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詳細はこちら - ものづくり日本大賞
1
もくじ
3
革新ポイント別 企業一覧
革新ポイント別 企業一覧
2
5
地域別インデックス
4
第
6回
省エネプロセスに取り組む中で
ソウルレッドに代表される高意匠性を実現
受賞メッセージ
ルギーが必要であり、CO
排出量が増加する。
2
そこで、 塗 装工程の工程
革 新により、 塗 料やエネル
ギーなどの資源効率を飛躍
的に向上させ、トレードオフ
の関 係にあるVOC排 出 量
とCO 2排出量の同時削減を
実現した塗装システム「アク
アテック塗装」
を開発した。
工程革新により世界
トップレベルの環境性能
と優れた経済性を両立
アクアテック塗 装の工 程
革新の柱は、塗膜機能集約
と高効率塗装技術である。
塗 膜 機 能 集 約 では、 従
来の中 塗 /ベース/クリア
積 層 塗 膜の 光 学 特 性 や 物
理 特 性 を 解 析 し、 各 層 の
機 能 分 担 を 見 直 して 高 機
車産業全体の大きな課題で
VOC排出量の削減は自動
いたため、 塗 装工 場からの
く含む油性塗料を使用して
性有機化合物(VOC)を多
自 動 車の 塗 装 工 程では、
従 来、シンナー として揮 発
の機能集約を実現した。
能塗膜を開発し、中塗工程
スとクリアに集 約した高 機
や発 色 性などの機 能をベー
ていたチッピングや 耐 候 性
能 化 し た 塗 膜 設 計 を 行っ
あった。VOC 対 策 として
れる水分量(絶対湿度差)に
高効率塗装技術では、水
の蒸発速度が空気中に含ま
などが一般的であるが、水性
小エネルギーで蒸発を制御す
依存することに着目し、最
ネルギーを使い環 境 負 荷も
塗装は水の蒸発に多くのエネ
ス空調より約 %のCO 2削
高 く、 生 産 台 数 に も 制 約
塗 膜の 厚 みや 積 層 数 を 増
減を可能とした。また、高
ドカラーである「ソウルレッ
があった。マツ ダの ブラン
やしているため、 多 くのエ
効率フラッシュオフでは、塗
開発し、従来の水性塗装ブー
膜のみへの熱 伝 達 効 率を 最
るブース空調システムなどを
た。その結 果、 中 塗で持っ
は、 水 性 塗 料への材 料 置 換
VOC排出量削減と
CO 2排出量削減を
同時に実現
●塗装工程の短縮化により、生産効率が大きく向上
するとともに、省エネルギー化の実現をリードする
ことを期待。
ズ/形状/塗装色に合わせ
大化するために、ボディサイ
培った光 学 特 性に基づく 塗
は、 ア ク ア テ ッ ク 塗 装 で
ド プレミ アムメ タ リック 」
膜 設 計 技 術 と、 機 能 分 担
て出力を自動制御する遠赤
外線と熱風を併用した高効
ずに 彩 度 と 陰 影 感 を 両 立
によって、 積 層 数を 増やさ
させた深みのある 高 意 匠カ
率システムを開発し、従来の
%のCO 2削減と約 %の工
フラッシュオフに比べ、約
程短縮を実現した。
アクアテック塗 装は、お
客 様への提 供 価 値と 地 球に
ラーを実現した。
全 体へ広 く 普 及することを
塗 装 に 限 ら ず、 塗 装 業 界
させた技術であり、自動車
こうした様々な工程革新に
より、他社に例を見ない超短
/品質/経済性の相反する
期待している。
http://www.mazda.co.jp/
課題を総合的に解決
広島県安芸郡府中町新地3-1
TEL 082-565-0654
E-mail [email protected]
従 来の 高 意 匠 カラ ー は
技術本部 車両技術部 塗装技術グループ
マネージャー 篠田 雅史
マツダ株式会社
お問い合わせ先
高意匠性の実現と、環境保全
やさしいものづくりを 両立
17
縮・省資源工程を実現した。
57
受賞理由
左から、圓山 雅俊、菖蒲田 清孝、素利 孝久、農沢 隆秀
6
内閣総理大臣賞 製造・生産プロセス部門
第6回 ものづくり日本大賞
7
地球環境に優しいものづくりは、
全ての企業が取り
組むべき優先課題と考えており、
マツダは、
走る歓び
と優れた環境・安全性能を両立する車づくりに取り
組んできました。
今回の受賞を励みに、
これからも、
全てのお客様に人生の輝きを提供することを目指し
て、
日本発の強いものづくりに挑戦し続けます。
34
素利 孝久/圓山 雅俊/農沢 隆秀
マツダ株式会社
会社概要
●従来トレードオフの関係にあった揮発性有機化
合物(VOC)
と二酸化炭素(CO2)排出量の同時
削減を実現する水性塗料の開発を高く評価。
商 号:マツダ株式会社
設 立:大正9年1月30日
従業員数:連結 44035名
事業内容: 主な事 業は乗 用 車 、
トラックの製
造・販売。お客様との強い絆をもった
「プレミアムなブランド」を目指し、
「マ
ツダ モノ造り革新」と革新的技術
「SKYACTIV TECHNOLOGY」
で、
「 走る歓び」と「優れた環境・安
全性能」を備えた高品質なクルマを
提供し続けることを使命としている。
●高機能塗料による工程集約
●高効率塗装技術による工程短縮
マツダ株式会社
リーダー 菖蒲田 清孝
受賞者
内閣総理大臣賞
製造・生産プロセス部門
揮発性有機化合物とCO2を同時
削減する新塗装技術「アクアテック塗装」
受賞件名
●工程革新による省資源化と超短縮工程
●省資源化によるエネルギー(CO2)とVOC削減
内 閣 総 理大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
針葉樹の間伐材を家具等に
活用することで国産材の用途拡大に貢献
受賞メッセージ
失われつつある。
軟らかく、表面材に使う場
スギやヒノキをはじめとす
る針葉樹は、広葉樹と比べ
合は一般的にプレス機で圧力
をかけて強度や硬度を高くす
る圧密加工を行っている。し
かし、圧密加工はフラットな
面での使用を想定した技術の
ザインができないほか、プレス
ため、繊細な波形や曲線のデ
の際の加熱で表面が黒く焼け
向きとなっていた。
る場合があり、家具には不
「圧密加工+成形合板」
の合わせ技で針葉樹製
の家具を商品化
そこで、日本の森林環境
に対する危機感と、家具製
造に使 用する木 材のほとん
どを輸入材に頼らざるを得
質針葉樹による成形合板家
ない現 状を 打 破すべく、 実
日本は国土の %が森林
に覆われており、そのうち約
具製造の新たな技術開発に
年の歳月を
製品を量産することができる
迷等により、森林の価値は
輸入増加や国産材の価格低
ずか .8 %で、外国産材の
ず、日本の木材自給率はわ
林 資 源があるにもかかわら
である。それほど 豊かな 森
れたスギやヒノキ等の人工林
トハンガーなどの家 具を 商
ンチ、ソファ、テーブル、コー
し、 自 由な曲 線を持った木
熱することで接着剤が硬化
に入れ、プレス機で加圧・加
何枚も重ね合わせた状態で型
同 社は、 薄 くスライスし
た木の板に接着剤を塗布し、
かけて実用化にこぎ着けた。
取り組み、約
成形合板技術のパイオニアと
3
67
材への活用を期待して植林さ
用化不可能とされてきた軟
割は戦後復興期に建築資
人工林の大半を占める
針葉樹の用途開発が
課題に
この度は、
このように大きな賞を頂きましたこと
に深 謝申し上げます。今 後も、軟 質 針 葉 樹 圧 密
技術と成形合板をマッチングさせた家具及び建
築内外 装 材の利用拡 大を目指し、延いては、
日
本の疲弊した林業の活性化に貢献できるよう、
努めて参ります。
スライスした木材を、 段階
して知られる。通常より厚く
燃・防腐機能を付加するこ
品化しており、今後は、難
27
する新たな木材圧密加工方
開することも計画している。
とで内 外 装 材 等の建 材へ展
とにより、人工林の間伐材
利用が進み、針葉樹の需要
曲げに弱い針葉樹を自由
な曲線に加工可能となったこ
成形合板技術と組み合わせる
拡大による森林環境の整備、
質に成功した。さらに得意の
ことで、高品質な国産針葉樹
進法や木材利用ポイント制
また、今回の技術開発は、
公共建築物等木材利用促
待されている。
域活性化へ貢献することが期
間伐材の地産地消による地
ロール圧密による針葉樹の
圧密成形加工技術の実用化は
世界初で、
特許出願済みである。
(H ・ ・ 現在公開中)
度など、林業の再生や森林
資源の育成に向けた施策に
も 応えるもので、 全 国の地
http://www.tendo-mokko.co.jp/
方自治体等から注目を集め
山形県天童市乱川1-3-10
TEL 023-653-3121
(代表)
FAX 023-653-3454
E-mail [email protected]
を開発・実用化した。
の家具を量産できる製造方法
さと強度を有する材質への改
法を確立し、家具に使える硬
ロールプレス機で加圧・加熱
2
針葉樹の間伐材の
需要拡大、木材の
地産地消の活性化に貢献
株式会社天童木工
ている。
企画部企画課 稲葉 鮎子
1
既に針葉樹製のチェア、ベ
お問い合わせ先
2
佐藤 恵治/小野 慎一/滝口 寿郎/中田 一浩
株式会社天童木工
●人工林の間伐材利用が活性化され、森林環境の
改善、針葉樹の需要拡大、木材の地産地消の活
性化へ大きく貢献することに期待。
4
28
8
内閣総理大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
9
●軟質針葉樹のスギやヒノキの間伐材の木目の美
しさを活かしつつ、強度と自由度の高い造形を可
能とし、
自社の強みを活かし新たな価値を創造。
商 号:株式会社天童木工
創 設:昭和15年
(1940年)
6月12日
従業員数:300名
事業内容:木材の自然美と優美な曲線を活かし
た成形合板技術を得意とし、宮内庁
をはじめとする官公庁、地方自治体、
病院、図書館等の公共施設をはじ
め、一般住居用家具、木製自動車
部品等を製造。様々なニーズに応え
るため、木材加工の技術開発にも取
り組んでいる。
(本体:スギ圧密成形)
家具用材として使用
脚先の先端がどこにもない、
成形合板の高い技術を
活かしたラケットチェア
F-3242SG-NT
森の木々がモチーフの
コートハンガーアルベロ
F-4107SG-NT
●新開発「2段階ロールプレス圧密」
受賞理由
上左から、滝口 寿郎、中田 一浩
下左から、佐藤 恵治、西塚 直臣、小野 慎一
会社概要
(フレーム:スギ圧密材 /
背:スギ柾目圧密材成形)
2段階ロールプレス圧密機で加圧&加密し密度を圧縮
スギ圧密材の完成
通常より厚くスライス
製材
スギの丸太
(座:スギ柾目圧密成形 / 脚:スギ柾目圧密材)
部材加工組立て
型に入れて加圧&加熱
(成形)
圧密材に接着剤を塗布し
重ね合わせる
株式会社天童木工
リーダー 西塚 直臣
受賞者
内閣総理大臣賞
製品・技術開発部門
軟質針葉樹の圧密成形加工技術開発・
実用化及び家具用材への利用拡大
受賞件名
スギの美しい木目を感じられるベンチ F-5662SG-NT
●圧密材を使用した成形合板家具製造工程
内 閣 総 理大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
●従来のクリーンルームの常識を覆し、短時間、低
コスト、低消費電力を実現したことで、様々な分野
での利用が期待される。
開口部
重力波観測望遠鏡の一部を清浄化
れ た 密 閉 空 間 で、 高 い 清
浄 度 を 実 現 す る た めに 膨
時
大 な 設 備 コス ト と 工 期 が
かかっていた。 また、
湿 度 ・ 圧 力 等の 環 境 条 件
ト )の 濃 度に 加 え 、温 度・
浮 遊 粒 子( コ ン タ ミ ナ ン
場 では、 空 気 中 にお け る
我 が 国の ものづ く り 産
業の 研 究 開 発 や 製 造の 現
フ ー ドを 広 さに 応 じて 積
「フロアーコーチE z 」で
は、 既 存 建 屋 内にプッシュ
状態で流すことができる。
ち、方向と風速を全て同一の
リナ)
」でろ過された清浄な
張った透 明 壁を 設 置する 。
持 枠 に 透 明 ス ク リ ーンを
クリ ーンルームは一般 的
に 天 井、 床、 壁 で 仕 切 ら
れている 。
という 新 技 術を 開 発し、コ
の気流を送り出して正面衝
の両方向からも同一ベクトル
ドスクリ ーンと 呼ばれる 支
天 井 と 側 壁 部 分 には ガイ
べ、 その 対 面に 衝 突 壁 を 、
突させるという「直角合流」
プッシュフー ドから 出た
清 浄 空 気は 毎 秒 約 0
. 3m
ンタミ混入を防止している。
され、開口部から外部に排
クトにも 採 用され、日 本の
に関する 国 家 的な プロジェ
本製品は、国内有数の再
生医療機関や宇宙・物理学
「技術立国」日本において
ものづくりの技術革新を
後押し
mの
ISOクラス1の清 浄 空 間
れてから
分 もかから ずに
空 間であればスイッチを 入
知されつつあるだけでなく、
かせない技 術システムと 認
最 先 端 研 究 分 野において欠
さ 2. 7 m 、 長 さ
出 さ れる。 幅 7.4m、 高
気 流 に 確 実 に 捕 捉・ 搬 送
部のコンタミナント はこの
なく水平方向に流れる。内
リ ーンに沿って乱れること
ス ピ ー ド で、 ガ イ ド ス ク
という 非 常にゆっく りした
空気を同一ベクトル、すなわ
を 制 御 ・ 管 理 す る た めに
み 木 方 式で 縦 横に 重 ね 並
フィルタ
「FERENA(フェ
り出す整流機構。超高性能
る 直 進 性の高い気 流をつく
本製品のコア技術の一つが
「 プッシュフー ド」と 呼 ばれ
均一な気流を
”ところてん “状に
押し出すことで清浄化
アーコーチEz」
である。
パークリ ーンシステム「フロ
現できる 省エネルギースー
ン空 間 を わ ずか 数 分で 実
いう世界最高水準のクリー
こうした諸問題を解決し
たのが、ISOクラス1 と
なる 。
ランニングコスト も 多 大に
間 運 転が基 本 と なるため、
24
ク リ ー ンル ー ム が 利 用 さ
のに多大なコストが必要
清浄空間を形成・維持する
従来のクリーンルームでは
KOACHは当社が長年培ってきたフィルタ技術と整
流技術から誕生した製品です。
販売当初は展示会
等でも猜疑の目で見られてしまうこともありました
が、
最近では多くの研究所や事業所で使用されてい
ます。
この賞をきっかけに更に飛躍し、
日本の産業発
展に寄与できるよう邁進したいと思います。
20
合部分に隙間が生じ、その
なお、プッシュフードを連
結する際にはどうしても 接
を形成できる。
している。
おり、販売台数は年々増加
業界の民間企業が採用して
自 動 車、 情 報 通 信 機 器、
興研株式会社
東京都千代田区四番町7番地
TEL 03-5276-1931
FAX 03-3265-1976
E-mail [email protected]
http://www.koken-ltd.co.jp/
化学、飲食料品など様々な
ままでは清浄度を維持する
マーケティング本部
環境エンジニアリングディビジョン
ことができないが、 接 合 部
お問い合わせ先
受賞理由
写真左から、深澤 康彦、久保田 裕仁、鈴木 剛人、新田 恒造
10
内閣総理大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
11
従来の常識を覆し、
密閉されない
環境下で世界最高水準の清浄度を実現
会社概要
受賞メッセージ
10
新田 恒造/深澤 康彦/久保田 裕仁
興研株式会社
(上:平面図、下:側面図)
●自社のフィルタという強みを活かし、開放空間で
あっても空気の対向流によって世界最高水準の
清浄空間を実現できる革新的なイノベーション。
商 号:興研株式会社
設 立:昭和38年12月12日
従業員数:265名(連結・平成27年12月31日現在)
事業内容:独自性の高い技術と「クリーン」
「ヘ
ルス」
「セーフティ」という3つのキー
ワードを掛け合わせ様々な製品・サー
ビスを展開。防じん・防毒マスクや
オープンクリーンシステム、全自動内
視鏡洗浄消毒装置などの製造・販
売を手がけるほか、環境改善設備の
設計・施工も行っている。
●スーパークリーンシステムの活用例
●フロアーコーチEzの清浄空気の流れ
プッシュフード
ガイドスクリーン
内部から押し出されたコンタ
ミが仕切られた空間の外に押
し出される
製品・技術開発部門
気流の方向
衝突壁
独自の技術で高度に制御されたプッシュ気流(同
一ベクトルの集合流)が中央で衝突し、強力な排出
力として働くことにより、内部をクリーン化する。
興研株式会社
リーダー 鈴木 剛人
受賞者
内閣総理大臣賞
ISOクラス1フィルタと整流機構で実現した
省エネルギースーパークリーンシステム
受賞件名
●「フロアーコーチEz」の外観
●クリーン空間形成の原理
内 閣 総 理大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
②燃料の噴射状況の最適化を図る
ためのフィードバックシステムの開発
クリーン燃焼、低燃費、安価なシス
テム、最高の性能を維持・継続
・目標の噴射とする制御と最適化
(新興国市場への対応)
・粗悪燃料への対応
①超高圧噴射の実現(2500気圧)
・大気と変わらない排ガスレベル
・PM・NOx量 95年より90 %以上低減
クリーン燃焼
・排ガス
(NOx)後処理不要
安価なシステム
③燃料を効果的に高拡散させる
ためのノズルの開発
(低CO2燃焼・熱損失の低減)
低燃費
グよくインジェクタから各気
筒に適切な噴射量を噴射す
るシステムである。
近年、世界的規模で排ガ
ス規 制が年々厳しくなるな
削 減 と いった 地 球 環 境 問
か 、 P M 2. 5 や C O 2の
題に対 応するためには従 来
の ディ ー ゼルエンジンに 限
界 があ る と 感 じ た 同 社 は、
世 代CRSをさらに
2008年に生産を開始し
た第
進 化させるべく、 次 世 代モ
デルの開発に着手。
噴射した燃料の飛び方や
噴射量をいかに制御するかと
着目して開発に取り組んだ結
いう燃料噴射の「デザイン」に
果、以下のような つの技術
革新を実現し、第
世代の
CRSの実用化に成功した。
ルと呼ばれる蓄圧室内に蓄
ンプで高圧にした燃料をレー
た。CRSとは、サプライポ
リーンなエンジンへと変貌し
的な技 術の導 入により、ク
システム(CRS)という革新
持たれていたが、コモンレール
をまき散らす悪いイメージを
や光化学スモッグの原因物質
高め、第 世代(2000気
することでエネルギー効率を
リーク(漏れ)を大幅に削減
新規構造を開発し、燃料の
こで、インジェクタ内の弁の
の負荷がかかってしまう。そ
てサプライポンプに従来以上
一方、噴射圧力の上昇によっ
で噴射でき効率性が向上する
燃料噴射圧力を高めると、
同量の燃料をより短い時間
超高圧噴射の実現
え、電子制御によりタイミン
の量産化を実現した。
良な燃焼となり燃費や排ガ
量が最 適 値からずれて、 不
りすると 噴 射タイミングや
従来のディーゼルエンジン
では燃 料の性 状が変 化した
を実現している。
開発し、従来にない加工精度
ては、独自の加工機を自社で
噴孔形状を加工するに当たっ
ルを導入した。この超微細な
に、高拡散噴霧が可能なノズ
単 位で検 出。この値から 実
並みに規 制が厳しくなるこ
でなく、将来的には先進国
第 世代CRSは、欧米
や日本で採用されているだけ
クリーンディーゼルに
対するさらなる期待
際の噴射時期、噴射量を推
万分の1秒
定し、その結果を即座に目
の圧力変動を
ンサを設置し、燃料噴射時
そこで、 篠 原 氏らはイン
ジェクタ内 部に小 型 圧 力セ
化を招く場合があった。
また、燃焼室内で理想的な
燃料の燃焼状況をつくるため
燃料を効果的に
高拡散させるための
ノズルの開発
3
ス、あるいは運 転 性 能の悪
フィードバックシステムの開発
最適化を図るための
燃料の噴射状況の
で2500気圧を実現した。
圧)よりも少ないエネルギー
軽油を燃料とするディーゼ
ルエンジンは、かつては黒い煙
3
ものづくり技術と制御技術との結集により、
次世代ディーゼルエンジンの実用化に貢献
受賞メッセージ
クリーンディーゼルを
支えるコモンレール
●20社を超える多くの地域協力企業が試作開発
段階から生産まで深く携わり、地域経済の活性化
や雇用の維持・拡大にも大いに寄与している。
http://www.denso.co.jp/ja/
とが予 想される新 興 国での
愛知県刈谷市昭和町1-1
TEL 0566-61-7543
FAX 0566-25-4662
E-mail [email protected]
標値にフィードバックして補
4
株式会社デンソー
需要拡大も期待されている。
ディーゼル噴射技術部 小島 昭和
正 す る とい う「i ーART」
お問い合わせ先
竹内 克彦/松本 修一/石塚 康治/笹本 和夫/竹村 秀司/小島 昭和
株式会社デンソー
煙を撒き散らして走るトラックの姿が少なくなって
きましたが、
ここには我々のコモンレールシステムが
搭載されています。
地球環境の保護に貢献するため
の最新のシステムが高い評価を受けたことは大変
に光栄であり、
この賞に恥じないよう今後も新製品
の開発に邁進していく所存です。
10
12
内閣総理大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
13
3
4
●燃料噴射圧力2500気圧インジェクタの開発はク
リーン燃焼を実現し、二酸化炭素(CO2)排出量
を大幅に低減。
商 号:株式会社デンソー
設 立:1949年12月16日
従業員数:146714名
(連結)
事業内容:先進的な自動車技術、システム、製
品を世界の主要な自動車製造会社
に提供するトップレベルの自動車部
品サプライヤー。自動車関連分野以
外にも、セキュリティ・エネルギー・
ヘルスケアといった生活・産業関連
機器分野において自動車技術を応
用した様々な事業を展開している。
製品・技術開発部門
コモンレールシステムのインジェクタ
受賞理由
上段左より、石塚 康治、松本 修一、小島 昭和、竹村 秀司
下段左より、竹内 克彦、篠原 幸弘、笹本 和夫
会社概要
株式会社デンソー
リーダー 篠原 幸弘
受賞者
内閣総理大臣賞
地球環境保護に貢献するクリーンディーゼルを
支える世界初のコモンレールシステム
受賞件名
●3つの技術革新によりクリーン燃焼・低燃費・
安価を両立した革新的システムの実現
●コモンレールシステム構成
内 閣 総 理大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
世界で初めてCFRP製プロペラの船級
承認 を 得て、一般 商 船への搭 載 を 実 現
ナカシマプロペラ株式会社
●我が国が強みを持つ炭素繊維のプロペラへの採用
が進むことで、船体への採用も進み、船舶分野での
炭素繊維の使用量の増加につながることを期待。
この度は、
名誉ある賞を頂き誠に有難うございまし
た。
この技術は、
船舶における温室効果ガス排出削
減を念頭に2007年から研究開発を始めました。
2014年、
世界で初めて一般商船に搭載し高性能
化を実証できました。
日本財団、
日本海事協会、
関係
各位のご支援、
ご協力に感謝申し上げます。
受賞メッセージ
問 題が生じる。また、 銅は
鉄と比べてキロ単価が非常に
高く、レアメタル同様に相場
変動が激しいという経営上の
課題にもなっていた。
一般 商 船では世 界 初 と
なるC F R P 製
プロペラを 搭 載
そ こ で、 比 強 度 の 高 い
CFRP(炭素繊維強化プラ
スチック)材料をプロペラに
適 用することで、 従 来の金
属製ではできない高性能なプ
ロペラを提供できるものと考
え、2007年から 研 究 開
発に 着 手 し た。CFRP材
料は軽量で腐食疲労強度が
高くプロペラ材料として理想
的であることを確認し、まず
小 型 遊 漁 船 用にCFRP製
プロペラを開発。その後、実
船舶の省エネの実現のため
に船体形状や推進装置(プロ
搭載すべく研究開発に着手。
商船にCFRP製プロペラを
船実証試験および耐久試験
ペラ)の研究開発が進んでい
2014年
月に船級承認
等 を 経て、2012年 から
る。一般に、プロペラの性能
省エネを実現するには
プロペラ性能向上に
つながる大直径化が課題
●銅合金のプロペラを炭素繊維に転換することに
よって軽量化、燃費改善、加速性能向上等に貢献
した、
複合材料を活用した代表的な事例。
直径化することが最善である
向上のためには、低回転、大
プロペラを搭載した。
に世 界 初 となるCFRP製
を得て、商船の主推進装置
C F R P 製 プロペラの開 発
により9%の燃 費 向 上 、
%以 上の振 動 低 減 を 実 現
向 上させるために鋳 物で製
( 外 皮 )構 造 と なっている。
般的に軽量化のためにシェル
航空機の主翼に採用され
てい るCFRP材 料 は、一
するCO 2の削減にも寄与し
上を達成し、船舶から排出
果、驚異的な %の燃費向
を 実 際に用いて航 行した結
と比較して %程度重量を
大して居住性を損なうという
加し過ぎて、船体振動が増
おり、大直径化は重量が増
常プロペラは銅合金で作って
と知られている。しかし、通
5
しかし、プロペラは信頼性を
30
軽減できた。また、プロペラ
のないCFRP材料をプロペ
ある。船級規則として実績
造される中実な金属の塊で
ションの 発 生 が 抑 制 で き、
さ らにCFRP材 特 有の
「しなり 」によりキャビテー
ている。
%以上の振動低減を実現
あるが、多数の成形や樹脂
で対応でき、万一破損しても、
海洋生物等が付着しても
研磨作業ではなく高圧洗浄
し、騒音低減による居住性
を試みて強度低下や欠陥の
「抜き差し構造」により羽根
の向上にも貢献している。
ない新たな成形プロセスを開
1枚ずつの交換が可能になる
が望まれた。
発し、 プロペラの翼 根 部に
ものと比較し格段に容易と
なった。
など、維持管理も金属製の
その結果、同じプロペラ直径
http://www.nakashima.co.jp/
必 要な厚さ200 ㎜にも 及
CFRP材 料の一般 的 な
厚さは最 大でも ㎜程 度で
属と同様に中実であること
ラに使用する場合、従来金
9
岡山県岡山市東区上道北方688-1
TEL 086-279-4045
E-mail [email protected]
(2120 ㎜)の銅 製のもの
ナカシマプロペラ株式会社
ぶ中実の製品を実現させた。
30
商 号:ナカシマプロペラ株式会社
設 立:2008年
従業員数:407名
(2012年11月現在)
事業内容:漁船から大型船まで幅広いレンジに
対応する船舶用プロペラメーカー。
大規模コア数CPUを取り入れたプ
ロペラ最適形状の提案とともに、専
用加工機と熟練職人技術を融合さ
せた生産体制で、設計から製造まで
一品最適生産を行う。新素材への取
り組みなど研究開発にも力を入れて
いる。
受賞理由
後ろ左側より、河合 哲也、山磨 敏夫、櫻井 貴哉、魚田 直希
前左側より、塩田 真歩、林 和也、井上 俊之
会社概要
★予備ブレードをストックしておけば、
損傷時にも早急に対応が可能
★交換に専門性不要 ★補修も可能
ブレード(CFRP)
★軽量化および高減衰率により、
振動が低減
★居住環境改善
高効率
高強度
50
コンポジット事業室 山磨 敏夫
CFRPプロペラの特徴⑥
低振動
櫻井 貴哉/魚田 直希/井上 俊之/林 和也/河合 哲也/塩田 真歩
受賞者
★軽量化により容易に大直径化が図れ
プロペラ性能向上を実現
★キャビテーション発生抑制
★従来材より疲労強度が高く、
信頼性も高い
30
お問い合わせ先
メン テ ナ ン ス 性
CFRPプロペラの特徴③
ナカシマプロペラ株式会社
リーダー 山磨 敏夫
CFRPプロペラの特徴⑤
14
内閣総理大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
15
CFRPプロペラ
軽量
押え板
(NAB)
CFRPプロペラの特徴②
製品・技術開発部門
★ブレードの形状が流れにマッチング
するように変形し、荒天時等の過負荷
を低減
過負荷低減
CFRPプロペラの特徴④
CFRPプロペラの特徴①
ボス
(NAB)
★従来材のNABの約1/5の比重により
軽量となり据付が容易
★慣性モーメントの低減→軸系の軽量化
内閣総理大臣賞
省エネを実現する、商船に世界初搭載した
炭素繊維強化プラスチック製プロペラの開発
受賞件名
●世界で初めて一般商船に
搭載されたCFRP製プロペラ
●CFRP製プロペラの特徴
内 閣 総 理大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
会社概要
※ TOTOファインセラミックス株式会社
●AD法によるセラミックス膜の特長(イットリアを製膜した場合)
ないが、製造装置の内部部材
がプラズマ照射により傷つけ
発生すると、回路ショートな
られて粉塵(パーティクル)が
どの製品不良を引き起こし、
品質や歩留まりが悪くなる。
内部部材の耐プラズマ性を高
めるために、従来は溶かした
セラミックを吹き付ける「溶
射」
によるコーティングが行わ
れていたが、清原氏らは、「エ
アロゾルデポジション
(AD)
法」と呼ばれる日本発祥の独
自技術により部材表面に超
緻密なセラミック膜を形成す
ることで、半導体製造プロセ
数を約
分の ~
分の
20
だったが、2012年頃には
2005年 で90nmほ ど
路線の間隔(ハーフピッチ)は、
どん高密度になっており、回
化に伴い、半導体回路はどん
半導体回路を搭載した電
子機器の高機能化・高性能
焼いて作るもの」という常識を
に衝突させる。「セラミックは
スピードで高速噴射して基材
し、秒速150~400mの
の煙のようなエアロゾル状態に
を常温のガスに混ぜてたばこ
ング技術のことで、サブミク
でいる。
セラミックス膜を形成できる
覆し、加熱することなく、基
材の表面に高緻密・高密着な
その半導体の製造プロセス
においてはプラズマが欠かせ
応できる製造装置部材である
ことを見いだす。2005年
からは当該用途向けの技術開
発とマーケティング活動を本
同 社 は、1999年 よ り
産 総 研( 旧・工業 技 術 院 機
体製造装置用低発塵部材
現し、世界最高レベルの半 導
なかったAD法の量産化を実
格的にスタートさせ、これま
械技術研究所)とAD法の実
でラボレベルでしか使われてい
用化に向けた共同研究を開
の製品化に成功した。
本製品は、世界の名だた
る半導体メーカーの製造ラ
世 界の大 手
半 導 体メーカーで採 用
途展開を模索し、自社で開発
ていた清原氏らは根気強く用
シェアは
規 製 造 装 置 にお け る 世 界
材との比較評価などを行った
るレトロフィット需要への期
た、旧式の製造装置におけ
インで採 用 されており、 新
結果、AD法により成膜した
待も高く、約
倍の市場が
プラズマ性を有し、次世代半
50
TOTO株式会社
見込まれている。
お問い合わせ先
導体デバイスの生産に十分対
http://www.toto.co.jp/
10
%に 達 する。 ま
部材が現行品の ~ 倍の耐
した試験方法を用いて従来部
も、AD法の可能性を確信し
か成果が出なかった。それで
のの、最初の数年間はなかな
しながら技術開発を進めたも
始。国家プロジェクトを活用
半導体製造装置
部 材 としての
活 用 可 能 性を発 見
革新的な技術である。
ロンレベルのセラミック微粒子
nm以下まで微細化が進ん
(産総研)が発見したコーティ
AD法とは、 国立 研 究 開
発法人産業技術総合研究所
倍に延ばすことに成功した。
10 1
スにおけるパーティクル発生
1
に抑制し、部材寿命を約
10
”常温 でセラミック膜を形成する
“
技術を実用化し、
世 界 市 場を 席 巻
受賞メッセージ
半 導 体 製 造 プロセスで
発 生する粉 塵を
大 幅に削 減
非常に緻密なセラミックス膜を、
常温環境下でコー
ティングする本技術を弊社が初めて実用化・事業
化に成功したことを評価していただき、
大変光栄に
感じております。
今後も製・販・開が一丸となり、
オン
リーワン技術をもとに最適なソリューション提案を
行い、
お客様の課題を解決して参ります。
5
東京都港区海岸1-2-20 汐留ビルディング24F
TEL 03-6836-2092
FAX 03-6836-2214
20
セラミック営業部
鳩野 広典/伊藤 朋和/佐伯 義光/岩澤 順一/新田 安隆/宮川 裕希(※)
TOTO株式会社
●さらなる差別化を図るために、用途特許も含む特
許網の構築による知財戦略と同時に、
国際標準化
の取り組みにも積極的に参画している点も評価。
30
受賞理由
写真上段左から、岩澤 順一、佐伯 義光、新田 安隆、宮川 裕希
16
内閣総理大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
17
●技術力とともに、最終ユーザーの半導体メーカー
の潜在的ニーズを掘り出すマーケティング戦略に
より新しい価値の提供を実現した好事例。
商 号:TOTO株式会社
設 立:1917年
(大正6年)
5月15日
従業員数:26842名(連結:2015年3月末現在)
事業内容:主な事業は住宅設備機器の研究・
商品開発・設計・デザイン・販売。
新領域事業であるセラミック事業部
は、静電チャック、エアロゾルデポジ
ション法によるセラミックス膜、精密
構造部品、
ボンディングキャピラリー、
レセプタクル、発光管を扱っている。
TOTO株式会社
リーダー 清原 正勝
受賞者
内閣総理大臣賞
製品・技術開発部門
次世代半導体デバイスを支える
「製造装置用低発塵性部材」の開発
受賞件名
●AD法でコーティングされた
半導体製造装置部材
●エアロゾルデポジション(AD)法による
セラミックス製膜
内 閣 総 理大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
た く み
音楽を志す子供たちに夢や希望を与える
一人の匠による歴史的発明
有限会社藤井ピアノサービス
内閣総理大臣賞という最高賞を頂き厳粛に受けと
めております。
受賞が決まった時は
「やった!」
と思い
ましたが、
日が経つにつれ賞の重みを感じ、
将来に
対しての期待も込めた賞ということで身の引き締ま
る思いです。
さらなる性能の向上と普及に全身全霊
を傾け、
努力・精進していく所存です。
受賞メッセージ
種 類 が あ る 。 グ ラン ド
ピアノには グランド ピア
ノとアップライト ピアノの
次世代を担う
子供たちへの歴史的発明
●商店街の様々な立場や分野の人々がフラットにア
イデアを出し合って協業することにより、現場発の
世界技術が誕生した好事例。
会社概要
藤 井 氏 は 、 地 元 で ピア
ノコンクールを 開 催し 、 普
段の 練 習 通 りに 演 奏でき
な い 子 供 が 非 常 に 多 いこ
と に 気 付 いた。 ま た、 歴
史 的 楽 曲 の 多 く が グ ラン
ド ピ ア ノで の 演 奏 を 前 提
に 作 曲 さ れてお り 、 音 楽
大 学の 入 試で 実 力 を 発 揮
こと も 知った。
で き ない 子 供 が 多 く いる
必 要 と する 楽 曲 を 練 習で
こ れ は、 アッ プ ラ イ ト
ピ ア ノで は 、 連 打 機 能 を
き な いこ と 、 前 腕 の 筋 肉
の 使い方 が 異 な る こ と が、
原 因 となっている 。今 回の
受 賞 案 件の「 グランフィー
ル ピアノ 」は 、 アッ プ ライ
ト ピ ア ノの 機 構 に 連 打 機
能 を 付 け る 改 良 を 行 い、
子 供 たち が 音 楽の 才 能 を
伸 ばす手 助 けとなる 歴 史
的 発 明である 。
来、連打機能(レペティショ
1800年に発明されて以
したアップライト ピアノは
庭 用 練 習ピアノとして普 及
ンパクトな 利 点を 生かし 家
一方 、 弦を 垂 直 方 向に張っ
加 減に 応 じて鍵 盤 が戻 る 。
れ る の が 速 く、 力 の 抜 き
自 然 に 戻 る た め、 弦 を 離
たたいたハンマー が 重 力で
弦を 水 平 方 向に張ってい
る グランドピアノは、 弦を
グランドピアノのような
アップライトピアノ
ン)
を有していなかった。
初めてアップライト ピアノ
いる 。これにより 、 世 界で
に連 打 機 能 を 取 り 付 ける
は、 弦 を 離 れるのが遅 く 、
鍵 盤 か ら 指 を 離 さ ないと
ことに成 功した。
構 上の違いが、 先に述べた
課 題の根 源である 。
が 行 わ れて き た。 こ れ に
グランド ピアノに 近いと 評
プロ ピアニスト か ら は 、
弾 いて い る 感 覚 も 極 め て
従 来 は 、 ハンマ ー と 鍵
盤の 連 動 性 を 高 める 改 良
対 してグランフィールピア
価 さ れ ている 。 技 能 習 得
い合 わ せ も 相 次いでお り 、
に 関 する 調 律 師 からの 問
徐 々に 市 場 に 浸 透 し 始 め
のよ うにしならせて、 弦を
藤 井 氏 は、 既 に 新 た な 発
展 開も 期 待される 。一方で
既に 国 際 特 許 を 取 得 し
て お り 、 今 後 は 海 外 での
ている 。
鋭 く たた く 動 作 を 実 現 し
明 に 着 手 し てお り、 匠 の
http://www.fujiipianoservice.jp/
ている 。 も う一つは、ハン
鹿児島県薩摩川内市西向田町15-11
TEL 0996-25-3320
E-mail [email protected]
マーを 押し 戻 すスプリング
有限会社藤井ピアノサービス
次なる一手も 期 待される 。
代表取締役 藤井 幸光
盤が戻るように調 整されて
お問い合わせ先
で、 力 の 加 減 に 応 じ て 鍵
装 置 の一つは、ハンマ ー
と 弦の 間でハンマー をムチ
さ わしい。
第 三の ピアノ と 呼 ぶにふ
ノは 、
つの「 装 置 」を 加
エコシステムの広がりと
新たな発明への期待
鍵 盤 が 戻 ら な い。 こ の 機
ているアップライ ト ピアノ
ション)が発明されたが、コ
能 上、 連 打 機 能(レペティ
ピ ア ノ は1821 年 に 機
2
え た 全 く 新 し い 機 構 で、
2
受賞理由
藤井 幸光
18
内閣総理大臣賞 伝統技術の応用部門
第6回 ものづくり日本大賞
19
●200年にわたり改良による機能追加がなされていな
いことをよく認識した上で、期待される機能を新たに
開発し、ユーザーに低価格で提供することを実現。
商 号:有限会社藤井ピアノサービス
設 立:平成元年
従業員数:3名
事業内容:国産ピアノからヨーロッパの高級ピ
アノまで取り扱うピアノの専門店。
小売をはじめとし、調律・修理、オー
バーホールも手掛けている他、
「グラ
ンフィールピアノ」で特許を取得し、
製造・販売を行っている。
有限会社藤井ピアノサービス
藤井 幸光
受賞者
内閣総理大臣賞
伝統技術の応用部門
グランドピアノの音色と機能を持つ
アップライト型グランフィールピアノ
受賞件名
●音質向上
●表現力向上
●グランフィールピアノの構造
内 閣 総 理大臣賞
ものづくり日本大賞
21
内閣総理大臣賞 受賞者
20
第
6回
熟練工の技能をデータ化し、
極小ロットの大型コイルバネを安定供給
●自動化の推進と同時に匠の技も継承できる環境整
備を進め、若手技術者に魅力的な職場を提供するこ
とで、地元雇用や地域活性化にも大きく貢献。
受賞メッセージ
大 型コイルバネを 製 造す
るには、 最 大 長さ mで質
世 界で唯一の極 小ロットの
大 型コイルバネ 製 造 技 術
の継 承 が 課 題に
栄誉ある賞を賜り、
全社一丸で取り組んだ地道な努
力を最大限に評価して頂けたものと大変光栄に思
います。
平均受注ロット5個以下の多品種微量を支
える職人技能のたゆまぬ伝承、
職人技能を数値化
した卓越した機械を駆使し、
今後もお客様に高く評
価して頂ける品質を提供し続けていきます。
●手づくりばねの製造プロセス
なっていた。
り組む企業は、今や同社を
平均ロット5個の大型コイ
ルバネの製 造に専 門 的に取
除き国内外で皆無の状況に
型コイルバネは、エネルギー
ある。 極 小ロットの特 殊 大
をはじめとする 社 会インフ
ラ基盤を支える重要なキー
パーツであ り、 唯一の 専 門
メーカーとして将 来にわた
り安定的に大型コイルバネを
供給できる体制の構築、製
造技術・ノウハウの継承が課
題であった。
職人技をデータ化して
機械を制御・稼働させる
技術を確立
制御することにより、電磁
そこで、 熟 練工の技 術や
ノウハウを数値化してデータ
誘 導 加 熱・ 保 温 炉システム
軸 制 御のコイル巻き 技 術
や材料の自動投入システム、
に頼るしかなかった。また、
化できず、製造は熟練職人
ロットであるがゆえに機 械
を作る必要があるが、極小
約900 ℃に加熱して形状
量800㎏にもなる材料を、
イルバネの製造ラインを、熟
ロットのみに特化した大型コ
平均製造ロット
が必要なカスタム品で、かつ、
融合することで、一から設計
た。職人技と最新鋭設備を
の自 動 化システムを 開 発し
個の極 小
非常に危険を伴う作業であ
15
技能者による製造体制に切
製 造 継 続 が 困 難 な 状 況に
り、 職 人の高 齢 化によって
館』を設置し、熟練工の匠の
せて、社内に技術道場『啓匠
な く、 平 均 年 齢 .6歳の
練職人のみに依存するのでは
会インフラや大規模震災リス
供給を実現することで、社
大型バネの高品質化と安定
絶対的信頼性が求められる
など、極小ロットではあるが、
から発電所を守る安全弁用
不可欠な高温ガスの過高圧
東 京スカイツリ ーなどの
高層建築物制振や、発電に
は地元出身者割合が %に
より魅力度を高め、現在で
を継続的に製造することに
のできない高 付 加 価 値 製 品
を有しているが、他社にまね
同社は大都市部へ若年人
口が流出している地方に拠点
行っている。
に継 承していく 取り 組みを
達するなど、地域の若手技
術者の雇用・定着に貢献し
人もの工場見学者を受け入
ている。 ま た、 年 間600
れ、地域の活性化にも貢献
製造プロセス改革を「自動化
企業の成功モデルとしても着
生産拠点を地方都市に置
きつつ世 界に通 用する 中 小
している。
と人との関係の最適化」と捉
東海バネ工業株式会社
性はますます高まっている。
67
http://www.tokaibane.com/
目されている。
職人技をデータ化したと
はいえ、 熟 練 技 能 者の重 要
グローバルニッチトップ
企業が地域活性化を
牽引する成功モデルに
ク軽減へも貢献している。
技を地元出身の若手技術者
たくみ
り替えることができた。
5
34
兵庫県豊岡市神美台157-21
東海バネ工業株式会社 豊岡神美台工場
TEL 0796-29-5730
E-mail [email protected]
え、機械による自動化と併
生産部門 取締役マネージャー 坪口 幸弘
受賞理由
メダルを胸にした左から、石塚 健、小谷 健二、坪口 幸弘、岡森 直哉
22
経済産業大臣賞 製造・生産プロセス部門
第6回 ものづくり日本大賞
23
6
お問い合わせ先
小谷 健二/坪口 幸弘/岡森 直哉
東海バネ工業株式会社
会社概要
●製造工程における熟練工の技術やノウハウを
データ化することにより、製品の安定供給、製造
環境の改善を実現した好事例。
商 号:東海バネ工業株式会社
創 業:昭和9年3月
設 立:昭和19年3月
従業員数:80名
事業内容:オーダーメードの極小ロット専門に、あ
らゆる種類のバネを設計・製作し、
お約束納期厳守率99.5%以上で、
個人や企業を問わずに提供する金属
バネメーカー。提供先は制振バネが
必要な高層建築や、小惑星探査機
やロケット、発電所関連など多岐にわ
たる。バネで困ったら是非当社へ!
❿ 完成・出荷
❽ ショット
ピーニング
❻ 熱処理
❹ 端面切断
❷ 成形加熱
❾ 完成検査
❼ 端面仕上げ
❺ ピッチ調整
❸ 巻取り
❶ 材料切断
東海バネ工業株式会社
リーダー 石塚 健
受賞者
経済産業大臣賞
製造・生産プロセス部門
日本の社会基盤を支える平均ロット5個
特化型の大型コイルバネ製造ライン開発
受賞件名
●将来を担う若手社員
●スーパーコイリングマシン「YUKI」
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
中国と比較して 分の1の人員で
究極の多品種少量の量産製造を実現
実際の作業現場
株式会社島根富士通
受賞メッセージ
で、「 ものを 作 ら ないものづ
くり」を実践している。例え
ば、量産開始前の製品設計
では、事前にツールを使いシ
ミュレーションすることで、
量 産 開 始 後の 問 題 発 覚 を
未然に防いでいる。同様に、
新規設備導入時や新規ライ
ン構 築 時にも 事 前にシミュ
で、 設 備 配 置、ラインレイ
レーションツールを使うこと
アウト、 作 業 動 線、 作 業バ
後のトラブルを未然に防いで
ランスなどを 検 討し、 導 入
いる。
また、 プリント板 実 装工
程や製品組み立て工程など
の製 造 現 場に各 種ロボット
を 投 入し、 組み立てから 試
験、梱包に至る各工程を人
高い生産性を維持している。
と機械を協調させることで、
上で1 台ずつ仕 様の異なる
ら、 障 害 率
こうした取り組みにより、
小ロット混流製造でありなが
Q CDの大幅な改善と
マスカスタマイゼーションな
ものづくりを実現
ノートパソコン等を製造でき
ト %削減、製造納期 %
現在、中国の 分の1の
人員で、カスタマイズ対応の
際競争力を獲得した。
ツールとして利 用すること
と り わ け、ICT技 術
をものづく りのための評 価
開発した。
産 ラインはいま だ 徐々に短
活 動が展 開されており、 生
くなき追求、永続的な革新
いる。 現 場では生 産 性のあ
作業風景が高く評価されて
でを国内で一貫生産できる国
み立て、製品完成に至るま
短縮という高い生産性を実
場はシミュレーターによる生
産手順の仮想検証や作業ロ
製造業の強みでもある「人」
ボットとの協調だけで実現で
この生 産 ラインはICT
技術を活用したリファレンス
の力によるところも大きい。
ている。
ICTの活用は少子高齢化
とが可 能であることを示す
めており、 国 内 製 造 業の復
国内外から多数の見学者
が訪れているが、見学者から
起因した生産性の低下といっ
による労 働 力 人口の減 少に
の生産・雇用を維持するこ
は、ICTを 活 用した仕 組
島根県出雲市斐川町三絡1180-6
TEL 0853-72-2333
E-mail [email protected]
http://www.fujitsu.com/jp/group/sfj/
た社会的課題解決の糸口と
株式会社島根富士通
を活用しながら効率的にき
総務部 総務担当
なることを立証した。
お問い合わせ先
びきびと働く従業者などの
好 事 例であり、ロボットや
みのみならず、汎用ロボット
権に大きなインパクトを与え
きたものではなく、我が国の
現場へ波及する可能性を秘
モデルとして他のものづくり
製 造 拠 点の 海 外 移 転 が
進む中、 国 内にものづくり
国内製造復権と地域雇用
創出に大きなインパクト
現し、 プリント基 板から 組
ノー トPC、 タブレット を
くなっているという。この工
90
生産する、国内最大級の量
80
%改 善、コス
る小ロット混流製造ラインを
式」ではなく、 つのライン
ことで、従来の「セル生産方
先 端ICT技 術 に よ り、
ものづくり 全 領 域をつなぐ
機 械の協 調 生 産 」を 実 現
作らないものづくり 」
「 人と
I C T 技 術により「 ものを
●汎用ロボットを活用した自動化と作業者との協調
生産により生産性を高め、国際競争力の確保と地
域の雇用創出を同時に実現している。
産工場として稼働している。
50
1
24
経済産業大臣賞 製造・生産プロセス部門
第6回 ものづくり日本大賞
25
この度は、
ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞
を賜りありがとうございました。
今回の受賞は、
海外
OEMベンダーに負けないものづくりに対する考え
方
(人と機械の調和)
、
取組みが評価されたものだと
理解しています。
これからも次世代のものづくりに向
け取組んでまいりたいと思います。
10
受賞理由
左から、佐藤 昌之、渡野 佑馬、福間 龍巳
枠内は、山本 基之
会社概要
株式会社島根富士通
リーダー 佐藤 昌之
受賞者
●先端ICT技術によりものづくり全領域をつなぐこと
で、
1つのライン上で1台ずつ仕様の異なるパソコ
ンを製造できる小ロット混流製造ラインを実現。
商 号:株式会社島根富士通
設 立:1989年12月
従業員数: 615名
(2016年1月現在)
事業内容:島根富士通は日本最大のノートPC、
タブレットなどのユビキタスクライアン
トデバイス製造拠点である。生産技
術力とICTを活用したスマート製造に
よるフレキシブルかつマスカスタマイ
ゼーションなものづくりを実現。もの
づくり力を生かした各種サービスビジ
ネスも提供している。
●島根富士通の外観
●人と機械の協調生産
福間 龍巳/山本 基之/渡野 佑馬
シミュレーション画面
経済産業大臣賞
製造・生産プロセス部門
ものづくりの全領域をICTで繋ぎ、
人と機械の協調生産を実現したノートPC生産方式
受賞件名
●ツールによる、
導入前シミュレーション
●全領域でICT技術を活用することで
グローバル競争に勝てる高生産性を実現
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
10
第
6回
東日本大震災の被災地に立地する企業として、
「防
災用品に特化した電池」
を目標として開発に取り組
んだ結果、
『 MgBOX』は誕生しました。前例のない
電池であったので、様々な専門分野の方の御協力が
あって開発できたものと思います。
この場を借りて、
御尽力いただいた方々に御礼申し上げます。
受賞メッセージ
●MgBOXの外観
●MgBOXの使用方法
●MgBOXの仕様
十分行えず、乾電池も売り
切れ状 態になったため、 警
報情報や外部からの連絡が
遮 断されてしまい、 多 くの
尊い命が失われた。
福島県いわき市に立地する
同社は、こうした東日本大震
災での被災経験から携帯情報
端末へのエネルギー供給の重
要性を認識し、電力会社から
の電力供給に全面的に依存し
ない非常用電源として、避難
所などに設置可能で簡単に多
数の携帯機器へ電力を供給で
きるマグネシウム空気電池の
実用化開発に着手した。
マグネシウム空 気 電 池と
は、マ グ ネシウ ムを 負 極、
空気中の酸素を取り込むた
めの 導 電 性 素 材 を 正 極 と
水 )が化 学 反 応 することで
し、これら と 電 解 液( 食 塩
発電する電池である。
乾電池の場合、未使用状
態でも ~ 年で交換する
側面に刻み込まれたミシン目
替 可 能である。 次に、 筐 体
河川水・雨水・尿等でも代
も比較的入手しやすい海水・
水は水道水のほか、非常時で
準 備する。なお、 使 用する
500 の空ペットボトルを
では、これら 機 器の充 電が
停 電が長 期にわたった地 域
難することができた一方で、
が出ていることを 知り、 避
ラジオを視聴した人は警報
活 躍した。ワンセグ放 送や
東日 本 大 震 災においても 大
器 が 広 く 利 用 さ れてお り、
スマー トフォン等の携 帯 機
使用していない。また、発電
る 触 媒には希 少 金 属を一切
で酸素の反応を活性化させ
に採 用しているほか、 正 極
部品を容器筐体や中仕切り
水性・水密性を高めた紙製
るべく、 特 殊 加工により 耐
廃棄時の環境負荷軽減を図
開発では、電池の軽量化や
計量する道具として市販の
本電池を使用するために
は、 ま ず2Lの水 と、 水 を
うメリットがある。
より 発 電 容 量が大きいとい
保 管が可 能で、かつ乾 電 池
封をした状態で約
たマグネシウム空気電池は、
必要があるが、今回開発し
ふたを閉めると約 分で発電
ml
が始 ま り、USBポー トを
グネシウム〈Mg(OH)2〉が
給できる。
優れた防災用品として
阻 害するため、これらを 除
去するための機 構を独 自に
こ うしたマグネシウム空
気電池の実用化の背景には
点 が 評 価 さ れ、 全 国 各 地
め持ち 運 びが容 易 といった
メンテナンスフリ ー 、 長
期 間 保 管 可 能 、 軽 量 のた
導入。
様々なブレークスルーがあっ
福島県いわき市常磐下船尾町杭出作23-6
TEL 0246-43-0096
FAX 0246-44-2833
http://www.furukawadenchi.co.jp/
の 防 災 拠 点で 備 蓄 が 進 ん
技術開発本部 開発統括部 研究部
装体として金属や樹脂の容
古河電池株式会社
でいる 。
お問い合わせ先
器が使 用されているが、 本
た。一般 的 な 電 池では、 外
全国各地の防災拠点で導入
ウム負極を覆い放電 作 用を
不動態被膜となってマグネシ
プロセスで発生する水酸化マ
10
通じて 日間程度電源を供
3
年間の
ペットボトルから水を注入し
に沿って通気口を開けた後、
や通 信のために携 帯 電 話・
大 規 模 災 害 発 生 時には、
避難等に関わる情報の収集
東日本大震災の
被災経験をもとに着想
●メンテナンスフリーで長期保管を可能とし、
さら
に、使用後の廃棄も容易であるなど、環境にやさし
い配慮がなされている。
5
久保田 昌明
古河電池株式会社
3
●被災地の真のニーズを的確につかみ、誰でも容易
に、
かつ安全・確実に作動させることのできる電池
開発は、
社会貢献の面で高く評価。
商 号:古河電池株式会社
設 立:1950年
(昭和25年)
9月1日
従業員数:2188名
(連結:2015年3月末現在)
事業内容:自動車、鉄道、航空機、通信機などで
使用される各種バッテリーのほか、電源
装置などの製造・販売を手がける。高
度情報化社会のさまざまな分野を力強
く支える予備バッテリーとしてのエネル
ギーや、信頼性の高い宇宙開発用電
源など、暮らしのあらゆるところで活躍し
ている。
26
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
27
2
水 だけで発 電し 、
携 帯 機 器 等に長 期 間
電 力 供 給できる 非 常 用 電 源 を 実 用 化
小出 彩乃/小野 陽洋/平 芳延/程塚 康明/齋田 耕作/高原 努
リーダー
受賞理由
前列左から、小出 彩乃、小野 陽洋、程塚 康明
後列左から、平 芳延、久保田 昌明、高原 努、齋田 耕作
会社概要
古河電池株式会社
受賞者
経済産業大臣賞
製品・技術開発部門
世界初!紙製容器でできた
非常用マグネシウム空気電池の開発
受賞件名
●MgBOXによるLED点灯とスマートフォンの充電の様子
●MgBOXの発電メカニズム(イメージ)
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
受賞メッセージ
ボンファイバー
添加
固化材添加
盛土完成
極めていびつな 状 況が公 共
工事の社 会 的 問 題となって
いる。
特に宮城県では公共工事
に必要な土砂の違法採取が
相 次 ぐ一方で、 河 川に堆 積
しているヘドロが復 興 を 妨
げているという 問 題を 抱え
ていた。さらに、 東 日 本 大
県で 約
震災で発生した津波堆積物
の発 生 量は被 災
1300万 ~2800万 ト
の津波堆積物を最終処分場
ンと 推 計されており、 大 量
へ埋め立て処分することはほ
ぼ不可能であり、有効利用
が強く望まれている。
しかし、 有 機 物の混 入が
多い津 波 堆 積 物は、これら
有 機 物の分 解によるガスの
を盛土として利用した場合、
発生・沈下が懸念されるた
め、再利用が進んでおらず、
有効活用が大きな課題とし
工 事においてはほぼ同 量の
にはコストと時間がかかり、
そこで東北大学と共同研
究を行い、従来、土質改良
ヘドロを耐震性、耐久性に
優れた高機能性地盤材料
として再資源化
有機物を含む津波堆積物の
(ヘドロ)
従来、有機質泥土
のほとんどが、 地 盤 材 料と
て残されていた。
年 度のヘドロ
新材(山砂等)を購入して地
かつ、盛土としての使用が不
適切とされてきたヘドロに繊
維質系泥土改良材(低級古
かく はん
紙破砕物)
と固化材を投入・
ガスの発生を抑制する技術
の期間有機物の分解による
境負荷低減につながるだけで
再資源化は、環境保全・環
従来は無価値とされ、災
害復旧を妨げていたヘドロの
撹拌することにより、相当
を確立し、さらに、耐震性
る 自 然 災 害において、 迅 速
はな く、 全 国で多 発してい
な災害復旧と大幅なコスト
地盤材料に再資源化する「ボ
ンテラン工法」
を開発した。
年
月 現 在、 既 に 全 国 で
削減を可能とし、2015
ボンテラン改 良 土のFL
(液状化抵抗率)は1
. 5と、
や耐久性に優れた高機能性
全国で多発する災害
復旧・復興に大きく貢献
盤材料として利用しており、
なっている。一方、公共土木
排出量は約1100万㎥と
いる。 平 成
分 料を負 担して捨土されて
判断され、土砂処分場に処
しての再資源化は不可能と
東 日 本 大 震 災で発 生
した 膨 大 なヘドロの処
理が社 会 問 題に
6
ヘドロの再資源化により迅速な
災害復旧と大幅なコストダウンを実現
※ 国立大学法人東北大学大学院
株式会社森環境技術研究所
ヘドロを原材料として高機能地盤材料に再資源化
が可能となるため、
全国で多発する災害復旧方法
を根本的に改善できるものと期待しております。
今
回の受賞に際し、
「 厄介者のヘドロ」
の再資源化を
テーマとして長年研究開発を主導していただいた
高橋弘教授に感謝を申し上げます。
20
よるせん断破壊やクラックが
が東日本大震災で液状化に
山砂を購入して施工した堤防
ことが確認されていた。一方、
従来の砂に比べて 倍である
地域の建設業者に本工法の
の建設業者であることから、
震 災において復 旧 活 動に
率先して取り組むのは地元
393件の採用実績がある。
5
発生したのに対し、ヘドロを
の拡大と国土 強 靱化にも貢
小建設業者の新規ビジネス
ノウハウを 無 償 提 供し、 中
山形県新庄市小田島町7-36
TEL 0233
(22)
0832
E-mail [email protected]
きょう じ ん
再利用したボンテラン改良土
http://mori-kankyo.co.jp/
でつくった堤防は無傷で、液
株式会社森環境技術研究所
献している。
取締役 森 勇人
の有効性が実証された。
お問い合わせ先
状化対策用地盤材料として
13
受賞理由
写真左から、山﨑 淳、丹 勇、森 雅人、高橋 弘教授、柴田 聡、森 勇人
28
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
29
●ノウハウを中小建設業者に無償で提供すること
により事業拡大の支援につながるだけにとどまら
ず、
迅速な災害復旧と大幅なコスト削減も実現。
商 号:株式会社森環境技術研究所
設 立:平成12年8月22日
従業員数:7名
(非常勤1名、非正規1名)
事業内容:創業以来、泥土(ヘドロ)の再資源化
の研究開発に取り組み、繊維質系
泥土改良材「ボンファイバー」の販
売、
高含水比泥土改良剤「MTシリー
ズ」の販売、土質試験事業なども手
がけ、多様化する地域の建設現場
のニーズを踏まえた持続可能な社会
構築を実現するための総合サポート
を提供。
高橋 弘(※)/柴田 聡/丹 勇/山﨑 淳/森 勇人
受賞者
●これまで廃棄されていた有機質泥土を高機能性
地盤材料に再資源化する、価値のないものを付
加価値化する新しいビジネスモデルを創出。
会社概要
株式会社森環境技術研究所
リーダー 森 雅人
ヘドロ
経済産業大臣賞
製品・技術開発部門
泥状津波堆積物(ヘドロ)を原料とした
高機能性地盤材料の開発
受賞件名
●ボンテラン工法の施工順序
●従来工法(安定処理土)と受賞案件「ボンテラン工法」との耐久性比較
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
新たな 接 合の概 念
「分 子 接 合 」
で
電 子 端 末の小 型・高 性 能 化 を 実 現
● 接 合原 理
平滑面 で の 化 学 結 合
●欠点
高 周 波 信号 の 劣化
小 型 化・薄 型 化 困 難
●利点
高 周 波 伝 送ロスの 低 減
従 来 品より3 0 % の 薄 型 化
21世紀はこれまでの殻を脱ぎ捨て、
新概念のものづく
り時代に突入している。新ものづくり時代を支えるの
が同一表面機能化の概念であり、
分子接合技術であ
る。
平滑なポリイミドに1分子の共有結合で銅配線を
形成したプリント配線板を開発し、
高速転送ができる
トランスファージェットドングルを可能とした。
受賞メッセージ
※1 株式会社メイコー ※2 株式会社東芝
カメラモジュール
Tr a n s f e rJ et T Mドングル
末 内の基 板や 回 路ユニット
同士の接 続に使 用されてお
り、バッテリ ーやHDD等
のコンポ ー ネントを 回 避 す
る曲げやすさや薄さが必要
とされる。また、通信デー
タの高 速・ 大 容 量 化に伴っ
て、端末内でも高速伝送化
や省 消 費 電 力 化といった要
求が高 まってきている。 今
回 の 受 賞 案 件 は、FPC
製 造 プロセスに「 分 子 接 合
技 術 」を 活 用 す る こ と で、
FPCのブレー クスルーに
成功している。
従来の接合技術と概念を
異にする分子接合技術
従 来 、 F P Cの 基 板 と
な る ポ リ イミ ド 樹 脂 等の
絶 縁 体 上 に、 回 路 と な る
タ量の増 大が見 込まれてお
及・拡大により、通信デー
o f T h i n g s )の 普
今後期待されるビッグデー
タや IoT
(Internet
るため、一般 的には、 基 板
グ法は製 造コストが高 くな
しかし 、 真 空スパッタリン
グ 以 外 に 方 法 がな かった。
金 属 導 体 を 直 接 密 着 する
り、ノー トPCやスマー ト
が 用いら れ る こ と が 多い。
に銅 箔 を 貼 り 付 ける 手 法
る アンカ ー 効 果 と 、 分 子
銅 箔 は、 接 合 表 面 に 凹 凸
結 合 力によって貼 り 付けて
さらなる高速処理と小型・
が期待される。
な 接 合 表 面 に よ る 伝 送ロ
をつけて鍵のよ うに結 合す
フレキシブルプリント 配
線板
(以下、FPC)
は、端
スの低 減 、使 用 材 料( 銅 箔 )
厚 く な る、 凹 凸の 影 響 で
による 省エネ効 果 等 、様々
の 削 減、 製 造 工 程 数 削 減
な利 点がある 。
分 子 接 合 技 術で地 域の
持 続 的 発 展を支 える
分子接合技術は、FPC
製 造 以 外 で も、 多 岐 に わ
接 合のいずれの概 念にも 含
ま れ ない、 画 期 的 な 接 合
た る 分 野 に その 応 用 市 場
CFRPとアルミニウム等、
が 広 がっている。 例 え ば、
にも有用だという。
期待される複合材料の接合
次世代輸送機器の軽量化に
厚 さで 接 合 す る。 当 該 技
オ ー ダ ー( ナ ノサ イ ズ )の
分子
術 をFPC 製 造 に 活 用 す
森グループは、分子接合
技 術による 強いものづくり
をつ な ぎ 役 と し 、
る こ と で、 基 板 上 に 直 接
をつなぎ、地域の持続的発
で雇用を創出し、人と地域
展に貢献することを構想し
銅めっきを 形 成することが
にするこ とに
http://scl-inc.jp/
分の
岩手県盛岡市上田四丁目 3番 5号
盛岡市産学官連携研究センター
TEL 019-601-2610
FAX 019-601-2644
E-mail [email protected]
を
株式会社いおう化学研究所
ている。
取締役副社長 橋本 隆
成 功 し た 。 さ ら に、 平 滑
お問い合わせ先
2
可 能 と な り、 全 体の 厚 み
1
料 と 化 学 反 応 する 多 官 能
2
性 反 応 試 薬( 分 子 接 合 剤 )
手 法 で あ る。
種 類の 材
接 合、 溶 接 接 合、 接 着 剤
こ れ に 対 し て、 分 子 接
合 技 術 は、 従 来 の 機 械 的
課 題があった。
伝 送ロスが生 じ る といった
間 力 や 水 素 結 合 等 の二 次
あるが銅 箔 分 だけ 基 板が
いる 。このため、 安 価では
軽 量 化が加 速していくこと
どう はく
方 法は、 真 空スパッタリン
フォン等の端 末においても、
FPCの小型・軽量化と
高速伝送化ニーズに貢献
●地 域 の 大 学 発 ベンチャー 企 業と大 企 業 の 連
携により実 現した、オープンイノベーションの
好事例。
3
受賞理由
上段左から、工藤 孝廣、森 邦夫、瀧井 秀吉
下段左から、道脇 茂、八甫谷 明彦、鈴木 大悟、林 芳如
会社概要
工藤 孝廣/瀧井 秀吉(※1)/道脇 茂(※1)/八甫谷 明彦(※2)/鈴木 大悟(※2)/林 芳如(※2)
株式会社いおう化学研究所
● 接 合原 理
凹 凸で の 機 械 的な嵌め 合 い
30
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
31
界 面の 模 式 図
高 周 波 アン テナ・カプラ
界 面の 模 式 図
●化学結合を用いて異種材料を接合する分子接合
は、接着、接合の世界に破壊的イノベーションを起こ
し得る画期的な技術であり、技術の汎用性も高い。
商 号:株式会社いおう化学研究所
設 立:平成19年4月19日
従業員数:役員 3名、社員 12名
事業内容:株式会社いおう化学研究所は21世紀
のものづくりを先導する同一表面機能
化の概念と進化を掲げ、
あらゆる物資・
材料の表面機能を同一化する化学物
質の開発・製造販売、表面機能同一
化剤による加工・組立技術の技術移
転業務、及び表面機能同一化による
新規活用製品の製造販売を行う。
適用
改善
製品・技術開発部門
本技術
従来技術
株式会社いおう化学研究所
リーダー 森 邦夫
受賞者
経済産業大臣賞
分子レベルで接合する画期的な
フレキシブルプリント配線板の開発と量産化
受賞件名
●従来技術との比較とその応用製品
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
レアメタルを使用せずに耐熱疲労特性、
良好な加工性、低コストを同時に実現
レアメタルであるMoの省資源化のみならず、
鋼材
の薄肉化による軽量化、
また部品の一体成形による
部品数、
工数の削減の面からも環境に優しい自動
車づくりに貢献できたことは、
素材メーカーとして大
変喜ばしいことです。
開発、
製造にご尽力いただいた
社内外の多くの方々に御礼申し上げます。
受賞メッセージ
※ 現:JFEテクノリサーチ株式会社
●開発鋼の対象部品
上には、室温から高温までの
全温度域で鋼を強化できる
固溶強化元素であるMo
(モ
リブデン)を多量(2%程度)
に添加する必要があった。
しかし ながら、Moはレ
アメタルで高 価な 上、 資 源
枯渇や偏在化などの要因か
ら将来入手が困難となる恐
れもあり、自動車業界とし
てはMo等のレアメタルを用
いない材料への転換を進めて
Moを多量に添加して鋼を
いく必要があった。さらに、
強化した分だけ加工性が低
下するという 課 題を 抱えて
いた。
CuとAlの温度域ごとに
異なる強化特性を
利用してMoフリーを実現
ガスによる加 熱と 冷 却が繰
800 ℃以上にもなり、 排
良い。エンジンの稼働時には
度が高 温であるほど効 率が
による浄化作用は排ガス温
が搭載されており、この触媒
するために触媒コンバーター
自動車の排気系部品には、
排ガスを浄化して大気へ放出
ー
TF1は 温 度 域
JFE
ご とに 異 な る 金 属の 強 化
ー F1を開発した。
JFE T
工 性 を 有 するステンレス鋼
を 実 現し、かつ、 良 好な加
鋼と同等以上の耐熱疲労性
することにより、Mo添 加
せ、Cu、Siと 複 合 添 加
ム)に着目し、Alの添加に
そ こ で、 比 較 的 安 価 な
Cu(銅)とAl(アルミニウ
り返されるエキゾーストマニ
機 構の 発 現 を う ま く 組 み
よって耐熱疲労性を向上さ
フォールド等の耐熱疲労性向
理想的な特長を有している。
高い国内シェアを
獲得し、環境に優しい
車づくりに大きく貢献
SUS444からMoフ
ー F1へ置き
リーのJFE T
以下では析出により鋼を強
化 さ せ る が、700 ℃ 超
換えることで鋼材コスト削減
品の加 工 成 形 性 が高 ま り、
が可 能となった。 また、 部
一方、Cuの析 出 強 化 効 果
複 雑な形 状への加工が可 能
出 強 化 効 果 は 得 ら れない。
が得られない700 ℃を超
数の削減にも寄与。JFE
となり、部品点数や製造工
しており強化に寄与しないた
軽量化、排ガス温度高温化
鋼材の耐熱疲労性の向上
は、鋼材薄肉化による車体
ー
える高温域ではAlが固溶
TF1へのニーズは今後も高
め、良好な加工性を有してい
排出量の低減等、地球環境
による燃費改善、有害ガス
まると予想される。
加工性に優れ、車が出荷され
負荷低減の自動車づくりに
http://www.jfe-steel.co.jp/
て使用される段階になって耐
千葉県千葉市中央区川崎町1番地
TEL 043-262-2582
E-mail [email protected]
貢献している。
る。このように、加工時には
なお、工場で部品加工する
際には、Cuは 鋼 中に固 溶
できる。
して変 形を抑 制することが
で鋼 中に再 固 溶するため析
目 し た。Cuは 700 ℃
と 固 溶 を 繰 り 返 す 点に 着
停 止 に 伴 い、Cuが 析 出
た。まず、エンジンの稼働・
合わせることで生み出され
レアメタル使 用 量の
削 減が自 動 車 業 界の
課 題に
●若い技術者の努力が結実した成果であり、我
が国素材産業の将来を切り開く底力を感じさ
せる事例。
熱疲労性を発揮するという
スチール研究所 ステンレス鋼研究部 中村 徹之
JFEスチール株式会社
太田 裕樹/加藤 康(※)/山内 克久/矢澤 好弘/磯部 敏樹/藤堂 渉
JFEスチール株式会社
お問い合わせ先
32
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
33
●鉄鋼メーカーならではの技術と叡智が存分に活
かされた案件であり、海外競合メーカーには容易
に真似できない高い国際競争力がある。
商 号:JFEスチール株式会社
設 立:平成15年
(2003年)
4月1日
従業員数:連結 42481名
(2014年3月末)
事業内容:旧NKK
(日本鋼管)
と旧川崎製鉄の
統合により誕生。
「独立心に富んだ
自由な精神で、果敢に未来を切り拓
いていく」
という精神を継承し、世界を
リードする技術力と市場ニーズの変
化を先取りする商品開発力を活かし
ながら、多くのオンリーワン・ナンバー
ワン製品を生み出している。
受賞理由
左から、藤堂 渉、矢澤 好弘、磯部 敏樹、中村 徹之、太田 裕樹、山内 克久
枠内は、加藤 康
会社概要
JFE スチール株式会社
リーダー 中村 徹之
受賞者
経済産業大臣賞
製品・技術開発部門
環境に優しい自動車づくりに貢献する
省資源型高耐熱ステンレス鋼の開発
受賞件名
●JFE-TF1が採用された
自動車コンバータケース
●開発鋼と従来鋼の耐熱性と加工性
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
1枚のシートの連続成形によってハニカムコア材が作られる。
ハニカム構造体の連続生産技術を確立、
市場拡大を通じた社会課題の解決に期待
受賞メッセージ
な い 部 分 を 展 張 す る「 展
張 方 式 」と い う 製 造 方 法
が 広 く 用いら れて き た。
し かし 、 製 法 や 加 工 性 の
課 題 か ら 、 その 利 用 は 航
空 機 分 野 等 のハイ エン ド
領 域 に 限 ら れ ていた 。 さ
ら に 、 ポ リ プ ロ ピ レン 等
の樹脂材料は接着性が
悪 い た め 、 展 張 方 式 でハ
ニカ ム 構 造 体 を 製 造 す る
こ と が 難 し かった 。 今 回
の 受 賞 案 件 は、
「 テ クセ
ル 」方 式 の 量 産 技 術 を 新
た に 確 立 し 、 樹 脂 性 ハニ
カム 構 造 体 の 連 続 生 産 に
成 功した 。
社内ノウハウを結集し
量産技術を確立
テクセル方 式の製 造工程
は、 ま ず、 加 熱 に よ り 軟
1940
ハニカム構造体は、
年頃に航空機の軽量化を目
うセルになる 規 則 的な凹凸
ト に、ハニカムウェブ とい
並 べた 中 空 体 構 造 を し て
り、 正 六 角 形 を 隙 間 な く
く。 折 り 込 む 際 に 加 熱 す
を 連 続 的 に 折 り 込 ん でい
を 成 形 し 、ハニカムウェブ
士 を 溶 着 さ せ、 六 角 形 の
いる 。 軽 量 であ る も のの、
造である 。
セル 形 状 を 成 形 している 。
る こ と で、 対 に な る 面 同
従 来 、 ア ル ミニ ウ ム や
紙 の ハニ カ ム 構 造 体 は 、
ンシ ー ト を ラミ ネ ー ト し 、
最 後に、セル上 下からスキ
周 期 的に接 着 剤を 塗 布
樹 脂 製ハニカム構 造 体を 連
れ ま でに 同 社 が 蓄 積 し て
熱 溶 着、 金 型 構 造 等、こ
配 合 や 成 形 方 法・ 条 件、
が 世 界 初 だ。 樹 脂 材 料の
適 用 に 成 功 し たの は 同 社
器分野への導入が検討されて
貢献している。また、輸送機
再生可能エネルギーの普及に
屋 根の設 置 面 積 を 増やし、
荷重 不 足で制 限されていた
既に太 陽 光パネルの基 材
として実用化されており、耐
幅 広い分 野への
展 開 と 社 会 課 題の
解 決に期 待
き た 製 造 ノ ウハウ を 結 集
離を延ばすことで、省エネル
おり、燃料当たりの移動距
搬物の重量がかさむ土木・建
功 し て い る 。 ハニ カ ム 構
り、 劇 的 な 軽 量 化 に 成
幅 広い 市 場 に 展 開 す る
こ と で、 多 岐 に わ た る 社
ルドを広げられるだろう。
者や女性が活躍するフィー
ギー効果が期待できる。運
製 造 さ れ た 樹 脂 性ハ
ニカ ム 材 の 重 量 は 、 同 ス
材分野に応用すれば、高齢
造 体の高 強 度を 有する
分の
こ と に 加 えて 、 樹 脂 材 料
会 課 題の 解 決に 貢 献 する
TECCELL事業部 技術部 技術部長 酒井秀樹
岐阜県揖斐郡大野町相羽992-1
TEL 058-36-0881
E-mail [email protected]
ことが期 待される 。
http://www.risu.co.jp/gifu-plastic/
特 有の吸 音 性 機 能 も 有
チ ール板の
であ
している 。
さ せ る こ と で 初 めて 実 現
手 法 で あ る が、 量 産への
テ ク セ ル 方 式 自 体 は、
海 外の 大 学で 考 案 さ れた
確立している 。
続 的に製 造する プロセスを
し て 積 層 し 、 接 着 し てい
力 学 的 強 度 に も 優 れた 構
化 す る 熱 可 塑 性 樹 脂シ ー
的に 開 発 さ れ た 技 術 で あ
高強度・軽量なハニカム
構 造 体の量 産 技 術
●他の素材との複合化により様々な製品・用途・分
野での使用が期待できるとともに、軽量化による
作業環境の向上への効果も期待される。
岐阜プラスチック工業株式会社
し ている 。
お問い合わせ先
34
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
35
1
渡辺 信幸/堀 博彦/酒井 秀樹/福島 伸二/木村 隆志/柴垣 晋吾
岐阜プラスチック工業株式会社
会社概要
樹脂製ハニカム構造体であるテクセルの量産技術
や2次加工技術の確立は、
開発スタッフを中心とし
た全社総力を挙げての努力の賜物です。
今後とも
今回の受賞を励みに日進月歩の
「ものづくり精神」
に
よってあらゆる商品を開発し続け、
環境社会に貢献
して参りたいと思います!
7
受賞理由
上段左から、堀 博彦、村上 哲哉、福島 伸二
下段左から、渡辺 信幸、柴垣 晋吾、酒井 秀樹、木村 隆志
●海外の技術シーズから、生産技術の開発により量
産化を実現し、実用化・事業化まで進めた高度な
ものづくりを評価。
商 号: 岐阜プラスチック工業株式会社
設 立:昭和28年4月16日
従業員数:687名
(平成27年12月21日時点)
事業内容:プラスチック製 品の総合メーカーと
して、射出成形を主とした「日用品」
「産業資材」
「 工業部品」
「 建築土
木資材」や真空成形を主とした「食
品包装容器」など、幅広い分野へ環
境に配慮した製品を開発・製造販
売している。また、新製法による新規
事業としてテクセルを展開。
●ソーラーパネル基材
●バイク用胸部プロテクター
●TECCELLパネル
岐阜プラスチック工業株式会社
リーダー 村上 哲哉
受賞者
経済産業大臣賞
製品・技術開発部門
超軽量・高強度の樹脂製ハニカム素材
「テクセル」の量産技術及び商品開発
受賞件名
●テクセルの製法のイメージ図
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
”
飲
む
豆
乳
から料 理や加工食 品 素 材の
“
”
食
べ
る
豆
乳
へと大豆の用 途を拡 大
“
受賞メッセージ
※1 不二製油グループ本社株式会社 ※2 相模屋食料株式会社
●相模屋食料 ナチュラルとうふプレミアム
かし、大豆は溶剤を使わなけ
れば脂質と水分を分けること
結果、佐本氏らは同社が得意
ができず、試行錯誤を重ねた
とする大豆のたんぱく質自体
を分離する方法を考案した。
新たに確立した「 U S S
(Ultra Soy Sep
aration)製 法 」は 、
豆
乳を作って脂分を分離するの
ではなく、
大豆そのものから親
水性のたんぱく成分と親油性
る技術で、
加水した大豆を一気に
のたんぱく成分を分離分画す
「低脂肪豆乳」「豆乳クリーム」
「おから」
に分離することを可
能とした。
大豆脂質を劣化させ
ないように分離できるため、
大
豆の濃厚なコクを出したりう
ま味を引き出すなど、
従来の
豆 乳にはない”
おいしさ “を
感じることができる。
この製
法は、海 外の競 合 他 社も 実
技術で、
基本特許、
応用特許
手。加工食品に多く用いられ
ばれるほどうま味が強い。一方
分離することを検討した。し
し、大豆を「脂質」
と「水分」
に
などに形態を変える点に着目
やなめらかな食感に加え、塩
乳クリームのもつ濃厚なコク
豊富なため、「大豆だし」と呼
く、 大 豆 由 来のアミノ酸が
「低脂肪豆乳」は従来の豆
乳に比べて %カロリーが低
”飲 む 豆 乳 か ら
“
”食べる 豆 乳 へと
“
用 途 拡 大に成 功
「豆乳クリーム」は濃厚でコク
味を少しきかせるなど、独自
本製品は若い女性の圧倒
的な支持を得て、2014
カ月で
万 個 を 出 荷。 健 康
層をターゲットに、オリーブ
相模屋食料の「ナチュラル
とうふ」は、 ~ 歳の女性
惧されている食 糧 問 題の”
切
本 製品は、将来 、世界的に危
マーケティング本部マーケティング部企画開発グループ
長島 慎
不二製油株式会社
東京都港区三田3-5-27
住友不動産三田ツインビル西館
TEL 03-5418-1956
E-mail [email protected]
http://www.fujioil.co.jp/
34
しい豆腐の食べ方を提案。豆
お問い合わせ先
ぱく 質の生産効率等が高く、
オイルをかけて食べるという新
大豆は、肉など他のたんぱ
く 源となる食物に比べてたん
食糧難問題の
”切り札 としても期待
“
新市場開拓に成功した。
い女 性 を 引 きつけ る な ど、
志 向やダイエット 目 的の若
例の
高価格帯の豆腐としては異
月の発売から
リッチでボリューム感のある味
用途を大きく広げた。
素材として活用が進んでいる。
”
それぞれ 従 来の 飲 む 豆
乳“
から料理や加工食品素材
の”
食べる豆乳“
へと、大豆の
若い女性層の圧倒的な支持を
た「マスカルポーネのような
得
2
り札 “
としても 大きく期待さ
れている。
ナチュラルとうふ」
8
28
める和食にとって、革新的な
年
の味づくりにもこだわった。
30
わいは、グローバルな展開を進
のある味わい“
が特長だ。今
まで日本料理に足りなかった、
のある”
リッチでボリューム感
る乳が、「クリーム」
と「脱脂乳」
用 化していない同 社 独 自の
大豆は、たんぱく質、炭水
化物、脂質の三大栄養素に加
も多数取得している。
同社はその将来性に期待を
寄せ 年前から技術開発に着
含み、
食物繊維も豊富である。
え、ミネラル類やビタミン類を
引き出すことに成功
大豆本来のおいしさを
特殊分離・分画技術により、
世界初のUSS製法は、大豆の新たな食文化創出を願
い生まれた技術です。
これを応用し、豆腐の新カテゴ
リーへの斬新な挑戦が今回のヒットとなりました。多く
の方々の発想や検討を通し、
さらにその可能性を広げ
たいと存じます。
この度はすばらしい賞を頂き、関係者
の皆様に深く感謝致します。
20
清水 洋史(※1)/西村 隆司/金森 二朗/鳥越 淳司(※2)/山田 良典(※2)/津久井 明菜(※2)
不二製 油 株 式 会 社
●乳製品と同様な市場展開が可能となり、和洋中の
ジャンルを問わず新しい価値を提供しており、需
要が世界でも広がりつつある。
50
36
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
37
●今後の世界人口増に対する食糧事情を考えると、
本製法が世界の深刻化する食糧問題を解決する
一つの方策になることを期待。
商 号:不二製油株式会社
設 立:2015年(平成27年)10月1日
( 持 株 会 社 化によるグループ 本 社
制へ移行)
従業員数:1154名(2015年10月1日現在)
事業内容:油脂、製菓・製パン素材、大豆たんぱく
の三事業を軸に、植物性原料を主原料
とした食品素材を開発・生産・販売。
創業当初より大豆の研究開発を行って
おり、独自技術による高機能食品素材
や栄養・健康に貢献する大豆たんぱく
食品など、大豆本来のおいしさを追求
する製品を提供している。
受賞理由
上段左から、佐本 将彦、清水 洋史、西村 隆司、金森 二朗
下段左から、鳥越 淳司、山田 良典、津久井 明菜
会社概要
不二製油株式会社
リーダー 佐本 将彦
受賞者
経済産業大臣賞
製品・技術開発部門
世界初の大豆分離・分画技術USS製法による
豆乳・豆腐の新カテゴリー製品開発
受賞件名
●USS製法
●不二製油 豆乳クリーム・低脂肪豆乳
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
成 分 設 計 技 術と製 造 技 術との
融 合により 高いコストパフォーマンスを実 現
柘植 信二/末次 和広/山本 洋一/福田 義盛/本村 洋/江目 文則
ダム 取 水 設 備
排水機場除塵機
●本製品(NSSC2120)使用による薄肉軽量化の事例
ケミカル タンカ ー
新 日 鐵 住 金 ステンレス 株 式 会 社
この栄誉ある賞は、研究開発、製造技術、販売が一体と
なって作り上げた、
当社の総合力の賜物であり、
またイ
ンフラ整備を通じ社会に貢献し、
当社の企業理念を具
現化したものと考えております。今後もステンレスを使
う人に喜びを提供できる、独創的な商品の開発を進め
ていきます。
受賞メッセージ
海 水 淡 水化 装 置
大 型 製 缶ポンプ
ロムに加えニッケルも主要元
素に含むものをクロム ーニッケ
ル系という。また、金属組織
の違いにより、クロム系はフェ
ライト系とマルテンサイト系
に、クロム ーニッケル系はオー
ステナイト系とオーステナイ
ト・フェライト系(二相系)に
分類される。
きょう じ ん
近年我が国では、自然災
害の発生に備えた社会資本の
強 靭化の必要性が高まってい
る。こうした社会ニーズに対
し、耐食性や強度等において
高いパフォーマンスを発揮で
きるステンレス鋼に対する期
待も大きい。
社 会インフラ関 連の構 造
物 用 途においては、 強 度・
耐 食 性・ 溶 接 性 等 の 要 求
ニー ズを 踏 まえ、オーステ
いの が 特 長 で あ り、 耐 食
は普 通 鋼に比べてさびにく
(Cr)を 含 む ス テ ンレ ス
鉄(Fe)を 主 成 分 と
し .5 % 以 上 の ク ロ ム
ケル系でもフェライトとオー
ニッ
あった。
一方、
同じクロム ー
ことからコスト 面で問 題が
加原料を多く使用している
ナイト 系が使 用されてきた
性等を高めるためにニッケル
織を有する二相系は強度が
ステナイトの両 方の金 属 組
別され、主要元素としてクロ
ステンレスはクロムとニッケ
ルの含有率によって2つに大
されている。
問題があった。
る耐食性劣化など溶接性に
あるものの、 溶 接 部におけ
高 く、 高 価なニッケルを 低
性を確保する開発に着手し
ために独自の矯正技術を導
度材の平たん度を確保する
泡欠陥を抑制したり、高強
減できるという 点で強みが
ムを含むものをクロム系、ク
成分設計技術と
製造技術との融合
た。窒素は安価に入手する
は
窒素という
「両刃の剣」
をうまくコントロール
見直すことで窒素起因の気
また、製造プロセスにおい
ても、鋳造条件を全面的に
ことができ、強度や耐食性
ステンレス鋼とほぼ同等の生
入するなど、 様々な工夫が
産 性を 実 現している 点が最
の向 上において有 効な 元 素
もある。及川氏らは、耐食
大の特徴である。
取り 入れられている。 成 分
性劣化の原因となる窒化物
であるが、 他 元 素とのバラ
が析 出する プロセスを 分 析
設計にとどまらず、製造技
し、 窒 化 物の析 出タイミン
本鋼を用いた厚板製品はケ
ミカル船、海外海水淡水化プ
術開発との融合により汎用
グを 遅らせ、 大 量の入 熱エ
水門など、累計で 千トンを
ラント、
大型製缶ポンプ、
ダム・
性の低下をもたらす元素で
熱 溶 接 時においても 窒 化 物
7
受注しており、今後さらに増
新日鐵住金ステンレス株式会社
東京都千代田区大手町2-6-1
TEL 03 (3276) 4890
E-mail [email protected]
http://nssc.nssmc.com/
加することが期待されている。
本社 商品開発部
功した。
お問い合わせ先
の析出を抑制することに成
ネルギーが導 入される大 入
ンス次 第では溶 接 性や製 造
も ろ
素(N)で代替しつつ、溶接
こうした中、同社は高価
なニッケルを 可 能な 限 り 窒
が、ニッケル等の高 価 な 添
(Ni)な ど の 元 素 が 添 加
社会インフラ用途の
ステンレス開発への挑戦
●今後増加するインフラ関連施設老朽化への対応と
しても期待されるとともに、再塗装などのメンテナ
ンス軽減が可能となり、人手不足解消にも貢献。
10
38
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
39
●高性能でありながら、
レアメタル使用量を大幅低
減したことでコスト削減も実現し、高い国際競争
力を保持した製品。
商 号:新日鐵住金ステンレス株式会社
設 立:2003(平成15年)10月1日
従業員数:1500名
事業内容:新日鉄住金グループのステンレス事
業を担う、日本最大の総合ステンレ
スメーカー。
「ステンレスで社会に貢
献する」をモットーに、高水準の技術
力・開発力・課題解決力により、高
付加価値製品を供給するとともに、
顧客ニーズに密着したソリューション
の提供を行っている。
受賞理由
下段左から、福田 義盛、及川 雄介、末次 和広、江目 文則、山本 洋一
上段左、本村 洋 上段右、柘植 信二
会社概要
新日鐵住金ステンレス株式会社
リーダー 及川 雄介
受賞者
経済産業大臣賞
製品・技術開発部門
社会インフラを支える世界初の
省資源型高性能二相ステンレス鋼の開発
受賞件名
●本製品(NSSC2120)の適用事例実績
●溶接部の耐食性劣化の原因となる窒化物の析出プロセス
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
このたび、
栄えあるものづくり日本大賞を受賞するこ
とができ大変嬉しく思います。
この賞の受賞は当社
社員・関係者が一丸となって取り組んだ結果です。
今後、
当社の技術を生かし、
少しでも循環型社会の
形成に役立てればと思います。
また、
応援して下さっ
た関係者皆様には大変感謝しております。
受賞メッセージ
電のプラスチック材 質のリ
形成が望まれており、廃家
低 減 する「 循 環 型 社 会 」の
天 然 資 源の 消 費 を 抑 制
し、環境負荷をできる限り
㎜以 下の小 粒 形の
廃 プラスチックを
高 速・高 精 度に選 別
●リサイクル可能な環境によい再生可能なプラス
チックを利用する循環型社会の実現に貢献し、商
業的なメリットも生み出した点を高く評価。
50
※ 国立大学法人愛媛大学大学院
売 を 行 って き た。 そ ん な
中 、 顧 客 か ら は、 こ れ ま
で 選 別 するこ と が 不 可 能
であった ㎜以 下の小 粒 形
従 来の自 動 選 別 装 置
は 、 ㎜以 上 の 大 粒 形 を
に応えて開 発 された。
は、 こ れ ら の 顧 客 の 要 望
別 装 置「 エアロソ ー タ Ⅲ 」
た。 新 た な 近 赤 外 線 式 選
という 要 望が寄せられてい
一材 質 に 自 動 選 別 し たい、
ミックスプラスチックも 単
20
対 象 と し てお り 、 根 強 い
ニ ー ズの あ る 小 粒 形 を 自
動で 選 別 する こ と は 不 可
能 だった。これに対して今
~
㎜
回 の 受 賞 案 件 で あ る エア
ロソ ー タ Ⅲ は 、
秒 単 位 で 高い 精 度
% 以 上 とい う 高 精 度 で
で エ ア 噴 射 制 御 を 行 い、
分の
の 小 粒 形 で も、1000
20
自 動 選 別 する こ と を 可 能
としている 。
チ ッ ク を 単一材 質 に 自 動
同 社 は、 近 赤 外 線 式セ
ン サ ー を 用 い て、 プ ラ ス
まってきている。
に よ って 異 な る こ と を 利
反 射 光 が プ ラ ス チッ ク 種
近 赤 外 線 を 照 射 し 、 その
エアロソ ー タⅢは 、コン
ベヤ ー 上 を 高 速 で 流 れ て
産学共同研究により
気流の挙動解析を実施
選 別 する 装 置の 開 発 ・ 販
さ ら に、 再 生 プ ラ ス チ ッ
で 販 売 する こ と が 可 能 だ 。
く る 混 合 プ ラ ス チッ ク に
用して材 質 を 瞬 時に識 別 。
が、 エ ア ノ ズ ル の 吹 き 出
だ。 愛 媛 大 学の 岩 本 助 教
は、 産 学 共 同 研 究の 賜 物
特 に、 ピン ポ イ ン ト に
小 粒 形を 吹き 落とす技 術
別している 。
ジン プ ラ ス チ ッ ク の 製 造
品を 使 用 することで、バー
待 さ れ る 。 さ ら に、 再 生
から も 再 生 品の 利 用 が 期
るバー ジンペレット 品 よ り
は、 石 油 原 料 から 製 造 す
クから 造 粒したペレット 品
し 部 分の 気 流の 挙 動 解 析
に 要 する 石 油 原 料の 削 減
安 価であ り 、 経 済 的 理 由
を 行 う こ と で、 気 流 の 乱
少 といった、 環 境 保 全への
や、 埋 め 立 て 処 理 量 の 減
たま もの
れを 解 消 する 機 構 を 特 定
貢 献 も 期 待できる 。
現在、同社では、リサイ
クルニー ズが高 まるであろ
う 非 鉄 金 属 有 価 物を 選 別
する 装 置の開 発を 進めてい
る 発 展 を 牽 引 する 新 装 置
愛媛県四国中央市寒川町4765-2
TEL 0896-25-3111
FAX 0896-25-3104
E-mail [email protected]
http://www.daio-eng.co.jp/
る。 循 環 型 社 会 の さ ら な
本 装 置によ り 選 別 し た
単一材 質の 再 生 プラスチッ
の開発が期待される。
事業企画課 大西 誠人
ス チッ クの 数 十 倍 の 価 格
クは、 選 別 前 の 混 合 プ ラ
環境保全への貢献と
循環型社会の発展に
向けた新たな取り組み
している 。
し、 高 精 度 な 選 別 を 実 現
き 落 と し 、 単一材 質 に 選
エア ノ ズルで 対 象 物 を 吹
サイクルに対する 要 求も 高
5
驚異の速度と精度で小粒形
プラスチックを選別、
循環型社会に貢献
会社概要
50
1
ダイオーエンジニアリング株式会社
大西 誠人/岩本 幸治(※)
ダイオーエンジニアリング株式会社
お問い合わせ先
受賞理由
左から、青野 孝、大西 誠人、岩本 幸治
40
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
41
95
●ミックスプラスチックを単一材質のプラスチックに
リサイクルしたいという顧客の要望から、高速・大
量にかつ高純度に選別する装置を開発、
実用化。
商 号:ダイオーエンジニアリング株式会社
設 立:昭和47年7月
従業員数:495名
事業内容:エネルギー・ 排 水関連の設備工事
や廃プラスチックの材質選別装置の
製造・販売を行う
「エンジニアリング
事業」、保全サービスを通じて安全・
安心・高品質を提供する「メンテナ
ンス事業」、光センサー式枚数計、
画像検査装置、 磁気・ICカード検査
装置等の開発、設計・製作販売を行
う
「電子機器事業」
を行う。
●ミックスプラスチックの例
●エアロソータⅢ外観
ダイオーエンジニアリング株式会社
リーダー 青野 孝
受賞者
経済産業大臣賞
製品・技術開発部門
廃家電等のミックスプラスチックを材料毎に
高速且つ高精度に選別可能とする装置の開発
受賞件名
●エアロソータⅢのメカニ ズ ム
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
受賞メッセージ
新幹線が
は っきり 見 え る
CMOSイメ ー ジセンサ ー
は、光を検出する画素回路
回路から構成される。従来、
と 演 算 処 理を 行 うロジック
画素回路とロジック回路は、
同一ウエハー上に混載されて
いたため、 面 積 上の制 約が
あり、高画質化と高性能化
(多機能追加)を両立させる
ことは困難であった。
今回の受賞案件では、画
素回路とロジック回路を別々
り 積 層することで、このト
に製 造し、 重ね合わせによ
レー ドオフを 打 破すること
に成功した。
高 難 度 な 重ね合わせ
積 層 技 術により
高画質・高性能化を実現
重ね合わせ技術は、極め
て高い精 度での位 置 合わせ
(Internet
IoT
of Things)や 自 動
東 京 ドームの大きさであれ
ことが求められる高難度な
と、電気接続部を形成する
運 転、ロボット 等、 昨 今の
ば、ズレ ㎜以内で重ね合わ
技 術 だ。 位 置 合 わせには、
非連続な技術革新を根底で
次 世 代 Io T 社 会 を
支 えるC M O S
イメージセンサー
この度は素晴らしい賞を頂きありがとうございまし
た。卓越した技術によるものづくりにこだわり、
感
動を与える画質と新たな映像体験を実現できるイ
メージセンサーが完成いたしました。
この賞を励み
に、
新しい市場を創造していく製品を開発しさらな
る日本の発展に貢献していきたいと思います。
る。 その中でもイメー ジセ
支えているのはセンサーであ
このような技術課題に対
し て、 部 門 横 断 的 な 体 制
せる精度が求められる。
術、 位 置 補 正 技 術 等 の 独
ンサーは、 幅 広い用 途・ 分
自技術を次々と開発。世界
を 構 築 し、シミュレーショ
されている。
複 数 画 像 を 撮 像 後に 統 合
野で貢献が期待されており、
市 場の主 流 となっている
す る「 広 ダ イ ナ ミックレン
ン 技 術 や 加 工 プ ロセ ス 技
メー ジセンサーの量 産 化に
ジ」等の新たな 機 能が搭 載
可 能となった。
路 に は、 画 素 特 性 の 向 上
獲得しており、ハイエンド向
同 社はCMOSイメー ジ
センサー市場で高いシェアを
新技術が拓く新たな
市場と地域雇用への貢献
に特 化した 処 理 を 行える
けスマートフォンでは圧倒的
性能が求められる、自動車
よ う に な り、 欠 損 ノイ ズ
プロセスによ り 演 算 能 力の
や防犯分野での利活用が期
後は、人間の目を超越する
高いロジック回 路を 採 用で
待される。
なシェアを獲得している。今
き る よ う にな り、 低 消 費
現している 。一方 、 微 細 化
電 力 化 や 小 型 化 を 実 現。
方 向からの見え方の違い
また、生産能力増強のた
め、 閉 鎖 予 定であった国 内
を 減 ら して 高 画 質 化 を 実
る よ う に な った 。 画 素 回
た生 産 プロセスが使 用でき
造できるため、 各々に適し
積 層 化によ り 画 素 回 路
とロジック回 路を 別々に製
成功した。
で初めて積層型CMOSイ
さらなる技術の発展が期待
2
出し 、オートフォーカス時
で 被 写 体 ま での 距 離 を 算
ることで、地方の雇用創出
や従業員をそのまま活用す
半導体工場を買収し、設備
http://www.sony-semiconductor.co.jp/
間を 短 縮 化する「 位 相 差 検
熊本県菊池郡菊陽町原水4000番地-1
TEL 096-292-6834
E-mail [email protected]
にも貢献している。
企画管理部門 経営管理部 法務・広報課
統括課長 萩原 剛
出 」や、 露 光 時 間の異なる
ソニーセミコンダクタ株式会社
42
経済産業大臣賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
43
超高難度な重ね合わせ技術の
開発により高画質・高性能化を両立
会社概要
中山 創/岡 治/澁木 俊一/井上 啓司/若杉 有久/佐藤 和弘
ソニーセミコンダクタ株式会社
お問い合わせ先
受賞理由
写真上段左から、佐藤 和弘、澁木 俊一、杉本 大、井上 啓司
下段左から、中山 創、岡 治、若杉 有久
●自社の生産能力の増強に加え、国内での他社への
製造委託や閉鎖予定の工場の買収など、生産体制
確立を進めており、国内の雇用維持・拡大に貢献。
2
空と雲が
くっ き り 見 え る
HDR画像
製品・技術開発部門
従来画像
●競争の激しいセンサー市場において、独自のノウ
ハウを有することでイノベーティブカンパニーとし
て業界をリードし続けることを期待。
商 号:ソニーセミコンダクタ株式会社
設 立:平成13年4月
従業員数:8170名
(平成28年1月1日現在)
事業内容:半導体製品の開発から、資材調達、
製造、品質管理、カスタマーサービス
に至るまでをトータルオペレーションす
ることで、ソニーのエレクトロニクスビ
ジネスを強力にドライブ。CCDイメー
ジセンサー、CMOSイメージセンサー
や高温ポリシリコンTFT-LCDなどの
映像デバイスに強みを持つ。
明 暗がクリア
●積層型CMOSイメージセンサー断面図
ソニーセミコンダクタ株式会社
リーダー 杉本 大
受賞者
経済産業大臣賞
世界初、積層型CMOS
イメージセンサーの開発と量産化
受賞件名
●高ダイナミックレンジ(HDR)
●裏面照射型と積層型CMOSイメージセンサーの違い
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
ガラスや磁器に漆工を適用すること
で”見る工芸 “から”使う工芸 “
へ
美観を損なわずに耐久性を大幅に向上させた新し
い玉虫塗は、
食器だけではなく内装材としての供給
も可能になり、
今までになかった市場の開拓が期待
できます。
伝統的技法と最先端技術とを盛り込んだ
新たな伝統工芸品が様々な方から共感をもって応
援してもらえるよう今後も努めてまいります。
受賞メッセージ
会社概要
※ 国立研究開発法人産業技術総合研究所
●無機有機ナノコンポジット材料を用いるコーティング
導 所( 現 在の産 業 技 術 総 合
研 究 所、以 下 産 総 研 )にて
国 策でつ く ら れた 技 術で、
それを東北工芸製作所が商
品化し、地場産品として発
展させてきた。まさに産 学
官連携の先駆けといえる。
しかし、 伝 統工芸 品であ
るが故に鑑賞用となりがち
衰 退の危 機にさらされてい
で生活者との接点に乏しく、
た。これに追い打ちをかけた
商品である地元贈答品や記
のが東日本大震災で、主力
念品が相次いでキャンセルと
なり、観光客の激減による
土産品の売り上げ減少も重
なり、経営的に大きな打撃
を受け、新たな事業展開の
必要性に迫られた。
れている。この「 玉 虫 塗 」は
県の 伝 統 工 芸 品に 指 定 さ
の 塗 り 物 で、 現 在 は 宮 城
光沢と華やかな色調が特徴
層を 重ねてあり、 艶やかな
の上に透明感のある上塗り
研と共同研究を行い、ナノコ
性を向上させるため、産総
擦過性、耐候性、耐紫外線
づくりを目指し、漆器の耐
使用することができる漆器
知 識がない外 国 人でも日々
そこで日常のシーンで気軽
に使える 漆 器、 取り 扱いの
食器洗浄機でも洗える
画期的な漆器の開発に
成功、宮城の復興工芸品
の成功モデルに
1930年代に東北の産業
ンポジット技術を用いた保護
れまでの漆器製品に用いられ
れている。これを用いて、こ
し、塗料との適合性にも優
ティングとしての用途にも適
透 明 性が高 く、クリアコー
有し、 粘土 質でありながら
晶を配向させた微細構造を
レースト」は、板状の粘土結
産総研が開発した無機有
機ナノコンポジット材料「ク
膜を開発した。
携帯電子機器や自動車内装
海外への販路拡大、さらには
洗 浄 機にも 耐えられるため
広がるだけではなく、 食 器
せた食器等への漆工の展開が
伝統技術の高度化により、
現代のライフスタイルに合わ
線性を有する。
度4H以 上で、 高い耐 紫 外
層を付与した漆器は鉛筆硬
開発した。このコーティング
とにより、ガラス並みの透明
だナノコンポジットコーティ
も耐えうる耐候性にも富ん
過 性、かつ長 期 間の使 用に
可能性も期待できる。
部 品 等の工業 製 品への応 用
さらに、産総研で開発さ
れた有機化合成粘土を用い
器を開発した。
たいと考えている。
ランナーとなって、宮城の復
新提案型地場産品のトップ
有限会社東北工芸製作所
宮城県仙台市青葉区上杉3-3-20-1F
TEL 022-222-5401
E-mail [email protected]
http://www.t-kogei.co.jp/
興工芸品の成功モデルになり
て粘土をナノレベルまでプラ
ングを付与した高耐久性漆
長期的には「玉虫塗」の国
内 外への 販 路 開 拓 を 促 し、
性を有するコーティング層を
基材を用いて、十分な耐擦
てこなかった洋食器等の硬い
あで
育 成のために商工省工芸 指
地の上に銀の層、さらにそ
仙 台みやげの工 芸 品「 玉
虫 塗 」は、 従 来の漆 器の下
宮 城 県 指 定の
伝 統 工 芸 品が
衰 退の危 機に直 面
●漆器の可能性を追求し、広範囲な分野の実用製
品への展開も成功させており、
クールジャパンへ
の貢献を期待。
スチックに均一分散させるこ
佐浦 みどり
佐浦 康洋/松川 泰勝/木村 真介/蛯名 武雄(※)/石井 亮(※)
有限会社東北工芸製作所
お問い合わせ先
受賞理由
左から、木村 真介、松川 泰勝、佐浦 康洋、佐浦 みどり、蛯名 武雄、石井 亮
44
経済産業大臣賞 伝統技術の応用部門
第6回 ものづくり日本大賞
45
●伝統工芸品と自動車やエレクトロニクスへの応用を
想定していた技術との融合により、新しい工芸の使
い途を生み出した革新的な価値創出の好事例。
商 号:有限会社東北工芸製作所
設 立:昭和8年
(1933年)
従業員数:6名
事業内容:宮城県指定伝統的工芸品
「玉虫塗」
の唯一の製造元である弊社は国立
工芸指導所と東北帝国大学 金属
材料研究所の支援をうけ、1933年
に設立されました。贈答品、記念品、
皇室献上品など、仙台を代表する商
品を作りながらも、幅広いカテゴリー
の商品を製作しています。
有限会社東北工芸製作所
リーダー 佐浦 みどり
受賞者
経済産業大臣賞
伝統技術の応用部門
ナノコンポジットコーティングを付与した
高耐久性漆器の開発
受賞件名
●4つの独自技術が融合
●高耐久性玉虫塗の作品
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
原 色からパステルカラーまで多 彩な
色を表 現し、
洋 装や雑 貨への用 途 拡 大
この度は、久留米絣業界の“ものづくり”への取り組み
が評価され、大変光栄に思います。井上伝という一人
の少女の発明から始まり、幾多の先人達の創意工夫に
よって、
今日の久留米絣が出来ています。
これからも、
知
恵を出し合い未来へ通ずる、新しい久留米絣を考えて
いきたいと思っています。
受賞メッセージ
かすり
色 落ち等の問 題から
生 活 様 式の変 化や色 移り・
●20~30代の方を積極的に採用して後継者育成に取
り組んでいることに加えて、女性ならではの商品企
画を推進するなど、地方創生に大きく貢献。
※1 有限会社坂田織物 ※2 野村織物有限会社 ※3 下川織物 ※4 山村かすり工房 ※5 福岡県工業技術センター 化学繊維研究所
理 吸 着による 弱い結 合なの
で、洗濯や摩擦等による色
移りや色落ちが発生し、天
然 藍以 外は大 手 百 貨 店や
通信販売への参入ができず、
新たな商 品 分 野への展 開が
困 難であった。 その上、ナ
フト ール染 料はその原 料の
有 害 性の疑いから 欧 州 等で
けられるなど、販路開拓上
は使用や輸出入に規制がか
の 障 害にも なっていた。 こ
絣業界では品質向上を図る
のような事情から、久留米
ため、従来染料に代わって、
化 学 反 応によって繊 維と 強
く結合する反応染料による
新たな染色技術を開発し普
及させることが、 長 年の最
重要課題となっていた。
で、染色箇所と未染色
(防染)
持つ。濃色を基調とした織物
濃色まで様々な染色が可能で
反応染料は色移り等の品
質が向上する上、淡色から
新たな染色技術の
開発により洋装や雑貨
などの新規需要を開拓
箇所で柄を表現する。染色
り部分にも染料が浸透し防
染料の染色条件では、くく
鮮明にするため、絣糸の染色
染できず、今までは使用され
ある。しかし、 従 来の反 応
は防染可能な濃色の藍やナフ
ていなかった。
用されてきた。
ための染色条件を検討するこ
法を考案し、これを実現する
維との結合」を同時に行う方
法として、「染料の浸透」
と
「繊
も開始した。
アし、欧州等海外での販売
ないことで輸 出 規 制をクリ
た、ナフト ール染 料を 使わ
売チャネルも 拡 大した。ま
野を 展 開し、百 貨 店への販
しかし、従来染料は、物
とで、絣独特のくくり部分
また新技術による染色を
行い、JIS試 験で9 段 階
評 価を行った結 果、 洗 濯に
よる綿への色移りで4段階、
質な絣を世界で初めて開発。
摩擦等で色移りしない高品
境界部分の明確化、洗濯や
この結果、従来染料では
実 現できなかった 濃 色かつ
の品質が大きく向上した。
移りで4段階等、久留米絣
段 階、 摩 擦による 綿への色
らしており、伝統産業の産
留米絣業界に活性化をもた
り組むようになるなど、久
新 分 野 開 拓 に 企 画 から 取
久留米絣での新製品開発や
る製品へと転換した。また、
産量の約8割が新技術によ
成
産地が連携して新技術の
生地を発注することで、平
洗濯による毛への色移りで2
原色からパステルカラーまで
地再生を支える技術開発に
http://okamotoshoten.co.jp/
繊維技術課 田村 貞明
●
福岡県工業技術センター 化学繊維研究所
福岡県筑紫野市上古賀3-2-1
E-mail [email protected]
http://www.fitc.pref.fukuoka.jp/
年には久留米絣の総生
の色 彩 表 現が可 能 と な り、
株式会社オカモト商店 取締役 野口 泰男
なっている。
●
洋装や雑貨などの新たな分
久留米絣業界全体の
品質向上や産地活性化
に大きく貢献
の防染に成功した。
新たに開発した染料技術
は、染料の浸透を抑える方
トール染料(従来染料)が使
箇所と未染色箇所の境界を
久留米絣は日本三大絣の一
つとされ、200年の歴史を
「 絣 」の需 要や販 路が縮 小
会社概要
TEL 0942-32- 6579
E-mail [email protected]
TEL 092-925-5933
25
福岡県久留米市日吉町12-12
坂田 撤裕(※1)/野村 哲也(※2)/下川 強臓(※3)/山村 善昭(※4)/田村 貞明(※5)
株 式 会 社 オカ モト 商 店
お問い合わせ先
受賞理由
左から、野口 泰男、野村 哲也、坂田 撤裕、山村 善昭
下川 強臓、田村 貞明
46
経済産業大臣賞 伝統技術の応用部門
第6回 ものづくり日本大賞
47
パ ステルカラー 絣
開 発 技 術 は 境 界が 鮮 明
●品質向上を図る技術の開発に成功した後、
その
技術を産地へ普及することに努め、産地が一体と
なって取り組みを成功させた好事例。
商 号:株式会社オカモト商店
設 立:昭和46年
従業員数:80名
事業内容:久留米絣を用いた婦人服、紳士服及び
服飾雑貨、生活雑貨の企画・製造・販
売を手がける。和のデザインを基調とした
エレガンスカジュアルのファッションブラン
ド「儀右ヱ門」の直営店舗を運営するほ
か、
「儀右ヱ門」ブランドから派生した「ギ
エモン」、
「KURUMI」という多様なブラン
ドも展開。
反 応 染 料 を用 いた 新 た な 商 品アイテム
●化学反応による反応染料を使用し、
「染料の浸透」
と「繊維との結合」を同時に行う染色条件を検討
し、くくり部分の防染に成功。
伝統技術の応用部門
脱 色 絣( 白 地 絣 )
従 来 技 術 は 境 界が 不 鮮 明
株式会社オカモト商店
リーダー 野口 泰男
受賞者
経済産業大臣賞
海外進出を実現した、洗濯や摩擦で
色移りしない高品質の久留米絣製品
●原色からパステルカラーまで表現可能。
洋装や雑貨など新たな展開を実現。
受賞件名
●従来染料では実現できなかった、
濃色かつ境界部分の明確化
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
容易に海外展開できる、
コンパクトでフレキシブル性の
高いプレス革新技術を追求した結果、
『複動1ストローク
プレス』
が生まれました。
今回、
海外展開の実績が受賞に
つながり、
メンバー共々大きな自信になりました。
今後も
高い理想を掲げ、
日本のものづくりに貢献していきたい
と思います。
自動車の自動変速機用ク
ラッチ部品のような複雑形状
海外展開に適した
プレス加工システムの模索
●コスト競争力と品質優位性を満たしながら、変種・
変量生産にも対応でき、設備移動も容易にしたこ
とで、
グローバル生産をより柔軟なものとした。
置すると移設するのが難しい
等のデメリットがある。
近 年、 日 系 自 動 車 関 連
メーカーの海外生産拠点で
は、 生 産 量に 左 右 さ れ ず、
低コストで効率的な生産シス
テムを構築できるかどうかと
いう課題に直面しているが、
前述の通り、トランスファー
プレスはフレキシビリティー
が低いため、国内拠点に比べ
て生産規模が小さい海外拠
点での導入は難しい。
こ う し た 中、 堀 氏 ら は
2001年に海外展開可能
な新工法の開発に着手。複
雑なプレス品を つの型の中
で段階的に成形する「複動
ストロークプレス」を開発し、
金型および加工設備のコンパ
クト化を実現した。
プレスが使用される。トラン
般的に大型のトランスファー
ストロークプレスでは、複数
金型を横に並べるトランス
ファープレスに対し、複動1
複数の金型を縦方向に
積み上げてコンパクトに
スファープレスとは、多数の
つの型に集約し、多軸サー
資が必要となり、いったん設
る反面、大がかりな設備投
である。大量生産が可能であ
次プレス加工を行う機械設備
工対象物を移送しながら順
1ストロークプレスの場合、
の悪化を招いていたが、複動
性は劣るものの、金型点数
トランスファープレスに比
べて単 位 時 間 当たりの生 産
レス加工を行う。
ボプレスを用いて段階的にプ
しただけでな く、 プレスに
了するため、軸ズレが発生し
1つの動 作の中で成 形が完
分の
必要な荷重も劇的に小さく
以下になる。
計した荷重が必要とされる
備とのインライン化による在
その他にも、旋盤・溶接
機といった他の機 械 加工設
大値となる
(図に示した例示
は複 数の加工工程の中の最
クプレスにおける 必 要 荷 重
法のメリットは大きい。
ドタイムの削 減など、 本工
1
このよ うに、 複 動 スト
ロークプレスはコンパクトな
のに対し、 複 動
は、 各工程のプレス圧を 合
2
庫・搬送作業のゼロ化、リー
1
ストロー
お、トランスファープレスで
ト化を 図ることできた。な
にくく軸振れ精度が
1
なったため、設備のコンパク
コストが約
分の に縮 小
1
の大 幅な削 減によって金 型
金型を横並びに配置し、加
の金型を縦方向に積み上げ
のプレス部品の生産には、一
1
1
複雑なプレス部品を つの金型の中で
段 階 的に成 形するプロセスを実 現
寺尾 有喜/福井 陽一/横山 尚来/佐藤 雅則/河島 孝明/小野 信作
アイシン・エィ・ダブリュ株 式 会 社
受賞メッセージ
5
1ストロー クプレスの必 要
の720トンに 対し、 複 動
では、トランスファープレス
設 備でかつ、 生 産 量の変 化
また、 本システムは品 質
面でも利点がある。トランス
を 図っており、 現 在では国
本システムのグローバル展開
海外展開に最適な生産シス
ファープレスでは、隣の型へ
内の他、中国や米国で稼働
アイシン・エィ
・ダブリュ株式会社
塑性生技部 横山 尚来
愛知県安城市藤井町高根10番地
TEL 0566-56-6836
E-mail [email protected]
http://www.aisin-aw.co.jp/
テム といえ る。 同 社 で は、
の搬送を繰り返すたびに軸
している。
荷重は180トン)
。
にも柔軟に対応できるため、
1
ズレが蓄積され、プレス精度
お問い合わせ先
48
経済産業大臣賞 海外展開部門
第6回 ものづくり日本大賞
49
●日本の強みである金型のコア技術はノウハウとして
国内に残す戦略的なビジネスモデルであり、地域
の発展や雇用創出にもつながる海外展開を実現。
商 号:アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
設 立:1969年5月15日
従業員数:25711名(連結:2015年3月31日現在)
事業内容:オートマチックトランスミッションの専
門メーカーとして長年業界をリードし、
現在では世界シェアNO.1の地位を
確立。また、第2の柱であるカーナビ
ゲーション分野においても、世界で
初めてボイスナビゲーションシステム
の開発に成功するなど先駆者的な
役割を果たしている。
1
受賞理由
右から、寺尾 有喜、堀 智之、福井 陽一、佐藤 雅則
小野 信作、河島 孝明、横山 尚来
会社概要
アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
リーダー 堀 智之
受賞者
経済産業大臣賞
海外展開部門
グローバル展開を実現した超コンパクトフレキシブルな
複動1ストロークプレスの開発
受賞件名
●トランスファープレスと複動1ストロークプレスの比較(サイズ、加工プロセス)
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
第
6回
企業・教 員・役 場のバックアップで
高校生発案の化粧品をビジネス化
この度は栄えある第6回ものづくり日本大賞を受賞する
ことが出来てとても嬉しく思っています。
地元県立高校と
5年前から始まった本事業が、
このような賞をいただい
たことに強い感銘を受けています。
この賞を励みに、
地域
により密着し全国の高校生の先駆者として夢と希望を
与え、
さらなる地域貢献活動をしていきたいと思います。
受賞メッセージ
※ NPO法人植える美ing
と教員・役場の全面的なバッ
クアップにより、 生 産 経 済
科の生徒が中心となって、多
気町の農産物を成分に含む
基礎化粧品を開発・生産・
販売まで手がけるプロジェク
トを立ち上げた。
高校生がサプライチェーン
マネジメントを体感できる
生きた教育を実践
商品開発のコンセプトから
配合成分、ネーミング、パッ
ケージデザインに至るまで、
全て高校生が主導的に関わ
り、クリーム剤・軟こう剤
等の受 託メーカーである万
協製薬が全面的に協力する
形で商品化。製造のみなら
ず販売まで手がけることで、
ものづくりのサプライチェー
ンを含む生きた経済活動を
に、農業や経済を勉強する
名になった食 物 調 理 科の他
多気町にある相可高校に
は高校生レストランで一躍有
粧水、乳液、日焼け止めな
ジェル、リップクリーム、化
2010年 月から 開 発
を 始 め、2014年 現 在 で
実践できる場となっている。
「生産経済科」など3つの学
2012年の製品化以来、「ま
どの 7つの 商 品 を 開 発 し、
万協製薬、学校、役場が連
携して高校生が企画提案
する化粧品開発を支援
●製品開発だけでなくサプライチェーンマネジメン
トを実体験できる仕組みづくりにより、就職や進
学のキャリア形成にもつながっていることを評価。
科がある。生産経済科では
会社概要
育などの生産活動は展開し
農産物の栽培や松阪牛の肥
出 荷 数は 約
累 計で約7200万 円、 総
ごころ」
シリーズの売り上げは
万4000個
ていたが、 経 済 活 動を 展 開
5
また、地域特産であるお
茶、みかん、 柿、 間 伐 材と
話題を集めている。
校生が手がけた化粧品として
そこで、万協製薬の協力
する場がなかった。
化を食い止める役割も果た
業に就職し、多気町の過疎
半は万協製薬を含む地元企
す契機となり、卒業生の大
取り組みが地元を見つめ直
傾向にあった。しかし、この
ネスとして成立しており、高
(2014年 末 現 在 )とビジ
している。
されていた伊 勢 志 摩の真 珠
などを化粧品に配合し、地
なお、この取り 組みによ
る利益は、相可高校の生徒
がっている。
の高 校 生だけによるNPO
入 学 希 望 者 は 活 動 前の 約
この取り 組みにより、 相
可 高 校 の 生 産 経 済 科への
費にも充てられている。
造るといった園 芸 福 祉 活 動
年配の方たちと一緒に花壇を
多気町の基幹産業は農業
で、せっかく高校を卒業して
用と雇用機会創出のロール
づくりに貢献するとともに、
元し、地元の高齢者施設で
1.5倍 と な り、 化 粧 品 開
法人「植える美ing」
へ還
発を志望動機に挙げる生徒
も 他 地 域へ就 職し、 若 者の
モデルとなっている。
万協製薬株式会社
三重県多気郡多気町仁田725-1
TEL 0598-30-5266
E-mail [email protected]
http://www.bankyo.com/
地域における若者の能力活
地域への定着が年々減少する
も少なくない。
ものづくりを通じて、ひと
づくり、まちづくり、地域
若者の能力活用と雇用
機会創出のロールモデルに
が立ち上げた、全国で初めて
域資源の有効活用にもつな
してのヒノキのオイル、廃棄
6
品質管理部 開発課 森下 健
松浦 信男/森下 健/峯川 咲希/片岡 愛/藤川 江莉奈/櫻木 春香(※)/新谷 和昭(※)
万協製薬株式会社
お問い合わせ先
受賞理由
上段左から、森下 健、松浦 信男、峯川 咲希、新谷 和昭
下段は、相可高校の生徒 枠内は上から、片岡 愛、藤川 江莉奈
50
経済産業大臣賞 青少年支援部門
第6回 ものづくり日本大賞
51
●ものづくりを通じて、
ひとづくり、
まちづくり、
地域づ
くりに大きな貢献をしている地域振興のロールモ
デルとしての波及効果を期待。
商 号:万協製薬株式会社
設 立:1960年3月
従業員数:130名
事業内容:弊社は、医薬品、医薬部外品、化粧
品、医療機器の開発・製造を行う、
外用薬
(クリーム剤、軟こう剤、液剤)
専門の受託メーカーで、
あらゆる形態
の充填、包装が可能です。製品の
開発提案も行っています。
●会議風景
●商品開発の会議風景
万協製薬株式会社
受賞者
経済産業大臣賞
青少年支援部門
地域資源を活用した
化粧品「まごころ」シリーズの開発
受賞件名
●試作会議
●まごころシリーズ
経 済 産 業大臣賞
ものづくり日本大賞
53
経済産業大臣賞 受賞者
52
第
6回
ものづくり日本大賞
タップ側面から給油する構造を考案し、
ねじ切り時の切屑詰まりを解消
この度の特別賞受賞に対し、
ご支援・ご協力頂きま
したみやぎ産業振興機構、
東北経済産業局の皆様
には心より感謝申しあげます。
今後とも、
ものづくり
を通してより良い製品をお客様に提供することによ
り日本製造業の生産性向上・原価低減に寄与して
いきたいと思います。
受賞メッセージ
タップ 軸 部
(加工ポイントに
切削油を直接給油)
タップ切刃
切 屑を排 出
ターセールス」である。これ
は、ねじを知り尽くした営
業担当が専門医のように患者
(顧客)をケアするというも
ので、ねじの状 態や加工条
件、設備環境などを総合的
に見極めた上でトラブルの根
本原因を抽出し、改善提案
を行っている。
そのような同社に、顧客
の大手輸送機器メーカーか
ら従来のタップに対して改善
要 望が寄せられた。 雌ねじ
を切る際に発生する切屑を
タップがかみ込んでしまい、
タップが突 発 的に破 損した
り、切削スピードが低下し
ていたためであった。
タップの側面に
切削油の流路溝を設置
は切削刃が搭載されており、
用いられる。タップの先端に
にタップと 呼 ばれる工具が
雌ねじ(穴の内側に溝が切
られたねじ)を加工するため
効果・潤滑効果が不足気味
んなく給油しにくく、冷却
るが、 切 削 面 全 体にまんべ
構造が一般的に採用されてい
従来のタップでは、軸芯に
切削油が流れるオイルホール
これを回転させながら穴の奥
開いた構 造であるが故、 強
になるほか、 中 央 部に穴が
度が低下するという欠点が
開発部門および試作部門が
に寄り添って解決する「ドク
顧客の様々な要求や悩み事
接冷却・潤滑しながら切削
向 上し、タップの刃 先を 直
は、2007年、営業部門・
顧客企業のこうした切実
な課題に対応すべく、同社で
ある。
集まってプロジェクトチーム
排出できるようになり、切
できるようになったため、従
屑詰まりによる突発的な折
を結成し、雌ねじの切削加
路溝(サイドスルー溝)から給
損トラブルが激減。さらに、
来方式に比べ切削速度が向
油する方式を考案するに至っ
工時に切屑詰まりが発生しな
た。その後、タップ切刃と加
加工時間の短縮、切削強度
上した。 また、 タップの刃
工ポイントに対して切削油を
の向上、工具の長寿命化等
先の間から切屑をスムーズに
効果的に注入するための最適
向上に大きく寄与している。
は製 造コストの削 減や品 質
プの軸 部の外 側に設けた流
証を重ねた結果、雌ねじ内の
ロチップタップ」を2009
用が増えており、製品売り
このゼロチップタップは難
削 材 加工メーカー 等での採
上げも増加している。また、
今後は、従来の金属加工だ
削 材・ 高 価 格 材といった特
けでなく、樹脂系材料や難
殊材料等へも応用展開でき
宮城県刈田郡七ヶ宿町字萩崎15-1
TEL 0224-37-2211
FAX 0224-37-2213
E-mail [email protected]
http://www.tanoi-mfg.co.jp/
る可能性が期待されている。
株式会社ミヤギタノイ
切屑詰まりゼロ、
高速加工、工具の
長寿命化等を実現
年に完成させた。
切屑
(チップ)
をゼロにする
「ゼ
な構造等に関して研究・実
いタップの開発に着手。タッ
ねじ加工工具の専業メー
カ ーであ る 同 社の 強 みは、
が形成される。
へ押し込むことで雌ねじの溝
顧 客の 製 造 現 場 か ら
出 て き た 課 題 が 起 点に
●技術と営業のチームが一丸となり、顧客の加工時
の正確な状況を見極め、改善の提案を行う問題
解決型の組織力の高さにより信頼を構築。
サイドスルー 溝の導 入に
よって切削油の流れが格段に
技術課
※ 株式会社田野井製作所
株式会社ミヤギタノイ
お問い合わせ先
54
特別賞 製造・生産プロセス部門
第6回 ものづくり日本大賞
55
●顧客ニーズに真摯に応える姿勢と高い技術力で、
新しい独自の製品を生み出すことを実現している
オンリーワン企業の好事例。
商 号:株式会社ミヤギタノイ
設 立:昭和48年
(1973年)
9月
従業員数:74名
事業内容:創業以来、ねじ加工工具製造メー
カー田野井製作所のタップ製造部
門として切削工具(ハンドタップ・ス
パイラルタップ等)
・塑性加工工具
(タフレット)を製造。オンリーワン製
品としてシームレスタフレット、マルチ
タップ、ゼロチップタップ等を開発・
製造し、多数の表彰を受ける。
受賞理由
後列 左から、木暮 一彦、山口 昭、田部 友和、渡部 亘
前列 左から、藤村 和輝、田野井 優美、久保 武史
会社概要
木暮 一彦(※)/渡部 亘/久保 武史/田部 友和/山口 昭/藤村 和輝(※)
受賞者
製造・生産プロセス部門
特 別賞
切削油
株式会社ミヤギタノイ
リーダー 田野井 優美
サイドスルー溝
(切削油の流路となる溝)
特別賞
金属タッピングの大幅コスト削減を
可能にするゼロチップタップの開発
受賞件名
●従来のタップとの比較
●ゼロチップタップの外観
第
6回
ものづくり日本大賞
高温・低圧のホットプレスにより
銅とモリブデンの拡散接合に成功
●拡散接合概念図
株式会社FJコンポジット
受賞メッセージ
変形等による破損の減少等)
、
熱性)が要求される。そのた
「 熱 伝 導 率が高いこと 」( 放
め、主にモリブデンやタング
ステンなどの低 熱 膨 張 率 材
料と銅が複合化された材料
が使用されている。
一方、金属の接合技術とし
て拡散接合法がある。金属原
子同士を接近させることによ
り金属間結合を起こして接合
する方法で、従来はロール圧
延による高圧接触が知られて
いる。ところが、この方法で
へい たん
はロールによる波打ちの発生
などから、均一の厚さや平坦
度は得られないため、半導体
用途への採用は難しかった。
ホットプレスによる拡散接
合により安定品質、高熱
伝導率、低コスト化を実現
度の高温状態に保ち、 メ
そこで、ホットプレスで銅
とモリブデンを1000℃程
る放熱材料が使用されてお
ためのヒートシンクと呼ばれ
が相互拡散し、固体と固体
け、真空中で銅とモリブデン
ガパスカル程度の低圧力をか
半導体パッケージ用の放熱材
り、半導体の高機能化が進
この放熱材料には、半導
体材料であるセラミックスと
ー MC」
を 開 発。 従 来
「S C
で金属間結合が起こる技術
「 熱 膨 張 率が近いこと 」( 熱
昨 今、 高 速・ 大 容 量 の
いわゆる4G通 信に対 応で
む中で、発生する高熱を外
品に比べ、高価なレアメタル
を確立した。
であるモリブデンの使用量を
き る 半 導 体 材 料(セラミッ
部放出する放熱材料の役割
分の1から 分の1に抑え
が重要になっている。
半導体パッケージには、半
導体の熱を外部に放出する
半導体の高機能化に伴い
競争力のある放熱材への
需要の高まり
●大学や公設研究機関との産学官連携によるイノ
ベーション創出にも貢献。
この技術を用いて、銅とモ
リブデンを 多 層に積 層した
10
ホットプレスを用いた拡散接合技術の研究を開始
してから20年で、
この技術の最初の製品が、
今回受
賞のS-CMC
(銅/モリブデン・クラッド材)
になりま
す。
半導体パッケージ放熱材料のスタンダード材に
なることを目指しています。
ヒートシンクの開発を行って
リウム)に移行している。同
クス)は、普及版のシリコン
確立した。
おり、 様々な 技 術やノウハ
つつ、低熱膨張率と1
.5倍
使 用するモリブデンの厚
さや枚数を調整することで、
ウを蓄積していることから、
ングが可能なGaN(窒化ガ
ユーザーのニーズに合わせた
本製品が4G通信の携帯電
(Si)から、 高 速スイッチ
熱膨張率をコントロールした
話 基 地 局 向 けLTE用 デ
を実現できる技術・製品を
材料を簡単に製造すること
社ではいち 早 くGaN向 け
も可能となった。
バイスに初めて量 産 採 用と
半導体は、携帯電話、パ
ソコン、 家 電 製 品、 自 動 車
なった。
いスペックに対応した競争力
など様々な分 野で使 用され
が期 待できるとともに、 電
ており、今後も市場の拡大
http://www.fj-composite.com/
気機器の小型化や効率化へ
代表取締役 津島 栄樹
株式会社FJコンポジット
北海道千歳市柏台南2丁目2番3
TEL 0123-29-7034
E-mail [email protected]
の貢献も期待できる。
お問い合わせ先
圧倒的な放熱特性により
ヒートシンク材料のスタン
ダードとなる可能性
のある製品となっている。
を実現し、半導体分野の厳し
C
ー MC」
は「安定品質」
「S
「高熱伝導率」「低コスト化」
以上の高熱伝導率(放出性)
10
受賞理由
左から2番目が、津島 栄樹
56
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
57
5
商 号:株式会社FJコンポジット
創 業:平成14年2月5日
設 立:平成16年8月20日
従業員数:5名
事業内容:各 種 複 合 材 料を用いた製 品の試
作・製造を行う。
半 導 体 などの 放 熱 材 料 の 製 造
(S-CMC:銅/モリブ デンクラッド
材)
・パワー半導体用セラミックス絶
縁 回 路 基 板(DBA、DBC)
・燃 料
電池セパレーター板(炭素粉末/樹
脂複合材)
製品・技術開発部門
特 別賞
●Cu-Mo-Cu の切断面
●創業地とは離れた北海道に新工場を建設し地域雇
用の拡大に貢献しているとともに、今後の電気機器
の小型化や効率化への貢献による波及効果により、
地域の産業振興にさらに貢献することを期待。
会社概要
株式会社FJコンポジット
津島 栄樹
受賞者
特別賞
複合材料による低熱膨張率・
高熱伝導性『次世代半導体用放熱材』
受賞件名
●衛星通信用半導体向け放熱材
●ホットプレス機の外観(左)と内部(右)
第
6回
ものづくり日本大賞
特 別賞
受賞メッセージ
表面材(木材)
いう最大の弱点を克服する
必要があった。
伐 採 期を迎えている。 成 熟
を占める成熟した人工林が
日本の国土面積の7割を
占める森林のうち、約4割
化もしない。また、石膏ボー
め、火炎に直接触れず、炭
の荷重支持部を覆っているた
(燃え止まり層)が、最内部
はく
の炭化進行を効果的に防止
侵入を防止し、表面部から
豊富な森林資源を大量に使
する。木造建築物に作用す
いが、 大 規 模・ 高 層 建 築に
用するには、「木は燃える」と
用可能であり、一般住宅など
いように設 定し、 消 火 前に
により、2時 間で焼 失しな
ボードによる製造・供給が
WOOD®」
また、「COOL
は 各 地の工 場で 木 と 石 膏
応可能である。
く
に使用される無垢材でも対
建築物が崩壊に至る可能性
む
受けるため、被覆部の構成
る各種荷重は荷重支持部が
を大幅に軽減した。
の森 林の約 半 分を 占めるス
認定を取得したため、日本
く 燃えやすいスギ材で大 臣
構成する材質は、比重の軽
「COOL WOOD®」 を
れる材質が使用されてきた。
重く比較的燃えにくいとさ
従来、柱や梁などに使用
される木 材は、 主に比 重が
国 内 木 材の消 費 拡 大 と
林 業 振 興に大 きく 貢 献
内木材の消費拡大、林業振
を 用いた生 産が可 能で、 国
ら、全国各地で地域産木材
や施工が簡 便であることか
用可能となった。加えて加工
物の柱などの構造部材に利
ション等の大 規 模 木 造 建 造
校・音楽ホール、ビル・マン
国 内 木 材のほとんどが、 学
このように、従来構造材
として利用が限定的であった
にでき、特殊な材料や設備
可能で、加工も施工も容易
ギの利用拡大を見込むこと
も不要である。
ができる。 当 然、 比 重がス
興への貢献が期待できる。
http://www.kes.ne.jp/
14
撮影 新建築社写真部
そこで、大規模木造建築
で培った技 術を 生かし、 鉄
筋コンクリートに匹敵する耐
火性能や部材の構造耐力を
保持できる国内初の2時間
耐 火 木 構 造 部 材「COOL
WOOD®」を 開 発 し、 従
来 鉄 筋コンクリ ート・ 鉄 骨
造でしか建てられない建 物
階 建てまで建
を、建築基準法上、木造で
大 規 模かつ
築可能とした。
はり
木の温もりと耐火性能に
優れた木造の柱・梁を開発
木 造 建 築 物の 重 要 部 材
は、構造耐力の設計上、火
災 発 生 か ら 避 難 ま での 時
間 を 確 保 する 必 要がある。
「COOL WOOD®」 は
期に入りCO 2吸収力が衰え
ドのつなぎ目にアルミ箔を用
せっこう
被覆部の全体を焼失すると、
た成木を伐採し、木造建築
いることで、 火 災による 熱
内側に位置する石膏ボード
固定化を図る上でも望まし
に使用することは、CO 2の
を 反 射し、 内 側への火 炎の
木 造の2時 間 耐 火 構 造
部 材 としての国 土 交 通
大 臣 認 定は国 内で唯一
COOL WOOD® の技術開発は中・高層木質建築
の実現を可能とし、
木造による新たな市場を創出し
ました。
低コストで汎用性の高い本技術は、
木材の
利用を恒久的に振興し、
木造建築を
「持続可能な循
環型社会」
の主役へと押し上げます。
今後も技術革
新を続け、
木造の街並みを実現させます。
ギ以上であれば、カラマツや
山形県山形市松栄1-5-13
TEL 023-647-5200
FAX 023-647-5250
E-mail [email protected]
受賞理由
左から、武田 純一、安達 広幸
58
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
59
14
木造で大規模かつ 階建てまでの
建築を可能とし、
国産材に活路を開く
会社概要
●国内に各地域産の木材を活用し、地元林業の活
性化だけでなく雇用の拡大など地域の再生につ
ながることを期待。
ヒノキなどの他の樹種でも使
株式会社シェルター
武田 純一
株式会社シェルター
お問い合わせ先
受賞者
燃え止まり層
(石膏ボード)
製品・技術開発部門
1時間耐火構造では「4階建て」まで、
2時間耐火構造では「14階建て」まで建築が可能
●大規模14階建てまでの木造ビル建設が可能に
なることにより、従来の木造建築や街づくりの概
念を根底から変える可能性のある新技術。
商 号:株式会社シェルター
設 立:1974年12月
従業員数:109名
事業内容:最先端木質構造技術による大規
模・耐 火・三 次 元の建 築・注 文
住宅のデザイン・設計、構造計算、
施工、環境先進「木造都市 ®づくり」
の研究・提案。日本初の接合金物
工法「KES構法®」や木質耐火部材
「COOL WOOD ®」など、革新的技
術の開発を通して、木造の街並みづ
くりを進めている。
●ギネス世界記録「最大の木造コンサートホール」
(南陽市文化会館:山形県)
●防耐火規定
株式会社シェルター
リーダー 安達 広幸
荷重支持部
(木材)
特別賞
2時間耐火木構造部材
「COOL WOOD ®」の開発
受賞件名
●耐火木構造部材 COOL WOOD ®
●木造による「耐火建築物」建築規模(階数制限)
第
6回
ものづくり日本大賞
担 が 大 きいと い う 課 題 が
あ る 。 こ れ に 対 し て、 今
減になる 。
回の 測 定で
従 来、 開 業 医やクリニッ
クでHbA1cを 測 定する
には、大型装置のある検査
センターに血 液を 送り、 検
査結果を受け取るまでに
う 必 要 があ り 、 患 者の 負
いた め 、 測 定 を 複 数 回 行
る 中で 数 値の 変 動 が 激 し
食 事や 運 動 等、 生 活をす
に 普 及 している 。 し かし 、
でき るキット 等 が広 く一般
こ と が多 く、 簡 易に 測 定
( ブ ド ウ 糖 )を 使 用 す る
検 査 の 指 標 には、 血 糖 値
呼 ばれる 病 気 だ。 糖 尿 病
糖 尿 病 は 自 覚 症 状 がな
く「 サ イレント キ ラ ー 」と
高い検査精度を武器に
国内市場シェア急伸
た前 処 理を 不 要とする「 全
の遠 心 分 離 機 等を 使 用し
希 釈 液 に 浸 して 活 性 を 保
こ の た め 同 社 は、 血 液 を
測 定 す る こ と が 重 要 だ。
内 と 同 じ 状 態 に 保 持 して
測 定 精 度を 上 げるには、
採 取 し た 血 液の 活 性 を 体
いる。
着実に市場シェアを伸ばして
組の同社は、「精度」を武器に
た。そのよ うな中で、 後 発
同 社 が参 入 する 以 前は、
海 外 製品の独 占 市 場であっ
わずか 分で検査結果を受
ニックで も 設 置 が 可 能 で、
模 の 小 さい 開 業 医 や ク リ
した装置は小型なため、規
た。これに対し、 今 回 開 発
週 間 程 度の時 間を 要してい
1
持 し た ま ま、 ラ テッ ク ス
受賞メッセージ
凝 集 とい う 原 理 を 応 用 し
●病院のみならず薬局やドラッグストア等、検体測定室での
検査が可能になったことによる波及効果を期待。また、糖
尿病の早期発見、早期治療につながることも期待。
回 開 発した 糖 尿 病 分 析 装
置 では、 血 糖 値 の 過 去
カ 月の 平 均 値 を 示 す
が 少 な く、
測 定 す る た め、 値 の 変 動
HbA1cとい う 指 標 を
~
1
済 む た め、 患 者 の 負 担 軽
1
温度制御技術を生かした分析装置と
新試薬の開発で高い精度を実現
浅見 茂夫/平野 嘉治/森谷 正道/大河原 孝文/反町 朋子/伊東 宏昌
株式会社サカエ
2
さ ら に、 同 社 が こ れ ま で
た 新 たな 試 薬 を 開 発 し た 。
本 氏は、共同開 発で進めて
を 出せずにいた。そこで松
な かな か 思 う よ う な 成 果
血 用 試 薬 」に 挑 戦 し た が、
いた 試 薬 開 発 を 内 製 化し 、
培って き た 温 度 制 御 技 術
の 温 度 を 体 内 に 極 めて 近
装 置 開 発 と一体 的 に 推 進
医 用 機 器 業 界 では 異 例 の
するこ と を 決 断 。 それは、
型 装 置 と 遜 色 ない 精 度 で
ことであったが、その後 開
上 の 取 り 組 みに よ り、 大
測 定 するこ と を 実 現 した
年というスピー ドで開 発
発は一気に進み、 着 手より
患 者 分の血
液 を 連 続 測 定 する 新 機 能
に成 功している 。
し 、 米 国 内 での 販 売 が 可
能 と なった。 現 在 、 海 外
今 後 は 国 内 外 市 場 での さ
株式会社サカエ
医用科学機器事業部 平野 嘉治
東京都港区新橋1-11-4 三栄ビル4F
TEL 03-3573-7360
E-mail [email protected]
http://www.sakaecorp.com/
販 売 戦 略を 策 定 中であり 、
松 本 氏の 医 療 分 野 進 出
への 強い思いの一方 、 当 初
らなる 飛 躍が期 待される 。
お問い合わせ先
た。 開 発においても 、 検 体
は社 員からの反 対は強かっ
小 回りを利かせた
スピーディーな開 発
も 搭 載している 。
品 に は ない
のに 加 え、 従 来 の 海 外 製
い状 態に制 御している 。以
を 存 分 に 生 かし、 装 置 内
け取れる。
6
2014 年 に は 米 国 食
品 医 薬 品 局の 認 証 を 取 得
5
製品・技術開発部門
特 別賞
日本では糖尿病患者が1000万人、
その予備軍が
同数いると言われています。
しかし、
治療している患
者さんは200万人。
我々は、
「 糖尿病の早期発見・
早期治療」
をめざし、
より身近で手軽に検査できる
装置を開発いたしました。
これからも、
初心を忘れず
「ものつくり」
に邁進致したいと存じます。
3
60
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
61
●ものづくりで蓄積した技術を活かし、医療分野へ
の進出を実現しただけでなく、米国進出のための
認証も取得し、
海外市場への展開も視野。
商 号 :株式会社サカエ
創 業 :昭和20年8月
設 立 :昭和27年7月
従業員数 :126名
事業内容:航 空 機や半導体製造装置向けに
ヒーターデバイスを供給する「ヒー
ター機器事業」、世界最小レベルの
細断で情報漏洩を未然に防ぐハイセ
キュリティシュレッダー「ShredGear
事業」、小型グリコヘモグロビン分析
装置と専用試薬を扱う
「医用科学機
器事業」
を行っている。
受賞理由
前列 左から、松本 弘一、浅見 茂夫
後列 左から、大河原 孝文、伊東 宏昌、森谷 正道、反町 朋子、平野 嘉治
会社概要
株式会社サカエ
リーダー 松本 弘一
受賞者
特別賞
6分で結果がわかる国内初の小型
糖尿病分析装置と検査試薬の自社開発
受賞件名
●米国糖尿病学会に出展
●グリコヘモグロビン分析装置 A1c iGear
第
6回
ものづくり日本大賞
残渣
精密・高速・高温・高圧・高濃度のろ過処理が可能
●ばね式フィルターのろ過・自浄洗浄機能の仕組
① ス タ ート ⇒ ② ろ 過 膜 の 形 成 ⇒ ③ ろ 過 中 ⇒ ④ 逆 洗 浄 で 1 サ イク ル
外部排出
脱水
・ろ過時はバネ部が堅く閉められ、逆洗浄時は少し緩む構造 ・逆洗頻度はろ過原液のSSの性質により大きく変動する
・高温(500℃)、高圧(1.5MPa)、低圧(0.02MPa)、高濁度(10000ppm…ろ過物質による)に応用可
る多額な再生費用が必要に
なるなど、ランニングコスト
が大きな負担となっていた。
そこで、同社が得 意とす
る精密加工技術を生かして、
線材の片面に微小な凸型突起
(ダボ)を等間隔で加圧成形
し、このダボの高さでろ 過
精度を調節でき、また、あ
能な大 型ばね式フィルター
らゆる汚染水処理に対応可
も開発。半永久的な再生力
ず、少ないメンテナンス作業
を有するため廃棄物となら
で済むため運用コストの低減
も実現した。
難加工材のステンレスばね
線材に凸型突起を成形
密な小凸起を成形し隙間を
ばね式フィルターは、巻き
ばねの隣り合う線の間に精
浄ができると表示されている
要因になっていた。また、洗
棄物となり社会環境悪化の
年間数百万トンもの産業廃
従 来のフィルター 類は目
詰まりすると廃棄処分され、
作用によりばねの隙間が緩
一方、 逆 洗 浄 時には 内 圧の
ことで精密なろ過ができる。
が架橋を組みろ過膜を作る
の隙間にろ過助剤や懸濁物
ねの作 用でろ 過 時にはこの
つくる構造となっている。ば
樹脂膜、焼結金属、焼結金
半永久寿命のフィルターに
より産業廃棄物を激減、
運用コストの低減
網、セラミックフィルター類
た残渣が容易に流れ落ちる
み、フィルター表面に付着し
仕組みとなっている。
ざん さ
隙間が水圧で固定され、こ
も総じて洗浄による回復能
力は少なく、目詰まりする
製品化に向けて、難加工
福 島 第一原 発 事 故により
飛 散 した 汚 染 物 質の
水 処 理でも 活 躍 中
とメーカーや専門業者によ
材のステンレスばね線の片側
~120μmの凸
に、連続成形加工により等
間 隔に
型突起(ダボ)を成形し、ば
さらに、 摩 耗の少ない高 精
ねの 高 品 質 化 を 達 成した。
保守管理が容易で、放射性
要の長寿命フィルターのため
利用が可能である。交換不
洗浄プロセスにより繰り返し
ばね式フィルターを用いた
ろ過装置は、能力が低下す
度の巻き治具を考案し、ば
物質や強酸、強アルカリ等の
線 加 工 技 術 を 開 発。 また、
ね巻き加工時の線材の捻れ
薬液類、および高温、高圧
ねの間に隙 間をつくる 異 形
を強制的に補正し、凸起部
の蒸気や液体などの危険物
ると 自 動 的に洗 浄しフィル
を保護して正しく巻き取る
のろ過作業にも容易に活用
3Dシミュレーション技術に
コイリングマシンの開発にも
できる万能型フィルターであ
ター機能が再生される仕組
成功。線材の形状設計・加
る。現在、東京電力福島第
みで、この定 期 的な自 動 逆
工方法・組み立て方式を見
一原子力発電所の事故により
検討し、金型長寿命化とば
直し、高速精密加工と低コ
より最適な巻きばね形状を
スト化などを同時に実 現で
飛散した地域汚染物質の水
http://www.monobe.co.jp/
きる大型ばね式フィルターの
千葉県千葉市花見川区花島町149
TEL 043-257-2789
E-mail info@monobe.co.jp
原料・廃棄
受賞メッセージ
処理でも活用されている。
株式会社モノベエンジニアリング
汚濁液
モノベエンジニアリングは、
独創的な精密加工技術
により、
常に
「オンリーワン」
のものづくりに挑戦して
きました。
今回受賞の高性能ばね式
「モノMAXフィ
ルター」
など、
新発想に基づく特異な製品は関連業
界で高い評価を得ております。
環境分野において住
み良い世界作りを目指し躍進します。
製造方法を確立した。
代表取締役 物部 長順
原水槽
会社概要
●極めて少ないメンテナンスで半永久的な使用を可能
とし、大量の水処理と精密ろ過を実現したことで、汚
染水処理にとどまらず広く活用されることを期待。
10
受賞理由
左から、物部 長智、物部 長順、加藤 耕一
62
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
63
あらゆる汚水処理に対応できる
交換不要の長寿命フィルター
加藤 耕一/物部 長智
株式会社モノベエンジニアリング
繰返し再生の仕組
製品・技術開発部門
特 別賞
お問い合わせ先
目詰した汚濁物を洗浄し
装置外に排出
●自社が得意とする精密加工技術を活かした大型ば
ね式フィルターの開発により、
あらゆる汚染水処理
の解決につながるイノベーションを高く評価。
商 号:株式会社モノベエンジニアリング
創 業:昭和43年8月
従業員数:15名
事業内容:ばね式フィルターは半永久寿命で保
全に優れ、社会環境と職場の美化
や安易な運用性は高く評価されてい
る。極めて安価なランニングコストは
製造原価の削減にも大きく寄与して
いる。本件技術は多くのメディアに取
り上げられ知名度と売上は上昇中、
現在このばね式フィルターの拡販に
注力している。
逆洗浄
ろ過中
ろ剤の形成
スタート
汚濁水を圧送し
清澄液を取出す
助剤をプリコートし
ブリッジを形成
洗浄済
無限の再生力
ばね式フィルターのろ過工程
株式会社モノベエンジニアリング
リーダー 物部 長順
受賞者
特別賞
自浄再生機能を実現した環境重視型
大型ばね式フィルターの開発と実用化
受賞件名
●ばね式フィルターの特長
●ばね式フィルターの原理
第
6回
ものづくり日本大賞
めっき工場の産業廃棄物を大幅削減、
環境と顧客のコスト削減に貢献
受賞メッセージ
プレス)が排 出した 汚 泥 は
分 厚いケーキ状であるため
に、 天 日 干 し や 熱 風 を 当
てて乾 燥させる処 理を施し
ても 乾 燥に 時 間 がかかり、
必 要なエネルギーが膨 大で
費 用 対 効 果が得られなかっ
た。 加えて、フィルター プ
レス内で板 状に固 まった 脱
水 物 は 人 力でかき 落 とし、
粉砕処理する必要があるた
め、 処 理コストが見 合わな
が 現 場 作 業 員の 腰 痛の 原
いばかりでなく、 人 力 作 業
因になる等、労働環境面で
も課題を抱えていた。
この 現 場 の 課 題 を 発 掘
し た の が 、 めっ き 企 業 向
けに油 水 分 離 装 置の営
業 ・ 販 売 を 行 っていた 高
木 氏 だ。 設 計 者 の 藤 本
氏 は「 お 客 様 の 課 題 解 決
めっき工場の排 水 処 理 施
設 から 排 出 さ れる 汚 泥 に
デ ィ ー ゼ ルエン ジン 潤 滑
で、 同 社 がこ れ ま で 舶 用
有 償で 処 分 する 必 要 があ
水 後 に 産 業 廃 棄 物 と して
重金属が含まれるため、脱
した 。
ド ラ イ セ パレ ー タ を 開 発
液 体 清 浄 技 術を 応 用し、
油 の 清 浄 装 置 等 で 培 った
格 は、 重 量 に 応 じ て 設 定
さ れ る た め、 含 水 率 を 下
げれば産廃費が減ることは
ド ラ イ セ パレ ー タ の 処
理 プロセス は 、 ま ず 遠 心
分かっていた。 しかし、 従
来の 脱 水 装 置(フィルタ ー
に 減 少 す る。 この
に 、 回 転 す る 円 筒 ド ラム
回 収 コス ト の 削 減 に 貢 献
大 幅 な 減 量によ り 、 有 価
の 希 少 金 属 類 が 含 ま れる
の 表 面 にロ ー ラ ー で 薄 く
ため、材 料 としてマテリア
回 収 粉 末 に は めっ き 原 料
熱 す る 。 加 熱 して 乾 燥 し
ルリサイクルすること もで
するのは も ち ろ んのこ と 、
と 逆 向 きの抵 抗 を 加え
きる という 。
す こ と がで き る た め 、 最
終 的 に 粉 末 と して 回 収 す
る こ と がで き る 。 こ の た
め 、一連 の 処 理 プ ロ セ ス
ド ラ イ セ パ レ ー タ は、
め っ き 業 界 の み な ら ず、
来ている 。各 業 界に特 有の
を 、一切 人 手 を 介 す こ と
発 を 進 めてお り 、 さ ら な
様々な業 界から 引き 合いが
能だ。
る 市 場 拡 大 と 環 境 面 での
処 理 と 比 較 する と 半 分 程
約
貢 献が期 待される 。
http://www.ameroid.co.jp/
多 様なニー ズに合わせた開
% で、 こ れ は 従 来 の
ド ラ イ セ パレ ー タ で 処
理 し た 脱 水 物の 含 水 率 は
な く 完 結 さ せるこ と が 可
様々な業 界のニーズに
応じた開 発を推 進
る こ と で 簡 単 にか き 落 と
た 脱 水 物 は、 回 転 方 向
引 き 延 ば し、 回 転 し な
分の
なり、 産 業 廃 棄 物 量は
3
が ら 蒸 気 で ゆっ く り と 加
を ペー ス ト 状 に す る 。 次
式 脱 水 機にかけて汚 泥
有価回収費用の削減と
環境保全に貢献
る。 産 業 廃 棄 物 の 回 収 価
に 貢 献 し たい」という一心
は、ニッケルや クロム 等の
めっき工場の潜在的な
ニーズに気付き開発に着手
当初は右も左も分からないまま始めた事業でしたが、
この度の名
誉ある賞を頂くまでに至り関係者共々大変感激しております。昨
今の資源のリサイクル化が進められる中、弊社の装置を導入し
た事により廃棄汚泥量の削減を達成した事例や、有価回収を可
能にした事例を受け、環境負荷の軽減に貢献できたことを誇りに
思っています。
これからもお客様のニーズに応えるべく技術開発
を進め、チャレンジ精神を忘れない様に邁進して参ります。
度 に 低 減 し てい る こ と に
神奈川県横浜市中区翁町1-6-12
TEL 045-681-5968
FAX 045-681-5999
E-mail [email protected]
スラリーが
パウダーに!
1
株式会社アメロイド日本サービス社
陸上営業部
高木 賢二
株式会社アメロイド日本サービス社
会社概要
製品・技術開発部門
特 別賞
お問い合わせ先
受賞理由
左から、高木 賢二、藤本 憲悟
64
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
65
●産業廃棄物の量の大幅な削減により環境面やコス
トダウンへの貢献と同時に、異臭や騒音の軽減、
ま
た作業者の職場環境の改善にも貢献。
40
受賞者
新技術
●既存製品の営業中に顧客が抱えている課題を掘
り出し本装置の開発を実現させた、
マーケティン
グ起点の製品開発の好事例。
商 号:株式会社アメロイド日本サービス社
設 立:昭和34年
従業員数:113名
事業内容:産業用オイル及び水用フィルター、
遠心分離機、油水分離機、排水処
理装置の製造・販売。長い歴史を
通して製品改良を重ねた結果、充実
したラインナップが取り揃い、液体清
浄装置の専門メーカーとして多岐に
わたる業界に多数の導入実績あり。
株式会社アメロイド日本サービス社
リーダー 藤本 憲悟
フィルタープレス
に代わる
特別賞
産業廃棄物を削減する全自動の
汚泥回収・脱水装置「ドライセパレータ」
受賞件名
●産 業 廃 棄 物の 排出量 比 較
●「ドライセパレ ータ」
第
6回
ものづくり日本大賞
回転同期加工法を使いこなして
次世代事業領域・分野の拡大を図る
中川 寛之/宮城 直紀/牛尾 恵大/今井 久登
出典:東京大学 左近 樹 助教
株式会社クリスタル光学
会社概要
受賞メッセージ
●新しい高 速 製 造 技 術 ⇒ 回 転 同 期 加工
重 要なパーツである 。
自 由 曲 面 部 品は 基 準 回
転軸を有さないことが最大
の特 徴であり、その加工難
易 度は、 すでにカメラ等で
広 く 普 及している 非 球 面レ
ンズとは 比 較にならないほ
ど 困 難だという。すでに投
影 機 等で 自 由 曲 面 部 品 を
実用化している例もあるが、
いずれも 小 型( 直 径100
㎜以 下 )で、 車 載 用HUD
しかった。そこで同社は、「回
のニー ズを 満たすことは難
転 同 期 加工法 」と 呼ばれる
手法を他社に先駆けて導入
界最大級かつ超精密な自由
し、 直 径700㎜という 世
曲面部品を高速加工するこ
とに成功した。
回転同期加工法の
実現に不可欠な
つの成功要因
ション 情 報 を 投 影 す る 車
具座標(XZ軸)
を同期させ
回転同期加工法とは、加
工機の回転角度(C軸)と工
手 法に比べて
載 用 H U D(ヘッ ド アッ プ
かに 拡 大 投 影 す る か と い
速化が可能となった。
ディス プレィ)の 開 発 が 盛
う 点について開 発 競 争が激
来の回転工具加工法という
化 し ている 。 今 回 の 受 賞
回 転 同 期 加 工 法の 成 功
要 因 は、 加 工 装 置 の 高 精
た連続的な旋削加工で、従
案 件であ る 大 型 自 由 曲 面
度 化、 加 工 装 置 と 治 具 を
加 工 装 置 は、 汎 用 機 の
万 倍 高い0.1nmの 精
用して超精密加工を実現し
ているため、メーカーの光
業は世 界においても 限られ
大 型 かつ 超 精 密 な 自 由
曲 面 部 品 を 製 造でき る 企
学 設 計 者 と 設 計 段 階 から
チェーンでの影 響 力 を 高め
置メーカーが何 度 試しても
設 計 や 回 転 速 度 等の 加 工
ているという。
話をする機 会や、 光 学シス
条 件に関するノウハウを 結
車 載 HUD以 外 に も、
ウエアラブルや半 導 体 露 光
成 功しなかったことが証 明
集させることで、 装 置メー
装 置、 次 世 代 望 遠 鏡 等、
増 えてきており、バリュー
カーの想定を超えた加工を
ポテンシャルの 高い市 場 が
テム全体を受注する機会が
実 現している。また、「 測れ
多 く、 高 付 加 価 値の もの
蓄 積 し て き た、 加 工 軸 の
との考えから、非接触型の
http://www.crystal-opt.co.jp/
づく りによ る 事 業 拡 大 が
株式会社クリスタル光学
高 精 度 計 測 装 置を 独 自 開
滋賀県大津市今堅田三丁目4番25号
TEL 077-573-2288
E-mail [email protected]
期 待される 。
お問い合わせ先
発しており、加工精度の高
ないものづくりはできない」
している。 同 社がこれまで
置 産 業ではないことは、 装
高 付 加 価 値な
ものづくりで
事業領域・分野を 拡大
10
てい る。 他 方、 単 純 な 装
度 を 有 する 最 新 装 置 を 使
倍以上の高
部 品 は、 そ の 成 否 を 握 る
さを保証している。
独 自 開 発の つだという 。
蓄 積 、 高 精 度 測 定 装 置の
使いこな す 社 内ノウハウの
んに行われており 、 特にい
昨 今 、 自 動 車 の フロン
トガラスに速 度やナビゲー
車載HUDの
開発競争を左右する
大型自由曲面部品
光 学 分 野 の 最 先 端 技 術 である自由 曲 面 部 品
に関して、当社の技 術で 受 賞できたこと、大 変
喜ばしいとともに責 任の重さを感じています。
本 分 野 で日 本 の 技 術 が 常 に 世 界 最 高レベ ル
であり続けられるよう、微 々たる力ではありま
すが 、日本 のものづくりに貢 献していきたいと
思います。
3
製品・技術開発部門
特 別賞
●航空産業やエネルギー分野への展開など新たな
市場を確立し、世界でのオンリーワン企業になる
ことを期待。
1
受賞理由
左から、今井 久登、中川 寛之、桐野 宙治、牛尾 恵大、宮城 直紀
66
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
67
3
●他にはできない高精度かつ大型な自由曲面の加工技
術の開発により、下請けから脱却し、試作開発の段階か
ら顧客と関わるビジネスモデルへの変革を遂げた。
商 号:株式会社クリスタル光学
設 立:昭和60年4月
従業員数:110名
(2015年12月1日現在)
事業内容:半導体・FPD製造装置の精密部品
や航空機の大型部品などの受託製
造。サブナノメートルの超精密研磨や
5mを超える超大型部品の高精度加
工、セラミックスから金属・樹脂・複
合材料まで、あらゆる精度と材料で顧
客ニーズに対応する唯一無二のサプ
ライヤー企業を目指しています。
株式会社クリスタル光学
リーダー 桐野 宙治
受賞者
特別賞
光学設計の概念を変える超精密
自由曲面部品の高速製造技術の開発
受賞件名
●天 文 系観 察 装 置ユニット
●超 大 型自由曲面 鏡
第
6回
ものづくり日本大賞
特 別賞
環境中の空気や水の力を借りて半永久的な
耐食性を実現する
「Pat!naLock」
Everlasting
Corrosion Protection
株式会社京都マテリアルズ
会社概要
●長年にわたる大学での研究成果を基礎にベン
チャー企業を立ち上げ産業化し、商社との連携に
より国内外への販売ルートを確立。
受賞メッセージ
鋼 材 等 の 腐 食 を防ぐため に
一 般 に 塗 料 により地 球 環 境 と
遮 断 す る 方 法 が 使 わ れ るが 、
は 環 境を遮
断 す るの で は なく環 境 の 力 を
借 り な が ら 鉄 鋼 に 作 用 し 、防
食 的 な 良 い さび“ P a t i n a ” の
コー ティン グを自 然 に 作 ること
で 腐 食を 抑 制 する反 応 性 塗 料
で ある。
製品カタログ
るものだ。
となっている。今回開発した
で、その対 策は喫 緊の課 題
急速に老朽化が進む見通し
備されたものが多く、今後
高 度 成 長 期に 集 中 的に 整
梁を
我 が 国 の 道 路・ 橋
はじめと する 社 会 資 本は、
食塗装とは全く異なるアプ
こ れ は、 鋼 材 を 自 然 環
境 から 遮 断 す る 従 来の 防
守っている。
を 形 成 し、 鋼 材 を 錆 か ら
かつ強 固なさびの結 晶 構 造
Patina層 と 呼 ぶ 微 細
は、 鋼 材 表 面 が 直 接 空 気
その老朽化の防止に貢献す
を 錆から 半 永 久 的に守 り、
ため、メンテナンス費 用 を
Patina層 に 改 質 す る
よう、いかに表 面を 被 覆す
や 水に触れて錆が付かない
大 幅に削 減 する ポテンシャ
然 環 境 を 完 全に 遮 断 する
ことはできず人工物である
ルを秘めている。
塗 膜 が 破 損 して 鋼 材 表 面
が露出すると、そこを起点
生 成 する 熱 力 学 的に 安 定
地 球 環 境 との 自 然 反 応で
し ているPatina層 は、
こ れ に 対 し、 今 回 の 受
賞 案 件で 鋼 材 表 面 に 形 成
が不可欠となる。
塗 り 替 え 等のメンテナンス
業 も 増えていっており 、 潜
証 評 価 試 験 を 希 望 する 企
採 用 に 至 った り 新 た に 実
た、 結 果 を 示 す こ と で、
想 通 り 良 好 だ とい う 。 ま
に出 始めている 結 果は、 予
長い期 間を 要するが、徐々
インフラ向け製 品は、実
証 評 価 試 験 に 数 年 とい う
に腐 食が進 行する。そのた
な 化 合 物 で あ る。 こ の た
在 的 市 場 は 非 常 に 大 きい
株式会社京都マテリアルズ 本社 山下 正人
TEL 075-874-1391 FAX 075-874-1541
東京都中央区日本橋小舟町5-1
E-mail [email protected]
め、 定 期 的 な 劣 化 点 検 や
め、 定 期 的 な 塗 り 替 え を
http://www.nagase.co.jp/
と 見 込んでいる 。
TEL 03-3665-3343 FAX 03-3665-3971
必 要 と せ ず、 半 永 久 的 に
長瀬産業株式会社
海外進出に先駆けて、既
に 特 許 取 得 を 進めてお り、
機能素材セグメント 事業開発チーム 宇木 則倫
耐 食 性 を 保 つ こ と がで き
●施工技術・販売に関するお問い合わせ先
る。また、既に錆の付着し
E-mail [email protected]
今 後は商 社とタッグを組ん
http://www.kyoto-materials.jp/
た 鋼 材 に も 有 効 で、 密 着
京都府京都市西京区御陵大原1-39京大桂
ベンチャープラザ南館 2102
で、展開を加速させる。
お問い合わせ先
性の高い錆であれば、 錆を
実 証 試 験 を 経て
徐々に市 場 を 拡 大
塗 膜 自 体 も 劣 化 するため、
るかが鍵となる。しかし自
さび
用 す る 塗 料 で あ り、 鋼 材
さ れ た 鉄 は、 表 面 近 傍 で
は、 道 路・ 橋 梁 な ど に 使
「Pat!naLock」
能を 有している。イオン化
材 表 面をイオン化させる機
気 と 反 応 す る こ と で、 鋼
添 加 し、 環 境 中 の 水 や 空
「 Pat!naLock」
は、 塗 料 に 特 殊 な 材 料 を
自然環境と調和して
半永久的に耐食性を保持
と説明する。
鉄 鉱 石の状 態に還 す技 術 」
かえ
環 境で 安 定 的に 存 在 する
た 鋼 材 を、 表 面 の み 自 然
は「 製 錬によ り 機 能を 高め
して開 発したもので、同 氏
案 件 は、 学 術 研 究 を 生 か
携わってきた。 今 回の受 賞
ス等に関する学術的研究に
の機 能や構 造、 生 成 プロセ
山 下 氏 は、 年 以 上、
鋼材の腐食生成物である錆
25
ローチだ。従来の防食塗装
きょう りょう
学術研究を生かして
インフラ老朽化対策に貢献
四半世紀にわたりさびの研究を行い、
制御しながら
鉄をさびさせることでその後錆びさせないという新
発想で開発した反応性塗料は、
老朽化が深刻な社
会インフラを長期に守る技術に発展しました。
栄え
ある賞を頂き、
社内外関係各位、
支援機関の皆様に
深謝し、
今後さらなる挑戦を進めていきます。
●研究開発に関するお問い合わせ先
68
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
69
●鉄鋼構造物を主体とした社会インフラの老朽化
への対応という大きな課題を解決する可能性の
ある本技術を高く評価。
商 号:株式会社京都マテリアルズ
設 立:平成24年
従業員数:17名
事業内容:材料科学の研究知識を応用し市場に出すこ
とで社会貢献を目指す。鉄鋼材料の防食技
術開発や精密加工分野の超硬精密金型な
どを手がけ、長期防食性を実現する反応性
塗料Pat!naLockは、長瀬産業株式会社と
連携し、社会インフラ・エネルギー施設・プラ
ント施設・商業施設などに事業展開を拡大。
受賞理由
写真左から3人目より、花木 宏修、山下 正人、野村 豊和、宇木 則倫
枠内は、草場 義彦
※1 株式会社クロサキ ※2 長瀬産業株式会社
野村 豊和/花木 宏修/草場 義彦(※1)/宇木 則倫(※2)
製品・技術開発部門
A Reactive Paint Creating Corrosion
Preventive Rust,“ Patina”
RUST PREVENTION by RUST
株式会社京都マテリアルズ
リーダー 山下 正人
受賞者
特別賞
“さびで錆を制す”鉄鋼インフラを
長寿命化する反応性塗料の研究開発
受賞件名
●製品のメカニズム説明
●適用例
(左:送電鉄塔、右上:道路照明鉄塔、右下:プラント設備)
第
6回
ものづくり日本大賞
基幹部素材の大幅なコストダウンにより
家庭用燃料電池の普及に貢献
辻 庸一郎/山内 将樹/吉野 強/川島 勉/久保田 和典/永井 宏幸
パナソニック株式会社
受賞メッセージ
る。MEAとは、 電 解 質 膜
の両面を電極触媒とガス拡
散 層(GDL)が覆ったもの
で、水素と酸素がセパレータ
からそれぞれ燃 料 極 側、 空
気 極 側の触 媒に 供 給 され、
MEAにおける電気化学的
な反応により発電している。
GDLは、外部から取り
込んだ水素や酸素を電極触
媒 全 体へ行き 渡らせるとい
う、文字通り、ガス拡散機
能を有するほか、電極反応
で発生した電気を取り出し
たり、空気極側で生じた水
はっすい
を 排 出させる 役 割を 担って
性が求められる。また、燃
いることから 導 電 性や撥 水
料 電 池の長 寿 命 化のために
安 定 性、 物 理 的 強 度 等 も
は、 耐 食 性、 電 気 化 学 的
要求される。
はコスト ダウンがネックと
家 庭 用 燃 料 電 池 は、 都
市 ガスやLPガスといった
出し、空気中の酸素と反応
なっている。 従 来のGDL
ら な る 普 及 拡 大 に 向 けて
させることで発 電すると同
最 近、 家 庭 用 燃 料 電 池
の普 及が進んでいるが、 さ
時に、発電時に発生する熱
材を高温焼成した後にシー
ト 化 し、 フッ 素 樹 脂 材 料
で は、 高 価 な 炭 素 繊 維 基
う 心 臓 部はスタックと 呼ば
システムである。 発 電 を 行
ものを 撥 水 処 理していたた
め、材料費および加工費が
(PTFE)を 含 浸 さ せ た
をセパレータで挟み込んだセ
が、混練物の粘度を均一にし、
シートの多 孔 度や厚み等を
安定化させるための最適条
件を見いだせたことがブレー
アップ要因になっていたGDL
れ、スタック全体で見ると %
このGDLの開発により、材
料コストは従来比で %削減さ
クスルーの一つとなっている。
に着目し2003年より新材
のコストダウンにつながっている。
基材の代わりに安価な導電性
PTFEを同時に混錬するこ
カーボン粒子を用い、これと
レーションの第 世代モデルに
本製品は、2013年 月に
発売された燃料電池コージェネ
とで撥水処理を削減するとと
等の各工程においても独自の工
25
90
もに、圧延・焼成・膜厚調整
国 内 だけでなく
海 外でも 普 及
料の開発に着手。炭 素 繊 維
るスタック、その中でもコスト
様々な製造課題に直面した
高くなっていた。
こうした中、上山氏らはシス
テムコストの約 分の1を占め
高価な炭素繊維基材を
使用しない製造方法の
実用化によりコストを削減
ルを積層した構造になってい
れ、膜電極接合体(MEA)
を捨てずに給 湯に利 用する
家庭用ガスから水素を取り
家庭用燃料電池の普及に
向けたコストダウン課題
●ガス組成が異なる海外での各地域の使用環境に
応じた製品開発の短縮化や、
自動車用燃料電池
などへの本技術の展開も期待。
夫を施し、GDLに要求される
度量産実績は約 万5000
採用されており、2013年
4
基本機能を全て満たす多孔質
3
カーボンシートの実現に至った。
インアップに加え、約 万台
台。翌2014年度は集合住
生産技術本部 企画部
パナソニック株式会社
大阪府門真市松葉町2番7号
TEL 06-6905-4530
http://www.panasonic.com/jp/home.html
2
宅向けや欧州市場向けをラ
混 練工程においては、 材
料の配 合 比によって期 待し
規模に拡大している。
1
た通りものができないなど、
お問い合わせ先
製品・技術開発部門
特 別賞
今回受賞の基材レス ガス拡散層を含む膜電極接
合体は、
燃料電池の発電を司る部品です。
膜電極接
合体は使用環境や発電仕様に応じて、
材料組成を
最適化する必要があります。
今回の受賞を励みとし
て、
今後の海外展開、
移動体への展開等、
水素社会
の発展に貢献して参りたいと考えています。
4
70
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
71
●独自の成膜プロセス技術の開発により、生産コス
トを大幅に削減。環境改善への効果が大きい燃
料電池の家庭への普及に貢献。
商 号:パナソニック株式会社
設 立:1935年
(昭和10年)
12月15日
従業員数:254084人(連結、2015年3月31日現在)
事業内容:エレクトロニクス技術の開発と製品化を
通じて住宅、非住宅、モビリティ、パーソ
ナルユースの分野で顧客にソリューショ
ンを提供している世界的な企業。1918
年の創業以来事業を拡大し、2015年
3月期の連結売上高は7兆7150億円
と、500社を超えるグループ企業を展開
している。
受賞理由
後列左から、吉野 強、山内 将樹、前列左から、川島 勉、永井 宏幸
枠内左上から、辻 庸一郎、久保田 和典 枠内右は、上山 康博
会社概要
パナソニック株式会社
リーダー 上山 康博
受賞者
特別賞
家庭用燃料電池の「基材レス ガス
拡散層(GDL)」の開発と実用化
受賞件名
●従来のGDLと本開発技術との比較
●家庭用燃料電池の構成(図上)及び
スタック内に積層されるセルの内部構成(図下)
第
6回
ものづくり日本大賞
受賞メッセージ
太陽光発電用
パワーコンディショナの
高効率化と小型化
栄誉ある賞を賜わり、
大変光栄に思っております。
本製品では、
世界初のGaNデバイス搭載とその活
用技術により、パワーコンディショナの小型化・高
効率化の両立を実現しました。
今後も本受賞を励
みに
「地球環境保全に貢献する」
世界初の技術開
発に挑戦していきます。
変 換 す る パワ ー コン デ ィ
ショナ か ら 構 成 さ れ る 。
今 回 の 受 賞 案 件 では 、 次
世 代 パワ ー 半 導 体 の 窒
化 ガ リ ウム( G a N )を パ
載 ・ 量 産 化 するこ とに 世
ワ ー コン デ ィ シ ョ ナ に 搭
界 で 初 めて 成 功 し 、 大 幅
な 小 型 化 と 高 効 率 化の 両
け つ
立に 成 功 し た 。
ひ
成功の秘訣は
設計開発にあり
Si 系 IGBT 型 パ
ワ ー デ バイ ス を 搭 載 す る
% 程 度 で、 リ ビン
従 来 品の 電 力 変 換 効 率 は
~
グや 洗 面 所 等の 生 活 空 間
に設 置 されている 。このた
め、 さ ら な る 電 力 変 換 効
率の 向 上 、 小 型 化 や 静 音
化 が 求 め ら れ る が、 従 来
品の 改 善によ り 達 成 する
電 力 を 直 流から 交 流に
太 陽 光 発 電 システ ム
は 、 太 陽 光 発 電 パネル と
市場で普及が進んでいる。
下を背景とし、特に住宅用
は、 発 電コストの急 激な低
る。その中でも太陽光発電
重 要な 取 り 組みとなってい
会インフラの構 築に向けた
も 業 界 最 高 レベルで あ る
とに 成 功 。 電 力 変 換 効 率
ら モジュール 化 が 進 ま ず、
安 定 化やコスト 等の課 題か
り 組まれてきたが、品 質の
研 究 を 中 心に 積 極 的に 取
究 開 発 は、 以 前 か ら 学 術
G a Nパワー デバイスの研
等 の 特 長 を 有 し て い る。
イ ッ チン グ や 低 電 力 損 失
こ れ に 対 し てG a N パ
ワ ー デ バイ ス は 、 高 速 ス
ことは 困 難であった。
産 業 利 用が遅れていた。
% を 達 成 し てお り 、 生
そ こ で 開 発 に 当 たって
は、 最 終 用 途であるパワー
再生可能エネルギー利用
の普及・拡大は、将来の社
96
先端デバイス搭載によるコストアップを
軽減し、
大幅な性能向上を実現
樋口 剛/成田 哲深/樋口 雅人/唐仁原 博孝/藤崎 誠司/山中 泰礼
株式会社安川電機
94
コンディショナへの 搭 載 を
静 音 性を 実 現している 。
活 空 間 で も 気 に 障 ら ない
ら ず、 各モジュールの設 計
開 発についても、 同 社が統
合的にマネジメントした。
業 機 器 や 民 生 機 器への 波
今 回 の G a N パワ ー デ
バイ ス は 、 同 社 の 主 力 事
及 効 果 も 期 待で き る 。「 最
特に、G a Nモジュール
の周 辺 回 路およ び 構 造は
およ び 電 流に 対 する 制 御
先 端 デ バイ ス を 搭 載 し た
業 の一つで あ るロボット の
性 能 を 最 適 化 し た。 こ れ
製 品 を 他 社 に 先 駆 けて 実
その 高 速スイッチングに 対
によ り、 製 品 と して 組 み
用 化 す る こ と で、 普 及 を
適 用 可 能であ り 、 他の 産
上 げた 際に各モジュールの
促 し たい」という ポ リシー
モ ー タ ー 駆 動 装 置 な どに
性 能 を 最 大 限 発 揮 する こ
で、 さ ら な る 先 端 的 開 発
応 するため、 発 生 する 熱 、
と を 実 現 した 。
福岡県行橋市西宮市二丁目13番1号
TEL(0930)
23-5079
FAX(0930)
23-3010
E-mail [email protected]
を 進めている 。
株式会社安川電機
%に 小 型 化 す る こ
インバータ事業部
環境エネルギー機器事業統括部 推進部
品の
http://www.yaskawa.co.jp/
G a Nパワ ー デ バイ ス
を 搭 載 す る こ と で、 従 来
ノイ ズの 低 減 、 出 力 電 圧
他の産 業 機 器や民 生
機 器への応 用に期 待
見据えて、製品全体のみな
98
お問い合わせ先
製品・技術開発部門
特 別賞
会社概要
●GaNパワーデバイスの活用技術を示すことで、他
の民生機器や産業機器に波及し、国内のものづく
りの活性化にも貢献することも期待。
60
受賞理由
上段左から、樋口 剛、井手 耕三、成田 哲深
下段左から、樋口 雅人、唐仁原 博孝、藤崎 誠司、山中 泰礼
72
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
73
●GaNパワーデバイスを搭載した、小型・静音・高
効率の太陽光パワーコンディショナの開発によ
り、
再生可能エネルギーの普及に貢献。
商 号:株式会社安川電機
設 立:大正4年7月
従業員数: 連結11356名 単独2724名( 平成
27年3月20日現在)
事業内容:
「モーションコントロール」、
「ロボッ
ト」、
「システムエンジニアリング」の
各部門の様々な分野で製造、販売、
据付、保守、エンジニアリング等の事
業展開を行っている。
●太陽光発電システム構成例
●GaNパワーデバイスと従来品との比較
株式会社安川電機
リーダー 井手 耕三
受賞者
特別賞
究極の小型・高効率を実現した
世界初のGaNパワーコンディショナの開発
受賞件名
●GaNパワーコンディショナと従来品との比較
第
6回
ものづくり日本大賞
水中 mでも途切れにくい
ー AJUN」
LED通信機器「i M
受賞メッセージ
※1 有限会社国際潜水教育科学研究所 ※2 国立大学法人琉球大学
なっている 。今 回 受 賞した
水 中で 使 用 するLED通
信 機 器「 i ーM A J U N 」
リ ピ ー ト 率 が 高 い と いわ
特 に ダ イ ビン グ 旅 行 者 は
マリンレジャーは 沖 縄 県
の観 光 資 源の目 玉であ り 、
こ れ ら の 課 題 に 対 し、
今 回 の 受 賞 案 件 で は、 実
があった。
くなるというトレー ドオフ
呼 吸 の 乱 れ や、 耳 抜 き が
での 精 神 的 不 安 か ら く る
し てし ま う とい う 。 水 中
信を 実 現した。
で も 途 切 れに くい 音 声 通
とで、ついに水 中 距 離
蓄 積 して 改 良 を 重 ね る こ
覆われており、二重の防 水
する 例が出ているが、これ
既に体験ダイビングにおい
を導入
ー AJUN」
て「i M
まで一人のリタイア者も出て
術に独 自のノウハウがある
射 し た 光で 通 信 が 途 切 れ
いないという。 リ ピート 率
増加への貢献が期待される。
の高いダイビング旅 行 者の
ず、 誰 で も 容 易 に 使 用 す
ることができる 。
機 器 内 部 に も、 水 中 利
用に耐えうる様々な技術的
さ ら に、 沖 縄 美 ら 海 水
族 館 等 で 導 入 さ れ、 ダ イ
防水性を保ちながら、機器
種類の材料を採用し、高い
進められており、水中作業
いて具 体 的な導 入の検 討が
事や海 難 救 助への活 用につ
用されている。 海 洋土 木工
バーと観客の直接対話に活
内部の電子回路端末から発
外装に熱伝導率の異なる
工夫がされている。例えば、
生する熱を外部に逃がす機
http://www.mcrvlc.jp/
の安 全 性 向 上と 効 率 化への
沖縄県宜野湾市嘉数1-15-5
TEL 098-870-2561
E-mail [email protected]
構を構築している。さらに、
株式会社マリンコムズ琉球
貢献も期待される。
新川直正
電子回路端末は樹脂被膜で
お問い合わせ先
30
●i-MAJUN本体と水中マイク、スピーカー
は、 沖 縄 県の 観 光 産 業 と
も の づ く り 産 業 での 雇 用
創 出への強い思いから 開 発
された製 品 だ 。
水 中で 使 用 する 無 線 通
信 端 末 は、 以 前 か ら 音 波
用 化されているが、 気 泡 等
や超 音 波を 用いるものが実
の 媒 体の 影 響 を 受 け や す
く、 通 信 が 途 切 れ る、 良
好 な 受 信 には 習 熟 訓 練 が
必要といった課題があった。
ま た、LED 通 信 も 技 術
自 体 は 以 前 から あったが、
水 中で 実 用 可 能 な 通 信 距
離は1mが限 界とされてい
合、一般に光の強 度と 指 向
た。 通 信 距 離 を 延 ば す 場
れ てい る 。 旅 行 を 機 に ダ
際に海 中 実 験を 繰 り 返し 、
性を高める開発が行われる
イ ビン グ に 挑 戦 す る 旅 行
水 中 での 光 の 波 長 や 伝 搬
で き ない 等 が 主 な 原 因 と
対策がなされている。
が、その分 通 信が切れやす
者 も 多い一方で、 体 験 者の
波 特 性に 関 する デ ー タを
海中でも切れにくい
実用性の高い製品を開発
沖縄観光業のみならず、
海洋産業全般への
貢献が期待
30
とい う。 実 際、 水 中 を 反
は、 受 信 機 の 信 号 処 理 技
m
M
ー AJUN」
が m
「 i
とい う 通 信 距 離 と 途 切 れ
約
割 は 途 中で リ タイア
海中実験を繰り返して
通信距離 mを達成
30
にく さを 両 立できているの
30
上間 英樹/石原 瑞樹/大城 啓義/玉城 佳奈/村田 幸雄(※1)/荒川 雅志(※2)
株式会社マリンコムズ琉球
ものづくり日本大賞特別賞を頂けました事を開発
チーム一同、
これまでに多くのご協力、
ご支援頂きま
した皆様に心より感謝申し上げます。
誠にありがと
うございました。
「安心、
安全、
快適、
健康な海を創造
する」
を理念に、
ものづくりを行い、
海中の通信シス
テムを世界に発信してまいります。
2
製品・技術開発部門
特 別賞
●大学や企業との共同研究も積極的に行っており、
沖縄発のものづくり企業として地域における雇用
効果創出、
経済の活性化にも貢献。
3
74
特別賞 製品・技術開発部門
第6回 ものづくり日本大賞
75
●沖縄の海洋資源の魅力向上につながる取り組み
であり、
マリンレジャーの推進だけでなく海難救助
活動や海洋工事など様々な分野での活用に期待。
商 号:株式会社マリンコムズ琉球
設 立:平成23年4月
従業員数:5名
事業内容:LED光を利用し、水中でのクリアな
音質での会話装置やお客様のご要
望に合わせた水中機械の制御装置
の開発/販売を行っています。また、
海中、水中での新サービスのご提案
を行い、海洋レジャー、水族館、海洋
土木、救難救助等の特殊潜水、スパ
等での市場開拓を行っております。
受賞理由
上段左から、大城 啓義、新川 直正、上間 英樹、石原 瑞樹、
下段左から、荒川 雅志、村田 幸雄、玉城 佳奈
会社概要
株式会社マリンコムズ琉球
リーダー 新川 直正
受賞者
特別賞
LED通信技術を用いた
水中通信機器の開発
受賞件名
●初ダイビングをエンジョイ(69歳男性)
●水中癒やしプログラム(水中バイタルチェック)
第
6回
ものづくり日本大賞
ロボットを使える人材を育成し、
地元中小製造業の産業競争力の発展に貢献
髙丸工業株式会社
●本取り組みに参加した生徒たちが地元の中小企
業に就職することで、雇用環境の改善や中小企業
の競争力の向上にも寄与。
受賞メッセージ
●ロボットを使った溶接体験
設の生徒を対象にした資格
認定研修を実施するなどユ
施し、人材育成の場として
ニークな就職活動支援を実
も活用している。
中小製造業における産業
用ロボットへの関心は年々高
まってきている が、 高 額 な
初 期 投 資と、ロボットを 現
場で使える人材の不足が障
壁となり、実際の導入はあ
ま り 進 んでいない。 そこで
髙丸氏は、学校教育のよう
に「ロボットを作る」ことを
教えるのではなく、「ロボット
を 使える 」人 材の育 成に力
を注いでいる。
教 育・ 普 及 を 目 的 と
し た セ ミ ナ ー は、 地 元 尼
崎 市 内の工 業 高 校 に 通 う
生 徒 や 将 来 中 小 製 造 業の
て、 比 較できる 施 設として
際にロボット を 見て、 使っ
小 企 業などのユーザーが実
尼 崎ロボットテクニカル
センター(ARTC)は、 中
小 企 業 団 体 中 央 会と 連 携
いる 。 さ ら に、 兵 庫 県 中
200 人 程 度 受 け 入 れて
国の修 学 旅 行 生を 年 間
担い手 と な る で あ ろ う 若
ロボットシステムインテ グ
設の 生 徒の 就 職 活 動 支 援
し、 兵 庫 県 内 児 童 養 護 施
に注力し、企業へのロボット
2009年からは教育事業
を 目 的 と し た 研 修 会 では
ロボットに触れる 機 会を 提
育 」を 受 講させ、 青 少 年が
業高校の生徒等を対象にし
供している 。
「 産 業 用 ロ ボット 特 別 教
たセミナーや、 児 童 養 護 施
表 札 を 製 作 する 等の 課 題
に 挑 戦 さ せ る ケ ー スも あ
り 、 学 校 に は ない 貴 重 な
体 験 を す る 機 会 と なって
いる 。
ロボット教 育に対する
機 運の高まりに期 待
られている。
研修の参加者からは、「難
しかったが面白かった」「溶接
ト 模 型 に 触 れな がら 講 習
髙 丸 氏は「 尼 崎の産 業と
地 域 全 体の 活 性 化 を 目 指
と 実 技 講 習 を 実 施 し てい
している 。 実 技 講 習では 、
し、 ま た、 産 業 競 争 力 の
工への就 職を 目 指しており
座 学で 得 た 知 識 を 基に 教
発展に貢献すべく今後も活
る 。 座 学 で は、 産 業 用 ロ
示 プロ グ ラ ム を 組 み 、 実
動を 続けていき、 青 少 年へ
貴重な機会となった」等の満
際 にロ ボッ ト を 動 か す 講
のロボット 教 育に対する 機
足度の高い感想が多数寄せ
習 を 行い、 特 別 教 育 修 了
関 する 基 礎 知 識を 、ロボッ
証 を 交 付し、 資 格 認 定し
http://www.takamaru.com/
運が高 まっていくことを 期
兵庫県西宮市朝凪町1-50
(JFE西宮工場内)
TEL 0798-38-9200
E-mail [email protected]
ている 。 資 格 認 定 者には 、
髙丸工業株式会社
待している」
と語る。
お問い合わせ先
溶 接 ロ ボッ ト を 操 作 し て
ボッ ト の 稼 働 や 安 全 性 に
衛 生 規 則 に 基 づいて 座 学
クタ ー と な り 、 労 働 安 全
る 同 社 社 員 が インス ト ラ
止 協 会の 資 格 保 有 者であ
「 産 業 用ロボット 特 別 教
育 」は 、 中 央 労 働 災 害 防
ロボットを実際に動かす
貴重な機会を提供
操作・保守講習のほか、工
年 層 が 対 象 だ 。 ま た、 全
レー タの 同 社 が 創 設 し た。
ロボットを ”
使える “
人材を増やす研修事業
会社概要
青少年支援部門
特 別賞
日本は生産、
稼働共に世界一のロボット大国であ
り、
就業時の各個人のスキルになる
「高校生に対す
るロボット人材育成事業」
を行う事により、
日本のお
家芸である
「ロボットを活用したものづくり」
を中小
企業も含め、
全ての産業で推進することができ、
国
力向上に直結するものと考えています。
商 号:尼崎ロボットテクニカルセンター
設 立:2007年
事業内容:産 業 用ロボット特別教育や、企業
などから依頼された産業用ロボットを
使った各種テストなどを行っている。
受賞理由
高校生向けロボットセミナーで講演する髙丸 正
76
特別賞 青少年支援部門
第6回 ものづくり日本大賞
77
●若年層に対しものづくりやロボット操作に関する機
会を創出していることに加え、
ものづくり産業への
就業意欲の醸成に貢献する取り組みとして評価。
商 号:髙丸工業株式会社
設 立:昭和42年5月
従業員数:23名
事業内容:製造現場のあらゆる要望に応じた各
種の工場内設備の設計・製作を核
に、ロボットシステムインテグレータと
して産業用ロボットを使ったシステム
の製造や開発を手掛けており、併設
する尼崎ロボットテクニカルセンター
では青少年へのロボット教育や様々
な啓蒙活動を行っている。
髙丸工業株式会社
受賞者
特別賞
尼崎ロボットテクニカルセンター(ARTC)に
おける人材育成事業
受賞件名
●修学旅行でARTCを見学
●産業用ロボット研修事業の紹介
79
優秀賞 受賞者一覧
特別賞 受賞者
78
81
「ものづくり日本大賞」について
優秀賞 受賞者一覧
80
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