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第5回検討委員会資料 [PDFファイル/649KB]

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第5回検討委員会資料 [PDFファイル/649KB]
第5回
大分県美術館構想検討委員会
日時
資料
平成22年9月28日(火)
13:00~16:00
場所
大分県庁新館
51会議室(5階)
1
基本構想(素案)について
参
考
○「竹」に関するデータ等
…
…資料1
○1県1県立美術館22施設の概要(抜粋) …資料2
P 1
…
P28
…
P30
○芸術会館に使用されている吹き付けロックウールの
石綿(アスベスト)含有調査の結果と対策について…資料3 … P31
県立芸術会館の現状と課題
1 全般
○昭和52年当時、県内に県立美術館がなく、音楽ホールも不足する中で、展示棟、ホール棟を
持つ複合施設としてオープンしたが、33年が経過する中で、一つの役割が終わったと言える
のではないか。
○総合文化の情報発信拠点としての機能が弱い。
2 芸術会館の現状
(1)施設概要
芸術会館は、美術品等の展示機能を持つ展示棟、舞台付きホール機能を有するホー
ル棟及び管理棟からなる複合施設として、昭和52年9月に開館し、平成20年度末までの
延べ利用者数は800万人を超えた。
○施設の概要
・用地面積 18,924.64㎡
・建築面積
・構造
4,345.37㎡ 延べ床面積7,301.98㎡
鉄骨・鉄筋コンクリート3階建
・展示棟(2階建) 3,108.35㎡(展示室3室計1,234㎡ 収蔵庫4室計685㎡)
・ホール棟(3階建)2,629.79㎡(1,010席 楽屋、リハーサル室、ホワイエ等)
・管理棟(3階建) 1,404.9㎡(講堂、会議室等)
・駐車場 約200台
○管理体制(非常勤の館長含め20名。うち学芸員6名)
・館長
副館長
総務課
副館長(学芸第一課長兼務)
学芸第一課
学芸第二課
企画広報班
(2)収蔵品
芸術会館には、購入と寄贈による約4,500点もの収蔵品があり、特に大分県にゆかり
のある作家の作品を中心にコレクションしている。これまでの収蔵品の購入金額は38億
円を超え、また、寄贈品等の評価額は36億円にも上る。
これらに加え、寄託品として田能村竹田の重要文化財をはじめ数百点を預かっており、
これらも展示が可能となっている。
①日本画(近世)
田能村竹田をはじめ、弟子の高橋草坪、帆足杏雨、平野五岳ら豊後南画を代表する画
人たちの書画、資料を体系的に幅広く収蔵するとともに、歌川派をはじめとする浮世絵
版画のコレクションも所蔵している。
-1 -
②日本画(近代)
大正から昭和の京都日本画壇で活躍した福田平八郎(大分市出身)、日展を舞台に戦
後の日本画をリードした高山辰雄(大分市出身)の初期から晩年に至る代表的な作品を
収蔵している。
③洋
画
東洋的油絵を求めて大正洋画壇で注目を浴びた片多徳郎(豊後高田市出身)、戦後の
パリ美術界で活躍した抽象画家・佐藤敬(大分市出身)、わが国抽象絵画のパイオニア
・荒井龍男(中津市出身)、詩情溢れる作風で人気を博した糸園和三郎(中津市出身)、
日本的抽象様式を確立した宇治山哲平(日田市出身)らの代表的作品を収蔵している。
④彫
刻
明治末から大正、昭和期のわが国彫刻界をリードした朝倉文夫(豊後大野市出身)、昭
和戦前期に新たな彫刻の可能性を追求した日名子実三(臼杵市出身)らの代表作を所
蔵するとともに、戦後の反芸術運動「ネオ・ダダ」を主導した吉村益信(大分市出身)の前
衛的作品等も収蔵している。
⑤工
芸
竹工芸の人間国宝・生野祥雲斎(別府市出身)の初期から晩年にかけての代表作に加
え、風景文様を巧みに取り込んだ陶芸の河合誓徳(国東市出身)の日展出品作、更に
小鹿田焼や日田漆器なども収蔵している。
⑥大分県関係作家以外の作品
頼山陽の書や葛飾北斎の浮世絵、川合玉堂や前田青邨の日本画、梅原龍三郎、坂本
繁二郎の洋画、平櫛田中の木彫などを収蔵する他、外国作家ではW.ターナーやG.ルオ
ーの連作版画、バーナード・リーチが小鹿田で制作した陶器、ロダンやブールデルのブ
ロンズ彫刻なども所蔵している。
(3)利用状況と利用者の声
①利用状況
○直近5年間の利用状況は、表1のとおり、年間利用者数は20万~30万人台前で推移
し、そのうち概ね3分の2が展示棟の利用者となっている。また、展示棟、ホール棟とも
に主催事業での利用者は少なく、展示棟では共催事業が、ホール棟では貸館が多くを
占めるようになっている。
[表1](単位は人数)
展
年
度
示
棟
主催事業 共催事業 貸 館
ホ ー ル 棟
計
主催事業 貸 館
会議室
計
合計
等
17
41,208
52,447
50,922 144,577
1,975
73,350 75,325
23,440 243,342
18
40,419
126,157
38,360 204,936
1,223
69,800 71,023
30,900 306,859
19
48,048
134,151
40,659 222,858
2,948
72,450 75,398
25,367 323,623
20
20,085
106,377
42,919 169,381
1,670
68,580 70,250
23,842 263,473
21
18,646
86,611
35,491 140,748
2,170
54,000 56,170
23,365 220,283
-2 -
②利用者の声(H20~21年度 芸術会館利用者アンケートより複数意見のもの)
[施設に関すること]
・照明がガラスに反射して見づらかった。
・弱視者向け(暗い絵は特に)に照度をあげて欲しい。
・温度が高すぎて暑かった。クーラーは使用できないのか。
[運営に関すること]
・順路をわかりやすくして欲しい。
・案内(説明)の文字が小さすぎるので、もっと大きくして欲しい。
・開館時間を延ばして欲しい。
・大分の芸術を入館しやすい金額でたくさん紹介して欲しい。
[展示に関すること]
・もう少し多数の作品を見たかった。
・芸館所蔵品展を見たい。エジプト展より、よほどその方が良い。
・高山辰雄・福田平八郎・朝倉文夫など大分県出身の画家・彫刻家・工芸家・現代作家
など個々の作品を多く観たい。
・大分県内の作家(高山辰雄や福田平八郎など)の部屋があって、いつも開いていて平
常展で見られるようになったら嬉しい。
3 美術館としての課題
(1)展示スペースが狭い
○芸術会館の展示室面積は下表のとおり狭く、常設展示室がないという致命的な課題を
抱えるとともに、大規模展覧会の開催に制約があるなど展示機能が十分でない。
項
目
展示室合計面積
常設展示室 企画展示室 貸展示室
( )内は対芸館比
芸術会館
1,234㎡(100.0%)
都道府県平均(A)
3,967㎡(321.5%)
1,910㎡
79施設平均(B)
2,345㎡(190.0%)
1,121㎡
1県1施設平均(C)
2,889㎡(234.1%)
1,395㎡
1,010㎡
484㎡
平成以降施設平均(D)
2,924㎡(237.0%)
1,403㎡
1,049㎡
472㎡
区分無し
1,353㎡
804㎡
705㎡
420㎡
注1:Aは全ての県立美術館を都道府県数で割った平均
注2:Bは芸術会館を除く都道府県立79施設の平均
注3:Cは都道府県に県立施設が一つしかない21都道府県の平均(芸術会館を除く)
注4:DはCのうち、平成以降に新築又は増築された施設の平均
(2)展示スペースの機能性に乏しい
○3室に分かれた展示室のレイアウトが悪く、スムーズな順路が確保しにくい。
○移動式パテーションがないことから展示方法が限定される。
(3)空調や照明の機能が不十分
○美術品保護のための温湿度の管理が十分にできず、また、調光機能もないなど空調機
-3 -
能、照明機能いずれも求められる水準にない。
(4)教育普及機能等の不足
○講座室、実習室、美術図書室、情報コーナーや視聴覚施設など教育普及関係設備が
不足している。
○現代美術に対応した映像施設等への対応が不足している。
(5)収蔵庫の機能不足
○収蔵庫のスペースにゆとりがない。
○大地震に備えた収蔵庫内の耐震、免震措置が講じられていない。
○作品等の搬出入にあたって、十分なトラックヤードと搬出入口が確保されていない。
○バックヤードのセキュリティが不十分である。
(6)ソフト面の課題
○予算面の制約などから調査研究を活かした情報発信型の企画展や、話題性の高い国
内巡回展の誘致など、県民の期待に十分に応えられる展覧会事業ができておらず、加
えて、鑑賞教育プログラムの企画・展開などにも十分には取り組めていない。
(7)美術館としての個性が不足
○ロビー空間にゆとりや風格がない
○ミュージアムショップがない
○施設内にカフェやレストランがない(レストランの入り口は別)
4 ホール機能(1,010席)の役割低下
○昭和60年代以降、大分市内にはコンパルホールやiichiko総合文化センター等が、更に別
府市内には、ビーコンプラザが開館したことから、その役割は相対的に低下してきている。
○平成25年度には、大分市による大分駅南への複合文化交流施設の開館が予定されてい
ることから、芸術会館のホールの役割は更に低下することとなる。
開館
施設名
S61 コンパルホール
H2
能楽堂
H7
ビーコンプラザ
ホール名
席数
主な利用方法
文化ホール
500 講演会、集会
多目的ホール
400 会議、研修会
568 能楽
H10 iichiko総合文化センター
コンベンションホール
8,000 大規模会議、ライブ
フィルハーモ二アホール
1,106 コンサート、演劇
iichikoグランシアタ
1,966 コンサート、演劇、オペラ
iichiko音の泉ホール
合 計
13,250
大分市複合文化交流施設 大ホール
(予定)
710 コンサート、講演会
1,200 多目的
小ホール
200 演劇・コンサート
5 施設・設備の老朽化
○下表のとおり、今後5年間で舞台音響、照明の改修や全館空調のリニューアル等に約
16億円がかかる見込みである。
-4 -
○備品の中には製造中止になっているものもあり、部品が調達できないケースが予想さ
れるとともに、現在老朽化を理由にプロの興行を断っている状況であることから、施設
の存廃について早急に結論を出す必要がある。
改修内容
H22
H23
H24
H25
管 高圧受電設備改修
15,200
棟 屋上シート防水改修
15,300
高圧受電設備改修
l 舞台照明(調光設備)改修
8,263
142,100
273,000
188,000
26,400
32,900
屋上シート防水改修
30,600
119,000
860,963
16,700
展 電話設備改修
402
示 パッケージエアコン改修
10,045
4,660
18,360
共 電気時計設備改修
3,340
用 給排水設備改修
3,868
部 空調設備全面改修
200,000
150,000
38,144
150,000
分 排気ファン類改修
14,658
屋上シート防水改修
計
33
4,950
棟 屋上シート防水改修
非常照明・誘導灯設備改修
140,500
24,000
ル 舞台照明(器具負荷設備)改修
棟 舞台機構改修
H26
110,000
理 直流電源装置改修
ホ 舞台音響設備改修
棟別
金額は概算の見込額で単位は千円
580,040
1,670
330,973
390,200
385,300
279,600
205,475
1,591,548
6 ユニバーサルデザインの対応の遅れ
○車いすでの利用が容易でないことをはじめユニバーサルデザインに十分に対応できて
おらず、特に高齢者や障がい者の利用に課題を抱える。
7 立地場所の課題
○大分市中心部からやや離れ自家用車を所有しない者にとっては場所が不便である。
○公共交通機関のアクセスが十分ではないにもかかわらず、駐車場も十分ではない。
○大分市が作成した『洪水ハザードマップ』によれば水没危険地域に指定されている。
○敷地内に九州電力(株)の高圧鉄塔があるため、美術館としての景観を損なっているとと
もに、万が一の場合に収蔵品の安全が懸念される。
○周囲に賑わいのある場所がなく、人が集まりやすい仕組みができていない。
○JR牧駅や大分バスの芸術会館入口停留場が近隣にあるものの、電車やバスの便
数が多いとは言えず、交通の便が十分でない。
-5 -
8 県立美術館の必要性
前述のとおり、芸術会館の現状と課題を踏まえると、以下の理由から新たな美術館が必
要と考える。
①現芸術会館では県立美術館としての機能が果たせない
○現芸術会館は築後33年を経過し、今後、5年間で約16億円もの保全コストが見込まれ
るなど設備等の老朽化やホール棟の機能低下等の問題から、見直すべき時期に来て
おり、当該見直しに併せ、本来、県立美術館として保有すべき展示機能の充実等を図
る必要がある。
○全国的にはもちろんのこと、本県と同程度の経済規模の県と比較しても展示スペース
が1/3であることなどから、現状の芸術会館は県立美術館として十分な施設とは言い
難い。
○心豊かな人生を過ごす上で芸術は欠かすことのできないものであり、大分県の未来
を担う子どもたちが、美術に触れる機会を常に確保し、子どもたちが美術を楽しむき
っかけとなるような様々なプログラムを展開することにより、子どもたちの情操教育を
進め、豊かな感性と創造性を育むとともに、子育てを行う親の精神的な安らぎや喜び
をもたらしその満足感を高める必要がある。
○県民の財産として4,500点、購入金額38億円、寄贈等36億円、合わせて70億円を超え
る収蔵品を抱えるとともに、重要文化財2点をはじめ数百点に上る寄託品を預かってい
るにも関わらず、その一部も常設できないという大きな課題を解決する必要がある。
○他県で行われるような、世界的な名画展等が、芸術会館の施設面や予算面の制約等
から開催できないなど、県民が質の高い美術に触れる機会を十分には提供ができてい
ない。
②本県出身の美術関係者のポテンシャルは高く、その特性を将来につなげていく
○これまでの美術関係の人材輩出や現在の県出身の美術関係者の状況等を勘案した場
合、本県美術関係者のポテンシャルは極めて高く、そのような県出身者の持つ良好な
特性を、将来にわたり、しっかりと守り育てていく必要がある。
○本格的美術館の建設は、芸術会館建設以前からの大分県美術関係者の悲願である。
③地域活性化や観光面での大きな効果が期待される
○県民が誇れる文化施設として美術館ができれば、まちづくりの顔となる中核的な公共施
設として、県民の利用はもとより、県外からの来訪者にも楽しんでもらえる新たな観光
資源ともなり得る。
④大分市美術館では代替は困難
○大分市出身者を中心に約2,000点、40億円を超える貴重な収蔵品を抱える大分市美
術館(常設室1,020㎡。企画室860㎡)に、県収蔵品の収蔵・常設などの県立美術館の
代替機能を期待することは、物理的に困難と思われる。
-6 -
県立美術館の必要性(意義)
文化芸術は人間に多くの恵沢をもたらすものです。人々の感性に訴え、深い感動を与えて、
人々を様々な活動に導き、その文化のエネルギーが社会経済に影響を与え、新たな活力をも
たらします。
また、大分県は、「子どもたちの挑戦や自己実現を支える大分県」づくりを目指しており、子ど
もたちの豊かな感性や創造性を育むことは極めて重要であると考えています。
大分県では、県立芸術会館が県民の文化芸術活動の拠点施設としての役割を担ってきまし
たが、現在では、前章のとおり多くの課題を抱えるに至り、一つの役割が終わったものと捉えて
います。
しかしながら、芸術会館がこれまで収集してきた多くの質の高い収蔵品や大分の美術を紹
介すること、文化勲章受章者を多く輩出するなど県出身者の持つ良好な特性を将来にわたり、
しっかりと守り育てていくことなどは大事なことです。
そのためには、芸術会館が抱える諸課題を解消するとともに、これまで芸術会館が担ってき
た役割を継承する県民の文化芸術活動の拠点となる施設が必要です。
1.県の文化芸術の中心(センター機能)拠点として
○これまで収集してきた多くの質の高い収蔵品があり、大分の美術を紹介する県立美術
館として、県民に親しまれ大分の顔となり、大分の美術を牽引していく場としての役割を
担います。
2.明日の大分を築く心豊かな人づくりのための拠点として
○大分県の明日を担う子どもたちの豊かな感性と創造性を育んでいくためには、文化芸
術の果たす役割は極めて大きいと思います。そのため、子どもたちの美術に触れる機
会を確保するとともに、豊かな感性と創造性を育む夢のある楽しい場としての役割を果
たしていきます。
3.本県出身者の特性を将来につなげていくための拠点として
○文化勲章受章者を多く輩出し、「高山辰雄賞ジュニア美術展」には県内の幼・保・小・中
・高の児童、生徒を対象に約 11 万 5 千点の応募が寄せられるなど、本県の美術ポテ
ンシャルは高いと考えられ、そのような県出身者の持つ良好な特性を将来にわたり、し
っかりと守り育てていく場としての役割を果たしていきます。
4.地域活性化やまちづくりの顔となる中核的な拠点として
○地域の文化力を高めるとともに、地域の活性化に役立つ県民に密着した場所としての
役割を果たしていきます。また、優れた芸術を県内のみならず、県外、国外へも発
信する情報・交流拠点としての役割も果たしていきます。
-7 -
県立美術館の機能
1.機能とデザインの調和
○建築の善しあしは、美術館の評価に大きく関係します。周囲の街と調和の取れた魅力ある
外観を持ちながら、美術館としての個性と機能性を備えた親しみのある建物、来館者がワ
クワクするような仕掛けのある建物となるような配慮が求められます。先進事例の状況な
どを踏まえると、延べ床面積は少なくとも11,000㎡程度が必要と考えます。
【延べ床面積】
芸館(現状)7,302㎡(ホール棟除き4,672㎡)
1県1施設平均10,843 ㎡
平成以降平均11,012㎡
青森21,222㎡
広島19,926㎡
宮城15,203㎡
石川12,290㎡
静岡12,262㎡
岡山12,208㎡
高知11,724㎡
千葉10,664㎡
三重10,656㎡
宮崎10,333㎡
長崎10,092㎡
福島9,690㎡
2.展示機能
○展示スペース
幅広い美術芸術との出会いは、大分県の未来を担う子どもたちの豊かな感性と創造性
を育むとともに、多くの人々に安らぎや感動をもたらします。県民が質の高い本物の芸
術文化に触れる機会を充実するためには、展示スペースを十分に確保する必要があり
ます。先進事例の状況などを踏まえ、少なくとも3,000㎡程度が必要と考えます。
芸館(現状)1,234㎡
1県1施設平均2,975 ㎡
平成以降平均3,046㎡
青森5,054㎡
静岡4,251㎡
広島4,093㎡
石川3,291㎡
岩手3,187㎡
長崎2,993㎡
山梨3,818㎡
宮城3,551㎡
①常設展示スペース
芸術会館には、購入と寄贈による約4,500点もの収蔵品があります。特に、田能村竹
田を中心とする近世絵画、福田平八郎や高山辰雄など、大分県にゆかりの充実したコ
レクションを所蔵しています。また、寄託品として田能村竹田の重要文化財をはじめ展
示可能な作品を数百点を預かっており、これら県民の貴重な財産である収蔵品の一部
を常時展示することができる専用スペースが必要です。
-8 -
②企画展示スペース
観覧者が中に入ったときに日常から切り離されて、特別な空間に入るという期待感、ワ
クワク感を感じるとともに、あらゆる形態・大きさの作品にも対応できる空間を確保する
ことが必要です。これは、常設展示スペースにもあてはまります。
③県民ギャラリーとしてのスペース
多くの美術関係者が待ち望む県民ギャラリーとして、グループ展やワークショップなどの
成果発表ができる貸し出し可能なスペースが必要です。県民ギャラリーに隣接して、主
催者控え室や少人数のレクチャースペース等があればさらに機能的になります。
○その他効果的な展示に必要な設備
展示室内を24時間一定の温湿度に管理できる空調システム、調光機能のついた照明、
可動式壁面(パーテーション)などは、最近建設された美術館に標準的に整備されてお
り、展示室の機能として備えておくべきだと考えます。また、低反射ガラスを用いたウォ
ールケースの設置についても増えており、検討の余地があります。
3.収蔵機能
○収蔵庫のスペースと必要な機能
収蔵品を適切に管理できる十分なスペースを確保するとともに、耐震・免震機能や十分
なセキュリティ機能を持つことが必要です。文化庁文化財保護部が示した「文化財公開
施設の計画に関する指針」によると、収蔵庫の床面積は、展示室の床面積の半分を目
安とするが将来を見越して十分なスペースをとることが望ましいとされています。また、
本県の特性である豊後南画、竹工芸品等の収蔵品の保管には、湿度調整が可能など
独立した収蔵庫が望ましいことなどを考慮すると、他県平均よりも大きくなるが、収蔵庫
にはおおよそ1,500㎡程度が必要と考えます。さらに、収蔵庫周辺には、梱包材の収
納庫や荷解き場、資料を写真撮影するための場所を確保するとともに、作品等の搬出
入にあたって、十分なトラックヤードと搬出入口を確保する必要があります。
芸館(現状)685㎡
1県1施設平均1,039 ㎡
石川2,232㎡
平成以降平均1,039㎡
広島1,580㎡
山梨1,470㎡
沖縄1,206㎡(博物館・美術館)
-9 -
岩手1,457㎡
埼玉1,352㎡
4.教育普及機能
○子どもたちの芸術との出会いの場、高齢者等県民の生涯学習の場として、多彩な活動
が展開できる機能を確保する必要があります。具体的には、ワークショップや造形活動
など様々な活動の展開を可能とするアトリエや講堂・会議室、美術に関する図書コーナ
ーの設置などが挙げられます。図書コーナーでは、年報や紀要、図録などを発行、販
売できる仕組みづくりの検討も必要です。
5.県民が気軽に立ち寄れる憩いの場や交流の場としての機能
○さまざまな人々の交流の場としてゆったりとくつろぐことができるロビー等のオープンス
ペースやカフェ等の憩いの空間が必要です。また、ミュージアムショップなども設置する
ことが望ましいと考えます。
6.ユニバーサルデザインや地球環境への対応
○多様な人々が利用する施設として、ユニバーサルデザインをはじめ、地球環境に優し
いエコにも十分に配慮する必要があります。例えば木材は、人に潤いや温かさ、柔らか
さを感じさせる素材です。コンクリートと比べても十分な強度と衝撃を吸収する適度な柔
らかさと弾力を合わせ持ち、熱を伝えにくいという断熱性能に優れ、湿度を調整する特
性を備えている点はランニングコストを抑えることにつながります。また、メンテナンスの
容易さなどにも配慮が必要です。
7.情報発信機能の充実
○ホームページを活用し、収蔵品情報の検索など、いわゆるバーチャル美術館のような
機能や県立美術館にふさわしい情報発信機能を持つことが望まれます。資料のデータ
ベース化を進めるなど、多様な情報通信技術・メディアを活用して積極的な情報発信が
望まれます。
8.時代の流れに対応できるフレキシビリティ
○県民の様々なニーズや芸術の表現方法の変化などにも対応できるフレキシビリティが
これからの美術館には求められます。
- 10 -
県立美術館のコンセプト
大分らしい美術館「自分たちの応接間」
○大分には美術も音楽も過去から蓄積されたものがあります。「大分スタイル」のどこにも
ない美術館を生み出すだけのポテンシャルを備えています。県民の皆さんに美術館に
親しんでもらうためには、美術館が生活の延長にあり誰もが利用しやすい場所であり、
その一方で、体験する誰もが普段の生活とは異なった楽しみや感動を得ることができ
る場所であることが求められます。そこには、自分たちが参加できる企画もあれば、見
に来る、聞きに来る参加の仕方や自分たちが何かを手伝う参加もあります。いろんな参
加のかたちを提供することで地域に密着し、県民の皆さんに「自分たちの応接間」だと
思っていただけるような美術館を目指します。
「成長する」美術館
○子どもたちは柔らかいスポンジです。非常に素朴で素直に何でも吸収していきます。そ
の子どもたちに創造の楽しさを経験してもらう場所としての役割を果たし、次代を担う大
分の子どもたちの感性や創造性をはぐくみます。また、高齢者を対象にした企画を実施
するなど、県民の皆さんの生涯教育の場所としての役割を果たします。県立美術館も
一つの大きなスポンジのように、いろんなことを吸収し、次代を担う大分の子どもたちや
県民の皆さんと一緒に成長していきます。
「四季を感じる」美術館
○大分県には全国に誇れる多様で豊かな自然があります。その豊かな自然に囲まれて、
県内には美術館や文化施設が各地に点在します。県内の美術館や文化施設を組み合
わせて巡れば、それは「芸術の旅」となります。旅の途中で見る風景は、高山辰雄や福
田平八郎などの芸術家を輩出し、題材にされてきた大分の自然であり、同時に自然の
キャンバスに描かれた作品でもあります。県立美術館を中心に水の波紋のようにネット
ワークを拡げ、大分の四季を感じることのできる美術館を目指します。
「五感を刺激する」美術館
○美術館の来館者は自分の世界が日常から切り離されて、そこで特別の世界、異空間に
入っていくというような期待感・ワクワク感を膨らませて訪れます。県民の皆さんが美術
館に足を運び、絵画や彫刻を観る。それが音楽と結び付く場合もあるし、映像としてつ
ながっていくような可能性があります。人間の五感というのは芸術全般をお互いに感じ
合うほどに繊細で、それでいてキャパシティーの大きいものです。県立美術館は常に訪
れる人の五感を刺激する場所であり続けることを目指します。
- 11 -
県立美術館のコンセプト
大分らしい美術館
「大分スタイル」のどこにもない地域の美術館
県民が「自分たちの応接間」と思える美術館
「成長する」美術館
インタラクティブな活動
相互に作用する活動が生まれてくる
美術館
「五感を刺激する」美術館
「四季を感じる」美術館
イメージ例:「竹」
- 12 -
美術館の整備の考え方
1
想定される対応案
○現在の芸術会館については、第1章で現状と課題を検証した結果、一つの役割が終わ
った、県立美術館として十分ではないと総括しています。それを踏まえると、今後の対
応については以下の3つのパターンが想定されます。
①芸術会館のリフォーム
芸術会館のホール棟を展示棟にリフォームするなど美術館機能に特化します。初期
投資が少なく済み、用地や跡地利用の問題がなくなる一方で、芸術会館展示棟の機
能面の問題が解決しない、芸術会館展示棟の老朽化への対応が引き続き必要とな
る、立地環境が変わらないなど、多くの課題が残ります。そのため、リフォームには
限界があると捉えています。
②現在地に美術館を整備
老朽化の進む芸術会館全体を解体し、同地に美術館を整備します。用地や跡地利
用の問題が無く、新たな公共施設としてまちの顔となると考えられます。問題点とし
ては、2年間程度の休館期間とその間の収蔵品の管理問題が発生します。また、立
地環境が変わらないままでは、人が集まりやすい仕組みができていないという根本
的な問題が課題として残ります。リフォームも含めて現在地での新しい県立美術館
の構想は、避けた方がよいと思います。
③別の場所に美術館整備
芸術会館を廃止し、別の場所に美術館を整備します。この場合、あらゆる面で選択
肢が広く自由度が高くなるとともに、新たな公共施設としてまちづくりの顔となります。
課題としては、初期投資が過大となる、用地が必要となる、芸術会館廃止に伴う対応
が発生するなどが挙げられますが、多くの人たちが利用しやすく、周辺環境にも調和
した新たな県立美術館を整備した方がよいと思います。
- 13 -
2
立地条件の検討
○新美術館のコンセプトを踏まえて、その目的や機能を十分に発揮させるため、立地場
所の選定に当たっては、次のような条件を考慮する必要があります。
①施設・敷地の規模
概ねの施設規模としては、延べ床面積は少なくとも11,000㎡程度は必要と考えま
す。また、敷地規模については、上記施設規模の建物が建築可能な敷地が必要とな
りますが、用地の取得や借り上げが現実に可能か、また、コストがかかり過ぎないか
という実現性はもちろんのこと、基盤整備との連携や地域再生などまちづくりの観点
からの効果が期待できるかということについても考慮することが望まれ、これらを総
合的に比較検討を行い選定する必要があります。
②文化芸術振興拠点や教育機関等との連携
県立美術館には、本県の文化芸術の中核施設としての役割を果たすことが期待され
ています。そのため、県内各地の文化施設や県立芸術文化短期大学をはじめとした
県内他大学等との連携を図る上で、ネットワークの中心となる場所であることが望ま
れます。
③多くの県民が利用しやすい場所
公共交通機関や幹線道路及び周辺道路など、高いアクセス性を備えた場所であるこ
とが望ましいと考えます。貴重な収蔵作品はありますが、それを見に来るだけでは人
は集まらないと思います。周辺に他の集客施設がある場合には、気軽にちょっと素
敵な空間で時間を過ごしてみようというお客様が増え、より高い相乗効果が期待でき
ます。駐車スペースについては、共通の駐車券など発行して周辺の駐車場を利用す
るということも考えられます。
④本県を訪れる観光客にも利用しやすいこと
これまで収集してきた大分出身の芸術家の優れた作品などを広く紹介するため、県
内のみならず県外や国外から訪れる観光客等にとっても立ち寄りやすい場所である
ことが望まれます。そのためには、大型観光バスなどのための広い駐車スペースが
必要になるかもしれません。しかし、話題性があり、すばらしい美術館であれば他の
交通機関を利用してでも訪れると思います。
⑤美術館の目指す方向性(成長し、四季を感じ、五感を刺激する)と調和の取れた場所
美術館に望まれることは、五感を刺激するような日常と違った空間に出会えることで
す。そういう空間に日常的に気軽に来館できる場所であることが望まれます。また、
全国に誇れる大分の多様で豊かな自然を体感できる場所であることも大事です。市
街地に近く、緑あふれる場所に立地できれば、県民の感性も育まれ、四季の移ろい
- 14 -
を感じ、大分の収蔵作品もさらにいきいきとして共に成長していけると思います。さら
に、留学生比率日本一という特性を活かし、アジア諸外国へ向けて発信することも大
切です。いずれにしても地域に密着し、県民の皆さんに「自分たちの応接間」だと思
っていただけるような美術館の立地が実現可能な場所であることが望まれます。
⑥建設可能な用地の検討
芸術会館は、第1章で検証したとおり築後30年以上が経過し老朽化が著しく、施設
の存続について早急に結論を出す必要があります。そのため、別の場所に整備する
場合、円滑な整備を進めるため、用地取得の必要のない県有地、もしくは、用地の
取得が容易であるとともに、取得後直ちに工事に着工できる場所であることが求めら
れます。
3
整備手法
○よい建築の実現のためには、最適な設計者の選定が必要です。設計者の選定方法と
して、コンペ方式とプロポーザル方式が考えられます。
①コンペ方式
「設計案」を選び、その提案者を設計者に指名します。設計条件などをあらかじめ発注
者が提示します。具体的な「設計提案」作成に必要な時間と応分の費用を発注者が用
意します。長所としては、具体的な設計提案が提出されるので、設計者のデザイン能力
を評価できる、中小設計事務所から大手事務所まで幅広い設計者の参加機会が得ら
れるなどが上げられます。短所としては、発注者が利用者の意見を設計条件に取り入
れるなど、コンペの事前準備に時間が必要となるといった点が上げられます。
②プロポーザル方式
設計体制、実施方法、これまでの実績、プロジェクトに対する考え方などの技術提案書
を求め「設計者」を選びます。具体的な設計提案は求めず、組織と人を選ぶことを目的
とします。技術提案書作成に必要な時間と費用が軽減されます。長所としては、コンペ
に比べると発注者が詳細な設計条件を設定しなくて良い、設計者選定後の設計作業に
利用者の意見を取り入れる自由度が高いなどが上げられます。短所としては、実績や
人員の多い大手組織事務所が比較的有利となる、主に書面による技術提案書の評価
であるためデザイン能力の評価がしにくい、といった点が上げられます。
○プロポーザル方式は技術提案をするもので、1級建築士の数や過去の同等の工事実
績などを点数化されて評価されるため、実績や人員の多い大手組織事務所が比較的
有利となります。その一方で、今後何十年と続く次世代のための美術館を建設するの
であれば、次世代の若手建築家に設計のチャンスを与えてほしい、若いフレッシュな才
- 15 -
能を試す機会を与えてほしいという思いもあります。どちらの方式にしても、施主である
県民の声を代弁する県と十分な意思疎通を持ち、県民の思いに十分に耳を傾け、施工
後の責任も果たせる設計者に関わってもらいたいと思います。
4
新たに整備する場合の芸術会館の取り扱い
○新たな場所に美術館を整備すると仮定した場合に、現芸術会館をどうするかという問
題については、大きく分けて県立美術館が開館するまでの期間と開館後の取扱いを検
討する必要があります。
①新しい美術館が開館するまでの期間
最低限必要な改修工事を行い、使用を継続することが望ましいと考えます。その場合
には、役割が低下し、老朽化の著しいホール棟については、展示棟と切り離してその取
扱いを早急に検討することも考えられます。
②開館後の取扱い
施設・設備の老朽化の状況によりますが、更地にして他の公共用地として活用する、財
産の有効活用のため売却することなどが想定されます。
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美術館の運営の考え方
県立美術館の管理運営のあり方
1
管理運営主体
○管理運営のあり方としては、県直営や指定管理者などの形態があります。指定管理者
制度を導入している先進県の状況を見ると、全ての業務を委託している美術館もあれ
ば、管理運営・広報の部門は指定管理者制度を導入し、学芸(企画展示)部門は県直
営のまま残している美術館もあります。指定管理者制度を導入するのであれば、専門
家を育てるためにも学芸部門は県が直営で行い、その展示企画がスムーズにいくよう
な運営を民間に任せる形態が望ましいが、いずれの運営形態をとるにしても、コンセプ
トに沿って最も効果的で効率的な運営方法を検討する必要があります。
2
館長やスタッフに求められる人物像
①基本的に館長は県内外に幅広い人脈があり、強いリーダーシップと経営感覚を持ち、
美術に対する基本的な知識とあらゆる芸術に対する感性を持った方。大分の地から若
い世代をはじめとして美術文化を育てようと努力する方、地域を巻き込んで美術を広め
るための企画力を有する方が望ましいと考えます。教育力を持ち、美術館スタッフや県
民と積極的に関り、大分県の美術のポテンシャルを引き出し発信できる人物を望みま
す。
②スタッフには、「学芸」「企画」「教育普及」「広報」など館運営の基本となる分野毎に、相
応の知識と経験を有するとともに、しっかりとした専門を持ちつつも偏りすぎず、様々な
県民のニーズに応えられる柔軟性を持った人物を望みます。表現者としての経験のあ
る学芸員、教育者として才覚のある学芸員を強化し、大分の美術を世界に発信すると
ともに若い才能を育てることが必要です。
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3.展開する事業活動
○資料の収集と保管、活用
コンセプトに基づき、計画的な資料の収集を行うとともに、収集した資料は、常に安全で
良好な収蔵環境のもとで保管し、貴重な財産として次世代に引き継いでいきます。収蔵
資料の目録等を整備し、多くの人々が資料を活用できるようにし、収蔵資料を効果的に
活用するために他館との間での資料の貸借を積極的に進めていく必要があります。
○調査・研究
コンセプトに基づいた調査・研究を行い、その成果を地域社会はもとより幅広く人々の
活動や学術的な研究に役立てます。美術館の機能向上を図るため、展示や教育普及
活動とともに管理運営などに関する調査・研究も積極的に行う必要があります。
○展示、教育普及活動
コンセプトに基づいた展示や教育普及活動のための方針を定め、所蔵資料の特色を生
かして、計画的に常設展示を行います。特別展、企画展を開催するにあたっては、社会
状況や県民のニーズを考慮します。展示については、学芸員やボランティアによる展示
解説を実施するなど、誰もがわかりやすく楽しむことができるように配慮するとともに、
外国人、高齢者、障がいのある方等の利用にも配慮します。展示や所蔵資料に関連し
た講演会や講座などを積極的に実施し、県民の多様な学習活動を支援するとともに、
県立芸術文化短期大学をはじめとした県内大学や大分県芸術文化振興会議等と協力
して、子どもたちの心をとらえて離さない、魅力あるプログラム作りを積極的に進めてい
く必要があります。
○県民の参画
県民の意見を美術館運営に反映させるため、利用者や関係者が参画する協議会など
を設置するとともに、利用者のニーズや満足度を把握するアンケート調査などを実施し
ます。県民の皆さんには、県立美術館のことを「自分たちの応接間」として、館運営など
に積極的に参画してもらうことが大切です。
○若手芸術家の育成
大分県の持つ美術ポテンシャルを持続的に開花させ続けていくため、コンクール展を開
催するなど、若手芸術家の育成や情報発信の仕組みづくりを構築する必要がありま
す。
- 18 -
4
関係機関等との連携のあり方
①教育機関との連携
○生涯学習社会が定着しつつある中にあって、子どもの頃から芸術に触れ、関心を持
つ機会をつくることは極めて重要であることから、特に、学校との連携事業に力を入
れる必要があります。また、地域の子どもが芸術に触れる機会に格差のないように、
学芸員を学校等へ派遣したり資料等を提供することにより、地域の小・中・高生の感
性や創造性を育むことことが必要です。さらに、県内大学との連携を図り、子どもたち
が創造の楽しさを経験する場としての役割を果たすことが求められます。
②市町村との連携
○例えば、県立美術館をホールディング会社的コア館、県内の市町村が抱える展示可
能な文化施設をパートナー館と位置付け、所蔵品をパートナー館でも展示できるよ
うなミュージアム・ネットワークを構築することにより、県内を広くカバーする作品紹介
が可能となることから、市町村との連携を強化していく必要があります。また、市町村
文化担当者の美術館研修や公民館文化サークルへの美術館スタッフによる出前講
座などにより、市町村との情報交換、指導を積極的に行う必要があります。特に、大
分市美術館については、所蔵品の貸借や共同調査などで相互に協力できる部分の
連携を十分考慮する必要があります。
③ボランティアの育成・連携
○地域のボランティア・リーダーを育成・配置することにより、よりきめ細かで中身の濃
い教育普及事業が展開できるようになることから、県内全域をカバーできるようなボ
ランティアネットワークを構築し、連携を進めていく必要があります。また、学生ボラン
ティアを募集して出張美術教室やワークショップなどを実施し、大学ではこのような活
動実績を単位化するなど、ボランティアの観点からも県内大学と積極的に連携を図
る必要があります。
④企業や商店街等地域との連携
○企業や商店街をはじめとした地域とのつながりを大切にし、商店街の空き店舗や通
りを利用した若手芸術家やアマチュアの展覧会・個展の開催や、商店街で買い物を
したら美術館の割引券がもらえたり、逆に美術館を利用することで商店街共通の駐
車料金のサービスを受けられるといった、様々な面で地域に密着した取組を推進し
ていく必要があります。
- 19 -
基本構想(素案)
各委員の意見
市町村との連携は積極的に行って欲しい。その土地で育まれた作品をその土地で展開
していく事はとても意味深いと思う。それぞれの市町村が抱えている文化施設の問題点も
合わせて改善の方向へ導いてくださると有難い。出張講座などはおおいに行って欲しい。
空き店舗の、アートの表現の場としての利用は、市民の意識改革にも繋がり、とても良
いことだと思う。芸術を身近に感じるチャンスでもある。
今まで機会を得なかった市民が、賛同しやすい体制を提供する事が、県美術館の永遠
のテーマだと思う。〔以上板井委員〕
全体として、委員会での議論に立脚して、スマートにまとめられていると思います。この
内容通りの美術館ができれば、日本に誇るものとなり得るでしょう。
ただ、予算的な制約から規模や機能に制約を受けるとした場合、優先順位を決めてお
くことは必要だと思います。どの機能も少しずつ落とすようなことになると、「帯に短しタス
キに長し」の中途半端な代物になる恐れなしとしません。
床面積の点では、全部をワンフロアにするというのはベストですが、洋画や彫刻のよう
に高い天井を必要とする部屋と、掛け軸や浮世絵等のように、あまり高い天井高を要しな
い部屋を組み合わせれば、複数階の構造も考えられると思います。それによって土地の
面積も稼げる可能性もあり、むしろそのあたりを建築家のアイデアを競わせては如何でし
ょうか。
最後発に近いところでの県立美術館ですので、既存の実績を有する事務所に依頼する
のではなく、将来性の高い可能性に賭けて、若手建築家を対象とするコンペにすることを
強く主張します。計画段階での効率性を優先するあまりに、これから最低でも数十年は活
躍して貰わなければならない施設であることを考えて、先駆的な取り組みをしていただき
たいと思います。
ロケーションを決める権限がないことは分かっていますが、県立美術館である以上、県
民のアクセスが便利な大分駅周辺(徒歩10分以内)以外にはあり得ないと思います。
さて、今回参加させていただいた県美構想委員会は、様々な立場、キャリアの方々が
集い、極めて率直でそれぞれに良く考えられた意見の応酬ができたと思います。また、各
会合のあいだに、県の所管部の方々が、話題に上がった他所の調査を地道に、且つ的確
に行ってくださったのは、素晴らしい熱意だったと、心から感謝の意を表したいと思いま
す。
皆さんの意見をもれなく聞いて、盛り沢山の意見の中から浮き彫りにされた今回の最終
案は、一つ間違えば総花的になる恐れもあります。優先順位と申し上げたのはそのため
ですが、何れにせよ、素晴らしい内容のまとめであり、これから先、期待を込めて次のステ
ップの結果を待ちたいと思います。
- 20 -
メンバーの一人に加えていただいたばかりでなく、副委員長という重責を担わせていた
だき、心から感謝の意を表したいと思います。〔以上中山委員〕
よくまとめられていると思います。ただ「竹」というテーマについては、もう少し議論があ
ってもよかったのかもしれません。〔山口(真)委員〕
美術館のコンセプトに、「竹」をテーマとした美術館という具体的な事例が提案されたこ
とで、「成長する」「四季を感じる」「五感を刺激する」など全てのコンセプトに連動するよう
な働きが生まれ、大分らしいすばらしいコンセプト案が出来たと思います。また、美術館の
機能や整備・運営などについても、より具体的な美術館像をイメージすることができ、それ
ぞれの機能が最大限に活かせるような新たな整備地が確保され、県民の誰もが親しみや
すく誇りに思うような県立美術館が実現できることを願っています。〔山口(正)委員〕
- 21 -
「第3章
県立美術館の機能」について
望ましい美術館(建物)像や建築設計の留意点について
各委員の意見
入館すると、竹をイメージした広々とした空間が広がる。
大きなガラス越しに見える緑。時にはその緑をバックに、演奏会が催される。
天井は高く、まるでコンサートホールを連想させるような空間。
竹のアーチを辿って行くと、おしゃれなカフェ、ライブラリー、ミュージアムショップが併設
されており、わくわく感がさらに増す。
ショップには他県にはない竹を使った作品(小物:ステーショナリーなど)があると良いと
思う。〔以上板井委員〕
美術館の象徴となるシンボルマークやシンボルカラー、ロゴなどデザイン分野におい
て、一流のデザインにプロデュース願いたい。建物は不動であるが、美術館のパンフレッ
トやH.P.、ミュージアムショップのグッズや買い物袋や半券は国内外に散っていくので、そ
れ自体が広告塔となる付加価値の高いデザインを望む。
例えば教育普及機能についてですが、ワークショップのための工房の設置などは、何
室設置が必要かなどということを、現況の調査からデータとして割り出して欲しい。現在、
ワークショップを開催しようとしても、設備状況や使が合致せず、適当な場所の確保が難
しい場合もある。工房の設備(例えば子どもが思いっきり走り回れる、大きな声を出すこと
ができるなど、その他版画や陶芸、水場、音響など)もどの程度整えるのかについても具
体的な意見を伺いたい。
美術館内に設置する飲食店と協力し、残飯を肥料にして、館内の畑で野菜や果樹を栽
培する。畑ができなければ、肥料を来館者に無料で分ける。これをワークショップとして教
育活動に発展させることもできないだろうか。先端技術を駆使したエコ機能の他にも私た
ちの身近な生活から始めることができるエコとして啓発できないだろうか。
竹をテーマにするのであれば、建築設計の段階から、床板や照明、紙素材や布素材、
各備品なども竹を活用してほしい。各竹製備品のコンペを企画すれば、美術館ができる前
から内外に美術館のテーマをアピールできる。〔以上佐藤委員〕
- 22 -
どこかの美術館などの具体例があればよかったのですが、これまで出てきた案をさらに
具体化するには、予算や場所などがもう少し具体化させることも必要な気がします。現段
階では、やや抽象的な段階にとどまっても、これまで議論した案を枠組みとして残しておく
ことも一つの方法かと思います。〔山口(真)委員〕
新たな美術館の整備地環境によって建物自体の意匠も異なってくると思いますが、大
分らしい、県民の誇りとなるような美術館であってほしいと思います。コンセプトとして「竹」
をテーマとした美術館ということで、建物の外観については、竹がもつしなやかさや広がり
のようなものをイメージした美術館像が出来ればと思います。また、建物内部についても、
通路や照明など竹を効果的に使った特色ある空間が出来ればと思います。特に建築設
計で留意することは、出来るだけ自然光を取り入れた広がりのある展示室と、床面につい
ては作品の反射を防ぐため光沢の少ない床材を使ったほうがよいと思います。
また、エコ対応として、竹林の間伐材使用やソーラーパネルの活用など考えられると思
います。建物の例として、九州国立博物館の外観はシンプルでありながら、博物館(美術
館)として誰もが親しみが持てる美術館の姿ではないでしょうか。〔以上山口(正)委員〕
1
外観等について
竹文化をコンセプトの柱の一つとするには、建築場所がたとえ都市空間であっても、館
内外に生竹の植え込みが是非欲しい。
植え込みスペースには、県内の竹サンプル紹介コーナーの設置も。
2
竹文化の継承について
身近な自然材としての竹の良さを見直し、これを積極的に生活に活かし竹文化をより深
く味わう態度・習慣の形成を目指す。このため、子どもの時から竹文化に関する学びの場
面をワークショップなど多面的に用意し、発達段階に応じた体系的な展開を図るなど、他
県に無い魅力的・特徴的な美術館運営。またそのための施設設備も必要となろう。
3
市美術館との連携について
子どもたちのための展覧会やワークショップで、テーマ性や目的の共通するものは、県
立と市立の連携を図り、例えば第1会場、第2会場又はその1、その2などとより広がり、
より深まる展開が出来ると良い。
このための美術館連絡バス等の運行も企画したい。
4
その他
館内ガイド、鑑賞ボランティア、身障者・高齢者対応などボランティア用控え室が必要に
なると思います。
〔以上渡辺委員〕
- 23 -
「第4章
県立美術館のコンセプト」について
「竹」というコンセプトについて
各委員の意見
竹の特質を利用した活動を通して、学校教育における各教科での学習が可能であると
いう資料を(記憶はあいまいだか尋常小学校時代?)目にしたことがある。工芸美術品と
しての存在が強調されるが、新しい竹の価値の創造、あるいは再発見ができれば、教育
教材や産業への発展や大分発の知的財産となるのではないか。
“葛に始まり竹に終わる森の一生”と聞いたことがある。竹山を通して調和ある自然の
姿や、原生林と里山の違いやエコの本質とは何か(科学技術だけではなく、日本人と自然
の関りやもったいないという気持、他者への尊厳、生かされている自分)を体験学習する
場となる。〔以上佐藤委員〕
1、2、3のイメージは大変良いと思いますし、コレクションやイメージを具体化するマス
コット的存在として「竹」はよいと思います。が、大分県立美術館としてあまり「竹」ばかりが
前面に出てしまい、「竹」に限定された特殊な美術館のような印象を与えると、多様な大分
県立美術館のイメージを損なう可能性もあるので、使い方を工夫する必要はあると思いま
す。〔山口(真)委員〕
大分らしいコンセプトということで、事務局提案による「竹」をテーマとした美術館は、大
分県の特質を表し、将来的にもさまざまな可能性が期待できるすばらしいコンセプト案だ
と思います。実際に、竹を使った竹工芸は大分独自の芸術文化として高く評価されて来ま
したし、県内各地で催されている竹を使ったイベントも年々拡大しているようで、既に県民
の誰もが親しみのある素材として生活に根付いた地域文化になっています。また、最近で
は現代美術や若手工芸作家による新たな表現作品も多く見られ、アジア・欧米の美術館
やコレクターからもその関心は年々広がっていて、竹のもつ可能性は無限大∞に広がっ
ていくと思います。 〔山口(正)委員〕
- 24 -
「第5章
県立美術館の運営」について
①大分市美術館と相乗効果を上げるための連携のあり方や役割分担、県立美術館と
しての役割等について
各委員の意見
県立美術館と市立美術館の共通チケットや共同年間パスポートなど、マネッジメントの
上で協力することでそれぞれの組織のスリム化が可能である。また、両館を行き来できる
バスや自転車を設置する、両館が企画して一つの事業を行う、ボランティア教育などは合
同開催する、学術研究を共同する、などである。前提としてそれぞれのスタッフの十分な
交流と行政側の柔軟な姿勢が求められる。どちらが主導権をとるかではなく、新しいチー
ムや対策室を設立し、同じ目的を持つ同志であってほしい。〔佐藤委員〕
大分市美術館との連携は、共通したテーマでの開催など方法はいくつかあると思いま
す。特に新しい美術館の設置場所によって可能になるものとならないものが出てくると思
いますので、場所の議論と合わせて考える必要があると思います。〔山口(真)委員〕
大分市美術館との連携のあり方として、出来るだけ県と市の垣根を無くした、お互いの
コレクションを共有するような展覧会の開催や、また、県美展など出品作品の多い展覧会
などは、アートプラザも含めて、それぞれの館の特色を活かした展示や活用が出来れば
思います。県立美術館の役割として、大分県の芸術文化の豊かさを紹介し、新たな価値
を創造する美術館であってほしいと思います。 〔山口(正)委員〕
- 25 -
「第5章
県立美術館の運営」について
②子どもたちの挑戦や自己実現を支える機能や事業展開として、県内大学との連携
(具体的なイメージ)、大分の美術ポテンシャルを維持発展させる事業展開、若手
芸術家育成機能等について
各委員の意見
今子どもを対象にしたワークショップや体験学習は驚くほど多い。いくつかに参加させて
もらったが、行政、各学会やNPO法人、企業主催など様々である。美術館でしか体験でき
ない付加価値の高いものを望む。一方、高齢者にこそゆっくり美術を体験する機会を持っ
て欲しいとも思う。時間に余裕があり、精神的に豊かな老後を送りたいと考える高齢者は
多い。
また、ターミナルケアを受けている方や難病の方は、限りある時間を心豊に過ごしたい
と切望している。芸術は心の拠り所となりうるのである。芸術の真価が最もわかる方たち
ではなかろうか。是非、触れる機会を作って欲しい。出前美術館として学校現場に出向く
ことがあるが、介護施設や病院にも活動の場を広げて欲しい。
若手芸術家の才能に気づき、励まし見守ることがこれからの学芸員には必要であろう。
大分のように美術産業がほとんどない地方ではその責任は重い。事業としては、まず大
分県立美術館の学芸員が評価した作家なら確かだろうという信頼を築くことである。各美
術系大学や学科とも密な連携を取って欲しい。〔以上佐藤委員〕
こども・若手芸術家の育成について、①県内の学校の授業等を利用した普及活動(県
内の美術系の大学生と一緒に)、②将来トップレヴェルの芸術家を生みだすことにつなが
るような、高度な講座や展覧会の開催をすることと、そのような活動を県内外にアピール
することも必要だと思います。〔山口(真)委員〕
福岡市美術館で行われている「21世紀の作家―福岡」シリーズ企画展のような、大分
県に在住する作家を対象にした個展形式による展覧会など、制作意欲の刺激に繋がるよ
うな事業展開が出来たらと思います。 〔山口(正)委員〕
- 26 -
「第5章
県立美術館の運営」について
(参考)芸術会館
1.新県立美術館の役割
○「収集・保存」「調査・研究」「展示・公開」など美術館としてベースとなる事業の充実
○県内展示施設のハブ館として、ひろく県民にサービスを提供できるネットワークの構
築
○多様な価値との「出会いの場」としてのギャラリー機能の整備
2.大分市美術館との「棲み分け」と「連携」
○大分県は、豊後の国の昔から「八藩七領」と呼ばれたように、歴史的、地理的に地域
ごとの独自性が強く、それぞれに特色ある文化を育んできている。新県立美術館とし
ては、県内のこうした多様性のある美術事象を運営の対象に活動を展開しなければ
ならず、大分市のみを対象とする市美術館とは、該当する所蔵品の貸借や共同調査
などで相互に協力できる部分はあるにせよ、県と市では自ずとその守備範囲は異な
る。
○大分市美術館は、基本的に常設展示と企画展だけで運営されており、市民ギャラリ
ーとしては別にアートプラザを設けて会場を貸し出しているが、広さ、機能ともに十分
とはいえない。新県立美術館としては、利便性の高いギャラリーを整備し、ひろく県民
に作品発表の場を提供することで、県内全般の創作活動の振興を図るべきである。
3.県内の大学との連携
○博物館のベースとなる事業のうち、「収集・保存」「調査・研究」については、近隣大学
等の研究機関に在籍する専門家と密接な協力関係を保ちつつ、新県立美術館にお
いて施設の拠点化を図り、業務を集約化していく必要がある。
○博物館のベースとなる事業のうち、「展示・公開」については、市町村と連携しつつ県
内の文化施設等での鑑賞機会を拡充するなど広域化を図る必要がある。こうしたサ
ービス網の展開においては、地元で美術館活動を支援してくれる地域ボランティアが
不可欠であり、そうした人材の育成にあたって、県内大学等での必要科目の履修、
ならびに学生の当該ボランティア活動の単位認定等の協力が得られれば効果的で
ある。
4.若手アーティスト育成のための施策
○県出身あるいは在住の若手アーティストを対象にしたコンクール展の実施
○美術館事業に関わるワークショップなど普及事業の講師として招聘
○市町村との連携によるレジデンス事業の展開
- 27 -
資
料
1
1.大分の竹材・竹工芸品の現況
○大分県は、マダケの生産量が全国一です。また、国の伝統的産業にも指定されている
別府竹細工や、全国唯一の竹工芸の人材育成機関が存在するなど、「竹」は大分を代
表する地域資源です。
【参考資料】
マダケ生産量
年次
(単位:千束)
1位
2位
3位
4位
5位
大分県
山口県
茨城県
滋賀県
福岡県
18
114
大分県
19
101
大分県
20
97
71
山口県
52
茨城県
44
45
茨城県
43
山口県
28
25
滋賀県
16
福岡県
25
京都府
15
福岡県
22
13
国の伝統的産業の指定
昭和54年
通商産業省(現
経済産業省)から「伝統的工芸品」の指定を受ける。
大分県竹工芸・訓練支援センター
竹工芸の技術者育成、試験研究のために、大分県によって設立された大分県工業
試験場別府工芸指導所(1954年大分県別府産業工芸試験所に改称)が前身。
職業能力開発校として、伝統的工芸品としての竹工芸並びに高齢化社会のニーズ
に対応できる、介護サービスの技術と専門的な知識を保持した人材の養成等を行って
いる。
2.県出身の主な竹工芸作家
生野祥雲斎
(1904~1974)
岩尾光雲斎
(1901~1992)
門田
二篁
(1907~1994)
市原華雲斎
(1916~1995)
別府市の生まれ。昭和42年、竹工芸で最初の重要無形文化財保持
者に認定される。昭和44年、紫綬褒章を受賞。
別府市の生まれ。長年にわたって別府の竹製品業界の振興・発展と
後進の指導・育成に尽力し、昭和47年勲六等単光旭日章を受章。
広島県福山市の生まれ。18歳の頃別府市で岩尾光雲斎に師事して
花籠を制作し、昭和55年伝統工芸士に認定される。
杵築市の生まれ。大阪で山口竹代斎に師事し、戦後は地元で制作。
昭和55年伝統工芸士に認定される。
- 28 -
3.芸術会館で開催した竹関係の展覧会(過去3年)
年
度
展
平常展Ⅰ
19年度
20年度
21年度
覧
会
名
四季の美を描く
開館30周年記念
コレクションの精華
平常展Ⅴ
工芸
その技と美
平常展Ⅴ
大分の伝統美
平常展Ⅴ 特集展示:動物や鳥を愛した作家たち
創る、出会う、拓く-竹の世界
4.芸術会館所蔵の主な竹に関する作品
分
野
作品数
主な収蔵品等
作家名
南
画
24
作
品
名
田能村竹田
「筍蕈図」、「梅花宿鳥図」
田能村直入
「竹渓幽客図」、「十長生図」
日本画
4
福田平八郎
「竹」
竹工芸
233
生野祥雲斎
「時代竹編盛籃 心華賦」
「ホールのための置物
その他
小
計
2
初代田辺竹雲斎
「古矢竹鎧綴花籠
飯塚琅玕斎
「果籃
待虎」
鈴木春信(浮世絵)、楢原長甫(漆芸)
263
- 29 -
梟将」、 「陽炎」
弥生」
資
料
2
1県1県立美術館22施設の概要(抜粋)
施設面積(主要施設)
(単位:㎡)
建築
延床
展示室
常設
大分県立芸術会館
4,345
7,302
1,234
区
大分県を除く21施設平均
6,084 11,012
2,975
1,407
1,146
744
1,039
6,519 11,551
3,046
1,420
1,087
621
1,039
うち建設が平成以降の15施設平均
企画
分
な
貸室
収蔵庫
し
685
※算出できる施設分(項目毎に施設数は異なる)
1県1施設平均の展示室面積は2,975㎡、収蔵庫面積は1,039㎡となっている。
施設面積(美術館付帯施設)
(単位:㎡)
実習室
アトリエ 講義室 講 堂
メディア ホール ビデオ室
ホール
大分県立芸術会館
大分県を除く21施設平均
うち建設が平成以降の15施設平均
施設数
185
142
166
184
141
305
324
462
187
245
89
280
246
531
5
6
9
9
3
6
スタジオ 図書室 書 庫 授乳室 託児室 コイン
50
3
ギャラリー
ロッカー
大分県立芸術会館
大分県を除く21施設平均
うち建設が平成以降の15施設平均
施設数
126
143
101
19
29
35
261
126
133
158
17
29
22
261
1
20
2
7
3
8
3
分 館 写真室
大分県立芸術会館
大分県を除く21施設平均
750
113
1
1
うち建設が平成以降の15施設平均
施設数
※算出できる施設分(項目毎に施設数は異なる)
図書室はほとんどの美術館にある。また、実技もおこなえる実習室及びアトリエが約半数に
あり、大規模な会議に対応する講堂や研修会に対応する講義室も半数近く付帯している。さ
らに、来館者の利便性に配慮したコインロッカーや授乳室も約3分の1の美術館に整備され
ている。
※このデータは平成22年1月に各美術館へおこなった照会に対する回答をまとめたものです。
- 30 -
資
料
3
芸術会館に使用されている吹付けロックウールの
石綿(アスベスト)含有調査の結果と対策について
1
芸術会館の吹付ロックウールの施工部位
棟 名
室 名
文化ホール
客席上部
舞台
展示室
第一展示室
(※)
第二展示室
吹付け部位
吹付け面積
天井内の鉄骨梁材
周囲の壁(コンクリート)
①天井内の鉄骨梁材
②天井内のスチールデッキ材
約3,730㎡
天井内コンクリート
(※)
第三展示室
(※)
収蔵庫
機械室
①天井内の鉄骨梁材
②天井内スチールデッキ材
天井のコンクリート
壁・天井のコンクリート
(注)吹付けロックウールの目的:耐火被覆、断熱、吸音など
(※)天井は、アルミのエキスパンドメタル
2
芸術会館のアスベスト調査の経緯と結果
1)平成17年度調査(基準値=1%)
調査結果:石綿(アスベスト)は含有されていない。(平成17年9月5日)
分析方法:「建築物の耐火等吹き付け材の石綿含有率の判定方法」 (分散染色法、X線回折法)
2)新基準での調査(基準値=0.1%、追加された3種類を含む6種類の石綿)
①通常分析調査結果(平成21年10月26日)
施設名
クリソタイル
トレモライト
文化ホール
0.82%
0.15%
展示室
0.49%
0.50%
機械室
0.49%
0.48%
分析方法:「JIS A 1481による分散染色法、X線回折定性分析法」
②アスベスト飛散調査(第1回)(平成21年12月30日採取)
結果:石綿繊維は検出されず。(測定限界値:0.5f/L)
分析方法:「JIS K3850-1による計数分析法」
- 31 -
③アスベスト飛散調査(第2回)(詳細調査)(平成22年7月5日採取)
結果:石綿繊維は検出されず。(測定限界値:0.1f/L)
分析方法:分析測定をより詳細に実施
④詳細分析調査結果(走査電子顕微鏡による詳細分析)(平成22年7月20日)
施設名
クリソタイル
トレモライト
文化ホール
0.88%
0.39%
展示室
0.41%
0.23%
機械室
0.62%
0.65%
分析方法:「JIS K3850-1空気中の繊維状粒子測定方法による走査電子顕微鏡法」を追加
⑤損傷・劣化調査(施設整備課)
所 見:現在は、気中濃度測定の結果から飛散はしていないが、経年による
劣化、損傷等により、飛散する可能性がないとはいえないため、早
期に対策工事を行う。
3
4
対策工事等の概要
(1)文化ホール
平成23年2月以降の施設利用提供を停止
(2)展示室
アスベスト除去工事を実施(平成23年2月~3月の間)
(3)機械室
アスベスト除去工事を実施(平成23年2月~3月の間)
工事開始までの施設利用者への対応
(1)文化ホール及び展示室の簡易な囲込み工事を実施
(9/21(火)迄に完了)
(2)アスベストの飛散調査実施(毎週1回)
調査結果公表(施設に掲示・芸術会館HPに掲載)
(3)アスベスト飛散調査で環境基準値(10f/L(※))に近づく調査結果が測定され
た場合は、ただちに施設の利用提供を停止する。
(※)10f/L:特定粉じん発生施設の敷地境界における規制値(大気汚染防止法施行規則)
(資料1)石綿(アスベスト)に対する規制強化の経緯
1)平成18年8月(労働安全衛生法施行令及び石綿障害予防規則の一部改正)
石綿及び石綿をその重量の0.1%を超えて含有するすべての物の製造・輸入・譲渡・
提供・使用の禁止
(参考:改正前1%)
2)平成20年2月(石綿等の使用の有無の分析調査の徹底等に係る厚生労働省通知)
クリソタイル、クロシドライト、アモサイトの3種類の石綿に加え、新たに3種類の石綿(ト
レモライト・アンソフィライト・アクチノライト)の分析調査の徹底
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