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駐在員だより - 日本産業機械工業会
今年のメモリアル・デー(戦没者追悼祈念日)は、5 月 25 日月曜日で、今年もまた初夏の 3 連休が参りました。米国人にとって、最も重要な祭日として、独立記念日(7 月 4 日) 、感謝祭 (11 月第 4 木曜日) 、クリスマスが挙げられますが、メモリアル・デーは、この次に重要な祝 日だとも言われています。墓参りをする人々は、もちろん大勢いますが、今日では、気候の良 いこの時期の 3 連休を利用して余暇を楽しむという意味合いの方が大きいように思われます。 私は、この 3 年間の駐在を通して、3 度のメモリアル・デーを毎年、子供のサッカー観戦に費 やしました。そこで、米国の少年スポーツ事情について、自分の経験を交えて、ご紹介させて いただきたいと思います。 日本と米国の少年スポーツの大きな違いは、日本が特定のスポーツを多年にわたり専念する のに対して、米国では、いろいろなスポーツを短期間経験しながら、自分の適性を合ったもの を選んでいくと言えると思います。このため、サッカーに限らず、アイスホッケーその他多く のスポーツでトラベルチームとレクリエーションチームの 2 種類があります。前者は、遠征試 合を中心に行うチームで、そのスポーツに対する真剣度は高く、送り迎えが必要なため、親に よる大きな関与が必要になります。後者は、他のチームとの試合もありますが、基本的には近 所で活動し、1 シーズン(数週間から数か月程度)毎に、チームの募集があります。従って、 例えば、秋はベースボールをやって、冬はスケートをやってみるといったようにシーズン毎に 別のスポーツに転向することができ、また、自分の好きなスポーツに出会った時に、トラベル チームに転向することもできます。どちらの場合も、私の居住地辺りでは学校年度の変わり目 である夏に、チームへのメンバー登録が行われます。 米国赴任にあたり、最も心配だったことの一つが、サッカー大好き少年だった息子のチーム 探しでした。米国は、フットボールやベースボールの国というイメージでしたので、少年サッ カーは日本ほど盛んではないのではないかと考えておりました。後から気付いたことは、米国 でも少年サッカーは大変盛んで、フットボールなどは大きくなってから始めることが多く、幼 少の頃は、手頃なサッカーを選ぶ傾向があるようです。考えてみれば、米国はワールドカップ に 5 大会連続して出場するような国ですので、相対的に人気が低かったとしても、それなりの サッカーの土壌はあるのだと思いました。 さて、チーム探しですが、どのチームの登録も締め切られた後に引っ越してきたため、かな り困ってしまいました。特にトラベルチームは、トライアウト(入団テスト)を経なければな らず、レベルの合った、しかも途中から受け入れてくれるチームを探すのは、難題でした。知 人のアドバイスを受けてやってみたことは、 入りたいチームを見つけて、 その試合会場に行き、 直談判することでした。 試合が終わるまで待って、 コーチらしき男性を捕まえて事情を説明し、 且つ今すぐに練習に参加させてもらいたいと頼みこみましたが、彼の回答は、練習には入れら れない、後で連絡する、のみでした。 しばらくして、幸いにも、彼からトライアウトに来てくれとの連絡があり、その後、無事に 入団して、息子は 3 年間そのチームで楽しんでサッカーをすることができました。 ― 69 ― そのコーチとは、それ以来、家族ぐるみでのお付き合いとなりました。このトラベルチーム は、現在、14 名のメンバーで構成され、もともとは米国人だけでしたが、息子の入団に前後し て、スロバキア人、エジプト系人、メキシコ人が加わり、英国人のトレーナーを含めて、イン ターナショナルなチームになりました。チーム自体は、地元の体育協会に所属していますが、 運営はすべて親の手によって行われます。チームには、彼の他に、もう一人女性コーチがいま すが、二人ともチームメンバーの親で、仕事を持っています。リーグへの参加、練習場所の確 保、トレイナー雇用、協会との連絡調整等々すべて、両コーチを中心に自主的に行われます。 地元主催のトーナメント戦がある時には、すべての親が大会運営のために、審判、会場整備係、 医療係、交通整理係等の役割を担い、非常に協力的、互助的なコミュニティーを形成していま す。まったくの偶然ではありましたが、良いチームに巡り合えて本当にラッキーだったと思い ます。 メモリアル・デーの 3 連休に行われた大会では、シカゴエリアが中心でしたが他州からの参 加もあり、各学年が 2 つのグループに分かれて試合が行われました。我がチームは、U12(小学 6 年生)赤リーグにエントリーされ、初戦で敗れたものの、予選リーグ 2 位同士のチーム対決 で勝ち、決勝トーナメントに滑り込みました。決勝戦まで昇りつめましたが、初戦で敗れたチ ームに決勝戦で再度破れ、優勝は逃したものの、ドラマティックな準優勝者となり、チーム及 びその家族らで盛り上がって幕を閉じました。 メモリアル・デーの大会が終わると、トラベルサッカーの 1 年のシーズンが終わりに近づき ます。今年も残すところあと 1 試合になりました。夏休みが明けるとチームメイトは U13 に上 がり、新しいメンバーも加わります。私の帰任が近づき、息子は先日のトライアウトは受けま せんでした。今週末、息子をチームに受け入れ、3 年間お世話になったコーチとその家族を食 事に招待しています。 ジェトロ・シカゴ・センター 産業機械部 潮崎 雄治 ― 70 ―