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メトロ(PDF:799KB)

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メトロ(PDF:799KB)
地方自治の推進/循環型社会・地球温暖化防止対策
Portland(USA)
オレゴン州北部の地域行政府
メトロ
Metro
~広域行政施策、持続可能なまちづくりを目指した取組~
概
要

オレゴン州北部の 3 郡・25 市により構成された地域行政府で、1978 年に設立。(面積
約 1,200 平方キロメートル、人口約 150 万人)

公選による議会と主席行政官を有し、土地利用や交通施策、環境施策など広域的な行政
権限をもつ。

メトロは、多目的、高密度の開発を中心部に集中させ、コンパクトな街の形成を進めるとと
もに、公共交通機関網を整備、自転車や歩道の利用促進、自然地域の保護、ゴミの減量、
リサイクル率の上昇等を目指す。
ポートランド市には、①メトロ ②マルトノマ郡政府 ③ポートランド市政府の三つの地方
政府が存在する。
① メトロ : 土地利用や交通計画、ごみ処理などを担当
② マルトノマ郡政府 : 婚姻届や土地登記などを担当
③ ポートランド市政府 : 上下水道、電気などを担当
説
明
者
ダン クーパー氏
Mr.Dan Cooper 〔Director of Senior Policy Adviser〕
【現地視察】
キャット ウエスト氏
Ms.Kat West 〔Sustainability Manager〕
-1-
地方自治の推進/循環型社会・地球温暖化防止対策
Portland(USA)
説明内容
 メトロの役割と過去の歴史
ここポートランドにはいろいろな地方政府があるが、メトロでは、それぞれの地方政府では担当し
切れない、網羅できないものを担当する。例えばその一つ、都市計画について大きな責任を持つ。
150万人の住民の直接選挙により、2億7,000万ドルの資金を使い土地を購入する。そこにある自然、
河川やそれから野生動物の居住区、そういったものを守る、それから公園をつくるといったことを担
当する。また、米国政府から出る資金、それからオレゴン州から出る資金を生かし、どういう形でど
のハイウエイを建設するのか、どういった形でレールウエイを延ばすのかといった交通網の整備も
メトロの大切な役割である。さらに、ごみ処理やビル建設の基準づくり、省エネなど、それをどういう
ふうにやっていくかといったルールづくりも行う。
住民は快適な住宅区域に住み、交通機関も非常に
便利で、公園や自然の地域にも簡単に行くことができ
るポートランドは、ほかの大都市のように巨大化する
ことはない。人口密度は高くなるが、なるべく小さなま
ちに住むということ、そして車に頼った生活ではなく、
公共の交通機関を利用できるような場所にしてある。
過去50年間、アメ
リカ政府は、とにか
く人が欲しいと思わ
ポートランド市内を走るライトレール「MAX」
ない場所にフリーウエイ・高速道路を建設するということを促して
きた。しかし、ポートランドでは、35年前に新しいフリーウエイの建
設をやめ、そのかわり、その資金でライトレールのシステムや、
それから人が楽しく歩けるといういわゆるウォークウエイ、自転車
で安全に走ることができる道をつくることなどを決め、過去15年間、
安全に自転車が乗れる場所がどんどんつくられるようになった。
メトロでは、地域にあるいろいろな政府、郡政府の人たちと一緒
に、どういったところにお金を使うかを決める。
MAXの路線案内板
また、ここの住民は投票で、何億ドルという非常に高額な費用
により、開発されていない自然の土地を購入するという権利をメ
トロに与えた。それにより、購入した自然地は、200年ほど前のような状態がこれからもずっと続くこ
ととなった。もちろん環境保護は、一人一人が積極的に行動しなければならず、政府の方でできる
ことは限られている。ボランティアを募って植林する。そしてまた、例えば一般家庭で使う農薬や殺
虫剤、そういったものを安全にどうやって使うかを教えることもしている。これは結局、周辺の魚や
動物を守るためでもある。メトロと地方政府の代表が集まり、河川地域をどういうふうに守っていく
か、また自然地域をどのように保護すべきかということを話し合い、開発をされないためにはどうす
べきか、そういったことの話し合いも重ねている。
-2-
地方自治の推進/循環型社会・地球温暖化防止対策
Portland(USA)

メトロという組織と役割分担
メトロには約750名の職員がおり、年間の予算は300万ドル以上になる。そのほとんどは、ごみ処
理に使われるが、メトロが管理する施設、動物園の改築や自然保護のための土地購入などにも予
算を使う。財源のほとんどは税金だが、それ以外にメトロのサービスを利用するときのサービス料
も財源となる。つまり、ごみを捨てるのにもお金がかかる。
メトロと他の自治体の役割分担・連携については、まず、メトロで決めることのできる権利として、
例えば交通機関にどのくらいのお金を使えるのかということ、各市でどのくらいのお金を、例えば道
路建設、それからバスのラインの建設、それから電車に使うか、その市がどれくらい使うのかという
のは、メトロで決めることができる。もちろん、メトロが
勝手に上から決定して、これを使えと言うのではなく、
決定するに当たり、いろいろな過程の中で、そこの各
地域で選ばれたいわゆる代表者、それから市議会議
員、そういった人たちと連携をする。そして必ずミーティ
ングをして同意を得る。現在、メトロが管理・運営する
コンベンションセンターだが、その建設に当たっては、
メトロの他、マルトノマ郡やポートランド市の地方政府
の代表が集まり、どうやって資金繰りをしていこうかと
オレゴン・コンベンションセンター
米国で一番環境的に優しいビルといわれている。
いうことを話し合って決めた。
一方、都市開発の面では、「都市成長境界線」につ
いて向こう50年どのように動くか、どのように拡張していくか、メトロと地方政府が一緒になって決め
ている。現在も、メトロの役員と地方政府の代表者が集まり、新しくライトレールを南に延ばす、そう
いうことに関してどういうふうにやっていくかということを話し合いも行われている。

メトロと住民
メトロと住民の関係については、メトロの委員会には、直接選挙でここの住民が投票した者が役
員として加わる。一人がメトロ評議会のいわゆる会長となり、その会長もやはり投票で決定している。
このメトロ評議会のトップ・会長は、メトロ地域の全体で選ばれた人だが、あと6名、いわゆるメトロ評
議会の委員がおり、その人たちは、選挙区域が6つに分かれていて、その一つ一つから選ばれた
代表になる。例えば、土地利用や交通計画に関して、アメリカでは何かの新しいプロジェクトをした
いという場合、国・オレゴン州の法律により公聴会を開かなければいけない。その公聴会には、普
通の住民も参加できる。しかし、その住民から意見をもらうだけではなく、こちら側もなぜこういった、
例えば交通計画をしているのかという説明をして納得してもらわなければならない。また、ほとんど
の予算の使い道というのは、全て住民の選挙によって承認されたもので、結局、住民がこういうお
金を使っていいだろうという、そういった気持ちがなければ、最初から承認はされない。なお、メトロ
委員会がミーティングを開く場合は一般公開をしており、参加したい人がいれば、誰でも参加するこ
とができる。つまり、一般参加のないミーティング、一般参加者が入れないミーティングというのはな
い。また、つくった記録は誰でも見ることができる、つまり公共の情報になる。
-3-
地方自治の推進/循環型社会・地球温暖化防止対策
Portland(USA)
ポートランド郊外(左)とポートランド市(右)
ポートランドは、サスティナブルシティとして有名であるが、なぜそのようなまちづくりが可能であ
ったのか、住民の意識はどうか、また強力なリーダーの存在があったのか。それには、一人の強い
リーダーシップがあったわけではなく、全体の住民の共通意識にあった。そしてもう一つ、ここのエ
リアはゆっくりゆっくり発展してきているため、この地域の中には自然という資源が完全な形で残さ
れている。開発が進められた50年前の当時から、ここに住む住民は、こんなに美しい自然がある、
この自然を守りたいという意識、その気持ちをずっと持ち続けている。それが、結局、こういったサ
スティナブル維持可能なまちになったということである。また、ポートランドでは、都市の空洞化を避
ける努力を続けたことで、それが環境にとてもよいことだということに気づき、どうしたら維持可能な
場所になるのか、そういった意識も高まっている。
質
疑

広域行政の必要性と細分化された小さな行政単位の整理について
→ メトロができたことで、以前に比べるとエリア内の未自治化区域や多くの特別地区など
細分化された行政の共同化は進んでいる。しかし、全てが解消されたわけではない。

「ライトレール」と「ストリートカー」について
→ ライトレールは、ポートランドのダウンタウンから空港や隣町をつないでいる。一方、スト
リートカーは、ライトレール・路面電車の縮小版で、街中しか走らない小型の電車。
ストリートカー(左)とライトレール「MAX」(右)
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地方自治の推進/循環型社会・地球温暖化防止対策
Portland(USA)
ライトレールについて説明を聴取

持続可能なまちづくりとルール(条例等)について
→ もちろん、キャンペーン的なものだけでなく制定しているルールはある。そのルール自
体、市民・住民が必要としたから制定できたものである。持続可能なまちづくりの動きの
ベースには、このままではだめだという住民の危機感がある。
 広域行政単位によるまちづくりと民間の開発業者の関わりについて
→ (日本のように)民間の開発業者がまちづくりを進めることもあるが、その場合、一つ言
えるのは、担当できるエリアが小さすぎるということ。オレゴン州では、メトロ以外のエリア
ではよく行われている。
メトロでの説明聴取・質疑応答の様子
メトロエリアの地図(左)とメトロ施設(レジオナル・センター)内の様子(右)
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地方自治の推進/循環型社会・地球温暖化防止対策
Portland(USA)
マルトノマビルディング(エコルーフ)での調査の様子
マルトノマビルディング(エコルーフ)の屋上から見たポートランド市街地
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