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C型慢性肝炎 - 治療の手引き -
C型慢性肝炎 - 治療の手引き - 70% 食道静脈瘤 肝不全 30~40% C型肝炎ウイルスが発見されたのは1989年(平成1年)で、それほど古いこと ではありません。その治療法として主にインターフェロンが使われていましたが、 治療成績はよくありませんでした。 2004年12月に、現在の治療法としては最強であるペグインターフェロンとリバ ビリン併用48週間が保険適応となり 約7割の患者さんで肝炎ウイルスが排除 ビリン併用48週間が保険適応となり、 できるようになりました。しかし、すべての患者さんにこの治療法が適切とは限り ません。 治療に反応しやすいウイルスやそうでないウイルスという C型肝炎ウ イルスの亜型やウイルスの量(数)などにより、治療効果が違います。 しかし、 このような強力な治療法が必要ない患者さんもおられ、また高齢者では副作用 が強く出やすいことがあります。 が強く出やすいことがあります C型肝炎の治療には、ペグインターフェロンとリバビリン併用48週治療を中心 に、いろいろな治療選択枝が可能となりました。 個々の患者さんの条件を考え、 より効果的で、より副作用の少ない治療法を提供しなければなりません。 私どもは、 患者さんに病状や治療法の効果、副作用を理解していただき、安 心して治療をお受けいただきたいと願っております。 この冊子は患者さんのお役にたてるよう作成しました。ご参考にして下さい。 消化器内科 第1章 C型慢性肝炎とはどんな病気か C型慢性肝炎はC型肝炎ウイルスの感染により肝臓が持続的に障害される病気です。ほとんどの場合、 慢性肝炎では特別な自覚症状はなく、健康な方と全く変わらない生活が送れます。 しかし、慢性肝炎は 自然に治癒することはなく平均20~25年で肝硬変へ進展します。肝硬変に進展するとさまざまな症状( 黄疸 腹水 食道静脈瘤など)が出現します さらに肝硬変まで進むと、年間 黄疸、腹水、食道静脈瘤など)が出現します。 さらに肝硬変まで進むと 年間 7%の確率で肝臓癌が発症 します。 C型肝炎ウイルスと肝臓癌との関係は、たばこと肺癌との関連よりはるかに高い関連があります。 C型慢性肝炎の治療の目標は、C型肝炎ウイルスを排除し、肝硬変・肝臓癌への進行を阻止することです。 第2章 C型慢性肝炎の治療は C型肝炎ウイルスに感染していることより肝炎を発症している患者さん(慢性肝炎)は、全員が治療の対 象です 特に血液中のGOT GPTが異常高値の場合は治療が必要です GOT GPTが高いということは 象です。特に血液中のGOT、GPTが異常高値の場合は治療が必要です。GOT、GPTが高いということは それだけ肝臓の細胞が破壊され、慢性肝炎から肝硬変、肝臓癌への進行が早いことを意味します。 抗ウイルス療法と肝庇護(かんひご)療法 C型慢性肝炎の治療は、病気の原因であるC型肝炎ウイルスを体内から排除してウイルス感染治癒をめ ざす抗ウイルス療法(原因療法)と 肝臓の細胞を保護して肝炎の沈静化をめざす肝庇護(かんひご)療法 (対症療法)があります。 (対症療法)があります 抗ウイルス療法 抗ウイルス療法としては従来はインターフェロン療法(週3回注射)のみでしたが、2001年12月よりインタ ーフェロンとリバビリン(内服抗ウイルス薬)との併用療法、2004年12月よりペグインターフェロン(週1回注 射)とリバビリン併用療法が行えるようになり、 約70% (100人治療して70人がウイルスを排除)の効果が得 られるようになりました。 C型慢性肝炎に対する治療の第一選択は、ウイルス排除の可能性がある患者さんに対しては、ペグイン 慢性肝 治 第 、 排除 性 者 、 ターフェロン・リバビリン併用療法です。 肝庇護療法 グリチルリチン配合剤(強力ネオミノファーゲンC)、ウルソデオキシコール酸(ウルソ)などがあります。 これらの薬剤は肝炎の沈静化を目的としたもので、ウイルスを排除する効果はありません。 また、最近、 除鉄療法(瀉血(しゃけつ);血を抜くこと )をGOT、GPTの改善目的で行いますが、この治療法もウイルス を排除する効果はありません。 第3章 C型慢性肝炎の抗ウイルス療法について Ⅰ C型慢性肝炎抗ウイルス療法の効果に及ぼす因子 C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療の成績はこの10年間で飛躍的に向上していますが、治療を 受けた全ての患者さんでウイルスの排除ができるわけではありません。インターフェロン治療効果を ①完全著効(インターフェロン治療後もウイルスが血液中陰性を持続する) ②不完全著効(治療中血液 中で陰性であ たウイ ②不完全著効(治療中血液の中で陰性であったウイルスが治療終了後に再び出現するが、GPTは正常 が治療終了後に再び出現するが は正常 値を持続する) ③一過性有効(治療中血液の中のウイルスが消失し、GPTが正常化するが、治療終了後にウイルスも GPTも元の状態に戻ってしまう) ④無効(治療中、血液中のウイルス消失もGPTの正常化も得られない) に分けて判定しています。これまでの経験から著効になりやすい条件が判っています。 インターフェロン治療効果に影響する因子は ①ウイルス遺伝子型 ②血液中のウイルス量 ③肝臓の インターフェロン治療効果に影響する因子は、①ウイルス遺伝子型、②血液中のウイルス量、③肝臓の 線維化です。 ■ C型肝炎ウイルスの遺伝子型 C型肝炎ウイルスは1から6型までの6遺伝子に分類され、各遺伝子の中にa, b の亜型があります。 日本人では1b型(約70%)、2a型(約20%)、2b型(約10%)が大部分を占めます。インターフェロンの効 -p1- きやすさは、2a>2b>1b型の順になります。 ■ 血液中のウイルス量 血液中のウイルス量が少なければ、インターフェロン単独治療により高率に著効が得られます。 一方、 ウイルス量が多いと、特に1b型遺伝子型ではインターフェロン単独療法の効果が不良になり ます 遺伝子型とウイルス量を合わせたインターフェロンの効きやすさは 2a 2b型低ウイルス量> ます。遺伝子型とウイルス量を合わせたインターフェロンの効きやすさは、2a, 1b型低ウイルス量>2a, 2b高ウイルス量>1b高ウイルス量の順になります。 ■ 肝の線維化 肝臓は炎症が持続すると肝細胞間に線維が出現し、肝臓自体が硬くなってきます。肝臓の繊維化 は、1:軽度繊維化、2:中等度繊維化、3:高度繊維化、4:肝硬変の4つに分類されます。繊維化が 進行(3、4)すると治療効果が悪くなります。 Ⅱ 治療法の選択 1.インターフェロン単独療法 最初の2週間インターフェロンを連日投与し、その後22週間週3回の投与(計24週間)を行います。 この療法ではC型肝炎ウイルスの遺伝子型にかかわらず、低ウイルス量の症例では高い著効率が 得られます(1b型70%、2a, 2b型>90%)。しかし、ウイルス量が多いと、1b型では 5% 程度の著効し か期待できず、 2a, 2b型でも50%程度の著効率です。 この療法は、高ウイルス量では第一選択にはなりません。 2.インターフェロン短期療法 遺伝子型2a, 2b低ウイルス量症例を対象に、インターフェロンを8週間連日投与します。インター フェロンが効きやすい症例に対して8週間集中的に治療を行います。短期間に治療が終了するとい うメリットがあり、90%以上の著効が得られています。 3.ペグインターフェロン単独療法 ペグイ タ ペグインターフェロンは、インターフェロンにポリエチレングリコールを結合させて、注射後のインタ は イ タ にポリ チ グリ を結合させて 注射後 イ タ ーフェロンの吸収・代謝を遅らせ、血中濃度を維持できるように工夫されたインターフェロンです。 インターフェロンの週3回投与に対し、 ペグインターフェロンは週1回の注射となり、患者さんの身体 的な負担が軽減されます。 C型肝炎ウイルスの遺伝子型に関わらず、低ウイルス量の症例では高い 著効率が得られますが、高ウイルス量では1b型15%、2a, 2b型50%程度の著効率です。 4.ペグインターフェロン+リバビリン併用療法 内服の抗ウイルス剤リバビリンとペグインターフェロンとの併用治療法です 1b型高ウイルス量症 内服の抗ウイルス剤リバビリンとペグインターフェロンとの併用治療法です。1b型高ウイルス量症 例で60%の著効が得られます。2種類の抗ウイルス剤を併用することにより臨床効果は増強されまし たが、両薬剤の副作用が合わさり、インターフェロン単独療法に比べ、副作用が強くなっています。 C型肝炎ウイルスの排除という面では現在最も強力な治療法です。 ウイルス遺伝子型 初回投与 ウ イ ル ス 量 1b 2a, 2b 高ウイルス量 ペグインターフェロン+リバビリン併用療法 (48~72週間) SVR率 59.0% ペグインターフェロン+リバビリン併用療法 (24週間) SVR率 90.3% 低ウイルス量 インターフェロン単独療法(24週間) ペグインターフェロン単独療法(24~48週間) SVR率 57.0% 57 0% インターフェロン単独療法(8~24週間) ペグインターフェロン単独療法(24~48週間) SVR率 62.0% 62 0% SVR率:治療終了6ヶ月後にC型肝炎ウイルスの定性検査が陰性の割合 5.肝炎沈静化を目指したインターフェロン療法 インターフェロン / ペグインターフェロン療法あるいはペグインターフェロン+リバビリン併用療法に -p2- よりウイルス排除が得られなかった場合、肝炎の沈静化(GPTの正常化)、肝硬変の進展抑制、肝 臓がんの発症抑制を目的にインターフェロン療法を行うことがあります。この場合は通常使用する インターフェロンの量より少ない量を、できる限り長期(2、3年)投与します(インターフェロン少量長 期治療)。 (%) 30 肝臓癌発生率 インターフェロン非投与群 20 10 インターフェロン少量長期投与群 0 0 5 10 Ⅲ 再治療の実際 主にC型肝炎ウイルスの遺伝子型とウイルス量により、治療法を選択することになります。年齢、併存 疾患により 副作用の発現 ウイルスの消失期間により治療法が変更されます 初回の治療(低ウイル 疾患により、副作用の発現、ウイルスの消失期間により治療法が変更されます。初回の治療(低ウイル ス症例に対するインターフェロン単独療法、ペグインターフェロン単独療法)により、ウイルス消失が得 られなかった症例に対しては、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法を施行することになります。 インターフェロン療法により、ウイルスを排除することが得られなかった場合は、インターフェロン少量 長期治療を行い、肝炎沈静化、肝硬変進展抑制、発癌抑制を目標にします。 インターフェロンの副作用が強く、治療を継続できない場合、もしくはインターフェロン治療を望まれな い場合は、肝庇護(ひご)療法を行います。 ウイルス遺伝子型 再投与 ウ イ ル ス 量 1b 2a, 2b ペグインターフェロン+リバビリン併用療法 (48週間) SVR率57.7% 高ウイルス量 低ウイルス量 ペグインターフェロン+リバビリン併用療法 (24週間) SVR率71.4% SVR率:治療終了6ヶ月後にC型肝炎ウイルスの定性検査が陰性の割合 Ⅳ GPT正常のC型肝炎の治療 GPTは肝炎の状態を表しますが、正常値は40以下です。GPT≦40 のC型肝炎ウイルス保持者に対 する治療は、GPTと血小板により治療法が変わります。 血清GPT正常 C型肝炎ウイルス保持者 血 清 G P T 値 血小板数 15万以上 15万未満 ≦30 2~4ヶ月毎に血清GPT測定 肝生検にて繊維化2:抗ウイルス療法 肝生検未検:2~4ヶ月毎に血清GPT測定 31~40 65歳以下は抗ウイルス療法 慢性肝炎治療 -p3- Ⅵ インターフェロン治療の副作用 C型肝炎の治療時に投与される大量のインターフェロンは、生体に様々な反応を引起し、副作用と なって現れます。副作用は薬などにより軽減できるものから対処が困難なものまであります。 治療を継続し、著効を得るためには、あらかじめ予想される副作用を患者さんご自身が知っておく ことが大事です。 ことが大事です 1.ほぼ全例で見られる副作用 ■インフルエンザ様症状 発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛の症状で、食欲不振、嘔気、嘔吐などの消化器症状を伴うこともありま す。C型肝炎の治療では90%以上の患者さんにあらわれる症状です。発熱、筋肉痛、関節痛、頭痛 に対しては消炎鎮痛剤を投与することで、症状が改善されます。発熱は慣れの現象で自然に軽快す る患者さんが多いのですが 一部には慣れの現象が見られない患者さんもおられます る患者さんが多いのですが、 部には慣れの現象が見られない患者さんもおられます。 ■白血球減少、血小板減少 治療開始後2~4週間は減少し続けますが、その後の減少はほとんど見られません。治療前から白 血球、血小板の少ない患者さんでは減少に伴う合併症に注意が必要です。治療終了後は速やかに 元の数に戻ります。 ■脱毛 インターフェロン投与開始後1~2 イ タ フ 投与開始後1 2 ヵ月後に始まり、3 ヵ月後に始まり、3~4 4 ヵ月で ヵ月でピークになります。インターフェロン クになります。イ タ フ 治療終了後、毛髪が生え始め、おおよそ6 ヵ月くらいで元の状態に戻ります。 2.まれに見られる重い副作用 ■甲状腺機能障害(1~2%) 甲状腺ホルモンが多く分泌される場合(甲状腺機能亢進症)と、逆にホルモンの分泌が少なくなる 場合(甲状腺機能低下症)があります。甲状腺ホルモンを治療前に測定することで、ある程度、発症 を予測することが可能です。機能障害が発症した場合は甲状腺に対する治療が必要となります。 ■眼底出血(0.5%) 症状を伴うことは少なく、重症になると視力低下が出現します。血小板減少、高血圧、膠原病、血 液疾患がある場合は注意が必要です。治療開始前、その後は1ヵ月毎に眼科での検査が必要です。 ■間質性肺炎(0.2~0.3%) 非常に重篤な副作用です。原因は不明ですが、漢方の小紫胡湯との併用で発症率が高まります (現在、インターフェロンと小紫胡湯との併用は禁忌になっています)。症状は乾いた咳と労作時の 息切れです 治療はインタ フ 息切れです。治療はインターフェロンの中止と副腎皮質ホルモンの投与です。 ンの中止と副腎皮質ホルモンの投与です ■精神神経障害(1~2%) インターフェロンの直接的な脳血管細胞への作用によって引き起こされる精神神経症状と、神経精 神症状の素因、特にうつ病などの病歴がある方におこる精神神経症状がります。一般にうつ病がある 場合は、インターフェロン治療は禁忌となります。 ■その他の副作用 ・糖尿病 またはその悪化 ・糖尿病、またはその悪化 ・不整脈、心不全 ・末梢神経炎 ・皮膚症状 ・腎障害 治療期間中は、定期的な血液検査、症状の聞き取りを行い、副作用出現の有無をチ ックします。 治療期間中は、定期的な血液検査、症状の聞き取りを行い、副作用出現の有無をチェックします。 Ⅵ ペグインターフェロン+リバビリン治療の副作用 ■溶血性貧血 リバビリンは内服すると赤血球に蓄積しやすく赤血球が壊れ溶血性貧血が起こります。程度の差 -p4- はありますが、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法のときは必ず出現する副作用です。高齢者、 腎障害者で強く出現する傾向にあります。治療を開始すると4~8週間で貧血が強くなるので、血液デ ータを見ながらリバビリンの内服量を調整します。治療前から赤血球が少ない場合は、リバビリンが使用 出来ないこともあります。 ■消化器症状 ペグインターフェロン+リバビリン併用療法時に出現する消化器症状として食欲低下、嘔気、胃部不 快感、味覚障害などがあります。症状が出現した場合は胃薬などを使用しますが、症状を完全に消失 させることは難しく、特に食欲低下は治療期間を通じて持続することが多く、体重減少を来たします。 ■皮疹 約半分の患者さんに皮疹が出現します。程度は局所にとどまるものから全身に拡がるものま でさまざまです。軽症の場合は無治療で経過を見ますが、症状により軟膏、内服薬を使用して いきます。皮膚科の専門医の診察を必要とする場合もあります。 ■その他(治療期間中と治療終了後6ヶ月は避妊が必要です) リバビリンは動物実験で胎児に対する催奇形性や精子の異常が報告されています。このため妊婦は この薬を服薬できません。妊娠可能な女性は、妊娠検査によって妊娠していないことを確認しなければ 服薬することはできません。男性の場合は、パートナーが妊娠または妊娠する可能性がある場合は、 服薬中および服薬終了後6ヶ月間は必ずコンドームを使用しなければなりません。 次のような症状の場合は、出来るだけ早く主治医にご連絡下さい。 ・不眠、イライラ、気分の落ち込み(うつ病などの精神神経症状が疑われます) ・息切れ、乾いた咳、微熱(間質性肺炎が疑われます) ・どうき、汗をかきやすい、むくみ(甲状腺機能異常が疑われます) Ⅵ インターフェロン治療の実際 インタ フェロン治療の実際 1. 外来での検査 C型肝炎ウイルス陽性と診断された場合、 遺伝子型、ウイルス量、血液生化学検査、画像診断 (CT、エコー)などにより、抗ウイルス療法の適応を判断します。肝機能障害が高度に進行してい る場合(腹水、低タンパク血症、黄疸を伴う肝硬変)やC型慢性肝炎の他に重症の合併症を持っ ている場合は、抗ウイルス療法が適応外となります。高血圧や糖尿病を合併している場合は、コ ントロールしてから抗ウイルス療法を行うことになります。 2. 入院でのインターフェロン治療(ペグインターフェロン+リバビリン併用療法) 1週間に1回、看護師がペグインターフェロンを皮下注射します。 注射部位はもまないようにしてください。 治療初日から内服が始まります。医師の指示により朝、夕のカプセル数が決まります。毎日服 薬します。ただし、副作用によっては、医師の指示により内服の量の変更、 または中止になるこ とがあります。 とがあります 入浴は出来ますが、熱の状況によりシャワー浴になります。 食事は制限ありません。食欲のない時は看護師に相談下さい。管理栄養士がご相談します。 検査、治療の目標、方法、副作用等についての説明をさせていただき、看護師が理解、納得さ れているか確認します。 また、治療スケジュールや内服方法、 副作用の対処方法を説明させて いただきます。退院前には外来の受診方法を説明させていただきます。 当院と近くの開業医の 先生の間で患者さんの時間的負担の少ない受診方法について 当院の地域連携室がサポート 先生の間で患者さんの時間的負担の少ない受診方法について、当院の地域連携室がサポ ト します。 入院中の副作用の対処に対しては、発熱による脱水予防のため、十分な水分補給、血小板減 少による出血傾向を防ぐため、歯ブラシは柔らかいもに変えて、体に傷を作らないように気をつけ てください。また、白血球減少による感染対策として、日ごろから、手洗い、うがいで感染を予防し てください。 -p5- 3. 外来でのインターフェロン治療 ペグインターフェロン+リバビリン併用療法では、1年間(48週間)を要し、効果判定は1年6ヶ月 後になります。長期間の治療になりますので、患者さんの時間的負担が大きいので、当院と地域 の開業医の先生の間で、当院しかできないこと、開業医の先生にしていただくことを分け、患者さ んの負担を少なくするように 地域医療室が調整いたします んの負担を少なくするように、地域医療室が調整いたします。 4. インターフェロン治療中の経過観察 患者さんに、C型慢性肝炎のカルテ(クリニカルパス)を持っていただき、当院・開業医間の共通 カルテにより、患者さんの治療を行います。効果、症状、副作用についてチェックしていきます。 ウイルスが早期に血中から消失した方が高い著効率が得られます。逆にペグインターフェロン+ リバビリン併用療法では治療開始から24週目までにウイルス消失を得ない場合、48週間治療を続 けても ウイルス消失は期待できないため 他の治療法に変更します けても、ウイルス消失は期待できないため、他の治療法に変更します。 血液データ上、赤血球、白血球、血小板の減少があった場合、ペグインターフェロンあるいはリ バビリンを減量したり、中止したりします。また、患者さんの自覚症状(発熱、倦怠感、消化器症状、 精神神経症状など)を確認して、適切な対応をとります。 5. インターフェロン治療終了後の経過観察 インターフェロン治療終了後、赤血球数、白血球数、血小板数は速やかに改善し、全身倦怠感・ 消化器症状などは徐々に消失し、体調は治療前の状態に戻ります。 1. 著効・非著効の判定 治療終了後6ヶ月間C型肝炎ウイルスが陰性を持続した場合、著効(C型肝炎ウイルスの完全排 除)と判定します。治療終了後にウイルスが再出現した症例でも肝機能が正常を長期間持続する 場合(不完全著効)もあり、しばらく経過観察を行います。インターフェロン治療によって著効が得 られなくても治療したことが全て無駄になるわけではありません。C型肝炎ウイルスが陽性であって も肝炎が沈静化(GPT値の改善)したり、インターフェロン治療を行ったことが肝がんの発症を抑制 する効果があります。 2. 著効例の経過観察 著効例では肝機能の改善を経時的に見ていきます。通常は徐々に受診間隔を開けて行きます。 著効例ではその後は肝機能の悪化や肝硬変への進行は起こりませんが、少ない確率で肝がんを 発症する場合があります。著効と判定された後も5-10年は定期的な画像診断(エコー、CTを年12回)必要です。 3 非著効例の対策 3. 残念ながら完全著効(C型肝炎ウイルスが消失)が得られず、治療中C型肝炎ウイルスが陰性で あっても治療後ウイルスが再出現(肝機能正常の不完全著効、肝機能異常のある一過性有効)し た場合や、治療中もウイルスの消失を認めない無効の場合は、インターフェロンの再投与や肝庇 護(ひご)療法(ウルソ内服、強力ネオミノファーゲンC注射、瀉血(しゃけつ))を行うことになります。 しかし、たとえ無効例であっても、インターフェロン治療をおこなったことは、インターフェロン治療を しなかった患者さんより肝がんの発症が抑制されます。 しなかった患者さんより肝がんの発症が抑制されます 第4章 病診連携について かかりつけ医でC型肝炎と診断を受けた場合は、出来るだけ早めに専門医で画像診断(エコー、 CT)を含めた精密検査を行って、治療方針を決める必要があります。インターフェロン治療開始 は、2-3週間の入院が必要です。その後の治療に関しては、当院の治療かかかりつけ医での治療 かを 患者さんのウイルスの状態や通院日時等を相談させていただき選択します 患者さんに かを、患者さんのウイルスの状態や通院日時等を相談させていただき選択します。患者さんに、 C型慢性肝炎のカルテ(クリニカルパス)を持っていただき、当院・開業医間の共通カルテにより、 患者さんの治療を行います。効果、症状、副作用についてチェックしていきます。 治療期間が終わっても、その後の経過観察が必要で、3~6ヶ月毎の画像診断及び血液検査必 要です。当院、かかりつけ医、患者さんとの間で決めさせていただきます。 いずれにしても患者さ んがC型肝炎ウイルスが排除され、肝硬変、肝がんへの進展が抑制されることを希望しています。 -p6- 第5章 初回治療でウイルスが排除できなかった時の治療 残念ながら初回治療によりC型肝炎ウイルスが消失しなかった場合、インターフェロンの再投与 を考慮しなければなりません。この際使うインターフェロン治療は、ペグインターフェロン+リバビリ ン併用療法となります。初回にペグインターフェロン+リバビリン併用療法を行った場合は、効果は 低率になります。 初回治療時の副作用を参考にしてペグインターフェロン+リバビリン併用療法 を選択します。 第6章 インターフェロン・リバビリン併用療法でウイルス排除ができなかった場合 C型慢性肝炎の治療は感染しているウイルスを体内から排除し肝がんへの進行を予防することが 目的です。治療は、主にインターフェロンとリバビリンを使用して行います。 しかし、治療をしてもウ イルスを排除できない患者さんや、高血圧・糖尿病・貧血などの合併症によっていたインターフェロ を排除 きな 患者さ や 高血圧 糖尿病 貧血など 合併症 た ンとリバビリン併用療法ができない患者さん、 また、治療時に強い副作用で治療が続けられなかっ た患者さんは、肝機能を安定化させ肝硬変、肝がんへの進行を予防することが必要です。 それにはインターフェロン少量長期投与が有効といわれています。これらの患者さんには少量の 1b型、高ウイルス量のPeg-IFN+Ribavirin 非適応症例に 対するIFN単独長期療法のガイドライン(2005年度) インターフェロンを長期間投与する治療指針が厚生労働省のガイドラインとして示されています。 インタ フェロン インターフェロン 2週連日or 週3回間歇投与 ★HCV-RNAは RNA (+) アンプリコア定性検査 RNA (-) インターフェロン 6週連日or 間歇投与 RNA (-) RNA (+) インターフェロン 2年、 間歇投与 インターフェロン 2年、 間歇投与 インターフェロン 長期、少量 間歇投与 完治目的 完治目的 維持目的 B型及びC型肝炎ウイルスの感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究班 第7章 最終的にウイルスが排除できなかった時の治療 肝護(ひご)療法(ウルソ内服、強力ネオミノファーゲンC注射、瀉血(しゃけつ))を行うことになり ます。しかし、たとえ無効例であっても、インターフェロン治療をおこなったことは、インターフェロン 治療 をしなかった患者さんより肝がんの発症が抑制されます。積極的に肝がん抑制を行うには、 インターフェロン少量長期(2-3年)を行います。 第8章 インターフェロン在宅自己注射 インターフェロン治療は外来で週1~3回注射を半年~2年という長期間を要します。しかも外来 時には数時間~半日という時間を受診に必要としています。患者さんにとって大変時間的拘束が 大きい治療です。 そのような患者の負担を軽減するため平成17年4月から糖尿病治療で実施され ているインスリン治療と同様に、自宅でインターフェロンを患者さん自ら注射することが認められまし た。この在宅自己注射は専門医から十分な自己注射の指導を受ければ比較的容易に実施するこ とが可能です。 また、寝る前にインターフェロンを注射することにより副作用の発熱、倦怠感なども ほとんど気にならずに治療できます。 治療中は2週間に1回医療機関を受診頂き副作用などをチ ェックしていきます。 クして きます 特に働き盛りの会社員には、外来の回数が少なく長期間の治療が継続しや 特に働き盛り 会社員には 外来 回数が少なく長期間 治療が継続しや すいメリットがあります。 在宅自己注射できるインターフェロンは、アドバフェロン、スミフェロンなど のインターフェロンα製剤といわれるもので、 ペグインターフェロンやインターフェロンとリバビリン 併用療法では在宅自己注射を実施することはできません。 文責:小山 茂樹 在宅自己注射を希望される患者さんは、医師、看護師にご相談ください -p7- 作成:2006.12.12 改定:2010.01.02