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心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み

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心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み
日本生活体験学習学会誌
刊号 59―69(2001)
心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み
―大
県中津市如水保育園の実践―
時
田
純
子
Life Needs Experience Learning for Rearing the Children of
Sound Body and Mind
―A Practice by Jyosui Day-care Center in Nakatsu City―
Tokita Jyunko
要旨
本論文は、日々の生活体験を重視し、心と体のたくましい子を育てることを試みた大
県中津市如水保
育園の取り組みを報告したものである。本園は、預かるだけの保育園ではなく、子どもをまん中にして、園と
親、親同士が共に支え合う場としての保育園を目指すと同時に、1984年から保育のなかに①リズム運動など朝
の運動、②雑巾がけ、畑仕事、配膳などの勤労体験、③描画による表現体験、④お泊まり保育や他園との
流
保育による共同生活体験など、各種の体験活動を導入し、積極的に体験重視の保育をおこなってきた。また、
保育園を中心に子育てに関わる親の学習活動や
流活動を活性化するようにした。その結果、①体力・運動能
力のある子が育ってきた、②低体温児がいなくなった、③表現力と集中力が育った、④早寝早起きの子が増え
た、⑤テレビの長時間視聴児が減った。
キーワード
子ども、保育園、生活体験
はじめに
子ども達の
中では自然とのふれ合い体験も大切にした。食生活で
心と体のおかしさ
の問題が、日本の
は、野菜中心の給食を行った。子どもの文化体験では
高度成長期をくぐり抜ける過程で今やはっきりと現れ
TV を見せず、絵本、読み聞かせ、描画に重きをおくよ
てきた。この問題を解決し、心と体のたくましい子を
うにした。人間関係が豊かになるよう合宿をしたり、
育むにはどうしたらよいのであろうか。一つの有力な
年長児は他園との 流を行った。遊びの活性化を図る
方法は保育園にあるように思われる。保育園は子ども
ために、園内の既製の遊具は殆ど減らし、水、土、砂、
達が乳児期から幼児期、そして学童期までと、人育ち
泥で遊ぶ事を大事にした。また、裸足で半袖、半ズボ
の根っこの時を、しかも一日の活動時間のおおかたを
ンで年中過ごすようにした。しかし、子どもの心と体
過ごす場である。しかも、今日では多くの子が保育園
を
に通っている。保育所なら、やり方によっては、 心と
ある。親自身も育つ必要がある。そこで本園では、親
体のたくましい子どもを育てること
が可能なはずで
活動の実践として、各年歳毎に年3回クラス懇談会を
ある。本園では園舎を改造し、歩く、走る、跳ぶ、投
実施、子ども達の描画を見ながら、一年の育ちの見通
げるの基礎的運動ができるようにすると同時に、毎日、
し、家
リズム運動を全員でするようにとり組んだ。また、子
てのポイント、発達の節目の受け入れ方、子どもの日
ども達の勤労体験を重視し、園生活の中で畑仕事、雑
常生活における文化について、育てる生活=生活リズ
巾掛けなど、様々な仕事をさせるようにした。保育の
ムについてと子育相談をくり返した。クラス毎の自主
やかに育てるには、保育士の努力だけでは限界が
、保育園で情報
連絡・別刷請求先(Corresponding author)
如水保育園(〒 871-0003 大 県中津市大字是則 878)
Jyosui day-care center(878KORENORI NAKATSU-SHI OOITA, 871-0003)
換した。 親講座 では子育
60
日本生活体験学習学会誌
学習会、親子遊びが行われ子育ての情報
換がなされ
た。本論文はこうした実践が実際どのようになされ、
刊号
朝の運動>
①
どのような成果を生んだのか報告したものである。
ロールマット:マットの上に脱力して、体をマッ
サージしてもらい、マットからずるように前転して
身体の柔軟をつける。毎朝・夕に2回する。全身を
1. 体験重視の保育実践
よくみれるので子どもの体の様子が一見してわかる。
本園では心と体のたくましい子ども達を育むために
全員を丁寧に全身マッサージする。全身を見るので
体験を重視し、次のような実践をしてきた。
⑴
虐待等のチェックは毎日できる。
(写真1)
園舎の改造―ベランダの役割
1964年に
②
ハイハイ:ハイハイをしないで立つ子が多いので
てた園舎は年令別に部屋が区切られてい
再運動として全員している。2足歩行するには足の
た。1990年にその壁を落とし、木造の生活棟をL型に
親指で地面を後に蹴らねばならない。また、道具を
改造した。夏は天井によしずをはり、秋には、はずす
作るのには手の親指が最も重要な働きをする。広い
とサンルームのようになるようにした。乳児棟と幼児
安全な場所で手・指足先を思いきり伸び伸び
棟に
充
けて、その間をつなぐ空間はベランダ(巾2間,
って、
にハイハイをして育つならば、四肢は誠にバラ
長さ10間)になっている。この改造によって①子ども
ンス良く発達し、この強力な全身運動によって筋肉
達の生活空間は以前より大きく広がった。0∼6歳ま
もよく締まって固太りとなり、みごとな太ももとふ
での子ども達がいつも兄弟姉妹のように自然に触れ合
くらはぎが育っていく。太ももとふくらはぎの発達
えるようになった。食事、昼寝、クラス活動は別々だ
は、これもヒトの体形の特徴なのである。充
が、赤ちゃんが他のクラスに来ても、抱いてクラスに
ができるように6ケ月過ぎ頃ハイハイをし出したら、
戻す穏やかな
オムツをはずす。
囲気がある。②0才児の子ども達は思
いっきりハイハイができるようになった。興味のある
所へはどこにでもたっぷりハイハイで移動できるので
ある。保育士も余
してしっかり二足歩行に移行している。③つ目は
雑
ができることである。子どもの脳にやさしく
響くようにと、床は桧木にしてある。子ども達はそこ
を水雑巾にして、年の数だけ往復するのである。この
雑巾がけによって育てられる手足腰の育ち、体力には
目を見張るものがある。
⑵
日々の一日の生活のあり方を重視
子ども達は、図1のように一日を過ごしている。生
活を細切れせずに課題を各々やりとげると自由に遊ぶ
ようにさせている。また、体の粗大運動を多く取り入
れ、日課にしている。朝9時30 までが朝の運動の時
間である。一人20 位の運動量だが、身体の目覚めて
いない子は、ゆっくりするようにしている。
図1
金魚:床にあおむけ、うつぶせになって、体をく
ねくねとくねらせる運動である。乳児組は保育士の
に赤ちゃんを抱かずに誘導するよ
うにしている。そのため高バイ(四ツ足ハイハイ)を
巾がけ
③
如水保育園のディリープログラム
7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00
朝 雑 一 ロ リク乳
昼午
起 お
自
夕
の 巾 人 ー ズラ児
食睡
床ロや
由 長お
ス
運ハボ ル ム 昼
遊 保や
幼本
ハーつ
の
ー
動イ
び 育つ
ハ ト マ 遊保食
児読
イル
ッ び育
マ
イ
︶
み
ハ
金ト
ッ
二
イト
人魚
馬
運動
写真1
朝夕のロールマット
心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み
61
伸ばした足の上にのせてくねらせる。脊椎動物の最
に合わせて運動する。能動的な活動で、手を引っ張ら
初の型であり、それに似せたこの運動は体を柔らか
れたり、押されたりする事はない。自
くし、背骨が曲がっているのを直すのにも役立つ。
するようになるのを待つ。特に新入園児は、2∼3カ
それに大変気持ちのよい運動で、赤ちゃんはよく足
月はじっーと見ている。しかし、やがて自
の上でゆさぶられて寝る時がある。
上がり、自信をつけて、リズムに参加する。参加した
④
二人馬:2人で代わりばんこに足を持ち、馬にな
る。お互いに腕の力がつく運動である。
⑤
から立ち
ら拍手をしてやる。このリズム運動のメニューは四季
折々に合わせて変わるが基本的には歩く、走る、跳ぶ、
一人ボート:一人で足をかかととひざの屈伸で前
進する。2∼8人になったりして集団で遊ぶ。
⑥
の意志で参加
はねる、柔軟と土台の有酸素運動で、日課として欠か
さず、毎日している。いつも子どもが運動をした後、
雑巾がけ:年の数だけベランダを往復する。幼児
解放されて歌う歌は、大きく、気持ちよく明るい。こ
組になって始まる課題で、乳児組卒業の証である。
うして体がホカホカした状態でクラス別の保育が始ま
雑巾を
る。クラス保育の内容としては、散策、描画、粘土、
る力、蹴って前に進む力も次第に強くなり、
年長の頃になると水滴も落とさず、しっかり
るこ
とができる(写真2)。
⑦
紙工作、水遊び、土遊び等である。子ども達は年中半
袖で過ごしている。これは朝のリズム運動で体が暖ま
ポルカ・スキップ・側転:年長の後期の運動でベ
ランダを往復する。
るからである。猛スピードで走ったり、我身を制御し
たり、身体の主人 になれるためにリズム運動が果た
これらの運動を保育士や親や友達と一緒にする子
す役割は大きい。
も多い。特に育ちの弱い子や障害のある子は毎日根
・ウサギ―両足とび、カメ―両足が持てる、2歳。ア
気よく積みあげるようにしている。その場合、運動
ヒル―つま先歩き、3歳。スキップ―3歳後半。ポル
のやり方は子どもによって各々ちがう。乳児は①
カ・4拍子ふみ―6歳。蝶・跳び箱・カモシカ飛び・
∼④まで、幼児は①∼⑥まで、年長の後期は①∼⑦
側転―6歳後半とリズムによって運動神経の育ちを見
まで、毎日する。
ることができる。子ども達は年齢と育ちに合った達成
⑶
リズム運動―体の主人
になることをめざして
朝の運動が終わった子ども達は、9時30 のピアノ
感を味わう。秋には縄とびの縄を編む。6歳後半にな
ると跳び箱、5ⅿの棒のぼりをクリアし、冬にはコマ、
の歌にひかれてホールに集まる。40 ∼1時間、リズ
マリ、縄、スケート用の
ム運動をする。月の歌、手遊び、リズム遊び、集団遊
を自
び、歌で終わる。
にして遊び、よく練習をする。 ○○名人 をねらって
クラス毎に5、4、3、2、1、0歳の順でピアノ
下の4つが入る
道具袋
達で縫う。1月∼3月の間は、この道具袋を宝
練習し出す。コマの指先の巧緻性、マリの協応動作、
縄跳びのコーナー曲がりでは身のしなやかさが培われ
写真2
雑巾がけ
る。この頃になると子ども達の側転は美しく、足の指
先までピンと伸びて素敵なバランス感覚が育ってくる。
幼児期の後期になると集団リズム遊びで、力だけでは
なくチーム同志の思いやりも育てられる。毎日のリズ
ム運動は、発達の様子を見せてくれる。そこで、
親にも
リズム運動を見てもらい、生活修正を
えてもらった
り、焦ったりしないように助言する。
⑷
勤労体験の重視―生活の中に労働を
生活の
利さの中で、そうした時代だからこそ、必
要な仕事を子ども達に丁寧に根気よく教え、半ば遊び
的にさせるようにしている。具体的には次のような仕
事である。
62
①
日本生活体験学習学会誌
刊号
雑巾がけ―朝の運動とは別に、昼食後、おやつ後
写真3
全員で畑づくり
の部屋やローカの雑巾がけは年長の子ども達の仕事
である。全園舎をふきあげるのに今年度の7人の年
長は約60 かかている。まだ体力がなく大変だが子
ども達は、これぞ年長の誇りとふんっばている。途
中で遊ぶ子どもも中にはいる。4歳児が応援に入る
こともある。雑巾を
る力、拭くときの体のバラン
スも段に良くなってきている。年長の第一日目から
雑巾縫い
が始まる。1日目は針の糸通し、玉結
びである。苦戦の一日目なのだが、小さい頃から、
どんなにこの日を憧れて待ったことか、どの子も年
長の初日は走って登園してくる。
②
配膳―乳児期は自
り喜ばない。ところが、如水保育園育ちの子は、黄い
の食べる皿とスプーンをワゴ
ちご、草いちご、アケビ、ぐみ、山ぶどう、冬いちご、
ン車から取りに行く。幼児組になると給食室から各
山で大人が
クラス毎のおかず皿を取りにいき、自
をよそ
れているので、その甘みを知っている。この差はたか
おうことができる。3才児などは散らかすことも多
が4、5歳といえども体験そのものの差である。子ど
いが、年々と上手になってくる。おかずの量の多少
も達は山が大好きである。山に連れて行く日は、特に
の加減は大人が子どもの顔ぶれをみて調整する。
朝はやい登園にしている。8時までに登園、雑巾・一
テーブルの出し入れや下膳は、必ず全員が何かをす
人ボート・二人馬・ハイハイ・ロールマットも、さっー
るようにしている。ヤカン1つ運ぶのも立派な下膳
と終わり、8時半には出発する。目的の1つに、生活
仕事である。
リズムの軌道修正がある。疲れたら入眠が早いので早
③
畑仕事―保育園全体で
と言った物なら一度は口に入
に取り組んで
い起床ができるためである。このことを親に了解して
いる(写真3)。苗植えと収穫だけする畑体験ではな
もらい協力してもらう。山遊び、川遊び、魚取り、鳥
い。土作り、天地返し、耕土、むねあげ、苗植え、
の声を聞こえる所、川のせせらぎの音が聞こえる所、
除草、収穫と一緒に取り組む畑仕事である。ダンゴ
波が光っている所、太陽が沈むのを見たり、白い月の
虫、バッタ、テントウ虫は友達であり、幼虫発見は
色が変わって黄色が増す頃に出て来るホタル等、大人
土の中から宝物ザクザクという喜びである。畑の野
はくたびれるが、子ども達は自然の中で立つ爽快感を
草
も胡麻和えでおいしく頂いた。食べ
育んでいった。中津市内には山地がない。しかし、少
られる物への関心は強く葉の形を見せると、ちゃん
し郊外に出ると、八面山(三光村)、大平山(本耶馬渓
とイヌビエを除草して持ってくるので、おかしかっ
町)、求菩堤山(豊前市)がある。3歳児より山登りの
た。畑でも年長の仕事がある。保育園の残菜を EM
体験をする。山で出合う生き物、野兎、シカ・タヌキ・
菌でつくった
達で大
ウサギ・イタチのウンコ、山ミミズ、食べられる草・
を掘ってボカシを埋める。畑の土作りをする作業
実、おいしい山の水、山の神様の話、大人から外れる
イヌビエ
ボカシ
畑づくり
の
食えるぞ
を一輪車で運び自
である。学童保育所までの間を
輪車で運ぶ。大きな
替で20 かかり一
と猪に狙われる事を体験。年長になると春と秋の久住
を力を合わせて掘る。保育士
山(九重町)
、一の岳
(豊前市)
に登る。子ども達は ウ・
の要求に支えられ、最後までやり抜く耐性が育って
行く。今はボカシ1個
替だが秋位からボカシ2個
を
替なしで運べるようになる。
⑸
自然との触れ合い体験重視―もう1つの保育室
学童保育所の農業倉庫の片隅に
ツ・ク・シ・イ
⑹
給食―野菜を中心に食べる
食べる力は
黄いちご
た。野山で遊んだ経験のない子は、食わず
という意味を理解する。
生きる力
である。0歳児の離乳食の
頃より、本園ではこのことを重視し、取り組んでいる。
を植え
薄味で野菜煮をたっぷり食べる。手で口に持てる頃に
いであま
はステックにしたり、必ずスプーンでなくても、こぼ
心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み
63
しても、自
で食べることを大事にする。一人で食べ
どもの姿
を見る。そして、子どもの発達と豊かな生
てこぼした
の量は大人が介助して食べさす。子ども
活づくりについて話し合う。そのため毎月の保育会議
達がつばくろのように、口だけ空けて待つのではなく、
の時はもちろん、年度末の保育
意欲的に自
で食べるようにしていく。野菜中心の食
全員の絵を並べてみる。年3回の親との懇談会でも絵
習慣をつくるために、野菜の和え物、好物の煮物、汁
を真中に並べて生活づくりについて話し合う。大人の
とごはんの順で食べさせる。野菜からのスタートに最
忙しい生活の中でイライラして塗りつぶす子の絵、
初は戸惑うが、秋頃には殆ど空腹に負け、順調に食べ
親の関わりが増え出し、安
るようになる。そのために タダイマー
ハラヘッ
出した絵、体験不足のためなかなか絵が書けない同パ
と帰って来るような生活を保障している。調理
ターンの絵など色々な絵がある。体調が悪いと絵も沈
品はできるだけ添加物の少ない物を選ぶ。米は無農薬
んで元気がない。一年中で子ども達の絵が全体的に明
の3
づき米を、その都度精米して食べさせている。
るく笑っているのは、プールの時の頃、運動会の頃、
保育園の一食は、子ども達の大事な一食である。手作
リズム発表会の3月の頃の絵である。共に全身を思
りのおやつは市販購入をせず、すべて園で作る。もう
いっきり
1つの食の喜びは、野の物を食べる事である。畑作業
絵が沈んでいるのは4月の新学期の頃や流感の多い時
の日の畑のひと口野菜、ハマエンドウ、のびるの和え
である。絵は全体的な子どもの様子が手に取るように
物、ワラビ、みぞそばの天ぷら、黄いちごジャム、黄
かるので、次の月の保育計画をたてるのに重要なサ
いちごシャーベット等、遊びに行くところには、いつ
インとなる。障害のある子も少しずつ育ってくるのが
も食のおまけが付くように心掛けている。山に持って
よく
行くオニギリの梅干し、海に持って行って食べる干し
ドバイスもできる。ただ焦るなとの言葉だけでなく、
柿は、年長児がつくる。若い親のために、その調理法
見通しのある
は、親の広報紙
積み重ねに力を入れる所を確認し合うのである。
タ
すこやかだより
に載せてもらうよ
うにお願いをする。
⑺
⑻
表現体験の重視−子どもの生きた言葉、描画
したのか急に豊かになり
い込んだ時期の絵である。また、全体的に
かる。親を焦らせずに、しっかり生活を積むア
待つ
を親に伝え、今の保育、生活の
子どもの文化体験の重視
本園では子ども達に最高のもの、本物の文化を与え
本園では積極的に絵を描かせるようにしている。
(写
真4)
るようにしている。そのため TV による子守りをや
め、本の読み聞かせを大事にして行くことを心がけた。
四ツ切のわら半紙に描く。立つことができ、手が自
文字学習の早期化に惑わされず、今が
由になるとどの子も絵を描き出す。1人1枚ではなく
好きなだけ描かせる。スムーズな線描ができるよう
マーカーを
わせている。豊かな表現の基盤は、仲間
と響き合う、心のはずむ生活体験である。豊かな生活
体験は、表現意欲の源泉である。障害の有無を越えて、
すべての人の描画の発達の道筋は基本的に共通である。
発達のプロセスは、連続的に一定方向に伸びて行く過
程でない。量的蓄積期を経て、次の段階に質的転化を
していく、発達の節をもつ過程である。乳幼児にとっ
て絵は具体的な生きた
言葉 、生きた
認識
であ
る。書き言葉を獲得するまでに至っていない乳幼児期
において絵は話ことばと共に胸の思いを具体的に伝え
表現するためのかけがえのない手段である。自らの力
で
内面
括の時も、子ども達
を記録し、伝えることのできる唯一の方法
である。私達は
生活・絵・リズム運動
を重ねて
子
写真4
描画
造力を膨らま
64
日本生活体験学習学会誌
刊号
せる時であるととらえ、どのクラスも本読みを盛んに
本の読み聞かせもかなり集中して聞けるようになっ
したのである。好きな子は各クラスの昼寝前の本読み
てくる。8日目になると子ども達は
を渡り歩いて聞く子もいる。 スーホーの白い馬 の話
少々くたびれてもくるが、仲間と過ごす日々はあっ
もモンゴルの馬頭琴奏者チ・ブルグッド氏に、園内で、
という間に終わってしまう。この間、大好きな絵を
演奏してもらい、その音色の素晴らしさに、大人も感
書き、何枚も彩色する。合宿の様子と絵は親に報告
動。後ろから見た子ども達の頭も動かずじっーと聞い
する。
単なるイベントではなく、子ども自身の備わっ
ていた。人形劇もよび、卒園児、地域の子ども達にも
ていない力、新しい力、変化等、例えば、今までに
喜んでもらった。TV のキャラクターづけにされてい
なく山を喜び、すっーと先頭歩きだったこと、重い
る子どもも多いが、大人達があまり共鳴しないと子ど
みんなの荷物を最後まで持ってくれたこと、とって
ももそんなにのめり込まないことが
も愉快だったこと、子どもが喜んだこと、名言等を
⑼
かってきた。
共同生活体験―1人立ちに向かって
康な生活に
細やかに伝える。それは、合宿後の次の家 生活に
本園では幼児組から年2回(11月・3月)のお泊ま
りをしている。子ども達はこれを 合宿 と呼ぶ。3・
つなげて欲しいからである。
②
年長の
流保育
4歳児は1泊2日である。秋にはみかん狩りをし、翌
如水保育園は杵築市および別府市の保育園と
日は馬を見に行く。競馬場の早朝練習と朝日を見る。
ている。年長の合宿では、九重山登り(春・秋)
・ホ
子ども達は朝日を
と呼ぶ。5歳児は
タルキャンプ・海遊び・リズム合宿・八面山登山・
もう1泊して乗馬に行く。春は野びる取りと海遊びで
スケート・リズム合宿・そば打ちがある。2泊3日
ある。合宿の目的は母子
の
こがねの太陽
離の促進と身辺の自立と、
流し
流お泊まりを6回する。34名の年長児(1999年
生活リズムの軌道修正である。合宿目的を理解しても
度)は毎月、
らい、 合宿の支援体制 を親がつくる。まず布団、上
会後より午睡がなくなるので自然散策を取り入れる。
か下のどっちかと毛布、朝と夕の ごちそう作り当番
6回目のお泊まりの頃には
片付け当番
のどちらかを当番でしてもらうように
流保育の中でリズム運動をし、運動
流も深まり、どの子も
同じ保育園児のようなムードになる。この頃には名
する。ごちそう献立の作成は栄養士の助言をもらい決
前や人柄もよく かってくる。各々の園にコマ名人、
める。準備の品は
縄跳び名人、跳び箱名人がいる。しなやかな素敵な
合宿のお手紙
に書き、親に知ら
せる。それを見て親は手助けはするが、荷造りは子ど
姿を見合い、さらに自
もにさせるようにする。入浴の衣服の用意は、必ず自
自主的練習を積むのである。本当によく遊ぶ。楽し
で用意するので身の回りの始末の学習には、本当に
いことも多く、その都度、子ども達の友達づくりも
良い機会である。すぐ泣いて訴え続ける子、汚れ物で
盛んになり、自 の園の担当から離れた所で弁当を
も何でもリュックに突っ込む子、何度も聞きに来る子、
食べる姿が見られるようになってきだした。新しい
自
社会(就学)に巣立っていく子ども達の力を予測で
で何とかしょうとする気持ちが育っていない子ど
もが多く、家
①
でのサービスの過剰がよくわかる。
きる頃である。
年長の合宿―3・4歳時に合宿の経験がある。し
たがって親も子どもに準備をさせることができるよ
も柔軟に力強くなりたいと、
遊びの活性化のために
①
異年令での取り組み
うになる。そして、年長最後の3月の合宿は如水保
60名という定員だからできる事、リズム運動、生
育園での生活を惜しむように、園内で親が支援でき
活活動が常に異年令での活動が多い。畑の日での学
る日程でお泊まりをする。1999年度の3月は7泊8
童保育所までの移動でも年長が2歳児をリードして
日した。早寝、早起き。一日遊び込む生活をすれば、
連れていく。そうした関わりのなかで、小さい子達
6時には自律起床ができ、TV のない生活でも8時
は年長の子に強い憧れを持つようになる。自
には就床ができるようになってくる。なお、面白い
れの年長の子の持つコマの色、縄跳びの色組を覚え
ことに話がよくのみ込めず何度も用意する物を聞き
ている子も少なくない。
に来る子も、ずっーと頭に入っていくのが
かる。
の憧
心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み
②
65
半袖・半ズボン・裸足
ると、 精神的負担
子ども達の身なりは一年中この姿である。内臓を
が2.9%→28%と逆に増えている。(図2)核家族で一
守り、かつ動きやすいスタイルでちょうどよい。冬
生懸命生きている若い夫婦に、保育園としてできる事
は半袖の重ね着をする。園内・園
を少しずつ支援していく必要を感じる。どのような支
運動会の景品には
下駄
は裸足で過ごす。
を園長からプレゼントさ
れ、愛用している。
③
粗大運動を十
援をすべきか
が7.4%→28%に、 肉体的負担
えた時、まず精神的な負担の緩和に役
立ちたいと思った。子どもさんの成長について何か気
するために園内の小さな遊具をで
になる事、不安に思う事がありますか
という質問に
きるだけ減らして、水・砂・土・泥で遊ぶようにし、
対する結果を見ると、頑固・内気・我がままが高く、
園
その年歳は3歳∼5歳に傾よっていた。(図4)
子ども
と学童保育所に築山をつくった。
を掘り、山
を崩し、山から砂場までのダムが担当保母の支援を
たちが順調に発達いるサインである自己主張や
受けながら、何度もつくられ、やがて自
な話等が、喜ばれず、逆に手をわずらわす、口ごたえ
達で大き
なダムを作ったり、ダンゴ列車や固ダンゴづくりが
造的
として、捉らえられているのではと思われるのである。
自由遊びに展開される。
図3
2. 親の仲間づくりと学習活動
本園の保育園児の家族構成をみると、近くに祖
お さんは家事にどのくらい協力して
くれますか
母
が住んではいるものの、日常的には殆ど核家族構成で
ある。同居の祖
母も、まだ若く仕事中であり、同居
とはいえ、家族全員が働いている状態にある。母親の
家事・育児の重みは変わっていない。本園で実施した
調査によると
家
生活を送る上で困っている事があ
りますか という質問に対して、ここ16年で、
親が
協力的でない が、14.7%→3%に減少している。(図
2)そして、
親が家事協力を
いつもしている
が
6.6%→36%に増えている。(図3)大きな変化がよく
見える。しかし、家事、育児の母親の負担についてみ
図2
あなたが家族生活を送る上で困っている事が
ありますか
図4
お子さんの成長について何か気になる事、
不安に思う事がありますか
66
日本生活体験学習学会誌
刊号
この状況を改善するには親の子どもの発達についての
人話し合う。6月は入所してクラスが落ち着いた頃、
理解と子育ての学習が必要である。そこで本園では親
10月は運動会後に前期保育のこと、3月は一年の育ち
学習の機会を積極的にもつようにした。
と来年度の課題についての年3回実施した。各クラス
⑴
仲間づくりの実践
1983年に大
ごと5夜連続で7時∼10時まで行う。子ども達の絵を
県の単独
全育成事業の助成を得て
全部見てもらう。一年で1000枚近い子もおれば、数十
慈光すこやかクラブ をつくり、親講座・親子遊び・
枚の子もいる。絵は子ども達の生活について、たくさん
地域奉仕事業を行うようにした。親子同志の
流を目
のサインを大人に送ってくれる。1回目の懇談会では、
的に園内サマーキャンプ、お月見、バザーを企画した。
さくらんぼ坊やⅡ∼Ⅴを各年齢毎にビデオ学習。6月
その結果年毎にどこの親か、どんな子かとお互いよく
の
かるようになってきだした。この事業は1991年に終
会では、映画 アリサ
や
さくらんぼ坊やⅠ
を上映し、子ども達の全面発達の学習をし、3月まで
了したが、その頃には親の会の力は組織化されて、1995
の成長の見通しを持ってもらうために活用した。同年
年には、親の広報部が
齢の子を持つ親の思いのロールプレイは、かなり子育
すこやかだより
を毎月発行
するまでになった。そしてリレーエッセイで新しい親
て安
子やクラスの様子、親への学習、楽でおいしい料理、
活づくりこそ育てる事
野の料理、近所のイベント等を載せるようになった。
た。軌道修正の声をかけた。少しずつ変化が出てきた。
子育ての仲間のつながりができると、クラスの役員が
しかし、保育園は毎年入所と退所で子ども達の2割は
主体となって
移動する。そうした状況での取り組みは水車の水を1
学習会
を月毎にしたり、海・山・川
に一緒に親子で遊びに行くようにもなった。たらの芽、
の材料となっている。若い親達に
子どもの生
と、何度も学ぶ機会を設定し
ふみ1ふみに田んぼに入れるような作業で、根がいる。
黄苺、アケビ、冬苺の時期の適時は親のクラス役員が
壁にはり紙をし参加を募った。外へ出、自然の中で遊
ぶようになると、
親の力も必要になる。このように
してかり出される形から自発的参加へと変化し、親子
関係の黄金時代を楽しむのは今
一人ぼっちの親をつ
くらないように誘い合った。
⑵
体験重視の保育実践と積極的に親学習を進めたこと
により次のような成果が見られた。
⑴
就学準備のできた体になった
年長の3月の頃には3歳児から毎日続けた雑巾がけ
親講座
1991年に大
3. 実践の成果
も上手になる。 一人雑巾 といって先頭の子に続いて
県の特別事業(地域の家
のための親
みんながずっーと園舎をふきあげるだけの体力も育つ。
講座)を受け、親の学習の機会を継続してきた。何を
リズム運動では、 ポルカ・スキップ
学習したいか役員会で相談してもらった。その内容に
になる。 荒馬 は自
ついて、①子どもの発達について―親として発達の節
を踏んで進む。就学前の子にできる力をしっかり確認
目をどのように乗り越えていったらよいか、②子ども
し体の育ちを喜ぶ。 コマ
達の日常生活の中の文化について―絵本の育てる力に
マリ
も軽やかに上手
達で衣装を縫って作り、4拍子
の縄を巻く指先の巧緻性、
をついて遊ぶ協応動作、そして全身のバラン
ついて、③生体リズムからみた子育ての生活リズムの
スの育ちを見せる側転、3月になると足音のしない側
大切さについて、④みんなで子育てをしていくための
転、片手でする側転と次に挑戦して体はいよいよしな
力を養う講座にポイントを置いて、ここ10年毎年継続
やかになる。力強い5段の跳び箱、踏み板を跳び箱か
し、地域の方々もたくさん参加してもらうことになっ
らどんどん離して跳び、勇気を出して向かっていく。
た。他に子どもを愛していることを伝える
いよいよ最後は
技
も学
蝶
である。足は速く走り、手はし
習した。半袖で過ごす子ども達のための毛糸のチョッ
なやかに4拍子をとり、踊る。手、足の速度が違うの
キづくりやフラワーアレンジメントも行った。
で難しいが、しなやかに踊る姿は、保育園の小さな子
⑶
クラス懇談会
全体の憧れだ。 縄跳び のコーナ曲がりは、体を傾斜
生きた親学習の中心の場はやはりクラスの懇談会で
ある。我が子について、家
、保育園の生活を一人一
させ超スピード(子ども達はこう呼ぶ)で回る。リズ
ム運動の年長のこれらの課題がまさに就学準備OKの
心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み
67
体の育ちのサインである。この課題をどの子も熱心に
6、7にみられるように、起床は過半数が6時半頃ま
クリアして行き、始めて園長より、保育修了証を誇ら
でに、就床は9時頃までにと変化した。1984年前から
しげにもらうのである。誇らしい自
比べると、実践の努力、親の学びの効果がよく
の姿、この頃か
ら年長の子達は年下のどの子にも穏やかにやさしく接
かる。
(図6、7)
しており、集団リズムのリーダー役ができて来だす。
⑸
体が育つということは、就学のための大切なステップ
TV は子どもを疲れさせる。テレビの過剰視聴には
である。
⑵
テレビづけの子が少なくなった
色々問題がある。このことを学習した結果、TV づけの
低体温児がいない
生活から脱する家族が増えて来た。1984年では TV づ
活動的な生活の積み重ねの成果の2つ目に本園では
低体温児
けの子が多かったが、1996年には
見ない
が60%、
が殆どいないことがあげらる。2000年の
30 未満 が38%と殆ど TV から離れた生活ができ
6月10日から9月10日までのプール遊びの期間、登園
ており、2000年には少し緩んだように見えるが、それ
時(8時前後)に検温をした。その結果は図6の通り
でも 見ない 18%、 30 未満 24%である。(図8)
である。3カ月の平
1996年あたりまで、保育園でも TV の子育ての弊害、
⑶
は、36.6度であった。
(図5)
表現力と集中力が育った
言語の育ち、もっと本読みをたっぷりさせたい、親子
描画における表現力の豊かさ、大根の写生に見る様
関係のゆとり、と親達に熱心に説得した時期でもある。
によく観察して描く力も育つ。1時間位は集中して絵
毎年20%の移動のある保育園だが、励ましがあると子
を描き彩色し続ける。また、絵本の長い読み聞かせも
どものために、こんなに
え直して実践してくれるか
しっかり正座し、じぃーと、聞き入ることができるよ
うになった。
⑷
図6
起床時間
図7
就床時間
早寝早起きの子が増えた
このような子ども達の成長を支えるために、親もで
きるところから出発、合宿の支援、親同志の
講座を行ってきた。その結果、家
流、親
保育の変化が少し
ずつ成果として現れて来た。まず、生活リズムの軌道
修正に努力するようになった。子どもの
やかな発達
には大人の生活に振り回されない落ち着いた生活が必
要な事を、理解し実践するようになった。その結果図
図5
2000年6/10∼9/10まで登園時の平
体温
68
日本生活体験学習学会誌
と改めて子育ての関係づくりの強さを感じる数字であ
刊号
4. おわりに
る。今後も長時間TVづけを本読みに少しづつ変えて、
本園では今後も心と体のたくましい年長児が毎年育
子どもと関わった生活をするよう、情報を提供して、
つように、豊かな生活体験を育ちに合わせて積極的に
親が決めて実践して行けるよう支えていきたい。
与える保育実践をしていこうと
⑹
保育所が親達のつながる場所になった
1984∼2000年までの16年間築いてきた事は、関係性
えている。また子育
ての学習の講座と子育ての人間関係づくりをより確か
なものにし、母親一人に育児を背負わせる事がないよ
の希薄化の中で一人で頑張ったって大変、みんなでな
うにしていきたい。そのためには家
んとか力を合わせて楽しく育てていこうという、関係
て、
性という力
の芯づくりとし
親の出番を多くもつようにすることも大切であ
である。図9は
育児で悩んだり、困っ
ろう。豊かな子ども時代を育む所として保育園は
た時、どなたと相談しますか
という質問に対する回
つの間(空間、時間、仲間) のある数少ない大切な場
親、友人、保育園、
である。それをいかに子ども達にとって意味のあるも
母の順で多い。保育所が、親達のつながる場所に
のにするかは日常の保育のあり方にかかっていると
答の結果である。2000年では、
祖
なってきたことが
図8
かる。
(図9)
テレビを一日で見る時間
三
言っても過言ではあるまい。
参
文献
Carson,R.:
センス・オブ・ワンダー
新潮社
1996
年
藤田和也:
出版
子どもの生活をどうたて直すか あゆみ
1983年
藤田晴一:
大
井尻生二:
ひとの先祖と子どものおいたち
書館
県の山
山と渓谷社
1994年
築地
1979年
五十嵐賢・日野一道:
福岡県の山
山と渓谷社
障害児保育のみちすじ
ささら書房
子どもの発達と生活リズム
ささら書房
1994年
河添邦俊:
1995年
河添邦俊:
図9
育児で悩んだり困った時などどなたに
相談しますか
1993年
Levyt,J.:
社
赤ちゃんのめざめ
医歯薬出版株式会
1981年
丸山亜希:
歌はかがやき光はうたい 一ツ橋書房
1997年
斎藤
子:
子どもは描く
斎藤
子:
あすを拓く子ら
羊社
斎藤
社
青木書房
1983年
凡社
1989年
群
1994年
子:
さくら・さくらんぼのリズムと歌
群羊
1994年
品川浩三・吉本澄子:
佐々木出版
白石正久:
手のはたらきと指あそび
1981年
発達の
かもがわ出版
1994年
心と体のたくましい子を育む生活体験学習の取り組み
注1
如水保育園の概要
1名、調理師2名、事務員1名
・1954年4月
中津市田尻専修寺にて慈光保育園開始
・1961年6月
如水保育園
園児
69
定員60名開設
0歳7名、1歳16名、2歳13名、
・1995年4月
なずな児童クラブ開設
児童41名(小1∼小6)
指導員2名(夏休み3名)
3歳16名、4歳16名、5歳7名、障害
この児童クラブは保育園から800ⅿ、子
児4名
どもの足で約10 の距離にある。
職員
園長1名、保育士14名、看護婦
Fly UP