいこととな っており、身近な商店のあり方を考え直す必要性が高まっています。 - 18 - 先進事例調査「高松丸亀町商店街」理事長講演から一部抜粋 丸亀町再生計画の核心は、 「土地問題の解決」、土地の所有権と利用権の分離である。 客足が遠のいた最大の原因は、消費者が欲しい物が買えない商店街になってしまったこと。 イベントはいくら実施しても駄目である。 大切なことは、いか居住者を取り戻すかである。 まちづくりのコンセプトを「年を取れば丸亀町に住みたいよね」とし、車に依存しない安全 安心なまちづくりを行うことにした。 (URL http://www.kame3.jp/) - 19 - ウ. にぎわいづくり・環境整備 市内の商店街を見た時、商店街としての体をなしていることころは限られています。 そうした中、地域コミュニティの一員として活動することにより活路、存在意義を見 出している個店、商店街も見られます。 一方、環境整備の点から街路灯を見てみますと、老朽化による更新や ECO(エコ)の 観点からの LED 化、電気料負担などの問題があり、商業者の体力低下の中、行政によ る支援が求められています。 また、商店街のにぎわい創出策として各種イベントを展開していますが、商業者に おける担い手不足、プレーヤー不足からイベント従事者が固定化しており、各種イベ ントを開催するごとに疲労感が蓄積している感は拭えません。 - 20 - 商店街街路灯の LED 化の様子(写真) 先進事例調査「八王子市」で訪問したある経営者からの手紙 感覚的な経営者は、理論的に自分が成功した方法を他人に教えられません。一代で財を成し た社長にはこのタイプが多いので、二代目は何とかやっても、三代目でダメになります。 商売もモノ作りも、トップには経営を理論的に考えられる頭を持たないと、不況や不調の波 に負けるばかりか、順調な時でも過度な投資や贅沢をして困る結果を自分で作ったりします。 商売のセンスのある程度ある人に、方法を正しく教えて、実践しながら上達していく教え方 しか、いい方法はないと私は思います。 「今、何とかやっている」というぬるま湯にいる人に教 えるにはこれしかないと思っています。 八王子のまちの先輩が、お客様を集め、商店街を作ってくれたおかげで、私は今の仕事がで きています。先輩は顔も知らない人もいて、亡くなっている人ばかりです。八王子は 400 年の 歴史があるから、400 年の全部の商人のおかげで今があります。だから私は、次の世代のため に商売の方法を伝えて、先輩達への恩返しをしていきたいと今の活動を始めました。 日立市の商業にいい方法が見つかることを祈っています。 ※手紙の主は、若い商業者に対して商売の基本を伝授する塾を私財を投じて行っている。 先進事例調査「玉野市」の取組 岡山県玉野市では、内閣府から中心市街地活性化基本計画の認定を受け、73の事業を推進 している。その中心的なコンセプトは、中心市街地の人口を増やすというものである。 その取組の一つに、近隣に文化芸術関連施設等があることなどから、県内外からアーティス トの誘致を行うものがある。 事業実施から1年間経っていない中、7組15人の誘致実績がある。 (URL http://www.tamanocci.jp/ccam/ - 21 - URL http://www.unozukuri.com/) 3 日立市工業の現状と課題 (1) 日立市工業の歴史 日立市の工業は、(旧)日本鉱業の日立鉱山に深く関わっています。日立鉱山は明治 38 年に赤沢銅山と呼ばれていた小鉱山を久原房之助氏が買収・開発した銅山で、主に 銅と硫化鉄鉱を産出していました。閉鉱となった昭和 56 年までの間、3,000 万トンの 粗鉱、44 万トンの銅を産出するなど日本有数の銅鉱山の一つとなりました。 日立鉱山を核とした久原財閥は、日産コンツェルンへとつながり日本の産業近代化 を推進する牽引役となりました。 当時の鉱山用掘削機械やモーター等は全てが外国製でしたが、その修理を専門に行 っていたのが、当時、日立鉱山の工作課長であった日立製作所の創業者「小平浪平」 氏でした。外国品に頼らず純国産技術によってモーター(5 馬力モーター)を製作し、 (旧)日本鉱業の社内ベンチャーとして立ち上げた会社が「日立製作所」でした。これは 100 年以上も前のことになります。日立製作所では、創業当時の想いを継承するとい う意を込め、創業当時の作業所「創業小屋」を復元・保存しています。 日立鉱山は当時、世界一の銅の採掘量を誇っており、これを支える一翼を担ったの が国産技術初の「5 馬力モーター」だったのです。 以降、日立製作所は国内の電力需要の増大と家庭の電化普及をビジネスチャンスと して捉え、電力、家電、自動車、情報、交通システム、産業機械などに事業を伸展し、 世界的な総合電機メーカーとして成長を実現しました。 (日立鉱山大雄院精錬所) (創業小屋と 5 馬力モーター) - 22 - 小平浪平氏により誕生した日立製作所はこの創業小屋から発展を続け、日立市を中 心にした茨城県県北地域に、日立グループの関連会社、それを支える中小企業群の産 業集積を形成していきました。 (従業員数は平成 24 年 4 月 1 日現在の数値) 日立市内の日立グループ事業所の概要 事業所名 製造品目 ㈱日立製作所 火力・水力・原子力用発電機器、パワーデバイス、環境 電力システム社 関連設備、変圧器、遮断器、ガス絶縁開閉装置、配電機 日立事業所 器 ㈱日立製作所 情報制御システム、計算制御システム、制御用コントロ インフラシステム社 ーラー、自立分散システム、情報処理用機器、パワーエ 情報制御システム事業部 レクトロニクス 従業員数 (人) 6,155 2,495 ドラム式洗濯乾燥機、縦型洗濯乾燥機、衣類乾燥機、ク 日立アプライアンス㈱ リーナー、井戸ポンプ、空気清浄機、電子レンジ、ジャ 家電事業部多賀家電本部 ー炊飯器、照明器具、LED照明、IHクッキングヒー 1,611 ター 日立化成㈱山崎事業所 日立電線㈱電線工場 電気絶縁材料、電子関連材料、合成樹脂、カーボン製品、 摩擦材製品、プリント配線板用感光性フィルム 半導パッケージ材料、自動車用ホース 911 695 通信ケーブル、絶縁線、原子力設備用ケーブル、輸送用 日立電線㈱日高工場 電線、電力用電線、光ファイバケーブル、電子機器用電 1,605 線 情報ネットワークシステム関連製品、無線システム関連 日立電線㈱高砂工場 製品、光コンポーネント及び光システム関連製品、化合 1,043 物半導体、自動車関連製品、電子機器用電線、絶縁線 日立電線㈱豊浦工場 クラッド材、銅荒引線、巻線、製缶用溶接線 506 (日立商工会議所:日立市の経済動向より作成) (2) 日立市工業の特色と主要な工場・研究所 日立市の工業の特色は、企業城下町と呼ばれる全国の他地域と同様に、特定の大手 企業を頂点とした生産ピラミッド構造を有している点にあります。この生産ピラミッ ドは、製造コストの低減化と生産規模の拡大、生産調整といった機能を有しており、 機械加工や製缶・板金、組立、めっきなどのものづくりの要素技術を有する地域中小 企業に外注することで成立しています。 研究所については、日立製作所の日立研究所が市の南部、大みか地区に立地してい ます。 - 23 - № 企業・事業所名等 ① (株)日立製作所日立事業所(海岸工場) ② (株)日立製作所日立事業所(山手工場) ③ (株)日立製作所日立事業所(臨海工場) ④ (株)日立製作所日立事業所(埠頭工場) ⑤ (株)日立製作所日立事業所(国分工場) ⑥ (株)日立製作所インフラシステム社 情報制御システム事業部 ⑦ 日立アプライアンス(株) 家電事業部多賀家電本部 ⑧ 日立化成(株)山崎事業所 ⑨ 日立化成(株)山崎事業所(桜川) ⑩ 日立電線(株)電線工場 ⑪ 日立電線(株)日高工場 ⑫ 日立電線(株)高砂工場 ⑬ 日立電線(株)豊浦工場 ⑭ JX日鉱日石金属(株)日立事業所 ⑮ 日立セメント(株) (日立商工会議所:日立市の経済動向より作成) (3) 事業所数の推移 従業者数 4 人以上の製造事業所数は、昭和 63 年の 838 件をピークに減少を続け、直 近の平成 22 年では 461 件と 55%に減少しています。この減少の要因は平成 7 年から 平成 8 年の急激な円高による大手企業の海外展開や、平成 21 年のアメリカの証券会社 リーマンブラザーズの破綻に端を発した「リーマンショック」に起因していると考え られます。以後も平成 23 年の東日本大震災、ヨーロッパの金融不安などによる円高を - 24 - 背景に、再度の海外展開が進んでおり、工業を取り巻く環境が厳しい情勢であること に変化はありません。 こうした中、市内の製造事業所では雇用維持を果たすべく懸命な経営努力を重ねて いますが、大きな経営環境の変化に飲み込まれ、廃止・廃業となる事業所が顕在化し ていることは否めません。 45000 42912 130041451 40000 39159 36571 35000 30775 838 800 28791 790 27267 29064 673 629 556 28439 28136 28109 27287 27864 597 27038 25000 26159 527 524 504 508 480 477 497 457 30000 461 300 20000 15000 S63 H3 H6 H9 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 事業所数 従業者数 (工業統計調査より独自に作成) (4) 従業者数の推移 従業者 4 人以上の事業所の従業者数は、平成 3 年の 42,912 人をピークに減少を続け ましたが、 平成 15 年の 26,159 人を底に増加に転じ、 平成 20 年には 17 年ぶりに 30,000 人を超えるところまで回復しました。 しかしながら、その後はリーマンショックなどの経済環境の大きな変化の中、再び 減少に転じ、直近の平成 22 年では 28,136 人となっています。 (5) 製造品出荷額の推移 製造品出荷額は平成 3 年の 1 兆 6,671 億円をピークとし、以後、減少を続け平成 15 年の 1 兆 1,241 億円が底となっていますが、平成 20 年には 1 兆 4,491 億円にまで回復 しています。 しかしながら、リーマンショックによる経済停滞の影響を受け、平成 21 年には 1 兆 2,254 億円に再び下落しました。その後は回復を見せ、直近の平成 22 年には 1 兆 3,970 億円となっています。 全国的には 32 位、北関東では群馬県太田市についで 2 位、県内では 1 位となってい ます。 - 25 - (単位:億円) 18000 16671 16000 16612 15653 15515 15179 14727 14000 14491 14389 13970 14014 13551 12609 11953 12000 11760 11853 11725 11097 11493 11529 11241 11711 12254 10000 8000 S60 S61 S62 S63 H元 H2 H3 H4 H5 H6 H9 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 (工業統計調査より独自に作成・従業者 4 人以上) (6) 日立市工業の課題 中小企業白書 2012 年版によれば、日本の中小製造業においては「需要の創出・獲得 に挑む事業活動」として「国内事業を活かし、海外需要を取り込む中小企業」の活動が 顕在化していることを示しています。 国内の需要停滞、アジア新興国の市場拡大、取引先の海外展開が進む中、製造業・卸 売業を中心に中小企業でも海外展開が拡大傾向にあります。他方、中小企業が海外展開 をするには乗り越えなければならない障壁や、国内とは異なる特有の課題・リスクに対 応する必要がありますが、海外展開企業には国内市場で十分に活用されていない強みを 海外で発揮することにより、国内事業を活性化している多くの事例があるとしています。 白書では、課題やリスクを見極めながら海外展開に取り組むことを求めています。 (中小企業の海外展開(概念図):中小企業白書 2012 年版より) - 26 - また、海外展開と国内産業の空洞化は表裏一体なものとして議論されることが多いで すが、海外拠点の設立が国内雇用に与える影響を分析すると、2002 年度及び 1998 年か ら 2004 年度に直接投資(海外に直接投資をした法人や工場を保有することをいう。) を 開始した企業では国内雇用が拡大傾向にあり、海外展開により国内事業が活性化されて いると報告されています。 逆に海外へ一度も直接投資を行わなかった企業では、国内従業者数が伸び悩んでいる という結果も出ています。 下のグラフは、2002 年度に直接投資を開始した企業の国内従業者数の推移を表してい ます。 (直接投資開始企業の国内従業者数の推移:中小企業白書 2012 年版より) また、ものづくり人材の育成については、日本の競争力の源泉であるものづくり技術 を維持・強化するための課題として位置付けられています。独自に課題解決に取り組む 企業がある一方で、資源が限られている中小企業が地域や産学と連携して課題を乗り越 えようとする動きもあり、企業の創意工夫を活かしつつ、総合的な対策の実施を求めて います。 特に海外との競争において優位にあるとしている技術は、 「多品種・ロット変動等への 適応力」 「納期短縮」 「難度の高い加工」が挙げられており、こうした分野での更なる高 度化が求められています。 以上、中小企業白書 2012 年版における記述も念頭に入れながら、当市工業の課題を 次のように整理してみます。 ア. 人材確保と人材育成 中小企業のあらゆる企業活動、例えば研究開発、市場開拓、販路開拓、海外展開な どは社員により行われています。したがって優秀な社員の確保と育成なくして、円滑 な事業活動を成立することはできません。「企業は人なり」という言葉があるように、 - 27 - 経営資源の脆弱な中小企業の活動は「人材(人財) 」に頼らざるを得ないのが実情です。 本市は、中小企業のグローバル経済への対応に必要不可欠な技能者・技術者・管理 監督者などの人材確保と、人材育成を積極的に行うべきと考えます。 特に技術者の確保については、大学などで専門教育を経た若い人材を確保できるよ う、学生のうちから地域中小企業と密接に関われるような仕組みづくりとともに、地 域中小企業の技術や技能、製品などの魅力を発信できるような取組への支援が求めら れています。 また、若い経営者や後継者は地域を担う人材でもあります。こうした人材を発掘し、 育成することを目的とした「自ら志を高め、学ぶ仕組み」は、地域の継続的な発展、 活性化に欠くことのできない人材を育みます。 ※A社の事例 マイクロモーターや IC タグ、生ごみ処理機の設計製造を行う A 社では、茨城大学との共同研究を 契機に、当時中国から留学していた中国人技術者と知り合い、卒業と同時に正社員として採用した。 以降、当社にとって欠くことのできない研究開発技術者として育成、登用したという。 特に IC タグにおいては、この技術者の家族が経営する中国企業に出資するとともに、生産を完全 に委託しており、当社にとって重要なパートナー企業となっている。 イ. ネットワークの深化(地域外とのネットワーク) 企業活動は行政界に捉われることなく行われているのは周知の事実です。全ての企 業活動は、地域の内外を考えず、連携の必要性に応じて、様々な企業と柔軟に連携し て事業が推進されています。 地域中小企業にターゲットを絞った支援施策を展開するのは当然ですが、結果とし てその支援の対象となる企業活動の中に、地域外企業が参入することは、地域企業が 存分に活動するためには必要と思われます。 地域の内外、さらには海外を含めた広範なネットワークを構築し、それを深化させ ることが、企業活動の活性化(受注拡大や技術の高度化など)につながるのであれば、本 市はそうした活動を積極的に支援していく必要があります。 ※A塾の事例 地域の若手経営者育成を推進するA塾では、日常的に全国に広がる同種の塾、経営者、企業との交 流をツイッターやフェイスブックなどのSNSを活用し実現してきました。このネットワークが東日 本大震災からの復旧において、全国から「精密水準器」を調達 し、工作機械などの再設定に功を奏しました。 大災害が発生すると地域の仲間は、同業種、異業種の区別な く、全てが被災してしまいます。 「近くの異業種、遠くの同業種」 との交流が、非常時おいては有効に機能することを、被災を通 じて改めて確認することとなりました。(届けられた精密水準器) - 28 - ウ. 産業集積メリットの再認識 本市は全国でも有数の産業集積地です。様々な技術や技能を持つ企業が集積するこ とにより、地域外からの受注を実現し、それを通じて様々な人や技術、情報などが集 まってきています。 今後とも本市がものづくりのまちとして継続、発展していくためには、この地域で ものづくりを継続することの優位性、効率性など集積のメリットを再認識し、それら を発揮できる企業集積の維持、発展、活性化が必要です。 ※B 社の事例 主に工業用ネジの製造と販売を行う B 社では、若手経営者塾のつながりから関西地区の中小製造業 者と知り合い、ネジの受注に成功した。このことは、単にコストや納期、品質だけではなく、人的ネ ットワーク拡大の中で顔の見える付き合いを実践したことに起因しているという。 日本の商習慣においては、品質、コスト、納期だけではない要因が働いていると言えよう。 エ. 国際化への対応 リーマンショック、東日本大震災後は、リスク回避の考え方に基づき大手企業を中 心に生産拠点の海外での分散化が進展しています。こうした大手企業の全ての動きに 中小企業が追従することは容易ではなく、海外展開先を絞り込んだ対応が求められて います。 日立製作所の 2012 中期経営計画によれば、海外売上高比率を全体では 43%、電力シ ステム事業では 2015 年には 50%に引き上げるということが明記されており、国内で の作業量よりも海外での作業量の増大が予想されます。 (日立製作所 2012 中期経営計画より) - 29 - (日立製作所 2012 年電力システム事業戦略より) 日立製作所の重電部門においても、中国にガスタービン、インドに蒸気タービンの 製造拠点を整備し、世界中の受注案件への対応を国内外の生産拠点で行っていく方針 を打ち出しており、国内での同種の作業量減少が危惧されています。 一方、海外展開による国内産業の空洞化を危惧する声もありますが、前述している ように海外展開している企業は結果的に国内事業所の活性化を実現していることが統 計的に示唆されており、本市としてもこれら地域中小企業の国際化への対応を積極的 に支援することが、地域産業の活性化につながるものと考えます。 ※C 社の事例 東南アジアに海外生産拠点を有する C 社では、2000 年に海外の生産拠点を 50 名の従業員でスター トした。現地での新規取引先の開拓が順調に進んだこともあり、現在の従業員数は 400 人となってい る。 一方、国内事業所では、新技術の開発を推進している。取引先に対する提案型の受注スタイルが定 着し、従来顧客からの受注量の増大とともに新規顧客の開拓にも成功し、海外に生産拠点を有するこ ととの相乗効果もあり、国内事業所の従業員数も増加している。 オ. 技術等の高度化 国内だけではなく、世界中からの受注を試みようとするならば、本地域の企業に発 注しようというだけの動機づけとなる特色が必要です。それは技術であり、技能であ り、品質であり、提案力となります。 日本のものづくりは総じて世界中で高い評価を得ているのは間違いのないところで すが、国内の他都市あるいは他地域の企業と比較して、この地域や地域企業が秀でて いることをアピールできるだけのポイントの有無が重要なポイントとなってきます。 - 30 - 本市は、地域企業の技術等の更なる高度化を推進し、競合する国内外の地域、企業 との差別化要素の獲得を積極的に支援していく必要があります。 ※D 社の事例 金型と金属プレスを行う D 社では、自動車用リチウム電池ケースに関連した技術開発を経済産業省 の戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン)の活用により推進した。また、ヘッドライトが LED 化されていることに注目し、直進性が強い LED 光源の特性を活かしながら、拡散も行う高効率な反 射板(リフレクター)ライトの開発も行い、受注先の多角化を図った。 特に LED については、その後の研究開発により、反射板とライトをパッケージで提案できる技術 力も備わり、ドイツで開催された国際医療機器展に 2011~2012 年と連続出展し、医療用 LED ライト での受注拡大を目指している。 - 31 - 4 地域企業アンケート及びヒアリング調査 (1) 商業に関する調査 本計画の策定に当たっては、茨城県が実施した平成 23 年度商店街実態調査、商業統 計調査及び市内各商店会へのヒアリング調査を基礎データとしています。 ■商店街実態調査対象の 16 の商店会における業種別店舗数 (単位:件) 大型店 小売店 飲食店 サービス店 その他 合計 うち生鮮扱店 6 197 150 87 71 511 24 ア. 担い手、後継者不足及び環境整備 市民の日常生活に欠くことのできない商業ですが、現在2つの課題に直面していま す。1点目は「商圏人口減少」 (20.5%)により「まち」そのものの活力が低下しつつ あること、2点目はそれと同時並行で「経営者の高齢化などによる後継者難」 (18.2%) が進んでいるという状況です。 (単位:%) ■商店街が直面している課題 項目 商圏人口減少 経営者の高齢化などによる後継者難 魅力ある店舗が少ない 空き店舗の増加 大型店との競合 業種構成に問題がある 店舗規模が過小 団体活動への商業者の参加意識が薄い 核となる店舗がない 店舗の老朽化・陳腐化 駐車場・駐輪場の不足 マネジメント・リーダーシップ不足 構成比 20.5 18.2 11.4 11.4 9.1 6.8 6.8 4.5 4.5 2.3 2.3 2.2 0.0 5.0 10.0 15.0 商圏人口減少 20.5 経営者の高齢化などによる後継者難 18.2 魅力ある店舗が少ない 11.4 空き店舗の増加 11.4 大型店との競合 9.1 業種構成に問題がある 6.8 店舗規模が過小 6.8 団体活動への商業者の参加意識が薄い 4.5 核となる店舗がない 4.5 店舗の老朽化・陳腐化 2.3 駐車場・駐輪場の不足 マネジメント・リーダーシップ不足 20.0 2.3 2.2 - 32 - 25.0 商業者へのヒアリングなどによれば、経営を取り巻く環境や将来への不安などから 自分の代で店を閉じたいという声があります。しかし、実態調査からは、 「後継者問題 対策は実施していない」 (70.6%)状況が見られ、次世代リーダーの育成においても「育 成対策は講じていない」 (68.7%)という結果が見られます。 (単位:%) ■後継者問題への対策の実施状況(比率) 構成比 項目 後継者問題対策は実施していない 商店街を盛り上げる雰囲気づくり 行政、大学、企業等の専門家への相談 70.6 23.5 5.9 5.9 後継者問題対策は実施していない 23.5 商店街を盛り上げる雰囲気づくり 70.6 行政,大学,企業等の専門家への相談 (単位:%) ■次世代リーダーの育成対策 項目 育成対策は講じていない 先進地視察 行政機関・商工会等が主催する研修会への参加 12.5 構成比 68.7 18.8 12.5 育成対策は講じていない 18.8 先進地視察 行政機関・商工会等が主催する研修会への参加 68.7 また、商店街では、事業継続に必要な事業継承が進まず、空き店舗が生じ、駐車場 に転用されたり、空き地になったりして放置されている状況も見られるようになって います。それに対する行政等の支援としては、「まちづくり計画の立案情報の提供」 (30.4%) 、 「家賃補助、改装補助などの支援措置」 (21.7%)などが求められています。 (単位:%) ■空き店舗対策に必要と思われる行政等の支援 項目 「まちづくり」計画の立案情報の提供 家賃補助、改装補助などの支援措置 特にない 新規出店者等の誘致 家主・地主・地権者との話合いによる調停 空き店舗情報を収集し、広報すること その他 - 33 - 構成比 30.4 21.7 17.4 13.0 8.7 4.3 4.5 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 「まちづくり」計画の立案情報の提供 30.4 家賃補助,改装補助などの支援措置 21.7 特にない 17.4 新規出店者等の誘致 13.0 家主・地主・地権者との話合いによる調停 8.7 空き店舗情報を収集し,広報すること 4.3 その他 4.5 イ. 商店街に求められる新しい機能 これまで市民生活において、商業が担ってきた大切な役割とはどのようなものだっ たでしょうか。先の東日本大震災における商業者の取組は、身近な商店による最寄品 の安定的な供給の重要性を再認識させられました。 このように、商業は、市民の日常生活に最も近い産業です。日々の暮らしに必要と なる食料品など「地域住民への身近な購買機会の提供」 (33.3%)を始めとし、 「地域の 治安や防犯にも寄与」(24.2%)するなど、 「地域活動の担い手」 (18.2%)でもありま した。 (単位:%) ■商店街の役割 項目 地域住民への身近な購買機会の提供 地域の治安や防犯への寄与 地域活動の担い手 街の顔となる中心的役割 創業・職業(雇用)の機会の提供 地域情報発信の担い手 社会福祉的役割(高齢者・子育て支援等) その他 0.0 構成比 33.3 24.2 18.2 15.2 3.0 3.0 3.0 0.1 10.0 20.0 30.0 地域住民への身近な購買機会の提供 33.3 地域の治安や防犯への寄与 24.2 地域活動の担い手 18.2 街の顔となる中心的役割 15.2 創業・職業(雇用)の機会の提供 3.0 地域情報発信の担い手 3.0 社会福祉的役割(高齢者・子育て支援等) 3.0 その他 40.0 0.1 - 34 - しかしながら、担い手、後継者不足の問題などによる商業の持つ機能そのものの低 下、さらには、高齢化の進行が買い物弱者を増大させていることも視野に入れなけれ ばなりません。 このような状況において、既に地域の自治会との連携協力により、地域課題の解消 に取り組んでいる商店会もあります。各種団体と連携した活動は、様々な団体と連携 し「何らかのものが行われているもの」が合わせると 81.0%となっており、 「行われて いない」 (19.0%)を大きく上回っています。今後は、駅前・中心市街地の商店街とし てだけではなく、その地域の課題や住民ニーズに合わせて、地域のコミュニティの商 店街として、各種団体と連携しつつ多様な活動をしていくことが望まれています。 (単位:%) ■各種団体との連携状況 項目 構成比 19.0 14.3 14.3 7.1 7.1 7.1 7.1 4.8 4.8 2.4 2.4 2.4 7.2 活動は行っていない 自治会・町内会・婦人会 商工会・商工会議所 NPO ボランティア団体 まちづくり協議会 市町村等の行政機関 教育機関(大学・学校) 他の商店街団体 老人クラブ PTA 警察・消防団 その他 0.0 10.0 20.0 活動は行っていない 19.0 自治会・町内会・婦人会 14.3 商工会・商工会議所 14.3 NPO 7.1 ボランティア団体 7.1 まちづくり協議会 7.1 市町村等の行政機関 7.1 教育機関(大学・学校) 4.8 他の商店街団体 老人クラブ PTA 警察・消防団 4.8 2.4 2.4 2.4 その他 7.2 - 35 - (2) 工業に関する調査 本計画の策定に先立ち市内製造事業所に対するアンケート及びヒアリング調査を実 施しました。アンケート調査は 615 社中 137 社から回答があり、次のような結果を得 ています。 ア. 売上高に日立グループが占める割合の推移 日立グループからの受注が売り上げに占める割合は、平成 8 年、平成 12 年、平成 17 年の過去の工業振興計画策定時の調査データ、 そして今回の調査による平成 18 年、 平成 23 年のデータを見る限り減少傾向にあることが分かります。 これは経済のグローバル化の進展により、日立製作所の事業領域が海外にシフトし てきたこととともに、国内での発注量が減少していることを示唆しています。また、 こうした日立グループの発注動向に対応して、地域中小企業においては、日立グルー プ以外の受注先の開拓を進めてきたことと理解することができます。 (単位:%) ■売上高に日立グループが占める割合(平均) 平成 8 年 平成 12 年 72.6 平成 17 年 66.9 58.0 平成 18 年 平成 23 年 55.9 53.1 イ. 受注形態の変化 受注形態を「材料支給の賃加工」 「材料支給なしの賃加工」 「設計生産」 「自社製品の 開発生産」に分けて見た場合の平成 18 年と平成 23 年の推移ですが、ここではあまり 変化が見られていません。平成 23 年では賃加工型の受注が 77%以上占めており、本 市の中小企業の強みは加工技術であることと理解することができます。 (単位:%) ■受発注別売上高構成比 平成 18 年 受注形態別 平成 23 年 発注先からの図面に基づいた生産(材料支給の賃加工) 29.5 30.3 発注先からの図面に基づいた生産(材料支給なしの賃加工) 46.5 47.0 発注先のニーズに基づいた設計図作成と生産 8.5 8.9 自社製品の開発・生産 4.5 4.7 11.0 9.0 100 100 その他 計 ウ. 国際化への対応 中小企業の国際化への対応を見てみると、海外との直接取引(輸出が中心と思われる) があるところは、現在は 7.3%ですが、今後の予定では 16.8%と増加しています。また、 海外への外注の状況も、 現在は 7.3%ですが、 今後の予定では 13.1%と増加しています。 これは比率としては小さいながらも、海外を市場として見据え、国際競争に対応す るために海外の外注先を獲得しようという意向が強まっていることの表れといえます。 - 36 - 平成 18 年の調査データと比較すると、急激にこうした機運が高まっていることが伺え ます。 (単位:%) ■国際化対応 平成 18 年 海外との取引状況 平成 23 年 現在ある 今後ある 現在ある 今後ある 海外からの直接的な受注 1.6 4.1 7.3 16.8 海外への部品外注 3.1 2.1 7.3 13.1 海外への工場等の設置 1.6 1.0 5.8 7.3 エ. 今後の事業強化分野について 今後の事業展開において、どの分野の強化を考えているかを聞くと、 「営業・販売力 の強化」 「コスト競争力の強化」 「専門技術力の強化」を挙げる企業が合わせて 40.3%と なっており、受注確保のためには、コスト競争力と専門技術力が必要であり、加えて 営業に注力する意向が強いことを表しています。 ■今後 5 年間において、特に事業強化・展開を図りたいもの (単位:%) 営業・販売力の強化 14.0 コスト競争力の強化 13.3 専門技術力の強化 13.0 提案力(企画力)の強化 12.4 短納期対応力の強化 11.2 品質力の強化(ISO 認証取得等) 6.8 設計・開発力の強化 5.9 新鋭機械設備の導入 5.3 同様に今後 5 年間に取り組もうとする経営戦略については、 「独自の専門的な生産技 術(加工技術)の導入・開発」を 33.6%、 「多様な生産技術の蓄積」を 27.7%の企業が選 択しており、競合他社との差別化要素として「技術」を掲げていることが分かります。 ■今後 5 年間で重点的に取り組もうとする経営戦略 (単位:%) 独自の専門的な生産技術(加工技術)の導入・開発 33.6 多様な生産技術の蓄積 27.7 設計技術の強化 7.3 自社製品の開発 10.9 7.3 その他 - 37 - オ. 受注開拓の状況 過去 5 年間の受注開拓の状況は、開拓したところが 51.8%、試みたが実現しなかっ たところが 17.5%、開拓しなかったところが 25.5%となっています。 また、その契機は「従来からの取引先企業の紹介」 「機械設備、材料メーカーなどの 紹介」 「知人、友人の紹介」など、人的ネットワークによる紹介が 55.8%と半数を占め ています。 「公的機関の紹介」は 7.4%に止まっている一方、 「インターネットによる受 注」が 14.0%となっており、公的機関による受注開拓がまだまだ機能していないこと とと併せて、インターネットや facebook(フェイスブック)などが受注獲得に一定の 効果を発揮していることが分かります。 (単位:%) ■どのようにして新たな受注先を開拓したか 従来からの取引先企業の紹介 30.1 自社独自で開拓 19.9 インターネットによる受注 14.0 機械設備、材料メーカーなどの紹介 13.2 知人、友人の紹介 12.5 公的機関の紹介 7.4 共同受注グループによる受注開拓 0.7 その他 2.2 カ. 産業支援策の評価 支援施策の活用状況を見てみますと、活用数の多い施策として「発注先企業のあっ 旋・相談」 「技術者育成や確保」 「技術的課題対応の相談・支援」 「経営者・後継者育成」 「経営相談及び経営指導」となっています。 総じて活用数の多い施策は、評価も高く、70%を超えて「役立った」とする傾向にあ りますが、 「発注先企業のあっ旋・相談」については、取引等の成否で結果が二分され る結果となっております。 また、資金的支援については、融資が実行されれば「役立った」としていることが想 定されます。 ■活用した主な産業支援策の評価 (単位:社) 活 用 数 活用した主な支援策 評価 非常に 役立った 役立った 役立たな かった 経営相談及び経営指導 18 4 9 5 ISO認証取得に関わる相談・支援 17 5 7 5 技術的課題対応の相談・支援 20 7 7 6 貸し研究室の提供、試験・実験機器貸与 11 4 4 3 共同研究・開発相談・支援 16 2 9 5 技術者育成や確保 29 9 15 5 - 38 - 経営者・後継者育成 18 4 10 4 発注先企業のあっ旋・相談 34 3 16 15 新鋭機器(設備)導入資金 27 17 5 5 開発資金 17 3 10 4 運転資金 36 18 13 5 キ. 今後充実して欲しい産業支援策 今後充実して欲しい施策を見てみると、 「発注先企業のあっ旋・相談」 「技術者育成や 確保」 「技術的課題対応の相談・支援」の順に多くなっています。 「発注先企業のあっ旋・ 相談」について、施策活用者の評価が分かれている一方で期待も大きいことが分かり、 更に注力することが必要と考えられます。 「技術者育成や確保」 「技術的課題対応の相談・支援」については、効果的な人材育 成カリキュラム等や国等への申請書類の作成等、産業支援機関の有する独自のノウハウ が必要であることを裏付けており、引き続き施策を提供することが求められています。 - 39 - 第3章 振興の展開方向 1 日立市商業の展開方向 本市商業の活性化のためには、まずは個店の自助努力、つまり品揃えや陳列手法の 改善、接客をはじめとするサービスの高度化が必要です。商店街は個店の集合ですの で、 「商店街の魅力=個店の魅力×魅力ある個店の数」が基本となることは明らかです。 以下の展開方向は商店街を主体として考えていますが、 「魅力ある個店」が創出され ることを前提条件としています。 本市商業の将来像、特に商店街を舞台に将来像を考えた場合、次の2点を描くこと とし、この実現を本計画期間の 5 年間で目指します。 ひとつは、 「地域の中の商店街…地域コミュニティや狭いエリアの住民生活を支える 商店街」です。 もうひとつは、 「人口 20 万都市にふさわしい商業機能を有する商店街…周辺地域か らの一定程度の集客が期待できる商店街」です。 本計画では、商業集積度の高い「日立」 「多賀」の駅前商店街等を重点地域とし、 「大 みか」については駅周辺整備の進捗を見ながら逐次検討していきます。 (1) 商店街への新しい機能の付加 消費行動と社会環境の変化に伴い、商店街ではこれまでの単に商品を提供するとい う商機能だけではなく、新しいサービスの提供やコミュニティ拠点、買い物弱者支援、 子育て支援などの新しい機能を付加し、多様なコンテンツとサービスを消費者に提供 することが求められています。 特にコミュニティとの連携は、高齢者を顧客として捉えた場合に重要になると同時 に、顔の見える関係構築を通じ、大型店や量販店との差別化を図りながら、新しいサ ービスと良質な接客の提供を進めていくことが必要です。 また、商店街が魅力アップを図ると同時に、市民にも意識改革が必要です。地域に とって重要な様々な機能を持つ商店街の個店を利用し、買い支えることにより、地域 の商店、商店街が存続できるようにしていかなければなりません。 東日本大震災の時、地域の商店が在庫一掃により食糧品等を提供し、救われたこと を忘れてはなりません。商店街は、市民が安全に安心して住み続けるために必要なイ ンフラ(基盤的)機能の一つなのです。 - 40 - 基本戦略に掲げた施策 ・既存商店の品揃え強化 ・既存商店の陳列手法等の習得 ・工房シュトラッセ(通り)…手工芸品、作家の誘致 しょうがっこう ・まちゼミ「トクウマ 商 楽校」の拡大 ・空き店舗提供に対する優遇制度の創設 ・子育て支援施設、同サービスの導入 ・買い物弱者支援施設、同サービスの導入 ・複合交流施設の整備 ・高齢者に優しい商店街づくりの推進 ・街路灯の LED 化等支援の推進 ・百貨店機能の誘致 先進事例調査「みやのかわ商店街振興組合」理事長講演から一部抜粋 みやのかわ商店街(埼玉県秩父市)では、 「買い物代行・出張商店街」を実施している。この取組 は、買い物代行事業を進める中、ある特養施設のヘルパーさんから、 「この施設に入居している方々 は、買い物をしてきてもらうよりも、買い物をしたいのです。 」という話を聞き開始した。 実施してみて、収益そのものよりも、買い物をして喜ぶ高齢者、感謝してもらえることに商業者 としてのやりがいを感じ、継続して「買い物をさせてあげたい」という気持ちになった。 さらに、事業を推進する中、秩父市には3万人の高齢者がいて、うち2万5千人の元気な高齢者 がいると聞き、その活躍の場を創出するため、 「福商連携」と位置付けたボランティアバンク事業も 創始したという。商店街は商業者コミュニティであり、さらに、商業者は地域の自治会の会長やP TA会長などを経験するなど、たくさんの人・コミュニティを知っている。これらの人とのつなが りを、更につなげ、広げる、 「共助」の仕組み・関係づくりを行っていると認識している。 (URL http://www.miyanokawa.com/index.html) (2) 後継者、担い手の発掘と育成 工業者においては、日立地区産業支援センターが推進する「ひたち立志塾」という 若手経営者の塾事業があり、志を高め合い、仲間をつくりながら地域の活性化を真剣 に議論し、そのための活動を塾生が自主的に展開しています。商業者においても、こ うした取組を実施する中で、潜在化している後継者等を発掘し、次代の担い手を育む ことが必要です。 事業継承者が見つからない事業者については、第三者の後継者を公募することも必 要と考えます。 また、若い感性を生かして、新しいビジネスモデルなどの調査・研究を進めること も大切ですし、新しく参入しようという事業者を受け入れる仕組みの構築も必要とさ れています。 一方、子どもたちが身近な商店などを、職業体験を通して見つめ直し、まずは商業 - 41 - に対する興味を醸成し、そして将来の職業選択肢として捉えてもらうなど、次代の担 い手を育成するような取組も重要です。 ひたち立志塾の活動 ひたち立志塾は、地域中小企業の若手経営 者、後継者の育成を目的とした日立地区産業 支援センターの事業である。 その活動は通年型ゼミナール方式で進めら れ、塾生の議論により活動テーマを決定し、 事例研究等を通して自ら解決策を模索してい くものとなっている。 塾活動により、全国に広がる若手経営者の ネットワークが構築されている。 (ひたち立志塾の様子) 基本戦略に掲げた施策 ・後継者の発掘と育成支援「商業版ひたち立志塾の実施」 ・あきんど塾(販売、接客、経営手法等)の実施 ・事業継承に対する固定資産税等の軽減施策創設 ・個人事業主の事業継承支援 ・若い創業者のチャレンジ支援 ・コミュニティビジネスの創業環境整備 ・マイクロ・クリエイション・オフィスの有効活用 ・小中学生の販売(職業)体験の仕組みづくり ・商業者の交流拠点の整備 (3) 新しいビジネスモデルの創出 商店街の魅力は個店の魅力により形成されています。つまり、商店街の構成員であ る個店の努力なくして商店街の活性化は実現できません。そして、本市の中心市街地 の構成員でもある大型スーパーは、過去には競合相手であったかも知れませんが、今 はそれぞれの強みと弱みを理解し、歩み寄り、力を合わせることができる関係を構築 しています。個店が大型店から学べることは多く、大型店の方を講師とすることも有 効です。 一方、今の商店街には斬新な取組、新しいサービスの創出といった面が不足してい ます。新しいビジネスモデルを提案し試してみるというエネルギーある人材の登場が 期待されています。しかし、これを待っていても事態は進展しませんので、発掘し育 てていくことが必要となっているのです。 このことは前述の後継者、担い手の発掘、育成と重複する点もありますが、商店街 と直接つながりのない方に、商店街を舞台に新しいビジネスモデルを実践してもらう には、これらの取組、つまり創業・新規参入を大いに歓迎し、その事業化を商店街、 - 42 - 地域コミュニティ等で支えていくことも必要です。 また、工業都市という地域特性を活かし、市内の製造事業所や産業遺産等を巡る「メ タルツアー」を観光資源として構築しようという動きがあり、この動きと連動して首 都圏から訪れる観光客をターゲットにした新しい商品やサービスの提供に取り組むこ とも必要です。 基本戦略に掲げた施策 ・コミュニティビジネスの創業環境整備(再掲) ・若い創業者のチャレンジ支援(再掲) ・子育て支援施設、同サービスの導入(再掲) ・買い物弱者支援施設、同サービスの導入(再掲) ・日立駅前の交通広場でのフリーマーケットの実施 ・リユースの積極的なビジネス化 ・学生サークルを巻き込んだ商店街イベントの実施 ・大学生を対象にしたビジネスプランコンペの実施 (4) 異産業、地域コミュニティとの連携強化 消費者ニーズを探る場合においては、商業者の感覚だけではなく異産業の視点から の分析も有効です。にぎわいづくりのための取組においても、現在の商業者だけで運 営することには限界があり、それを補う視点から工業者や地域コミュニティとの連携 が必要となってきます。 また、最寄品など不足した商店街コンテンツを導入する場合には、農業者や漁業者 と連携することで地産地消を具現化する取組とすることが可能であり、そのための仕 組みづくりと、連携拠点の確保、整備が不可欠です。 一方、高齢者や子育て世代の母親等では、語らいや交流の場を求めているという現 状があり、そうした場の提供も商店街が担うことで様々なカテゴリーの住民を商店街 に滞留させる可能性を創出できます。 基本戦略に掲げた施策 ・地域コミュニティと連携した商店街イベントの実施 ・さくらまつり、大道芸などのイベントの有効活用 ・コミュニティカフェの設置 ・ものづくり産業との連携による商業環境整備支援 ・コンビニエンスストア、個店、大型店の連携 ・ 「地元のお店で買い物しよう!」運動の推進 ・女性の新しい就業スタイル、環境整備 ・子育て支援施設、同サービスの導入(再掲) ・買い物弱者支援施設、同サービスの導入(再掲) - 43 - ・商店街の健康増進に向けた取組の検討 ・商店等の訪問ヒアリングの強化 先進事例調査「岩村田本町商店街振興組合」(長野県佐久市)理事長講演から一部抜粋 商店街の理念として、 「地域密着顧客創造型商店街を作る 地域の皆様と『ともに暮らす、働く、 生きる』商店街の構築を目指す」を掲げ、顧客を半径2~3km圏内に居住する約3,000人と 明確にし、事業実施に当たってはアンケートなどで顧客のニーズを把握している。 事業の一つ「子育て村」は、商店街の社会貢献事業として、元保育士さんが常駐し、近隣のマン ション等の住人で、子育てについての悩みなどを誰にも相談できない方々のコミュニケーションの 場を提供している。 (URL http://www.iwamurada.com/) (5) 6次産業化と観光産業の推進 日立市は地形的に海と山に恵まれ、海産物、農産物など多くの地域資源を有してい ますが、地産地消という考え方があるように、まずは市民が積極的に買い求め、地域 資源に愛着を持つことが大切です。この豊かな地域資源を活用した6次産業化※への取 組の推進は、従来の産業ごとの施策にはない広がりや効果が期待されています。 また、観光資源を見ても、6 つの海水浴場は年間入込客数が 30 万人を超える実績を 有し、北関東有数の動物園「かみね動物園」は 36 万人の入園者数を誇るなど、観光目 的で本市を訪れる方は年間で 220 万人超とされています。 日立さくらまつりやひたち国際大道芸など、数多くのイベントも開催されており、 観光客等のにぎわいを積極的に商店街、個店に取り込む活動が求められています。 一方、500 を超える工場群も立派な地域資源です。最近では「工場萌え」という言 葉があるように、工場の夜景や生産現場を見学することが京浜地区を中心にブームと なっていることもあり、こうした工場や産業遺産などを巡るツアーを創設することが、 首都圏からの観光客増大を牽引する可能性を秘めています。 既存の観光資源と工業、商業の融合・連携への新しい取組として、この実現化を進 めます。 基本戦略に掲げた施策 ・最寄品販売機能の商店街への導入(再掲) ・工場、産業遺産ツアー「メタルツアー」の具現化 ・ものづくり産業との連携による商業環境整備支援(再掲) ・かみね動物園等の観光施設との連携推進 ※「6次産業化」とは…第1次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料と した加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第2 次産業や第3次産業にまで踏み込むこといいます。 (農林水産省ホームページより) - 44 - 2 日立市工業の展開方向 人口が減少局面に突入している日本において、内需の拡大は期待できません。他方、 アジア諸国は人口増の局面にあり、高度経済成長を実現しています。人口の増加は経 済の発展に必要不可欠な条件でありますので、このままの状況では日本の経済が活性 化する要因は少ないと考えられます。 ただし、だからといって一様に「仕事がなくなる」ということとは別であり、競争 が激化する一方で、競争に打ち勝ち業績を伸展し、安定した地位を築ける可能性もあ ると捉えるべきであります。 本市は日本有数のものづくり産業のまちであり、このものづくり機能をいかに残し ていくかが、産業振興の大きな課題と言えます。世界全体を見たときに、日本のもの づくり産業、本市のものづくり企業がどういった役割を担えるのか、世界企業である 日立製作所などの大手企業の事業戦略上に、地域中小企業がどのように関わっていけ るのかを十分に調査検討することが必要です。つまり、自社の強さを見極める目と、 事業展開を決断する判断力が地域中小企業には求められているのです。 本計画では、本市のものづくり産業の集積力の維持、継続、更には、本市工業の将 来像として、厚みと柔軟さを兼ね備えた産業集積の実現を目指します。 (1) 量産から非量産への徹底した転換 海外展開が進展すればするほど、国内で生産する品目は超短納期、超少量、超難加 工のものだけになることが想定されます。そうした非量産モノ等へ対応するには、汎 用旋盤や汎用フライス盤に代表される基盤技術をベースにした技能・技術を駆使して いくことが有効であり、本地域では非量産モノを徹底して受注するために、汎用技術 の更なる高度化を地域全体として取り組むことが求められています。 これまで積極的な海外展開が行われてこなかった重電分野においても、主力となる 需要地がアジアや東欧に移行してきたことを背景に、生産拠点がそうした地域に移転 されつつあります。 しかし一方では、特殊な材料の部品(一般的には難加工材と呼ばれる)などにおいては、 まだまだ海外での製造技術が未熟 なこともあり、限定的ではあるもの の、そうした部品が日本国内におい て当面は生産されるであろうとい う分析もあります。つまり、生産数 は多くないものの、海外では対応の 難しい加工を、日本国内、日立地域 に拠点を残しながら積極的に取り 込めるという可能性が、地域中小企 業には残されているのです。 (普通旋盤研修での製作例:茨城県立日立産業技術専門学院にて) - 45 - 基本戦略に掲げた施策 ・茨城県立日立産業技術専門学院の移転整備と機能拡張 ・汎用工作機械加工技術を習得できる仕組みづくり ・溶接加工技術を習得できる仕組みづくり ・溶接技術等の資格試験の誘致 ・世界一の生産性を目指した取組 ・改善、5S の推進 ・技術開発等の推進 ・設備投資等に対する優遇制度基準の見直し ・全国の企業グループとの交流促進 ・首都圏からの受発注情報の会員制公開 ・新規受注開拓のための地域としての働きかけ (2) 海外需要の積極的な取り込み 国内需要が減少しようとも、日立製作所を始めとする大手企業では増収増益の経営 計画を打ち出しています。つまり、海外での受注増を見込んでいるわけであり、そう した海外需要を地域中小企業においても積極的に取り込むことが必要です。 その実現のためには、海外での営業、生産活動と合わせて、それらの拠点整備も必 要となることから、本市は、そうした活動を積極的に支援し、地域の活性化を目指し ます。 また、国内と海外の事業所における業務や仕事量の調和にも注意し、国内事業所が 繁栄するような支援を講じる必要があります。 地域中小企業の経営課題を見てみると、15.3%の事業所において海外展開に興味を 示し、海外への輸出・進出、市場開拓支援に産業支援機関の役割があるとしています。 この数値は決して高いものではありませんが、全国的に見ると帝国データバンクの 実施した「海外進出意向に関するアンケート調査」(調査期間:平成 24 年 8 月 24 日~9 月 13 日)においては、1,851 社の回答中、37.2%(689 社)が海外進出の意向ありと回答 しています。そのうち、海外に未進出な企業だけの意向を見てみても 17.2%が進出意 向を有しています。 国内市場の頭打ちを背景に、従来は「内需型」と言われ海外進出割合が高くなかっ た業種の企業(本市で言えば重電分野の製品・部品を製造する中小企業など)においても、 需要獲得のために海外市場に挑戦しようという動きがあるということであり、今後と もその傾向が続くことが想定され、こうした活動を本市は支援していきます。 - 46 - 現在の経営課題 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 64.9 63.7 63.1 仕事の確保 技術者、技能者の確保・育成 100.0 86.7 16.2 13.3 運転資金の手当て 27.9 30.1 設備投資、規模の拡大、工場移転 海外展開 15.3 0.0 平成23年 42.3 47.8 生産管理、生産技術力の強化 平成20年 33.3 技術開発、製品開発、産学連携 後継者の育成 28.3 11.7 9.7 12.6 環境対策 同業種、異業種、異産業、他地域との連携交流 その他 3.6 不明・非該当 2.7 0.0 46.0 37.8 23.0 18.0 経営課題を解決するための支援 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 10.8 9.7 とにかく相談に乗って欲しい 20.7 18.6 5SやIT化などの現場や管理手法の改 … 30.6 35.4 新製品や技術開発などの支援 52.3 47.8 後継者や技術者などの人材育成支援 41.4 取引先や顧客開拓の支援 海外への輸出・進出、市場開拓支援 不明・非該当 49.6 平成23年 平成20年 15.3 0.0 7.2 8.0 その他 特にない 60.0 0.0 4.4 0.9 5.4 (「平成 23 年日立地区産業支援センターの中期経営計画の策定のためのアンケート調査」より作成) 基本戦略に掲げた施策 ・海外展示会、商談会への参加 ・企業グループによる海外展開 ・地域中小企業が共同利用できる商社の発掘と連携 ・中国進出済み企業の経営安定化 ・国際化対応人材の確保と育成 ・チャイナリスク対策としての東南アジアミッション団派遣 ・成長産業分野の海外市場調査、技術開発 - 47 - ・バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣 ・シュツットガルト市の産業調査、ミッション団派遣 ・HITS 中国情報センターの活用 ・海外展開への相談、アドバイス体制の整備 ・JETRO など外部機関の誘致 ・県内金融機関との海外展開における連携強化 ・世界一の生産性を目指した取組(再掲) (3) 成長産業分野への事業展開 地域のものづくり産業の中心であった電力、家電、自動車、計測器だけでなく、成 長産業分野と言われる医療などのライフサイエンス分野や航空産業分野、エネルギー 分野などへの地域中小企業の事業展開も推進すべきと考えます。こうした分野は総じ て付加価値が高いとされており、アジアでの熾烈な価格競争とは対極にある、欧米で の高付加価値型産業への事業展開にもチャレンジする価値があると思われます。 これらの取組には、優秀な技術者や技能者が欠かせないのは言うまでもありません。 地域中小企業における人材の確保と育成は、地域産業の活性化を担う財産を蓄えるこ とと同義でありますので、これをしっかりと支援することが必要です。 一方、地域の中小企業には、日立製作所に鍛えられた様々なものづくりを支える、 切削、研削、製缶、溶接、板金、プレス、鋳造、塗装、めっき、金型、プラスチック 成形、組立、配線、設計、基板実装などの基盤的な要素技術が蓄積しています。こう した技術は成長産業分野の加工ニーズに十分対応することが可能であり、また世界中 で高い評価を得ています。地域をあげて積極的に PR 活動を行い、世界に向かって技術 や技能、部品、製品、システム、そしてそれらに付随するサービスを提供していくこ とが、地域産業の活性化のためには必要となっています。 また、こうした産業分野の事業を手掛ける企業の誘致や、そのための工場適地の創 出も必要です。 海外展示会での市場開拓の事例 COMPAMED2012 (独:デュッセルドルフ) - 48 - 基本戦略に掲げた施策 ・医工連携の推進とそのための資金獲得 ・技術開発等の推進(再掲) ・成長産業分野の海外市場調査、技術開発(再掲) ・設計技術者等の確保と育成 ・バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣(再掲) ・医療、航空産業への事業展開 ・国内展示会、商談会への参加 ・海外の研究機構と HITS の協力協定締結 ・産学連携の推進 - 49 - (4) ものづくりを伝承する地域の実現 製缶、板金、溶接、機械加工、金型、電工、プラスチック成形、めっき、基板実装 など様々な要素技術を保有する中小企業の集積する本市は、ものづくりに必要な多く の基盤的技術を学べる地域です。現在は学ぶための仕組みが存在しませんが、地域の 教育機関や製造事業所が有機的に連携することで、 「ものづくりを伝承する地域」とし てのポテンシャル(可能性)、キャパシティ(受入能力)、ホスピタリティ(もてなし)を高 めることが可能です。 また、学ぶ側の仕組みづくりとともに、教える側の資質向上も大切です。高度経済 成長を支えた多くの技能者は、 「技を盗む」ことにより技能を高めてきました。しかし、 自己の技能が高いことと教えることができることは別の話であり、優れた技能を伝承 するには卓越した教育スキルも要求されます。こうした教育スキルを高めるための取 組も併せて進めていくことが、 「ものづくりを伝承する地域」の実現のためには必要で す。 この「ものづくりを伝承する地域」の実現により、国内はもとより世界中から研修 生を呼び込み、地域企業の国際化やまちの活性化に寄与することが可能です。 先進事例「岡山県玉野市」の取組 技能継承等の問題を解決するため、玉野市産業振興 公社は「玉野職人塾」を実施している。これは、玉野 市内の中小企業の名職工の方が講師となり、技能・知 恵を若者に伝授するというものである。 (URL http://www.zai-tama7.or.jp/sangyoC/img/ syokuninjyuku_introduction.pdf) 平成 24 年日立市産業祭:「ものづくりのまちコマ大戦」の様子 基本戦略に掲げた施策 ・茨城県立日立産業技術専門学院の移転と機能拡張(再掲) ・汎用機械加工技術を習得できる仕組みづくり(再掲) ・溶接加工技術を習得できる仕組みづくり(再掲) ・溶接技術等の資格試験の誘致(再掲) ・設計、デザイン技術習得とそのための仕組みづくり ・未来都市モデルプロジェクトの推進 ・若手経営者の発掘と育成 ・中小企業の社内情報システム管理者の育成 ・大学生、高校生のインターンシップ事業 ・茨城キリスト教大学経営学部と地域中小企業の連携強化 ・ものづくりに触れるイベントの実施とその参加奨励 ・技能技術者の教える力の向上と技能習得道場の具現化 - 50 - (5) 操業環境の整備と支援体制の再構築 産業振興においては、地域の中小企業が存分に活動できる操業環境を整備すること は必須です。また、東日本大震災の経験を活かし、企業の事業継続計画(BCP)を策 定する動きも顕在化しています。 一方、経営資源に限りのある中小企業においては、企業間の合併や買収により経営 基盤の安定化を図ることの検討も必要かもしれません。 また、国内の原子力発電所が運転停止の中、火力発電などへのエネルギー転換が図 られることにより電力料金は値上げされ、中小企業における固定費の増大は、想像以 上に体力を奪っており、節電に対する地域としての取組も必要となっています。 他方、作業量の増大に伴う事業拡張用地の確保が市内では円滑に進められないこと から、本市から市外に企業が移転する事例もいくつか発生しています。工場適地の確 保は、この地域の産業集積を維持していくために、そして地域の雇用維持のためには 不可欠です。 このように地域中小企業の事業継続のための活動が複雑化する中、日立地区産業支 援センターなどの産業支援機関に求められる機能、役割も高度化しています。複雑な 情勢に柔軟に対応するためには、産業支援機関を中心とした支援体制の強化、再構築 が必要です。 基本戦略に掲げた施策 ・工場照明等の LED 化 ・再生可能エネルギーの固定価格買取制度の活用促進 ・設備投資等に対する優遇制度基準の見直し(再掲) ・女性従業員活用のための環境整備 ・工場拡張用地の確保と整備 ・企業誘致の推進 ・個別企業の事業継続計画(BCP)策定の推進 ・産業支援機関、行政による企業ヒアリングの強化 ・日立市産業振興部門の HITS 駐在化 ・茨城県商工労働部、県中小企業振興公社との連携強化 ・県内金融機関と日立市の人事交流 ・国、県、市、民間等への日立市職員の研修派遣 - 51 - 第4章 振興に向けた基本戦略と施策 1 施策体系 本計画は、日立市商業と工業の現状と課題の抽出に基づき、展開方向として 11 の基 本戦略と 109 の施策案(再掲も含む)を提示しています。その構成は次のとおりです。 【商業の施策体系】 課題 展開方向 施策 展開方向 施策 【工業の施策体系】 課題 【商工連携の施策体系】 展開方向 施策 - 52 - 2 施策一覧 (1)商業 施策・対象等 個 商 店 施 策 ち づ り ○ ○ 日 立 多 賀 ) 等 ( 店 く 重 点 地 域 ) 日立市商業 重 点 地 域 ( 街 の展開方向 ま 【基本戦略 1】 1 既存商店の品揃え強化 ○ 商店街への新しい 2 既存商店の陳列手法等の習得 ○ 機能の付加 3 工房シュトラッセ(通り)…手工芸品、作家の誘致 4 最寄品販売機能の商店街への導入 ○ ○ ○ 5 まちゼミ「トクウマ商楽校」の拡大 ○ ○ ○ ○ 6 空き店舗提供に対する優遇制度の創設 ○ ○ ○ ○ ○ 7 子育て支援施設、同サービスの導入 ○ ○ ○ ○ 8 買い物弱者支援施設、同サービスの導入 ○ ○ ○ ○ 9 複合交流拠点の整備 ○ ○ ○ ○ 10 高齢者に優しい商店街づくりの推進 ○ ○ 11 街路灯のLED化等支援の推進 ○ ○ 12 百貨店機能の誘致 ○ ○ 【基本戦略 2】 13 後継者の発掘と育成支援「商業版ひたち立志塾の 実施」 ○ ○ 後継者、担い手の 14 あきんど塾(販売、接客、経営手法等)の実施 ○ ○ 発掘と育成 15 事業継承に対する固定資産税等の軽減施策創設 ○ ○ 16 個人事業主の事業継承支援 ○ ○ 17 若い創業者のチャレンジ支援 ○ 18 コミュニティビジネスの創業環境整備 19 マイクロ・クリエイション・オフィスの有効活用 ○ 20 小中学生の販売(職業)体験の仕組みづくり ○ 21 商業者の交流拠点の整備 【基本戦略 3】 22 コミュニティビジネスの創業環境整備(再掲) 新しいビジネス 23 若い創業者のチャレンジ支援(再掲) モデルの創出 24 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 子育て支援施設、同サービスの導入(再掲) ○ ○ ○ ○ 25 買い物弱者支援施設、同サービスの導入(再掲) ○ ○ ○ ○ 26 日立駅前の交通広場でのフリーマーケットの実施 ○ ○ 27 リユースの積極的なビジネス化 ○ ○ 28 学生サークルを巻き込んだ商店街イベントの実施 ○ ○ 29 大学生を対象にしたビジネスプランコンペの実施 ○ ○ - 53 - ○ ○ ○ ○ ○ ○ 施策・対象等 個 商 店 施 策 ち づ 多 賀 等 り ) 日 立 ) 店 く 重 点 地 域 ( 日立市商業 重 点 地 域 ( 街 の展開方向 ま ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 【基本戦略 4】 30 地域コミュニティと連携した商店街イベントの実施 異産業、地域コミュ 31 さくらまつり、大道芸などのイベントの有効活用 ニティとの連携強化 32 コミュニティカフェの設置 33 ものづくり産業との連携による商業環境整備支援 34 コンビニエンスストア、個店、大型店の連携 35 「地元のお店で買い物しよう!」運動の推進 ○ ○ ○ 36 女性の新しい就業スタイル、環境整備 ○ ○ ○ 37 子育て支援、同サービスの導入(再掲) 38 買い物弱者支援施設、同サービスの導入(再掲) ○ ○ ○ ○ 39 商店街の健康増進に向けた取組の検討 ○ ○ ○ ○ 40 商店等の訪問ヒアリングの強化 ○ ○ ○ 【基本戦略 5】 41 最寄品販売機能の商店街への導入(再掲) ○ ○ 6 次産業化と観光産業 42 工場、産業遺産ツアー「メタルツアー」の具現化 ○ ○ ○ の推進 43 ものづくり産業との連携による商業環境整備支援 (再掲) ○ ○ ○ 44 かみね動物園等の観光施設との連携推進 ○ ○ ○ - 54 - ○ ○ ○ ○ (2)工業 施策・分野等 施 の展開方向 量産から非量産 への徹底した 技 能 転換 技 術 受 注 【基本戦略 2】 海外需要の積極 的な取り込み 海 外 展 開 市 場 調 査 相 談 体 制 【基本戦略 3】 成長産業分野へ の事業展開 技 術 等 開 発 人 技 路 材 術 開 育 開 拓 成 発 策 日立市工業 【基本戦略 1】 販 生 経 産 性 向 上 営 1 茨城県立日立産業技術専門学院の移転整備と機能拡張 ○ 2 汎用工作機械加工技術を習得できる仕組みづくり ○ ○ 3 溶接加工技術を習得できる仕組みづくり ○ ○ ○ 4 溶接技術等の資格試験の誘致 ○ ○ ○ ○ 5 世界一の生産性を目指した取組 ○ ○ ○ ○ 6 改善、5S の推進 ○ ○ ○ ○ 7 技術開発等の推進 ○ ○ ○ ○ ○ 8 設備投資等に対する優遇制度基準の見直し ○ ○ ○ 9 全国の企業グループとの交流促進 ○ ○ 10 首都圏からの受発注情報の会員制公開 ○ ○ 11 新規受注開拓のための地域としての働きかけ ○ ○ 12 海外展示会、商談会への参加 ○ ○ 13 企業グループによる海外展開 ○ ○ 14 地域中小企業が共同利用できる商社の発掘と連携 ○ ○ 15 中国進出済み企業の経営安定化 ○ ○ 16 国際化対応人材の確保と育成 ○ ○ 17 チャイナリスク対策としての東南アジアミッション団派遣 ○ ○ 18 成長産業分野の海外市場調査、技術開発 19 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣 ○ ○ ○ 20 シュツットガルト市の産業調査、ミッション団派遣 ○ ○ ○ 21 HITS中国情報センターの活用 ○ ○ 22 海外展開への相談、アドバイス体制の整備 ○ ○ 23 JETROなど外部機関の誘致 ○ ○ 24 県内金融機関との海外展開における連携強化 ○ ○ 25 世界一の生産性を目指した取組(再掲) ○ 26 医工連携の推進とそのための資金獲得 ○ 27 技術開発等の推進(再掲) ○ 28 成長産業分野の海外市場調査、技術開発(再掲) ○ 29 設計技術者等の確保と育成 30 バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣(再掲) - 55 - ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 施策・対象等 日立市 施 人 技 路 材 術 開 育 開 拓 成 発 上 営 ○ ○ ○ ○ 策 工業 の展開方向 【基本戦略 3】 販 生 経 産 性 向 31 医療、航空産業への事業展開 ○ 32 海外展示会、商談会への参加(再掲) ○ ○ 33 国内展示会、商談会等への参加 ○ ○ 34 海外の研究機構とHITSの協力協定締結 ○ ○ 35 産学連携の推進 ○ 【基本戦略 4】 36 茨城県立日立産業技術専門学院の移転と機能拡張(再掲) ○ ものづくりを 37 汎用工作機械加工技術を習得できる仕組みづくり(再掲) ○ ○ 38 溶接加工技術を習得できる仕組みづくり(再掲) ○ ○ 39 溶接技術等の資格試験の誘致(再掲) ○ 40 設計・デザイン技術習得とそのための仕組みづくり ○ 41 未来都市モデルプロジェクトの推進 ○ 42 若手経営者の発掘と育成 ○ 43 中小企業の社内情報システム管理者の育成 ○ 44 大学生、高校生のインターンシップ事業 ○ 45 茨城キリスト教大学経営学部と地域中小企業の連携強化 ○ 46 ものづくりに触れるイベントの実施とその参加奨励 ○ 47 技能技術者の教える力の向上と技能習得道場の具現化 ○ 【基本戦略 5】 48 工場照明等のLED化 ○ 操業環境の整備 49 再生可能エネルギーの固定価格買取制度の活用促進 ○ 50 設備投資等に対する優遇制度基準の見直し(再掲) 51 女性従業員活用のための環境整備 52 工場拡張用地の確保と整備 ○ 53 企業誘致の推進 ○ 54 個別企業の事業継続計画(BCP)策定の推進 ○ 55 産業支援機関、行政による企業ヒアリングの強化 ○ 56 日立市産業振興部門のHITS駐在化 ○ 57 茨城県商工労働部、県中小企業振興公社との連携強化 ○ 58 県内金融機関と日立市の人事交流 ○ 59 国、県、市、民間等への日立市職員の研修派遣 ○ 成長産業分野へ の事業転換 伝承する地域の 実現 市 場 開 拓 仕 組 み 学 び 手 ・教 え 手 と支援体制の 再構築 環 境 整 備 支 援 体 制 - 56 - ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ (3)商工等連携 施策・対象等 日立市 施 策 商工業 の展開方向 【基本戦略】 1 最寄品販売機能の商店街への導入(再掲) 多様な連携の推進 2 工場、産業遺産ツアー「メタルツアー」の具現化(再掲) 3 ものづくり産業との連携による商業環境整備支援(再掲) 4 かみね動物園等の観光施設との連携推進(再掲) 5 医工連携の推進とそのための資金獲得支援(再掲) 6 茨城キリスト教大学経営学部と地域中小企業の連携強化(再掲) - 57 - 3 商業振興の基本戦略と各施策 (1) 基本戦略 1「商店街への新しい機能の付加」 1 既存商店の品揃え強化 買いたいと思える商品を店に置くことが商売の基本。現在の品揃えに捉われず、 背景・目的 消費者のニーズにマッチした商品の仕入れ、販売が必要であり、そのための支援 の仕組みを整える。 魅力的な品揃えを実現するためのセミナーや専門家派遣を行い、個店の魅力づく 取組内容 りを推進する。具体的には中小企業基盤整備機構の専門家派遣などの活用が考 えられる。 【事業者】魅力的な商品の品揃えに向けた調査研究の実施と、セミナー受講やアド 各主体の役割 バイザーによる指導の受入れ。 【行政等】上記事業者の活動を支援するための関係機関との調整等。 H25 H26 H27 H28 H29 専門家派遣 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 2 本取組を行う個店の参加数、個店の売上、雇用の増大 既存商店の陳列手法等の習得 現在の品揃えであっても、陳列(ディスプレイ)の仕方次第で魅力を増大させること 背景・目的 ができる。消費者の購買意欲をくすぐる陳列手法、ライフスタイルの提案力、入学・ 卒業や冠婚葬祭などのライフイベントに合わせたサービスの提供力の習得が必要 であり、そのための支援の仕組みを整える。 魅力的な商品陳列を実現するためのセミナーや専門家派遣を行い、個店の魅力 取組内容 づくりを推進する。具体的には中小企業基盤整備機構の専門家派遣などの活用 が考えられる。 【事業者】魅力的な商品の陳列に向けたセミナー受講や、アドバイザーによる指導 各主体の役割 を受入れ。 【行政等】上記事業者の活動を支援するための、関係機関との調整等。 H25 H26 H27 H28 H29 専門家派遣 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 3 本取組を行う個店の参加数、個店の売上、雇用の増大 工房シュトラッセ(通り)…手工芸品、作家の誘致 背景・目的 取組内容 ものづくりのまち「日立」と親和性が高いと想定される手工芸品事業者、若手等の 作家の街なか誘致を進め、商店街のコンテンツとプレーヤーの補完を推進する。 手工芸作家を商店街の空き店舗等に誘致するため、工業者との連携の仕組みづ くりや空き店舗所有者、手工芸者への優遇措置等を創設する。 - 58 - 【物件所有者】商店街振興の必要性を理解し、空き店舗物件を提供する。 各主体の役割 【事業者】日立に来て中心市街地で事業化する。 【行政等】物件所有者への固定資産税相当額の補助制度を創設する。国等の支 援メニューの活用。 H25 H26 H27 H28 H29 先進事例調査 誘致 ⇒ ⇒ 定着 スケジュール 本取組に賛同する物件所有者、事業者の数 成果評価の方法 誘致した手工芸者等の数 本物件での個店の売上、雇用の増大 4 最寄品販売機能の商店街への導入 日立市特有の歴史的な背景もあってJR各駅前に展開する商店街の多くは、最寄 品(生鮮食料品等)を販売する店舗が立地していない。日常的な商店街利用者を 背景・目的 確保するには、やはり生鮮食料品を扱う店舗が必要であり、その導入を推進する。 一方、商店街の近隣に住む高齢者にとっては、徒歩で買い物ができる場所は商店 街だけであり、買い物弱者支援の観点からも生鮮食料品店の導入は必要である。 空き店舗等をターゲットに、商店街への生鮮食料品やお惣菜店などの誘致を進め 取組内容 るため、賃料低減のための交渉、店舗改装費用の助成などの制度の創設を行う。 地域住民が「買いたいもの」「売りたいもの」などを自由に持ち寄り、売買できる楽市 (市場)の検討なども行う。 【事業者】(商店街)生鮮食料品店等の発掘と出店打診。(個店)商店街への出店。 各主体の役割 【行政等】賃料低減の交渉と、店舗改装費に対する助成制度の創設。補助期間は 3 年間、補助対象となる出店エリアは日立、多賀、大みか地区を想定する。 H25 H26 H27 H28 H29 補助 ⇒ ⇒ 自立化 スケジュール 制度創設検討 成果評価の方法 5 運用 出店店舗の利用者数、雇用数、商店街の利用者の増大数 しょう が っ こ う まちゼミ「トクウマ商楽校」の拡大 専門店ならではのお得な豆知識などをセミナー形式で顧客に提供するまちゼミ「ト しょう が っ こ う クウマ商 楽校」は、それぞれの店舗が持っている隠れた魅力をアピールするととも 背景・目的 に、顧客に対して新しいサービスを提供するという点でユニークであり好評を得て いる。商店街等への来訪のきっかけづくり、新しい魅力づくりとして期待されるところ であり、これを積極的に推進する。 しょう が っ こ う 取組内容 各主体の役割 まちゼミ「トクウマ商楽校」は、3 モール商店街(銀座通り)が先行的に実施中である ため、このノウハウを活かし他の商店街(多賀地区、大みか地区など)に拡大する。 【事業者】(商店街)実施体制の構築と参加店舗の取りまとめ。 - 59 - (個店)隠れた豆知識の発掘 【行政等】事業実施に対する助成 H25 H26 H27 H28 拡大検討 拡大実施 拡大実施 自立化 H29 スケジュール 成果評価の方法 6 運用 施設利用者の数、商店街利用者数の増大 空き店舗提供に対する優遇制度の創設 商店街の機能回復のためには空き店舗対策と駐車場への転用抑止が必要であ 背景・目的 る。特に使用に耐えられる空き店舗については、格安で利用希望事業者に提供を 促すため、優遇制度を創設する。 取組内容 空き店舗の所有者に対し、商店街振興の必要性を理解してもらい、格安で提供し てもらえるように、固定資産税相当額補助などの優遇制度を創設する。 【物件所有者】商店街振興の必要性を理解し、空き店舗物件を提供する。 各主体の役割 【事業者】商店街で事業化する。 【行政等】物件所有者への固定資産税相当額の補助制度を創設する。 H25 H26 H27 H28 制度検討 新制度運用 ⇒ ⇒ H29 スケジュール 成果評価の方法 7 本取組に賛同する物件所有者、事業者の数、本物件での個店の売上、 雇用の増大 子育て支援施設、同サービスの導入 背景・目的 少子高齢化の進む中、商店街に求められる機能も変化している。一人っ子や共働 き世帯が増加している状況では、子育て支援機能の充実が求められている。 育児に関わる相談や託児サービス、子育て世代の母親コミュニティの交流などの 取組内容 子育て支援機能を有する拠点施設を商店街に導入し、そうした世代を顧客として 取り込むため新しい商店街機能を創出する。 【物件所有者】商店街振興の必要性を理解し、子育て支援施設を整備するための 空き店舗物件を提供する。 各主体の役割 【事業者】地域コミュニティ組織を巻き込む。 【行政等】物件所有者への固定資産税相当額の補助制度、支援施設の整備、運 用に対する助成を行う。国等の支援メニュー(地域商業再生事業:補助率 2/3、中 小商業活力向上事業:補助率 1/2 など)の活用支援。 H25 H26 H27 H28 H29 調査 検討 運用 ⇒ 自立化 スケジュール 成果評価の方法 整備 子育て支援施設の利用者数、施設の収益性、雇用数、事業化の有無 - 60 - 8 買い物弱者支援施設、同サービスの導入 少子高齢化の進む中、商店街に求められる機能も変化している。高齢者の買い物 背景・目的 は苦労が多く、特に買ったものを自宅に持ち帰ることが日常的な困難となってい る。そこで、商店街に配送や移送、移動販売などの新しいサービスの導入するため の調査検討を行う。 公共交通機関の脆弱化が進む中、高齢者の移動手段は限定され、最寄品は近隣 取組内容 商店を利用している。一方で衣料品などは商店街や大型スーパー等の利用意向 が強いため、商品の配達や移動販売、移送サービス等を商店街等が行う。 【事業者】住民ニーズの把握と事業化の検討。事業化。 各主体の役割 【行政等】住民ニーズ調査等の支援、事業化に対する支援措置の創設。国等の支 援メニュー(地域商業再生事業:補助率 2/3、中小商業活力向上事業:補助率 1/2 など)の活用支援。 H25 H26 H27 H28 H29 事例調査・検討 導入支援 ⇒ 自立化 スケジュール 事例調査 成果評価の方法 9 運用 配達・移動販売・移送サービス等の利用件数、個店の売上、雇用の増大 複合交流拠点の整備 買い物弱者支援、子育て支援など商店街に新しく求められる機能を充足するた 背景・目的 め、高齢者、子育て世代の親子、地域コミュニティ、商業者、工業者などが交流で きる施設を整備運営し、商店街への来訪者、利用者の増大を図る。 空き店舗などを対象に上記施設の整備を行い、地域コミュニティと連携し複合的な 取組内容 交流拠点を整備運営する。比較的大きな投資が必要となるため、特定財源として 国施策(地域商業再生事業:補助率 2/3、中小商業力活力向上事業:補助率 1/2 な ど)の誘導を前提とする。 【事業者】(商店街)空き店舗の発掘と事業化の検討。国支援メニューへの提案。 各主体の役割 【行政等】家賃低減のための交渉、事業化に対する支援措置の創設。国等の支援 メニュー(地域商業再生事業:補助率 2/3、中小商業活力向上事業:補助率 1/2 な ど)の活用支援 H25 H26 H27 H28 調査、国提案 施設整備 運営 自立化 H29 スケジュール 成果評価の方法 10 運用 施設利用者の数、施設での雇用数、施設の売上額、商店街利用者数の増大 高齢者に優しい商店街づくりの推進 県内でも高齢化率の高い本市においては、高齢者を主要顧客として位置付けた 背景・目的 商店街、個店の取組が求められている。そこで、高齢者に優しい商店街へと展開 するための取組を、ハードとソフトの両面から推進する。 - 61 - リフォームやリユースを含め、高齢者の買物動向、志向を把握し、そうしたニーズに 取組内容 対応した店づくり、商店街づくりを推進する。具体的にはアンケート調査をベース に、高齢者の交流スペースを商店街に設置し、買い物とふれあい、語らいの場、魅 力ある商品とサービスを提供する。 【事業者】高齢者ニーズの把握、それに則した品揃えとサービスの提供。高齢者の 各主体の役割 交流スペースの設置。 【行政等】上記の事業化に対する支援措置の創設。国等の支援メニュー(地域商業 再生事業:補助率 2/3、中小商業活力向上事業:補助率 1/2 など)の活用支援。 H25 H26 H27 H28 H29 ニーズ調査 施設整備 運営支援 自立化 ⇒ スケジュール 成果評価の方法 11 運用 高齢者交流スペースの利用件数、個店の売上、雇用の増大 街路灯の LED 化等支援の推進 商店街の管理する街路灯は多くが老朽化と、電気料の負担が問題となっている が、防犯灯的な役割を担っており、地域にとっては必要な設備である。電気料の値 背景・目的 上げが実施される中、負担軽減のために LED 化を検討する商店街もあるが、設備 更新費用は少額ではないため、これを支援する。また、LED だけでなくWi-Fiスポ ットや防犯カメラなどの設置についても、その支援策を検討する。 商店街が実施する街路灯の LED 化等を支援するために、更新費用の一部を助成 取組内容 し、電気料の負担軽減を推進する。なお、事業実施に当たっては、地域のものづく り中小企業の製品開発技術等の導入も視野に入れ行う。 【事業者】街路灯の LED 化、魅力づくり、利便性向上のための施設整備 各主体の役割 【行政等】上記の事業化に対し、設備更新費用の一部助成制度を創設する。補助 期間は 3 年間を想定する。 H25 H26 H27 H28 H29 制度検討 制度創設、補助 補助 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 12 運用 補助件数、商店街の電気料軽減額 百貨店機能の誘致 日立市から百貨店が撤退して久しい。水戸に立地する百貨店の調査によれば、同 百貨店の売上に占める日立市顧客の割合は 10%という。日立市民は百貨店を欲し 背景・目的 ているし、百貨店には現在の商店街等にはない商機能を保有することを表してい る。失われた商機能の復活、百貨店の集客力による商店街へのにぎわい創出を期 待し、百貨店等の誘致を進める。 取組内容 百貨店機能誘致に向け、進出候補物件の調査、所有者との調整、進出に対する 支援施策の創設を進め、早期に百貨店機能の誘致を実現する。 - 62 - 【事業者】日立地区への出店 各主体の役割 【行政等】百貨店誘致に向けた交渉、調査研究、誘致に伴うテナント料低減策など の出店助成制度の創設。出店助成は 5 年間を想定する。 H25 H26 H27 H28 H29 調査、誘致交渉 制度創設 出店、出店助成 出店助成 ⇒ スケジュール 成果評価の方法 百貨店の利用者の数、百貨店での雇用数、商店街利用者数の増大 - 63 - (2) 基本戦略 2「後継者、担い手の発掘と育成」 13 後継者の発掘と育成支援「商業版ひたち立志塾の実施」 商業者の多くが小規模企業であり、半数は個人事業主であることから、後継者不 背景・目的 足は深刻である。後継者が確定している商業者は 2 割程度と想定される中、その 発掘と育成は個店の維持、商店街の継続における喫緊の課題である。 工業者の若手経営者、後継者等を対象にした経営塾「ひたち立志塾」は、経営手 法を学ぶということではなく、志を高め合い、仲間づくりを進めながら地域の活性化 取組内容 を真剣に議論し、塾生自らが運営までも行い自主性を高めている。商業者におい ても、こうした取組を実施する中で潜在化している後継者等を発掘し、次代の担い 手を育むことが必要である。既に東京などで実施されている全国的な経営塾に参 加している事業主の協力を得ることも視野に入れる。 各主体の役割 スケジュール 【事業者】(商店街)塾生の発掘と推薦。(個店)後継者の入塾。 【行政等】塾事業実施に対する運営支援。 H25 H26 H27 H28 H29 塾生発掘・募集 運営支援 ⇒ ⇒ ⇒ 開塾・運営支援 成果評価の方法 14 入塾者数、入塾者の意識改革の進展度合い あきんど塾(販売、接客、経営手法等)の実施 背景・目的 販売、接客及び経営手法等を習得する機会を設け、商業者の事業の経営基盤の 強化、起業を希望する者の基本知識等の習得を図る。 専門家及び実際の経営者を講師として招聘し、定期的な勉強会を開催するととも 取組内容 に、補助制度などの情報収集や各種申請書の記入の仕方などについても具体的 に学ぶ。あわせて、市民・利用者のニーズを把握するための調査スキルなども身に つける。 各主体の役割 【事業者】講師として、受講者として勉強会への参加。 【行政等】専門家の招聘等 H25 H26 H27 H28 H29 調査 塾開催 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 15 運用 勉強会の継続的な開催(回数)、起業数 事業継承に対する固定資産税等の軽減施策創設 既存店で事業継承を希望するが売上が少ない場合や、新規創業者の事業立ち上 背景・目的 げから経営安定までの期間、固定資産税等の軽減措置を行い、事業の継続を支 援する。 取組内容 事業継承のため、経営安定のために、希望する事業者を対象に、一定期間、固定 資産税等相当額を補助する施策の創設を検討する。 - 64 - 各主体の役割 【事業者】事業継承や新規創業に取り組む 【行政等】事業者の安定した経営の持続のための施策の創設及び支援 H25 H26 H27 H28 H29 調査研究 制度創設、運用 運用 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 16 運用 施策の創設、施策利活用者数 個人事業主の事業継承支援 背景・目的 事業継承したいが後継者がいない、利用者が事業継続を望むものの、事業者が 継続を望まないなどの場合、後継者を公募するなどし、事業継承を支援する。 事業者が事業継承したいが後継者がいない場合のマッチング、利用者が事業継 取組内容 続を望むが、事業者が継続を望まないなどの場合の相談対応、マッチング等の支 援を行う。 各主体の役割 【事業者】自主的に後継者を探す。 【行政等】事業者が自主的に取り組んでいる場合の支援。 H25 H26 H27 H28 H29 支援策研究 支援 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 17 運用 相談件数、支援した事業継承数 若い創業者のチャレンジ支援 既存商店の提供する商品やサービスではなく、若い感性や視点からの斬新なビジ 背景・目的 ネスモデルが期待できる若手創業希望者の取組を歓迎し、円滑な事業化が図れる よう支援する。 「№19 マイクロ・クリエイション・オフィスの有効活用」、「№20 小中学生の販売(職場) 取組内容 体験の仕組みづくり」の事業を併用し、若手創業希望者の取組を支援する。また、 事業資金の調達についても、市中金融機関の協力を得て支えていく。 各主体の役割 【事業者】ビジネスプラン立案、創業準備 【行政等】創業環境の提供、各種支援策の提供 H25 H26 H27 H28 H29 支援 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 18 創業(事業化)件数、創業者の定着率 コミュニティビジネスの創業環境整備 地域の課題をビジネスの手法で解決するコミュニティビジネスは、少子高齢社会に 背景・目的 おいては需要が高まっている。このビジネスを手掛ける創業者に対し、適切な場の 提供と支援を行うことは、地域の持続的な発展のためにも必要である。 - 65 - 地域コミュニティ組織や個人などが、コミュニティビジネスで創業する場合、低廉な 取組内容 賃料で事業環境(貸事務所等)を提供するとともに、円滑な事業化が図れるよう、コ ンサルティングや融資などの各種支援を行う。 【事業者】コミュニティビジネスのビジネスプラン立案、創業準備 各主体の役割 【商店街】創業者を支える雰囲気づくり 【行政等】創業環境の提供、各種支援策の提供 H25 H26 H27 H28 調査・補助 補助 ⇒ 自立化 H29 スケジュール 成果評価の方法 19 運用 創業(事業化)件数、創業者の定着率 マイクロ・クリエイション・オフィスの有効活用 創業希望者が事業化に専念できるよう、低廉な賃料で事業環境を提供するマイク 背景・目的 ロ・クリエイション・オフィスを、商業関連創業者やコミュニティビジネスによる創業者 に対しても提供する。 取組内容 各主体の役割 商店街などの場所でなくても創業可能な創業希望者に対して、マイクロ・クリエイシ ョン・オフィスでの事業化を促す。 【事業者】ビジネスプラン立案、創業準備 【行政等】マイクロ・クリエイション・オフィスへの入居審査、事業化支援 H25 H26 H27 H28 H29 運用 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 20 入居数、創業(事業化)件数、創業者の定着率 小中学生の販売(職業)体験の仕組みづくり 背景・目的 取組内容 各主体の役割 身近な商店等の活動を販売体験などを通じて経験させることにより、子どもたちに 商売への興味、職業観を醸成するとともに、次代を担う人材の発掘を進める。 小中学校の学区内にある商店街や個店など、身近な商業施設での販売体験がで きるよう、その仕組みづくりと具体的な運営を行う。 【事業者】職業体験の受入れ 【行政等】小学校、中学校と商業者の調整 H25 H26 H27 H28 仕組み検討 実施 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 じし運用 職業体験実施人数、協力した商店数 - 66 - H29 21 商業者の交流拠点の整備 「№13 後継者の発掘と育成支援「商業版ひたち立志塾の実施」、「№14 あきんど塾 背景・目的 (販売、接客、経営手法等)の実施」の塾活動や商店街の会議などの会場、地域コ ミュニティや工業者などとの交流を行う拠点としての施設整備を進め、地域の中の 商店街の在り方を探り、その方策を検討に資する拠点とする。 空き店舗などを対象に上記施設の整備を行い、地域コミュニティと連携し複合的な 交流拠点を整備運営する。比較的大きな投資が必要となるため、特定財源として 取組内容 国施策(地域商業再生事業:補助率 2/3、中小商業力活力向上事業:補助率 1/2 な ど)の誘導を前提とする。「№7 子育て支援施設、同サービスの導入」、「№8 買い物 弱者支援施設、同サービスの導入」、「№9 複合交流拠点の整備」、「№18 コミュニ ティビジネスの操業環境整備」などの事業と抱き合わせで行う。 【事業者】(商店街)空き店舗の発掘と事業化の検討。国支援メニューへの提案。 各主体の役割 【行政等】家賃低減のための交渉、事業化に対する支援措置の創設。国等の支援 メニュー(地域商業再生事業:補助率 2/3、中小商業活力向上事業:補助率 1/2 な ど)の活用支援。 H25 スケジュール H27 国補助提案 整備(日立・多賀) 成果評価の方法 H26 運営支援 ⇒ 整備 施設利用者の数、商店街利用者数の増大 - 67 - H28 H29 整備(大甕) 運営 自立化(日立・多賀) (3) 基本戦略 3「新しいビジネスモデルの創出」 22 コミュニティビジネスの創業環境整備(再掲) 23 若い創業者のチャレンジ支援(再掲) 24 子育て支援施設、同サービスの導入(再掲) 25 買い物弱者支援施設、同サービスの導入(再掲) 26 日立駅前の交通広場でのフリーマーケットの実施 背景・目的 取組内容 各主体の役割 日立駅舎が新しくなり、日立市の玄関口としての顔が整備されたが、駅前から商店 街への回遊性を高めるためには、駅前でも一定程度の商業活動が必要である。 日立駅前の商業施設の整備にはスペース的、資金的に限界があるため、交通広 場を利用し、フリーマーケットなどのイベント性の高い取組を試験的に行う。 【事業者】フリーマーケットへの参加者公募 【行政等】交通広場の専用に係る調整 H25 H26 H27 試験的実施 ⇒ ⇒ H28 H29 スケジュール 成果評価の方法 27 フリーマーケット参加者数、同売上、 リユースの積極的なビジネス化 市民所得が向上しないなか、物を大切にする心が育まれつつある。できるだけ修 背景・目的 理をしながら長く使用するという動きであり、成熟社会と言われる欧州と類似の状況 である。そうした流れを取り込み、積極的に修繕サービスを新しいビジネスとして推 進する。 時計やメガネ、家電品、着物、履物などの修理技能を有する商店等が、「財布に優 取組内容 しい」「地球に優しい」を前面に掲げリユースを PR するとともに、商店街全体としてこ れらを特徴付け推進する。 各主体の役割 【事業者】リユース店舗の洗い出し、リユースの PR 【行政等】PR 支援 H25 H26 H27 H28 H29 調査 実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 実施運用 個店の売上増、商店街の来街者増 - 68 - 28 学生サークルを巻き込んだ商店街イベントの実施 商店街では深刻な後継者不足の状況が進行しており、イベント等の実施において 背景・目的 も人手不足が慢性化し、イベント開催の都度、疲労感が蓄積している。そこで、地 域の大学や高校などの学生、生徒を巻き込み、商店街イベントを継続実施するとと もに、学生における身近な商業への理解醸成を図る。 取組内容 各主体の役割 商店街活性化のイベントの実行において、地元の大学生や高校生の有志を募り、 運営スタッフとして活躍してもらう。 【事業者】役割分担の明確化、インセンティブ(報償等)の準備 【行政等】大学や高校に対する協力要請と調整 H25 H26 H27 H28 H29 調整 実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 29 じっ運用 商店街イベントの実施数、学生ボランティアの参加数 大学生を対象にしたビシネスプランコンペの実施 平成 24 年度に実施した「コミュニティビジネス起業プランコンペ」では、4 件の応募 背景・目的 があり、そのうち 1 件が地元大学からの提案であった。学生ならではの視点で地域 課題を捉え、それをビジネスの手法で解決していくという提案は地域活性化にとっ て有効である。こうした提案が継続されるよう定期的にコンペを実施する。 地元大学から起業のためのビジネスモデルを募集し、コンペの形式で優秀者を選 取組内容 出する。選出者には「№19 マイクロ・クリエイション・オフィスの有効活用」、「№20 商 業者の交流拠点の整備」、「№21 小・中学生販売(職業)体験の仕組みづくり」など の事業を組み合わせた支援を行い、早期事業化を目指す。 【事業者】起業ビジネスプランの立案、起業準備 各主体の役割 【商店街】起業後から経営安定までのサポート 【行政等】地元大学への協力要請、プランの公募、優秀者の選定、事業化支援 H25 H26 H27 H28 H29 調整 実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 運用 ビジネスプランの提案数、起業数、定着率 - 69 - (4) 基本戦略 4「異産業、地域コミュニティとの連携強化」 30 地域コミュニティと連携した商店街イベントの実施 商店街では深刻な後継者不足が進んでおり、イベント等の実施においても人手不 足が慢性化し、イベント開催の都度、疲労感が蓄積している。そこで、自立性を求 められている地域コミュニティ組織を巻き込み、商店街イベントの継続実施や、コミ 背景・目的 ュニティ組織の活動資金確保のための支援など、相互に補完するような事業連携 を模索する。 併せて、地域の抱える個別具体の日常生活における課題解決を、商業者の有す るリソースを活用して解決するための活動を行う。 №9 の複合交流施設を地域のコミュニティ組織に開放し、コミュニティ組織の活動 資金を調達するための事業を展開する場とするとともに、施設の管理や商店街の 取組内容 宅配サービスをコミュニティ組織に委託することも検討する。一方、コミュニティ組織 は商店街イベントには主体的に関わり、商店街との良好な補完関係の構築(パート ナー化)を図る。 各主体の役割 【事業者】商店街は場の提供、コミュニティはマンパワーの提供 【行政等】両者間の調整、支援施策の整備 H25 H26 H27 H28 H29 調整・実施 実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 31 じ運用 連携件数、コミュニティの獲得活動資金額、連携による商店街の売上額 さくらまつり、大道芸などのイベントの有効活用 日立さくらまつりとひたち国際大道芸の集客力が突出しており、このにぎわいを商 背景・目的 店街の活性化にうまく活用する方策を商店会組織とともに検討することと併せて、 様々な商店街イベントを展開する。 日立地区、多賀地区の関係する商店会組織と連携し、イベントによるにぎわいを商 店街の売上向上にいかに結び付けるかを研究するとともに、研究成果として商店 取組内容 街イベントを企画し、これを積極的に実施する。商店街の担い手不足を考えると、 工業者や地域コミュニティとの連携によりイベントを運営し、商業者は売りに徹する ということの検討も必要である。 各主体の役割 【事業者】まつり会場と商店街の回遊性の確保策とイベントの創出 【行政等】商店街イベントへの支援、ボランティアスタッフの募集 H25 H26 H27 H28 H29 調整・実施 実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 個店の売上増加額、商店街の人出数、ボランティアスタッフ数 - 70 - 32 コミュニティカフェの設置 「コミュニティカフェ」は「地域のたまり場や居場所」と定義され、NPO を 背景・目的 中心に産直食材などを使う「スローカフェ」や、食を核にした地域支援「コ ミュニティ・レストラン」など、様々な形態が生まれている。こうした機能 を商店街に設置し、日常的なにぎわいを創出する。 たまり場としてのスペースにカフェ機能を付加し、そこに語らいやなごみ、多様なコ ミュニティが発生するよう、施設の整備とカフェサービスを提供する事業者の発掘と 育成、支援を行う。あわせて、若者の就労支援に向けた相談サービスなどについ ても、関係機関と調整しながら試行する。 取組内容 試験的に日立と多賀の中心市街地の空き店舗を改装したカフェの設置を検討、実 現化する。運営は商店会組織や地域コミュニティ団体、コミュニティビジネスの起業 者を想定する。「№7 子育て支援施設、同サービスの導入」、「№8 買い物弱者支援 施設、同サービスの導入」、「№9 複合交流拠点の整備」、「№18 コミュニティビジネ スの創業環境整備」、「№21 商業者の交流拠点の整備」などの事業とともに検討実 施する。 各主体の役割 【事業者】コミュニティカフェのビジネスプラン作成、カフェサービスの提供 【行政等】施設の設置・運営の支援、関係団体との調整、雇用相談員の配置 H25 H26 H27 H28 H29 調査検討 運営支援 ⇒ 自立化 ⇒ スケジュール 成果評価の方法 33 運用 カフェの利用者数、カフェの売上額、商店街の来街者数 ものづくり産業との連携による商業環境整備支援 ものづくり中小企業の持つ製品開発力と、商業者が保有する機械設備な 背景・目的 どで必要とされるニーズのマッチングを図ることで、双方の持つリソースの 有効活用を図る。 ものづくり中小企業の強み・リソースと商業者のニーズを明確化し、商店街 取組内容 の街路灯のLED化、商業者が事業を営む上で必要とする機械設備、各 種ツールなどの導入・保守などに、ものづくり中小企業が開発する製品や 保有する技術を導入する。 各主体の役割 【事業者】それぞれの強みを共有し必要に応じて、工業者等を活用する。 【行政等】ニーズの把握と情報共有の場の提供 H25 H26 H27 H28 H29 調整 事業化支援 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 マッチング件数 し運用 - 71 - 34 コンビニエンスストア、個店、大型店の連携 競合関係にあった個人商店、コンビニ、大型店が、それぞれの強みと弱みを理解 背景・目的 し、補完し合うという発想から連携することにより、地域での商業機能の高度化を目 指す。 取組内容 各主体の役割 コンビニと連携した宅配サービス、大型店店長などを講師としたセミナーの実施な ど、具体的な連携事業を企画、実施する。 【事業者】連携事業企画、実施 【行政等】事業者間の調整、事業実施に対する支援 H25 H26 H27 H28 H29 調査・調整 事業化 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 35 連携事業の実施数 「地元のお店で買い物しよう!」運動の推進 東日本大震災時に市民の食卓を支えたのは身近な個人商店であった。チェーン ストアの流通網が一時的に寸断した際、地域の個人商店等は無休で在庫を一掃し 背景・目的 た。こうした個人商店を存続させるには、日常的に買い物をして買い支えることが 何よりも必要なことであり、そのための啓蒙啓発活動として「地元のお店で買い物し よう!」運動を推進する。 取組内容 各主体の役割 小中学校、地域コミュニティ組織などと連携し、「地元のお店で買い物しよう!」運 動を推進する。 【事業者】PR運動の企画実施 【行政等】小中学校、地域コミュニティ組織との調整 H25 H26 H27 H28 H29 調整・実施 実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 36 個人商店等の売上増の額、機運の醸成 女性の新しい就業スタイル、環境整備 育児や介護中、あるいは子育て後の女性で就労を望む方に、それぞれのおかれ 背景・目的 た立場や生活環境に配慮しながら、可能な範囲で仕事と家庭生活の調和を保てる ような、就労環境の整備を行う。 取組内容 短時間勤務、スポット的な勤務などの就労を希望する労働者の意向に応じ、新し い働き方・就業形態を創出する取組を支援する。 【事業者】積極的な雇用確保と短時間・単発の就労条件の創出 各主体の役割 【行政等】関係機関と連携しながら就労希望者登録やマッチングを支援する - 72 - H25 H26 H27 H28 H29 調査 実施支援 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 じ運用 事業者からの求人件数、就労希望者登録件数、マッチング件数 37 子育て支援、同サービスの導入(再掲) 38 買い物弱者支援施設、同サービスの導入(再掲) 39 商店街の健康増進に向けた取組の検討 日立地区には日立市保健センター、多賀地区には民間の健康保持増進、高齢者 背景・目的 等の健康支援施設がある。これらの機関と連携し、商店街内での食育、健康教室 等の啓発事業を実施することにより、地域住民の心身の健康保持・増進を図る。 取組内容 各主体の役割 商店街、日立市保健センター、民間健康保持増進施設と連携し、商店街の周辺住 民の健康保持増進に関する啓発事業を実施する。 【事業者】健康の保持増進に関する啓発事業の場の提供 【行政等】関係機関と連携した事業の企画・実施 H25 H26 H27 H28 H29 調査・調整 実施支援 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 40 啓蒙事業の実施回数、参加者数 商店等の訪問ヒアリングの強化 商店、商店街の経営状況等についてリアルタイムの情報収集と、効果的な商業振 背景・目的 興施策の企画、商業者等との信頼関係構築を目的に、市職員等による事業者へ の訪問ヒアリングを計画的に実施する。 取組内容 各主体の役割 事業者への訪問ヒアリングを計画的に実施する。 【事業者】訪問ヒアリングの受入れ、ヒアリング時の相談 【行政等】計画的な訪問ヒアリングの実施 H25 H26 H27 H28 H29 実施 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 訪問件数、相談件数 - 73 - (5) 基本戦略 5「6次産業化と観光産業の推進」 41 最寄品販売機能の商店街への導入支援(再掲) 42 工場、産業遺産ツアー「メタルツアー」の具現化 「工場萌え」という言葉があるように、京浜地区においては工場の夜景や生産現場 を巡るツアーがブームになっている。本市においては、日鉱記念館や小平記念館 背景・目的 などの産業遺産、機械遺産に認定されている 5 馬力モーター、500 を超える製造中 小企業群が立地し、こうした資源をバスなどで巡るツアーを企画・実施する。これに より、地域外からの来訪者の増大と地域住民の基幹産業への理解の深化を図ると ともに、商業者はおもてなしサービスとグッズ販売などをビジネス化する。 首都圏の旅行代理店と連携し、メタルツアーの具体化を推進するとともに、地域企 取組内容 業にツアーへの協力を要請し、その具現化を図る。このツアーを「メタルツーリズ ム」とし、商標登録を出願、定着化を図る。 各主体の役割 【事業者】ツアー受入れに伴う工場等の安全確保などの取組 【行政等】旅行代理店、地域企業との調整 H25 H26 H27 H28 H29 試行・商標登録 本格実施 実施 ⇒ 自立化 スケジュール 成果評価の方法 ツアー実施の有無、ツアー参加者数、ツアーへの協力企業数 43 ものづくり産業との連携による商業環境整備支援(再掲) 44 かみね動物園等の観光施設との連携推進 年間来場者数 36 万人を誇るかみね動物園は、合わせると 30 万人を超える市内6 か所の海水浴場とともに日立市の重要な観光資源である。こうした観光資源への 背景・目的 入込数を商店街へのにぎわいとしていかに活用するかは非常に重要である。かみ ね動物園は中心市街地とも遠くなく、またJR利用の場合は日立駅が最寄りとなるた め、商店街と動物園をセットにした回遊や、オリジナルグッズの製作販売などの検 討が期待される。 動物園と商店会組織の意見交換をベースに、動物園来場者の中心市街地への回 取組内容 遊を図る取組を検討するとともに、例えば動物園と商店街が連携する様をモチーフ 化したオリジナル商品の開発を検討し、その商品化を試行する。 各主体の役割 【事業者】連携による新しい取組の提案、その試行 【行政等】動物園等連携する組織との調整、商店会組織の取組支援 H25 H26 H27 H28 H29 調整 実施支援 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 商店街来街者の増、オリジナルグッズの売上額 - 74 - 4 工業振興の基本戦略と各施策 (1) 基本戦略 1「量産から非量産への徹底した転換」 1 茨城県立日立産業技術専門学院の移転整備と機能拡張 量産加工品の生産が東アジア等に集中シフトしている中、国内に残るのは非量産 背景・目的 品で、かつ高度な加工技術と、短納期に対応できるものだけと想定されている。そ の受注獲得には汎用加工技術の高度化が必要であり、それを支える役割が産業 技術専門学院に期待されている。 取組内容 各主体の役割 老朽化した校舎の移転整備とともに、カリキュラム拡充を実現するため、産業界を 巻き込んだ要望等を積極的に行う。 【事業者】同学院に対するニーズの集約 【行政等】産業界との協調、県に対する要望の窓口、移転用地の確保 H25 H26 H27 H28 要望・調査 設計 工事 供用開始 H29 スケジュール 成果評価の方法 2 学院の移転整備の実現、カリキュラムの拡充 汎用工作機械加工技術を習得できる仕組みづくり 世界中から非量産品の受注を掻き集めるためには、汎 背景・目的 用工作機械の技能の高度化が不可欠である。そのた めの仕組みづくりを茨城県立日立産業技術専門学院 の機能強化を基本に推進する。 取組内容 各主体の役割 茨城県立日立産業技術専門学院に機械加工(旋盤、フライス盤など)を習得できる カリキュラムと設備を整備し、地域の技能者育成を積極的に推進する。 【事業者】同学院に対するニーズの集約 【行政等】産業界との協調、県に対する要望の窓口 H25 H26 H27 H28 H29 スケジュール 産技専の要望 成果評価の方法 3 カリキュラム案の検討 仕組み構築の有無、受講者数 運用 溶接加工技術を習得できる仕組みづくり 溶接は発電プラント製造において重要な要素技術の一 背景・目的 つであり、その技術の維持、高度化は不可欠である。そ のための仕組みづくりを茨城県立日立産業技術専門学 院の機能強化を基本に推進する。 取組内容 各主体の役割 茨城県立日立産業技術専門学院にある金属加工科(溶接)の更なる拡充を推進 し、地域の技能者育成を積極的に推進する。 【事業者】同学院に対するニーズの集約 - 75 - 【行政等】産業界との協調、県に対する要望の窓口 H25 H26 H27 H28 H29 スケジュール 産技専の要望 成果評価の方法 カリキュラム案の検討 仕組み構築の有無、受講者数 運用 4 溶接技術等の資格試験の誘致 溶接は発電プラント製造において重要な要素技術の一つであり、その技術の維 背景・目的 持、高度化は不可欠である。一般的な溶接技術者の資格は地域内で受験可能だ が、溶接管理技術者等の受験は東京などに出向く必要があるため、この受験会場 の本市への誘致を進める。 取組内容 各主体の役割 溶接管理技術者試験、非破壊検査技術試験の会場誘致を行う。 【事業者】受験ニーズの集約 【行政等】試験実施機関との調整、受験会場の確保 H25 H26 H27 H28 H29 調査・検討 誘致活動 試験実施 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 5 運用 試験誘致の有無、試験実施数、受験者数 世界一の生産性を目指した取組 東アジア諸国とのコスト競争に勝ち目がないと言われる中、本当に生産性でそうし 背景・目的 た国に負けているのであろうか。世界一の生産性の獲得と維持なくして、日本のも のづくり技術の高度化は成し得なく、これを地域課題として捉え推進する。 取組内容 各主体の役割 スケジュール 各社の生産性向上のための取組を地域のプロジェクトとして位置付け、その事業 推進を支援する。また、産業支援センターの改善に係る研修等も並行推進する。 【事業者】生産性向上プロジェクトの提案 【行政等】プロジェクトの公募・採択、プロジェクト推進のための支援 H25 H26 H27 H28 H29 提案制度検討 プロジェクト募集 ⇒ ⇒ ⇒ FaIT 塾の推進 成果評価の方法 6 プロジェクト提案数、改善によるコスト削減額 改善、5S の推進 人件費の格差から東アジア諸国とのコスト競争に敗れ、量産加工品のフィールドが 消失しつつある日本のものづくり。しかし、生身の生産性ではそうした国々に決して 背景・目的 負けていないはずである。世界一の生産性の獲得と維持なくして、日本のものづく り技術の高度化は成し得なく、この実現化のために改善と5Sの取組を積極的に推 進する。 - 76 - 製造現場の生産性向上に対する意識の醸成と改善提案の日常化を推進するた 取組内容 め、5S と改善のノウハウを学ぶセミナー等を実施するとともに、実学的な改善への 取組を促すチームの育成を進める。 各主体の役割 【事業者】5Sと改善への意識向上、セミナー等受講者の派遣 【行政等】5S&改善セミナー、FaIT塾などの実施 H25 H26 H27 H28 H29 FaIT 塾の推進 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 7 受講者数、改善提案数、コスト低減額 技術開発等の推進 自社の製造技術の高度化や自社製品製造に資する技術開発の推進は、他社との 差別化を進める意味でも必要不可欠であるが、これを実現するにはスタッフ、設 背景・目的 備、資金はもとより、大学など外部資源の活用が大切である。中小企業の技術開 発推進のための組織づくりと、最適な外部資源のマッチング、開発資金の獲得を 支援する。 取組内容 各主体の役割 スケジュール 中小企業の技術開発推進を支援するために、国等の開発資金の獲得支援や外部 資源のマッチングを行う。 【事業者】技術開発スタッフの確保、開発ニーズの発掘 【行政等】地域企業の技術開発動向の把握、国等開発資金の獲得支援 H25 H26 H27 H28 H29 提案公募型事業 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ への随時提案 成果評価の方法 8 開発件数、国等の開発資金の獲得件数・金額、開発成果による売上額 設備投資等に対する優遇制度基準の見直し 製造業の多くが製造設備の能力に依存している現状では、既存工場の設備更新 背景・目的 (増設)は企業の技術力のバロメーターのひとつであり、中小企業の設備投資意欲 が減退することのない優遇制度基準の見直しを推進する。 現行の日立市産業集積促進条例では、設備投資に伴う優遇制度における新規雇 取組内容 用の条件が 5 人以上となっており、設備投資の大きな目的が省力化であることを考 えると現実的とは言えないため、これを改められるよう検討を進める。 各主体の役割 【事業者】設備投資の計画策定 【行政等】優遇制度の基準見直し H25 H26 H27 H28 H29 基準の見直し 条例等改正 新制度運用 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 設備投資計画数・金額、当該企業の雇用増加数、売上増加額 - 77 - 9 全国の企業グループとの交流促進 中小企業の経営資源には限りがあり、事業を円滑に推進するには必要に応じて外 背景・目的 部資源を活用することが有効である。そのため地域内外、国内外に捉われずネット ワークを築き、交流を密にしておくことが必要であり、そのための支援を行う。 ひたち立志塾に類似する全国の若手経営者塾に広域的なネットワークが構築・機 取組内容 能しているように、地域内の中小企業経営者が広範に活動し、人脈づくり、ビジネ スネットワークを構築しようという動きを積極的に支援する。 各主体の役割 【事業者】積極的な交流活動 【行政等】上記活動への帯同、企業グループの活動支援 H25 H26 H27 H28 H29 交流促進 イベント企画 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 10 企業間ネットワークに関する各種イベントへの参加企業数 ネットワークを活かした受発注件数・金額 首都圏からの受発注情報の会員制公開 日立地区産業支援センターが首都圏サテライトオフィスコーディネーターを増員配 背景・目的 置するとともに、会員制のサイトを構築し、そこで獲得される発注案件を、広く地域 の中小企業に公開することで受注機会を増やす。 首都圏サテライトオフィスコーディネーターの増員、日立地区産業支援センターで 取組内容 の常勤(営業系)コーディネーターの増員を行い、発注情報量の増大を図る。ま た、入手した情報は、会員制のインターネットサイトで公開し、広く地域中小企業に 公開できる仕組みを構築する。 【事業者】会員制サイトへの会員登録、見積もり対応、成果報告 各主体の役割 【行政等】首都圏サテライトオフィスのコーディネーターと常勤(営業系)コーディネ ーターの増員、受注情報公開用会員制サイトの構築と運用 H25 H26 H27 H28 H29 公開サイト構築検討 運用 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 11 サイト登録企業数、受注件数、受注金額、提供受注案件数 新規受注開拓のための地域としての働きかけ 背景・目的 日立地区の地域としての産業集積の魅力をアピールし、地域ぐるみでの受注開拓 を目指す。 大手企業等に対して、日立地区の企業への発注等を要望する組織を立ち上げ、 取組内容 要望活動を行う。 - 78 - 各主体の役割 【事業者】行政等と一体となった要望活動の実施 【行政等】事業者と一体となった要望活動の実施 H25 スケジュール H27 H28 H29 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 組織発足 要望活動 成果評価の方法 H26 訪問企業数、商談会等実施件数 - 79 - (2) 基本戦略 2「海外需要の積極的な取り込み」 12 海外展示会、商談会への参加 海外での市場開拓を図る地域中小企業の取組を支援するため、海外展示会や商 談会への出展を支援する。 〔COMPAMED(国際医療機器技術・部品展)〕 毎年11月にドイツ・デュッセルドルフで開催される医療機器に関する技術、部 背景・目的 品、原材料及びサービスの国際展示会。世界最大の医療機器等の専門展示会で ある「MEDICA(国際医療機器展)」に併 せて開催される。 COMPAMED2012 出展企業の似顔絵 取組内容 各主体の役割 海外展示会や商談会への行政等と地域企業の共同出展を行うとともに、事前セミ ナーの開催など出展に係るサポートを実施する。 【事業者】海外展示会等への共同出展 【行政等】共同出展する海外展示会等の選定、出展手続き、出展効果のPR H25 H26 H27 H28 H29 出展・参加 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 13 出展者数、商談件数、見積もり提出数、成約件数、成約金額 企業グループによる海外展開 中小企業単独での海外進出はリスクが大きい。そこで企業グループによる進出を 背景・目的 検討する場合、その活動を積極的に支援することも必要である。グループ進出は、 複数の企業が進出することにより要素技術が増え受注機会が増大すること、投資リ スクを分散できること、進出した際の間接費の削減などにメリットがある。 工業協同組合や任意の企業グループが海外進出を検討する場合、進出希望先の 取組内容 国の投資環境情報、金融支援など、必要な各種情報の提供を行うとともに、 JETRO などと連携した現地調査の支援を行う。 各主体の役割 【事業者】グループによる海外進出計画の策定 【行政等】海外進出に資する各種情報提供、JETRO や金融機関との連携 H25 H26 H27 H28 H29 調査・検討 進出支援 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 運用 海外進出計画数、相談数、海外進出数 - 80 - 14 地域中小企業が共同利用できる商社の発掘と連携 中小企業が単独で海外販路を開拓するのは容易ではなく、商品や部品の販売、 背景・目的 アフターサービスを直接行うことは現実的に不可能である。そこで、商社の活用を 検討するとともに、地域中小企業が共同で利用できる商社の発掘と、そのための仕 組みづくりを推進する。 比較的近距離の中国、韓国、台湾などの場合、中小企業が直接、販売やサービス を提供することが可能であるが、遠距離である欧米などの場合は様々な制約が想 取組内容 定される。言葉や現地の商習慣に不慣れな中小企業が直接、取引を行うことには リスクを伴うため、地域中小企業が共同で利用できる商社の発掘と、活用のための 仕組みづくりを推進する。 各主体の役割 【事業者】海外での販路開拓計画等の策定 【行政等】共同利用可能な商社の発掘と利用のためのルールづくり H25 H26 H27 H28 H29 調査検討 商社活用開始 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 15 運用 共同利用商社の有無、海外販路開拓数、販売金額 中国進出済み企業の経営安定化 日立市内の中小製造企業で中国に生産拠点を有する企業がいくつかあるが、昨 背景・目的 今の日中関係の悪化や中国国内の景気減速の影響から経営的に苦戦を強いられ ているという。こうした企業に対して、経営安定化のための支援を行う。 取組内容 各主体の役割 日立地区産業支援センターの中国情報センターによる訪問をベースに、受注開拓 や外注先発掘、常陽銀行上海駐在員事務所と連携した金融支援などを行う。 【事業者】企業訪問の受入れ、経営相談 【行政等】HITS 情報センターによる駐中日立市企業の訪問、相談対応 H25 H26 H27 H28 H29 定期的訪問 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 16 企業訪問件数、相談対応数 国際化対応人材の確保と育成 中小企業の国際化が企業存続上不可欠となってきている中、海外現地法人や国 背景・目的 内の国際化担当者の確保と資質の向上が必要である。現地商習慣、貿易、通関な どの専門知識への造詣を深め、実務に精通することが求められる。 経済産業省もグローバル人材の育成という施策を打ち出しているように、中小企業 取組内容 の海外展開を間接的に支援する意味で、当市もそうした人材の育成を積極的に支 援することが必要である。具体的には JETRO や金融機関などによる貿易実務や現 地の商習慣に関するセミナー等が想定される。 - 81 - 各主体の役割 【事業者】研修受講者の派遣 【行政等】研修メニューの提供 H25 H26 H27 H28 H29 調査検討 研修等の実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 17 運用 受講者数、海外への売上高、海外現地法人の経営安定化など チャイナリスク対策としての東南アジアミッション団派遣 日本企業の中国での事業展開の位置付けが高まる中、今後の中国での事業展開 背景・目的 においてはリスクマネジメントの強化が従来にも増して重要になっている。 海外展開企業におけるリスク分散を図るため、新たな事業展開候補としての東南ア ジアをターゲットとした地域中小企業による調査ミッション団を派遣する。 取組内容 各主体の役割 ベトナム、インドネシア、タイなど東南アジア諸国への調査ミッションの派遣を行う。 【事業者】調査ミッション団への参加、海外展開に向けた調査 【行政等】調査ミッション団の実施、海外展開支援のための調査 H25 H26 インドネシア その他のアジア H27 H28 H29 スケジュール 成果評価の方法 18 ミッション参加企業数 成長産業分野の海外市場調査、技術開発 成長産業分野と言われる医療、航空、エネルギー産業分野などの地域中小企業 背景・目的 の事業展開を促進するため、当該分野における海外市場や技術動向の調査と、 参入に必要な技術開発のための開発資金等の獲得支援を行う。 当該成長産業分野に関する市場や技術動向について調査を進め、必要な情報を 取組内容 積極的に地域中小企業に提供する。また、新分野進出に必要な技術開発を行うに 際し、国等の競争的資金を活用する意向がある場合は、獲得に向けた書類作成 等について積極的に支援する。 【事業者】新分野進出計画の策定、それに必要に組織体制の整備、国等の競争的 各主体の役割 資金への事業提案 【行政等】市場や技術動向等の調査と情報提供、国等の競争的資金の獲得支援 H25 H26 H27 H28 H29 調査 技術開発推進 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 運用 新分野進出の件数、国等の競争的資金への申請件数、同採択件数 - 82 - 19 バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣 日立市の国際交流都市であるバーミングハム市(アメリカ)は、かつてはUSスチー ルの企業城下町として栄えたが、世界的な鉄冷えの影響で一時衰退した。しかし 背景・目的 アラバマ州立大学医学部の誘致を契機に、医療産業の街として再生した。この成 功の道筋を改めて調査し、当市の産業再生のモデルとして研究するとともに、地域 中小企業の新分野進出先として期待される医療産業分野での連携を模索する。 取組内容 各主体の役割 バーミングハム市の産業再生のモデルを調査研究するとともに、地域中小企業に よる産業交流ミッション団を派遣する。 【事業者】ミッション団への参加、バーミングハム市との産業交流の検討 【行政等】バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣の企画実施 H25 H26 H27 H28 H29 検討 ミッション派遣 産業交流 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 20 運用 調査報告書、ミッション団参加企業数、産業交流の具体数 シュツットガルト市の産業調査、ミッション派遣 日本に輸入されるメルセデスベンツ車は全て茨城港日立港区から陸揚げされてお り、その出荷元であるシュツットガルト市(ドイツ)はベンツ社の本社所在地である。 背景・目的 同市にはポルシェ社やボッシュ社も立地し、周辺都市も含めて機械加工産業が盛 んな地域でもある。そこでシュツットガルト市の産業調査を実施し、当市の産業活 性化のモデルとして研究するとともに、地域中小企業の国際産業交流の候補都市 として地域中小企業によるミッション団を派遣する。 取組内容 各主体の役割 シュツットガルト市の産業モデルを調査研究するとともに、地域中小企業による産 業交流ミッション団を派遣する。 【事業者】ミッション団への参加、シュツットガルト市との産業交流の検討 【行政等】シュツットガルト市の産業調査、ミッション団派遣の企画実施 H25 H26 H27 H28 H29 検討 ミッション派遣 産業交流 ⇒ スケジュール 成果評価の方法 21 運用 調査報告書、ミッション団参加企業数、産業交流の具体数 HITS 中国情報センターの活用 背景・目的 世界の工場から市場へと大きく展開し始めている中国の産業情報などを市内企業 へ提供するため、HITS 中国情報センターを活用した事業を展開する。 日立地区産業支援センターが設置している中国情報センターを活用し、中国上海 市、蘇州市を中心とする華東地域における市場調査や地域企業と現地企業の事 取組内容 業マッチング、地域企業が訪中する際の訪問企業のアレンジ等を行う。 - 83 - 【事業者】中国情報センターへの事業要望 各主体の役割 【行政等】華東地域の市場調査、情報提供、事業マッチング、訪中企業のための 訪問企業アレンジ H25 H26 H27 H28 H29 活用 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 22 事業マッチング件数 海外展開への相談、アドバイス体制の整備 中小企業にとって海外展開は未知の世界であり、事業化に際しては様々な疑問や 背景・目的 心配が山積している。これらに対して相談やアドバイスができる組織体制と仕組み が必要である。JETRO などの外部機関と連携し、効果的な支援体制を構築するこ とが必要である。 取組内容 各主体の役割 スケジュール 産業支援センターをはじめ、地域中小企業の海外展開に対して相談対応できる体 制と仕組みを構築する。 【事業者】海外展開に関する各種相談 【行政等】相談への対応体制と仕組みの構築 H25 H26 H27 H28 H29 連携推進 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ 相談対応 成果評価の方法 23 相談件数、海外展開事例の創出 JETRO など外部機関の誘致 中小企業の海外展開先は大手企業の動向に追従し、アジア諸国だけでなく、欧米 背景・目的 など全世界に拡大することが想定される。そうした状況に対応するには、専門組織 の協力が不可欠であり、JETRO などの機関との連携強化の一環として、貿易情報 センターなどの機関誘致を目指す。 北関東 3 県には JETRO の出先機関が設置されてなく、設置済みの都道府県と比 取組内容 較すると国際化の進展状況に後れを感じるため、茨城県と連携し JETRO 貿易情報 センター等の機関誘致を推進する。 各主体の役割 【事業者】機関設置に対する要望 【行政等】茨城県との連携、JETRO 等に対する働きかけ、出先機関の誘致実現 H25 H26 H27 H28 H29 誘致活動 ⇒ ⇒ 誘致 ⇒ スケジュール 成果評価の方法 誘致実現の有無 - 84 - 24 県内金融機関との海外展開における連携強化 背景・目的 取組内容 各主体の役割 地域中小企業の海外展開の支援を、技術から金融までの総合的かつ効果的な内 容とする目的から、県内金融機関と連携した支援体制を構築する。 地域中小企業の海外展開を支援する目的から、県内金融機関との連携に関する などの締結を行い、技術から金融までの総合的な支援を行う。 【金融機関】連携協定に向けた協議 【行政等】連携協定に向けた協議 H25 H26 H27 H28 H29 調査検討 連携強化 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 25 連携に関する協定等の件数、共同事業実施件数、行員研修の受入れ 世界一の生産性を目指した取組(再掲) - 85 - (3) 基本戦略 3「成長産業分野への事業展開」 26 医工連携の推進とそのための資金獲得 「№21HITS 中国情報センター活用」の施策の中で、特 に医療産業分野については、産業支援センターが筑波 大学と筑波記念病院、地域中小企業により進めている 背景・目的 「リハビリ機器」開発のように、既に事業化に向けた取組 が進められているものがあり、こうした活動を更に推進す るため、必要となる開発資金を国等の競争的資金の獲 得を図る。 筑波大学と開発が進められるリハビリ機器 医工連携は経済産業省が推進する取組でもあり、そのための助成制度も拡充しつ 取組内容 つある。こうした制度を効果的に活用し、地域中小企業の医療分野での製品開発 を積極的に支援する。 各主体の役割 【事業者】具体的な開発計画の策定、事業化における課題の整理 【行政等】国等の競争的資金の獲得支援 H25 H26 H27 H28 H29 国への事業提案 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 提案事業数、事業参画企業数、国等の競争的資金の獲得数 27 技術開発等の推進(再掲) 28 成長産業分野の海外市場調査、技術開発(再掲) 29 設計技術者等の確保と育成 新製品開発だけでなく、受注開拓にも技術的な課題克服が必要な場合があり、そ 背景・目的 の克服のためには設計等の技術者が不可欠であるため、中小企業における設計 技術者等の確保と育成を推進する。 地域の大学や高専の学生に対し、地域中小企業への就業意欲を喚起するため、 取組内容 学生が在学中に地域企業と交流する機会を創出するとともに、各社の企業情報を 効果的にPRするための取組(企業バンプレットやホームページ作成)を支援する。 また、中途採用者の有効活用を推進するためハローワークとの連携を図る。 各主体の役割 【事業者】技術者の採用計画の策定 【行政等】学生と企業の交流機会の提供、企業PR事業への支援 H25 H26 H27 H28 H29 大学への企業PR ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 大学等での企業PR件数、技術者等の採用数 - 86 - 30 バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣(再掲) 31 医療、航空産業への事業展開 背景・目的 今後の成長分野として期待される医療、航空産業への地域中小企業の参入を図 るための事業展開を支援する。 「№19 バーミングハム市の産業調査、ミッション団派遣」と同様に、当該事業展開に 取組内容 必要な各種情報の提供と併せて、医療機関や大学等との連携支援などを複合的 に実施する。また、これに医療・航空産業に関連した展示会への出展を行う。 各主体の役割 【事業者】事業計画の策定、それに必要に組織体制の整備、展示会出展 【行政等】市場や技術動向等に関する調査と情報提供 H25 H26 H27 H28 H29 事業展開 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 事業計画数、参画する企業数、展示会出展企業数 32 海外展示会、商談会への参加(再掲) 33 国内展示会、商談会等への参加 地域中小企業の国内販路開拓等を推進するた 背景・目的 め、展示会出展や商談会参加を積極的に支援 する。 機械要素技術展 2012 出展の様子 取組内容 各主体の役割 産業支援センターの実施する各種展示会や商談会への出展支援を進めるととも に、地域中小企業が個別に出展する展示会などについても支援する。 【事業者】産業支援センターの実施する展示会への共同出展等 【行政等】補助金等の策を講じ支援する H25 H26 H27 H28 H29 出展等 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 出展展示会の件数、出展企業数 - 87 - 34 海外の研究機構と HITS の協力協定締結 地域中小企業の成長分野への進出、 海外展開の契機とするため、地域産業 背景・目的 と密接に連関する分野、地域の研究 機構とHITS間における協力協定等の 締結を図る。 蘇州市との相互交流・協力に関する覚書 取組内容 地域中小企業の技術特性や開拓意向の強い産業分野を把握し、それに資する協 力機関(研究機関等)の抽出と、具体的な連携内容の検討を進める。 【事業者】進出意向分野の設定、技術協力分野の抽出 各主体の役割 【行政等】上記に関係する研究機関、産業支援機関の抽出とコンタクト、協力協定 締結のための調整 H25 スケジュール H26 H27 H28 企業意向調査 協定締結 ⇒ H29 機関抽出と調整 成果評価の方法 35 協力機関数 運用機関抽出 産学連携の推進 経営資源に限りのある中小企業では外部資源の有効活用が必要不可欠である。 背景・目的 そこで、地域の大学等の研究機関との連携により、研究開発等の円滑な事業展開 を推進する。 取組内容 各主体の役割 茨城大学や茨城キリスト教大学、茨城高専、筑波大学をはじめとする大学等との連 携により、中小企業におけるの研究開発等の円滑な推進を図る。 【事業者、研究機関】研究ニーズ、技術シーズの提供 【行政等】企業と研究者のマッチング支援 H25 H26 H27 H28 H29 適宜連携 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 産学連携の実施件数、連携による国等の開発資金獲得件数、 連携に開発品等の売上高、 - 88 - (4) 基本戦略 4「ものづくりを伝承する地域の実現」 36 茨城県立日立産業技術専門学院の移転と機能拡張(再掲) 37 汎用機械加工技術を習得できる仕組みづくり(再掲) 38 溶接加工技術を習得できる仕組みづくり(再掲) 39 溶接技術等の資格試験の誘致(再掲) 40 設計・デザイン技術習得とそのための仕組みづくり 部品加工だけでなく製品開発に取り組む中小企業もある中、機械や電気の設計力 背景・目的 とあわせて製品デザイン力の強化が求められている。また、展示会や WEB におけ る企業 PR においても、デザイン力が必要となっており、この強化のための仕組み づりを推進する。 取組内容 各主体の役割 地域中小企業におけるデザインに対する意識醸成とともに、デザインを学んだ学 生の採用や、従業員のデザイン研修の仕組みづくりを検討する。 【事業者】デザイン 【行政等】芸術系の学部学科を有する大学等への企業 PR H25 H26 H27 H28 H29 研修実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 41 運用 中小企業における芸術系学生の採用数、デザイン系研修の開講、研修受講数 未来都市モデルプロジェクトの推進 市内に集積しているものづくりに関する人材や企業、技術等を活かして「ものづくり 背景・目的 の中核都市としての日立市」を世界にアピールすることを目指し、日立製作所と日 立市が協働して進める技能習得の仕組みの具現化を図る。 企業活動の維持・拡大を目指す地域中小企業を支援するため、市内のものづくり 教育機関の講座、施設情報を共有し内容充実を図るとともに、地域企業のニーズ が高い溶接・旋盤・フライス盤の技術研修を実施するほか、新たに工学・経営学分 取組内容 野のカリキュラムの検討を行うなど、地域中小企業向け技能教育の拡充を目指す。 また、次代のものづくり人材に対する科学、技術、ものづくりへの関心を醸成するた め、市内事業所等での小学生、中学生、一般向けの見学機会を提供する。 さらにものづくり技術を学ぶ外国人などが暮らしやすい生活環境の拡充を目指す。 【事業者】各種講座への参加、技術者の講師派遣、技術講座の施設提供、企業見 各主体の役割 学会の受入れ、外国人研修生の受入れ、海外顧客や海外現地法人の研修計画 の受入れ 【行政等】企業ニーズの把握、見学ニーズの把握、見学者の募集、外国人と地域 - 89 - 住民との交流活動(各種行事、防災訓練等)の実施。 H25 H26 H27 H28 H29 逐次実施 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 42 技能系研修の実施数、同受講者数、技能に関する見学者数、外国人研修生数 若手経営者の発掘と育成 中小企業の経営者は孤独であり、日常的な課題解決に際しても社内に相談相手 背景・目的 が存在していないことが多い。一方、若手経営者が集団で学び、そうした活動を通 じて人的ネットワークを形成する機会も少ない。そこで、次代の地域産業を牽引す る若手経者等を対象にした塾を開催する。 工業者の若手経営者、後継者等を対象にした経営塾「ひたち立志塾」は、発足か ら 6 年を経過した。経営手法を学ぶということではなく、志を高め合い、仲間づくりを 取組内容 進めながら地域の活性化を真剣に議論し、塾生自らが運営までも行い自主性を高 めている。平成 24 年度からは分科会方式を採用し、各分科会テーマの調査研究 を進めており、全体での活動とともに分科会での活動推進と、具体的な成果の確 立を推進する。平成 27 年度からの完全自主運営を目指す。 各主体の役割 【事業者】塾へ入塾、塾の運営 【行政等】塾活動全体のコーディネート、活動のための外部資金獲得 H25 H26 H27 H28 H29 運営 運営 自主運営 ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 43 塾生数、塾活動成果の検証 中小企業の社内情報システム管理者の育成 中小企業においても業務用パソコンは相当数普及しているが、生産管理や帳票シ 背景・目的 ステムなどの管理を担える人材が不足している。結果的に業者に外注しているた め、そのためのコスト負担や不具合が発生した時の即時対応が困難であることが 課題となっており、社内情報システム管理者の育成が求められている。 社内のネットワークや生産管理等のシステムの管理ができるよう、システムアドミニ 取組内容 ストレーターとしての知識と、社内の生産管理システムのカスタマイズが可能なレベ ルの資質を醸成するため、セミナー等を実施する。 各主体の役割 【事業者】社内情報システム管理者の任命、セミナー等の受講 【行政等】セミナー等の提供 H25 H26 H27 H28 H29 セミナー等開講 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 受講者数、システム管理費の低減 - 90 - 44 大学生、高校生のインターンシップ事業 次代を担う人材を育成するためには、まずはものづくりへの興味の醸成が不可欠 背景・目的 である。インターンシップ等を活用し、高校や大学生のうちに中小企業の現場を体 験することで、そうした興味の醸成を図る。 取組内容 各主体の役割 現在進めている高校生のインターンシップだけではなく、茨城大学工学部等と連 携し大学生も対象にインターンシップを展開する。 【事業者】学生の受け入れ 【行政等】学生と企業のマッチング支援 H25 H26 H27 H28 H29 実施 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 45 インターンシップへの参加学生数、就職数 茨城キリスト教大学経営学部と地域中小企業の連携強化 茨城キリスト教大学経営学部の学生が、在学中に地域中小企業と関わる機会を提 供し、学生に地域中小企業を知ってもらうとともに、地域中小企業が求める人材育 成を行い、地元の若者が地元で働く環境づくりの一助とする。 また、学生に在学中に地域中小企業と関わることによって、経営者としてのマインド 背景・目的 や感覚を養ってもらい、新たな起業の芽を創出する。 経営学部の学生は簿記を学んでおり、経理的な視点で中小企業を見ることができ る。ものづくりに対する関心を醸成するだけでなく、そうした視点から中小企業に意 見をすることも連携強化のひとつの在り方である。学生の考える起業や新しいビジ ネスモデルの提案などに対して、中小企業者の視点から助言することも有意義で ある。 取組内容 各主体の役割 中小企業経営者等を講師にした授業や現場見学を企画し、学生と中小企業者が 意見交換や議論のできる環境を提供する。 【事業者】学生の受け入れ、講師の承諾 【行政等】大学との調整、企業との調整 H25 H26 H27 H28 H29 試験的授業 実施 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 46 講話を聴講した学生数、企業見学に参加した学生数 ものづくりに触れるイベントの実施とその参加奨励 市内居住者がものづくりのまち日立を誇りに思い、次代のものづくりを担う子どもた 背景・目的 ちがものづくりに親しみを持ってもらうため、ものづくりに触れるイベントを実施する とともに、イベント参加を促す取組を行う。 取組内容 日立ものづくり学校運営協議会や職業探検少年団などと連携し、ものづくりに触れ - 91 - るイベントの体系化を進める。「コマ大戦」の子ども版の開催は有効だと考える。 各主体の役割 【事業者】ものづくりに触れるイベントへの積極的参加、協力 【行政等】ものづくりに触れるイベント実施団体の連携強化 H25 H26 H27 H28 H29 コマ大戦など実施 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 47 イベント参加数 技能技術者の教える力の向上と技能習得道場の具現化 地域の中小企業、大手企業の現役、OBには卓越した技能や技術を有する人材が 背景・目的 豊富であるが、自分でできることと、他人にそれを教えることは別の問題である。効 果的に技能や技術を教えるためには、コーチングスキルやコミュニケーションスキ ルなど、改めて学ぶべきスキルがあるため、この習得を推進する。 日立地区産業支援センターの中小企業実務アドバイザーや、中小企業のベテラン 取組内容 技能者・技術者を対象に、コーチングスキルやコミュニケーションスキル等の習得 セミナーを実施する。 各主体の役割 【事業者】セミナーの受講、受講後の社内でのOJT推進 【行政等】セミナーの提供 H25 H26 H27 H28 H29 セミナー ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 受講者数、OJTにより伝承された技能者・技術者の数 - 92 - (5) 基本戦略 5「操業環境の整備と支援体制の再構築」 48 工場照明等の LED 化 背景・目的 取組内容 各主体の役割 中小製造業等における電気料金低減し、固定費削減による経営の健全化を図る ため、工場照明等の LED 化を推進する。 工場等の照明をLEDに切り替える場合、その費用の一部を助成する。 【事業者】工場照明等の LED 化工事の実施 【行政等】費用の一部助成 H25 H26 H27 H28 H29 調査検討 補助 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 49 LED化の件数、電気料金削減金額 再生可能エネルギーの固定価格買取制度の活用促進 太陽光などの再生可能エネルギー電気の供給者となった場合、供給者が受ける 背景・目的 利潤が考慮された価格で電力事業者が買い取る「固定価格買取制度」は、中小企 業のサイドビジネスとしても効果的あり、その活用推進を促進する。 取組内容 各主体の役割 同制度の周知を徹底し、事業参画を促す。 【事業者】発電設備の整備 【行政等】制度の周知 H25 H26 H27 制度PR ⇒ ⇒ H28 H29 スケジュール 成果評価の方法 事業に参画した企業数 50 設備投資等に対する優遇制度基準の見直し(再掲) 51 女性従業員活用のための環境整備 人口減少、高齢化が進む中、今後は企業の中での女性従業員の活用が一層重要 背景・目的 となってきており、地域企業における女性従業員を受け入れるための社内環境の 整備を支援する。 取組内容 各主体の役割 企業における女性が働きやすい設備、安全な作業環境及び働きやすい就業規則 の整備を支援する。 【事業者】女性従業員活用のための社内環境の整備 【行政等】女性が働きやすい環境整備を行う企業の支援 H25 H26 H27 H28 H29 検討 厚労省制度周知 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 女性従業員数 - 93 - 52 工場拡張用地の確保と整備 背景・目的 取組内容 各主体の役割 市外からの進出企業の立地のため及び市内企業の工場拡張のための用地を確 保、整備する。 工場用地確保のための調査を実施する。 【事業者】工場団地に対するニーズ調査 【行政等】工場用地の確保のための調査 H25 H26 H27 H28 H29 候補地調査 整備の検討 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 53 工場適地の整備確保の有無 企業誘致の推進 背景・目的 取組内容 各主体の役割 日立地区における産業集積メリットの維持、強化を図るため、地域外からの新たな 企業誘致を推進する。 工場新設意向のある企業の調査、既存の産業集積との補完関係となる企業の誘 致、成長分野の企業誘致 【行政等】企業誘致関連情報の収集、企業誘致セミナーの開催 H25 H26 H27 H28 H29 誘致 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 54 企業誘致、セミナー参加者数、誘致企業の投資総額、雇用数 個別企業の事業継続計画(BCP)策定の推進 東日本大震災を契機に企業におけるBCP対策に対する識が高まっている。従業 員の安全確保、家族の生活環境確保などが優先されるが、広域的な事業活動を 背景・目的 行う中小企業においては、顧客への納品等の義務が存在しており、被災を理由に その義務を怠るわけにはいかない。そこで非常時を想定した事業継続計画(BCP) の策定を推進する。 取組内容 各主体の役割 BCPに対する意識の醸成と、計画策定への取り組みを支援するため、セミナーを 開催する。 【事業者】セミナーの受講 【行政等】セミナーの開催 H25 H26 H27 H28 H29 セミナー ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 計画策定企業数、セミナー受講企業数 - 94 - 55 産業支援機関、行政による企業ヒアリングの強化 効果的な産業振興策を実施するため、地域企業の実情やニーズを把握する。ま 背景・目的 た、その情報は日立市、産業支援センター、商工会議所等で可能な限り共有し、 地域企業の実態把握を組織的に実現する 年間事業計画のPR時、年度初めや各種事業実施時等を捉えた企業訪問のほ 取組内容 か、日常的な企業訪問の実施を強化する。市内中小製造事業所が 500 件とすれ ば、年 2 回は訪問できるよう、最低でも 1,000 件/年は実施する。 各主体の役割 【事業者】訪問の受け入れ 【行政等】企業訪問によるヒアリングの実施 H25 H26 H27 H28 H29 企業訪問 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 56 企業訪問件数 日立市産業振興部門の HITS 駐在化 本市の産業振興策の効果的な実施に当たっては、市と HITS が一体となって、企 背景・目的 業ニーズ把握から施策の立案、実施、効果の把握までの一連のサイクルを実践し ていくことが重要であり、このための人的体制を整える必要がる。 取組内容 日立市産業振興部門の職員の日立地区産業支援センター内への配置 各主体の役割 【行政等】HITSとの連携深化、企業ニーズを捉えた事業の実施 H25 H26 H27 H28 H29 駐在 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 57 駐在の有無、企業ニーズ発掘のための企業ヒアリング件数 茨城県商工労働部、茨城県中小企業振興公社との連携強化 背景・目的 取組内容 各主体の役割 限られた人的資源、予算を有効に、かつ効果的に産業支援施策に結び付けるた め、茨城県及び関係機関等との連携を強化する。 産業界の動向や産業施策情報の共有化、展示会や商談会などの連携開催の他、 人事交流も検討する。 【行政等】行政機関のネットワーク強化 H25 H26 H27 H28 H29 連携 ⇒ ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 共催事業数、定期的な打ち合わせ開催数、人事交流の人数 - 95 - 58 県内金融機関と日立市の人事交流 産業支援施策を円滑かつ効果的に推進するためには、金融支援も重要である。金 背景・目的 融支援はやはり金融機関に頼らざるを得なく、この連携強化が求められている。ま た、金融庁による中小企業の海外展開支援の要請が金融機関に発せされたことも あり、各行とも積極的に取り組んでおり、この分野での連携も視野に入れる。 産業振興分野における県内の金融機関との連携に関する協定締結など、地域中 取組内容 小企業の事業展開を支援するため連携強化を進める。また、人事交流も検討す る。 各主体の役割 【事業者】金融機関としての企業支援スタンスの明確化と、支援メニューの検討 【行政等】金融機関に対して依頼できる企業支援メニューの洗い出し H25 H26 H27 H28 H29 検討・調整 連携 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 59 運用 共催事業数、定期的な打ち合わせ開催数、人事交流の人数 国、県、市、民間等への日立市職員の研修派遣 背景・目的 取組内容 各主体の役割 中長期的な視点での人材育成を目指した派遣研修において産業政策等の実務を 経験し学び、帰庁後にその経験と学びが活かせる職員配置を検討する。 市職員の国、県、市、民間等への派遣 【事業者】派遣職員等を介した産業政策の活用 【行政等】地域の実情に即した産業政策の活用、市独自の産業施策の立案、実行 H25 H26 H27 H28 H29 検討・調整 派遣 ⇒ ⇒ ⇒ スケジュール 成果評価の方法 職員派遣人数、関係省庁等の施策活用件数 - 96 - 5 商工等連携による産業振興に向けた基本戦略と各施策 (1) 基本戦略「多様な連携の推進」 1 最寄品販売機能の商店街への導入(再掲) 2 工場、産業遺産ツアー「メタルツアー」の具現化(再掲) 3 ものづくり産業との連携による商業環境整備支援(再掲) 4 かみね動物園等の観光施設との連携推進(再掲) 5 医工連携の推進とそのための資金獲得(再掲) 6 茨城キリスト教大学経営学部と地域中小企業の連携強化(再掲) - 97 - 第5章 計画推進のために 1 産業振興の基本姿勢 (1) 中小企業憲章を考える 平成22年6月18日、政府は意欲ある中小企業が新たな展望を切り拓けるよう、中小企 業政策の基本的考え方と方針を明らかにした「中小企業憲章」を閣議決定しました。 「政府が中核となり、国の総力を挙げて、中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ば し、自立する中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も 中小企業の立場で考えていく。」 上記の前文は、中小企業支援の基本姿勢を示すものであり、それを具現化するため に以下の8つの行動指針を定めています。 【行動指針】 ア 中小企業の立場から経営支援を充実・徹底する。 イ 人材の育成・確保を支援する。 ウ 起業・新事業展開のしやすい環境を整える。 エ 海外展開を支援する。 オ 公正な市場環境を整える。 カ 中小企業向けの金融を円滑化する。 キ 地域及び社会に貢献できるよう体制を整備する。 ク 中小企業への影響を考慮し政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を 生かす。 変革の担い手としての中小企業への大いなる期待、そして中小企業が果敢に挑戦で きるような経済社会の実現に向けての決意を政府として宣言しています。今までにな い画期的な取組であるとともに、地方自治体や産業支援機関においても、国のこうし た姿勢を受け、これらの基本姿勢を貫くことが求められています。 産業振興の目的が何であるのか、そしてその目的達成のために誰に働きかけていく のかなど、産業振興ミッションの真意を改めて確認しておくことが必要です。 - 98 - (2) 産業振興は自治体の裁量範囲の政策 意外と知られていないことですが、産業振興はどの自治体においても行われている 訳ではありません。日立市には工業集積があり、歴史的にも経済的にも重要な産業と して工業が位置付けられているために産業振興を推進しています。全国的には工場立 地がない都市もありますし、農業が盛んな都市、漁業が盛んな都市、商業集積のある 都市もあり、そうした都市の産業振興は農業であり、漁業であり、商業が中心になっ ています。 しかし、これらの行政施策は、法令に基づかず自治体が任意で行うものですので、 それをやるかやらないかの判断はそれぞれの自治体の自由裁量であるのです。 茨城県内を見ても、日立市ほど工業振興に注力している自治体はなく、やるからは 本腰を入れてやるという本市の姿勢が、平成11年の日立地区産業支援センターの開設 に表れていると言えます。また、地方自治体が単独で産業支援施設を有している事例 は少なく、産業支援センター設立時に先行していた事例は政令指定都市を除くと室蘭 市、花巻市、北上市などでした。 2 産業振興を推進する組織等について (1) 産業支援機関の存在 工業振興においては「財団法人日立地区産業支援センター」が平成 10 年に設立され て以来、国、県、市及び商工会議所などと連携し、技術に強い産業支援機関として、 技術開発や人材育成、受注開拓などに注力し、一定の評価と実績を挙げています。 商業振興においては、事実上、商工会議所がその役割を担っていますが、商工会議 所が現状の体制のままで新たな商業振興策を講じることは困難と思われます。日立市 商工振興計画策定検討委員会の意見の中からも、商業振興においても「支援機関」が 望まれているところであり、日立地区産業支援センターの支援対象範囲の拡大や商工 会議所の機能強化なども含めた支援体制の強化等を真剣に検討する時期にあると言え ます。 (2) 効果的、効率的な産業支援のために 産業振興の推進に際しては、それを担う人材が重要となります。産業振興を担当す る職員には、まちづくりやものづくり技術に対する深い造詣と地域内外における産業 界からの信頼や人的ネットワークが求められます。 産業振興を担当する職員の育成には、具体的な事業推進での経験を積むことが最も 効果的ですが、他の産業支援機関等と連携した事業を通じ、これらの機関等の職員と の接点を増やすことも効率的な人材育成につながるものと思われます。 東京都大田区では、産業振興の拠点施設である「大田区産業プラザ」内に区の産業 振興事業を行う公益財団法人である大田区産業振興協会とともに区の産業振興課(商 業及び工業を担当)及び観光課が設置されており、区と産業支援機関が一体となった 取組を展開しています。 また、大田区産業プラザ内には、産業団体や都の産業支援機関も併設されており、 - 99 - 効果的な産業振興の推進とともに産業振興の担当職員の育成に適した環境が整備され ています。 ■ 専門的な職員の育成事例 「多様な職員を活かす~エキスパート職員認定制度(東京都中野区)」 中野区では、中野駅周辺の再開発や西武新宿線の連続立体交差事業に伴う沿線まちづくりなどが進 行している。地権者交渉等など複雑高度化する行政課題に対応し、区民満足度の高い区政の実現が求 められる中、従来の職種に着目した職員の人材育成では対応が困難な場面が見られるようになってい た。また、少数精鋭の職員体制の下では、職員の新たなキャリアパスを設け、多様な能力を持った職 員が自らの適性を活かすことのできる柔軟な職員配置が求められていた。 そこで、幅広い知識や経験を有する従来のゼネラリストとして組織貢献する職員と、エキスパート として新たな価値を創造する職員が共存する仕組みづくりを導入した。 「エキスパート職員認定制度」 である。 ≪エキスパート職員制度の概要≫ 1 新たなキャリアプラン 特定の専門領域に関連する部署に継続して従事することにより、専門的な知識・経験を蓄積し、さ らに高度な能力伸展が可能となる。 2 エキスパート職員の役割 (1) 高度な専門性を発揮して区政目標の達成に貢献 (2) 全庁に対する政策・計画策定への支援 (3) 調査研究による経験知、暗黙知の継承(ナレッジマネジメント) (4) 後継職員の指導・育成 3 エキスパート職員の類型 分類 組織経営支援 類型 役割 会計 公会計財務諸表作成、コスト分析、業務改革等 情報 情報システム構築・運用管理、業務所管分野支援 法務 条例立案、法令解釈に関する指導・助言、法制執務等 総合福祉(高齢者・障害者、子ども)相談支援、生活支援ア 福祉・生活支援 区民生活支援 ドバイザー、地域・事業者連携等 産業・経営支援 事業経営・起業支援、地域経済活性化事業推進等 まちづくり 都市計画、試算評価、用地買収計画・交渉等 債権管理 徴収戦略・徴収計画策定、滞納整理要員の育成等 区政課題解決支援 4 認定の方法 主任主事 2 年以上の者で、各分類・類型に関連する公的資格や職務経験を有することを申込要件(※ 1)とする。選考は面接と職務記述書により、適性や職務意欲、行動力、実務執行能力などを総合的に 評定する。 5 職員の育成支援 エキスパート職員の申込要件に関する公的資格等の取得のため、専門学校、大学院等の受講料等の - 100 - 一部助成を行うとともに、先進的な取組みを行っている自治体や民間企業等への派遣・人事交流機会 を与える。 ※1 申込要件(産業・経営支援のみを抜粋) 類型 申込要件(ア~ウのいずれかを満たすこと) ア 次の公的資格を有する。 中小企業診断士、簿記(1 級)、税理士(簿記、財務諸表論合格) 産業・経営支援 イ 産業振興・経営支援関連業務の経験(2 年以上)を有し、次の公的資格を 有する。 中小企業診断士(科目合格)、簿記(2 級) ウ 産業振興・経営支援関連業務の経験(5 年以上)を有する。 ■ 産業界の求める産業支援人材…策定検討委員会委員などの声 産業振興は、本来であれば国がやるべきものを県に委託し、実際には市町村レベルが担っている という現状がある。公務員の人事ローテーションも考えなければならない。例えば岩手県では産 業振興を担う人材を関連した部署間での人事異動に限定するなどして確保している。市町村レベ ルでも、産業振興を担う人材を育成するには、専門的知識の習得、経験、人脈形成などに加え、 ローテーションルートも考える必要がある。企業の例を見ても、営業にいた人間が製造の現場に 配置転換されることはまずない。 短い期間でローテーションされ後任者が配属になると、前任者との間に築かれた信頼関係は消失 する。後任者との関係構築には数年を必要とするので、実質、信頼関係の構築はやり直しである。 人事配置としては、前任者と後任者を数年ラップさせるなどの配慮が欲しい。我々としては一か ら説明するのは面倒である。 専門性は必要であり、ローテーションもコアとなる人材は対象外として残している。 中小企業を支援する市職員もローテーションですぐに変えられるのは困る。JETRO や関東経済 産業局のようなところに職員を送るのは大事であるが、1~2 年で帰ってくるのはもったいない。 戻ってきた後に関係する部署に配置されればいいが、まったく関係のない職場に配属されては意 味がないだろう。 せっかく身に付けたスキルや人脈を御破算にしてしまうような人事は非常に大きなロスである。 ダメな人が一所に長く居座ることの弊害もあるが、机の上、椅子に座っていては学べないことが ことが産業振興の現場にはたくさんある。現場体験は最低 1 年間必要。春夏秋冬を肌身で経験で きる期間設定であって欲しい。 工業振興担当者にはやはり専門性が要求される。工業都市としての発展を再度考え、この地域の 産業集積力を PR しようとしても、要素技術やその組み合わせ技術など、ある程度の専門知識が 無いとやりようがないと考える。 - 101 - 資料編 日立市商工振興計画策定委員会委員(P103) 日立市商工振興計画策定経過(P104) これまでの商業振興計画及び工業振興計画の総括(P105) 商業振興計画及び工業振興計画に位置付けた事業の実施状況(P106) 「日立市工業振興に関する企業実態調査」集計結果概要(P111) 「日立市工業振興に関する企業実態調査」調査票(P119) 中小企業憲章(P124) 用語解説(P127) 日立市商業振興のあゆみ(P130) 日立市工業振興のあゆみ(P132) - 102 - 日立市商工振興計画策定検討委員会委員 (敬称略) 区 分 所属・職名 委 員 名 筑波大学産学リエゾン共同研究セ 学識経験者 ンター 教授 NPO 法人ナレッジネットワーク 理 事長 日立商工会議所商業部会 工業検討分科会 小峰 保信 工業検討分科会 和田 芳信 商業検討分科会 佐藤洋一郎 商業検討分科会 多賀地区連合商店会会長 佐々木秀二 商業検討分科会 イトーヨーカドー日立店 店長 鈴木 一茂 商業検討分科会 志賀 勝弘 商業検討分科会 石倉 一枝 商業検討分科会 石川 正幸 工業検討分科会 石田 伸博 副部会長 日立市十王商工会 会長 日立地区3モール商店街活性化実 行委員会委員長 日立市コミュニティ推進協議会 副 会長 日立消費者団体ネットワーク 日立市 (財 )日 立 地 区 産 業 支 援 セ ン タ ー 常 務理事 産業経済部長 (事務局) 日立市産業経済部商工振興課 日立商工会議所中小企業相談所 103 猿 田 商業検討分科会(会長) 洋治 日立商工会議所工業部会 産業支援機関 公市 工業検討分科会(会長) 宮本 部会長 消費者 柳田 委員長 商業検討分科会 日立商工会議所工業部会 大型店 健一 操 部会長 事業者 上原 備 考 日立市商工振興計画策定経過 年月日 内容等 平成 24 年 6 月~8 商店街団体ヒアリング調査 月 中小製造企業ヒアリング調査 中小製造業アンケート調査 平成 24 年 7 月 18 第 1 回商工振興計画策定検討委員会 日 ・商工業の現状等について ・計画策定における方向性について 平成 24 年 8 月 30 第 2 回商工振興計画策定検討委員会 日 ・先進事例調査(東京都八王子市) 平成 24 年 9 月 19 第 1 回工業検討分科会 日 ・工業振興策について 平成 24 年 9 月 27 第 1 回商業検討分科会 日 ・商業振興策について 平成 24 年 10 月 24 第 3 回商工振興計画策定検討委員会 日 ・商工振興計画骨子案の検討 平成 24 年 11 月 7 第 2 回商業検討分科会 日 ・商業活性化のための支援事業について 平成 24 年 11 月 8 第 2 回工業検討分科会 日 ・中小企業活性化のための支援事業について 平成 24 年 12 月 18 第 3 回工業検討分科会 日 ・工業振興に向けた基本戦略と施策について 平成 24 年 12 月 20 第 3 回商業検討分科会 日 ・商業振興に向けた基本戦略と施策について ・食料品買物困難地域の対策及び買い物弱者への支援策に ついて 平成 25 年 1 月 30 第 4 回商工振興計画策定検討委員会 日 ・商工振興計画案の検討 104 これまでの商業振興計画及び工業振興計画の総括 1 商業振興計画 日立市商業振興計画【計画期間:平成 20 年度~平成 24 年度】 (1) 食料品や日用品等を提供することにより、住民のくらしを支えるとともに、伝統 行事などを通して地域コミュニティの中心的な存在となっている商業について、総 合的な振興を図るための指針として策定した。 (2) 飛躍するための重点戦略として、①商業環境の魅力づくり、②地域資源活用の促 進、③商業者の機運醸成、④情報収集・発信力の向上を提案した。 (3) 地域資源を活用した商品の開発、情報発信を行うための推進体制の構築を進めて きた。 2 工業振興計画 日立市工業振興計画【計画期間:平成 9 年度~平成 13 年度】 (1) 地域 産業 空洞 化の 危機 意識 から 中小 企業 等の 支援 拠点 とし て「 産業 支援 セン タ ー」の整備を提案した計画である。 (2) 市内中小企業が弱いとされる部分を強化するため、研究開発、人材育成、マーケ ティング、販売促進等を支援し、新産業創造、産業構造変革への対応、自立的中小 企業育成等を進めることとし、その総合的窓口として「産業支援センター」を位置 付けた。 (3) 計画期間には、(財)日立地区産業支援センターの設立とともに、日立地区産業支 援センター施設整備を行い、同センターが中核となり、中小企業に対する技術を中 心とした支援事業を展開した。 日立市工業振興計画(第二次)【計画期間:平成 15 年度~平成 19 年度】 (1) 前計画策定後、更に変化した経済社会情勢や産業構造(国際的 価格競争、海外生 産比率の上昇、IT化の推進等)に対応すべく、市内製造業(中小企業)の振興策 を主軸にした計画である。 (2) 市、産業支援センター、日立商工会議所、茨城大学などが一体となって、個々の 企業が主体的に取り組む経営革新、新規創業のための支援策を提案した。 (3) 計画期間には、創業支援施設が設置され、新規創業が促進されるとともに、中小 企業の技術高度化を推進するべく市外顧客との連携強化や取引拡大を促進した。 日立市工業振興計画(第三次)【計画期間:平成 20 年度~平成 24 年度】 (1) 市内に蓄積された「ものづくり」に関する産業資源をシーズに、広域的連携の促 進、多様な連携の形成・活用によって日立市工業の活性化を図ることを掲げた計画 である。 (2) 市内中小企業における品質・コスト・納期における競争力強化、独自技術や自社 製品を創造のための総合力強化を図るため、①経営力、②技術力、③営業力、④連 携力、⑤人財力を醸成するための支援策を提案した。 (3) 計画期間においては、人財育成を重点課題と位置付け、中小企業の競争力の源泉 となる現場改善力の向上、新入社員から現場のリーダー、経営者に至る階層別の研 修を行うとともに、様々な地域との連携を促進した。 105 商業振興計画及び工業振興計画に位置付けた事業の実施状況 1 商業振興計画 (会議所:日立商工会議所、市:日立市) 重点戦略 (1) 商業環境の魅力づくり ア 合意形成とコンセプト、 ビジョンの共有化 (ア) 普及啓発事業の継続 実施 ・シンポジウム、セミナ ー等の開催 ・異業種、市民団体との 連携 (イ) 地域・地区ごとのアク ションプラン策定 ・特性の把握、検討 ・行政等の支援策の研究 イ 外部人材の積極的な登 用 (ア) 外部人材・専門家等と の連携強化 ・マネジメント体制の検 討 ・積極的な情報収集・発 信 (イ) 人材マッチングのサ ポート ・人材のデータ化 ・国、県等の制度活用 事業主体 会議所 目標 実施状況 ・商業振興実践 団体及び実 践者の増加 ・シンポジウム・セミナー等の 開催【会議所】 各 地 域 、 各 地 ・効果的で実効 ・商店街団体のヒアリング実施 区、商店街 性ある実施 計画の策定 ・検討中 ・士気の高揚 ・検討中 会議所、市 ・日立市の商業 を応援する 外部人材・専 ・検討中 門家のネッ トワーク化 会議所、市 ・外部人材活用 ・県商店街活性化等アドバイザ 型組織の増 ーを活用した「旭町 2 丁目ま 加 ちづくり協議会商業活性化 ・モデル事例の 会議」の開催【H20 市】 創出 ・経産省地域中小企業サポータ ーを活用した「日立駅周辺に ぎわい検討会議」の開催【H21 商工会議所】 ・人材発掘 ウ 効率的な支援体制の検 討 (ア) 効率的な支援体制の 会議所 研究、合意形成 ・先進・成功事例の調査、 研究 ・現在の体制の課題検証 ・日立市のあるべき姿の 検討 ・日立市にふさ わしい商業 支 援 体 制 の ・旭町 2 丁目まちづくり協議会 構築提案 商業活性化会議視察(H20 村 ・組織の再編 上市黒塀プロジェクト)【市】 ・日立駅周辺にぎわい検討会議 視察研修(H21 戸越銀座・松原 商店街)【会議所】 ・商工課(商業係、工業係)を 商工振興課(商工振興係、経 営支援係)に再編【市】 ・検討中 - 106 - 重点戦略 (2) 地域資源活用の促進 ア 推進体制の確立 (ア) 地域ブランド推進協 議会の運営 ・既存の取組ごとの整 理、再編 ・新商品の開発、販路拡 大 (イ) 中小企業地域資源活 用促進法に基づく支援 メニューの活用促進 ・事業計画策定支援 ・試作品開発等の支援 イ 地産池消運動の促進 (ア) 供給システムの構築 ・生産者、加工業者、販 売者の連携 ・需要の把握 ・宅配サービスの普及 (イ) 地産池消の普及啓発 ・認定、推奨品制度の検 討 ・イベント等への出展支 援 ウ 売れる商品・サービスの 発掘、開発、販路開拓 (ア) ブランド管理の徹底 ・認定基準の整備 ・商標登録の促進 (イ) 日立市ブランドの競 争力強化 ・新商品開発への支援 ・商談会等販路開拓への 支援 (3) 商業者の機運醸成 ア 商業関係者のスキルア ップ (ア) 実践的なワークショ ップ ・成功事例の研究 ・商業者相互の情報共有 化 ・リーダーシップ理論と 合意形成能力の研究 イ モデル事例への深堀支 援 (ア) モデル事例の創出 ・徹底した商業者の合意 形成 事業主体 目標 実施状況 会議所、市 ・取組の一元化 ・地域ブランド推進協議会の運 ・ブランド力の 営【会議所】 向上 ・地域産業資源の追加申請(河 原子海岸、水木海岸) ・支援メニュー活用の支援 (H21 いばらき地域資源活用 各地域、地区、 ・国、県等との プログラム「地域資源育成 商店街 連携強化 支援事業」採択:黒大豆納 豆、H24「地域資源活用新事 業展開支援事業」採択:ポポ ―菓子など) ・H20 ひたち地域資源活用有限 責任事業組合設立 地域ブランド推進 協議会 ・地場産品の安 定供給 ・商圏の設定 地域ブランド推進 協議会 ・品質の向上 ・「ベストセレクションひたち」 ・ブランド意識 の認定(加工食品・菓子・飲 の醸成 料・農水産品・工業技術) ・各種イベント等への出展 ・地元CATV番組「ひたちベ ストセレクション」の放送 地域ブランド推進 協議会 地域ブランド推進 協議会 ・H23「ひたち地魚倶楽部」商標 ・良い商品、サ 登録 ービスの提 供 ・県外物産展等 ・茂宮かぼちゃペースト化、菓 への参加数 子等開発促進 増 ・チャチャルガン茶・菓子の開 発促進 ほか ・Foodex Japan 等展示会・商談 会への出展 会議所 ・他の規範とな ・市内商店街団体の連絡会議の る人材の育 開催【会議所】 成 会議所、市 ・視察の絶えな ・がんばる商店街支援事業【市】 い商店街、商 ・がんばる商店街支援事業【市】 業施設 ・商業振興活動支援事業【会議所】 - 107 - 重点戦略 ・継続できる仕掛けづく り ウ 市民、異業種との連携 (ア) 市民、異業種との協働 強化 ・コミュニティ団体との 連携 ・ひたち生き生き百年塾 の活用 ・製造業、観光業等への アプローチ (4) 情報収集・発信力の向上 ア 国、県等の支援施策検討 (ア) 「まちづくり3法」の 対応検討 ・先進事例の研究 ・新中心市街地活性化基 本計画策定 ・県の動向把握 (イ) 地区、業態ごとの施策 活用策の研究 ・先進事例の研究 ・公共事業との組合せの 検討 イ メディアの有効活用 (ア) 地元 CATV 等の活用促 進 ・商業専門番組作成支援 ・インターネットによる 情報発信システムの 研究 (イ) 地域情報誌の活用 ・出版社、新聞社等との 連携 ・配布、販売システムの 構築支援 2 事業主体 会議所、市 会議所、市 目標 ・賑わい創出事 ・がんばる商店街支援事業【市】 業の合同開 催 ・支援策適応マ ニュアルの 構築 会議所、市 会議所、市 実施状況 ・セミナー等への参加 ・日立駅周辺のにぎわいづくり 情報交換会の開催【市】 ・市民の認知度 向上 ・商業者等出資によるコミュニ ・来店者の増加 ティFM局の開設 ・コミュニティFMによる商店 街情報の発信 会議所、市 ・地域情報誌、新聞社との連携 工業振興計画 (会議所:日立商工会議所、HITS:日立地区産業支援センター、市:日立市) 支援策 (1) 中小企業の経営基盤の 強化事業 ア オーダーメイド型トー タルコンサルティングプ ロジェクトの実施 (2) 人材育成事業 ア 後継者(次期経営者)育 成事業 実施状況 〈部分実施〉 ・日常的な相談対応業務にて実施【HITS、会議所】 ・中小企業実務アドバイザー事業【HITS】 ・特別支援アドバイザー事業(H22~)【HITS】 ・新製品・新技術開発支援事業【HITS】 ・ものづくり改善塾事業(~H21)【HITS】 ・工場力革新チーム(FaIT)塾(H22~)【HITS】 ・出前講座【HITS】 ・ひたち立志塾【HITS】 - 108 - 支援策 イ 技術者・技能者育成 ウ 新入社員向け教育事業 エ 海外の人材活用推進事 業 オ 新たな人材育成システ ムの検討 実施状況 ・各種人材育成事業【HITS、日立製作所、日立産業技術専門学院】 ・中小企業職業訓練事業補助【市】 ・日立産業技術専門学院生徒に対する奨学金【会議所】 ・製造業のための新入社員研修【HITS】 ・未来都市モデルプロジェクトにおいて検討中【市、日立製作所】 ・日立ものづくり学校運営協議会において実施中【市】 (3) 資金的支援事業 ア 事業活動のための資金 ・自治・振興金融資金融資制度【市】 的支援 ・企業立地等促進奨励金、雇用促進奨励金、企業立地等促進融資(H19 ~H23)【市】 イ 新鋭機械設備導入の資 ・自治・振興金融資金融資制度【市】 金的支援 ・企業立地等促進奨励金、雇用促進奨励金、企業立地等促進融資(H19 ~H23)【市】 ウ 工場拡張・新設の資金的 ・産業集積促進奨励金、新規雇用促進奨励金、産業集積促進融資(H24 支援 ~)【市】 ・自治・振興金融資金融資制度【市】 エ 新技術・新製品開発の資 ・自治・振興金融資金融資制度【市】 金的支援事業 オ 事業継承のための資金 ・自治・振興金融資金融資制度【市】 支援 (4) 顧客開拓支援事業 ア 新規顧客開拓支援 ・受発注コーディネーター事業、 ・展示会出展事業、 ・首都圏サテラ イトオフィス事業【HITS】 ・販路開拓支援事業【会議所】 イ QOL製品の地域購入 〈未実施〉 支援 (5) 連携促進支援事業 【企業間連携促進】 ア 生産連携を高める基盤 ・受発注コーディネーター事業【HITS】 技術の強化 イ 強化すべき技術を支援 〈未実施〉 するコーディネート事業、 資金支援事業 ウ 共通ソフトの開発、普及 ・生産管理オープンシステム開発導入準備調査(H20)【HITS】 支援事業 ・社内 IT 推進人材育成塾(H20~22)【HITS】 ・生産管理システム活用セミナーの開催(H21)【HITS、茨城県工業 技術センター、ひたちなかテクノセンター】 エ 合理化機械設備の開発 〈未実施〉 マッチング支援 【産学官民連携促進事業】 ア 大学シーズを活用した ・大学シーズの公開【茨城大学】 事業化モデルの公募と事 ・ひたちものづくりサロン【ひたちものづくり協議会】 業化支援:シーズ主導の研 究開発支援 イ 市民等が抱える課題を 〈未実施〉 ベースにした事業化モデ ルの公募と事業化支援 ウ 大学、高校と中小企業の ・産学連携研究開発補助(企業ニーズ対応型)【HITS】 連携した人材確保と技術 ・産学連携による学生研究奨励事業(H20~H22)【HITS】 開発:ニーズ主導の事業化 ・ひたちものづくりフォーラムの開催【ひたちものづくり協議会】 支援 ・産学連携交流会の開催【HITS】 - 109 - 支援策 【広域的連携推進】 ア 広域的交流組織の組織 化と連携事業の推進 (6) 企業立地・誘致などの支 援 ア データベースに基づい た後継者難の中小企業と 日立市中小企業とのマッ チング イ データベースに基づい た中小企業の誘致活動 ウ 企業立地用地整備の検 討 (7) 新規創業の支援 ア 新規創業支援 実施状況 ・ひたち立志塾【HITS】 〈未実施〉 ・企業誘致促進事業【市】 ・企業誘致促進事業【市】 ・マイクロ・クリエイション・オフィスの設置【市】 ・街なかマイクロ・クリエイション・オフィス事業(~H23)【市】 ・MCO インキュベーション事業【日立地区産業支援センター】 ・スタートアップ(創業支援)セミナー(~H21)【HITS】 ・女性のための創業塾【会議所】 - 110 - 「日立市工業振興に関する企業実態調査」集計結果概要 ☆ 回答率22.3%(対象事業所数:615社中137社から回答) 1 従業員数 (単位:社) 平成18年 区分 3人以下 4人~29人 30人~299人 300人以上 無回答 計 常用従業者数 (パート等を含む) 15 70 41 1 10 137 平成23年 うち設計開 発 等の技術者 65 21 1 0 50 137 - 111 - 常用従業者数 (パート等を含む) 15 68 45 0 9 137 うち設計開 発 等の技術者 59 26 3 0 49 137 2 過去3年間の業績動向 過去3年間 の業績動向 売上高 経常利益 受注単価 3 (単位:社) 増加傾向 横這い傾向 減少傾向 無回答 計 26 17 引上げ傾向 4 55 49 横這い傾向 49 50 63 引下げ傾向 74 6 8 無回答 10 137 137 計 137 売上高が多い上位3分野 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 (単位:社) 製品分野 1位 2位 40 11 2 21 4 6 18 16 19 137 重電機器分野 家電機器分野 情報機器分野 自動車部品分野 実験・試験機器分野 電線製品関連分野 省力機械など一般産業機械分野 その他 不明 計 3位 12 5 8 8 9 9 13 12 61 137 3 6 4 5 8 5 7 9 90 137 伸び率が 高い分野 14 7 0 13 5 3 15 7 73 137 【売上高の構成比】 重電機器分野 一般産業機械分野 21.2 14.6 13.4 8.1 8.5 7.7 自動車部品分野 26.5 試験機器分野 家電機器分野 0% 4 10% 20% 30% 40% 60% 70% 80% 100% 電線製品関連分野 その他 平成23年 55.90% 53.81% 受発注別売上高構成比(平均) 受注形態別 平成18年 平成23年 発注先からの図面に基 づいた生産 (材料支給の賃加工) 29.47% 30.39% 発注先からの図面に基づいた生産 (材料支給なしの賃 加工) 発注先のニーズに基づいた設計図作成と生産 46.53% 47.03% 8.55% 8.88% 自社製品の開発・生産 その他 計 6 90% 売上高に日立グループが占める割合(平均) 平成18年 5 50% 4.48% 4.71% 10.98% 8.99% 100.00% 100.00% 国際化対応 海外との取引 (単位:社) 現在の状況 はい いいえ 今後の予定 無回答 はい いいえ わからない 無回答 海外からの直接的な受注があるか 10 116 11 23 73 26 15 海外への部品加工、成型などを 10 115 12 18 87 16 16 8 117 12 10 90 19 18 海外に拠点(工場、事務所など) 外注しているか を持っていますか - 112 - 7 今後5年間において、特に事業強化・展開を図りたいもの(3つまで 回答) No. 項目 回答件数 1 専門技術力の強化 42 2 コスト競争力の強化 43 3 短納期対応力の強化 36 4 従業者の削減 5 営業・販売力の強化 45 6 新鋭機械設備の導入 17 7 設計・開発力の強化 19 8 提案力(企画力)の強化 26 9 品質力の強化(ISO 認証取得等) 22 3 10 情報化への対応(IT の活用) 4 11 海外進出 3 12 海外との取引 7 13 公的外部資金の積極的活用 7 14 事業の整理・縮小 2 15 合併・買収 2 16 大学、研究機関等との共同開発 5 17 同業種中小企業との共同事業 (共同受注・開発、アウトソーシングなど ) 6 18 異業種・技術の中小企業との共同事業 (共同受注・開発、アウトソーシングなど ) 7 19 異業種・産業、自治体、生活者などとの連携によるニーズの把握 1 20 BCP(事業継続計画)の策定 2 21 地域内外の中小企業とのネットワーク構築 5 22 その他 2 無回答 16 322 計 【特に事業強化・展開を図りたいもの構成比】 専門技術力の強化 営業・販売力の強化 13 14 13.4 11.2 8.1 40.3 コスト競争力の強化 短納期対応力の強化 提案力(企画力)の強化 0% 8 20% 40% 60% 経営者の年齢 No. 1 2 3 4 5 6 80% 9 年代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代以上 無回答 計 事業所数(社) 構成比 0 5 17 31 52 27 5 137 0.0% 3.6% 12.4% 22.6% 38.0% 19.7% 3.6% 100.0% 100% その他 後継者の見通し No. 1 2 3 4 5 区分 後継者は確定している 後継者の候補者はいる 後継者の候補者はいない 後継者について検討していない その他 計 事業所数(社) 45 35 31 18 8 137 【後継者の見通しの構成比】 確定している 32.8 25.5 22.6 13.1 候補者がいる 6 候補者がいない 検討していない 0% 20% 40% 60% - 113 - 80% 100% その他 10 現事業の今後の見通し 規模拡大 23 (単位:社) 現状維持 82 規模縮小 5 わからない 18 不明 9 計 137 【現事業の今後の見通しの構成比】 現状維持 59.9 16.8 3.6 13.1 規模拡大 6.6 規模縮小 わからない 0% 11 40% 60% 80% 100% 項目 新事業の取組は不可欠である 積極的に新事業の取組を進める 新事業の取組をできたら進めたい 新事業はあまり考えていない その他 無回答 計 事業所数(社) 22 23 39 41 2 10 137 構成比 16.1% 16.8% 28.5% 29.9% 1.5% 7.3% 100.0% 新事業で目指す方向 No. 1 項目 社内技術を活かし、新規顧客の開拓を目指す新事業 事業所数(社) 51 構成比 37.2% 2 新技術の開発・導入による取引先から多様な受注を目指す新事業 15 10.9% 3 新技術の開発・導入により、新たな顧客開拓を目指す新事業 12 8.8% 4 具体的な方向は考えていない 18 13.1% 無回答 41 29.9% 137 100.0% 計 13 今後5年間で重点的に取り組もうとする経営戦略 No. 1 2 3 4 5 14 その他 新事業の取組に関する認識 No. 1 2 3 4 5 12 20% 項目 独自の専門的な生産技術(加工技術)の導入・開発 多様な生産技術の蓄積 設計技術の強化 自社製品の開発 その他 不明 計 事業所数(社) 46 38 10 15 10 18 137 構成比 33.6% 27.7% 7.3% 10.9% 7.3% 13.1% 100.0% 特に重要視した情報の主な入手先(複数回答) No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 項目 新聞・雑誌・業界紙、テレビなどのマスメディア インターネット 日立グループ(日立製作所、日立電線、日立化成等) 日立グループ以外の顧客(取引先企業) 市内中小企業 機械設備、材料などの取引メーカー 経営、技術、マーケティング等のコンサルタント 大学の先生 国の提供情報 県・市町村の提供情報 ひたちなかテクノセンター 茨城県工業技術センター 日立地区産業支援センター その他 無回答 計 - 114 - 回答件数 30 27 57 37 21 46 3 3 3 9 5 4 22 12 17 296 構成比 10.1% 9.1% 19.3% 12.5% 7.1% 15.5% 1.0% 1.0% 1.0% 3.0% 1.7% 1.4% 7.4% 4.1% 5.7% 100.0% 15 保有している生産技術(全て回答) 16 競合他社と比較して「特に差別化できる(優れ ている)」と思われる生産技術(3つまで回答) No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 17 回答件数 切削 研削 製缶・溶接 板金 プレス 鋳造 鍛造 熱処理 65 34 33 18 34 3 5 7 6 16 20 12 9 34 36 9 17 18 376 めっき 塗装 金型・治工具 プラスチック成形 プリント基板実装 配線・組立 設計 ソフトウエア開発 その他 無回答 計 No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 構成比 17.3% 9.0% 8.8% 4.8% 9.0% 0.8% 1.3% 1.9% 1.6% 4.3% 5.3% 3.2% 2.4% 9.0% 9.6% 2.4% 4.5% 4.8% 100.0% 項目 回答件数 切削 研削 製缶・溶接 板金 プレス 鋳造 鍛造 熱処理 26 11 17 5 7 3 3 1 4 6 10 8 2 16 22 3 14 38 196 めっき 塗装 金型・治工具 プラスチック成形 プリント基板実装 配線・組立 設計 ソフトウエア開発 その他 無回答 計 事業内容の強化の主な目的(3つまで回答) No. 1 2 3 4 5 6 18 項目 項目 受注量の増大に対応 コスト競争力を高める 短納期への対応力を高める 発注企業の新たな外注ニーズに対応 今後、ニーズが高まる技術と判断した その他 無回答 計 回答件数 67 73 73 45 16 6 14 294 構成比 22.8% 24.8% 24.8% 15.3% 5.4% 2.0% 4.8% 100.0% 過去5年間で実施した工場内の改善・改革(3つまで回答) No. 項目 回答件数 構成比 14.6% 1 新鋭機器設備の導入 47 2 新しい加工方法 19 5.9% 3 設備・作業者の配置 38 11.8% 4 作業方法の改善 78 24.2% 5 工程管理の改善 42 13.0% 6 在庫管理の改善 16 5.0% 7 品質管理の改善 59 18.3% 8 労務管理の改善 9 2.8% 9 その他 5 1.6% 無回答 9 2.8% 322 100.0% 計 - 115 - 構成比 13.3% 5.6% 8.7% 2.6% 3.6% 1.5% 1.5% 0.5% 2.0% 3.1% 5.1% 4.1% 1.0% 8.2% 11.2% 1.5% 7.1% 19.4% 100.0% 19 過去5年間で実施した工場内の改善・改革において、外部の機関の協力を受けたか(全て回答) No. 項目 協力を受けていない(自社独自で改善・改革) 90 51.7% 2 日立グループ(日立製作所、日立電線、日立化成等) 27 15.5% 3 日立グループ以外の顧客 4 2.3% 4 機械設備、材料などの取引メーカー 14 8.0% 5 経営・技術コンサルタント 6 3.4% 6 他社と共同開発 2 1.1% 7 茨城大学 1 0.6% 8 茨城工業高等専門学校 0 0.0% 9 ひたちなかテクノセンター 0 0.0% 10 茨城県工業技術センター 2 1.1% 11 日立地区産業支援センター 15 8.6% 12 その他 3 1.7% 無回答 10 5.7% 174 100.0% 受注先企業数(平均) 平成18年 (単位:社) 平成23年 26.28 21 26.93 過去5年間に新たな受注先企業を開拓したか No. 区分 事業所数(社) 構成比 1 開拓した 71 51.8% 2 試みたが実現しなかった 24 17.5% 3 開拓しなかった 35 25.5% 7 5.1% 137 100.0% 無回答 計 22 構成比 1 計 20 回答件数 どのようにして新たな受注先を開拓したか No. 項目 事業所数(社) 構成比 1 従来からの取引先企業の紹介 41 30.1% 5 機械設備、材料メーカーなどの紹介 18 13.2% 3 知人、友人の紹介 17 12.5% 2 公的機関の紹介 10 7.4% 4 自社独自で開拓 27 19.9% 7 共同受注グループによる受注開拓 1 0.7% 6 インターネットによる受注 19 14.0% 8 その他 4 2.2% 137 100.0% 計 - 116 - 23 新たな受注先の開拓が実現しなかった理由(3つまで回答) No. 項目 1 発注価格が安すぎた 2 回答件数 16 32.0% 対応できる設計技術がなかった 1 2.0% 3 安定的な発注が確約できなかった 1 2.0% 4 発注量が多くて自社だけで対応できなかった 6 12.0% 5 取引実績がなく受注できなかった 1 2.0% 6 発注企業と遠距離であった 6 12.0% 7 納期に対応できなかった 9 18.0% 8 対応できる生産技術がなかった 10 20.0% 50 100.0% 計 24 構成比 活用した産業支援策の評価 活用した支援策 経営相談・支援 研究開発・技術相談 活用数 非常に 役立った 経営相談及び経営指導 18 4 9 5 ISO認証取得に関わる相談・支援 17 5 7 5 環境・公害対策に関わる相談・支援 10 1 3 6 技術的課題対応の相談・支援 20 7 7 6 8 1 2 5 11 4 4 3 共同研究・開発相談・支援 16 2 9 5 技術者育成や確保 29 9 15 5 7 1 2 4 経営者・後継者育成 18 4 10 4 発注先企業のあっ旋・相談 34 3 16 15 開発製品販売の相談・支援 9 1 0 8 7 2 1 4 8 1 2 5 6 0 3 3 新鋭機器(設備)導入資金 27 17 5 5 ベンチャー企業の創業資金 5 0 0 5 開発資金 17 3 10 4 運転資金 36 18 13 5 7 7 2 2 新 技 術 、先 端 的 技 術 、研 究 開 発 成 果 の移転 貸し研究室の提供、試験・実験機器 貸与 人材育成 (セミナー等を含 む) 受注・販路開拓 営業担当者育成や確保 共 同 受 注 ・開 発 を 行 う 企 業 の 紹 介 ・ 組織化 情報提供 社会ニーズなど製品開発のテーマ 設定 特許情報の提供 資金的支援 (単位:社) 評価 役立っ 役立たな た かった その他 - 117 - 25 今後充実してほしい産業支援策(3つまで回答) No. 1 産業支援策 回答件数 構成比 経営相談及び経営指導 8 3.4% 2 ISO認証取得に関わる相談・支援 1 0.4% 3 環境・公害対策に関わる相談・支援 0 0.0% 18 7.7% 4 経営相談・支援 研究開発・技術相談 技術的課題対応の相談・支援 5 新技術、先端的技術、研究開発成果の移転 2 0.9% 6 貸し研究室の提供、試験・実験機器貸与 3 1.3% 7 共同研究・開発相談・支援 5 2.1% 23 9.8% 8 人材育成(セミナー 技術者育成や確保 9 等を含む) 営業担当者育成や確保 3 1.3% 経営者・後継者育成 1 0.4% 発注先企業のあっ旋・相談 27 11.5% 12 開発製品販売の相談・支援 5 2.1% 13 共同受注・開発を行う企業の紹介・組織化 4 1.7% 社会ニーズなど製品開発のテーマ設定 6 2.6% 特許情報の提供 2 0.9% 新鋭機器(設備)導入資金 18 7.7% 17 ベンチャー企業の創業資金 1 0.4% 18 開発資金 17 7.3% 19 運転資金 21 9.0% その他 2 0.9% 無回答 67 28.6% 234 100.0% 10 11 14 受注・販路開拓 情報提供 15 16 20 資金的支援 計 【今後充実してほしい産業支援策の構成比】 発注先企業のあっせん・相談 資金的支援(運転資金) 11.5 9 9.8 7.7 7.3 7.7 人材(技術者)育成 47 資金的支援(設備資金) 資金的支援(開発資金) 0% 20% 40% 60% 80% - 118 - 100% 技術課題対応の相談 その他 秘 日立市工業振興に関する企業実態調査票 日立市産業経済部商工振興課 ℡22-3111 内線 775、471 ※ご記入は、社長あるいはそれに準じる役員等の方にお願いいたします。 役 職 氏 名 電 話 番 号 FAX番号 記 入 者 Ⅰ.貴社の概要について フリガナ a.貴社名 b.資本金 1.個人 2.法人( 万円) c.貴社本社 都・道・府・県 所在地 事業所の所在地 d.貴社の 事業所数 *日立グループ(注)の資本が 【1.入っている 2.入っていない】 市 創業年次 工場の数 大正・昭和・平成 支店・営業所の数 その他事業所の数 日立市内 事業所 事業所 事業所 日立市外 事業所 事業所 事業所 平成 18 年(5年前) e.従業者数 f.業績動向 (平成 21 年 ~23 年) 年 平成 23 年(現在) 常用従業者数(パート等を含む) 人 人 うち設計・開発等の技術者数 人 人 過去3年間の売上高の動向 1.増加傾向 2.横這い傾向 3.減少傾向 過去3年間の経常利益の動向 1.増加傾向 2.横這い傾向 3.減少傾向 過去3年間の受注単価動向 1.引上げ傾向 2.横這い傾向 3.引下げ傾向 過去5年間で出願申請した工業所有権がある方は、その件数をご記入下さい。 g.工業所有権 <特許> <実用新案> 件 h.ISO 等の認証 <意匠> <商標> 件 件 件 ISO 等の国際標準の認証、簡易型の環境マネジメントシステム(EMS)の認証について、該当 するものに○印をご記入下さい。 1.有(取得した規格 ) 2.今後取得予定(取得予定の規格 ) 3.無 注:日立グループとは、日立製作所・日立電線・日立化成工業・日立工機など、及び前掲の企業が出資する系列・関連 会社とします。 Ⅱ.事業展開について (1)貴社の売上高の多い上位3分野(1位、2位、3位)を記入し、その分野の代表的な製品名を( )内にご記述 下さい。記入された3分野のうち、過去 5 年間で売上伸び率が最も高い分野に○印(一つ)をご記入下さい。 ( 製 品 分 野 )に具体的製品名を記述 売上高の大き い 3 分野 1.重電機器分野( ) 位 2.家電機器分野( ) 位 3.情報機器分野( ) 位 4.自動車部品分野( ) 位 5.実験・試験機器分野( ) 位 6.電線製品関連分野( ) 位 7.省力機械など一般産業機械分野( ) 位 8.その他( ) (2)貴社の売上高に日立グループが占める割合をご記入下さい。 位 平成 18 年 平成 23 年 % - 119 - 最 も 伸び 率 の高い分野 % (3)受注形態別売上高の構成比をご記入下さい。 受 注 形 態 別 平成 18 年 平成 23 年 1.発注先からの図面に基づいた生産(材料支給の賃加工) % % 2.発注先からの図面に基づいた生産(材料支給なしの賃加工) % % 3.発注先のニーズに基づいた設計図作成と生産 % % 4.自社製品の開発・生産 % % % % 100% 100% 5.その他( ) 合 計 (4)近年の発注増に伴う受注増への対処に該当するものに○印(一つ)をご記入下さい。 1.受注増となっていない 2.受注増に社内生産能力の拡大で対処している 3.受注増に外注依存を高めて対処している 4.社内で対処できる範囲内に受注を押さえている 5.受注増よりも利益率の向上に対処している 6.その他( ) (5)海外との取引について、該当するものに○印(一つ)をご記入下さい。 a.海外から直接的な受注はありますか? 1.はい 2.いいえ 今後、海外からの受注を検討されますか? 1.はい 2.いいえ b.海外へ部品加工、成型などを外注していますか? 1.はい 2.いいえ 1.はい 2.いいえ 1.はい 2.いいえ 1.はい 2.いいえ 今後、海外への外注を検討されますか? c.海外に拠点(工場、事務所など)を持っていますか? 今後、海外へ拠点の設置を検討されますか? 3.わからない 3.わからない 3.わからない (6)過去5年間において、特に重点的に事業強化・展開を図ってきたものを下記 の A 欄の中から選び、その番号(3つまで)をご記入下さい。 (7)また、今後5年間において、特に事業強化・展開を図りたいとお考えのものを 下記の A 欄から選び、その番号(3つまで)をご記入下さい。 (8)平成23年3月の東日本大震災後、新たに重点化を図ろうとお考えになった ものを下記の A 欄から選び、その番号(3つまで)をご記入下さい。 <A 欄> 1.専門技術力の強化 2.コスト競争力の強化 3.短納期対応力の強化 4.従業者の削減 5.営業・販売力の強化 6.新鋭機械設備の導入 7.設計・開発力の強化 8.提案力(企画力)の強化 9.品質力の強化(ISO 認証取得等) 10.情報化への対応(IT の活用) 11.海外進出 12.海外との取引 13.公的外部資金の積極的活用 14.事業の整理・縮小 15.合併・買収 16.大学、研究機関等との共同開発 17.同業種中小企業との共同事業 (共同 受注・開発、アウトソーシングなど) 18.異業種・技術の中小企業との共同事 業(共同受注・開発、アウトソーシングなど) 19.異業種・産業、自治体、生活者など との連携によるニーズの把握 20.BCP(事業継続計画)の策定 21.地域内外の中小企業とのネットワーク構築 22.その他( ) (9)急激な円高に対応するために取り組んでいることについて該当するものに○印をご記入下さい。 1.ある ⇒取り組んでいることを具体的にご記入下さい ( ) 2.ない Ⅲ.貴社の経営戦略について (1)貴社の経営者(登記上でなく、実質的に経営を担われている方)について該当するものに○印(一つ)をご記 入下さい。 a.経営者の年齢 b.後継者の見通し 1.20 歳代 2.30 歳代 3.40 歳代 1.後継者は確定している 3.後継者の候補者はいない 5.その他( - 120 - 4.50 歳代 5.60 歳代 6.70 歳代以上 2.後継者の候補者はいる 4.後継者について検討していない ) (2)貴社の現事業と新事業について該当するものに○印(一つ)をご記入下さい。 a.貴社における現事業の今後の見通し b.貴社における新事業の取組に関する 認識 c.貴社における新事業で目指す方向 *上掲の b の質問で、1~3に○印 をご記入された方のみ回答 *○印は一つ d.貴社において今後 5 年間で重点的に 取り組もうとする経営戦略 *○印は一つ 1.規模拡大 2.現状維持 3.規模縮小 4.わからない 1.新事業の取組は不可欠である 2.積極的に新事業の取組を進める 3.新事業の取組をできたら進めたい 4.新事業はあまり考えていない 5.その他( ) 1.社内技術を活かし、新規顧客の開拓を目指す新事業 2.新技術の開発・導入による取引先から多様な受注を目指す新事業 3.新技術の開発・導入により、新たな顧客開拓を目指す新事業 4.具体的な方向は考えていない 1.独自の専門的な生産技術(加工技術)の導入・開発 2.多様な生産技術の蓄積 3.設計技術の強化 4.自社製品の開発 5.その他( ) (3)上記の経営戦略の検討において、特に重要視された情報の主な入手先について該当するものに○印(3つ まで)をご記入下さい。 1.新聞・雑誌・業界紙、テレビなどのマスメディア 2.インターネット 3.日立グループ(日立製作所、日立電線、日立化成工業等) 4.日立グループ以外の顧客(取引先企業) 5.市内中小企業 6.機械設備、材料などの取引メーカー 7.経営、技術、マーケティング等のコンサルタント 8.大学の先生 9.国の提供情報 10.県・市町村の提供情報 11.ひたちなかテクノセンター 12.茨城県工業技術センター 13.日立地区産業支援センター 14.その他( ). (4)貴社における工場等新設・増設、他社との統合・売却について該当するものに○印(一つ)をご記入下さい。 a.工場の増設・新設の 見通し(移転も含め) 1.既に、増設・新設を行った(過去 5 年間) 2.既に、増設・新設の必要性が高まっている 3.今後、増設・新設の必要性が高まるものと考えている 4.当面、増設・新設の必要はない b.他社との統合・売却 について 1.規模拡大、事業多角化等を目指して、他社との統合を考えている 2.自社の売却を考えている 3.統合・売却は考えていない Ⅳ.生産技術について (1) 保有している生産技術を B 欄の枠内か ら全てを選び、番号をご記入下さい。 (2) 競合他社と比較して、 「特に差別化できる(優れている)」と思われる主な 生産技術を B 欄の枠内から選び、その番号(3つまで)をご記入下さい。 (3) 過去5年間で強化した生産技術を B 欄の枠内から選び、番号(3つまで) をご記入下さい。 <B欄> 1.切削 5.プレス 9. めっき 13.プリント基板実装 業 2.研削 6.鋳造 10.塗装 14.配線・組立 務 内 3.製缶・溶接 7.鍛造 11.金型・治工具 15.設計 容 4.板金 8.熱処理 12.プラスチック成形 16.ソフトウエア開発 17. その他 ( ) (4) 事業内容の強化の主な目的に○印(3つまで)をご記入下さい。 1.受注量の増大に対応 2.コスト競争力を高める 3.短納期への対応力を高める 4.発注企業の新たな外注ニーズに対応 5.今後、ニーズが高まる技術と判断した 6.その他( - 121 - ) (5) 過去5年間で実施した工場内の改善・改革に該当する主なものに○印(3つまで)をご記入ください。 1.新鋭機器設備の導入 2.新しい加工方法 3.設備・作業者の配置 4.作業方法の改善 5.工程管理の改善 6.在庫管理の改善 7.品質管理の改善 8.労務管理の改善 9.その他( ) (6) 上記(5)の工場内の改善・改革において、外部の機関の協力を受けましたか。該当する項目全てに ○印をご記入下さい。 1.協力を受けていない(自社独自で改善・改革) 2.日立グループ(日立製作所、日立電線、日立化成工業等) 3.日立グループ以外の顧客 4.機械設備、材料などの取引メーカー 5.経営・技術コンサルタント 6.他社と共同開発 7.茨城大学 8.茨城工業高等専門学校 9.ひたちなかテクノセンター 10.茨城県工業技術センター 11.日立地区産業支援センター 12.その他( ) Ⅴ.受注先企業について (1) 平成 18 年と平成 23 年における受注先企業の数を 平成 18 年 ご記入下さい。(スポット的な取り引きを含む) 社 (2) 過去5年間に、新たな受注先企業を開拓しました か。該当する項目に○印をご記入下さい。 1.開拓した (3) 上記(2)で「開拓した」と答えた方は、その企 業数を県北地域内と県北地域外に分けてご記入 下さい。 平成 23 年 2. 試みたが実現 しなかった 社 3. 開拓しな かった 県北地域内 社 県北地域外(県外も含め) 社 (4) 上記(2)で「開拓した」と答えた方は、どのようにして新たな受注先を開拓しましたか。該当する項 目全てに○印をご記入下さい。 1.従来からの取引先企業の紹介 2.機械設備、材料メーカーなどの紹介 3.知人、友人の紹介 4.公的機関の紹介 5.自社独自で開拓 6.共同受注グループによる受注開拓 7.インターネットによる受注 8.その他( ) (5) 上記(2)で「試みたが実現しなかった」と答えた方は、その主な理由に○印(3つまで)をご記入下 さい。 1.発注価格が安すぎた 2.納期に対応できなかった 3.発注量が多くて自社だけで対応できなかった 4.対応できる生産技術がなかった 5.対応できる設計技術がなかった 6.発注企業と遠距離であった 7.安定的な発注が確約できなかった 8.取引実績がなく受注できなかった 9.その他( ) Ⅵ.自社製品の開発について (1)過去5年間に、自社製品の開発に挑戦されましたか?該当するものに○印(一つ)をご記入ください。 1.挑戦した 2.挑戦中である 3.挑戦しなかった (2)その挑戦は、どのような自社製品の開発ですか?該当するものに○印(一つ)をご記入下さい。 *(1)で 1、2に○印をつけた方のみご回答下さい。 1.一般市民を顧客とした消費財 2.メーカーを顧客とした機能部品 3.工場等を顧客とした治工具、合理化機械等 4.その他( ) (3)その挑戦した自社製品の開発は、現在、どのような状況にありますか?該当するものに○印(一つ)を ご記入下さい。*(1)で 1、2に○印をつけた方のみご回答下さい。 1.自社製品は社内事業の一つとして確立している 2.自社製品開発に成功したが殆んど売れていない 3.技術的課題で自社製品の開発に成功していない 4.資金的課題で自社製品の開発に成功していない 5.その他( ) (4)今後、目指している自社製品に該当するものに○印(一つ)をご記入ください。 1.自社製品の開発を目指していない 4.工場等を顧客とした治工具、合理化機械等 2.一般市民を顧客とした消費財 5.その他( 3.メーカーを顧客とした機能部品 - 122 - ) (5)上記(3)で自社製品の開発が事業として確立していない2、3、4に○印を記入された方は、その主 な理由に○印(3つまで)をご記入下さい。 1.開発資金の不足 2.必要な技術開発・導入ができなかった 3.既に他社が工業所有権を取得 4.既存製品の方が低価格だった 5.既存製品の方が機能的に優れていた 6.既存製品の方がデザイン的に優れていた 7.顧客のニーズが高まっていなかった 8.顧客のニーズを満足させられなかった 9.自社の販売力不足 10.メンテナンス対応力不足 11.販売提携した企業の力不足 12.その他( ) (6)上記の自社製品の開発において、外部の機関の協力を受けましたか。該当する項目全てに○印をご記入 下さい。 1.協力を受けていない(自社独自で改善・改革) 2.日立グループ(日立製作所、日立電線、日立化成等) 3.日立グループ以外の顧客 4.機械設備、材料などの取引メーカー 5.コンサルタント 6.他社と共同開発 7.茨城大学 8.茨城工業高等専門学校 9.ひたちなかテクノセンター 10.茨城県工業技術センター 11.日立地区産業支援センター 12.その他( ) Ⅶ.産業支援について (1) 今まで、貴社が活用した、行政や商工会議所などが実施した産業支援策で、該当するもの全てに○印を ご記入下さい。また、その活用成果の評価を一つ選び○印をご記入下さい。 評 ○印 活用した支援策 価 a.非常に b.役立っ c.あまり役 役立った た 立たなかった 1.経営相談及び経営指導 2.ISO認証取得に関わる相談・支援 a a b b c c 3.環境・公害対策に関わる相談・支援 a b c 4.技術的課題対応の相談・支援 a b c 研究開発・ 5.新技術、先端的技術、研究開発成果の移転 a b c 技術相談 6.貸し研究室の提供、試験・実験機器貸与 a b c 7.共同研究・開発相談・支援 a b c 人材育成 8.技術者育成や確保 a b c (セミナー等を含 9.営業担当者育成や確保 a b c 10.経営者・後継者育成 a b c 11.発注先企業のあっ旋・相談 a b c 12.開発製品販売の相談・支援 a b c 13.共同受注・開発を行う企業の紹介・組織化 a b c 14.社会ニーズなど製品開発のテーマ設定 a b c 15.特許情報の提供 a b c 16.新鋭機器(設備)導入資金 a b c 17.ベンチャー企業の創業資金 a b c 18.開発資金 a b c 19.運転資金 a b c a b c 経営相談・ 支援 む) 受注・販路 開拓 情報提供 資金的支援 その他 記入欄 20.その他( ) (2) 上記の 1~20 の支援策で、今後、一層充実してもらいたいものを抽出し、その番号(3 つまで)をご記 入ください。 ありがとうございました。 - 123 - 中小企業憲章 平成22年6月閣議決定 中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である。常に時代の先駆けとして積極果敢 に挑戦を続け、多くの難局に遭っても、これを乗り越えてきた。戦後復興期には、生活必需品へ の旺盛な内需を捉えるとともに、輸出で新市場を開拓した。オイルショック時には、省エネを進 め、国全体の石油依存度低下にも寄与した。急激な円高に翻弄されても、産地で連携して新分野 に挑み、バブル崩壊後もインターネットの活用などで活路を見出した。 我が国は、現在、世界的な不況、環境・エネルギー制約、少子高齢化などによる停滞に直面し ている。中小企業がその力と才能を発揮することが、疲弊する地方経済を活気づけ、同時にアジ アなどの新興国の成長をも取り込み日本の新しい未来を切り拓く上で不可欠である。 政府が中核となり、国の総力を挙げて、中小企業の持つ個性や可能性を存分に伸ばし、自立す る中小企業を励まし、困っている中小企業を支え、そして、どんな問題も中小企業の立場で考え ていく。これにより、中小企業が光り輝き、もって、安定的で活力ある経済と豊かな国民生活が 実現されるよう、ここに中小企業憲章を定める。 1.基本理念 中小企業は、経済やくらしを支え、牽引する。創意工夫を凝らし、技術を磨き、雇用の大部分 を支え、くらしに潤いを与える。意思決定の素早さや行動力、個性豊かな得意分野や多種多様な 可能性を持つ。経営者は、企業家精神に溢れ、自らの才覚で事業を営みながら、家族のみならず 従業員を守る責任を果たす。中小企業は、経営者と従業員が一体感を発揮し、一人ひとりの努力 が目に見える形で成果に結びつき易い場である。 中小企業は、社会の主役として地域社会と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な 機能を果たす。小規模企業の多くは家族経営形態を採り、地域社会の安定をもたらす。 このように中小企業は、国家の財産ともいうべき存在である。一方で、中小企業の多くは、資 金や人材などに制約があるため、外からの変化に弱く、不公平な取引を強いられるなど数多くの 困難に晒されてきた。この中で、大企業に重きを置く風潮や価値観が形成されてきた。 しかし、金融分野に端を発する国際的な市場経済の混乱は、却って大企業の弱さを露わにし、 世界的にもこれまで以上に中小企業への期待が高まっている。国内では、少子高齢化、経済社会 の停滞などにより、将来への不安が増している。不安解消の鍵となる医療、福祉、情報通信技術、 地球温暖化問題を始めとする環境・エネルギーなどは、市場の成長が期待できる分野でもある。 中小企業の力がこれらの分野で発揮され、豊かな経済、安心できる社会、そして人々の活力をも たらし、日本が世界に先駆けて未来を切り拓くモデルを示す。 難局の克服への展開が求められるこのような時代にこそ、これまで以上に意欲を持って努力と 創意工夫を重ねることに高い価値を置かなければならない。中小企業は、その大いなる担い手で ある。 2.基本原則 中小企業政策に取り組むに当たっては、基本理念を踏まえ、以下の原則に依る。 一.経済活力の源泉である中小企業が、その力を思う存分に発揮できるよう支援する - 124 - 資金、人材、海外展開力などの経営資源の確保を支援し、中小企業の持てる力の発揮を促す。 その際、経営資源の確保が特に困難であることの多い小規模企業に配意する。中小企業組合、 業種間連携などの取組を支援し、力の発揮を増幅する。 二.起業を増やす 起業は、人々が潜在力と意欲を、組織の枠にとらわれず発揮することを可能にし、雇用を増 やす。起業促進策を抜本的に充実し、日本経済を一段と活性化する。 三.創意工夫で、新しい市場を切り拓く中小企業の挑戦を促す 中小企業の持つ多様な力を発揮し、創意工夫で経営革新を行うなど多くの分野で自由に挑戦 できるよう、制約の少ない市場を整える。また、中小企業の海外への事業展開を促し、支える 政策を充実する。 四.公正な市場環境を整える 力の大きい企業との間で実質的に対等な取引や競争ができず、中小企業の自立性が損なわれ ることのないよう、市場を公正に保つ努力を不断に払う。 五.セーフティネットを整備し、中小企業の安心を確保する 中小企業は、経済や社会の変化の影響を受け易いので、金融や共済制度などの面で、セーフ ティネットを整える。また、再生の途をより利用し易いものとし、再挑戦を容易にする。 これらの原則に依り、政策を実施するに当たっては、 ・中小企業が誇りを持って自立することや、地域への貢献を始め社会的課題に取り組むことを 高く評価する ・家族経営の持つ意義への意識を強め、また、事業承継を円滑化する ・中小企業の声を聴き、どんな問題も中小企業の立場で考え、政策評価につなげる ・地域経済団体、取引先企業、民間金融機関、教育・研究機関や産業支援人材などの更なる理 解と協力を促す ・地方自治体との連携を一層強める ・政府一体となって取り組む こととする。 3.行動指針 政府は、以下の柱に沿って具体的な取組を進める。 一.中小企業の立場から経営支援を充実・徹底する 中小企業の技術力向上のため、ものづくり分野を始めとする技術開発、教育・研究機関、他 企業などとの共同研究を支援するとともに、競争力の鍵となる企業集積の維持・発展を図る。 また、業種間での連携・共同化や知的財産の活用を進め、中小企業の事業能力を強める。経営 支援の効果を高めるため、支援人材を育成・増強し、地域経済団体との連携による支援体制を 充実する。 二.人材の育成・確保を支援する 中小企業の要諦は人材にある。働く人々が積極的に自己研鑽に取り組めるよう能力開発の機 会を確保する。魅力ある中小企業への就業や起業を促し、人材が大企業信仰にとらわれないよ う、各学校段階を通じて健全な勤労観や職業観を形成する教育を充実する。また、女性、高齢 - 125 - 者や障害者を含め働く人々にとって質の高い職場環境を目指す。 三.起業・新事業展開のしやすい環境を整える 資金調達を始めとする起業・新分野進出時の障壁を取り除く。また、医療、介護、一次産業 関連分野や情報通信技術関連分野など今後の日本を支える成長分野において、中小企業が積極 的な事業を展開できるよう制度改革に取り組む。国際的に開かれた先進的な起業環境を目指す。 四.海外展開を支援する 中小企業が海外市場の開拓に取り組めるよう、官民が連携した取組を強める。また、支援人 材を活用しつつ、海外の市場動向、見本市関連などの情報の提供、販路拡大活動の支援、知的 財産権トラブルの解決などの支援を行う。中小企業の国際人材の育成や外国人材の活用のため の支援をも進め、中小企業の真の国際化につなげる。 五.公正な市場環境を整える 中小企業の正当な利益を守る法令を厳格に執行し、大企業による代金の支払遅延・減額を防 止するとともに、中小企業に不合理な負担を招く過剰な品質の要求などの行為を駆逐する。ま た、国及び地方自治体が中小企業からの調達に配慮し、受注機会の確保や増大に努める。 六.中小企業向けの金融を円滑化する 不況、災害などから中小企業を守り、また、経営革新や技術開発などを促すための政策金融 や、起業、転業、新事業展開などのための資金供給を充実する。金融供与に当たっては、中小 企業の知的資産を始め事業力や経営者の資質を重視し、不動産担保や保証人への依存を減らす。 そのためにも、中小企業の実態に則した会計制度を整え、経営状況の明確化、経営者自身によ る事業の説明能力の向上、資金調達力の強化を促す。 七.地域及び社会に貢献できるよう体制を整備する 中小企業が、商店街や地域経済団体と連携して行うものも含め、高齢化・過疎化、環境問題 など地域や社会が抱える課題を解決しようとする活動を広く支援する。祭りや、まちおこしな ど地域のつながりを強める活動への中小企業の参加を支援する。また、熟練技能や伝統技能の 継承を後押しする。 八.中小企業への影響を考慮し政策を総合的に進め、政策評価に中小企業の声を生かす 関係省庁の連携は、起業・転業・新事業展開への支援策の有効性を高める。中小企業庁を始 め、関係省庁が、これまで以上に一体性を強めて、産業、雇用、社会保障、教育、金融、財政、 税制など総合的に中小企業政策を進める。その際、地域経済団体の協力を得つつ、全国の中小 企業の声を広く聴き、政策効果の検証に反映する。 (結び) 世界経済は、成長の中心を欧米からアジアなどの新興国に移し、また、情報や金融が短時間の うちに動くという構造的な変化を激しくしている。一方で、我が国では少子高齢化が進む中、こ れからは、一人ひとりが、力を伸ばし発揮することが、かつてなく重要性を高め、国の死命を制 することになる。したがって、起業、挑戦意欲、創意工夫の積み重ねが一層活発となるような社 会への変革なくしては、この国の将来は危うい。変革の担い手としての中小企業への大いなる期 待、そして、中小企業が果敢に挑戦できるような経済社会の実現に向けての決意を政府として宣 言する。 - 126 - 用語解説 ・ECO(エコ) Ecology(エコロジー)の略。人間も生態系の一員であるとの視点から、人間生活と自然との 調和・共存を目指す考え方。 ・LED Light emitting diode の略。発光ダイオード。 LED電球は、白色LEDを使用する電球型の照明器具であり、白熱電球や蛍光灯に比べて 高価格だが、低消費電力、低発熱、長寿命である。 ゴ エス ・5S(P46、P55、P76) 職場の管理の基盤づくりの活動で、 「整理」 「整頓」 「清掃」 「清潔」 「しつけ」の頭文字の5つ の「S」をとったもの。もともとは製造現場において、安全や品質向上を目的として「整理」 「整頓」「清掃」の3つを中心に「3S」活動として取り組まれてきたが、その後「清潔」「し つけ」が加えられて「5S(活動) 」として定着した。 ファ イ ト ・FaIT塾(P77) こうばりょく (財)日立地区産業支援センターが実施する「工場力革新チーム塾(Factory Innovation Team 塾)」事業のこと。受講する各社において、生産管理や品質管理など課題解決のための本格的な 改善活動を推進するチームを編成し、 「見る(工場見学)」「聴く(座学)」「行う(改善活動)」 の 3 つを柱にして実践力の向上を図る研修である。半年にわたって活動を実施する。 ・ICタグ(P28) 小型のICチップと無線で読み取り装置と通信するアンテナを組み込んだ荷札(タグ)。バー コードに比べて10倍以上の情報を記録できるだけでなく、添付後の書き込みができることか ら、生産者による生産・商品情報に加えて、流通の各段階で入庫・出庫情報などを追加するこ とによって、輸送・在庫管理の効率化と、生産から流通に至る商品履歴の追跡(トレーサビリテ ィー)も可能にする。 ジ ェ ト ロ ・JETRO(P48、P55、P80、P84) 独立行政法人日本貿易振興機構。中小企業の海外販路開拓支援、海外経済情報の調査・分析、 貿易投資相談などを行う。 ・OJT(P92) オンザジョブトレーニング(On-the-Job Training)の略で、職場での実務を通じて行う従業 員の教育訓練のこと。 ・SNS(P28) ソーシャルネットワーキングサービス(Social Networking Service)の略で、限られたユー ザーだけが参加できる Web サイトの会員制サービスのこと。友人同士が集まったり、同じ趣味 を持つユーザーが集まったり、近隣地域のユーザーが集まったりと、ある程度閉ざされた世界 にすることで、密接なユーザー間のコミュニケーションを可能にしている。 ・インターンシップ(P50、P91) 学生が在学中に自分の専攻に関連する企業に体験入社する制度。体験就業。 - 127 - ・機械遺産(P74) 歴史に残る機械を日本機械学会が認定する制度。平成 24 年までに 55 件認定されている。市 内では、 「5馬力誘導電動機および設計図面」が認定されている。 ・固定価格買取制度(P56) 太陽光、風力など再生可能エネルギーによって発電した電力を、電力会社に、一定期間、一 定の価格で、買い取るよう義務付け、これにより、再生可能エネルギーの導入拡大を進める制 度。再生可能エネルギーを買い取る費用は、電気利用者が賦課金として負担する。 ・コミュニティ・カフェ(P43、P54、P71) 長寿社会文化協会(WAC)が、 「地域のたまり場や居場所」を「コミュニティ・カフェ」と定義。 フェアトレード食材を使う「スローカフェ」や、食を核にした地域支援「コミュニティ・レス トラン」など、様々な形態が生まれている。 ・コミュニティビジネス(P42、P53、P65、P68) 地域の人材やノウハウ、施設、資金を活用し、 「ビジネス」の手法で地域課題の解決を目指す 取組。地域における働きがい、生きがいを生み出し、地域コミュニティの活性化に寄与するも のと期待されている。 ・産業遺産(P43、P74) 過去の産業にかかわる施設や製品の総称。ダム・橋などの建造物から、製品類・製造用機械・ 工具・図面類なども含まれる。 ・システムアドミニストレーター(P90) システム管理者のこと。コンピューターシステムやネットワークを運用・管理・保守する役 割を持つ。 ・重電(P30) 「重電機」の略。電気機械のうち特に大型のものを指す。家電製品などの「軽電」 (軽電気) に対して、発電機・電動機・変圧器などのような重量の大きい電気機器。 ・旋盤(P45、P75) 工作物を主軸に固定して回転させ、往復台上にある刃物を前後左右に動かし、工作物を軸対 称状に切削する工作機械。 ・タービン(P30) 流体を羽根車に当て、流体のエネルギーを回転運動に変換して動力を得る原動機。 ・フライス盤(P45、P75) フライスと呼ばれる工具を定位置で回転させ、送られてくる工作物を切削する工作機械。 ・マイクロ・クリエイション・オフィス(P42、P53、P65) 日立地区産業支援センター内の創業支援施設の名称。 ・まちゼミ(P41、P52、P59) 商店主が講師となり、自店等で少人数の顧客を相手に、1 時間程度の時間をかけて専門知 識やプロの立場からの技術、コツを伝授する講座。 ・未来都市モデルプロジェクト(P50、P56、P89) - 128 - 企業と行政等の連携により地域が抱える様々な社会的課題の解決に導くプロジェクト。 社団法人日本経済団体連合会が、本市を含む全国 12 の都市・地域をモデル地域に選定して いる。 ・最寄品(P53、P59、P74、P97) 消費者が近くの小売店で頻繁に購入するような食料品や日用雑貨などの商品。 ・リユース(P53、P68) 再使用すること。そのままの形態でもう一度使うこと。再使用。 - 129 -