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2 - HPへ

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2 - HPへ
携帯電話を利用したエネルギー環境教育データーベース作成の提案
- ケータイ de マッピング with Google Maps API の活用 -
○藤本登(長崎大学) 、全炳徳、川上博之(同教育学部生) 、神田貴生(
(財)社会経済生産性本部)
キーワード:校区探検、マップ作り、携帯電話、ICT 活用、エネルギー環境教育
1.はじめに
小学校の社会科(3、4年生)や総合的な学習の時間において、教師は児童に地域社会の社会的事象
に関心を持たせるために、地域社会や人材、施設を活用して、地域文化の変遷や人々の生活の変化等の
内容を学習させることが多い。そして、そのような学習において、教師は児童に施設見学やインタビュ
ー等で得た情報からマップを作成させ、その活動を通して課題発見を行わせ、マップを発表のツールと
して利用させている。一方で、教職員の移動を考えると、地域社会や人材、施設等の情報はデーターベ
ース化されることが望ましいが、地域拠点大学のアンケート調査等によれば、それを行うゆとりは学校
現場にはない 1)。特に、エネルギーや環境に関する情報は日々の活動の中に存在している場合が多く、
デジカメによる写真撮影やスケッチ等では、限られた学習時間の中で児童に目的を達成させることは困
難である。ところで、近年の携帯電話の普及率や ICT 活用による教育の活性化や、Google のような Web
サイトの利用ができるような支援 HP の存在を考えた場合、その機能を活用した情報収集とマップ作り
は、時間の効率的利用やデーターベース化(時間的、空間的な情報の活用の促進)を可能とする。
そこで本報では、全ら 2、3)が開発した携帯電話を情報端末と Google Maps API を利用して、エネルギ
ー環境教育データーベースサイトの構築を試みたので、その結果を報告する。
2.ケータイ de マッピング with Google Maps API の概要
ケータイ de マッピング(以下 KDM と略す)とは、携帯電話
で得られたマルチメディア情報(写真、動画、音声、テキスト
教師・児童の
携帯情報
(メールアドレス)
ファイルなど)を、電子地図上の特定の場所に貼り付けられる
ようにした WebGIS アプリケーションである。その概念図を図
管理者登録
1に示す。まず、教師(管理者)は、長崎大学教育学部にある
WebGIS サーバ(http://webgis.edu.nagasaki-u.ac.jp)にユ
PC
ーザー登録し、マップ名の登録をする。その後、教師が児童な
どの投稿権限受有者のメールアドレスを登録すると、教師と児
童の携帯電話からデータの送信をすることが可能となる。次に、
児童は携帯電話を用いて、興味を持ったエネルギーや環境に関
WebGIS
サーバ
する情報を携帯電話で撮影する。そして、その写真や動画など
のマルチメディアデータと現在地(緯度と経度の GPS 情報)を、
メールの本文に記載(書式は携帯電話会社によって異なる)し、
指定のメールアドレスに送付([email protected])す
る。そうすると、上記 WebGIS サーバがこれらのデータを解析
し、Google マップ上の指定された場所にマルチメディア情報
を配置する。その後、児童は任意の PC から上記サーバにログ
インし、データ(説明文の追加など)の修正を行う。
・・・
教師・児童の携帯電話
GPS情報・写真・動画・説明文
図1.KDM システムの概要
3.KDM のエネルギー・環境教育への利用例
長崎大学エネルギー環境教育研究会と(財)社会経済生産性本部エネルギー環境教育情報センターが
平成 20 年 2 月 16 日に開催した「教師のためのエネルギー環境教育実践セミナーin 佐世保」において、
教材活用の一例として、本教材を提示した。その際に使用したエネルギー・環境情報のマップ例を図2
に示す。本データは、本学部生3名が事前に調査した情報を各人の携帯電話で送信した。図中の緑色印
は環境関連施設、黄色印はエネルギー関連施設、赤色印は市役所等の興味・関心がある施設の位置を示
している。図中の地図の大きさは、縦×横が約 14×20km である。実際に操作した学生の意見としては、
長所として、
・ 児童・生徒がエネルギー消費の無駄遣いをする代名詞のように扱われる携帯電話をエネルギー環境
教育に利用するという点がユニークである。
・ 写真整理などの手間が不要になり、授業時間の有効活用が図られる。
短所として、
・ 学校で携帯電話をどのように準備するか、十分に検討する必要がある。
・ 携帯電話の機種によって利用できない。
・ システムの不安定性(携帯電話会社のデータ転送フォーマットの差違による表示不具合)
・ 検索機能の不備(データ数が増えた場合、データの事後入力時:住所検索機能の不備)
が挙げられている。一方で、同セミナーに参加した 35 名の教員に対して行ったアンケート調査によれ
ば、本教材に対して、82%が「大変参考になった」
、18%が「どちらともいえない」と回答しており、
授業での導入可能性については、67%が「是非活用したい」
、24%が「どちらともいえない」
、9%が「活用
できない」と回答している。ここで、ネガティブな回答をした理由は、
「中学生の携帯普及率の低さと
校則の関連」
、
「活用方法が思い浮かばない」や「システムや携帯電話自体が成熟したら」といった回答
であり、本システムを否定するものでないことが分かった。
4.KDM の可能性
本システムが活用されれば、毎年行っ
ている校区探検などの地域情報を用いた
学習において、クラス毎や学年間、年度
間で情報の共有化が図られるだけでなく、
自校区と周辺校区や遠隔地との比較がで
き、環境教育で重要なデータの更新や経
時変化を見取る学習が行えると共に、分
散して存在するエネルギー関連情報を効
率的に学習に取り込める。
図2.エネルギー・環境情報のマップ例
参考文献
1) 藤本登、高倉健太郎、中村重太、有川誠、平尾健二、遠藤秀治、
“福岡県におけるエネルギー環境教
育に関する実態調査― 学校と学外教育支援団体の連携について ―”
、福岡教育大学紀要、54(4)
、
283-292、(2005).
2) Byungdug Jun, Yasunori Deguchi, and Eung-Nam Kim, The Software KDM Used by WebGIS Technology
for Educational parts and its possibility, The 26th Asian Conference on Remote Sensing
2005(ACRS2005), November 7-11, Meria Hotel, Hanoi,Vietnam, 2005.(CD-ROM Version, WGI2-4.pdf)
3) 全炳徳、出口安則:WebGIS 上に展開する教育ツール「携帯 de マッピング」
、日本科学教育学会研究
会報告、Vol.19, No.1, pp.57-62, 2004.10.
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