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IPTVサービス

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IPTVサービス
IPTVサービス,および関連する標準化状況
NGNを利用したコンテンツ流通のもっとも典型
の方法,デジタル放送の再送信に考慮すべき映像
的なサービスとなると考えられるIPTVサービスを
などの品質(QoE/QoS)の観点と,これらの国際
取り上げ,ビジネスの構造,主なサービスの実現
標準化動向を解説します.
い し い
し ん じ
石井 晋司
NTTサイバーソリューション研究所
はじめに
IPTVサービスの概要
■オンデマンドサービス
オンデマンドサービスとして,VOD
近年の多くの映像メディアは,デジタ
IPTVサービスは,放送と同様なマル
(Video On Demand)があります.ホー
ル化され,物理的な媒体(CD,DVD
チキャストプロトコルを利用したサービ
ム画面(サービス事業者へTVからアク
等)でない流通も選択肢になってきてい
スと視聴者の個別のリクエストに応じて
セスしたときに最初に表示される画面)
ます.例えば,音楽や映像をシリコンメ
コンテンツをユニキャストで配送するオ
からたどり,VODサーバの多数のコンテ
モリやハードディスクに録音,録画する
ンデマンドサービスに大別できます.ど
ンツライブラリの中から,番組タイトル
利用法があります.特定の物理的な媒
ちらのサービスも映像品質は,デジタル
などのコンテンツの特徴的なキーワード
体を利用しないメディアの流通手段とし
放送同等のハイビジョン品質クラスまで
等を用いて所望する番組を検索し,視
て,放送に加えて,通信ネットワークも
提供することができます.
聴します.オンデマンドサービスはユニ
利用できる環境が整いつつあります.
■マルチキャストを利用するサービス
キャストを用いるため,受信機内にコン
常時通信ネットワークが利用できる環
マルチキャストを利用するサービスは,
テンツを蓄積する必要はなく,早送り,
境であれば,いつでも視聴可能であるこ
視聴の方法として,デジタル放送と同様
早戻り,一時停止などの機能も提供する
とから,視聴者は録画等を保存すること
に時間軸とチャネルごとに番組が構成さ
ことができます.
が不要となる場合もあると考えられます.
れています.視聴者は,EPG(電子番
このように,コンテンツの流通手段と
組表)を用いて,番組を選んで視聴す
してのメディアの変化と通信ネットワー
ることもできます.
国際標準化の動向
一般的に,システムは共通仕様とする
コンテンツはIPTVサービス提供者が
ことで量産効果が期待でき,良質で安
新たなビジネス市場が形成されつつあり
自ら調達する場合と,放送の同時再送
価なIPTVサービスを提供することが可
ます.
信を扱う場合があります.
能になります.世界的にNGNを含めた
クを利用したコンテンツビジネスにより,
NGNにおけるIPTVサービス
同時再送信の場合,放送事業者と視
ブロードバンドが普及してきたことから,
聴者は,直接放送を受信した場合と同
ITUにおいても,NGNの標準化ととも
NGNにおいては,さまざまな通信サー
等の視聴を求めることが多いため,直接
にIPTVの標準化が活発化しています.
ビスが提供されていますが,その中でも
放 送 受 信 と同 等 のQoE( Quality of
日本からも総務省を中心に,ITU-Tへ
IPTVサービスは重要なサービスの1つ
Experience:体感品質)を重視して
の積極的な提案活動をしています.技術
です.
います.現在,大多数の視聴者が用い
分野としてネットワークアーキテクチャ,
マルチキャストを利用したIPTVサー
ているブロードバンドの回線速度でサー
QoE,コンテンツ保護,およびエンドシ
ビスは,有線役務利用放送法に基づき
ビスを提供するためには,H.264などの
ステムの4つに大別して提案活動を行っ
サービス事業者としての登録が必要とな
高品質で高圧縮の映像のトランスコード
ています.
ります.この事業者は,ネットワーク提
と,それに伴うスクランブル処理などが
■ネットワークアーキテクチャ
供者とIPTVサービス提供者とは異なる
必要となるため,必ず送出系の処理遅
IPTVを提供するためのネットワーク
場合があります.
延が生じます.処理の高速化に伴う提
に関する機能と,IPTV全体のアーキテ
供コスト増加と視聴者の満足度のバラン
クチャ,全体概要の要求条件についての
スが重要であると考えられます.
勧告化を行いました.送出系はアプリ
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NTT技術ジャーナル 2009.1
N
G
N
フ
ォ
ー
カ
ス
表 勧告リスト
勧告名称
勧告化作業時の略名
勧告番号
勧告化手続きするQ/SG
IPTVサービス要求条件
Y.iptv-req
Y.1901
Q2/13
IPTVアーキテクチャ
Y.iptv-arch
Y.1910
Q3/13
IPTVサービスユースケース
──
Y.Sup5
Q1/13
IPTVのQoE要求条件
G.IPTV-QoE
G.1080
Q13/12
IPTVのパフォーマンスの監視
G.IPTV-PMP
G.1081
Q13/12
IPTVセキュリティの機能要件とアークテクチャ
X.iptvsec-1
X.1191
Q9/17
IPTV 端末とエンドシステムの概要
H.IPTV-TDES.0
H.720
Q13/16
IPTV端末デバイスとエンドシステム パート1
J.IPTV-TDES.1
J.702
Q5/9
H.IPTV-HN
H.622.1
Q21/13
IPTVミドルウェア
H/J.IPTV-BCTM
J.701
Q4/9
IPTVメタデータ
H.IPTV-MD
H.750
Q13/16
IPTVサービスをサポートするためホームネットワークの
アーキテクチャと機能要件
ケーション機能,サービス制御機能,コ
システムの全体で,主にホームネットワー
ンテンツ配布機能,およびネットワーク
クとIPTV端末から構成されます.ホー
概ね標準化参加主要国の欧米,中国,韓
機能の4つの機能ブロックに分けて整理
ムネットワークの環境は無線LANなども
国間の調整が完了しました.今後は,①
されています.この機能ブロックを用い
含めて多様な接続形態がありますが,安
日本でのサービスに即した,より詳細な勧
てその他の技術分野の勧告化作業が行
定したIPTVの接続環境を提供するため
告化を引き続き推進,②より効果的な標
われています.
考慮すべき点を含めた勧告化作業がなさ
準化や提供コストの低廉化を推進,③今
■QoE
れています.IPTV端末に関しても,マ
後の新規サービスを先行的に提案し,国
日本で行われているIPTVサービスは,
IPTVのネットワーク品質を維持する
ルチキャストとVODのもっとも共通的な
際標準に図り,同時に国内でも仕様化す
ため必 要 な勧 告 化 を目 指 しています.
サービス用の端末から,可搬型を想定し
ることが考えられます.
QoSを中心としたネットワーク品質から
た端末(携帯電話,PDA等),多機能
QoEとしてのサービス体感品質,さらに
な端末まで,さまざまな実装形態が検討
は,それらを維持実現するために必要
開始されています.NTTでは積極的に,
なパフォーマンスの測定点に関する勧告
NTTグループ内でサービスを開始したマ
化が進められています.
ルチキャストとVODを主眼としたIP TV端
■コンテンツ保護
末に力を入れて標準化を推進しています.
IPTVは,コンテンツのコピーによる劣
IPTV端末の内部機能としてのミドル
化がないため,契約条件範囲内でのコン
ウェア,ブラウザ,IPTVサービスへの発
テンツの利用に制限する技術が必要とな
見・到達手順,アプリケーションレベル
ります.さらに,有料コンテンツの場合
のエラー訂正方法などに分類し勧告化作
には,コンテンツの利用権を購入するた
業が行われています.
めの機能が必要となり,ライセンス処理
機能として実現されます.ただし,セキュ
今後の標準化予定
リティ機能は,本質的にすべてを公開す
2006年から開始したIPTV標準とし
ることができない技術であることから,セ
て,概要的要件および基本機能は2008
キュリティ強度と公開する範囲のバラン
年中に勧告化作業がほぼ完了し勧告承
ス点での標準化をしています.
認済み,あるいは承認プロセスに入って
■エンドシステム
います.これらの勧告リストを表に示し
エンドシステムは家庭内に配備される
ます.
石井 晋司
NGNをベースとした,IPTVの本格商用
サービスが国内において開始されました.そ
れとともに,IPTVはITU-Tにおいて国際標準
化も進み,2008年末には,チャネルサー
ビスとVODサービスを含む要求条件と概要
的な機能の標準化が出そろいました.
◆問い合わせ先
NTTサイバーソリューション研究所
TEL 046-859-2522
FAX 046-855-1282
E-mail ishii.shinji lab.ntt.co.jp
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