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電子情報通信学会ワードテンプレート \(タイトル\)
社団法人 電子情報通信学会
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS
信学技報
TECHNICAL REPORT OF IEICE
SPS2002-10 (2003-03)
宇宙太陽発電所 マイクロ波送電アンテナの開発(その2)
辻本 圭史†
藤原 栄一郎†
田中 直浩†
松本 紘*
高橋 吉郎†
橋本 弘蔵*
須藤 薫‡
安藤 真‡
篠原 真毅*
†(株)アイ・エイチ・アイ・エアロスペース 基盤技術部 〒370-2398 群馬県富岡市藤木 900 番地
‡東京工業大学 電気電子工学専攻 〒152-8552 東京都目黒区大岡山 2-12-1
*京都大学 宙空電波科学研究センター 〒611-0011 京都府宇治市五ヶ庄
E-mail: †{keishi-tsujimoto, e-fujiwara, n-tanaka, ytaka}@iac.ihi.co.jp, ‡{ksudo, mando}@antenna.ee.titech.ac.jp,
*{matsumot, kozo, shino}@kurasc.kyoto-u.ac.jp
あらまし
太陽発電にむけてマイクロ波エネルギー送電用アンテナとしてラジアルラインスロットアンテナ(RLSA)を試
作した。RLSA は従来、衛星放送用受信アンテナとして使用されており、RLSA の効率の高さから SPS への使用を検討した。
キーワード SPS,RLSA,マグネトロン
Study of microwave power transmitting antenna for Solar Power Station/Satellite:Ⅱ
Keishi Tsujimoto† Eiichiro FUJIWARA† Naohiro TANAKA† Yoshiro TAKAHASHI†
Kaoru SUDO‡Makoto ANDO‡ Hiroshi MATSUMOTO* Kozo HASHIMOTO* and Naoki SHINOHARA*
†Technologies Development Department, IHI AEROSPACE CO., LTD. 900 Fujiki, Tomioka, Gunma 370-2398, Japan
‡Dept. of Electrical and Electronic Engineering, Tokyo Institute of Technology, 2-12-1 O-okayama, Meguro-ku, Tokyo 152-8552, Japan
* Radio Science Center, Kyoto University, Uji, Kyoto 611-0011, Japan
E-mail:
†{keishi-tsujimoto, e-fujiwara, n-tanaka, ytaka}@iac.ihi.co.jp, ‡{ksudo, mando}@antenna.ee.titech.ac.jp,
*{matsumot, kozo, shino}@kurasc.kyoto-u.ac.jp
Abstract
Radial Line Slot Antenna (RLSA) is used as direct broadcast from a subscriber antenna because of the high efficient and the
thin structure. Then we consider the use of RLSA for microwave power transmitting antenna of Solar Power Station/Satellite (SPS).
Keyword SPS,
RLSA, Magnetron
を 実 現 し う る 送 電 ア ン テ ナ と し て RLSA を 選 定 し た 。そ
1. は じ め に
宇 宙 太 陽 発 電 所 (SPS:Solar
Power
Station/
の試作試験結果を報告する。
Satellite)は 、 宇 宙 空 間 で 展 開 す る 太 陽 電 池 に よ っ て
得られる直流電力をマイクロ波に変換し、送電アンテ
2. マ イ ク ロ 波 送 電 系
ナから地上へマイクロ波伝送された電力を再度直流電
2.1. システム諸 元
力 に 変 換 す る も の [1]で あ る 。SPS に は 、1)太 陽 光 の 大
SPS は 種 々 の 方 式 が 検 討 さ れ て い る 。 現 時 点 で の 運
気による減衰が無い効率的な電力発電、2)夜間を含
用 シ ス テ ム (静 止 軌 道 上 運 用 )諸 元 の 代 表 例 と し て 、 周
め 2 4 時 間 連 続 で の 電 力 発 電 、3)天 候 の 影 響 を 受 け な
波 数 : 5.8GHz( 電 波 の 窓 )、 送 電 ア ン テ ナ 直 径 : 1km、
い電力送電、など効率的な電力供給を可能とする利点
送 電 電 力:1.3GW、ビ ー ム 制 御 角 1 度( 姿 勢 外 乱 に 対 す
がある。
る 制 御 角 )、振 幅 テ ー パ ー 励 振:10dB ガ ウ シ ア ン 分 布 、
発 電 所 1 基 分 ( 1 GW) の 電 力 伝 送 を 前 提 と す る SPS
(最 大 電 力 密 度 :420mW/cm 2 、最 小 電 力 密 度 :42mW/cm 2 )
は、マイクロ波の発生源、送電アンテナの規模が膨大
がある。前述の諸元を実現するマイクロ波送受電系の
な も の と な る 。 SPS を 実 現 す る た め に は グ レ ー テ ィ ン
システム構成と効率配分例を図 1 に示す。
グ ロ ー ブ を 低 減 す る こ と で EMC・ 安 全 性 を 確 保 し 、 そ
れ ら を 構 成 す る サ ブ シ ス テ ム /コ ン ポ ー ネ ン ト の 小
2.2. DC-RF 変 換 方 式
型・軽量・高効率化が要求される。
本検討では、これらの要求に基づきグレーティング
ローブレベルの低減、高効率化、重量・体積の最小化
DC-RF 変 換 方 式 に は マ グ ネ ト ロ ン 方 式 と 半 導 体 方 式
がある。表 1 に示すようにマグネトロン方式は、半導
体方式と比較して、単体で高効率・高出力の利点を
-9-
φ:
Sun
Light
Solar
Cell
DC-RF conversion
DC (Phased Controled RF
Magnetron)
Power
Divider
DC-RF conversion
DC (Phased Controled
Magnetron)
Power
Divider
RF
Phase Shifter
Antenna
φ
Antenna
φ
Antenna
φ
Antenna
φ
Antenna
φ
Antenna
98%
98%
75%
RF
Antenna
97%
Rectifier
Power
DC
Collection
97%
76%
97%
20%
50%
20%
図1
DC− RF 変 換 方 式 ト レ ー ド オ フ
マグネトロン
DC/ RF 変 換 効 率
マイクロ波出力
比 重 量 ( g/w )
大 ( ∼ 75
大( 500
20
%)
W∼ 数 KW)
g /w ∼
Maximum steering angle
表1
SPS の シ ス テ ム 構 成 と 効 率 配 分 例
半 導 体 (2)
小 ( ∼ 40
小( ∼ 50
50
%)
W 程度)
g /w ∼
持ち、前述の効率目標達成の為の方式として将来に渡
Aperture Efficiency 100%
1deg
32cm
Antenna Aperture
って期待されている。従って、送電系方式は、マグネ
トロン方式にて検討するものとする。また、結合損失
の低減から、マグネトロンに直接結合できるインタフ
図 2
アンテナ開口径と最大可能ビーム制御角
ェースが送電アンテナに求められることとなる。
Antenna
3. 送 電 ア ン テ ナ 素 子 の 検 討
アレーアンテナの小型軽量化を考慮し、サブアレイ
D : maximum
方式を前提として検討を進める。一般にサブアレイ方
distance
式の採用に当たっては、グレ−ティングロ−ブの発生
に留意しなければならない。ビーム振角数度の範囲で
L: Phsical
はサブアレイサイズを最適に選べばグレーティングロ
antenna
aperture
= sub-array
size
ー ブ の 発 生 は 無 い( 図 2)。む し ろ 移 相 器 等 の 削 減 で き
るメリットを持つ。小型軽量化の観点からはサブアレ
イサイズは大きければ大きいほど良いが、グレーティ
32cm
30cm
ングローブの抑制の観点からサイズの上限が設定され
Nesesarry physical
aperture diameter
る 。こ こ で 、サ イ ズ を 求 め る た め に 開 口 能 率 100%の カ
ー ブ( 図 2)よ り 、サ イ ズ の 上 限 を 求 め る と 32cm で あ
る。
開 口 能 率 は 現 実 に は 100%は あ り え な い 。ア ン テ ナ 間
隔 : D を 固 定 し た と き 、 こ の 数 字 を 100%に 近 づ け ば 、
グレーティングローブは抑制されシステムの送電効率
向 上 と 軽 量 化 に 寄 与 で き る( 図 3)。開 口 面 ア ン テ ナ は
D = L cos 30°
a,
tenn tor
c
n an
Hor lic refle
o
b
a
a
n
r
Pa anten
レ イ サ イ ズ を 元 に サ イ ズ を 32cm の と き に 開 口 効 率 が
図3
最 も 大 き い ア ン テ ナ を 選 定 し 、RLSA と し た 。今 回 、RLSA
70%
80% 90%
Aperture efficiency
- 10 -
100%
各アンテナの開口能率と開口径の関係
(ビーム制御角 1 度)
は 開 口 能 率 90%を 目 標 と し て サ イ ズ を 30cm と し た 。
Light
Heavy
60%
一般にそのサイズで開口能率が異なるため、求めたア
RLSA
b) 指 向 性 パ タ ー ン
4. R L S A の 試 作 試 験
図 6 に指向性パターンを示す。 パターン測定結果
4.1. RLSAの仕 様
RLSA は 通 信 分 野 ( 10GHz∼ ) に 用 い ら れ て い る 高 効
よ り 、電 力 半 値 幅 は 9 度 で あ る 。こ れ は 実 効 開 口 直 径
率 の 開 口 ア ン テ ナ で あ る 。 3 項 の 検 討 か ら SPS に 対 応
28.2c m の ア ン テ ナ に 相 当 す る 。開 口 能 率( = 実 効 開
す る た め に 既 に 存 在 す る RLSA の 改 修 仕 様 を 以 下 の 通
口 面 積 /実 質 開 港 面 積 ) が 92%を 達 成 で き た 。
測 定 し た 開 口 分 布 を 、 図 7 に 示 す 。振 幅 ば ら つ き と
り設定した。
①
周 波 数 : 5.8GHz 帯
開 口 能 率 に は 相 関 が あ る こ と 分 か っ て お り [3]、 文 献
②
放 射 面 直 径 : 300 mm、
[3]で は 振 幅 ば ら つ き 6dB で 開 口 能 率 90% と な っ て お
③
給電方式:導波管クロススロット給電
り 、 先 の 90%と ほ ぼ 一 致 す る 。
③ に つ い て SPS で は 、 大 電 力 給 電 で あ る こ と か ら 、
導 波 管 結 合 方 式 を 採 用 し た 。導 波 管 結 合 方 式 と し て は 、
5. 熱 対 策
リ ン グ ス ロ ッ ト 方 式 と ク ロ ス ス ロ ッ ト 方 式 [2] が 存 在
RLSA は ラ ジ ア ル 導 波 路 内 部 が 空 洞 で あ る た め 、 宇
するが、高効率化のために誘電体を使用しないクロス
宙 空 間 で は RLSA の 底 板 と ス ロ ッ ト 板 と を い か に 伝 熱
ス ロ ッ ト を 採 用 し た 。効 率 目 標 に つ い て は 97%と す る 。
をよくするかが課題になる。ショート壁の伝熱では、
試作品を図 4 に示す。
直 径 300mm の ス ロ ッ ト 板 中 心 部 に は 熱 が 上 手 く 伝 わ
らない。このため、ラジアル導波路内部を輻射率がよ
くまた吸収率のよい塗料(ニッペ
4.2. 試 験 結 果
ノ バ 500 ア ス ロ ト
a) 反 射 特 性
ブ ラ ッ ク ) を 塗 装 し 、 ス ロ ッ ト 板 と RLSA 底 板 の 輻 射
今 回 の RLSA は 許 容 誤 差 : 01mm で 設 計 し た 。 5.8GHz
に よ る 伝 熱 を 図 っ た 。 試 験 結 果 を 図 8、 9、 10 に 示 す 。
で リ タ ー ン ロ ス は -15.2d B と な っ た( 図 5)。こ の リ タ
a)
ー ン ロ ス -15.2dB は 図 1 の 要 求 値 効 率 97% を 達 成 で き
0
-5
ている。
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
-45
-50
-80 -60 -40 -20
0
20
40
60
80
Angle [deg]
b)
Crossed slot
図4
試 作 し た RLSA
Relative Amplitude [dB]
5cm
Reflection [dB]
0
-10
-10
-20
-30
-40
-90
-20
5
0
5.5
6
F req u en cy [G H z]
図5
-60
-30
0
30
Angle θ[[deg.]
6.5
図6
指向性パターン
a) 理 論 値 、 b)計 測 値
反射特性
- 11 -
60
90
0
100
0
-100
b)
-100
0
100
X-position [mm]
200
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
-90
図9
-60
-30
0
30
Angle θ [deg.]
60
90
指向性パターン(ラジアル導波路塗装済み)
200
200
a)
180 [deg.]
[dB]
100
120
100
60
0
0
0
-100
-60
Y-position [mm]
-200
-200
0 [dB]
-2
-4
-6
-8
-10
-12
-14
-16
-18
-20
Relative Amplitude [dB]
200
a)
-100
-2-0
-4--2
-6--4
-8--6
-10--8
-12--10
-14--12
-16--14
-18--16
-20--18
-120
-200
-200
-100
0
100
X-position [mm]
図7
200
-180
-200
-100
0
100
X-position [mm]
開口分布
-200
200
200
[deg.]
b)
a) 振 幅 、 b)位 相
Reflection [dB]
0
-10
-100
-20
-30
-200
5
図8
5.2
5.4
5.6
5.8
Frequency [GHz]
-100
0
図10
開口分布(ラジアル導波路内塗装済み)
a)振 幅 、 b)位 相
反射特性(ラジアル導波路塗装済み)
文
宇 宙 太 陽 発 電 所 (SPS)送 電 用 ア ン テ ナ と し て 衛 星 放
送 用 受 信 ア ン テ ナ と し て 用 い ら れ て い る RLSA を 提 案
し 、 SPS へ の 適 用 検 討 と 試 作 を 行 っ た 。
大電力印加に対する対策として、導波路に挿入して
いた誘電体を除去すると共に、給電方法を変更するこ
と に よ っ て 高 効 率 特 性 (97%)を 確 保 し た 。
ラジアル導波路内部を塗装したものでは、波長の短
縮効果による影響がみられたが、アンテナの性能を大
-200
200
X-position [mm]
6
6. ま と め
100
Y-position [mm]
100
0
150-180
120-150
90-120
60-90
30-60
0-30
-30-0
-60--30
-90--60
-120--90
-150--120
-180--150
献
[1] H. Matsumoto, NASDA SSPS Committee, “Huge
Array Antenna to Transmit a Microwave Power
for the Space Solar Power System (SSPS)”,
IEICE
Technical
report,
A
P2001-131,
SANE2001-77(2001-11)
[2] K. Sudo, et al., “An Analysis and a Design for Excitation of a Rotating Mode in a Radial Waveguide by
a Cross Slot-coupled Rectangular Waveguide”,
IEICE Technical report, AP2001-206, Feb. 2002.
[3] T. Yamamoto, et al., “Rotating Modes by an ElectricWall Cavity Resonator for Radial Line Slot Antennas”, IEICE Technical report, AP97-9, 4, 1997.
きく変えるものではなかった。
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