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第3学年 「わすれられないおくりもの」
第 3 学年 国語科学習指導案 平成22年11月17日(水) 江戸川区立鹿骨東小学校 3年1組 32名 指導者 吉野 久子 豊かな読みの力を育てる指導法の工夫 ~文学教材の指導を通して~ 1.単元名 学習材 ねがいを受け止めて読もう 「わすれられないおくりもの」 2.単元の目標 【関心・意欲・態度】 ・場面の様子や登場人物の気持ちを想像しながら、物語を読もうとしている。 【話すこと・聞くこと】 ・变述から読み取ったことをもとに、自分の思いや考えを発表する。また、自分の考えと比 べながら友だちの意見を聞く。 【書くこと】 ・变述から、場面の様子や登場人物の気持ちについて、感じたことや想像したことを書く。 【読むこと】 ・变述から、場面の様子や登場人物の気持ちを想像しながら読む。 【言語事項】 ・二重否定や擬人法が使われていることに気付く。 3.単元の評価規準 国語への 関心・意欲・態度 話す・聞く能力 書く能力 読む能力 言語事項 B 变述をもとに、 場面の様子や登 場人物の気持ち を理解しようと している。 感じたことや、想 像したことを発 表したり、友だち の考えを聞いた りしている。 变述をもとに、感 じたり想像した りしたことを書 いている。 变述をもとに、場 面の様子や登場 人物の気持ちを 想像しながら読 んでいる。 文章中に二重 否定や擬人法 が使われてい ることに気付 いている。 A 読みの交流を通 して、感じ方や 考え方の違いに 気付いて、自分 の読みに生かそ うとしている。 友だちの思いや 考えを、自分のも のと比べて聞い ている。 变述をもとに、感 じたり想像した りしたことを文 脈の通った文章 で書いている。 場面の様子や登 場人物の気持ち の移りかわりと 心のつながりを 想像しながら読 んでいる。 語句には、性質 や役割のうえ で、類別がある ことに気付い ている。 4.単元について (1)教材について 「おくりもの」というと、欲しかった物をプレゼントされたことを思い浮かべる児童が多 い。また、 「わすれられないおくりもの」といえば、人と人とのつながりの中で、自分の心に 強く残ったできごとを思い起こす児童もいるであろう。 この物語には、みんなに慕われ、愛されたあなぐまと、あなぐまの友だちとの心のふれ合 いが描かれている。児童は、あなぐまの優しさと賢さに共感しながら読み、あなぐまの死を 悲しむ。しかし、森の動物たちの心に、あなぐまのくれた知恵や思い出という「わすれられ ないおくりもの」が残ったことにほっとし、優しい気持ちで読み終えるのである。 ここに登場するあなぐまは、たいそう年をとっている。賢くもの知りでみんなから頼りに されている。 「死んで体がなくなっても、心はのこることを知って」いるため、死を間近にし ても動揺しない。 あとに残された森の動物たちは悲しみにくれるが、春の訪れと共に悲しみを乗り越える。 動物たちは、あなぐまに対して尊敬の気持ちを持ち、残してくれた「おくりもの(思い出・ 知恵・工夫) 」=「宝物」に感謝し、互いに助け合って生きていくすばらしさに気付く。 たくさんの「物」に囲まれた現代の児童にとって、目に見えない「心」に残るおくりもの と人物同士の深い絆を描いたこの物語を学ぶことは意義深い。自分自身も様々な人とのつな がりに支えられていることに気付き、心と心の交流や相手を思いやることの大切さをも感じ ることであろう。 この物語は、動物たちが親しみやすく描かれ、分かりやすい構成と簡潔な文体で書かれて ている。児童にとっては物語の世界に入りやすいと思われるが、登場人物のやりとりや会話 はほとんど書かれていない。児童に登場人物の気持ちを想像させるため、書かれている言葉 に着目させ、变述にもとづいて読み取らせたい。自分の読みを、自分の言葉で表現し、読み を交流することで、研究主題の「豊かな読みの力」を育てることができると考える。 (2)児童の実態 自由な発想ができる児童が多い。初発の感想では、読み深めに生かせそうな気づきができ ている。 「消しゴムころりん」 では児童の感想から課題を設定し、意欲的に学ぶことができた。 読み聞かせを好むが、自分で本を読むことには苦手意識を持っている。活用できる語彙が 尐ないため、音読をしても的確に内容を思い描くことができてはいない児童が多い。 1 学期に、総合的な学習の時間の中で、インタビューの仕方を学び、対話を経験した。ま た、日直のスピーチ等の取り組みをを毎日続けていくうちに、話す・聞く力が向上しつつあ るがまだ不十分である。授業中に発言できる児童が増えてきているが、なかなか思いを口に 出せない児童もいる。 書くことはあまり嫌がらない。自分の思いを文章にする力が次第についてきている。しか し、助詞を適切に用いることが難しく、折にふれて指導している。 (3)主題に迫るための手立て 本校では、 「豊かな読みの力」について、平成 16 年 2 月に出された文部科学省・文化審議 会答申「これからの時代に求められる『国語力』 」をもとに、次の4つの視点から考えること とした。 3つそろうと、理解する力 考える力 → 感じる力 → 想像する力 表す力 中学年では、この4つについて以下のようにとらえた。 考える力 ・・・变述をもとに、中心をとらえて読み取る力(文章から情報を得る力) 感じる力 ・・・变述などから情景や登場人物の心情を感じ取り、心を動かす力 想像する力 ・・・読み取った情報から、自分の知識や経験と関連させて、情景や心情を 想像する力 表す力 ・・・考え、感じ、想像したことを、自分の言葉で、筋道を立てて、発言した り書いたりする力 そして、この4つの力を支えるものとして、多様な考えを受け入れて学び合うことができ、 学ぶことは楽しいと感じられるような学級経営と、語彙力と言語感覚の充実が欠かせないと 考えている。そして、語彙を増やし、言語感覚を向上させ、テーマに近づくために次のよう な手立てを考えた。 《日常の取り組みとしての手立て》 ①調べて語彙を増やす→毎日の漢字練習で、熟語調べと短文作りをさせている。 教室に辞書を置き、意味調べや漢字調べができるようにしている。 ②語彙と読解力の確実な定着を図る→音読を日々の宿題にし、正しく読めるようにする。 週2~3回朝読書の時間を確保し、読書量を増やす。 帰りの会などで、読み聞かせを行う。 廊下の掲示板に毎月詩を掲示し、朗読や暗唱をさせて 親しませる。 ③語彙を活用させるために表現する機会を増やす。→授業中、時には全員に発言を求める。 定期的に日記を書かせる。 活動後のミニ感想を随時書かせる。 朝の会で1分間スピーチをさせる。 ④より多くの語彙を用いて表すようにさせる。→便利な言葉(すごい・いろいろ・かわい そう等)を極力使わず、より具体的な言 葉を用いるよう指導する。 ⑤表現したものを共有する機会を増やす。→発表をさせる。 掲示をする。 回し読みをさせる。 (回転ずし) 学級通信に掲載し、家庭でも話題になるように する。 ⑥対話を生かした学習活動を随時行う。→学級活動や算数、理科などの学習でも自分の考え を明らかにして交流する体験をさせ、表現するこ とに慣れさせる。 《学習活動の中での手立て》 ①初発の感想を交流し、学習のめあてを設定する。 物語を読んで、 「一番心にのこったこと」 「よくわからないこと」「自分が○○だったら」 「よく考えたいこと」などを書く。それらを交流をもとに、学習のめあてについて話し 合う。児童自身の感想からめあてを設定することで、意欲的に学習を進めることができ ると考える。 ②書き込みプリントを使って、一人読みをさせる。 「様子や気持ちのわかるところ」や「心にのこったこと」にサイドラインを引き、書き 込みをすることによって、大事な言葉に注目して自分なりの読みをすることができ、思 いを表現しやすくなると考える。 ③対話による意見発表の場を設定する。 全児童に発表の場を保証すると共に、全体の場でも自信をもって発言できるようにする。 ④単元のまとめとして、 「わすれられないおくりもの」の意味をふまえた最終感想を書く。 学習を振り返り、自分の読みの深まりを確認する。 ⑤もとの絵本を活用する。 第1時の範読は、絵本を使って読み聞かせる。豊富な挿絵を見ることにより、意欲が高 まり、感情移入しやすくなると考える。 《3年の文学教材の指導》 4月→「消しゴムころりん」 ・・・・・・実態把握。初発の感想を生かした学習活動。 様子や気持ちを想像しながら読むことの楽しさを 味わわせる。 11月→「わすれられないおくりもの」 ・・書き込みプリントを生かした学習活動。 变述から情景や心情を感じ取らせ、想像させる。 12月→「のらねこ」 (読書教材)・・・・アニマシオンの手法を取り入れた学習活動。 読書への意欲を高める。 2月→「おにたのぼうし」 ・・・・・・・書き込みプリントを生かした学習活動② 变述から情景や心情を感じ取らせ、 想像を広げる。 5.学習指導計画(全 14時間) 次 時 学習活動 第 1 ○題名について話し合い、どんな話か 一 想像する。 次 ○範読を聞き、初発の感想を書く。 ○難語句の意味調べをする。 2 ○初発の感想文集を読む。 ○みんなで話し合いたいことを書く。 3 ○みんなで話し合いたいことをまとめ たプリントを読む。 ○作品を読み、感じたことや考えたこ とをワークシートに書き込む。 ◎支援 ◆評価(評価方法) ◎挿絵からも、あらすじや登場人物につ いて想像させる。 ◎書きやすいように文型を提示する。一 番心にのこった言葉や文に着目して感想 を書かせる。 ◆自分の感想を書く。 (ワークシート) ◎自分の考えと異なるところにはサイド ラインを引かせながら読ませる。 ◆思ったことや話し合いたいことを書 く。 (ワークシート) ◎プリントを考えのヒントにして書かせ る。 ◆進んで書き込みをしようとしている。 (ワークシート) 第 二 次 4 ○(一)の場面。 あなぐまの人柄や生き方について読 む。 ◎あなぐまの人柄が表れている言葉や文 に着目させる。 ◎「死」に対して心の準備ができている あなぐまの様子を表す言葉や文に着目さ せる。 ◆あなぐまの人柄や死に対する考え方を 読み取っている。(ワークシート・発言) 5 ○(二)の場面。 もぐらとかえるのかけっこを見ている あなぐまの気持ちについて読む。 6 ○(三)の場面①。 「すばらしいゆめ」を見たあなぐまに ついて読む。 7 ○(三)の場面②。 どうしてあなぐまは「長いトンネルの むこう」に行ってしまったのかを考え る。 ◎もぐらやかえると、あなぐまの行動の 違いを比べさせる。 ◆あなぐまが、友だちを思う気持ちを読 み取っている。 (ワークシート・発言) ◎死を表す言葉に着目させ、变述の意味 が理解できるように話し合わせる。 ◆「すばらしいゆめ」とは何かを読み取 っている。 (ワークシート・発言) ◎「トンネルのむこう」に走っていった あなぐまの気持ちや、死に対する考えに ついて、想像させる。 ◆あなぐまは、自らの死を受け入れる心 情にあることを感じ取っているか。 (ワー クシート・発言) ◎挿絵を手がかりにして動物たちの気持 ちを考えさせる。 ◆森のみんなの悲しみを読み取ってい る。 (ワークシート・発言) ◎冬の情景と森のみんなの悲しみとを比 較しながら読み取らせる。 ◆森のみんなの深い悲しみを読み取って いる。 (ワークシート・発言) ◎動物ごとの思い出を、順序をおって読 み取らせる。 ◆あなぐまのしてくれたことに対する気 持ちを動物の言葉で表現している。 (ワー クシート・発言) ◎「のこしてくれたもののゆたかさ」と は何を指しているのかを考えさせる。 ◆「わすれられないおくりもの」の意味 について自分の考えをもっている。 (ワー クシート・発言) ◎学習したことを思い出させ、自分にと っての「わすれられないおくりもの」に ついてもふれながら書かせるようにす る。 ◆読み取ったことを生かしながら、自分 本 時 第 三 次 8 ○(四)の場面。 あなぐまの手紙を読む友だちの様子を 読む。 9 ○(五)の場面。 冬の訪れと友だちの深い悲しみを読 む。 10 ・ 11 ○(六)の場面。 あなぐまの思い出を語り合う友だちの 様子を読む。 12 ○(七)(八)の場面。 あなぐまの残していった「わすれられ ないおくりもの」について読む。 13 ○学習を終えての感想を書く。 14 ○まとめの感想を読み合う。 の感想を書いている。 (ワークシート) ◎友だちの考えに共感したり、違いに気 付いたりしながら話し合わせる。 ◆友だちの考えのよさに気付いている。 (発言) 6.前時の学習(6/14) (1)ねらい ・ 「死」にいたるあなぐまの様子と、あなぐまの見た夢について読み取り、その死について考 える。 (2)展開 学 習 活 動 ◎支援 ◆評価(評価方法) 1.本時の学習のめあてと学習範囲「 (三) ◎読みのめあてを掲示する。 の場面」を確認する。 あなぐまの見た「ふしぎな、でもすばらしいゆめ」について考えよう。① 2. (三)の場面を音読する。 3. 「ゆめ」を見るまでのあなぐまの様子を 読み取る。 4.書き込みをもとに、あなぐまの見た「ゆ め」の意味について、読み取ったことや想像 したことを二人組で対話する。 5.全体で話し合い、 「ゆめ」の意味してい ることについて読み深める。 ・ふしぎ→「走っている」 「つえもいりません」 「すばやく動く」 「どんどん速く」 ・・・・ ・死の暗示→「どこまでもつづく長いトンネ ル」 「地面からうき上がった」 「体がなくなってしまったよ う」 「すっかり自由になった」 6.学習のふりかえりをする。 ◎一斉に読ませ、学習範囲を確認する。 ◎死を悟ったうえでの行動であることに気 付かせる。 ◆あなぐまの行動にサイドラインをひいて いるか。(ワークシート) ◎対話し、比べたり尋ねたりすることで相手 の考えに対する感想を伝え合わせる。 ◆進んで自分の思いや考えを伝え合ってい るか。 (観察) ◎書き込みや対話による話し合いをもとに して発表させる。 ◎根拠となる变述を明らかにさせて、文章か らはなれた感覚だけでのやり取りにならな いようにする。 ◆あなぐまが見た「ゆめ」について理解し、 想像し、話し合うことができたか。 (発表) ◎今日の学習でわかったことや、心にのこっ たことを書かせる。 7.本時の学習(7/14) (1)本時のねらい ・ 「長いトンネルのむこう」に走っていくあなぐまの気持ちや、あなぐまの死に対する考えに ついて考える。 (2)展開 学 習 活 動 1.本時の学習のめあてと学習範囲「 (三) の場面」を確認する。 ◎支援 ◆評価(評価方法) ◎読みのめあてを掲示する。 あなぐまの見た「ふしぎな、でもすばらしいゆめ」について考えよう。② ~どうしてあなぐまは、トンネルのむこうへ行ってしまったのか~ 2. (三)の場面を音読する。 3. 「ふしぎな、でもすばらしいゆめ」とは どんなゆめだったのか、ふりかえる。 ◎一斉に読ませ、学習範囲を確認する。 ◎前時のワークシートや模造紙黒板を読み、 あなぐまの見た「ゆめ」が意味していること を思い起こす。 4.前時までの学習をもとに、あなぐまが長 ◎死を悟ったうえでの行動であることに気 いトンネルのむこうに走っていった理由を 付かせる。 考える。 ◆ワークシートに自分の考えを記入してい るか。 (ワークシート) 5.变述と書き込みをもとに、あなぐまの行 ◎対話し、比べたり尋ねたりすることで相手 動の理由について二人組で対話する。 の考えに対する感想を伝え合わせる。 ◆進んで自分の思いや考えを伝え合ってい るか。 (観察) 6.全体で話し合い、あなぐまの心情につい ◎書き込みや対話による話し合いをもとに て、読み取る。 して発表させる。 ・走ることをあきらめていたのに、走れた ◎根拠となる变述を明らかにさせて、文章か から、走っていった。 らはなれた感覚だけでのやり取りにならな ・死ぬことをおそれていない。 いようにする。 ・これで死んでしまうことはもうわかって ◆「長いトンネル」やあなぐまが見た「ゆめ」 いる。 について理解し、あなぐまの心情を想像し ・やるべきことはやった。準備はしてある。 て、話し合うことができたか。 (発表) ・もう思い残すことはない。 7.学習のふりかえりをする。 ◎今日の学習でわかったことや、心にのこっ たことを書かせる。 (3)本時の視点 ・トンネルのむこうに走って行ったあなぐまについて、書き込みをもとにした話し合いをし て読み深めることができたか。 教材分析 場面 (一) 考える力 感じる力 想像する力 (作品を理解する足がかりとな る变述) (变述から感じ取れる情景 や心情) (变述と感じ取ったこ とからの想像や推測) ・かしこい ・いつもみんなにたよりにされて いる ・こまっている友だちは、だれで も、きっと助けてあげる ・頭がいい。 ・しっかりしている。 ・リーダー ・安心できる。 ・やさしい。 ・大変年をとっている ・お年寄り。若くない。 ・おじいちゃん ・何でもよく知っている。 ・誰でも必ず助けてあ げるなんてまねできな い。だからたよりにさ れるのだろう。 ・やさしいから、みん な、聞こうという気に なる。 ・頼むと何でもやって くれそう。頼まなくて もやってくれる。 ・困った時はあなぐま さん。いい人。 ・何歳ぐらいなんだろ う。 ・森のことは何でも知 っている。森の支え。 ・こんな人がそばにい たらいいな。 ・かしこいから、死ぬ ことまでわかるんだ。 ・知らないことはないというぐら いもの知り ・自分の年だと、死ぬのがそう遠 くはないことも知っている ・死ぬことをおそれていない ・死んで体がなくなっても、心は のこることを知っている ・前のように体がいうことをきか なくなっても、 ・くよくよしたりしない ・あとにのこしていく友だちのこ とが気がかり ・自分がいつか長いトンネルのむ こうに行ってしまっても、あまり 悲しまないようにと、言っていた ・お年寄り ・もうすぐ死んでしまうこ とが自分でわかっている。 ・こわがっていない。 ・なぜこわくないのだ ろう? ・「心はのこる」とは? ・たましい? ・覚えていてくれるこ と? ・体が思うように動かない ・動くと痛いのかな? んだ。 ゆっくりしか動けない のかな?したいことも できないのかな? ・悩んでいない。 ・しかたがないと思っ ・がっかりしていない。 ている。心が強い。 ・自分のことより友だちの ・友だち思いだな。 ことを心配している。 ・きっとみんなに好か ・やさしい れているだろう。 ・「長いトンネルのむこう」 ・天国とか? とは? ・友だちが、あまりがっか ・ずっと先のことまで りしたり泣いたりしないよ 考えている。 うに準備している。 (二) (三) ・もぐらとかえるのかけっこを見 に、おかにのぼった ・その日は、とくに年をとったよ うな気がした ・いっしょに遊びにいった んだ。のぼったんだ。 ・つかれたんだ。 ・大変だったんだ。 ・つえをついている。 ・あと一度だけでも、みんなとい ・走りたいけれど走れない。 っしょに走れたらと思った ・あなぐまの足では、もうむりな ・もう走ることはできない こと と、あきらめている。 ・友だちの楽しそうな様子をなが めているうちに、自分も幸せな気 持ちになった ・見ているだけで、幸せ? ・夜になって、家に帰ってきた ・夜になっちゃった。 ・月におやすみを言って、カーテ ンをしめた ・人だけでなく月にも挨拶 をするんだ。 ・地下の部屋にゆっくりおりてい った ・だんろがもえている ・住んでいるのは、地下。 ・寒いんだ。 ・体が動かないのに、 のぼるのは大変だった だろうな。 ・とってもとっても疲 れたんだ。 ・したいだろうな。 ・辛いだろうな。 ・年をとっているから しかたないと思ってい るんだ。 ・楽しさを分けてもら っている。 ・心が広い人だ。 ・もう、「死」ぬ心の 準備ができているん だ。 ・えらい人なんだな。 ・夜まで友だちと一緒 にいたのか?歩くのが ゆっくりだから夜にな ってしまったのか? ・自分には明日はない かもしれないから、夕 暮れの森の景色を楽し んでいたのかも。 ・残り尐ない人生、周 りをよく見ておこう。 ・明日のことはわから ないから、一つ一つに 挨拶。 ・「夜」は「死」のイ メージ。人生の終わり。 ・一人で住んでいる。 ・月も友だち。自然全 てが友だち。心が広い。 ・寒いからカーテンを 閉めるのかな。 ・「カーテン」は、こ れからねるイメージ。 人生の幕。 ・あなぐまだから? ・「地下」は死の暗示? ・「もえています」で あって「火をつけまし た」でないのはなぜ? ・夕ごはんを終えた ・疲れていてもごはんは食 べた。 ・つくえにむかい、手紙を書いた ・どんな手紙だろう? ・だれに書いたのかな ? ・寒いんだ。 ・ゆ~らゆ~ら ・深い深いねむり ・いつの間にかねむってし まった ・ふしぎ、すばらしい ・(一)の場面ででてきた ・ゆりいすをだんろのそばに引き よせて、しずかにゆらしているう ちに、ぐっすりねいってしまった ・ふしぎな、でもすばらしいゆめ を見た ・走っている ・目の前にはどこまでもつづく長 いトンネル ・足はしっかりとして力強く、も ・ふしぎ・すばらしい・す う、つえもいらない。 ごい ・体はすばやく動くし、 ・トンネルを行けば行くほど、ど ・ますます んどん速く走れる ・とうとう、ふっと地面からうき ・ 「長い間走っていた」から 上がったような気がした か「どんどん速くなって」 の「とうとう」か? ・まるで体がなくなってしまった ・死んでしまった? よう ・すっかり自由になったと感じた ・楽になった? (四) ・次の日の朝、友だちはみんな心 配して集まった。 ・あなぐまがいつものように、お はようを言いに来てくれないか ら ・きつねが悲しい知らせをつたえ た ・みんなが心配している。 気にかけている。愛されて いる。 ・毎朝あなぐまは挨拶をし に行っていたんだ。 ・きつねが次のリーダーな のかな? ・あったかいおうちは、 あなぐまのあたたかさ ・ずっと燃えていた火 は、「命の火」? ・規則正しい生活 ・作って食べたのか な? ・最後の食事 ・? ・気持ちいい ・死ぬのかな? ・体が動くことへの喜 び ・体からたましいがぬ けでていく。 ・むしろ喜んでいる? ・もりのみんなのこと をとても大切にしてい たから。 ・体が動くうちは散歩 して景色を目にし、友 だちに会いにいこうと していた。 ・あなぐまが死んでしまった ・死んでしまった。 ・「長いトンネルの ・悲しい。残念。 むこうに行くよ ・行ってしまったんだ。 さようなら」 ・もう会えない。 ・みんなはあなぐまをとてもあい ・みんなが悲しんでいる。 していたから、悲しまない者はい ない ・もぐらは、やりきれないほど悲 ・とてもとても悲しい。 しくなった ・どうしようもなく悲しい。 ・ベッドの中で、もぐらはあなぐ ・他のことが何も考えられ ・あまりの悲しさに起 まのことばかり考えていた ないほど悲しい。 き上がることもできな ・なみだはあとからあとからほお ・涙が止まらない。 い。 をつたい、もうふをぐっしょりぬ ・ずっと泣き続けていたん らした だ。 ・よほどの悲しみだ。 (五) ・その夜、雪がふった ・冬が始まった。 ・みんなをあたたかく守ってくれ る家の上にも雪はふりつもった ・雪は地上をすっかりおおった ・心の中の悲しみをおおいかくし てはくれない ・あなぐまは、いつでもそばにい てくれた ・みんなは、今どうしていいか、 とほうにくれていた ・・悲しまないようにといってい たが、それは、とてもむずかしい (六) ・春が来た ・冷たい。寒い。 ・積もるほどふった。 ・降り続ける雪。止まらな い雪。 ・雪しか見えない。 ・一面の白い世界。 ・悲しみがあふれている。 ・ずっと一緒にいて助けて くれていた。支えていてく れていた。あなぐまなしで どうしたらよいのかわから ない。 ・この悲しみはとめられな い。 ・暖かい。明るい。 ・心も寒い。気持ちも 寒い。 ・みんなをあたたかく まもってくれていた 「あなぐまさん」もか くれてしまった。 ・「雪」=「悲しみ」 「涙」? ・悲しい ・帰ってきてほしい。 ・困った。 ・どうにもできない。 ・雪がとける。=悲し みも消えていく。 ・外に出られるようになった ・うちから出られる。 ・たがいに行き来して、思い出を ・一人で悲しまなくてよい。 語り合った ・おしゃべり。 ・楽しくなる。 ・みんなだれにも、なにかしら、 ・あなたもそうか。 あなぐまの思い出があった ・みんなあなぐまさんに助 ・楽しかった思い出を けてもらっていたんだ。 みんなのものに。 ・ぼくたちはひとりで ・一人一人に、わかれたあとでも ・あなぐまさんのおくりも はない。 たからものとなるような、ちえや のだったんだ。 くふうをのこしてくれた ・なんてえらいあなぐまさ ・たがいに助け合うこともでき た。 ん。 ・おかげで助け合って生き ていける。 ・ありがとう。 (七) ・とうとう雪がなくなった。 ・悲しみもすっかり消 えた。 ・のこしてくれたもののゆたかさ ・ちえ・くふう・助け合い・ ・「わすれられないお で、悲しみも消えていた 思い出 くりもの」 ・あなぐまの話が出るたびに、だ ・「あなぐま」=「悲しみ」 ・悲しみをすっかりの れかがいつも楽しい思い出を話 から、「あなぐま」=「楽 りこえて、生きていく。 すことができる しい思い出」へ。 (八) ・あるあたたかい春の日 ・かけっこしたおかにのぼった ・ぽかぽか ・思い出の場所。 ・最後に一緒に行った所。 ・おくりもののお礼が言いたくな った。 ・なんだか、そばであなぐまが、 聞いていてくれるような気がし た ・きっとあなぐまに、聞こえたに ちがいありませんよね ・そうだ。お礼を言おう。 ・広いところ声に出して言 ってみたい。 ・きっと聞いていてくれて いる。 ・そばにいてくれている。 ・最後の雪が消えたころ ・心も温か。お散歩日 和。 ・あの日のことを思い 出すなあ。 ・おかげで、今はみん な幸せです。 ・体はなくても、心は みんなのそばにいて、 今も見守ってくれてい るに違いない。 ・もうさびしくない。 ・心が残るというのは こういうことだ。