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BioJapan2016 / 再生医療JAPAN2016 Report

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BioJapan2016 / 再生医療JAPAN2016 Report
Report
組織委員会/㈱ JTB コミュニケーションデザイン
CONTENTS
1
総 括
1
2
開 会 式
2
3
基調講演
2
4
特別講演
3
5
ネットワーキング
4
総 括
BioJapan 2016 および再 生 医 療 JAPAN2016 は 2016 年 10 月
12 日(水)から10 月14 日(金)の 3 日間、パシフィコ横浜に
て盛大に開催された。BioJapan は 1986 年開催以来、今回
は 18 回目にあたる。主催はバイオ関連 9 団体から構成される
■ レセプション
■ パートナリングパーティー
6
1
BioJapan 組織委員会と、㈱ JTB コミュニケーションデザイ
主催者セミナー
■ 各国の再生医療産業化への取組み
■ スペシャルセッション(1)
サスティナブル社会の創出に向けた提言
5
5
ンである。そして今回は再生医療ビジネスへの期待の高まり
6
(一財)
ム、
バイオインダストリー協会、㈱ JTB コミュニケーショ
■ ライフイノベーションフォーラム
イノベーション促進と成果を上げる
7
仕組み作り
■ スマートセルインダストリー時代の幕開け
7
■ 我が国バイオベンチャー発展の道標
8
■ グローバルファーマが見据える将来戦略
9
■ ゲノム編集技術 基礎から実用化までの展開
10
■ バイオクラスターサミット 2016
11
7
パートナリング
12
8
展示会
13
を受けて、初めて「再生医療 JAPAN」を同時開催した。再生
医療 JAPAN の主催は(一社)再生医療イノベーションフォーラ
ンデザインである。
国内外から企業・行政関係機関、アカデミア等が多数参加
して最終的に過去最大規模となった。出展・パートナリング
参加企業数は 886 社、来場者数は 15,133 名と、それぞれ前回
を上回った。パートナリングの参加者数は 1,376 名、商談件数
が約 7,500 件と拡大し、アジア最大のマッチングイベントとし
てさらに発展した。参加国数は 29カ国あり、イベントの国
際化が順調に進んだ。
内訳
(前回163 社)
2016/再生医療 JAPAN 2016
開
催
実
績
● 出展・パートナリング参加企業数
886 社
出展者
内訳
パートナリング
665 社
221 社
● 上記のうち、海外参加企業数
● パートナリング参加者数
©2016
300 社
(前回 240 社)
1,376 名
(前回 1,222 名)
約 7,500 件
(前回 6,376 件)
15,133 名
(前回 14,153 名)
出展 665 社のうち
再生医療 JAPAN 97 社
■ 出展・パートナリング参加企業数
(前回 714 社)
● 来場者数
(前回 551 社)
・パートナリング 221 社
● 参加者数の状況
● 商談件数
・出展 665 社
■ 商談件数
2
開会式
主催者を代表して畑中好彦 BioJapan
待を述べた。
2016 年ノーベル生理学・医学賞を受賞され
組織委員会副会長(日本製薬工業協会会
ご来賓の安藤久佳経済産業省商務情報
たことへのお祝い、バイオ産業振興の重要
長)が挨拶に立ち、再生医療 JAPAN お
政策局長、黒岩祐治神奈川県知事、渡辺
性と取組み事例、そして BioJapan/ 再生
よび ME-BYO Japan を加えてオープン
巧教横浜市副市長、三浦 淳川崎市副市長
医療 JAPAN が盛大に開催されることへ
イノベーションが活性化することへの期
からは、大隅良典東京工業大学栄誉教授が
のお祝のお言葉を頂戴した。
畑中好彦 BioJapan
組織委員会副会長
安藤久佳 経済産業省
商務情報政策局長
3
黒岩祐治 神奈川県知事
渡辺巧教 横浜市副市長
三浦 淳 川崎市副市長
基調講演
基調講演 1
免疫学の復権
本庶 佑 (公財)先端医療振興財団 理事長
人類最大の脅威であるがんに対抗する
んどのがん種で有効性が示され、強い副
ために免疫学の復権が始まった。その中
作用も見られなかった。また驚いたこと
で主役の地位にあるのが PD-1 抗体であ
に、6 ヶ月間投与終了後も 1 年半以上に
る。日米での治験では、テストしたほと
亘って効果が持続した。がん細胞は高頻
度変異により免疫系から非自己と認識さ
れるが、免疫寛容を誘導するためその攻
撃を受けない。PD-1 抗体はこの免疫寛容
を解除し免疫系の攻撃を再開させること
ができる。PD-1 抗体の課題は、30% の
非応答者の存在である。非応答者にも有
効な方法の開発によりこの課題を解決す
べく、転写コアクチベーター PGC-1αと
基調講演風景
の組み合わせ療法等を検討している。
2
3,4 基調講演/特別講演
基調講演 2
The Future of Pharmaceutical Companies
Christophe Weber 武田薬品工業㈱ 代表取締役社長 CEO
日本の製薬業の過去、現状と未来展望
をつなぐスタートアップ企業が少ない。
について紹介する。世界の製薬業はメガ
また、創薬をサポートするファイナンス
ファーマを中心に伸びており、日本の製
体制が欧米に比べ弱いとみられる。
薬会社も伸びてきている。しかしながら
しかし、さまざまな面で良い部分があ
日本の製薬企業の伸びは欧米に比べ小さ
るので、武田も巻き返すために消化器、
く留まり 20 年前の世界シェアは 20% だっ
がん、中枢神経系の3領域にフォーカス
たものが現在は 6% まで低下している。
している。研究開発も日本と米国東海岸
日本の製薬企業の特長としては、アカデ
に集中させ、世界のトップ 20 に戻るよう
ミアも企業もアクティブであるが、それ
努力をしていく。
基調講演 3
再生医療が拓く新しい医療
戸田雄三 (一社)再生医療イノベーションフォーラム(FIRM)会長
日本は超高齢化社会で医療費の増大に
植では糖尿病マウスの血糖値が正常化し
窮している。他の先進国も同じ道を辿る
た。間葉系細胞や幹細胞を用いた臨床応
であろうが、加齢に伴う疾患の治療が喫
用が進行中だが、品質とコストの面で同
緊の課題となり、先制医療と再生医療が
種 iPS/ES 細胞が究極の目標となろう。
健康寿命の延伸に寄与するであろう。医
再生医療を薬剤開発に応用すればコスト
療は単一病因への低分子創薬・生物製剤
は 1/5、成功確率は 5 倍となり、期間は
から自己複製能を利用した遺伝子治療・
1/3 で済む。産業界はオープンイノベー
細胞治療、臓器再生へと発展し、完璧な
ションに注力すべきで、新たな規制・規
治癒をもたらすと考える。最新の膵島移
則対応も大きな挑戦となる。
4
特別講演
特別講演
イノベーションによる新炭素社会への貢献
村山英樹 三菱化学㈱ 経営戦略部門 執行役員 RD戦略室長
㈱三菱ケミカルホールディングス 執行役員 R&D戦略室長
三菱ケミカルホールディングス(MCHC)
3
立場から積極的循環社会構築に向けた活
が目指すものは、
“時を超え、世代を超え、
動へと方向転換を進めている。こうした
人と社会、そして地球の心地よさが続く
“脱化石資源”による地球と企業の持続的
状態”だと考え、この状態を“KAITEKI”
発展には生物に学ぶことが重要と考えて
というオリジナルコンセプトで表現して
おり、①再生可能原料の利活用(バイオ
いる。現在、人類は人口問題や化石燃料
マス利用)、②生物機能(生物触媒)、③
代替問題などさまざまな社会・環境課題
生物特有素材の活用、といったバイオ技
を抱えている。MCHC は環境保全という
術の活用で事業構造を改革していく。
5 ネットワーキング
■レセプション(1 日目)
な雰囲気で JAZZ 演奏の中 BioJapan、再生
医療 JAPAN の開幕を祝した。
初日 17:30 から、来賓、出展者・マッチン
グメンバー、組織委員会メンバーを対象
としてレセプションを開催した。主催者
を代表し、バイオインダストリー協会理
事長 永山 治より挨拶があり、来賓(米国
商 務 省 Vineyard 氏、BIO Damond 氏、リ
トアニア大学 Šikšnys 先生、横浜市、神奈
ジャズ演奏
川県、川崎市)の紹介後、戸田雄三氏(再
永山理事長(左)
戸田雄三氏(右)
生医療イノベーションフォーラム会長)
が乾杯の発声をされた。本年は、横浜ロ
レセプションパーティー
イヤルパークホテルに会場を移し、新た
■ パートナリングパーティー(2 日目)
2 日目(17:30 ∼19:30)にマッチングメンバー
やかな雰囲気の中で、参加者が熱心に自己紹介
対象のネットワーキングパーティーを横浜美術
や情報交換をする姿が数多く見受けられた。
パートナリングパーティー
(横浜美術館)
館で開催した。屋外ホワイエにも会場を広げ、
500 名を超える参加者を出迎えた。マッチン
グ増進の機会として設定したパートナリング
パーティーは、アカペラコーラスが響くなご
4
6 主催者セミナー
アネックスホールにて 20 の主催者セミナー、21 のスポンサーセミナーを開催した。事前登録にて満員札止
めのセミナーが続出したのみならず、立ち見のセッションが多数あったなど、参加者の関心の高い情報を提供
できた。以下に主催者セミナーから 8 つのセッションを紹介する。
主催者セミナー
1
各国の再生医療産業化への取組み
コーディネーター
●
/
岩井晃彦 (一社)再生医療イノベーションフォーラム(理事・副会長)
アステラス製薬㈱ 執行役員 研究本部リサーチポートフォリオ
& サイエンス部長
……………………………………………………………
Understanding the Cell Therapy
Manufacturing Ecosystem:
Considerations for Successful
Commercialization of
Personalized Therapies
Philip G Vanek
Alliance for Regenerative Medicine(ARM)
(Secretary) <米国> ARM は本部をワシントン DC におき、グ
我が国には臨床試験、研究、政府、行政、
企業の5つの柱とする再生医療開発のた
めのエコシステムがある。基礎研究、医
薬品開発プロセス、臨床開発に関わるさ
まざまな種類の企業が存在し、その強み
は、速い臨床治験体制である。
……………………………………………………………
している。薬事、科学、政策の進展、ハー
Maximizing Commercial
Outcomes from Academic
Discovery
モナイズの実現、再生療法の商業化、会
Emily Titus
ローバルな再生医療の普及を目指し活動
社設立のための資金調達等を推進する。
コーディネーター・岩井晃彦氏
医療新法により、速い認可と細胞培養外
注が可能となった。さらに、医政局経済
課にはベンチャー支援室を立ち上げ、支
援も開始している。
The Centre for Commercialization of Regenerative
Medicine(CCRM)
(Director of Technology
Development)<カナダ> CCRM は幹細胞再生医療技術研究開発に
焦点を当て活動している。アカデミアと
産業の間に立ち、新しい技術の研究開発
を進展させ、投資のための活動も行って
いる。50 社以上の企業の参加によるコン
ソーシアムをつくった。
磯部総一郎氏
……………………………………………………………
再生医療の更なる充実に向けた
政策展開
Philip G Vanek 氏
……………………………………………………………
西村秀隆
Advantage Australia: Cellular
Therapy Commercialization
Capabilities‘Down Under’
経済産業省 商務情報政策局 生物化学産業課(生物
化学産業課長)
文科省、厚労省、経産省が AMED による
Tim Oldham
一元化した協力体制を構築し、新法によ
AusBiotech Regenerative Medicine Advisory
Group/Cell Therapies(CEO)<オーストラリア>
Emily Titus 氏
……………………………………………………………
Securing Quality, Safety and
Efficacy for Regenerative
Medicine Produsts
磯部総一郎
厚生労働省 医薬・生活衛生局(医療機器審査管理課長)
当課には再生医療を担当する再生医療管
Tim Oldham 氏
5
理室がある。再生医療関係製品も、再生
西村秀隆氏
りビジネス環境を変えた。経済産業省は、
会場風景
再生医療が産業としてしっかり立ち上が
るように、アカデミアシーズからの産業
化・技術・評価方法等の開発等を支援し
ている。日本が再生医療コラボレーショ
ンの世界のハブとなることを目指してい
る。
主催者セミナー
2
スペシャルセッション(1)
サスティナブル社会の創出に向けた
提言
コーディネーター
●
近藤昭彦 神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 教授
……………………………………………………………
システム生物学や合成生物学の発展
が加速するバイオエコノミーの実現
因の被害が相次いでいる。産業革命以前
と比べ 2100 年には世界の平均気温が 4
コーディネーター・近藤昭彦氏
近藤昭彦
∼ 5℃上昇し、これを 2℃未満にするには
神戸大学大学院 科学技術イノベーション研究科 教授
CO₂ 排出をゼロ以下にしなくてはならな
し、食糧と拮抗しない再生可能な非可食
近年バイオテクノロジーは、システム生物
い。このシナリオの実現に向け、トヨタ
バイオマス原料からのさまざまなグリー
学や合成生物学の急速な発展により、大き
は①クルマから排出される CO₂ をゼロ、
ン化学品の高収率・高生産とそのプロセ
な変革を遂げつつある。技術革新によっ
②クルマ材料の製造や廃棄・リサイクル
ス開発を目指す。
て、再生可能資源からの多様な物質生産
で排出される CO₂ をゼロ、に挑戦する。
を加速させ、
“バイオエコノミーの実現”
と
また、生産管理手法や工程改善ノウハウ
いう形で持続可能社会の構築に貢献する
を農業分野に応用し、農家の生産性向上
と期待される。① DNA シーケンシング技
の支援も進める。
術、② IT/AI 技術、③ゲノム合成・編集技
術は、バイオ産業に革命を起こし、
“ゲノ
ムを自在に合成し、
戦略的に作り出す時代”
が到来する。今まで生産できなかった物
が短時間で作り出せるようになり、工業的
モノ作りの世界を一変させるであろう。
……………………………………………………………
……………………………………………………………
ゼロエミッション社会構築のための
グリーンバイオの役割
本庄孝志
(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)専務理事
……………………………………………………………
持続型社会に向けた
セルロースナノファイバーの利用
矢野浩之
京都大学生存圏研究所 生物機能材料分野 教授
日本は国土の 7 割を森林が占める。森林
を構成する樹木から画期的な素材“セル
ロースナノファイバー (CNF)”が生み出
された。植物主成分のセルロースをナノ
人類は環境破壊と引き換えに豊かさを得
化したもので、鋼鉄の 5 分の 1 の軽さで、
てきたが、これ以上の環境破壊を避ける
鋼鉄の 5 倍以上の強さを持つ素材として
ためにはグリーンプロダクト・グリーン
注目を集めている。CNF は、低コストで
プロセスの追求が欠かせない。RITE が
自動車等のボディから家庭用製品まであ
畦上 修
独自に開発し改良を重ねた増殖非依存型
らゆる工業製品の材料になる可能性を秘
トヨタ自動車㈱ 新事業企画部 バイオ・緑化研究所 所長
バイオプロセスと代謝工学的改変手法に
めており、本格的に活用されれば日本は
世界中で地球温暖化による異常気象が原
よって分子育種したコリネ型細菌を利用
再生可能な資源大国に変貌する。
畦上 修氏
本庄孝志氏
トヨタ自動車におけるバイオ分野の
取り組み
矢野浩之氏
6
6
主催者セミナー
主催者セミナー
3
ライフイノベーションフォーラム
イノベーション促進と成果を上げる仕組み作り
コーディネーター ● 山崎達美 (一財)バイオインダストリー協会 運営会議議長
パ ネ リ ス ト ● 末松 誠 (国研)日本医療研究開発機構 理事長
永山 治 (一財)バイオインダストリー協会 理事長
中冨一郎 ナノキャリア㈱ 代表取締役社長
Carsten Brunn Chairman, EFPIA Japan/President
and Representative Director, Bayer Yakuhin
Herwig Janssen Vice President, Business Development
Emerging Markets, Janssen Belgium
冒頭、コーディネーターの山崎達美氏か
トナーシップである Innovative Medicines
ら「本日は、どのようにイノベーション
Initiative(IMI)等の事例紹介」(Carsten
を生み出し、進め、実現していくのかディ
Brunn 氏)
、
「Proof of Concept(POC)
より前
スカッションしたい」とフォーラムの目
に共同研究の機会を見出すことの重要性と
行の下、「どのようにオープンイノベー
そのためのイノベーションセンターの役割」
ションを進めていくか」「そのためのシス
的が述べられた。
続いて、各パネリストから、創薬における
イノベーションに向けた、それぞれの取組
(Herwig Janssen 氏)、等が紹介された。
最後に、山崎コーディネーターの司会進
コーディネーター・山崎達美氏
テム」等について、活発なパネルディス
カッションが行われ、締めくくられた。
みについて、
「データシェアリングの重要性
とそれへの日本医療研究開発機構(AMED)
の取組み」(末松 誠氏)、
「基礎研究の重要
性の高まりとアカデミアとの共同研究の
(永山 治氏)、
推進によるそれへの対応」
「ヘ
ルスケアを次世代産業へ育て上げるため
の、バイオベンチャーを取り巻く日本の現
(中冨一郎氏)、
状の変革の必要性」
「パート
ナリングの重要性と EU 最大の官民パー
末松 誠氏
主催者セミナー
永山 治氏
Carsten Brunn 氏
中冨一郎 氏
Herwig Janssen 氏
4
スマートセルインダストリー時代の
幕開け
コーディネーター ● 荒蒔康一郎 日本バイオ産業人会議 世話人代表(元 キリンホールディングス㈱ 会長)
7
コーディネーターの荒蒔氏より、バイオ産
ム編集技術などがそろい、各国がバイオエ
業界が、環境分析と未来予測にもとづき
コノミーという概念を採用して本格的にこ
2030 年を想定した社会貢献ビジョンを作
の分野を推進し始めている等の現状分析が
成したことが紹介された。経産省 西村秀
説明された。さらに、産業構造審議会小委
コーディネーター・荒蒔康一郎氏
隆氏からは、これまでの戦略やビジョンと
員会での議論にもとづく日本の取組みとし
とそれを推進するための諸施策の紹介が
実用化には距離があったが、近年 DNA 配
て、優れた細胞によるスマートなモノづく
あった。続いて、農水省 水元伸一氏から
列解読技術、ビッグデータ解析技術、ゲノ
りを目指す「スマートセルインダストリー」
は、農林水産分野でも、カイコを利用す
る「蚕業革命」やゲノム編集技術等を用
事業が開始されるとの紹介があった。最
原プロジェクトリーダーが、スマートセ
いた「高機能性農作物等の生産技術の開
後に、NEDO プロジェクト「植物等の生
ルプロジェクトともいえる本プロジェク
発」などの新たなプロジェクト研究推進
物を用いた高機能品生産技術開発」の久
トの概要と狙いについて説明された。
バイオテクノロジーが生み出す新たな潮流
西村秀隆 氏
バイオテクノロジーで切り拓く農林水産業
の未来
水元伸一 氏
経済産業省 商務情報政策局 生物化学産業課長
農林水産省 農林水産技術会議事務局 研究開発官
主催者セミナー
植物等の生物を用いた高機能品生産技術開発
久原 哲 氏
九州大学名誉教授/ NEDO「植物等の生物を用い
た高機能品生産技術開発」プロジェクト PL
5
我が国バイオベンチャー発展の道標
コーディネーター ● 黒川 清 NPO 法人日本医療政策機構 代表理事/政策研究大学院大学 客員教授
モデレーター ● 森本晴久 Astoria Consulting Group, LLC マネージング・ディレクター
池 野 文 昭 Medventure Partners ㈱ 取締役 チーフメディカルオフィサー
本 間 真 彦 インキュベイトファンド 代表パートナー
豊田剛一郎 ㈱メドレー 代表取締役
秋 元 信 行 ㈱ NTTドコモ スマートライフビジネス本部 グローバルサービス推進室長
昨今、IT 技術の進歩により医療とヘルス
びる余地がある。事業会社が関与する投
ケアの垣根がなくなり、新たなバイオベ
資は、約 2、3 割を占め、日本でも投資する
ンチャーとして、ヘルスイノベーション、
側の多様性が出てきている。本セッション
ウェルビーングの領域において、医療 IT
では、医療 IT 分野におけるベンチャーや、
ベンチャーの台頭が目覚ましい。2015 年
独立系、コーポレートを含むベンチャー
のベンチャー投資額は米国で 17 兆円、日
キャピタル(VC)の多様な観点から、日本
本では 1,300 億円に上るが、バイオベン
のエコシステムをさらに充実させるため
チャーへの投資は約 2 割を占め、まだ伸
にはどうすべきかについて活発な議論が
コーディネーター・黒川 清氏
モデレーター・森本晴久氏
交わされた。
①海外では医学の専門家が I T 企業にヘッ
ドハントされるなど、専門性や業種を超え
て人材が流動化しているが、日本は業種、
専門性に固執する傾向があり、異分野と交
池野文昭氏
豊田剛一郎氏
流する教育、機会が必要であること、②ベ
ンチャーの Exit の選択肢として日本では
IPO が 8 割を占めるが、米国では M&A が
主流であり、エコシステムの充実を図るた
めには、日本でもレイトステージ投資や
買収側としての事業会社の意識改革が必
要になることについて意見交換がなされ
た。その上で、日本の VC にこだわらず、
グローバルに展開することが日本のベン
本間真彦氏
秋元信行氏
チャーには重要であると締めくくられた。
8
6
主催者セミナー
主催者セミナー
6
グローバルファーマが見据える将来戦略
コーディネーター
●
池浦義典 日本製薬工業協会 研究開発委員会 委員長
武田薬品工業㈱ SRC(湘南)サイトヘッド兼本部長室長
……………………………………………………………
Evolving Trends in Precision
Medicine
Mann Fung
Johnson and Johnson Innovation Center、
Vice President 過去の医療が症状に基づく対処療法、現
在がエビデンスに基づくパターン認識と
するならば、未来は遺伝子配列、分子診断、
IT を駆使する精密医療になる。製薬会社
とから、次世代の個別医療は遺伝子療法
がベースになると予測する。標的の分解
を促す、翻訳を抑制する、タンパク機能を
調節するなどのアプローチの多様性から、
何世代にもわたる創薬が可能である。
コーディネーター・池浦義典氏
……………………………………………………………
アステラス製薬の再生医療への
取り組み
小泉智信
……………………………………………………………
稀少疾患に対する新薬開発の
最前線:留意点、課題と今後
だけでなく、ヤフーやアマゾン、ロボッ
アステラス製薬㈱ 再生医療研究所所長
ト産業や IT 産業と融合した新しい健康情
当社は、先端ヘルスケアビジョンを「心
サノフィ㈱ 執行役員・研究開発部門長
報が必要とされるだろう。
疾患やがん、視覚領域におけるアンメッ
希少疾患に対する治療法の開発は、患者の
トニーズを、再生医療、細胞治療や遺伝子
立場からすると切実である。当社では、承
治療を駆使して満たしていくこと」とし
認数の多い米国を中心に他社、アカデミア
て、取組みを強化している。
と協力して開発を進めていく方針である。
……………………………………………………………
RNA Therapeutics:
Harnessing the Potential of
Locked Nucleic Acid
佐藤裕史
Bo Rode Hansen
RNA Therapeutics Research, Global Head
Roche Pharma Research and Early
Development, General Manager
タンパク質の創薬標的数は 6,000 にすぎな
いが、RNA の標的数は 20,000 にのぼるこ
小泉智信氏
佐藤裕史氏
《総合討論》
今後の医療におけるパラダイムシフトについて語られた
より良い診断、ターゲットを特定した治療で、より早期からの対策が可能になる。
医療費の増大が見込みにくいため、開発には国際的連携が一層進む。ビッグデー
Bo Rode Hansen 氏
タ、IT、遠隔医療などにより先進的な社会の実現につながる、などが重要になる。
■ 展示会プレゼンテーション
アネックスホールで実施の主催者セミナー/スポンサーセミ
ナーとは別に、展示会場内のセミナー会場では、企業、海外
団体、そしてアカデミアのプレゼンテーションを多数実施し
た。企業・海外団体は 81 社・機関、アカデミアは 44 大学・研
究機関が参加した。医薬品・創薬、再生医療、ヘルスケア、機
能性食品、研究用機器サービス等と、多彩な内容が発表された。
発表者のほとんどは出展者でもあり、ブースでの来場者対応、
パートナリングでの面談、本プレゼンテーションという3本柱
を活用して、事業や研究のパートナーを精力的に模索した。
9
主催者セミナー
7
ゲノム編集技術 基礎から実用化までの展開
コーディネーター ● 宮 田 満 ㈱日経 BP 特命編集委員
リトアニアの Šikšnys 氏は、レンサ球菌
ば、幅広い動物種で効率的にモデル動物
由来の CRISPR-Cas システムを移入され
を作出できることを、それぞれラット、お
た大腸菌が、ファージ等の外来 DNA を
よびマウスで示した。ノックアウト(KO)
切断する能力を獲得することや、切断特
効率はほぼ満足いくものだったが、ノッ
異性が DNA 内の PAM 配列の影響を受け
クイン(KI)効率についてはまだ課題を残
コーディネーター・宮田 満氏
ム編集ツールが紹介された。植物由来の
ることなど、今日 CRISPR Cas システム
した。一方、長い DNA 断片を効率的に
核酸結合タンパクである PPR の塩基認識
がゲノム編集ツールとして確立される礎
KI する手法についても技術開発が進んで
コードを解読し、ZFN や TALEN のような
となった知見を紹介した。
いることが真下氏より紹介された。
人工ヌクレアーゼの作出に成功したという
真下氏と峰野氏は、CRISPR 技術を使え
次いで、八木氏から我国オリジナルのゲノ
もの。PPR は RNA にも結合可能であるこ
-
とから、転写された mRNA の翻訳効率を修
飾するという新しい用途提案がなされた。
最後に、上田氏から、1 つの遺伝子に 3 種
類のガイド RNA を同時にターゲティン
グすることで、ホモ KO された産仔をほ
ぼ 100% の確率で得られる技術が紹介さ
れた。この“トリプル CRISPR 技術”と、
独自開発の睡眠/覚醒評価系とを組み合
New Genome Editing Opportunities:
Exploring Natural Diversity of Cas9
Virginijus Šikšnys 氏
Vilnius 大学 Institute of Biotechnology 教授
モデル動物作製のための最先端 CRISPR 技術
真下知士 氏
大阪大学大学院医学系研究科 准教授
ゲノム編集技術の産業応用に向けての課題
峰野純一 氏
わせ、時計遺伝子などの KO が睡眠構造
に及ぼす影響を、ゲノム編集後の F0 世代
タカラバイオ㈱ 常務取締役
マウスで評価できることが示された。
ゲノム編集のその先へ
八木祐介 氏
交配を必要としない哺乳類遺伝学の確立
エディットフォース㈱ 部長
~個体レベルのシステム生物学の実現に向けて~
上田泰己 氏
東京大学大学院医学系研究科 教授
ゲノム編集 会場風景
10
6
主催者セミナー
主催者セミナー
8
バイオクラスターサミット 2016
コーディネーター ● 坂田恒昭 全国バイオ関係者会議 会長/NPO 法人近畿バイオインダ
ストリー振興会議 副理事長/ 塩野義製薬 シニアフェロー
田中裕教 全国バイオ関係者会議 事務局/(一財)バイオインダストリー協会
BioJapan 2016 には世界各国のバイオ団体の関係者が参加し、今後の相互の
連携強化に向けてネットワーク形成を実施した。今年度は 29 団体が参加して、
そのうち、日米欧亜から計10 団体の代表が活動の特徴と最新の成果について発
表を行い、今後の連携策の課題について協議した。特に、発足したばかりのス
コーディネーターの坂田恒昭氏(左)と田中裕教(右)
ペイン、イタリア、フランスおよびドイツの EU 公認地域クラスター・連携組
織である BioXclusters Plus が日本との連携強化を目的に参加し、今後の糸口
を模索している日本のバイオ団体関係者との交流が行われた。
講師集合
日本
神奈川県・横浜市・川崎市に
おけるライフサイエンス活性化
の取組み
後藤譲治 氏
(公財)木原記念横浜生命科学振興財団
日本
関西バイオクラスターと
近畿バイオの取り組み
梅村 勲 氏
NPO法人 近畿バイオインダストリー
振興会議 専務理事
常務理事
韓国
Current Status and Future
Direction of Bio-Economy
in Korea
Seung Jun Yoo 氏
Director, Korea Biotechnology
Industry Organization
英国
MedCity ― King's Health
Partners ― An academic
health sciences center
for London
Phil Jackson 氏
Project Director, MedCity
11
台湾
Taiwan Biotech Industry
Overview
Apo Huang 氏
Secretary General, Taiwan Bio
Industry Organization
デンマーク/スウェーデン
Medicon Valley ― Key
Initiatives and Opportunities
in the Leading Life Science
Cluster in Scandinavia
Ann-Sofie Andersson 氏
Business Development Manager
Life Science, Copenhagen
Capacity
米国
A Global Perspective
on the Enabling Factors for
Biotech Innovation
Joseph Damond 氏
Senior Vice President, International
Affairs, Biotechnology Innovation
Organization (BIO)
ドイツ
"InnoMuNiCH"―A Program
of the Munich Biotech Cluster
to Generate Innovations
through Munich―Nippon
Cooperations in Healthcare
Horst Domdey 氏
Managing Director, BioM
Biotech Cluster Development
米国
Southern California's Life
Science Community:
A Hub for Collaboration
and Innovation
Joseph Panetta 氏
President & CEO, BIOCOM
イタリア
BioXclusters Plus
― The European Cluster
alliance on Personsalised
Healthcare
Fabrizio Conicella 氏
General Manager, Bioindustry Park
Silvano Fumero SPA/Vice President,
bioPmed cluster, Representative
of bioXclusters Plus alliance
7
パートナリング会場
パートナリング
パートナリングラウンジ
パートナリング参加者数は 1,376 名となり、アジア
最大のパートナリングイベントとしてさらに規模を拡
大した。参加企業数は 886 社、商談件数は約 7,500 件
であった。国内外の大手中堅製薬が軒並み参加した。
BioJapan では商談を支える仕組みとして、国内の他
のイベントに先駆けて Web マッチングシステムを提
供してきた。このシステムは毎回改良を加え、効率の
よいパートナリングを支援している。
12
8
展示会
出展者は 665 社(前回は 551 社)、うち海外出展者は 187 社(前回は 156 社)、出展小間数は 558 小間(前回は
430 小間)と、いずれも前回を上回った。初開催の再生医療 JAPAN には 97 社の出展があり、再生医療産業へ
の期待と勢いを示した。3 日間の来場者数は前回に比べて約1割増加し、活気のある展示会となった。
■ ME-BYO
Japan
神奈川県では 2014 年発足の未病産業研究会の活動を軸に、毎年10 月を
「未病月間」と名付け、さまざまな催しを開催している。「未病産業」の創
出活動の一環として BioJapan において展示会「ME-BYO Japan 2016」
を開催し、29 社・機関の未病に関する商品・サービスを紹介した。
13
■ 再生医療
JAPAN
近 年、 再 生 医 療 新 法 の
施行によって日本の再生
医療技術の産業化動向に
大きな注目が集まってき
た。再生医療ビジネスへの
期待の高まりを受け、1 年
の準備期間を経て「再生医
療 JAPAN」を盛大に開催
した。従来の BioJapan と
も異なる、多様な分野から
の出展が特徴的であった。
特 設 の「 オ ー プ ン ス テ ー
ジ」では出展企業ピッチや
FIRM ガイドの紹介等を終
日実施し、立ち見続出の大
盛況であった。
オープンステージ
14
会 期 : 2017.10.11(水)~ 13(金)
会 場 : パシフィコ横浜
出展者募集中
BioJapan : www.ics-expo.jp/biojapan/
再生医療 JAPAN : http://saiseiexpo.jp/
■お問合わせ先
BioJapan /再生医療 JAPAN 事務局
(㈱ JTB コミュニケーションデザイン)
〒 105-8335
東京都港区芝 3-23-1 セレスティン芝三井ビルディング
Tel 03-5657-0758 Fax 03-5657-0645
E-mail [email protected][email protected]
2016/再生医療 JAPAN2016
日 時 2016 年10月12日(水)~ 14日(金)
会 場 パシフィコ横浜
〒 220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい 1-1-1
主 催 BioJapan
BioJapan 組織委員会
株式会社 JTB コミュニケーションデザイン
BioJapan
組織委員会
一般財団法人 バイオインダストリー協会
公益財団法人 ヒューマンサイエンス振興財団
公益社団法人 農林水産・食品産業技術振興協会
一般社団法人 バイオ産業情報化コンソーシアム
日本バイオ産業人会議
日本製薬工業協会
NPO 法人 近畿バイオインダストリー振興会議
公益財団法人 地球環境産業技術研究機構
一般社団法人 再生医療イノベーションフォーラム
再生医療 JAPAN
一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム
一般財団法人バイオインダストリー協会
株式会社 JTB コミュニケーションデザイン
特別協賛 横浜市
特別後援 神奈川県、川崎市
組織委員会事務局
(一財)バイオインダストリー協会内
〒 104–0032
東京都中央区八丁堀 2–26–9 グランデビルディング 8F
TEL(03)5541–2731 FAX(03)5541–2737
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